〔パチンコ遊技機の全体構造〕
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について、図面を参照して説明する。まず、図1乃至図8を参照して実施形態に係るパチンコ遊技機の全体について説明する。図1は、実施形態に係るパチンコ機1の外枠2に対して本体枠3を開放し、本体枠3に対して扉枠5を開放した状態を示す斜視図であり、図2は、パチンコ遊技機の正面から見た斜視図であり、図3は、パチンコ機1の正面図であり、図4は、パチンコ機1の側面図であり、図5は、パチンコ機1の平面図であり、図6は、パチンコ機1の背面図であり、図7は、パチンコ機1を構成する外枠2、本体枠3、遊技盤4、扉枠5の後方から見た分解斜視図であり、図8は、パチンコ機1を構成する外枠2、本体枠3、遊技盤4、扉枠5の前方から見た分解斜視図である。
図1乃至図8において、本実施形態に係るパチンコ機1は、島(図示しない)に設置される外枠2と、該外枠2に開閉自在に軸支され且つ遊技盤4を装着し得る本体枠3と、該本体枠3に開閉自在に軸支され且つ前記遊技盤4に形成されて球が打ち込まれる遊技領域605を遊技者が視認し得る遊技窓101と該遊技窓101の下方に配置され且つ遊技の結果によって払出される球を貯留する貯留皿としての皿ユニット300とを備えた扉枠5と、を備えて構成されている。
外枠2には、その下方前方に表面が装飾カバー板15によって被覆されている下部前面板14が固着されている。また、本体枠3には、上記したように遊技盤4が着脱自在に装着し得る他に、その裏面下部に打球発射装置650と、遊技盤4を除く扉枠5や本体枠3に設けられる電気的部品を制御するための各種の制御基板や電源基板等が一纏めに設けられている基板ユニット1100が取り付けられ、本体枠3の後面開口580(図7参照)を覆うカバー体1250が着脱自在に設けられている。更に、扉枠5には、上記した皿ユニット300の他に、遊技窓101を閉塞するようにガラスユニット250と、ハンドル装置460とが設けられている。そして、本実施形態の特徴は、扉枠5に設けられる皿ユニット300が1つであり、しかも、従来は本体枠3に設けられていたハンドル装置460が扉枠5に設けられ、また、扉枠5と本体枠3とが正面から見てほぼ同じ方形の大きさであるため、正面から本体枠3が視認できなくした点である。以下、パチンコ機1を構成する部材について詳細に説明する。
〔外枠〕
外枠2について、主として図9乃至図13を参照して説明する。図9は、外枠2の正面斜視図であり、図10は、同外枠2の正面から見た分解斜視図であり、図11は、同外枠2の正面図であり、図12は、同外枠2の背面図であり、図13は、図11のB−B断面図(A)と図13(A)のC−C断面図(B)、D−D断面図(C)、E−E断面図(D)である。
図9及び図10において、本実施形態に係る外枠2は、上下の上枠板10及び下枠板11と左右の側枠板12,13とを、それぞれの端部を連結するための連結部材19で連結することによって方形状に組み付けられるものである。具体的には、連結部材19は、中央と左右とに段差のある表彰台状に形成され、突出した中央の部分が上枠板10及び下枠板11の両端部中央に形成された係合切欠部20に嵌合され、一段下がった左右の部分の平面に上枠板10の裏面と下枠板11の上面とが当接し且つ一段下がった左右の部分の一側面に側枠板12,13の内側面が当接するようになっている。
そして、その状態で、上枠板10の係合切欠部20の両側方及び下枠板11の係合切欠部20の両側方にそれぞれ形成される挿通穴21と連結部材19の一段下がった左右の部分の平面に形成される複数(図示の場合2個)の連結穴22(図10の上枠板10と側枠板12とを連結する連結部材19に表示するが、他の連結部材19にも存在する)とを一致させて上方又は下方から複数(図示の場合2本)の連結ビス23で止着し、更に、側枠板12,13の上下端部分に穿設される複数(図示の場合2個)の取付穴24と連結部材19の一段下がった左右の部分の側面に形成される複数(図示の場合3個)の連結穴25とを一致させて側方外側から複数(図示の場合3本)の連結ビス26,27で止着することにより、上下の上枠板10及び下枠板11と左右の側枠板12,13とが強固に連結固定される。ただし、3本の連結ビス26,27のうち、1本の連結ビス27は、側枠板12,13と連結部材19とを連結するものではなく、上枠板10及び下枠板11と連結部材19とを側方から直接連結するものである。
外枠2を構成する上枠板10と下枠板11、及び側枠板12,13のうち、上枠板10と下枠板11とは従来と同じ木製であり、側枠板12,13は、軽量金属、例えば、アルミニュウム合金の押出し成型板により構成されている。上枠板10及び下枠板11を従来と同じ木製で構成した理由は、パチンコ機1を遊技場に列設される島に設置する場合に、島の垂直面に対し所定の角度をつけて固定する作業を行う必要があるが、そのような作業は上枠板10及び下枠板11と島とに釘を打ち付けて行われるため、釘を打ち易くするためである。一方、側枠板12,13をアルミニュウム合金の押出し成型板により構成した理由は、従来の木製に比べ強度を維持しつつ肉厚を薄く形成することができるため、側枠板12,13の内側に隣接する本体枠3の側面壁540〜543(図23参照)の正面から見たときの左右幅を広くすることができる。このため左右方向の寸法の大きな遊技盤4を本体枠3に装着することができることになり、結果的に遊技盤4の遊技領域605を大きく形成することができるからである。ただし、側枠板12,13をアルミニュウム合金の平板で構成すると、充分な剛性が確保できないため、図13(C)に示すように、側枠板12(側枠板13も全く同じ構造である。)の後方部分内側にリブによって後方が開放した空間部28(側枠板13の空間部28は図12に表示)を形成して後方部分の肉厚h1が厚くなるように引き抜き成型されている。もちろん、この肉厚h1は、従来の木製の肉厚と同等若しくは若干薄い寸法となっている。
また、図13(B),(D)に示すように、側枠板12の空間部28の前方には、連結部材19の一段下がった左右の部分の一方の部分が嵌め込まれる溝部29(側枠板13の溝部29は図9に表示)が形成されている。側枠板12の溝部29から前端部までは、図13(B)〜(D)に示すように、その内側面が連結部材19の一段下がった左右の部分の他方の部分が当接する平板状をなすものであるが、その平板部に材料軽減のための浅い凹部が形成されている。更に、前記溝部29が形成される反対側の面(外側面)には、図9及び図13(B)に示すように、上支持金具45の垂下片部53が挿入される凹部30
(側枠板13の凹部30は図10に表示)が形成されている。
そして、上記のように形成される軸支側の側枠板12には、連結部材19を取り付けるための構成以外に、その上部に上支持金具45の垂下片部53を側枠板12の外側に止着ビス32で止着するための取付穴31が穿設されると共に、その下部に下支持金具66の垂直当接片72に形成される取付穴69と一致させて止着ビス34で止着するための取付穴33が穿設されている。また、取付穴33の下部であって側枠板12の前方部分に側枠板12と下部前面板14とを止着ビス36で止着するための取付穴35が形成されている。
一方、開放側の側枠部13には、連結部材19を取り付けるための構成以外に、その上部に閉鎖用突起38を取付ネジ39で取り付けるための取付穴37が穿設され、その下部に閉鎖用突起41を取付ネジ42で取り付けるための取付穴40が穿設されると共に、さらに最下方に側枠板13と下部前面板14とを止着ビス44で止着するための取付穴43が形成されている。
なお、この閉鎖用突起38,41は、外枠2に対して本体枠3を閉じる際に、本体枠3の開放側辺に沿って取り付けられる錠装置1000のフック部1054,1065(図67参照)と係合するものであり、後に詳述するように錠装置1000のシリンダー錠1010に鍵を差し込んで一方に回動することにより、フック部1054,1065と閉鎖用突起38,41との係合が外れて本体枠3を外枠2に対して開放することができるものである。
また、下枠板11と左右の側枠板12,13の下部前面に固定される下部前面板14は、閉止時においてその上面に本体枠3が載置されるものであり、下部前面板14の表面及び側面は、装飾カバー板15によって被覆されているが、装飾カバー板15の裏面に、その後端に弾性爪が形成される止着突起16(図12参照)が突設され、その止着突起16が下部前面板14に貫通される止着穴17に貫通させられることにより下部前面板14に取り付けられている。なお、外枠2の装飾カバー板15の開放側の上面には、本体枠3の閉止時に該本体枠3をスムーズに案内するための案内板18が交換可能に装着されている。
ところで、本体枠3を開閉自在に軸支する構造として、上枠板10と側枠板12とを連結する機能も兼用する上支持金具45と下部前面板14の一側上面に沿って取り付けられる下支持金具66とが設けられている。上支持金具45には、前方に突出している支持突出片46に該支持突出片46の側方から先端中央部に向かって屈曲して形成された支持鉤穴47が形成されており、この支持鉤穴47に本体枠3の後述する上軸支金具503の軸支ピン504(図25参照)が着脱自在に係合されるようになっている。
また、下支持金具66も前方に突出した形状に形成されているが、この突出した部分に上向きに支持突起68が突設され、この支持突起68に本体枠3の後述する枠支持板506(図26参照)に形成される支持穴が挿入される。したがって、外枠2に本体枠3を支持するためには、下支持金具66の支持突起68に本体枠3の枠支持板506に形成される支持穴を係合させた後、本体枠3の上軸支金具503の軸支ピン504を支持鉤穴47に掛け止めることにより簡単に開閉自在に軸支することができる。
また、上支持金具45は、上枠板10の軸支側の上面及び前面に凹状に形成される取付段部49に装着されるものであるが、その装着に際し、上支持金具45に形成される複数(図示の場合2個)の取付穴48と取付段部49に穿設される複数(図示の場合2個)の取付穴50とを一致させて取付ビス51を上方から差し込み、上枠板10の裏面から押し当てられる挟持板52に止着することにより上支持金具45が上枠板10に堅固に固定される。
また、上支持金具45の外側側方には、側枠板12の外側に当接する垂下片部53があり、その垂下片部53にも取付穴が穿設され、この取付穴と前記取付穴31とを止着ビス32で止着することにより、上支持金具45と側枠板12とを固定すると共に、上枠板10と側枠板12とを上支持金具45を介して連結している。
一方、下支持金具66は、前述したように側枠板12の取付穴33と垂直当接片72の取付穴69とを一致させた状態で止着ビス34で止着し、さらに、下支持金具66の水平面の中程に穿設される取付穴70に取付ネジ71を差し込むことにより、前記装飾カバー板15を介して前記下部前面板14の上面に止着されるものである。
上記のように構成される外枠2において、その構成部材である上枠板10と下枠板11と側枠板12,13とを連結部材19で連結することにより、連結部材19が側枠板12,13の内面に密着して止着されると共に連結部材19と上枠板10及び下枠板11が係合した状態で止着されるので、その組み付け強度が高く頑丈な方形状の枠組みとすることができる。上記した連結部材19と上枠板10及び下枠板11との係合状態に加え、連結部材19の側枠板12,13への取り付けに際し、溝部29に連結部材19の一段下がった左右の部分の一方の部分が嵌め込まれる構造であるため、連結部材19の側枠板12,13への取り付けが強固となり、これによっても方形状の枠組みの強度を向上することができると共にその位置決めを正確に行うことができる。
また、連結部材19によって上枠板10、下枠板11、側枠板12,13を連結した後、上支持金具45を所定の位置に取り付けたときに、図11及び図12に示すように、各枠板10,11,12,13の外側面(外周面)から外側に突出する部材は存在しないので、パチンコ機1を図示しないパチンコ島台に設置する際に、隣接する装置(例えば、隣接する玉貸器)と密着して取り付けることができる。また、下支持金具66を取り付けたときにも、下部前面板14の上面と下支持金具66の上面とがほぼ同一平面となるようになっている。
〔扉枠〕
次に、上記した本体枠3の前面側に開閉自在に設けられる扉枠5について、図14乃至図19を参照して説明する。図14は、扉枠5の正面図であり、図15は、扉枠5の背面図であり、図16は、図14に表示されるA−A断面図であり、図17は、図14に表示されるB−B断面図であり、図18は、扉枠5の正面から見た分解斜視図であり、図19は、扉枠5の背面から見た分解斜視図である。
図14、図15、図18及び図19に示すように、扉枠5は、方形状に形成される扉枠本体100の上部に縦長六角形状の遊技窓101が形成され、該遊技窓101の前面周囲に扉レンズユニット120が取り付けられ、また、遊技窓101の下方の板状部の前面に扉枠本体100に皿ユニット300が設けられ、その皿ユニット300の一側(開放側)にハンドル装置460の操作ハンドル部461が突設固定されている。また、扉枠本体100の裏面には、遊技窓101の周囲に補強板金210が固定され、遊技窓101を閉塞するようにガラスユニット250が取り付けられると共に、前記遊技窓101の下方の板状部の裏面に、前記操作ハンドル部461に対応するジョイントユニット480、装着台280、及び枠装飾中継基板290がそれぞれ取り付けられている。なお、ガラスユニット250の裏面下部には、防犯機能を有する防犯カバー270も装着されている。以下、扉板5を構成する上記の各構成部材のより詳細な構造について説明する。
<扉枠本体>
図18及び図19に示すように、扉枠本体100は、合成樹脂によって額縁状に形成され、前述したように上方部に縦長六角形状の遊技窓101が形成され、その遊技窓101の下方が板状部となっている。遊技窓101の上部左右には、後述するスピーカ163を貫通させる円形状のスピーカ用開口102が形成され、そのスピーカ用開口102の下方に後述するガラスユニット250の止め片254を係止するための止めレバー108(図15参照)が回動自在に設けられている。なお、本実施形態に係る遊技窓101は、従来に比べて上下方向及び左右方向の寸法が大きくなった遊技盤4が取り付けられるため、遊技窓101の上下方向及び左右方向の寸法も大きくなっている。このため、後述する扉枠レンズユニット120の形状が従来一般的に知られているものと大きく相違する。
一方、遊技窓101の下方の板状部には、軸支側上部に皿ユニット300の賞球連絡樋451が貫通する賞球通過口103が開設され、その斜め中央寄りに後述する側面開口蓋406を脱着するための蓋用開口105が開設され、その蓋用開口105の開放側の隣接する位置に球送りユニット287を装着するための球送り開口104が開設され、さらに球送り開口104のさらに開放側寄りにシリンダー錠1010が貫通するための錠穴106が開設されている。
また、球送り開口104の下方の板状部の裏面側にジョイントユニット480を取り付けるためのジョイントユニット装着凹部107が形成され、同じく下方の板状部の裏面側の遊技窓101の下部左右にガラスユニット250の掛止突片255を掛け止めるための係合受片(図示せず)が形成され、その係合受片の側方に防犯カバー270の後述する装着弾性片273が装着される装着開口部110が形成されている。また、板状部の前面中央には、前方に向って後述する皿ユニット300の案内穴456(図16参照)に挿入される係合突起111が形成されている。更に、扉枠本体100の下辺は、後方に突出した扉枠突片112となっており、後述するように、この扉枠突片112と本体枠3に形成される係合溝584,585とが扉枠5と本体枠3との下側辺部における外側の突条及び係合部を構成するものである。
<扉レンズユニット>
次に、上記した扉枠本体100の前面側の上部に取り付けられる扉レンズユニット120の構成について説明する。扉レンズユニット120は、前面側を反射面とするリフレクタと、リフレクタの前面及び内側に取り付けられる冷陰極管及びLED基板と、リフレクタの前方を覆う光透過性のあるレンズカバー150と、レンズカバー150に取り付けられるスピーカ163と、レンズカバー150のベースとなるレンズベース体121と、から構成されている。
レンズカバー150は、レンズベース体121における上レンズカバー部151と、側方レンズカバー部156,157とが透過性の樹脂によって形成されている。そして、前述したように扉枠本体100に形成される遊技窓101の開口寸法が従来よりも大きく形成されているため、扉枠本体100の外周辺と遊技窓101の内周辺との間の寸法、換言するならば、レンズカバー150が取り付けられるための寸法(特に、左右両側部の寸法)が狭くなっているため、本実施形態におけるレンズカバー150は、上レンズカバー部151と側方レンズカバー部156,157のすべての最大前方突出部において、その基部寸法(扉枠本体100に当接する部分の幅寸法)に対して前方に向って突出する突出寸法が大きくなるような断面楔形状となっている。より詳細に説明すると、上レンズカバー部151及び側方レンズカバー部156,157は、共に白色レンズ部として断面楔状の前方膨出部が合成樹脂で成形され、その白色レンズ部の下部後端の遊技窓101を縁取る内側に着色の異なる合成樹脂で成形された赤色レンズ部を連結して構成されるものである。
ところで、上レンズカバー部151は、内部が空洞で後方が開放した断面楔状に形成されると共に平面視においてブーメラン形状に構成されるものであり、前述した「く」字状に形成される上冷陰極管とその楔状の先端部内面との距離が近くなるように形成されている。そして、上レンズカバー部151の楔状先端部外側には、銀色に着色された不透明な先頭モール部材154が固着されており、上レンズカバー部151のほぼ全体に相当する断面楔状の前方膨出面を上冷陰極管で照明している。また、側方レンズカバー部156,157は、内部が空洞で後方が開放して断面楔状に形成される点で上レンズカバー部151と同様であるが、側方視において楔状の突出量が上レンズカバー部151に比べて少なく、また全体としてなだらかな曲線を有するブーメラン形状に構成されるものであり、前述した直線状に形成される側方冷陰極管とその楔状の先端部内面との距離が近くなるように形成されている。
また、本実施形態において、扉枠5の前面周囲を装飾する照明手段として冷陰極管を使用している理由は、以下の通りである。扉枠5の前面周囲を装飾する際に、発光源とその発光源の前面に配置されるレンズカバーの距離をあまり大きく取ることができないという制約がある。この制約は、扉枠5は常に開閉されるため、あまり突出量を大きくすると、開放時における作業等に支障を来たすおそれがあるからである。しかして、発光源とレンズカバーとの間の距離があまりとれない状況において、従来のように、発光源として、ランプやLEDを点在させた場合に、レンズカバーを通して視認できる光装飾は、連続した状態の光装飾が視認できるものではなく光が強い部分と弱い部分との斑模様に視認できるに過ぎない。これに対し、本実施形態のように、発光源として連続した冷陰極管を使用した場合に、冷陰極管とレンズカバー150との距離が短くても、レンズカバー150を通して視認できる光装飾は、連続した状態の美しい光装飾が視認できるものである。このため、正に遊技盤4を囲む領域が連続した美しい光装飾により縁取られた状態となるので、従来のパチンコ遊技機にはない装飾効果を奏することができる。なお、発光源とレンズカバーとの距離をある程度とることができる場合には、LED等の点在する発光源を使用しても光が拡散してレンズカバーの全域をあまり強弱がなく照明することができる。
更に、レンズカバー150の側方レンズカバー部156,157の下方に装飾部材取付領域184が形成され、その装飾部材取付領域184に装飾部材185が取り付けられている。この装飾部材185は、上記したスピーカカバー165と類似した形状にして、レンズカバー150を扉枠本体100の表面に取り付けたときに、レンズカバー150の上部左右と下部左右とがバランスのとれた印象を与えるために取り付けられるものである。なお、上記したスピーカカバー165及び装飾部材185は、上記したように単にスピーカ163の前方を覆ったり、あるいはレンズカバー150の下部を装飾したりするだけではなく、その周囲がLEDで光装飾される構造となっている。
以上、詳述したように、本実施形態に係るスピーカカバー165及び装飾部材185は、扉枠5の遊技窓101を囲む領域において、前述した冷陰極管及びLED基板による光装飾とは別に四隅を重点的に光装飾するように構成されているので、遊技窓101の下辺を除く全周が漫然と光によって装飾されるのではなく、強弱のある光装飾とすることができる。特に、扉枠5の左右上部における光装飾は、従来、スピーカだけが配置される傾向が強く、そのスピーカ周りの光装飾が行われないため遊技窓101の外周周りの光装飾に斑がある印象を与えていたが、本実施形態のように構成することにより、遊技窓101の下辺を除く全周を効果的に光装飾を行うことができるものである。
<補強板金>
扉枠本体100の前面側には、上記した扉レンズユニット120が取り付けられると共にその下方に皿ユニット300が取り付けられる。ここで、皿ユニット300の構造を説明する前に、扉枠本体100の裏面側に取り付けられる補強板金210、ガラスユニット250、防犯カバー270、装着台280、枠装飾中継基板290、ハンドル装置460について順次説明する。まず、補強板金210について主として図18、図19、及び図15乃至図17を参照して説明する。
補強板金210は、図18及び図19に示すように、扉枠本体100の上辺部裏面に沿って取り付けられる上側補強板金211と、扉枠本体100の軸支側辺部裏面に沿って取り付けられる軸支側補強板金212と、扉枠本体100の開放側辺部裏面に沿って取り付けられる開放側補強板金213と、扉枠本体100の遊技窓101の下辺裏面に沿って取り付けられる下側補強板金214と、が相互にビス等で締着されて方形状に構成されるものである。
図18に示すように、軸支側補強板金212の上下端部には、その上面に上下方向に摺動自在に設けられる軸ピン219を有する上軸支部218と、その下面に軸ピン221(図15参照)を有する下軸支部220と、が一体的に形成されている。そして、上下の軸ピン219,221が本体枠3の軸支側上下に形成される上軸支金具503及び下軸支金具509に軸支されることにより、扉枠5が本体枠3に対して開閉自在に設けられるものである。
下側補強板金214は、所定幅を有して扉枠本体100の横幅寸法とほぼ同じ長さに形成され、その長辺の両端縁のうち下方長辺端縁が後方に向って折曲した下折曲突片229となっており、上方長辺端縁の両側部が後方に向って折曲した上折曲突片230となっているものの、その両側部の上折曲突片230に挟まれる部分が垂直方向に延設される垂直折曲突片231となっている。下折曲突片229の突出量はあまり大きくなく、この下折曲突片229が溝部や凹部と係合して凹凸係合をなすものではなく、強度を高めるために形成されているのに対し、両側部の上折曲突片230の突出量は下折曲突片229の突出量よりもやや大きく下方からの不正具の侵入を多少防止するが、むしろ、本実施形態における下側補強板金214の構成で最も特徴的な構成は、垂直折曲突片231である。
この垂直折曲突片231は、その上端縁形状が後述するガラスユニット250のユニット枠251の下端形状に合致するように凹状に形成され、ガラスユニット250を扉枠5の裏面側に固定したときに、垂直折曲突片231の上端片がガラスユニット250のユニット枠251の幅方向のほぼ中央の外周に沿って形成される係合溝261に係合するようになっている(図17参照)。なお、下側補強板金214には、扉枠本体100に形成される賞球通過口103の底面を除く外周を保護する賞球通過口被覆部228が形成されている。
<ガラスユニット(透明板ユニット)>
次に、扉枠5の裏面に取り付けられる透明板ユニットとしてのガラスユニット250について説明する。ガラスユニット250は、図18及び図19に示すように、遊技窓101よりも大きな開口を有する合成樹脂で成型した環状の縦長八角形状のユニット枠251と、ユニット枠251の開口の外周前後面に2枚の透明板としてのガラス板262(ガラス板でなくても透明な合成樹脂板でもよい。)を(ホットメルト系接着剤で)接着することにより構成されるものである。なお、図示は省略するが、ユニット枠251には、内部に乾燥剤を封入する乾燥剤封入空間部が形成されている。
<防犯カバー>
次に、上記したガラスユニット250の下部裏面を被覆して遊技盤4への不正具の侵入を防ぐ防犯機能が付与された防犯カバー270について、主として図15、図17、図18、及び図19を参照して説明する。防犯カバー270は、図示するように、透明な合成樹脂によって左右の補強板金212,213の間のガラスユニット250の下方部を覆うような平板状に形成され、その上辺部が遊技盤4の内レール603の下方円弧面に沿った円弧状の当接凹部271として形成されていると共に、その当接凹部271に沿って後方に向って防犯後突片274が突設されている。また、防犯カバー270を取り付けた状態で軸支側裏面には、防犯後端部突片275が斜め状に突設形成されている。一方、防犯カバー270の前面には、防犯カバー270を取り付けた状態で前記ガラスユニット250のユニット枠251の下方形状に沿った防犯前突片272が突設されると共に、下部両端にU字状に形成される装着弾性片273が前方に向けて突設形成されている。
上記のように構成される防犯カバー270は、装着弾性片273を扉枠本体100に形成される装着開口部110に装着することにより、扉枠5の裏面側に着脱自在に取り付けられる。そして、取り付けた状態では、図17に示すように、防犯前突片272がガラスユニット250のユニット枠251の後方下片面と対面するようになっている。また、防犯前突片272の前端は、垂直折曲突片231と当接している。また、防犯後突片274及び防犯後端部突片275は、後方へ突出した状態となっているが、扉枠5を閉じたときに、防犯後突片274の軸支側の半分は、遊技盤4に固定される内レール603の下側面に侵入して対面した状態となるが、防犯後突片274の開放側の半分は、遊技領域区画枠部材601の内レール603に形成されたレール防犯溝607に挿入された状態となり、また、防犯後端部突片275は、本体枠3の軸支側に形成される前記防犯突起608の上面に沿って重合状の位置となる(図30参照)。
しかして、防犯カバー270を取り付けて扉枠5を閉じた状態においては、前述した扉枠突片112と係合溝584,585とによる防犯構造、及び後述する防犯突片285と防犯空間586とによる防犯構造に加えて、ガラスユニット250の下方から不正具を侵入させようとしても、防犯前突片272とユニット枠251との重合により、防犯カバー270の前面下方方向からの不正具の侵入が防止され、防犯後突片274と遊技領域区画枠部材601を構成する内レール603との重合により、防犯カバー270の後面下方方向からの不正具の侵入が防止される。特に、扉枠5の軸支側の斜め下方からの不正具の侵入に対しては、防犯突起608と防犯後端部突片275との重合構造によって外レール602への不正具の侵入が阻止され、さらに内レール603と防犯後突片274との重合構造によって遊技盤4の遊技領域605への不正具の侵入を阻止することができる。同様に、扉枠5の開放側の斜め下方からの不正具の侵入に対しては、前述した開放側補強板金213の二重の折曲突片223,225による防犯構造に加えて、レール防犯溝607と防犯後突片274との凹凸係合によりさらに遊技盤4の遊技領域605への不正具の侵入を阻止することができる。なお、防犯カバー270の裏面側の防犯後突片274と防犯後端部突片275との間の垂直面は、扉枠5を閉じた状態で外レール602と内レール603とで形成される打球の誘導通路の前面下方部分を覆うものであるため、当該誘導通路部分を飛送若しくは逆送する打球のガラス板262への衝突を防止する機能も有している。
<装着台>
装着台280は、図15、図18、及び図19に示すように、扉枠本体100の板部裏面の上半分を覆うように取り付けられるものであり、防犯カバー270と同様に透明な合成樹脂によって前方が開放した横長直方体状に形成されるものである。この装着台280は、発射レール515から発射された球をスムーズに遊技盤4に導くために、扉枠5を閉めたときに装着台280の後面と本体枠3の板部511とによって発射レール515を挟持するように形成されるものであり、このため、装着台280の後面に球飛送誘導面286が形成されている。ところで、本実施形態に係る装着台280には、その軸支側上部に下側補強板金214に形成される賞球通過口被覆部228の後方突出部を貫通させる賞球通過口用開口281が形成され、その開放側下部に球送りユニット287を取り付ける球送りユニット取付凹部282が形成されている。この球送りユニット取付凹部282から斜め方向の領域が球飛送誘導面286となっている。また、球送りユニット取付凹部282に取り付けられる球送りユニット287は、後述する打球発射装置650(本発明の発射装置に相当)の打球槌687の往復動差に対応して揺動する球送り部材が設けられ、この球送り部材の揺動動作によって皿ユニット300の誘導通路部の流下端にある球を発射レール515の発射位置に1個ずつ供給するものである。また、装着台280の中程下部に後述する側面開口蓋406を取り外す際に指を入れることができる蓋用開口283が形成されている。更に、装着台280の上辺の一部に垂直に立設される立壁284が形成されている。この立壁284は、図15に示すように、前記防犯カバー270を取り付けたときに、該防犯カバー270の前面と当接して防犯カバー270の下部が前方に移動しないように規制するためのものである。
更に、本実施形態に係る装着台280の特徴は、上述した球飛送誘導面286の下方から賞球通過口用開口281にかけて斜め状に防犯突片285が後方に向って突設される構造である。この防犯突片285は、前述したように、本体枠3の板部511に形成される防犯空間586との間で、扉枠5と本体枠3との下側辺部における内側の突条及び係合部を構成するものである。
<枠装飾中継基板>
上記した装着台280の下部の軸支側には、図15及び図18に示すように、枠装飾中継基板290が取り付けられ、その枠装飾中継基板290の後面を覆う中継基板カバー291が取り付けられている。この枠装飾中継基板290は、扉枠5に設けられる電飾部品や電気部品(冷陰極管、LED基板、スピーカ163、操作ハンドル部461内に設けられるスイッチ、貸球ユニット327、操作ボタンユニット329等)からの配線が集約して接続され、その枠装飾中継基板290からの配線が本体枠3の裏面に取り付けられる基板ユニット1100に組み込まれる扉中継基板1102等を介しての賞球払出制御基板や遊技盤4に取り付けられる主基板ボックス624の主基板2810(図96参照)に接続されている。
<皿ユニット>
次に、主として図14、図18及び図19を参照して皿ユニット300の構成について説明する。皿ユニット300は、大きく分けて外観を構成するユニット枠301と、ユニット枠301の内部に取り付けられる下部スピーカユニット340と、下部スピーカユニット340の上部に配置され且つ前記ユニット枠301の上面に臨むように設けられる皿体380と、皿体380に設けられる第二球抜弁の球抜き動作をするための第二球抜きリンクユニット(図示せず)と、ユニット枠301の後面を閉塞する皿蓋板450と、から構成されている。
ユニット枠301には、貸球ユニット327が備えられている。この貸球ユニット327は、パチンコ機1に隣接して球貸し機が設けられている場合に、貸出指令を導出するスイッチや貸出残表示器等が設けられるものである。また、ユニット枠301には、上面の前方中央に操作ボタンユニット329が備えられている。なお、操作ボタンユニット329は、複数(図示の場合は3個)の操作ボタンを有して構成されているが、この複数の操作ボタン330は、遊技盤4に設けられる液晶表示装置640等で行われる遊技内容に遊技者が参加する際に操作されるものである。
更に、皿ユニット300には、ユニット枠301の上面右側に、第一球抜ボタン316が配置されていると共に、ユニット枠301の中央下部に、第二球抜リンクユニットの一部を構成する第二球抜ボタン421が配置されている。なお、本実施形態において、第一球抜ボタン316と第二球抜ボタン421の2つの球抜ボタン316,421を設けたのは、第一球抜ボタン316の操作によって、皿体380の貯留部381及び誘導通路部に貯留されているすべての球を球抜きすることができるものの、その球抜動作は、誘導通路部382で一列状に整列された球を球抜するために多少時間がかかるのに対し、第二球抜ボタン421の操作によって、皿体380の貯留部381から上流側の球を径の大きな第二球抜開口から素早く球抜することができるため、球抜時間を短くすることができる。このため、遊技者が球抜きにかける時間の長短を選択することができるものである。
また、遊技中に大当りとなった場合に皿ユニット300に大量の球が払出されることになり、これを放置して遊技を継続すると皿ユニット300の上流側に設けられる満タンスイッチ916(図57参照)が機能して払出動作が停止されたり弾発動作が停止されて大当り中であるにもかかわらず遊技が継続できなくなるおそれがあり、このような場合に、第二球抜ボタン421の操作を行うことにより、皿ユニット300に貯留されつつある球を球抜すると同時に発射位置への球の供給を維持して大当り中の遊技を継続することができるようになっている。
<ハンドル装置>
次に、扉枠5の開放側下部に取り付けられるハンドル装置460について、主に図18、図19、及び図20を参照して説明する。図20は、ハンドル装置460と本体枠3に設けられる打球発射装置650との関係を示す斜視図である。ハンドル装置460は、扉枠5の開放側下部前面に設けられる操作ハンドル部461と、操作ハンドル部461に対応する扉枠5の裏面に組み付けられて操作ハンドル部461の回動操作に応じて回転する回転軸465と連携され且つ回転軸465の回転運動をスライド運動に変化させるジョイントユニット480と、から構成されている。
このハンドル装置460には、図示は省略するが、操作ハンドル部461を回転操作するとONとなるマイクロスイッチと、マイクロスイッチがONとなっている状態で押圧操作するとマイクロスイッチがOFF状態となる単発ボタンと、操作ハンドル部461の外周表面に施された導電性のメッキを介して遊技者の操作ハンドル部461への接触を検知するタッチセンサとを備えている。そして、遊技者が操作ハンドル部461を回動してマイクロスイッチがONとなり且つタッチセンサが接触を検出しているときに打球発射装置650の後述する発射モータ695(図37参照)が回転駆動されるようになっている。また、回転軸465の先端には、勾玉状に形成されたカムが固定されており、このカムが回転することで、ジョイントユニット480のスライド突片492が左右方向に移動するようになっている。
このジョイントユニット480のスライド突片492のスライド移動が、図20に示すように、打球発射装置650のスライド部材710に伝達されて打球発射装置650の付勢バネ684(図37参照)の張力を調節し、もって打球槌687の付勢力の強弱を調整して遊技者の望む打球の弾発力を得ることができる。なお、ハンドル装置460と打球発射装置650との関係については、打球発射装置650についての説明の後で詳細に説明する。
〔本体枠〕
次に、遊技盤4が前面側から着脱自在に装着し得ると共に、打球発射装置650と、賞球を払い出すための賞球タンク720とタンクレール部材740と球通路ユニット770と賞球ユニット800と満タンユニット900と、外枠2に対する本体枠3の施錠及び本体枠3に対する扉枠5の施錠を行う錠装置1000と、遊技盤4を除く扉枠5や本体枠3に設けられる電気的部品を制御するための各種の制御基板や電源基板等が一纏めに設けられている基板ユニット1100と、後面開口580を覆うカバー体1250と、等の各種の部品が本体枠主体500に装着されることにより構成される本体枠3について、図面を参照して説明する。
まず、図21〜図29を参照して、上記した各種の部品が装着される本体枠主体500及び各種の部品が装着された本体枠3について説明する。図21は、部品を取り付ける前の本体枠主体500の正面図であり、図22は、部品を取り付ける前の本体枠主体500の背面図であり、図23は、部品を取り付ける前の本体枠主体500の側面図であり、図24は、部品を取り付ける前の本体枠主体500の背面から見た斜視図であり、図25は、部品を取り付けた本体枠3の前方から見た斜視図であり、図26は、部品を取り付けた本体枠3を外枠2に軸支した状態を前方から見た斜視図であり、図27は、部品を取り付けた本体枠3の背面図であり、図28は、部品を取り付けた本体枠3の背面から見た斜視図であり、図29は、パチンコ機1の中程(主基板ボックス624部分)の水平線で切断したパチンコ遊技機の断面平面図である。
図21において、本体枠主体500の一側上下には、本体枠3を外枠2に開閉軸支するための上軸支金具503及び下軸支金具509(共に図25参照)を取り付けるための軸支金具取付段部501,502が形成され、この軸支金具取付段部501,502に上軸支金具503及び下軸支金具509を取り付けた状態では、本体枠主体500の上辺及び側辺が上軸支金具503の上辺及び側辺とほぼ同一平面状となり、本体枠主体500の下辺及び側辺が下軸支金具509の下辺及び側辺とほぼ同一平面状となっている(図27参照)。ここで、上軸支金具503と下軸支金具509について図25と図27を参照して説明する。上軸支金具503は、本体枠主体500の裏面に取付部を有すると共にその上端辺が前方に突出し、その前方に突出した上面に軸支ピン504が立設固定され、その軸支ピン504の側方に扉軸支穴505が穿設されている。一方、下軸支金具509は、本体枠主体500の裏面に取付部を有すると共にその下端辺及びやや上部に2つの支持板506,507が一体的に突設されている。下方に位置する支持板506は、本体枠3を外枠2の下支持金具66に支持するための枠支持板506を構成するものであり、上方に位置する支持板507は、扉枠5の下軸支部220を本体枠3に支持するための扉支持板507を構成するものである。このため、枠支持板506に外枠2の下支持金具66の支持突起68を挿入するための軸支穴(図示しない)が形成され、扉支持板507に扉枠5の下軸支部220に突設される軸ピン221を挿入するための軸支穴508が穿設されている。
ところで、本体枠主体500は、正面から見た場合に、長方形状に形成され、その上部の約3/4が遊技盤4を設置するための遊技盤設置凹部510(図25参照)となっており、その遊技盤設置凹部510の下方のやや奥まった領域が板部511となっている。また、遊技盤設置凹部510を囲む前面側の前面上辺部及び前面開放側辺部は、扉枠5の裏面と対面するように所定幅を有して形成されており、前面上辺部には、横方向に平行状に突設される突起によって上部防犯二重溝581が形成され、正面から見て右側の前面開放側辺部には、外側に側部防犯溝582が形成されると共に内側に後端が第一側面壁540に接続される傾斜面となっている内壁によって形成される防犯凹部583が形成され、正面から見て左側の前面軸支側辺部は、前面上辺部や前面開放側辺部と異なり扉枠5の裏面と対面する所定幅を有するように形成されていないが、本体枠主体500の前面軸支側辺部が前面上辺部や前面開放側面部に比べて前方への突出量が多い軸支辺部587となっている。
より詳細に説明すると、前面上辺部に形成される上部防犯二重溝581は、扉枠5の上辺部裏面に取付固定される上側補強板金211の両長辺端を後方に向って折曲される折曲突片215,216がそれぞれ挿入されるようになっているものである。また、前面開放側辺部に形成される側部防犯溝582及び防犯凹部583は、扉枠5の開放部裏面に取付固定される開放側補強板金213の両長辺端を後方に向って折曲される開放側外折曲突片223及び開放側内折曲突片225がそれぞれ挿入されるようになっているものである。更に、前面軸支側辺部の軸支辺部587には、扉枠5の軸支側裏面に取付固定される軸支側補強板金212の軸支側L字状折曲突片217の先端部が当接するようになっている。そして、上記した構造によって扉枠5と本体枠3との当接面の隙間からピアノ線等の不正具を挿入する不正行為を防止することができ、特に、最も不正行為が行われやすい開放側辺部や次いで不正行為が行われやすい上辺部における不正行為の防止をはかることができる構造となっている。もちろん、軸支側における軸支側補強板金212と軸支側L字状折曲突片217との当接による不正行為の防止も充分に機能するが、多くの場合、軸支側は、頑丈な支持金具45,66と軸支金具503,509とで本体枠3と扉枠5とが連結されているため、上辺部及び開放側辺部に比べて本体枠3と扉枠5との間に隙間が作り難い。このため、本実施形態においては、二重の防犯構造ではなく、一重の防犯構造としている。これらの点については、後に詳述する。
また、遊技盤設置凹部510を囲む前面側の前面上辺部、前面開放側辺部、及び前面軸支側辺部には、上記した構成以外に前面開放側辺部の上部、中間部、下部に本体枠3の開放側裏面に取り付けられる後述する錠装置1000に設けられる扉用フック部1041(図67参照)を貫通させて前方に飛び出させるための扉用フック穴549が開設されており、また、前面軸支側辺部の内側面に遊技盤4に形成される位置決め凹部611と係合するための盤位置決め突起576が設けられている。更に、前面軸支側辺部の盤位置決め突起576のやや下方位置の内側前方面に、扉枠5を閉じた状態で軸支側補強板金212の軸支側L字状折曲突片217の先端が挿入される上下2つの規制突起577が突設されている。この規制突起577の作用については前述した通りである。また、図21に示すように、開放側の平面部分と遊技盤設置凹部510との境目の上下に遊技盤4に設けられる遊技盤止め具614の端部が係合される盤止め具挿入穴578が形成されている。
次に、板部511の構成について図21乃至図26を参照して説明する。板部511の上面は、遊技盤4を載置するための遊技盤載置部512となっており、その遊技盤載置部512のほぼ中央に、当該載置部512に遊技盤4を載置したときに遊技盤4に形成される排出口606(図30参照)の下面を支持する通路支持突起513が突設されている。また、図21に示すように、板部511の前面の中央部から開放側の端部に向かってレール取付ボス514が所定間隔を置いて突設され、このレール取付ボス514に発射レール515(図25参照)がビス止め固定されている。また、発射レール515の先端位置に対応する板部511の前面には、レール接続部材516が突設され、遊技盤設置凹部510に遊技盤4が設置されたときに、遊技盤4の内レール603の下流端である接続通路部609(図30参照)と隣接するようになっている。また、レール接続部材516の側方位置(発射レール515と反対側の位置)には、遊技盤4の下部を固定するための楕円形状の遊技盤固定具519(図25参照)の上端部を取り付けるための固定具取付ボス517が突設され、その斜め下方にストッパー518が突設されている。即ち、遊技盤固定具519は、固定具取付ボス517を中心にして回転自在に設けられ、前記遊技盤載置部512に遊技盤4が載置された状態で時計方向に回動して遊技盤固定具519を遊技盤4の前面に押圧して遊技盤4を固定するものである。また、遊技盤を取り外す場合には、遊技盤固定具519を反時計方向に回して取り外すことにより、簡単に行うことができる。この場合、遊技盤固定具519はストッパー518により反時計方向の余分な回転ができないようになっている。
また、板部511の開放側下部は、手前側に膨出状に突設された(裏面から見れば凹状となっている)直方体状の発射装置取付部520が形成されており、この発射装置取付部520に本体枠主体500の裏面から打球発射装置650が固定されている。この点については、後に詳述する。上記した発射装置取付部520の前面壁部分には、前述したジョイントユニット480のスライド突片492と連携されるスライド部材710(図41参照)が収納されるハンドル連結窓522が形成され、該ハンドル連結窓522の隣接する位置に打球槌687の軸受689(図37参照)の端面が臨む軸用穴523が開設されている。また、発射装置取付部520の上壁部分には、打球発射装置650の打球槌687が上方に突出するための槌貫通開口521が切欠形成され、その槌貫通開口521の斜め上方の板部511の前面に錠装置1000のシリンダー錠1010が貫通するシリンダー錠貫通穴526が開設されている。
一方、板部511の裏面には、図22に示すように、軸支側の上部から板部511の中央部分に向けて延設された後下方に向かう球抜排出通路524が形成されている。この球抜排出通路524は、後述する球抜接続通路880(図25参照)から排出される球をパチンコ機1の下方から島の内部に排出するためのものである。また、上述した発射装置取付部520の上方には、円柱状の案内突起525が後方に向かって突設され、この案内突起525に後述する基板ユニット1100の案内孔1212(図73参照)が差し込まれて基板ユニット1100の取付けを容易にしている。また、基板ユニット1100をビスで取り付けるための取付穴部527が板部511の左右上下に形成され、この取付穴部527に基板ユニット1100の取付片1122を対応させてビスで止着する。また、発射装置取付部520の凹状の内部には、打球発射装置650を取り付けるための発射装置取付ボス529が後方に向かって突設され、更に、開放側の最下端部には、図24に示すように、本体枠3を外枠2に対して閉じる際に、装飾カバー板15の上面に当接しながら本体枠3の閉止動作を案内するために先端が先細状で縦長形状の案内突片528が後方に向かって突設されている。
板部511には、以上説明した構成以外に、図24に示すように、軸支側の端部上面に前記球抜排出通路524の上流端の開口である球抜接続開口530が形成されている。この球抜接続開口530に球抜接続通路880の下流端が接続されるようになっている。また、球抜接続開口530に隣接する部分は、後に詳述する満タンユニット900(図25参照)を載置するための満タンユニット載置部531が板部511と直交するように水平状に形成され、その満タンユニット載置部531の前方部分に満タンユニット900の係合片924(図57参照)と係合するユニット係合溝532が形成されている。更に、図25に示すように、満タンユニット載置部531の前方の板部511の前面には、扉枠5の開放時に満タンユニット900の出口921から排出される賞球を堰き止める出口開閉装置579が設けられている。この出口開閉装置579については、詳細に説明しないが、扉枠5が閉じているときには、扉枠5の裏面に当接するレバーによって開閉板が下降した状態となっているが、扉板5が開放されるとレバーへの当接がなくなるため開閉板が上昇して出口921を閉塞するものである。このため、扉枠5の開放時においても満タンユニット900内に貯留された賞球が出口921から零れ落ちることがない。また、図25に示すように、板部511の上端辺にそって形成される遊技盤載置部512であって発射レール515の発射部の上方に対応する位置に上下方向に貫通する締結穴533を形成し、その締結穴533の前方部分に締結バンド619を掛け止めるための締結連杆534が差し渡されている。この締結連杆534は、本体枠3からの遊技盤4の取り外しを防止するための機構である。
次に、遊技盤設置凹部510の構成について説明する。遊技盤設置凹部510は、軸支側の内側面及び上記した上辺部及び開放側の鍔面部から後方へ周設される第一側面壁540と、該第一側面壁540から後方に周設される第二側面壁541と、該第二側面壁541から後方に周設される第三側面壁542と、該第三側面壁542から後方に周設される第四側面壁543、とにより、本体枠3の左右側辺及び上辺の後方部分が囲まれた凹状に形成されているものである。なお、第一側面壁540〜第四側面壁543は、背面から見て上辺及び右辺(軸支側の辺)が段差をもって後方に真っ直ぐに延長されるように形成されるのに対し、左辺(開放側の辺)が第一側面壁540から第四側面壁543に向かうにしたがって内側に傾斜する段差状(図29参照)に形成される。これは、左辺(開放側の辺)の第一側面壁540から第四側面壁543までを後方に真っ直ぐ形成したときに、本体枠3を開放する際に、第四側面壁543の最後端部が外枠2の側枠板13の内面と当接してスムーズに開放できない場合があるため、開放側の第一側壁面540から第四側面壁543までが内側傾斜状とすることによりスムーズに開放することができるようにしたものである。それと同時に開放側の第一側面壁540に沿って錠装置1000が取り付けられるが、その取付けを第一側面壁540の後端辺に設けられる錠取付穴547(図63参照)を利用して行うため、その錠取付穴547を形成するためにも開放側の第一側面壁540から第四側面壁543を傾斜段差状に形成したものである。更に、第一側面壁540〜第四側面壁543の段差の寸法も、第一側面壁540と第二側面壁541との段差は、後述する遊技盤4の裏面の周辺と当接する必要があるため、ある程度大きな段差をもって形成されるが、それ以外の段差は、極めて小さな段差となっている。もちろん、第二側面壁541〜第四側面壁543までは段差を形成することなく連続的に形成してもよい。
そして、上記した側面壁540〜543は、図23に示すように、それぞれ奥行き幅寸法d1,d2,d3,d4を有するように形成され、本実施形態の場合、d1+d2+d3+d4=約135mmとなっている。特に、第一側面壁540の幅寸法d1は、遊技盤4の厚みに相当し、残りの第二側面壁541と第三側面壁542と第四側面壁543とによって形成される空間に遊技盤4に設けられる各種の遊技装置の後方突出部分が収納されるようになっている。つまり、第一側面壁540は、遊技盤4の厚さとほぼ同じ奥行寸法を有する前側面壁を構成し、第二側面壁541〜第四側面壁543は、遊技盤4の周辺部裏面と当接する段差部を有して第一側面壁540から後方に向かってほぼ当該第一側面壁540と平行状に延設され且つ遊技盤4に設けられる遊技装置の後方突出部を収納する後側面壁を構成するものである。特に、本実施形態の場合には、図5に示すように、第二側面壁541〜第四側面壁543のすべての部位の後方への突出量が、本体枠3の裏面側上部に固定される賞球タンク720の球を貯留する貯留部728の後面壁722とほぼ同じ位置となるように形成されている。これにより、遊技盤4の周辺部に対応する位置まで第二側面壁541と第三側面壁542と第四側面壁543とによって形成される空間の大きさが確保されているので、例えば、遊技盤4のほぼ全域を液晶表示画面が占めるような遊技装置が取り付けられている場合においても、そのような遊技装置の後方突出部分を楽に収納することができるものである。
また、図22及び図24に示すように、第四側面壁543の後端辺からは背面から見てその左辺(開放側)、上辺及び右辺(軸支側)に、開放側後面壁544、上後面壁545及び後面壁としての軸支側後面壁546がそれぞれパチンコ機の正面と平行となるように内側に向かって突設されている。軸支側後面壁546は、その前面が平板状(図21参照)となっており、その後面に球払出機構を構成する後述の球通路ユニット770と賞球ユニット800とが着脱自在に取り付けられるようになっている。したがって、軸支側後面壁546の内側への突出幅寸法は、球通路ユニット770と賞球ユニット800とを取り付ける幅があれば充分である。また、上後面壁545は、その前面が平板状(図21参照)となっており、その後面に後述するタンクレール部材740が取り付けられるため、その下端辺が傾斜状に形成されている。したがって、上後面壁545の内側への突出幅は、傾斜状に取り付けられるタンクレール部材740の高さ幅寸法があれば充分である。更に、開放側後面壁544には、その前面が平板状(図21参照)となっており、その後面に後述するカバー体1250を軸支するカバー体支持筒部575が形成されている。したがって、開放側後面壁544の内側への突出幅寸法は、カバー体支持筒部575を形成する幅寸法があれば充分である。
