JP5310310B2 - 超精密形状測定方法 - Google Patents

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Description

本発明は、超精密形状測定方法に係わり、更に詳しくは被測定物表面における有限数の離散した計測点の座標と法線ベクトルの実測値を用いて被測定物表面の全体形状を超精密に測定する超精密形状測定方法に関するものである。
X線自由電子レーザーや波長13.5nmの極紫外光を用いたリソグラフィー技術から要請される次世代高精度光学素子の製作には、非球面で形状誤差を1〜0.1nmRMSの精度で自由曲面の形状を計測することが不可欠である。このようなX線光学素子、代表的にはX線用反射ミラーは、10〜100cmのサイズを有し、この反射面全体にわたって前述の形状誤差を達成しなければならない。空間波長1mm以下の表面粗さの計測手段として、原子レベルの分解能をもつプローブ顕微鏡があり、現状でも要求精度を満たしているが、一度に計測できる範囲は約50μm四方と非常に狭く、また計測時間も長いので、被測定物全体の形状を計測するには全く不向きである。一方、空間波長1mm以上の形状計測技術は、被測定物に1mmφ程度の細いレーザービームを照射して、得られる反射光のズレを測定して被測定物表面の傾斜角を求める、LTP(Long Trace Profiler)がある。これは、5×10-7radRMSの測定精度(3nmRMS)が得られるが、測定範囲は±5mradに限られて2次元形状測定である。また、点光源干渉法によって、0.3nmRMSの測定精度が得られているが、点光源からの球面波を参照するため、原理上非球面の形状計測が困難である。
このような従来の課題を解消する方法として、特許文献1に記載されるような超精密形状測定方法が提案されている。この形状計測法の原理は、レーザーの直進性を活用し、光源から出射されたレーザービームが被測定物表面に反射されて、光源の位置にある検出器の中心に戻るように、即ち入射ビームと反射ビームが完全に重なるように2軸2組のゴニオメータを制御して、被測定物表面の任意計測点(座標)の法線ベクトルを計測することから形状を求めるものである(図1参照)。ここで、計測点の座標とは、最初の計測点への光線ベクトルに直交する面上の座標である。そして、計測点座標と法線ベクトルの計測値から、各計測点の表面スロープとその1階積分により各計測点の高さを求めることによって形状を算出していた(図2参照)。この従来の形状導出法を傾斜角積分法と呼んでいる。
図2中において、fiは点iで計測した法線ベクトルから算出した表面スロープ、dは計測点の間隔、hiは各計測点間の高さを表している。従来の傾斜角積分法では、図2に示すように、(i+1)点での高さhi+1を算出するのにi点での計算結果を用いるため、計測点の増加とともに誤差が蓄積し、計測値から形状を算出する過程で不必要な誤差が加わる。測定精度を高めようと、計測点の数を増やしても誤差が加算的に蓄積されるため、原理的に精度向上には限界がある。また、計測点は規則的な周期の格子点であるか、計測座標間を何らかの関数でスムーズに接続する必要があるといった問題点がある。また、計算を開始する計測点の位置によって得られる結果が異なるといった原理的に避けられない問題点も存在する。このように、これまでは、計測点の座標と法線ベクトルから形状を、誤差最小で再現するアルゴリズムが開発されていなかった。
一方、特許文献2には、測定対象の円形状輪郭を測定する円形状輪郭測定手段と、この測定手段によって測定基準半径からの偏差として得られた測定データと、設計基準半径からの偏差で与えられた設計データとに基づいて、測定輪郭形状と設計輪郭形状との間の定量的な輪郭照合評価のための処理を実行する演算処理手段とを備え、前記演算処理手段は、前記測定データから当該測定データの近似曲線を算出し、前記設計データに対して前記算出した測定データの近似曲線との間の平行移動量、回転移動量及び設計基準半径方向の誤差に基づくベストフィットパラメータを算出するベストフィット処理手段と、このベストフィット処理手段で算出されたベストフィットパラメータに基づいて設計データに対する測定データの輪郭照合処理を実行する輪郭照合処理手段とを備えた円形状輪郭測定システムが記載され、そして前記ベストフィット処理手段として、前記測定データから最小二乗法により当該測定データのフーリエ級数曲線を近似曲線として算出する点が開示されている。
