JP5287245B2 - 含フッ素ポリマーの製造方法 - Google Patents
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Description
分子中にラジカル重合性不飽和結合と親水基とを有する化合物として、特定の末端基を有する化合物も提案されている(例えば、特許文献4参照。)。
これらの方法は、分子中にラジカル重合性不飽和結合と親水基とを有する化合物が含フッ素ポリマーに共重合されるため、この化合物が低分子量のまま含フッ素ポリマー中に残存する問題を防ぐことができる。
本発明は、上記本発明の含フッ素ポリマーを含むことを特徴とする電解質膜である。
本発明は、上記本発明の含フッ素ポリマーを含むことを特徴とする膜電極接合体である。
本発明は、上記電解質膜又は上記膜電極接合体を含むことを特徴とする燃料電池である。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明において、上記含フッ素モノマーは1種のみ使用するものであってもよいし、2種以上使用するものであってもよい。
CF2=CF−O−(CF2CFXO)f−(CF2)g−CF3 (O)
(ここで、XはCF3又はFを表す。fは0〜3、gは0〜7が好ましい。)
特に、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)〔PMVE〕、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)〔PEVE〕、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)〔PPVE〕、CF2=CF−O−(CF2CFXO)2−(CF2)2−CF3(ここで、Xは上記と同じ。)が好ましい。
CR11R12=CR13(CR14R15)a−(O)b−R10−Z (P)
[式中、R11、R12、R13、R14及びR15は、同一若しくは異なって、F又は炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基を表し、R10は、主鎖に酸素原子を有していてもよい炭素数1〜8の直鎖又は分岐のパーフルオロアルキレン基を表し、aは、0〜6の整数を表し、bは、0又は1の整数を表し、Zは加水分解性の官能基を表す。]
CF2=CF−(CF2)c−Z (P1)
CF2=CF−(CF2C(CF3)F)d−Z (P2)
CF2=CF(CF2)e−O−(CF2CFXO)f−(CF2)g−Z (P3)
[各式中、Xは、F又は−CF3を表し、cは0〜8の整数を表し、dは1〜2の整数を表し、eは0〜2の整数を表し、fは0〜3の整数を表し、gは1〜8の整数を表し、Zは加水分解性の官能基を表す。]
上記Zとしては、−SO2F、−SO2Cl、−COOA1、−PO3A2A3[式中A1は、フルオロアルキル基を表し、A2及びA3は、同一若しくは異なって、フルオロアルキル基を表す。]が好ましい。
CF2=CF−SO2F
CF2=CFCF2−SO2F
CF2=CFOCF2CF2SO2F
CF2=CFOCF2CF2CF2CF2SO2F
CF2=CFCF2OCF2CF2SO2F
CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2SO2F
CF2=CFOCF2CF2COOCF3
CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2COOCF3
上記フッ素非含有エチレン性単量体は、耐熱性や耐薬品性等を維持する点で、炭素数5以下のエチレン性単量体から選ばれることが好ましい。該単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、塩化ビニル、塩化ビニリデンが挙げられる。
本明細書において、上記「変性PTFE」とは、TFEと、TFE以外の微量単量体との共重合体であって、非溶融加工性であるものを意味する。
上記微量単量体としては、例えば、HFP、PAVE等のフルオロオレフィン;パーフルオロアルキルエチレン;ω−ヒドロパーフルオロオレフィン等が挙げられる。
変性PTFEにおいて、上記微量単量体に由来する微量単量体単位の全単量体単位に占める含有率は、通常0.001〜2モル%の範囲である。
