JP5281046B2 - 運動用マウスピース - Google Patents

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Description

本発明は、下顎の安定位置を保持し、食いしばりなど非日常的な負荷力から大臼歯の摩耗と接壊を防ぐためのマウスピースに関するものである。
従来のスポーツ用マウスピースにおいては、上歯列全体に巻着させるもので、基本形は平面において水平形状をもち、利用者が歯型の転写後、歯列に密着させて歯をガードするモノである。
従来品は、上歯並び全体に嵌着する仕組みであるため、基本形に上歯並び全体の歯型転写を行う必要があり、利用者が、その素材の軟化と硬化で型作りを行う、その過程で、諸着のフィット感を容易に得る事ができず、使用できるまでの型取りの作業に慣れるまで時間と手間を要する。
水平形状の基本形において、食いしばりなど、咀嚼以外の非日常的な大きな力を受ける時、斜め曲線状にある大臼歯の並び位置は、下顎の持つ斜め曲線にそぐわせ難い型となっている。負荷力を受ける優先順位の高い位置にある大臼歯が、小臼歯、前歯との高さに差が無く、水平構造の形を曲線に嵌めこむ事ができても大臼歯の位置に隙間が生じる結果となる。また、歯並び全体に被着させる型は着脱を困難にさせ、話す必要のある運動場所では不便で、実用的とはいえず、特殊なスポーツ従事者専用のものという域から抜けられない。
特開2000−157657号 特開平11−56876号 実開平5−58174号
吉田勘持著「構造医学」エンタプライズ出版2007年発行119P 、126P 「歯科技工士辞典」歯科薬出版株式会社2007年発行160P318P、319P 「アナトミートレイン」トーマス・W・ワイヤース著 医学書2009年発行5P 、6P、178,181P、199P、205P 「顎口腔機能学」医歯薬出版株式会社 2008年1月20日発行9P
従来のマウスピースには次のような欠点があった。
・最も奥の大臼歯にフィット感が得にくい。
・使用前の作業時間がかかる。
・着脱に手間がかかる。
・一般の利用者が気軽に扱えない。
人の下顎は斜め曲線を持つ形態であり、歯並びはその上に生えている。水平形状を歯並びに被せ、嵌めこむことは可能である。しかし、頭部の後方傾斜で下顎を上向かせ水平に保ち、上歯列で従来品を咬持しなければならず、下顎に力を入れての型取りでは、下顎の本来の位置とは異なるものになる。身体構造に見る本来の下顎の位置と下顎関節の位置は、図4に示す通り、人の無理のない平時の姿勢は頭部が俯き、平時姿勢の閉口時の顎関節部は、図4の4、の下顎頭の位置と、図4の5、上下奥大臼歯の噛み合う位置で釣り合いがとれる。無理に水平型に合わせようと下顎を移動させると、下顎の位置は喉側へ自動的に移行し、下顎の移行した分、上下大臼歯との噛み合わせ位置に変化が生じ、不釣り合いな位置で固定することに繋がる。
下顎の自由な運動には、口の開閉時のあらゆる運動に伴う可動域が存在し、下顎関節部の特殊性が下顎の動きを支える。下顎頭拡大図6にみる(ア)10の下顎頭が図6(ア)9の下顎窩において閉口とし、本来の運動開始前の状態でもある。図6(イ)に示す10から11を下顎の開閉時の運動軌跡とし、自由な運動がある。俯いた姿勢で、斜め角度を持つ下顎を水平に移動することは頭部の後方傾斜を持って成され、頭部の移動は下顎の喉側移行と見なさなければならない。下顎の喉側移動は、図6(ウ)の10から12、へと下顎頭も移行し、図6,9に示す、本来の下顎窩ではない位置、図6(ウ)14の関節壁部分に下顎頭の位置は近づく。