JP5272311B2 - 電磁波応答媒体、電磁波検出装置、光学装置及び電磁波応答媒体の製造方法 - Google Patents

電磁波応答媒体、電磁波検出装置、光学装置及び電磁波応答媒体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、例えばテラヘルツ以上の周波数を有する電磁波に共鳴する電磁波応答媒体及びその製造方法に関する。
ナノ加工技術の進展により、テラヘルツの周波数を有するテラヘルツ帯の電磁波(以下、「テラヘルツ波」という。)に関心が高まっている(例えば、非特許文献1参照。)。このテラヘルツ波においては、情報通信・医療・安全・産業・環境など幅広い展開が期待できるが、主な応用分野は分光分析と情報通信分野である。特に分析分野ではx線やレーザー光に比較して扱い易く、物質の回転の励起に伴う固有の透過・吸収・反射特性がこのテラヘルツ帯域にある。一方、テラヘルツ波は電波としての性質もあり、高い物質透過性を示す。
これらの特長のため、テラヘルツ波を利用することにより、風袋中の非金属物質や郵便物の化学物質の化学構造を、非接触非開封で特定できる可能性がある。
更に、テラヘルツ波を利用すれば、従来の化学分析では同定がほとんど困難であった多形分析も可能である。これらはセキュリティ上各段に有用である。テラヘルツ波は、水素結合や様々な分子間相互作用及び生体細胞の水分量にも敏感であることから、x線透視に替わる無害の生体イメージング技術としても有望視されている。
テラヘルツ波を上記の分析やイメージングに利用するためには、その発生装置、伝播/照射部材、受光デバイスなどが必要である。テラヘルツ波のエネルギーは、赤外線より周波数の高い電磁波のエネルギーに較べて低いことから、電荷分離型のCCDやエネルギーギャップ間の遷移を使うCMOSのような電子デバイスでは、温度を極低温にして電磁波のフィルタリングを適切に行う必要がある。一般的には、テラヘルツ波照射による金属皮膜の抵抗変化を検知するボロメータが使われるが、ボロメータを使用すると、測定時に、液体ヘリウムによる冷却が必要となるため、作業負担が増大してしまう。
従って、簡便にテラヘルツ波の検出やイメージングが出来る技術が待望されている。
電磁波を検出するため、すなわち物質と電磁波の相互作用を調べるために、共鳴吸収効果を利用することが知られている。一般の物質の振動電場に対する応答は、誘電率ε(ω)(ωは振動数)で決まり、この値は赤外より高周波側では1より相当に大きい。
一方、磁場に対する応答は、透磁率μ(ω)で決まるが、これは1に近い値であり、磁性体を除くと磁場に対してはほとんど応答しないと言ってよい。なぜなら、磁場に対する応答は、電子の軌道各運動量、又は、不対電子の電子スピンによって決まるが、このときの共鳴周波数は、非常に低くメガヘルツ以下の低周波であるからである。
従って、テラヘルツ帯で電磁場の共鳴吸収を生じることは非常に困難である。
ここで、電磁場に共鳴的に応答する人工的な材料(メタマテリアル)の構成が提示されている(例えば、非特許文献2参照。)。これはスプリットリングレゾネータと呼ばれるものであり、ギャップ部を有する金属リングの内側に、同一形状で径の小さな金属リングを、互いのギャップが180度反対側を向くように誘電体基板の平面上に並べたものである。このような構成のもと、振動する磁場が金属リングの中を貫通すると、外部磁場を打ち消すように金属リングに電流が流れることで磁場に応答する人工的な材料となる。
金属リング自身はインダクタンスと抵抗成分とを有し、金属リングのギャップ及び金属リング間の隙間がコンデンサとして作用するので、金属リングはインダクタ、コンデンサ、抵抗の直列共振回路を構成する。従って、磁気的共鳴周波数ω が存在し、この共鳴周波数近傍で磁場成分の大きな吸収が生じ、磁場成分の透過率や反射率が低下することになる。抵抗成分は共鳴周波数の幅に影響を与える。
金属の振動電場に対する応答は誘電率ε(ω)で決まるが、金、銀、銅、アルミなどの通常の金属では、可視光から紫外線までの周波数に共鳴周波数(プラズマ振動数)ω がある。プラズマ振動数は、電子密度に依存するが、上記の通常の金属では、可視光から紫外線までの周波数にある。金属リング構造における共鳴周波数は、電子密度が金属の体積分率で近似できるとしてよい。一般にはテラヘルツ域あるいは磁場に対するそれよりも高周波側にあるものとしてよい。
ここで、共鳴の強さは、基本的に金属リングの密度で決まる。
斗内政吉,「テラヘルツ波技術の現状と展望」,応用物理,2006年,第75巻,第2号,p.160−170 T.J.Yen他,「Terahertz Magnetic Response from Artificial Materials」,SCIENCE,2004年5月,VOL303,p.1494−1496
しかしながら、上記の非特許文献2に記載の構成では、誘電体基板の平面上の面積に対して個々の金属リングの設置面積(金属リングの周方向に延在する面の全体の面積)が大きいため、金属リングの密度を高くすることができないという問題がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、誘電体における単位面積当たりのリング部の設置数を増大させることができ、これにより、軽量・小型化を容易に図ることができるだけでなく、共鳴周波数の電磁波に対する感度を向上させることができる電磁波応答媒体、電磁波検出装置、光学装置及び電磁波応答媒体の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提供する。
本発明における電磁波応答媒体は、金属からなり、周方向の一部に、複数のギャップ部が設けられているリング状に形成されたリング部と、前記リング部の少なくとも一部が埋設される誘電体とを備え、前記リング部が、前記リング部の延在する面に交差する方向に配列されて、前記誘電体に複数設けられていることを特徴とする。
