以下に、本発明を適用可能な実施の形態の説明をする。以下の説明は、本発明の実施形態についてのものであり、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
始めに、図1を用いて、本実施の形態に係る液晶表示装置について説明する。図1は、液晶表示装置に用いられる薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:TFT)アレイ基板の構成を示す正面図である。本実施の形態に係る液晶表示装置は、TFTアレイ基板に画素電極と対向電極とが形成されたFFSモードの液晶表示装置である。
本実施の形態に係る液晶表示装置は、基板10を有している。基板10は、例えば、TFTアレイ基板等のアレイ基板である。基板10には、表示領域41と表示領域41を囲むように設けられた額縁領域42とが設けられている。この表示領域41には、複数のゲート配線(走査信号線)43と複数のソース配線(表示信号線)44とが形成されている。複数のゲート配線43は平行に設けられている。同様に、複数のソース配線44は平行に設けられている。ゲート配線43とソース配線44とは、互いに交差するように形成されている。隣接するゲート配線43とソース配線44とで囲まれた領域が画素47となる。従って、基板10では、画素47がマトリクス状に配列される。
基板10の額縁領域42には、走査信号駆動回路45と表示信号駆動回路46とが設けられている。ゲート配線43は、表示領域41から額縁領域42まで延設され、基板10の端部で、走査信号駆動回路45に接続される。ソース配線44も同様に、表示領域41から額縁領域42まで延設され、基板10の端部で、表示信号駆動回路46と接続される。走査信号駆動回路45の近傍には、外部配線48が接続されている。また、表示信号駆動回路46の近傍には、外部配線49が接続されている。外部配線48、49は、例えば、FPC(Flexible Printed Circuit)等の配線基板である。
外部配線48、49を介して走査信号駆動回路45、及び表示信号駆動回路46に外部からの各種信号が供給される。走査信号駆動回路45は外部からの制御信号に基づいて、ゲート信号(走査信号)をゲート配線43に供給する。このゲート信号によって、ゲート配線43が順次選択されていく。表示信号駆動回路46は外部からの制御信号や、表示データに基づいて表示信号をソース配線44に供給する。これにより、表示データに応じた表示電圧を各画素47に供給することができる。
画素47内には、少なくとも1つのTFT50が形成されている。TFT50はソース配線44とゲート配線43の交差点近傍に配置される。例えば、このTFT50が画素電極に表示電圧を供給する。即ち、ゲート配線43からのゲート信号によって、スイッチング素子であるTFT50がオンする。これにより、ソース配線44から、TFT50のドレイン電極に接続された画素電極に表示電圧が印加される。さらに、画素電極は、スリットを有する共通電極(対向電極)と絶縁膜を介して対向配置されている。画素電極と対向電極との間には、表示電圧に応じたフリンジ電界が生じる。なお、基板10の表面には、配向膜(図示せず)が形成されている。画素47の詳細な構成については、後述する。
更に、基板10には、対向基板が対向して配置されている。対向基板は、例えば、カラーフィルタ基板であり、視認側に配置される。対向基板は、アレイ基板との間のセルギャップが例えば1〜5μm程度となるように対向配置される。対向基板には、ブラックマトリクス(BM)、カラーフィルタ、及び配向膜等が形成されている。カラーフィルタと配向膜の間に、さらにオーバーコート膜や柱状フォトスペーサが形成されていてもよい。
基板10と対向基板との間には液晶層が狭持される。即ち、基板10と対向基板との間には液晶が導入されている。本実施の形態では、液晶は、電圧が印加されていない時、ゲート配線43に対して0°より大きく90°より小さい角度αで配向されている。すなわち、液晶の配向方向(遅相軸)が、ゲート配線43の延在方向に対して0°<α<90°となる角度αに設定されている。よって、基板10及び対向基板の液晶と接する側の面に形成された配向膜は、ゲート配線43の延在方向に対して角度αで傾斜した配向方向を有している。
