JP5311089B2 - レジスト溶剤溶液の評価方法及び感放射線性樹脂組成物 - Google Patents
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例えば、感放射線性樹脂組成物として、2−アルキル−2−アダマンチル基、又は1−アダマンチル−1−アルキルアダマンチル基で保護されたアルカリ可溶性を有し、それ自身ではアルカリに不溶又は難溶であるが、酸の作用でアルカリに可溶となる樹脂と特定のスルホニウム塩系酸発生剤を含有する化学増幅型ポジ型レジスト組成物(特許文献1参照)。特定の基板密着性脂環式エステルと特定の脂環式骨格を有する酸脱離性のエステルに、第3成分として上記2成分の中間の極性を持つ特定の脂環式エステルを加えて3元共重合させたフォトレジスト用高分子化合物(特許文献2参照)、同じく脂環式骨格を有する特定構造の3種の単量体ユニットを特定の割合で含む樹脂(特許文献3参照)等が知られている。
また、これらの感放射線性樹脂組成物に用いられる樹脂は、感放射線性樹脂組成物としたときの解像度や透過率により、或いは樹脂と溶媒との溶解度パラメーターにより、それぞれ評価されてきた。
そこで、本願出願人は、感放射線性樹脂のレジスト溶剤溶液の動的光散乱を測定し、この溶液の濃度変化に伴う感放射線性樹脂の溶液中の拡散係数変化を表す係数(kD)により、感放射線性樹脂の現像特性を評価する評価方法を見出し特許出願している(特許文献4参照)。
本発明は、感放射線性樹脂組成物における液中異物発生度合を樹脂原料段階で評価可能なレジスト溶剤溶液の評価方法、及び、KrFエキシマレーザ或いはArFエキシマレーザ等の遠紫外線、シンクロトロン放射線等のX線、電子線等の荷電粒子線の如き各種の放射線を使用する微細加工に有用な化学増幅型レジストとして好適に使用できる感放射線性樹脂組成物に関する。
[1]フッ素含有重合体を含む樹脂のレジスト溶剤溶液の動的光散乱を測定し、該レジスト溶剤溶液の一定濃度領域における動的光散乱測定による拡散係数の差により、前記樹脂を感放射線性樹脂組成物材料として用いた場合における液中異物発生度合を評価することを特徴とするレジスト溶剤溶液の評価方法。
[2]フッ素含有重合体を含む樹脂と、レジスト溶剤と、感放射線性酸発生剤と、を含有する感放射線性樹脂組成物であって、
前記樹脂はポリアクリル酸エステルベースの樹脂であり、
前記フッ素含有重合体は、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有しており、
前記一般式(1)で表される繰り返し単位の含有率は、前記フッ素含有重合体に含まれる全ての繰り返し単位の合計を100モル%とした場合に、5モル%以上であり、
前記フッ素含有重合体の含有割合は、前記樹脂全体を100質量%とした場合に、0.1〜40質量%であり、
前記レジスト溶剤は、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エチル、及びγ−ブチロラクトンからなる群のうちの少なくとも1種であり、
前記樹脂の濃度が2質量%であるレジスト溶剤溶液の動的光散乱測定による拡散係数(Da)と、前記樹脂の濃度が8質量%であるレジスト溶剤溶液の動的光散乱測定による拡散係数(Db)との拡散係数差[ΔD(Db−Da)]が、−2.0×10−7cm2・s−1以上であることを特徴とする感放射線性樹脂組成物。
また、本発明の感放射線性樹脂組成物は、特定濃度領域において特定の拡散係数差(ΔD)となる、フッ素含有重合体を含む樹脂を含有しているため、異物の発生数が少なく、貯蔵安定性に優れている。そのため、異物による現像欠陥が抑制され、KrFエキシマレーザ或いはArFエキシマレーザ等の遠紫外線、シンクロトロン放射線等のX線、電子線等の荷電粒子線の如き各種の放射線を使用する微細加工に有用な化学増幅型レジストとして好適に使用できる。更には、今後更に微細化が進むと予想される半導体デバイスの製造に極めて好適に使用することができる。
[1]レジスト溶剤溶液の評価方法
本発明におけるレジスト溶剤溶液の評価方法は、フッ素含有重合体を含む樹脂のレジスト溶剤溶液の動的光散乱を測定し、このレジスト溶剤溶液の一定濃度領域における動的光散乱測定による拡散係数差(ΔD)により、前記樹脂を感放射線性樹脂組成物材料として用いた場合における液中異物発生度合を評価するものである。
溶液中に溶解している物質はブラウン運動による濃度揺らぎを生じる。動的光散乱法では、溶液に干渉性の高いレーザー光などを当てて、濃度揺らぎに起因する散乱光強度の時間変化を制御コンピューターメモリー上に記憶させ、散乱光強度の時間相関関数を計算した指数型減衰曲線から、各濃度おける拡散係数を測定することができる。