この発明においては、リング部が、このリング部の延在する面に交差する方向に配列されて、誘電体に複数設けられる。
これにより、誘電体における単位面積当たりのリング部の設置数を増大させることができる。
また、ギャップ部をコンデンサとして機能させることができ、リング部を容易かつ確実に共鳴させることができる。
また、本発明における電磁波応答媒体は、前記リング部が、互いに交差する少なくとも2方向に配列されていることを特徴とする。
この発明によれば、リング部の設置密度を高くしつつ、異なる方向の電磁波に効率よく反応させることができる。
また、本発明における電磁波応答媒体は、前記誘電体が、その厚さ方向に複数積層されており、複数積層された前記誘電体ごとの前記リング部の配列方向が、交差していることを特徴とする。
この発明によれば、リング部の設置密度をさらに高くすることができる。
また、リング部の設置密度を高くしつつ、異なる方向の電磁波に効率よく反応させることができる。
また、本発明における電磁波応答媒体は、金属からなり、コ字状のリング状に形成されたリング部と、前記リング部の少なくとも一部が埋設される誘電体とを備え、前記リング部が、前記リング部の延在する面に交差する方向に配列されて、前記誘電体に複数設けられており、複数の前記リング部のうち、前記リング部の延在する面に交差する方向において互いに隣接するリング部の一方の端部と、前記互いに隣接するリング部の他方において前記リング部の一方の他端側に隣接する端部とが、前記リング部の延在する面に交差する方向に金属で連結され、ソレノイドが形成されていることを特徴とする。
この発明によれば、リング部が連結されることにより、ソレノイドとして機能させることができ、インダクタンスを増大させて感度を向上させることができる。
また、本発明における電磁波応答媒体は、前記リング部において誘起される起電力を取り出すための端子が、前記リング部に設けられていることを特徴とする。
この発明によれば、共鳴時の起電力を容易に取り出すことができる。
また、本発明における電磁波応答媒体は、複数の前記リング部ごとに、異なる共鳴周波数が設定されていること特徴とする。
この発明によれば、複数の共鳴周波数に共鳴させることができる。そのため、例えばアンテナとして機能させた場合、ワイドバンド化を容易に図ることができる。
また、本発明における電磁波応答媒体は、前記リング部の延在する面に交差する方向から見た前記リング部の外形寸法が、共鳴周波数の波長に対して1/10以下であることを特徴とする。
この発明によれば、対象とする電磁波の波長に対して、リング部の外径寸法を十分に短くすることができる。そのため、テラヘルツ波から見ると一定の有効透磁率μ(ω)を持つ均一な媒質とみなせ、散乱や回折は殆ど無視することができる。
また、本発明における電磁波検出装置は、上記電磁波応答媒体を備えたことを特徴とする。
この発明によれば、上記電磁波応答媒体と同様の効果を奏することができる。
また、本発明における光学装置は、上記電磁波応答媒体を備えたことを特徴とする。
この発明によれば、上記電磁波応答媒体と同様の効果を奏することができる。
また、本発明における電磁波応答媒体の製造方法は、基板上に、直線状に延在し延在方向の中間部にギャップ部が形成された第一金属部が前記延在方向に交差する方向に複数並列して配置された第一の金属パタンを形成する第一の金属パタン形成工程と、前記第一の金属パタン形成工程によって第一の金属パタンが形成された基板上に、誘電体層を形成する誘電体層形成工程と、前記誘電体層形成工程によって形成された誘電体層に、前記第一の金属パタンの前記第一金属部において前記延在方向の両端部を露出させるスルーホールを形成するスルーホール形成工程と、前記スルーホール形成工程によって形成されたスルーホール内に金属を充填して金属部材を形成するスルーホール充填工程と、前記誘電体層上に、前記スルーホールに形成された前記金属部材の上端部が延在方向の両端部となる直線状の第二金属部が複数配置された第二の金属パタンを形成する第二の金属パタン形成工程と、を備えることを特徴とする。
この発明においては、第一の金属パタン形成工程により、基板上に第一の金属パタンが形成される。そして、誘電体層形成工程によって、基板上に誘電体層が形成される。さらに、スルーホール形成工程によって、誘電体層にスルーホールが形成され、スルーホール充填工程によって、スルーホール内が充填される。さらに、第二の金属パタン形成工程によって、第二の金属パタンが形成される。
これにより、リング部の設置密度を高めることができる電磁波応答媒体を得ることができる。
また、上記電磁波応答媒体の製造方法は、前記第二の金属パタン形成工程では、前記第二金属部の延在方向の端部は、前記第一金属部の両端部に形成された前記金属部材の上端部にそれぞれ形成され、前記第二金属部の延在方向の中間部にはギャップ部が形成され、これにより、前記第一金属部および前記第二金属部のそれぞれにギャップ部を有する金属の環状のリング部が、それぞれが延在する面に交差する方向に複数配列された電磁波応答媒体が製造されることを特徴とする。
また、上記電磁波応答媒体の製造方法は、前記第二の金属パタン形成工程では、前記第二金属部の延在方向の一端部は、前記第一金属部および前記金属部材によってコ字状に形成されるとともに、それぞれの延在方向と交差する方向に配列された複数のリング部のうち、互いに隣接するリング部の一方の一端をなす金属部材の上端部に形成され、前記第二金属部の延在方向の他端部は、前記互いに隣接するリング部の他方において前記リング部の一方の他端側に隣接する金属部材の上端部に形成され、これにより、前記複数のリング部および前記第二金属部によってソレノイドが形成された電磁波応答媒体が製造される
ことを特徴とする。