更に、基板10と対向基板との外側の面には、偏光板、及び位相差板等が設けられる。また、液晶表示パネルの反視認側には、バックライトユニット等が配設される。本実施の形態では、偏光板の吸収軸は、液晶の配向方向(遅相軸)に対して垂直又は平行となる向きに設定される。これについて、図2を用いて説明する。図2は、本発明の実施の形態に係る偏光板の配置方向を説明するための図である。図2に示すように、アレイ基板側の偏光板15の吸収軸を液晶の配向方向(遅相軸)と平行な方向であるゲート配線43の延在方向に対して角度αとなる向きに設定した場合は、対向基板側の偏光板25の吸収軸をこれとクロスニコルになる角度α+90°とする。一方、アレイ基板側の偏光板15の吸収軸を液晶の配向方向(遅相軸)と垂直な方向であるゲート配線43の延在方向に対して角度α+90°となる向きに設定した場合は、対向基板側の偏光板25の吸収軸をこれとクロスニコルになる角度αとする。このように、偏光板15、25は、液晶の配向方向、又は配向方向と垂直な垂直方向に設定された吸収軸を有する。
画素電極と対向電極との間のフリンジ電界によって、液晶が駆動される。即ち、印加される電圧により、基板間の液晶の配向方向が変化する。これにより、液晶層を通過する光の偏光状態が変化する。即ち、偏光板を通過して直線偏光となった光は液晶層によって、偏光状態が変化する。具体的には、図2に示すように、バックライトユニットからの光は、アレイ基板側の偏光板15によって直線偏光になる。この直線偏光が液晶20層を通過することによって、偏光状態が変化する。
偏光状態によって、対向基板側の偏光板25を通過する光量は変化する。即ち、バックライトユニットから液晶表示パネルを透過する透過光のうち、視認側の偏光板25を通過する光の光量が変化する。液晶の配向方向は、印加される表示電圧によって変化する。従って、表示電圧を制御することによって、視認側の偏光板25を通過する光量を変化させることができる。即ち、画素ごとに表示電圧を変えることによって、所望の画像を表示することができる。
対向基板側の偏光板25をこのように通過してきた透過光30の光軸は、ゲート配線43に対して角度α、又はα+90°の偏光方向の直線偏光となる。具体的には、図2に示すように、対向基板側の偏光板の吸収軸がゲート配線43に対して角度α+90°となる向きに設定されている場合は、ゲート配線43に対して角度αの偏光方向の透過光30が液晶表示装置から透過する。一方、対向基板側の偏光板25の吸収軸がゲート配線43に対して角度αとなる向きに設定されている場合は、ゲート配線43に対して角度α+90°の偏光方向の透過光30が液晶表示装置から透過する。この角度αの値は、前述したように、ゲート配線43の延在方向に対して0°<α<90°に設定されている。よって、液晶表示装置から透過してくる透過光30の偏光方向は、偏光サングラス35の吸収軸が配置された水平方向と完全に一致しなくなる。従って、偏光サングラス35をかけて画像を見たときに、横置き(ランドスケープ)、あるいは縦置き(ポートレート)のどちらかで表示が真っ黒になることを防止できる。すなわち、偏光サングラス35を装着したまま横置き(ランドスケープ)、縦置き(ポートレート)ともに表示を観察することができる。
続いて、本実施の形態に係る液晶表示装置の画素構成について、図3及び図4を用いて説明する。図3は、本発明の実施の形態に係るTFTアレイ基板の画素構成を示した平面図である。図4は、図3のIV−IV断面図である。図3はTFTアレイ基板の画素47の1つを示している。ここでは、チャネルエッチ型のTFT50が形成されている場合について例示的に説明をする。
図3及び図4において、ガラス等の透明な絶縁性の基板10上に、その一部がゲート電極1を構成するゲート配線43が形成されている。ゲート配線43は、基板10上において一方向に直線的に延在するように配設されている。ゲート電極1及びゲート配線43は、例えばCr、Al、Ta、Ti、Mo、W、Ni、Cu、Au、Agやこれらを主成分とする合金膜、またはこれらの積層膜によって形成されている。
ゲート電極1及びゲート配線43を覆うように、第1の絶縁膜であるゲート絶縁膜11が設けられている。ゲート絶縁膜11は、窒化シリコン、酸化シリコン等の絶縁膜により形成されている。そして、TFT50の形成領域では、ゲート絶縁膜11を介してゲート電極1の対面に半導体層2が設けられている。ここでは、半導体層2はゲート配線43と重なるようゲート絶縁膜11の上に形成され、この半導体層2と重複する領域のゲート配線43がゲート電極1となる。半導体層2は、例えば、非晶質シリコン、多結晶ポリシリコン等により形成されている。
