JP5299354B2 - ターボ形流体機械 - Google Patents

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Description

本発明は、遠心圧縮機や遠心送風機などのターボ形流体機械に関する。
回転する羽根車を介して流体と機械の間で連続的にエネルギー変換を行うターボ形流体機械には遠心圧縮機や遠心送風機がある。遠心圧縮機は、従来から様々なプラントに広く用いられている。また、最近では、エネルギー問題や環境問題のため、その運用費などを含めたライフサイクルコストが重要視される傾向にあり、広い作動範囲で高効率を達成できる圧縮機が求められている。
圧縮機の作動範囲は、回転数一定の運転を考えた場合、小流量側での運転限界であるサージ限界と、大流量側での運転限界であるチョーク限界に挟まれた領域として定義される。圧縮機の流量をサージ限界以下に減少させると、流れが圧縮機内部で剥離し、吐出圧力や流量の変動が生じるため、安定に運転することができない。また、チョーク限界以上に大流量化しようと圧縮機の吐出圧を下げても、流れが圧縮機内部で音速に達し、チョーク限界以上に流量を増やすことができない。
ところで、ターボ圧縮機あるいは送風機における羽根車の径方向外側には、運動エネルギーを圧力エネルギーに変換するためのディフューザが設置されている。遠心圧縮機におけるディフューザとしては、羽根なしディフューザと、羽根付きディフューザが知られている。羽根なしディフューザは、羽根車の軸方向において互いに向かい合う一対のディフューザ板で流路壁面を形成し、その流路幅が下流に向かって一定となるように形成したものである。この羽根なしディフューザを用いた遠心圧縮機は、一般的に、作動範囲が広くなるものの、効率が低くなる傾向がある。
一方、羽根付きディフューザは、羽根車の軸方向において互いに向かい合って設置された一対のディフューザ板の間に、流路幅の高さ又はこれとほぼ等しい高さのディフューザ羽根を円形翼列状に配置したものである。標準的なディフューザ羽根は、その羽根角度(ディフューザ羽根のキャンバー線とディフューザの周方向とがなす角)が、キャンバー線上を前縁から後縁に至るまで単調増加するように形成されており、このような羽根角度分布を利用すると、設計点性能を維持した状態でサージマージンを拡大することが難しい。すなわち、羽根付きディフューザを用いた遠心圧縮機は、一般的に、設計流量点における効率が高くなるものの、作動範囲が狭くなる傾向がある。
このような羽根付きディフューザの特徴に鑑み、ディフューザ羽根間にスロート(隣接する羽根の間隔が最も狭くなる位置)を有するディフューザについて、その効率又はサージマージン(作動範囲)のいずれかを選択的に優先させることを図ったディフューザ羽根の製法がある(特許文献1参照)。この技術は、ディフューザ羽根の前縁部分の羽根角度及びスロート面積を設計点に合わせて決定するとともに後縁部分の羽根角度の基準値を設定し、サージマージンを優先するときには後縁部分の羽根角度を当該基準値よりも小さくし、効率を優先するときには後縁部分の羽根角度を当該基準値よりも大きくして羽根付きディフューザを製造するものである。
特開平10−141292号公報
ここでは、羽根間にスロートを持たない小弦節比ディフューザについて、高効率を維持しつつ広い作動範囲を実現することを考える。この種のディフューザは、弦節比が小さいため、スロートを有するものと比較して流れがチョークしづらく作動範囲が広くなる傾向がある。そのため、上記特許文献1に係る技術のように羽根間にスロートを有するものと比較して、効率を維持しつつ作動範囲を拡大する点において有利である。なお、上記技術は、あくまで羽根間にスロートを持つディフューザ羽根に関するもので、さらに、前縁部分におけるスロート面積を設計点に保持することを前提とするものである。そのため、羽根間に幾何学的なスロートを持たない小弦節比ディフューザに直接適用することはできない。