一方、線状高分子一本鎖の挙動を調べるためには、希薄とされる有限濃度域の測定値の濃度ゼロ外挿から得られる無限希釈状態での拡散係数D0を用いる必要がある。
また、下の(I)式で定義されるアインシュタイン−ストークスの関係より得られる無限希釈状態における流体力学半径RHは線状高分子一本鎖あたりの広がりを表すパラメーターとして使用される。
(I):D0=kBT/6πηRH
[但し、D0:無限希釈状態での拡散係数、kB:ボルツマン定数、T:絶対温度、η:溶媒粘度、RH:無限希釈状態での流体力学半径を表す。]
尚、感放射線性樹脂組成物中の樹脂成分の分子量程度では、一般的に測定される全ての散乱角度、例えば12〜155度の散乱角度、において質点として観測される。このため、内部運動・回転運動などに起因する拡散係数の散乱角度、即ちq=4nπ/λ×sin(θ/2)[nは溶媒の屈折率、λはレーザービームの波長、θは散乱角度]で定義される散乱ベクトルq依存性は認められず、樹脂成分の並進拡散運動が測定される。従って、各散乱角度における拡散係数の平均値を、その濃度における「見かけ上の拡散係数」の実測値とできる。
(II):D=D0(1+kD・c)
特に、約10質量%以下の濃度でこの直線関係が成立するため、前記拡散係数差(ΔD)を求める濃度領域は、約10質量%以下の領域とすることが好ましい。
特に、樹脂とレジスト溶剤との組み合わせにおいて、前記kD値が負の値をとる樹脂とレジスト溶剤との組み合わせに適用することが好ましい。
また、前記拡散係数差(ΔD)は、評価の対象となるレジスト溶剤溶液における樹脂及びレジスト溶剤の組み合わせ、及び測定するレジスト溶剤溶液の濃度によって異なるが、レジスト溶剤溶液がポリアクリル酸エステルベースの樹脂とそのレジスト溶剤からなる場合、樹脂濃度が2質量%であるレジスト溶剤溶液の動的光散乱測定による拡散係数(Da)と、樹脂濃度が8質量%であるレジスト溶剤溶液の動的光散乱測定による拡散係数(Db)との拡散係数差[ΔD(Db−Da)]が、−2.0×10−7cm2・s−1以上であることが好ましく、より好ましくは−2.0×10−7cm2・s−1以上、0.0×10−7cm2・s−1以下、更に好ましくは−1.5×10−7cm2・s−1以上、0.0×10−7cm2・s−1以下、特に好ましくは−1.0×10−7cm2・s−1以上、0.0×10−7cm2・s−1以下である。
尚、好ましい拡散係数差(ΔD)は、測定するレジスト溶剤溶液の濃度や、レジスト溶剤溶液を構成する樹脂とレジスト溶剤の種類によって異なるものである。
本発明の感放射線性樹脂組成物は、フッ素含有重合体を含む樹脂(以下、「樹脂(A)」ともいう。)と、レジスト溶剤と、感放射線性酸発生剤とを含有するものである。尚、本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及びメタクリルを意味する。
前記「樹脂(A)」は、酸の作用によりアルカリ可溶性となるアルカリ不溶性又はアルカリ難溶性の樹脂である。尚、ここでいう「アルカリ不溶性又はアルカリ難溶性」とは、前記樹脂を含有する樹脂組成物から形成されたフォトレジスト膜からレジストパターンを形成する際に採用されるアルカリ現像条件下で、このフォトレジスト膜の代わりに前記樹脂のみを用いた被膜を現像した場合に、この被膜の初期膜厚の50%以上が現像後に残存する性質を意味する。
主鎖にフッ素原子を含む単量体としては、例えば、α−フルオロアクリレート化合物、α−トリフルオロメチルアクリレート化合物、β−フルオロアクリレート化合物、β−トリフルオロメチルアクリレート化合物、α,β−フルオロアクリレート化合物、α,β−トリフルオロメチルアクリレート化合物、1種類以上のビニル部位の水素がフッ素或いはトリフルオロメチル基等で置換された化合物等が挙げられる。
この繰り返し単位(1)の含有率は、フッ素含有重合体に含まれる全ての繰り返し単位の合計を100モル%とした場合に、5モル%以上、好ましくは10モル%以上、更に好ましくは15モル%以上である。
これらの脂環式炭化水素基のうち、ノルボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン、アダマンタン、シクロペンタン又はシクロヘキサンに由来する脂環族環からなる基や、これらの脂環族環からなる基を前記アルキル基で置換した基等が好ましい。
この繰り返し単位(2)の含有率は、フッ素含有重合体に含まれる全ての繰り返し単位の合計を100モル%とした場合に、通常95モル%以下、好ましくは10〜90モル%、更に好ましくは10〜85モル%である。