本明細書において、「全単量体単位に占める微量単量体単位の含有率(モル%)」とは、上記「全単量体単位」が由来する単量体、即ち、含フッ素ポリマーを構成することとなった単量体全量に占める、上記微量単量体単位が由来する微量単量体のモル分率(モル%)を意味する。
上記TFE/PAVE共重合体は、PAVEの含有量が1〜10モル%であることが好ましい。
上記TFE/PAVE共重合体としては、TFE/パーフルオロ(メチルビニルエーテル)〔PMVE〕共重合体〔MFA〕、TFE/パーフルオロ(エチルビニルエーテル)〔PEVE〕共重合体、TFE/パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)〔PPVE〕共重合体等が挙げられる。
これら溶融加工性のポリマーは、メルトフローレート(MFR)が0.1〜100(g/10分)であることが好ましい。
上記MFRは、ASTM D 1238に準拠して、融点が240℃以上のポリマーについては、372℃、加重5kgにて、融点が240℃未満のポリマーについては、270℃、加重2.16kgにて、それぞれ測定した値である。
上記プラストマーは、X線回折測定で回折ピークを有するか、または、これを有さない場合には、JIS K6394に準拠して、25℃で測定されるヤング率が1×107Pa以上であることが好ましい。上記ヤング率はより好ましくは1×108Pa以上であり、この範囲であれば1×1011Pa未満であってもよい。
上記パーハロポリマーは、重合体の主鎖を構成する炭素原子の全部にハロゲン原子が結合している重合体である。
上記平均粒子径は、含フッ素ポリマー濃度を0.22質量%に調整した水性分散液の単位長さに対する550nmの投射光の透過率と、透過型電子顕微鏡写真における定方向径を測定して決定された平均粒子径との検量線をもとにして、上記透過率から決定したものである。
一方、含フッ素化合物(2)は、フッ素原子が直接結合した炭素原子の数が上述の範囲内にあるフルオロカーボン基を有するので、従来より使用されている長鎖のフルオロアルキル基を有する含フッ素界面活性剤に比べ、親水性が強いため、単独で用いた場合には、初期誘導を生じさせる機能が低く、乳化粒子の数が少なくなる傾向がある。その結果、重合速度は遅くなり、エマルション中のポリマー濃度を高くすることも困難であるため、生産性よく含フッ素ポリマーを製造することは困難であった。
しかしながら、本発明者らは、このような悪化傾向を改善するための手段として、このように単独で使用した場合には充分な効果の得られない含フッ素ビニル基含有化合物(1)と含フッ素化合物(2)とを共存させることが有効であることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明者らは、乳化粒子の形成を容易にし収率を向上させる含フッ素ビニル基含有化合物(1)と、乳化粒子を安定化する能力を有する含フッ素化合物(2)とを組み合わせて、上述の両者の欠点を補完しあうことで、生産性良く含フッ素ポリマーを製造できることを見い出した。
公知文献には、このような2種類の化合物の併用に関する記載は存在しない。例えば、上記特許文献5においても含フッ素化合物(2)は任意の成分として記載されているのみで、含フッ素ビニル基含有化合物(1)との併用の効果への言及はない。
上記含フッ素ビニル基含有化合物(1)は、上述の含フッ素モノマーと共重合してポリマー鎖中に取り込まれる特徴がある。更に、上記含フッ素ビニル基含有化合物(1)に由来する単量体単位を有するポリマーは、一種の乳化作用を示すので、従来の重合方法から得られるポリマーよりも熱的に安定であり、成形時に加えられる熱による揮発・分解に起因する発泡・着色が生じにくい。
上記含フッ素ビニル基含有化合物(1)における親水性基としては、後述の一般式(I)におけるZ1及びZ2に関し例示したものが好ましい。
上記含フッ素ビニル基含有化合物(1)は、炭素数が合計で4〜26であるものが好ましい。
CR1R2=CR3(CR4R5)j−(O)k−R−Z1 (I)
で表される含フッ素ビニル基含有化合物(1a)であることが好ましい。
上記一般式(1)において、上記R1、R2、R3、R4及びR5は、同一若しくは異なって、フルオロアルキル基、H、F、Cl、Br又はIを表す。上記R1、R2、R3、R4及びR5としてのフルオロアルキル基は、炭素数1〜3であることが好ましい。上記R1、R2、R3、R4及びR5は、Fであることが好ましい。
