JP5252973B2 - 飛翔体用位置制御装置及び飛翔体 - Google Patents

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本発明は飛翔体用位置制御装置及び飛翔体に関し、特に、位置及び姿勢を制御するための推力を発生する推力発生手段を備えた飛翔体の位置を制御する飛翔体用位置制御装置、及びこれを備えた飛翔体に関するものである。
垂直離着陸機(VTOL:Vertical take-off and landing)として、推力の調整によって位置及び姿勢を制御する飛翔装置が提案されている。例えば、特許文献1には、垂直離着陸飛翔装置の機体の所定軸回りの慣性モーメントを適時に導出し、該機体の姿勢制御において、該機体に複数配置される推力発生機によって発生されるべき推力を、姿勢制御時における慣性モーメントに基いて調節することにより、垂直離着陸飛翔装置の機体における重量分布が変化した場合でも、機体の姿勢制御の安定性を維持する飛翔装置が開示されている。
特開2007−55372号公報
しかしながら、上記のような垂直離着陸機では、並進・上下運動による位置保持制御中に突風等の外乱が発生した場合、定常状態を想定して算出される制御量では、推量発生手段への入力が過大となり、機体姿勢が悪化する可能性がある。すなわち、位置保持を行うためには、機体を並進又は上下運動させることが必要となるが、このようなロジック動作中に、突風等の巨大な空気力が機体に加わると、機体の運動想定範囲内で設定した制御系の制御ゲインでは、推量発生手段への入力が過大となる、すなわちフィードバック量が大きくなりすぎ、機体への制御が発散してしまう恐れがある。
そのため、ヘリコプター等の垂直離着陸機には、自動位置保持機能を搭載することが困難である。仮に、垂直離着陸機に自動位置保持機能を搭載したとしても、想定した大きさを超える突風等の外乱を受けた場合には、機体の姿勢の維持が難しくなる。そのため、垂直離着陸機の位置保持機能を弱めるか、位置保持機能を削除する必要がある。一方、垂直離着陸機の位置保持機能を弱めると、弱い位置保持機能の故に機体が揺れ動き易くなり、突風等の大きな外乱が無い通常の状態で位置を保持することが難しくなる。そのため、垂直離着陸機には、操縦者による位置保持操作が必須であり、機体の操縦を難しくしている。
本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、その目的は、位置及び姿勢を制御するための推力を発生する推力発生手段を備えた飛翔体において、突風等の外乱を受けた場合でも、機体の姿勢を維持しつつ位置制御を行うことが可能となる飛翔体用位置制御装置及び飛翔体を提供することにある。
本発明は、位置及び姿勢を制御するための推力を発生する推力発生手段を備えた飛翔体の位置を制御する飛翔体用位置制御装置であって、飛翔体の現在位置と目標位置との偏差に対応した制御量により推力発生手段を制御する制御手段と、飛翔体への外乱を検出する外乱検出手段と、外乱検出手段が検出した外乱に対応して、飛翔体の現在位置と目標位置との偏差に対応した制御手段の制御量を補正する制御量補正手段と、を備えたことを特徴とする。
この構成によれば、制御手段が、飛翔体の現在位置と目標位置との偏差に対応した制御量により推力発生手段を制御することに加えて、外乱検出手段が、飛翔体への外乱を検出し、制御量補正手段が、外乱検出手段が検出した外乱に対応して、飛翔体の現在位置と目標位置との偏差に対応した制御手段の制御量を補正する。このため、突風等の外乱を受けた場合でも、制御量が外乱に対応した値に補正されるため、機体の姿勢を維持しつつ位置制御を行うことが可能となる。
この場合、制御量補正手段は、外乱が大きい場合は小さい場合に比べて制御量が小さくなるように補正することが好適である。
この構成によれば、制御量補正手段は、外乱が大きい場合は小さい場合に比べて制御量が小さくなるように補正するため、外乱が大きいにもかかわらず、大きな制御量により機体の制御が発散することを防止できる。また、外乱が小さい場合は、制御手段は、通常の制御量により推力発生手段を制御するため、機体の位置を容易に制御することができる。
また、制御量補正手段は、制御手段における制御系の制御ゲインを調整することによって制御量を補正するものとできる。
この構成によれば、制御手段における制御系の制御ゲインを調整することによって制御量を補正することにより、制御量補正手段は、簡単な装置構成で制御量を補正することができる。
また、本発明は、上記本発明の飛翔体用位置制御装置と、位置及び姿勢を制御するための推力を発生する推力発生手段とを備えた飛翔体である。