上述したように、第四側面壁543の後端辺から内側に向かって突設される開放側後面壁544、上後面壁545及び軸支側後面壁546の前面が平板状に形成され、この平板状部分が遊技盤4の周辺部に対応するものであるため、上記したように、遊技盤4の周辺部に対応する位置まで第二側面壁541と第三側面壁542と第四側面壁543とによって形成される空間の大きさが確保されているので、例えば、遊技盤4のほぼ全域を液晶表示画面が占めるような遊技装置が取り付けられている場合においても、そのような遊技装置の後方突出部分を楽に収納することができるものである。なお、開放側後面壁544、上後面壁545及び軸支側後面壁546の内側は、後面開口580となっており、この後面開口580が後述するカバー体1250によって開閉自在に閉塞されるようになっている。
次に、遊技盤設置凹部510の更に詳細な構成について説明すると、前述したように、開放側の平面部分には、錠装置1000の扉枠用フック部1041が貫通する扉用フック穴549が上中下の3箇所開設されているが、その上下の扉用フック穴549のさらに上中下に錠装置1000の後述する係止突起1004が係合される錠係止穴548(図22参照)が形成されている。また、開放側の第一側面壁540に沿って錠装置1000が取り付けられるが、その取付けをビスで行うための錠取付穴547(図22参照)が第一側面壁540の後端部の上部と中程に形成されている。なお、錠装置1000のビスによる取付けは、上部と中程だけではなく、後述する錠取付片1008に形成されるビス止め部1003と前記シリンダー錠貫通穴526の上方近傍に形成される錠取付穴547とを対応させてビスで止着することにより、錠装置1000の下方も取り付けられるようになっている。
また、図24に示すように、第一側面壁540の上辺前方の左右には、本体枠3を外枠2に対して閉止する際に、外枠2の上枠板10の内周面と当接する案内円弧突起552が突設され、第一側面壁540の後端辺中央に後述する賞球タンク720の切欠部729と連通する逃げ凹部551が形成され、第一側面壁540と第二側面壁541と接続する垂直面にタンク取付溝550が形成されている。そして、このタンク取付溝550に賞球タンク720の取付鍔部733を取り付けたときには、図28に示すように、賞球タンク720の切欠部729が逃げ凹部551と連通して賞球タンク720内に貯留された球の球圧が増加したときに圧抜きして球詰まりが発生しないように機能する。また、賞球タンク720を本体枠3に取り付けたときには、平面視で賞球タンク720の正面側から見て奥側の後面壁722と第四側面壁543の後端辺がほぼ一致(図5参照)するようになっている。なお、上記した案内円弧突起552は、本体枠3の上辺を外枠2の上枠板10の内周面と当接させることにより、本体枠3を持ち上げて本体枠3の下辺と装飾カバー板15との間に隙間を形成し、その隙間から不正器具を挿入するような不正行為を防止するためのものである。
また、前述した上後面壁545には、タンクレール部材740を取り付けるためのレール係止溝553が後面開口580の開口縁に沿って形成されており、また、第四側面壁543と上後面壁545の屈曲部にレール係止溝554が形成されている。そして、これらレール係止溝553,554にタンクレール部材740の係止突片749,750(図45参照)を係止させることにより、タンクレール部材740を本体枠3に取り付けることができる。また、タンクレール部材740を取り付けたときの下流側に対応する上後面壁545の上部には、レール掛止弾性片555が形成され、レール係止溝553,554にタンクレール部材740の係止突片749,750を係止させて、タンクレール部材740を本体枠3に取り付けたときに、その係止状態が外れないようにレール掛止弾性片555がタンクレール部材740の下流側上端の上から当接するようになっている。タンクレール部材740を取り外すときには、レール掛止弾性片555を後方へ押圧しておいてからレール係止溝553,554と係止突片749,750との係止状態を解除すべくタンクレール部材740を上方に持ち上げればよい。また、レール掛止弾性片555の側方に逃げ穴556が穿設され、レール掛止弾性片555の下方にアース線接続具557形成されている。逃げ穴556は、タンクレール部材740に設けられる整列歯車747の軸ピン748の端部を逃がすために穿設されるものであり、また、アース接続具207は、タンクレール部材740の内部に貼着される金属製の導電板(図示しない)に接触していると共に、電源基板に設けられるアース用コネクタに接続される配線が接続されるものである。
また、軸支側後面壁546には、図22及び図24に示すように、軸支側後面壁546の左右両端に垂直状の立壁560を立設し、その立壁560の間に球通路ユニット770と賞球ユニット800とが取り付けられる。また、左右の立壁560の間の最上流部から中流部よりやや上方まで賞球案内突起561が屈曲状に突設されている。この賞球案内突起561は、軸支側後面壁546にその突出高さが下流側に向かって徐々に低くなるように後方に向かって突設され、後述する球通路ユニット770を取り付けたときに、該球通路ユニット770の球落下通路772(図50参照)に対応するもので、賞球を一列状に誘導するものである。また、賞球案内突起561の左右には、球通路ユニット770をビスで止着するための通路ユニット取付ボス562、及び位置決めするための位置決めピン574が突設されると共に、後述する球切れスイッチ778(図50参照)に対面するスイッチ対応突起563が突設されている。通路ユニット取付ボス562及び位置決めピン574については、後に詳述する。
更に、左右の立壁560の中流部から下流部にかけて賞球ユニット800の係合部としての鉤状係合部824(図52参照)と係合する係止部としての係合突片565と、賞球ユニット800のボタン挿通係合穴821(図52参照)と係合するロック用弾性爪564と、が形成されると共に、賞球ユニット800のスプロケット807の回転軸808(図52参照)の端部が受け入れられる逃げ穴566が形成されている。また、軸支側後面壁546の下方には、払出モータ用逃げ開口部572が形成されており、この払出モータ用逃げ開口部572に賞球ユニット800の駆動モータとしての払出モータ815が臨むようになっている(図25参照)。そして、賞球ユニット800は、軸支側後面壁546の裏面最下端に形成される係止溝573のその下端を係止して前記係合突片565及びロック用弾性爪564によって軸支側後面壁546に着脱自在に取り付けられるようになっている。この着脱自在の構成については、後に詳述する。
また、軸支側後面壁546の開放側の端部には、そのカバー体1250の開放側の端辺が入り込むカバー体当接溝567が形成されていると共に、該カバー体当接溝567の下方に施錠壁569が突設されている。カバー体当接溝567には、カバー体1250の止め穴1253(図28参照)に対応する止め穴568が形成されており、これら止め穴1253,568とを一致させて図示しないビスで止着することにより、カバー体1250によって本体枠3の後面開口580を閉塞固定することができるようになっている。また、施錠壁569には、平面視U字状の施錠用突出鉤片570が突設され、本体枠3に対してカバー体1250を閉じた状態で施錠用突出鉤片570をカバー体1250に形成される貫通穴1254(図28参照)を貫通させ、例えば、南京錠等の錠を施錠用突出鉤片570に掛け止めることにより、南京錠の鍵を有する責任者しかカバー体1250を開放することができないようにすることができる。
以上、遊技盤設置凹部510及び板部511とからなる本体枠主体500の構成について説明してきたが、上記に説明した以外に、板部511の最下端辺部に、扉枠5を閉じたときに、扉枠本体100の下辺を後方に向けて折曲した扉枠突片112,113(図19参照)が挿入される係合溝584,585(図21参照)が形成されている。係合溝584は、前述した発射装置取付部520の下方に形成される溝であり、係合溝585は、前記係合溝584の一端から軸支側に向って形成される溝である。なお、係合溝585に対応する扉枠突片112は、係合溝584に対応する扉枠突片113の突出量よりも大きくなるように後方に向って突設されている。ただし、開放端下部には、突出量の多い扉枠突片112が僅かに形成されている。そして、上記した扉枠突片112,113と係合溝584,585とが扉枠5と本体枠3との下側辺部における外側の突条及び係合部を構成するものである。
上記のように板部511には、発射レール515や出口開閉装置579が設けられ且つレール接続部材516や発射装置取付部520が突設形成されているが、発射装置取付部520及び発射レール515の板部511における配置位置が開放側に偏り、しかもそれらが板部511の表面よりも突出して形成されている。このため、扉枠5を閉じた状態において、発射装置取付部520及び発射レール515が配置される板部511のほぼ中央部から開放側にいたる領域は、扉枠5の裏面と発射装置取付部520及び発射レール515の前面とが密着した状態となるため、前述した扉枠突片112と係合溝585との隙間を上手にすり抜けてきたピアノ線等の不正具を扉枠5の裏面と発射装置取付部520及び発射レール515の前面との間をさらに上手にすり抜けさせて遊技盤4の表面側若しくは遊技盤4の裏面側に到達させることは極めて困難である。
一方、発射装置取付部520及び発射レール515が配置されない板部511のほぼ中央部から軸支側にいたる領域は、板部511の表面に突出した部分がないため、扉枠5を閉じた状態において、扉枠5の裏面と板部511の前面との間に空間586が生じてしまう。このため、前述した扉枠突片112と係合溝584との隙間を上手にすり抜けてきたピアノ線等の不正具が扉枠5の裏面と板部511の前面との間の空間586を簡単にすり抜けてしまうことができるため、この空間586を不正具が上方に向ってすり抜けないように、扉枠5の裏面下部に取り付けられる装着台280には、扉枠5を閉じた状態で該空間586に侵入する防犯突片285が形成されている。この防犯突片285は、板部511のほぼ中程から軸支側端部までいたるように装着台280に形成されている。したがって、発射レール515及び遊技盤4に取り付けられる外レール602の下方空間は、装着台280に突設される防犯突片285を受け入れる防犯空間586を構成している。そして、この防犯突片285と防犯空間586とが扉枠5と本体枠3との下側辺部における内側の突条及び係合部を構成するものである。
本体枠3は、上記したように、遊技盤4、打球発射装置650、賞球タンク720、タンクレール部材740、球通路ユニット770、賞球ユニット800、満タンユニット900、錠装置1000、基板ユニット1100及びカバー体1250が取り付けられるが、以下、これらを順次説明する。
<遊技盤の概略構成>
遊技盤4の概略構成について図30乃至図35を参照して説明する。図30は、遊技盤4の正面から見た斜視図であり、図31は、遊技盤4の正面図であり、図32は、遊技盤4の背面図であり、図33は、遊技盤4の平面図であり、図34は、遊技盤4に形成される取り外し防止機構部分の拡大斜視図であり、図35は、遊技盤4の取り外し防止機構に対する本体枠側の構造を示す本体枠3の部分斜視図である。
図30において、遊技盤4は、遊技パネル599を保持したほぼ正方形状のパネルホルダ600と、パネルホルダ600の前面に遊技領域605を囲むように取り付けられる遊技領域区画枠部材601と、から構成されている。遊技パネル599の表面には、遊技領域605に各種の遊技装置や多数の障害釘(いずれも図示省略)が植立されている。そして、それらの遊技装置や障害釘が設けられた後に遊技領域区画枠部材601がパネルホルダ600の前面に取り付けられるが、その遊技領域区画枠部材601は、遊技パネル599の周囲を囲むように内部が円形の空洞状に形成され且つ外形がパネルホルダ600の外形に沿った形状に形成されており、その下辺中程から上辺の中心を過ぎた斜め上方までの円弧面が外レール602として形成され、その外レール602の終端に設けられる衝止部620の下部位置から上辺の前記衝止部620の対称の逆流防止部材604が設けられる位置までが内レール603として形成されている。外レール602は、その始端部に前記発射レール515の延長状に設けられたレール接続部材516に連接する接続通路部609が斜め状に形成されており、その接続通路部609に隣接してファール口610が形成されている。また、ファール口610の上流端から衝止部620までの外レール602には、金属製のレールが密着して取り付けられている。なお、衝止部620は、勢いよく外レール602を滑走してきた打球が衝突したときに、その衝突した打球を遊技領域605の内側に反発させるようにゴムや合成樹脂の弾性体が設けられるものであり、逆流防止部材604は、一端発射されて遊技領域605の内側に取り入れられた打球が再度外レール602に逆流しないように防止するものである。更に、外レール602の下部一側には、金属製のレールの一部に沿うように防犯突起608が突設されている。この防犯突起608は、扉枠5が閉じられた状態で前述したように防犯カバー270に突設される防犯後端部突片275と上下方向に重複して本体枠3と扉枠5の軸支側の隙間の中程よりやや下方から挿入されるピアノ線等の不正具の侵入を防止するものである。
また、内レール603の下部中央には、排出口606が設けられ、その排出口606から逆流防止部材604までの内レール603と外レール602との間は、発射された打球が遊技領域605まで誘導される誘導通路を構成するものであるが、遊技領域605に到達せずに外レール602を逆流した打球はファール口610に取り込まれて後述する満タンユニット900のファール球入口923に導かれて再度皿ユニット300に排出されるようになっている。なお、遊技領域605は、実質的に内レール603によって囲まれる領域である。また、内レール603の排出口606から衝止部620に向かう途中の遊技領域区画枠部材601には、レール防犯溝607が形成されている。このレール防犯溝607は、扉枠5が閉じられた状態で前述したように防犯カバー270に突設される防犯後突片274の一部が侵入するように溝状に形成されており、このレール防犯溝607と防犯後突片274との凹凸係合により、上下方向に重複して本体枠3と扉枠5の開放側の隙間の中程よりやや下方から挿入されるピアノ線等の不正具の侵入を最終的に防止するものである。
ところで、遊技盤4の一側には、本体枠3に形成される前記盤位置決め突起576に嵌合する位置決め凹部611が形成され、遊技盤4の他側には、本体枠3に形成される前記盤止め具挿入穴578に挿入される遊技盤止め具614が設けられている。遊技盤止め具614は、押し込み固定したときにその端部が盤止め具挿入穴578に挿入されるようになっている。しかして、遊技盤4を本体枠3に固定するためには、本体枠3の前面側から位置決め凹部611が盤位置決め突起576に嵌合するように斜め方向から差し込んだ後、遊技盤4の全体を本体枠3の第一側面壁540に押し込み、その状態でフリーな状態となっている遊技盤止め具614を押し込み固定してその端部を盤止め具挿入穴578に挿入して固定する。その後、遊技盤固定具519を回動して遊技盤4の下部前面を固定する。これによって遊技盤4を本体枠3に簡単に装着することができる。遊技盤4を取り外すには、上記の手順と逆の手順で取り外せばよい。
ところで、本実施形態における遊技盤4は、遊技盤4の本体枠3からの不正な取り外しを極めて簡単に防止する構成を有している。即ち、図30及び図34に示すように、遊技盤4の下方の前記通路用切欠部613と反対側の下端部に遊技盤4の前後に貫通する取付用切欠部616を形成し(正確には、遊技領域区画枠部材601に取付用切欠部616が形成されている。)、その取付用切欠部616の下部に水平方向に締結バー617を掛け渡し固定する。締結バー617には、そのほぼ中央に締結バンド619を掛け止めるための帯溝状の締結部618が形成されている。一方、本体枠3に設けられる取り外し防止機構としては、前述したように、本体枠3下方の板部511の上端辺にそって形成される遊技盤載置部512であって発射レール515の発射部の上方に対応する位置に上下方向に貫通する締結穴533を形成し、その締結穴533の前方部分に締結バンド619を掛け止めるための締結連杆534が差し渡されている(図35参照)。
上記のように構成される遊技盤4を本体枠3の遊技盤設置凹部510に収納配置したときには、図34に示すように、締結バー617が遊技盤載置部512に当接して載置した状態になると共に、締結部618と締結連杆534とが一致した状態となる。そして、その状態で締結部618と締結連杆534との一致している部分に対して、締結バー617の上方から一般的に市販されている締結バンド619の先端を取付用切欠部616に差し込んで下方に向けて締結穴533に差し込み前方に導き、その先端を締結バンド619の締結具部分に係合させる。そして、締結バンド619の締結具より前方に飛び出した不必要な先端部分を切断しておく。このようにすれば、締結バンド619を切断しない限り、遊技盤止め具614と遊技盤固定具519等の固定を解除しても、遊技盤4を本体枠3から取り外すことができない。締結バンド619を切断すれば、遊技盤4を本体枠3から取り外すことはできるものの、例えば、締結バンド619をパチンコ店独特のものを使用することにより、異なる締結バンドが締結されていれば、遊技盤4を取り外して何らかの不正行為を行われたことが容易に理解することができるものである。このように極めて簡単な取り外し防止機構により遊技盤4の本体枠3からの不正な取り外しを防止することができる。
また、遊技盤4の外形形状は、その上部左右に前記扉枠5の裏面に設けられるスピーカ163の後方突出部分を受け入れるようにスピーカ用切欠部612が形成され、また、ファール口610の側方斜め下に後述する満タンユニット900の前方誘導通路920部分の一部が挿入される通路用切欠部613が形成されている。また、遊技領域区画枠部材601の下方左右には、証明確認用の証紙を貼付する証紙貼付部615が設けられている。
一方、遊技盤4の裏面には、遊技領域605に設けられる各種の遊技装置(例えば、大入賞口装置や一般入賞口等の入賞口)に入賞した球を下流側に整列して誘導する入賞空間形成カバー体621が取り付けられており、その入賞空間形成カバー体621の裏面に遊技領域605のほぼ中央に配置される液晶表示装置640(図74参照)の表示を制御する表示装置制御基板が収納される表示制御基板ボックスとしての液晶表示制御基板ボックス622が取り付けられている。
更に、遊技盤4の裏面には、入賞空間形成カバー体621の下方に盤用基板ホルダ623が固定されている。この盤用基板ホルダ623は、その前方に前記入賞空間形成カバー体621によって整列誘導された入賞球を集めるように空間部(この空間部は、前後方向の幅が入賞空間形成カバー体621の幅よりも比較的広いものとして形成されている。)が形成され、その空間部の底面に落下口629(図29参照)が形成されている。この落下口629は、前記排出口606の後面部分で合流して後述する基板ユニット1100に形成されるアウト球通路1119(図73参照)に連通するものである。また、盤用基板ホルダ623には、その裏面に遊技動作を制御する主基板2810(図96参照)を収納する主基板ボックス624と、後述する基板ユニット1100に設けられる払出制御基板1186や電源基板等と接続するための中継端子板625と、が取り付けられている。中継端子板625には、遊技盤4を本体枠3に装着するだけで自動的に前記基板ユニット1100に設けられるドロワコネクタ1200,1202と接続されるドロワコネクタ626,627が設けられている。また、盤用基板ホルダ623には、ドロワコネクタ626,627の間から中継端子板625を貫通するように後方に向かって突出する接合案内突起628が形成されている。この接合案内突起628は、後に詳述するように遊技盤4を本体枠3に装着する作業を行ったときに、基板ユニット1100側に設けられるドロワコネクタ1200,1202と遊技盤4側に設けられるドロワコネクタ626,627とが自然に接続されるように基板ユニット1100の枠用基板ホルダ1101に形成される接合案内孔1213に挿入される(図73参照)ものである。なお、これらドロワコネクタの接続については、後に詳述する。
<打球発射装置>
打球発射装置650について図36乃至図41を参照して説明する。図36は、打球発射装置650の全体の斜視図(A),発射モータ部分を取り外した状態の斜視図(B)であり、図37は、打球発射装置650の分解斜視図であり、図38は、打球発射装置650と発射レール515との関係を示す正面図(A),発射モータ部分の斜視図(B)であり、図39は、操作ハンドル部461を操作していない状態における打球発射装置650と発射レール515との関係を示す背面図であり、図40は、操作ハンドル部461を操作している状態における打球発射装置650と発射レール515との関係を示す背面図であり、図41は、打球発射装置650に設けられるスライド部材710の平面図(A),正面図(B),正面から見た斜視図(C),正面図(B)のA−A断面図(D)である。
打球発射装置650は、発射ベース枠651に打球槌687を回動自在に軸支すると共に、その打球槌687に往復回動を付与する発射モータ695を発射ベース枠651に取り付け、さらに打球槌687に復帰する付勢力を付与する付勢バネ684の付勢力を調節するスライド杆677及びスライド部材710が発射ベース枠651に設けられることにより構成される。
より詳細に説明すると、図37に示すように、発射ベース枠651は、合成樹脂によって横長な長方形状に成型されるものであり、そのほぼ中心に打球槌687の軸受689が嵌合される軸受筒652が形成され、その上部及び側方に打球槌687の発射原点位置を規制するゴムストッパー部材653,654が取り付け固定されている。即ち、ゴムストッパー部材653,654は、打球槌687が付勢バネ684の付勢力により発射原点位置に戻ったときに打球槌687の衝撃を受け止めるものである。また、発射ベース枠651の後方(発射レール515の下方に対応する部位の反対側)の上方に横長細溝状のスライド案内孔655が形成され、そのスライド案内孔655の下方にスライド部材収納空間656が形成されている。スライド案内孔655は、後述するスライド杆677の後端上部に突設される案内係止片678が挿入されてスライド杆677のスライド移動を案内するものであり、スライド部材収納空間656には、スライド部材710が左右方向に移動可能に収納されるものである。なお、スライド杆677の前方部分のスライド案内は、スライド杆677の前方に形成される案内長孔680に止めネジ682によって発射ベース枠651に形成される止め穴662に止着される案内ブッシュ681を貫通させることにより行われる。また、スライド部材収納空間656の底面には、図38に示すように、長方形状の連結開口664が形成されている。
また、発射ベース枠651の上辺の前方部分には、発射ベース枠651の本体に対して庇部が形成されており、前記軸受筒652の上方の庇部に作動片用開口657が穿設されている。この作動片用開口657には、前記扉枠5の皿ユニット300の下流側の打球供給口288(図15参照)に臨んで設けられている供給揺動片289(図15参照)と当接する作動片658が作動片用開口657の開口縁の後方上部に突設されている取付部660に止めピン659によって揺動自在に設けられるものである。作動片658は、「て」字状に形成され、その上辺の後端部が止めピン659によって軸支され、その軸支部から下方の円弧部に打球槌687と一体的に回動するベース板690に突設される作動片当接部693と当接し、打球槌687の往復動作に連動して上辺部が供給揺動片289を揺動させ、供給揺動片289の揺動動作により打球供給口288から流出する打球を1個ずつ発射レール515の発射位置に供給するようになっている。
更に、発射ベース枠651には、発射モータ695を内蔵するモータカバー694を止着するためのモータ取付ボス661が後方下部に2箇所と前方上部に1箇所の合計3箇所に突設されていると共に、前記スライド部材収納空間656の下部後方にスライド杆677をスライドさせるためにスライド部材710と連結される揺動片672の下端の軸穴673が挿入される揺動片用ボス663が突設されている。
上記した発射ベース枠651には、打球発射装置650の剛性を高めるために金属プレート665がほぼ密着するように取り付けられている。このため、金属プレート665には、軸受筒652、下方のゴムストッパー部材653、スライド案内孔655、案内ブッシュ681、及び揺動片用ボス663にそれぞれ対応する貫通孔666,667,668,669,671が形成されていると共に、スライド部材710の連結凸部712が貫通する横長楕円状の貫通孔670も貫通されている。上記のように構成される金属プレート665は、スライド部材710をスライド部材収納空間656に収納した後、それぞれの貫通孔666〜671がそれに対応する部材652,653,655,681,712,663を貫通あるいは一致させるように発射ベース枠651に密着させてビス止めすることにより発射ベース枠651に固定されるものである。
金属プレート665が取り付けられた発射ベース枠651の揺動片用ボス663の先端部分が貫通孔671から頭を出しているが、その頭の部分に揺動片672の軸穴673が挿通されて、揺動片672が下端を中心にして揺動自在に軸支される。揺動片672は、図37に示すように、縦長杆状に形成され、その下端に前記軸穴673が形成され、その中程にスライド部材710の連結凸部712が挿入されるやや縦長穴形状の連結穴674が形成されている。そして、その連結穴674より上方の前方面がスライド杆677の一端(後端)と当接する当接部675となっている。しかして、揺動片672を揺動片用ボス663に挿通し、且つ貫通孔670から頭を出しているスライド部材710の連結凸部712に連結穴674を挿入してワッシャ付きピン676を連結凸部712に止着することにより、揺動片672が発射ベース枠651に取り付けられる。そして、取り付けられた揺動片672は、スライド部材710のスライドに伴って下端を中心にしてその上方部分が揺動するようになっている。
また、金属プレート665の上部前面には、横長杆状のスライド杆677が左右方向にスライド可能に取り付けられる。即ち、スライド杆677の後方上部に突設されるL字状の案内係止片678を金属プレート665の貫通孔668に貫通係合させ、スライド杆677の前方に形成される案内長孔680に止めネジ682を有する案内ブッシュ681を貫通させて止めネジ682を止め穴662に止着する。上記した案内係止片678と貫通孔668、及び案内長孔680と案内ブッシュ681とにより、スライド杆677が金属プレート665を介して発射ベース枠651にスライド可能に装着される。また、スライド杆677には、その一端(後端)に上述した揺動片672の当接部675と当接する被当接部679が形成され、その他端(前端)に付勢バネ684の一端の係止輪685を掛け止めるためのバネ係止部683が突設されている。
金属プレート665が取り付けられた発射ベース枠651の軸受筒652が貫通孔666から突出しているが、その軸受筒652には、打球槌687の軸受689が抜け落ちないように嵌合されている。軸受689の軸には、打球槌687の下端部が固着されると共に同時にベース板690が固着される。ベース板690には、その前方裏面側に前記作動片658と当接する作動片当接部693が突設され、その前方前面に付勢バネ684の他端の係止輪686を掛け止めるためのバネ係止部692が突設され、さらにその後方前面に発射モータ695のモータカム697と係脱するモータ当接突片691が突設されている。打球槌687の上端には、合成樹脂製の槌先688が固着されており、この槌先688が発射レール515の下端部とその上方に固着される発射位置ストッパー702とによって形成される発射位置に突入するように臨んでいる。
一方、発射ベース枠651の前述したモータ取付ボス661には、モータカバー694に収納された発射モータ695が取り付けられる。より具体的には、図38(B)に示すように、モータカバー694は、内部に発射モータ695を収納するように形成された円筒部と、該円筒部の前方に拡大して前記モータ取付ボス661に取り付けるための取付固定穴699が形成される取付部と、が一体的に形成され、円筒部の内部に収納される発射モータ695のモータ軸696の先端に逆回転防止カム698とモータカム697とが固定されている。逆回転防止カム698の外周には、多数の逆歯が形成されており、ストッパー片取付ボス701に揺動自在に固定されるストッパー片700(図39参照)と係合して発射モータ695の逆方向の回転を防止している。これは、モータカム697が逆方向に回転してモータカム697とモータ当接突片691とが噛み合って打球発射装置650が駆動できなくなる故障が発生しないように防止するためである。また、モータカム697は、勾玉状に形成されており、発射モータ695の回転に伴いモータ当接突片691と係脱しながら打球槌687を往復動作させる。なお、モータカバー694をモータ取付ボス661に取り付けたときには、図36(A)に示すように、打球発射装置650の主たる構成が後面から見て被覆されたような状態となっている。
ところで、前述したスライド部材収納空間656に収納されてスライド移動するスライド部材710は、図41に示すように、後方が開放した直方体状に形成され、その前面に楕円形状の楕円凸部711が突設され、さらに該楕円凸部711の後方位置に円形状の連結凸部712が突設されている。また、上面及び下面には、スライド部材収納空間656内をスライドし易いように断面円弧状のスライド用当接突部713がその両端に突設されている。一方、直方体状に形成されるスライド部材710の空間は、前記扉枠5の裏面下部に設けられるジョイントユニット480のスライド突片492が挿入される挿入空間714となっている。しかして、この挿入空間714は、スライド方向前方の側壁手前側に第一傾斜面715が形成されると共に、その第一傾斜面715のやや後方寄りに上面及び下面の内側から内部に向かって突設され且つ相互の先端間に所定の間隔が形成される挟持片716が形成されている。挟持片716の手前側にも奥に向かって側方視でハ字状に傾斜する第二傾斜面717も形成されている。しかして、スライド突片492が挿入空間714に挿入された状態では、図41(B)に示すように、スライド突片492の傾斜辺493側の一端辺がスライド方向前方の側壁に当接した状態で且つ上下の挟持片716の間に挿入された状態となっている。なお、スライド部材710の挿入空間714の側方に空間部718が形成されているが、この空間部718は、特に機能を奏しているわけではない。
しかして、上記のように構成されるスライド部材710は、スライド部材収納空間656に収納された状態で、図38(A)に示すように、スライド部材収納空間656の底面に形成される楕円形状の連結開口664に挿入空間714が臨むように形成されていると共に、スライド部材710がスライド部材収納空間656の一方の空間内壁に当接した状態(図38(A)では左の空間内壁に当接しているように図示されているが、通常の状態では右の空間内壁に当接した状態となっている。)となっている。
そこで、まず、スライド部材710と打球発射装置650の付勢バネ684の強弱を調整する関係について説明すると、スライド部材710がスライド部材収納空間656の内部の初期位置(図38(A)において右の空間内壁に当接した位置)にあるときには、図39に示すように、該スライド部材710の連結凸部712に連結された揺動片672がほぼ垂直状態となっている。このため、揺動片672と当接しているスライド杆677も付勢バネ684の付勢力により一方向(図39において左側方向)に付勢された状態で揺動片672の当接部675とスライド杆677の被当接部679とが当接した状態となっている。この状態では、付勢バネ684が張力されていないので、打球槌687が発射モータ695の回転に従動して往復回動しても、打球槌687の復帰力も弱く、発射位置にある打球が弾発されても遊技盤4の遊技領域605に到達することはない。
一方、スライド部材収納空間656の内部をスライド部材710が初期位置から他方方向に移動したとき(図38(A)において左の空間内壁方向に向かって移動したとき)、図40に示すように、揺動片672が下端の軸穴673を軸として揺動して傾動するため、当接部675と被当接部679との当接によりスライド杆677が他方向(図40において右側方向)に向かってスライド移動する。すると、スライド杆677のバネ係止部683に係止されている付勢バネ684も張力されて伸びた状態となる。この状態では、付勢バネ684が張力されているので、打球槌687が発射モータ695の回転に従動して往復回動したときの打球槌687の復帰力が強くなり、発射位置にある打球が強く弾発されて遊技盤4の遊技領域605に到達する。そして、この打球の弾発力の強弱は、スライド部材710のスライド部材収納空間656内でのスライド量に応じて調整することができる。
上記したように、スライド部材710を移動させることにより、打球発射装置650による弾発力を調整することができるが、このスライド部材710の移動は、前述したハンドル装置460の操作ハンドル部461の回動操作部材464の回動操作に応じて移動するジョイントユニット480のスライド体483の移動と連動するようになっている。この点について図20、を参照して説明する。
前述したように、ハンドル装置460の操作ハンドル部461の回動操作部材464を回転させることにより、回転軸465の先端に固着される勾玉状のカム466も回転するため、ジョイントユニット480のスライド体483が収納体481の内部を一方向に向かってスライド移動する。このため、スライド体483の前面に突設されるスライド突片492も同じ方向にスライド移動することになる。スライド体483のスライド突片492は、扉枠5を本体枠3に対して閉じた状態では、本体枠5の発射装置取付部520に形成される連結開口664を貫通してスライド部材710の挿入空間714に挿入されるようになっている。この場合の挿入状態は、前述したようにスライド突片492の傾斜辺493側の一端辺がスライド方向前方の側壁に当接した状態で且つ上下の挟持片716の間に挿入された状態である。したがって、スライド突片492が一方向に向かってスライド移動すると、スライド部材710も同一方向に向かってスライド移動することになる。このとき、前述したように、スライド部材710のスライド移動に伴ってスライド杆677もスライド移動するので、付勢バネ684の付勢力を調整することができる。つまり、ハンドル装置460の回動操作部材464を回動操作することにより、打球発射装置650の打球の弾発力を調整することができるものである。
ところで、本実施形態においては、ハンドル装置460が扉枠5に設けられ、打球発射装置650が本体枠3に設けられているので、扉枠5を開閉する毎にハンドル装置460のスライド突片492と打球発射装置650のスライド部材710とが連携したり離れたりすることになる。しかし、本実施形態においては、上述したように、本体枠3に対して扉枠5を閉じることにより、スライド突片492がスライド部材710の挿入空間714に自動的に挿入されてハンドル装置460と打球発射装置650とが連携され、逆に、本体枠3に対して扉枠5を開放することにより、スライド突片492が挿入空間714から離れてハンドル装置460と打球発射装置650とを分離することができるので、極めて簡単に扉枠5の開閉に伴ってハンドル装置460と打球発射装置650との連携・分離を行うことができる。特に、スライド突片492が挿入空間714に挿入される際には、スライド突片492の位置が上下方向に多少ずれていても、挿入空間714内に突設される挟持片716の第二傾斜面717によってスライド突片492がスムーズに挟持位置に挿入されるようになっている。
また、時として、操作ハンドル部461の回動操作部材464に遊技者が詰め物を詰めてある程度回動した位置で固定している場合があるが、遊技場の店員がその詰め物を知らずに扉枠5を開閉する場合がある。このような場合でも、扉枠5を開放する場合には、単にスライド突片492が挿入空間714から離れるだけであるので問題はないが、扉枠5を閉める場合に、スライド突片492の位置が多少一方向にずれた状態となっているものの、スライド突片492の傾斜辺493とスライド部材710の第一傾斜面715との協働作用により、扉枠5の閉止動作に伴ってスライド部材710を一方向に移動させながら最終的にスライド突片492とスライド部材710とが係合するようになっている。つまり、本実施形態においては、操作ハンドル部461の回動操作部材464がどのような回動位置で固定されていても、操作ハンドル装置460と打球発射装置650との連携を行うことができるものである。
<賞球タンク>
次に、本体枠3の裏面上部に取り付けられる賞球タンク720について、主として図42を参照して説明する。図42は、賞球タンク720の斜視図(A)、平面図(B)、側面図(C)である。賞球タンク720は、前述したように、本体枠3の裏面上部に形成されるタンク取付溝550(図24参照)に着脱自在に取り付けられるものである。しかして、賞球タンク720は、長方形状の箱状に形成され、パチンコ機1の正面側から見て、その前面壁721に切欠部729が形成され、その底面が上流側壁724から下流側壁723に向かって傾斜する第一傾斜底面726と前面壁721から次に説明する排出口730に向かって傾斜する第二傾斜底面727とによって貯留部728が形成されている。また、その第二傾斜底面727の傾斜下端に排出口730が形成されるが、この排出口730は、パチンコ機1の正面側から見て賞球タンク720の後面壁722よりも外側に突出するように下流側壁723と後面壁722とをコ字状に連結する排出口突出壁725に囲まれるように形成されている。また、賞球タンク720の前面壁721の両端外側には、前記タンク取付溝550と係合する取付鍔部733が形成されていると共に、賞球タンク720の底面の裏面側に本体枠3の前記第四側面壁543に載置当接する載置当接片731,732が突設され、さらに、賞球タンク720の上流側の後面壁722の下部に後述する球ならし部材744を取り付けるための球ならし取付軸735が突設されている。また、排出口730を除く賞球タンク720の後面壁722及び上流側壁724には、球の跳ね飛びを防止するための溢れ防止部材734が着脱自在に取り付けられるようになっている。
上記のように構成される賞球タンク720においては、本体枠3のタンク取付溝550に対して取付鍔部733を上方から差し込むように取り付け、載置当接片731,732を本体枠3の第四側面壁543に当接させる。これによって、賞球タンク720が本体枠3の裏面側上部に載置して取り付けられるが、この取り付けられた状態においては、図28に示すように、前面壁721の切欠部729を介して貯留部728と本体枠3の裏面に形成された逃げ凹部551とが連通し、また、図5に示すように、排出口730が次に説明するタンクレール部材740の上流端部に臨むようになっている。したがって、賞球タンク720において、球を貯留する貯留部728(第一傾斜底面726及び第二傾斜底面727に対応する貯留空間部分)の前後方向の幅は、本体枠3の第二側面壁541〜第四側面壁543までの前後方向の幅とほぼ同じとなるように形成されると共に、それらの側面壁541〜543までの上部に載置されるようになっている。しかして、前述したように、本体枠3の第一側面壁540〜第四側面壁543は、遊技盤4の周辺部の後方突出空間を覆うように深く形成されているので、その側面壁541〜543の上部に載置される賞球タンク720の貯留部の深さは、従来の貯留タンクにくらべて浅く形成されているものの、賞球が貯留されて重量が増加しても賞球タンク720の全体を本体枠3の側面壁542〜543で支持しているので、傾斜底面726,727が変形することなく貯留された球をスムーズに排出口730に導くことができる。また、排出口730が賞球タンク720の後面壁722から外側に外れた位置に設けられているため、貯留部728に貯留された球の流れが第二傾斜底面727から外側に向かって流れるように構成されている。このため、従来のように傾斜底面の一部に開口を設けて排出口としていた賞球タンクに比べて、排出口近傍の貯留部に球詰まり解消のための球崩し突部を突出形成することなく球詰まりが発生し難い構造とすることができる。
そして、本実施形態においては、前述したように、遊技装置の後方突出部を収納する後側面壁541〜543の上部外側に賞球タンク720の貯留部が載置された状態で、しかも、賞球タンク720の排出口730が貯留部の後面壁722よりも外側に突出して設けられているため、タンクレール部材740が賞球タンク720の貯留部の外側(パチンコ機1の正面から見て奥側)に位置して、タンクレール部材740と賞球タンク720の貯留部728とが上下方向に重複しない位置となっているので、遊技盤4の裏面に設けられる遊技装置の後方突出部を収納する後側面壁541〜543の上辺を本体枠3の上辺に近い位置で後方に向って突出させることができ、これにより、遊技装置の後方突出部が遊技盤4の上辺部で突出していても後側面壁541〜543の内部に楽に収納することができる。
更に、賞球タンク720の貯留部728が遊技装置の後方突出部を収納する後側面壁541〜543の上部外側に載置されているか否かに関係なく、排出口730が賞球タンク720の後面壁722から外側に外れた位置に設けられているという構成だけで従来の賞球タンクにはない独特の効果を奏するものである。これについて図43を参考にして説明する。図43は、従来の賞球タンク(A),(B)と本実施形態に係る賞球タンク(C)との排出口部分における球の圧力状態を示す平面図である。図において、通常時、賞球タンク720に貯留される球は、賞球タンク720の貯留部に貯留されて滞留した状態となっている。この場合、従来の賞球タンクのように貯留部の傾斜底面の一部を開口して排出口730Aを形成している場合、例えば、図43(A)に示すように、球崩し突部736Aと反対側に排出口730Aが形成された賞球タンクや、図43(B)に示すように、球崩し突部736Bに隣接して排出口730Bが形成されている場合には、排出口730A,730Bの部分では、貯留された球の圧力とその圧力に基づく賞球タンクの側壁からの反作用により、常に排出口730A,730B部分に四方から球圧がかかった状態となっている。このため、たまたま球の重合具合によって球同士の圧力が釣り合い、下流側の球が流れ出ても、排出口730A,730B部分で球噛み状態が発生し球詰まりが発生することがあった。これに対し、本実施形態に係る賞球タンク720では、排出口730が賞球タンク720の後面壁722から外側に外れた位置に設けられているので、図43(C)に示すように、排出口730部分における貯留された球の圧力は、貯留部から排出口730方向に向かう作用力とその反作用だけの二方向からの圧力であり、従来のように四方から圧力を受けるわけではない。このため、下流側の球が流れ出ても、排出口730部分における球噛み状態が発生し難く、球詰まりが発生しないという優れた効果を奏することができる。
<タンクレール部材>
上記した賞球タンク720の下方に配置されるタンクレール部材740について主として図44乃至図46を参照して説明する。図44は、賞球タンク720、タンクレール部材740、球通路ユニット770、賞球ユニット800、及び満タンユニット900の関係を示すパチンコ機1の背面側から見た斜視図であり、図45は、賞球タンク720、タンクレール部材740、球通路ユニット770、賞球ユニット800、及び満タンユニット900の関係を示すパチンコ機1の正面側から見た斜視図であり、図46は、タンクレール部材740の下流部と球通路ユニット770の上流部との関係を示す断面図(A)と平面図(B)である。
タンクレール部材740は、前述したように、本体枠3の上後面壁545のレール係止溝553,554(図24参照)に着脱自在に取り付けられるものである。そのため、タンクレール部材740には、その後面側の側面の左右辺及び下辺にレール係止溝553に上から差し込まれる複数の係止突片749が突設されると共に、その後面側側面の上辺中央にレール係止溝554に上から掛け止められる鉤状の係止突片750が突設されている。しかして、タンクレール部材740は、上面が開放した傾斜樋状に形成され、その上流端上面が賞球タンク720の排出口730に臨み、その下流端下面が後に詳述する球通路ユニット770に臨んでいる。また、タンクレール部材740の内部は、図5に示すように仕切壁741によって球が2列に整列して流下する通路742となっている。なお、通路742の底面は、細溝が切り欠けられており、通路742を球と一緒に転動する異物がその細溝から下方に落下するようになっている。また、通路742の側壁には、静電気を除去するための金属板(図示しない)が貼付されており、この金属板の下流端が前述したアース線接続具557(図22参照)に接続されている。このため、タンクレール部材740を流下する球に帯電していた静電気が金属板からアース線接続具557を介して電源基板のアース用コネクタを経て外部にアースされるようになっている。
また、タンクレール部材740の中流域のやや下流側に重錘を有する卵形状の球ならし部材744が揺動自在に設けられている。この球ならし部材744は、前述した賞球タンク720の球ならし取付軸735に揺動自在に軸支されるものであり、タンクレール部材740の2列のそれぞれの通路742内に向かって垂下され、各通路742を流下する球が上下方向に複数段で流下してきたときに1段となるように整流するものである。また、球ならし部材744の設置位置より下流側のタンクレール部材740の上面が球押え板745によって被覆されている。この球押え板745は、球ならし部材744によって1段とならなかった球を強制的に1段とするように傾斜円弧状に形成されるものである。更に、タンクレール部材740の下流端部には、それぞれの通路742に臨んで一対の整列歯車747が軸ピン748によって回転自在に軸支されている。この整列歯車747は、外周に複数の歯が形成され、一対の整列歯車747の歯のピッチが半ピッチずつずれるようにして軸ピン748に固定されている。このため、タンクレール部材740の各通路742を流下してきた球の上部が整列歯車747の歯と噛み合いながら下流側に流下するときに2列の通路742の球が交互に1つずつ送られることになる。この場合、図46に示すように、各通路742を流れてきた球は、整列歯車747と噛み合いながら2列の通路742の下部に形成される傾斜面743に沿って中央方向に誘導され、その誘導中に次に説明する球通路ユニット770の球落下通路772の上端入口773に2列の通路742からの球を交互に一列状にして落下するようになっている。なお、整列歯車747は、その上面を円弧状の歯車カバー746によって被覆されている。
<球通路ユニット>
上記したタンクレール部材740から一列状に落下される球を賞球ユニット800に導くための球通路ユニット770について、主として図47乃至図51を参照して説明する。図47は、本体枠3と球通路ユニット770及び賞球ユニット800との関係を示す分解斜視図であり、図48は、球通路ユニット770及び賞球ユニット800との関係を示す背面図であり、図49は、球通路ユニット770の背面から見た斜視図であり、図50は、球通路ユニット770の正面図であり、図51は、球通路ユニット770と賞球ユニット800との連結構造を説明するための側面図である。なお、図48及び図49において、賞球ユニット800部分は、ギヤカバー866、アルミ放熱板841、ユニットサブ板825が削除され、ユニットベース体801に形成された球通路部分をわかりやすく描いたものである。ただし、ギヤ等については、球通路との関係を理解し易くするため、一点鎖線で示してある。
球通路ユニット770は、ほぼ長方形状の板材の裏面(背面から見える面を表面という。)に屈曲した一対の屈曲通路壁771によって球落下通路772が形成されている。この球落下通路772は、図46(A)に示すように、その上流が前後方向(背面から見て奥行方向)に屈曲する前後屈曲通路部772aと、該前後屈曲通路部772aに連通して左右方向(背面から見て左右方向)に屈曲する左右屈曲通路部772bと、該左右屈曲通路部772bに連通してほぼ垂直状となっている垂直通路部772cとからなっている。前後屈曲通路部772aは、図46(A)に示すように、上述したタンクレール部材740から落下する上端入口773の位置が前述したように2列の通路742のほぼ中央であるため、本体枠3の上後面壁545及び軸支側後面壁546の表面から背面側に離れた位置となっているので、前後屈曲通路部772aと軸支側後面壁546に突設される前記賞球案内突起561とによって球落下通路772を軸支側後面壁546の表面に近い位置とするように前後方向に屈曲するものである。また、左右屈曲通路部772bは、図50に示すように、タンクレール部材740から前後屈曲通路部772aを落下してきた球の勢いを弱めるために球通路ユニット770のほぼ横幅一杯にコ字状に屈曲して形成されるものである。更に、垂直通路部772cもほぼ垂直状に形成されているものの若干緩やかに湾曲して形成され、その垂直通路部772cを構成する一方の屈曲通路壁771に切欠部775が形成され、その切欠部775に上端が支軸777によって軸支される球切れ検出片776が揺動自在に取り付けられている。この球切れ検出片776の側方には、球切れスイッチ778が取り付けられ、球切れスイッチ778のアクチュエータ779が球切れ検出片776に当接している。球切れ検出片776及び球切れスイッチ778によって垂直通路部772cでの球切れを検出する球切れ検出機構が構成されている。
しかして、垂直通路部772cに球が存在しているときには、垂直通路部772cに存在する球によって球切れ検出片776が押圧されてアクチュエータ779を押して球切れスイッチ778をONとするが、垂直通路部772cに球詰まりや球欠乏により球が存在しなくなると球切れ検出片776が垂直通路部772c内に向かって揺動するので、アクチュエータ779が球切れスイッチ778をOFFとする。球切れスイッチ778がOFFになると、後述する賞球ユニット800の払出モータ815の回転が停止して賞球の払出が停止されるようになっている。なお、切欠部775の下端部には、球切れ検出片776の通路部と反対側への過剰な揺動を防止するためにストッパー突起780が形成されており、また、球通路ユニット770の球切れ検出片776に対応する垂直通路部772cに球詰まり用挿入溝781が形成されている。この球詰まり用挿入溝781は、球詰まり等で球切れ検出片776の揺動動作が行われ難い場合に、球通路ユニット770の後面側からピンを差し込んで球切れ検出片776部分の球詰まりの解消を図るために設けられるものである。更に、球切れ検出片776に対面する他方の屈曲通路壁771は、若干球切れ検出片776側に向かって膨出状に形成されている。これは、垂直通路部772cに球が存在しているときに確実に球切れ検出片776を押圧して球切れスイッチ778をONにするためである。
また、球通路ユニット770には、上記した球落下通路772を避けた位置に止め穴782と位置決めボス783とが形成されている。位置決めボス783は、本体枠3の軸支側後面壁546に形成される位置決めピン574に係合されるものであり、止め穴782は同じく軸支側後面壁546に形成される通路ユニット取付ボス562に対応するものである。しかして、球通路ユニット770を本体枠3に取り付けるには、図47に示すように、位置決めボス783を位置決めピン574に係合させながら通路ユニット取付ボス562と止め穴782とを一致させ、その状態で止め穴782からビス784を螺着することにより行うことができる。更に、球通路ユニット770には、その一側中程にカバー体1250の係合片と係合するカバー体係合溝785が形成されていると共に、下部に賞球ユニット800と連結するための連結蓋部材786が回動自在に設けられている。
