以下、パチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)の一実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。ここで、図1はパチンコ機10の正面図であり、図2は斜視図である。
図1,2に示すように、パチンコ機10は、当該パチンコ機10の外郭を構成する支持体(固定枠)としての外枠11を備えており、この外枠11の一側部に第1扉体(遊技機本体)としての内枠12が開閉可能に支持されている。
ここで、外枠11について図7等を参照しつつ説明する。本実施形態における外枠11は、例えば上下辺部11a,11bが木製の板材により構成され、左右側辺部11c,11dがアルミ製の板材により構成され、これら各板材が小ネジ等の離脱可能な締結具により全体として矩形枠状に組み付けられている。
左側辺部11cの上下端部には、それぞれ上ヒンジ81及び下ヒンジ82が設けられている。当該上ヒンジ81及び下ヒンジ82にて、内枠12の上下部が回動可能に支持されており、これにより内枠12が開閉可能となる。
また、右側辺部11dには、その後端縁部から外枠11の内方向に向け突出した遮蔽部材としての延出壁部83が形成されている(図10等参照)。延出壁部83は、少なくとも後述する施錠装置600に対応する上下区間全域を内枠12の背面側から覆うように、上辺部11aから下辺部11bにかけて形成されている(図5等参照)。
図10に示すように、延出壁部83の前方には、後述する施錠装置600の内鉤受部609,610に対し係合する上下一対の内鉤部84,85が設けられている。内鉤部84,85が本実施形態における第1鉤部を構成する。内鉤部84,85は、外枠11の右側辺部11dの内側面に対し固定される取付部84a,85a(図19等参照)と、当該取付部84a,85aの前端縁部から外枠11内方側へ延出した基部84b,85bと、当該基部84b,85bから前方へ延出した軸部84c,85cと、当該軸部84c,85cの前端側において前方へ先細りするように設けられた略三角形状の頭部84d,85dと、基部84b,85bの外枠11内方側の端縁部から後方へ延出した折り返し部84e,85eとから構成されている。頭部84d,85dの上端部は、軸部84c,85cより上方に突出しており、当該突出部分が係止爪として機能する。そして、施錠装置600の内鉤受部609,610に対し、内鉤部84,85の頭部84d,85dが係合されることで、内枠12が施錠状態となる。基部84b,85bが本実施形態における対向壁部を構成する。
本実施形態の内鉤部84,85は、図7等に示すように、1枚の金属板材を加工することにより、取付部84a,85a、基部84b,85b、軸部84c,85c、頭部84d,85d及び折り返し部84e,85eの各部位が一体形成された構成となっている。より詳しくは、金属板材の周縁部を一続きに残すようにして、その中央部を略コ字状に切欠くことにより、軸部84c,85c及び頭部84d,85dに相当する部分を形成する。そして、ネジ孔等を形成した後、プレス加工等により所定位置にて折り曲げることにより、内鉤部84,85が完成する。このように形成することで、より強度の高い内鉤部84,85を比較的低コストで製造することができる。
なお、本実施形態では、上記ヒンジ81,82や内鉤部84,85として、アルミニウム合金製の外枠11本体よりも剛性の高いステンレス合金等の鋼鉄製のものが採用されている。
また、右側辺部11dの内側面には、上下方向に沿ってリブ89が形成されている。これにより、内枠12の閉時においては、内枠12と外枠11との隙間から針金等の線材を差込むことは難しくなる。
さらに、外枠11の下辺部11bには、樹脂製の幕板飾り86が取着されている。幕板飾り86の上面奥部には、上方に突出するリブ88が一体形成されている。これにより内枠12との間に隙間が形成されにくくなっている。
内枠12の開閉軸線は、上述したようにパチンコ機10の正面からみて左側において上下に沿って設定されており、この開閉軸線を軸心として内枠12が前方側に開放できるようになっている。内枠12は、外形が矩形状をなす青色の樹脂ベース38を主体に構成されており、当該樹脂ベース38の中央部には略楕円形状の窓孔39が形成されている。
また、内枠12の前面側には、第2扉体(前面扉)としての前面枠14が開閉可能に取付けられている。前面枠14は、内枠12と同様に、パチンコ機10の正面から見て左側において上下に沿って設定された開閉軸線を軸心として前方側に開放できるようになっている。
前面枠14は、内枠12と同様に外形が矩形状をなす樹脂ベース37を主体に構成されており(図7等参照)、閉鎖状態においては内枠12の前面側ほぼ全域を覆う。前面枠14(樹脂ベース37)の中央部には略楕円形状の窓部101が形成されている。これにより、前面枠14の窓部101及び内枠12の窓孔39を介して、内枠12の後面に装着される遊技盤30(遊技領域)を外部から視認可能となる。遊技盤30の詳細な構成については後述する。
前面枠14の前面側には、その下部中央において球受皿としての下皿15が設けられており、排出口16より排出された遊技球が下皿15内に貯留可能になっている。また、下皿15の手前側には、下皿15内から遊技球を排出するための球抜きレバー25が設けられている。
下皿15の右方には、手前側に突出した遊技球発射ハンドル(以下、単にハンドルという)18が設けられ、下皿15の左方には、灰皿26が設けられている。尚、ハンドル18には、図示しないタッチセンサや、ハンドル18の操作部の操作量を検出するための図示しない操作量検出手段が設けられている。
下皿15の上方には上皿19が設けられている。上皿19は、遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら後述する遊技球発射装置(以下、単に発射装置という)70の方へ案内する球受皿である。なお、上皿19から溢れる遊技球は下皿15へ案内されるようになっている。
上皿19には球貸しボタン121と返却ボタン122とが設けられている。これにより、遊技場等において、パチンコ機10の側方に配置されるカードユニット(球貸しユニット)に紙幣やカード等を投入した状態で球貸しボタン121が操作されると、その操作に応じて貸出球が上皿19に供給される。一方、返却ボタン122は、カードユニットに挿入されたカード等の返却を求める際に操作される。但し、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿19に遊技球が直接貸し出されるパチンコ機、いわゆる現金機では球貸しボタン121及び返却ボタン122は不要である。
また、前面枠14の前面にはその周囲に各種ランプ等の発光手段が設けられている。これら発光手段は、大当たり時や所定のリーチ時等における遊技状態の変化に応じて点灯、点滅のように発光態様が変更制御され遊技中の演出効果を高める役割を果たすものである。例えば、窓部101の周縁横側には、LED等の発光手段を内蔵した横電飾部102が設けられ、最上部には、同じくLED等の発光手段を内蔵した中央電飾部103が設けられている。本パチンコ機10では、中央電飾部103が大当たりランプとして機能し、大当たり時に点灯や点滅を行うことにより、大当たり中であることを報知する。さらに、中央電飾部103の左右側方には、所定のエラー時に点灯するエラー表示ランプ104が設けられている。また、各エラー表示ランプ104に隣接してスピーカSP(図6参照)が設けられるとともに、当該スピーカSPの前側にスピーカカバー24が取着されている。
前面枠14の背面側にはガラスユニット137が取付けられている。ガラスユニット137は、従来の前後一対の矩形状の板ガラスが前後対を為して別々に取着されるものではなく、全体として丸形をなし、アッセンブリ化された上で取付けられている。
また、図7に示すように、前面枠14の背面側には、後述する施錠装置600の前鉤受部628,629,630に係合される前鉤部91,92,93が設けられている。前鉤部91,92,93が本実施形態における第2鉤部を構成する。より詳しくは、前面枠14の右側辺部の背面側には、上下方向に沿って補強金具90が取付けられており、この補強金具90の背面側の上下方向3箇所に前鉤部91,92,93が固定されている。
図19に示すように、前鉤部91,92,93は、補強金具90の背面側に固定される取付部91a,92a,93aと、当該取付部91a,92a,93aから後方へ延出した軸部91b,92b,93bと、当該軸部91b,92b,93bの後端側において後方へ先細りするように設けられた略三角形状の頭部91c,92c,93cとを備えている。頭部91c,92c,93cの下端部は、軸部91b,92b,93bより下方に突出しており、当該突出部分が係止爪として機能する。そして、施錠装置600の前鉤受部628,629,630に対し、前鉤部91,92,93の頭部91c,92c,93cが係合されることで、前面枠14が施錠状態となる。
次に、内枠12(樹脂ベース38)について図3,図4を参照して説明する。図3は、内枠及び遊技盤の構成を示す正面図であり、図4は、内枠の構成を示す背面図である。
上述した通り、内枠12(樹脂ベース38)には、窓孔39の後側に遊技盤30が装着されている。遊技盤30は、その周縁部が内枠12(樹脂ベース38)の裏側に当接した状態で取着されている。従って、遊技盤30の前面部の略中央部分が樹脂ベース38の窓孔39を通じて内枠12の前面側に露出した状態となっている。
