JP5260178B2 - 洗浄および防錆処理方法 - Google Patents
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従って、例えば、金属製のフレームに赤錆が発生している場合には、作業者がその部分を取り外したりあるいは現場において取付状態のままで、該赤錆を、ワイヤブラシ等で落として後、塗装処理をする必要があった。
かかる場合にも、従前のトンネル内の照明設備の洗浄の場合と同様に、道路規制(車線規制)をおこなって、前記証明設備等の取り外し作業、又は、錆取り作業と塗装処理作業がおこなわれているのが現状である。つまり、未だ、前記特許文献1および特許文献2以外にも、交通渋滞を生じさせるような道路管理作業が強いられている。従って、かかる作業も専ら交通量の少ない夜間等を利用しておこなわれているのが現状である。
供給される水を、前記高圧ポンプと温水器とによって、キャビテーションを効果的に発生させ得る温度及び圧力に設定する工程と、
前記噴射ノズルの先端から、粒状の炭酸水素ナトリウムを含み内部でキャビテーションを起こさせた状態の高圧温水を、処理しようとする金属製の対象物に噴射する工程と、
該噴射によって、該対象物の表面に発生している赤錆の膨張した部分を洗浄して除去し該除去した後に不動態被膜を形成して防錆性能を高める工程を有することを特徴とする。
さらに、前述のように、前記フレーム等の対象物の表面は、前記キャビテーションを起こしている高圧温水及び所定硬度を有する粒状の炭酸水素ナトリウムの衝突により、ショットピーニングに類似した作用が施される結果、金属の組織が密になり、耐食性および強度が処理前に比べて大幅に向上する。なお、前記炭酸水素ナトリウムの少なくともその一部は、噴射される高圧温水中で前記温度とキャビテーション作用により炭酸ナトリウムに化学変化して赤錆が前記不動態被膜になるものと思われる。
好ましい構成としては、前記粒径は1mm〜2.5mm程度のものが好ましく、1.6mm〜1.9mm程度がより好ましい。また、前記硬度も、新モース硬度において、2.1〜2.9程度がより好ましく、2.4〜2.7程度がさらに好ましい。また、前記粒状の炭酸水素ナトリウムは、硬度的に前記範囲のものが、対象物を傷つけることなく衝突したときに紛状に破壊され、しかも対象物表面への衝突による膨張している赤錆等の除去に効果的である点において、好ましい。前記炭酸水素ナトリウムの硬度が前記硬度より低い場合には、対象物に衝突前に破壊されてしまう可能性がある。硬度が前記硬度以上に高い硬度の場合には、対象物の表面を傷つけてしまうことがある。しかし、対象物が、橋脚の強度部材等の破壊され難いものの場合には、勿論、前記硬度より高い硬度を使用してもよい。
また、前記粒径については、前記範囲内の粒径であれば、短い時間前記高圧温水中に混入したときにも、対象物に衝突するまでの間に最低限必要な所定の粒径を維持することができる。
今、トンネル内の照明灯の金属製のフレームを洗浄する場合を例に挙げて説明すると、前記噴射ノズル装置5の噴射ノズル5aを前記金属製のフレームに向けた状態で、この高圧洗浄装置AをONにして、前記高圧ポンプ1,温水器2を作動させる。そして、前記噴射ノズル装置5の開閉弁を操作して該開閉弁を「開」状態にすると、水タンク6内の水が第1の接続流路7を介して前記高圧ポンプ1に吸水されて、該高圧ポンプ1により所定の圧力、例えば10.2MPaに加圧される。次に、前記高圧ポンプ1で加圧された水は、前記第2の接続流路8を介して前記温水器2に供給され、この温水器2において、所定の温度、例えば、70°Cまで加温される。そして、このように加圧且つ加温された加圧温水は、前記温水器2から前記アキュムレータ3へ前記第3の接続流路9を介して供給され、このアキュムレータ3において、前記噴射ノズル装置5からの噴射状態の変動にかかわらず、所望の圧力が維持できるように該加圧温水の一部がアキュムレートされる。