連結蓋部材786は、図49に示すように、長方形状の板材の裏面に円弧状に突設される一対の通路壁790を突設することにより構成されており、球通路ユニット770の下部表面の左右両端部に突設される軸支部としての支持突片787に、連結蓋部材786の両端部から延びる支持片788の先端に突設される回転軸部としての突起軸789を嵌合することにより回動自在に軸支されるものである。また、連結蓋部材786は、閉じることにより球通路ユニット770の下方に延長されて通路壁790によって形成される通路と球落下通路772の下流端部とが連通した状態(図51(B)に示す状態)と、開放することにより通路壁790によって形成される通路と球落下通路772の下流端部とが連通しない状態(図51(A)に示す状態)と、に回動し得るが、開放した状態から閉じた状態に移行する際に、連結蓋部材786の支持片788を案内する案内突起791が球通路ユニット770の後面下端部に突設されている。
しかして、球通路ユニット770を本体枠3の軸支側後面壁546に固定した状態で、しかも、後述するように賞球ユニット800を同じく軸支側後面壁546に装着した状態(図51(A)に示す状態)で、連結蓋部材786を閉じて賞球ユニット800に設けられる係止弾性爪820によってその後面を係止することにより、球通路ユニット770の球落下通路772と賞球ユニット800の屈曲通路803とを通路壁790にて連通して、球通路ユニット770の球落下通路772を落下する球を賞球ユニット800の屈曲通路803に導くことができるものである。このように球通路ユニット770に回動自在な連結蓋部材786を設けた理由は、後述するように賞球ユニット800を本体枠3に対して着脱自在に装着し易くすることと、その着脱自在に装着したことに起因して球通路ユニット770と賞球ユニット800との間に形成される空間が球のスムーズな落下を阻害しないようにするためである。
また、球通路ユニット770に突設される一対の屈曲通路壁771の間に本体枠3の軸支側後面壁546にその突出高さが下流側に向かって徐々に低くなるように突設される賞球案内突起561を挿入することで、球落下通路772の上端入口773がタンクレール部材740の2列の通路742のほぼ中央下部に位置するように、球落下通路772の上流部を背面からみて前後方向に屈曲する前後屈曲通路部772aとして形成する。これにより、一対の整列歯車747によって2列で流下する球を交互に1個ずつ賞球ユニット800側に送り出す構成において、球落下通路772を通して球を1個ずつスムーズに賞球ユニット800に送り出すことができる。また、この構成によれば、複数の部材の組立体から球落下通路772を構成する必要がないため、球落下通路772を構成する部品点数を削減することができると共に、球落下通路772の組み付け作業性を向上することができる。
また、タンクレール部材740から前後屈曲通路部772aを落下してきた球は、左右屈曲通路部772bを通過することでその勢いを弱め、その後、垂直通路部772cを通って賞球ユニット800に送られる。また、勢いが弱められた状態で球が送り込まれる垂直通路部772cには、球切れを検出するための球切れ検出機構(球切れ検出片776及び球切れスイッチ778)が設けられる。これにより、球落下通路772での球切れ、言い換えれば賞球ユニット800に供給する球が切れたこと(球切れ)を確実に検出することができる。
<賞球ユニット>
次に、上記した球通路ユニット770の下流側に配置される賞球ユニット800について、主として図52乃至図55を参照して説明する。図52は、賞球ユニット800の背面側から見た分解斜視図であり、図53は、払出モータ815と払出部材としてのスプロケット807との関係を説明するための背面図であり、図54は、賞球ユニット800の通路と駆動関係を説明するための背面図であり、図55は、図54のA−A断面図である。
図52において、賞球ユニット800は、一対の屈曲通路壁802によって球通路を構成する屈曲通路803、賞球通路810、及び球抜通路811が形成されるユニットベース体801と、該ユニットベース体801の後面を覆うユニットサブ板825と、該ユニットサブ板825の上部表面(後面側)に取り付けられる中継基板830と、前記ユニットサブ板825のほぼ中央表面領域(後面側領域)に設けられるギヤ群843,844,847及び検出円盤850(回転伝達部材)を被覆するギヤカバー866とから構成されている。以下、これらの構成を順次説明する。
ユニットベース体801は、ほぼ長方形状の板状(この板部分を「底面」という場合がある。)に形成され、その板状のユニットサブ板825側に向かって突設される一対の屈曲通路壁802によって屈曲通路803が形成されている。屈曲通路壁802は、ユニットベース体801の上部中央から下流側のほぼ中程まで球の直径よりもやや大きな間隔で突設されるが、その中程から下流側に大きく左右に分かれて中程から下流端までユニットベース体801の両端辺の側壁を兼ねている。また、中程の屈曲通路壁802が大きく左右に分かれた部分は、球送り回転体としてのスプロケット807が配置される振分空間805を構成し、その振分空間805の下部からユニットベース体801の下流端までに左右に分かれた前記屈曲通路壁802の対をなすように通路区画壁809が突設形成されている。つまり、中程から下流側の左右の屈曲通路壁802と通路区画壁809とによって振分空間805から左右に2つの通路が構成されることなり、一方の通路が賞球通路810を構成し、他方の通路が球抜通路811を構成している。なお、通路区画壁809も左右に大きく分かれており、その分かれた通路区画壁809の内側に払出モータ815を収納するモータ収納空間814が形成されている。即ち、払出モータ815は、球通路(屈曲通路803、賞球通路810、球抜通路811)を避けた位置であって当該球通路の奥行き幅寸法内に形成されるモータ収納空間814に収納固定される。なお、屈曲通路803は、該通路803内に停留する球のスプロケット807への圧力を弱めるために蛇行状に形成されて振分空間805に到達しているが、その振分空間805の上流側の底面に楕円形状の開口804が形成されている。この開口804は、屈曲通路803内に入った小さなゴミ等を貯留するもので、賞球ユニット800を本体枠3から取り外したときに溜まったゴミ等を取り出すことができるようになっている。
また、上記した振分空間805には、外周に球が嵌り合う複数(図示の場合は、3つ)の凹部が形成された払出部材としてのスプロケット807が回転自在に配置されるが、このスプロケット807が固定される回転軸808の他端を軸支する軸受筒806が振分空間805の底面に形成されている。また、振分空間805の底部を構成する通路区画壁809の上端部は、スプロケット807の回転円弧に沿った凹円弧状に形成され、その一方に形成される賞球通路810の上流部には、払出球検出センサ812が着脱自在に装着されている。払出球検出センサ812は、先端部に球が通過する円形状の通過穴が形成された直方体状の磁気センサからなり、その後端部の形状と合致するスイッチ嵌合凹部865を屈曲通路壁802で形成することにより、簡単に着脱自在に取り付けられるものである。なお、払出球検出センサ812からの配線(図示しない)は、後述する中継基板830に接続されるようになっている。更に、賞球通路810を構成する屈曲通路壁802の下流側には、ユニットサブ板825と一体的に形成される通路蓋板部859に形成される係止部860と係合する係止爪813が複数形成されている。ただし、複数の係止爪813のうち、通路蓋板部859の下端の一方の係止部860と係合する係止爪813は、通路区画壁809側に形成されている。
また、ユニットベース体801の下方であって賞球通路810と球抜通路811との間には、払出モータ815を収納する円形状のモータ収納空間814が形成されるが、このモータ収納空間814の内部に払出モータ815の円筒状本体が収納されるようになっている。ただし、払出モータ815は、その前面に形成される一対の取付片816によってユニットサブ板825の下方に取り付けられるアルミ放熱板841の裏面側にビス817で固着されるようになっている。そして、払出モータ815がユニットサブ板825のアルミ放熱板841に取り付けられた状態で、払出モータ815のモータ軸818は、アルミ放熱板841に穿設された軸挿通穴842を貫通して第一ギヤ843が固着されるようになっている。また、ユニットサブ板825及びアルミ放熱板841でユニットベース体801の後面側を被覆することにより、上記した屈曲通路803、賞球通路810、及び球抜通路811が形成される奥行幅方向の空間内に払出モータ815の円筒状本体部分も収納配置されることになる。そして、払出モータ815を収納するモータ収納空間814と前述したスプロケット807が配置される振分空間805とが、上下方向の極めて近い位置関係に形成されているため、ユニットベース体801の上下方向の長さを短くすることができ、結果的に賞球ユニット800のコンパクト化を図ることができる。
更に、ユニットベース体801には、上記した球抜通路811の最下端に球抜きされた球を賞球ユニット800の裏面側に誘導する誘導突片819が突設され、この誘導突片819に誘導された球が後述する球抜接続通路880に誘導されて最終的にパチンコ機1の外部(島台の下方に設けられる回収樋)に放出されるようになっている。また、ユニットベース体801の上部には、前述した球通路ユニット770の連結蓋部材786を係止する係止弾性爪820が突設されると共に、賞球ユニット800を本体枠3の軸支側後面壁546に着脱自在に取り付けるためのボタン挿通係合穴821及び鉤状係合部824と、ユニットベース体801とユニットサブ板825を挟持した状態でギヤカバー866とを連結するための取付ボス823が設けられている。ボタン挿通係合穴821には、ユニットベース体801の上部一側に設けられて棒状の着脱ボタン822が奥行幅方向に摺動自在に取り付けられるものであり、後述するように、その前方先端が本体枠3の軸支側後面壁546に形成されるロック用弾性爪564に対応している。また、ボタン挿通係合穴821の後端面は、図47に示すように、ロック用弾性爪564の先端部が入り込むように凹状となっている。また、鉤状係合部824は、本体枠3の軸支側後面壁546に形成される係合突片565と係合するもので、賞球ユニット800を軸支側後面壁546に押し当てて下方に押下げることにより、鉤状係合部824と係合突片565とが係合するものである。そして、その係合状態においてロック用弾性爪564とボタン挿通係合穴821とが係合するので、賞球ユニット800の上方向の移動ができないようになっている。なお、鉤状係合部824は、ユニットベース体801の上部左右に形成されている。また、ユニットサブ板825を挟持した状態でユニットベース体801とギヤカバー866とを連結するための取付ボス823は、後面側に向かって長く突設され、ユニットサブ板825に穿設される貫通穴858を貫通した後、ギヤカバー866の取付穴867に対応させ、そのギヤカバー866の表面からネジ868を螺着することにより、ユニットサブ板825を挟持した状態でユニットベース体801とギヤカバー866とを連結している。
上記したユニットベース体801を被覆するユニットサブ板825の構成について説明すると、ユニットサブ板825は、ユニットベース体801の屈曲通路803部分と振分空間805部分と賞球通路810部分とを覆う合成樹脂製の板材に払出モータ815が取り付けられると共に球抜通路811の下流部分とを覆うアルミ放熱板841を取り付けることにより構成されている。そして、ユニットサブ板825の合成樹脂板部の表側(後面側)には、中継基板830を取り付けるための中継基板領域826が上部に形成され、その下方に複数のギヤ843,844,847や検出円盤850が取り付けられるギヤ領域840が形成されている。中継基板領域826は、ほぼ正方形状に形成され、その正方形状に沿って中継基板830を載置する載置リブ827が突設され、その一側垂直辺の上下に後述する基板カバー835の係合突起836と係合する係合溝部828が形成され、その他側垂直辺の中央に基板カバー835の係止突部837と係合する係止爪部829が形成されている。また、中継基板領域826には、着脱ボタン822が挿通されるボタン挿通穴834と中継基板830をビス(図示しない)で止着するための取付ボス部832が形成されている。
上記した中継基板領域826に取り付けられる中継基板830は、賞球ユニット800に設けられる上述した払出球検出センサ812、払出モータ815、及び後述するセンサ855からの配線と、後述する払出制御基板1186(図25及び図72参照)からの配線とを中継するもので、そのために複数のコネクタが設けられると共に、着脱ボタン822が挿通されるボタン挿通穴833と前記取付ボス部832に対応する取付穴831とが穿設されている。しかして、中継基板830を中継基板領域826の載置リブ827に載置した状態で取付穴831と取付ボス部832とを合致させて図示しないビスで止着することにより中継基板830をユニットサブ板825の表面(後面)に止着することができる。
また、上記のように取り付けられる中継基板830は、基板カバー835によって被覆される。基板カバー835は、ほぼ正方形状の前面側が開放したボックス状に形成され、その一側垂直辺の上下基部に係合突起836と他側垂直辺のほぼ中央側面に係止突部837が形成されている。また、基板カバー835の正方形状の垂直面には、ボタン開口838と接続開口部839とが形成されている。しかして、基板カバー835の係合突起836を中継基板領域826の係合溝部828に差し込んで係合した後、係止突部837と係止爪部829とを係合させることにより、簡単に基板カバー835で中継基板830を被覆することができる。逆に、取り外す場合には、係止爪部829を弾性変形させて係止突部837との係合を解除すると共に基板カバー835を斜め手前側に引いて係合突起836と係合溝部828との係合を解除することができる。なお、基板カバー835を被覆した状態では、ボタン挿通係合穴821に係合されている着脱ボタン822の頭部がボタン挿通穴833,834を挿通してボタン開口838から外部に僅かに臨んでいる。また、中継基板830に接続された配線は、接続開口部839から外部に引き出されるようになっている。
次に、ユニットサブ板825に形成されるギヤ領域840に設けられるギヤ843,844,847、及び検出円盤850について説明する。前述したように、払出モータ815のモータ軸818の先端は、ユニットサブ板825のアルミ放熱板841に穿設される軸挿通穴842を貫通してユニットサブ板825の表面(後面側)に突出しており、その突出した部分に第一ギヤ843(駆動ギヤ)が固着されている。第一ギヤ843の上方には、該第一ギヤ843と噛合する第二ギヤ844(回転伝達ギヤ)がギヤカバー866の裏面(前面側)に一端が圧入され且つアルミ放熱板841に穿設される軸穴846に他端が支持される軸845に回転自在に設けられ、その第二ギヤ844の上方には、該第二ギヤ844と噛合する第三ギヤ847(回転伝達ギヤ)がユニットサブ板825に形成される軸穴849に圧入された軸848に回転自在に設けられている。更に、第三ギヤ847の上方には、該第三ギヤ847と噛合するギヤ部852(従動ギヤ)を有する検出円盤850が前記スプロケット807を軸支する回転軸808に回転自在に設けられている。なお、図55に示すように、モータ軸818の先端部がギヤカバー866に形成される受穴に遊嵌されている。また、回転軸808は、その一端がユニットベース体801に形成される軸受筒806に圧入されて支持され、その他端がギヤカバー866に形成される軸受穴に支持されるものであるが、ギヤ領域840の中央よりやや下方に形成された軸貫通穴864を貫通して振分空間805においてスプロケット807を回転自在に軸支し、ユニットサブ板825とギヤカバー866とによって形成される空間において検出円盤850を回転自在に軸支している。ただし、図55に示すように、スプロケット807の後端部が検出円盤850の中心前面部と係合した状態となっているので、スプロケット807と検出円盤850とは、回転軸808を中心として一体的に回転するようになっている。したがって、払出モータ815が回転駆動すると、その回転が第一ギヤ843、第二ギヤ844、第三ギヤ847、検出円盤850のギヤ部852を介してスプロケット807を回転するように伝達される。
検出円盤850の外周は、ギヤ部852の円よりも一回り大きく形成されており、そのギヤ部852よりも外側に突出している外周部分には、スプロケット807の凹部と同じ数(図示の場合には、3個)の検出切欠851が形成されている。この検出切欠851は、ユニットサブ板825の表面に形成される基板取付部857に挟持支持されるセンサ基板854に設けられる投受光方式のセンサ855によって検出されるものである。そして、センサ855は、払出動作時において所定のインターバル時間内に検出切欠851の検出個数を検出することにより、スプロケット807が正常に回転しているか否かを監視するためのものである。仮に、センサ855により、異常回転が検出されたとき(多くは、スプロケット807による球噛み状態)には、スプロケット807を所定回数正逆回転させて異常状態(例えば、球噛み状態)を解消するものである。なお、実際に払いだされた球の個数は、前述した賞球通路810に設けられる払出球検出センサ812によって検出して計数のために使用している。なお、図55に示すように、センサ基板854の他端辺もギヤカバー866に形成される基板取付部に挟持されるようになっている。
上述したように、ギヤ領域840に設けられる複数のギヤのうち、第二ギヤ844だけがギヤカバー866側に圧入される回転軸845に回転自在に設けられているところ、ギヤ領域840を覆うギヤカバー866には、前記ユニットベース体801に突設されてユニットサブ板825の貫通穴858を貫通する取付ボス823の先端部に対応する位置に穿設される取付穴867が形成されている。そして、ギヤカバー866側に設けられる第二ギヤ844の歯とユニットサブ板825側に設けられる第一ギヤ843及び第三ギヤ847の歯とを噛み合わせながら、取付穴867と取付ボス823とを一致させた状態でギヤカバー866の後面からネジ868で螺着することにより、ユニットサブ板825を挟持する状態でベースユニット体451とギヤカバー866とが一体的に固定される。また、ギヤカバー866の一側側面には、前記中継基板830に接続される配線(例えば、中継基板830と後述する払出制御基板1186とを接続する配線等)を掛け留めて纏める配線処理片869が突設されている。
以上、賞球ユニット800の構成について説明してきたが、ユニットベース体801とユニットサブ板825と中継基板830と基板カバー835とギヤカバー866とを組み付けた状態においては、図55に示すように、払い出すべき球が導かれる屈曲通路803の下方位置に払出モータ815の円筒状の本体部分が収納されるように位置する。また、ユニットベース体801には、球通路(屈曲通路803、賞球通路810、球抜通路811)内に配置されたスプロケット807と、球通路を避けた位置であって球通路の奥行き幅寸法内に形成されるモータ収納空間814に収納された払出モータ815と、を設け、ユニットサブ板825には、その非閉塞面側に沿って払出モータ815のモータ軸818の回転をスプロケット807の回転軸808に伝達する回転伝達部材(第一ギヤ843、第二,3ギヤ844,847、及び検出円盤850のギヤ部852)を設け、しかも、払出モータ815と屈曲通路803の振分空間805に配置される払出部材としてのスプロケット807とをユニットサブ板825の後面のギヤ領域840に設けられる複数のギヤ843,844,847,850(852)によって回転駆動するように連結した構造となっている。即ち、ユニットベース体801とユニットサブ板825との間に形成される球通路(屈曲通路803、賞球通路810、球抜通路811)の奥行き幅内にスプロケット807と払出モータ815とを収納し、しかも、スプロケット807と払出モータ815とを連結する回転伝達部材(第一ギヤ843、第二,3ギヤ844,847、及び検出円盤850のギヤ部852)をユニットサブ板825の非閉塞面側の所定幅内に沿って設けたので、球通路の外側に払出モータやスプロケットの一部を配置したものに比べて、賞球ユニット800を薄型化することができる。また、このような賞球ユニット800は、当該賞球ユニット800内の球通路(屈曲通路803、賞球通路810、球抜通路811)が一条の通路形状で形成されることにより、より一層の薄型化が図られている。即ち、従来のように、払出モータ815を賞球ユニットの前面側又は後面側又は側方側に突出させるものと異なり、本体枠3の軸支側後面壁546の後面側に取り付けたときに、賞球ユニット800のいずれの部分もさらに後方に向かって突出することがない構造とすることができる。なお、図55において、払出モータ815の前端部分がユニットベース体801の後面よりも僅かに突出して構成されているが、この突出部分は、図25に示すように、軸支側後面壁546の下方の払出モータ用逃げ開口部572から本体枠3の前方部分に臨むようになっているため、結果的にその突出寸法から軸支側後面壁546の板厚寸法を差し引いた寸法だけ突出する程度となり、軸支側後面壁546よりも前方に向かう突出量は僅かなものとなっている。また、このような構成をとることにより、本実施形態では、賞球ユニット800が取り付けられる本体枠3の軸支側後面壁546と遊技盤4の裏面との間に、遊技盤4に設けられる遊技装置の後方突出部分を収納する収納空間を奥行き幅方向で大きくとることができる。
また、上記のように構成される賞球ユニット800を本体枠3の軸支側後面壁546に取り付けるためには、図47に示すように、鉤状係合部824と係合突片565とを対応させて位置合わせした後、賞球ユニット800の下端を係止溝573に掛け止め且つ鉤状係合部824と係合突片565とを係合させるために賞球ユニット800を軸支側後面壁546に密着させたまま下方に押下げる。このとき、賞球ユニット800の下端部と係止溝573とが係合し且つ鉤状係合部824と係合突片565とが係合しているので、取付自体は完了しているが、賞球ユニット800を上方に移動させることにより簡単に上記のそれぞれの係合状態が解除されてしまうため、これを防止するために、ロック用弾性爪564がボタン挿通係合穴821に係合するようになっている。つまり、ロック用弾性爪564とボタン挿通係合穴821とが係合することにより、取付状態で賞球ユニット800の上方への移動を防止している。このように、賞球ユニット800を取り付けた後に、球通路ユニット770の連結蓋部材786を前述したように回動して係止弾性爪820で係止することにより、球通路ユニット770の球落下通路772下流端と賞球ユニット800の屈曲通路803の上流端とを一対の通路壁790によって構成される通路を介して連通化することができる。また、賞球ユニット800を取り付けた状態では、賞球通路810の下流端と後に詳述する満タンユニット900の賞球入口927とが接続され、球抜通路811の下流端が球抜接続通路880の上流端と接続される。
一方、賞球ユニット800を取り外すときは、係止弾性爪820による係合を解除して連結蓋部材786を手前側に回動し、その後、着脱ボタン822を押圧してロック用弾性爪564を前面側に移動させてロック用弾性爪564とボタン挿通係合穴821との係合を解除させ、その後着脱ボタン822を押圧したままの状態で賞球ユニット800を上方に引き上げて賞球ユニット800の下端部と係止溝573との係合及び鉤状係合部824と係合突片565との係合を解除して賞球ユニット800を手前側に引き出すことにより、賞球ユニット800を簡単に取り外すことができる。
<満タンユニット>
上記した賞球ユニット800の下流側に配置される満タンユニット900について、主として図56乃至図62を参照して説明する。図56は、賞球ユニット800と満タンユニット900との関係を示す斜視図であり、図57は、満タンユニット900の斜視図であり、図58は、満タンユニット900の正面から見た分解斜視図であり、図59は、満タンユニット900の背面から見た分解斜視図であり、図60は、満タンユニット900とファール口610との関係を示す一部破断斜視図であり、図61は、満タンユニット900に設けられる底面揺動板907部分で切断した横断面図であり、図62は、満タンユニット900とファール口610との関係を示す断面図である。
満タンユニット900は、前述したように本体枠3の満タンユニット載置部531に載置固定されるものであり、図58に示すように、上面が開放したボックス状に形成されるボックス主体901と、該ボックス主体901の上面を覆う蓋体926とから構成されている。ボックス主体901は、賞球通路810の下流端から流入した球が内部をジグザグ状に誘導されて出口921から排出されるようになっている。このため、その上流部に蓋体926に形成される賞球入口927から流入した球を一端から他端に向かって側方に誘導する側方誘導通路902が形成されている。側方誘導通路902の賞球入口927の直下の一端部には、球を側方に向かって誘導するように凹円弧状に形成される側方誘導受部903が設けられ、側方誘導通路902の他端内面に側方誘導通路902を流れてきた球の衝撃を受け止めて該球を下流側に誘導する緩衝部材904が設けられている。
また、側方誘導通路902の他端内面に設けられる緩衝部材904に衝突した球は、向きを下流側に変えた後、側方誘導通路902の球の流れと逆方向に流れるように誘導される逆側方誘導通路905が形成されている。逆側方誘導通路905を流れた球は、その後、前方に向かって形成される前方誘導通路920に導かれて該前方誘導通路920の流下端に形成される出口921から前述した皿ユニット300の賞球連絡樋451に導かれる。
ところで、前記逆側方誘導通路905の上流側の底面には、その底面の全域に亘って開口する底面開口906が形成され、その底面開口906を底面揺動板907が揺動自在に閉塞している。底面開口906は、上面が開放されたほぼ正方形の凹状に形成され、その内部の正面から見て前後方向の側壁に一対の軸支突起911が突設されている。また、底面開口906の凹状の底面にバネ913の下端を位置決めするための円形状のバネ載置凹部912が形成されている。一方、底面開口906を閉塞する底面揺動板907は、ほぼ正方形状に形成され、その裏面下流側に正面から見て前記軸支突起911に嵌合することにより軸支される半円形状の軸受部908が突設形成されている。また、底面揺動板907の裏面中央には、図61に示すように、バネ913の上端が係止されるバネ係止突起910が下方に向かって突設されている。したがって、底面揺動板907は、バネ913の付勢力によりその上流側が常に上方へ揺動された方向に付勢されている。そして、バネ913は、通常の賞球の払出個数(例えば、15個)が一度に底面揺動板907上に載置したときでも底面揺動板907が下方に揺動せず、賞球の払出個数以上の所定個数の球が底面揺動板907上に載置したときに下方に揺動するようなバネ係数を有するバネ部材によって形成されている。更に、底面揺動板907の上流側に検出突片909が前方に向かって突出されている。この検出突片909は、底面揺動板907の軸受部908を軸支突起911に嵌合軸支したときに、連通孔929を貫通して次に説明するスイッチ収納空間914に位置するようになっている。
また、逆側方誘導通路905の上流端部の側壁の外側には、満タンスイッチ916を収納するためのスイッチ収納空間914が一体的に形成されている。スイッチ収納空間914に満タンスイッチ916を取り付けるために、スイッチ収納空間914の上部であって逆側方誘導通路905の上流端部の側壁の外側面にスイッチ取付部918が形成され、そのスイッチ取付部918に満タンスイッチ916を保持するスイッチホルダ915の取付片917がネジ919によって止着されている。満タンスイッチ916は、投光器と受光器とからなるスイッチとして構成され、その受光器と投光器との間を検出突片909が上下に揺動することによりON・OFFを検出するものである。
更に、逆側方誘導通路905の下流側の一側方にファール球通路922が形成されている。ファール球通路922は、その上流側のファール球入口923が図60に示すように、前述したファール口610に連通し、その下流側が前方誘導通路920の上流側に連通するように屈曲して形成されている。このため、ファール口610に取り入れられたファール球は、ファール球入口923から屈曲したファール球通路922を通って前方誘導通路920に導かれ、さらに出口921及び賞球連絡樋451を通って皿ユニット300に戻される。
また、ボックス主体901には、前記出口921の両側方と前記ファール球入口923の一側方に前記満タンユニット載置部531に形成されるユニット係合溝532に係合される係合片924が突設されると共に、蓋体926に形成される掛止片928と係合する掛止突起925が形成されている。この掛止突起925は、ボックス主体901の左右後方の側壁上部に適宜形成されている。
一方、蓋体926は、ボックス主体901の側方誘導通路902、逆側方誘導通路905、前方誘導通路920、及びファール球通路922の上面を覆うような板形状に形成され、前記側方誘導通路902に上流端に対応する位置に正方形状の賞球入口927が開口されている。また、蓋体926の周囲には、ボックス主体901の前記掛止突起925と係合するための掛止片928が下方に向かって突設されている。
上記のように構成される満タンユニット900においては、図56に示すように、賞球ユニット800の賞球通路810から払出された球が賞球入口927から側方誘導通路902の上流側に入って側方誘導受部903によって側方に向かって誘導されて緩衝部材904に衝突する。緩衝部材904に衝突した球は、そのまま下流側に向かって逆側方誘導通路905を前記側方誘導通路902の誘導方向と逆方向に誘導されて前方誘導通路920に導かれ、前方誘導通路920の出口921から賞球連絡樋451を通って皿ユニット300に導かれる。また、ファール球入口923から入ったファール球も屈曲したファール球通路922によって球の勢いを弱められて前方誘導通路920に合流し、前方誘導通路920の出口921から賞球連絡樋451を通って皿ユニット300に導かれる。
そして、通常時、満タンユニット900内を球が自然に流れているときには、側方誘導通路902から逆側方誘導通路905に球が移動する際に、底面揺動板907に落下するが、通常の賞球の払出個数程度では、バネ913の弾発力が強いので、底面揺動板907が揺動することがなく、図61の実線で示すように、検出突片909が投受光方式の満タンスイッチ916の投光器と受光器との間に入ってスイッチが導通しない状態(OFF)となっている。これに対し、皿ユニット300に賞球が貯留されて満タンユニット900内にも球が充満してきたときには、前方誘導通路920及び逆側方誘導通路905の上流側の全域に形成される底面揺動板907上に貯留された球の圧力により底面揺動板907がバネ913の付勢力に抗して下方に揺動し、図61の二点鎖線で示すように、検出突片909が投受光方式の満タンスイッチ916の投光器と受光器との間から外れてスイッチが導通した状態(ON)となる。満タンスイッチ916がONすると、賞球ユニット800の払出モータ815の回転駆動が停止(所定個数の賞球を払出している最中にON信号が導出された場合には、その所定個数の賞球が払出されてから停止)するようになっている。
上記したように、満タンユニット900においては、球が流下する通路(図示の場合には、逆側方誘導通路905)の通路底面の幅とほぼ同じ幅の底面揺動板907によって満タンスイッチ916を作動させるようにすると共に、通常時の球の流れによって揺動せずある程度の球が載置したときに底面揺動板907揺動するように付勢部材(バネ913)で付勢したので、従来のように一部の通路の底面等に球が載置したことにより球詰まりを検出するものに比べて、その一部の通路部分における球の載置が球詰まりによって検出されない事態を確実に防止することができる。このことは、球の満タンを確実に検出することができるものである。
上記したように、本実施形態に係る満タンユニット900においては、本体枠3の満タンユニット載置部531に着脱自在に取り付けるものであるため、従来のように、満タン装置を本体枠に形成された払出通路の内部に組み付けるものに比べて、本体枠に満タン構造のための通路を形成する必要がない。また、満タンユニット900の内部をジグザグ状の通路とすることにより、賞球ユニット800の賞球通路810から払出された球の勢いを弱めながら皿ユニット300に誘導することができるので、払い出された賞球が皿ユニット300から外に飛び出すこともない。更に、本実施形態に係る満タンユニット900は、ファール球を導くファール球通路922が賞球を払い出す前方誘導通路920の途中に球の勢いを弱めて合流するようになっているので、賞球の流れを阻害することなくファール球を合流させることができる。
<錠装置>
次に、本体枠3の開放側の裏側端辺に沿って垂直方向に取り付けられる錠装置1000について主として図63乃至図71を参照して説明する。図63は、錠装置1000と本体枠3との関係を示す背面斜視図であり、図64は、錠装置1000の本体枠3への掛け止め構造を示す拡大側方断面図であり、図65は、パチンコ機1の縦方向中央よりやや下方の位置で水平方向に切断した一部断面図であり、図66は、錠装置1000と本体枠3の側壁540,541との詳細な関係を示す拡大断面図であり、図67は、錠装置1000の側面図(A)、前面側から見た斜視図(B)であり、図68は、錠装置1000の背面側から見た斜視図(A)、錠装置1000のコ字状基体1001の内部に摺動自在に設けられる扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050の斜視図(B),(C)であり、図69は、錠装置1000の分解斜視図であり、図70は、扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050の作用を説明するための正面図であり、図71は、不正防止部材1023,1032の作用を説明するための正面図である。
錠装置1000は、本体枠3の開放側の第一側面壁540に沿って本体枠3のほぼ上端から下端にかけて取り付けられるものであり、図63に示すように、本体枠3の外周側辺と第一側面壁540の立ち上がり部との間の上下端近い部分及び中程に形成される複数(図示の場合、3個)の錠係止穴548と、第一側面壁540の垂直面の上部と中程に切り欠けられて形成される錠取付穴547とシリンダー錠貫通穴526の上部近傍に形成される錠取付穴547と、によって次に説明する錠装置1000のコ字状基体1001が支持固定されるものである。そこで、以下、錠装置1000の構造について詳細に説明する。
図67乃至図69に示すように、錠装置1000は、断面コ字状に形成される錠基体としてのコ字状基体1001と、該コ字状基体1001内に摺動自在に設けられる扉枠用摺動杆1040と、前記コ字状基体1001内に摺動自在に設けられる本体枠用摺動杆1050と、該本体枠用摺動杆1050の摺動を不正に行うことができないようにコ字状基体1001の下部に取り付けられる不正防止部材1023,1032と、からなる。
コ字状基体1001は、金属を断面コ字状となるように折り曲げ、その内部に扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050とを摺動可能に設けるものであるが、その横幅寸法は従来の断面L字状に成形された基体に集約される錠装置に比べて極めて薄いものとなっている。これは、前述したように遊技盤4の左右方向及び上下方向の大きさを極めて大きくすると共に、本体枠3の側面壁540〜543で囲まれる空間を大きくしたため、側面壁540と本体枠3の外周辺との間の寸法が極めて小さくなっていることにより、本実施形態に係る錠装置1000の横幅寸法を小さく形成して錠装置1000を本体枠3の裏側に取り付けることができるような取付構造として改良したためである。そして、コ字状基体1001の断面コ字状の開放側が本体枠3の裏面に対面するように取り付けられるため、錠装置1000が本体枠3に取り付けられた状態では、内部に設けられる扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050とが、それぞれのフック部1041、1054,1065を除いてコ字状基体1001に完全に被覆された状態の不正防止構造となっている。
まず、コ字状基体1001の開放側と反対の閉塞側上下に本体枠用摺動杆1050のフック部1054,1065が貫通される長方形状のフック貫通開口1002が開設されると共に、閉塞側であって第一側面壁540と密着する側面1001b(図69参照)上部と中程に水平方向にビス止め部1003が突設され、更に、開放側の第一側面壁540と密着しない側面1001a(図69参照)の上端部及び中間部と、開放側の両側面1001a,1001bの下端部に係止突起1004が突設形成されている。ビス止め部1003と係止突起1004は、錠装置1000を本体枠3の裏面に取り付けるためのものであり、係止突起1004を本体枠3の錠係止穴548に差し込んで上方に移動させ(図64参照)、その状態でビス止め部1003と錠取付穴547とが一致するため、その一致した穴に図示しないビスを螺着することにより、錠装置1000を本体枠3に強固に固定することができる。なお、錠装置1000のビスによる取付けは、上部と中程のビス止め部1003だけではなく、後述する錠取付片1008に形成されるビス止め部1003と前記シリンダー錠貫通穴526の上方近傍に形成される錠取付穴547とを対応させて図示しないビスで止着することにより、錠装置1000の下方も取り付けられるようになっている。
また、その取り付けに際し、コ字状基体1001の開放側(前方部)の上中下の3箇所に形成される係止突起1004を錠係止穴548に差し込んで位置決め係止し、コ字状基体1001の閉塞側(後方部)の上中の2箇所に形成されたビス止め部1003及びコ字状基体1001の開放側(前方部)に形成されたビス止め部1003を錠取付穴547にビスで固定する構造であるため、錠装置1000の前方部を係止突起1004と錠係止穴548で係止し、錠装置1000の後方部をビス止め部1003と錠取付穴547で固定し且つ錠装置1000の下方部をビス止め部1003と錠取付穴547で固定するので、極めて簡単な構造で錠装置1000を本体枠3に強固に固定することができるものである。換言するならば、錠装置1000を極めて横幅寸法の薄いコ字状基体1001に集約して構成した場合でも、錠装置1000の前方部と後方部との係止及び固定により、錠装置1000を本体枠3に強固に固定することができるものである。特に、本実施形態の場合には、前方部の係止構造(固定構造でもよい)を構成する係止突起1004がコ字状基体1001の第一側面壁540と密着しない側面1001aに突設形成される一方、後方部の固定構造を構成するビス止め部1003及びビス止め部1003がコ字状基体1001の第一側面壁540と密着する側面1001bから水平方向に突設形成される構造であるため、前方部の係止構造が第一側面壁540と密着する側面1001bに形成される場合に比べて、ガタ付きが生じないように錠装置1000を本体枠3に固定することができるものである。
また、コ字状基体1001の両側面1001a,1001bの上部、中程、下部に挿通穴1005が形成され、コ字状基体1001に扉枠用摺動杆1040及び本体枠用摺動杆1050を収納した状態で挿通穴1005にリベット1006を差込んでかしめることにより、コ字状基体1001の内部に扉枠用摺動杆1040及び本体枠用摺動杆1050を摺動自在に取り付けることができる。即ち、扉枠用摺動杆1040の上中下の3箇所に形成されるリベット用長穴1042と本体枠用摺動杆1050の上フック部材1051及び下フック部材1052にそれぞれ1つずつ形成されるリベット用長穴1055,1061にリベット1006を貫通させることにより、扉枠用摺動杆1040が上方に移動できるようにし、本体枠用摺動杆1050が下方に移動できるようになっている。したがって、図68(B)に示すように本体枠用摺動杆1050のリベット用長穴1055,1061の下端部にリベット1006が貫通しており、図68(C)に示すように扉枠用摺動杆1040のリベット用長穴1042の上端部にリベット1006が貫通している。
更に、コ字状基体1001の下方部には、その閉塞側面に不正防止切欠部1007が形成されると共に、その開放側の本体枠3の第一側面壁540と密着する側面1001bの前端部にシリンダー錠1010を取り付けるための錠取付片1008が側方に向かって突設され、更に、第一側面壁540と密着する側面1001bに挿入縦開口1020、バネ係止片1021、及び逃げ横穴1022がそれぞれ形成されている。不正防止切欠部1007は、後に説明する第一不正防止部材1023のストッパー片部1027が進退するようになっている。この点については、後に詳述する。また、錠取付片1008は、錠装置1000を本体枠3の裏面に取り付けた状態で、遊技盤設置凹部510の下端辺よりも下方の位置となるようにコ字状基体1001の側面1001bの前端部から側方に向かって突設されるが、この錠取付片1008には、シリンダー錠1010が貫通する錠挿通穴1009が形成されると共にシリンダー錠1010の錠取付基板1011に形成される取付穴1013をビス1012で取り付けるための取付穴1014が上下2箇所に穿設され、更に、錠装置1000の下部を本体枠3の裏面に取り付けるためのビス止め部1003が穿設されている。また、挿入縦開口1020は、シリンダー錠1010に固定される係合カム1016の第一係合突片1017及び第二係合突片1018がシリンダー錠1010の回動時に侵入するための開口であり、バネ係止片1021は、不正防止部材1023,1032に設けられるバネ1035が係止されるものであり、逃げ横穴1022は、連結ピン1034の移動の邪魔をしないように逃げ穴を構成するものである。この点については後に詳述する。
上記した錠取付片1008に取り付けられるシリンダー錠1010について説明すると、シリンダー錠1010は、錠取付基板1011の前方に円筒状のシリンダー錠本体が固定され、そのシリンダー錠本体の錠軸1015が錠取付基板1011より後面に出ており、その錠軸1015の後端に係合カム1016がビス1019によって固定されている。係合カム1016は、ブーメラン形状に形成され、その一端辺が回動時に本体枠用摺動杆1050の下降係合穴1062に係合する第一係合突片1017となっており、その他端辺が回動時に扉枠用摺動杆1040の上昇係合穴1045に係合する第二係合突片1018となっている。そして、上記のように構成されるシリンダー錠1010は、円筒状のシリンダー錠本体部分を錠挿通穴1009に挿通して錠取付基板1011の上下2箇所に形成される取付穴1013と錠取付片1008の取付穴1014とを一致させてビス1012で螺着することにより、シリンダー錠1010をコ字状基体1001に固定することができる。
次に、コ字状基体1001に取り付けられる不正防止部材1023,1032,について図69を参照して説明する。不正防止部材1023,1032は、シリンダー錠1010を正式な鍵で回動せずに、例えばピアノ線や針金等で不正に本体枠用摺動杆1050を下降させることを防止するためのものである。しかして、不正防止部材1023,1032は、第一不正防止部材1023と第二不正防止部材1032とを連結ピン1034で連結した構造となっている。第一不正防止部材1023は、上端の揺動軸穴1025を中心にして揺動自在に構成される縦長の板状に形成され、その揺動軸穴1025を前述したコ字状基体1001の内部に扉枠用摺動杆1040及び本体枠用摺動杆1050を摺動自在に取り付けるための挿通穴1005及びリベット1006のうち、最下方の挿通穴1005及びリベット1006によって取り付けられる。
また、第一不正防止部材1023には、その板状面に前記挿入縦開口1020と重複する縦長な突片挿入穴1026が開設され、この突片挿入穴1026に第二係合突片1018が挿入し得るようになっている。つまり、突片挿入穴1026と挿入縦開口1020を第二係合突片1018が貫通することにより、コ字状基体1001の内部に設けられる扉枠用摺動杆1040の上昇係合穴1045と第二係合突片1018とが係合するようになっている。また、第一不正防止部材1023の突片挿入穴1026の開設位置の斜め上方の外形線が傾斜部1024となっている。この傾斜部1024は、係合カム1016の回動時に第一係合突片1017の後面側と当接するもので、係合カム1016の回動時に第一係合突片1017と傾斜部1024とが当接することにより第一不正防止部材1023が揺動軸穴1025を中心として揺動(図71(B)において時計回転方向)するようになっている。
更に、第一不正防止部材1023には、前記突片挿入穴1026の斜め下方の外形線上にストッパー片部1027が突設され、そのストッパー片部1027の下方に規制突片1031が突設され、該規制突片1031の前方部にピン穴1029と連結穴1030とが上下に形成されている。ストッパー片部1027は、本体枠用摺動杆1050の施錠時に前記不正防止切欠部1007及び本体枠用摺動杆1050の係合切欠部1066に侵入係合して本体枠用摺動杆1050が不正に摺動しないようにするものである。また、規制突片1031は、第一不正防止部材1023と第二不正防止部材1032とはバネ1035によって連結されるが、そのバネ1035で連結されたときに第二不正防止部材1032の付勢方向への移動を規制するものである。ピン穴1029は、ガイドピン1028が固定されるものであり、ガイドピン1028が第一不正防止部材1023の裏面側からピン穴1029に固定された状態で、そのガイドピン1028を前記挿入縦開口1020の最下端部に形成される横長状開口部に係合させることにより、第一不正防止部材1023をコ字状基体1001の側面1001bに沿って案内するものである。更に、連結穴1030は、第一不正防止部材1023と第二不正防止部材1032とを連結ピン1034で連結するためのものである。
上記した第一不正防止部材1023に連結される第二不正防止部材1032は、逆「て」字状の板材で形成され、その上部一端に連結穴1033が形成され、その上部他端にバネ係止穴1036が穿設され、下方端部に当接部1037が設けられている。連結穴1033は、第一不正防止部材1023の連結穴1030と一致させて連結ピン1034で連結するためのものであり、バネ係止穴1036は、一端がコ字状基体1001のバネ係止片1021に係止されるバネ1035の他端を係止するものである。また、当接部1037は、本体枠3の閉鎖時に外枠2の内側下部に固定される閉鎖用突起41と当接するものである。なお、上記した第一不正防止部材1023及び第二不正防止部材1032の作用については、後に詳述する。
次に、コ字状基体1001の内部に摺動自在に設けられる扉枠用摺動杆1040及び本体枠用摺動杆1050について説明する。まず、扉枠用摺動杆1040は、縦長の金属製の板状部材から構成され、その一側縦辺の上中下の3箇所に扉枠用フック部1041が前方に向かって一体的に突設されている。この扉枠用フック部1041は、コ字状基体1001内に収納したときに、その開放側から前方に突出しているもので、錠装置1000を本体枠3の裏面に固定したときに、本体枠3に形成される扉用フック穴549(図21及び図22参照)から前方に突出し、扉枠5の裏面に形成されるフックカバー227(図15参照)に係止するものである。なお、扉枠用フック部1041は、下向きの係合爪形状となっているため、扉枠用摺動杆1040を上昇させることにより扉枠用フック部1041とフックカバー227との係止状態を解除することができる。
また、扉枠用摺動杆1040の上中下の側面中央に、前記リベット1006が挿通される縦長のリベット用長穴1042が形成され、該リベット用長穴1042のうちの最上部のリベット用長穴1042の下方及び扉枠用摺動杆1040の最下端にガイド突起1043が突設されている。リベット用長穴1042は、コ字状基体1001の挿通穴1005に挿通されるリベット1006が貫通されるものであり、しかも、このリベット1006が扉枠用摺動杆1040の上昇動作を邪魔しないように縦長に形成されている。そして、通常状態においては、リベット用長穴1042の上端部にリベット1006が貫通当接した状態となっている。また、ガイド突起1043は、本体枠用摺動杆1050の上フック部材1051及び下フック部材1052に形成される突片移動穴1056,1064に挿通されるものであり、扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050との相互の摺動動作を案内するようになっている。
また、扉枠用摺動杆1040の上端部にスプリングフック部1046が形成され、このスプリングフック部1046にスプリング1048の一端が係止され、そのスプリング1048の他端が本体枠用摺動杆1050の上フック部材1051に形成されるスプリングフック部1057に係止される。これにより、扉枠用摺動杆1040が下方向に、本体枠用摺動杆1050が上方向に、それぞれ相互に付勢されている。扉枠用摺動杆1040の中程には、当接弾性片1047が凸状に形成されている。この当接弾性片1047は、扉枠用摺動杆1040の一側側面からプレスで打ち出して凸状に形成したものであり、コ字状基体1001の内側面に当接して内部で扉枠用摺動杆1040がガタつかないようにするものである。更に、扉枠用摺動杆1040の下方部分の側面には、共に縦長な遊び穴1044と上昇係合穴1045とが形成されている。遊び穴1044は、係合カム1016の第一係合突片1017が差し込まれて回動するときに、その回動動作の邪魔にならないように第一係合突片1017の先端部が移動しえる空間を構成するものである。また、上昇係合穴1045は、係合カム1016の第二係合突片1018が差し込まれて回動するときに、その回動動作によって扉枠用摺動杆1040が上昇するように係合するためのものである。なお、扉枠用摺動杆1040の縦辺下部後方には、前記不正防止切欠部1007よりも上下方向に大きな切欠である逃げ切欠部1049が形成されている。この逃げ切欠部1049は、第一不正防止部材1023のストッパー片部1027を確実に不正防止切欠部1007及び係合切欠部1066に係合させるために邪魔しないように形成されるものである。
一方、本体枠用摺動杆1050は、金属板製の上フック部材1051と、金属板製の下フック部材1052と、上フック部材1051と下フック部材1052とを連結する連結線杆1052と、から構成されている。つまり、本体枠用摺動杆1050は、従来のように1つの金属製の縦長板で構成されているわけではなく、フック部1054,1065を有する上フック部材1051と下フック部材1052とを金属製の板材をプレスで形成し、その金属製の上フック部材1051と下フック部材1052とを細い金属製の連結線杆1053で連結したものである。このため、狭いコ字状基体1001の空間に扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050とを効率よく収納することができる。
