以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施例1に係る立体映像表示装置100の分解斜視図である。
立体映像表示装置100は、光源120と、映像表示部130と、偏光軸制御板(立体映像表示用光学部材)180とを図1に示す順で備え、これらが図示しない筐体に収容されている。また、映像表示部130は、偏光板(直線偏光生成部)150、映像生成部160及び偏光板170を含む。この立体映像表示装置100に表示される立体映像を後述する観察者が観察する場合、観測者は、図1に示した矢印X1の方向から(図1における偏光軸制御板180よりも右側から)観察する。
光源120は、観察者から見て立体映像表示装置100の最も奥側に配され、立体映像表示装置100を使用している状態(以下、「立体映像表示装置100の使用状態」と略称する)において、白色の非偏光、または光源からの光を効率良く利用するために設けられた反射型偏光板で、偏光板150の方向に一致する光を透過し、それ以外の成分を反射して戻し、バックライトユニット内で反射させて、再び光を射出させ、反射型偏光板で偏光した光を偏光板150の一面に向けて射出する。なお、本発明の実施例1では、光源120に面光源を用いているが、面光源に替えて例えば点光源と集光レンズとの組み合わせでもよい。この集光レンズの一例は、フレネルレンズシートである。
偏光板150は、映像生成部160の光源120側に配される。偏光板150は、透過軸及び当該透過軸に直交する吸収軸を有し、光源120から射出した無偏光が入射すると、その無偏光のうち透過軸と平行な偏光軸の光を透過し、吸収軸と平行な偏光軸の光を遮断する。ここで、偏光軸とは、光における電界の振動方向のことであり、偏光板150における透過軸は、図1に矢印Y1で示すように、観察者が立体映像表示装置100を見たときの水平方向から右上方向及び左下方向に45度の傾斜を有する。したがって、偏光板150から射出する光は、水平方向から45度の傾斜を有する直線偏光となる。
映像生成部160は、赤色光,緑色光及び青色光にそれぞれ対応した画素を備えている。また、映像生成部160は、複数の画素からなる右目用映像生成領域162及び右目用映像生成領域162と異なる複数の画素からなる左目用映像生成領域164を有する。映像生成部160は、液晶表示素子等の入射した光を外部から入力した映像信号に基づいて光変調するものである。これら右目用映像生成領域162及び左目用映像生成領域164は、図1に示すように、映像生成部160を水平方向に区切った領域であり、複数の右目用映像生成領域162及び左目用映像生成領域164が鉛直方向に互い違いに配される。
立体映像表示装置100の使用状態において、映像生成部160の右目用映像生成領域162及び左目用映像生成領域164には、外部から供給される右目用映像信号及び左目用映像信号によりそれぞれ右目用映像及び左目用映像が生成される。右目用映像生成領域162に右目用映像が生成されているときに、偏光板150を透過した光の一部が右目用映像生成領域162に入射すると、右目用映像信号に基づいて光変調され右目用映像生成領域162からは右目用映像の映像光(以下、「右目用映像光」と略称する)が射出する。また、左目用映像生成領域164に左目用映像が生成されているときに、偏光板150を透過した光の他の一部が左目用映像生成領域164に入射すると、左目用映像信号に基づいて光変調され左目用映像生成領域164からは左目用映像の映像光(以下、「左目用映像光」と略称する)が射出する。ここで、右目用映像生成領域162から射出する右目用映像光及び左目用映像生成領域164から射出する左目用映像光は、映像光における映像信号に基づいて光変調された領域はそれぞれ偏光軸が回転する。また、映像生成部160の各画素の境界部には赤色光,緑色光及び青色光の混色を低減するために、ブラックマトリクスと呼ばれる遮光部が設けられている。更に、ブラックマトリクスのうち右目用映像生成領域162と左目用映像生成領域164の境界部には、水平方向に帯状のブラックストライプである映像生成領域遮光部163が形成されている。
偏光板170は、映像生成部160における観察者側に配置される。この偏光板170は、上述した右目用映像生成領域162を透過した右目用映像光、及び、上述した左目用映像生成領域164を透過した左目用映像光が入射すると、これらのうち偏光軸の成分の中で透過軸と平行な偏光成分を透過し、偏光軸が吸収軸と平行な偏光成分を遮断する。ここで、偏光板170における透過軸は、図1に矢印Y2で示すように、観察者が立体映像表示装置100を見たときの水平方向から左上方向及び右下方向に45度の傾斜を有する。したがって、偏光板170から射出する光は、偏光板150から射出する光と直交すると共に、水平方向から45度の傾斜を有する直線偏光となる。また、偏光板170における透過軸の方向は、映像生成部160から射出する右目用映像光及び左目用映像光の偏光軸の方向と略一致させることにより立体映像表示装置100の輝度を向上することができる。
偏光軸制御板180は、基板184と基板184上に形成された第一偏光領域181及び第二偏光領域182とを有する。この偏光軸制御板180における第一偏光領域181及び第二偏光領域182の位置及び大きさは、図1に示すように、映像生成部160の右目用映像生成領域162及び左目用映像生成領域164の位置及び大きさに対応する。したがって、立体映像表示装置100の使用状態において、第一偏光領域181には、右目用映像生成領域162を透過した右目用映像光が入射し、第二偏光領域182には、左目用映像生成領域164を透過した左目用映像光が入射する。
第一偏光領域181は、入射した右目用映像光の偏光軸を回転させずにそのまま透過する。一方、第二偏光領域182は、入射した左目用映像光の偏光軸を第一偏光領域181に入射した右目用映像光の偏光軸に対して直交する方向に90度回転させる。したがって、第一偏光領域181を透過した右目用映像光の偏光軸と、第二偏光領域182を透過した左目用映像光の偏光軸とは、図1に矢印Y3,Y4で示すように、その向きが互いに直交する。なお、図1において偏光軸制御板180の第一偏光領域181及び第二偏光領域182に示した矢印Y3,Y4は、各偏光領域を通過した偏光の偏光軸の向きを示す。