前記重合に使用される溶媒としては、例えば、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、デカリン、ノルボルナン等のシクロアルカン類;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、プロピオン酸メチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の飽和カルボン酸エステル類;γ−ブチロラクトン等のアルキルラクトン類;テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン類、ジエトキシエタン類等のエーテル類;2−ブタノン、2−ヘプタノン、メチルイソブチルケトン等のアルキルケトン類;シクロヘキサノン等のシクロアルキルケトン類;2−プロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール類等を挙げることができる。これらの溶媒は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
重合における反応温度は、通常、40〜120℃、好ましくは50〜100℃であり、反応時間は、通常、1〜48時間、好ましくは1〜24時間である。
前記各重合体における、Mwとゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算数平均分子量(以下、「Mn」という。)との比(Mw/Mn)は、それぞれ、通常1〜5、好ましくは1〜3である。
尚、前記レジスト溶剤溶液における「レジスト溶剤」については、後段にて詳細を説明する。
本発明の感放射線性樹脂組成物に含有されるレジスト溶剤は、前記樹脂(A)を溶解させること、沸点が約150℃以上であること、及び樹脂溶液塗布時にハレーションを発生させないこと、の3つの条件を満たすレジスト溶剤であることが好ましい。
このようなレジスト溶剤としては、2−ヘキサノン、2−ヘプタノン、2−オクタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、酢酸n−ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、乳酸エチル、N−メチルピロリドン、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、γ−ブチロラクトン等が挙げられるが、本発明においては、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エチル、γ−ブチロラクトンが用いられる。
これらのレジスト溶剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の感放射線性樹脂組成物に含有される感放射線性酸発生剤は、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線等の放射線による露光により酸を発生する物質である。
前記感放射線性酸発生剤としては、例えば、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム2−(3−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル)−1,1−ジフルオロエタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムN,N−ビス(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニル)イミデート、トリフェニルスルホニウムカンファースルホネート、
トリ(4−t−ブチルフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリ(4−t−ブチルフェニル)スルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、トリ(4−t−ブチルフェニル)スルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、トリ(4−t−ブチルフェニル)スルホニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、トリ(4−t−ブチルフェニル)スルホニウム2−(3−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル)−1,1−ジフルオロエタンスルホネート、トリ(4−t−ブチルフェニル)スルホニウムN,N−ビス(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニル)イミデート、トリ(4−t−ブチルフェニル)スルホニウムカンファースルホネート、