本発明によれば、誘電体の平面上の面積に対して、リング部の設置面積を小さくすることができることから、誘電体における単位面積当たりのリング部の設置数を増大させることができる。そのため、軽量・小型化を容易に図ることができるだけでなく、共鳴周波数の電磁波に対する感度を向上させることができる。
(実施形態1)
以下、本発明の第1の実施形態における電磁波応答媒体について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態としての電磁波応答媒体1を示したものである。
電磁波応答媒体1は、誘電体からなる基板部2と、この基板部2内に行列方向に格子状に配列された複数のリング部3とを備えている。
基板部2は、図2に示すように、矩形板状の誘電体基板7と誘電体膜(誘電体)6とを備えており、これら誘電体膜6と誘電体基板7とが、厚さ方向に積層されて構成されている。すなわち、誘電体基板7の上面に誘電体膜6が積層されている。
誘電体膜6は、一体部品として形成されるものである。誘電体膜6の内部には、金属部材からなる複数のリング部3が行列方向に配列されて埋設されている。
リング部3は、コ字状に形成された一対の半体部10を備えている。半体部10は、コ字状の一対の突起部10aを互いに対向させた状態で配置されている。これにより、リング部3は、全体として略矩形フレーム状に配置されている。
また、半体部10は、互いに所定間隔を空けて対向配置されている。すなわち、互いに対向配置された突起部10aの先端面同士の間には、所定の間隔が空けられており、この所定の間隔がギャップ部Gとなる。これらギャップ部Gには、誘電体膜6で充足されている。さらに、半体部10の上部は、誘電体膜6の上面から露出している。すなわち、リング部3の略全体が誘電体膜6に埋設しており、半体部10の上部のみが誘電体膜6から突出している。
これらリング部3は、誘電体基板7に対して立てられて同軸上に一定のピッチ間隔で複数配列されている。すなわち、これらリング部3は、リング部3の腕部が周方向に延在する仮想的な面(半体部10の前端面を含む仮想的な面)Eに直交する方向に延びる軸線A1を中心として、複数揃えられて配列されている。軸線A1は、基板部2の上面と平行に向けられている。
さらに、これら複数のリング部3は、複数列設けられており、他の列のリング部3も軸線A2を中心として、所定のピッチ間隔で複数揃えられて配列されている。なお、軸線A2も面Eに直交する線である。軸線A1と軸線A2とは、平行に延ばされている。そのため、複数のリング部3は、一定の間隔を空けて行列方向に配列されている。
ここで、これらリング部3の寸法について、図3を参照して説明する。
図3は、リング部3を軸線A1,A2方向から見た様子を示す平面図である。
なお、図3において、一対の半体部10の互いの配列方向を横方向Wとし、半体部10の長手方向を高さ方向Hとする。
ギャップ部Gの横方向Wの距離寸法(対向する突起部10a同士の間隔)gは、0.5μmである。リング部3の横方向Wの外形の幅寸法Fは、26μmであり、リング部3の高さ方向Hの外形の高さ寸法hは、26μmである。また、半体部10自体の幅寸法dは、4μmであり、半体部10の厚さ寸法T(図2に示す)は、2μmである。さらに、リング部3の横方向Wのピッチ間隔P(図2に示す)は、36μmである。
リング部3の外形寸法は、対象とする電磁波の波長に対して十分小さくすることが本質的に重要である。テラヘルツ波の波長は1THzで300μmであるので、リング部3の幅寸法F(外形寸法)は、波長に対して1/10程度となっている。このサイズは、対象とする電磁波の波長に対して十分に短く、テラヘルツ波から見ると一定の有効透磁率μ(ω)を持つ均一な媒質とみなせ、散乱や回折は殆ど無視することができる。なお、幅寸法Fは、適宜変更可能であるが、特に、応答波長に対して1/100以上1/10以下の範囲とすることが好ましい。
次に、このように構成された本実施形態における電磁波応答媒体1の作用について説明する。
リング部3は、金属からなるものであり、それ自体で、抵抗及びインダクタを構成する。さらに、ギャップ部Gが設けられていることから、コンデンサとしても機能する。すなわち、リング部3は、抵抗、インダクタ及びコンデンサの直列共振回路を構成する。
そのため、磁気的共鳴周波数ω が存在し、この共鳴周波数近傍で磁場成分の大きな吸収が生じ、所定の電磁波に対して応答する電磁波応答媒体1として機能する。
以下、図3及び図4を参照して、リング部3の電磁場に対する応答を等価回路モデルによって説明する。
矩形枠状のリング部3を、その内側に配される半径rの円Bで近似する。
また、リング部3が、n列からなるものとして、同じ列に属するリング部3の軸線A方向のピッチ間隔をPとする。
ある列Kの単位長さ当たりのインダクタンスLは
L=μπr/P (μ:空気の透磁率、真空の透磁率と同じ)
となる。
列Kを除くリング部3全体のインダクタンスをL’として、LとL’の単位体積当たりの相互インダクタンスMは、
M=Φ/I=lim(μπr/nP )Φ/I
となる。
ここで、Iはリング部3を流れる電流、ΦLは列Kの単位体積当たりの磁束、Φは列Kを除いた残りの(n−1)列の全磁束である。
Φ=(n−1)LIを用いるとn→∞で、
M=(πr/P )L=FL
となる。
F(=πr/P )は、リング部3の形状で決まる定数である。
この系に、磁場の振幅がHである外部電磁場Hiωtがリング面に垂直に加わると次のエネルギーバランスが成り立つ。
iωμπr=RI+I/(−iωC)+(−iωL)I−(−iωM)I
ここでiは虚数単位、ωは角速度、Cはリング部3のギャップ部Gの容量である。
上式より電流Iは次式で与えられる。
I=−P/[(1−F)−(1/ωLC)+i(R/ωL)]・・・(1)
この電流でリングに誘起される単位体積当たりの自発磁化Mは次式で与えられる。
