JP5249127B2 - ガスメータ、及びその異常判断方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ガスメータ、及びその異常判断方法に関する。
従来、ある程度長時間のガス流量の推移から、使用されているガス器具を判断するガス器具判断装置が提案されている。このガス器具判断装置によれば、使用中のガス器具を判断できるため、保安処理などの向上を図ることができる(例えば特許文献1〜3参照)。
特開2003−148728号公報 特開2008−107262号公報 特開2008−107301号公報
また、ガスメータにおいては、様々な要因により器差が変化する場合がある。ここで、器差とは、ガスメータが示す流量値と、真の流量値との差、又はその差の百分率をいい、以下の式によって表わされる。
E=I−Q
又は、
E=((I−Q)/Q)×100
なお、Eは器差であり、Iはガスメータが示す流量値であり、Qは真の流量値である。
ガスメータの設置後において上記器差が変化する要因としては、例えば以下のようなものがある。1つ目は混ガス状態であり、2つ目は温度変化であり、3つ目はダストやドレンの堆積であり、4つ目は水の浸入である。
1つ目の混ガス状態について説明する。混ガス状態とは、空気と燃料ガスとが混合した状態であり、ガスメータにおいては混ガス状態のときに計測する流量値が変化することがある。
2つ目の温度変化について説明する。ガスメータの周囲に温度変化が発生すると、燃料ガスの膨張や圧縮により計測する流量値が変化することがある。
3つ目のダストやドレンの堆積について説明する。ガスメータでは長時間使用すると、ダスト(埃)やドレン(燃料ガス内不純物)がセンサ表面に付着して、計測する流量値が変化することがある。
4つ目の水の浸入について説明する。ガスメータではガス配管を経由して水がガスメータ内に侵入したり、結露することによりセンサ表面に水滴が付着したりする場合がある。このような場合、ガスメータでは計測する流量値が変化してしまう。
以上のように、ガスメータでは様々な理由から計測する流量値が変化して、器差が変動してしまうことがある。そして、器差が大きく変化してしまうと、計測する流量値として許容できないものとなってしまう可能性がある。
ここで、1つ目の混ガス状態については、ガスメータの交換時においてガスメータ内の空気をパージするときに、一時的に空気と燃料ガスとが混合した混ガス状態となる。この際、ガスメータは器差が異常値となってしまうこともある。しかし、ガス器具の使用により、混ガスがガス器具を経由して外へ放出されてしまえば、ガスメータは正常な器差に復帰する。
また、2つ目の温度変化についてもガスメータの周囲温度が変化し、使用温度範囲を逸脱した場合、器差は異常値となることも想定される。しかし、そのような想定外の温度は長時間続くことは考えられず、再び適正な使用温度に戻れば、正常な器差に復帰する。
しかし、3つ目のダストやドレンの堆積、及び4つ目の水の浸入については、器差が自然に正常値に復帰することが望めない。そこで、ガスメータの器差異常を診断可能とすることが望まれるが、現状ガスメータ単体では器差が正常であるかを判断することができない。
本発明はこのような従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、ガスメータ単体で器差の異常を判断することが可能なガスメータ及びその異常判断方法を提供することにある。
本発明のガスメータは、器差の異常を判断するガスメータであって、使用されているガス器具を判断するガス器具判断手段と、前記ガス器具判断手段により判断されたガス器具が一定の流量値の燃料ガスを使用するガス器具である場合、そのガス器具において実際に計測される燃料ガスの流量値と前記一定の流量値とを比較する流量値比較手段と、前記流量値比較手段による比較の結果、そのガス器具において実際に計測される燃料ガスの流量値が前記一定の流量値と所定値以上異なる場合に、器差異常であると判断する異常判断手段と、を備えることを特徴とする。