ところで、上フック部材1051には、その上端部に後方に向かってフック部1054が突設され、その板面部にリベット用長穴1055と突片移動穴1056とが形成され、また、その前方の縦辺下端部にスプリングフック部1057と連結穴1058とが形成され、さらに、その上辺及び下辺に当接部1059が形成されている。フック部1054は、コ字状基体1001の上方のフック貫通開口1002を貫通して外枠2の開放側内側の上部に設けられる閉鎖用突起38に係合するもので上向きに係止爪部が形成されている。リベット用長穴1055は、扉枠用摺動杆1040の上部に形成されるリベット用長穴1042に対応するものであり、このリベット用長穴1055にリベット1006が貫通された通常の状態では、リベット1006がリベット用長穴1055の最下端部を貫通した状態となっている。これにより、上フック部材1051が下方に向かって移動することができるようになっている。突片移動穴1056は、前述したように扉枠用摺動杆1040の上方のガイド突片1043が挿入されて、扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050との相互の移動を案内するようになっている。スプリングフック部1057は、前述したようにスプリング1048の他端が係止されるものである。また、連結穴1058は、連結線杆1053の上端が折り曲げられて挿入されるものである。更に、当接部1059は、コ字状基体1001に収納されたときに、該コ字状基体1001の内部側壁に当接して上フック部材1051の摺動動作においてガタつきがなくスムーズに行われるようにするためのものである。
一方、下フック部材1052には、その下端部に後方に向かってフック部1065が突設され、その板面部の上方から下方にかけてリベット用長穴1061と下降係合穴1062と遊び穴1063と突片移動穴1064とが順次形成され、また、その前方の縦辺上端部に連結穴1060が、その後方の縦辺下部に係合切欠部1066がそれぞれ形成され、さらに、その上辺及び下辺に当接部1067が形成されている。フック部1065は、コ字状基体1001の下方のフック貫通開口1002を貫通して外枠2の開放側内側の下部に設けられる閉鎖用突起41に係合するもので上向きに係止爪部が形成されている。リベット用長穴1061は、扉枠用摺動杆1040の下部に形成されるリベット用長穴1042に対応するものであり、このリベット用長穴1061にリベット1006が貫通された通常の状態では、リベット1006がリベット用長穴1061の最下端部を貫通した状態となっている。これにより、下フック部材1052が下方に向かって移動することができるようになっている。下降係合穴1062は、係合カム1016の第一係合突片1017が差し込まれて回動するときに、その回動動作によって本体枠用摺動杆1050が下降するように係合するためのものである。また、遊び穴1063は、係合カム1016の第二係合突片1018が差し込まれて回動するときに、その回動動作の邪魔にならないように第二係合突片1018の先端部が移動し得る空間を構成するものである。突片移動穴1064は、前述したように扉枠用摺動杆1040の下方のガイド突片1043が挿入されて、扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050との相互の移動を案内するようになっている。また、連結穴1060は、連結線杆1053の下端が折り曲げられて挿入されるものである。更に当接部1067は、コ字状基体1001に収納されたときに、該コ字状基体1001の内部側壁に当接して下フック部材1052の摺動動作においてガタつきがなくスムーズに行われるようにするためのものである。
以上、錠装置1000を構成する各部材について説明してきたが、この錠装置1000を組み付けるには、本体枠用摺動杆1050の上フック部材1051と下フック部材1052とを連結線杆1053で連結し、その状態で扉枠用摺動杆1040のガイド突片1043を上フック部材1051と下フック部材1052の突片移動穴1056,1064に挿入すると共に、相互のリベット長穴1042とリベット用長穴1055,1061を位置合わせして重ね合わせ、その重ね合わせた状態で上フック部材1051のフック部1054と下フック部材1052のフック部1065とをコ字状基体1001のフック貫通開口1002に貫通させながら扉枠用摺動杆1040及び本体枠用摺動杆1050をコ字状基体1001のコ字状の空間に挿入する。その後、挿通穴1005からリベット1006を差し込む。この際、リベット1006がリベット用長穴1055,1061、1042を貫通するように差し込む。ただし、最下端のリベット1006を差し込むときには、第一不正防止部材1023の揺動軸穴1025にもリベット1006を差し込んで第一不正防止部材1023をコ字状基体1001に同時に取り付ける必要がある。なお、第一不正防止部材1023をコ字状基体1001に取り付ける前に、第一不正防止部材1023と第二不正防止部材1032とを連結ピン1034で連結し且つガイドピン1028をピン穴1029に図示しないビスで止着しておき、さらにガイドピン1028を挿入縦開口1020の最下端の開口部に挿入しておく必要がある。
リベット1006で扉枠用摺動杆1040及び本体枠用摺動杆1050をコ字状基体1001内に収納固定した状態で、スプリング1048をスプリングフック部1046,1057相互間に掛け渡し、扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050とを相互に反対方向に付勢し、さらに、バネ1035をバネ係止片(穴)1021,1036に掛け渡して第二不正防止部材1032が規制突片1031に当接した状態とする。その後、錠取付片1008の錠挿通穴1009にシリンダー錠1010の円筒状本体部分を挿入してシリンダー錠1010をビス1012で取付穴1014に固定する。なお、このとき係合カム1016の第一係合突片1017の先端部が傾斜部1024の外側で且つ挿入縦開口1020に僅かに挿入し、係合カム1016の第二係合突片1018の先端部が第一不正防止部材1023の突片挿入穴1026及び挿入縦開口1020に僅かに挿入した状態となるようにシリンダー錠1010を錠取付片1008に取り付ける。
上記のようにして組み付けた錠装置1000を本体枠3の裏面に取り付けるためには、前述したように、扉枠用摺動杆1040の扉枠用フック部1041を本体枠3に形成される扉用フック穴549に差し込みながら、鉤型に突出する係止突起1004を本体枠3の錠係止穴548に差し込んで上方に移動させ、その状態で水平方向に突出したビス止め部1003及びビス止め部1003を錠取付穴547に一致させ、その一致した穴に図示しないビスを螺着することにより、図63に示すように、錠装置1000を本体枠3の裏面に強固に固定することができる。特に、本実施形態の場合には、前方部の係止構造を構成する係止突起1004がコ字状基体1001の第一側面壁540と密着しない側面1001aに突設形成される一方、後方部の固定構造を構成するビス止め部1003及びビス止め部1003がコ字状基体1001の第一側面壁540と密着する側面1001bから水平方向に突設形成される構造であるため、前方部の係止構造が第一側面壁540と密着する側面1001bに形成される場合に比べて、ガタ付きが生じないように錠装置1000を本体枠3に固定することができるものである。
ところで、本体枠3の裏面に取り付けられた錠装置1000の作用について図70及び図71を参照して説明する。まず、図70を参照して本体枠3の開閉動作と扉枠5の開閉動作について説明する。本体枠3が外枠2に対して閉じ且つ扉枠5が本体枠3に対して閉じている状態においては、図70(A)に示すように、外枠2の閉鎖用突起38,41と本体枠用摺動杆1050のフック部1054,1065とが係止し且つ扉枠用摺動杆1040の扉枠用フック部1041と扉枠5のフックカバー227とが係止した状態となっている。その状態でシリンダー錠1010に図面示しない鍵を差し込んで係合カム1016の第一係合突片1017が挿入縦開口1020内に侵入する方向に回動すると、図70(B)に示すように、第一係合突片1017の先端が本体枠用摺動杆1050の下降係合穴1062に係合してスプリング1048の付勢力に抗して下フック部材1052を下方に押下げ、これと連結されている連結線杆1053と上フック部材1051も押下げられて下降する。このため、外枠2の閉鎖用突起38,41と本体枠用摺動杆1050のフック部1054,1065とが係止状態が解除されるため、本体枠3を前面側に引くことにより本体枠3を外枠2に対して開放することができる。なお、本体枠3を閉じる場合には、フック部1054,1065がスプリング1048の付勢力により上昇した状態(図70(A)に示す状態と同じ上昇した位置)となっているが、フック部1054,1065の上辺が外側に向かって下り傾斜しているため、強制的に本体枠3を外枠2に対して押圧することにより、フック部1054,1065の上辺傾斜部が閉鎖用突起38,41の下端部と当接するので、本体枠用摺動杆1050が下方に下降し、遂には、フック部1054,1065の上向き爪部と閉鎖用突起38,41とが再度係止した状態となって本体枠用摺動杆1050が上昇して係止状態に戻る。
一方、シリンダー錠1010に図示しない鍵を差し込んで係合カム1016の第二係合突片1018が挿入縦開口1020内に侵入する方向に回動すると、図70(C)に示すように、第二係合突片1018の先端が扉枠用摺動杆1040の上昇係合穴1045に係合してスプリング1048の付勢力に抗して扉枠用摺動杆1040を上方に押し上げ上昇する。このため、扉枠5のフックカバー227と扉枠用摺動杆1040の扉枠用フック部1041とが係止状態が解除されるため、扉枠5を前面側に引くことにより扉枠5を本体枠3に対して開放することができる。なお、扉枠5を閉じる場合には、扉枠用フック部1041がスプリング1048の付勢力により下降した状態(図70(A)に示す状態と同じ下降した位置)となっているが、扉枠用フック部1041の下辺が外側に向かって上り傾斜しているため、強制的に扉枠5を本体枠3に対して押圧することにより、扉枠用フック部1041の下辺傾斜部がフックカバー227の上端部と当接するので、扉枠用摺動杆1040が上方に上昇し、遂には、扉枠用フック部1041の下向き爪部とフックカバー227とが再度係止した状態となって扉枠用摺動杆1040が下降して係止状態に戻る。なお、本実施形態における扉枠用摺動杆1040は、コ字状基体1001の全長とほぼ同じ長さに形成されると共に、そのコ字状基体1001が本体枠3の縦方向の側面のほぼ全長に亘って取り付けられ、しかも、扉枠5との係止部である扉枠用フック部1041が扉枠用摺動杆1040の上端部、中央部、下端部の3箇所に形成されているため、扉枠5と本体枠3の縦方向の全長における施錠が確実に行われ、扉枠5と本体枠3との間を無理やりこじ開けてその間からピアノ線等の不正具を挿入する不正行為を行うことができないという利点もある。
上記したように、本実施形態に係る錠装置1000は、シリンダー錠1010に差し込んだ鍵を一方向に回動することにより、外枠2に対する本体枠3の施錠を解除し、他方向に回動することにより、本体枠3に対する扉枠5の施錠を解除することができる。この場合、シリンダー錠1010に鍵を差し込むことなく本体枠用摺動杆1050のフック部1054,1065にピアノ線等を引っ掛けてこれを下降させる不正行為が行われることがあるが、本実施形態においては、このような不正行為を行うことができないようになっている。このような不正行為を防止する構造の第一番目が第一不正防止部材1023と第二不正防止部材1032とから構成されるロック機構であり、第二番目の不正防止構造がコ字状基体1001の閉鎖空間に扉枠用摺動杆1040及び本体枠用摺動杆1050が収納される構造である。
まず、第一番目の不正防止構造であるロック機構の作用について図71を参照して説明する。まず、外枠2と本体枠3とが閉じている状態においては、図71(A)に示すように、外枠2の閉鎖用突起41と第二不正防止部材1032の当接部1037とが当接した状態となっている。この状態においては、バネ1035の付勢力により第一不正防止部材1023が反時計方向に回動してストッパー片部1027が不正防止切欠部1007内に侵入し、ストッパー片部1027が不正防止切欠部1007に対応する位置にある本体枠用摺動杆1050の下フック部材1052に形成される係合切欠部1066と係合した状態となっている。このため、本体枠用摺動杆1050にピアノ線等を引っ掛けて引き降ろそうとしても、ストッパー片部1027と係合切欠部1066とが係合しているので、本体枠用摺動杆1050を不正に下方に引き降ろすこと(解錠すること)が不能となり、本体枠3を開放するという不正行為を行うことができない。
一方、シリンダー錠1010に鍵を差し込んで正規に本体枠3を開錠する場合には、図71(B)に示すように、鍵を回動させることにより係合カム1016の第一係合突片1017が挿入縦開口1020内に侵入するように回動される。この第一係合突片1017の回動時に、第一不正防止部材1023の傾斜部1024と第一係合突片1017の側面とが当接するため、第一不正防止部材1023が揺動軸穴1025を中心として図示の時計回転方向に回転を始め、ストッパー片部1027も不正防止切欠部1007から退避するように移動する。このため、ストッパー片部1027と係合切欠部1066との係合が解除された状態となる。このとき、第二不正防止部材1032は、バネ1035を伸ばして当接部1037が後退した位置となっている。この状態でさらに係合カム1016を回動させて第一係合突片1017も回動させると、第一係合突片1017の先端が下フック部材1052の下降係合穴1062に係合して本体枠用摺動杆1050の全体を下降させるので、フック部1054,1065と外枠2の閉鎖用突起38,41との係止状態が解除されて本体枠3を外枠2に対して開放することができる。
なお、本体枠3を外枠2に対して閉じるときには、第二不正防止部材1032は、規制突片1031に当接した状態となっているため、第一不正防止部材1023と第二不正防止部材1032との位置関係は、図71(A)に示す状態とほぼ同じ位置関係になっている。この状態で本体枠3を閉めると、外枠2の閉鎖用突起41と第二不正防止部材1032の当接部1037とが正面から当接し、最終的に図71(A)に示す状態となる。このため、第一不正防止部材1023と第二不正防止部材1032とが本体枠3を閉じるときに邪魔になることはない。また、本実施形態においては、第一不正防止部材1023と第二不正防止部材1032とが本体枠用摺動杆1050の下降動作だけが不正に行われないように防止しているのは、本体枠用摺動杆1050を不正に開放すれば、解放後に扉枠用摺動杆1040を手動で簡単に開けることができることと、ピアノ線等で摺動杆を上昇させる不正行為は事実上行い難いという理由により、本体枠用摺動杆1050に対する不正操作ができないように工夫されている。
また、上記した第一番目の不正防止構造であるロック機構であっても、第一不正防止部材1023をピアノ線等で揺動させることにより、ロック機構の機能を無力化することも不可能ではない。そこで、万一ロック機構のロック機能が不正な行為により無力化される場合を想定すると、本実施形態においては、錠装置1000が本体枠3に取り付けられた状態では、内部に設けられる扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050とが、それぞれのフック部1041、1054,1065を除いてコ字状基体1001の閉鎖空間に収納されて完全に被覆された状態となっているので、ピアノ線等を差し込んでコ字状基体1001の閉鎖空間の内部に設けられる本体枠用摺動杆1050を引き下げようとしても、コ字状基体1001の両側面1001a,1001bによって不正具の閉鎖空間への侵入が阻止されるため、不正行為を簡単に行うことができない構造となっている。
以上、詳述したように、本実施形態に係る錠装置1000は、その横幅寸法が従来のL字状基体に集約される錠装置に比べて極めて薄いコ字状基体1001の内部に扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050とを摺動可能に設け且つ錠装置1000を操作するためのシリンダー錠1010のコ字状基体1001への取付位置を遊技盤の下端辺よりも下方となる位置としたので、遊技盤4の左右方向及び上下方向の大きさを極めて大きくすると共に、本体枠3の側面壁540〜543で囲まれる空間を大きくしても、錠装置1000を本体枠3の裏側に強固に取り付けることができる。そして、断面コ字状の開放側が本体枠3の裏面に対面するように取り付けられるため、錠装置1000が本体枠3に取り付けられた状態では、内部に設けられる扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050とが、それぞれのフック部1041、1054,1065を除いてコ字状基体1001に完全に被覆された状態となっているので、ピアノ線等を差し込んで内部に設けられる本体枠用摺動杆1050を引き下げる等の不正行為を簡単に行うことができない。また、錠装置1000の取り付けに際し、コ字状基体1001の開放側(前方部)の上中下の3箇所に形成される係止突起1004を錠係止穴548に差し込んで位置決め係止し、コ字状基体1001の閉塞側(後方部)の上中下の3箇所に形成されたビス止め部1003及びビス止め部1003を錠取付穴547にビスで固定する構造であるため、錠装置1000の前方部を係止突起1004と錠係止穴548で係止し、錠装置1000の後方部をビス止め部1003及びビス止め部1003と錠取付穴547で固定するので、極めて簡単な構造で錠装置1000を本体枠3に強固に固定することができるものである。
なお、上記した実施形態においては、コ字状基体1001の下方部をビス止めする構造として錠取付片1008に形成されたビス止め部1003と本体枠3のシリンダー錠貫通穴526の上部近傍に形成した錠取付穴547とを螺着する構造としたが、これに代えて、シリンダー錠1010を錠取付片1008に取り付けるビス1012を利用して、該ビス1012の先端が錠取付片1008を貫通して螺着される錠取付穴をシリンダー錠貫通穴526の上下に形成する構造でも良い。また、コ字状基体1001の下方部をビス止めしなくても、錠装置1000の後方部のビス止め部1003と錠取付穴547との固定だけでも、錠装置1000を本体枠3の裏面に強固に固定されることを確認している。更に、上記した実施形態においては、扉枠用摺動杆1040及び本体枠用摺動杆1050を左右の側面1001a,1001bを有するコ字状基体1001で完全に被覆するものとしたが、例えば、扉枠用摺動杆1040及び本体枠用摺動杆1050を第一側面壁540に密着しない反対側の側面1001aに摺動自在にリベット等で装着し、第一側面壁540に密着する側面1001bを省略したL字状基体(錠基体)とし、そのL字状基体(錠基体)の側面1001aと第一側面壁540とによって形成される閉鎖空間に扉枠用摺動杆1040及び本体枠用摺動杆1050を収納する構造としてもよい。この場合でも、実施形態と同じような取付構造及び不正防止構造とすることができる。
<基板ユニット>
次に、本体枠3の裏面下部に取り付けられる基板ユニット1100について、主として図72及び図73を参照して説明する。図72は、基板ユニット1100を背面側から見た斜視図であり、図73は、基板ユニット1100を前面側から見た斜視図である。
基板ユニット1100は、本体枠3の裏面下部に複数形成されるホルダ用の取付穴部527(図22,図24参照)に取り付けられるものであり、図示すように、合成樹脂成形された枠用基板ホルダ1101に、扉中継基板、電源基板ボックス1103、端子基板ボックス1104、払出制御基板ボックス1105、主ドロワ中継基板、及び副ドロワ中継基板の各種基板を取り付けることにより構成されている。上記の基板のうち、扉中継基板、電源基板ボックス1103、端子基板ボックス1104、及び払出制御基板ボックス1105は、枠用基板ホルダ1101の後面側に前後方向に重複して取り付けられ、主ドロワ中継基板及び副ドロワ中継基板は、枠用基板ホルダ1101の前面側に取り付けられるものである。なお、払出制御基板ボックス1105の裏面には、電源基板等からの電磁波の影響を防止するためにシールド板が取り付けられ、また、主ドロワ中継基板及び副ドロワ中継基板は、基板カバー1109に被覆されて取り付けられている。
まず、枠用基板ホルダ1101は、横長状に合成樹脂で成形され、図示すように、その後面側一側部に配線用開口1124が形成され、図示は省略するが、配線用開口1124の内側に扉中継基板を取り付けるための中継基板用凹部が形成されている。この枠用基板ホルダ1101の左右両辺及び下辺には、基板ユニット1100を本体枠3に取り付けるための取付片1122が外側に向かって突設され、該取付片1122を本体枠3の前記取付穴部527(図22参照)に対応させて図示しないビスで止着することにより、基板ユニット1100が本体枠3の背面下部に取り付けられる。なお、取付穴部527は、図24に示すように、取付片1122の外形形状に合致する外周壁を有して形成されている。更に、枠用基板ホルダ1101の他端側(図73の右側)側壁の外側に、配線を係止するための配線掛止片1123が突設形成されている。
また、枠用基板ホルダ1101の前面側のほぼ中央には、アウト球通路1119が逆さL字状に形成されている。このアウト球通路1119は、前述した排出口606(図31参照)、球抜排出通路524(図22参照)の下流側、及び落下口629(図29参照)と対応するように上方が幅広く形成され、下流側が球を列状に排出するように幅狭く形成されている。したがって、基板ユニット1100を本体枠3に取り付けたときには、図25に示すように、アウト球通路1119の幅広上流部が排出口606の下面を支持する通路支持突起513の後方に位置するようになっている。そして、アウト球通路1119の下流端からアウト球や入賞球、あるいは球抜き球がパチンコ遊技機の外部(一般的に、島の回収樋)に向かって放出されるものである。
基板カバー1109には、主ドロワ中継基板に設けられる主ドロワ中継コネクタ1200及び払出制御基板用コネクタ1201と、副ドロワ中継基板に設けられる副ドロワ中継コネクタ1202及び扉枠用コネクタ1203とが基板カバー1109の外側に突出するための長方形状のコネクタ用開口が開設されている。
払出制御基板ボックス1105は、横長の長方形状の払出制御基板が固定されるボックス主体と、ボックス主体に取り付けられて払出制御基板の表面を覆うカバー体と、から構成されている。ボックス主体とカバー体とは、その一側辺を係合させ、その他側辺に分離切断部1183でカシメ固定している。これによってボックス主体とカバー体とを分離するためには、分離切断部1183を切断しないと分離できないようになっている。ただし、分離切断部1183におけるカシメ固定は、複数箇所(図示の場合は、1〜4の数字で示す4箇所)のうち、いずれかをカシメ部材でカシメれば良く、例えば、検査等で分離する必要がある場合には、3回まで行うことができる。もちろん、不正に分離した場合には、切断した痕跡が残ることになるので、不正行為があったか否かを直ちに知ることができるようになっている。
<カバー体>
次に、カバー体1250について、図6、図24及び図28を参照して説明する。カバー体1250は、本体枠3の後面開口580を覆うものであり、その一側の上中下の3箇所に本体枠3の背面一側に形成されるカバー体支持筒部575に上方から挿入される軸支ピン1251が形成され、その他側のほぼ中央に球通路ユニット770に形成されるカバー体係合溝785と係合する係合片1252が形成されている。しかして、カバー体1250の軸支ピン1251をカバー体支持筒部575に差し込むことにより、カバー体1250を本体枠3に開閉自在に軸支し、係合片1252をカバー体係合溝785に係止することにより、カバー体1250を本体枠3に閉じた状態とすることができ、遊技盤4に設けられる各種部品の背面を保護することができる。なお、開放する場合には、係合片1252とカバー体係合溝785との係合を解除すればよい。
また、図示の場合のカバー体1250においては、開放側の係合片1252の上下に止め穴1253が形成され、また、本体枠3の施錠壁569に突設される施錠用突出鉤片570を貫通させる貫通穴1254が形成され、更に詳細に図示しないが、次に説明する第二実施形態に係るカバー体1270と同じように、接続操作用開口1255、立壁、当接突起、補強リブが形成されている。これら接続操作用開口1255、立壁、当接突起、補強リブは、第二実施形態に係るカバー体1270の接続操作用開口1283、立壁1284、当接突起1285、補強リブ1286と同じ位置に設けられて同じ機能を奏するものである。しかして、カバー体1250を閉じた状態で、カバー体1250の止め穴1253と本体枠3側の止め穴568とを一致させて図示しないビスで止着することにより、カバー体1250によって本体枠3の後面開口580を閉塞固定することができる。そして、本体枠3に対してカバー体1250を閉じた状態で施錠用突出鉤片570がカバー体1250の貫通穴1254を貫通しているので、例えば、南京錠等の錠を施錠用突出鉤片570に掛け止めることにより、南京錠の鍵を有する責任者しかカバー体1250を開放する。
〔遊技装置及び演出装置〕
次に、遊技盤4に配設された遊技装置及び演出装置について、図74乃至図80を参照して説明する。図74及び図75は、遊技領域605を有する遊技盤4の正面図(図75には、遊技領域605内に所定のゲージ配列をなした多数の障害釘644が描写されている。)であり、図76は、図75における遊技領域605のA部分を拡大した拡大正面図であり、図77は、図75における遊技領域605のB部分を拡大した拡大正面図であり、図78は、遊技領域605を有する遊技盤4を前方右上から見た斜視図であり、図79は、遊技領域605を有する遊技盤4を前方左上から見た斜視図であり、図80は、遊技領域605を有する遊技盤4を分解して斜め前方から見た分解斜視図である。
遊技領域605を形成する遊技パネル599には、中央部分に開口部1400(図80参照)が設けられており、その開口部1400を囲むように額縁状のセンター役物1401が取付けられている。つまり、センター役物1401によって遊技パネル599の表面に遊技領域605が区画形成されており、この遊技領域605内には、多数の障害釘644が所定のゲージ配列をなして設けられているほか、遊技領域605を転動する遊技球が入球可能な入球口ユニット1402が配置されている。また、詳細は後述するが、遊技領域605に臨むセンター役物1401の外周面(特に右側の側縁部)には、開閉入賞装置1404及び通過ゲート1405が形成されている。
センター役物1401の具体的な構成について図81に基づき説明する。図81(a)はセンター役物1401を前方右上から見た斜視図であり、図81(b)はセンター役物1401を前方左上から見た斜視図である。センター役物1401は、鏡面加工部材から形成されており、センター役物1401の左側の側縁部には、センター役物1401の外側に開口したワープ入口1408と、センター役物1401の内側に開口したワープ出口1409とを有し、ワープ入口1408及びワープ出口1409を連通するワープ通路(図示しない)が形成されている。
また、センター役物1401における下縁部上面には、後述するステージ1443から逸脱した遊技球を左右方向に転動させることのできるサブステージ1407が形成されている。サブステージ1407の中央部分には、勢いの弱くなった遊技球を前方に向って流出させる前下り勾配の流出部1407aが形成され、その下部には、ステージ1443の流入口1473(後述する)に連通する流出路1416が前後方向に形成されている。また、サブステージ1407の前縁のうち左右両側部分に対して前面壁部1415が形成されており、該部分から遊技球が逸脱することを防止している。つまり、ステージ1443から排出された遊技球を受け止め、左右方向に転動させるように構成されている。
また、センター役物1401の前面には、色彩豊かな複数の装飾部1412が形成されており、センター役物1401の意匠性を高めている。また、装飾部1412には、複数の発光部1413が埋込まれており、遊技状態に基づいて発光するようになっている。
開閉入賞装置1404は、センター役物1401の右下部側の側縁部に配置されており、センター役物1401の外側に開口した大入賞口(図示しない)と、大入賞口に入賞した遊技球を検出する大入賞口センサ2370(図96参照)と、大入賞口を閉鎖可能な上下方向に延びる流線形状とされ下部側が軸支されると共に直立状態から時計回りに回動可能とされた可動片1430と、上下方向に進退可能なプランジャを有したアタッカソレノイド1429と、アタッカソレノイド1429におけるプランジャの進退に伴って前後方向に延びる軸周りに回動して可動片1430を回動させる伝達部材(図示しない)とを備えている。なお、大入賞口から進入し大入賞口センサ2370で検出された遊技球は、そのまま開閉入賞装置1404の下方へ排出されるようになっているが、その内の一つの遊技球が後述する停留手段1515によって停留されるようになっている。
通過ゲート1405は、センター役物1401の外側に開口したゲート入口1432及びゲート出口1433と、これらを連通するゲート通路(図示しない)と、ゲート通路を通過する遊技球を検出するゲートセンサ2990(図96参照)とから構成されている。すなわち、通過ゲート1405は、開閉入賞装置1404とともにセンター役物1401の外側の一部に兼用して配設されており、遊技領域605の面積が制限される状況においてセンター役物1401とともに演出表示装置640を比較的大きく構成するとしても、遊技領域605の設計の自由度を一層高めることが可能になる。
入球口ユニット1402の具体的な構成について、図74及び図82に基づき説明する。図82は、入球口ユニット1402を前方右上から見た斜視図である。入球口ユニット1402は、遊技球が入球可能な複数の一般入賞口1419と、センター役物1401の流出口1416の下方に配置された第一始動口1420と、第一始動口1420の右側に配置された第二始動口1421とを備えている。さらに詳しく説明すると、一般入賞口1419は、遊技領域605の右側、中央側、左側に分かれて配置されており、左側の一般入賞口1419と中央側の一般入賞口1419との間に第一始動口1420が配置され、中央側の一般入賞口1419と右側の一般入賞口1419との間に第二始動口1421が配置されている。なお、センター役物1401に対しての配置位置は、第一始動口1420が、センター役物1401の真下よりもやや左側となり、第二始動口1421が、センター役物1401の右下となる。つまり、第一始動口1420は、遊技領域605の中央よりも左側に配置され、第二始動口1421と前述した開閉入賞装置1404及び通過ゲート1405とは、遊技領域605の右側に配置されている。
第一始動口1420は、遊技球が常時入賞可能なポケットタイプの入賞口装置からなり、入賞した遊技球を検出する第一始動口センサ2416(図96参照)を備えている。
一方、第二始動口1421は、一対の可動片1427によって開閉可能に構成されている。つまり、第二始動口1421は、一対の可動片1427を開閉駆動させる始動口開閉駆動ユニット(図示しない)を更に備えており、この始動口開閉駆動ユニットは、前後方向に進退可能なプランジャを有した始動口ソレノイド2352と、始動口ソレノイド2352におけるプランジャの前後方向の進退に伴って水平方向且つ左右方向に延びる軸周りに回動し、一対の可動片1427から後側に延在された突出ピンを上下方向に移動可能な伝達部材(図示しない)とを備えている。また、始動口ソレノイド2352の下側には、第二始動口センサ2358(図96参照)が備えられており、第二始動口1421に入賞した遊技球が、第二始動口センサ2358の貫通孔を通過することで第二始動口センサ2358に検出されるようになっている。なお、可動片1427は、通過ゲート1405に遊技球が通過したことが検出され、それに基づいて普通抽選が行われ、抽選結果が当りの場合に所定時間開放されるようになっている。つまり、第二始動口1421は普通抽選で当りとなった場合にのみ開放され、遊技球を入賞させることが可能となっている。
ところで、パチンコ機1では、操作ハンドル部461の操作に対応して打球発射装置650から遊技球が発射されると、その遊技球は、内レール603及び外レール602によって遊技領域605の左上部分に案内され、当該部分から遊技領域605内に放出される。そして、第一始動口1420は、遊技領域605における左右方向の中央付近よりもやや左側の位置に配置されているため、通常時の遊技方法としては、第一始動口1420に多くの遊技球を入賞させるよう、センター役物1401の左側を狙って、遊技球を発射させることが好ましくなる。なぜなら、遊技領域605におけるセンター役物1401の右側または右下には、第二始動口1421及び通過ゲート1405が配置されているが、第二始動口1421は普通抽選で当りとならない限り開放されることがなく、しかも普通抽選の契機となる通過ゲート1405に遊技球を通過させることができても、通常時は、第二始動口1421が開放し難いように、すなわち普通抽選において当りとなる確率が極めて低くなるように設定されているためである。すなわち、センター役物1401の右側を狙って遊技球を発射させるようにしても(所謂、「右打ち」するようにしても)、大当りの発生を期待することができないためである。
一方、第一始動口1420への遊技球の入賞に基づいて内部的な大当り抽選が行われ、その抽選結果が特定の結果となった場合には、特定の利益が付与される。具体的には、開閉入賞装置1404の開閉動作が複数回繰り返されるとともに、開状態における一回当りの開放時間が、複数個の遊技球がゆとりを持って入賞できる程度の時間とされる。ここで、開閉入賞装置1404は遊技領域605におけるセンター役物1401の右側に配置されているため、開閉入賞装置1404に多くの遊技球を入賞させるよう、右打ちすることが好ましくなる。また、特定の利益が付与された後は、普通抽選の抽選結果が当りとなり第二始動口1421が開放される確率が高くなる。すなわち、第二始動口1421に対し、遊技球を容易に入賞させることが可能になる。このため、遊技者は、通過ゲート1405及び第二始動口1421に多くの遊技球を入賞させるよう、右打ちを継続することが好ましくなる。
このように、通常時と特定の遊技状態の時とでは、操作ハンドル部461を操作して遊技球の打ち方を替えることが好ましくなり、パチンコ機本来の興趣を向上させることが可能になる。また、通常時と特定の遊技状態の時とでは、互いに異なる領域でしかも互いに異なる条件で遊技を行うことから、遊技内容の単調さを抑制することができる。
また、図74に示すように、遊技領域605には、センター役物1401の左側を通る遊技球が流下可能な左遊技領域605aとともに、センター役物1401の右側を通る遊技球が流下可能な右遊技領域605bを、遊技領域605の下端にて左遊技領域605aと連通するかたちで左遊技領域605aよりも狭い領域となるように構成されている。
遊技領域605のさらに具体的な構成について、図76及び図77に基づき説明する。図76に示すように、左遊技領域605a内には、多数の障害釘644が所定のゲージ配列をなして設けられているほか、遊技球の進行方向を変化させる回転自在な風車642がセンター役物1401の左側下方に配置されている。また、多数の障害釘644には、風車642の近傍から第一始動口1420の近傍にかけて略直線状に配列された第一のゲージ配列部644aと、第一のゲージ配列部644aの下方で略平行をなすように配列された第二のゲージ配列部644bと、を有している。そして、左遊技領域605aを流下する遊技球が風車642に当接すると、多数の障害釘644のうち遊技球を第一始動口1420に向けて案内する第一のゲージ配列部644a、又は遊技球を第一始動口1420に向けて案内しない第二のゲージ配列部644bのいずれかに振分けさせることが可能になる。
具体的には、図76中の矢印に示すように、風車642によって遊技球が第一のゲージ配列部644aに振分けられると、第一のゲージ配列部644b上を遊技球が跳ねながら第一始動口1420に向かうものであり、この遊技球の一部を第一始動口1420に入賞させることができる。一方、風車642によって遊技球が第二のゲージ配列部644bに振分けられると、第二のゲージ配列部644b上を遊技球が跳ねながら排出口606に向かうものであり、この遊技球を第一始動口1420に入賞させることはできない。したがって、風車642によって遊技球が第一のゲージ配列部644aに振分けられない限り第一始動口1420に向かうことがなく、いずれのゲージ配列部に振分けられるかに対する遊技球の挙動に注目させることができる。また、左遊技領域605bを流下しながらも第一始動口1420に入賞し得なかった遊技球は排出口606から排出されることになるが、排出口606が第一始動口1420の近傍に配置されているため、第一始動口1420に入賞し得なかった遊技球が排出口606に至るまでの不要な挙動が殆どなく、遊技球が第一始動口1420に入賞する期待を最後まで与えることができる。
一方、図77に示すように、右遊技領域605b内には、多数の障害釘644が所定のゲージ配列をなして設けられている。また、多数の障害釘644には、一般入賞口1419と第二始動口1421との間に略直線状に配列された第三のゲージ配列部644cを有している。そして、右遊技領域605bを遊技球が流下すると、遊技球を第二始動口1421に向けて案内する第三のゲージ配列部644cに誘導することが可能になる。
具体的には、図77中の矢印に示すように、右遊技領域605bを流下した遊技球が第三のゲージ配列部644cに誘導されると、第三のゲージ配列部644c上を遊技球が跳ねながら第二始動口1421に向かうものであり、この遊技球の多くを一対の可動片1427の開放時に進入させることができる。しかしながら、第二始動口1421には、遊技球の進入方向及び進入速度に応じて、右遊技領域605b側(第二始動口1421の右側)から進入した遊技球を、第二始動口1421にそのまま入賞させる場合と、図77中の矢印に示すように、左遊技領域604a側(第二始動口1421の左側)に受け流す場合と、のいずれかに振分ける機能をもたせている。すなわち、一対の可動片1427の開放時に各々の可動片1427の上面が通路となる態様が生じることによって、遊技球が第二始動口1421に進入しても入賞するとは限らない。
ここで、右遊技領域605bは左遊技領域605aよりも狭い領域であるため、風車642によって遊技球が振分けられる等の挙動を行わせることができない。すなわち、特定の遊技状態時に右打ちすると、第二始動口1421または開閉入賞装置1404に多くの遊技球が入賞するようになり、右遊技状態605bにおいて遊技球の挙動を楽しませることができない。しかしながら、一対の可動片1427の開放時には、第二始動口1421に進入した遊技球がそのまま入賞するか否かに対する遊技球の挙動に注目させることができ、遊技者を飽きさせることがない。すなわち、液晶表示装置640の表示部が大型化されて遊技領域605が狭くなったとしても、遊技球の挙動における興趣の低下を抑制することができる。
なお、第二始動口1421では、一対の可動片1427が短く、その表面が滑らかに形成され、さらに一対の可動片1427の開放角度が略水平をなすよう構成されており、右遊技領域605b側から左遊技領域604a側に遊技球を受け流しやすい工夫がなされている。また、第二始動口1421に対しては、一対の可動片1427の上面を滑るような方向から遊技球が進入したほうが右遊技領域605b側から左遊技領域604a側に遊技球を受け流しやすく、また遊技球の進入速度に勢いがあったほうが右遊技領域605b側から左遊技領域604a側に遊技球を受け流しやすい。また、第三のゲージ配列部644cの傾斜角度が第二始動口1421における一対の可動片1427の開放角度以上であるため、一対の可動片1427の開放時には、第三のゲージ配列部644cを転動する遊技球を第二始動口1421に勢いよく進入させることができ、その一部を左遊技領域605aに受け流すことが可能になる。
また、アウト口1425が第二始動口1421の右側で隣接する位置に配置されるため、一対の可動片1427の開放時には、遊技球が第二始動口1421に進入したか否かを判別するのが困難となり、遊技球の挙動に一層注目させることができる。また、遊技球が第二始動口1421に進入したか否かを判別するのが困難となるため、遊技球がアウト口1425から排出されても第二始動口1421に進入したかのように見せることができ、右遊技領域605bを流下しながらも第二始動口1421に進入し得なかった遊技球に対する遊技者の損失感を抑制することができる。
また、図77に示すように、センター役物1401と第二始動口1421との間には、左遊技領域605aに連通するかたちで右遊技領域605bから進入した遊技球が流下可能な空間部605cが形成されている。すなわち、図77中の矢印に示すように、一対の可動片1427が閉塞時であっても、右遊技領域605b側から左遊技領域604a側に遊技球を流下させることができる。
また、センター役物1401の一部には、少なくとも第二始動口1421の上方から上端左方にかけて湾曲した壁形状の阻害部材1446が空間部605cの上方に形成されている。すなわち、阻害部材1446は、空間部605c及び第二始動口1421を覆うかたちで形成されている。そして、空間部605cを通じて右遊技領域605bから左遊技領域605aに遊技球が進入する際に、阻害部材1446に衝突した遊技球は、下方に叩きつけるように進路が変更されて、後述する誘導部材1423に向かって案内される。すなわち、阻害部材1446は、右遊技領域605bを流下した遊技球が、左遊技領域605aにおける第一始動口1420の上方の領域に進入することを阻害する役割を果たしている。このため、特定の遊技状態時には、遊技者が右打ちする限り、第二始動口1421に遊技球が入賞することはあっても第一始動口1420に遊技球が入賞することはなく、第一始動口1420への遊技球の入賞に基づいて大当り抽選が行われることを制限することができる。
一方、後述する通過阻止部材1424の一部には、第二始動口1421の左側面から遊技領域605の流下端にかけて延出した壁形状の誘導部材1423が形成されている。この誘導部材1423は、図77中の矢印に示すように、左遊技領域605aを流下しながらも第一始動口1420に入賞し得なかった遊技球、及び空間部605cを通じて右遊技領域05bから左遊技領域605aに進入した遊技球を、遊技領域605の流下端に誘導する役割を果たしている。このため、通常時には、遊技者が右打ちしない限り、殆ど一対の可動片1427が開放されることのない第二始動口1421に遊技球が向かうことがなく、また特定の遊技状態時には、阻害部材1446によって第一始動口1420の上方の領域への進入を阻害された遊技球を円滑に遊技領域605の流下端に誘導し、遊技領域605における無駄な遊技球の挙動を抑制することができる。
このように、遊技領域605は、左遊技領域605aと右遊技領域605bとの間に複数個の遊技球が一度に流下可能な空間部605cを形成しており、視覚的に閉塞感のない領域を構成している。また、遊技領域605には、阻害部材1446及び誘導部材1423が設けられることから、通常時と特定の遊技状態時とでは、遊技領域605に閉塞感がないながらも、操作ハンドル部461を操作して遊技球の打ち方を替えることによって、遊技者が入賞を期待する第一始動口1420または第二始動口1421のみを自然なかたちで狙うことができ、遊技領域605全体で違和感のない遊技を行うことができる。
なお、左遊技領域605aにおける第一始動口1420と第二始動口1421との間には、空間部605cから第一始動口1420の上方の領域への遊技球の流動を阻止する障害釘1426が配置されている。このため、遊技者が右打ちした場合に、空間部605cを通過した遊技球が第一始動口1420に入賞することを確実に防止することができる。
また、図74に示すように、右遊技領域605bにおける第二始動口1421の右側且つ第二始動口1421に進入し得ない下端には、アウト口1425が配置されている。このため、右遊技領域605bを流下ながらも第二始動口1421及び空間部605cに進入し得なかった遊技球、及び大入賞口に入賞し得なかった遊技球は、アウト口1425から排出されることになる。一方、遊技領域605の流下端には、アウト口1425よりも広い開口部を有する排出口606が配置されている。このため、左遊技領域605aを流下しながらも第一始動口1420に入賞し得なかった遊技球、及び右遊技領域605bから左遊技領域605aに進入した遊技球(第二始動口1421によって右遊技領域605bから左遊技領域605aに受け流された遊技球を含む。)は、排出口606から包括的に排出されることになる。ここで、アウト口1425が排出口よりも狭い開口部を有するのは、右遊技領域605bが左遊技領域605aよりも狭い領域であることに加え、特定の遊技状態時に右打ちすると第二始動口1421または開閉入賞装置1404に多くの遊技球が入賞するようになり、左遊技領域605aよりも右遊技領域605bにおける遊技球の集約度合いが少なくなることから、排出口606よりもアウト口1425から排出される単位時間あたりの遊技球数も少なくなるためである。
また、図74に示すように、遊技盤4の遊技領域605にセンター役物605が配置されており、センター役物605の外側を転動する遊技球がワープ通路(図示しない)を通ってセンター役物1401の内部に入球すると、センター役物1401の下縁部上面に配置されたステージ1443に送られる。ワープ通路を通って枠状装飾ユニット1440内に入球した遊技球は、転動面上で左右方向または斜め左右方向に転動する。その後、転動面を転動した遊技球は、ステージ1443から流出され、センター役物1401の下方に配置された始動口1420に向って流下する。ここで、ワープ通路のワープ入口1408及びステージ1443は、いずれもセンター役物1401の内外における左側に配置されているため、センター役物1401の左側を狙って遊技球を発射させながらも、ワープ通路を通って枠状装飾ユニット1440内に入球した遊技球をステージ1443の転動面上で転動させる一連の演出を容易に視認させることができる。
また、ステージ1443は、枠状装飾ユニット1440の下縁部上面のうち、左側に対してのみ配置されており、ステージ1443の横には振分演出装置1444が配設されている。つまり、枠状装飾ユニット1440の下縁部上面に、ステージ1443と振分演出装置1444とが左右方向に並んで配設されている。この振分演出装置1444は、遊技球を用いた演出を行うものの、ステージ1443における転動とは関連しない開閉入賞装置1404に入賞した遊技球を用いて演出を行うものである。このため、枠状装飾ユニット1440の下縁部上面において遊技球を用いた二種類の演出を楽しませることが可能となり、遊技者の注意を一層惹き付けることが可能になる。特に、ステージ1443及び振分演出装置1444が並んで配置されているため、視線を大きく移動させなくても両方の演出を同時に視認させることができ、ひいては集中力が散漫となったり遊技球の挙動に気づかなかったりすることを抑制できる。また、開閉入賞装置1404の大入賞口及び振分演出装置1444は、いずれもセンター役物1401の内外における右側に配置されているため、センター役物1401の右側を狙って遊技球を発射させながらも、開閉入賞装置1404に入賞した遊技球を用いた振分演出装置1444での演出を容易に視認させることができる。
このように、枠状装飾ユニット1440の下縁部上面には、ステージ1443と振分演出装置1444とが左右方向に並んで配設されることにより、ステージ1443及び振分演出装置1444における遊技球の挙動を変化に富んだものとし、少なくとも枠状装飾ユニット1440の開口部を通じて視認可能に液晶表示装置640が表示する演出画像ばかりが注目されることなく、遊技球の挙動における興趣の低下を抑制することができる。また、利益を付与する際に用いられる開閉入賞装置1404は、センター役物1401の外側の一部に兼用して配設されており、遊技領域650の面積が制限される状況においてセンター役物1401とともに液晶表示装置640を比較的大きく構成するとしても、遊技領域605の設計の自由度を高めることが可能になる。
なお、液晶表示装置640は、17インチと比較的大きな表示画面を有しており、これに伴って枠状装飾ユニット1440は、遊技領域650の半分程度の面積を占有している。
また、ステージ1443と振分演出装置1444とを前後方向に並んで配設させるものでは、前後方向の長さ(奥行)が制限されることから、ステージ1443と振分演出装置1444とが近接することによって遊技者の視界に重複してしまい遊技球の挙動に対する視認を困難にする虞があるが、本発明のように、ステージ1443と振分演出装置1444とを左右方向に並んで配設させることにより、ステージ1443と振分演出装置1444とが遊技者の視界に重複することがなく、遊技球を用いた演出効果を十分に発揮することができる。
また、図77に示すように、第二始動口1421及びアウト口1425の下部には、通過阻止部材1424が下方に延出して形成されている。このため、第二始動口1421及びアウト口1425の下方の領域を通って遊技球が転動することが阻止される。ここで、特定の遊技状態時に遊技者が右打ちすると、右遊技領域605bを流下した遊技球が第二始動口1421に入賞しなければ大当り抽選が行われず、第二始動口1421又はアウト口1425のいずれに遊技球が進入するかに遊技者の視点が集中することになり、その下部に形成された通過阻止部材1424の周辺も遊技者の視界に入ることになる。
また、通過阻止部材1424には、右遊技領域605bに向けて遊技球を発射することが好ましい旨を表示する右打ち表示器1434が取付けられている。この右打ち表示器1434は、利益付与手段2981,2982(図116参照)による利益の付与時及び時短状態設定手段2984(図116参照)による時短機能の設定時に、LEDが点灯するものであり、この場合には、右遊技領域605bに配置された開閉入賞装置1404、または通過ゲート1405及び第二始動口1421に多くの遊技球を入賞させるよう、右打ちすることが好ましくなる。このため、特定の遊技状態時に遊技者が右打ちすると、第二始動口1421に遊技球が入賞するか否かに視点を集中させながらも右打ち表示器1434が自然と視界に入ることから、遊技者の右打ちが正当であるか否かを容易に認識することが可能となり、遊技者が困惑することがない。したがって、通常時または特定の遊技状態時のいずれの遊技状態であるか困惑してしまっても、特定の遊技状態の開始から終了までを明確に認識することができ、遊技者が得られる利益を確実に享受することができる。
また、通過阻止部材1424には、遊技の進行に関する遊技状態等の遊技情報が表示される遊技情報表示器として、右打ち表示器1434のほかにも、大当り抽選の抽選結果を示す特別図柄が表示される特別図柄表示器1428、普通抽選の抽選結果を示す普通図柄が表示される普通図柄表示器2928、等が取付けられている。このため、特定の遊技状態時に遊技者が右打ちすると、第二始動口1421に遊技球が入賞するか否かに視点を集中させながらも、右打ち表示器1434だけでなく特別図柄表示器1428や普通図柄表示器2928も自然と視界に入ることから、大当り抽選や普通抽選の抽選結果を容易に認識することが可能となり、遊技者が困惑することがない。
<入球口ユニット>