なお、半導体層2上の両端に、導電性不純物がドーピングされたオーミックコンタクト膜(不図示)がそれぞれ形成されている。オーミックコンタクト膜に対応する半導体層2の領域は、ソース・ドレイン領域となる。具体的には、図3中の上側のオーミックコンタクト膜に対応する半導体層2の領域がソース領域となる。そして、図3中の下側のオーミックコンタクト膜に対応する半導体層2の領域がドレイン領域となる。このように、半導体層2の両端にはソース・ドレイン領域が形成されている。そして、半導体層2のソース・ドレイン領域に挟まれた領域がチャネル領域となる。半導体層2のチャネル領域上には、オーミックコンタクト膜は形成されていない。オーミックコンタクト膜は、例えば、リン(P)等の不純物が高濃度にドーピングされた、n型非晶質シリコンやn型多結晶シリコンなどにより形成されている。
オーミックコンタクト膜の上に、ソース電極4及びドレイン電極5が形成されている。具体的には、ソース領域側のオーミックコンタクト膜上に、ソース電極4が形成されている。そして、ドレイン領域側のオーミックコンタクト膜の上に、ドレイン電極5が形成されている。このように、チャネルエッチ型のTFT50が構成されている。そして、ソース電極4及びドレイン電極5は、半導体層2のチャネル領域の外側へ延在するように形成されている。すなわち、ソース電極4及びドレイン電極5は、オーミックコンタクト膜と同様、半導体層2のチャネル領域上には形成されない。
ソース電極4は、半導体層2のチャネル領域の外側へ延在し、ソース配線44と繋がっている。ソース配線44は、ゲート絶縁膜11上に形成され、基板10上においてゲート配線43と交差する方向に直線的に延在するように配設されている。したがって、ソース配線44は、ゲート配線43との交差部において分岐してからゲート配線43に沿って延在し、ソース電極4となる。
ドレイン電極5は、半導体層2のチャネル領域の外側へ延在する。すなわち、ドレイン電極5は、TFT50の外側へと延在する延在部を有している。ソース電極4、ドレイン電極5、及びソース配線44は、例えばCr、Al、Ta、Ti、Mo、W、Ni、Cu、Au、Agやこれらを主成分とする合金膜、またはこれらの積層膜によって形成されている。
ソース電極4、ドレイン電極5、及びソース配線44を覆うように、第2の絶縁膜12が設けられている。第2の絶縁膜12には、ドレイン電極5の延在部に到達するコンタクトホール(不図示)が設けられている。第2の絶縁膜12は、窒化シリコン、酸化シリコン等の絶縁膜により形成されている。
第2の絶縁膜12上には、コンタクトホールを介してドレイン電極5と電気的に接続する画素電極6が設けられている。画素電極6は、コンタクトホールを介してドレイン電極5の延在部に接続するように形成されている。そして、画素電極6は、ドレイン電極5の延在部上から画素47内へと延在して形成されている。具体的には、図3に示すように、画素電極6は、ソース配線44とゲート配線43とに囲まれた領域のうち、TFT50を除く略全面に配設されている。画素電極6は、ITO等の透明導電膜によって形成されている。
画素電極6を覆うように、第3の絶縁膜13が設けられている。第3の絶縁膜13は、窒化シリコン、酸化シリコン等の絶縁膜により形成されている。そして、第3の絶縁膜13の上に共通電極8が形成されている。共通電極8は、第3絶縁膜13を介して画素電極6の対面に配設され、図4に示すように、画素電極6との間にフリンジ電界を発生させるためのスリットが設けられている。ここでは、共通電極8は、例えばスリットの部分を除いた表示領域41の略全面に形成されている。よって、共通電極8は、隣接する全ての画素47の共通電極8と、電気的に接続する。共通電極8は、ITO等の透明導電膜によって形成されている。なお、図3では、共通電極8はスリットの外形のみが記載されている。
ここで、図3に示すように、本実施の形態には延在する方向の異なる複数のスリットが共通電極8に形成されている。これらのうち、複数のスリットA1、A2、・・・An(以下、スリットAと総称する)は、画素47の一部である第1の領域81に設けられている。また、複数のスリットB1、B2、・・・Bm(以下、スリットBと総称する)は、画素47の別の一部である第2の領域82に設けられている。そして、第1の領域81と第2の領域82との間にスリットCが形成されている。スリットCは、第1の領域81と第2の領域82との境界線上に形成されている。