上記Rは、主鎖に酸素原子〔−O−〕を有していてもよい直鎖若しくは分岐のパーフルオロアルキレン基を表す。
上記Rは、主鎖炭素数1〜23であることが好ましい。
上記パーフルオロアルキレン基は、主鎖に酸素原子を有している場合、該酸素原子としては、1〜10個のオキシアルキレン単位(好ましくは炭素数2〜3のもの)を構成する酸素原子であることが好ましい。
上記パーフルオロアルキレン基は、分岐鎖である場合、側鎖として−CF3を有することが好ましい。
上記jは、0〜6の整数を表し、0〜2の整数であることが好ましい。
上記kは、0又は1の整数を表す。
上記Z1は、親水基を表す。
上記Z1で表される親水基としては、−COOM1、−SO3M2、−SO2NR6R7又は−PO3M3M4が挙げられる。M1、M2、M3及びM4は、同一若しくは異なって、H又は一価カチオンを表し、R6及びR7は、同一又は異なって、水素原子、アルカリ金属、アルキル基若しくはスルホニル含有基を表す。
上記一価カチオンとしては、例えば、−Na、−K、−NH4等が挙げられる。
CF2=CFO−(CF2CF(CF3)O)l−(CF2)m−Z2 (II)
で表される含フッ素ビニル基含有化合物(1b)も挙げられる。
上記一般式(II)において、lは、0〜3の整数を表し、mは、2〜8の整数を表す。
Z2は、−COOM1、−SO3M2、−SO2NR6R7又は−PO3M3M4を表し、M1、M2、M3及びM4は、同一若しくは異なって、H又は一価カチオンを表し、R6及びR7は、同一又は異なって、水素原子、アルカリ金属、アルキル基若しくはスルホニル含有基を表す。
CF2=CF−(CF2)q−Z1 (i)
CF2=CF−(CF2C(CF3)F)r−Z1 (ii)
CF2=CF(CF2)s−O−(CF2CFXO)t−(CF2)u−Z1 (iii)
CF2=CFCF2O(CF(CF3)CF2O)v−CF(CF3)Z1 (iv)
[各式中、qは、1〜8の整数を表し、rは、1〜5の整数を表し、sは0〜2の整数を表し、tは0〜3の整数を表し、uは、1〜8の整数を表し、vは、0〜10の整数を表す。Xは、F又は−CF3を表し、Z1は、親水基を表す。]
CF2=CFCF2COONH4、CF2=CFCF2CF2COONH4、
CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2COONH4、
CF2=CFCF2SO3Na、CF2=CFCF2CF2SO3Na、
CF2=CFOCF2CF2SO3Na、
CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2SO3Na、
CF2=CFCF2OCF2CF2SO3Na、
CH2=CHCF2CF2COONH4、CH2=CHCF2CF2SO3Na、
CH2=CFCF2OCF(CF3)CF2OCF(CF3)COONH4
上記含フッ素化合物(2)における親水基は、上記含フッ素ビニル基含有化合物(1)において説明したものと同様である。
本発明において、「フッ素原子が直接結合した炭素原子が1〜6個の範囲で連続して結合する」とは、以下の意味を表す。
上記「フッ素原子が直接結合した炭素原子」とは、−CF3炭素、−CF2−炭素、−CFH−炭素、−CFR−炭素(Rは、アルキル基。)等、フッ素原子が結合している炭素原子を意味する。上記「1〜6個の範囲で連続して結合する」とは、分子中に存在する該炭素原子が1〜6の範囲で連続しており、7以上連続した単位を含まないことを意味する。すなわち、本発明は、上記「フッ素原子が直接結合した炭素原子」が7以上連続して結合する単位を含む化合物では、水への溶解性が低下する点に鑑み、このような問題を生じることのない含フッ素化合物を含フッ素化合物(2)として選択したものである。
上記「フッ素原子が直接結合した炭素原子が1〜6個の範囲で連続して結合する」構造は、1つの分子中に2以上有するものであってもよい。上記含フッ素化合物(2)において、本構造は、例えば、−Rfa−O−Rfa−、−Rfa−Rh−Rfb−、−Rfa−COO−Rfb−(各式中、Rfa及びRfbは、それぞれ任意の本構造を表す。Rhは、任意のアルケニル基を表す。)等、本構造以外の構成単位を介して2以上有するものであってもよい。
上記乳化重合は、上記含フッ素化合物(2)を1種存在させるものであってもよいし、2種以上存在させるものであってもよい。