また、内枠12(樹脂ベース38)の下部、すなわち窓孔39(遊技盤30)の下方位置には、後側へ膨出した膨出部40が形成されている。この膨出部40の前面右側には、発射装置70が取付けられている。本実施形態では、発射装置70としてソレノイド式発射装置を採用している。また、膨出部40には、後述する払出機構部352から上記下皿15の排出口16へ繋がる球通路71が設けられている。また、発射装置70の発射レール70aと後述するレール50(外レール構成部52)との間には所定間隔の隙間があり、この隙間より下方にファール球通路72が形成されている。これにより、仮に、発射装置70から発射された遊技球が後述する戻り球防止部材53まで至らずファール球としてレール50を逆戻りする場合には、そのファール球がファール球通路72及び球通路71を介して下皿15に排出される。また、球通路71の下側にはハーネスカバー74が設けられている。これにより中継基板75と発射装置70とを接続するハーネス(図示略)をまとめている。
次に、遊技盤30の構成について図3を参照して説明する。遊技盤30には、一般入賞口31、可変入賞装置32、第1契機対応口(作動口)33、第2契機対応口34、可変表示装置ユニット35等がルータ加工によって形成された貫通穴に配設され、遊技盤30前面側から木ネジ等により取付けられている。周知の通り前記一般入賞口31、可変入賞装置32、第1契機対応口33に遊技球が入球(入賞)すると、それぞれに対応して設けられた検出スイッチの出力により、上皿19(または下皿15)へ所定数の賞球が払い出される。その他に、遊技盤30にはアウト口36が設けられており、各種入賞部(一般入賞口31、可変入賞装置32、第1契機対応口33)に入賞しなかった遊技球は、このアウト口36を通って遊技領域外へと排出される。また、遊技盤30には、遊技球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘が植設されているとともに、風車等の各種部材(役物)が配設されている。
可変表示装置ユニット35には、第2契機対応口34の通過をトリガとして変動表示する普通図柄表示装置41と、第1契機対応口33への入賞をトリガとして変動表示する特別表示装置43と、特別表示装置43による変動表示に合わせて変動表示する可変表示装置としての装飾図柄表示装置42とが設けられている。
普通図柄表示装置41は複数の発光手段(LED)を内蔵しており、遊技球が第2契機対応口34を通過する毎に点灯表示態様が切換表示(変動表示)され、その変動表示が特定の点灯態様で数秒間停止した場合に第1契機対応口33が所定時間だけ作動状態となる(開放される)よう構成されている。この普通図柄表示装置41は、後述する主制御装置261によって直接的に表示内容が制御される。また、普通図柄表示装置41の変動表示中に、新たに遊技球が第2契機対応口34を通過した場合には、その分の普通図柄の変動表示は、その時点で行われている変動表示の終了後に行われる構成となっている。つまり、変動表示が待機(保留)されることとなる。この保留される変動表示の最大回数は、パチンコ機の機種毎に決められているが、本実施形態では4回まで保留され、その保留回数が保留ランプ44にて点灯表示されるようになっている。
特別表示装置43は、普通図柄表示装置41の側方に設けられた複数の発光部により構成され、遊技球が第1契機対応口33を通過する毎に点灯する発光部の組合せが切換えられる(変動表示される)。そして、変動表示が停止したときに点灯している発光部の組合わせにより、大当たりか否かが確定的に表示される。この特別表示装置43についても、主制御装置261によって表示内容が直接的に制御される。また、特別表示装置43の変動表示中に新たに遊技球が第1契機対応口33に入賞した場合には、その分の変動表示は、その時点で行われている変動表示の終了後に行われる構成となっている。つまり、変動表示が待機(保留)されることとなる。この保留される変動表示の最大回数は、パチンコ機の機種毎に決められているが、本実施形態では4回まで保留され、その保留回数が保留ランプ46にて点灯表示されるようになっている。また、大当たり状態中に新たに遊技球が第1契機対応口33に入賞した場合、その分の変動表示についても保留される。
装飾図柄表示装置42は液晶表示装置として構成されており、後述するサブ制御装置262によって表示内容が制御される。すなわち、装飾図柄表示装置42においては、特別表示装置43にて表示される結果に対応させるように、主制御装置261からのコマンドに基づき、サブ制御装置262によって補助的な表示内容が決定され、後述する表示制御装置45によって表示が行われる。装飾図柄表示装置42には、例えば、上、中及び下の3つの図柄列が表示される。各図柄列は複数の図柄によって構成されており、これら図柄が図柄列毎にスクロールされるようにして装飾図柄表示装置42に変動表示され、その後、上図柄列→下図柄列→中図柄列の順に停止表示される。また、可変表示装置ユニット35には、装飾図柄表示装置42を囲むようにしてセンターフレーム47が配設されている。
可変入賞装置32は、通常は遊技球が入賞できない又は入賞し難い閉状態になっており、大当たり(特別遊技状態の発生)の際に、遊技球が入賞しやすい開状態とされる。具体的には、所定時間の経過又は所定個数の入賞を1ラウンドとして、可変入賞装置32の大入賞口が所定回数(所定ラウンド数)繰り返し開放される。
また、遊技盤30には、発射装置70から発射された遊技球を遊技盤30上部へ案内するレール50が取付けられている。これにより、ハンドル18の回動操作に伴い発射された遊技球はレール50を通じて、遊技盤面上に形成された遊技領域内に案内される。レール50は内レール構成部51と外レール構成部52とからなる。
内レール構成部51の先端部分には戻り球防止部材53が取着されている。これにより、一旦、レール50から遊技盤30の上部へと案内された遊技球が再度レール50内に戻ってしまうといった事態が防止される。
また、本実施形態では、外レール構成部52が遊技盤30の右上部で途絶え、内レール構成部51が遊技盤30の右下部で途絶えている。このため、遊技領域は、レール50及び樹脂ベース38の窓孔39の内周面により画定される。但し、内外レール構成部51,52の並行部分を除く。
次に、パチンコ機10の背面構成について図4,図5を参照して説明する。パチンコ機10の背面には、各種制御基板が上下左右に並べられるようにして、一部前後に重ねられるようにして配置されており、さらに、遊技球を供給する遊技球供給装置(払出機構)や樹脂製の保護カバー等が取付けられている。本実施形態では、各種制御基板を2つの取付台に分けて搭載して2つの制御基板ユニットを構成し、それら制御基板ユニットを個別に内枠12又は遊技盤30の裏面に装着するようにしている。この場合において、主基板とサブ制御基板とを一方の取付台に搭載してユニット化すると共に、払出制御基板、発射制御基板及び電源基板を他方の取付台に搭載してユニット化している。ここでは便宜上、前者のユニットを「第1制御基板ユニット201」と称し、後者のユニットを「第2制御基板ユニット202」と称することとする。また、払出機構及び保護カバーも1ユニットとして一体化されており、一般に樹脂部分を裏パックと称することもあるため、ここではそのユニットを「裏パックユニット203」と称する。各ユニット201〜203の詳細な構成については後述する。
なお、第1制御基板ユニット201、第2制御基板ユニット202及び裏パックユニット203は、ユニット単位で着脱できるように構成されるとともに、内枠12又は遊技盤30の裏面に対し個別に開閉できるように構成されている。図4,5に示すように、第2制御基板ユニット202の左側部(背面側右側部)には上下一対の支軸194が設けられており、この支軸194を内枠12の左側部に設けられた上下一対の軸受け部195に上方から挿通させることで、第2制御基板ユニット202が内枠12に対して開閉可能に支持される。同様に、裏パックユニット203の左側部には上下一対の支軸196が設けられており、この支軸196を内枠12の左側部に設けられた上下一対の支持孔部197に上方から挿通させることで、裏パックユニット203が内枠12に対して開閉可能に支持される。なお、第1制御基板ユニット201に関しても、遊技盤30の背面側において開閉可能に支持されているが、ここでは便宜上、その開閉機構の図示を省略する。
遊技盤30の背面構成について説明する。上述したように遊技盤30の中央にはルータ加工によって形成された貫通穴に対して可変表示装置ユニット35が配設されている。この可変表示装置ユニット35に対し、センターフレーム47を背後から覆う樹脂製のフレームカバー213が後方に突出して設けられている。さらに、フレームカバー213の後端に、液晶表示装置たる装飾図柄表示装置42と表示制御装置45とが前後に重ねられた状態で着脱可能に取り付けられている。フレームカバー213内には、センターフレーム47に内蔵されたLED等を駆動するLED制御基板などが配設されている。
また、遊技盤30の裏面には、可変表示装置ユニット35を取り囲むようにして裏枠セット215が取付けられている。この裏枠セット215は、遊技盤30の裏面に張り付くようにして設けられる薄型の樹脂成形品であって、各種入賞口に入賞した遊技球を回収するための球回収機構216を備えている。また、第2制御基板ユニット202には、球回収機構216の下方位置において排出通路部217が形成されており、該排出通路部217には排出球をパチンコ機10外部へ排出する排出シュート218が形成されている(図5参照)。従って、一般入賞口31等に入賞した遊技球は何れも裏枠セット215の球回収機構216を介して集合し、さらに排出通路部217の排出シュート218を介してパチンコ機10外部に排出される。なお、アウト口36も同様に排出通路部217に通じており、何れの入賞口にも入賞しなかった遊技球も排出シュート218を介してパチンコ機10外部に排出される。