偏光軸制御板180において、基板184には、入射する映像光の偏光軸の向きを変化させないように、例えば複屈折が低い透明なガラスまたは複屈折が低い樹脂などの板状部材、若しくは複屈折が低いフィルム状部材が用いられる。第一偏光領域181には、入射する右目用映像光の偏光軸の向きを変化させないでそのまま透過させるため、基板184上に何も設けずに光を透過させるか、または、複屈折が低いガラスや樹脂など部材、あるいは偏光板170と同様の偏光状態を有する偏光板が用いられる。また、第二偏光領域182には、例えば入射する左目用映像光の偏光軸の向きを90度回転する性質を有する複屈折性の物質で形成された半波長板が用いられる。結果として偏光軸制御板180から射出した右目用映像光の偏光軸の向きと左目用映像光の偏光軸の向きとは、直交した光となる。
また、偏光軸制御板180の映像表示部130と対向する面における第一偏光領域181と第二偏光領域182との境界部分に、帯状の偏光軸制御板領域遮光部183が映像表示部130側に設けられている。このような偏光軸制御板領域遮光部183を設けることにより、偏光軸制御板180の第一偏光領域181に隣接する第二偏光領域182に入射するべき左目用映像光のうち、上記境界を超えて当該第一偏光領域181に入射する映像光を吸収して遮ることができる。また、同様に、偏光軸制御板180の第二偏光領域182に隣接する第一偏光領域181に入射するべき右目用映像光のうち、上記境界を超えて当該第二偏光領域182に入射する映像光を吸収して遮ることができる。したがって、立体映像表示装置100から射出される右目用映像光及び左目用映像光にクロストークが生じにくくなる。このクロストークについての詳細は後述する。
なお、偏光軸制御板180の別の形態として、図2に示すような基板184と、基板184上に形成された第二偏光領域182とを有する構造としてもよい。
また、上記立体映像表示装置100は、偏光軸制御板180よりも観察者側(図1における偏光軸制御板180の右側)に、上記偏光軸制御板180の第一偏光領域181及び第二偏光領域182を透過した右目用映像光及び左目用映像光を水平方向または鉛直方向の少なくとも一方の方向に拡散する拡散板を有してもよい。このような拡散板には、例えば水平方向または鉛直方向に延伸するかまぼこ状の凸レンズ(シリンドリカルレンズ)が複数配されたレンチキュラーレンズシート、または、凸レンズが平面状に複数配されたレンズアレイシートが用いられる。
図3は、立体映像表示装置100の使用状態を示す概略図である。
立体映像表示装置100により立体映像を観察する場合、観察者500は、図3に示すように、立体映像表示装置100から投影される右目用映像光及び左目用映像光を、偏光眼鏡200をかけて観察する。この偏光眼鏡200には、観察者500がこの偏光眼鏡200をかけたときに観察者500の右目512側にあたる位置に右目用映像透過部232が配され、左目514側にあたる位置に左目用映像透過部234が配される。これら右目用映像透過部232及び左目用映像透過部234は、透過軸方向が互いに異なる偏光レンズであり、偏光眼鏡200のフレームに固定されている。
右目用映像透過部232は、透過軸が第一偏光領域181を透過した右目用映像光と同じ向きを有し、吸収軸が上記透過軸と直交する向きを有する偏光板である。左目用映像透過部234は、透過軸が第二偏光領域182を透過した左目用映像光と同じ向きを有し、吸収軸が上記透過軸と直交する向きを有する偏光板である。これら右目用映像透過部232及び左目用映像透過部234には、例えば二色性染料を含浸させたフィルムを一軸延伸して得られる偏光膜を貼り付けた偏光レンズが用いられる。
観察者500は、立体映像表示装置100により立体映像を観察するときに、第一偏光領域181を透過した右目用映像光及び第二偏光領域182を透過した左目用映像光の射出する範囲内で、偏光眼鏡200をかけて立体映像表示装置100を観察することにより、右目512では右目用映像光に含まれる右目用映像だけを観察することができ、左目514では左目用映像光に含まれる左目用映像だけを観察することができる。したがって、観察者500は、これら右目用映像及び左目用映像を立体映像として認識することができる。
図4は、映像生成部160の一部を拡大して示す平面図である。
図4に示すように、映像生成部160の右目用映像生成領域162及び左目用映像生成領域164は、それぞれ水平方向において複数の小さなセルに分割されており、これらのセルの1つ1つが、外部から与える映像信号により光変調する最小単位である画素360となっている。各画素360には、赤色、緑色、青色のカラーフィルターが設けられて3原色を表示することとなり、それぞれ赤色表示画素361、緑色表示画素362及び青色表示画素363となっている。
なお、映像生成部160の右目用映像生成領域162及び左目用映像生成領域164では、例えば赤色表示画素361、緑色表示画素362及び青色表示画素363が水平方向にこの順に繰り返して配される。
また、カラーフィルターによって区分けされた隣接領域の混色を防ぐためのブラックマトリックスが設けられているが、そのうち、映像生成部160の右目用映像生成領域162と左目用映像生成領域164の境界部を含む各画素の境界部にはブラックマトリックスの一部分としてブラックストライプである映像生成領域遮光部163が形成されている。
ここで、クロストークについて説明する。
図5は、偏光軸制御板領域遮光部183が形成されていない場合における映像生成部160と偏光軸制御板180との断面の一例を図示した断面図である。
図5に示すように、偏光軸制御板180は、右目用映像生成領域162の前方に第一偏光領域181が位置するように、また、左目用映像生成領域164の前方に第二偏光領域182が位置するように、観測者500から見て映像生成部160の手前側に配置されている。
そして、右目用映像生成領域162からは右目用映像光が射出され、射出された右目用映像光は第一偏光領域181を透過して観察者500に到達する。一方、左目用映像生成領域164からは左目用映像光が射出され、射出された左目用映像光は第二偏光領域182に入射して偏光の振動方向が90°回転された後に観察者500に到達する。
このように、立体映像表示装置100において、右目用映像及び左目用映像を表示させるためには、右目用映像生成領域162から射出された右目用映像光が第一偏光領域181に入射され、且つ、左目用映像生成領域164から射出された左目用映像光が第二偏光領域182に入射される必要がある。
例えば、右目用映像生成領域162から射出された右目用映像光が第二偏光領域182に入射された場合、偏光の振動方向が90°回転され、観察者500の左目用映像透過部234で捕らえられる映像となる。この映像は、当然ながら本来の左目用映像とは異なる為、観察者500が捕らえる映像が不鮮明になり、また、立体感が不明瞭となる等の不具合が発生することがある。
しかしながら、従来技術では、映像生成部160から射出された右目用映像光及び左目用映像光を、全てそれぞれ第一偏光領域181及び第二偏光領域182に入射させるように精度良く映像生成部160と偏光軸制御板180とを配置することは極めて困難であった。