=πrI/(P
そして、実効的な単位体積当たりの透磁率μ(ω)を、式(1)を使って計算すると、
μ(ω)=1−F/[1−(1/ωLC)+i(R/ωL)]
となる。
従って、磁気的な共鳴振動数ω は、以下の式で近似的に与えられる。
Figure 0005272311
ギャップ部Gを平板コンデンサと見なすと、容量Cは、
C=Sε/(2d)
となる。
なお、εは真空の誘電率、Sは電極の面積である。
インダクタンスは、L=μπr/Pなので、共鳴振動数ω は、以下の式で与えられる。
Figure 0005272311
なお、cは光速である。
この式からd、P、r、Sとして数ミクロンオーダーの値を採用すれば、テラヘルツ域に磁気的な共鳴吸収を生じることが確認出来る。より微細化すれば赤外域で共鳴吸収を生じる。
次いで、本実施形態における電磁波応答媒体1の製造方法について説明する。
まず、図5に示すように、対角6インチの基板(6025基板)50の上に、銅層51をスパッタリング法で製膜する。銅層51の厚さ寸法は、2μmとする。
そして、スピンコートにより基板50上にレジスト(FEP−171、富士フィルムエレクトロニクスマテリアルズ社製)を設ける。この状態において、120℃で10分間プリベークを行う。それから、10μC/cmでEB露光を行い、さらに、110℃で10分間ポストベークを行う。そして、テトラメチルハイドロオキサイド2.4wt%水溶液により、スプレー現像を行う。さらに、塩化第2鉄溶液により、エッチングと洗浄を行い、銅層51から、対をなす銅パタン(第一の金属パタン)52を形成する(第一の金属パタン形成工程)。対をなす銅パタン52の間には、所定の間隔を空ける。この間隔が、上述したギャップ部Gとなる。ギャップ部Gの距離寸法gは、0.5μmとする。また、銅パタン52の厚さ寸法Tは、2μmとし、銅パタン52の幅寸法dは、4μmとする。
さらに、図7に示すように、銅パタン52を含む基板50上に、スパッタリング法により、SiOからなる誘電体層55を形成する(誘電体層形成工程)。この誘電体層55の厚さ寸法は、3μmとする。そして、ICP(Inductively Coupled Plasma)ドライエッチャを利用して、図8に示すように、誘電体層55に、ドライエッチングにより、所定の位置に断面矩形状のスルーホール56を形成する(スルーホール形成工程)。なお、エッチング条件としては、例えば、CF流量:5sccm、圧力:1mTorr、バイアスパワー:130W、ICPパワー:400Wとする。また、エッチング時間に関しては、レーザの反射強度を用いて終点を検出して終了とする。スルーホール56の開口寸法は、2μmとする。これらスルーホール56によって、対をなす銅パタン52の両端の表面が露出する。
それから、図9に示すように、無電解銅めっき法により、スルーホール56内に銅部材59を設ける。これによりスルーホール56内は銅部材59で充填される。このとき、銅パタン52の表面が露出していることから、銅部材59と銅パタン52とは、接触した状態になる。
さらに、レジスト層の剥離、洗浄を行った後、全面スパッタリングにより、誘電体層55の全面に、銅膜57を形成する。銅膜57の厚さ寸法は、2μmとする。これにより、銅膜57、銅部材59及び銅パタン52は、接触した状態になる。
さらに、図10に示すように、フォトリソ法により、銅膜57上にレジストパターンを形成し、塩化第2鉄溶液により第一の銅パタンの形成と同様にエッチングを行って、上層の銅パタン(第二の金属パタン)58を形成する(第二の金属パタン形成工程)。
このようにして得られた銅パタン52,58及び銅部材59が、図2に示すリング部3となり、誘電体層55が誘電体膜6となり、基板50が誘電体基板7となり、全体として電磁波応答媒体1となる。
以上より、本実施形態における電磁波応答媒体1によれば、軸線A1,A2を中心として、リング部3を複数配列していることから、基板部2における単位面積当たりのリング部3の設置数を増大させることができ、基板部2におけるリング部3の密度を高くすることができる。そのため、全体の軽量・小型化を容易に図ることができるだけでなく、共鳴周波数の電磁波に対する感度を向上させることができる。
また、誘電体膜6が一体的に形成されており、その一体的な誘電体膜6に複数のリング部3が埋設していることから、例えばリング部3をそれぞれ別個に配置する場合に比べて、それら複数のリング部3を一定の位置に固定することができる。そのため、強度を増大させることができるだけでなく、取り扱いを容易にすることができる。また、複数のリング部3が誘電体膜6に埋設していることから、リング部3を保護することができ、リング部3の耐環境性を向上させることができる。また、ギャップ部Gが誘電体膜6で充足されることから、誘電体膜6の材質を選択することにより、誘電率を調整することができ、ギャップ部Gによるコンデンサの容量を容易に調整することができる。
また、ギャップ部Gを設けていることから、コンデンサとして機能させることができ、容易かつ確実に共鳴させることができる。
さらに、リング部3の上部を基板部2の上面から露出させていることから、リング部3において生じた電流や電圧を容易に取り出すことができる。
(実施形態2)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
図11は、本発明の第2の実施形態を示したものである。
図11において、図1から図10に記載の構成要素と同一部分については同一符号を付し、その説明を省略する。
この実施形態と上記第1の実施形態とは基本的構成は同一であり、ここでは異なる点についてのみ説明する。
本実施形態においては、互いに直交する軸線A1と軸線A3とのそれぞれを中心軸にしてリング部3が配列されている。すなわち、複数のリング部3が、2方向に配列されている。