スリットCは、電圧が印加されていない時の液晶20の配向方向(遅相軸)と同一方向、又はこの配向方向と垂直な垂直方向に延在する。すなわち、スリットCは、配向膜の配向方向、又はこの配向方向と垂直な垂直方向に延在する。よって、スリットCは、ゲート配線43に対して角度α又はα+90°傾斜して形成されている。なお、図3では、スリットCが液晶20の配向方向(遅相軸)と同一方向、すなわちゲート配線43に対して角度α傾いた方向に延在して設けられている場合が例示的に記載されている。各画素47において、このスリットCの上側が第1の領域81、下側が第2の領域82とする。スリットCの片側に第1の領域81、スリットCの第1の領域81と反対側に第2の領域82がそれぞれ設けられている。
第1の領域81のスリットAと、第2の領域82のスリットBは、このスリットCに対してさらに±θ傾斜するよう設けられている。具体的には、スリットBは、図3に示すように、その延在方向がスリットCの延在方向に対して角度+θに設定されている。すなわち、スリットBは、スリットCの延在方向に対して所定の方向に角度θ傾斜して配置される。この角度θは、1°以上20°以下であることが好ましい。一方、スリットAは、その延在方向がスリットCの延在方向に対して角度−θに設定される。スリットAは、スリットCの延在方向に対してスリットBの傾斜方向と反対方向に角度θ傾斜して配置される。よって、スリットCに対するスリットAの傾斜角度は、スリットCに対するスリットBの傾斜角度と、スリットCの延在方向において対称となる。スリットA、Bをこのように傾斜して配置することによって、一つの画素47において液晶20をスリットCに対して対称に動作させることができる。すなわち、第1の領域81と第2の領域82の複屈折効果を対称とすることができる。従って、様々な角度から見たときにカラーシフトが発生することを抑止でき、良好な視野角特性が得られる。
なお、スリットCに対するスリットAの傾斜角度とスリットBの傾斜角度は、逆でもよい。すなわち、スリットCに対して、スリットAを角度+θ傾けて配設し、スリットBを角度−θ傾けて配設してもよい。従って、スリットA、及びスリットBのうち、一方がスリットCに対して1°≦θ≦20°となる角度+θ、他方が角度−θに傾斜して配置される。スリットAと、スリットBとの傾斜角度の差は2θとなる。
複数のスリットA1、A2、・・・Anは、第1の領域81において、それぞれ平行に設けられている。また、複数のスリットB1、B2、・・・Bmは、第2の領域82において、それぞれ平行に設けられている。複数のスリットA1、A2、・・・Anは、一定の間隔Saで設けられている。そして、複数のスリットB1、B2、・・・Bmは、この間隔Saと同じ一定の間隔Sbで設けられている。一般的に、間隔Sa、Sbは、1〜10μmであることが好ましい。
複数のスリットA1、A2、・・・Anは一定のスリット幅Waで形成されている。そして、スリットA1、A2、・・・Anは、それぞれスリット長L(a1)、L(a2)、・・・L(an)を有している。スリット長L(a1)、L(a2)、・・・L(an)は、全てが同じ値でなくてよい。同様に、複数のスリットB1、B2、・・・Bmは一定のスリット幅Wbで形成されている。そして、スリットB1、B2、・・・Bmは、それぞれスリット長L(b1)、L(b2)、・・・L(bm)を有している。スリット長L(b1)、L(b2)、・・・L(bm)は、全てが同じ値でなくてよい。このとき、本実施の形態では、スリットAのスリット長さの総和L(A)=L(a1)+L(a2)+・・・+L(an)が、スリットBのスリット長さの総和L(B)=L(b1)+L(b2)+・・・+L(bm)と同じ値となるように、各スリット長が調整されていることが好ましい。
このようにL(A)=L(B)となる各スリットを形成することによって、第1の領域81と第2の領域82とで液晶20の動作領域を等しくすることができる。これについて以下に説明する。図5は、スリット幅が一定の場合のスリット長の総和と、正面から見た場合の単位面積当たりの透過率との関係を示すグラフである。図5に示すように、スリット長の総和と透過率とは比例関係にある。すなわち、液晶20分子の動作領域は、スリット長の総和に比例することが分かる。従って、第1の領域81に設けられたスリットAのスリット長の総和L(A)を、第2の領域82に設けられたスリットBのスリット長の総和L(B)と同一にすることにより、液晶20の動作領域が第1の領域81と第2の領域82とで等しくすることができる。これにより、様々な角度から見たときにカラーシフトが発生することをさらに抑止でき、さらに良好な視野角特性が得られる。