鮮明な映像を得るには右目用映像生成領域162及び左目用映像生成領域164が密である(巾細である)方が良いが、この場合、右目用映像生成領域162及び左目用映像生成領域164が密に配された映像生成部160の前方に、右目用映像生成領域162及び左目用映像生成領域164に対応すべく、正確に第一偏光領域181及び第二偏光領域182を配設することが極めて困難であった。具体的には、一般的な第一偏光領域181及び第二偏光領域182は、夫々200μm程度の巾の極細線状であり、位置ずれを5%未満にする十数μmレベルで正確に配置することは、非常に困難である。
また、右目用映像生成領域162から射出された右目用映像光、及び、左目用映像生成領域164から射出された左目用映像光は共に完全には平行光ではないので、例えば、図5に示した左目用映像生成領域164の上端部付近から射出された左目用映像光の一部は第一偏光領域181に入射されてしまう場合がある(図5に示す矢印10)。
更に、左目用映像生成領域164から射出された左目用映像光が、一旦第二偏光領域182に入射された後、第一偏光領域181に入射される場合もある(図5に示す矢印11)。この現象は、一般的にクロストーク現象と呼ばれている。この場合、矢印11で示す左目用映像光の偏光の振動方向は0乃至90°の範囲に回転されることになるが、例えば、45°回転されると、左目用映像光は、右目用映像透過部232及び左目用映像透過部234を夫々50%ずつ通過することになり、この点においても、観察者500が捕らえる映像が不鮮明になり、立体感が不明瞭になる等の不具合が発生する。
そこで、本発明の実施例1に係る立体映像表示装置100は、偏光軸制御板180に、偏光軸制御板領域遮光部183を備える構成とする。
図6は、本発明の実施例1に係る立体映像表示装置100に備えられた映像生成部160と偏光軸制御板180との断面の一例を図示した断面図である。
図6に示すように、映像生成部160は、右目用映像生成領域162と左目用映像生成領域164とが交互に並設された映像生成部160が配置されており、映像生成部160の右目用映像生成領域162と左目用映像生成領域164との境界部にはブラックストライプである映像生成領域遮光部163が形成されている。
また、偏光軸制御板180は、第二偏光領域182と第一偏光領域181の境界部に、クロストークを低減するために、帯状の偏光軸制御板領域遮光部183が形成されている。
映像生成領域遮光部163と偏光軸制御板領域遮光部183とは、印刷工法を用いて形成され、この際の塗料は黒色染料を添加した紫外線硬化樹脂や熱硬化性樹脂が用いられる。通常は、偏光軸制御板領域遮光部183は黒色の帯状として形成される。ここで、印刷工法としては、凸版印刷、平版印刷、凹版印刷、孔版印刷、スクリーン印刷及びオフセット印刷等を用いることができる。
これにより、偏光軸制御板180の第一偏光領域181に隣接する第二偏光領域182に入射するべき左目用映像光のうち、上記境界を超えて第一偏光領域181に入射する映像光を吸収して遮ることができる。
また、同様に、偏光軸制御板180の第二偏光領域182に隣接する第一偏光領域181に入射するべき右目用映像光のうち、上記境界を超えて第二偏光領域182に入射する映像光を吸収して遮ることができる。したがって、立体映像表示装置100から射出される右目用映像光及び左目用映像光にクロストークが生じにくくなる。
そのため、観察者500は、立体映像表示装置100により立体映像を観察するときに、第一偏光領域181を透過した右目用映像光及び第二偏光領域182を透過した左目用映像光の射出する範囲内で、偏光眼鏡200をかけて立体映像表示装置100を観察することにより、右目では右目用映像光に含まれる右目用映像だけを観察することができ、左目では左目用映像光に含まれる左目用映像だけを観察することができる。これにより、観察者500は、これら右目用映像及び左目用映像を立体映像として認識することができる。
映像生成領域遮光部163と偏光軸制御板領域遮光部183とのピッチは近似しており、モアレが発生しやすい。そこで、本発明の実施例1に係る立体映像表示装置100に備えられた偏光軸制御板180の偏光軸制御板領域遮光部183は、境界形状が所定の周期を有する曲線となるように形成されることにより、モアレの発生を低減する。
図7は、本発明の実施例1に係る立体映像表示装置100が備える偏光軸制御板領域遮光部183の平面図である。
図7に示すように、偏光軸制御板領域遮光部183は、境界形状が滑らかな周期的な曲線になるように、黒色染料を添加した紫外線硬化樹脂や熱硬化性樹脂で形成されている。そして、この曲線は、一定の波長λ及び変調度Mに基づいて決定されており、図7に示すように、周期的な曲線で境界形状が形成された偏光軸制御板領域遮光部183の最も幅広となる距離、即ち曲線の最大振幅をA,最も幅が狭くなる距離、即ち曲線の最小振幅をBとすると、変調度Mは、B/Aで表される。
このように、偏光軸制御板領域遮光部183の線状パターンは、波長λ及び変調度Mに基づいて境界形状が、境界形状が滑らかな周期的な曲線になるように形成されるので、波長λ及び変調度Mの値により、その形状が異なりモアレの発生状態も異なる。
そこで、以下に示すように、波長λ及び変調度Mの値を変更して、立体映像表示装置100の画面サイズ毎に、モアレの変化を調査する実験を行った。
図8は、本発明の実施例1である立体映像表示装置100において、モアレの変化を調査する実験に用いた画面サイズの異なる2種類の映像生成部160の拡大図である。(a)は、24(インチ)の画面サイズの映像生成部160の拡大図であり、(b)は、37(インチ)の画面サイズの映像生成部160の拡大図である。
図8(a),(b)に示すように、映像生成部160の右目用映像生成領域162及び左目用映像生成領域164は、それぞれ水平方向において複数の小さなセルに分割されており、これらのセルの1つ1つが、外部から与える映像信号により光変調する最小単位である画素360となっている。各画素360には、赤色、緑色、青色のカラーフィルターが設けられて3原色を表示することとなり、それぞれ赤色表示画素361、緑色表示画素362及び青色表示画素363となっている。そして、赤色表示画素361、緑色表示画素362及び青色表示画素363の境界部には、鉛直方向にブラックストライプである画素間遮光部165が形成されている。
図8(a)に示すように、24(インチ)の画面サイズの映像生成部160においては、赤色表示画素361、緑色表示画素362及び青色表示画素363の水平方向の幅が、0.06(mm)であり、それぞれの画素の間は0.03(mm)であるので、画素間遮光部165の間隔は、0.09(mm)(=0.06+0.03)となる。