この感放射線性酸発生剤の配合量は、レジストとしての感度及び現像性を確保する観点から、樹脂(A)100質量部に対して、通常0.1〜20質量部、好ましくは0.1〜7質量部である。この感放射線性酸発生剤の配合量が0.1質量部未満の場合、感度及び現像性が低下する傾向がある。一方、10質量部を超える場合、放射線に対する透明性が低下して、矩形のレジストパターンを得られ難くなる傾向がある。
また、本発明の感放射線性樹脂組成物には、露光により感放射線性酸発生剤から生じる酸のレジスト被膜中における拡散現象を制御し、非露光領域における好ましくない化学反応を抑制する作用を有する酸拡散制御剤を配合することが好ましい。この酸拡散制御剤を配合することで、感放射線性樹脂組成物の貯蔵安定性やレジストとしての解像度が更に向上するとともに、露光から現像処理までの引き置き時間(PED)の変動によるレジストパターンの線幅変化を抑えることができ、プロセス安定性に極めて優れた組成物が得られる。
前記酸拡散制御剤としては、レジストパターンの形成工程中の露光や加熱処理により塩基性が変化しない含窒素有機化合物を用いることが好ましい。このような含窒素有機化合物としては、3級アミン化合物、アミド基含有化合物、4級アンモニウムヒドロキシド化合物、含窒素複素環化合物等が挙げられる。これらのなかでも、3級アミン化合物、アミド基含有化合物、含窒素複素環化合物等が好ましい。
この酸拡散制御剤の配合量は、樹脂(A)100質量部に対して、通常、5質量部以下、好ましくは3質量部以下、更に好ましくは2質量部以下である。この酸拡散制御剤の配合量が5質量部を超える場合、レジストとしての感度や露光部の現像性が低下する傾向がある。尚、酸拡散制御剤の配合量が0.01質量部未満である場合には、プロセス条件によっては、レジストとしてのパターン形状や寸法忠実度が低下するおそれがある。
また、本発明の感放射線性樹脂組成物には、塗布性、現像性等を改良する作用を示す界面活性剤を配合できる。
前記界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンn−オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンn−ノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート等のノニオン系界面活性剤のほか、以下商品名で、KP341(信越化学工業(株)製)、ポリフローNo.75、同No.95(共栄社化学(株)製)、エフトップEF301、同EF303、同EF352(トーケムプロダクツ(株)製)、メガファックスF171、同F173(大日本インキ化学工業(株)製)、フロラードFC430、同FC431(住友スリーエム(株)製)、アサヒガードAG710、サーフロンS−382、同SC−101、同SC−102、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC−106(旭硝子(株)製)等が挙げられる。これらの界面活性剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
この界面活性剤の配合量は、樹脂(A)100質量部に対して、通常、2質量部以下である。
また、本発明の感放射線性樹脂組成物には、感度等を改良する作用を示す増感剤を配合できる。
前記増感剤としては、例えば、カルバゾール類、ベンゾフェノン類、ローズベンガル類、アントラセン類、フェノール類等が挙げられる。これらの増感剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
この増感剤の配合量は、樹脂(A)100質量部に対して、50質量部以下であることが好ましい。
また、本発明の感放射線性樹脂組成物には、ドライエッチング耐性、パターン形状、基板との接着性等を更に改善する作用を示す他の添加剤を配合できる。
前記他の添加剤としては、例えば、1−アダマンタンカルボン酸t−ブチル、1−アダマンタンカルボン酸t−ブトキシカルボニルメチル、1−アダマンタンカルボン酸α−ブチロラクトンエステル、1,3−アダマンタンジカルボン酸ジ−t−ブチル、1−アダマンタン酢酸t−ブチル、1−アダマンタン酢酸t−ブトキシカルボニルメチル、1,3−アダマンタンジ酢酸ジ−t−ブチル、2,5−ジメチル−2,5−ジ(アダマンチルカルボニルオキシ)ヘキサン等のアダマンタン誘導体類;デオキシコール酸t−ブチル、デオキシコール酸t−ブトキシカルボニルメチル、デオキシコール酸2−エトキシエチル、デオキシコール酸2−シクロヘキシルオキシエチル、デオキシコール酸3−オキソシクロヘキシル、デオキシコール酸テトラヒドロピラニル、デオキシコール酸メバロノラクトンエステル等のデオキシコール酸エステル類;リトコール酸t−ブチル、リトコール酸t−ブトキシカルボニルメチル、リトコール酸2−エトキシエチル、リトコール酸2−シクロヘキシルオキシエチル、リトコール酸3−オキソシクロヘキシル、リトコール酸テトラヒドロピラニル、リトコール酸メバロノラクトンエステル等のリトコール酸エステル類:アジピン酸ジメチル、アジピン酸ジエチル、アジピン酸時プロピル、アジピン酸ジn−ブチル、アジピン酸ジt−ブチル等のアルキルカルボン酸エステル類等が挙げられる。これらの他の添加剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