このように離散した測定データを用いて、最小二乗法により当該測定データのフーリエ級数曲線を近似曲線として算出する方法は公知である。理論的には、計測点の数が多いほど、計算時間は増加するが精度の高い近似曲線が得られることが知られている。しかし、問題は要求される測定形状精度を現実的な計測時間で如何に達成するかということである。本発明で用いる被測定物表面の計測点の座標と法線ベクトルを計測してその形状を算出する測定方法は、参照面を必要としない絶対測定が可能である反面、各計測点の座標と法線ベクトルを得るには時間がかかる難点を有し、計測点の数が多くなれば計測時間が非常に長時間になる。そして、その計測中に計測環境を一定に保つ必要があるので、難しい作業になる。
特許第3598983号公報 特許第3098213号公報
高精度光学素子の製作に必要な自由曲面を形状精度0.1nmRMSで測定できる形状測定方法を確立することは急務である。その場合、被測定物表面の形状を、計算誤差が所定の形状精度以下に保証された状態で、現実的な計測時間で高精度に形状測定できる必要がある。
そこで、本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、被測定物表面における有限数の離散した計測点の座標と法線ベクトルの実測値を用いて、フーリエ級数展開によって表された近似曲面が、各計測点での誤差が最小になるように次数と係数を最適化する新規な形状導出アルゴリズムによって被測定物表面の全体形状を超精密に測定する、超精密形状測定方法を提供する点にある。
本発明は、前述の課題解決のために、被測定物表面上の複数の計測点における二次元座標と法線ベクトルを計測することによって被測定物表面の形状を測定する超精密形状測定方法であって、被測定物表面の導出形状をフーリエ級数展開で表したフーリエ級数形式形状関数とその微分形のスロープ関数と、被測定物表面の理想形状関数を用いて算出した理想データを用い、最小二乗法により形状残差とスロープ残差が最小になる条件でフーリエ係数を決定し、形状残差とスロープ残差が共に要求精度よりも小さくなるまで次数nを増やして繰り返し計算することにより次数nを決定する次数決定工程と、被測定物表面の少なくともnm-1(但し、mは形状の次元数である)点の離散した計測点の二次元座標と法線ベクトルを取得する実計測工程と、次数nで表した前記スロープ関数と、実計測工程で得た計測座標データと計測法線ベクトルから算出した計測スロープデータを用い、最小二乗法によりスロープ残差が最小になる条件でフーリエ係数を決定する係数算出工程と、を含む超精密形状測定方法を構成した(請求項1)。
ここで、前記被測定物表面の導出形状のフーリエ級数形式形状関数が、フーリエ級数展開の基底関数を複素数表現による指数関数とし、少なくとも一次の交差項(クロスターム)が含まれる表現形式で表されていることがより好ましい(請求項2)。
更に、前記係数算出工程で得たフーリエ係数を前記フーリエ級数形式形状関数に適用し、被測定物表面の導出形状を三次元表示する工程を含むことがより好ましい(請求項3)。
また、前記係数算出工程で得たフーリエ係数を前記フーリエ級数形式形状関数に適用し、被測定物表面の導出形状を任意の切断面で二次元表示する工程を含むことも好ましい(請求項4)。
また、前記係数算出工程で得たフーリエ係数を前記フーリエ級数形式形状関数に適用し、被測定物表面の導出形状を空間波長に対するパワースペクトルデンシティで表示する工程を含むことがより好ましい(請求項5)。
以上にしてなる本発明の超精密形状測定方法は、法線ベクトルを用いて誤差が最小になるように直接近似曲線を導出するフーリエ級数展開最小二乗法による形状導出法であり、以下のような効果を奏する。
(1)測定形状を完全系であるフーリエ級数を基底関数として近似するため、あらゆる自由曲面の形状を一意に再現することができる。
