JP5254839B2 - ジチオカルバメート基を有する高分子化合物と金属イオンの複合体、及びこれらと機能性色素との機能性複合体 - Google Patents
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Description
るなどの修飾方法が困難であるなど不利な点があり実用的であるとは言いがたい。このため、比較的簡易な手順・条件により機能性物質の包接体を調製できる方法が望まれていた。一方、デンドリティックポリマーとして、光重合開始能を持ち、かつビニル基を有する化合物のリビングラジカル重合によるハイパーブランチポリマーの合成が知られている。例えば、ジチオカルバメート基を有するスチレン化合物のリビングラジカル重合によるハイパーブランチポリマーの合成法等が知られている(非特許文献2、3)。
また、本発明は優れた水分散性を有する機能性複合体、該機能性複合体を含む水分散液、及び前記機能性複合体を製造するための新規かつ簡便な方法を提供することを目的とする。
即ち、本発明は、第1観点として、N,N-ジアルキルジチオカルバメート基を有する重量平均分子量が500ないし5,000,000である分岐状及び/又は線状高分子化合物と金属イオンとからなる複合体、
第2観点として、前記金属イオンが銀イオンであることを特徴とする第1観点記載の複合体、
第3観点として、N,N-ジアルキルジチオカルバメート基を有する重量平均分子量が500ないし5,000,000である分岐状及び/又は線状高分子化合物と銀微粒子とからなる複合体、
第4観点として、第1観点又は第2観点に記載の複合体を含む水分散液、
第5観点として、N,N-ジアルキルジチオカルバメート基を有する高分子化合物の有機溶媒分散溶液を金属イオン水溶液に添加する工程を含む第1観点に記載の複合体の製造方法、
第6観点として、第1観点又は第2観点に記載の複合体が機能性色素を包接する構造をなす機能性複合体、
第7観点として、第6観点に記載の機能性複合体を含む水分散液、
第8観点として、N,N-ジアルキルジチオカルバメート基を有する高分子化合物と機能性色素とを含む溶液を、金属イオン水溶液に添加する工程を含む第6観点に記載の機能性複合体の製造方法、
第9観点として、第3観点に記載の複合体を含む水分散液、
第10観点として、第3観点に記載の銀微粒子を含む複合体が機能性色素を包接する構造をなす機能性複合体、
第11観点として、第10観点に記載の機能性複合体を含む水分散液、
第12観点として、N,N-ジアルキルジチオカルバメート基を有する高分子化合物と機
能性色素とを含む溶液を銀イオン水溶液に添加する工程と、得られた溶液中の銀イオンを銀微粒子に還元する工程を含む第10観点に記載の機能性複合体の製造方法、
第13観点として、前記高分子化合物が式(1):
R1は水素原子又はメチル基を表し、
R2及びR3は、それぞれ独立して、炭素原子数1ないし5のアルキル基、炭素原子数1ないし5のヒドロキシアルキル基又は炭素原子数7ないし12のアリールアルキル基を表し、また、R2とR3は互いに結合して、窒素原子と共に環を形成していてもよいジチオカルバメート基を表し、
A1は式(2):
A2はエーテル結合又はエステル結合を含んでいても良い炭素原子数1ないし30の直鎖
状、枝分かれ状又は環状のアルキレン基を表し、
Y1、Y2、Y3及びY4は、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1ないし20のアルキル基、炭素原子数1ないし20のアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基又はシアノ基を表す。)で表される基を表し、
nは繰り返し単位構造の数であって、2ないし100,000の整数を表す。]で表さ
れる分岐状高分子である第1観点ないし第3観点のうちいずれか一つに記載の複合体、
第14観点として、前記高分子化合物が式(3):
R1は水素原子又はメチル基を表し、
R2及びR3は、それぞれ独立して、炭素原子数1ないし5のアルキル基、炭素原子数1ないし5のヒドロキシアルキル基又は炭素原子数7ないし12のアリールアルキル基を表し、また、R2とR3は互いに結合し、窒素原子と共に環を形成していてもよいジチオカルバメート基を表し、
A1は式(4):
A2はエーテル結合又はエステル結合を含んでいても良い炭素原子数1ないし30の直鎖
状、枝分かれ状又は環状のアルキレン基を表し、
Y1、Y2、Y3及びY4は、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1ないし20のアルキル基、炭素原子数1ないし20のアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基又はシアノ基を表す。)を表し、
nは繰り返し単位構造の数であって、2ないし100,000の整数を表す。]で表され
る線状高分子である第1観点ないし第3観点のうちいずれか一つに記載の複合体、
第15観点として、前記高分子化合物が式(1):
R1は水素原子又はメチル基を表し、
R2及びR3は、それぞれ独立して、炭素原子数1ないし5のアルキル基、炭素原子数1ないし5のヒドロキシアルキル基又は炭素原子数7ないし12のアリールアルキル基を表し、また、R2とR3は互いに結合して、窒素原子と共に環を形成していてもよいジチオカルバメート基を表し、