Y−Rf−Z3 (III)
で表される含フッ素化合物(2a)であることが好ましい。
上記Rfは、エーテル酸素を含んでもよい炭素数2〜16個の直鎖又は分岐の飽和フルオロアルキレン基を表す(但し、フッ素原子が直接結合した炭素原子の7個以上の連鎖を含まない)。上記Rfは、エーテル酸素を含んでもよい炭素数2〜5個の直鎖又は分岐の飽和フルオロアルキレン基であることが好ましい。上記Z3は、−COOM1、−SO3M2、−SO2NM3M4又は−PO3M5M6を表す。上記M1、M2、M3、M4、M5及びM6は、同一又は異なって、H又は一価カチオンを表す。上記一価カチオンとしては、上述のものが挙げられる。
Y1−(CF2)aa−Z4 (v)
Y2−(CF2)ab−O−CF(CF3)−Z5 (vi)
Y3−(CF2)ac−O−CF2CF2−Z6 (vii)
CF3CHF−O−CF2CF2−Z7 (viii)
(Y1、Y2及びY3は、それぞれ、H、F又はClを表し、Z4、Z5、Z6及びZ7は、上記Z3と同じ。aaは、2〜5、好ましくは3〜4である。abは、1〜3を表す。acは1〜3を表す。)
CF3(CF2)4COONH4、CF3(CF2)3COONH4、
CF3(CF2)2COONH4、CF3(CF2)3SO3Na、
CF3(CF2)3SO2NH2、(CF3)2CFCF2COONH4、
H(CF2)4COONH4、CF3(CF2)2−O−CF(CF3)COONH4、
(CF3)2CF−O−CF(CF3)COONH4、
CF3−O−CF(CF3)COONH4、
HCF2CF2−O−CF2CF2SO3Na、
HCF2CF2−O−CF2CF2SO2NH2、
CF3CHF−O−CF2CF2SO3Na
上記連鎖移動剤は、重合媒体中への分散性、連鎖移動性、目的の製品からの除去性の点で、エタン、イソペンタン、メタノール、イソプロパノール、アセトン、及び/又は、酢酸エチルであることがより好ましい。
上記pH調整剤及びラジカル捕捉剤は、それぞれ、従来公知のものを使用することができる。
上記含フッ素ビニル基含有化合物(1)は、水性媒体の10ppmに相当する量よりも少ないと、重合初期での乳化粒子の生成数が少なくなり重合速度が遅くなるため、生産効率が悪くなることがあり、水性媒体の300ppmに相当する量よりも多いと、重合開始までの誘導期間が極端に長くなり生産効率が悪くなることがあるので、好ましくない。
上記含フッ素ビニル基含有化合物(1)の添加量は、より好ましくは水性媒体の15ppmに相当する量以上、250ppmに相当する量以下であり、更に好ましくは水性媒体の20ppmに相当する量以上、水性媒体の200ppmに相当する量以下である。
上記ラジカル重合において、重合初期には上記乳化粒子が存在しないので、水性媒体に溶解したモノマーとラジカル種との反応によりオリゴマーを形成する水溶液重合が生じ、更に、上記オリゴマーのうち非水溶性のものが乳化粒子に変換する相転移が生じた後、本乳化粒子が乳化重合により生長して含フッ素ポリマー鎖が伸張する。ここで、非水溶性のオリゴマーとしては、含フッ素モノマー単位の割合が高いオリゴマーが挙げられる。しかしながら、上記水溶液重合では、含フッ素ビニル基含有化合物(1)は、水に対する溶解度がより高いので、含フッ素モノマーに優先してラジカル種と反応する。その結果、上記水溶液重合において主に生成されるオリゴマーは、含フッ素ビニル基含有化合物(1)単位の割合が高いので、親水性となり、相転移することができない。すなわち、含フッ素ビニル基含有化合物(1)が消費され、水性媒体における含フッ素モノマーに対する含フッ素ビニル基含有化合物(1)の存在比が小さくなり、含フッ素モノマー単位の割合が高いオリゴマーが生成されるまで相転移が生じない。ゆえに、含フッ素ビニル基含有化合物(1)の量が多いと、誘導期間が長くなると考えられる。
水性媒体の100ppmに相当する量よりも少ないと、エマルションの安定化効果が得られない場合があり、50000ppmに相当する量よりも多いと、後処理工程が困難になる場合がある。
上記ラジカル重合開始前における含フッ素化合物(2)の濃度は、より好ましくは水性媒体の200ppmに相当する量以上、20000ppmに相当する量以下であり、更に好ましくは水性媒体の500ppmに相当する量以上、水性媒体の10000ppmに相当する量以下である。