また、図8(b)に示すように、37(インチ)の画面サイズの映像生成部160においては、赤色表示画素361、緑色表示画素362及び青色表示画素363の水平方向の幅が、0.10(mm)であり、それぞれの画素の間は0.04(mm)であるので、画素間遮光部165の間隔は、0.14(mm)(=0.10+0.04)となる。
図9は、本発明の実施例1に係る立体映像表示装置100において、波長λ及び変調度M(=B/A)を変動させたときのモアレ評価の結果を示した図である。(a)は、図8(a)に示した24(インチ)の画面サイズにおけるモアレ評価の結果を示した図であり、(b)は、図8(b)に示した37(インチ)の画面サイズにおけるモアレ評価の結果を示した図である。なお、モアレ評価値は0〜5とし、評価値が低い程モアレが観察され難く、評価値が増加するに従い、モアレは鮮明になる。なお、偏光軸制御板領域遮光部183が周期的な曲線ではなく、直線の場合におけるモアレの評価値を5とした。
図9(a)に示すように、24(インチ)の画面サイズの映像生成部160においては、曲線の波長λを24〜150(μm)、曲線の変調度Mを10〜70(%)で変動させた場合、いずれも場合においても、評価値は5より小さい値となっているため、モアレ発生の低減に一定の効果があると言える。
さらに、偏光軸制御板領域遮光部183の境界形状の曲線の波長λが24〜90(μm)、即ち、偏光軸制御板領域遮光部183の境界形状の曲線の波長λが画素間遮光部165の間隔である90(μm)より小さく、かつ変調度Mが10〜30(%)の場合、評価値は“1”以下となり、モアレがほとんど観察されない程度まで低減しているので、より好ましい。
また、図9(b)に示すように、37(インチ)の画面サイズの映像生成部160においても同様に、曲線の波長λを20〜200(μm)、曲線の変調度Mを10〜70(%)で変動させた場合、いずれも場合においても、評価値は5より小さい値となっているため、モアレ発生の低減に一定の効果があると言える。
また、偏光軸制御板領域遮光部183の境界形状の曲線の波長λが20〜140(μm)、即ち、偏光軸制御板領域遮光部183の境界形状の曲線の波長λが画素間遮光部165の間隔である140(μm)より小さく、かつ変調度Mが10〜30(%)の場合、評価値は“1”以下となり、モアレがほとんど観察されない程度まで低減しているので、より好ましい。
以上のように、本発明の実施例1に係る立体映像表示装置100によれば、偏光軸制御板領域遮光部183の境界形状が所定の周期を有する曲線となるように形成されているので、モアレの発生を低減することができる。
さらに、偏光軸制御板領域遮光部183の境界形状の曲線の波長λが画素間遮光部165の間隔より小さく、かつ変調度Mが10〜30(%)の場合、よりモアレの発生を低減することができる。このモアレを低減することにより、映像へのモアレの影響をなくすことができ、鮮明な立体映像を再現できる。
また、本発明の実施例1では、映像生成部160の右目用映像生成領域162及び左目用映像生成領域164として、図1に示すように映像生成部160を水平方向に区切った領域として説明したが、図10に示すように映像生成部160を鉛直方向に区切った領域としてもよい。その際は、映像生成部160の駆動回路の変更と、偏光軸制御板180における第一偏光領域181及び第二偏光領域182の区切りも垂直方向とする必要がある。
更に、映像生成部160の右目用映像生成領域162及び左目用映像生成領域164を、映像生成部160の駆動回路を変更することにより、図11に示すように水平方向及び鉛直方向に区切って格子状に構成してもよい。この場合は、偏光軸制御板180も映像生成部160に合わせて格子状に形成する必要がある。
本発明の実施例1では、境界形状が所定の周期を有する曲線となるように形成された偏光軸制御板領域遮光部183を備える立体映像表示装置100を例に挙げて説明したがこれに限らない。
本発明の実施例2では、境界形状が非周期的な曲線となるように形成された偏光軸制御板領域遮光部を備える立体映像表示装置101を例に挙げて説明する。
図12は、本発明の実施例2である立体映像表示装置101が備える偏光軸制御板領域遮光部の形成方法の概略を模式的に示した図である。
図12に示すように、偏光軸制御板領域遮光部185の線状パターンを、開始点Sから水平方向に向かって酔歩過程によって描画することにより得られる軌跡として生成する。
具体的には、水平方向に一度に移動する単位移動量をX、鉛直方向に一度に変動する単位変動量をW、鉛直方向における中心位置からの変動の限界を示す限界量をLとすると、まず、開始点Sから、乱数により変動させる鉛直方向に動かす方向D(上又は下)を決定する。次に、1回に水平方向に単位移動量Xを動かしながら、発生させた乱数の数だけ繰り返し変動量Wだけ鉛直方向に移動する。ここで、軌跡が鉛直方向に隣接する他の軌跡と重なり合わないように、限界量Lを超えた場合は、方向Dを反転させることで、一連の軌跡を生成する。
このように、単に乱数による軌跡の決定では、連続的な軌跡を描画することができないが、酔歩過程を使うことで連続性を保ちながら、周期性を低減した偏光軸制御板領域遮光部185の線状パターンを生成することが可能となる。
さらに、偏光軸制御板領域遮光部185の形成方法について詳細に説明する。
図13は、本発明の実施例2である立体映像表示装置101が備える偏光軸制御板領域遮光部185の水平方向1ライン分の線状パターンの形成方法を詳細に示したフローチャートである。なお、本発明の実施例2では、一般的なコンピュータにインストールされた遮光生成プログラムが実行されることにより、このコンピュータのCPUに備えられた遮光生成部が偏光軸制御板領域遮光部185の線状パターンを生成し、この生成された線状パターンが、例えば印刷装置により印刷されることにより偏光軸制御板領域遮光部185が生成される。
図13に示すように、まず、コンピュータのCPUの遮光生成部は、カウンタiに初期値として“1”を代入し、カウンタkに初期値として“0”を代入する(ステップS101)。
次に、遮光生成部は、座標(xi,yi)の初期値を設定する(ステップS103)。具体的には、遮光生成部は、座標(xi,yi)の初期値として座標(x1,y1)=(0,0)と設定する。
そして、遮光生成部は、1〜10までの間のランダムな整数として乱数R1を生成した後(ステップS105)、乱数R1が“5”を越えているか否かを判定する(ステップS107)。