この他の添加剤の配合量は、樹脂(A)100質量部に対して、通常、50質量部以下、好ましくは30質量部以下である。この添加剤の配合量が50質量部を超える場合、レジストとしての耐熱性が低下する傾向がある。
(1)重合体の合成
<重合体(A−1)の合成>
メタクリル酸−5−オキソ−4−オキサ−トリシクロ[4.2.1.03,7]ノナ−2−イルエステル(M1)53.93g(50モル%)、メタクリル酸1−エチル−1−シクロペンチルエステル(M2)35.38g(40モル%)、メタクリル酸−トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−イルエステル(M3)10.69g(10モル%)を2−ブタノン200gに溶解し、更にジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)5.58gを投入した単量体溶液を準備し、100gの2−ブタノンを投入した500mlの三口フラスコを30分窒素パージした。窒素パージの後、反応釜を攪拌しながら80℃に加熱し、事前に準備した上記単量体溶液を滴下漏斗を用いて3時間かけて滴下した。滴下開始を重合開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合終了後、重合溶液は水冷することにより30℃以下に冷却し、2000gのメタノールへ投入し、析出した白色粉末をろ別した。ろ別された白色粉末を2度400gのメタノールにてスラリー上で洗浄した後、ろ別し、50℃にて17時間乾燥し、白色粉末の重合体を得た(74g、収率74%)。この重合体はMwが6900、Mw/Mn=1.70、13C−NMR分析の結果、M1、M2及びM3に由来する各繰り返し単位の含有率が53.0:37.2:9.8(モル%)の共重合体であった。この重合体を「重合体(A−1)」とする。
前記単量体(M2)32.15g(70モル%)及び2−(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロピル)メタクリル酸エステル(M4)17.85g(30モル%)を、2−ブタノン70gに溶解し、更にジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)4.64gを投入した単量体溶液を準備し、30gの2−ブタノンを投入した500mLの三口フラスコを30分窒素パージした。窒素パージの後、反応釜を攪拌しながら80℃に加熱し、事前に準備した前記単量体溶液を滴下漏斗を用いて3時間かけて滴下した。滴下開始を重合開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合終了後、重合溶液は水冷することにより30℃以下に冷却し、その重合溶液を2L分液漏斗に移液した。次いで、150gのn−ヘキサンでその重合溶液を希釈し、600gのメタノールを投入して混合した後、30gの蒸留水を投入して更に攪拌し、30分静置した。その後、下層を回収し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液とした。その樹脂溶液の固形分(重合体)の物性値は以下のとおりであり、収率は50%であった。この重合体はMw=4300、Mw/Mn=1.3、13C−NMR分析の結果、M2及びM4に由来する各繰り返し単位の含有率が70.6:29.4(モル%)の共重合体であった。このフッ素含有重合体を「重合体(A−2)」とする。
<Mw及びMn>
東ソー(株)製GPCカラム(G2000HXL2本、G3000HXL1本、G4000HXL1本)を用い、流量1.0ミリリットル/分、溶出溶媒テトラヒドロフラン、カラム温度40℃の分析条件で、単分散ポリスチレンを標準とするゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定した。また、分散度Mw/Mnは測定結果より算出した。
<13C-NMR分析>
各重合体の13C−NMR分析は、日本電子(株)製「JNM−EX270」を用い、測定した。