本発明において、重合終了時点でポリマー濃度が高いエマルションが得られる点で、水性媒体の10〜300ppmに相当する量の含フッ素ビニル基含有化合物(1)と、水性媒体の100〜50000ppmに相当する量の含フッ素化合物(2)とを水性媒体に添加することが好ましい。
上記ラジカル重合において、含フッ素モノマー、含フッ素ビニル基含有化合物(1)及び上記含フッ素化合物(2)、並びに、所望により添加する連鎖移動剤、重合開始剤等の添加剤は、重合反応の間、所望の含フッ素ポリマーの組成や収量に応じ、適宜追加することができる。
上記温度が10℃未満である場合、工業スケールにおいて有効な大きさの反応速度にすることができないことがあり、120℃を超える場合、重合反応を維持する為に必要な反応圧力が高くなり、反応を維持することができなくなることがある。
上記圧力は、好ましい下限が0.4MPaであり、好ましい上限が2.0MPaである。
上記ラジカル重合を半回分操作で行う場合、所望の重合圧力は、初期供給時の含フッ素モノマーガスの量を調整することにより重合初期に達成することができ、反応開始後は、含フッ素モノマーガスの追加供給量を調整することにより圧力を調整することができる。
上記ラジカル重合を連続操作で行う場合、所望の重合圧力は、得られるエマルションの流出管の背圧を調整することにより圧力を調整する。
上記ラジカル重合は、一般に0.5〜100時間行う。
上記エマルションは、長鎖の含フッ素アルキル基を有する従来の界面活性剤を含有しないので、ポリマー成形における発泡、着色等、上記界面活性剤に起因する問題がなく、容易に精製することができる。
上記含フッ素ポリマー粒子は、含フッ素ビニル基含有化合物(1)に由来する単量体単位を含むので、分散性に優れており、従来の界面活性剤を含有しない水性媒体でも安定に分散することができる。
上記エマルションにおける含フッ素ポリマー濃度は、好ましくは22質量%以上、より好ましくは25質量%以上であり、上記範囲内であれば60質量%以下であってもよい。
本明細書において、含フッ素ポリマー濃度(P)は、試料約1g(X)を直径5cmのアルミカップにとり、100℃、1時間で乾燥した後、更に300℃、1時間乾燥して得られる加熱残分(Z)に基づき、式:P=Z/X×100(%)にて決定したものである。
上記後処理工程及び粉末に加工する工程における操作並びにその条件は、特に限定されず、従来公知の方法を行うことができる。
得られる含フッ素ポリマーを半導体製造装置の部材や燃料電池用電解質膜等、高度な安定性が要求される用途に使用する場合には、含フッ素ポリマー主鎖末端及び含フッ素ビニル基含有化合物(1)に由来する親水基が、−COOH、−COF、−CF=CF2等の不安定基になり、性能を悪化させることがあるので、本工程を行うことが好ましい。本安定化を行うことにより、得られる含フッ素ポリマーの成形における発泡、着色等の問題を防止することができる。
上記安定化の方法としては、フッ素ガス等のフッ素化剤と接触させて不安定基を−CF3基に変換する方法、不安定末端基をカルボン酸塩に変換した後、脱炭酸反応により−CF2H基に変換する方法などがあるが、国際公開第2005−028522号パンフレット等に記載のフッ素ガスに接触させる方法が最も簡便であり、好ましい。
本発明の含フッ素ポリマーは、上述したように、従来のものより安定な含フッ素ポリマー水性分散液の材料として有用である。
上記含フッ素ポリマーを含む膜電極接合体もまた、本発明の一つである。
上記電解質膜又は上記膜電極接合体を含む燃料電池もまた、本発明の一つである。
上記電解質膜、上記膜電極接合体及び上記燃料電池は、何れも、従来公知の方法により本発明の含フッ素ポリマーを用いて製造することができる。
各実施例及び比較例における組成物の量は、特に断りがない場合は、質量基準である。
試料約1g(X)を直径5cmのアルミカップにとり、100℃、1時間で乾燥した後、更に300℃、1時間乾燥して得られる加熱残分(Z)に基づき、式:P=Z/X×100(%)にて決定した。
各サンプルを270℃で10分間ヒートプレスして、透明なフィルムを得た後、該フィルムをフーリエ変換式赤外吸光分光法にて波数400〜4000cm−1の範囲で測定することにより行った。
上記フーリエ変換式赤外吸光分光法に用いるフーリエ変換式赤外吸光分光器として、パーキンエルマー社製Spectrum One型スペクトロメーターを使用し、走査回数は8回とした。