従来では、基板に垂直方向に電磁波が入射すると、磁場がリングに平行となり、誘導電流がわずかしか発生しなかった。そのため、基板を入射方向に平行になるように傾けるか、好ましくは二枚の基板を直交するように配置する必要がある。そのため吸収体の体積が大きくなってしまう。
本実施形態における電磁波応答媒体1によれば、リング部3の設置密度を高くしつつ、異なる方向の電磁波に効率よく反応させることができる。
なお、リング部3の配列方向は、3方向以上であってもよい。
(実施形態3)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
図12は、本発明の第3の実施形態を示したものである。
図12において、図1から図11に記載の構成要素と同一部分については同一符号を付し、その説明を省略する。
この実施形態と上記第1の実施形態とは基本的構成は同一であり、ここでは異なる点についてのみ説明する。
本実施形態における電磁波応答媒体1は、基板部2が複数積層されてなるものである。また、下層の基板部2におけるリング部3の軸線A1,A2と、上層の基板部2におけるリング部3の軸線A4とは直交している。すなわち、リング部3の配列方向が、基板部2ごとに異なっている。
これにより、リング部3の設置密度を高くすることができるだけでなく、異なる方向の電磁波に効率よく反応させることができる。
なお、基板部2を、3層以上積層してもよいし、リング部3が同一方向に配列されるように積層してもよい。また、上記実施形態2の基板部2を積層してもよい。
(実施形態4)
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。
図13は、本発明の第4の実施形態を示したものである。
図13において、図1から図12に記載の構成要素と同一部分については同一符号を付し、その説明を省略する。
この実施形態と上記第1の実施形態とは基本的構成は同一であり、ここでは異なる点についてのみ説明する。
本実施形態においては、複数のリング部3をそれぞれ軸線A1,A2方向に連結する金属部材からなる連結部20が設けられている。連結部20は、軸線A1,A2に対して傾斜されて設けられており、リング部3の一端から軸線A1,A2方向に隣接する他のリング部3の他端とを連結するものである。すなわち、リング部3は、それらリング部3が軸線A1,A2方向に複数連結されたソレノイドユニットとして構成されるものである。なお、図示していないが、連結されたソレノイドユニットの所定の位置に所定数のギャップを設けることによって、コンデンサとして機能させることができる。
なお、実線で示す符号25は、図13の裏面から表面に向かう方向の上部の金属配線を示すものであり、破線で示す符号26は、下部の金属配線、符号27は上下を連結するスルーホール配線部を示すものである。
ここで、これらソレノイドユニットの製造方法について説明する。
上記第1の実施形態と同様にして、基板上に銅パタン(図6に示す符号52に相当)を形成する。それから、スパッタリング法により、SiOからなる誘電体層を2μmの厚みになるように製膜する。
そして、第一の実施形態と同様に、ドライエッチング法により、リング部の腕部に当たる誘電体層の所定位置に開口寸法2μmのスルーホールを形成する。これにより、先に形成した銅パタンの両端の表面が露出する。
それから、第一の実施形態と同様に、無電解銅めっき法により、スルーホール内に銅部材を充填する。この工程により、銅部材と銅パタンは接触した状態になる。
さらに、スパッタリング法により、銅層を2μm膜付けする。実際には、スルーホールの部分で銅層の若干の凹みが見られたが、問題はなかった。そして、銅層をフォトリソ法により銅パタンとする。具体的には、レジスト(FEP−171、富士フィルムエレクトロニクスマテリアルズ社製)をコーティングしてプリベークし、銅パタンが図13で示すソレノイドになるようなマスクを用いて露光現像し、次いで銅層のエッチングを行う。さらに、レジストの剥膜処理と洗浄を行い、これにより、図13に示すソレノイドを有する基板が得られる。コンデンサ部分については上下の電極部分の重なりが10μmになるようにする。
このような構成のもと、互いのソレノイドの一端部が対向するギャップ部(符号30で囲まれた部分)が、コンデンサとして機能し、それら端部がコンデンサの電極となる。軸線A1を中心とするソレノイドの上部電極32を一方の電極とし、軸線A2を中心とするソレノイドの同じ番目の下部電極33を他方の電極とすればよい。誘電体層があるのでコンデンサになり、重なり合う面積を調整して容量の制御が可能である。誘電体材料を選択することによっても可能である。大部分の有機材料では誘電率は2程度以下であるが、アルミナのような無機材料を誘電体層とすれば8程度の高誘電率を得ることが出来る。
隣り合う列同士を連結する場合には、コンデンサとなる一対の電極に逆極性の電荷が貯まるように連結する必要がある。なお、図13において、矢印36は、磁場の時間変化μ∂H/∂tで誘起される電場に起動される電流の向きを示すものである。
また、互いのソレノイドの他端部同士は、外部電磁場で誘起される起電力を読み出すための一対の端子37としても使える。
こうした構成によって、読み出し用の端子の数を減らし且つ場所的に近くに持ってくることが可能となる。
ソレノイドの場合も、インダクタンスL、容量C、配線抵抗Rの直列回路と近似して磁気的共鳴周波数を計算できる。基本的にはCとRの値がリング部3の場合と異なる。ソレノイドの巻き数、ソレノイドの連結数、コンデンサの数及び電極面積は、必要とする共鳴振動数と必要な起電力から決めればよい。起電力は、ソレノイドの巻き数にほぼ比例する。入力する電磁波が微弱な場合には、巻き数を数百以上に設定する必要がある。この場合には、面内でソレノイドを連結するだけでなく、上記実施形態1の基板部2をスルーホールで複数ビルドアップすることで可能となる。