A1は式(2):
A2はエーテル結合又はエステル結合を含んでいても良い炭素原子数1ないし30の直鎖
状、枝分かれ状又は環状のアルキレン基を表し、
Y1、Y2、Y3及びY4は、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1ないし20のアルキル基、炭素原子数1ないし20のアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基又はシアノ基を表す。)で表される基を表し、
nは繰り返し単位構造の数であって、2ないし100,000の整数を表す。]で表され
る分岐状高分子である第6観点又は第10観点に記載の機能性複合体、
第16観点として、前記高分子化合物が式(3):
R1は水素原子又はメチル基を表し、
R2及びR3は、それぞれ独立して、炭素原子数1ないし5のアルキル基、炭素原子数1ないし5のヒドロキシアルキル基又は炭素原子数7ないし12のアリールアルキル基を表し、また、R2とR3は互いに結合し、窒素原子と共に環を形成していてもよいジチオカルバメート基を表し、
A1は式(4):
A2はエーテル結合又はエステル結合を含んでいても良い炭素原子数1ないし30の直鎖
状、枝分かれ状又は環状のアルキレン基を表し、
Y1、Y2、Y3及びY4は、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1ないし20のアルキル基、炭素原子数1ないし20のアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基又はシアノ基を表す。)を表し、
nは繰り返し単位構造の数であって、2ないし100,000の整数を表す。]で表され
る線状高分子である第6観点又は第10観点に記載の機能性複合体に関する。
また、本発明によれば優れた水分散性を有する機能性複合体、該機能性複合体を含む水分散液、及び前記機能性複合体を製造するための新規かつ簡便な方法を提供することができる。該機能性複合体は、優れた水分散性を利用して、機能性色素の特徴的な性質(発色
など)をより有効に利用し或いは機能性色素の活性をより高めることができる。
即ち、本発明の複合体及び機能性複合体は、電子デバイス、発光材料、ドラックデリバリーシステム、触媒、印刷等の広範囲な分野において有用な新規の有機・無機複合材料としての利用が期待できる。
本発明のN,N-ジアルキルジチオカルバメート基を有する分岐状及び/又は線状高分子化合物と金属イオンとの複合体は、該高分子化合物のジチオカルバメート基に金属イオンが付着もしくは結合する構造の複合体を形成している。
酸パラジウム、硝酸パラジウム、Pd2(dba)3(CHCl3)]、Pd(dba)2、塩化ロジウム、酢酸ロジウム、塩化ルテニウム、酢酸ルテニウム、Ru(cod)(cot)[cot=シクロオクタトリエン]、塩化イリジウム、酢酸イリジウム、Ni(cod)2等の水溶液が挙げられる。これらの中でも銀イオンを含む水溶液を用いることが好
ましく、具体的には、硝酸銀、酢酸銀、トリフルオロメタンスルホン酸銀、テトラフルオロほう酸銀、過塩素酸銀などの水溶液を用いることが出来る。
メチル基を表す。R2及びR3は、それぞれ独立して、炭素原子数1乃至5のアルキル基、炭素原子数1乃至5のヒドロキシアルキル基又は炭素原子数7乃至12のアリールアルキル基を表し、また、R1とR3は互いに結合して、窒素原子と共に環を形成していてもよい。nは繰り返し単位構造の数であって2乃至100,000の整数を表す。また、A1は
式(2)で表される構造を表す。式(2)中、A2はエーテル結合又はエステル結合を含
んでいてもよい炭素原子数1乃至30の直鎖状、枝分かれ状又は環状のアルキレン基を表し、Y1、Y2、Y3及びY4は、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1乃至20のアルキル基、炭素原子数1乃至20のアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基又はシアノ基を表す。
また、本発明において、ジチオカルバメート基を有する線状高分子としては、例えば、上記式(3)で示すものが挙げられる。式(3)において、R1は水素原子又はメチル基
を表す。R2及びR3は、それぞれ独立して、炭素原子数1乃至5のアルキル基、炭素原子数1乃至5のヒドロキシアルキル基又は炭素原子数7乃至12のアリールアルキル基を表し、また、R2とR3は互いに結合して、窒素原子と共に環を形成していてもよい。nは繰り返し単位構造の数であって2乃至100,000の整数を表す。また、A1は式(4)
で表される構造を表す。式(4)中、A2はエーテル結合又はエステル結合を含んでいて
もよい炭素原子数1乃至30の直鎖状、枝分かれ状又は環状のアルキレン基を表し、Y1
、Y2、Y3及びY4は、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1乃至20のアルキル
基、炭素原子数1ないし20のアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基又はシアノ基を表す。