上記測定の分析は、もはやスペクトルに実質的差異がみられなくなるまで充分にフッ素化した標準サンプルとの差スペクトルを取得し、各官能基に帰属される波数での吸光度を読み取り、次式に従って炭素数106個あたりの官能基の個数を算出した。
炭素数106個あたりの末端基の個数 = I×K/t
(上記式において、Iは上記吸光度、Kは表1に示す補正係数、tは測定に供したフィルムの厚さ(単位:mm)である。)
なお、−COO−については、表1に示した2つの−COO−を示す波数につき上式から算出した値の和を炭素数106個あたりの−COO−の個数とした。
また、この算式で炭素数106個あたりの官能基の個数が1未満となった場合、本測定法において測定限界以下とするが、官能基の存在そのものを否定する訳ではない。
BRUKER社製NMR測定装置を用いて、19F−NMRを測定して求めた。
攪拌機を備えた内容積6Lのステンレス製オートクレーブに、3000mlの脱イオン水、並びに、含フッ素ビニル基含有化合物(1)としてCF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2SO3Na0.3g(脱イオン水量の100ppmに相当する量)を、含フッ素化合物(2)としてF(CF2)4COONH43g(脱イオン水量の1000ppmに相当する量)を仕込み、窒素加圧、減圧脱気を繰り返した後、減圧下にCF2=CFOCF2CF2SO2F170gを仕込んだ。引き続き、真空、テトラフルオロエチレン〔TFE〕置換を2回繰り返した後、50℃に昇温し、TFEでゲージ圧0.7MPaに加圧した。引き続き、重合開始剤として7.5質量%の過硫酸アンモニウム水溶液20gを圧入して重合を開始した。
上記重合開始剤を圧入した後、20分経った時点で圧力低下が始まるので、重合槽圧力を0.7MPaに保つようにTFEを供給した。また、TFEの供給量に対して、質量比で0.7倍に相当する量のCF2=CFOCF2CF2SO2Fを連続的に供給して重合を継続した。
11時間後、TFEの供給量が770gになった時点で重合槽の圧力を開放して重合を停止し、冷却して白色のポリマーディスパージョン(エマルション)4500gを得た。
オートクレーブ内には、付着ポリマーは殆ど認められなかった。
得られたエマルションの一部を乾燥してポリマー濃度を測定したところ、29.0%であった。
引き続き100℃で乾燥して580gのポリマーを得た。
得られたパーフルオロポリマーを固体NMRで分析して組成を調べたところ、TFE81モル%とCF2=CFOCF2CF2SO2F19モル%の共重合体であることがわかった。
IR分析の結果、炭素106個あたり200個の−COO−と60個の−SO3Hが存在することがわかった。
得られたパーフルオロポリマーのIR分析の結果、−COO−基と−SO3H基は定量限界(共に炭素106個あたり5個)以下であった。
攪拌機を備えた内容積6Lのステンレス製オートクレーブに、脱イオン水3リットル、パラフィンワックス120g(融点56℃)、及び、含フッ素ビニル基含有化合物(1)としてCF2=CFOCF2CF2SO3Na0.6g(脱イオン水量の200ppmに相当する量)を、含フッ素化合物(2)としてF(CF2)5COONH43g(脱イオン水量の1000ppmに相当する量)を仕込み、オートクレーブ内を真空・窒素置換した。更に、オートクレーブを真空にした後、TFEモノマーで2回置換して、0.20MPaに加圧して70℃まで昇温した。TFEで0.80MPaまで加圧した後、引き続き、重合開始剤として0.15質量%の過硫酸アンモニウム水溶液20gを圧入して重合を開始した。
重合開始剤を圧入した後、20分経った時点で圧力低下が始まるので、重合槽圧力を0.8MPaに保つようにTFEを供給して重合を継続した。
9時間後、TFEの供給量が800gになった時点で重合槽の圧力を開放して重合を停止し、冷却してパラフィンを回収し、白色のPTFEディスパージョン(エマルション)3750gを得た。
得られたエマルションの一部を乾燥して固形分濃度を測定したところ、21.0%であった。
オートクレーブ内には、付着ポリマーは殆ど認められなかった。
引き続き150℃で乾燥して100gのPTFEポリマーを得た。