(2)計測した法線ベクトル、即ちスロープの残差が最小になるように最小二乗法によって形状をフィッティングするため、積分を含まず、原理的に計算誤差が蓄積しない。計測点が格子点上に乗る必要がなく、法線ベクトルとその計測座標から形状を導出する方法としては最適である。
(3)形状を空間波長によって表現することが一般に行なわれているが、本発明ではフーリエ級数展開で形状を再現するため、形状導出結果そのものが空間波長によって分解されて表現される。したがって、パワースペクトルデンシティで表示することが極めて容易である。また、測定対象の形状の空間波長に合わせた測定が可能である。
(4)周期関数で展開するため、周期境界条件に伴うギプス現象が欠点としてあるが、対処法は一般的に数多く提案されている。
本発明は、計算誤差を所定の精度内に抑えることが可能な最小の次数を見出し、計測点の数を二次元形状の場合(m=2)はn点以上、三次元形状の場合(m=3)はn×n点以上とすることによって、計算誤差が所定の精度内に保証された状態で、被測定物の表面形状を精度良くフーリエ級数形式形状関数として表すことができる。ここで、前記被測定物表面の導出形状のフーリエ級数形式形状関数が、フーリエ級数展開の基底関数を複素数表現による指数関数とし、少なくとも一次の交差項が含まれる表現形式で表されていると、見通しのよいアルゴリズムとすることができるとともに、任意形状を高精度に再現することができる。また、被測定物表面が座標x,yの独立形式で表した理想形状関数からずれている場合にも、実測した表面をフーリエ級数形式形状関数で精度よく再現することができる。
フーリエ係数を算出した段階で形状計測は終了するが、それを数値的、二次元的、三次元的に表示するために、算出したフーリエ係数を用いたフーリエ級数形式形状関数から所望座標(XY座標)の点における高さ(Z座標)を算出した結果を数値として、二次元形状、三次元形状として表示するのである。尚、三次元形状の計測を行っている場合には、それを任意の断面形状として二次元表示することは容易である。さらに、空間波長をパラメータとしたパワースペクトルデンシティで表示することが極めて容易である。
被測定物表面の座標と法線ベクトルを計測する方法の原理図である。 座標と法線ベクトルを用いた従来の傾斜角積分法による形状導出方法の概念図である。 座標と法線ベクトルを用いた本発明のフーリエ級数展開最小二乗法による形状導出方法の概念図である。 本発明による形状導出法のフローチャートである。 R=2000mm球面ミラーのライン形状における計算誤差を示し、(a)は全範囲の計算誤差、(b)は端部を除いた範囲の計算誤差を拡大して示したグラフである。 R=2000mm球面ミラーの二次元導出形状を示し、(a)は実測データを用いた本発明のフーリエ級数展開による導出形状と理想形状、更に従来の傾斜角積分法(端開始と中心開始)による導出形状を併せて表示したグラフ、(b)は理想形状に対するフーリエ級数展開による導出形状と従来の傾斜角積分法(端開始と中心開始)による導出形状の形状誤差を示したグラフである。 R=2000mm球面ミラーの三次元導出形状を示し、(a)は実測データを用いた本発明のフーリエ級数展開による導出形状を示すグラフ、(b)は理想形状からのずれを示すグラフである。 R=2000mm球面ミラーの三次元導出形状を、交差項を入れて計算した結果を示し、(a)は本発明のフーリエ級数展開による三次元導出形状を示すグラフ、(b)は理想形状からのずれを示すグラフである。 R=2000mm球面ミラーの三次元導出形状を計算した結果を示し、(a)は交差項を入れた場合の理想形状からのずれを示すグラフ、(b)は交差項を入れない場合の理想形状からのずれを示すグラフである。
本発明では、フーリエ級数で測定面形状を近似し、最小二乗法によって、その点でのスロープ残差を最小にするフーリエ級数展開係数を求めて測定面形状を一意的に決定するのである。ここで、計測点での面のスロープ(傾き)は、法線ベクトルから算出することができる。実測データを用いてフーリエ級数形式形状関数を特定する前に、本発明では理想形状関数を用いて、形状残差とスロープ残差を共に所定の精度以下になるようなフーリエ級数展開の次数nを見出すことが特徴である。ここで、ある点の傾きは理想形状関数の一階微分から容易に算出することが可能である。