シクロヘキシル基及びノルマルペンチル基等が挙げられる。炭素原子数1乃至20のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、シクロヘキシルオキシ基及びノルマルペンチルオキシ基等が挙げられる。ハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子である。Y1、Y2、Y3及びY4としては、水素原子又は炭素原子数1乃至20のアルキル基が好ましい。
なお、実施例にて使用した分析装置及び分析条件は、下記のとおりである。
[動的光散乱及びゼータ電位]
装置:MALVERN社製 Zetasizer(登録商標)Nano−ZS
[紫外可視分光光度計]
装置:JASCO社製 V−560
光路長:1cm
測定温度:25℃
[蛍光スペクトル]
装置:PerkinElmer社製 LS55
光路長:1mm
測定温度:25℃
[透過型電子顕微鏡(TEM)]
装置:JEOL社製 JEM−2010
加速電圧:120kV
[走査型電子顕微鏡(SEM)]
装置:HITACH社製 S−5000
加速電圧:25kV
[X 線光電子分光分析装置(XPS)]
装置:ULVAC社製 ESCA 5000
[超高圧水銀灯]:
装置:USHIO社製 UI−501C
照射光は、光源から出た横方向の平行光を全反射ミラーで反射させ、試料の上部から照射した。
光量測定:Custom UVA−365 を用い、310−390 nmの光量を測定し
た。
<N,N−ジエチルジチオカルバミルメチルスチレンの合成>
2Lの反応フラスコに、クロロメチルスチレン[セイミケミカル(株)製、CMS−14(商品名)]120g、N,N−ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム3水和物[関東化学(株)製]181g、アセトン1400gを仕込み、撹拌下、40℃で1時間反応させた。反応後、析出した塩化ナトリウムを濾過して除き、その後エバポレーターで反応溶液からアセトンを留去させ、反応粗粉末を得た。この反応粗粉末をトルエンに再溶解させ、トルエン/水系で分液後、−20℃の冷凍庫内でトルエン層から目的物を再結晶させた。再結晶物を濾過、真空乾燥して、白色粉末の目的物206g(収率97%)を得た。液体クロマトグラフィーによる純度(面百値)は100%であった。融点56℃。
<ジチオカルバメート基を分子末端に有するスチレン系ハイパーブランチポリマー(HPS)の合成>
300mLの反応フラスコに、合成例1で得られたN,N−ジエチルジチオカルバミルメチルスチレン108g及びトルエン72gを仕込み、撹拌して淡黄色透明溶液を調製した後、反応系内を窒素置換した。この溶液の真ん中から100Wの高圧水銀灯[セン特殊
光源(株)製、HL−100]を点灯させ、内部照射による光重合反応を、撹拌下、温度
30℃で12時間行なった。次に、この反応液をメタノール3000gに添加してポリマーを高粘度な塊状状態で再沈した後、上澄み液をデカンテーションで除いた。さらにこのポリマーをテトラヒドロフラン300gに再溶解した後、この溶液をメタノール3000gに添加してポリマーをスラリー状態で再沈した。このスラリーを濾過し、真空乾燥して、白色粉末の目的物48g(HPS)を得た。ゲル浸透クロマトグラフィーによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは20,000、分散度Mw/Mnは3.5
であった。
<HPS−Hの合成(ジチオカルバメート基(DC基)の還元除去)>
ドリッチ社製]28g、トルエン140gを仕込み、撹拌して無色透明溶液を調製した後
、反応系内を窒素置換した。この溶液の真ん中から100Wの高圧水銀灯[セン特殊光源
(株)製、HL−100]を点灯させ、内部照射による反応を、撹拌下、室温で15分間
行なった。次にこの反応液にトルエン500gを添加して希釈し、この希釈液をメタノール3600gに添加して、ハイパーブランチポリマーをスラリー状態で再沈した。このスラリーを濾過し、真空乾燥して、白色粉末のジチオカルバメート基が水素に置換されたハイパーブランチポリマー(HPS−H)5.3gを得た。ゲル浸透クロマトグラフィーによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは33,000、分散度Mw/Mnは4.26であった。
1Lの反応フラスコにクロロメチルスチレン100g(655mmol)、開始剤として1,2−ビス(N,N−ジエチルジチオカルバメート)エタン1.2g(3.7mmol)を仕込み、トルエン100g加えて溶解した後、反応系内を窒素置換した。この溶液の真ん中から100Wの高圧水銀灯を点灯させ、内部照射による反応を19時間行った。次にこの反応液にトルエン200gを加えて希釈し、メタノール3000gにより再沈殿を行った。この操作を2回繰り返し、固体を濾別し減圧乾燥することによりポリp−クロロメチルスチレン52.3gを得た。ゲル浸透クロマトグラフィーによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは35,800、分散度Mw/Mnは3.07であった。
200mLの反応フラスコに、上記で得られたポリp−クロロメチルスチレン5gを仕
込み、N−メチルピロリドン(NMP)100gを加えて均一な溶液とした。この溶液を40℃に加温し、N,N−ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム3水和物[関東化学(