本発明の飛翔体用位置制御装置及び飛翔体によれば、位置及び姿勢を制御するための推力を発生する推力発生手段を備えた飛翔体において、突風等の外乱を受けた場合でも、機体の姿勢を維持しつつ位置制御を行うことが可能となる。
以下、本発明の実施の形態に係る飛翔体用位置制御装置及び飛翔体について添付図面を参照して説明する。
図1は実施形態に係る垂直離着陸機の構成を示す底面図であり、図2はその側面図である。図1に示すように、本実施形態の垂直離着陸機1aは、機体の下面の前部及び後部に、機体の位置及び姿勢を制御するための推力発生部(推力発生手段)5がそれぞれ備えている。推力発生部5は、電動モータで回転駆動される電動ファンにより推力を発生する。図1に示すように、垂直離着陸機1aは、機体の下面の前部及び後部にそれぞれ複数の推力発生部5を備え、各々の推力発生部5の推力の大きさを調整することにより、機体のピッチ角を制御可能となっている。
図3〜5に示す垂直離着陸機1b〜1dのように、推力発生部5を各々機体のピッチ角及びロール角方向に対し最低2個以上搭載し、それぞれの推力発生部5の推力の大きさを調整することにより、機体のピッチ角及びロール角を制御することが可能となる。例えば、機体の進行方向に対するピッチ角を制御する場合は、図2に示す機体の重心Gに対してその前後に推力発生部5がそれぞれ配置される。また、機体のピッチ角の制御に加えて機体のロール角を制御する場合は、機体の重心Gに対してその左右方向に推力発生部5がそれぞれ配置される。
図2に示すように、垂直離着陸機1aは、位置制御装置10を備えている。図6は、実施形態に係る位置制御装置の構成を示すブロック図である。図6に示すように、本実施形態の位置制御装置10は、GYRO2、制御CPU3及びGPS6を備えている。
GYRO2は、GPS(Global Positioning System)6からの位置情報と併せて、図2に示す機体の重心Gを通るX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の機体の位置と、重心Gを通るX軸、Y軸及びZ軸周りの機体姿勢とを計算するためのものである。もし、GPS6を搭載しない場合は、垂直離着陸機1aは、GYRO2の慣性データを使用し、検出された加速度を積分することにより速度を算出し、さらに算出された速度を積分することにより位置を算出することが可能となる。GYRO2は、機体の重心Gを通るX軸、Y軸及びZ軸周りの角速度を検出することにより、機体への外乱を検出することも可能であるため、特許請求の範囲に記載の外乱検出手段として機能する。
制御CPU3は、GYRO2及びGPS6からの機体の位置、姿勢及び機体への外乱に関する情報に基づいて、垂直離着陸機1aの現在位置と目標位置との偏差に対応した制御量(動作指示信号)により、推力発生部5を制御するためのものである。この制御量は、GYRO2及びGPS6が検出した機体への外乱に対応して補正される。制御CPU3は、特許請求の範囲に記載の制御手段及び制御量補正手段として機能する。
次に、本実施形態の垂直離着陸機の動作について説明する。図6は、実施形態に係る位置制御の全体的な手順を示すフロー図である。図6に示すように、GYRO2が、垂直離着陸機1aの位置情報を計算することにより、機体にかかる外乱を計算する(S11)。制御CPU3は、位置保持制御則により制御量を算出する(S12)。制御CPU3は、制御量を決定すると(S13)、推力発生部5の電動モータを駆動して位置制御を行い(S14)、以後、S11〜S14のループが繰り返される。
図8は、図7のGYROの位置情報計算の手順を示すフロー図である。垂直離着陸機1aに突風等の空気力がかかったとき、GYRO2は、機体の重心Gを通るX軸、Y軸及びZ軸周りの角速度を検出して、制御CPU3に当該機体に係る外乱に関する情報を入力する(S21)。制御CPU3は、機体のX軸、Y軸及びZ軸周りの角速度が、位置保持制御ロジックを実施可能な範囲内であるか否か計算する(S22)。制御CPU3は、角速度が位置保持制御ロジックを実施可能な範囲内であるときは、通常の制御則に従って推力発生部5を制御する(S12)。一方、制御CPU3は、角速度が位置保持制御ロジックを実施可能な範囲外であるときは、位置保持制御則の制御量を補正するための補正係数(制御ゲイン)を修正する(S23)。
図9は、GYROレート(角速度)と補正係数との関係を示すグラフ図である。図9に示すように、機体への外乱であるGYROレートが大きくなるにつれて、補正係数は制御量を小さくするように修正される。制御CPU3は、図9に示す関係に従い、GYROレートから補正係数を算出する。