このガスメータによれば、使用されていると判断されたガス器具が一定の流量値の燃料ガスを使用するガス器具である場合、一定の流量値と計測される流量値とを比較し、比較の結果所定値以上異なる場合に器差異常であると判断する。このように、本来一定の流量値を示すにも拘わらず、その流量値から所定値以上異なる場合には、もはやガスメータは真の流量値からかけ離れた流量値として測定していることに他ならず、ガスメータ単体で器差の異常を判断することができる。
また、本発明のガスメータにおいて、前記異常判断手段は、前記流量値比較手段による比較の結果、実際に計測される燃料ガスの流量値が前記一定の流量値と所定値以上異なると、複数台のガス器具で同時期に判断されたときに、器差異常であると判断することが好ましい。
このガスメータによれば、一定の流量値と計測される流量値とを比較し、比較の結果所定値以上異なる場合が、複数台のガス器具で同時期に判断されたときに、器差異常であると判断する。このため、ガス器具側の異常により流量値が変化してしまった場合においても、誤判断の可能性を軽減することができる。
また、本発明のガスメータにおいて、前記異常判断手段は、前記流量値比較手段による比較の結果、実際に計測される燃料ガスの流量値が前記一定の流量値と所定値以上異なる場合が、複数回発生したときに、器差異常であると判断することが好ましい。
このガスメータによれば、実際に計測される燃料ガスの流量値が一定の流量値と所定値以上異なる場合が、複数回発生したときに、器差異常であると判断する。このため、複数回の判定により誤判断の可能性を軽減することができる。特に、ダストやドレンの堆積、及び水の浸入については、復帰が望めず、計測された流量値と一定の流量値とが長期に亘って所定値以上異なることとなる。すなわち、何度も所定値以上異なることとなる。このため、複数回の設定によっては、ダストやドレンの堆積、及び水の浸入について判断することもできる。
また、本発明のガスメータにおいて、前記異常判断手段は、前記流量値比較手段による比較の結果、実際に計測される燃料ガスの流量値が前記一定の流量値と所定値以上異なる場合が、所定時間以内に複数回発生したときに、器差異常であると判断することが好ましい。
このガスメータによれば、実際に計測される燃料ガスの流量値が一定の流量値と所定値以上異なる場合が、所定時間以内に複数回発生したときに、器差異常であると判断する。このため、ガス器具の使用により流量値が振動した場合などに、誤判断の可能性を軽減することができる。
また、本発明のガスメータにおいて、前記異常判断手段により器差異常であると判断された場合、その旨を出力する出力手段をさらに備えることが好ましい。
このガスメータによれば、器差異常であると判断された場合、その旨を出力する出力手段をさらに備えるため、使用者や燃料ガス事業者に異常を知らせることができる。特に、復帰が望めないダストやドレンの堆積、及び水の浸入については、復帰の機会を与えられることとなり、ガスメータの器差について復帰させることができる。
また、本発明のガスメータにおいて、前記一定の流量値の燃料ガスを使用するガス器具は、燃料ガス使用中の特定の時間に限り一定の流量値の燃料ガスを使用するガス器具を含むことが好ましい。
このガスメータによれば、一定の流量値の燃料ガスを使用するガス器具は、燃料ガス使用中の特定の時間に限り一定の流量値の燃料ガスを使用するガス器具を含む。このため、ガスファンヒータのように点火直後の一定時間に限って最大能力で運転され、点火直後に限り一定の流量を使用するようなガス器具を対象に計測した流量値が真の流量値等であるかを判断することができる。
また、本発明のガスメータの異常判断方法は、器差の異常を判断するガスメータの異常判断方法であって、使用されているガス器具を判断するガス器具判断工程と、前記ガス器具判断工程において判断されたガス器具が一定の流量値の燃料ガスを使用するガス器具である場合、そのガス器具において実際に計測される燃料ガスの流量値と前記一定の流量値とを比較する流量値比較工程と、前記流量値比較工程における比較の結果、そのガス器具において実際に計測される燃料ガスの流量値が前記一定の流量値と所定値以上異なる場合に、器差異常であると判断する異常判断工程と、を有することを特徴とする。