株)製]22.1g(98.3 mmol)をNMP100gに溶解させたものを滴下した。6時間40℃で攪拌した後、反応溶液を蒸留水2000gによって再沈殿した。得られた白色固体をTHF20gに溶解した溶液をメタノール1000gに滴下して再沈殿を行った。ゲル浸透クロマトグラフィーによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは72,400、分散度Mw/Mnは4.47であった。
<HPS/硝酸銀混合液の調製>
合成例2で得られたHPSをTHF(蒸留品)に加え、ストック溶液(2.7 mg/mL、10 unit mM)を調製した。また、硝酸銀のストック水溶液(10 mM)を
調製した。これらのストック溶液は、遮光下で保存した。つぎに、硝酸銀水溶液 0.1
mLを超純水に加え、所定濃度に調製した後、400 rpm で攪拌しながら HPSの
THF 溶液を加えた。このとき、HPSと硝酸銀の濃度はそれぞれ 0.2 mM とし、THF の混合割合は、2、5、10、20、30 volume%となるように調製し
た。図1は得られた混合液の写真であり、いずれの混合液についても、HPSが析出することなく、安定に分散することがわかった。
<HPS/硝酸銀混合液の動的光散乱(DLS)、ゼータ電位測定>
合成例2で得られたHPSをTHF(蒸留品)に加え、ストック溶液(5.3mg/m
L、20unit mM)を調製した。また、硝酸銀のストック水溶液(20mM)を調
製した。これらのストック溶液は、遮光下で保存した。つぎに、硝酸銀水溶液0.1mLを超純水に加え、所定濃度に調製した後、400rpmで攪拌しながら HPS のTHF溶液0.05mLを加えた。このとき、HPSのユニット濃度は0.2mMとし、硝酸銀の濃度は0.2、0.4、2mMとなるように混合液(THF 1volume %)を調製した。
得られた混合液の写真を図2に示す。いずれの場合においても、HPSが析出することなく、安定に分散することがわかった。これらの水分散液についてDLS測定を行った(図3)。0.2mM 硝酸銀水溶液の場合、平均粒子径116nmの会合体が観測された
。0.4mM硝酸銀水溶液の場合、平均粒子径98nm2mM硝酸銀水溶液の場合、平均粒子径85nmの会合体が観測された。HPSが分子分散すると考えられる THF溶液
(20unit mM)について、DLS測定を行った結果、平均粒径は11nmであっ
た。このことから、水中において、HPSは銀イオンと相互作用することによって、会合体として安定に分散することが示された。また、それぞれの水分散液について、ゼータ電位を測定した(表1)。その結果、会合体の表面は正電荷を帯びていることが明らかとなった。これは銀イオンが HPSのDC基と相互作用していることが示唆された。
<HPS/硝酸銀混合液の電子顕微鏡観察>
実施例2と同様にして作製して得られた水分散液を、カーボン蒸着銅グリッドに滴下し真空乾燥した。これらの試料は、染色せずにそのままTEM 観察に用いた。また、水分
散液(1mL)を、ポリカーボネート製メンブレンフィルター(孔径 100nm)によ
りろ過した後、超純水で洗浄し、真空乾燥した。これらの試料は、白金蒸着を60秒間行った後SEM 観察に用いた。
図4にHPS/銀イオン複合体のTEM 写真を、図5にSEM 写真を示す。硝酸銀の濃度が0.2、0.4、 2mMの場合、いずれも粒径 数十nmの球状集合体が観察された。
<HPS/硝酸銀混合液のX線光電子分光分析(XPS)>
合成例2で得られたHPSのTHF溶液(5.3mg/mL、20unit mM)を硝酸銀水溶液に加え、HPS/銀イオン複合体を調製した([HPS]unit=0.2mM、[AgNO3]=0.2mM,THF 1volume%)。得られた水分散液をポリカーボネート製メンブレンフィルター(孔径100nm)によりろ過した後、超純水0.1mLで5回洗浄し、真空乾燥した。また、対照実験として、HPSの粉末及び硝酸銀の粉末をカーボンテープ上に載せ、測定を行った。
図6にHPS、HPS/銀イオン複合体及び硝酸銀のXPSスペクトルを示す。HPS/銀イオン複合体のスペクトルにおいて、HPSと銀イオンに由来するピークがそれぞれ観測されることから、球状ナノ粒子はHPSと銀イオンが複合化することによって形成されたものであることが示された。
<HPS/硝酸銀複合体へのテトラフェニルポルフィリン(TPP)の包接化>
合成例2で得られたHPS(5.3mg/mL、20 unit mM)とテトラフェニ
ルポルフィリン(TPP)(20mM)のTHF溶液をそれぞれ調製した。これらを混合し、400rpmで攪拌しながら硝酸銀水溶液に加えた([HPS]unit = 0.2 mM、[TPP] = 0.02mM、[AgNO3] = 0.2mM、THF 1volume%)。
図7は、得られた混合液の写真を示したものである。HPSと硝酸銀が存在する場合UVランプ(365nm)を照射すると、TPP に由来する赤色の蛍光が観察された。図
8に得られた混合液の UV-Vis吸収スペクトルを示す。TPPのTHF溶液(0.02mM)では、416nmにポルフィリン環のソーレ帯に帰属される吸収が確認された。一方、TPP@HPS/銀イオン複合体の水分散液においては、423nm にソーレ帯の吸収が明確に観測された。ソーレ帯の吸収が長波長シフトした原因として、TPP周辺の極性が変化したことや、TPPが会合したことなどが挙げられる。TPPと銀イオンの混合水分散液やTPPの水分散液では、ソーレ帯の吸収がブロード化し、その吸光度は著しく減少した。これは、HPS/銀イオン複合体が存在しない場合、TPPは会合体として水中に僅かに分散するのみであることを示している。図9に得られた水分散液の蛍光スペクトルを示す。