また、遊技盤30の裏面には、各種入賞口などの遊技球の通過を検出する入賞感知機構(検出スイッチ)などが設けられている。入賞感知機構にて各々検出された検出結果は、後述する主基板(主制御装置261)に取り込まれ、該主基板よりその都度の入賞状況に応じた払出指令(遊技球の払出個数)が払出制御基板に送信される。そして、該払出制御基板の出力により所定数の遊技球の払出が実施される。本実施形態のパチンコ機10では、各種入賞口毎に遊技球の入賞を電気的に感知して払出が直ちに行われる。
第1制御基板ユニット201は、主制御装置261と、サブ制御装置262とを具備している。主制御装置261は、主たる制御を司るCPU、遊技プログラムを記憶したROM、遊技の進行に応じた必要なデータを記憶するRAM、各種機器との連絡をとるポート、各種抽選の際に用いられる乱数発生器、時間計数や同期を図る場合などに使用されるクロックパルス発生回路等を含む主基板を具備しており、この主基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス263に収容されて構成されている。なお、基板ボックス263は、略直方体形状のボックスベースと該ボックスベースの開口部を覆うボックスカバーとを備えている。これらボックスベースとボックスカバーとは封印ユニットによって連結されており、基板ボックス263が開封された場合には、封印ユニットにおいて所定の痕跡が残るよう構成されている。これにより、基板ボックス263が不正に開封された旨を容易に発見することができる。
また、サブ制御装置262は、主制御装置261(主基板)からの指示に従い各種演出制御を司るCPUや、各種プログラムを記憶したROM、遊技の進行に応じた必要なデータを記憶するRAM、各種機器との連絡をとるポート、各種抽選の際に用いられる乱数発生器、時間計数や同期を図る場合などに使用されるクロックパルス発生回路等を含むサブ制御基板を具備しており、このサブ制御基板についても当該サブ制御基板に対応する基板ボックスに収容されて構成されている。
第2制御基板ユニット202は、払出制御装置311、発射制御装置312、電源装置313及びカードユニット接続基板314を具備している。払出制御装置311、発射制御装置312及び電源装置313は周知の通り制御の中枢をなすCPUや、その他ROM、RAM、各種ポート等を含む制御基板を具備しており、払出制御装置311の払出制御基板により、賞品球や貸出球の払出が制御される。また、発射制御装置312の発射制御基板により、遊技者によるハンドル18の操作に従い発射装置等の制御が行われ、電源装置313の電源基板により、各種制御装置等で要する所定の電源電圧が生成され出力される。
上記払出制御装置311、発射制御装置312及び電源装置313についても、それぞれに対応する基板ボックス315、316、317に収容されて構成されている。但し、発射制御装置312(基板ボックス316)は、電源装置313(基板ボックス317)の裏側に配置されている。また、払出制御装置311が収容される基板ボックス315には、前述した主制御装置261と同様に封印ユニットが設けられ、基板ボックス315の開封した痕跡が残るようになっている。
払出制御装置311には状態復帰スイッチ321が設けられている。例えば、払出モータ部の球詰まり等、払出エラーの発生時において状態復帰スイッチ321が押下されると、払出モータが正逆回転され、球詰まりの解消(正常状態への復帰)が図られる。
また、電源装置313にはRAM消去スイッチ323が設けられている。本パチンコ機10はバックアップ機能を有しており、万一停電が発生した際でも停電時の状態を保持し、停電からの復帰(復電)の際には停電時の状態に復帰させることができる。従って、通常手順で(例えば遊技場の営業終了時に)電源遮断すると電源遮断前の状態が記憶保持されることから、電源投入時に初期状態に戻したい場合には、RAM消去スイッチ323を押しながら電源を投入する。
次に、裏パックユニット203の構成を説明する。裏パックユニット203は、樹脂成形された裏パック351と遊技球の払出機構部352とを一体化したものである。
裏パック351は例えばABS樹脂により一体成形されており、パチンコ機後方に突出し略直方体形状をなす保護カバー部354を有する。保護カバー部354は左右側面及び上面が閉鎖され且つ下面のみが開放された形状をなし、少なくとも可変表示装置ユニット35を囲むのに十分な大きさを有する。但し、本実施形態では、前述のサブ制御装置262及び主制御装置261の一部も合わせて囲む構成となっている。
また、払出機構部352は、保護カバー部354を迂回するようにして配設されている。すなわち、保護カバー部354の上方には、上側に開口したタンク355が設けられており、このタンク355には遊技場の島設備から供給される遊技球が逐次補給される。タンク355の下方には、例えば横方向2列の球通路を有し下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレール356が連結され、さらにタンクレール356の下流側には縦向きにケースレール357が連結されている。払出装置358はケースレール357の最下流部に設けられ、払出モータ358a等の所定の電気的構成により必要個数の遊技球の払出が適宜行われる。そして、払出装置358より払い出された遊技球は上記上皿19等に供給される。
また、払出機構部352には、払出制御装置311から払出装置358への払出指令の信号を中継する払出中継基板381が設置されると共に、外部より主電源を取り込む電源スイッチ基板382が設置されている。電源スイッチ基板382には、電圧変換器を介して例えば交流24Vの主電源が供給され、電源スイッチ382aの切替操作により電源ON又は電源OFFされる。
次に、パチンコ機10の電気的構成について説明する。図6は、本パチンコ機10の電気的構成を示すブロック図である。パチンコ機10の主制御装置261(主基板)には、演算装置である1チップマイコンとしてのCPU501が搭載されている。CPU501には、該CPU501により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM502と、そのROM502内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するメモリであるRAM503と、割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路等が内蔵されている。
RAM503は、パチンコ機10の電源のオフ後においても電源装置313からバックアップ電圧が供給されてデータが保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM503には、各種のデータ等を一時的に記憶するメモリやエリアの他に、バックアップエリア503aが設けられている。
バックアップエリア503aは、停電などの発生により電源が切断された場合において、電源の再入時にパチンコ機10の状態を電源切断前の状態に復帰させるべく、電源切断時(停電発生時を含む。以下同様)のスタックポインタや、各レジスタ、I/O等の値を記憶しておくエリアである。バックアップエリア503aへの書き込みは、NMI端子(ノンマスカブル端子)への停止信号の入力により起動されるNMI割込み処理(このNMI割込みにより、電源断時の主制御装置261の状態がRAM503のバックアップエリア503aに記憶される)によって停電の発生等による電源切断時に実行され、逆にバックアップエリア503aに書き込まれた各値の復帰は、電源入時(停電解消による電源入を含む。以下同様)の復電処理において実行される。なお、CPU501のNMI端子(ノンマスカブル割込端子)には、停電等の発生による電源断時に、後述する停電監視回路542から出力される停電信号SK1が入力されるように構成されており、停電の発生により、停電処理(NMI割込み処理)が即座に実行される。
かかるROM502及びRAM503を内蔵したCPU501には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン504を介して入出力ポート505が接続されている。入出力ポート505には、後述するRAM消去スイッチ回路543、払出制御装置311、サブ制御装置262、特別表示装置43、普通図柄表示装置41、その他図示しないスイッチ等が接続されている。この構成により、上述した特別表示装置43および普通図柄表示装置41は、主制御装置261により直接的に制御される。一方、装飾図柄表示装置42は、サブ制御装置262を介して制御される。
サブ制御装置262(サブ制御基板)は、演算装置であるCPU551、該CPU551により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM552、該ROM552内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するメモリであるRAM553、入出力ポート554、バスライン555を備えるとともに、その他にも図示しない割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路等を備えている。RAM553は、CPU551による各種プログラムの実行時に使用されるワークデータやフラグを一時的に記憶するメモリである。
入出力ポート554には、バスライン555を介してCPU551、ROM552、RAM553が接続されるとともに、表示制御装置45が接続されている。さらに、入出力ポート554には、スピーカSP、各種電飾部及びランプ102〜104が接続されている。