水平状態で下顎に力を入れ、歯型を転写し、型作り、咬合位置を固定した状態で平時姿勢に戻ると、マウスピースで咬止した状態が、顎頭を本来の位置に戻りにくくし、運動時の食いしばりは、固定された下顎頭の移行した位置での咬合になる。下顎は、頭部と一体化している上顎とは異なり、稼働可能な仕組みを持ち、簡単に前後左右上下に移行する。頭部の後方傾斜に依る上下顎の位置のずれ易さは、上下大臼歯の噛み合わせ位置のずれ易さにもつながる。図4の5、に示す、平常時の釣り合いのとれた位置で力を受け、力を受ける優先順位の高い歯の保護を可能にする必要がある。下顎のもつ斜め曲線とその上に生える上下大臼歯の本来の噛み合う位置で利用できるマウスピースには、下顎の斜め曲線を考慮し、安定と釣り合いのとれる位置を守ることで、本来の力の発揮と負荷力の分散に矛盾しない咬合位置での食いしばる仕組みを作り出す事が可能になる。
請求項1に示す本発明は、斜め曲線上の大臼歯を重点的に保護する形である。弾力性を持つ保護素材で力の集中する大臼歯の咬合位置に挟持し、噛む時、必要最低限の高さが、他の歯の高さも同時に上げるので食いしばり時の力の被害を受ける事を避ける仕組みになっている。咀嚼とは異なる上下だけの運動は力のほとんどを大臼歯が受ける。非日常的力から受ける摩耗、接壊を避ける仕組みとなっている。下顎の運動動線から生まれる下顎頭の軌跡上での運動力は、大きな咬筋を主力に、下顎の傾斜と図6、(ア)9、にみる上顎関節部分の壁の窪みの高さから生みだされる。噛み砕く咀嚼力や、食いしばりの大きな力を発揮するしくみである。出力と同時に負荷力を受けるためのクッション位置にもなっている下顎・下顎頭の帰着する位置は、図6、(ア)9、10、であり、大臼歯も力を受ける為の最も合理的仕組みとして他の歯とは異なる、歯の大きさ、歯茎の厚さなどで対応できる。
斜め曲線の下顎の上に生える大臼歯の噛み合う位置は、上の大臼歯との咬合位置を保持することでその帰着位置に下顎頭が納まるよう連動している。僅かな頭部後方傾斜でも、下顎に連なる舌の筋肉、咬筋、喉、首など筋力の複雑な動きが影響し、図6(ア)9,10の示す帰着位置とは異なる位置、図6(ウ)12と14に下顎・下顎頭は移動する。その位置で強い負荷をかける事にならなければ問題は無いが、本来の帰着位置とは異なる位置で咬合し食いしばると、その力を受ける時、本来とは異なった位置で負荷力を受ける事になる。
下顎の本来の位置を保持する目的のため、図5(ア)の8に示す、奥大臼歯の咬合位
置となる矩形状を、上下奥大臼歯の間に添着し、図5(ア)の7の、楔形が隣接す
る大臼歯に接する位置とし、奥大臼歯の咬合接触を邪魔しないよう工夫した。日常的に起こる食いしばりや咀嚼による自然摩耗や人工的摩耗で引き起こされている奥大臼歯の高さ不足がある場合、咬合時の大臼歯にかかる圧力は奥大臼歯にあり、楔形に接触する位置にある隣接臼歯は楔形にかろうじてするだけである。しかし、奥大臼歯が本来の高さより低くなっている場合、隣接する大臼歯に重点的に力が加わり、上下奥大臼歯の間に隙間が生じる。図5(ア)8の高さを上げ奥大臼歯が優先的に接触できるよう調節する必要がある。楔形の位置にある隣接大臼歯の接触状態が高さ不足を計る目安になる。基本型を作る目安を示しているが、図5(ア)の必要とする数値、15mm×15mm×4mmとする4mmの厚みと半径の持つ数値を変えることで、男女、年齢、から来る違いに対応可能になった。