670nmと730nmにTPP由来の蛍光が観測され、これはTHF溶液中の蛍光極大波長と良く一致した。
<HPS/硝酸銀複合体へのテトラフェニルポルフィリンの包接化(濃度の影響)>
合成例2で得られたHPS(5.3mg/mL、20 unit mM)とテトラフェニ
ルポルフィリン(TPP)(20mM)のTHF溶液をそれぞれ調製した。これらを混合し、400rpmで攪拌しながら硝酸銀水溶液に加えた([HPS]unit = 0.2 mM、[AgNO3] = 0.2mM、THF 1 volume%)。このとき、TPPの濃度は、1−60μMの範囲で変化させた。
図10に様々な濃度において、TPPを可溶化させた HPS/銀イオン複合体水分散
液の吸収スペクトルを示す。また、ソーレ帯の吸光度とTPP濃度の関係をプロットした。
TPP濃度の増加に伴って、ソーレ帯の吸光度は直線的に増加し、7μMのところで直線の傾きが変化した。また、吸収波長のシフトは観測されなかった。これらのことから、TPPは、ほぼ定量的にHPS/銀イオン複合体に取り込まれ、水中に分散されることがわかった。図11に蛍光スペクトルを示す。TPP濃度が7μMまで直線的に蛍光強度が増加し、その後減少した。7μM以上の濃度では、TPPは濃度消光するものと考えられる。
<HPS/硝酸銀複合体へのペリレンの包接化>
合成例2で得られたHPS(5.3mg/mL、20 unit mM)とペリレン(1
0mM)の THF溶液をそれぞれ調製した。これらを混合し、400rpmで攪拌しな
がら硝酸銀水溶液に加えた([HPS]unit = 0.2 mM、[ペリレン] = 0.01
mM、[AgNO3] = 0.2mM、 THF 1 volume%)。
図12は、得られた混合液の写真を示したものである。HPSと硝酸銀が存在する場合、UV ランプ(365 nm)を照射すると、ペリレンに由来する蛍光が観察された。HPSや硝酸銀を加えない場合、蛍光は全く観察されないことから、ペリレンはHPS/銀イオン複合体の中に取り込まれ、水中に分散したもの考えられる。得られた混合液の吸収スペクトルを図13に示す。ペリレンのTHF溶液に比べ、HPS/銀イオン複合体共存下の水分散液では、極大吸収波長が長波長シフトした(436nm ⇒ 444nm)。これは、ペリレン周辺の極性の違いやペリレンが会合したためだと考えられる。一方、HPSが存在しない場合、ペリレンの吸収はブロード化した。
得られた水分散液の蛍光スペクトル(λex = 445 nm)と励起スペクトル(λem
=514nm)を図14に示す。
HPS/銀イオン複合体共存下では、514nmにペリレンに由来する蛍光が観測された。これは分子分散したペリレンの蛍光(λem= 468、504nm、 in THF)
と比較すると、ブロード化し長波長シフトしている。このことから、ペリレンは、HPS/銀イオン複合体中において、会合していることが示唆される。
<HPS/硝酸銀複合体への8―アニリノ−1−ナフタレンスルホン酸の包接化>
合成例2で得られたHPS(5.3mg/mL、 20 unit mM)のTHF溶液を調製した。このTHF溶液0.05mLを、400rpmで攪拌しながら硝酸銀水溶液に加え、HPS/銀イオン複合体水分散液を調製した([HPS]unit = 0.22mM、[AgNO3] = 0.22mM、THF 1.1volume%)。また、0.2mMの8―アニリノ−1−ナフタレンスルホン酸(ANS)の水溶液を調製し、HPS/銀イオン複合体水分散液に加え、蛍光スペクトルを測定した([HPS]unit = 0.2mM、[AgNO3] = 0.2mM、[ANS] = 0.02mM、THF=1volume%
)。
得られた混合液の写真を図15に示す。UVランプ(365nm)を照射すると、HPS/銀イオン複合体が共存する場合にのみ、青色の蛍光を示した。図16に蛍光スペクトルを示す。ANS水溶液では、527nm に蛍光極大が現れるが、HPS/銀イオン複
合体が共存する場合では、455nm まで短波長シフトし、その強度が増大した。これ
はANSとHPS/銀イオン複合体が相互作用し、ANSが疎水的な環境に取り込まれたことを示している。
<LPS/硝酸銀混合液の調製>
合成例4で得られたLPSのTHF溶液(5.3mg/mL、20 unit mM、0.05mL)を硝酸銀水溶液に加え、LPS/銀イオン複合体を調製した([LPS]unit = 0.2 mM、[AgNO3]=0.2、0.4 mM、THF 1volume%)。得られた水分散液をカーボン蒸着銅グリッドに滴下し、真空乾燥した。これらの試料は、染色せずにそのままTEM 観察に用いた。また、水分散液をポリカーボネート製メン
ブレンフィルター(孔径100nm)によりろ過した後、超純水で5回洗浄し、真空乾燥した。これらの試料は、白金蒸着を60秒間行った後、SEM 観察に用いた。
HPSを用いた場合と同様に、硝酸銀が存在する場合、LPSが水中に分散することがわかった(THF 1 volume%)。図17にLPS/銀イオン複合体水分散液のTEM及びSEM写真を示す。