入球口ユニット1402の具体的な構成について、図82及び図83に基づき説明する。図82は、入球口ユニット1402を前方右上から見た斜視図である。図83は、入球口ユニット1402を後方右上から見た斜視図である。図80に示すように、遊技盤4は、少なくとも、遊技領域605を表面に形成する平面板上の遊技パネル599と、遊技パネル599の背面側に取付けられた入賞空間形成カバー体621と、遊技パネル599の空間部と嵌合するように前面側から取付けられ、入賞空間形成カバー体621側に当接させた入球口ユニット1402と、から構成されている。また、図82に示すように、入球口ユニット1402は、左側、中央側、右側に分割可能に構成されており、中央側の入球口ユニット1402には、前方から見て左側から順に第一始動口1420、一般入賞口1419、第二始動口1421、アウト口1425が立設している。
また、図84に示すように、入賞空間形成カバー体621には、各々の始動口等に入賞(入球)した遊技球をパチンコ機1外に排出可能な排出通路、すなわち第一始動口1420に対応する第一始動口排出通路1420b、一般入賞口1419に対応する一般入賞口排出通路1419b、第二始動口1421に対応する第二始動口排出通路1421b、アウト口1425に対応するアウト口排出通路1425bが形成されている。また、第一始動口1420に対応する第一始動口排出通路1420bには、遊技球の通過を検出可能な第一始動口センサ2416が取付けられている。
また、図83に示すように、入球口ユニット1402には、各々の始動口等に入賞(入球)した遊技球を、対応する排出通路まで移動させる入賞通路(入球通路)、すなわち第一始動口入賞通路1420a、一般入賞口入賞通路1419a、第二始動口ユニット1421a内の第二始動口入賞通路(図示しない)、アウト口入球通路1425aが形成されている。このため、遊技パネル599に入賞空間形成カバー体621及び入球口ユニット1402が取付けられると、入球口ユニット1402側の入賞通路(入球通路)と入賞空間形成カバー体621側の排出通路とが当接することになる。また、第二始動口ユニット1421aには、背面側に一対の可動片1427を駆動するための始動口ソレノイド2352と、第二始動口入賞通路の終端となる位置に遊技球の通過を検出可能な第二始動口センサ2358が取付けられている。
このように、第一始動口センサ2416は、入賞空間形成カバー体621側の第一始動口1420に対応する第一始動口排出通路1420bに取付けられる一方、第二始動口センサ2358は、入球口ユニット1402側の第二始動口ユニット1421a内の第二始動口入賞通路に取付けられている。すなわち、第一始動口1421に入賞した遊技球が第一始動口センサ2358に検出されるには、第一始動口1420に対応した第一始動口入賞通路1420aを経て第一始動口排出通路1420bに到達しなければならない一方、第二始動口1421に入賞した遊技球が第二始動口センサ2358に検出されるには、同じく入球口ユニット1402側の第二始動口ユニット1421a内の第二始動口入賞通路に到達すればよく距離を要しない。
換言すると、第二始動口1421に遊技球が入賞してから第二始動口センサ2358に遊技球の検出がなされるまでの距離が、第一始動口1420に遊技球が入賞してから第一始動口センサ2358に遊技球の検出がなされるまでの距離よりも近くなるように配置されている。すなわち、第一始動口1420および第二始動口1421に遊技球が同時に入賞したとしても、第一始動口センサ2358よりも第二始動口センサ2358による遊技球の検出のほうが早い時期に、優先的になされる。また、第二始動口1421よりも第一始動口1420に僅かに早く遊技球が入賞したとしても、第一始動口センサ2358よりも第二始動口センサ2358による遊技球の検出のほうが早い時期になされることがある。このため、操作ハンドル部461の操作開始時や切替時には、第二始動口1421を狙ったとしても第一始動口1420に遊技球が入賞することがあるが、第二始動口1421への入賞に基づく大当りの発生が期待できるように遊技球の検出がなされる結果、少しでも遊技者が有利となることから、遊技興趣の低下を抑制することができる。
また、図83に示すように、入球口ユニット1402の背面側には、第二始動口ユニット1421a内の第二始動口センサ2358から主制御基板2094に検出信号を入力する2本の配線2358aのほかにも、主制御基板2094が制御し、第二始動口センサ2358の近傍に配置された制御部品を主制御基板2094と接続する配線が設けられている。具体的には、主制御手段2094が制御する制御部品に接続する配線として、パネル中継端子板2866及び大入賞口中継端子板2867(図96参照)を介して、主制御基板2094から始動口ソレノイド2352に駆動信号を出力する2本の配線2352a、パネル中継端子板2866、図柄制限抵抗基板2868及び普通図柄・特別図柄表示基板2869(図96参照)を介して、主制御基板2094から遊技情報表示器(右打ち表示器1434、特別図柄表示器1428及び普通図柄表示器2928等)の各LEDに駆動信号を出力する12本の配線2869aが挙げられる。これらの配線は、第二始動口ユニット1421aのできる限り近傍で、結束バンド2359によって一括して取り纏められている。
このように、第二始動口ユニット1421a内の第二始動口センサ2358から主制御基板2094に検出信号を入力する2本の配線2358aは、主制御基板2094から始動口ソレノイド2352に駆動信号を出力する2本の配線2352aとともに、主制御基板2094から遊技情報表示器の各LEDに駆動信号を出力する12本の配線2869aと一括して取り纏められている。このため、遊技パネル599から入球口ユニット1402を着脱する際に、入賞空間形成カバー体621側に取付けられた主制御基板2094等(大入賞口中継端子板2867及び普通図柄・特別図柄表示基板2869等も入賞空間形成カバー体621側に取付けられる。)と、入球口ユニット1402側に取付けられた第二始動口センサ2358、始動口ソレノイド2352及び遊技情報表示器の各LEDと、の配線接続を容易に取扱うことが可能となり、交換や点検等の作業効率を向上させることができる。
また、第二始動口1421は、第一始動口1420よりも遊技者が有利となり得る始動口であるため、第二始動口センサ2358と主制御基板2094とを接続する配線2358aが、第一始動口センサ2416と主制御基板2094とを接続する配線(図示しない)よりも主制御基板2094に大当りタイミングを狙って入球信号(検出信号)を与える不正基板を介在させる対象となり易い。しかしながら、第二始動口センサ2358と主制御基板2094とを接続する配線2358aは、始動口ソレノイド2352と主制御基板2094とを接続する配線2352a、及び遊技情報表示器の各LEDと主制御基板2094とを接続する配線2869aと一括して、第二始動口ユニット1421aのできる限り近傍で、結束バンド2359によって取り纏められていることから、結束バンド2359よりも第二始動口ユニット1421a側(入球口ユニット1402側)では、配線が最小限に短く、不正基板を取付けることが困難となる。また、結束バンド2359よりも主制御基板2094側(入賞空間形成カバー体621側)では、第二始動口センサ2358と主制御基板2094とを接続する配線2358aのみを合計して16本の配線から見出し、不正基板を間違いなく取付けることが困難となる。とりわけ、16本の配線のうち遊技情報表示器の各LEDと主制御基板2094とを接続する配線2869aの占める割合が高いことから、それらの配線2869aの果たす役割は大きいといえる。
また、始動口ソレノイド2352または遊技情報表示器の各LEDと主制御基板2094とを接続する配線2352a,2869aに不正基板が取付けられた場合には、主制御基板2094から始動口ソレノイド2352または遊技情報表示器の各LEDに駆動信号を出力できないことに基づき、始動口ソレノイド2352または遊技情報表示器の各LEDが正常に動作しなくなり、不正基板による違法行為が発覚することになる。したがって、主制御基板2094からの配線接続が不正基板の使用を防ぐように構成されていることから、違法行為を低減させることができる。
また、入球口ユニット1402の一部として第二始動口1421の右側近傍には、アウト口1425が配置されており、右遊技領域605bを流下した遊技球を排出させるとともに、その開口部から入賞空間形成カバー体621側を見通すことができる。このため、アウト口1425の開口部から入賞空間形成カバー体621側を見通して不正基板が取付けられたか否かを監視することが可能となり、不正基板による違法行為を防止することができる。
また、入球口ユニット1402の一部として第二始動口1421の左側近傍には、光装飾部材1402aが配置されており、入賞空間形成カバー体621側に配置された発光部材(図示しない)から照射された光を受けて光装飾されている。このため、入球口ユニット1402側の第二始動口センサ2358と入賞空間形成カバー体621側の主制御基板2094とを接続する配線2358aに不正基板が取付けられた場合には、発光部材から照射された光を受けて不正基板が光装飾部材1402aに影となって映ることになり、不正基板による違法行為が発覚することになる。
<枠状装飾ユニット>
次に、入賞空間形成カバー体621の内部に配置された枠状装飾ユニット1440について、図84乃至図86に基づき説明する。図84は枠状装飾ユニット1440を有する入賞空間形成カバー体621の正面図であり、図85は、枠状装飾ユニット1440を有する入賞空間形成カバー体621を前方右上から見た斜視図であり、図86は、枠状装飾ユニット1440に設けられたステージ1443及び振分演出装置1444の関係を示す斜視図である。
前述したように、遊技パネル599の背面側には入賞空間形成カバー体621が取付けられている(図80参照)。そして、入賞空間形成カバー体621の内部には、枠状に構成された枠状装飾ユニット1440が収容されており、図74に示すように、センター役物1401の開口部1401aを通して遊技者側から視認させることが可能になっている。つまり、図80に示すように、枠状装飾ユニット1440における開口部1440の大きさは、センター役物1401の開口部1401aよりも小さくなっており、枠状装飾ユニット1440の内周面がセンター役物1401の内周面よりも中心に向って延出した形態となっている。枠状装飾ユニット1440には、内周面における左右側面及び上面に亘って一体的に形成された装飾部1441と、装飾部1441上に配置され光を放射可能な電飾部1442とが備えられている。なお、電飾部1442は、「L」,「O」,「V」,「E」の文字を夫々個々に象り前面の透明蓋を有する四つの発光ケースと、それら発光ケースの中に収容され透明蓋に向って光を放射する発光基板2892a〜2892c(図97参照)と、発光基板2892a〜2892cと透明蓋との間に介装され、発光基板2892a〜2892cから放射された光を乱反射させる反射部材(図示しない)とから構成されている。
また、枠状装飾ユニット1440の内周面における底面部分(すなわち下縁部上面)は、センター役物1401のサブステージ1407から後方に延出するように形成されており、その下縁部上面には、図86に示すように、ステージ1443と振分演出装置1444とが左右方向に並んで配置され、さらに、振分演出装置1444に遊技球を送込む案内通路部材1445が配置されている。
<ステージの構成>
まず、ステージ1443について、図87乃至図93に基づき説明する。図87は、ステージ1443を前方右上から見た斜視図であり、図88は、ステージ1443の平面図であり、図89は、図88のA−A断面図であり、図90は、図88のB−B断面図であり、図91は、図88のC−C断面図であり、図92は、図88のD−D断面図であり、図93は、図88のE−E断面図である。
ステージ1443は、枠状装飾ユニット1440の下縁部上面のうち、左側に配置されており、センター役物1401に形成されたワープ通路を通って枠状装飾ユニット1440内に入球した遊技球を左右方向または斜め左右方向に転動させる転動面を備えている。特に、ステージ1443は、後段側が前段側よりも高くなるように、前後方向に階段状に並設されたn個(本例では5個)の転動面を有し、ワープ通路を通って枠状装飾ユニット1440内に入球した遊技球を、最上段の第一転動面1450から最下段の第五転動面1454に向かって順に転動させながら流下させることを可能にしている。つまり、枠状装飾ユニット1440内に入球した遊技球は、まず、最上段の第一転動面1450に送られ、第一転動面1450上で左右方向または斜め左右方向に転動する。その後、遊技球は二段目の第二転動面1451、さらには三段目の第三転動面1452、というように最下段の第五転動面1454に向かって順に転動しながら流下する。また、最下段の第五転動面1454まで転動した遊技球は、ステージ1443から流出され、センター役物1401の下方に配置された第一始動口1420に向って流下する。このように、階段状に形成された複数の転動面を備えることにより、ステージ1443における遊技球の挙動を変化に富んだものとし興趣の低下を抑制することが可能になる。
また、夫々の転動面1450〜1454は、左右方向の長さが下段側の転動面ほど短くなるように設定されている。このため、各転動面上での遊技球の挙動が必要以上に長くなり過ぎることを防止できる。また、夫々の転動面1450〜1454は次第に短くなるため、遊技球の転動範囲を漸次収束させることができ、所定の目標到達位置(すなわち第一始動口1420)に近づきつつあることを感じさせることが可能になる。また、第一転動面1450以外の転動面1451〜1454は、右端側を中央部分(振分演出装置1444側)に寄せて配置されている。このため、第一始動口1420への入賞の有無を注目する遊技者に対して、今までの遊技機(即ち第一始動口1420の真上にステージが配置された遊技機)とは異なった視線でステージ1443を視認させることが可能になる。換言すれば、ステージ1443の構成ばかりでなくステージ1443の配置においても独自性を醸し出し、遊技機のコンセプトとして特徴付けることが可能になっている。
第一転動面1450は、図87及び図89に示すように、枠状装飾ユニット1440内に入球した遊技球を、左右方向に往復運動させることが可能な略円弧状の第一円弧面1460を有し、その第一円弧面1460における左右方向の中央部分には、勢いの弱くなった遊技球を、二段目の第三転動面1452に向かって流出させる前下り勾配の第一流出部1461が形成されている。なお、図88に示すように、第一円弧面1460の左端部分には、前方に向って延出し、センター役物1401のワープ出口1409と第一円弧面1460とを繋ぐ案内通路1449がステージ1443と一体的に形成されている。このため、ワープ通路及び案内通路1449を通って、勢いのある遊技球を第一転動面1450の左端部に送り込むことにより、比較的長い間、第一転動面1450上で遊技球を転動させることが可能となり、ひいてはステージ1443に遊技球が入球したことを容易に認識させることが可能になる。つまり、遊技者の気づかない間に遊技球が下段側の転動面まで到達し、遊技球の挙動を楽しませることなく遊技球が排出される、という事態を防止することができる。
第二転動面1451には、図87及び図90に示すように、第一転動面1450の第一流出部1461から流出された遊技球を第二転動面1451の左端部側に向かって転動させる第二傾斜面1462と、その第二傾斜面1462によって左端部側まで転動した遊技球を三段目の第三転動面1452に向かって流出させる前下り勾配の第二流出部1463とが形成されている。このため、第二転動面1451に送られた遊技球は、第一転動面1450のような往復運動は行われず、左方向に向って真直ぐ転がりそのまま流出させられる。したがって、第一転動面1450での遊技球の挙動とは全く異なる動きを生じさせることが可能となり、視覚的な面白みを一層高めることが可能になる。
また、第二転動面1451は、第一転動面1450の第一流出部1461から流出され且つ第二傾斜面1462の上流端側から逸脱した遊技球を、第二傾斜面1462上で転動させることなく第二流出部1463の反対側に位置する部分から第三転動面1452に向かって流出させる第二特別経路1464をさらに備えている。つまり、第二転動面1451では、第一転動面1450の第一流出部1461から送られてきた遊技球を、第二傾斜面1462の上流端側から逸脱させ得る構成となっており、ここから逸脱した遊技球は、第二特別経路1464を通過することにより、第二傾斜面1462を迂回し、第二流出部1463の反対側に位置する部分から第三転動面1452に向かって流出させられる。したがって、第二転動面1451において遊技球が振分けられることとなり、遊技球の挙動を一層注目させることが可能になる。
第三転動面1452は、図87及び図91に示すように、第二転動面1451の第二流出部1463から流出された遊技球を左右方向に往復運動させることが可能な略円弧状の第三円弧面1465と、その第三円弧面1465における左右方向の中央部分に形成され、勢いの弱くなった遊技球を、四段目の第四転動面1453に向かって流出させる前下り勾配の第三流出部1466と、第二転動面1451の第二特別経路1464を通って流出された遊技球を、第三円弧面1465で転動させることなく第三流出部1466と異なる部分から第四転動面1453に向かって流出させる第三特別経路1467とを備えている。したがって、第二流出部1463から流出され第三転動面1452に送られた遊技球は、略円弧状の第三円弧面1465によって左右方向に繰返し転動させられ、その後、勢いが弱くなると、第三流出部1466から四段目の第四転動面1453に向かって流出させられる。このため、再び遊技球を往復運動させることが可能となり、遊技球の挙動の変化を一層変化に富んだものとすることができる。また、第二転動面1451の第二特別経路1464を通って流出された遊技球は、第三円弧面1465を通ることなく、第二特別経路1464から第四転動面1453に向かって流出させられる。つまり、第二転動面1451において第二特別経路1464側に振分けられた遊技球は、通常の経路を通る遊技球と合流することなく第四転動面1453に送られる。このため、特別通路の有利性を維持することができ、遊技者に安心感を与えることができる。
また、第三転動面1452は、第三流出部1466と一体的に形成され勢いの弱くなった遊技球をステージ1443から排出させることが可能な第三排出部1468をさらに備えている。このため、第三転動面1452の出口において遊技球が振分けられるため、遊技球の行方を最後まで注目させることが可能となる。
第四転動面1453は、図87及び図92に示すように、第三転動面1452の第三流出部1466から流出された遊技球と、第三転動面1452の第三特別経路1467を通って流出された遊技球とを合流させるとともに、これらの遊技球を左右方向に往復運動させることが可能な略円弧状の第四円弧面1469と、その第四円弧面1469における左右方向の中央部分に形成され、勢いの弱くなった遊技球を、五段目の第五転動面1454に向かって流出させる前下り勾配の第四流出部1470と、第四流出部1470と一体的に形成され、勢いの弱くなった遊技球をステージ1443から排出させることが可能な第四排出部1471とを備えている。このため、特別通路を形成することなく、比較的大きな第四円弧面1469によって遊技球を大きく転動させることが可能になる。また、第二転動面1451において一旦振り分けられたものを第四転動面1453において合流させることから、第二特別経路1464に振分けられなかった遊技球に対しても、その後の行方について期待感を生じさせることができる。
ところで、一旦振分けられた遊技球を単純に合流させるものでは、第二特別経路1464に振分けられた遊技球の有利性がなくなり、振分けること自体が無意味なものになってしまう。そこで本例では、第四流出部1470及び第四排出部1471は、第三特別経路1467を通って流出された遊技球が、第三流出部1466から流出された遊技球よりも第四流出部1470に向う確率が高くなるように配設位置が設定されている。つまり、第四円弧面1469に対して遊技球が送り込まれる位置を互いに異ならせることにより、共通の第四円弧面1469を用いながらも、流出される位置を第四流出部1470または第四排出部1471のいずれか一方に偏らせている。このため、第二特別経路1464に振分けられた遊技球の有利性を維持し、期待感を維持することができる。また、有利性の異なる遊技球が、共通の第四転動面1453上で左右方向に転動することから、微妙な勢いの違いにハラハラさせることが可能になる。
第五転動面1454は、図87及び図93に示すように、最下段の転動面であり、第四転動面1453の第四流出部1470から流出された遊技球を右側に向って転動させる第五傾斜面1472と、第五傾斜面1472の右端部分まで転動した遊技球を流入させる流入口1473とを備えている。この流入口1473は、枠状装飾ユニット1440の下縁部上面に穿設された通路(図示しない)に連通しており、その通路を介してセンター役物1401の下端部分に形成された流出路1461に送られるようになっている。つまり、ステージ1443の第五転動面1454に到達した遊技球は、全て流入口1473に入球し、流出路1461を通して第一始動口1420の上方の遊技領域605に流出する。すなわち、第一始動口1420に比較的高い確率で入賞させることが可能となっている。
ところで、図74及び図81を基に前述したセンター役物1401のサブステージ1407は、ステージ1443の前方に配置され、第三排出部1468または第四排出部1471を通ってステージ1443から排出された遊技球を受け止めるとともに、その遊技球を左右方向に転動させるように構成されている。このため、第三転動面1452または第四転動面1453からステージ1443の外部に排出された場合でも、サブステージ1407によって左右方向に転動させることが可能になり、ひいては遊技球の挙動を十分に堪能させることができるとともに、期待感の消失を軽減することができる。なお、サブステージ1407は、第一始動口1420に対する遊技球の入賞のし易さが、ステージ1443よりも低くなるように形成されている。このため、ステージ1443の第五転動面1454から流出される場合と、途中の転動面(第三転動面1452や第四転動面1453)から排出された場合との有利性を明確に差別化することができる。
また、サブステージ1407とステージ1443とは互いに異なる材質で形成されている。このため、互いに異なる質感を醸し出し、機能や有利性が互いに異なることを視覚的に意識させることができる。特に、サブステージ1407は、センター役物1401の下縁部上面に直接形成されているのに対し、ステージ1443は、枠状装飾ユニット1440の下縁部上面に載置されたステージ構成部材1455(図87参照)によって形成されている。このため、ステージ1443のみを目立たせることが可能になり、ステージ1443とサブステージ1407との主従関係を視覚的に把握させることができる。また、ステージ1443の第三転動面1452または第四転動面1453から排出された遊技球を、サブステージ1407に向って流下させることが必要であるが、本例では、ステージ1443を枠状装飾ユニット1440とは別のステージ構成部材1455によって形成しているため、第三転動面1452または第四転動面1453をサブステージ1407よりも高い位置に形成することが可能になる。
また、ステージ構成部材1455は、光透過性を有する部材からなり、ステージ構成部材1455の下方には、ステージ構成部材1455に向って下側から光を照射する発光手段1456が配置されている(図90乃至図92参照)。このため、ステージ1443を確実に目立たせるともに、光によるイリュージョンを醸し出すことが可能になる。
また、サブステージ1407は、ステージ1443の前方から振分演出装置1444の前方まで延出して形成されている。つまり、枠状装飾ユニット1440の下縁部上面にはステージ1443と振分演出装置1444とが左右方向に並んで配置されているのに対し、サブステージ1407は、ステージ1443の前方だけではなく振分演出装置1444の前方にまで延出して形成されている。このため、サブステージ1407における左右方向の長さがステージ1443よりもかなり長くなり、遊技球を左右方向に大きく転動させることが可能になる。したがって、このサブステージ1407によれば、ステージ1443では困難であった左右方向のダイナミックな転動を容易に実行させることが可能になり、前後方向に階段状に形成された複数の転動面1450〜1454と、左右方向に広がるステージ1443との組合せによって、一層変化に富んだ挙動を実現させることができる。
また、第二転動面1451〜第五転動面1454は、平面視における振分演出装置1444の端部(右端)が反対側の端部(左端)よりも後方に位置するように前後方向に傾いて配置され、遊技球を斜め左右方向に転動させるように構成されている。このため、ステージ1443が配設される空間、特にその空間における左右方向の幅が比較的狭い場合であっても、第二転動面1451〜第五転動面1454を前後方向に傾けて形成することにより、第二転動面1451等の長さを長くすることが可能になる。また、斜め左右方向に転動させることにより、遊技球は左右方向だけではなく前後方向にも変位することになり、遊技球の遠近感も変化させることが可能になる。さらに、振分演出装置1444側の右端部が左端部よりも後方に位置するように配置されているため、遊技盤4の中央前方で遊技を行う遊技者の視線、すなわち遊技盤4の中央前方からステージ1443を斜めに見る遊技者の視線、に対して直交する方向に遊技球を転動させることが可能になる。したがって、ステージ1443が枠状装飾ユニット1440の左側にしか設けられていないにも拘らず、偏って配置されているという感覚をなくし、遊技球の挙動を自然な形で視認させることが可能になる。なお、第一転動面1450は、前後方向に傾くことなく左右方向にまっすぐ形成されている。このため、第一転動面1450における遊技球の転動方向と、第二転動面1451以降の転動面における遊技球の転動方向とが互いに異なることとなり、遊技球の挙動をさらに変化に富んだものとすることができる。また、第一転動面1450は、最も奥側で且つ最上段に形成されているため、振分演出装置1444の上方の空間に配置すること、すなわち振分演出装置1444側まで延出することが容易となる。
<振分演出装置の構成>
次に、振分演出装置1444について、図94及び図95に基づき説明する。図94は、振分演出装置1444及び案内通路部材1445の関係を示す平面図であり、図95は、振分演出装置1444を分解して斜め右上から見た斜視図である。
図95に示すように、振分演出装置1444は、平面視が半円形状であるベース部材1479と、ベース部材1479の上面に組みつけられ遊技球が入球可能な複数(本例では3個)の流入口1480を有する流入口ユニット1481と、流入口ユニット1481の流入口1480に対して遊技球を振分ける振分ユニット1482と、流入口ユニット1481を覆う透明のカバー1483と、ベース部材1479に取付けられ、流入口ユニット1481に対して光を放射する発光基板1484と、ベース部材1479の下部に取付けられた下部ケース1485とを具備して構成されている。
流入口ユニット1481における流入口1480は、右流入口1480a、中流入口1480b、及び左流入口1480cからなり、円弧上に所定の間隔で並んで配置されている。また、各流入口1480の周囲は光を透過可能な透明の部材で形成され、その上面には各流入口1480を区画するように三つの貫通孔が穿設された鏡面加工部材1485が敷設されている。
また、流入口ユニット1481の中央部分には、扇状の開口部1486が設けられており、この開口部1486内に振分ユニット1482の誘導部材1490が挿入されるようになっている。また、三つの流入口1480が配置された円弧と同じ円弧上に、下段電飾部1488及び上段電飾部1487が形成されており、ベース部材1479に組付けられた発光基板1484によって照射されるようになっている。
振分ユニット1482は、流入口1480に向って先端側のみが開放され、後端側に送込まれた遊技球を、いずれかの流入口1480に向って誘導する樋状の誘導部材1490と、誘導部材1490を、後端側を軸として回動(すなわち水平方向に旋回)可能に支持する支持部材1491と、誘導部材1490を所定範囲内で回動させる振分モータ1493と、振分モータ1493の回転軸に連結されるとともに、回転支軸1492を介して誘導部材1490に接続され、振分モータ1493の回転数を減速して誘導部材1490に伝達する減速機構1494とを具備して構成されている。なお、減速機構1494には、誘導部材1490が予め定めた基準点に到達したか否かを検出するための基準位置検出手段1495が備えられている。
カバー1483は、遊技領域605を転動する遊技球が流入口ユニット1481内に飛び込まないように、流入口ユニット1481全体を覆っているが、後端中央部分には、誘導部材1490の回転中心部分に遊技球を落し込むための挿入用切欠1498が形成されている。また、カバー1483の周面には、円筒状の締結用孔部1499が複数形成されており、流入口ユニット1481に設けられた締結用孔部1489と突き合わせることにより、ネジ等の締結手段を用いて、カバー1483を流入口ユニット1481に固定させることが可能となっている。
発光基板1484は、流入口ユニット1481における流入口1480の下方に配置され、流入口1480の周囲を照射する第一発光基板1500と、流入口ユニット1481における左側の下段電飾部1488及び上段電飾部1487を下方から照射する第二発光基板1501と、流入口ユニット1481における右側の下段電飾部1488及び上段電飾部1487を下方から照射する第三発光基板1502とからなる。夫々の発光基板1484には、発光源たる複数の発光ダイオード1503が搭載されている。特に、第一発光基板1500には、夫々の流入口1480に対向するように別々に配置されるとともに、2色(例えば赤色と青色)の光を選択的に切替えて放射させることが可能な2色発光ダイオードが搭載されている。このため、複数の流入口1480のうち、いくつかの流入口1480が特定の流入口として選定された場合、その特定の流入口に対応する光の色と、その他の流入口に対応する光の色とを互いに異ならせることが可能になる。
ベース部材1479には、第一発光基板1500を収容する収容部1505と、流入口ユニット1481における複数の流入口1480に夫々重なり合う三つの球挿通孔1506と、第二発光基板1501及び第三発光基板1502から放射される光を通過させる窓部1507と、回転軸1492を貫通させる貫通孔1508とが形成されている。また、下部ケース1485には、減速機構1494を収容する収容部1509と、振分モータ1493の回転支軸を挿通可能な貫通孔1510が形成されている。なお、ベース部材1479及び下部ケース1485は、樹脂など非電導性の部材で形成されている。
このように、本例の振分演出装置1444では、全ての流入口1480が、誘導部材1490の回転中心よりも遊技者側に配置され、誘導部材1490は、遊技者側に向って遊技球を転動させるよう構成されている。このため、誘導部材1490の動作、誘導部材1490上での遊技球の挙動、及び流入口1480に流入する遊技球の挙動を、はっきりと視認させることができる。また、流入口1480に遊技球が吸い込まれるように見せることができ、振分演出装置1444に対する興趣を一層高めることができる。
また、樋状の誘導部材1490が、鉛直方向を軸方向とする回転軸1492によって回動可能に支持されているため、振分モータ1493の動作によって所定範囲内で回動することとなる。一方、複数の流入口1480は、回転軸1492を中心とする略水平面上の円弧に沿って配置されているため、誘導部材1490の先端を複数の流入口1480に対し順に対向させることができるとともに、誘導部材1490の先端と夫々の流入口1480との距離を略一定にすることができる。したがって、どの流入口1480が選択された場合にも、誘導部材1490に送り込まれた遊技球を略同じタイミングで流入口1480に到達させることができ、ひいては演出時間のバラツキを極力抑制することが可能になる。
一方、図94に示すように、振分演出装置1444に遊技球を案内する案内通路部材1445は、透明の樹脂から形成されたパイプ状の通路構成部1513と、通路構成部1513の先端に形成され通路構成部1513によって案内された遊技球を、ステージ1443の誘導部材1490に落下させる流出口1514とを備えている。なお、流出口1514は、カバー1483に形成された挿入用切欠1498に連通しており、遊技球を誘導部材1490の回動中心に向って落下させるように配置されている。このため、誘導部材1490の位置に拘らず、遊技球を誘導部材1490に送り込むことが可能になる。換言すれば、誘導部材1490を回動させながら遊技球を送り込むことが可能になり、ひいては誘導部材1490の動作と遊技球が送り込まれるタイミングとを関連付けながら、遊技球の行方を予想させることが可能になる。また、通路構成部1513が透明の部材から形成されているため、振分演出装置1444の誘導部材1490に送られる前の段階から遊技球の挙動を視認させることができる。したがって、誘導部材1490と通路構成部1513とが一体的に構成されている印象、すなわち誘導部材1490が延長されている印象を喚起させることができ、ひいては振分演出装置1444の大きさが比較的小さい場合でも、転動距離の長いダイナミックな演出を実現させることができる。また、遊技球の転動距離が長くなることから、比較的長い間、遊技者の注意を惹きつけることが可能になる。
また、通路構成部1513の右端部分には、回転軸1516によって回動可能に支持された停留手段1515と、回転軸1516を回転させることにより、停留手段1515の球受面1515aを停留可能位置(二点鎖線で示す)と解除位置(実線で示す)との間で切り替える停留モータ2560(図97参照)とが備えられており、開閉入賞装置1404に入賞し、排出路1518に排出された遊技球の一つを停留させるとともに、停留中の遊技球を所定のタイミングで放出させる(すなわち停留状態を解除する)ことが可能となっている。
この振分演出装置1444では、誘導部材1490の動作態様として複数の駆動パターンのうち、大当り抽選結果および演出抽選結果に基づいて、いずれかの一の駆動パターンが選択及び実行される。このため、遊技球の挙動だけではなく、誘導部材1490の動きも変化に富んだものとし、視覚的な面白みを一層高めることができる。なお、振分演出装置1444の駆動パターンに基づく動作制御は、周辺基板2811の演出制御手段(図示外)により実行される。
本実施形態では、少なくとも四つの駆動パターン(連続動作パターン、コマ送りパターン、可動範囲制限パターン及び固定パターン)が設けられている。そして、連続動作パターンが選択された場合には、誘導部材1490を略一定の速度で振り子のように回動させ、誘導部材1490の先端を夫々の流入口1480に順次対向させる動作を行う。コマ送りパターンが選択された場合には、誘導部材1490を断続的に動作させ、誘導部材1490の先端が夫々の流入口1480と対向する毎に一時的に停止させる動作を行う。このため、遊技球の停留状態が解除されるタイミングが同じで、且つ解除された時点の誘導部材1490の位置が同一であっても、互いに異なる流入口1480に到達する場合があり得ることとなり、ひいては誘導部材1490の駆動パターンと遊技球が解除されるタイミングとを互いに関連させながら遊技球の行方を注目させることが可能になる。
また、可動範囲制限パターンが選択された場合には、三つの流入口1480の中から選択された流入口を含む二つの流入口が特定され、誘導部材1490を、特定された二つの流入口に対してのみ対向するように回動させる動作を行う。このため、潜伏期待大領域として割り当てられた流入口の数が、潜伏期待小領域として割り当てられた流入口の数よりも少ないときであっても、例えば誘導部材1490の可動範囲が、二つの流入口(潜伏期待大領域及び潜伏期待小領域)の間に制限された場合には、遊技球を潜伏期待大領域に到達させる可能性が高くなったように感じさせることができ、遊技意欲を高めることが可能になる。
また、固定パターンが選択された場合には、誘導部材1490の先端を、潜伏期待大領域に対向した状態で固定させる。このため、この固定パターンになると、遊技球を潜伏期待大領域に到達させることが、ほぼ確定された状況となり、特定の遊技状態の発生に対する期待感を確実に高めるとともに、遊技者に優越感を与えることができる。
〔主基板及び周辺基板の構成〕
主基板及び周辺基板の構成について、図96及び図97に基づき説明する。図96及び図97は、制御構成を概略的に示すブロック図である。なお、これらの図面において太線の矢印は電源の接続及び方向を示し、細線の矢印は信号の接続及び方向を示している。本例のパチンコ機1の制御は、大きく分けて主基板2810のグループ(図96に示す)と、周辺基板2811のグループ(図97に示す)とで分担されており、このうち主基板2810のグループが遊技動作(入賞検出や当り判定、特別図柄表示、賞球払出等)を制御しており、周辺基板2811のグループが演出動作(発光装飾や音響出力、液晶表示、及び装飾体の動作等)を制御している。
図96に示すように、主基板2810は、主制御基板2094と払出制御基板2133とから構成されている。主制御基板2094は、中央演算装置としてのCPU2812、読み出し専用メモリとしてのROM2813、読み書き可能メモリとしてのRAM2814を備えている。CPU2812は、ROM2813に格納されている制御プログラムを実行することによりパチンコ機1で行われる各種遊技を制御したり、周辺基板2811や払出制御基板2133に出力するコマンド信号を作成したりする。RAM2814には、主制御基板2094で実行される種々の処理において生成される各種データや入力信号等の情報が一時的に記憶される。なお、主基板2810は、電源中継端子板2860を介して電源基板2131に接続されており、電源基板2131から作動用電力が供給されるようになっている。
この主制御基板2094の入力インタフェースには、第一始動口1420への入賞状態を検出する第一始動口センサ2416、第二始動口1421への入賞状態を検出する第二始動口センサ2358、全ての入賞口に対する入賞数をカウントするための全入賞口入賞数計数センサ2870が接続されている。また、パネル中継端子板2866を介して、通過ゲート1405に対して遊技球の通過したことを検出するゲートセンサ2990と、右側の一般入賞口1419に遊技球が入賞したことを検出する右一般入賞口センサ2417aと、左側及び中央側の一般入賞口1419に遊技球が入賞したことを検出する左・中一般入賞口センサ2417bとが接続され、さらにパネル中継端子板2866に接続された大入賞口中継端子板2867を介して大入賞口センサ2370が接続されている。そして、これらのセンサから検出信号が主制御基板2094に入力されるようになっている。また、主制御基板2094の入力インタフェースには、前枠体11の開放状態を検出する内枠開放スイッチ2862、及び前面枠4の開放状態を検出する扉開放スイッチ2863も接続されている。
一方、パネル中継端子板2866の出力インタフェースには、図柄制限抵抗基板2868を介して、普通図柄・特別図柄表示基板2869が接続されており、主制御基板2094から、普通図柄表示器(図示しない)及び特別図柄表示器1428(図74参照)へ駆動信号を出力することが可能になっている。また、大入賞口中継端子板2867の出力インタフェースには、開閉入賞装置1404を駆動するアタッカソレノイド1429、及び第二始動口1421の可動片1427を駆動する始動口ソレノイド2352が接続されており、主制御基板2094から、これらの駆動信号が出力されるようになっている。
一方、払出制御基板2133は、中央演算装置としてのCPU2815、読み出し専用メモリとしてのROM2816、及び読み書き可能メモリとしてのRAM2817を備えている。そして、払出制御基板2133は、主制御基板2094から入力したコマンド信号を処理し、賞球ユニット800や、発射制御基板2865に接続された発射モータ695に対して、駆動信号を出力する。これにより、賞球ユニット800は、駆動信号に従って遊技球を払い出し、発射モータ695は駆動信号に従って遊技球を発射させることが可能になる。なお、主制御基板2094と払出制御基板2133との間では、それぞれの入出力インタフェースを介して双方向通信が実施されており、例えば主制御基板2094が賞球コマンドを送信すると、これに応えて払出制御基板2133から主制御基板2094にACK信号が返される。また、払出制御基板2133には、満タンユニット900に貯えられる遊技球が満タンになったことを検出する満タンスイッチ916も接続されている。
また、主制御基板2094及び払出制御基板2133には、外部端子板2861が接続されており、第一始動口1420、第二始動口1421や開閉入賞装置1404への入賞状態、普通図柄・特別図柄の変動状態、及び抽選結果に基づく遊技状態等の各種情報が、遊技施設に設けられたホールコンピュータ等へ出力されるようになっている。
一方、周辺基板2811は、図97に示すように、周辺制御基板2830と液晶制御基板2832とから構成されている。なお、上記の主制御基板2094と周辺制御基板2830との間では、それぞれの入出力インタフェースと入力インタフェースとの間で一方向だけの通信が行われており、主制御基板2094から周辺制御基板2830へのコマンドの送信はあっても、その逆は行われない。また、周辺基板2811に対しても電源中継端子板2860を介して電源基板2131から作動用電力が供給されるようになっている。
周辺制御基板2830もまた、CPU2834をはじめROM2835やRAM2836等の電子部品を有しており、これら電子部品によって所定の演出制御プログラムを実行することが可能となっている。また、周辺制御基板2830には、音声や音楽の基となる音源を記憶したROM2883と、ROM2883に記憶された音源を基に、演出内容等に応じた音声や音楽を出力する音源IC2882とが設けられている。なお、周辺制御基板2830と液晶制御基板2832との間では、それぞれの入出力インタフェースとの間で双方向に通信が行われる。
一方、液晶制御基板2832には、演出表示装置として、液晶表示装置640(LCD)が接続されており、液晶制御基板2832は、周辺制御基板2830から送信されたコマンド信号を処理し、液晶表示装置640に対して駆動信号を出力する。詳しく説明すると、液晶制御基板2832には、CPU2851、RAM2857、ROM2854、VDP2884、及び画像ROM2885が備えられている。CPU2851は、周辺制御基板2830から送られてきたコマンド信号を入力インターフェイスを介して受信するとともに、そのコマンドを基に演算処理を行って、VDP2884の制御を行う。RAM2857は、CPU2851の作業領域を提供するとともに、表示コマンドに含まれる情報を一時的に記憶する。また、ROM2854は、CPU2851用(表示制御用)のプログラムを保持する。
VDP(ビデオディスプレイプロセッサ)2884は、液晶表示装置640に組み込まれたLCDドライバ(液晶駆動回路)を直接操作する描画回路である。VDP2884の内部には、レジスタが設けられており、VDP2884の動作モードや各種表示機能の設定情報等を保持しておくことが可能となっている。そして、このレジスタに保持される各種情報をCPU2851が書き換えることにより、液晶表示装置640における表示態様を種々変化させることが可能となる。画像ROM2885は、各種の画像データを記憶する不揮発性メモリであり、各種の表示図柄のビットマップ形式画像データ、及び、背景画像用のJPEG形式画像データ等が記憶されている。
また、周辺制御基板2830には、電飾制御基板2890及び駆動制御基板2891が接続されており、さらに、電飾制御基板2890には、枠状装飾ユニット1440に設けられた複数の発光基板、具体的には、上側部分に対応して設けられた上側発光基板2892a、右側部分に対応して設けられた右側発光基板2892b、左側部分に対応して設けられた左側発光基板2892cが夫々接続されている。さらに、電飾制御基板2890には、ステージ1443を照射するステージ発光基板2892dと、振分演出装置1444に設けられ流入口ユニット1481を照射する三つの振分発光基板1484とが接続されている。
<主制御基板の処理>
次に、主制御基板2094(特にCPU2812)で実行される制御処理の例について、図98乃至図108を参照して説明する。図98(a)は主制御基板2094に搭載されるCPU2812が実行するメイン処理の一例を示すフローチャートであり、(b)は電源断発生時処理の一例を示すフローチャートである。図99は、タイマ割込処理の一例を示すフローチャートである。図100は、特別図柄・特別電動役物制御処理の一例を示すフローチャートである。図101は、始動口入賞処理を示すフローチャートである。図102は、変動開始処理を示すフローチャートである。図103は、変動表示パターン設定処理の一例を示すフローチャートである。図104は、変動中処理の一例を示すフローチャートである。図105は、大当り遊技開始処理の一例を示すフローチャートである。図106は、小当り遊技開始処理の一例を示すフローチャートである。図107は、特別電動役物大当り制御処理の一例を示すフローチャートである。図108は、特別電動役物小当り制御処理の一例を示すフローチャートである。なお、タイマ割込処理は、主制御基板2094に搭載されるCPU2812により所定のタイミング(本実施形態では、4ms毎)で実行される。
図98(a)に示すように、パチンコ機1へ電力の供給が開始されると、CPU2812は、電源投入時処理を実行する(ステップS1)。この電源投入時処理では、RAM2814に記憶されているバックアップデータが正常であるか(停電発生時の設定値となっているか)否か判別し、正常であればRAM2814に記憶されているバックアップデータに従って停電発生時の状態に戻す処理(復電時処理)を実行し、バックアップデータが異常であればRAM2814をクリアしてCPU周辺のデバイス設定(通常の初期設定:割込タイミングの設定等)を行う。なお、遊技途中でパチンコ機1への電力供給が停止すると、RAM2814に現在の遊技状態がバックアップデータとして記憶される。また、電源投入時処理にてRAM2814に記憶されているバックアップデータのクリアを指示するRAM消去スイッチがオンであれば、RAM2814をクリアし、通常の初期設定を行う。また、電源投入時処理にて主制御基板2094に搭載されるRAM2814にバックアップデータが保存されていない場合には、RAM2814をクリアし、通常の初期設定を行う。また、電源投入時処理では、通常の初期設定を実行したときに周辺制御基板2830に主制御基板2094が起動したことを示す電源投入コマンドを送信可能な状態にセットする処理も実行される。電源投入コマンドは、主制御基板2094が起動したことを周辺制御基板2830に通知するものである。なお、遊技店の閉店時等にパチンコ機1への電力供給を停止した場合(電源を落とした場合)にもRAM2814にバックアップデータが記憶され、再びパチンコ機1への電力供給を開始したときには電源投入時処理が実行される。
電源投入時処理が終了すると、CPU2812は、遊技用の各処理を繰り返し実行するループ処理を開始する。このループ処理の開始時には、CPU2812は、まず、停電予告信号が検知されているか否かを判定する(ステップS2)。なお、この実施の形態では、パチンコ機1にて使用する電源電圧は、電源基板(図示しない)によって生成する。すなわち、パチンコ機1に搭載される複数種類の装置はそれぞれ異なる電源電圧で動作するため、外部電源からパチンコ機1に供給される電源電圧を電源基板にて所定の電源電圧に変換した後、各装置に供給している。しかして、停電が発生し、外部電源から電源基板に供給される電源電圧が所定の電源電圧以下となると、電源基板から主制御基板2094に電源電圧の供給が停止することを示す停電予告信号が送信される。そして、ステップS2で主制御基板2094に搭載されるCPU2812により停電予告信号を検知すると、電源断発生時処理を実行する(ステップS4)。この電源断発生時処理は、停電後に電源基板に供給される電源電圧(この実施の形態では、24V)が復旧した場合に(以下、復電と呼ぶ)、遊技機の動作を停電前の状態から開始するために停電発生時の状態をRAM2814にバックアップデータとして記憶する処理である。処理内容は後述するが、本実施例においては、図示する通り、電源断発生時処理は、割込処理ではなく、ループの開始直後に停電予告信号の検知有無に応じて実行される分岐処理としてメイン処理(主制御処理)内に組み込まれている。
ステップS2で停電予告信号が検知されていない場合、すなわち外部電源からの電力が正常に供給されている場合には、遊技にて用いられる各種乱数を更新する乱数更新処理2を行う(ステップS3)。なお、乱数更新処理2にて更新される乱数については後述する。
図98(b)は、電源断発生時処理(ステップS4)の一例を示すフローチャートである。上述したように、電源断発生時処理は、メイン処理において、停電予告信号が検出された時に実行される処理である。CPU2812は、まず、割込処理が実行されないように割込禁止設定を行う(ステップS4a)。そして、RAM2814のチェックサムを算出し、RAM2814の所定領域に保存する(ステップS4b)。このチェックサムは、復電時に停電前のRAM2814の内容が保持されているか否かをチェックするのに使用される。
次いで、CPU2812は、RAM2814の所定領域に設けられたバックアップフラグに、電源断発生時処理が行われたことを示す規定値を設定する(ステップS4c)。以上の処理を終えると、CPU2812は、RAM2814へのアクセスを禁止し(ステップS4d)、無限ループに入って電力供給の停止に備える。なお、この処理では、ごく短時間の停電等(以下、「瞬停」と呼ぶ)によって、電源電圧が不安定となることにより、電源断発生時処理が開始されてしまった場合、実際には電源電圧は停止されないため、上記処理では、無限ループから復帰することができなくなるおそれがある。かかる弊害を回避するため、本実施例のCPU2812には、ウォッチドックタイマが設けられており、所定時間、ウォッチドックタイマが更新されないとリセットがかかるように構成されている。ウォッチドックタイマは、正常に処理が行われている間は定期的に更新されるが、電源断発生時処理に入り、更新が行われなくなる。この結果、瞬停によって、電源断発生時処理に入り、図98の無限ループに入った場合でも、所定期間経過後にリセットがかかり、電源投入時と同じプロセスでCPU2812が起動することになる。
図99は、タイマ割込処理の一例を示すフローチャートである。上述したように、この実施の形態では、メイン処理の実行中に主制御基板2094に搭載されるCPU2812により4ms毎にタイマ割込処理が実行される。タイマ割込処理において、CPU2812は、レジスタの退避処理を実行した後(ステップS10)、ステップS11からステップS18の処理を実行する。ステップS11のスイッチ入力処理では、上述したスイッチ(ゲートスイッチ、始動口センサ、カウントセンサ、一般入賞スイッチ等)の検出信号を監視する処理を実行する。ステップS12の乱数更新処理1では、遊技にて用いられる各種乱数を更新する処理を実行する。なお、この実施の形態では、乱数更新処理1にて更新される乱数と、上述した乱数更新処理2にて更新される乱数と、は異なる。乱数については後述するが、乱数更新処理2にて更新される乱数を乱数更新処理1でも更新するようにしてもよい。ステップS13の払出動作処理では、スイッチ入力処理(ステップS11)にて検出された信号に基づいて払出制御基板2133に遊技球の払い出しを指示する払出コマンドを設定する。