共鳴周波数は、上述したように容量C、インダクタンスLで決まるので、ソレノイドの幾何学的形状、巻き数、金属の種類、コンデンサ部の電極面積と数、誘電体などを適切に選択して調整する。これによって一つの面内に複数の共鳴周波数を持つようにしてもよいし、場合によっては異なる共鳴周波数のレイヤーを複数ビルドアップしてもよい。
(実施形態5)
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。
図14は、本発明の第5の実施形態を示したものである。
図14において、図1から図13に記載の構成要素と同一部分については同一符号を付し、その説明を省略する。
この実施形態と上記第1の実施形態とは基本的構成は同一であり、ここでは異なる点についてのみ説明する。
本実施形態においては、リング部3が全て誘電体膜6に埋設しており、対向配置された半体部10の突起部10aのそれぞれに、端子部23が接続されている。端子部23は、誘電体膜6の表面上に設けられている。
このような構成のもと、一対の端子部23を介して、リング部3において誘起される起電力が取り出される。
これにより、共鳴時の電力を容易に取り出すことができる。
なお、上記第1から第5の実施形態では、リング部3が矩形フレーム状であるものとしたが、これに限ることはなく、その形状は適宜変更可能である。例えば、円形であってもよく、環状であればよい。また、リング部3のギャップ部Gが周方向に2箇所設けられているものとしたが、これに限ることはなく、ギャップ部Gを1箇所設けたり、3箇所以上設けたりしてもよい。
また、各寸法について記載したが、これは一例であって、それら寸法は適宜変更可能であることは言うまでもない。
また、本実施形態における電磁波応答媒体1は、様々な分野に利用することができる。例えば、x線を使っている分野に対して、これをテラヘルツ波に置き換える場合に利用することができる。具体的には、空港などにおける所持品検査や皮膚がんや乳がんなどの診断にも利用することができる。また、テラヘルツ波を利用して、ICなどの断線の検査、薬物の検出、例えば家庭用の袋の製造工程における漏れの検出などに利用することができる。
また、テラヘルツ領域から赤外線領域にわたる電磁波の応答媒体、特にフィルターとして利用することができる。さらに、ミクロンオーダーのソレノイドとコンデンサを埋め込んだものは、高感度なテラヘルツ受信用アンテナとして利用できる。
また、上記第1から第5の実施形態における電磁波応答媒体1を組み込むことにより、電磁波検出装置として利用することができる。
また、上記第1から第5の実施形態における電磁波応答媒体1を組み込むことにより、光学装置として利用することができる。光学装置としては、例えば、光学篩や顕微鏡などがある。
図15は、電磁波応答媒体1Aを組み込んだ光学篩の一部を示す図であって、リング部3に直交する方向に光を照射したときの基板部2上の電場(ポテンシャル)の様子を示す説明図である。
電磁波応答媒体1Aにおけるリング部3は、所定の電場のパターンが基板部2上に現れるように、長さ、断面積、ピッチ間隔P,P、ギャップ部Gの距離寸法gなどの各寸法があらかじめ設定されて配列されている。
このような構成のもと、リング部3に直交する方向にレーザ光を照射すると、そのレーザ光の電場成分よりも大きい電場Y(図15に示す)がギャップ部Gに現れる。すなわち、入射光の電場成分が増大させられてギャップ部Gに現れる。さらに、軸線A1(A2)方向のギャップ部G同士の間の領域D(図15において二点鎖線で示した領域)に、大きい電場Yよりも小さい電場が現れる。すなわち、基板部2上に、あらかじめ設定された周期的な強弱の電場が現れる。
これにより、篩の対象物の大きさや質量などから、リング部3の各寸法をあらかじめ設定しておくことにより、対象物を選り分ける光学篩として機能させることができる。
以下、図3及び図4を参照して、ギャップ部Gの電場を等価回路モデルによって説明する。
電流Iで誘導される電荷qは式(1)を使うと、以下の式で表わされる。
q=∫Idt
=∫e−iωt{−P/[(1−F)−(1/ωLC)+i(R/ωL)]}
=−iω−1{P/[(1−F)−(1/ωLC)+i(R/ωL)]}
従って、電場Eは以下の式で表わされる。
E=q/(Cd)
=i(ωCd)―1{P/[(1−F)−(1/ωLC)+i(R/ωL)]}
1−F≒1と近似して先述の磁気共鳴周波数ω での電場増強の程度をQとすれば
Q=(1/2)ε|E|/{(1/2)μ|H}
=ε /(μ
となる。
共鳴条件C−1=L(ω 、R=2πrσ(σ:単位長さあたりの抵抗)、L=πμ/P,C=εS/dを代入すると、増強度Qは、以下の式で表わされる。Sは平面コンデンサーの面積、dは距離である。
Q=|πμ(ω /(2cdlσ)|
=|μr/(2Sσ)|
(ω =c dP/(πrS)
リング部3のサイズをd=2μm、P=10μm、r=20μm、S=2μm×5μm、σ=1000とすると、ω ≒1013Hz、Q≒10となり、赤外領域でQは10の増大度に達する。より微細化すれば可視域に達することも可能である。外形のサイズはrでほぼ決まる。テラヘルツ以上の高周波では概ね30ミクロン以下である。増大度Qについては材料の抵抗σが効いてくるので、出来るだけ抵抗の小さい材料が望ましい。
ここで、電場を増大させる方法として以下の二つの方法がある。
電場を増大させる一つ目の方法は、金属表面のプラズマ共鳴を利用する方法である。金属表面に入射した光と金属表面の電子とが強く結合する状況をプラズマ共鳴と言い、これら結合した集団励起を表面プラズモンと言う。表面プラズモンは、金属表面を伝播する場合、磁場成分が表面に平行で、電場成分が表面に垂直な方向を向いている。この表面から空気側に染み出た電場は、入射電磁波の電場に較べて強いことがわかっている。