TEM及びSEM 観察ともに、粒径数十nmの球状集合体が観察された。HPSを用
いた場合と比較すると、大きな違いは見られなかったが、若干、不定形な凝集体の割合が多いようであった。以上の観察結果より、DC基を有する高分子化合物(ポリスチレン)は、硝酸銀が存在すると、その骨格構造(線状、分岐状)にあまり依存することなく、水中で球状集合体を形成することがわかった。
<HPS/硝酸銀混合液の光還元とUVスペクトル測定>
合成例2で得られたHPSのTHF溶液(5.3mg/mL、20 unit mM)0.05mLを硝酸銀水溶液に加え、HPS/銀イオン複合体を調製した([HPS]unit = 0.2mM、[AgNO3] = 0.2、0.4 mM、THF 1 volume%)。得られた水分散液を25℃の恒温槽に入れ、超高圧水銀灯により光照射した。所定時間後、吸収スペクトルを測定し、その変化をモニタリングした。
図18に光照射後(49mW/cm2、60min)のHPS/銀イオン複合体水分散
液の写真を示す。光照射前は無色透明な水分散液であったが、光照射後は黄色透明な分散液が得られた。また、硝酸銀の濃度が高いほど濃く着色した。 図19は、 一例として
HPS/銀イオン複合体の水分散液([HPS]unit =0.2mM、[AgNO3]=0
.4mM)に対して光照射したときの吸収スペクトル変化を示したものである。光照射とともに300−500nmの吸光度が増加した。これは、銀イオンが光還元され、銀ナノ粒子の生成に由来するプラズモン吸収の増加、あるいは光照射に伴う複合体の会合(光散乱の増加)に由来するものと考えられる。図20は、400nmの吸光度と光照射時間の関係を示したものである。超高圧水銀灯の光量が大きいほど、400nmの吸光度は速やかに増加することがわかった。つぎに、光量を一定(49 mW/cm2)にして、硝酸銀の濃度を変えた場合についても、同様に吸収スペクトルの変化を追跡した(図21)。その結果、硝酸銀の濃度が高いほど、400nmの吸光度が速やかに増加することがわかった。
<HPS/硝酸銀混合液の光還元とDLS測定>
合成例2で得られたHPSのTHF溶液(5.3mg/mL、20 unitmM)0
.05mLを硝酸銀水溶液に加え、HPS/銀イオン複合体を調製した([HPS]unit =0.2mM、[AgNO3]=0.2、0.4、2mM、THF 1 volume%)。得られた水分散液に対して、超高圧水銀灯により光照射した(49 mW/cm2、 6
0min)。
図22は、光照射後の水分散液のDLS測定結果を示したものである。光照射前(図3)と比較して、大きな粒径の違いは認められなかった。表3に光照射後のゼータ電位を示す。どの試料についても、ゼータ電位は正の値を示し、光照射60分後においても、銀イオンはナノ粒子表面に存在することが示唆された。光照射前のゼータ電位(表1)と比べると、若干その値が減少した。これは、光照射によって銀イオンが還元されたためであると考えられる。
<HPS/硝酸銀混合液の光還元と電子顕微鏡観察>
合成例2で得られたHPSのTHF溶液(5.3mg/mL、20unit mM)0
.05mLを硝酸銀水溶液に加え、HPS−DC/銀イオン複合体を調製した([HPS]unit =0.2mM、[AgNO3]=0.2、0.4、2、10mM、THF1 vo
lume %、THF 1 volume%)。得られた水分散液に対して、超高圧水銀灯
により光照射した(49mW/cm2、60 分)。その後、カーボン蒸着銅グリッドに滴下し真空乾燥した。これらの試料は、染色せずにそのままTEM 観察に用いた。また、
水分散液をポリカーボネート製メンブレンフィルター(孔径100nm)によりろ過した後、超純水で5回洗浄し、真空乾燥した。これらの試料は、白金蒸着を60秒間行った後、SEM観察に用いた。
図23に光照射後(49mW/cm2、60分)のHPS/銀イオン複合体のTEM写
真を示す。硝酸銀の濃度が0.2、0.4、2mMの場合、粒径数十 nmの球状集合体
が観察され、これは光照射前とほぼ同じサイズであった。
興味深いことに、これらの粒子の表面あるいは内部に3nm程度のドットが多数観察された。これは、銀イオンが光還元され、銀ナノ粒子が生成したことを示唆する。図24はTEM 観察から見積もった会合体のサイズ分布を示したものである。0.4mM硝酸銀水溶液の場合、10nm以下の粒子が全体の84%を占めることがわかった。10mMの硝酸銀水溶液の場合では、有意な構造体は観察されなかった。
図25に光照射後のSEM写真を示す。硝酸銀の濃度が0.2、0.4、2 mMの場
合、粒径数十nmの球状集合体が観察され、10mM硝酸銀水溶液の場合では、不定形の凝集体が観察された。光照射前に比べると、いずれの試料についても会合体の生成量が増加するようであった。これは、光照射によってDC 基が解離し、HPS同士が結合する
ことによって、会合体の形成が誘起されたことを示唆する。
<LPS/硝酸銀混合液の光還元と吸収スペクトル測定>
合成例4で得られたLPSのTHF溶液(5.3mg/mL、20unit mM、0
.05mL)を硝酸銀水溶液に加え、LPS/銀イオン複合体を調製した([LPS]unit =0.2mM、[AgNO3]=0.2、0.4、2 mM、THF 1 volum
e%)。得られた水分散液を25℃の恒温槽に入れ、超高圧水銀灯により光照射した。所