攪拌機を備えた内容積3Lのステンレス製オートクレーブに、脱イオン水1500g、含フッ素ビニル基含有化合物(1)としてCF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2COONa0.2g(脱イオン水量の133ppmに相当する量)、含フッ素化合物(2)としてF(CF2)5COONH47.5g(脱イオン水量の0.5%に相当する量)を仕込み、pH調整剤として炭酸アンモニウム(1水塩)を1.8g仕込んだ。オートクレーブ内を真空・窒素置換した後、ヘキサフルオロプロピレン〔HFP〕を0.2MPaになるように導入し、80℃まで昇温した。引き続き、HFP、TFEを圧力が0.8MPaになるまで導入し、気相部の組成が25/75モル%であることをガスクロマトグラフィーにて確認した。引き続き、重合開始剤として7.5質量%の過硫酸アンモニウム水溶液10gを圧入して重合を開始した。
重合開始剤を圧入した後、30分経った時点で圧力低下が始まるので、重合槽圧力を0.8MPaに保つようにTFE/HFP=88/12モル比の混合ガスを供給して重合を継続した。また、重合速度を維持するため、3時間毎に、7.5質量%の過硫酸アンモニウム水溶液4gを追加した。重合開始20時間後に攪拌を停止してモノマーガスを放出し、反応を停止させた。その後、室温まで冷却して白色のTFE/HFP共重合体〔FEP〕ディスパージョン(エマルション)2050gを得た。
得られたエマルションの一部を乾燥して固形分濃度を測定したところ、25.8%であった。
オートクレーブ内には、付着ポリマーは殆ど認められなかった。
引き続き100℃で乾燥して380gのポリマーを得た。
このポリマーをNMRで分析したところ、TFE88.5モル%、HFP11.5モル%のFEPであった。
攪拌機を備えた内容積6Lのステンレス製オートクレーブに、脱イオン水3リットル、含フッ素ビニル基含有化合物(1)としてCF2=CFOCF2CF2SO3Na0.6g(脱イオン水量の200ppmに相当する量)、含フッ素化合物(2)としてF(CF2)5SO3Na6g(脱イオン水量の2000ppmに相当する量)を仕込み、オートクレーブ内を真空・窒素置換した後、真空引きして連鎖移動剤としてのエタン20mlを仕込んだ。続いてパーフルオロ(プロピルビニルエーテル)〔PPVE〕45gを吸引させ、TFEモノマーで0.20MPaに加圧して70℃まで昇温した。その後TFEで0.80MPaまで加圧し、重合開始剤として0.30質量%の過硫酸アンモニウム水溶液20gを圧入して重合を開始した。
重合開始剤を圧入した後、30分経った時点で圧力低下が始まるので、重合槽圧力を0.8MPaに保つようにTFEを供給した。また、5時間毎にPPVE20gと0.30質量%の過硫酸アンモニウム水溶液8gを追加して重合を継続した。
15時間後、TFEの供給量が850gになった時点で重合槽の圧力を開放して重合を停止し、冷却してパラフィンを回収し、白色のTFE/PAVE共重合体〔PFA〕エマルション4100gを得た。
得られたエマルションの一部を乾燥して固形分濃度を測定したところ、23.4%であった。
オートクレーブ内には、付着ポリマーは殆ど認められなかった。
得られたエマルション2000gを2倍に希釈し、硝酸を加えて凝析し、スラリーをろ別した。回収したスラリーを10Lのポリエチレン製容器に投入し、5Lのイオン交換水を加えて再分散し、ろ別して洗浄した。この洗浄工程をさらに3回繰り返した後のろ液のpHは5であり、酸が充分に除去できたことを確認した。
引き続き100℃で乾燥して450gのポリマーを得た。
このポリマーをNMRで分析したところ、TFE97.5モル%、PPVE2.5モル%のPFAであった。
含フッ素化合物(2)を使用せず、F(CF2)7COONH415gを乳化剤として用いた以外は、実施例1と同様に重合を実施した。10時間の重合時間により、PTFEディスパージョン4500gを得た。
オートクレーブ内には、付着ポリマーは殆ど認められなかった。
得られたディスパージョンの一部を乾燥して固形分濃度を測定したところ、29.0%であった。
得られたディスパージョン2000gを3倍に希釈し、硝酸を加えて凝析し、スラリーをろ別した。回収したスラリーを10Lのポリエチレン製容器に投入し、5Lのイオン交換水を加えて再分散し、ろ別して洗浄した。この洗浄工程を更に3回繰り返した後のろ液のpHは3であった。また、ろ液の泡立ちが認められ、乳化剤として用いたF(CF2)7COONH4の除去が不充分であることが示唆された。