したがって、試料分子を金属表面に近接させておいて、励起用レーザ光を照射すると、増大させられた電場が試料に印加される。これが表面増強型ラマン散乱である。蛍光発光でも金属表面に蛍光体を近接させて置くと、孤立した場合より強い電場が印加される。
なお、金属表面にプラズマ共鳴を起こすには二つの方法がある。一般には平坦な金属表面ではプラズマ共鳴は生じない。これは表面プラズモンと入射光との間で運動量保存則が成り立たないためで、光の運動量を増大させる必要がある。
プラズマ共鳴を起こす一つの方法は、金属表面に周期的な波長程度の周期のグレーティングを形成するものである。
プラズマ共鳴を起こす他の方法は、プリズムに光を入射させてプリズムの底面で全反射する際に、底面から染み出るエバネッセント光を金属に導くものである。このエバネッセント光も運動量が増しており、プラズモンを励起するすることができる。湾曲した金属表面にも表面プラズモンが生成され、サブミクロンサイズの球やディスクの表面が利用される。
しかしながら、このようなグレーティングを形成した場合やプリズム底面を利用する場合の電場増強の程度は1000以下である。ラマン散乱をイメージングに利用する場合更なる増大が必要である。
また、波長程度のピッチを有するグレーティング形成には、2光束の干渉露光が必要であり、工程的にも煩雑である。
さらに、表面プラズモンを利用する場合には、径がサブミクロンの金属ロッドを並べると電場増強度が増大すると言われているが、ロッド形状の均一な製造は容易ではない。
そこで、電場を増大させる二つ目の方法として、上記のようなリング部を利用する方法が考えられる。これはリング部の開口部を交番磁場が貫通すると、リング部に電流が誘起され、これで誘導された正負の電荷が、ギャップ部の対向面に滞留してギャップ部に電場を形成することによるものである。しかし、従来においては、リング部が基板上に平面的に形成されているので、リング部の密度が上がらないという問題があった。
この光学篩によれば、入射波の電場成分よりも出力される電場を大きくすることができ、電場の出力効率を向上させることができるだけでなく、リング部の設置密度を上げることができ、高精度な篩として機能させることができる。
また、プリズムやこのプリズムに設ける貴金属なども不要とすることができる。
また、プリズムを利用する場合、レーザ光の照射条件が厳しくなるが、本光学篩によれば、レーザ光の照射条件の許容範囲を広くすることができ、出力される電場を容易に増大させることができる。
さらに、プリズムを利用する場合には、底面に現れる電場のパターンをコントロールすることができず、対象物に応じて光源を複数用意する必要があるが、本光学篩においては、リング部3の各寸法を調整することにより、電場のパターンを自由に設定することができ、これらパターンを複数種類用意しておくことにより、一つの光源で複数の対象物に容易に対応することができる。
なお、少なくともリング部3の上端のギャップを埋める方が好ましく、リング部3の上端を基板部2の上面と面一にすることもできる。これにより、対象物をギャップなどに留めさせることなく高精度に選別することができる。
なお、ギャップ部3の近傍の電場を光学格子として使う場合は、金属を露出させるよりも、酸化珪素、アルミナ等の無機酸化膜あるいは有機物の薄い膜でカバーして使うのが望ましい。ギャップ部Gの幅、密度、配置パターンも重要である。目的に応じて最適な値、パターンを選択することが望ましい。
図16は、電磁波応答媒体1Aを組み込んだ光学篩の変形例の一部を示す図であって、リング部3Aに直交する方向に光を照射したときの基板部2上の電場(ポテンシャル)の様子を示す説明図である。
リング部3A(図17に示す)は、コ字状に形成されている。そして、リング部3Aの両端面は、基板部2と面一になっており、基板部2の外方に露出している。そして、それら両端面の間隔と、隣り合うリング部3Aの端面同士の間隔とが等しくなっている。すなわち、軸線A1に直交する方向の各端面同士の間隔はすべて等しくなっている。
このような構成のもと、リング部3Aにレーザ光を照射すると、正極と負極とが、軸線A1に直交する方向に交互に各端面に現れる。そのため、各端面の間のすべてに大きい電場Yが現れ、その電場の軸線A1方向の間の領域Dにも弱い電場が現れる。
以上より、本変形例の光学篩によれば、上記光学篩と同様の効果を奏することができるだけでなく、基板部2のスペースの利用効率を向上させることができる。
なお、図18に示すように、リング部3Bのギャップ部Gに、入射する波長に応じたプラズマ振動数を有する金属粒子62を設けて、レーザ光照射時に、金属粒子62を共鳴させることにより、ギャップ部Gの電場をさらに増大させることができる。
このリング部3Bは、矩形環状に一体的に形成され、ギャップ部Gが一つ設けられたものである。
図19は、電磁波応答媒体を組み込んだ蛍光顕微鏡の基板の一部を示す図であって、リング部3Bを軸線方向A1から見た様子を示す正面図である。
ギャップ部Gには、蛍光体64が設けられている。これにより、レーザ光照射時に、ギャップ部Gの電場を増大させることができ、その結果、蛍光体64から発せられる光量を増大させることができる。
なお、蛍光体64に代えて、ラマン散乱光を照射する部材を設置することにより、ラマン散乱顕微鏡に適用することができる。
なお、本発明の技術範囲は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えることが可能である。