このガスメータの異常判断方法によれば、使用されていると判断されたガス器具が一定の流量値の燃料ガスを使用するガス器具である場合、一定の流量値と計測される流量値とを比較し、比較の結果所定値以上異なる場合に器差異常であると判断する。このように、本来一定の流量値を示すにも拘わらず、その流量値から所定値以上異なる場合には、もはやガスメータは真の流量値からかけ離れた流量値として測定していることに他ならず、ガスメータ単体で器差の異常を判断することができる。
本発明によれば、ガスメータ単体で器差の異常を判断することができる。
本発明の実施形態に係るガスメータを含む燃料ガス供給システムの構成図である。 図1に示したガスメータを示すブロック図である。 図2に示した一定流量ガス器具記憶部の記憶内容を示す図である。 本実施形態に係るガスメータの異常判断方法を示すフローチャートである。 第2実施形態に係るガスメータを示すブロック図である。 ガスコンロのスペクトルデータの一例を示すグラフである。 ガスストーブのスペクトルデータの一例を示すグラフである。 給湯器のスペクトルデータの一例を示すグラフである。 ファンヒータのスペクトルデータの一例を示すグラフである。 第2実施形態に係るガスメータの異常判断方法を示すフローチャートである。
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施形態に係るガスメータを含む燃料ガス供給システムの構成図である。図1に示すように、燃料ガス供給システム1は、ガスストーブ、ファンヒータ、給湯器及びガスコンロなどの各ガス器具10に燃料ガスを供給するものであって、複数のガス器具10と、燃料ガス供給元の調整器20と、配管31,32と、ガスメータ40と、警報器50とを備えている。
調整器20は上流からの燃料ガスを所定圧力に調整して第1配管31に流すものである。この調整器20は、例えば燃料ガスを2.9kPa程度の圧力に調整して第1配管31に流す構成となっている。第1配管31は、調整器20とガスメータ40とを接続するものである。第2配管32はガスメータ40とガス器具10とを接続する配管である。ガスメータ40は、燃料ガスの流量を測定して積算流量を表示するものである。このような燃料ガス供給システム1では、ガスメータ40内に第1配管31及び第2配管32とつながる流路が形成されており、調整器20を通じて流れてきた燃料ガスは第1配管31からガスメータ40、及び第2配管32を通じてガス器具10に到達し、ガス器具10において燃焼されることとなる。
警報器50は、台所などの屋内におけるガス漏れを検知して、音声等により警報するものである。この警報器50は、ガスメータ40と接続されており、ガス漏れの情報をガスメータ40に送信可能な構成となっている。
図2は、図1に示したガスメータ40を示すブロック図である。図2に示すように、ガスメータ40は、流量センサ41と、圧力センサ42と、記憶部43と、マイコン44と、表示部(出力手段)45と、通信部(出力手段)46とを備え、ガスメータ40の器差異常を診断できるようになっている。
流量センサ41は、ガスメータ40内の流路に設置され、流路内のガス流量を検出するためのものである。圧力センサ42は、ガスメータ40内の流路に設置され、流路内のガス圧力を検出するためのものである。本実施形態において流量センサ41及び圧力センサ42については、種々のものを用いることができる。
記憶部43は、流量計測に必要な各種データ等を記憶すると共に、特許文献1〜特許文献3に記載のように各ガス器具使用時の流量推移の情報を記憶している。また、記憶部43は一定流量ガス器具記憶部43aを備えている。一定流量ガス器具記憶部43aは、各ガス器具10が一定の流量値を使用するガス器具10であるか、一定ではない不定の流量値を使用するガス器具10であるか、特定の時間だけにおいて一定の流量値を使用するガス器具10であるかの情報を記憶したものである。また、一定流量ガス器具記憶部43aは一定の流量値を使用するガス器具10について、その一定の流量値の情報を記憶している。
図3は、図2に示した一定流量ガス器具記憶部43aの記憶内容を示す図である。図3に示すように、一定流量ガス器具記憶部43aは、各ガス器具10(例えばガスストーブ、ガスコンロ、床暖房、BF型風呂釜、ファンヒータ、及び、給湯器など)に対応付けて、それぞれの情報を記憶している。
