JP5309684B2 - ワークの冷却方法及びワークの冷却装置 - Google Patents
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Description
また、処理品(ワーク)を平均速度1.0m/sec以上の流水中で冷却することで、水による蒸気膜を形成させることなしに、処理品の各部を均一に冷却する方法も知られている(例えば、特許文献2参照)。
本発明のワークの冷却方法は、内部に冷却液を収容する冷却槽にワークを投入し、該冷却槽の内壁面に設けられたノズルから前記冷却液を噴射し前記ワークを冷却するワークの冷却方法において、前記ワークの形状を把握する形状把握工程と、前記ワークの周囲の前記冷却液の流速が基準値以上になるような前記ノズルの向きを、前記冷却槽の内壁面の形状及び該冷却槽内の所定位置に配置された前記ワークの形状に基づいた流体解析を繰り返し行うことにより求めるノズル・ワーク解析工程と、前記流体解析により得られた前記ノズルの向きに前記冷却槽の内壁面に設けられた前記ノズルを設定するとともに、前記ワークを前記冷却槽内の所定位置に配置させるノズル・ワーク設定工程と、前記ノズルから前記冷却液を噴射し前記ワークを冷却する冷却工程とを備えることを特徴としている。
なお、ここで言う冷却槽の内壁面とは、冷却槽の内部の側面及び冷却槽の内部の底面を少なくとも含む面のことである。
そして、流体解析により得られたノズルの向きに冷却槽の内壁面に設けられたノズルを設定するとともに、ワークを冷却槽内の所定位置に配置させ、ノズルから冷却液を噴射しワークを冷却する。
流体解析により得られた結果に基づいてノズルの向きを設定しているので、ワークの形状や大きさによらずワークの周囲の流速は基準値以上になり、ワークの冷却速度を向上させることができる。
そして、流体解析により得られたノズルの向きに冷却槽の内壁面に設けられたノズルを設定するとともに、流体解析により得られたワークの位置と向きにワークを冷却槽内に配置させ、ノズルから冷却液を噴射しワークを冷却する。
このように、流体解析により得られた結果に基づいてノズルの向き及びワークの位置と向きを設定するので、ワークの形状や大きさによらずワークの周囲の流速は基準値以上になり、ワークの冷却速度をより向上させることができる。
このワークの冷却装置1は、内部に冷却液Lを収容する冷却槽2にワークを投入し、冷却槽2の内壁面2cに設けられたノズル3から冷却液Lを噴射しワークを冷却して焼入れ等を行う装置である。なお、本実施形態では冷却液Lとして水を使用する。ただし、冷却液Lは水に限ることなく、鉱物油等でもよい。
図1に示すように、ワークの冷却装置1は、内部に水Lを収容しワークを冷却する冷却槽2と、ワークを冷却槽1内に搬送して位置決めする搬送手段4と、流体解析を行う解析手段5と、冷却槽1内に設けられたノズル3の向きを調節するノズル向き可変手段6と、ワークの形状を測定する形状測定手段7を備える。
なお、ワークの形状は、図3(a)に示すように円筒を半分にした形状のワークW1、図3(b)に示すように板状のワークW2、図3(c)に示すように中空の1/4球状の形状(以下、「ドーム状」と称する)のワークW3等、様々な形状のものがある。
主タンク2aの内壁面2cには、図1及び図2に示すように、一つの水平面上に周方向に等間隔に8個のノズル3aからノズル3hが後述するノズル向き可変手段6を介して固定されている。なお、ノズル3aからノズル3hを特に区別しない時には、まとめて「ノズル3」と称することにする。
またこの8つのノズル3を一組にしたものが、鉛直方向D1に等間隔に8組配置され、主タンク2aの内壁面2cにはノズル3が全部で64個固定されている。
なお図2では、内壁面2cの法線に対するノズル3の角度θが全て45°に設定されている状態を示している。
また図1に示すように、主タンク2aから溢れた水Lは外周部2bで回収され、配管22を介してノズル用ポンプ21に送られ、配管23により64個の各ノズル3に略等しく分配される。本実施形態ではノズル用ポンプ21の流量は定格で36t/minのものを使用しているので、各ノズル3からはおよそ9.3kg/secの水Lが主タンク2a内に流入することになる。
また、フック43は図示しない駆動装置により、鉛直方向D1及び搬送方向D2のそれぞれに直交する直交方向D3にも移動可能になっている。こうして、一対のフック43に支持されたワークは、搬送手段4により、鉛直方向D1、搬送方向D2及び直交方向D3のいずれの方向にも自由に移動し、その位置で位置決めすることができる。
流体の解析条件として、基礎方程式はNavier―Stokes方程式及び質量保存則、離散化方法は有限体積法、乱流モデルはk―εモデル、使用する物性値は水の物性値、を用いた。64個の各ノズル3の先端には各ノズル3の向きに約5m/secの流速を流入境界条件として与えた。
形状測定手段7は接触式の3次元形状測定器であり、アーム71の先端72をワークの表面上を移動させることにより、ワークの形状を計測することができる。
まず、形状把握工程(ステップS1)において、形状測定手段7によりワークW3の形状を測定する。なお、冷却槽2の内壁面2cの形状は前もって知られているものである。本実施形態でのドーム状のワークW3の外径は約6mである。そして、図3(c)に示すようにワークW3の端面W4が鉛直方向D1に平行になるような向きでワークW3を図1に示す主タンク2aに投入するとした。