ここで、スリットA、B、Cの具体的な寸法等について、図6を参照しながら説明する。図6は、本実施の形態にかかるスリットA、B、Cの具体的な配置例を説明するための図である。図6において、例えば、150μm×50μmの開口部を有する画素47に、液晶の配向方向(遅相軸)と同じ角度α=45°のスリットCが設けられている。図6中、スリットCの上側の第1の領域81には、9つのスリットA1〜A9が設けられている。また、スリットCの下側の第2の領域82には、7つのスリットB1〜B7が設けられている。スリットA1〜A9のスリット幅Waは3.5μm、間隔Saは5.0μmとする。同様に、スリットB1〜B7のスリット幅WbはWaと同じ3.5μm、間隔SbはSaと同じ5.0μmとする。このように、図6では、スリットA1〜A9は、スリットB1〜B7と同じスリット幅を有している。スリットCに対するスリットB1〜B7の傾斜角度+θは+10°、スリットCに対するA1〜A9の傾斜角度−θは−10°とする。よって、図6に示すように、スリットB1〜B7は、ゲート配線43の延在方向に対して55°傾いて配設されている。また、スリットA1〜A9は、ゲート配線43の延在方向に対して35°傾いて配置されている。
そして、スリットA1〜A9のスリット長の総和L(A)と、スリットB1〜B7のスリット長の総和L(B)とが、L(A)=L(B)=360μmとなるように、各スリットA1〜A9、B1〜B7のスリット長が調整されている。具体的には、L(a1)=10μm、L(a2)=28μm、L(a3)=47μm、L(a4)=56μm、L(a5)=55μm、L(a6)=55μm、L(a7)=55μm、L(a8)=44μm、L(a9)=10μmとなるスリット長に設定されている。また、L(b1)=22μm、L(b2)=73μm、L(b3)=77μm、L(b4)=73μm、L(b5)=57μm、L(b6)=38μm、L(b7)=20μmとなるスリット長に設定されている。
なお、スリットAのスリット幅WaとスリットBのスリット幅Wbとは、同じ値でなくてもよい。スリットAのスリット幅WaをスリットBのスリット幅Wbと異なる値に調整することで、L(A)=L(B)を達成してもよい。すなわち、L(A)=L(B)を満たすためにスリット幅Waをスリット幅Wbと異ならせてもよい。図7は、本実施の形態にかかるスリットA、B、Cの別の具体的な配置例を説明するための図である。図7では、スリットA1〜A9のスリット長の総和L(A)と、スリットB1〜B7のスリット長の総和L(B)とが、L(A)=L(B)=380μmとなるように、各スリットA1〜A9、B1〜B7のスリット長が調整されている。
具体的には、L(a1)=9μm、L(a2)=27μm、L(a3)=43μm、L(a4)=55μm、L(a5)=56μm、L(a6)=56μm、L(a7)=57μm、L(a8)=57μm、L(a9)=20μmとなるスリット長とする。また、L(b1)=34μm、L(b2)=74μm、L(b3)=80μm、L(b4)=74μm、L(b5)=58μm、L(b6)=29μm、L(b7)=21μmとなるスリット長とする。
なお、画素47の開口部の寸法は150μm×50μm、スリットCの傾斜角度は液晶の配向方向(遅相軸)と同じα=45°とする。スリットCに対するスリットB1〜B7の傾斜角度+θは+10°、スリットCに対するA1〜A9の傾斜角度−θは−10°とする。また、スリットA1〜A9の間隔SaとスリットB1〜B7の間隔Sbは、同じ5.0μmである。このような場合には、スリットB1〜B9のスリット幅Wbは3.5μm、スリットA1〜A9のスリット幅WaをWbより小さい3.0μmとするとよい。
このように、図7では、スリットA1〜A9は、スリットB1〜B7と異なるスリット幅を有している。これにより、仮にスリット幅Waとスリット幅Wbとを一定の値とした場合で第1の領域81、第2の領域82のいずれかの領域が足らずL(A)=L(B)を満たせない時には、足りない領域のほうのスリット幅を小さくするか足りている領域のほうのスリット幅を大きくするとL(A)=L(B)が達成できる。また、L(A)=L(B)を満たしている場合で仮にスリットA、Bが第1の領域81、第2の領域82内の一部に片寄って配置されてしまう時には、スリット幅を適宜大きくすると各領域内に満遍なく配設できる。一般的に、スリット幅Wa、Wbは、2〜10μmであることが好ましい。