下顎頭を支点とした下顎の咀嚼運動を考える時、下顎運動の仕組みをテコの原理を用いて説明ができる。非特許文献1の吉田勘持著「構造医学」エンタプライズ出版 2007年発行、124p。力の効果を受ける作用点上にある歯並び、その中でも大臼歯は、他の歯より支点に最も近く、負荷力を受ける優先順位の上位にある。下顎頭の位置と大臼歯の高さが、釣り合いのとれた状態で保たれる時、人はリラックスした状態にあり、上下の第3大臼歯は、食いしばることなく軽く触れ合う位置を保つことができる。つまり、奥大臼歯の上下の高さも優先的に負荷を受け易い位置にある、下顎の位置、下顎頭の位置、上下の大臼歯が本来の位置で噛み合うことは、効率の良い咀嚼と個体運動能力の発揮できる為の必須条件である。リラックスした状態の姿勢で、個体の持つ釣り合いのとれた位置には、本人が確認し認識できるため、無理な力で噛み合わせ位置を作る必要はなく、閉口時のリラックスした姿勢の下顎の位置に、負荷力を受けることになる優先順位に準じた歯に、最小数値を求めた保護素材をあてがうことは、優先順位の高い歯をも守ることと同時に、斜め曲線上にあるその他の歯の高さを上げることにもつながり、不必要な歯の接触を防ぐことに繋がる。
通常、上向きからうつむいた姿勢に戻ると、人の下顎は重力の重みで口側前方向へ 移動し、下顎・下顎頭は帰着位置に自然に戻る。その根拠を非特許文献1の吉田勘持著「構造医学」エンタプライズ出版 2007年発行 119p〜121pに示す。従来品を使い、下顎に力を入れ咬合、上向き加減で成形、嵌着使用をした場合、頭部・下顎が俯いた状態になると、上下対で重なる曲線上の歯の噛み合わせは、下顎の移行した分だけ下大臼歯の位置が喉側奥へ移行する。同時に上大臼歯との咬合位置にずれが生じ、曲線上にある上下の歯並びの稜線の合う位置にも影響を与え、上下奥大臼歯の咬止間に隙間が生じる。負荷の掛かる優先順位の高い、大臼歯の咬止面に隙間のできた状態では、隣接歯、小臼歯、切歯部分のいずれかに負荷が掛かり、下顎の不安定が生まれる。安定した位置を得るまで下顎は前後左右に移動し、釣り合いを取り戻そうとする。他の歯の高さに合った安定を得る事はできるが、高さの変化した咬合は下顎頭の接触する関節壁への角度を変え、本来とは異なる新たな帰着位置で負荷を受けることに繋がる。本来なら運動時の食いしばりで増大させた負荷力は、支点に近い奥大臼歯が重点的に支え、受けた負荷力を複雑に絡む咀嚼筋を経て身体全体の筋肉に分散させる。身体への負荷力の正常な分散は、身体機能の効率の良い発揮と身体にかかる負担の軽減を行使する大切な仕組みとなっている。非特許文献1「アナトミートレイン」トーマス・W・ワイヤース著、医学書2009発行、178p、181p、199p、205pに示すように、身体構造上、不可欠な条件である。
大臼歯の、本来の位置での咬止が出来ない時、大臼歯より負荷抵抗力の低い、作用点から離れる他の歯へ負担を増すことになる。一般に、咀嚼時に口の中に起こるベクトルは、下顎の円運動と複雑な表情筋や咬筋力によって支えられ、その力を受けた歯で咀嚼し、効率の良い力の伝播と分散を図っている。図6(イ)10から11に示す帰着経路とは異なる咬合位置での運動は、不釣り合いな咬合となり、口の中のベクトルの変化を作り出す。下顎頭の本来ある位置と大臼歯の高さの関係は、非特許文献1の吉田勘持著「構造医学」エンタプライズ出版 2007年発行、126pに見てとれる支点の存在から、テコの原理に基づいた釣り合う仕組みを持っており、図4の5に示す、上下大臼歯の本来の咬合位置と下顎の本来の位置は、咀嚼筋系統とともに、人体の仕組みの基本に組み込まれ、頭部重心の位置に密接に影響を与えている。図6(ア)に示す、閉口時の釣り合う下顎頭の位置から、図6(イ)10から11の開口までの過程範囲内で必要最小値の高さを求めることは、請求項1に示す曲線を持つ本発明に置いて、釣り合いのとれた状態を保つために、最小数値で大臼歯を負荷力から保護し、効率の良い力の分散を図る為の型を求めたものである。