具体的に説明すると、一定流量ガス器具記憶部43aは、ガスストーブについて使用時における流量が一定であり、その流量値がLPガスについて100L/hであり、天然ガスについて200L/hであると記憶している。床暖房についても同様である。また、ガスコンロは弱火、中火、及び強火などガス使用量が変化する。このため、一定流量ガス器具記憶部43aは、ガスコンロについて使用時における流量値を不定であると記憶している。給湯器についても同様である。
さらに、一定流量ガス器具記憶部43aは、BF型風呂釜(旧型でマイコン制御を行っていない給湯器)について特定の時間帯のみにおいて使用時における流量が一定であり、その流量値がLPガスについてX2L/hであり、天然ガスについてY2L/hであると記憶している。なお、BF型風呂釜について特定の時間帯とは、風呂湯張り時や風呂追焚き時である。また、ファンヒータについても同様である。ファンヒータにおける特定の時間帯とは、点火直後である。点火直後においてファンヒータは、一定時間だけ最大能力で運転され、安定して同じ流量値の燃料ガスが使用される。このため、ファンヒータは点火直後において一定の流量値の燃料ガスを使用することとなる。
なお、以下の説明において一定の流量値を使用するガス器具10を定流量ガス器具10と称する。また、定流量ガス器具10は、燃料ガス使用中の特定の時間に限り一定の流量値の燃料ガスを使用するガス器具10を含む概念であるとする。従って、定流量ガス器具10は、図3にて説明したように常時一定流量を使用するガスストーブ及び床暖房のみならず、予め定まった特定の時間帯だけ一定流量を使用するBF型風呂釜及びファンヒータについても含む概念である。
再度、図2を参照する。マイコン44は、ガスメータ40の全体制御を行うものであって、本実施形態においては流量計測部44a、圧力計測部44b、使用器具判断部(ガス器具判断手段)44c、流量値比較部(流量値比較手段)44d、及び異常判断部(異常判断手段)44eを備えている。
流量計測部44aは、流量センサ41からの信号に基づいてガス流量を計測するものである。圧力計測部44bは、圧力センサ42からの信号に基づいてガス圧力を計測するものである。
使用器具判断部44cは、使用されているガス器具10を判断するものである。この使用器具判断部44cは、例えば流量計測部44a及び圧力計測部44bにより計測される計測値に変化があったことを契機として、その後の流量値を計測し、その流量値の推移と記憶部43の記憶内容とから、使用されたガス器具10を判断する。なお、流量と圧力とには一定の相関があるため、使用器具判断部44cは、圧力に基づいて使用されたガス器具10を判断してもよい。
流量値比較部44dは、使用器具判断部44cにより判断されたガス器具10が定流量ガス器具10である場合、その定流量ガス器具10において実際に計測される燃料ガスの流量値と、一定流量ガス器具記憶部43aに記憶される一定の流量値とを比較するものである。具体的に説明すると、使用器具判断部44cにより使用されているガス器具10がガスストーブであると判断されたとする。この場合、流量値比較部44dは、一定流量ガス器具記憶部43aの記憶内容に基づいて、ガスストーブが定流量ガス器具10であるか否かを判断する。そして、流量値比較部44dは、ガスストーブが定流量ガス器具10であると判断し、流量計測部44aにおいて実際に計測される流量値と、一定流量ガス器具記憶部43aに記憶される一定の流量値(LPガスでは100L/h、天然ガスでは200L/h)とを比較する。
異常判断部44eは、流量値比較部44dによる比較の結果、その定流量ガス器具10において実際に計測される燃料ガスの流量値が一定流量ガス器具記憶部43aに記憶される一定の流量値と所定値以上異なる場合に、ガスメータ40において器差異常が発生していると判断するものである。すなわち、器差異常がなければ、実際に計測される燃料ガスの流量値と、記憶される一定の流量値とは略同じとなるべきである。これらの流量値が所定値以上異なるということは、器差異常が発生しているに他ならず、このような場合に異常判断部44eは器差異常であると判断する。
表示部45は、マイコン44からの制御によって各種表示を行うものである。また、本実施形態において表示部45は、異常判断部44eにより器差異常であると判断された場合、その旨の情報を表示する機能を有している。