本発明の目的は、高効率を維持しつつ広い作動範囲を有する小弦節比ディフューザを提供することにある。
(1)本発明は、上記目的を達成するために、羽根車と、この羽根車の周方向に所定間隔を介して複数設置された弦節比が1.0以下のディフューザ羽根を有し、前記羽根車の径方向外側に設置されたディフューザとを備えるターボ形流体機械において、前記ディフューザ羽根のキャンバー線と前記ディフューザの周方向とがなす角を羽根角度とするとき、前記ディフューザ羽根は、前縁から後縁側に向かって羽根角度が単調増加する部分と、当該羽根角度が単調増加する部分よりも後縁側に位置し、後縁側に向かって羽根角度が単調減少する部分と、前記羽根角度が単調減少する部分よりも後縁側に位置し、後縁に向かって羽根角度が単調増加する部分を有するものとする。
(2)上記(1)において、好ましくは、前記羽根角度が単調減少する部分の終点は、前記ディフューザ羽根のキャンバー線における中点よりも後縁側に位置しているものとする。
(3)上記(1)において、好ましくは、前記ディフューザ羽根の前縁における羽根角度は、その後縁における羽根角度よりも小さいものとする。
(4)上記(1)において、好ましくは、前記ディフューザ羽根は、その羽根角度が一定になる部分を有するものとする。
(5)上記(1)において、好ましくは、前記ディフューザ羽根の厚みは、その翼弦長の10〜30%の部分で最大になるものとする。
(6)上記(1)において、好ましくは、前記ディフューザ羽根の前縁における羽根角度は、10〜30度の間であるものとする。
本発明によれば、小弦節比ディフューザのサージマージンを従来よりも拡大することができるので、設計点の効率低下を抑えつつ作動範囲を拡大することができる。
本発明の実施の形態に係る遠心圧縮機の構造を示す断面図。 図1におけるA−A’断面図。 本実施の形態に係るディフューザ羽根の断面形状の詳細図。 本実施の形態に係るディフューザ羽根の各半径位置における羽根角度をプロットした図。 本実施の形態におけるサージ点付近での流れ場の様子を比較例のものと比較して示す図。 本実施の形態で得られた圧縮機特性の例を示す図。
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
図1は本発明の実施の形態に係る遠心圧縮機の構造を示す断面図である。図2は、図1におけるA−A’断面図であり、ディフューザ2の詳細を示している。
これらの図に示す遠心圧縮機100は、回転軸5と、回転軸5に取り付けられ、側板8と心板6の間に設置された複数の羽根7を備えた羽根車1と、羽根車1の径方向外側に設置されたディフューザ2と、ディフューザ2から吐出される流れの方向を変えるためにディフューザ2の下流に設けられたリターンベンド3及びリターンベーン4と、吸い込み管15と、ケーシング16を備えている。遠心圧縮機を運転すると、流体は吸込み管15から羽根車1に吸い込まれ、羽根車1でエネルギーを与えられたのち、羽根車1から吐出される。羽根車1から吐出された高速流体は、ディフューザ2に流入し、減速・整流化されたのち、リターンベンド3およびリターンベーン4を通って、後段もしくは吐出部に送られる。
ディフューザ2は、側板側ディフューザ板14と、心板側ディフューザ板9と、ディフューザ羽根12を備えている。側板側ディフューザ板14と心板側ディフューザ板9は、回転軸5の軸方向に向かい合って設置されており、流路壁面を形成している。