図10は、図7の位置保持制御則の手順を示すフロー図である。図10に示すように、GYRO2は、GPS6からの位置情報と併せて、図2に示す機体の重心Gを通るX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の現在における位置を計算する(S31)。制御CPU3は、機体のX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の現在における位置と、目標位置との偏差を計算する(S32)。制御CPU3は、通常の機体の現在位置と目標位置との偏差から導き出される制御量と、S23において修正した補正係数との積を算出し(S33)、制御量を決定する(S13)。
本実施形態では、制御CPU3が、垂直離着陸機1aの現在位置と目標位置との偏差に対応した制御量により推力発生部5を制御することに加えて、GYRO2が、垂直離着陸機1aへの外乱を検出し、制御CPU3が、GYRO2が検出した外乱に対応して、制御量を補正する。このため、突風等の外乱を受けた場合でも、制御量が外乱に対応した値に補正されるため、機体の姿勢を維持しつつ位置制御を行うことが可能となる。
すなわち、従来の垂直離着陸機の位置制御は、機体に突風等の巨大な空気力が加わり、位置保持制御ロジックを実施不可能な場合でも、通常の位置保持制御ロジックを実行しようとするため、図11の曲線d,eに示すように、機体の制御が発散し、機体の位置及び姿勢を維持することが困難であった。一方、本実施形態では、機体に大きな外乱が加わったときでも、曲線D,Eに示すように、制御ゲインが小となり、位置保持ロジックの機能が削減されるため、機体の制御が発散することを防止することができる。
特に、本実施形態では、制御CPU3は、外乱が大きい場合は小さい場合に比べて制御量が小さくなるように補正するため、外乱が大きいにもかかわらず、大きな制御量により機体の制御が発散することを防止できる。また、外乱が小さい場合は、制御CPU3は、通常の制御量により推力発生部5を制御するため、機体の位置を容易に制御することができ、操縦者の負荷を低減することができる。
さらに、本実施形態では、制御CPU3における制御系の制御ゲインを調整することによって制御量を補正しているため、制御CPU3は、簡単な装置構成で制御量を補正することができる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。
実施形態に係る垂直離着陸機の構成を示す庭面図である。 実施形態に係る垂直離着陸機の構成を示す側面図である。 垂直離着陸機における推力発生部の別の配置例を示す図である。 垂直離着陸機における推力発生部の別の配置例を示す図である。 垂直離着陸機における推力発生部の別の配置例を示す図である。 実施形態に係る位置制御装置の構成を示すブロック図である。 実施形態に係る位置制御の全体的な手順を示すフロー図である。 図7のGYROの位置情報計算の手順を示すフロー図である。 GYROレートと補正係数との関係を示すグラフ図である。 図7の位置保持制御則の手順を示すフロー図である。 実施形態に係る位置制御の経過時間に対する機体位置絶対誤差、姿勢角、及び空気力の関係を示すグラフ図である。
符号の説明
1a,1b,1c,1d…垂直離着陸機、2…GYRO、3…制御CPU、5…推力発生部、6…GPS、10…位置制御装置。

Claims (3)

  1. 位置及び姿勢を制御するための推力を発生する複数の推力発生手段を備えた垂直離着陸機の位置を制御する垂直離着陸機用位置制御装置であって、
    前記垂直離着陸機の現在位置と目標位置との偏差に対応した制御量により複数の前記推力発生手段を制御して前記垂直離着陸機の姿勢を維持しつつ位置を制御する制御手段と、
    重心を通る軸周りの角速度を検出して前記垂直離着陸機への外乱を検出する外乱検出手段と、
    前記外乱検出手段が検出した前記外乱が所定の許容範囲内であるか否かを判定し、前記外乱が所定の許容範囲内でないときは、前記外乱検出手段が検出した前記外乱に対応して、前記垂直離着陸機の現在位置と目標位置との偏差に対応した前記制御手段の前記制御量を補正する制御量補正手段と、を備え、
    前記制御量補正手段は、前記外乱が所定の許容範囲内でないときであって、前記外乱が大きい場合は、前記外乱が小さい場合に比べて前記制御量が小さくなるように補正する、垂直離着陸機用位置制御装置。
  2. 前記制御量補正手段は、前記制御手段における制御系の制御ゲインを調整することによって前記制御量を補正する、請求項1に記載の垂直離着陸機用位置制御装置。
  3. 請求項1又は2に記載の垂直離着陸機用位置制御装置と、位置及び姿勢を制御するための推力を発生する複数の推力発生手段とを備えた垂直離着陸機
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