瞬時の最大力を受ける位置には、負荷力に対する耐久度の優先順位も存在し、下顎頭を支点とした時、最も奥の大臼歯が優先的に力を引き受けることになり、歯茎の厚み、歯の面積の広さともに3本の大臼歯の存在は大きい。スポーツ利用のためのマウスピースの利用は、最も奥の大臼歯の本来の高さの維持と下顎を安定保持させた状態という本来の構造を維持し、運動することであるが、大半の人の大臼歯は、咀嚼時に受ける摩耗・加齢による自然摩耗や人工的摩耗でその高さを失っていると予測される。請求項2に置いて矩形と楔形を利用した本発明の型は、不必要な高さ上げが歯茎に負担をかける事に繋がる為に、本来の高さから不足した数値を知る工夫をする必要があった。隣接するその他の大臼歯との連携を強制力の無い型で、必要な範囲の高さを割り出すことを可能にしたものである。人は加齢に伴い摩耗する、その確率の高い奥大臼歯の高さ不足を補う事が、釣り合いを整える必須条件であるとして基本型にとりいれた。大臼歯以外の歯の高さを上げ負荷力を受けるということは、優先順位の低い歯に、非日常的な力を不必要に与え、不釣り合いを作り出す原因に繋がると判断した結果である。
第1,2,3大臼歯の三本は、下顎角の内側にあって、咬筋に囲まれ強い負荷力を担う位置にある。歯並びは、下顎上の歯茎に垂直に立ち喉側奥へ進むほど、厚い歯茎と歯肉に支えられ、下顎の斜め曲線上に大臼歯は生え、曲線を成す。咬む出力となる主力の咬筋が下顎横に広く結ばれこめかみへと続く。釣り合いのとれた咬み合わせの位置は、図4に示す、身体に対し斜め角度を持ち、上下の大臼歯が軽く触れ合う位置にあり、最も奥の大臼歯の高さと図6(ア)9、に示す下顎窩と図6(ア)10の下顎頭の位置は密接に連なった関係にあり、咀嚼運動の主力となる咀嚼筋(「歯科技工士辞典」歯科薬出版株式会社2007年発行 318p、319p)は、筋膜・筋肉を束ねる膜を通じて、身体の全身をめぐる筋力に繋がり、身体構造の釣り合いを保つ。下顎の安定した位置は身体バランスを保つ役割を果たすようである(「アナトミートレイン」トーマス・w・マイヤース医学書院2009年発行5p、6p)
大臼歯は、日常生活の中でも常に負荷力を受ける環境にあり、ストレスや咀嚼時などにおいて他の歯より摩耗しやすい位置にある。運動時は、複雑な咀嚼運動とは異なり、奥歯を上下に噛み込む動作が主になり、瞬間的に咬み込む最大負荷力は大きく、奥歯の運動時の傾斜、摩耗、接壊も避けて通れない。下顎の本来の位置での安定と大臼歯のもつ本来の高さと、上下の歯の噛み合う本来の位置を守ることで、重心が安定し、首、肩、背中へ伝わる力の効率の良い分散が可能になり、身体の負担を軽減する事ができる。大臼歯の摩耗や接壊は、大臼歯の高さ不足を引き起こし、隣接歯・大臼歯、小臼歯の高さがその代わりを引き受け不釣り合いな状況を作り出す。
本発明は、請求項2に示す形状に依り、下顎の安定を計り、下顎の喉側への移動を防止し、最も奥に位置する大臼歯の本来の噛み合う位置を保持しながら、最小数値で重点的に非日常的な負荷力から摩耗、接壊から保護することを目的している。楔形を利用することで、利用する人の個性に合った型が自動的に形つくられる事になり、その咬合位置が、下顎と下顎頭、上下大臼歯の噛み合う位置、大臼歯の本来の高さの必然性を保持することで、大臼歯の高さ不足や左右の高さ違いを正し、釣り合いのとれた状態で運動機能を発揮できることを可能にした。