サブ制御装置262のCPU551は、例えば主制御装置261から送信される指令信号(例えば変動パターンコマンド)に基づいて表示制御装置45に表示制御を実行させ、装飾図柄表示装置42に表示させる。なお、上記のように、本実施形態では、主制御装置261が制御する特別表示装置43にて大当たりか否かを表示するようになっており、サブ制御装置262が制御する装飾図柄表示装置42では、前記特別表示装置43の表示に合わせた表示が行われる。
また、払出制御装置311は、払出モータ358aにより賞球や貸し球の払出制御を行うものである。演算装置であるCPU511は、そのCPU511により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM512と、ワークメモリ等として使用されるRAM513とを備えている。
払出制御装置311のRAM513は、前述した主制御装置261のRAM503と同様に、パチンコ機10の電源のオフ後においても電源装置313からバックアップ電圧が供給されてデータが保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM513には、各種のデータ等を一時的に記憶するメモリやエリアの他に、バックアップエリア513aが設けられている。
バックアップエリア513aは、停電などの発生により電源が切断された場合において、電源の再入時にパチンコ機10の状態を電源切断前の状態に復帰させるべく、電源切断時のスタックポインタや、各レジスタ、I/O等の値を記憶しておくエリアである。このバックアップエリア513aへの書き込みは、NMI割込み処理によって電源切断時に実行され、逆にバックアップエリア513aに書き込まれた各値の復帰は、電源入時の復電処理において実行される。
かかるROM512及びRAM513を内蔵したCPU511には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン514を介して入出力ポート515が接続されている。入出力ポート515には、RAM消去スイッチ回路543、主制御装置261、発射制御装置312、払出モータ358aなどがそれぞれ接続されている。
発射制御装置312は、発射装置70による遊技球の発射を許可又は禁止するものであり、発射装置70は、所定条件が整っている場合に駆動が許可される。具体的には、払出制御装置311から発射許可信号が出力されていること、遊技者がハンドル18をタッチしていることをセンサ信号により検出していること、発射を停止させる発射停止スイッチが操作されていないことを条件に、発射装置70が駆動され、ハンドル18の操作量に応じた強度で遊技球が発射される。
表示制御装置45は、サブ制御装置262からの指示に従い、装飾図柄表示装置42における装飾図柄の変動表示を実行するものである。この表示制御装置45は、CPU521と、プログラムROM522と、ワークRAM523と、ビデオRAM524と、キャラクタROM525と、画像コントローラ526と、入力ポート527と、出力ポート529と、バスライン530,531とを備えている。入力ポート527にはサブ制御装置262の入出力ポート554が接続されている。また、入力ポート527には、CPU521、プログラムROM522、ワークRAM523、画像コントローラ526が接続されている。また、画像コントローラ526にはバスライン531を介して出力ポート529が接続されており、その出力ポート529には液晶表示装置たる装飾図柄表示装置42が接続されている。
表示制御装置45のCPU521は、サブ制御装置262から送信される表示コマンドに基づいて装飾図柄表示装置42の表示を制御する。プログラムROM522は、そのCPU521により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶するメモリであり、ワークRAM523は、CPU521による各種プログラムの実行時に使用されるワークデータやフラグを一時的に記憶するメモリである。
ビデオRAM524は、装飾図柄表示装置42に表示される表示データを記憶するメモリであり、このビデオRAM524の内容を書き替えることにより、装飾図柄表示装置42の表示内容が変更される。キャラクタROM525は、装飾図柄表示装置42に表示される図柄などのキャラクタデータを記憶するメモリである。画像コントローラ526は、CPU521、ビデオRAM524、出力ポート529のそれぞれのタイミングを調整してデータの読み書きに介在すると共に、ビデオRAM524に記憶される表示データを所定のタイミングで読み出して装飾図柄表示装置42に表示させるものである。
また、電源装置313は、パチンコ機10の各部に電力を供給する電源部541と、停電等による電源遮断を監視する停電監視回路542と、RAM消去スイッチ323に接続されてなるRAM消去スイッチ回路543とを備えている。電源部541は、図示しない電源経路を通じて、主制御装置261や払出制御装置311等に対して各々に必要な動作電源を供給する。その概要としては、電源部541は、外部より供給される交流24ボルト電源を取り込み、各種スイッチやモータ等を駆動する+12V電源、ロジック用の+5V電源、RAMバックアップ用のバックアップ電源などを生成し、これら+12V電源、+5V電源及びバックアップ電源を主制御装置261や払出制御装置311等に対して供給する。なお、発射制御装置312に対しては払出制御装置311を介して動作電源(+12V電源、+5V電源等)が供給される。
停電監視回路542は、停電等の発生による電源断時に、主制御装置261のCPU501及び払出制御装置311のCPU511の各NMI端子へ停電信号SK1を出力する回路である。停電監視回路542は、電源部541から出力される最大電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視し、この電圧が22ボルト未満になった場合に停電(電源断)の発生と判断して、停電信号SK1を主制御装置261及び払出制御装置311へ出力する。この停電信号SK1の出力によって、主制御装置261及び払出制御装置311は、停電の発生を認識し、停電時処理(NMI割込み処理)を実行する。
なお、電源部541は、直流安定24ボルトの電圧が22ボルト未満になった後においても、かかる停電時処理の実行に充分な時間の間、制御系の駆動電圧である5ボルトの出力を正常値に維持するように構成されている。よって、主制御装置261及び払出制御装置311は、停電時処理を正常に実行し完了することができる。
RAM消去スイッチ回路543は、RAM消去スイッチ323のスイッチ信号を取り込み、そのスイッチ323の状態に応じて主制御装置261のRAM503及び払出制御装置311のRAM513のバックアップデータをクリアする回路である。RAM消去スイッチ323が押下された際、RAM消去スイッチ回路543は、RAM消去信号SK2を主制御装置261及び払出制御装置311に出力する。RAM消去スイッチ323が押下された状態でパチンコ機10の電源が投入されると(停電解消による電源入を含む)、主制御装置261及び払出制御装置311においてそれぞれのRAM503,513のデータがクリアされる。
次に、内枠12の施錠機構及び前面枠14の施錠機構について図7乃至図19を参照して説明する。内枠12の施錠機構が本実施形態における第1施錠機構に相当し、前面枠14の施錠機構が第2施錠機構に相当する。本実施形態では、内枠12は外枠11に対し施錠され、前面枠14は内枠12に対し施錠される。これらの施錠機構は単一の施錠装置600によって具現化されている。後述するように施錠装置600は、シリンダ錠700(図1等参照)を備えており、該シリンダ錠700の鍵穴702に鍵を挿入し、一方に回動操作することで内枠12を解錠でき、他方に回動操作することで前面枠14を解錠できるようになっている。シリンダ錠700は、前面枠14(樹脂ベース37)に形成された錠孔97及び補強金具90に形成された挿通孔90aなどを介して前面枠14の前面側に露出している。
ここで、図7は、施錠装置600及びこれに関連する外枠11、内枠12及び前面枠14などの各部材を示す分解斜視図である。図8は、これらを組み付けた状態を示す斜視図であり、図9は、そこから前面枠14を開放した状態を示す斜視図であり、図10は、さらに内枠12を開放した状態を示す斜視図である。但し、図7〜図10では、便宜上、内枠12及び前面枠14に関しては、遊技盤30やガラスユニット137など各種部材を取外した状態の樹脂ベース37,38のみを図示している。
また、図11は施錠装置600を正面左側から見た斜視図であり、図12は施錠装置600を正面右側から見た斜視図であり、図13は施錠装置600を背面左側から見た斜視図であり、図14は施錠装置600を背面右側から見た斜視図である。また、図15は施錠装置600の正面図であり、図16は左側面図であり、図17は右側面図であり、図18は背面図である。なお、説明の便宜上、図11〜図18では、施錠装置600に関連する外枠11の内鉤部84,85や、前面枠14の前鉤部91,92,93等も併せて、組付けた状態で図示している。
また、図19は、施錠装置600等の分解図である。但し、図19では、便宜上、見やすいように各構成部品の向きを部品毎に変化させるとともに、内鉤部84,85や前鉤部91,92,93等も併せて図示している。