ステップS107において、乱数R1が“5”を越えていると判定された場合(YESの場合)、方向Dに“+”を代入し(ステップS109)、乱数R1が“5”以下であると判定された場合(NOの場合)、方向Dに“−”を代入する(ステップS111)。
次に、遮光生成部は、1〜10までの間のランダムな整数として乱数R2を生成した後(ステップS113)、xiに単位移動量Xを加算した値を、xi+1の値に代入する(ステップS115)。
次に、遮光生成部は、方向Dの値が“+”であるか、即ち、方向Dが上方向を示しているか否かを判定する(ステップS117)。
ステップS117において、方向Dの値が“+”であると判定された場合(YESの場合)、遮光生成部は、yiに単位変動量Wを加算した値を、yi+1の値に代入し(ステップS119)、方向Dの値が“−”であると判定された場合(NOの場合)、即ち、方向Dが下方向を示していると判定された場合、遮光生成部は、yiに単位変動量Wを減算した値を、yi+1の値に代入する(ステップS121)。
次に、遮光生成部は、座標(xi,yi)から座標(xi+1,yi+1)まで描画する(ステップS123)。
そして、遮光生成部は、カウンタi及びカウンタkの値に“1”だけ加算した後(ステップS125)、yiの絶対値が限界量Lを越えたか否かを判定する(ステップS127)。
ステップS127において、yiの絶対値が限界量Lを越えていないと判定された場合(NOの場合)、遮光生成部は、カウンタkの値が乱数R2の値を超えているか否かを判定する(ステップS129)。
ステップS129において、カウンタkの値が乱数R2の値を超えていると判定された場合(YESの場合)、遮光生成部は、カウンタkに“0”を代入する(ステップS131)。
一方、ステップS127において、yiの絶対値が限界量Lを越えたと判定された場合(YESの場合)、遮光生成部は、方向Dの符号を判定する(ステップS133)具体的には、遮光生成部は、方向Dが“+”である場合、方向Dに“−”を代入し、方向Dが“−”である場合、方向Dに“+”を代入する。
次に、遮光生成部は、1ライン分の偏光軸制御板領域遮光部185の線状パターンを生成したか否かを判定し(ステップS135)、1ライン分の偏光軸制御板領域遮光部185の線状パターンを生成したと判定された場合(YESの場合)、処理を終了する。
そして、図示しないが、遮光生成部が、上述したステップS101〜S135の処理を全ライン分について実行することにより、偏光軸制御板領域遮光部185の線状パターンを生成し、この生成された線状パターンが、例えば、黒色染料を添加した紫外線硬化樹脂や熱硬化性樹脂を用いて印刷装置により印刷されることにより偏光軸制御板領域遮光部185が生成される。
このようにして、偏光軸制御板領域遮光部185の線状パターンは、境界形状が、発生された所定範囲内の乱数R1,R2に基づいて、限界量Lを越えないように単位変動量Wづつ描画された曲線となるように形成されるので、単位変動量W及び限界量Lの値により、その形状が異なり、この形状の変化によりモアレの発生状況が異なる。
そこで、以下に示すように、単位変動量W及び限界量Lの値を変更して、立体映像表示装置101の画面寸法毎に、モアレの変化を調査する実験を行った。
図14は、本発明の実施例2である立体映像表示装置101において、モアレの変化を調査する実験に用いたそれぞれ画面サイズの異なる3種類のモニタについての仕様を示した図である。
図14では、それぞれ24,32,37(インチ)の画面サイズのモニタについて、3Hだけ離れた位置から観察したときの、映像生成領域遮光部163のピッチをP1、偏光軸制御板領域遮光部185のピッチをP2、偏光軸制御板領域遮光部185の線幅をLWとした。このとき、ピッチP2は、P1−δP1で表され、δは、偏光軸制御板180を保持するための基板184の基板厚、及び観察位置3H等に基づいて決定される。また、線幅LWは、P2の半値とし、水平方向への単位移動量Xは、LWの半値とした。
図15は、本発明の実施例2である立体映像表示装置101において、単位変動量W及び限界量Lの値を変更して、モアレ評価の結果を示した図である。ここで、図15(a)は、画面サイズが24インチの場合におけるモアレ評価の結果を示し、図15(b)は、画面サイズが32インチの場合におけるモアレ評価の結果を示し、図15(c)は、画面サイズが37インチの場合におけるモアレ評価の結果を示している。なお、モアレ評価値は0〜5とし、評価値が低い程モアレが観察され難く、評価値が増加するに従い、モアレは鮮明になる。なお、偏光軸制御板領域遮光部185が周期的な曲線ではなく、直線の場合におけるモアレの評価値を5とした。
図15(a)に示すように、単位変動量Wを線幅LWの2(%)(=3(μm))、5(%)(=7(μm))、10(%)(=14(μm))とし、限界量Lを線幅LWの12.5(%)(=18(μm))、25(%)(=36(μm))、50(%)(=69(μm))として変化させた実験例(A1)〜(H1)について、それぞれモアレを評価した。
その結果、いずれも場合においても、評価値は5より小さい値となっているため、モアレ発生の低減に一定の効果があると言える。
また、単位変動量Wを線幅LWの10(%)(=14(μm))とし、限界量Lを線幅LWの25(%)(=36(μm))とした実験例(E1)において、モアレ評価値が“1”となっており、モアレがほとんど観察されない程度まで低減しているので、より好ましいと言える。
また、図15(b)に示すように、図15(a)と同様に、単位変動量Wを線幅LWの2(%)(=4(μm))、5(%)(=9(μm))、10(%)(=18(μm))とし、限界量Lを線幅LWの12.5(%)(=23(μm))、25(%)(=46(μm))、50(%)(=92(μm))として変化させた実験例(A2)〜(H2)について、それぞれモアレを評価した。
さらに、図15(c)に示すように、図15(a)と同様に、単位変動量Wを線幅LWの2(%)(=4(μm))、5(%)(=10(μm))、10(%)(=21(μm))とし、限界量Lを線幅LWの12.5(%)(=27(μm))、25(%)(=53(μm))、50(%)(=107(μm))として変化させた実験例(A3)〜(H3)について、それぞれモアレを評価した。
その結果、図15(b)に示した画面サイズが32インチの場合、及び図15(c)に示した画面サイズが37インチの場合においても、同様に、評価値は5より小さい値となっているため、モアレ発生の低減に一定の効果があると言える。さらに、いずれの画面サイズの場合においても、単位変動量Wを線幅LWの10(%)とし、限界量Lを線幅LWの25(%)とした実験例(E2),(E3)において、モアレ評価値が“1”となっており、モアレがほとんど観察されない程度まで低減しているので、より好ましいと言える。