挟持部分に繋がる、図5(ア)7の楔形状部分の近傍位置に、図3の13に示す20°の角度を持たせることで、大臼歯に沿い易い形状を得、下顎の曲線に沿った角度が、大臼歯に加える高さ数値の増加を抑えることに繋がった。図2の2,3の咬合部分の余分な長さを切り取り、大臼歯の大きさと咬合位置を合わせ、軟化させた咬合部分を最小の力で奥歯の高さを定め咬痕を付け、冷却し、不必要と思われる部分を切り落とし、図5(イ)で、型作りを完了させる。曲線と角度を持つ基本形は、個性に合わせた歯の形状に沿い易く、また、作る工程が少ないのが特徴である。奥歯で咬持するだけの単純な形は、使用時の着脱に手間取らず、誰でも使用可能な形状を持つため(イ)から(二)までの問題解決の目的を果たせたといえる。
本発明は、本来の下顎位置に最小限の高さの保護素材で大臼歯を咬合し、上下大臼歯の噛み合わせを強制することなく、本発明を利用することで釣り合いのとれた噛み合わせ位置を定め、その位置を変えることなく挟持し、非日常的な運動の負荷力から歯を守り、運動時の効率の良い力の発揮と同時に引き起こされる食いしばりから、奥大臼歯の受ける負担を和らげることが可能になった。下顎の釣り合いのとれた位置の噛み合わせの保持は、頭部重心を変えることなく負荷力を支え平均感覚を維持し、本来の身体機能の発揮を阻害しないため、首、肩、腰、膝の負担を軽減する事ができる。また、すでに、奥歯の摩耗の顕著になった年齢の人たちにも、本発明で大臼歯位置に本来の高さを取り戻し、下顎の安定した状態で食いしばることが可能になり、従来では得られなかった運動の負荷力の増加(個体の持つ本来の力)、平均感覚の復活が得られることにも繋った。
本発明の持つ形状は、上下大臼歯の間で咬合することで、本人の特徴的な歯型と必要な高さを自動的に形作ることが可能である。人は、釣り合いのとれた身体状態を知る感覚を持っており、本来の身体の構造に近づけることで、当人が無意識下でそれを認識し、従来の機能的な姿勢を取り戻すことができるようである。奥歯に取り戻した本来の高さと噛み合う位置は低下した身体機能の回復にも繋がっていくようである。
本発明の平面図である。 本発明の傾視図である。 本発明の断面図である。 本発明の使用位置図である。 本発明の拡大図である。 顎関節部拡大図である。
熱可塑性樹脂のポリプロピレンを利用し図1、図2の示す馬蹄形状を基本とし、図中の2、3、を上下大臼歯で咬合部分とする。咬合部分に図5(ア)の矩形と楔形を一体化させた形状と厚みをもたせ、支持体に角度を持たせることで、斜め曲線上にある奥大臼歯にフィットするよう工夫した。弾力性を持つ素材を左右の上下大臼歯に添着、軽く挟持して使用するものである。使う人の独自の歯型に合わせるための工夫から生まれた形状は、繰り返し使う事で正確な型が自動的に作られる特徴をもつ。
本発明のマウスピースにおいて、保護素材を上下大臼歯に咬合させる厚みは、開口最大値で割り出すのではなく、閉口時を0として、閉口から開口過程の距離を最小数値に求める。個体のもつ本来の開口最大数値<咬合時の高さ数値も、最小数値>咬合時の高さ数値となる場合(人工的摩耗に依る高さ不足)も、咬合位置の不均等をなす。食いしばる上下大臼歯の落下距離を図6(ア)9、10の間に求め、歯の自然摩耗範囲とされる2mmを加えた高さを、マウスピースの必要な高さの最大値とした。
本発明の基準値を図1、の1〜3を、直径70mmと半径50mmを持つ半円の支持
体の両端に、図2の3、4に厚みを持たせた。拡大した図5(ア)において8、を、15mm×15mm×4mmの矩形とし、7、を3mm+4mm×10mm÷2、3mm+10mm×10mm÷2の楔形を持たせて一体とし、左右の矩形部分を軟化させ、上下左右の大臼歯を咬合し咬み痕を軽くつけ、安定位置の目安とする。図1の1、図2の1、図3の1は上下大臼歯の咬合部を支える支持体で、左右咬合面に繋がり、隣接歯と小臼歯を通り、上顎前歯内側に入る。支持体の持つ角度は高さ調節を自動的に生じさせる為の重要な部分でもある。図5(ア)の示す使用前の形状を、大臼歯の残存数に合わせて、図5(ア)、8の部分の長さと角を切り落とし、使用者に合わせ高さ調節を行ったのが、図5、(イ)であり、使い続けることで変化していく部分である。