通常、被測定物の表面形状は、球面、円筒面、放物面、楕円体面は勿論、非球面、さらには解析関数で表現できない自由曲面でも光学系の設計において正確に関数で表され、その理想形状関数に近づけるように超精密に加工されるのである。従って、本発明において理想形状関数から導かれる理想データを用いて形状残差とスロープ残差を共に所定の精度以下になるように次数nを決定することは、何ら実用的価値を損なうものではない。そして、フーリエ級数展開の次数nが決まると、二次元形状の場合には少なくともn個の計測点、三次元形状の場合には少なくともn×n個の計測点で、座標と法線ベクトルを計測するのである。こうすることによって、計算誤差が保証された状態で、実測データを用いてフーリエ級数形式形状関数を求めることが可能となる。
一般には、フーリエ級数展開を用いて最小二乗法によって任意曲面を近似する場合、座標(形状)の残差を最小にするが、本発明では、提案した法線ベクトル形状計測法に合わせて、形状残差とともに、スロープの残差を最小にすることが特徴である。
次に、添付図面に示した実施形態に基づき、本発明を更に詳細に説明する。図1は、本発明の測定方法における法線ベクトルを計測する原理を示し、光の直進性を利用して被測定物1の表面上における各点の法線ベクトルを測定するのである。具体的には、2軸2組のゴニオメータと、その回転中心間の距離を変える1軸の直進運動(Z軸)とで構成されている。1組のゴニオメータは試料系2を構成し、その可動部に被測定物1を保持し、もう1組のゴニオメータは計測系3を構成し、その可動部に光源と検出器Dを設けている。光源と検出器Dの動きは一体化している。具体的な測定装置の構造は特許文献1に示されている。
本実施形態における被測定物の表面形状の測定方法は次の通りである。計測中、試料系の2軸ゴニオメータの回転中心は不動であり、Rzは一定の値をとる。更に、計測中、被測定物表面から検出器Dまでの光路長Lが一定になるように、1軸の直進運動を用いて調整する必要がある。先ず、2軸2組(θ,φ)、(α,β)の回転運動により、計測基準点P0の法線ベクトルを計測する。それには、被測定物表面上の計測基準点P0への入射光とその点での反射光とが重なるように調整する。そのとき、その点の法線ベクトルは光線の方向と等しくなる。最初の計測基準点P0を原点(0,0,0)とし、法線ベクトルと一致した光線の方向と、光源の位置調整用座標系であるZ軸を一致させ、更に、その軸上に試料系の回転中心を設定する。そのときの計測系の位置座標をT0(0,0,Z0)、測定系のX軸周りとY軸周り、及び試料系のX軸周りとY軸周りの角度を(θ,φ)=(0,0)、(α,β)=(0,0)とする。試料系の回転中心の座標はS0(0,0,Rz)である。そして、光路長Lと、計測基準点P0と回転中心のずれRzを別の測定機を用いて測定する。
次の計測点P1(x,y)の法線ベクトルを求めるために、2軸(θ,φ)の回転運動でP1近傍に入射光が来るように調整する。それから、2軸(α,β)の回転運動によって、入射光と反射光を一致させ、4分割フォトダイオード(検出器D)を用いた零位法により法線ベクトルを計測する。ここで、第1計測点P1(x,y)の法線ベクトルを計測した際の、計測系の位置座標をT1(X1,Y1,Z1)=(0,0,Z0+zo1)、計測系のX軸周りとY軸周り、および試料系のX軸周りとY軸周りの角度を(θ,φ)=(θ1,φ1)、(α,β)=(α1,β1)とする。このときの変位量・変角量(zo1,θ1,φ1,α1,β1)を法線ベクトル計測値とする。計測点における法線ベクトルは計測系と試料系の変角量より求まり、更にこの法線ベクトルから被測定物表面の傾きが求まる。また、法線ベクトル計測点の座標は、計測系の変位量・変角量、試料系の変角量、光路長L及び回転中心変位Rzから求まる。
つまり、不変の値LとRz、法線ベクトルの計測値(θ,φ,α,β,zo)を用いて以下の数1により被測定物表面上の計測点A(XA,YA)と、数2により法線ベクトル(nx,ny)の導出が可能である。