定時間後、吸収スペクトルを測定し、その変化をモニタリングした。図26に光照射後(49mW/cm2、60min)のLPS/銀イオン複合体水分散液の写真と光照射に伴う吸収スペクトルの変化を示す。光照射前は、僅かに散乱のある無色分散液であったが、光照射後は黄色に着色した。また、硝酸銀の濃度が高いほど濃く着色した。HPSを用いた場合と同様に、光照射とともに300−500nm の吸光度が増加した。これは、銀
イオンが光還元され、銀ナノ粒子の生成に由来するプラズモン吸収の増加、あるいは光照射に伴う複合体の会合(光散乱の増加)に由来するものと考えられる。図27は、各試料
([AgNO3]= 0.2、0.4、2mM)について、400nmの吸光度と光照射時
間の関係を示したものである。0.4mMの硝酸銀水溶液を用いた場合、最も速やかに吸光度が増加した。硝酸銀の濃度と吸光度の増加速度の間には、系統的な関連性は認められなかった。
<LPS/硝酸銀混合液の電子顕微鏡観察>
合成例4で得られたLPSのTHF溶液(5.3mg/mL、20 unit mM、
0.05mL)を硝酸銀水溶液に加え、LPS/銀イオン複合体を調製した([LPS]unit =0.2mM、[AgNO3]= 0.2、0.4 mM、THF 1 volume%)。得られた水分散液に対して、超高圧水銀灯により光照射した(49mW/cm2、 60min)。その後、カーボン蒸着銅グリッドに滴下し真空乾燥した。これらの試料は、染色せずにそのままTEM 観察に用いた。また、水分散液を、ポリカーボネート製メ
ンブレンフィルター(孔径100nm)によりろ過した後、超純水で5回洗浄し、真空乾燥した。これらの試料は、白金蒸着を60秒間行った後、SEM 観察に用いた。
図28に光照射後(49mW/cm2、60分)のLPS/銀イオン複合体のTEM写
真とSEM写真を示す。粒径 数十nmの球状集合体が観察され、これは光照射前(図1
7)とほぼ同じサイズであった。また、HPSを用いた場合と同様に、球状集合体の表面あるいは内部に3nm程度のドットが多数観察された。これは、銀イオンが光還元され、銀ナノ粒子が生成したことを示唆する。
<HPS/銀イオンを含まない超純水混合液の作製>
合成例2で得られたHPSのTHF溶液(5.3mg/mL、20 unit mM)を
、実施例1で用いた硝酸銀水溶液の代わりに超純水0.1mLに400rpmで攪拌しながら加えると、沈殿が生じるのみであった。このように、水中に銀イオンが存在しない場合は、HPSを水中に分散させることはできなかった。
<HPS−H/硝酸銀混合液の作製>
実施例1で用いたHPSの代わりに、合成例3で得られたHPS−HのTHF溶液(5.3mg/mL、 20 unit mM)0.1mLを400rpmで攪拌しながら、種々の濃度の硝酸銀水溶液(0.2mM、0.4mM、2.0mM)5mLに加えた。このように、DC基を有さないHPS−Hは、銀イオンを用いて水中に分散させることはできなかった。
<HPS−H/硝酸銀混合液又は、HPS/超純水混合液へのテトラフェニルポルフィリンの添加>
実施例4で用いたHPSの代わりにHPS−Hを用いて行った。HPS−Hを加えた場合、溶液にUVランプを照射しても、蛍光は全く観察されなかった。また、実施例4で用いた硝酸銀水溶液の代わりに超純水を用いた場合においても、UVランプ照射によって全く蛍光は観測されなかった。
<HPS−H/硝酸銀混合液又は、HPS/超純水混合液へのペリレンの添加>
実施例6で用いたHPSの代わりにHPS−Hを用いて行った。HPS−Hを加えた場合、溶液にUVランプを照射しても、蛍光は全く観測されなかった。また、実施例6で用いた硝酸銀水溶液の代わりに超純水を用いた場合においても、UVランプ照射によって全く蛍光は観測されなかった。
<HPS−H/硝酸銀混合液又は、HPS/超純水混合液へのANSの添加>
実施例8で用いたHPSの代わりにHPS−Hを用いて行った。HPS−Hを加えた場合、溶液にUVランプを照射すると、黄色の蛍光が観測された。また、実施例7で用いた硝酸銀水溶液の代わりに超純水を用いた場合においても、UVランプ照射によって黄色の蛍光が観測された。HPS−Hを加えた場合は、527nmに蛍光極大が現れ、これは、ANS単独の水溶液と同じ蛍光波長であった。
また、実施例4、6、7では、水中において、蛍光色素がHPS/銀イオン複合体中に安定に包接されるのに対し、比較例3、4、5ではそのような挙動は観測されなかった。このことから、蛍光色素が包接されるためには、DC基と銀イオンが共存することが必要であった。
Claims (9)
- N,N−ジアルキルジチオカルバメート基を有する重量平均分子量が500ないし5,000,000である分岐状高分子化合物と金属イオンとからなる複合体を含む水分散液であって、
前記分岐状高分子化合物が、式(1):
R 1 は水素原子又はメチル基を表し、
R 2 及びR 3 は、それぞれ独立して、炭素原子数1ないし5のアルキル基、炭素原子数1ないし5のヒドロキシアルキル基又は炭素原子数7ないし12のアリールアルキル基を表し、また、R 2 とR 3 は互いに結合して、窒素原子と共に環を形成していてもよいジチオカルバメート基を表し、
A 1 は式(2):
A 2 はエーテル結合又はエステル結合を含んでいても良い炭素原子数1ないし30の直鎖状、枝分かれ状又は環状のアルキレン基を表し、