施錠装置600は、内枠12の右側辺部の前面側に取付けられている。施錠装置600の外郭を構成する基枠部材としての縦長の基枠601は、内枠12に固定される取付部としての取付板602と、当該取付板602の内枠12内方側(窓孔39側)の端縁から後方に突出した支持部としての支持板603と、当該支持板603の後端縁部から内枠12外方側に突出したフランジ部604(後述する膨出部603aの形成区間を除く)とを備えている。取付板602に比べややフランジ部604の突出長が短いものの、基枠601は、取付板602、支持板603及びフランジ部604が一体となって横断面略コ字状をなしている。なお、基枠601や後述する第1摺動杆607等の各摺動杆など、施錠装置600を構成する各部材は、金属平板をプレス成形等することにより形成されている。
これに対し、内枠12の前面側には、図10等に示すように、施錠装置600を取付けるための収容部(溝部)としての取付溝部901が右側辺部に沿って形成されている。これにより、前面枠14の閉状態においては、当該前面枠14と内枠12との間に施錠装置600を収容するための収容空間が形成されることとなる。
取付溝部901には、複数のボス(図示略)が突設されている。これに対応して、取付板602には、複数のネジ孔602dが穿設されている。これにより、施錠装置600は、取付溝部901に嵌め込まれた状態で、内枠12の前面側からネジ(図示略)によりボスに固定される。
また、図3、図9等に示すように、施錠装置600が取付溝部901に嵌め込まれた状態では、取付板602の右端縁部及び支持板603がそれぞれ取付溝部901の側壁面に略当接状態となる。
また、図4に示すように、取付溝部901の奥壁部901aには、外枠11の内鉤部84,85に対応して、内枠12の背面側へ貫通する挿通孔908,909が形成されている。これにより、内鉤部84,85は当該挿通孔908,909を介して、内枠12の前面側へ突出可能となる。また、挿通孔908,909の周囲にはリブ908a,909aが後方へ突出形成されている。取付溝部901の奥壁部901aが本実施形態における収容部の背壁部に相当する。
施錠装置600の説明に戻り、取付板602では、シリンダ錠700の配置位置に対応する所定の上下区間が他部位より左右方向に幅広の幅広部602aとなっており、支持板603では、前記幅広部602aに対応する上下区間が内枠12内方側へ膨出した膨出部603aとなっている。これは、遊技領域や各種制御基板等の設置スペースをより広く確保するために、施錠装置600全体の横幅を極力狭くしつつ、シリンダ錠700の配設位置においては、その設置スペースを確保するためである。勿論、取付溝部901の形状も幅広部602a等に併せた形状となっている。
ここで、まず内枠12の施錠機構を主として構成する第1摺動杆607について説明する。第1摺動杆607は、長尺状をなし、支持板603の内枠12外方側に沿って上下方向に摺動可能なように配設されている。第1摺動杆607が本実施形態における第1摺動部材を構成する。
支持板603の膨出部603aに対応する第1摺動杆607の上下方向所定区間には、内枠12内方側へ膨出した膨出部607aが形成されている。但し、第1摺動杆607の膨出部607aの形成区間は、支持板603の膨出部603aの形成区間よりも短く設定されており、第1摺動杆607の摺動の妨げとならないようになっている。
第1摺動杆607の後端縁部には、内枠12施錠用の上下一対の内鉤受部609,610が形成されている。内鉤受部609,610は、第1摺動杆607の後端縁部から内枠12外方側へ突出形成された略平板状をなす。内鉤受部609,610が本実施形態における第1鉤受部を構成する。
内鉤受部609,610に対応して、基枠601のフランジ部604には、その先端部よりさらに内枠12外方側へ延出した延出部613,614が形成されている。延出部613,614は、内鉤受部609,610と重畳するように形成されており、内鉤受部609,610と常時略当接状態で内鉤受部609,610を支持している。
延出部613,614には、内鉤受部609,610に対応して、略矩形状の挿入孔613a,614aが形成されている。そして、通常時には、内鉤受部609,610により、挿入孔613a,614aの上部が塞がされた状態となる。
次に前面枠14の施錠機構を主として構成する第2摺動杆627について説明する。第2摺動杆627は、長尺状をなし、上下方向に摺動可能なように第1摺動杆607の内枠12外方側に重畳して配設されている。第2摺動杆627が本実施形態における第2摺動部材を構成する。
第1摺動杆607の膨出部607aに対応する第2摺動杆627の上下方向所定区間には、内枠12内方側へ膨出した膨出部627aが形成されている。但し、第2摺動杆627の膨出部627aの形成区間は、第1摺動杆607の膨出部607aの形成区間よりも短く設定されており、第2摺動杆627の摺動の妨げとならないようになっている。
第2摺動杆627の前端縁部には、上部、中部及び下部の3箇所に、前面枠14施錠用の前鉤受部628,629,630が形成されている。前鉤受部628,629,630が本実施形態における第2鉤受部を構成する。
前鉤受部628,629,630は、第2摺動杆627の前端縁部から内枠12外方側へ突出形成された略平板状をなす。
前鉤受部628,629,630には、それぞれ略矩形状の係合孔628a,629a,630aが形成されている。また、取付板602には、前鉤受部628,629,630(係合孔628a,629a,630a)に対応して、上下方向3箇所に矩形状の挿通孔631,632,633が形成されている。そして、通常時には、係合孔628a,629a,630aが取付板602の挿通孔631,632,633の上部に重なるように位置するとともに、前鉤受部628,629,630により挿通孔631,632,633の下部が塞がされた状態となる。
前鉤受部628,629,630のうち上側の前鉤受部628は、上側の内鉤受部609のやや上方位置に設けられている。一方、下側の前鉤受部630は、下側の内鉤受部610のやや上方位置に設けられている。
さて、第1摺動杆607には、上下方向に3つのガイド孔615,616,617が形成されている。このうち、上下のガイド孔615,617は、内鉤受部609,610の高さ位置に対応して設けられている。ガイド孔615,616,617は、上下方向に長い長円状をなす。
これに対応して、第2摺動杆627には、上下方向に3つのガイド孔635,636,637が形成されている。ガイド孔635,636,637は、前鉤受部628,629,630の高さ位置に対応して設けられている。ガイド孔635,636,637は、上下方向に長い長円状をなす。
そして、第1摺動杆607のガイド孔615,616,617と第2摺動杆627のガイド孔635,636,637とをそれぞれ連通させた状態で、これらに対し内枠12外方側からガイドピン618,619,620が挿通され、当該ガイドピン618,619,620が支持板603に固定されている。
上記構成により、第1摺動杆607及び第2摺動杆627は、取付板602とフランジ部604により前後方向への動きを規制され、かつ、ガイドピン618,619,620により左右方向への動きを規制されつつ、上下方向へ摺動可能となる。
さて、通常時、第1摺動杆607及び第2摺動杆627は、付勢手段としてのコイルばねC1により、それぞれ下方又は上方へ付勢されている。より詳しくは、第1摺動杆607には、フック部621が設けられている。また、第2摺動杆627にはフック部641が設けられている。さらに、第2摺動杆627には、第1摺動杆607のフック部621に対応して、フック部641の上方位置において上下方向に長い略矩形状の挿通孔642が形成されている。
そして、第1摺動杆607のフック部621にコイルばねC1の一端が掛けられるとともに、挿通孔642を介して、他端が第2摺動杆627のフック部641に掛けられている。
上記コイルばねC1の引張力によって、通常時には、第1摺動杆607は、ガイド孔615,616,617の上縁部がガイドピン618,619,620に付勢され、下方への動作が抑えられた状態で保持されている。一方、第2摺動杆627は、ガイド孔635,636,637の下縁部がガイドピン618,619,620に付勢され、上方への動作が抑えられた状態で保持されている。そして、後述するシリンダ錠700が操作された場合には、コイルばねC1の引張力に抗して、第1摺動杆607は上方へ、又は第2摺動杆627は下方へ摺動変位する。
なお、第1摺動杆607の摺動範囲のうち、ガイド孔615,616,617の上縁部がガイドピン618,619,620に当接する位置が、内鉤部84,85が内鉤受部609,610に係合される位置となる。つまり、この位置が第1摺動杆607(内鉤受部609,610)の施錠位置(基準位置)に相当する。従って、第1摺動杆607がこの位置にある状態が、内枠12の施錠機構の施錠状態に相当する。
これに対し、ガイド孔615,616,617の下縁部がガイドピン618,619,620に当接する位置が、内鉤部84,85が内鉤受部609,610から離脱(係合解除)した位置となる。つまり、この位置が第1摺動杆607の解錠位置に相当する。従って、第1摺動杆607がこの位置にある状態が、内枠12の施錠機構の解錠状態に相当する。
一方、第2摺動杆627の摺動範囲のうち、ガイド孔635,636,637の下縁部がガイドピン618,619,620に当接する位置が、前鉤部91,92,93が前鉤受部628,629,630に係合される位置となる。つまり、この位置が第2摺動杆627(前鉤受部628,629,630)の施錠位置(基準位置)に相当する。従って、第2摺動杆627がこの位置にある状態が、前面枠14の施錠機構の施錠状態に相当する。
これに対し、ガイド孔635,636,637の上縁部がガイドピン618,619,620に当接する位置が、前鉤部91,92,93が前鉤受部628,629,630から離脱(係合解除)した位置となる。つまり、この位置が第2摺動杆627の解錠位置に相当する。従って、第2摺動杆627がこの位置にある状態が、前面枠14の施錠機構の解錠状態に相当する。