また、ステップS14の普通図柄・普通電動役物制御処理では、遊技の進行状態に基づいて、普通図柄を変動させるとともに、普通電動役物(すなわち始動口ソレノイド2352によって開閉される可動片1427)を制御し、第二始動口1421の開閉状態を変化させる処理を実行する。ステップS15の特別図柄・特別電動役物制御処理では、遊技の進行状態に基づいて特別図柄表示器1428で第一特別図柄及び第二特別図柄を変動表示させたり、特別電動役物(すなわちアタッカソレノイド1429によって開閉される可動片1430を制御し、大入賞口の開閉状態を変化させたりする処理を実行する。ステップS16の出力データ設定処理では、パチンコ機1の外部(例えば、管理コンピュータ等)に遊技状態を示す状態信号を出力する処理、特図始動記憶ランプ(図示しない)に駆動信号を出力する処理、等を実行する。ステップS17のコマンド送信処理では、演出コマンドを周辺制御基板2830に送信する処理を実行する。また、コマンド送信処理では、パチンコ機1への電力供給が開始されたときに電源投入時処理(ステップS1)でセットされた電源投入コマンドを周辺制御基板2830に送信する処理も行われる。ステップS11からステップS17の処理を実行すると、レジスタの復帰処理(ステップS18)を実行して、処理を終了する。
ここで、上述した乱数更新処理1(ステップS12)および乱数更新処理2(ステップS3)で、主制御基板2094に搭載されるCPU2812により更新される各種乱数について説明する。この実施の形態では、遊技にて用いられる各種乱数として、条件装置の作動を伴う大当り遊技または条件装置の作動を伴わない小当り遊技を発生させるか否かの判定(大当り判定)に用いられる大当り判定用乱数、大当り判定において大当り遊技を発生させると判定されたときに大当りの種別(確率変動大当り、特殊大当り)の判定に用いられる大当り図柄用乱数、大当り判定において大当り遊技を発生させると判定されたときに特別図柄の停止図柄を決定するために用いられる大当り図柄用乱数、大当り判定にて大当り遊技を発生させないと判定されたときにリーチ態様を伴う外れとするか否かの判定(リーチ判定)に用いられるリーチ判定用乱数、特別図柄表示器1428に表示されている特別図柄の変動表示パターン(変動時間)を決定するために用いられる変動表示パターン乱数(変動時間用乱数)、可動片1427を開放状態に制御するか否かの判定(普通抽選当り判定)に用いられる普通当り判定用乱数、等がある。本例では、大当り判定用乱数を用いて小当り遊技を発生させるか否かの抽選も行われる。なお、リーチ判定用乱数を用いて特別図柄の変動表示パターンを決定するとともに、液晶表示装置640にて表示制御される装飾図柄の変動表示パターンを決定するようにしてもよい。
これらの乱数のうち、乱数更新処理1では、大当り遊技の発生に関わる大当り判定用乱数、大当り図柄用乱数、および可動片1427を開放状態に制御するか否かに関わる普通図柄当り判定用乱数の更新を行う。すなわち、大当り遊技の発生および可動片1427を開放状態に制御するか否かに関わる判定に用いられる乱数は所定のタイミングとして4ms毎に更新される。このようにすることにより、それぞれの乱数での所定期間における確率(大当り遊技を発生させると判定する確率、可動片1427を開放状態に制御すると判定する確率)を一定にすることができ、遊技者不利な状態となることを防止できる。一方、乱数更新処理2では、大当り遊技の発生および普通抽選に関わらないリーチ判定用乱数および変動表示パターン乱数等の更新を行う。
なお、本実施形態では、条件装置の作動を伴う大当りの種別は、大当り遊技後に確率変動機能および時短機能を作動させる当り(確率変動大当りおよび特殊大当り)のみから構成されている。なお、確率変動大当りおよび特殊大当りは、それぞれの大当り遊技の実行内容が異なっている。そして、確率変動大当りおよび特殊大当りのいずれに当選した場合であっても、大当り遊技が終了したのちの遊技状態は、常に確率変動機能および時短機能を作動する特定の遊技状態となる。そして、この特定の遊技状態は、特別図柄の変動回数(即ち、特別図柄の抽選回数)が所定回数(例えば70回)行われると、通常時に戻る。
図100は、特別図柄・特別電動役物制御処理(ステップS15)の一例を示すフローチャートである。特別図柄・特別電動役物制御処理において、CPU2812は、ステップS20からステップS90の処理を実行する。ステップS20の始動口入賞処理では、第一始動口1420または第二始動口1421に遊技球が入賞したか否かを判別し、入賞した場合に抽選の保留状態を更新する処理を実行する。ステップS30の変動開始処理では、夫々の大当り抽選における始動記憶数(保留数)を確認し、始動記憶数(合計始動記憶数)が0でなければ、それに対応する特別図柄の変動表示を開始するための設定を行う。詳しくは後述するが具体的には、大当り遊技を発生させるか否かの判定を行い、大当り遊技を発生させる場合には、大当りの種別を判定する。ステップS40の変動パターン設定処理では、各特別図柄および各装飾図柄の変動表示に関わる設定を行う。詳しくは後述するが具体的には、夫々の特別図柄の変動表示パターンを決定し、当該変動表示パターンに対応して設定される変動時間(特別図柄表示器1428にて特別図柄の変動表示を開始してから停止するまでの時間)をタイマにセットする。
ステップS50の変動中処理では、変動表示パターン設定処理(ステップS40)で変動時間が設定されたタイマを監視し、タイマがタイムアウトしたことに基づいて第一特別図柄表示器2390aまたは第二特別図柄表示器2390b(特別図柄表示器1428に相当)における特別図柄の変動表示を停止させる処理を行う。このとき、変動開始処理(ステップS30)にて何れか一方の大当り抽選で大当り遊技とする判定がなされていれば、処理選択フラグを「3」に更新し、同抽選で小当り遊技とする判定がなされていれば、処理選択フラグを「4」に更新し、大当りまたは小当り遊技とする判定がなされていなければ処理選択フラグを「0」に更新する。
ステップS60の大当り遊技開始処理では、大当り遊技を開始するための設定を行う。具体的には後述するが、大当りの種類に応じて可動片1430の開放回数や開放時間等の設定を行う。また、ステップS70の小当り遊技開始処理では、小当り遊技を開始するための設定を行う。具体的には後述するが、小当りにおける可動片1430の開放回数や開放時間等の設定を行う。ステップS80の特別電動役物大当り制御処理では、大入賞口を開放させるとともに、所定個数の遊技球が大入賞口に入賞したとき、または、所定期間が経過したとき可動片1430を閉塞状態にするための処理を行う。また、大当り遊技におけるラウンド回数が所定回数に達していなければ、再び、可動片1430を開放状態にするための処理を行い、大当り遊技におけるラウンド回数が所定回数に達したときには、処理選択フラグを「5」に更新する。また、ラウンド回数が所定回数に達した後、確率変動機能及び時短機能を作動させる処理を実行する。ステップS90の特別電動役物小当り制御処理では、大入賞口を開放させるとともに、所定個数の遊技球が大入賞口に入賞したとき、または、所定期間が経過したとき可動片1430を閉塞状態にするための処理を行う。なお、詳細は後述するが、特別電動役物小当り制御処理における大入賞口の開放は、特別電動役物大当り制御処理(ステップS80)に比べて、遊技者への利益が極めて低くなるように設定されている。次に、ステップS20〜ステップS90における具体的な処理について説明する。
図101に示すように、始動口入賞処理では、まず、第二始動口センサ2358から検出信号が出力されたか否かを判別し、第二始動口センサ2358から検出信号が出力された場合には、第二始動口1421に遊技球が入賞したと判別し(ステップS201にてYES)、第二始動口センサ2358からの検出信号が出力されていなければ第二始動口1421に遊技球が入賞していない(ステップS201にてNO)と判別する。ステップS201にて第二始動口1421に遊技球が入賞したと判別したときには、第二大当り抽選用の各種乱数(大当り判定用乱数、大当り図柄用乱数、等)を取得し、RAM2814に設けられている第二保留球数カウンタの値が上限値となる4未満であるか否かを判別する(ステップS202)。そして、ステップS202で第二保留球数カウンタが4未満であれば、演出判定処理(ステップS203)、第二始動保留記憶処理(ステップS204)、及び保留履歴更新処理(ステップS205)を実行する。なお、これらの処理については後述する。また、ステップS202で第二保留球数カウンタの値が4である場合には、第二始動保留記憶処理及び保留履歴更新処理を実行しない。このようにして、第二始動口1421への遊技球の入賞に基づいて内部的な大当り抽選が行われる。なお、ステップS203の演出判定処理は本実施形態において必須の構成ではない。
一方、ステップS201で第二始動口センサ2358から検出信号が出力されていない場合(ステップS201にてNO)、または第二保留球数カウンタの値が4である場合(ステップS202にてNO)には、第一始動口1420に遊技球が入賞したか否かを判別する(ステップS206)。具体的には、第一始動口センサ2416から検出信号が出力されたか否かを判別する。ステップS206にて第一始動口1420に遊技球が入賞したと判別したときには(YES)、第一大当り抽選用の各種乱数を取得し、RAM2814に設けられている第一保留球数カウンタの値が上限値となる4未満であるか否かを判別する(ステップS207)。そして、ステップS207で第一保留球数カウンタが4未満であれば、演出判定処理(ステップS208)、第一始動保留記憶処理(ステップS209)、及び保留履歴更新処理(ステップS210)を実行する。なお、ステップS207で第一保留球数カウンタの値が4である場合には、第一始動保留記憶処理及び保留履歴更新処理を実行しない。
図102に示すように、変動開始処理では、まず、処理フラグが「0」か否かを判別し、「0」である場合(ステップS301にてYES)には、ステップS302以降の処理を実行し、「0」でない場合(ステップS301にてNO)には、変動開始処理を終了する。ステップS302では、夫々の特別図柄表示器2390a,2390bに対応する二つの保留球数カウンタの値(第一始動記憶数及び第二始動記憶数)がともに「0」であるか否かを判別する。二つの保留球数カウンタの値の和は、始動記憶の保存領域(特別図柄用乱数記憶手段2939,2940(図118参照))に格納される乱数値の個数を示すものであるため、ステップS302においていずれの保留球数カウンタの値がともに「0」であれば(YES)、第一大当り抽選及び第二大当り抽選に関する始動条件が成立していないと判別されてステップS317に移行する。
一方、ステップS302で何れかの保留球数カウンタの値が「0」でなければ(NO)、始動記憶移行処理を実行する(ステップS303〜ステップS311)。図118(a)に示すように、第一特別図柄用乱数記憶手段2939には、四つの記憶領域(記憶領域[1]2939a〜記憶領域[4]2939d)が設けられており、第一始動記憶数(「1」〜「4」)の値にそれぞれ対応付けられている。また、図118(b)に示すように、第二特別図柄用乱数記憶手段2940にも、四つの記憶領域(記憶領域[1]2940a〜記憶領域[4]2940d)が設けられており、第二始動記憶数(「1」〜「4」)の値にそれぞれ対応付けられている。各記憶領域2939a〜2939d,2940a〜2940dは、大当り判定用乱数が記憶される大当り判定用乱数記憶領域2946と、大当り図柄用乱数が記憶される大当り図柄用乱数記憶領域2947とを有している。そして、始動記憶移行処理では、まず、第二特別図柄表示器2390bに対応する保留球数カウンタの値(第二始動記憶数)が「0」であるか否か、すなわち第二特別図柄用乱数記憶手段2940の記憶領域[1]2940aに乱数が記憶されていないかを判別し(ステップS303)、乱数が記憶されていれば(NO)、n番目(nは2以上の自然数)の各記憶領域(記憶領域[2]2940b〜記憶領域[4]2940d)に記憶される各種乱数を、n−1番目の記憶領域(記憶領域[1]2940a〜記憶領域[3]2940c)に夫々シフトする処理(ステップS304)と、記憶領域[1]2940aに記憶されていた第二特別図柄に関する乱数を取得する処理(ステップS305)とを実行する。また、特別図柄変動フラグに「1」をセットする(ステップS306)とともに、第二特別図柄に対応する保留球数カウンタを「1」減算する処理(ステップS307)を実行する。
一方、第二特別図柄用乱数記憶手段939の記憶領域[1]2940aに乱数が記憶されていない場合、すなわち第二特別図柄表示器2390bに対応する保留球数カウンタの値が「0」の場合には(ステップS303にてYES)、第一特別図柄用乱数記憶手段2939のn番目(nは2以上の自然数)の各記憶領域(記憶領域[2]2939b〜記憶領域[4]2939d)に記憶される各種乱数を、n−1番目の記憶領域(記憶領域[1]2939a〜記憶領域[3]2939c)に夫々シフトする処理(ステップS308)と、記憶領域[1]2939aに記憶されていた第一特別図柄に関する乱数を取得する処理(ステップS309)とを実行する。また、第一特別図柄に対応する保留球数カウンタを「1」減算する処理(ステップS311)を実行する。つまり、第一特別図柄に関して言えば、保留する際には、第二特別図柄の場合と同様に、保留球数カウンタの値(第一始動記憶数)を「1」増やすとともに、抽出した乱数を、第一始動記憶数の値に対応した記憶領域に格納するが、第一特別図柄の変動を開始する際には第二始動記憶数が「0」である場合のみ、すなわち第一特別図柄による第一処理が待機中であり且つ第二特別図柄による第二処理が待機中でない場合に限り、第一特別図柄用乱数記憶手段2939の1番目の記憶領域「1」2939aから各乱数を読み出すようにしている。そして、この制御により第二処理を第一処理よりも優先的に行わせることを可能にしている。
その後、確率変動機能作動中か否か、すなわち高確率である特定の遊技状態か否かを判別し(ステップS312)、確率変動機能作動中でない場合には(ステップS312にてNO)、確率変動未作動時(通常時)の大当り判定テーブル、すなわち大当りとなる確率が低く設定されたテーブルを選択し、一方、確率変動機能作動中の場合には(ステップS312にてYES)、確率変動作動時(高確率時)のテーブル、すなわち大当りとなる確率が高く設定されたテーブルを選択する。なお、本例では、確率変動未作動時(すなわち通常時)には、大当りとなる確率が6/499に設定され、確率変動作動時(すなわち高確率時)には、大当りとなる確率が60/499に設定されている。
ステップS313またはステップS314においていずれかのテーブルが選択された後、そのテーブルに基づき、ステップS305またはステップS309にて取得された、いずれかの特別図柄に関する乱数が、大当りに相当する乱数(大当り乱数)であるか否かを判別する(ステップS315)。そして、大当り乱数である場合には(ステップS315にてYES)、大当りフラグを「ON」にし(ステップS316)、ステップS317に移行する。一方、取得した乱数が大当り乱数ではない場合には(ステップS315にてNO)、その乱数が小当りに相当する乱数(小当り乱数)であるか否かを判別する(ステップS318)。そして、小当り乱数である場合には(ステップS318にてYES)、小当りフラグを「ON」にして(ステップS319)、ステップS317に移行し、一方、小当り乱数ではない場合には(ステップS318にてNO)、ステップS319を経由することなく、ステップS317に移行する。ステップS317では、処理フラグを「1」に更新し、変動開始処理を終了する。なお、大当りフラグおよび小当りフラグのON/OFF状態(セット状態、リセット状態)は、RAM814に記憶される。また、大当りフラグおよび小当りフラグのOFF状態(リセット状態)とは「0」の値がセットされることであり、大当りフラグおよび小当りフラグのON状態(セット状態)とは「1」の値がセットされることである。
図103に示す変動パターン設定処理では、まず、処理フラグが「1」か否かを判別し、ステップS317によって「1」となっている場合(ステップS401にてYES)には、ステップS402以降の処理を実行し、「1」でない場合(ステップS401にてNO)には、変動パターン設定処理を終了する。ステップS402では、大当りフラグが「ON」か否かを判別し、ステップS316によって「ON」となっている場合(ステップS402にてYES)には、取得された乱数を基に、確率変動大当りまたは特殊大当りのいずれの大当りであるのかを判別する(ステップS404)。詳しくは後述するが、確率変動大当りおよび特殊大当りのいずれの大当りも、「その後の抽選において、特別図柄の変動が所定回数行われるまで、特定の利益が付与される確率を通常時よりも高く設定した確率変動を実行し、且ついずれかの特別図柄表示器1428で変動する特別図柄の変動時間を短縮させる(通常時よりも相対的に短くする)とともに、第二始動口1421への入賞のしやすさを通常よりも増加させるようにした時短機能を作動させる」ことは、共通しているが、特殊大当りと確率変動大当りとでは、遊技者に与える利益の程度が大きく異なるように設定されている。つまり、確率変動大当りでは、可動片1430の一回当りの開放時間が、複数個(例えば10個)の遊技球がゆとりを持って入賞できる程度の時間に設定されているとともに、可動片1430の開閉動作を、多くの利益を付与する回数(例えば7回)行うように制御される。これに対し、特殊大当りでは、可動片1430の一回当りの開放時間が、数個(例えば一または二個)の遊技球が辛うじて入賞できる程度の時間に設定されているとともに、可動片1430の開閉動作を例えば二回行うように制御される。
ステップS404において、特殊大当りでないと判別された場合、すなわち確率変動大当りであると判別された場合には(NO)、確変大当り時変動表示パターンテーブルを選択し(ステップS405)、一方、特殊大当りであると判別された場合には(ステップS404にてYES)、確変特殊当り時変動表示パターンテーブルを選択する(ステップS406)。
一方、ステップS402において、大当りフラグが「ON」ではないと判別された場合には(NO)、小当りフラグが「ON」か否かを判別し(ステップS408)、ステップS319によって「ON」となっている場合には(ステップS408にてYES)、小当り時変動表示パターンテーブルを選択する(ステップS409)。また、小当りフラグが「ON」となっていない場合には(ステップS408にてNO)、取得されたリーチ判定用乱数がリーチに相当する乱数(リーチ値)か否かを判別し(ステップS410)、リーチ値である場合には(ステップS410にてYES)、はずれリーチ時変動表示パターンテーブルを選択し(ステップ411)、リーチ値でない場合には(ステップS410にてNO)、はずれ時変動表示パターンテーブルを選択する(ステップS412)。
このように、いずれかのステップにおいて、変動表示パターンテーブルが選択されると、その変動表示パターンテーブル、及びステップS305またはステップS309のいずれかにおいて取得された変動表示パターン乱数に基づいて、変動表示パターンを決定する(ステップS413)。次いで、ステップS413で決定した変動表示パターンを指定する演出コマンドとして選択値をセットし(ステップS414)、当該変動表示パターンに応じた変動時間を主制御基板2094に搭載されるRAM2814に設けられたタイマ(この実施の形態では、有効期間タイマ)にセットする(ステップS415)。ステップS415では、ステップS413で決定した変動表示パターンに設定されている変動時間を有効期間タイマにセットする。なお、ステップS414でセットされた変動表示パターンコマンドは、コマンド伝送出力処理にて周辺制御基板2830に送信される。また、変動表示パターンコマンドをコマンド伝送出力処理で周辺制御基板2830に送信するときには、第一特別図柄表示器2390a及び第二特別図柄表示器2390bに駆動信号を出力し、特別図柄の変動表示を開始させる。その後、処理フラグを「2」に更新し(ステップS416)、変動パターン設定処理を終了する。
図104に示す変動中処理では、まず、処理フラグが「2」か否かを判別し(ステップS501)、ステップS416によって「2」となっている場合には(ステップS501にてYES)、ステップS502以降の処理を実行し、「2」でない場合(ステップS501にてNO)には、変動中処理を終了する。ステップS502では、第一特別図柄表示器2390aまたは第二特別図柄表示器2390bにて第一特別図柄または第二特別図柄が変動中か否かを判別し、変動中の場合には、第一特別図柄または第二特別図柄の変動時間がタイムアップしたか否かを判別する(ステップS503)。そして、変動時間がタイムアップした際、すなわち変動時間が終了した場合には(ステップS503にてYES)、その変動を停止させる(ステップS504)。なお、いずれの特別図柄も変動していない場合(ステップS502にてNO)、または変動時間が終了していない場合(ステップS503にてNO)には、特別図柄の変動を停止させることなく変動中処理を終了する。
ステップS504によって特別図柄の変動を停止させた後、大当りフラグが「ON」か否かを判別し(ステップS505)、大当りフラグが「ON」の場合には、処理フラグを「3」に更新する(ステップS506)。一方、大当りフラグが「ON」でない場合には(ステップS505にてNO)、小当りフラグが「ON」か否かを判別し(ステップS507)、「ON」の場合には処理フラグを「4」に更新し(ステップS508)、「ON」でない場合には処理フラグを「0」に更新する(ステップS509)。このように、ステップS506、ステップS508、またはステップS509のいずれかにおいて処理フラグを更新した後、変動中処理を終了する。
図105に示す大当り遊技開始処理では、まず、処理フラグが「3」か否かを判別し、ステップS506によって「3」となっている場合には(ステップS601にてYES)、ステップS602以降の処理を実行し、「3」でない場合には(ステップS601にてNO)、大当り遊技開始処理を終了する。ステップS602では、確率変動機能が作動中か否かを判別する。後述するように、大当り遊技が実行されているときは確率変動機能が作動しないため、大当り遊技が開始される前の遊技状態において確率変動機能が作動している場合(ステップS602にてYes)には、確率変動機能の作動を停止する(ステップS603)。次いで、ステップS604では、時短機能が作動中か否かを判別する。時短機能が作動している場合(ステップS604にてYes)には、時短機能の作動を停止する(ステップS605)。なお、本実施形態では、確率変動機能が作動中であれば常に時短機能も作動しているため、ステップS604の処理を省略することができる。そして、確変機能の作動を停止したのち、時短機能の作動を停止し(ステップS605)、ステップS606の処理に移行する。
ステップS606では、大当りの種類が、確率変動大当りであるか特殊大当りであるかを判別し、確率変動大当りである場合には(ステップS606にてNO)、可動片1430による大入賞口の開放条件、すなわち大当り用開放回数(例えば最大7回)、一回当りの開放時間(例えば最大18秒)、及び大入賞口への入賞制限個数(例えば一回当り最大10個)を設定する(ステップS607)。一方、大当りが特殊大当りである場合には(ステップS606にてYES)、大入賞口における特殊当り用開放回数(例えば二回)、入賞制限個数(例えば6個)、及び一回当りの開放時間(例えば1.8秒)を設定する(ステップS608)。その後、処理フラグを「5」に更新し(ステップS609)、大当り遊技開始処理を終了する。
一方、図106に示す小当り遊技開始処理では、まず、処理フラグが「4」か否かを判別し、ステップS508によって「4」となっている場合には(ステップS701にてYES)、ステップS702及びステップS703の処理を実行し、処理フラグが「4」でない場合には(ステップS701にてNO)、ステップS702及びステップS703の処理を実行することなく小当り遊技開始処理を終了する。ステップS702では、小当りの場合における大入賞口の開放条件、すなわち可動片1430による大入賞口の小当り用開放回数、及び一回当りの開放時間が夫々設定される。なお、小当りにおける開放回数、入賞制限個数、及び開放時間は、特殊大当りの場合に設定される条件(ステップS608)と同一になるように設定されている。すなわち、特殊大当りと小当りとを、視覚的に判別することができないように設定されている。その後、処理フラグが「6」に更新され(ステップS703)、小当り遊技開始処理を終了する。
図107に示す特別電動役物大当り制御処理では、まず、処理フラグが「5」か否かを判別し、ステップS609によって「5」となっている場合には(ステップS801にてYES)、ステップS802以降の処理を実行し、「5」でない場合には(ステップS801にてNO)、特別電動役物大当り制御処理を終了する。ステップS802では、大入賞口が開放中か否かを判別し、開放中の場合には(YES)、大入賞口の開放時間(開放した後の経過時間)が、予め設定した所定時間に達したか否かを判別し(ステップS803)、経過した場合には(ステップS803にてYES)、可動片1430を作動させて大入賞口を閉鎖する(ステップS805)。なお、設定された開放時間まで経過していない場合でも(ステップS803にてNO)、大入賞口が開放された後に大入賞口に入賞した遊技球の個数が、ステップS607で設定された制限個数(例えば10個)を超えた場合には(ステップS804にてYES)、ステップS805に移行して大入賞口を閉鎖する。また、大入賞口の開放時間が設定時間に到達しておらず(ステップS803にてNO)、しかも遊技球の入賞個数が制限個数に達していない場合には(ステップS804にてNO)、特別電動役物大当り制御処理を終了する。
一方、ステップS802において、大入賞口が開放中でない場合には(NO)、可動片1430による大入賞口の開放回数が、ステップS607で設定された大当り用開放回数、またはステップS608で設定された特殊当り用開放回数に、到達したか否かを判別する(ステップS806)。そして、到達していない場合には(ステップS806にてNO)、可動片1430を制御して大入賞口を開放し(ステップS807)、特別電動役物大当り制御処理を終了する。これにより多量の遊技球を大入賞口に入賞させることが可能になる。
ステップS806において大入賞口の開放回数が設定された回数に達した場合(YES)、すなわち、大当り遊技が終了した場合には、ステップS808〜ステップS813の処理を実行し、その後の抽選に対しての遊技状態を設定する。具体的には、まず、大当りフラグを「OFF」としたのち(ステップS808)、常に、確率変動機能の作動処理を行う(ステップS810)と共に、時短機能の作動処理を行う(ステップ812)。即ち、ステップS808においてOFFにされた大当りフラグの種別に拘らず、常に、確率変動機能および時短機能の両方を作動させる。なお、ここで設定された確率変動機能の作動および時短機能の作動は、上述したとおり、特別図柄の変動が所定回数行われたことを条件として解除される(作動が停止する)。その後、処理フラグを「0」に更新し(ステップS813)、特別電動役物大当り制御処理を終了する。
図108に示す特別電動役物小当り制御処理では、まず、処理フラグが「6」か否かを判別し、ステップS703によって「6」となっている場合には(ステップS901にてYES)、ステップS902以降の処理を実行し、「6」でない場合には(ステップS901にてNO)、特別電動役物小当り制御処理を終了する。ステップS902では、大入賞口に対する遊技球の入賞数が、予め設定された最大入賞数に達したか否かを判別し(ステップS902)、まだ最大入賞数に達していない場合には(NO)、大入賞口が開放中か否かを判別する(ステップS903)。そして、ステップS903において、大入賞口が開放中であると判別された場合には(YES)、大入賞口の開放時間(開放した後の経過時間)が、予め設定した所定時間に達したか否かを判別し(ステップS904)、経過した場合には(ステップS904にてYES)、可動片1430を作動させて大入賞口を閉鎖する(ステップS905)。その後、大入賞口の開放回数が予め定めた所定回数(例えば二回)に達したか否かを判別し(ステップS906)、その回数に達した場合には(YES)、処理フラグを「0」に更新し(ステップS907)、特別電動役物小当り制御処理を終了する。なお、ステップS904において大入賞口の開放時間が所定時間に達していない場合(NO)、またはステップS906において開放回数が所定回数に達していない場合には(NO)、ステップS907の処理を実行することなく、特別電動役物小当り制御処理を終了する。また、ステップS903において、大入賞口が開放中でない場合には(NO)、大入賞口を開放し、遊技球の入賞を可能とする(ステップS908)。また、ステップS902において、大入賞口に対する遊技球の入賞数が、予め設定された最大入賞数に達した場合には(YES)、大入賞口が開放中か否かを判別し(ステップS909)、開放中の場合には(YES)、大入賞口を閉鎖し(ステップS910)、ステップS907に移行する。一方、大入賞口が開放中でない場合には(ステップS909にてNO)、ステップS910の処理を実行することなく、ステップS907に移行する。ステップS907では処理フラグを「0」に更新する。
<周辺制御基板の処理>
次に、周辺制御基板2830に搭載される統合CPU2834によって実行される処理について説明する。図109はサブメイン処理の一例を示すフローチャートであり、図110は16ms定常処理の一例を示すフローチャートである。
図109に示すように、パチンコ機1への電力供給が開始されると、統合CPU2834は、初期設定処理を行う(ステップS1001)。この初期設定処理では、周辺制御基板2830に搭載される統合RAM2836をクリアする処理等が行われる。なお、この初期設定処理中では割込禁止となっており、初期設定処理のあと割込許可となる。初期設定処理(ステップS1001)が終了すると、16ms経過フラグTがセットされたか否かを監視するループ処理を開始する(ステップS1002)。
この実施の形態では、統合CPU2834は、2ms経過毎に割込を発生させ、2ms定常処理を実行する。2ms定常処理では、16ms経過監視カウンタをカウントアップする(16ms経過監視カウンタを1加算する)処理が実行され、16ms経過監視カウンタの値が8になったとき、すなわち、16ms経過したときに16ms経過フラグTをセットするとともに、16ms経過監視カウンタをリセットする(0にする)処理が実行される。このように、16ms経過フラグTは、2ms定常処理にて16ms毎に「1」に設定(セット)され、通常は「0」に設定(リセット)されている。ステップS1002で16ms経過フラグがセットされている(16ms経過フラグTが「1」)ときには、16ms経過フラグをリセットした後(ステップS1003)、16ms定常処理を行う(ステップS1004)。
この16ms定常処理では、主制御基板2094から受信した演出コマンドに基づいて液晶表示装置640、枠ランプ,遊技盤ランプ、スピーカ等を制御する処理が実行される。16ms定常処理が終了すると、再びステップS1002に戻り、16ms経過フラグTがセットされる毎に、つまり16ms毎に上述したステップS1003〜ステップS1004を繰り返し行う。一方、ステップS1002で16ms経過フラグTがセットされていない(16ms経過フラグTが「0」)ときには、16ms経過フラグTがセットされるまでループ処理を行う。
図110は、サブメイン処理にて16ms毎に実行される16ms定常処理の一例を示すフローチャートである。16ms定常処理において、サブ統合CPU2834は、ステップS1100〜ステップS1600の処理を実行する。ステップS1100のコマンド解析処理では、主制御基板2094から受信した演出コマンドを解析する。ステップS1200の演出制御処理では、変動表示パターンコマンドに基づいて液晶表示装置640に関わる制御処理を実行する。具体的には、装飾図柄の停止図柄の決定等を行う。
また、ステップS1300の音制御処理では、演出効果を促進させる効果音(例えばBGM)を発生させるための、スピーカに関わる制御処理を実行する。ステップS1400のランプ制御処理では、遊技盤ランプ、枠ランプに関わる制御処理を実行する。ステップS1500の情報出力処理では、電飾制御基板2890及び駆動制御基板2891にランプ演出コマンドを送信する。ステップS1600の乱数更新処理では、演出制御処理(ステップS1200)で各種設定に用いられる乱数を更新する処理を実行する。
なお、16ms定常処理におけるステップS1100〜ステップS1600の処理は16ms以内に終了する。仮に、16ms定常処理を開始してから当該16ms定常処理の終了までに16ms以上かかったとしても、16ms定常処理を開始してから16ms経過したときに直ぐに16ms定常処理を最初から(後述するステップS1100のコマンド解析処理から)実行しない。すなわち、16ms定常処理の実行中に16ms経過したときには、16ms経過フラグのセットのみを行い、当該16ms定常処理の終了後にステップS1002で16ms経過フラグがセットされていると判別されたときに16ms定常処理を開始する。
また、この実施の形態では、16ms定常処理にて乱数更新処理(ステップS1600)を実行して各種乱数を更新するように構成しているが、各種乱数を更新する時期(タイミング)はこれに限られるものではない。例えば、サブメイン処理におけるループ処理および16ms定常処理のいずれか一方または両方にて各種乱数を更新するように構成してもよい。
図111は、コマンド解析処理(ステップS1100)の一例を示すフローチャートである。コマンド解析処理において、統合CPU2834は、まず、主制御基板2094から演出コマンドを受信したか否かを判別する(ステップS1101)。この実施の形態では、主制御基板2094から演出コマンドを受信すると、16ms定常処理等の他の処理を中断してコマンド受信割込処理を発生させ、受信したコマンドを、周辺制御基板2830に搭載される統合RAM2836における受信コマンド格納領域に保存する。なお、受信コマンド格納領域は、演出コマンドの受信順に対応して複数の領域が設けられ、コマンド受信割込処理では、演出コマンドの受信順に対応して各領域に保存する。ステップS1101では、受信コマンド格納領域の内容を確認し、演出コマンドが記憶されていれば、受信コマンド格納領域の受信順が先の演出コマンドを読み出す(ステップS1102)。
そして、読み出した演出コマンドが変動表示パターンコマンドであるか判別し(ステップS1103)、読み出した演出コマンドが変動表示パターンコマンドであれば(ステップS1103にてYES)、変動表示パターン受信フラグをセットするとともに、周辺制御基板2830に搭載される統合RAM2836における変動表示パターン格納領域に格納する(ステップS1104)。
一方、読み出した演出コマンドが変動表示パターンコマンドでなければ(ステップS1103にてNO)、読み出した演出コマンドが確変大当りコマンドであるか判別し(ステップS1105)、読み出した演出コマンドが確変大当りコマンドであれば(ステップS1105にてYES)、確変大当りフラグをセットする(ステップS1106)。また、読み出した演出コマンドが確変大当りコマンドでなければ(ステップS1105にてNO)、受信した演出コマンドに対応したフラグをセットする(ステップS1107)。
図112は、演出制御処理(ステップS1200)の一例を示すフローチャートである。演出制御処理において、統合CPU2834は、遊技の進行状態を示す処理選択フラグの値を参照してステップS1210〜ステップS1230のうちいずれかの処理を行う。
処理選択フラグが「0」のときに実行される装飾図柄変動開始処理(ステップS1210)では、変動表示パターンコマンドを受信していれば装飾図柄の変動表示を開始させるための設定を行う。具体的には、変動表示パターンコマンドおよび確変大当りコマンドに応じて装飾図柄の停止図柄を決定する。
処理選択フラグが「1」のときに実行される装飾図柄変動処理(ステップS1220)では、変動停止コマンドを受信したときに電飾制御基板2832に表示コマンドを送信して装飾図柄の変動表示を停止させる制御を行う。
処理選択フラグが「2」のときに実行される大当り表示処理(ステップS1230)では、主制御基板2094から送信される大当り開始コマンドに応じて液晶表示装置640に大当り遊技の開始を示す表示や大当り遊技中の表示(例えば、ラウンド表示等)をさせる制御を行う。
図113は、装飾図柄変動開始処理(ステップS1210)の一例を示すフローチャートである。装飾図柄変動開始処理において、統合CPU2834は、まず、変動表示パターン受信フラグがセットされているか判別する(ステップS1221)。変動表示パターン受信フラグは、上述したコマンド解析処理(ステップS1100)のステップS1104でセットされ、主制御基板2094から変動表示パターンコマンドを受信したことを示すフラグである。ステップS1221で変動表示パターン受信フラグがセットされていなければ(NO)、変動表示パターンコマンドを受信していないと判別して処理を終了する。
一方、変動表示パターン受信フラグがセットされていれば(ステップS1221にてYES)、変動表示パターン受信フラグをリセットし(ステップS1222)、受信した変動表示パターンコマンドに基づく変動表示パターンが大当りを発生させる変動表示パターンであるか(当りパターンであるか)判別する(ステップS1223a)。
変動表示パターンが当りパターンでなければ(ステップS1223aにてNO)、外れ図柄の停止図柄を決定する(ステップS1224)。また、変動表示パターンが当りパターンであれば(ステップS1223aにてYES)、確変大当りフラグがセットされているか判別し(ステップS1223b)、確変大当りフラグがセットされていれば(YES)、確変大当り図柄の停止図柄を決定し(ステップS1225)、確変大当りフラグがセットされていなければ(ステップS1223bにてNO)、特殊大当り図柄の停止図柄を決定する(ステップS1226)。また、確変大当りフラグは、大当り表示処理(ステップS1230)にて大当り遊技を開始するときにリセットされる。なお、確変大当りフラグがリセットされる時期はこれに限らず、例えば、装飾図柄変動処理(ステップS1220)で装飾図柄の変動表示を停止させるとき、具体的には、変動停止コマンドを受信したときにリセットするようにしてもよいし、大当り表示処理(ステップS1230)で大当り遊技を終了するときにリセットするようにしてもよい。
なお、本実施形態では、確率変動大当りに当選したことに基づく確変大当り図柄は、複数の装飾図柄がゾロ目またはチャンス目となる態様の図柄組み合わせである。また、特殊大当りに当選したことに基づく特殊大当り図柄は、上記のゾロ目またはチャンス目とは異なり、複数の装飾図柄がそれぞれ異なる停止図柄(所謂、ハズレ目)となる図柄組み合わせである。なお、装飾図柄の停止態様については、詳細は後述する。
次いで、統合CPU2834は、変動表示パターンと、ステップS1225,S1226,S1227で決定した共通装飾図柄列の停止図柄とに応じた表示コマンドをセットする(ステップS1228)。そして、処理選択フラグを「1」に更新して処理を終了する(ステップS1229)。なお、ステップS1228でセットされた表示コマンドは、情報出力処理(ステップS1500)にて電飾制御基板2832に送信され、電飾制御基板2832に搭載される表示CPU2851により当該表示コマンドを受信したことに基づいて液晶表示装置640にて装飾図柄の変動表示の実行を開始する。
<本パチンコ機の機能的構成>
続いて、特別図柄、第一装飾図柄、第二装飾図柄、及び共通装飾図柄列を含む演出表示に関する機能的な構成を、図114〜図117のブロック図に基づいて説明する。図114は主制御基板2094での第一大当り抽選に関する機能的な構成を示し、図115は主制御基板2094での第二大当り抽選に関する機能的な構成を示し、図116は第一大当り抽選及び第二大当り抽選における抽選結果に応じて発生する利益に関する機能的構成を示し、図117は主制御基板2094での普通抽選に関する機能的な構成を示している。
図114に示すように、主制御基板2094には、演出判定処理に関する構成として、演出判定用テーブル2937が予め記憶されており、この演出判定用テーブル2937を基に、演出判定手段2936(ステップS208)による演出判定が行われる。この演出判定用テーブル2937は、後述する第一当り判定用テーブル2911aのうち高確率時のテーブルと同じテーブルであり、第一当り判定用乱数抽出手段216aにより乱数が抽出(取得)されると、当該取得された乱数値と、演出判定用テーブル2937に記憶される演出判定データ(演出判定値)とが一致するか否かの判定が行われる。そして、当該判定の結果は、演出コマンドとしてコマンド送信手段により周辺制御基板2830に送信される。
また、主制御基板2094には、第一大当り抽選に関する構成として、第一当り判定用テーブル2911a、第一当り図柄用テーブル2912a、第一当り時変動時間設定用テーブル2913a、及び第一外れ時変動時間設定用テーブル2914aが予め記憶されており、これらのテーブル2911a〜2914aを基に、第一大当り抽選における抽選の当否、第一特別図柄表示器2390aにおける停止図柄、及び変動時間が決定される。第一当り判定用テーブル2911aは、大当り判定用乱数値と大当りまたは小当りの当否との関係を示すものであり、通常時と高確率時とで当選となる割合が異なっている(より詳しくは、通常時に比較判定されるテーブルに記憶される大当り乱数の数よりも、高確率時に比較判定されるテーブルに記憶される大当り乱数の数の方が多い)。また、第一当り図柄用テーブル2912aは、大当り図柄用乱数値と第一特別図柄表示器2390aにおける停止図柄との関係を示すものであり、大当り図柄用乱数値を複数のグループに区分した夫々の範囲と二つのLED(第一特別図柄)の点灯状態との対応付けがなされている。また、第一当り時変動時間設定用テーブル2913aは、第一大当り抽選における当否の結果が大当りまたは小当りの場合に用いられ、抽出される第一変動時間用乱数と第一特別図柄表示器2390aにおける第一特別図柄の変動時間との関係を示すものであり、第一外れ時変動時間設定用テーブル2914aは、第一大当り抽選における当否の結果が外れの場合に用いられ、抽出される第一変動時間用乱数と第一特別図柄表示器2390aにおける第一特別図柄の変動時間との関係を示すものである。なお、通常時のテーブル及び高確率時のテーブルのうち、いずれか一方のテーブルを遊技状態に基づいて選択する処理が第一抽選用確率選択手段2920aによって行われる。また、図示してしないが、第一当り図柄用テーブル2912aには、確率変動大当り用のテーブル、特殊大当り用のテーブル及び小当り用のテーブルが夫々備えられており、後述する第一当否決定手段2930aによって決定された当選の種別に対応したテーブルが選択されるようになっている。
また、主制御基板2094には、第一始動口センサ2416によって第一始動口1420への入賞が検出されたとき、ランダムカウンタ(乱数発生手段)から、大当り判定用乱数を抽出する第一当り判定用乱数抽出手段2916aと、大当り図柄用乱数を抽出する第一当り図柄用乱数抽出手段2917aとが設けられている。また、判定用乱数及び大当り図柄用乱数を基に変動時間用乱数を抽出する第一変動時間用乱数抽出手段2918aが設けられている。また、第一当り判定用乱数抽出手段2916aによって大当り判定用乱数が抽出されると、第一当り判定用テーブル2911aを用いて大当りの当否を決定する第一当否決定手段2930a、及び第一当り図柄用乱数抽出手段2917aによって大当り図柄用乱数が抽出されると、第一当り図柄用テーブル2912aを用いて第一特別図柄表示器2390aにおける停止図柄を決定する第一停止図柄決定手段2931aが設けられている。さらに、第一変動時間用乱数抽出手段2918aによって変動時間用乱数が抽出され、且つ第一当否決定手段2930aによって大当りであることが決定されると、第一当り時変動時間設定用テーブル2913aを用いて第一特別図柄の変動時間を決定し、一方、変動時間用乱数が抽出され、且つ第一当否決定手段2930aによって外れであることが決定されると、第一外れ時変動時間設定用テーブル2914aを用いて第一特別図柄の変動時間を決定する第一変動時間決定手段2932aが設けられている。
また、主制御基板2094には、第一特別図柄表示器2390aにおいて第一特別図柄の変動を開始するとともに、第一変動時間決定手段2932aによって決定された変動時間の経過後、第一停止図柄決定手段2931aによって決定された停止図柄で変動停止させる特別図柄変動制御手段2934と、第一特別図柄の変動開始前に、第一当否決定手段2930aによって決定された大当りの有無に関する当否コマンド、及び第一特別図柄の変動態様(時間)に対応する変動表示コマンドを含む制御コマンドを発信するコマンド発信手段2935が設けられている。さらに、主制御基板2094には、第一特別図柄または第二特別図柄の変動中に、第一始動口センサ2416によって第一始動口1420への入賞が検出された場合、一定球数(4回)を上限として第一始動記憶数をカウントし記憶するとともに、第一特別図柄の変動表示を始動記憶数分だけ繰り返し行わせる第一保留消化手段2922aが設けられている。換言すれば、第一始動口センサ2416による遊技球の検出に基づく第一処理の実行を待機させる第一保留消化手段2922aが設けられている。第一保留消化手段2922aについてさらに詳細に説明する。第一保留消化手段2922aには、第一保留制御手段2941a及び第一消化制御手段2942aが設けられており、第一保留制御手段2941aは、第一特別図柄または第二特別図柄の変動中に、第一始動口センサ2416によって第一始動口1420への入賞が検出された場合、第一始動記憶数が上限値「4」に到達していなければ、第一始動記憶数の値を「1」増やすとともに、第一大当り判定用乱数及び第一大当り図柄用乱数を抽出し、抽出された各乱数を、第一特別図柄用乱数記憶手段2939の中の、一番上位の記憶領域に格納する。一方、第一消化制御手段2942aは、第一特別図柄または第二特別図柄の変動が停止し、新たな第一特別図柄の変動が可能になった場合、第一特別図柄に関する始動記憶数が「0」でなければ、始動記憶数[1]に対応する記憶領域から第一大当り判定用乱数及び第一大当り図柄用乱数を読み出すとともに、第一始動記憶数の値を「1」減らし、且つ、各記憶領域nに記憶されている各乱数値を、n−1の記憶領域にシフトさせる。
ところで、本実施形態では、第一当否決定手段2930aは、所定の乱数幅(例えば、0〜794)で発生する当否判定用乱数のうち一つの乱数を、第一当り判定用乱数抽出手段2916aにより取得する。そして、第一当り判定用乱数抽出手段2916aにより乱数が取得されると、当該取得された乱数値が、ROM2813に記憶された演出判定データ(特定値)と合致するか否かの演出判定処理が演出判定手段2936(ステップS208)にて行われる。本実施形態では、3、7、33、77、133、177、233、277、300、333、377、433、477、533、577、633、677、700、733、777が演出判定データとして記憶されている。即ち、この演出判定データは、高確率時の大当り用の第一当り判定用テーブル2911a(特別判定用テーブル)に記憶されている大当り乱数と同じであるが、詳細は後述する。なお、演出判定処理は、第一始動口1420に遊技球が入賞したとき(即ち、第一当り判定用乱数抽出手段2916aにより乱数が取得されたタイミング)で行われる。
また、図115に示すように、主制御基板2094には、第二大当り抽選に関する構成として、第二当り判定用テーブル2911b、第二当り図柄用テーブル2912b、第二当り時変動時間設定用テーブル2913b、及び第二外れ時変動時間設定用テーブル2941bが予め記憶されており、これらのテーブル2911b〜2914bを基に、第二大当り抽選における抽選の当否、第二特別図柄表示器2390bにおける停止図柄、及び変動時間が決定される。なお、各テーブルの構成は、第一大当り抽選における各テーブルの構成と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
また、主制御基板2094には、第二始動口センサ2358によって第二始動口1421への入賞が検出されたときに第二大当り抽選に関する大当り判定用乱数を抽出する第二当り判定用乱数抽出手段2916bと、第二大当り抽選に関する大当り図柄用乱数を抽出する第二当り図柄用乱数抽出手段2917bと、判定用乱数及び大当り図柄用乱数を基に変動時間用乱数を抽出する第二変動時間用乱数抽出手段2918bとが設けられている。また、第二当り判定用乱数抽出手段2916bによって大当り判定用乱数が抽出されると、第二当り判定用テーブル2911bを用いて大当りの当否を決定する第二当否決定手段2930b、及び第二当り図柄用乱数抽出手段2917bによって大当り図柄用乱数が抽出されると、第二当り図柄用テーブル2912bを用いて第二特別図柄表示器2390bにおける停止図柄を決定する第二停止図柄決定手段2931bが設けられている。さらに、第二変動時間用乱数抽出手段2918bによって変動時間用乱数が抽出され、且つ第二当否決定手段2930bによって大当りであることが決定されると、第二当り時変動時間設定用テーブル2913bを用いて第二特別図柄の変動時間を決定し、一方、変動時間用乱数が抽出され、且つ第二当否決定手段2930bによって外れであることが決定されると、第二外れ時変動時間設定用テーブル2914bを用いて第二特別図柄の変動時間を決定する第二変動時間決定手段2932bが設けられている。なお、第二当否決定手段2930bは、当選制限手段2921bを備えており、遊技者に特定の利益を付与しない大当りである「特殊大当り」については、発生しないように制限を加えている。
また、前記の特別図柄変動制御手段2934は、第二特別図柄表示器2390bにおいて第二特別図柄の変動を開始するとともに、第二変動時間決定手段2932bによって決定された変動時間の経過後、第二停止図柄決定手段2931bによって決定された停止図柄で変動停止させる。なお、特別図柄変動制御手段2934は、第一特別図柄表示器2390aまたは第二特別図柄表示器2390bにおいて変動中の特別図柄の変動が停止したことを条件に、第一当り判定用乱数抽出手段2916aまたは第二当り判定用乱数抽出手段2916bに記憶されている始動記憶についての変動を許容する。さらに、主制御基板2094には、第一特別図柄または第二特別図柄の変動中に、第二始動口センサ2358によって第二始動口1421への入賞が検出された場合、一定球数(4回)を上限として第二始動記憶数をカウントし記憶するとともに、第二特別図柄の変動表示を始動記憶数分だけ繰り返し行わせる第二保留消化手段2922bが設けられている。換言すれば、第二始動口センサ2358による遊技球の検出に基づく第二処理の実行を待機させる第二保留消化手段2922bが設けられている。第二保留消化手段2922bについてさらに詳細に説明する。第二保留消化手段2922bには、第二保留制御手段2941b及び第二消化制御手段2942bが設けられており、第二保留制御手段2941bは、第一特別図柄または第二特別図柄の変動中に、第二始動口センサ2358によって第二始動口1421への入賞が検出された場合、第二始動記憶数が上限値「4」に到達していなければ、第二始動記憶数の値を「1」増やすとともに、第二大当り判定用乱数及び第二大当り図柄用乱数を抽出し、抽出された各乱数を、第二特別図柄用乱数記憶手段2940の中の、一番上位の記憶領域に格納する。一方、第二消化制御手段2942bは、第一特別図柄または第二特別図柄の変動が停止し、新たな第二特別図柄の変動が可能になった場合、第二特別図柄に関する始動記憶数が「0」でなければ、始動記憶数[1]に対応する記憶領域から第二大当り判定用乱数及び第二大当り図柄用乱数を読み出すとともに、第二始動記憶数の値を「1」減らし、且つ、各記憶領域nに記憶されている各乱数値を、n−1の記憶領域にシフトさせる。