Y 1 、Y 2 、Y 3 及びY 4 は、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1ないし20のアルキル基、炭素原子数1ないし20のアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基又はシアノ基を表す。)で表される基を表し、
nは繰り返し単位構造の数であって、2ないし100,000の整数を表す。]で表される分岐状高分子化合物である水分散液。 - 前記金属イオンが銀イオンであることを特徴とする請求項1に記載の水分散液。
- N,N−ジアルキルジチオカルバメート基を有する重量平均分子量が500ないし5,000,000である分岐状高分子化合物と銀微粒子とからなる複合体を含む水分散液であって、
前記分岐状高分子化合物が、式(1):
R 1 は水素原子又はメチル基を表し、
R 2 及びR 3 は、それぞれ独立して、炭素原子数1ないし5のアルキル基、炭素原子数1ないし5のヒドロキシアルキル基又は炭素原子数7ないし12のアリールアルキル基を表し、また、R 2 とR 3 は互いに結合して、窒素原子と共に環を形成していてもよいジチオカルバメート基を表し、
A 1 は式(2):
A 2 はエーテル結合又はエステル結合を含んでいても良い炭素原子数1ないし30の直鎖状、枝分かれ状又は環状のアルキレン基を表し、
Y 1 、Y 2 、Y 3 及びY 4 は、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1ないし20のアルキル基、炭素原子数1ないし20のアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基又はシアノ基を表す。)で表される基を表し、
nは繰り返し単位構造の数であって、2ないし100,000の整数を表す。]で表される分岐状高分子化合物である水分散液。 - 前記複合体が機能性色素を包接する構造をなす機能性複合体である請求項1又は2に記載の水分散液。
- 前記複合体が機能性色素を包接する構造をなす機能性複合体である請求項3に記載の水分散液。
- N,N−ジアルキルジチオカルバメート基を有する重量平均分子量が500ないし5,000,000である分岐状高分子化合物と金属イオンとからなる複合体が機能性色素を包接する構造をなす機能性複合体であって、
前記分岐状高分子化合物が、式(1):
R 1 は水素原子又はメチル基を表し、
R 2 及びR 3 は、それぞれ独立して、炭素原子数1ないし5のアルキル基、炭素原子数1ないし5のヒドロキシアルキル基又は炭素原子数7ないし12のアリールアルキル基を表し、また、R 2 とR 3 は互いに結合して、窒素原子と共に環を形成していてもよいジチオカルバメート基を表し、
A 1 は式(2):
A 2 はエーテル結合又はエステル結合を含んでいても良い炭素原子数1ないし30の直鎖状、枝分かれ状又は環状のアルキレン基を表し、
Y 1 、Y 2 、Y 3 及びY 4 は、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1ないし20のアルキル基、炭素原子数1ないし20のアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基又はシアノ基を表す。)で表される基を表し、
nは繰り返し単位構造の数であって、2ないし100,000の整数を表す。]で表される分岐状高分子化合物である機能性複合体。 - 請求項6に記載の式(1)で表される分岐状高分子化合物と機能性色素とを含む溶液を、金属イオン水溶液に添加する工程を含む請求項6に記載の機能性複合体の製造方法。
- N,N−ジアルキルジチオカルバメート基を有する重量平均分子量が500ないし5,000,000である分岐状高分子化合物と銀微粒子とからなる複合体が機能性色素を包接する構造をなす機能性複合体であって、
前記分岐状高分子化合物が、式(1):
R 1 は水素原子又はメチル基を表し、
R 2 及びR 3 は、それぞれ独立して、炭素原子数1ないし5のアルキル基、炭素原子数1ないし5のヒドロキシアルキル基又は炭素原子数7ないし12のアリールアルキル基を表し、また、R 2 とR 3 は互いに結合して、窒素原子と共に環を形成していてもよいジチオカルバメート基を表し、
A 1 は式(2):
A 2 はエーテル結合又はエステル結合を含んでいても良い炭素原子数1ないし30の直鎖状、枝分かれ状又は環状のアルキレン基を表し、
Y 1 、Y 2 、Y 3 及びY 4 は、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1ないし20のアルキル基、炭素原子数1ないし20のアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基又はシアノ基を表す。)で表される基を表し、
nは繰り返し単位構造の数であって、2ないし100,000の整数を表す。]で表される分岐状高分子化合物である機能性複合体。 - 請求項8に記載の式(1)で表される分岐状高分子化合物と機能性色素とを含む溶液を銀イオン水溶液に添加する工程と、得られた溶液中の銀イオンを銀微粒子に還元する工程を含む請求項8に記載の機能性複合体の製造方法。
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