Figure 0005310310
Figure 0005310310
図3には、本発明による形状計測の概念を示し、各計測点の法線ベクトルから算出したスロープを用い、スロープ誤差が最小になるように直接近似関数を導出するのである。図3では、XZ平面での二次元曲線を表している。
次に、被測定物表面の理想形状関数が数3で表される三次元曲面を本発明の形状測定方法により、被測定物表面の導出形状をフーリエ級数形式形状関数で近似する場合を説明する。図4に本発明による形状導出法のフローチャートを示している。
Figure 0005310310
数3の関数をフーリエ級数展開によって次の数4のように表すことができる。ここでは、変数x,yが独立であり、理想形状関数にxyのような交差項を含まない三次元曲面を想定しているので、被測定物表面の導出形状のフーリエ級数形式形状関数を三角関数の一次多項式で表現する。
Figure 0005310310
ここで、an,bn,cn,dnはフーリエ係数であり、Aは定数、nはフーリエ級数の次数である。また、xiとyiは計測点の座標であり、波数kは測定範囲Range(周期境界条件)を用いて次の数5で表される。
Figure 0005310310
一方、数3の理想形状関数を用いた次の数6から理想データが得られる。
Figure 0005310310
そして、次数nを適当に与え、数4と数6を用いて次の数7が最小となるようにフーリエ係数を求める。このフーリエ係数を求めるには、一般的な最小二乗法による計算アルゴリズムを用いる。
Figure 0005310310
また、本発明では、実際に計測するのは法線ベクトルであり、それから得られたスロープを用いて形状を決定するので、数4と数6の微分形を考える必要がある。数6の微分形を数8に、数4の微分形を数9にそれぞれ示す。
Figure 0005310310
Figure 0005310310
そして、次数nを適当に与え、数8と数9を用いて次の数10が最小となるようにフーリエ係数を求める。このフーリエ係数を求めるには、一般的な最小二乗法による計算アルゴリズムを用いる。
Figure 0005310310
そして、このようにして求めたフーリエ係数を数4と数9に用いて理想形状の近似関数を得る。数11のスロープ残差ε1と数12の形状残差ε2が所定の精度、たとえば1nm、1×10-7rad以下になるまで、次数nを増加させて繰り返し計算する。
Figure 0005310310
Figure 0005310310
本実施形態では、計算によるスロープ残差が1×10-7radより小さくなり、且つ形状残差が1nmよりも小さくなる条件で次数nを決定している。このように、本発明では、理想データのみを用いて計算誤差を評価し、計算誤差が所定の範囲内に収まるように次数nを決定しているのである。それにより、精度の高い計測データが得られれば、被測定物表面の導出形状を高い精度でフーリエ級数形式形状関数により近似することができるということになる。以上が次数決定工程である。
前述の計算によってフーリエ級数の次数nが決定されたので、次に被測定物の実計測工程に移る。計測点の数は、三次元形状の場合には少なくともn×n個とする。尚、二次元形状の計測の場合には計測点の数は少なくともn個となる。一般的に、少なくともnm-1(但し、mは形状の次元数である)点の離散した計測点の二次元座標(x,y)と法線ベクトル(nx,ny)を取得する。座標と法線ベクトルの計測方法は前述に示したが、それ以外の方法によって計測しても良い。
実測した法線ベクトルを用いて各計測点でのX方向の傾きとY方向の傾きは、次の数13で表される。
Figure 0005310310
そして、数9と数13を用いて数10が最小になるように、最小二乗法によってフーリエ係数を求める。このフーリエ係数を求める計算アルゴリズムは前記同様である。このようにして求めたフーリエ係数を数4に代入することにより、被測定物表面の導出形状をフーリエ級数形式形状関数として表すことができる。これが係数算出工程である。
そして、求めたフーリエ級数形式形状関数を用いて、被測定物表面の形状を三次元表示し、あるいは所定の断面で二次元表示する。勿論、フーリエ係数を数値データとして出力するパワースペクトルデンシティ表示しても良い。