後述するように、数百度に加熱されたワークW3を約20℃の常温の水Lで冷却するために、ワークW3の表面に接触した水Lは瞬時に気化し蒸気の膜になる。水に比べて蒸気の熱伝導率は低いので、ワークW3の表面に蒸気が溜まらないようにワークW3の向きを設定することが望ましい。
また、図3(c)に示すワークW3の中心A1が主タンク2aの軸線C上に配置されるとともに、ワークW3の中心A1が主タンク2aの鉛直方向D1の中央の位置になるようにワークW3を主タンク2a内で位置決めするとした。なお、ワークW3を主タンク2aに投入する時には、ワークW3が完全に水L中に沈むようにワークW3の位置を設定する。
なお、ここでは水Lの流速の基準値は、0.15m/secであるとした。
ワークW3の周囲の水Lの流速を速くするために、図5に示すノズル3a、3b、3c、3dの向きを図2に示したノズル3a、3b、3c、3dの向きから変更している。なお、ノズル3は鉛直方向D1に等間隔に8組配置されているので、向きを変更したノズル3の数は32個である。
図5に示すように、ワークW3の周囲の水Lの流速は全周囲で基準値である0.15m/sec以上になっていることが分かった。
なお、このように流体解析により得られた結果をデータベースにしておくことで、ワークの周囲の水Lの流速が基準値以上になるようなノズル3の向きをより迅速に求めることができるようになる。
最後に、冷却工程(ステップS4)において、各ノズル3から水Lを噴射し、上流工程で例えば900℃に加熱されたワークW3を30分位冷却して焼き入れする。
ワークW2の周囲の水Lの流速を増加させるため、図7に示すノズル3e、3f、3gの向きは、図2に示したノズル3e、3f、3gの向きから変更している。
図7に示された解析結果からも分かるように、板状のワークW2の周囲の水Lの流速が全周囲で基準値である0.15m/sec以上になっていることが分かる。
例えば、上記実施形態では、ワークの形状を3次元形状測定器で測定したが、図3(b)に示す板状のワークW2のような比較的単純な形状の場合には、3次元形状測定器でなく、巻尺等で測定してもよい。
また、板状のワークW2のような比較的単純な形状の場合には、形状把握工程でワークの形状を計測せずに、別途板状のワークW2のデータシート等から得たワークW2の幅、奥行き、肉厚等の寸法を直接入力部51に入力してもよい。
この場合、ノズル・ワーク解析工程に引き続き行われるノズル・ワーク設定工程では、流体解析により得られたノズル3の向きに冷却槽2の内壁面2cに設けられた各ノズル3を設定するとともに、流体解析により得られたワークの位置と向きにワークを冷却槽2内に配置させる。
流体解析により得られた結果に基づいてノズル3の向き及びワークの位置と向きを設定するので、ワークの形状や大きさによらずワークの周囲の流速は基準値以上になり、ワークの冷却速度をより向上させることができる。
2 冷却槽
2c 内壁面
3 ノズル
4 搬送手段
5 解析手段
6 ノズル向き可変手段
L 水(冷却液)
W1、W2、W3 ワーク
Claims (3)
- 内部に冷却液を収容する冷却槽にワークを投入し、該冷却槽の内壁面に設けられたノズルから前記冷却液を噴射し前記ワークを冷却するワークの冷却方法において、
前記ワークの形状を把握する形状把握工程と、
前記ワークの周囲の前記冷却液の流速が基準値以上になるような前記ノズルの向きを、前記冷却槽の内壁面の形状及び該冷却槽内の所定位置に配置された前記ワークの形状に基づいた流体解析を繰り返し行うことにより求めるノズル・ワーク解析工程と、
前記流体解析により得られた前記ノズルの向きに前記冷却槽の内壁面に設けられた前記ノズルを設定するとともに、前記ワークを前記冷却槽内の所定位置に配置させるノズル・ワーク設定工程と、
前記ノズルから前記冷却液を噴射し前記ワークを冷却する冷却工程と
を備えることを特徴とするワークの冷却方法。 - 内部に冷却液を収容する冷却槽にワークを投入し、該冷却槽の内壁面に設けられたノズルから前記冷却液を噴射し前記ワークを冷却するワークの冷却方法において、
前記ワークの形状を把握する形状把握工程と、
前記ワークの周囲の前記冷却液の流速が基準値以上になるような前記ノズルの向き及び前記ワークの位置と向きを、前記冷却槽の内壁面の形状及び該冷却槽内の所定位置と所定の向きに配置された前記ワークの形状に基づいた流体解析を繰り返し行うことにより求めるノズル・ワーク解析工程と、
前記流体解析により得られた前記ノズルの向きに前記冷却槽の内壁面に設けられた前記ノズルを設定するとともに、前記流体解析により得られた前記ワークの位置と向きに前記ワークを前記冷却槽内に配置させるノズル・ワーク設定工程と、
前記ノズルから前記冷却液を噴射し前記ワークを冷却する冷却工程と
を備えることを特徴とするワークの冷却方法。 - 内部に冷却液を収容し、内壁面に設けられたノズルから前記冷却液を噴射して該冷却液に投入されたワークを冷却する冷却槽と、
該ワークを該冷却槽内に搬送する搬送手段と、
前記ワークの周囲の前記冷却液の流速が基準値以上になるような前記ノズルの向きを、前記冷却槽の内壁面の形状及び該冷却槽内の所定位置に配置された前記ワークの形状に基づいた流体解析を繰り返し行うことにより求める解析手段と、
前記解析手段が求めた向きとなるように前記ノズルの向きを調節するノズル向き可変手段と
を備えることを特徴とするワークの冷却装置。
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