本発明に係る電磁波応答媒体の第1の実施形態を示す平面図である。 図1の電磁波応答媒体の一部を拡大して示す斜視図である。 図2のリング部を拡大して示す平面図である。 リング部を2次元周期的に並べた状態を説明する模式図である。 図1の電磁波応答媒体を製造する様子を示す図であって、基板上に銅層を設けた様子を示す断面図である。 図5の銅層から銅パタンを形成した様子を示す断面図である。 図6の基板上に誘電体層を設けた様子を示す断面図である。 図7の誘電体層にスルーホールを形成した様子を示す断面図である。 図8の誘電体層に銅膜を設けた様子を示す断面図である。 図9の銅膜から銅パタンを形成した様子を示す断面図である。 本発明に係る電磁波応答媒体の第2の実施形態を示す平面図である。 本発明に係る電磁波応答媒体の第3の実施形態の一部を示す斜視図である。 本発明に係る電磁波応答媒体の第4の実施形態の一部を示す平面図である。 本発明に係る電磁波応答媒体の第5の実施形態の一部を示す説明図である。 本発明に係る光学装置の一部を示す図であって、リング部に直交する方向に光を照射したときの基板部上の電場の様子を示す説明図である。 図15の変形例を示す説明図である。 図16の基板部に設けられたリング部を拡大して示す正面図である。 リング部のギャップ部に金属粒子を設けた様子を示す正面図である。 本発明に係る他の光学装置の一部を示す図であって、基板部に設けられたリング部を拡大して示す正面図である。
符号の説明
1 電磁波応答媒体
3 リング部
6 誘電体膜(誘電体)
23 端子部
G ギャップ部

Claims (12)

  1. 基板上に、直線状に延在し延在方向の中間部にギャップ部が形成された第一金属部が前記延在方向に交差する方向に複数並列して配置された第一の金属パタンを形成する第一の金属パタン形成工程と、
    前記第一の金属パタン形成工程によって第一の金属パタンが形成された基板上に、誘電体層を形成する誘電体層形成工程と、
    前記誘電体層形成工程によって形成された誘電体層に、前記第一の金属パタンの前記第一金属部において前記延在方向の両端部を露出させるスルーホールを形成するスルーホール形成工程と、
    前記スルーホール形成工程によって形成されたスルーホール内に金属を充填して金属部材を形成するスルーホール充填工程と、
    前記誘電体層上に、前記スルーホールに形成された前記金属部材の上端部が延在方向の両端部となる直線状の第二金属部が複数配置された第二の金属パタンを形成する第二の金属パタン形成工程と、
    を備えることを特徴とする電磁波応答媒体の製造方法。
  2. 前記第二の金属パタン形成工程では、
    前記第二金属部の延在方向の端部は、前記第一金属部の両端部に形成された前記金属部材の上端部にそれぞれ形成され、
    前記第二金属部の延在方向の中間部にはギャップ部が形成され、
    これにより、前記第一金属部および前記第二金属部のそれぞれにギャップ部を有する金属の環状のリング部が、それぞれが延在する面に交差する方向に複数配列された電磁波応答媒体が製造される
    ことを特徴とする請求項1に記載の電磁波応答媒体の製造方法。
  3. 前記第二の金属パタン形成工程では、
    前記第二金属部の延在方向の一端部は、
    前記第一金属部および前記金属部材によってコ字状に形成されるとともに、それぞれの延在方向と交差する方向に配列された複数のリング部のうち、互いに隣接するリング部の一方の一端をなす金属部材の上端部に形成され、
    前記第二金属部の延在方向の他端部は、
    前記互いに隣接するリング部の他方において前記リング部の一方の他端側に隣接する金属部材の上端部に形成され、
    これにより、前記複数のリング部および前記第二金属部によってソレノイドが形成された電磁波応答媒体が製造される
    ことを特徴とする請求項1に記載の電磁波応答媒体の製造方法。
  4. 金属からなり、周方向の一部に、複数のギャップ部が設けられているリング状に形成されたリング部と、
    前記リング部の少なくとも一部が埋設される誘電体とを備え、
    前記リング部が、前記リング部の延在する面に交差する方向に配列されて、前記誘電体に複数設けられていることを特徴とする電磁波応答媒体。
  5. 前記リング部が、互いに交差する少なくとも2方向に配列されていることを特徴とする請求項に記載の電磁波応答媒体。
  6. 前記誘電体が、その厚さ方向に複数積層されており、
    複数積層された前記誘電体ごとの前記リング部の配列方向が、交差していることを特徴とする請求項4又は請求項に記載の電磁波応答媒体。
  7. 複数の前記リング部ごとに、異なる共鳴周波数が設定されていること特徴とする請求項から請求項のいずれか一項に記載の電磁波応答媒体。
  8. 金属からなり、コ字状のリング状に形成されたリング部と、
    前記リング部の少なくとも一部が埋設される誘電体とを備え、
    前記リング部が、前記リング部の延在する面に交差する方向に配列されて、前記誘電体に複数設けられており、
    複数の前記リング部のうち、前記リング部の延在する面に交差する方向において互いに隣接するリング部の一方の端部と、前記互いに隣接するリング部の他方において前記リング部の一方の他端側に隣接する端部とが、前記リング部の延在する面に交差する方向に金属で連結され、ソレノイドが形成されていることを特徴とする電磁波応答媒体。
  9. 前記リング部において誘起される起電力を取り出すための端子が、前記リング部に設けられていることを特徴とする請求項から請求項のいずれか一項に記載の電磁波応答媒体。
  10. 前記リング部の延在する面に交差する方向から見た前記リング部の外形寸法が、共鳴周波数の波長に対して1/10以下であることを特徴とする請求項から請求項のいずれか一項に記載の電磁波応答媒体。
  11. 請求項から請求項10のいずれか一項に記載の電磁波応答媒体を備えたことを特徴とする電磁波検出装置。
  12. 請求項から請求項10のいずれか一項に記載の電磁波応答媒体を備えたことを特徴とする光学装置。
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