通信部46は、警報器50やセンターと情報の送受を行うものである。本実施形態において通信部46は、異常判断部44eにより器差異常であると判断された場合、その旨の情報を警報器50やセンターに送信する。これにより、警報器50において異常の旨を報知したり、センターにおいて異常を把握してメンテナンスを行う作業員を派遣したりすることができる。さらに、異常の旨の情報が何度もセンターに送られてくる場合には、ガスメータ40に対して遮断信号を送信し、遮断弁を閉じるように動作させてもよい。
次に、本実施形態に係るガスメータ40の異常判断方法について説明する。図4は、本実施形態に係るガスメータ40の異常判断方法を示すフローチャートである。まず、マイコン44は、流量計測部44a及び圧力計測部44bの計測結果に基づいて流量値及び圧力値の少なくとも一方に変化があったか否かを判断する(S1)。
流量値及び圧力値に変化がなかったと判断した場合(S1:NO)、変化があったと判断されるまで、この処理が繰り返される。一方、流量値及び圧力値の少なくとも一方に変化があったと判断した場合(S1:YES)、使用器具判断部44cは、ガス流量の推移から使用されているガス器具10を判断する(S2)。
その後、流量値比較部44dは、ステップS2において判断されたガス器具10が常に一定流量を使用する定流量ガス器具10であるか否かを判断する(S3)。すなわち、流量値比較部44dは、図3で示した例でいえば、判断されたガス器具10がガスストーブや床暖房などであるかを判断することとなる。
常に一定流量を使用する定流量ガス器具10であると判断した場合(S3:YES)、処理はステップS6に移行する。一方、常に一定流量を使用する定流量ガス器具10でないと判断した場合(S3:NO)、流量値比較部44dは、特定時間だけ一定流量を使用する定流量ガス器具10であるか否かを判断する(S4)。すなわち、流量値比較部44dは、図3で示した例でいえば、判断されたガス器具10がBF型風呂釜やファンヒータなどであるかを判断することとなる。
特定時間だけ一定流量を使用する定流量ガス器具10でないと判断した場合(S4:NO)、図4に示す処理は終了する。特定時間だけ一定流量を使用する定流量ガス器具10であると判断した場合(S4:YES)、流量値比較部44dは、現在特定の時間帯であるか否かを判断する(S5)。ここで、特定の時間帯とは、BF型風呂釜において風呂湯張り時や風呂追焚き時であり、ファンヒータにおいて点火直後の一定時間である。
現在特定の時間帯でないと判断した場合(S5:NO)、図4に示す処理は終了する。一方、現在特定の時間帯であると判断した場合(S5:YES)、処理はステップS6に移行する。
ステップS6において流量計測部44aは流量値を計測する(S6)。その後、流量値比較部44cは、ステップS6において計測した流量値と、一定流量ガス器具記憶部43aに記憶される流量値とを比較し、異常判断部44eは比較の結果、両者が所定値以上異なるか否かを判断する(S7)。
所定値以上異ならないと判断した場合(S7:NO)、図4に示す処理は終了する。一方、所定値以上異なると判断した場合(S7:YES)、異常判断部44eは、所定回数(複数回)以上異なったか否かを判断する(S8)。
所定回数(複数回)以上異なったと判断した場合(S8:YES)、異常判断部44eはガスメータ40の器差異常が発生していると判断し(S10)、処理はステップS11に移行する。このように、異常判断部44eは、所定回数以上異なったか否かを判断することにより、誤判断の可能性を減じるようにしている。特に、特に、ダストやドレンの堆積、及び水の浸入については、復帰が望めず、計測された流量値と記憶された流量値とが長期に亘って所定値以上異なることとなる。すなわち、何度も所定値以上異なることとなる。このため、所定回数の設定によっては、ダストやドレンの堆積、及び水の浸入について判断することもできる。