さて、取付板602の幅広部602aには、錠部材としてのシリンダ錠700が取付けられている。
シリンダ錠700は、取付板602の背面に固定される固定部700aと、当該固定部700aから前方に向けて取付板602を貫通して延び、その内部に錠軸(図示略)を有しかつその前面側に鍵穴702を有する錠本体700bと、固定部700aの背面側にて前記錠軸に連結され、鍵穴702に挿入された鍵の回動動作を第1摺動杆607又は第2摺動杆627に伝達する伝達部材としてのカム板720とを備えている。
また、固定部700aの背面側には、後方に突出し、鍵穴702の形状(キーコード)を変更する際に押圧操作される操作部としてのリセットピン703が設けられている。これに対応して、内枠12の背面側(取付溝部901の奥壁部901a)には、図4に示すように、操作用孔部としてのピン孔901bが形成されている。
ここで、キーコードの変更手順の一例について説明する。まず内枠12を開放させた状態で、ピン孔901bを介して所定の治具を挿入し、リセットピン703を押圧する。この状態で鍵穴702に現状の鍵を挿入して回動操作した後、該鍵を引き抜く。そして、リセットピン703を押圧したまま、新たに設定したい鍵を鍵穴702に挿入し、前記現状の鍵とは逆向きに回動操作した後、リセットピン703の押圧状態を解除してから鍵を引き抜く。以上のような操作を行うことで、新たに設定したい鍵に合ったキーコードとすることができる。これにより、遊技場単位で鍵を統一できるとともに、不正防止のため、定期的に鍵を変更することができる。
カム板720は、上係合爪720a及び下係合爪720bを備えている。これらの係合爪720a,720bは、カム板720の回動方向に所定間隔を置いて形成されている。
カム板720に対応して、第1摺動杆607の膨出部607aには、係合爪720a,720bが出入可能な上下一対の上係合孔725及び下係合孔726が形成されている。同様に、第2摺動杆627の膨出部627aには、係合爪720a,720bが出入可能な上下一対の上係合孔727及び下係合孔728が形成されている。また、支持板603には、係合爪720a,720bの動作を妨げないように透孔730が形成されている。
各係合孔725〜728は、上下方向に長い略矩形の長孔状をなす。そして、第1摺動杆607及び第2摺動杆627の通常時の重畳状態にあっては、少なくとも上係合孔725,727同士、及び、下係合孔726,728同士が部分的に重なり合い、そこに係合爪720a,720bがそれぞれ挿し込まれた状態となる。
より詳しくは、図11,13に示すように、シリンダ錠700の鍵穴702に鍵が挿し込まれていない状態で、カム板720が基準位置にある場合には、上係合爪720aの先端が、第1摺動杆607及び第2摺動杆627の上係合孔725,727に挿通状態となるとともに、下係合爪720bの先端が、第1摺動杆607及び第2摺動杆627の下係合孔726,728に挿通状態となる。
次に、施錠装置600の作用について詳しく説明する。まず内枠12の施錠及び解錠について詳しく説明する。内枠12の施錠状態においては、第1摺動杆607が基準位置をとることにより、内鉤受部609,610に、外枠11の内鉤部84,85が係合され、内枠12の開放が規制されている。
そして、内枠12を解錠する際には、シリンダ錠700の鍵穴702に鍵を挿入し、パチンコ機10の正面側(図1参照)から見て時計回り方向に回動させる。この操作が本実施形態における第1操作に相当する。これにより、カム板720が同方向に回動して、下係合爪720bが第1摺動杆607の下係合孔726の上縁部に接触する。
その後、さらにカム板720を回動させていくに従って、図20(a),(b)及び図22(a),(b)に示すように、下係合爪720bがコイルばねC1の引張力に抗して第1摺動杆607を上方へ押し上げていく。同時に、上係合爪720aは第1摺動杆607及び第2摺動杆627に作用を及ぼすことなく、両上係合孔725,727から離脱する。この際、下係合爪720bが挿通された第2摺動杆627の下係合孔728の上部には、下係合爪720bが上方へ変位するスペースが確保されているため、第1摺動杆607を押し上げていく過程において、下係合爪720bが第2摺動杆627に当接せず、その動作が妨げられないようになっている。
第1摺動杆607が上方へ摺動すると、内鉤受部609,610と、内鉤部84,85との係合が解除され、内枠12の開放が許容される。また、内枠12が開放された時点で、鍵を操作する手の力を緩めると、コイルばねC1の引張力により、第1摺動杆607は下方へ引き下げられ、基準位置に復帰する。これに伴い、カム板720及び錠軸も基準位置に復帰する。
一方、開状態にある内枠12を施錠する際には、鍵を用いずに、内枠12を閉じていき、外枠11の内鉤部84,85の頭部84d,85dの傾斜部位が内鉤受部609,610の下縁部にぶつかると、第1摺動杆607に上方向への外力が加わり、第1摺動杆607がコイルばねC1の引張力に抗して上方へ摺動する。そして、内鉤部84,85の頭部84d,85dが内鉤受部609,610の下縁部を乗り越えると、第1摺動杆607がコイルばねC1の引張力により元の位置に戻る。これにより、内鉤受部609,610に対し内鉤部84,85が係合され、内枠12が施錠された状態となる。
次に前面枠14の施錠及び解錠について詳しく説明する。前面枠14の施錠状態においては、第2摺動杆627が基準位置をとることにより、前鉤受部628,629,630に、前面枠14の前鉤部91,92,93が係合され、前面枠14の開放が規制される。
そして、前面枠14を解錠する際には、シリンダ錠700の鍵穴702に鍵を挿入し、パチンコ機10の正面側から見て反時計回り方向に回動させる。この操作が本実施形態における第2操作に相当する。これにより、カム板720が同方向に回動して、上係合爪720aが第2摺動杆627の上係合孔727の下縁部に接触する。
その後、さらにカム板720を回動させていくに従って、図21(a),(b)及び図23(a),(b)に示すように、上係合爪720aがコイルばねC1の引張力に抗して第2摺動杆627を下方へ押し下げていく。同時に、下係合爪720bは第2摺動杆627及び第1摺動杆607に作用を及ぼすことなく、両下係合孔726,728から離脱する。この際、上係合爪720aが挿通された第1摺動杆607の上係合孔725の下部には、上係合爪720aが下方へ変位するスペースが確保されているため、第2摺動杆627を押し下げていく過程において、上係合爪720aが第1摺動杆607に当接せず、その動作が妨げられないようになっている。
第2摺動杆627が下方へ摺動すると、すべての前鉤受部628,629,630と、前鉤部91,92,93との係合が解除され、前面枠14の開放が許容される。また、前面枠14が開放された時点で、鍵を操作する手の力を緩めると、コイルばねC1の引張力により、第2摺動杆627は上方へ引き上げられ、基準位置に復帰する。これに伴い、カム板720及び錠軸も基準位置に復帰する。
一方、開状態にある前面枠14を施錠する際には、鍵を用いずに、前面枠14を閉じていき、前面枠14の前鉤部91,92,93の頭部91c,92c,93cの傾斜部位が前鉤受部628,629,630の係合孔628a,629a,630aの下縁部にぶつかると、第2摺動杆627に下方向への外力が加わり、第2摺動杆627がコイルばねC1の引張力に抗して下方へ摺動する。そして、前鉤部91,92,93の頭部91c,92c,93cが前鉤受部628,629,630の係合孔628a,629a,630aの下縁部を乗り越えると、第2摺動杆627がコイルばねC1の引張力により元の位置に戻る。これにより、前鉤受部628,629,630に対し前鉤部91,92,93が係合され、前面枠14が施錠された状態となる。
以上詳述したように、本実施形態では、施錠装置600が、内枠12と前面枠14との間に形成される収容空間に配置されるとともに、内枠12と基枠601との間に形成される内部空間に、内枠12の施錠機構及び前面枠14の施錠機構が配置される構成となっている。加えて、内枠12の背面側や基枠601の前面側に鉤部等が突出しない構成となっている。このため、仮に内枠12や前面枠14を不正に解錠する不正行為を行おうとした場合でも、線材を引っ掛けることのできる鉤部等の突出した部位がなく、前記不正行為を行うことは極めて困難となる。結果として、線材等を用いた不正解錠に対する防御性能を高めることができる。
本実施形態では、施錠装置600に対応する上下区間全域を内枠12の背面側から覆うように延出壁部83が形成されている。また、その前方に設けられた内鉤部84,85は、内枠12の挿通孔908,909に相対向するように設けられた基部84b,85bを備えるとともに、当該基部84b,85bの外枠11内方側の端縁部から後方へ延出した折り返し部84e,85eを備えている。さらに、内枠12の挿通孔908,909の周囲にはリブ908a,909aが後方へ突出形成されている。これにより、内枠12の背面側から挿通孔908,909を介して線材等を進入させ、当該線材等により内枠12の施錠機構を操作するといった不正行為を行うことがさらに困難となり、さらなる防御性能の向上を図ることができる。
加えて、上記のように防御性能を高めることにより、施錠装置600自身の構成を比較的簡素なものにすることができる。