また、三次元形状でも特定の断面形状を計測することも可能であり、その場合には最初から二次元形状の計算と計測を前記同様に行うことにより、短時間で測定を行うことができる。
R=2000mm球面ミラーの形状を測定する。ここでは、ライン形状の測定を行うので、最初から二次元形状として扱うことにする。この球面ミラーの理想形状は数14で表される。
Figure 0005310310
計算によるスロープ残差が1×10-7radより小さく、且つ形状残差が1nmよりも小さくなる条件で、次数nは50となった。サンプル測定点の数を100個、測定範囲をミラー中心を含む5mmとしてフーリエ級数形式形状関数を求め、それと理想形状との差を計算誤差として図5に示す。図5(a)は全範囲の計算誤差、図5(b)はギブス現象により大きな誤差が現れる端部を除いた範囲の計算誤差を拡大して示したグラフである。この結果より、サンプル範囲の端部以外での計算誤差は±0.5nm以下に抑えられていることが確認できた。
そして、前述の球面ミラーの二次元形状を実測した。計測範囲は5mm、次数nは200、計測点の数は400個とした。その結果を図6に示す。図6(a)は、実測データを用いた本発明のフーリエ級数展開による導出形状と理想形状、更に従来の傾斜角積分法(端開始と中心開始)による導出形状を併せて表示したものである。尚、図6(a)において、本発明の導出形状の曲線は、実際には理想形状曲線からのずれが小さく区別するのが困難なため、少しずれを誇張して記載しているが、測定範囲の全領域で本発明の導出形状は、理想形状からのずれが従来手法より平均的に小さいことを示している。図6(b)は、理想形状に対するフーリエ級数展開による導出形状と従来の傾斜角積分法(端開始と中心開始)による導出形状の形状誤差を示している。このグラフから、本発明のフーリエ級数展開最小二乗法の導入により、形状導出時の誤差の改善が示された。
図7は、前述の球面ミラーの三次元形状を測定した結果である。計測範囲は50mm×50mm、次数nは50、測定点の数は51×51個である。図7(a)は実測データを用いた本発明のフーリエ級数展開による三次元導出形状を示し、図7(b)は理想形状からのずれを示している。測定対象の球面ミラーは、中心から25mm離れた位置で理想形状から約50nmずれていることが分かる。このように、本発明のフーリエ級数展開最小二乗法の形状導出法で原理的に三次元形状が正確に測定可能であることが示された。
以上の実施形態では、理想形状関数としてxとyが独立なものを想定していたため、フーリエ級数形式形状関数として、比較的少ない次数の三角関数の一次多項式を用いて表現しても、精度の高い計測が可能であった。しかし、次の数15で表されるような一般的な三次元形状は、xとyが独立であるとは限らないので、x,yの交差項も含まれるような形式でフーリエ級数形式形状関数を表現する必要がある。しかし、交差項が含まれる理想形状関数を、三角関数を用いてフーリエ級数展開すると、式の展開が複雑になって扱いが煩雑になる。
Figure 0005310310
そこで、第2実施形態では、フーリエ級数展開の基底関数を複素数表現による指数関数として、x,yの交差項が含まれる表現形式を用いる。本実施形態では、xyのような最低次数の交差項を入れてフーリエ級数形式形状関数を表現するが、xy2やx2y等のより高次の交差項を入れて表現することも可能である。数学的に、より高次の交差項を入れることにより、より正確になることは周知である。また、実施例1では計算精度が倍精度であったが、本実施形態では計算精度を4倍精度で行うようにした。次の数16に一般的な三次元形状を複素数表現による指数関数で交差項を入れて表現したフーリエ級数形式形状関数を示している。
Figure 0005310310
ここで、anmはフーリエ係数、eは自然対数の底、n,mはフーリエ級数の次数であり、kは波数で数5に示されている。数16において第3項が交差項である。また、実数条件により、フーリエ係数に次の数17が要求される。
Figure 0005310310