所定回数(複数回)以上異なっていないと判断した場合(S8:NO)、異常判断部44eは、複数台の定流量ガス器具10で同時期に所定値以上異なったか否かを判断する(S9)。例えば、異常判断部44eは、ガスストーブを監視し、所定値以上異なると判断された状態で、BF型風呂釜を監視して所定値以上異なるような場合に、複数台の定流量ガス器具10で同時期に所定値以上異なったと判断する。このように、異常判断部44eは、特定の定流量ガス器具10の使用において所定値以上異なると判断された状態で、他の定流量ガス器具10で所定値以上異なるか否かを判断することとなる。これにより、特定の定流量ガス器具10において異常が発生し、ガスメータ40の器差が正常であるにも拘わらず、異常判断部44eが器差異常と判断してしまう事態を防止している。
そして、複数台の定流量ガス器具10で同時期に所定値以上異なったと判断した場合(S9:YES)、異常判断部44eは器差異常が発生していると判断し(S10)、処理はステップS11に移行する。一方、複数台の定流量ガス器具10で同時期に所定値以上異なっていないと判断した場合(S9)、図4に示す処理は終了する。
また、ステップS10において器差異常が判断された場合、表示部45は異常の旨を表示すると共に、通信部46は、警報器50や管理センターに異常の旨を示す信号を送信する(S11)。これにより、異常を知らせると共に、メンテナンスを行わせるようにしている。その後、図4に示す処理は終了する。
なお、図4に示すフローチャートでは、S5において「NO」と判断された場合、処理を終了することとしているが、これに限らず、S5において「NO」と判断された場合、「YES」と判断されるまで待つ別フローを実行させるようにしてもよい。これにより、特定の時間帯を逃す可能性を減じることができるからである。
このようにして、第1実施形態に係るガスメータ40及び異常判断方法によれば、使用されていると判断されたガス器具10が一定の流量値の燃料ガスを使用する定流量ガス器具10である場合、一定の流量値と計測される流量値とを比較し、比較の結果所定値以上異なる場合にガスメータ40の器差異常が発生していると判断する。このように、本来一定の流量値を示すにも拘わらず、その流量値から所定値以上異なる場合には、もはやガスメータ40は真の流量値からかけ離れた流量値として測定していることに他ならず、ガスメータ単体で器差の異常を判断することができる。
また、一定の流量値と計測される流量値とを比較し、比較の結果所定値以上異なる場合が、複数台の定流量ガス器具10で同時期に判断されたときに、ガスメータ40の器差異常が発生していると判断する。このため、ガス器具10側の異常により流量値が変化してしまった場合においても、誤判断の可能性を軽減することができる。
また、実際に計測される燃料ガスの流量値が一定の流量値と所定値以上異なる場合が、複数回発生したときに、ガスメータ40の器差異常が発生していると判断する。このため、複数回の判定により誤判断の可能性を軽減することができる。特に、ダストやドレンの堆積、及び水の浸入については、復帰が望めず、計測された流量値と一定の流量値とが長期に亘って所定値以上異なることとなる。すなわち、何度も所定値以上異なることとなる。すなわち、何度も所定値以上異なることとなる。このため、複数回の設定によっては、ダストやドレンの堆積、及び水の浸入について判断することもできる。
また、器差異常であると判断された場合、その旨を出力する表示部45及び通信部46をさらに備えるため、使用者や燃料ガス事業者に異常を知らせることができる。特に、復帰が望めないダストやドレンの堆積、及び水の浸入については、復帰の機会を与えられることとなり、ガスメータ40の器差について復帰させることができる。
また、定流量ガス器具10は、燃料ガス使用中の特定の時間に限り一定の流量値の燃料ガスを使用するガス器具10を含む。このため、ガスファンヒータのように点火直後の一定時間に限って最大能力で運転され、点火直後に限り一定の流量を使用するようなガス器具10を対象に計測した流量値が真の流量値等であるかを判断することができる。
次に、本発明の第2実施形態を説明する。第2実施形態に係るガスメータ40及び異常判断方法は第1実施形態のものと同様であるが、一部異なっている。以下、相違点のみを説明する。
図5は、第2実施形態に係るガスメータ40を示すブロック図である。図5に示すように、第2実施形態では記憶部43がスペクトルデータ記憶部43bを備えている。スペクトルデータとは、ガス器具10の使用開始直後に得られる流量波形、又は圧力波形の周波数と振幅との相関を示すものであって、例えば図6〜図9に示すようなものである。