含フッ素化合物(2)を用いないこと以外は、実施例1と同様にして重合を行った。10時間後、TFEの供給量が770gになった時点で重合槽の圧力を開放して重合を停止し、冷却してオートクレーブを開放したところ、多量のパーフルオロポリマーが分離していることが確認された。
ポリマーをろ別して水相を回収し、固形分濃度を測定したところ4.5%であった。
以上より、この条件では得られたディスパージョンが不安定であることが示された。
含フッ素化合物(2)を用いないこと以外は、実施例2と同様にして重合を実施した。TFEの供給量が550gになった時点で圧力が低下しなくなり、重合反応が停止した。重合槽の圧力を開放して重合を停止し、冷却してオートクレーブを開放したところ、多量のパーフルオロポリマーが分離していることが確認された。
ポリマーをろ別して水相はほとんど透明であり、ポリマー粒子はほとんど存在しなかった。
以上より、この条件ではディスパージョンが不安定であることが示された。
Claims (12)
- 水性媒体中において含フッ素モノマーをラジカル重合して含フッ素ポリマーを製造する方法であって、
前記ラジカル重合は、ラジカル重合性不飽和結合と親水基とを有する含フッ素ビニル基含有化合物(1)、及び、フッ素原子が直接結合した炭素原子が1〜6個の範囲で連続して結合するものであるフルオロカーボン基と親水基とを有する含フッ素化合物(2)の存在下で行われ、
前記親水基は、−COOM1、−SO3M2、−SO2NH 2 又は−PO3M3M4(M1、M2、M3及びM4は、同一又は異なって、H又は一価カチオンを表す。)であり、
前記含フッ素化合物(2)は、下記一般式(III)
Y−Rf−Z3 (III)
(Yは、H、Cl又はFを表し、Rfは、エーテル酸素を含んでもよい炭素数2〜5個の直鎖又は分岐の飽和フルオロアルキレン基を表し、Z3は、−COOM1、−SO3M2、−SO2NH 2 又は−PO3M5M6を表し、M1、M2 、M5及びM6は、同一又は異なって、H又は一価カチオンを表す。)で表される含フッ素化合物(2a)である
ことを特徴とする含フッ素ポリマー製造方法。 - 含フッ素ポリマーはパーハロポリマーである請求項1記載の含フッ素ポリマー製造方法。
- 含フッ素ビニル基含有化合物(1)は、下記一般式(I)
CR1R2=CR3(CR4R5)j−(O)k−R−Z1 (I)
[式中、R1、R2、R3、R4及びR5は、同一若しくは異なって、フルオロアルキル基、H、F、Cl、Br又はIを表し、Rは、主鎖に酸素原子を有していてもよい直鎖若しくは分岐のフルオロアルキレン基を表す。jは、0〜6の整数を表し、kは、0又は1の整数を表し、Z1は、親水基を表す。]で表される含フッ素ビニル基含有化合物(1a)である請求項1又は2記載の含フッ素ポリマー製造方法。 - 含フッ素ビニル基含有化合物(1)は、下記一般式(II)
CF2=CFO−(CF2CF(CF3)O)l−(CF2)m−Z2 (II)
[式中、lは、0〜3の整数を表し、mは、2〜8の整数を表す。Z2は、−COOM1、−SO3M2、−SO2NH 2 又は−PO3M3M4を表し、M1、M2、M3及びM4は、同一若しくは異なって、H又は一価カチオンを表す。]
で表される含フッ素ビニル基含有化合物(1b)である請求項1又は2記載の含フッ素ポリマー製造方法。 - 水性媒体の10〜300ppmに相当する量の含フッ素ビニル基含有化合物(1)を添加する請求項1〜4の何れか1項に記載の含フッ素ポリマー製造方法。
- 水性媒体の100〜50000ppmに相当する量の含フッ素化合物(2)を添加する請求項1〜5の何れか1項に記載の含フッ素ポリマー製造方法。
- ラジカル重合終了時点で含フッ素ポリマー濃度が20質量%以上であるエマルションを得る請求項1〜6の何れか1項に記載の含フッ素ポリマー製造方法。
- 含フッ素ポリマーが有する不安定基をフッ素化により安定化する工程を含む請求項1〜7の何れか1項に記載の含フッ素ポリマー製造方法。
- 請求項1〜8の何れか1項に記載の含フッ素ポリマー製造方法により得られる
ことを特徴とする含フッ素ポリマー。 - 請求項9記載の含フッ素ポリマーを含む
ことを特徴とする電解質膜。 - 請求項9記載の含フッ素ポリマーを含む
ことを特徴とする膜電極接合体。 - 請求項10記載の電解質膜又は請求項11記載の膜電極接合体を含む
ことを特徴とする燃料電池。
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