ディフューザ羽根12は、羽根車1の周方向(回転方向)に所定間隔を介して複数設置されており、ディフューザ板9,14の間に円形翼列状に取り付けられている。ディフューザ羽根12の前縁は、羽根車1出口のごく近傍、例えば羽根車1の外半径の1.03〜1.2倍の半径位置に設置されている。また、ディフューザ羽根12は、図1に示すように、その羽根高さがディフューザ2の流路幅と同一もしくはやや短くなるように設計されており、ディフューザ板9,14の両方もしくは片方から支持されている。本実施の形態におけるディフューザ2は、その入口から出口に向かって流路幅がほぼ一定となるように構成されているが、必ずしも該流路幅を一定とする必要はない。また、ここでは、便宜上、ディフューザ羽根12の高さ方向に、羽根の断面形状が同一であることを想定して説明するが、本発明の効果を向上させる観点から、高さ方向の流れの変化に合わせて羽根の断面形状を変更しても良い。
以下、本実施の形態に係るディフューザ羽根12の形状について詳述する。図3は、本実施の形態に係るディフューザ羽根12の断面形状の詳細図である。図中には、比較のために、前縁から後縁にかけて羽根角度が単調に増加する標準的なディフューザ羽根12’(以下、比較例のディフューザ羽根12’と称することがある)を示している。なお、この図において先の図と同じ部分には同じ符号を付し、各部の説明は省略する(後の図も同様とする)。
ディフューザ羽根12は、その弦長とピッチの比である弦節比が1.0以下になっており、ディフューザ2は、羽根間にスロートを持たない、いわゆる小弦節比ディフューザとなっている。ここで、図3中に示すように、C:羽根の弦長、D1:ディフューザ羽根の前縁位置の直径、D2:ディフューザ羽根の後縁位置の直径、Z:ディフューザ羽根枚数とすると、弦節比は、C/{0.5×π×(D1+D2)/Z}と表すことができる。なお、比較例のディフューザ羽根12’も弦節比は1.0以下になっている。
本実施の形態に係るディフューザ羽根12と比較例に係るディフューザ羽根12’とは、両者ともに羽根枚数は同じであるが、図3に示されるように羽根形状の詳細は大きく異なっている。例えば、ディフューザ羽根12は、翼弦長の中間よりも前縁寄り(例えば、20%翼弦長付近)に羽根厚みが最大となる部分17を有しているのに対して、比較例のディフューザ羽根12’は、羽根厚みが最大となる部分17’を翼弦長のほぼ中間あたりに有している。また、両者の羽根12,12’の厚みは、前縁から単調に増加しており、最大厚みに到達した後、後縁に近づくにつれて単調減少している。さらに、羽根の厚み中心であるキャンバー線に着目すると、本実施の形態に係るディフューザ羽根12のキャンバー線は、比較例12’のものよりも羽根の後半部でディフューザ周方向に大きく反っている。これは、下記に説明するように、両者の羽根角度の分布が異なっていることに起因する。
ここで、ディフューザ羽根12の厚み中心線であるキャンバー線とディフューザ2の周方向とがなす角を羽根角度βとする。ここでは、図2及び図3に示すように、ディフューザ羽根12の前縁における羽根角度をβinとし、後縁における羽根角度をβoutとする。
図4は本実施の形態に係るディフューザ羽根12の各半径位置における羽根角度をプロットした図である。図中には、比較のために、比較例のディフューザ羽根12’の羽根角度についても示している。この図に示すように、本実施の形態に係るディフューザ羽根12における羽根角度分布31は、第1単調増加部(第1順ぞり部)51と、逆ぞり部52と、第2単調増加部(第2順ぞり部)53を備えている。
第1単調増加部51は、前縁から後縁側に向かって羽根角度がβinからβ1まで単調増加する部分である。逆ぞり部52は、第1単調増加部51よりも後縁側に位置し、前縁側から後縁側に向かって羽根角度がβ1からβ2まで単調に減少する部分である。羽根角度が小さくなる逆ぞり部52がディフューザ羽根12の後半部に位置するように、逆ぞり部52の終点(羽根角度がβ2となる点)は、ディフューザ羽根12のキャンバー線における中点よりも後縁側に位置している。第2単調増加部53は、逆ぞり部52よりも後縁側に位置し、後縁に向かって羽根角度がβ2からβoutまで単調増加する部分である。すなわち、本実施の形態に係る羽根角度分布31では、羽根の前半部(第1単調増加部51)で一旦増加した羽根角度が、羽根の後半部(逆ぞり部52)で減少し、さらに後縁のごく近傍(第2単調増加部53)で再び増加に転ずる分布となっている。ここで、ディフューザ羽根12の前縁における羽根角度βinは、その後縁における羽根角度βoutよりも小さくなっている。