図6は、ガスコンロのスペクトルデータの一例を示すグラフであって、図7は、ガスストーブのスペクトルデータの一例を示すグラフである。また、図8は、給湯器のスペクトルデータの一例を示すグラフであって、図9は、ファンヒータのスペクトルデータの一例を示すグラフである。
これらに示すように、スペクトルデータは、ガス器具10毎に異なっている。使用器具判断部44cは、流量値や圧力値に変化があると、規定時間(例えば2秒)だけ流量計測部44aにより計測された流量値、又は、圧力計測部44bにより計測された圧力値を取得し、これをフーリエ変換することによりスペクトルデータを算出する。そして、使用器具判断部44cは、算出したスペクトルデータと、スペクトルデータ記憶部43bに記憶されるスペクトルデータとを比較し、類似度が最も高いスペクトルデータが示すガス器具10について使用されたと判断する。
ここで、各スペクトルデータについて説明する。まず、図6に示すように、ガスコンロが使用された場合、得られる圧力波形には20Hz以上の周波数成分が殆ど含まれていないが、約10Hz付近の周波数成分において大きな振幅を示す傾向がある。
また、図7〜図9に示すように、ガスストーブ、給湯器、及びファンヒータが使用された場合、得られる圧力波形には20Hz以上の周波数成分において大きな振幅を示す傾向がある。より詳細には図7に示すように、ガスストーブが使用された場合、得られる圧力波形には20〜40Hz程度の周波数成分において大きな振幅を示す傾向にある。また、図8に示すように、給湯器が使用された場合、得られる圧力波形には20〜40Hz程度の周波数成分に加えて、70Hz以上の周波数成分において大きな振幅を示す傾向にある。さらに、図9に示すように、ファンヒータが使用された場合、得られる圧力波形には20〜40Hz及び250Hz程度の周波数成分において大きな振幅を示す傾向にある。なお、図〜図9において60Hz付近に存在するピークは、商用電源によるノイズである。
このように、使用されるガス器具10毎に圧力波形の周波数成分が異なってくる。スペクトルデータ記憶部43bは、上記の如く、ガス器具10の種類毎のスペクトルデータをそれぞれ記憶しており、使用器具判断部44cは、これらの違いによって使用されたガス器具10を判断することとなる。
なお、図6〜図9では圧力波形をフーリエ変換して得られたスペクトルデータを示しているが、圧力と流量とには一定の相関があるため、流量波形をフーリエ変換して得られたスペクトルデータであっても同様である。また、スペクトルデータは、流量波形又は圧力波形をフーリエ変換したものに限らず、周波数と振幅との相関を示すものであれば、他の解析方法によって算出されたものであってもよい。
図10は、第2実施形態に係るガスメータ40の異常判断方法を示すフローチャートである。図10に示すように、第2実施形態において流量値及び圧力値の少なくとも一方に変化があったと判断した場合(S1:YES)、使用器具判断部44cは、規定時間(例えば2秒)だけ流量値、又は、圧力値を取得し、これをフーリエ変換してスペクトルデータを算出する(S12)。
そして、使用器具判断部44cは、算出したスペクトルデータと、スペクトルデータ記憶部43bに記憶されるスペクトルデータそれぞれとの類似度を算出する(S13)。その後、使用器具判断部44cは、最も類似度が高いスペクトルデータが示すガス器具10について使用されたと判断する(S2)。その後、図4と同様に処理が実行されることとなる。
このようにして、第2実施形態に係るガスメータ10及び異常判断方法によれば、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよい。例えば、本実施形態に係るガスメータ10では、流量値を比較し、比較の結果、流量値が複数回に亘って所定値以上異なる場合に、器差異常であると判断している。しかし、これに限らず、所定時間以内に流量値が複数回に亘って所定値以上異なる場合に、器差異常であると判断してもよい。これにより、流量値が振動した場合などに、異常判断部44eによる誤判断の可能性を減じることができるからである。