続いて、本実施の形態における液晶表示装置の製造方法について説明する。まず初めに、ガラス等の透明な絶縁性の基板10上全面に、Cr、Al、Ta、Ti、Mo、W、Ni、Cu、Au、Agやこれらを主成分とする合金膜、またはこれらの積層膜を成膜する。例えば、スパッタ法や蒸着法などを用いて基板10全面に成膜する。その後、レジストを塗布して、塗布したレジストをフォトマスク上から露光し、レジストを感光させる。次に、感光させたレジストを現像して、レジストをパターニングする。以後、これら一連の工程を写真製版と呼ぶ。その後、このレジストパターンをマスクとしてエッチングし、フォトレジストパターンを除去する。これにより、ゲート電極1及びゲート配線43がパターニングされる。
次に、ゲート電極1及びゲート配線43を覆うように、ゲート絶縁膜11となる第1の絶縁膜、半導体層2となる材料、及びオーミックコンタクト膜となる材料をこの順に成膜する。例えば、プラズマCVD、常圧CVD、減圧CVDなどを用いて、これらを基板10全面に成膜する。ゲート絶縁膜11として、窒化シリコン、酸化シリコン等を用いることができる。
半導体層2となる材料には、非晶質シリコン、多結晶ポリシリコンなどを用いることができる。また、オーミックコンタクト膜となる材料には、リン(P)等の不純物を高濃度に添加したn型非晶質シリコンやn型多結晶シリコンなどを用いることができる。その後、写真製版及び微細加工技術により、半導体層2となる膜、及びオーミックコンタクト膜となる膜を、ゲート電極1上に島状にパターニングする。
次に、本実施の形態では、これらを覆うように、Cr、Al、Ta、Ti、Mo、W、Ni、Cu、Au、Agやこれらを主成分とする合金膜、またはこれらの積層膜を成膜する。例えば、スパッタ法や蒸着法など用いて成膜する。その後、写真製版、エッチング、レジスト除去の工程を経て、ソース電極4、ドレイン電極5、及びソース配線44をパターニングする。次に、ソース電極4及びドレイン電極5をマスクとして、オーミックコンタクト膜となる膜をエッチングする。すなわち、島状にパターニングされたオーミックコンタクト膜のうち、ソース電極4又はドレイン電極5に覆われずに露出した部分をエッチングにより除去する。これにより、ソース電極4とドレイン電極5との間にチャネル領域が設けられた半導体層2及びオーミックコンタクト膜が形成される。
なお、上記説明では、ソース電極4及びドレイン電極5をマスクとしてエッチングを行ったが、ソース電極4及びドレイン電極5をパターニングする際に用いたレジストパターンをマスクとして、オーミックコンタクト膜のエッチングを行ってもよい。その場合は、ソース電極4及びドレイン電極5上のレジストパターンを除去する前に、オーミックコンタクト膜のエッチングを行う。
続いて、ソース電極4、ドレイン電極5、及びソース配線44を覆うように、第2の絶縁膜12を成膜する。例えば、第2の絶縁膜12として窒化シリコン、酸化シリコン等の無機絶縁膜を、CVD法などを用いて基板10全面に成膜する。これにより、半導体層2のチャネル領域が第2の絶縁膜12に覆われる。そして、第2の絶縁膜12を成膜した後に、写真製版、エッチング、レジスト除去の工程を経て、ドレイン電極5の延在部に到達するコンタクトホールを第2の絶縁膜12に形成する。
第2の絶縁膜12上に、ITO等の透明導電膜をスパッタ法等により基板10全面に成膜する。そして、写真製版、エッチング、レジスト除去の工程を経て、この透明導電膜をパターニングする。これにより、コンタクトホールを介してドレイン電極5と接続する画素電極6が形成される。
この画素電極6を覆うように、第3の絶縁膜13を成膜する。例えば、第3の絶縁膜13として窒化シリコン、酸化シリコン等の無機絶縁膜を、CVD法などを用いて基板10全面に成膜する。画素電極6が第3の絶縁膜13に覆われる。
次に、第3絶縁膜13の上に、ITO等の透明導電膜をスパッタ法等により基板10全面に成膜する。そして、写真製版、エッチング、レジスト除去の工程を経て、この透明導電膜をパターニングする。これにより、第3絶縁膜13を介して画素電極6の対面に、延在する方向の異なる複数のスリットA、B、Cを有する共通電極8が形成される。以上の工程を経て、本実施の形態のTFTアレイ基板が完成する。