ところで、先述したように、特別図柄用乱数記憶手段2939,2940は、第一当り判定用乱数抽出手段2916aによって取得された乱数値と、第二当り判定用乱数抽出手段2916bによって取得された乱数値と、を各々取得された順に記憶している。即ち、第一当り判定用乱数抽出手段2916aによって取得された乱数値は、当該第一当り判定用乱数抽出手段2916aによって取得された順に第一特別図柄用乱数記憶手段2939に記憶され、第二当り判定用乱数抽出手段2916bによって取得された乱数値は、当該第二当り判定用乱数抽出手段2916bによって取得された順に第二特別図柄用乱数記憶手段2940に記憶される。言い換えると、第一当り判定用乱数抽出手段2916aによって取得された乱数値と、第二当り判定用乱数抽出手段2916bによって取得された乱数値と、の先後関係については記憶していない。
本実施形態では、特別図柄変動制御手段2934は、第一始動口1420への入賞に基づいて記憶された乱数(第一特別図柄の始動記憶)と、第二始動口1421への入賞に基づいて記憶された乱数(第二特別図柄の始動記憶)との両方が存在する場合は、第二当否決定手段2930bによる当否判定を第一当否決定手段2930aによる当否判定よりも優先して行なうように抽選順序を設定する。言い換えると、第一特別図柄の始動記憶についての当否判定(抽選処理)は、第二特別図柄の始動記憶が存在する限り行われることなく待機状態となる。このように、第二特別図柄の始動記憶は、第一特別図柄の始動記憶よりも優先的に導出(いわゆる、保留の消化)がなされるように制御される。
また、第一当否決定手段2930aおよび第二当否決定手段2930bについては、例えば取得した乱数の当否判定を行う当り判定用テーブル(所謂当否判定テーブル)として共通のテーブルを用いる等、同一の抽選を行う意味において一の抽選手段であってもよい。即ち、本実施形態のパチンコ機1は、遊技仕様が異なる複数の遊技を複合させたものではなく、特別図柄を単に複数設けたにすぎない。
また、第二当り判定用乱数抽出手段2916bにより乱数が取得された場合にも、当該取得された乱数値が、ROM2813に記憶された演出判定データと合致するか否かの判定処理が行われるようにしてもよいが、本実施形態では当該判定処理が行われない。
なお、第一保留消化手段2922aによる抽選の保留を、「第一特別図柄の始動記憶」と称することがある。また、第二保留消化手段2922bによる抽選の保留を、「第二特別図柄の始動記憶」と称することがある。ただし、内部的な抽選処理を行う抽選手段を2つ有する意味ではない。
また、図116に示すように、主制御基板2094には、パチンコ機1の遊技状態がいずれの遊技状態であるかを判断し、当該判断した遊技状態に基づいて遊技状態を制御する遊技状態制御手段2933が設けられている。本実施形態では、パチンコ機1の遊技状態として、確変機能および時短機能のいずれも作動しない通常の遊技状態(通常時)、または、確変機能および時短機能のいずれも作動する特定の遊技状態、に制御される。特定の遊技状態では、通常時に制御されているときよりも大当りに当選しやすい当選確率のもとで当否判定が行なわれるため、大当りへの期待感が高く遊技者に有利となる。また、特定の遊技状態では時短機能も作動することから、通常時に制御されているときと比べて可動片1427の開閉動作が行なわれる頻度が高くなるため、第二始動口1421に遊技球が受け入れられやすくなり遊技者に有利となる。また、時短機能が作動すると特別図柄の変動時間も短縮されるので、特定の遊技状態では、特別図柄の変動時間の短縮と第二始動口1421への遊技球の受け入れ頻度の向上とが相俟って、特別図柄の抽選が促進される。なお、本実施形態のパチンコ機1では、一般的なパチンコ機にみられる時短機能のみが作動する時短遊技状態に制御されることはない。
そして、遊技状態制御手段2933は、第一当否決定手段2930aまたは第二当否決定手段2930bによる抽選結果を基に、遊技者に有利な利益を付与する複数の利益付与手段を備えている。ここで、有利な利益には、可動片1430を開放し、大入賞口に対して遊技球の入賞を可能とすることが含まれており、特定利益付与手段2981または所定利益付与手段2982のいずれか一方によって開閉入賞装置1404の可動片1430が開放制御されるようになっている。
さらに詳しく説明すると、所定利益付与手段2982は、可動片1430の一回当りの開放時間を、数個(例えば1〜2個)の遊技球が辛うじて入賞できる程度の第一所定時間とするとともに、可動片1430の開閉動作を少なくとも一回以上(本例では二回)行うことで、遊技者に所定の利益を付与するものである。これにより、所定数の遊技球を大入賞口に入賞させることが可能になるが、入賞可能な個数は極めて少ないため、これによって遊技者が受ける利益は比較的少ないものとなる。一方、特定利益付与手段2981は、可動片1430の一回当りの開放時間を、複数個(例えば10個)の遊技球がゆとりを持って入賞できる程度の第二所定時間とするとともに、可動片1430の開閉動作を、所定の利益を付与する場合の開閉動作の回数よりも多い回数(本例では7回)行うことで、遊技者に特定の利益を付与するものである。これによれば、多数の遊技球を大入賞口に入賞させることが可能になり、遊技者は大きな利益を得ることができる。
そして、特定利益付与手段2981による特定の利益の付与は、第一当否決定手段2930aまたは第二当否決定手段2930bの抽選結果が第一結果(確率変動大当り)の場合に発生する。この当りになると、特定利益付与手段2981によって特定の利益を付与するとともに、高確率状態設定手段2983によって、その後の抽選で大当りへの当選確率を通常時よりも高く設定する。また、時短状態設定手段2984によって、第一特別図柄表示器2390aまたは第二特別図柄表示器2390bで変動する第一特別図柄または第二特別図柄の変動時間を短くするとともに、第一特別図柄または第二特別図柄の変動回数が所定回数に達するまで、第二始動口1421の可動片1427が開閉動作される頻度(すなわち普通抽選において当選となる確率)を高くすることによって第二始動口1421への入賞のし易さを通常時よりも増加させる。つまり、大当り遊技が行なわれたのちの遊技状態を、確率変動機能および時短機能が作動する特定の遊技状態とする。
なお、本実施形態では、時短状態設定手段2984による時短機能の未作動によって、可動片1427が開閉動作される頻度が抑制される態様を通常態様と称し、時短状態設定手段2984による時短機能の作動によって、可動片1427が開閉動作される頻度が高められる態様を促進態様と称することがある。
また、所定利益付与手段2982による所定の利益の付与は、第一当否決定手段2930aまたは第二当否決定手段2930bの抽選結果が第二結果(特殊大当り)の場合に発生する。この当りになると、特定利益付与手段2981によって所定の利益を付与するとともに、高確率状態設定手段2983によって、その後の抽選で大当りへの当選確率を通常時よりも高く設定する。また、時短状態設定手段2984によって、第一特別図柄表示器2390aまたは第二特別図柄表示器2390bで変動する第一特別図柄または第二特別図柄の変動時間を短くするとともに、第一特別図柄または第二特別図柄の変動回数が所定回数に達するまで、第二始動口1421の可動片1427が開閉動作される頻度(すなわち普通抽選において当選となる確率)を高くすることによって第二始動口1421への入賞のし易さを通常時よりも増加させる。つまり、大当り遊技が行なわれたのちの遊技状態を、確率変動機能および時短機能が作動する特定の遊技状態とする。
なお、本実施形態では、通常時の第一当り判定用テーブル2911aに記憶されている大当り乱数は、通常時の第二当り判定用テーブル2911bに記憶されている大当り乱数と同じである。より具体的には、通常時の第一当り判定用テーブル2911aおよび第二当り判定用テーブル2911bでは、所定の乱数幅(例えば、0〜794)で発生する特別図柄当否判定用の乱数のうち、2個(例えば、7及び77)が大当り乱数に対応するようにすればよい。この場合、通常時での大当り確率は397.5分の1となる。
同様に、高確率時の第一当り判定用テーブル2911aに記憶されている大当り乱数は、高確率時の第二当り判定用テーブル2911bに記憶されている大当り乱数と同じである。より具体的には、高確率時の第一当り判定用テーブル2911aおよび高確率時の第二当り判定用テーブル2911bでは、所定の乱数幅(例えば、0〜794)で発生する特別図柄当否判定用の乱数のうち、20個(例えば、3、7、33、77、133、177、233、277、300、333、377、433、477、533、577、633、677、700、733、777)が大当り乱数に対応するようにすればよい。この場合、特定の遊技状態での大当り確率は、通常時での大当り確率の10倍である39.75分の1となる。なお、特定の遊技状態での大当り確率は、通常時での大当り確率の2〜10倍の範囲で設定されるのが一般的である。
このように、第一当否決定手段2930aによる当り判定と第二当否決定手段2930bによる当り判定とでは、異なるテーブルが用いられるので、各始動口1420,1421のうちいずれの始動口に入賞するかで抽選処理を異ならせることによって、遊技内容のバリエーションを増やすことが可能となり、興趣の低下を抑制できる。
また、この場合、第一当否決定手段2930aによる抽選における当選確率と、第二当否決定手段2930bによる抽選における当選確率と、が異なるようにしても良い。さらに、第一当否決定手段2930aによる抽選において当選した場合の大当り遊技態様と、第二当否決定手段2930bによる抽選において当選した場合の大当り遊技態様と、が異なる態様(例えば遊技者に付与される利益が異なる態様等)としても良い。もちろん、第一当否決定手段2930aおよび第二当否決定手段2930bによる当否判定に用いられるテーブルを、同一の共通テーブルとしてもよい。即ち、第一始動口1420に入賞した場合と第二始動口1421に入賞した場合とで同一の抽選が行われるようにしてもよい。
ところで、第一当否決定手段2930aまたは第二当否決定手段2930bによる当否判定の結果が大当りと判定されると、図柄用乱数抽出手段2917a,2917bによって、0〜99の乱数幅で発生する図柄乱数のうち一つの乱数が取得される。そして、この取得された乱数値が、0〜79であれば確率変動大当りと判定され、80〜99であれば特殊大当りと判定される。なお、先述したように、確率変動大当りおよび特殊大当りのいずれに当選した場合であっても、大当り遊技(確率変動大当りに当選した場合であれば特定の利益、特殊大当りに当選した場合であれば所定の利益)が終了したのちの遊技状態は、常に特定の遊技状態となる。そして、この特定の遊技状態は、特別図柄の変動回数(即ち、特別図柄の抽選回数)が所定回数(例えば70回)行われると、通常時に戻る。ただし、特別図柄の変動回数が所定回数行われたのちに通常時に戻ることに代えて、所定時間だけ特定の遊技状態に制御されたのちに通常時に戻るようにしてもよい。
なお、当該判定された大当りの種類が確率変動大当りである場合には、大当りに当選した旨を示す演出画像が液晶表示装置640の表示面に表示される状況のもとで、特定利益付与手段2981によって、可動片1430を開閉動作させる特定の利益(遊技者に対する多量の遊技球の払い出しが促される大当り遊技)が付与される。
一方、当該判定された大当りの種類が特殊大当りである場合には、可動片1430を開閉動作させる所定の利益(遊技者に対する定量の遊技球の払い出しが促されない大当り遊技)が実行される。なお、特殊大当りに当選した旨を示す演出画像は、液晶表示装置640の表示面に表示されない。
そして、確率変動大当りまたは特殊大当りに当選した場合は、大当り遊技が実行されたのちの遊技状態が、遊技状態制御手段2933によって特定の遊技状態に制御される。先述のように、この特定の遊技状態では、確率変動機能及び時短機能が作動することによって、遊技者が大当りに当選しやすく且つ持ち球を減らさずに遊技を行なうことができる。
ところで、本実施形態では、第一保留消化手段2922aおよび第二保留消化手段2922bにおける各々の保留数に応じて、後述する高期待演出(いわゆる、リーチ演出)が行なわれない場合の第一特別図柄および第二特別図柄の変動時間が異なるように制御される。例えば、高期待演出が行なわれない場合は、詳細は後述するが、時短機能が作動しない遊技状態(通常時)では、第一保留消化手段2922aの保留球数が多いほど第一特別図柄の変動時間が短くなるように制御される一方、第二特別図柄の変動時間は第二保留消化手段2922bの保留球数に拘らず一定である。この時短機能が作動しない通常時では、第二始動口1421よりも第一始動口1420の方が遊技球が入賞し易く、しかも、稀に第二始動口1421に遊技球が入賞したとしても、第二始動記憶についての抽選が第一始動記憶よりも優先される。したがって、第一始動記憶が第二始動記憶よりも多い状態が殆どとなる。そこで、通常時に制御されているときは、第二特別図柄の変動時間を第二保留消化手段2922bの保留球数に拘らず一定の時間とすることで、ROM2813に記憶されるデータ記憶量の削減を図ることができ、CPU2812の制御負荷が徒に大きくなることを抑制できる。
また、時短機能が作動する特定の遊技状態では、第二保留消化手段2922bの保留球数が多いほど第二特別図柄の変動時間が短くなるように制御される一方、第一特別図柄の変動時間は第一保留消化手段2922aの保留球数に拘らず一定である。この時短機能が作動する遊技状態では、第二始動口1421への遊技球の入賞が促進されることに加えて、第二始動記憶が存在する限り第一始動記憶についての抽選が待機状態となるので、第一始動情報についての抽選が行われる頻度が少ない。そこで、第一特別図柄の変動時間を第一保留消化手段2922aの保留球数に拘らず一定の時間とすることで、ROM2813に記憶されるデータ記憶量の削減を図ることができ、CPU2812の制御負荷が徒に大きくなることを抑制できる。
なお、条件装置は、第一当否決定手段2930aまたは第二当否決定手段2930bによる判定結果が大当りである場合にのみ作動するものであって、通常時から特定の遊技状態への変更(移行)は、条件装置が作動することが条件である。
また、特定の遊技状態から通常時への移行条件は、上述したとおり、特定の遊技状態における特別図柄の変動が所定回数行われることである。なお、一般的な遊技機では、大当り遊技を契機として特定の遊技状態から通常時に移行したり、特定の遊技状態中に行われる転落抽選により転落させると決定されたことを契機として通常時に移行する場合もあるが、本実施形態のパチンコ機1では、これらはいずれも採用されていない。
ところで、図117に示すように、主制御基板2094には、普通抽選(第二始動口1421への入賞のし易さを高めるための抽選)に関する構成として、普通当り判定用乱数抽出手段2924、普通当り判定用テーブル2926、及び普通当否決定手段2925が設けられている。普通当り判定用乱数抽出手段2924は、入球状態検出手段2990(ゲートセンサ)によって通過ゲート1405への入球が検出されたとき、ランダムカウンタ(乱数発生手段)から、普通当り判定用乱数を抽出するものである。また、普通当り判定用テーブル2926は、高確率時(すなわち、特定の遊技状態時)のテーブルと通常時のテーブルとに分かれており、高確率時の普通当り判定テーブルでは、0〜250までの251個の普通当り判定用乱数のうち、普通当りとなる判定値が250個設定され、普通当りとなる確率が250/251となっている。一方、通常時の普通当り判定テーブルでは、0〜250までの251個の普通当り判定用乱数のうち、普通当りとなる判定値が1個設定され、普通当りとなる確率が1/251となっている。また、高確率時の普通当り抽選では、普通図柄の変動時間が13.56秒に設定され、始動口ソレノイド2352による可動片1427の開放時間が1180ms、開放回数が3回、開放間のインターバルが512msに設定されている。一方、通常時の普通当り抽選では、普通図柄の変動時間が平均13.6秒に設定され、可動片1427の開放時間が180ms、開放回数1回に設定されている。
また、普通当否決定手段2925は、普通当り判定用乱数抽出手段2924によって普通当り判定用の乱数が抽出されると、抽出された乱数と普通当り判定用テーブル2926に記憶された普通当り判定値とを比較して、一致している場合に普通当りであると決定する。なお、この際、遊技状態判定手段2923によって、遊技状態が特定の遊技状態、すなわち時短機能作動中か否かが判別され、時短機能作動中である場合には高確率時のテーブルが選択され、時短機能作動中でない場合には通常時のテーブルが選択される。
また、主制御基板2094には、普通当否決定手段2925によって普通抽選の当否が決定されると、普通図柄表示器2928に普通図柄を変動表示させるとともに、変動時間
(約14秒または約1秒)の経過後、当否の結果を表示させる普通図柄変動制御手段2927が設けられている。また、普通当否決定手段2925による判別の結果、普通当りが確定した場合、普通図柄の変動停止後、可動片1427を開放させ、遊技球を第二始動口1421に入賞しやすくする開放制御手段2929が設けられている。
このように、特定の遊技状態であるとき、所謂右打ちを行うことによって、通常時と比べて、第二始動口1421への遊技球の入賞頻度が飛躍的に向上する。第二始動口1421に遊技球が入賞すると所定数の遊技球が賞球として払い出されるので、遊技者が持ち球を減らすことなく遊技を楽しむことができる。さらに、特別図柄の抽選機会が飛躍的に増加し、大当りに連続して当選する期待感が高まり、興趣の低下が抑制される。
なお、本実施形態において、普通当否決定手段2925による当否判定は、特定の遊技状態における普通図柄の当り確率を、通常時における普通図柄の当り確率よりも高めることによって第二始動口1421への遊技球の入賞頻度を向上させているが、第二始動口1421への遊技球の入賞頻度を向上させる手段はこれに限られない。例えば、特定の遊技状態と通常時とで普通図柄の当り確率が高確率(例えば普通図柄の当り確率250分の249)で同じであるものの、特定の遊技状態における普通図柄の変動時間を、通常時における普通図柄の変動時間よりも短縮することによって、第二始動口1421への遊技球の入賞頻度を向上させてもよい。また、特定の遊技状態における普通図柄の当り確率を通常時における普通図柄の当り確率よりも高めること、および、特定の遊技状態における普通図柄の変動時間を通常時における普通図柄の変動時間よりも短縮すること、の両方を採用することによって、第二始動口1421への遊技球の入賞頻度を向上させてもよい。
ところで、主制御基板2094には、周辺基板2811に対して制御情報コマンドドを送信するコマンド送信手段(図示外)が設けられている。また、周辺基板2811には、主制御基板2094から送信された制御情報コマンドがコマンド受信手段(図示外)によって受信されると、これを基に液晶表示装置640を制御するための各種機能(演出制御手段等)が備えられている。
このコマンド送信手段は、第一始動口1420への遊技球の入賞に基づいて第一当り判定用乱数が取得されると、第一保留消化手段2922aによる保留球数情報を、周辺基板2811に送信する。また、第二始動口1420への遊技球の入賞に基づいて第二当り判定用乱数が取得されると、第二保留消化手段2922bによる保留球数情報を、周辺基板2811に送信する。これにより、液晶表示装置640において第一特別図柄および第二特別図柄の保留情報(例えば保留球数を把握可能な態様)を表示することが可能となる。
また、第一当否決定手段2930aによる抽選処理または第二当否決定手段2930bによる抽選処理が行われると、コマンド送信手段は、これら抽選処理の結果およびこの抽選結果に拘わる情報を周辺基板2811に送信する。「抽選結果に拘わる情報」とは、液晶表示装置640にて行われる装飾図柄の変動時間情報または/および装飾図柄の停止図柄情報等を含む演出コマンド(変動表示パターン)が相当する。
さらに、コマンド送信手段は、演出判定処理における判定結果(即ち、第一当り判定用乱数抽出手段2916aにより取得された乱数値が上述の演出判定データと合致するか否かの判定結果)情報を、第一当否決定手段2930aによる抽選処理の結果に拘わる情報の送信に先だって、周辺基板2811に送信している。本実施形態では、当該情報(第一当り判定用乱数抽出手段2916aにより取得された乱数値が演出判定データと合致するか否かの情報)を、第一始動口1420に遊技球が入賞したこと(より詳しくは、第一当り判定用乱数抽出手段2916aにより乱数が取得されたこと)に応じて送信しているが、第一当り判定用乱数抽出手段2916aにより当否判定用乱数が取得されたのちであって且つ第一特別図柄の変動が開始される以前であればいつ送信されてもよい。ただし、後述するように、保留されている第一特別図柄が当りであることの期待感を遊技者に与える演出を液晶表示装置640にて行うことを考慮すると、第一当り判定用乱数抽出手段2916aにより当り判定用乱数が取得されたのち可能な限り早い段階でコマンド送信手段によって周辺基板2811に送信されることが好ましい。このようにして周辺基板2811に送信された演出判定手段2936(ステップS208)による判定結果情報は、周辺基板2811において、当該演出判定が行われた乱数値に基づく第一特別図柄の変動が終了するまで保持される。
なお、コマンド送信手段により演出判定手段2936(ステップS208)による判定結果情報が周辺基板2811に送信された場合には、当該演出判定が行われた乱数値に基づく第一特別図柄の変動開始時に、保留されている第一特別図柄が当りであることの期待感を遊技者に与える演出を終了させるために、コマンド送信手段から周辺基板2811に演出終了情報が送信されるようにしてもよい。
また、コマンド送信手段によって周辺基板2811に送信される演出判定手段2936(ステップS208)による判定結果は、第一特別図柄当否判定用乱数取得手段902により取得された乱数値が演出判定データと合致した場合にのみ送信するようにしてもよいし、第一当り判定用乱数抽出手段2916aにより取得された乱数値が演出判定データと合致しなかった場合にもさらに送信するようにしてもよい。
また、上記の演出判定手段2936(ステップS208)による判定結果情報の送信は、特定の遊技状態に制御されている場合に限って行うようにすると好ましい。本実施形態では、演出判定データ(特定値)と、確変機能作動時(特定の遊技状態時)用の第一当り判定用テーブル2911aに記憶されている当り乱数(特定値)と、が同じである。これにより、特定の遊技状態に制御されている場合に、第一当り判定用乱数抽出手段2916aにより取得された乱数値と演出判定データとが一致すると、特定の遊技状態に制御されている限り、当該演出判定データと一致した乱数値に基づく第一大当り抽選が行われた場合に大当りであると判定される。即ち、第一当り判定用乱数抽出手段2916aにより取得された乱数値と演出判定データとが一致する場合には、第一大当り抽選が未だ行われていないにも拘らず、大当りとなる可能性を、第一大当り抽選よりも前もって内示することが可能となる。これにより、遊技者は、内示された情報に基づいて遊技内容を自らの意思で選択することが可能となる。
具体的には、第一始動記憶(第一当り判定用乱数抽出手段2916aにより取得された乱数)がない場合、または、第一始動記憶はあるものの大当りとなる可能性(即ち、第一当り判定用乱数抽出手段2916aにより取得された乱数値と演出判定データとが一致する旨)が内示されていない場合に、遊技者は、左打ちまたは右打ちを自らの意思によって選択できる。
左打ちを行うと、所謂持ち玉の減少を覚悟しなければならないものの、特定の遊技状態において、第一始動記憶に基づく第一大当り抽選が行われる機会が増加するので、第一当り判定用乱数抽出手段2916aにより取得された乱数値と演出判定データとが一致する可能性を高めることできる。そして、第一当り判定用乱数抽出手段2916aにより取得された乱数値と演出判定データとが一致した場合には、当該一致した乱数値に基づく大当り遊技の権利を保持しつつ、その後に所謂右打ちを行うことができる。このとき、第二始動記憶(第二当り判定用乱数抽出手段2916bにより取得された乱数)に基づく第二大当り抽選にて当選すると、第一始動記憶に基づく大当り遊技の権利を保持しつつ、第二始動記憶に基づく大当り遊技を行うことができる(即ち、所謂連チャンを確定させた上で第二始動記憶に基づく大当り遊技を行うことができる)。
また、右打ちを行うと、特定の遊技状態に制御されている間、持ち玉を減少させることなく遊技を行うことが可能となり、その間に行われる第二大当り抽選にて当選すると、持ち玉を減少させることなく大当り遊技を発生させることができる。
このように、遊技者は、メリットとデメリットとを比較考量しつつ遊技を行うことができるといった新たな遊技を提供することができる。
なお、演出判定手段2936(ステップS208)による判定結果情報は、遊技状態に拘らずコマンド送信手段によって周辺基板2811に送信されるようにし、周辺基板2811によって特定の遊技状態であると判定され場合にのみ、保留されている第一特別図柄が当りであることの期待感を遊技者に与える演出を行うようにしてもよい。
[遊技内容について]
次に、各遊技状態における遊技内容について、図119および図120を参照して説明する。図119は、通常時において演出表示装置115に表示される画像を示す図である。図120は、特定の遊技状態において演出表示装置115に表示される画像を示す図である。
各始動口1420,1421のうちいずれかに遊技球が入賞すると、第一当否決定手段2930aまたは第二当否決定手段2930bにより特別図柄の抽選が行われる。当該抽選結果は、第一特別図柄表示器2390aまたは第二特別図柄表示器2390bに表示されると共に、液晶表示装置640において装飾図柄1153の停止図柄の組み合わせにより表示される。
図119および図120に示すように、液晶表示装置640には、その中央領域に装飾図柄1153が表示されるとともに、第一特別図柄対応図柄1154と、第二特別図柄対応図柄1155と、保留表示領域1150とを有している。装飾図柄1153は三つの図柄列からなり、遊技者から見て左側に表示される左図柄列1153a、遊技者から見て真ん中に表示される中図柄列1153b、および、遊技者から見て右側に表示される右図柄列1153cの3列の図柄列で構成されている。本実施形態では、装飾図柄1153の各図柄列1153a〜1153cには、1〜8の複数図柄が順に配列されて表示される。
また、保留表示領域1150は、液晶表示装置640における左縁領域に配置されて、第一保留消化手段2922aおよび第二保留消化手段2922bにおける保留数に関わる情報を表示する。なお、保留表示領域1150における表示態様については、詳細は後述する。
そして、第一当否決定手段2930aまたは第二当否決定手段2930bによる抽選処理(以下、単に「特別図柄抽選処理」と称する)にて確率変動大当りに当選すると、装飾図柄1153の各図柄列1153a〜1153cが縦方向にスクロール変動し、その後、例えばゾロ目(三つの図柄列1153a〜1153cが同じ図柄となること)で停止表示される。
なお、特別図柄抽選処理の結果は、装飾図柄1153のみでなく、液晶表示装置640に表示される画像の左上にも特別図柄対応図柄1154,1155として表示される。ここで、第一当否決定手段2930aによる抽選結果は第一特別図柄対応図柄1154として表示され、第二当否決定手段2930bによる抽選結果は第二特別図柄対応図柄1155として表示される。
本実施形態のパチンコ機1では、標準の遊技状態として、図119に示す通常の遊技状態(通常時)に制御される。そして、上記特別図柄抽選処理の結果が確率変動大当りであるとき、装飾図柄1153(図柄列1153a〜1153c)は、例えばゾロ目または後述のチャンス目で停止表示され、その後、確率変動大当りに基づく大当り遊技(特定の利益)が実行される。当該大当り遊技が終了したのちの遊技状態は、特別図柄の変動が所定回数行われるまで、図120に示すように時短機能および確率変動機能が作動する特定の遊技状態となる。
なお、先述のチャンス目とは、装飾図柄1153がゾロ目となる以外の大当りへの当選を示す図柄態様である。本実施形態のチャンス目は、左図柄列1153aが「3」、中図柄列1153bが「5」、右図柄列1153cが「7」となる並びで、装飾図柄1153が停止表示されることをいう。詳細には、このチャンス目は、通常時における第二特別図柄抽選手段910による抽選結果が確率変動大当りであるときに、液晶表示装置640において表示され得る。
[保留表示領域における表示態様について]
ここで、保留表示領域1150における表示態様について、図121〜図123を参照して説明する。図121は、(a)が保留表示領域において第一特別図柄の保留が蓄積される態様を説明するための図であり、(b)が保留表示領域において第二特別図柄の始動記憶が蓄積される態様を説明するための図である。図122は、(a)が保留表示領域において第一特別図柄の始動記憶が蓄積される態様を説明するための他の図であり、(b)が保留表示領域において第二特別図柄の始動記憶が蓄積される態様を説明するための他の図である。図123は、保留表示領域において第一特別図柄及び第二特別図柄の始動記憶が消化される態様を説明するための図である。
図119または図120に示すように、保留表示領域1150は、上下方向に一列に配列された複数の保留記憶表示部を有している。詳細には、図121〜図123に示すように、保留表示領域1150における下方から上方に向けて、第1の保留記憶表示部1150a、第2の保留記憶表示部1150b、第3の保留記憶表示部1150c、第4の保留記憶表示部1150d、第5の保留記憶表示部1150e、第6の保留記憶表示部1150f、第7の保留記憶表示部1150gおよび第8の保留記憶表示部1150h、の計8つの保留記憶表示部から構成される。
なお、保留表示領域1150における各保留記憶表示部1150a〜1150hは、それぞれ第一当否決定手段2930aによる抽選の保留または第二当否決定手段2930bによる抽選の保留を一つずつ表示可能な領域である。そして、保留表示領域1150は、第一保留消化手段2922aによる保留数および第二保留消化手段2922bによる保留数を視覚的に容易に把握できる態様で表示するものである。よって、保留表示領域1150を参照することで、遊技者は現在の特別図柄の総保留数(総始動記憶数)を確認することができる。
なお、以下では、第一保留消化手段2922aにより保留された乱数(第一当否決定手段2930aによる抽選処理)を、第一特別図柄の始動記憶と称することがある。また、第二保留消化手段2922bにより保留された乱数(第二当否決定手段2930bによる抽選処理)を、第二特別図柄の始動記憶と称することがある。
本実施の形態では、第一保留消化手段2922aによる保留の上限値(第1所定数)および第二保留消化手段2922bによる保留の上限値(第2所定数)が同じである。具体的に言えば、第1所定数および第2所定数はともに保留消化前を基準として「4つ」(保留消化後を基準として「3つ」)である。そのため、保留表示領域1150も、両保留消化手段2922a,2922bを合わせた最大保留可能数(ここでは、8つ)を表示可能とするために、8つの保留記憶表示部1150a〜1150hを有している。
また、各保留記憶表示部1150a〜1150hは、この順で上下方向に規則的に並んでおり、装飾図柄1153が表示される領域(共通図柄表示領域)における抽選結果の導出は、この並び順序に従って導出される。すなわち、先頭の保留(第1の保留記憶表示部1150aに対応する保留)から順に末尾の保留(例えば、第8の保留記憶表示部1150h)まで、各保留記憶表示部に対応する抽選の保留がその保留順に導出されることになる。これにより、遊技者は共通図柄表示領域において抽選結果が導出される順序を明確に把握することができる。
各保留記憶表示部1150a〜1150hは、第一保留消化手段2922aによって保留されていることを示す表示態様である第一特図保留画像1151、第二保留消化手段2922bによって保留されていることを示す表示態様である第二特図保留画像1152、第一保留消化手段2922aおよび第二保留消化手段2922bのいずれにも保留されていないことを示す非表示態様、のうちいずれかで表示される。
保留表示領域1150における表示態様について説明すると、例えば図119または図120においては、第1の保留記憶表示部1150aおよび第2の保留記憶表示部1150bには、いずれも第二特図保留画像1152が表示されており、第3の保留記憶表示部1150c〜第5の保留記憶表示部1150eには、いずれも第一特図保留画像1151が表示されている。これにより、図119または図120における特別図柄の総保留数(総始動記憶数)は、第一特別図柄の始動記憶が3つおよび第二特別図柄の始動記憶が2つの計5つであることが視覚的に把握可能となっている。なお、その他の保留記憶表示部1150f〜1150hは非表示態様となっており、当該表示部には背景画像がそのまま表示される。
本実施形態では、第二特図保留画像1152として、ドングリを模した画像が表示される。一方、第一特図保留画像1151として、第二特図保留画像1152を示すドングリが四角形状の氷塊の中に閉じこまれた態様を示す画像が表示される。このように、第一保留消化手段2922aによって保留されていることを意味する表示態様と、第二保留消化手段2922bによって保留されていることを意味する表示態様と、をそれぞれ異ならせて両者を明確に区別できるようにしている。
さらに、後述するように、第二特別図柄の始動記憶が第一特別図柄の始動記憶よりも優先的に消化される。言い換えれば、第一特別図柄の始動記憶が存在していたとしても、当該第一特別図柄の始動記憶についての抽選は、第二特別図柄の始動記憶が存在する限り待機される(即ち、第一特別図柄の始動記憶が消化されがたい)。そのため、第一特図保留画像1151に示すドングリの画像が、第二特図保留画像1152に示すドングリの画像が氷結されたイメージを呈することで、遊技者に対して視覚的に第一特別図柄の始動記憶が第二特別図柄の始動記憶よりも消化されづらいことを把握可能としている。
次に、各特別図柄の始動記憶が蓄積(保留)された場合の表示態様を、図121および図122を参照して説明する。なお、図121および図122において、始動記憶の保留表示が追加される箇所が太線で囲う表示がなされている。
まず、図121(a)に示すように、第一保留消化手段2922aによって保留されている保留数および第二保留消化手段2922bによって保留されている保留数のいずれもがゼロのとき、保留表示領域1150(保留記憶表示部1150a〜1150h)は全て非表示態様となる。
かかる状態において、第一始動口1420に遊技球が入賞して第一保留消化手段2922aによって保留されると(具体的には、コマンド受信手段が「第一始動口1420に入賞したこと」を特定するためのコマンドを主制御基板2094から受信すると)、保留表示領域1150の最も下端に位置する第1の保留記憶表示部1150aが、非表示態様から第一特図保留画像1151に表示制御される。これにより、第一保留消化手段2922aにおける保留数が「1」であることが認識できる。
さらに、第一始動口1420に遊技球が引き続き入賞して第一保留消化手段2922aによって順に保留されると、保留表示領域1150における第2の保留記憶表示部1150b、第3の保留記憶表示部1150c、第4の保留記憶表示部1150dが、順次、非表示態様から第一特図保留画像1151に表示制御される。
このように、第一特別図柄の始動記憶は、保留表示領域1150において順次末尾(図では上方)に追加されるようにして蓄積表示される。そして、第一保留消化手段2922aによる保留数がN(Nは1以上且つ第1所定数以下の自然数)になったときは、保留表示領域1150において第一特別図柄の始動記憶数に応じた第一特図保留画像1151が一列にN個(最大4個)隣接して表示される。
一方、図121(b)に示すように、先述のように保留表示領域1150(保留記憶表示部1150a〜1150h)は全て非表示態様となった状態において、第二始動口1421に遊技球が入賞して第二保留消化手段2922bによって保留されると(具体的には、コマンド受信手段が「第二始動口1421に入賞したこと」を特定するためのコマンドを主制御基板2094から受信すると)、保留表示領域1150の最も下端に位置する第1の保留記憶表示部1150aが、非表示態様から第二特図保留画像1152に表示制御される。これにより、第二保留消化手段2922bにおける保留数が「1」であることが認識できる。
さらに、第二始動口1421に遊技球が入賞して第二保留消化手段2922bによって保留されると、保留表示領域1150における第1の保留記憶表示部1150aに示される第二特図保留画像1152が第2の保留記憶表示部1150bに(すなわち、後方に)シフト表示される。そして、第1の保留記憶表示部1150aには、第2の保留記憶表示部1150bにシフト表示された第二特図保留画像1152に代えて、新たな第二特図保留画像1152が追加されるように表示される。
ここで、「後方にシフト表示」とは、一の保留記憶表示部を基準とした場合に、当該一の保留記憶表示部の表示態様が次の保留記憶表示部に移動して、当該保留記憶表示部における表示態様として表示されることをいう。具体的には、上記の例では、第1の保留記憶表示部1150aに表示された第二特図保留画像1152が第2の保留記憶表示部1150bに移動するようにして、当該第2の保留記憶表示部1150bにおいて第二特図保留画像1152が表示される。
さらに、第二特別図柄の始動記憶が「2」の状態で第二始動口1421に遊技球が入賞すると、第1の保留記憶表示部1150aおよび第2の保留記憶表示部1150bに各々表示される第二特図保留画像1152が、第2の保留記憶表示部1150bおよび第3の保留記憶表示部1150cにそれぞれシフト表示されるとともに、第1の保留記憶表示部1150aに新たな第二特図保留画像1152が追加されるように表示される。同様に、第二特別図柄の保留球が「3」の状態で第二始動口1421に遊技球が入賞すると、第1の保留記憶表示部1150a、第2の保留記憶表示部1150b及び第3の保留記憶表示部1150cに各々表示される第二特図保留画像1152が、第2の保留記憶表示部1150b、第3の保留記憶表示部1150c及び第4の保留記憶表示部1150dにそれぞれシフト表示されるとともに、第1の保留記憶表示部1150aに新たな第二特図保留画像1152が追加されるように表示される。
このように、第二特別図柄の始動記憶は、保留表示領域1150において順次先頭(図では下方)に追加されるようにして蓄積表示される。そして、第二保留消化手段2922bによる保留数がN(Nは1以上且つ第1所定数以下の自然数)になったときは、保留表示領域1150において第二特別図柄の始動記憶数に応じた第二特図保留画像1152が一列にN個(最大4個)隣接して表示される。
ところで、保留表示領域1150において第二特別図柄の始動記憶が保留されている場合、第一特別図柄の始動記憶の保留態様は次のようになる。例えば、図122(a)に示すように、第二特別図柄の始動記憶が「4個」保留された状態(第1の保留記憶表示部1150a〜第4の保留記憶表示部1150dに第二特図保留画像1152が表示されている状態)で、第一始動口1420に遊技球が入賞したものとする。このとき、非表示状態となっている次の保留記憶表示部(ここでは、第5の保留記憶表示部1150d)から順に、第一特別図柄の始動記憶(第一特図保留画像1151)が蓄積表示される。この場合も、先述と同様に、第一始動口1420に遊技球が入賞するのに応じて、保留表示領域1150における末尾(図では上方)に順次追加される態様で、第5の保留記憶表示部1150e〜第8の保留記憶表示部1150hの順に第一特図保留画像1151が蓄積表示される。
また、保留表示領域1150において第一特別図柄の始動記憶が保留されている場合、第二特別図柄の始動記憶の保留態様は次のようになる。例えば、図122(b)に示すように、第一特別図柄の始動記憶が「4個」保留された状態(第1の保留記憶表示部1150a〜第4の保留記憶表示部1150dに第一特図保留画像1151が表示されている状態)で、第二始動口1421に遊技球が入賞したものとする。このとき、保留表示領域1150における先頭の保留記憶表示部(ここでは、第1の保留記憶表示部1150a)に、第二特別図柄の始動記憶(第二特図保留画像1152)が順次追加表示される。この場合も、先述と同様に、第二始動口1421に遊技球が入賞するのに応じて、保留表示領域1150における先頭(図では下方)に順次追加される態様で第二特図保留画像1152が蓄積表示されるのに伴って、他の保留記憶表示部では前の保留記憶表示部の表示態様が順次後方にシフト表示される。具体的には、図122(b)に示す状態で第二特別図柄の始動記憶が「4個」保留されると、第1の保留記憶表示部1150a〜第7の保留記憶表示部1150hの各表示態様が、第2の保留記憶表示部1150b〜第8の保留記憶表示部1150hにそれぞれ後方にシフト表示されるとともに、第1の保留記憶表示部1150aに第二特図保留画像1152が新たに追加される。
このように本実施形態では、保留表示領域1150において、第一特別図柄の始動記憶は保留表示領域1150の末尾(図では上方)に順次追加される一方、第二特別図柄の始動記憶は保留表示領域1150の先頭(図では下方)から順次追加される。そのため、保留表示領域1150に第一特図保留画像1151および第二特図保留画像1152が表示されている状態では、常に第二特図保留画像1152が第一特図保留画像1151よりも前の保留記憶表示部に表示される。
ところで、本実施形態では、次に説明するように、第二特別図柄の始動記憶のほうが第一特別図柄の始動記憶よりも優先的に抽選結果が導出される(いわゆる消化される)。そのため、上記のような保留表示領域1150の表示制御によって、第一特別図柄の始動記憶および第二特別図柄の始動記憶の両方が存在する場合には、第二特別図柄の始動記憶のほうが第一特別図柄の始動記憶よりも先に消化されることを、遊技者が明確に把握できるようにしている。
次に、各特別図柄の始動記憶の消化態様を、図123を参照して説明する。なお、図123において、始動記憶の保留表示が削除(消化)される箇所が太線で囲う表示がなされている。すなわち、図123から明らかなように、本実施形態では、保留表示領域1150の先頭の保留記憶表示部(第1の保留記憶表示部1150a)の表示態様に対応する始動記憶が削除(消化)される。
図123に示すように、例えば、第一特別図柄の始動記憶が「4つ」及び第二特別図柄の始動記憶が「4つ」存在する状態では、保留表示領域1150において第1の保留記憶表示部1150a〜第4の保留記憶表示部1150dに第二特図保留画像1152が表示されるとともに、第5の保留記憶表示部1150e〜第4の保留記憶表示部1150hに第一特図保留画像1151が表示される。かかる状態で、先頭の特別図柄の始動記憶(ここでは、第二特別図柄の始動記憶)に基づいて抽選結果の導出が開始されると、第1の保留記憶表示部1150aの第二特図保留画像1152が削除される。これに伴い、他の保留記憶表示部(第2の保留記憶表示部1150b〜第8の保留記憶表示部1150h)の表示態様が、前の保留記憶表示部(第1の保留記憶表示部1150a〜第7の保留記憶表示部1150g)にそれぞれシフト表示される。なお、各保留記憶表示部の表示態様が前方にシフト表示されるのに伴って、末尾の保留記憶表示部(第8の保留記憶表示部1150h)の表示態様は、非表示態様となる。
ここで、「前方にシフト表示」とは、一の保留記憶表示部を基準とした場合に、当該一の保留記憶表示部の表示態様が前の保留記憶表示部に移動して、当該保留記憶表示部における表示態様として表示されることをいう。具体的には、上記の例では、第1の保留記憶表示部1150aの第二特図保留画像1152が削除されるのに伴って、第5の保留記憶表示部1150e〜第8の保留記憶表示部1150hに表示された第一特図保留画像1151が、第4の保留記憶表示部1150d〜第7の保留記憶表示部1150gに各々移動するようにして、当該第4の保留記憶表示部1150d〜第7の保留記憶表示部1150gにおいて第一特図保留画像1151が表示され、第8の保留記憶表示部1150hは非表示態様となる。また、第2の保留記憶表示部1150b〜第4の保留記憶表示部1150dに表示された第二特図保留画像1152が、第1の保留記憶表示部1150a〜第3の保留記憶表示部1150cに各々移動するようにして、当該第1の保留記憶表示部1150a〜第3の保留記憶表示部1150cにおいて第二特図保留画像1152が表示される。
以下、同様にして、保留表示領域1150においては、特別図柄の始動記憶の消化に応じて、先頭の保留記憶表示部(第1の保留記憶表示部1150a)の表示態様の削除と、他の保留記憶表示部における表示態様の前方へのシフト表示とが行われる。これにより、特別図柄の始動記憶の消化に応じて保留数(始動記憶数)が減少したことや、第一特別図柄および第二特別図柄のいずれの始動記憶に基づく図柄変動が行なわれたかを、遊技者は視覚的に把握することができる。
ところで、本実施形態では、保留表示領域1150においては常に第二特図保留画像1152が第一特図保留画像1151よりも前の保留記憶表示部に表示されることからも明らかなように、第一保留消化手段2922aによる保留が第二保留消化手段2922bによる保留よりも先に行なわれたとしても、第二特別図柄の始動記憶が第一特別図柄の始動記憶よりも優先的に消化される。言い換えれば、第二保留消化手段2922bによる保留が存在する限り、第一保留消化手段2922aによる保留が解除されることない。そのため、第二特別図柄の始動記憶が全て消化されるまで、第一特別図柄の始動記憶が消化されることがなく、第二特別図柄の始動記憶のみが消化され続ける。
なお、第二始動口1421に入賞すると、保留表示領域1150における先頭の保留記憶表示部(第1の保留記憶表示部1150a)に第二特図保留画像1152が追加表示される。一方、保留表示領域1150における先頭の保留記憶表示部(第1の保留記憶表示部1150a)の表示態様に相当する特別図柄の始動記憶が消化される。そのため、遊技者からみれば、複数の第二特別図柄の始動記憶が存在する場合には、第二保留消化手段2922bにより保留された最新の始動記憶が一番先に消化されるように見える。しかしながら、保留表示領域1150に表示される第二特図保留画像1152の保留順序は、必ずしも第二特別図柄の始動記憶の導出順序と一致せず、あくまで第二保留消化手段2922bによる保留順序で(すなわち、先に保留された始動記憶から順に)消化される。
また、本実施形態では、上述したとおり、予め定められた期間限定の特定の遊技状態に制御されている場合に限って、第一当り判定用乱数抽出手段2916aにより取得された乱数値が上述の演出判定データと合致(一致)するか否かの演出判定処理の結果情報が、第一始動口1420に遊技球が入賞したタイミングで(入賞したときに)周辺基板2811(より具体的には、周辺基板2811に搭載される周辺制御基板2830)に送信される。このようにして送信された判定結果情報は、さらに液晶制御基板2832に送られ、未だ保留状態にある第一特別図柄の始動記憶についての演出判定処理の結果情報を、遊技者が把握可能な態様で、演出制御手段により液晶表示装置640に表示することが可能となる。ここで、演出判定データは、高確率時の第一当り判定用テーブルに記憶される大当り乱数(特定値)と同じであるから、第一当り判定用乱数抽出手段2916aにより取得された乱数値と演出判定データとが一致すると、そののちに行われる大当り抽選が特定の遊技状態にて行われる限り、抽選結果が当りとなる。これにより、第一特別図柄表示器2390aまたは液晶表示装置640において抽選結果が導出されるよりも先に、第一特別図柄の始動記憶についての演出判定処理の結果情報(即ち当落情報)を、内々に遊技者に示唆することが可能となる(内示手段としての演出制御手段により内示することが可能となる)。
例えば、図120における第5の保留記憶表示部1150eに表示される第一特図保留画像1151は、点灯と消灯とを繰り返す所謂点滅表示されており、これは、第5の保留記憶表示部1150eに表示される第一特図保留画像1151(ひいては第一特別図柄の始動記憶)について大当り抽選が行われたとすると、当該抽選結果が大当りとなりうること(即ち、大当り遊技が付与されうる権利が発生したこと)を示している。さらに、抽選結果が大当りとなる第5の保留記憶表示部1150eに表示される第一特図保留画像1151については、他の保留記憶表示部1150に表示される画像と明確に区別できるように、色彩が異なっていたり、形状が異なっていたりするとより好ましい。
このように、期間限定の特定の遊技状態に制御されている場合に限って第一特別図柄の始動記憶についての当落情報が変動開始に先だって表示されることにより、遊技者の意思によって選択的に遊技を行うことで、特定の遊技状態における遊技性を変えることができるといった新たな遊技性を提供することが可能となる。遊技者がどのように遊技を選択できるかについては後述する。
なお、期間限定の特定の遊技状態に制御されている場合には、抽選結果が大当りとなりうる第一特別図柄の始動記憶数が増加する都度(即ち、第一特別図柄が保留される都度)、当該保留された第一特別図柄についての内部的な抽選処理の結果が当りとなりうること(即ち、第一当り判定用乱数抽出手段2916aにより取得された乱数値と演出判定データとが一致する旨)が、当該当りとなりうる始動記憶(保留)に対応する保留記憶表示部1150に表示される。
このようにして、第一当り判定用乱数抽出手段2916aにより取得された乱数値と演出判定データとが一致する旨が保留記憶表示部1150における画像により明示されると、当該保留が解除されるまで(即ち、内部的な抽選処理の実行が解除されるまで)、第一当り判定用乱数抽出手段2916aにより取得された乱数値と演出判定データとが一致する旨を内示する表示が継続される。
上記新たな遊技性について詳述すると、特定の遊技状態では、第二始動口1421への遊技球の入賞が促進されるだけでなく、第一特別図柄の始動記憶についての抽選処理が、第二特別図柄の始動記憶についての抽選処理が全て行われるまで(即ち、第二特別図柄の始動記憶がゼロになるまで)待機状態となる。ここで、特定の遊技状態は期間限定の遊技状態であるから、当該特定の遊技状態は、期間限定のチャンス状態であるといえる。
上記チャンス状態(即ち、特定の遊技状態)において、遊技者は、第一始動口1420を狙って遊技を行うか、第二始動口1421を狙って遊技を行うか、を選択することによって、本実施形態特有の遊技の面白みを享受できる。
例えば、遊技者が、第一始動口1420に遊技球が入賞されるように左打ちを行った場合には、遊技を行うことに伴って所謂持ち玉が減少するものの、第一始動口1420に遊技球が受け入れられたことに基づいて取得された大当り乱数と演出判定用テーブル2937に記憶される演出判定データとが一致する旨が内示されるといった期待感を抱くことができる。しかも、第一始動口1420に遊技球が受け入れられたことに基づいて取得された大当り乱数と演出判定用テーブル2937に記憶される演出判定データとが一致する旨が内示された場合には、その後に右打ち遊技を行うことで、第一始動口1420への遊技球の入賞に基づく大当り遊技を行う権利を保持しつつ(即ち、第一特別図柄の始動記憶についての大当り遊技を行う権利をストックした状態で)、第二始動口1421への遊技球の入賞に基づく遊技を行うことができる。これにより、大当り遊技が2回担保された状態となり、安心して第二特別図柄の始動記憶についての大当り遊技を実行でき、興趣の低下を抑制できる。しかも、第一始動口1420への遊技球の入賞に基づく大当り遊技を行う権利を保持しながらも、第二始動口1421への遊技球の入賞に基づく遊技が行われることから、遊技の進行が妨げられることもない。このように、本実施形態の遊技機によれば、遊技の進行を妨げることなく、第一始動口1420への遊技球の入賞に基づいて取得された大当り乱数と演出判定用テーブル2937に記憶される演出判定データとが一致する旨の内示が長期間にわたって行われることで、遊技者に与えうる期待感を長期間にわたって持続することができる。