また、本実施形態において異常判断部44eが器差異常の原因を判断し、表示部45や通信部46は器差異常の原因に応じて出力内容を変更するようにしてもよい。これにより、混ガス状態、温度変化、ダスト及びドレンの堆積、並びに水の浸入について区別でき、一層適切な情報を提供できるからである。また、自然な復帰が望めないダスト及びドレンの堆積、並びに水の浸入についてのみ区別して出力するようにしてもよい。
また、本実施形態において異常判断部44eは、計測された流量値と記憶された一定の流量値とが所定値以上異なる場合に、器差異常と判断しているが、この所定値を使用されているガス器具10毎に可変としてもよい。これにより、ガス器具10毎に許容できる範囲を超えたか否かを判断できるからである。
1…ガス供給システム
10…ガス器具、定流量ガス器具
20…調整器
31…第1配管
32…第2配管
40…ガスメータ
41…流量センサ
42…圧力センサ
43…記憶部
43a…一定流量ガス器具記憶部
43b…スペクトルデータ記憶部
44…マイコン
44a…流量計測部
44b…圧力計測部
44c…使用器具判断部(ガス器具判断手段)
44d…流量値比較部(流量値比較手段)
44e…異常判断部(異常判断手段)
45…表示部(出力手段)
46…通信部(出力手段)
50…警報器

Claims (7)

  1. 器差の異常を判断するガスメータであって、
    使用されているガス器具を判断するガス器具判断手段と、
    前記ガス器具判断手段により判断されたガス器具が一定の流量値の燃料ガスを使用するガス器具である場合、そのガス器具において実際に計測される燃料ガスの流量値と前記一定の流量値とを比較する流量値比較手段と、
    前記流量値比較手段による比較の結果、そのガス器具において実際に計測される燃料ガスの流量値が前記一定の流量値と所定値以上異なる場合に、器差異常であると判断する異常判断手段と、
    を備えることを特徴とするガスメータ。
  2. 前記異常判断手段は、前記流量値比較手段による比較の結果、実際に計測される燃料ガスの流量値が前記一定の流量値と所定値以上異なると、複数台のガス器具で同時期に判断されたときに、器差異常であると判断する
    ことを特徴とする請求項1に記載のガスメータ。
  3. 前記異常判断手段は、前記流量値比較手段による比較の結果、実際に計測される燃料ガスの流量値が前記一定の流量値と所定値以上異なる場合が、複数回発生したときに、器差異常であると判断する
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載のガスメータ。
  4. 前記異常判断手段は、前記流量値比較手段による比較の結果、実際に計測される燃料ガスの流量値が前記一定の流量値と所定値以上異なる場合が、所定時間以内に複数回発生したときに、器差異常であると判断する
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載のガスメータ。
  5. 前記異常判断手段により器差異常であると判断された場合、その旨を出力する出力手段をさらに備える
    ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のガスメータ。
  6. 前記一定の流量値の燃料ガスを使用するガス器具は、燃料ガス使用中の特定の時間に限り一定の流量値の燃料ガスを使用するガス器具を含む
    ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のガスメータ。
  7. 器差の異常を判断するガスメータの異常判断方法であって、
    使用されているガス器具を判断するガス器具判断工程と、
    前記ガス器具判断工程において判断されたガス器具が一定の流量値の燃料ガスを使用するガス器具である場合、そのガス器具において実際に計測される燃料ガスの流量値と前記一定の流量値とを比較する流量値比較工程と、
    前記流量値比較工程における比較の結果、そのガス器具において実際に計測される燃料ガスの流量値が前記一定の流量値と所定値以上異なる場合に、器差異常であると判断する異常判断工程と、
    を有することを特徴とするガスメータの異常判断方法。
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