一方、比較例のディフューザ羽根12’における羽根角度分布31’は、その羽根角度β’が前縁から後縁にかけて単調に増加している。すなわち、前縁の羽根角度β’inは後縁の羽根角度β’outより小さく設定されており、羽根角度β’はβ’inからβ’outに至るまで単調に増加している。また、図4に示すように、本実施の形態に係るディフューザ羽根12は、比較例のディフューザ羽根12’よりも全体的に羽根角度が小さくなっている。
次に上記のように構成される遠心圧縮機の効果について図5を用いて説明する。図5は、本実施の形態におけるサージ点付近での流れ場の様子を比較例のものと比較して示す図である。まず、ここでは、本実施の形態による効果の理解を容易にするために、ディフューザ羽根を持たない羽根なしディフューザの特徴について説明する。
羽根なしディフューザを考えた場合、ディフューザに流入した流れは、ディフューザの入口から出口まで常に一定の流れ角を維持する対数螺旋20(図5参照)にほぼ近いことが知られている。この対数螺旋20は、ディフューザ内部の流れにとって最も無理のない減速過程であるが、流線の道のりとしては長い。そのため、流れとディフューザ板9,12との接触に起因する大きな圧力損失が発生するという欠点を持つ。羽根付きディフューザは、このディフューザ内部の流れを対数螺旋20に近づくよりも早くディフューザ径方向の外側に向けるものであり、主流とディフューザ板との接触に起因する損失を小さくすることができる。
ところで、発明者等の研究の結果、比較例12’のような羽根角度分布の一般的な羽根付きディフューザでは、羽根の後半部(ディフューザ羽根のキャンバー線における中点よりも後縁側)で流れが剥離しやすいことが分かってきた。この流れの剥離は、羽根の後半部では翼面上に十分な厚みの境界層が発達し、かつ羽根角度と対数螺旋20との角度差が大きくなることに起因している。このことから、図5の比較例のディフューザ羽根12’の場合には、運転点が設計点からサージ寄りになるにつれ、羽根の後半部に剥離域21が発達することになる。すなわち、この剥離域21の発生がサージ発生の主要因であり、ディフューザ2の作動範囲を小さくすることが分かってきた。
この発明者等の知見に基づいて、本実施の形態に係るディフューザ羽根12には、後縁に向かって羽根角度が小さくなる逆ぞり部52を設けている。このように逆ぞり部52を設けると、羽根の後半部で羽根角度が小さくなるので、流れを対数螺旋20に近づけることができる。したがって、羽根の後半部における剥離が抑制されて、サージ発生を遅延させることができる。したがって、本実施の形態によれば、小弦節比ディフューザのサージマージンを従来よりも拡大できるので、設計点の効率低下を抑えつつ作動範囲を拡大することができる。
なお、ディフューザ2の効率低下をさらに抑制する観点からは、図4の羽根角度分布31のように、逆ぞり部52よりも前縁側に単調増加部51をディフューザ羽根12に設けることが好ましい。このようにディフューザ羽根12を設けると、流速の早いディフューザ2の入口付近において、流れをディフューザ径方向の外側に転向させることができるので、上記のような作動範囲拡大効果に加えて高効率の維持が可能となる。なお、このとき、上記のサージ拡大の原理に基づき、ディフューザ羽根12の羽根角度を前縁から後縁に亘って全体的に対数螺旋20に近づける方法も考えられるが、この方法は損失低減の観点から望ましくない。すなわち、ディフューザ羽根12の本来の目的は、流れ角の迅速な径方向への転向による損失低減にあるため、羽根形状を全体を対数螺旋20に近づけたのでは、流れの転向が遅れ、ディフューザ羽根12による性能改善の効果が少なくなってしまうからである。