図16は、図15(a)に示した実験例(A1)〜(H1)における偏光軸制御板領域遮光部185の線状パターンの一例を示した図である。
図16に示すように、実験例(A1)〜(H1)のいずれの場合においても、偏光軸制御板領域遮光部185は、境界形状が非周期的な曲線となるように形成されている。また、モアレ評価値が“1”となった実験例(E1)において、より非周期性が高い(周期性が低い)曲線となるように形成されている。
以上のように、本発明の実施例2である立体映像表示装置101によれば、境界形状が非周期的な曲線となるように形成された偏光軸制御板領域遮光部185を備えるので、モアレの発生を低減することができる。このモアレを低減することにより、映像へのモアレの影響をなくすことができ、鮮明な立体映像を再現できる。
本発明の実施例2では、発生された所定範囲内の乱数に基づいて、境界形状が所定の境界限界を越えないように描画された非周期的な曲線となるように形成された偏光軸制御板領域遮光部185を備える立体映像表示装置101を例に挙げて説明した。
本発明の実施例3では、境界形状が、単位長毎にロジスティック式に基づいて算出された曲線となるように形成された偏光軸制御板領域遮光部186を備える立体映像表示装置102を例に挙げて説明する。
図17は、本発明の実施例3である立体映像表示装置102が備える偏光軸制御板領域遮光部186の水平方向1ライン分の線状パターンの形成方法を詳細に示したフローチャートである。なお、本発明の実施例3では、一般的なコンピュータにインストールされた遮光生成プログラムが実行されることにより、このコンピュータのCPUに備えられた遮光生成部が偏光軸制御板領域遮光部186の線状パターンを生成し、この生成された線状パターンが、例えば印刷装置により印刷されることにより偏光軸制御板領域遮光部186が生成される。
図17に示すように、まず、コンピュータのCPUの遮光生成部は、カウンタnに初期値として“1”を代入する(ステップS201)。
次に、遮光生成部は、座標(xn,yn)の初期値を設定する(ステップS203)。具体的には、遮光生成部は、座標(xn,yn)の初期値として、x1に“0”を設定し、ynに、“0”以外であり、“1”未満の数値を設定する。
次に、遮光生成部は、xnに単位移動量Xを加算した値を、xn+1の値に代入する(ステップS205)。
そして、遮光生成部は、偏光軸制御板領域遮光部186の線状パターンの周期性を低減するように線の開始点から終了点に向けた軌跡を、下記の(数式2)で表されるロジスティック式を用いて算出する(ステップS207)。
yn+1=ayn(1−yn) ・・・(数式2)
なお、(数式2)で与えられる定数aの値は、1以下ではnが大きくなるに従い、yn+1の値は0に下がって収束するが、定数aの値が3.0程度では、yn+1の値は2つの値を振動し、3.0以上では、yn+1の取り得る値が2状態になり、定数aの値が大きくなるに従い、4状態、8状態、16状態、そして多状態へと状態数が増し、その状態間を遷移する。また、定数aの増加に対し、状態数が増すことに対応し、周期的な振動が、準周期的または非周期的になる。
次に、遮光生成部は、座標(xn,yn)から座標(xn+1,yn+1)まで描画する(ステップS209)。
そして、遮光生成部は、カウンタnの値に“1”だけ加算した後(ステップS211)、1ライン分の偏光軸制御板領域遮光部186の線状パターンを生成したか否かを判定し(ステップS135)、1ライン分の偏光軸制御板領域遮光部186の線状パターンを生成したと判定された場合(YESの場合)、処理を終了する。
そして、図示しないが、遮光生成部が、上述したステップS201〜S213の処理を全ライン分について実行することにより、偏光軸制御板領域遮光部186の線状パターンを生成し、この生成された線状パターンが、例えば、黒色染料を添加した紫外線硬化樹脂や熱硬化性樹脂を用いて印刷装置により印刷されることにより偏光軸制御板領域遮光部186が生成される。
このようにして、偏光軸制御板領域遮光部186の線状パターンは、境界形状が、単位長毎にロジスティック式に基づいて算出された曲線となるように形成されるので、定数aの値により、その形状が異なり、これにより、モアレの発生状況が異なる。
そこで、以下に示すように、定数aの値を変更して、立体映像表示装置102の画面寸法毎に、モアレの変化を調査する実験を行った。なお、実験には、図14に示した24,32,37(インチ)の画面サイズのモニタを用いた。
図18は、本発明の実施例3である立体映像表示装置102において、定数aの値を変更して、モアレ評価の結果を示した図である。なお、モアレ評価値は0〜5とし、評価値が低い程モアレが観察され難く、評価値が増加するに従い、モアレは鮮明になる。なお、偏光軸制御板領域遮光部186が曲線ではなく、直線の場合におけるモアレの評価値を5とした。
図18に示すように、24,32,37(インチ)のそれぞれの画面サイズに対して、定数aの値を“3.0”〜“4.0”で変化させた実験例(J)〜(Q)について、それぞれモアレを評価した。
その結果、24,32,37(インチ)のいずれの画面サイズにおいても、評価値は5より小さい値となっているため、モアレ発生の低減に一定の効果があると言える。
また、24,32,37(インチ)のいずれの画面サイズにおいても、定数aの値が、“3.6”〜“4.0”である実験例(L)〜(Q)において、モアレ評価値が“3”以下となっており、モアレがより低減しているので、より好ましいと言える。
図19は、図18に示した実験例(J)〜(Q)における偏光軸制御板領域遮光部186の線状パターンの一例を示した図である。
図19に示すように、実験例(J)〜(Q)のいずれの場合においても、偏光軸制御板領域遮光部185は、曲線となるように形成されている。ただし、実験例(J)〜(K)においては、鉛直方向の振幅が小さく、非周期性が低い(周期性がやや高い)のに対し、実験例(L)〜(Q)においては、振幅のパターンに周期性がなくなる準周期的な振動や非周期的な振動になる。また、定数aが4.0より大きくなると、yn+1が1以上になる場合があり、急速に振幅が無限大に近づくため、中心から上下に振幅する線状パターンとして利用できなくなる。
そのため、定数aが“3.6”〜“4.0”である実験例(L)〜(Q)において、より好ましいと言える。
以上のように、本発明の実施例3である立体映像表示装置102によれば、偏光軸制御板領域遮光部186の線状パターンは、境界形状が、単位長毎にロジスティック式に基づいて算出された曲線となるように形成されるので、この形成された偏光軸制御板領域遮光部186の線上パターンにおける周期性の乱れが、画像生成領域の規則的なブラックマトリックスとの干渉を弱め、モアレを低減されることができる。このモアレを低減することにより、映像へのモアレの影響をなくすことができ、鮮明な立体映像を再現できる。