このようにアキュムレータ3において一部がアキュームレートされている加圧温水は、該アキュムレータ3から前記第4の接続流路10を介して前記噴射ノズル装置5へ供給され、前記噴射ノズル5aから先端方へ噴射される。このように高圧温水が前記噴射ノズル装置5の噴射ノズル5aから噴射されると、具体的には速い速度で流れると、該第4の接続流路10が負圧になり、前記貯留タンク4から粒状の炭酸水素ナトリウムが前記炭酸水素ナトリウム供給路11を介して、該噴射ノズル5aからの噴射流内に吸い込まれる。この結果、前記噴射ノズル5aから噴射される高圧温水中には粒状の炭酸水素ナトリウムが混入し、しかも該噴射ノズル5aからキャビテーションをおこしながら、前記照明灯のフレームに向けて噴射される。そして、このように噴射される高圧温水中では、前記粒状の炭酸水素ナトリウムの一部が溶けだし、それが前記キャビテーション効果と加温により、化学変化して炭酸ナトリウム溶液となっている。このため、前述のように表面に付着した膨張した赤錆や汚染物質がキャビテーションを伴う高圧水の噴射や前記粒状の炭酸水素ナトリウムが高速度で当接することによって、効果的に洗浄され膨張した赤錆等が除去されるとともに、前記溶液となった炭酸ナトリウムによって、該膨張した赤錆が除去された箇所が所謂黒錆に変化して、つまり、不動態被膜が形成された状態となる。なお、前記粒状の炭酸水素ナトリウムは、硬度が前述のような硬度であることから、金属製のフレームに当接すると比較的容易に粉砕されて該フレームやガラス等を損傷させることはない。
また、前記洗浄等の対象物としては、金属製のガードレールや橋梁又は照明灯のポールなど種々の金属製品が可能であり、これらについても、前記照明灯のフレームの洗浄を例に挙げて説明したとほぼ同じに実施でき、且つ同じ作用効果を奏することが可能となる。
1…高圧ポンプ
2…温水器
3…アキュムレータ
4…貯留タンク
5…噴射ノズル装置
5a…噴射ノズル
8…第2の接続流路(接続流路の一部)
9…第3の接続流路(接続流路の一部)
10…第4の接続流路(接続流路の一部)
11…炭酸水素ナトリウム供給路
Claims (3)
- 供給される水を所定の圧力に加圧する高圧ポンプと、供給された水を加温する温水器と、前記高圧ポンプ及び温水器と接続流路で接続されて前記加圧され且つ加温された高圧温水を対象物に向けて噴射する噴射ノズル装置と、粒状の炭酸水素ナトリウムを貯留する貯留タンクと、該貯留タンクに基端が接続され先端が前記接続流路あるいは噴射ノズル装置に接続され高圧温水中に粒状の炭酸水素ナトリウムを混入させる炭酸水素ナトリウム供給路とを備えた高圧洗浄装置を用いた洗浄および防錆処理方法であって、
供給される水を、前記高圧ポンプと温水器とによって、キャビテーションを効果的に発生させ得る温度及び圧力に設定する工程と、
前記噴射ノズルの先端から、粒状の炭酸水素ナトリウムを含み内部でキャビテーションを起こさせた状態の高圧温水を、処理しようとする金属製の対象物に噴射する工程と、
該噴射によって、該対象物の表面に発生している赤錆の膨張した部分を洗浄して除去し該除去した後に不動態被膜を形成して防錆性能を高める工程を有することを特徴とする洗浄および防錆処理方法。 - 前記炭酸水素ナトリウムの粒径が、0.1mm以上3mm未満であり、該炭酸水素ナトリウムの硬度が新モース硬度において2以上で3未満であることを特徴とする請求項1記載の洗浄および防錆処理方法。
- 前記噴射ノズル装置から噴射される高圧温水の温度が50°C以上120°C以下であり、該高圧温水の圧力が4.9MPa以上で100.2MPa未満であることを特徴とする請求項1又は2記載の洗浄および防錆処理方法。
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