また、ディフューザ羽根12における弦節比及び前半部分の形状は、標準的な小弦節比のディフューザ羽根12’と同等にすることが好ましい。このように羽根を形成すると、チョークマージンを維持したままサージマージンを拡大することができる。逆にいうと、チョークからサージまでの広い作動範囲を実現するには、小弦節比ディフューザであることが必須であり、その上で羽根角度を図4の分布31のように分布させることが大切である。
また、ディフューザ羽根12の下流の流れに関して損失を低減する関連からは、図4の羽根角度分布31のように、逆ぞり部52よりも後縁側に単調増加部53をディフューザ羽根12に設けることが好ましい。すなわち、ディフューザ羽根12の後縁が逆ぞり部52で終わる場合には、ディフューザ周方向に流れが向く傾向が強くなり、ディフューザ板9,14での圧力損失が増加することとなるが、上記のように単調増加部53を設けると、ディフューザ径方向に流れを向かせることが可能となり、ディフューザ羽根12の下流部での圧力損失を低減できるからである。
また、本実施の形態では、図4に示すように、サージマージン拡大の効果を重視するために、逆反り部52だけでなく、羽根角度の分布31を標準的な分布31’よりも全体的に小さくする工夫も併用している。こうすることにより、ディフューザ羽根12の羽根角度βが、サージ寄りの流れにマッチするようになり、サージマージンを一層拡大させることができる。なお、過度な低羽根角度化は、設計点における羽根と流れのミスマッチにつながり、設計点における性能劣化を引き起こす可能性がある。よって、ディフューザ羽根12による効率改善と低羽根角度化によるサージ拡大の効果の兼ね合いを考え、前縁における羽根角度βinは10〜30度の間に設定することが望ましい。
さらに、本実施の形態のディフューザ羽根12は、図3に示すように、その翼弦長の中間(キャンバー線の中点)よりも前縁側において、羽根厚みが最大となる部分17を有している。比較例のディフューザ羽根12’は翼弦長の略中間で羽根厚みが最大となる部分17’を有しているが、本実施の形態のように厚みが最大となる部分17を前縁側に移動させると、比較例よりも丸みを帯びた前縁を構成することができる。これにより、広い流入角範囲で高効率を維持することができ、設計点付近の高効率の維持とサージマージン拡大に寄与することができる。
ただし、羽根厚みが最大となる部分17の位置は、前縁に近ければ近いほど良いというものではない。つまり、当該位置が前縁に近すぎると、かえって損失が増加する可能性がある。これは、流速の早い前縁付近の羽根厚みを増大させると、流れのブロッケージ損失が増加することに関与している。発明者等による流れ解析を用いたサーベイでは、最大厚み17の翼弦方向位置を10〜30%弦長付近、特に20%前後にすることが、効率と作動範囲の両立の観点から望ましいことが明らかとなった。
このように羽根厚みが最大となる位置を調節することは、逆反り部52の効果に比べると二次的な要因であるが、設計点付近の効率の維持とサージマージン拡大に貢献している。羽根付ディフューザは、羽根性能が想定した流入角範囲以外で急激に劣化することが知られており、羽根なしディフューザよりも作動範囲が狭くなる傾向にある。しかもディフューザの流入角は、ディフューザ径方向に近いチョーク寄りからディフューザ周方向に近いサージ寄りまで、大きく変化(図5の比較例を参照)することが一般的である。これらのことから、広い流入角範囲で剥離しにくいディフューザ羽根の開発が、羽根付ディフューザの広作動範囲化にとって有効である。