本発明の実施例1〜3では、第一偏光領域181及び第二偏光領域182に右目用映像光及び左目用映像光がそれぞれ入射したときに、入射した右目用映像光及び左目用映像光を、偏光軸が互いに直交した直線偏光として射出する偏光軸制御板180を備える立体映像表示装置100を例に挙げて説明したがこれに限らない。
本発明の実施例4では、第一偏光領域181及び第二偏光領域182に右目用映像光及び左目用映像光がそれぞれ入射したときに、入射した右目用映像光及び左目用映像光を、偏光軸の回転方向が互いに逆方向である円偏光として射出する偏光軸制御板を備える立体映像表示装置103を例に挙げて説明する。
図20は、本発明の実施例4に係る立体映像表示装置103の分解斜視図である。
図20に示す立体映像表示装置103において、図1に示す立体映像表示装置100と同じ構成については同じ符号を付しており、以下において説明を省略する。
図20に示すように、立体映像表示装置103は、立体映像表示装置103の偏光軸制御板180に替えて偏光軸制御板187を備える。この偏光軸制御板187は、基板184と基板184上に形成された第一偏光領域188及び第二偏光領域189とを有する。偏光軸制御板187における第一偏光領域188及び第二偏光領域189の位置及び大きさは、上記偏光軸制御板180における第一偏光領域181及び第二偏光領域182の位置及び大きさと同様に、映像生成部160の右目用映像生成領域162及び左目用映像生成領域164の位置及び大きさに対応している。したがって、立体映像表示装置103の使用状態において、第一偏光領域188には、上記右目用映像生成領域162を透過した右目用映像光が入射し、第二偏光領域189には、上記左目用映像生成領域164を透過した左目用映像光が入射する。
第一偏光領域188は、入射した右目用映像光を右回りの円偏光として射出する。また、第二偏光領域189は、入射した左目用映像光を左回りの円偏光として射出する。ここで、円偏光の偏光状態は、観察者500側から光源120を見た場合の偏光方向として説明している。なお、図19の偏光軸制御板187の矢印Y5,Y6は、この偏光軸制御板187を通過した偏光の回転方向を示している。第一偏光領域188には、例えば光学軸が水平方向である1/4波長板が用いられ、第二偏光領域189には、例えば光学軸が鉛直方向である1/4波長板が用いられる。偏光軸制御板187の第一偏光領域188及び第二偏光領域189は、上記偏光軸制御板180の第一偏光領域181及び第二偏光領域182と同様にそれぞれ水平方向において複数の小さなセルに分割されている。
偏光軸制御板187を備えた立体映像表示装置103を観察する場合、観察者500は、右目512側にあたる位置及び左目514側にあたる位置にそれぞれ1/4波長板と偏光レンズが配された偏光眼鏡をかけて観察する。この偏光眼鏡において、観察者500の右目512側にあたる位置に配される1/4波長板は光学軸が水平方向であり、観察者500の左目514側にあたる位置に配される1/4波長板は光学軸が鉛直方向である。
また、観察者500の右目512側にあたる位置に配される偏光レンズ、及び、観察者500の左目514側にあたる位置に配される偏光レンズは、ともに透過軸の方向が観察者500から見て右斜め45度であり、吸収軸の方向は透過軸の方向と直交する方向である。
観察者500が上記の偏光眼鏡をかけて立体映像表示装置103を観察する場合、観察者500の右目512側では、偏光軸が観察者500から見て右回りの円偏光が入射したときに、その円偏光は上記の光学軸が水平方向である1/4波長板によって右斜め45度の直線偏光に変換された後、上記偏光レンズを透過して観察者500の右目512で観察される。
また、観察者500の左目514側では、偏光軸が観察者500から見て左回りの円偏光が入射したときに、その円偏光は上記の光学軸が鉛直方向である1/4波長板によって右斜め45度の直線偏光に変換された後、上記偏光レンズを透過して観察者500の左目514で観察される。
このように、上記偏光眼鏡をかけて立体映像表示装置103を観察することにより、右目512では右目用映像光に含まれる右目用映像だけを観察することができ、左目514では左目用映像光に含まれる左目用映像だけを観察することができる。したがって、観察者500は、これら右目用映像及び左目用映像を立体映像として認識することができる。
そして、本発明の実施例4に係る立体映像表示装置103によれば、本発明の実施例1に係る立体映像表示装置100と同様に、第一偏光領域及び第二偏光領域の境界部に設けられた偏光軸制御板領域遮光部180を有するので、モアレの発生を低減することができる。このモアレを低減することにより、映像へのモアレの影響をなくすことができ、鮮明な立体映像を再現できる。また、本発明の実施例4に係る立体映像表示装置103によれば、本発明の実施例2〜3に係る立体映像表示装置101〜102と同様に、第一偏光領域及び第二偏光領域の境界部に設けられた偏光軸制御板領域遮光部185,186を有するようにしてもよい。
本発明の実施例1に係る立体映像表示装置100では、偏光軸制御板180の第一偏光領域181及び第二偏光領域182の位置及び大きさは、映像生成部160の右目用映像生成領域162及び左目用映像生成領域164の位置及び大きさに一致するように配置されていたが、これに限らない。
本発明の実施例5では、偏光軸制御板180の第一偏光領域181及び第二偏光領域182の位置及び大きさは、観察者の位置までの距離に応じて、映像生成部160の右目用映像生成領域162及び左目用映像生成領域164の位置及び大きさに対応するように配置された立体映像表示装置104を例に挙げて説明する。
図21は、本発明の実施例5に係る立体映像表示装置104の構成を示した構成図である。なお、図21に示す立体映像表示装置104において、図1に示す立体映像表示装置100と同じ構成については同じ符号を付しており、以下において説明を省略する。
図21に示すように、立体映像表示装置104は、立体映像表示装置100の偏光軸制御板180に替えて偏光軸制御板190を備える。