本発明に基準値を定めても、本発明の特徴である形状が、利用者が下顎を安定させて使い続けるうちに、個体の独自性に合った咬合型を作り出し、基準値から変化していくのが特徴であるため、本発明に課した数値はあくまでも目安数値である。本発明を使い続ける事によって、個体の持つ歯に必要な高さが自動的に作られ、使い続けてもそれ以上変わらない形が生まれる。その型にさらに2mmの高さを載せる事が、使用する個体にとって無理のない適切な高さと形状になる。
発明は、図5(ア)の示すように、矩形と楔形を併せ持ち、図3の13に示す位置に角度を持たせ、大臼歯以外の歯に負荷が掛かりにくい形を持つ。最も奥の大臼歯に当る位置の高さを、最低4mmから最高8mmとし、素材を熱可塑性樹脂のポリプロピレンなどを利用し基本形を成し、使用者は、基本形である、図2の2、3の咬合部を湯で軟化させ、大臼歯の高さを前歯の当たらぬ位置に定め、軽く噛み痕をつけて位置を定め、不必要だと思う長さと咬合部の角を落とし、図5(イ)に仕上げる。斜め曲線の構造は大臼歯を上げることと、前歯をあげることが通じているため、下顎の曲線上にある大臼歯の、適正な位置での咬合とその他の歯の接壊を保護することに繋がる。男女の異なる歯型の大きさ、大臼歯の残存数、自然摩耗や人工的摩耗で引き起こされた大臼歯の高さ不足の数値に対応できるよう、図5(ア)8の位置に厚み数値の幅を持たせ対応可能にした。支持体の角度、楔形状、矩形状の3点は、上下大臼歯の咬合面のフィット感を得るための工夫であるが、弾力性のある素材と形状が、本発明の繰り返す使用により、個体に必要な数値と形状を自動的に写し取る仕組みにも繋がった。基本型の咬合位置を誤ると、必要のない位置での咬合となり、奥大臼歯以外での噛み合わせの持続は、奥大臼歯より負荷抵抗力の低いその他の歯茎への負担を増すことに繋がるため、基本形を作る者は下顎運動、顎関節の仕組み、大臼歯の本来の高さの必然を熟知する必要がある。
本発明の形状のもつ咬合部の厚み数値が、人工的な奥歯の摩耗をきたしている人への対応も可能にし、スポーツ愛好家の利用において、運動能力の発揮と負荷力を軽減する事ができる。失った奥大臼歯の高さ、左右の歯の高さ違いを正すことのできる本発明は歯科治療時の噛み合わせ調節に利用可能な部分もあると思う。
1連結支持体、中央部分を切歯内側へ添える
2上下大臼歯咬合面
3上下大臼歯咬合面
4閉口時の上下顎関節の定位置
5閉口時の大臼歯の咬止位置、本発明、2、3の添着個所
6支持体連結部
7楔形、咬合面位置
7´楔型側面
8矩形咬合部
9下顎窩、上顎関節壁
10閉口時の下顎頭の定位置
11開口時の下顎頭
12不自然に後方移動した下顎頭
13支持体の角度約20°
14関節壁、12により新たに作り出される接触位置

Claims (2)

  1. 矩形と楔型を有する一対の咬合部を持ち、咬合部を左右の最奥臼歯上に挟持可能とす ると共に、咬合部の楔型状部分の近傍位置に角度を持たせた半円形の支持体を連結し、臼 歯の奥高形状に対応させたことを特徴とする運動用マウスピース。
  2. 左右上下の最奥大臼歯部分に矩形咬合部を挟持して使用することを特徴とする請求項1記載の運動用マウスピース。
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