また、本実施形態では、内枠12の背面側(取付溝部901の奥壁部901a)に形成されたピン孔901bを介して、シリンダ錠700のリセットピン703を押圧操作して鍵穴702の形状(キーコード)を変更可能に構成されている。これにより、リセットピン703を操作するために、わざわざ施錠装置600を内枠12から取外すといった手間をかけずに済む。結果として、不正解錠に対する防御性能の向上を図りつつも、利便性の向上をも両立して図ることができる。
また、外枠11には、施錠装置600(取付溝部901の奥壁部901a)を内枠12の背面側から覆うように、延出壁部83が形成されている。これにより、内鉤部84,85及び内鉤受部609,610に対するさらなる防御性能の向上を図るとともに、奥壁部901aにピン孔901bが常時開口した状態のままであっても、当該ピン孔901bを介して線材等を進入させ、施錠装置600に対して不正行為を行うことは困難となる。
なお、上述した実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。
(a)施錠装置600の構成は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、内鉤受部609,610等の各鉤受部が第1摺動杆607等に一体形成されているが、これに限らず、例えば、内鉤受部609,610及び前鉤受部628,629,630に相当する部材をそれぞれ個別に基枠601に対し相対変位可能に組付けるとともに、これらを1つの摺動杆によって動かす構成としてもよい。
(b)内鉤受部609,610や前鉤受部628,629,630の構成は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、内鉤受部609,610等が上下方向に摺動変位する構成となっているが、これに限らず、例えば、内鉤受部609,610等に相当する部材が施錠位置と解錠位置とに回動変位する構成を採用してもよい。
また、内鉤受部609,610等の各鉤受部及びこれに対応する内鉤部84,85等の各鉤部の数は、上記実施形態の数に限定されるものではなく、例えば1つであってもよいし、内枠12の施錠機構に対応して3つ以上備えた構成としてもよい。
(c)シリンダ錠700の構成は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、固定部700aの背面側にキーコードを変更するためのリセットピン703が設けられているが、リセットピン703が固定部700aの前面側に設けられ、内枠12の前面側からキーコードの変更操作を行うことができる構成としてもよい。また、固定部700aの背面側にリセットピン703が設けられているが、これを内枠12の前面側から操作可能とする機構を備えた構成としてもよい。これらの場合、内枠12の背面側のピン孔901bは省略することができる。また、このような構成とすれば、内枠12を外枠11から開放した不安定な状態でキーコードの変更操作を行う必要がなく、内枠12を外枠11に閉鎖し安定した状態のまま作業を行うことができるため、作業性の向上を図ることができる。
また、上記実施形態では、取付溝部901の奥壁部901aに形成されたピン孔901bが常時開放した状態となっているが、これに限らず、ピン孔901b等の操作用孔部が通常時は閉じられ、使用時には開けられる構成を採用し防御性能を高めてもよい。
例えば、図24に示すように、ピン孔901bを塞ぐ蓋部920を取付溝部901の奥壁部901aに対し取外し不能に組付けた構成を採用してもよい。
より詳しくは、蓋部920の前面側には、上下2箇所ずつに係止爪920aが突出形成されている。これに対応して、奥壁部901aには係止孔901cが4つ形成されている。そして、当該係止爪920aを奥壁部901a前面側に係止することにより、当該蓋部920が組付けられる。蓋部920が奥壁部901aに組付けられた状態では、係止爪920aが奥壁部901a前面側に位置するため、内枠12の背面側から係止解除操作を行うことができなくなる。また、内枠12の前面側では施錠装置600の基枠601により取付溝部901が塞がれた状態となっているため、施錠装置600を取外す等しない限り、内枠12の前面側からも係止解除操作することはできない。つまり、蓋部920は、破壊等しない限り、取外せない状態となる。
一方、キーコードを変更しなくてはならない状況となった場合には、マイナスドライバー等の工具を蓋部920と奥壁部901aとの間に挿し込み、蓋部920(係止爪920a)を破壊する等して取外してピン孔901bを開放させることにより、当該ピン孔901bを介してシリンダ錠700のリセットピン703を操作することができる。なお、蓋部920を破壊する等して使用した場合でも、当該使用済みの蓋部920のみを、未使用の新たな蓋部920に取り替えるだけで元の状態に戻すことができる。
また、図25に示すように、シリンダ錠700のリセットピン703の位置に対応して、取付溝部901の奥壁部901aの一部に切離し可能な蓋部903を備えることにより、当該奥壁部901aにリセットピン703を操作するための操作用孔部が形成される構成としてもよい。
より詳しくは、奥壁部901aには、略矩形状の範囲を囲むようにミシン目状に複数のスリット901dが間欠的に設けられている。これにより、スリット901dにより囲まれた部位が蓋部903として画定されている。そして、キーコードを変更する場合には、カッター等の工具によりスリット901dに沿って蓋部903の周囲を切断することにより当該蓋部903を奥壁部901aの本体部から切離す。こうすることで、奥壁部901aには操作用孔部が形成され、当該操作用孔部を介して、リセットピン703を操作することができるようになる。
スリット901dに代えて、蓋部903の全周囲に薄肉部を設けることにより、奥壁部901aから切断可能となる構成としてもよい。このようにすれば、通常時には、線材等が進入する隙間が形成されないため、防御性能を高めることができる。
蓋部903が切離されると、奥壁部901aにはその痕跡が残る。そのため、万が一、蓋部903を開けて不正行為が行われた場合には、それを確認することで不正行為を早期発見できる。従って、不正行為の直接的な防止はもとより、不正行為を早期発見できるという側面からも不正行為の抑止を図ることができる。
勿論、リセットピン703、ピン孔901b、蓋部920、蓋部903などの形成位置、大きさ、範囲、形状、素材、組付構造などは、上記構成に限定されるものではなく、適宜、変更可能である。
また、錠部材は、シリンダ錠に限定されるものではなく、この他、電子キーのような鍵を用いて操作されるものであってもよい。かかる場合、適合する鍵の変更は、鍵穴702の形状変更など物理的なものではなく、リセットピン703等の操作に基づく電気的又は磁気的方法による情報の書換え等により行われることとなる。
(d)上記実施形態では、施錠装置600を内枠12の前面側からネジにより固定する構造となっている。これに限らず、例えば施錠装置600の基枠601に係止爪等を形成し、当該係止爪等により施錠装置600が取付溝部901に固定される構成としてもよい。また、施錠装置600を内枠12の前面側から取付溝部901に嵌め込んだ状態で、内枠12の背面側よりネジにより固定する構成としてもよい。
(e)上記実施形態では、施錠装置600の外郭を構成する基枠601が、内枠12に固定される取付板602と、当該取付板602の内枠12内方側の端縁から後方に突出した支持板603と、支持板603の後端縁から内枠12外方側に突出したフランジ部604とからなり、横断面略コ字状をなしている。しかしながら、基枠601の形状はこれに限定されるものではない。例えばフランジ部604を省略し、横断面略L字状となる構成としてもよい。
(f)上記実施形態では、施錠装置600に対応する上下区間全域を内枠12の背面側から覆う延出壁部83が外枠11に形成されている。これに限らず、延出壁部83を省略した構成としてもよいし、内鉤部84,85やピン孔901bに対応する部分においてのみ延出壁部83が形成された構成としてもよい。
(g)上記実施形態とは異なるタイプのパチンコ機として実施してもよい。また、パチンコ機以外にも、アレンジボール機、それに類する雀球等の各種遊技機などとして実施してもよい。
以下、特許請求の範囲の請求項に記載されないものであって、上記実施形態から把握できる技術的思想について、その効果とともに記載する。
手段1.支持体に対し開閉可能に支持された第1扉体と、
前記第1扉体の前面側にて当該第1扉体に対し開閉可能に支持された第2扉体と、
前記支持体に対し前記第1扉体を施錠しかつ前記第1扉体に対し前記第2扉体を施錠するための施錠装置とを備えた遊技機であって、
前記施錠装置は、
前記第2扉体の閉状態において当該第2扉体と前記第1扉体との間に形成される収容空間に配置されるとともに、
前記第1扉体に固定される基枠部材と、
前記基枠部材に固定されるとともに、前記第2扉体の閉状態において当該第2扉体の前面から所定の鍵により操作可能な錠部材と、
前記支持体に固定された第1鉤部と係合可能な第1鉤受部が前記基枠部材に対して相対変位可能に設けられ、前記第1扉体に形成された挿通孔を介して前記収容空間内へ進入した前記第1鉤部が前記第1鉤受部に係合して前記第1扉体の開放を規制する施錠状態から、前記第1鉤部が前記第1鉤受部から係合解除され前記第1扉体の開放を許容する解錠状態へ、少なくとも前記鍵による第1操作に応じた前記錠部材の動作に連動して切換わる第1施錠機構と、
前記第2扉体に固定された第2鉤部と係合可能な第2鉤受部が前記基枠部材に対して相対変位可能に設けられ、前記第2鉤部が前記第2鉤受部に係合して前記第2扉体の開放を規制する施錠状態から、前記第2鉤部が前記第2鉤受部から係合解除され前記第2扉体の開放を許容する解錠状態へ、少なくとも前記鍵による第2操作に応じた前記錠部材の動作に連動して切換わる第2施錠機構とを備え、