偏光軸制御板190は、基板184(図示しない)と基板184上に形成された第一偏光領域191と、第二偏光領域192(共に図示しない)と、第一偏光領域191及び第二偏光領域192の境界部に設けられた偏光軸制御板領域遮光部193とを備えている。ここで、偏光軸制御板領域遮光部193は、本発明の実施例1に係る立体映像表示装置100が備える偏光軸制御板領域遮光部183と同一構成を有するものでよいし、本発明の実施例2に係る立体映像表示装置101が備える偏光軸制御板領域遮光部185、本発明の実施例3に係る立体映像表示装置102が備える偏光軸制御板領域遮光部186、又は本発明の実施例4に係る立体映像表示装置103が備える偏光軸制御板領域遮光部183と同一構成を有するものとしてもよい。
偏光軸制御板190は、立体映像表示装置104の画面サイズから想定される観察者の位置Pから映像生成部160までの距離と、観察者の位置Pから偏光軸制御板190までの距離とに基づいて、観察者から見て、映像生成領域遮光部163と偏光軸制御板領域遮光部193とが重なり合うように、偏光軸制御板190の第一偏光領域191、第二偏光領域192、及び偏光軸制御板領域遮光部193が配置されている。
このように、本発明の実施例5に係る立体映像表示装置104によれば、観測者が位置Pにおいて観察した場合、映像生成領域遮光部と偏光軸制御板領域遮光部とが重なっているように見える。しかしながら、観察者が位置Pから立体映像表示装置104に対して近く、又は遠くの位置で観察した場合、映像生成領域遮光部と偏光軸制御板領域遮光部とがずれて見えることになる。
本発明の実施例5に係る立体映像表示装置104によれば、このような観測者が位置P以外の位置において観察した場合においても、本発明の実施例1に係る立体映像表示装置100と同様に、第一偏光領域181と、第二偏光領域182と、第一偏光領域181及び第二偏光領域182の境界部に設けられた偏光軸制御板領域遮光部183とを有するので、透過率の異なる領域がランダムに出現し、映像生成領域遮光部163とのモアレは黒色部と白色部のコントラストが低減し、モアレの発生を低減することができる。このモアレを低減することにより、映像へのモアレの影響をなくすことができ、鮮明な立体映像を再現できる。
本発明の実施例1に係る立体映像表示装置100では、偏光軸制御板180に第一偏光領域181と第二偏光領域182の間に、左右画像のクロストークを防ぐように偏光軸制御板領域遮光部183を備えていたが、これに限らない。
本発明の実施例6では、偏光軸制御板領域遮光部を設けることなくモアレの発生を低減する立体映像表示装置を例に挙げて説明する。
図22は、本発明の実施例6に係る立体映像表示装置105が備える偏光軸制御板280の斜視図であり、図23は、本発明の実施例6に係る立体映像表示装置105が備える偏光軸制御板280の一部を拡大して示す平面図である。
なお、本発明の実施例6に係る立体映像表示装置105が備える光源120及び映像表示部130については、本発明の実施例1に係る立体映像表示装置100が備える光源120及び映像表示部130と同一の構成を有するので、説明を省略する。
図22及び図23に示すように、立体映像表示装置105が備える偏光軸制御板280は、基板284と、基板284上に形成された第一偏光領域281及び第二偏光領域282とを有する。この偏光軸制御板280における第一偏光領域281及び第二偏光領域282の位置及び大きさは、映像生成部160の右目用映像生成領域162及び左目用映像生成領域164の位置及び大きさに対応する。
基板284と、第一偏光領域281と、第二偏光領域282とは、それぞれ、本発明の実施例1に係る立体映像表示装置100が備える基板184と、第一偏光領域181と、第二偏光領域182と同様に複屈折が低い透明なガラス等により形成されており、第一偏光領域281と第二偏光領域282との境界部分の形状は、周期的な曲線であり、曲線の波長が画像生成領域遮光部163の間隔より小さく、かつ曲線の変調度が10〜30%となるように設定されている。
第一偏光領域281は、入射した右目用映像光の偏光軸を回転させずにそのまま透過する。一方、第二偏光領域282は、入射した左目用映像光の偏光軸を第一偏光領域281に入射した右目用映像光の偏光軸に対して直交する方向に90度回転させる。したがって、第一偏光領域181を透過した右目用映像光の偏光軸と、第二偏光領域182を透過した左目用映像光の偏光軸とは、図22の矢印Y3,Y4で示すように、その向きが互いに直交する。なお、図22において偏光軸制御板280の第一偏光領域281及び第二偏光領域282に示した矢印Y3,Y4は、各偏光領域を通過した偏光の偏光軸の向きを示す。
図24は、本発明の実施例6に係る立体映像表示装置105において、波長及び変調度を変動させたときのモアレ評価の結果を示した図である。なお、図24では、24(インチ)の画面サイズにおけるモアレ評価の結果を示している。
図24に示した図では、モアレの評価値を0〜5とし、偏光軸制御板に直線形状の偏光軸制御板領域遮光部が設けられた場合におけるモアレ評価値を“5”とした。また、図示しないが、偏光軸制御板に偏光軸制御板領域遮光部を設けることなく、偏光軸制御板領域が直線である場合におけるモアレ評価値は“3”であった。
図24に示すように、第一偏光領域281と、第二偏光領域282との境界形状の曲線の波長を24〜150(μm)、境界形状の曲線の変調度を10〜70(%)で変動させた場合、いずれの場合においても、評価値は直線の場合である評価値“3”より小さい値となっているため、モアレ発生の低減に一定の効果があると言える。
さらに境界形状の曲線の波長が24〜90(μm)、即ち、偏光軸制御板領域の曲線の波長λが画素間遮光部165の間隔である90(μm)より小さく、かつ変調度Mが10〜30(%)の場合、評価値は“1”以下となり、モアレがほとんど観察されない程度まで低減しているので、より好ましい。
以上のように、本発明の実施例6に係る立体映像表示装置105によれば、偏光軸制御板領域遮光部を設けることなくモアレの発生を低減することができる。
なお、本発明の実施例6では、第一偏光領域281と第二偏光領域282との境界形状が所定の周期を有する曲線となるように形成された立体映像表示装置105を例に挙げて説明したがこれに限らない。
本発明の実施例2に記載の技術を用いて、第一偏光領域281と第二偏光領域282との境界形状が、発生された所定範囲内の乱数に基づいて、所定の境界限界を越えないように描画された非周期的な曲線となるように形成されるようにしてもよいし、本発明の実施例3に記載の技術を用いて、第一偏光領域281と第二偏光領域282との境界形状が、単位長毎にロジスティック式に基づいて算出された曲線となるように形成されるようにしてもよい。
なお、実施例1乃至実施例6において、偏光板150の偏光軸と偏光板170の偏光軸とが直交する場合について説明したが、映像生成部の特性に応じて必ずしも直交する必要はなく、場合によっては偏光板150と偏光板170とが同一の偏光軸を有してもよい。