なお、翼弦長の比較的長いディフューザ羽根を利用する場合には、強度確保の観点から、羽根角度が一定となる部分を設けることが好ましい。このように設けた羽根角度一定部分は、自然な流れに沿ったものになるため、流れへの影響のほとんどない強度部材として機能し、ディフューザ羽根の強度を向上させるからである。さらには、当該羽根角度一定部分は、第1単調増加部51と逆ぞり部52との間に設けることが好ましい。このように羽根角度一定部分を設けると、第1単調増加部51で効率を向上させ、逆ぞり部52でサージマージンを確保し、両者の間に位置する羽根角度一定部分でディフューザ羽根12の強度を保証することができるからである。
図6は本実施の形態で得られた圧縮機特性の例を示す図である。この図は、吸込流量係数φsに対し、圧力係数Ψおよび断熱効率ηadをプロットしたものである。ここで、吸込流量係数φsとは、次式で定義される。
Figure 0005299354
ここで、D2:羽根車外径、U2:羽根車周速、Q:羽根車入口における体積流量である。図6から分かるように、本発明の圧縮機特性は、断熱効率、圧力係数ともに、比較例のものと同等の設計点性能を維持している。しかも、比較例のものと同等のチョークマージンを維持しながらも、サージマージンが大幅に拡大していることが分かる。
なお、以上の説明では、側板8を有する羽根車1を用いて、発明の原理・効果を説明したが、側板8のないオープン羽根車であっても上記と同様の効果を期待できる。また、便宜上、気体を圧縮する圧縮機を例に説明したが、非圧縮性の流体である水を輸送するポンプや送風機などについても同様な効果を期待できる。
1 羽根車
2 ディフューザ
9 心板側ディフューザ板
11 作動流体の流れ方向
12 ディフューザ羽根
14 側板側ディフューザ板
17 ディフューザ羽根の厚みが最大となる部分
20 対数螺旋
21 剥離域
22 比較例の流線
23 本実施形態の流線
24 設計点の流入角
25 サージ寄りの流入角
26 チョーク寄りの流入角
51 第1単調増加部(第1順ぞり部)
52 逆ぞり部
53 第2単調増加部(第2順ぞり部)
C ディフューザ羽根の弦長
D1 ディフューザ羽根の前縁半径
D2 ディフューザ羽根の後縁半径
R 半径
β 羽根角度

Claims (6)

  1. 羽根車と、
    この羽根車の周方向に所定間隔を介して複数設置された弦節比が1.0以下のディフューザ羽根を有し、前記羽根車の径方向外側に設置されたディフューザとを備えるターボ形流体機械において、
    前記ディフューザ羽根のキャンバー線と前記ディフューザの周方向とがなす角を羽根角度とするとき、
    前記ディフューザ羽根は、
    前縁から後縁側に向かって羽根角度が単調増加する部分と、
    当該羽根角度が単調増加する部分よりも後縁側に位置し、後縁側に向かって羽根角度が単調減少する部分と、
    前記羽根角度が単調減少する部分よりも後縁側に位置し、後縁に向かって羽根角度が単調増加する部分を有することを特徴とするターボ形流体機械。
  2. 請求項1に記載のターボ形流体機械において、
    前記羽根角度が単調減少する部分の終点は、前記ディフューザ羽根のキャンバー線における中点よりも後縁側に位置していることを特徴とするターボ形流体機械。
  3. 請求項1に記載のターボ形流体機械において、
    前記ディフューザ羽根の前縁における羽根角度は、その後縁における羽根角度よりも小さいことを特徴とするターボ形流体機械。
  4. 請求項1に記載のターボ形流体機械において、
    前記ディフューザ羽根は、その羽根角度が一定になる部分を有することを特徴とするターボ形流体機械。
  5. 請求項1に記載のターボ形流体機械において、
    前記ディフューザ羽根の厚みは、その翼弦長の10〜30%の部分で最大になることを特徴とするターボ形流体機械。
  6. 請求項1に記載のターボ形流体機械において、
    前記ディフューザ羽根の前縁における羽根角度は、10〜30度の間であることを特徴とするターボ形流体機械。
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