なお、第一始動口1420への遊技球の入賞に基づく大当り遊技を行う権利を保持しつつ第二始動口1421への遊技球の入賞に基づく遊技を行うことが可能となるのは、特定の遊技状態では、第一特別図柄の始動記憶についての抽選処理が、第二特別図柄の始動記憶についての抽選処理が全て行われるまで待機状態となるからである。即ち、第一特別図柄の始動記憶のうちいずれかが演出判定データと一致する旨が内示されていたとしても、第二特別図柄の始動記憶がある限り、内示の対象となっている第一特別図柄の始動記憶の消化が行われることなく第二当否決定手段2930bによる当落判定(抽選処理)が行われるからである。
上記に加えてさらに、本実施形態では、特定の遊技状態において、通常の遊技状態と比べて第二始動口1421への遊技球の入賞が容易化される。これにより、第一特別図柄の始動記憶のうちいずれかが演出判定データと一致する旨が内示されている場合に、より一層、内示の対象となっている第一特別図柄の始動記憶の消化が行われることを抑制できる。なお、第二始動口1421への遊技球の入賞の容易化は、1つの始動記憶についての抽選処理に要する時間内に少なくとも1球の遊技球がほぼ常に第二始動口1421に入賞する程度に容易化されることが好ましい。言い換えると、特別図柄の変動時間が1回行われる時間内に、1球以上の遊技球が第二始動口1421に入賞する程度に、第二始動口1421への遊技球の入賞が容易化されることが好ましい。なぜなら、抽選処理が1回行われる間に第二始動口1421に遊技球が1球以上入賞することで、第一始動口への遊技球の入賞に基づいて抽選処理が行われることを防止できるからである。
また、遊技者が、第二始動口1421に遊技球が入賞されるように右打ちを行った場合には、特定の遊技状態では第二始動口1421への遊技球の入賞が促進されることから、所謂持ち玉の減少を抑制しつつ遊技を行うことができる(第二始動口1421に入賞すると払出制御基板2133により所定数の賞球が払い出されるため)。しかし、第一始動口1420に遊技球が受け入れられたことに基づいて取得された大当り乱数と演出判定用テーブル2937に記憶される演出判定データとが一致する旨が内示されていない段階で右打ちを行うと、第一始動口1420に遊技球が受け入れられたことに基づいて取得された大当り乱数と演出判定用テーブル2937に記憶される演出判定データとが一致する旨が内示されることは期待できない。
このように、特定の遊技状態では、右打ちを行った場合と左打ちを行った場合とで遊技性が大きく異なるので、遊技者が所望する遊技を選択的に行うことができるといった面白みがある。
しかしながら、特定の遊技状態は期間限定であるから、特定の遊技状態の終了が近づいてくると、第二当否決定手段2930bによる当落判定(抽選処理)にて大当りが発生することを期待して遊技を継続することはリスクを伴う。この場合(特定の遊技状態の終了が近づいてきた場合)は、遊技を中断することによって、既に大当りが確定している第一特別図柄の始動記憶についての大当り遊技を行うことによって、当該大当り遊技の終了後に再びチャンス状態における遊技を行うことが可能となる。
また、特定の遊技状態における抽選確率は、本実施形態のパチンコ機1では、上述のとおり、おおよそ40分の1(より詳細には39.75分の1)であり、これは、通常時における抽選確率(397.5分の1)の10倍である。さらに、特定の遊技状態は、特別図柄の抽選が例えば70回行われるまでに限られる。ここで、特定の遊技状態における抽選確率は、1を被除数とし且つ所定期間としての特定の遊技状態において行われる内部的な抽選処理の回数(例えば70回)を除数とする確率と同じかそれよりも高い確率であることが好ましい。これにより、特定の遊技状態は予め設定された所定期間に限って行われるものの、当該所定期間内に再び内部的な抽選処理の結果が当りとなる可能性が高いことから、所謂連チャンに関して高い期待感を遊技者に与えることができる。また、特定の遊技状態において、大当り遊技が付与されうる権利を担保しつつ、第二特別図柄についての内部的な抽選処理が行われるように遊技を行うことができる頻度が高められながらも、大当り遊技が付与されうる権利を発生させることができずに特定の遊技状態が終了してしまう可能性を残すことで、リスクと期待感とが共存する新たな遊技性を提供でき、興趣の低下を抑制できる。
ところで、上記大当りが確定している第一特別図柄の始動記憶は、あくまでも特定の遊技状態において大当りが確定しているにすぎない。即ち、第一当り判定用乱数抽出手段2916aによって取得された乱数値の当否判定が、確率変動時(特定の遊技状態時)の第一当り判定用テーブル2911aを参照して行われた場合と、通常時の第一当り判定用テーブル2911aを参照して行われた場合とでは、判定結果が異なることとなる。なぜなら、確率変動時の第一当り判定用テーブル2911aに記憶されている大当り乱数値と、通常時の第一当り判定用テーブル2911aに記憶されている大当り乱数値とが異なるからである。したがって、特定の遊技状態において第一特別図柄の始動記憶が大当りとなりうることが、当該第一特別図柄の始動記憶に対応する保留記憶表示部1150に表示されていたとしても(即ち当りとなりうる第一特別図柄の始動記憶に対応する保留記憶表示部1150が点滅表示されていたとしても)、特定の遊技状態から通常時に移行した場合には、当りとなりうる第一特別図柄の始動記憶に対応する保留記憶表示部1150の点滅表示を終了し、他の保留記憶表示部1150に表示される画像と同様の画像を表示する。このとき、“残念でした”を液晶表示装置640に表示することで、大当りとなる可能性(即ち、大当り遊技が付与されうる権利)が消滅した可能性があることを遊技者が明確に把握できるようにした(権利消滅内示手段)。これにより、特定の遊技状態から通常時に移行したことを遊技者に認知させることができる。また、特定の遊技状態から通常時に移行したことによって、大当り遊技が付与されうる権利が消滅したことを遊技者に明確に認知させることができるので、“当りとなるはずなのに当たらなかった”といった錯誤が生じることを防止できる。さらに、大当り遊技が付与されうる権利は特定の遊技状態に制御されている場合にのみ有効であったことを認識できるので、期間限定の特定の遊技状態の存在価値が高められる。
一方、第一特別図柄の始動記憶が全てハズレである場合には、第一特別図柄の始動記憶の変動が行われるように(第一特別図柄の始動記憶が消化されるように)、遊技者は、打球発射装置650(図6参照)から遊技領域605に向けて遊技球を打ち込むことを中断(即ち遊技を中断)することを選択できる。このように遊技が中断されると、第二特別図柄の始動記憶が順に消化され、記憶されている全ての第二特別図柄の始動記憶が消化されると、第一特別図柄の始動記憶の消化が開始される。そして、第一特別図柄の始動記憶が全て消化されると、新たな第一特別図柄の始動記憶が可能となるので、新たに記憶される第一特別図柄の始動記憶について大当りとなる期待感が抱かれる。
さらに、大当り遊技中に、第一特別図柄の始動記憶についての抽選結果が大当りとなりうる場合には、当該大当り遊技中(即ち、当該大当り遊技が終了したのちの特定の遊技状態に制御されるまで)に保留された第一特別図柄の始動記憶についての抽選結果が大当りとなりうること明示するようにしている。大当り遊技中は、当該大当り遊技を消化するだけの退屈な遊技となりがちであるが、第一特別図柄の始動記憶が当りとなりうることを明示することで、大当り遊技中における興趣の低下を抑制できる。しかも、第一特別図柄の始動記憶が当りであると、当該大当り遊技が終了したのちに連チャンの期待ができるので、より一層、大当り遊技中における興趣の低下を抑制できる。また、大当り遊技中において、第一特別図柄の始動記憶全てについての内部的な抽選処理の結果がハズレとなりうる場合には、大当り遊技が終了したのちに制御される特定の遊技状態に制御されるまで(即ち、大当り遊技が終了するまで)に、第一特別図柄の始動記憶により当りとなりえないことが明示される。これにより、遊技者は、大当り遊技が終了したのちの特定の遊技状態において、第二始動口1421に遊技球を積極的に入賞させる遊技を行うのか、それとも第一特別図柄の始動記憶を消化するために遊技を中断するのか、を選択できる。
また、本実施形態では、センター役物1401よりも左側に向けて遊技球を発射した場合に第一始動口1420への入賞が可能となり、センター役物1401よりも右側に向けて遊技球を発射した場合に第二始動口1421への入賞が可能となるように、各始動口1420,1421が配置されている。これにより、遊技者の意思によって、第一始動口1420を狙って遊技球を発射させたり、第二始動口1421を狙って遊技球を発射させたりすることができる点で好ましい。より詳述すると、期間限定のチャンス状態にあるときは第二始動口1421への遊技球の入賞が容易化されることから、センター役物1401よりも右側に向けて遊技球を発射すると、持ち玉の減少を抑制しつつ遊技を行うことができるものの、第一特別図柄の始動記憶について大当りとなる期待感が低下する。一方、たとえチャンス状態であったとしても第一始動口1420への遊技球の入賞が容易化されることはないので、チャンス状態にあるときは、第一始動口1420への遊技球の入賞頻度は第二始動口1421への遊技球の入賞頻度よりも少ない。したがって、センター役物1401よりも左側に向けて遊技球を発射すると、持ち玉は減少するものの第一特別図柄の始動記憶について大当りとなる期待感を抱くことが可能となる。このように、遊技者の意思によって、センター役物1401の左右いずれに向けて遊技球を発射するかを選択することによって、第一特別図柄の始動記憶および第二特別図柄の始動記憶のいずれかを任意に保留させることができるといった新たな遊技機を提供することができる。
[通常の遊技状態(通常時)について]
次に、通常の遊技状態(通常時)の詳細について、図119を参照して説明する。図119に示すように、通常時では、液晶表示装置640に表示される背景画像として、氷河期の大地をイメージした画像が表示される。
ところで、本実施形態では大当りの種類として、確率変動大当りと特殊大当りとが存在するが、いずれも確変機能の作動を伴う当りである(すなわち、大当りに当選すると100%確率変動に突入する)。そして、このように発生した特定の遊技状態は、特別図柄の変動回数が所定回数行われると、通常時に移行する。この通常時について、以下説明する。
まず、通常時では、時短機能が未作動となるため、可動片1427の動作態様が先述の平時態様となり、第二始動口1421への遊技球の入賞頻度が抑制される。そのため、通常時では、第一始動口1420のみに遊技球が入賞しがちとなり、おおむね第一特別図柄の始動記憶のみが蓄積および導出される遊技態様となる。なお、先述のように、本パチンコ機1では第二特別図柄の始動記憶は第一特別図柄の始動記憶よりも優先的に導出されるため、可動片1427の開閉動作によって第二始動口1421への遊技球が入賞すると、当該入賞に基づく第二特別図柄の始動記憶が第一特別図柄の始動記憶よりも先んじて即座に導出されることになる。
ところで、通常時では、第一特別図柄の始動記憶の蓄積(保留)及び導出が繰り返される遊技態様となることから、高期待演出(いわゆる、リーチ演出)が行なわれない場合は、第一特別図柄についてはその始動記憶数(保留数)が多いほど図柄変動時間が短くなるように制御される。一方、第二始動口1421への遊技球の入賞頻度が低いため、第二特別図柄はその始動記憶数(保留数)に拘らず図柄変動時間が略一定となる。
そして、特別図柄抽選処理において確率変動大当りに当選した場合には、先述のように、各図柄列1153a〜1153cがゾロ目で停止表示されて確率変動大当りに当選したことが導出されるとともに、大当りに当選した旨を示す演出画像が液晶表示装置640に表示される。そして、当該確率変動大当りに基づく大当り遊技(特定の利益)が実行されて、多量の賞球としての遊技球が遊技者に対して払いだされる。そして、当該大当り遊技が実行されたのちの遊技状態が特定の遊技状態に制御される。
ところで、通常時では、第二始動口1421への遊技球の入賞頻度が抑制されるものの、普通当否決定手段2925による抽選に当選することにより稀ながら一対の可動片1427が開状態となって第二始動口1421に入賞しうる場合がある。このとき、タイミングよく第二始動口1421に遊技球が入賞すると、通常時でありながらも第二特別図柄が始動記憶され、当該第二特別図柄の始動記憶に基づいて当選することもある。このように、通常時でありながらも稀に第二当否決定手段2930bによる抽選処理において当選した結果、当該当選が確率変動大当りへの当選である場合は、先述の第一特別図柄の始動記憶に基づく確率変動大当りと同様にして、各図柄列1153a〜1153cがゾロ目で停止表示されて確率変動大当りに当選したことが導出されるとともに、大当りに当選した旨を示す演出画像が液晶表示装置640に表示される。そして、当該確率変動大当りに基づく大当り遊技が実行されて、多量の賞球としての遊技球が遊技者に対して払いだされる。そして、当該大当り遊技が実行されたのちの遊技状態が特定の遊技状態に制御される。
また、特定の遊技状態では、第二始動口1421への遊技球の入賞頻度が高められるだけでなく、第一当否決定手段2930aによる抽選処理が、第二当否決定手段2930bによる抽選処理が全て行われるまで(第二特別図柄の保留がなくなるまで)待機状態となるものの、稀に第一当否決定手段2930aによる抽選処理が行われる場合がある。この第一当否決定手段2930aによる抽選処理において当選した結果、当該当選が確率変動大当りへの当選である場合にも、各図柄列1153a〜1153cがゾロ目で停止表示されて確率変動大当りに当選したことが導出されるとともに、確率変動大当りに当選した旨を示す演出画像が液晶表示装置640に表示される。そして、当該確率変動大当りに基づく大当り遊技が実行されて、多量の賞球としての遊技球が遊技者に対して払いだされる。そして、当該大当り遊技が実行されたのちの遊技状態が特定の遊技状態に制御される。
ところで、従来の遊技機では、通常時で確率変動を伴わない大当りに当選すると、いわゆる大当りの連荘を期待できないために遊技者が落胆してしまい、興趣が低下する問題があった。しかしながら、本パチンコ機1によれば、遊技状態に拘らず、全ての大当りが確率変動を伴なう大当りであるため、確率変動による大当りの連荘を期待でき、興趣の低下を抑制することができる。
[特定の遊技状態について]
次に、特定の遊技状態の詳細について、図120を参照して説明する。図120に示すように、特定の遊技状態では、液晶表示装置640に表示される背景画像として、噴火活動中の火山群をイメージした画像が表示されるともに、特定の遊技状態であることを明示する表記(画面右上における「MAGMA ZONE」)が表示される。なお、この特定の遊技状態では、確変機能および時短機能の両方が作動している。
まず、特定の遊技状態では、時短機能が作動するため、可動片1427の動作態様が先述の促進態様となり、第二始動口1421への遊技球の入賞頻度が向上される。そのため、特定の遊技状態では、第一始動口1420よりも第二始動口1421に遊技球が入賞しやすくなり、おおむね第二特別図柄の始動記憶が蓄積および導出される遊技態様となる。なお、先述のように、本パチンコ機1では第二特別図柄の始動記憶は第一特別図柄の始動記憶よりも優先的に導出される。そのため、特定の遊技状態では、第二始動口1421への遊技球の入賞が促進されることと相まって、第一特別図柄の始動記憶が導出され難くなる。言い換えれば、第二特別図柄の始動記憶がなくならずに第二始動口1421に遊技球が入賞し続ける限り、第一特別図柄の始動記憶が導出されることなく、第二特別図柄の始動記憶が導出され続ける。
ところで、特定の遊技状態では、おおむね第二特別図柄の始動記憶の蓄積(保留)及び導出が繰り返される遊技態様となることから、高期待演出(いわゆる、リーチ演出)が行なわれない場合は、第二特別図柄についてはその始動記憶数(保留数)が多いほど図柄変動時間が短くなるように制御される。一方、第一始動口1420への遊技球の入賞頻度は第二始動口1421への遊技球の入賞頻度よりも低くなるため、第一特別図柄はその始動記憶数(保留数)に拘らず図柄変動時間が略一定となる。なお、特別図柄の変動時間については、詳細は後述する。
そして、第二特別図柄の始動記憶に基づいて確率変動大当りに当選した場合には、先述のように、装飾図柄1153(図柄列1153a〜1153c)は、例えばゾロ目で停止表示されて大当りに当選したことが導出される。ここで、装飾図柄1153がゾロ目で停止表示された場合は、確率変動大当りに当選した旨を示す演出画像が液晶表示装置640に表示される。そして、当該大当りに基づく大当り遊技(特定の利益)が実行されて、多量の賞球としての遊技球が遊技者に対して払いだされる。また、当該大当り遊技が実行されたのちの遊技状態が特定の遊技状態に制御される(つまり、時短機能および確変機能が作動する)。
一方、第二特別図柄の始動記憶に基づいて特殊大当りに当選した場合には、各図柄列1153a〜1153cがゾロ目で停止表示されることなく、遊技球の入賞が困難な大当り遊技(所定の利益)が行われる。この場合、大当り遊技が実行されたのちの遊技状態が特定の遊技状態に制御される。
このように、第二特別図柄の始動記憶に基づいて大当り(確率変動大当りまたは特殊大当り)に当選すると、当該当りに基づく大当り遊技の終了後は、常に特定の遊技状態に制御される。
ところで、特定の遊技状態では、第二始動口1421への遊技球の入賞頻度が促進されるものの、第二特別図柄の始動記憶が存在しない状態(言い換えれば、第二特別図柄の始動記憶が全て消化された状態)になると、第一特別図柄の始動記憶に基づく抽選結果が導出されることになる。そして、この第一特別図柄の始動記憶に基づいて確率変動大当りに当選することもある。この場合は、先述の第二特別図柄の始動記憶に基づく長開放大当りと同様にして、大当り制御が実行される。すなわち、各図柄列1153a〜1153cがゾロ目で停止表示されて大当りに当選したことが導出されたのちに、確率変動大当りに基づく特定の利益または特殊大当りに基づく所定の利益としての大当り遊技が実行される。そして、当該大当り遊技が実行されたのちの遊技状態が常に特定の遊技状態に制御される。
[高期待演出抽選について]
ここで、先述の変動パターン設定処理(図103参照)において、抽選結果がハズレである場合に実行される各変動パターンテーブル設定処理における高期待演出抽選(リーチ判定)について、その詳細を説明する。
高期待演出(リーチ変動)を行うべきか否かの判断は、高期待演出抽選に当選していれば高期待演出を行うと判断され、高期待演出抽選に落選していれば高期待演出を行わないと判断される。高期待演出抽選は、各始動口1420,1421への入賞に際して上述のリーチ判定用乱数を取得し、当否判定用乱数がハズレである場合に、図柄の変動が開始されるに際して、当該取得したリーチ判定用乱数の当落を判定することによって行われる。
詳細には、0から240までのリーチ判定用乱数のなかから一つを取得し、当該取得したリーチ判定用乱数が予め定められたリーチ判定値に該当する場合には、高期待演出抽選に当選したと判断する。ここで、高期待演出抽選に当選する確率は、時短機能や確変機能の作動の有無や、第一特別図柄及び第二特別図柄のいずれの変動であるかや、各保留消化手段2922a,2922bによるカウンタ値(所謂保留数)によっても高期待演出抽選に当選する確率が異なる。
より具体的には、第一特別図柄についての高期待演出抽選は、次のように実行される。まず、時短機能および確変機能が作動しない通常時では、高期待演出(リーチ演出)抽選に当選する確率が例えば241分の15である。また、時短機能および確変機能が作動する特定の遊技状態では、高期待演出抽選に当選する確率が241分の5である。
一方、第二特別図柄についての高期待演出抽選は、次のように実行される。まず、時短機能および確変機能が作動しない通常時では、高期待演出抽選に当選する確率が例えば241分の1となる。また、時短機能および確変機能が作動する特定の遊技状態では、高期待演出抽選に当選する確率が例えば241分の2となる。
このように、第一特別図柄に基づく図柄変動と第二特別図柄に基づく図柄変動とによって、高期待演出抽選に当選する確率を異ならせることで、各特別図柄に基づく抽選結果の導出態様に差異をもたせることができ、抽選結果の導出に伴う演出に多様性をもたせることができる。
詳細には、通常時では時短機能が作動しないので第二始動口1421に遊技球が入賞し難いため、第一始動口1420ヘの入賞がなければ第一特別図柄および第二特別図柄のいずれの保留球も存在しない状態が発生しやすい。そこで、第一特別図柄については、高期待演出抽選に当選しやすくすることで(241分の15)、当該第一特別図柄の変動時間を長くするようにした。これにより、高期待演出(リーチ変動)が行なわれている期間に各始動口1420,1421に遊技球が入賞して各特別図柄の保留球が発生することで、各特別図柄の保留球が存在しない状態が発生するのを抑制することができる。
また、通常時では、第二始動口1421に遊技球が入賞困難であることから第二特別図柄に基づく図柄変動が行なわれるのは稀である。そのため、第二特別図柄については、高期待演出抽選に当選する確率を極めて低くすることで(241分の1)、高期待演出が行なわれ難いようにしている。ところで、本実施形態では、高期待演出抽選に当選する確率に拘らず、第一特別図柄および第二特別図柄が大当りに当選する確率は等しい。そのため、通常時において、第二特別図柄について高期待演出が行なわれると、第一特別図柄について高期待演出が行なわれるときよりも大当りに当選している可能性が極めて高いことを意味する。このように、通常時では、第二特別図柄について高期待演出は大当りが導出される期待度が極めて高い演出(所謂アツイ演出)となり、第一特別図柄について高期待演出との差別化を図ることができ、遊技の興趣を向上させることができる。
一方、特定の遊技状態では、時短機能が作動するので第二始動口1421に遊技球が入賞しやすいため、第一始動口1420ヘの入賞がなくても第一特別図柄および第二特別図柄のいずれの保留球も存在しない状態が発生しにくい。そこで、特定の遊技状態では、通常時における第一特別図柄の図柄変動よりも高期待演出抽選に当選し難くして(例えば、特定の遊技状態では241分の7)、各特別図柄の変動時間を短くするようにした。これにより、各特別図柄の始動記憶の導出が促進されるため、各始動口1420,1421に入賞したにも拘らず保留されない遊技球(いわゆる無効球)の発生を抑制することができる。
[特別図柄の変動時間について]
ところで、第一特別図柄および第二特別図柄は、いずれも、時短機能が作動しているか否かによって変動時間が異なる。また、時短機能が作動していない場合には、高期待演出が行われない場合における第一特別図柄の変動時間は第一保留消化手段2922aによるカウンタ値(所謂第1保留数)に応じて異なる一方、高期待演出が行われない場合における第二特別図柄の変動時間は第二保留消化手段2922bによるカウンタ値(所謂第2保留数)にかかわらず一定である。同様に、時短機能が作動している場合には、高期待演出が行われない場合における第二特別図柄の変動時間は第二保留消化手段2922bによるカウンタ値(所謂第2保留数)に応じて異なる一方、高期待演出が行われない場合における第一特別図柄の変動時間は第一保留消化手段2922aによるカウンタ値(所謂第1保留数)にかかわらず一定である。
まず、第一特別図柄の変動時間は、第一特別図柄の保留球数、すなわち、変動開始時における第一保留消化手段2922aによるカウンタ値(当該変動を開始することに伴ってカウンタ値が減算されたのちのカウンタ値)が0であれば、12800msである。また、第一特別図柄の保留球数が1の場合も、12800msである。また、第一特別図柄の保留球数が2であれば、6200msである。また、第一特別図柄の保留球数が3であれば、2100msである。
以上をまとめると、通常時において、抽選結果がハズレであって高期待演出が行われない場合における第一特別図柄の変動時間は、保留球数が3であれば約2100msec、保留球数が2であれば約6200msec、保留球数が0または1であれば約12800msecである。
一方、第二特別図柄の変動時間は、第二特別図柄の保留球数、すなわち、変動開始時における第二保留消化手段2922bによるカウンタ値(当該変動を開始することに伴ってカウンタ値が減算されたのちのカウンタ値)が0〜3のいずれであっても、12800msである。
これにより、時短機能が作動しない通常時において、抽選結果がハズレであって高期待演出が行われない場合における第二特別図柄の変動時間は、保留球数に関係なく略一定(約12800msec)である。
以上のことから、通常時では主として第一特別図柄の始動記憶の保留及び導出が繰り返し行なわれる遊技態様となるところ、第一特別図柄の始動記憶の保留数が多い場合には当該始動記憶に基づく抽選結果が迅速に導出される。そのため、第一始動口1420に入賞したにも拘らず保留されない始動記憶(いわゆる、無効球)の発生を抑制することができる。逆に、第一特別図柄の始動記憶の保留数が少ない場合には当該始動記憶に基づく抽選結果が比較的長い変動時間で導出されるので、先述のように高期待演出抽選に当選しやすいことと相まって、各特別図柄の始動記憶が存在しない状態が発生することが抑制される。
そして、通常時では第二始動口1421に遊技球が入賞し難い態様となるところ、先述のように高期待演出抽選に当選しにくい一方で、第二特別図柄の始動記憶は比較的長時間の変動時間で導出される。これにより、第二特別図柄の図柄変動が行なわれている期間に各始動口1420,1421に遊技球が入賞することで、各特別図柄の保留球が存在しない状態が発生するのを抑制することができる。特に時短機能が作動しない通常時では、第二特別図柄の始動記憶は希少であることから、その変動時間を長くすることで導出が抑制することができ、第二特別図柄の始動記憶が存在している状態をできるだけ長く維持することができる。
また、時短機能が作動する特定の遊技状態において、抽選結果がハズレであって高期待演出が行われない場合における第一特別図柄および第二特別図柄の変動時間は、次のように決定される。
まず、第一特別図柄の変動時間は、第一特別図柄の保留球数が0〜3のいずれであっても、6000msである。
これにより、時短機能が作動する特定の遊技状態において、抽選結果がハズレであって高期待演出が行われない場合における第一特別図柄の変動時間は、保留球数に関係なく略一定(約6000msec)である。
一方、第二特別図柄の変動時間は、第二特別図柄の保留球数が0であれば、12200msである。また、第二特別図柄の保留球数が1〜3であれば、1800msである。
以上をまとめると、時短機能が作動する特定の遊技状態において、抽選結果がハズレであって高期待演出が行われない場合における第二特別図柄の変動時間は、保留球数が1〜3であれば約1800msec、保留球数が0であれば約12200msecである。
以上のことから、特定の遊技状態では主として第二特別図柄の始動記憶の保留及び導出が繰り返し行なわれる遊技態様となるところ、第二特別図柄の始動記憶の保留数が多い場合には当該始動記憶に基づく抽選結果が迅速に導出される。そのため、第二始動口1421に入賞したにも拘らず保留されない始動記憶(いわゆる、無効球)の発生を抑制することができる。逆に、第二特別図柄の始動記憶の保留数が少ない場合には当該始動記憶に基づく抽選結果が比較的長い変動時間で導出されるので、先述のように高期待演出抽選に当選し難い一方で、各特別図柄の始動記憶が存在しない状態が発生するのが抑制される。
そして、特定の遊技状態では第一始動口1420よりも第二始動口1421に遊技球が入賞しやすい態様となるところ、第一特別図柄については先述のように高期待演出抽選に当選しやすいことと相まって、当該第一特別図柄の始動記憶は比較的長時間の変動時間で導出される。これにより、第一特別図柄の図柄変動が行なわれている期間に各始動口1420,1421に遊技球が入賞することで、各特別図柄の保留球が存在しない状態が発生するのを抑制することができる。特に時短機能が作動する特定の遊技状態では、第一特別図柄の始動記憶は比較的希少であることから、その変動時間を長くすることで導出が抑制することができ、第一特別図柄の始動記憶が存在している状態をできるだけ長く維持することができる。
なお、高期待演出が行われる場合における第一特別図柄および第二特別図柄の変動時間は、各特別図柄の保留球数に影響されることなく、当該高期待演出の態様(種類)によって変動時間が決定される。
また、装飾図柄1153および特別図柄対応図柄2390a,2390bの変動は特別図柄の変動時間と対応しており、装飾図柄1153の変動時間および特別図柄対応図柄2390a,2390bの変動時間と、特別図柄の変動時間と、はほぼ同じ時間である。
ところで、上述した本実施形態の遊技機からは、以下の技術思想を把握できる。なお、以下の各技術思想は単独で、若しくは、適宜組み合わされて備えられている。また、以下の各技術思想は、本実施形態を技術思想として表現しているため、本実施形態に記載の用語を上位概念化された用語で表現している。なお、括弧書きの記載は、本実施形態に対応する用語である。
[技術的思想1]
技術思想1に記載の遊技機は、
遊技領域を流下する遊技球を受け入れ可能な第1受入口と、
常には前記第1受入口よりも遊技球の受け入れが困難な第2受入口と、
前記第1受入口または前記第2受入口への遊技球の受け入れに基づいて所定の情報を取得し、当該取得された所定の情報に基づいて所定の判定処理を行うとともに、当該所定の判定処理の結果とは別に、当該取得された所定の情報を抽選情報として記憶する受入処理手段と、
少なくとも1以上の特定値が記憶される通常判定用テーブル、および、当該通常テーブルに記憶される特定値よりも多くの特定値が記憶される特別判定用テーブル、を記憶する判定用テーブル記憶手段と、
前記抽選情報についての当否判定処理を、当該抽選情報と前記通常判定用テーブルに記憶される前記特定値とが一致するか否かにより行う当否判定手段と、
前記抽選情報についての当否判定処理を、当該抽選情報と前記特別判定用テーブルに記憶される前記特定値とが一致するか否かにより行う特別当否判定手段と、
前記当否判定処理の結果に応じて所定の変動演出を行う変動演出実行手段と、
前記変動演出実行手段による前記所定の変動演出が終了しているとき、記憶状態にある前記抽選情報についての前記当否判定処理の実行を許容する当否判定処理実行手段と、
前記抽選情報と前記特定値とが一致したことに基づいて、遊技者に有利な特典遊技を行う特典遊技実行手段と、
前記特典遊技が付与されたのちの予め定められた所定期間に限って、前記抽選情報についての前記当否判定処理が前記特別当否判定手段により行われる特別遊技状態に制御する特別遊技状態制御手段と、
前記所定の判定処理に用いられ、前記特別判定用テーブルに記憶される特定値と同じ値を演出判定値として有する演出判定用テーブルを記憶する演出判定用テーブル記憶手段と、
前記所定の判定処理は、前記第1受入口または前記第2受入口への遊技球の受け入れに基づいて取得された前記所定の情報と前記演出判定用テーブルとを比較判定し、
前記比較判定の結果を内示しうる内示手段と、を備え、
少なくとも前記特別遊技状態に制御されている前記所定期間において、前記演出判定用テーブルに記憶される前記演出判定値と一致する前記抽選情報についての前記当否判定処理が実行され難いように、
前記第2受入口への遊技球の受け入れに基づく前記抽選情報が記憶されている限り、当該第2受入口への遊技球の受け入れに基づいて記憶された前記抽選情報についての前記当否判定処理の実行が許容されるとともに、前記第1受入口よりも前記第2受入口への遊技球の受け入れが容易化される
ことを特徴とする遊技機である。
技術思想1に記載の遊技機によると、第1受入口(第一始動口1420)と第2受入口(第二始動口1421)とが設けられており、第1受入口または第2受入口に遊技球が受け入れられると、受入処理手段(ステップS20)により受入処理が行われる。
詳細には、第1受入口(第一始動口1420)に遊技球が受け入れられると、第1受入処理手段(ステップS206〜ステップS210)により第1受入処理が行われ、第2受入口(第二始動口1421)に遊技球が受け入れられると、第2受入処理手段(ステップS201〜ステップS205)により第2受入処理が行われる。
第1受入処理では、先ず、第1受入口への遊技球の受け入れに基づいて第1受入口への遊技球の受け入れが第1受入検出手段(ステップS206にてYES)により検出され、当該第1受入口への遊技球の受入検出に基づいて所定の情報(大当り判定用乱数)が第1情報取得手段(第一当り判定用乱数抽出手段2916a)により取得される。次いで、第1受入口に遊技球が受け入れられたタイミングで、取得された所定の情報に基づいて所定の判定処理としての演出判定処理が第1演出判定処理手段(ステップS208)により行われる。この演出判定処理の結果は、後述する変動演出が開始されるまで記憶される。そしてさらに、所定の判定処理の結果とは別に、取得された所定の情報が抽選情報(第一特別図柄の始動記憶としての大当り判定用乱数)として第1抽選情報記憶手段(ステップS209、第一特別図柄用乱数記憶手段2939)により記憶される。第1受入口に受け入れられたタイミングとは、第1受入口への遊技球の受け入れに基づいて所定の情報が取得されたときであり、当該所定の情報が抽選情報として記憶されるタイミングとほぼ同じである。なお、演出判定処理については後述する。
第2受入処理では、先ず、第2受入口への遊技球の受け入れに基づいて第2受入口への遊技球の受け入れが第2受入検出手段(ステップS201にてYES)により検出され、当該第2受入口への遊技球の受入検出に基づいて所定の情報(大当り判定用乱数)が第2情報取得手段(第二当り判定用乱数抽出手段2916b)により取得される。次いで、第2受入口に遊技球が受け入れられたタイミングで、取得された所定の情報に基づいて所定の判定処理としての演出判定処理が第2演出判定処理手段(ステップS203)により行われる。この演出判定処理の結果は、後述する変動演出が開始されるまで記憶されるようにしてもよい。そしてさらに、所定の判定処理の結果とは別に、取得された所定の情報が抽選情報(第二特別図柄の始動記憶としての大当り判定用乱数)として第2抽選情報記憶手段(ステップS204、第二特別図柄用乱数記憶手段2940)により記憶される。第2受入口に受け入れられたタイミングとは、第2受入口への遊技球の受け入れに基づいて所定の情報が取得されたときであり、当該所定の情報が抽選情報として記憶されるタイミングとほぼ同じである。なお、第2受入処理では、演出判定処理は必須の構成ではない。
ところで、上記遊技機は、通常の遊技状態に制御されているのが常であるから、常には(即ち、通常の遊技状態では)第1受入口よりも第2受入口への遊技球の入賞が困難となっている。言い換えると、後述する特別遊技状態(特定の遊技状態)に制御されない限り、第1受入口よりも前記第2受入口への遊技球の受け入れが容易化されることがない。
また、後述する当否判定処理に採用される大当り判定用テーブルとして、通常判定用テーブル(通常時の第一当り判定用テーブル2911aおよび通常時の第二当り判定用テーブル2911b)、特別判定用テーブル(特別遊技状態時の第一当り判定用テーブル2911a、通常時の第二当り判定用テーブル2911b)が判定用テーブル記憶手段(ROM2813)に記憶されている。そして、これらのテーブルを用いて当否判定処理(ステップS505)が行われる。
当否判定処理では、後述する特別遊技状態(特定の遊技状態)に制御されているときは、第1受入口または第2受入口への遊技球の受け入れに基づいて記憶された抽選情報と、特別判定用テーブルに記憶される特定値(大当り用乱数)とが一致するか否かが特別当否判定手段(第一当否決定手段2930aまたは第二当否決定手段2930b、ステップS314)により判定される。また、特別遊技状態に制御されていないとき(即ち通常の遊技状態であるとき)は、第1受入口または第2受入口への遊技球の受け入れに基づいて記憶された抽選情報と、通常判定用テーブルに記憶される特定値(大当り用乱数)とが一致するか否かが通常当否判定手段(第一当否決定手段2930aまたは第二当否決定手段2930b、ステップS313)により判定される。当否判定処理にて、第1受入口または第2受入口への遊技球の受け入れに基づいて記憶された抽選情報と、特別判定用テーブルに記憶される特定値とが一致すれば当りと判定され、一致しなければハズレと判定される。ここで、特別判定用テーブルに記憶される特定値の数は、通常判定用テーブルに記憶される特定値よりも多いので、特別遊技状態に制御されているときは、特別遊技状態に制御されていないときよりも、当選と判定される確率が高くなる。また、当否判定処理は、1つずつの抽選情報について順に行われる。
また、当否判定処理の結果に応じて、変動演出実行手段(周辺制御基板2830および液晶制御基板2832)により所定の変動演出が行われる。当否判定処理の実行は、変動演出実行手段による所定の変動演出(前回の当否判定処理の結果に応じた変動演出)が終了していることを条件に、当否判定処理実行手段(第一保留消化手段2942a、第二保留消化手段2942b)により許容される。ここで、所定の変動演出は、変動演出実行手段による所定の変動演出が終了していることを条件に行われるので、前回の当否判定処理の結果に応じた変動演出が終了していない限り、次回の当否判定処理が行われることはない。なお、受入処理手段(より詳しくは第1抽選情報記憶手段または第2抽選情報記憶手段)により記憶状態にある抽選情報についての当否判定処理は、所定の変動演出が開始されるときに行われる。
より詳しくは、第1受入処理手段により記憶された抽選情報は、当否判定処理実行手段(第一保留消化手段2942a)により当否判定処理の実行が許容されると、当否判定手段または特別当否判定手段により、記憶された順に当否判定処理が行なわれる。また、第2受入処理手段により記憶された抽選情報は、抽選実行手段(第二保留消化手段2942b)により頭皮判定処理の実行が許容されると、当否判定手段または特別当否判定手段により、記憶された順に当否判定処理が行なわれる。ただし、第1受入処理手段により記憶された抽選情報と第2受入処理手段により記憶された抽選情報との順は記憶されない。
当否判定処理の結果が当たりであると、遊技者に有利な特典遊技(大当たり遊技)が特典遊技付与手段(特定利益付与手段2981、所定利益付与手段2982)によって付与される。なお、当否判定処理による判定結果が当りであると、遊技者の気分を高揚させる当り演出が行われ、当該当たり演出が終了すると、特典遊技が行われることを実感できる演出(即ち、特典遊技が行われることを明確に把握できる演出)が行われる。
そして、特典遊技が終了すると、当該特典遊技の終了時を起点とする予め定められた所定期間に限って、特別遊技状態制御手段(遊技状態制御手段2933)により通常の遊技状態に代えて特別遊技状態(特定の遊技状態)に制御される。特別遊技状態では、第1受入口または第2受入口に遊技球が入賞したことに基づいて記憶された抽選情報について1つずつ行われる当否判定処理が、上述の特別当否判定手段によって、通常の遊技状態時よりも高い確率で当たりとなりうるように行われる。
ここで、演出判定処理について詳述する。上記遊技機では、特別判定用テーブルと同じかまたは酷似する(即ち、特別判定用テーブルに記憶される特定値と同じ値を演出判定値として有する)テーブルが演出判定用テーブルとして、演出判定用テーブル記憶手段(ROM2813)により記憶されている。そして、演出判定処理は、第1受入口への遊技球の受け入れに基づいて取得された所定の情報と演出判定用テーブルとを、当該第1受入口に遊技球が受け入れられたタイミングで比較判定することにより行なわれる。より具体的には、第1受入口への遊技球の受け入れに基づいて取得された所定の情報と演出判定用テーブルに記憶される演出判定値とが一致するか否かが判定される。このように比較判定された判定結果は、後述する内示手段によって内示されるとともに、当否判定処理の結果として導出されるまで記憶される。
また、特別遊技状態(特定の遊技状態)に制御されている所定期間では、第1受入口への遊技球の受け入れに基づいて取得された所定の情報と演出判定用テーブルに記憶される演出判定値とが一致する場合に、当該一致する旨が内示手段(周辺制御基板2830および液晶制御基板2832、演出制御手段)によって内示される。第1受入口への遊技球の受け入れに基づいて取得された所定の情報と演出判定用テーブルに記憶される演出判定値とが一致する旨の情報は、受入処理手段により記憶状態にある抽選情報(より詳しくは、第1受入口への遊技球の受け入れに基づいて記憶された抽選情報、即ち第1抽選情報記憶手段により記憶状態にある抽選情報)について、のちに当否判定処理が行われた場合に遊技者に利益が付与される可能性があることを意味する。なお、第1受入口に遊技球が受け入れられたことにより記憶状態にある抽選情報に基づいて遊技者に利益が付与される可能性がある旨が内示されると、特別遊技状態である限り100%の確率で利益が付与される。遊技者に付与される利益は、当否判定処理の結果として付与される利益が好ましく、例えば大当り遊技が相当する。なお、遊技者に利益が付与される可能性がある旨が内示されたとしても、その後に遊技状態が変化すると(即ち通常の遊技状態に戻ると)、利益が付与される可能性が極めて低くなることは言うまでもない。
また、遊技者に付与される利益が特典遊技である場合には、遊技者に利益が付与される可能性ひいては特典遊技が付与される権利が生じた旨が内示される。しかしながら、たとえ、特別遊技状態(特定の遊技状態)に制御される所定期間において特典遊技が付与される権利が生じた旨が遊技者に内示されたとしても、当該特別遊技状態に制御される所定期間が経過したのちは特典遊技が付与される可能性が極めて低くなるので、この場合、特典遊技が付与される権利が消滅した可能性があることを遊技者に積極的に教唆する権利消滅内示手段を備えることが好ましい。
このような遊技機にあって、特別遊技状態(特定の遊技状態)に制御されている所定期間には、第1受入口よりも第2受入口への遊技球の受け入れが容易となるように制御する受入制御手段(時短状態設定手段2981)によって、第2受入口への遊技球の入賞が促進されるようにした。これにより、受入処理手段(より詳しくは第1抽選情報記憶手段)により記憶状態にある抽選情報に基づいて遊技者に利益が付与される可能性がある旨が内示されたとしても、当該第1受入処理手段により記憶状態にある抽選情報についての当否判定処理の実行を遅延させることができ、より長期間にわたって遊技者に与えうる期待感を持続付与させることが可能となる。
さらに、上記の特別当否判定手段は、当否判定処理に際し、第2受入口への遊技球の受け入れに基づく抽選情報が第2受入処理手段により記憶されている限り、当該第2受入処理手段により記憶されている抽選情報についての当否判定処理が順に行われる。そして、当否判定処理に際し、第2受入口への遊技球の受け入れに基づく抽選情報が第2受入処理手段により記憶されていない場合に限り、第1受入口への遊技球の受け入れに基づく抽選情報(第一特別図柄の始動記憶)が第1受入処理手段により記憶されている場合に、当該第1受入処理手段により記憶されている抽選情報についての当否判定処理が行われる。このように、第2受入口への遊技球の受け入れに基づく抽選情報が記憶状態にある限り、第1受入口への遊技球の受け入れに基づく抽選情報が記憶状態にあったとしても、当該第1受入口への遊技球の受け入れに基づく抽選情報についての当否判定処理の実行が許容されることがない。なお、当否判定処理は1つずつ順に行われ、2つの抽選情報についての当否判定処理が同時に行われることはない。
このように、特別遊技状態(特定の遊技状態)では、第1受入口よりも第2受入口への遊技球の受け入れが容易となるように制御されるとともに、第2受入口への遊技球の受け入れに基づく抽選情報が記憶状態にある限り第1受入口への遊技球の受け入れに基づく抽選情報についての当否判定処理が行われないように構成される。さらに、第1受入処理手段により記憶状態にある抽選情報について、当否判定処理が行われないにも拘らず、当該当否判定処理がのちに行われたならば遊技者に利益が付与される可能性がある旨が内示されるので、当否判定処理が行われる前から遊技者に期待感が与えられうる。しかも、遊技者は、内示の対象となった第1受入処理手段により記憶状態にある抽選情報についての当否判定処理の実行を留保しつつ、第2受入口への遊技球の受け入れに基づく遊技を行うことができる。これにより、遊技の進行が阻害されることなく、特別遊技状態において遊技者に与える期待感を長期間にわたって持続させることが可能となり、興趣の低下を抑制することが可能となる。
なお、当否判定処理の実行が許容される順序は、少なくとも特別遊技状態(特定の遊技状態)では、第2受入口への遊技球の受け入れに基づいて記憶された抽選情報の順であり、第2受入処理手段により記憶状態にある抽選情報がなくなった場合にはじめて、第1受入口への遊技球の受け入れに基づいて記憶された抽選情報についての当否判定処理の実行が許容される。第1受入処理手段により記憶状態にある抽選情報についての当否判定処理の実行が許容される順序も、当該第1受入処理手段により記憶された順である。
このように、受入処理手段(詳細には、第1受入処理手段)によって記憶状態にある抽選情報に基づき遊技者に利益が付与される可能性があることを遊技者に内示(教唆)する遊技機にあって、第1受入処理手段により記憶された抽選情報についての当否判定処理を、第2受入処理手段により記憶された抽選情報がゼロになった場合に限って行うようにした。これにより、第1受入処理手段により記憶された抽選情報についての当否判定処理が特別当否判定手段により行われたならば当りと判定される場合であっても、遊技の進行が阻害されることなく当該当否判定処理の実行が遅延される。したがって、第1受入処理手段により記憶状態にある抽選情報に基づいて特典遊技(大当り遊技)が実行される権利を担保しつつ、第2受入処理手段により記憶状態にある抽選情報についての当否判定処理が行われるように遊技を行うことができ、これまでにない新たな遊技機を提供することが可能となる。しかも、かかる遊技を行うことができるのは、特別遊技状態(特定の遊技状態)に制御される所定期間に限られるので、遊技者が一方的に利することなく、遊技者とホールとの均衡を保つことができる。
なお、特別遊技状態(特定の遊技状態)に制御される所定期間は、当否判定処理が予め定められた所定回数(例えば70回)行われるまでの他、特典遊技(大当り遊技)が終了してから予め定められた時間が経過するまで等が相当する。
[技術思想2]
技術思想2に記載の遊技機は、
技術思想1に記載の遊技機において、
前記特別内示手段は、
少なくとも前記第1受入口への遊技球の受け入れに基づいて取得された前記所定の情報と前記演出判定用テーブルとを比較判定した前記比較判定の結果を、前記特別遊技状態に制御されている前記所定期間中に内示した場合には、少なくとも、前記演出判定値と一致する抽選情報についての前記当否判定処理の実行が許容されるまで、前記比較判定の結果の内示を継続する
ことを特徴とする遊技機である。
上記遊技機では、少なくとも第1受入口(第一始動口1420)への遊技球の受け入れに基づいて取得された所定の情報と演出判定用テーブルとを比較判定した結果、所定の情報(大当り判定用乱数)と演出判定値(演出判定データ)とが一致する場合には、当該一致する旨を、特別遊技状態(特定の遊技状態)に制御されている所定期間中に内示する。そして、所定の情報と演出判定値とが一致する旨が内示された場合には、演出判定値と一致する所定の情報にかかる抽選情報についての当否判定処理の実行が許容されるまで(即ち、当否判定処理が行われるまで)、所定の情報と演出判定値とが一致する旨の内示が継続される。ここで、所定の情報と演出判定値とが一致する場合には、のちに当否判定処理が行われた場合に、当該当否判定処理が特別遊技状態において行われる限り、特典遊技が行われることを意味する。これにより、遊技者は、第2受入口(第二始動口1421)に遊技球が受け入れられるように遊技を行うことで、内示の対象となった第1受入口への遊技球の受け入れに基づく所定の情報にかかる抽選情報についての当否判定処理が行われ難いように遊技を行うことが可能となる。これにより、遊技の進行を妨げることなく、所定の情報と演出判定値とが一致する旨の内示を長期間にわたって継続させることが可能となり、興趣の低下を抑制できる。なお、所定の情報と演出判定値とが一致する旨の内示の継続は、少なくとも当否判定処理の実行が許容されるまでであるが、所定の変動演出が終了するまで(即ち、次回の所定の変動演出が開始されるまで)であってもよい。
[技術思想3]
技術思想3に記載の遊技機は、
技術思想1または2に記載の遊技機において、
前記特別遊技状態制御手段は、前記所定期間としての前記当否判定処理が所定回数行われるまでに限って、前記特別遊技状態に制御し、
前記特別当否判定手段は、少なくとも前記特別遊技状態に制御されている前記所定期間において、1を被除数とし且つ前記所定回数を除数とする確率よりも高い確率で前記抽選情報と前記特定値とが一致するように、前記当否判定処理を行う
ことを特徴とする遊技機である。
上記技術思想によると、特別遊技状態(特定の遊技状態)は、当否判定処理が所定回数行われる(即ち所定の変動回数が所定回数行われる)までに限って制御される。この特別遊技状態では、1を被除数とし且つ特別遊技状態に制御される所定回数を除数とする確率よりも高い確率(以下、特別確率と称する)で抽選情報と特定値とが一致するように、当否判定処理が行われる。即ち、特別判定用テーブルに記憶される特定値の数を被除数とし且つ第1受入口または第2受入口への遊技球の受け入れに基づいて取得される所定の情報の幅(大当り用乱数の幅)を除数とする確率が、上記特別確率となる。したがって、特別遊技状態が、当否判定処理が70回に限って行われる遊技状態であれば、特別確率は、70分の1よりも高い確率となる。よって、特別遊技状態は所定期間に限って行われるものの、当該所定期間内に再び当否判定処理の結果が当たりとなる可能性が高いことから、所謂連チャンに関して高い期待感を遊技者に与えることができる。さらに、特別確率は、所定の確率よりも10倍高い確率と同じかそれよりも低い確率であって、1を被除数とし且つ所定回数を除数とする確率と同じかそれよりも高い確率であることが好ましい。即ち、例えば所定の確率が400分の1であって且つ特別遊技状態において当否判定処理が行われる回数が70回であれば、特別確率は、40分の1〜70分の1であることが好ましい。これにより、特別遊技状態において、特典遊技(大当り遊技)が実行される権利を担保しつつ第2受入処理手段(ステップS204)により記憶状態にある抽選情報についての当否判定処理が行われるように遊技を行うことができる頻度が高められつつも、特典遊技が実行される権利を生じさせることができずに特別遊技状態が終了してしまう可能性を残すことで、リスクと期待感とが共存する新たな遊技性を提供でき、興趣の低下を抑制できる。
なお、本発明は、上記の好ましい実施形態に記載されているが、本発明はそれだけに制限されない。本発明の精神と範囲から逸脱することのない様々な実施形態が可能である。