表1に示す量比で、前述のように合成した各重合体から構成される樹脂を、レジスト溶剤に溶解させることにより、レジスト溶剤溶液No.1〜No.3を調製した。尚、各レジスト溶剤溶液においては、樹脂濃度が2%及び8%のものを調製した。
<(B)レジスト溶剤>
B−1:プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート
B−2:シクロヘキサノン
B−3:乳酸エチル
B−4:γ−ブチルラクトン
レジスト溶剤溶液No.1〜No.3を調製後、充分にローター攪拌を行い、均一溶液とした。その後、孔径0.2μmのメンブランフィルター(有機溶媒用)で濾過し、メタノール還流洗浄器にて2時間以上洗浄を行った直径20mmの石英ガラスセルに注入した。溶液粘度は温度に依存するため、23.00±0.02℃で精密に制御して動的光散乱測定を行った。その結果を、表1に併記する。尚、各散乱角度における拡散係数の平均値を、拡散係数Dとした。
表2に示す量比で、樹脂、酸発生剤及び酸拡散制御剤を、レジスト溶剤に溶解させ、均一溶液を調製した。その後、孔径0.2μmのメンブランフィルターを用いてろ過することにより、実験例1〜3の各感放射線性樹脂組成物を調製した(固形分濃度;約7%)。尚、実験例1〜3の各感放射線性樹脂組成物に用いた樹脂及びレジスト溶剤の種類は、前述のレジスト溶剤溶液No.1〜3に用いた樹脂及びレジスト溶剤に、それぞれ、対応している。
<(C)酸発生剤>
C−1:トリフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート
C−2:1−(4−n−ブトキシナフチル)テトラヒドロチオフェニウムパーフルオロ−n−ブタンスルホネート
<(D)酸拡散制御剤>
D−1:N−t−ブトキシカルボニル−4−ヒドロキシピペリジン
実験例1〜3の各感放射線性樹脂組成物10mLを、それぞれ、温度35℃の条件にて、2週間保管した。そして、2週間経過後、各組成物に発生した寸法0.15μm以上の異物の数(液中異物数)を、リオン(株)製、「PARTICLE SENSOR KS−41」により測定した。その結果を表2に併記する。
尚、この条件により測定される異物数は、500個以下であることが好ましく、より好ましくは400個以下、更に好ましくは300個以下である。この異物数が、500個以下であれば、通常の保管条件(温度25℃)において、十分な貯蔵安定性を有しており、この異物に寄与する現像欠陥を十分に抑制することができる。
表1及び表2によれば、フッ素含有重合体を含む樹脂及びレジスト溶剤からなるレジスト溶剤溶液の一定濃度領域における拡散係数差(ΔD)により、同様の樹脂及びレジスト溶剤等を含む感放射線性樹脂組成物における液中異物発生度合を予測することができることが分かる。即ち、前記拡散係数差(ΔD)により、樹脂原料段階で液中異物発生度合を予測することができることが分かる。特に、樹脂濃度が2%時の拡散係数(Da)と、8%時の拡散係数(Db)との差[ΔD(Db−Da)]が、−2.0×10−7cm2・s−1以上であれば、液中異物の発生が抑制され、貯蔵安定性に優れる感放射線性樹脂組成物を得ることができる。
Claims (2)
- フッ素含有重合体を含む樹脂のレジスト溶剤溶液の動的光散乱を測定し、該レジスト溶剤溶液の一定濃度領域における動的光散乱測定による拡散係数の差により、前記樹脂を感放射線性樹脂組成物材料として用いた場合における液中異物発生度合を評価することを特徴とするレジスト溶剤溶液の評価方法。
- フッ素含有重合体を含む樹脂と、レジスト溶剤と、感放射線性酸発生剤と、を含有する感放射線性樹脂組成物であって、
前記樹脂はポリアクリル酸エステルベースの樹脂であり、
前記フッ素含有重合体は、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有しており、
前記一般式(1)で表される繰り返し単位の含有率は、前記フッ素含有重合体に含まれる全ての繰り返し単位の合計を100モル%とした場合に、5モル%以上であり、
前記フッ素含有重合体の含有割合は、前記樹脂全体を100質量%とした場合に、0.1〜40質量%であり、
前記レジスト溶剤は、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エチル、及びγ−ブチロラクトンからなる群のうちの少なくとも1種であり、
前記樹脂の濃度が2質量%であるレジスト溶剤溶液の動的光散乱測定による拡散係数(Da)と、前記樹脂の濃度が8質量%であるレジスト溶剤溶液の動的光散乱測定による拡散係数(Db)との拡散係数差[ΔD(Db−Da)]が、−2.0×10−7cm2・s−1以上であることを特徴とする感放射線性樹脂組成物。
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