前記錠部材は、適合する鍵を変更するための操作部を備え、
前記施錠装置が前記第1扉体に固定された状態で、前記錠部材の操作部を操作可能としたことを特徴とする遊技機。
上記手段1によれば、施錠装置が、第1扉体と第2扉体との間に形成される収容空間に配置される。さらに、第1扉体の施錠に際しては、支持体に設けられた第1鉤部が第1扉体に形成された挿通孔を介して収容空間内へ進入し第1鉤受部に係合する構成となっている。つまり、第1扉体の背面側に鉤部等が突出しない構成となっている。このため、仮に支持体の背面側や、第1扉体と支持体との隙間から針金等の線材を差込み、第1扉体を不正に解錠する不正行為を行おうとした場合でも、線材を引っ掛けることのできる鉤部等の突出した部位がなく、前記不正行為を行うことは極めて困難となる。結果として、線材等を用いた不正解錠に対する防御性能を高めることができる。
さらに、施錠装置が第1扉体に固定された状態で、適合する鍵を変更するための操作部(例えば、シリンダ錠のキーコード変更用のリセットピン)が操作可能となっている。これにより、操作部を操作するために、わざわざ施錠装置を第1扉体から取外すといった手間をかけずに済む。
結果として、不正解錠に対する防御性能の向上を図りつつも、利便性の向上をも両立して図ることができる。
なお、鉤部及び鉤受部の「係合」とは、扉体を開方向に動かした場合に、鉤部及び鉤受部が接触して両者が係り合う位置関係にある状態をいう。つまり、扉体の施錠状態において、鉤部及び鉤受部が若干の遊びを有して非接触状態となっている場合でも、扉体を開方向に動かした場合に、鉤部及び鉤受部が接触して両者が係り合う位置関係にあれば、上記「係合」に含まれる。逆に、「係合解除」とは、扉体を開方向に動かした場合に、鉤部及び鉤受部が接触しない位置関係、又は接触しつつも扉体を開放可能な位置関係にある状態をいう。
また、鉤受部などの所定部材が「変位」することには、上下方向などの直線的な位置変化に限らず、例えば回動可能に軸支された所定部材が回動し、その姿勢が変化して、係合部等の所定部位の位置だけが変化することなども含まれる。従って、所定部材の「変位」とあるのを、所定部材の「動作」との表現に置き換えることも可能である。
また、錠部材の例としては、鍵が挿入されて回動操作されるシリンダ錠などが挙げられる。この場合、鍵により操作される作動部は、回動可能に設けられた錠軸や、当該錠軸に固定されたカム板等から構成されることとなる。かかる場合、第1操作及び第2操作としては、一方への回動操作、及び、他方への回動操作が挙げられる。
また、上記手段では、施錠装置が、第1扉体と第2扉体との間に形成される収容空間に配置されるとともに、第2扉体の閉状態において当該第2扉体の前面から所定の鍵により操作可能な構成となっているが、これは例えば、第2扉体の閉状態において、少なくとも錠部材の鍵穴が、第2扉体に形成される錠孔や切欠き部を介して、遊技機前面側(第2扉体の前面側)に露出する構成となっていることを意味する。
また、各種鉤部及びこれと係合する各種鉤受部の数は1組に限定されるものではなく、それぞれ複数組備えた構成としてもよい。
手段2.前記操作部は、前記錠部材(の固定部)の背面側に設けられ、
前記第1扉体にて前記施錠装置が収容される収容部の背壁部には、前記操作部に対応する位置において、当該操作部を操作するための操作用孔部が形成されていることを特徴とする手段1に記載の遊技機。
上記手段2によれば、施錠装置が第1扉体に固定された状態のまま、第1扉体の背面側から操作用孔部を介して錠部材の操作部を操作することができる。
手段3.前記操作用孔部を塞ぐ蓋部を、前記収容部の背壁部に対し取外し不能に組付けたことを特徴とする手段2に記載の遊技機。
上記手段3によれば、操作用孔部を塞ぐ蓋部を備えることにより、通常時において、不正解錠に対する十分な防御性能を確保することができる。なお、蓋部が「取外し不能」とあるのは、当該蓋部を破壊等しない限り、取外すことができない又は極めて困難であるといった意味である。例えば、蓋部に設けた係止片を第1扉体の収容部の背壁部前面側に係止することにより、当該蓋部が組付けられる構成が一例に挙げられる。かかる構成では、蓋部が収容部の背壁部に組付けられた状態で、係止片が背壁部前面側に位置するため、第1扉体の背面側から係止解除操作を行うことができなくなる。また、収容部の前面側が施錠装置の基枠により覆われる構成では、施錠装置を取外す等しない限り、第1扉体の前面側からも係止解除操作することはできなくなる。
一方、錠部材の交換時など正当な理由から、適合する鍵を変更しなくてはならない状況となった場合には、蓋部を破壊する等して取外して操作用孔部を開放させることにより、当該操作用孔部を介して錠部材の操作部を操作することができる。なお、蓋部を破壊する等して使用した場合でも、当該使用済みの蓋部のみを、未使用の新たな蓋部に取り替えるだけで元の状態に戻すことができる。従って、第1扉体全体を交換する必要がなく、リサイクル性に優れる。
手段4.前記操作部は、前記錠部材(の固定部)の背面側に設けられ、
前記第1扉体にて前記施錠装置が収容される収容部の背壁部には、前記操作部に対応する位置において、当該背壁部の一部に切離し又は切開き可能な蓋部を備えることにより、当該背壁部に前記操作部を操作するための操作用孔部を形成可能としたことを特徴とする手段1に記載の遊技機。
上記手段4によれば、適合する鍵を変更しなくてはならない状況となった場合には、背壁部の蓋部を切離し又は切開き、そこに形成された操作用孔部を介して、その作業を行うことができる。結果として、通常時における不正解錠に対する十分な防御性能を確保することができる。
加えて、蓋部が切離し等されると、第1扉体の収容部の背壁部にはその痕跡が残る。そのため、万が一、蓋部を開けて不正行為が行われた場合には、それを確認することで不正行為を早期発見できる。従って、不正行為の直接的な防止はもとより、不正行為を早期発見できるという側面からも不正行為の抑止を図ることができる。
また、上記「切離し」とは、第1扉体の収容部の背壁部から蓋部が取り除かれること(切除)を意味し、「切開き」とは、蓋部の一部が第1扉体の収容部の背壁部と連結された状態のまま開口部が形成されることを意味している。
手段5.前記支持体における前記第1鉤部より後方位置において、少なくとも前記施錠装置に対応する上下区間全域を前記第1扉体の背面側から覆う遮蔽部材を備えていることを特徴とする手段1乃至4のいずれかに記載の遊技機。
上記手段5によれば、支持体の背面側から線材等を進入させ、当該線材等により第1施錠機構を操作することがさらに困難となる。結果として、さらなる防御性能の向上を図ることができる。上記遮蔽部材は、少なくとも施錠装置に対応する上下区間全域を第1扉体の背面側から覆うように設けられているため、第1鉤部の周辺のみを部分的に覆う遮蔽部材に比べて、より高い防御性能を得ることができる。
また、第1扉体の収容部の背壁部に、錠部材の操作部を操作するための操作用孔部が開口した状態のままであっても、遮蔽部材があることにより、当該操作用孔部を介して線材等を進入させ、第1施錠機構を操作するといった不正行為を行うことは困難となる。
手段6.前記操作部は、前記錠部材(の固定部)の前面側に設けられていることを特徴とする手段1に記載の遊技機。
上記手段6によれば、第2扉体を開放すれば、施錠装置が第1扉体に固定された状態のままでも、第1扉体の前面側から錠部材の操作部を操作することができる。
手段7.前記第1扉体と当該第1扉体に固定された前記基枠部材との間に形成される内部空間に、前記第1施錠機構及び前記第2施錠機構が配設され、
前記基枠部材に形成された挿通孔を介して前記内部空間内へ進入した前記第2鉤部が前記第2鉤受部に係合可能となることを特徴とする手段1乃至6のいずれかに記載の遊技機。
上記手段7によれば、第1扉体と基枠部材との間に形成される内部空間に、第1施錠機構及び第2施錠機構が配置される。そして、第2扉体の施錠に際しては、当該第2扉体に設けられた第2鉤部が基枠部材に形成された挿通孔を介して空間内へ進入し第2鉤受部に係合する構成となっている。つまり、基枠部材から前面側に鉤部等が突出しない構成となっている。このため、仮に第1扉体と第2扉体との隙間から針金等の線材を差込み、第2扉体を不正に解錠する不正行為を行おうとした場合でも、線材を引っ掛けることのできる鉤部等の突出した部位が少なく、前記不正行為を行うことは極めて困難となる。結果として、線材等を用いた不正解錠に対する防御性能をさらに高めることができる。
以下に、上記各手段が適用される各種遊技機の基本構成を示す。
A.上記各手段における前記遊技機は弾球遊技機であること。より詳しい態様例としては、「遊技者が操作する操作手段(遊技球発射ハンドル)と、当該操作手段の操作に基づいて遊技球を弾いて発射する発射手段(発射モータ等)と、当該発射された遊技球が案内される遊技領域と、前記遊技領域内に配置された各入球手段(一般入賞口、可変入賞装置、作動口等)とを備えた弾球遊技機」が挙げられる。
B.上記各手段における前記遊技機は略鉛直方向に延びる遊技領域を備えた弾球遊技機であること。より詳しい態様例としては、「遊技者が操作する操作手段(遊技球発射ハンドル)と、当該操作手段の操作に基づいて遊技球を弾いて発射する発射手段(発射モータ等)と、当該発射された遊技球が案内され、略鉛直方向に沿って延びる所定の遊技領域(例えば遊技領域は遊技盤面等により構成される)と、前記遊技領域内に配置された各入球手段(一般入賞口、可変入賞装置、作動口等)とを備え、前記遊技領域を流下する遊技球の挙動を視認可能に構成されてなる弾球遊技機」が挙げられる。
C.上記各手段における前記遊技機、又は、上記各弾球遊技機は、パチンコ機又はパチンコ機に準ずる遊技機であること。