そして、前述の数9に代わるxとyの微分形(x方向の傾きとy方向の傾き)は、次の数18になる。
Figure 0005310310
ここで、実数条件により、フーリエ係数に次の数19が要求される。
Figure 0005310310
そして、実測した法線ベクトルから求めた傾きを一般的に数20で表す。
Figure 0005310310
数18と数20を用いて次のスロープ残差εが最小になるように最小二乗法を適用する。
Figure 0005310310
第2実施形態においても、先ず理想形状関数を用いて、形状残差とスロープ残差を共に所定の精度以下になるようなフーリエ級数展開の次数n,mを決定し、それから実測した法線ベクトルから求めた各点での傾きを用いてスロープ残差が最小になるようにフーリエ級数展開の係数を決定し、実測した三次元曲面を表すフーリエ級数形式形状関数を求めることは前記同様である。
R=2000mm球面ミラーの形状の理想座標と理想スロープを用いて、数16のフーリエ級数形式形状関数に適用して形状導出を試みた。計算は4倍精度実数と次数n=7で行った。計算範囲は±25mmであり、その結果を図8に示す。図8(a)は実測データを用いた本発明のフーリエ級数展開による三次元導出形状を示し、図8(b)は理想形状からのずれを示している。この結果、計算誤差が±0.5nmで形状導出が可能であることが分かる。
また、交差項を入れた場合と、入れない場合とで、計算誤差にどれくらいの差が出るかを示すために、4倍精度実数と次数n=5で計算を行った結果を図9に示す。計算範囲は±50mmである。図9(a)は、交差項を入れた場合の理想形状からのずれを示し、図9(b)は交差項を入れない場合の理想形状からのずれを示している。この結果から、交差項を入れた場合の計算誤差は±5nm程度であるが、交差項を入れない場合の計算誤差は±50nm程度に増大する。勿論、次数を大きくすれば計算誤差は共に小さくなるが、交差項を入れた場合には計算誤差を大幅に改善することができる。
1 被測定物
2 試料系
3 計測系

Claims (5)

  1. 被測定物表面上の複数の計測点における二次元座標と法線ベクトルを計測することによって被測定物表面の形状を測定する超精密形状測定方法であって、
    被測定物表面の導出形状をフーリエ級数展開で表したフーリエ級数形式形状関数とその微分形のスロープ関数と、被測定物表面の理想形状関数を用いて算出した理想データを用い、最小二乗法により形状残差とスロープ残差が最小になる条件でフーリエ係数を決定し、形状残差とスロープ残差が共に要求精度よりも小さくなるまで次数nを増やして繰り返し計算することにより次数nを決定する次数決定工程と、
    被測定物表面の少なくともnm-1(但し、mは形状の次元数である)点の離散した計測点の二次元座標と法線ベクトルを取得する実計測工程と、
    次数nで表した前記スロープ関数と、実計測工程で得た計測座標データと計測法線ベクトルから算出した計測スロープデータを用い、最小二乗法によりスロープ残差が最小になる条件でフーリエ係数を決定する係数算出工程と、
    を含む超精密形状測定方法。
  2. 前記被測定物表面の導出形状のフーリエ級数形式形状関数が、フーリエ級数展開の基底関数を複素数表現による指数関数とし、少なくとも一次の交差項(クロスターム)が含まれる表現形式で表された請求項1記載の超精密形状測定方法。
  3. 前記係数算出工程で得たフーリエ係数を前記フーリエ級数形式形状関数に適用し、被測定物表面の導出形状を三次元表示する工程を含む請求項1又は2記載の超精密形状測定方法。
  4. 前記係数算出工程で得たフーリエ係数を前記フーリエ級数形式形状関数に適用し、被測定物表面の導出形状を任意の切断面で二次元表示する工程を含む請求項1又は2記載の超精密形状測定方法。
  5. 前記係数算出工程で得たフーリエ係数を前記フーリエ級数形式形状関数に適用し、被測定物表面の導出形状を空間波長に対するパワースペクトルデンシティで表示する工程を含む請求項1又は2記載の超精密形状測定方法。
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