このように作製したTFTアレイ基板の上に、その後のセル工程において配向膜を形成する。また、別途作製された対向基板の上に配向膜を同様に形成する。そして、この配向膜に対して、液晶20との接触面に一方向にミクロな傷をつける配向処理(ラビング処理)を施す。このとき、本実施の形態では、TFTアレイ基板上の共通電極8に設けられたスリットCの延在方向と同じ方向又は垂直な方向をラビング方向とする。これにより、ゲート配線43の延在方向に対して、0°<α<90°となる傾斜角度αで傾斜した配向方向を有する配向膜を形成する。
次に、シール材を塗布して、TFTアレイ基板と対向基板とを貼り合せる。TFTアレイ基板と対向基板とを貼り合わせた後、真空注入法等を用い、液晶注入口から液晶20を注入する。そして、液晶注入口を封止する。液晶20は、その配向方向(遅相軸)がラビング方向と同じ方向に配向される。このようにして形成した液晶セルの両面に偏光板を貼り付けて、駆動回路を接続した後、バックライトユニットを取り付ける。このとき、TFTアレイ基板側の偏光板15と対向基板側の偏光板25のうち、一方の偏光板の吸収軸を液晶20の配向方向(遅相軸)に対して垂直となる向きに配置し、他方の偏光板の吸収軸を液晶20の配向方向(遅相軸)に対して平行となる向きに配置する。このようにして、本実施の形態の液晶表示装置が完成する。
以上のように、本実施の形態では、画素電極6と共通電極8との間に電圧が印加されていないときの液晶20の配向方向(遅相軸)をゲート配線43の延在方向に対して0°<α<90°となる角度αとしている。そのため、偏光板はその吸収軸が液晶20の配向方向(遅相軸)に対して垂直又は平行となる向きに配置される。これにより、液晶表示装置から透過してくる透過光30の光軸は、ランドスケープ、ポートレートともに、偏光サングラス35の吸収軸が配置された水平方向と異なる方向になる。従って、偏光サングラス35を装着した状態で表示を観察したときに、ランドスケープ、ポートレートのいずれかで表示が真っ黒になることを防止できる。
また、共通電極8に形成されるスリットA、Bの一方と他方とを、液晶20の配向方向(遅相軸)と平行又は垂直な方向に延在して形成されるスリットCに対してそれぞれ+θ、−θ傾けて配設し、液晶20分子をスリットCに対して対称に動作させている。これにより、一画素47領域の複屈折効果が見る角度によって変化することを抑止できる。従って、様々な角度から見たときにカラーシフトが発生することを抑止でき、良好な視野角特性が得られる。また、特許文献1、2のように部材追加による厚み増加がなく、液晶表示装置を薄型化できる。そして、FFSモードの液晶表示装置に特許文献3の方法を適用した場合のように、コントラストを低下させることがない。このように、本実施の形態によれば、部材を新たに追加することなく、偏光サングラスを装着したままランドスケープ、ポートレートともに表示が観察可能な表示品位の優れたFFSモードの液晶表示装置、及びその製造方法を提供することができる。
なお、本実施の形態では、チャネルエッチ型のTFT50が形成された液晶表示装置について説明したが、トップゲート型など他のTFT50が設けられていてもよい。
また、上記説明では、共通電極8をスリットの部分を除いた表示領域41の略全面に形成したが、これに限定されるものではない。共通電極8の形状は、複数のスリットA、複数のスリットB、及びスリットCが前述した条件を満たしていれば、適宜変更することができる。さらに、第3の絶縁膜13を介した画素電極6の上に、スリットを有する共通電極8を形成する場合について例示的に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、スリットを有する画素電極6の下に絶縁膜を介して共通電極8を対向配置させてもよい。この場合、複数のスリットA、複数のスリットB、及びスリットCを画素電極6の方に形成する。よって、絶縁膜を介して対向配置された画素電極6と共通電極8のいずれか一方にフリンジ電界を発生させるためのスリットA、B、Cを前述した条件を満たすように形成すればよい。
以上の説明は、本発明の実施の形態を説明するものであり、本発明が以上の実施の形態に限定されるものではない。また、当業者であれば、以上の実施の形態の各要素を、本発明の範囲において、容易に変更、追加、変換することが可能である。