JP5246685B2 - アロマデンドラン骨格またはエポキシカジネン骨格を有する化合物の誘導体および当該誘導体を含む香辛料 - Google Patents

アロマデンドラン骨格またはエポキシカジネン骨格を有する化合物の誘導体および当該誘導体を含む香辛料 Download PDF

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Description

本発明は、新規なアロマデンドラン骨格またはエポキシカジネン骨格を有する化合物の誘導体、当該誘導体を包含する香辛料および当該誘導体の製造方法に関する。
(+)−アロマデンドレン(1)、(−)−アロアロマデンドレン(2)および(+)−レデン(3)は、アロマデンドラン骨格を有するセスキテルペン炭化水素である。アロマデンドランのBacillus megaterium(バシルス メガテリウム)、Mycobacterium smegmatis(マイコバクテリウム スメグマティス)およびMucor plumbeus(ムコール プランベウス)による微生物変換(生物変換)が、以前に報告されている(Abraham WR, Kieslich K, Stumpf B and Ernst L, Phytochemistry 31:3749-3755 (1992)、および、Guillermo R, Hanson JR and Truneh A, J Chem Research, (S) 1:28-29 (1997))。
微生物変換とは、目的の化合物を得るために、生物触媒として生体中の酵素類を使用した生物学的な合成プロセスであり、穏和な条件下で位置特異的に化合物を産生することを特徴とする。ゆえに微生物変換は、生物活性化合物の選択的製造のための有利な方法である。
アガーウッド(和名:沈香)は、古くから日本の伝統的な香料として、またアジア地域における漢方薬として広く用いられてきた。沈香由来のジンコウ−エレモールおよびアガロスピロールは、中枢神経系に対して鎮静作用や鎮痛作用を有することが知られている(H.Okukawa, K.Kawanishi and A.Kato, (2000), Aroma research, 1, 34-38、および、H.Okukawa, R.Ueda, K.Matsumoto, K.Kawanishi and A.Kato, (2000), Phytomedicine, 7, 417-422)。
中でもヴェトナムやカンボジアの山地でのみ産出する伽楠香(和名:伽羅)は、最高級の沈香とされており、神秘的かつ東洋的な香りが高く評価されている(E.Yamagata and K.Yoneda, (1987), Shoyakugaku Zassi, 41, 142-146、M.Ishihara, T.Tsuneya and K.Uneyama, (1993), Phytochemistry, 33, 1147-1155)。
一般に伽羅は、多種の酸化されたセスキテルペン類(T.Nagashima, I.Kawasaki,T.Yoshida, T.Nakanishi, K.Yoneda and I.Miura, (1983), 9th International Congress of Essential Oil, Singapore, 3, 12-16)やクロモン誘導体(K.Hashimoto, S.Nakahara, T.Inoue, Y.Sumida, M.Takahashi and Y.Masada, (1985), Chemical and Pharmaceutical Bulletin, 33, 5088-5091、T.Nakanishi, A.Inada, M.Nishi, E.Yamagata and K.Yoneda, (1986), Journal of Natural Products, 49, 1106-1108、E.Yamagata and K.Yoneda, (1986), Shoyakugaku Zassi, 40, 271-274)からなる多量の樹脂を含有している。
沈香は、Aquilaria agallocha Roxb.(ジンコウ)、A. sinensis (Lour.) Gilg.(土沈香)、A. malaccensis Lam.(マラッカ沈香)のような多種類のAquilaria(アキラリア)属(ジンチョウゲ科)の古木が菌類に感染して精油成分が変質して、生じると考えられている(K.Yoneda, E.Yamagata and M.Mizuno, (1986), Shoyakugaku Zassi, 40, 259-265、R.Nakashima, S.Nishi, T.Ishida and J.Yamamoto, (1990), Yukagaku, 39, 191-195)。例えば、沈香が生ずる要因の一つとして、アスペルギルス属に属する真菌の一種であるAspergillus wentii(アスペルギルス ウェンティー)菌による精油成分の変性が考えられている。
以前に本発明者らは、植物病原性菌であるGlomerella cingulata(グロメレーラ シングラータ)菌による(+)−アロマデンドレンおよび(−)−アロアロマデンドレンの生物変換で、それぞれ(−)−10α,13,14−トリヒドロキシアロマデンドランおよび(−)−10β,13,14−トリヒドロキシアロアロマデンドランを生成することを見出した(Miyazawa M, Uemura T and Kameoka H, Phytochemistry 40:793-796 (1995))。しかしながら、アスペルギルス属に属する微生物による(+)−アロマデンドレン、(−)−アロアロマデンドレンおよび(+)−レデンの生物変換は知られていない。
本発明は、アロマデンドラン骨格またはエポキシカジネン骨格を有する化合物の誘導体および当該誘導体を含む香辛料を提供することを目的とする。また、本発明は、アロマデンドラン骨格またはエポキシカジネン骨格を有する化合物の誘導体の位置特異的かつ立体選択的な製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、新規な生理活性物質および香辛料の創製を目的として、種々の天然物化合物を様々な微生物により微生物変換し、その代謝産物を探索してきた。そして、沈香を産生すると考えられている真菌類によるセスキテルペノイド類の微生物変換について検討したところ、アロマデンドラン骨格を有する化合物を基質としたアスペルギルス属に属する微生物の培養物中に、基質とは異なる味を有する物質が産生されていることを見出した。この特有の味を有する物質に関して詳細に検討した結果、アロマデンドラン骨格またはエポキシカジネン骨格を有する化合物であることを確認すると共に、その単離、精製に成功した。
したがって、第1の態様において本発明は、式(II):
Figure 0005246685
[式中、(a’)R’はβ−ヒドロキシ基であり、R’はα−ヒドロキシメチル基であり、波線で結ばれたR’はシクロペンタンタン環とシクロヘプタン環の接合をトランス配位とする水素原子を表し、点線の箇所は1重結合である;(b’)R’とR’は両者合してメチレン基を表し、波線で結ばれたR’はシクロペンタンタン環とシクロヘプタン環の接合をトランス配位とするヒドロキシ基を表し、点線の箇所は1重結合である;(c’)R’はα−ヒドロキシ基であり、R’はβ−メチル基であり、波線で結ばれたR’は存在せず、点線の箇所は2重結合である;または(d’)R’はβ−ヒドロキシ基であり、R’はα−メチル基であり、波線で結ばれたR’は存在せず、点線の箇所は2重結合である。]
で表されるセスキテルペン炭化水素誘導体を製造するにあたり、
基質としての式(I):
Figure 0005246685
[式中、(a)RとRは両者合してメチレン基を表し、波線で結ばれたHはシクロペンタンタン環とシクロヘプタン環の接合をトランス配位とする水素原子を表し、点線の箇所は1重結合である;(b)RとRは両者合してメチレン基を表し、波線で結ばれたHはシクロペンタンタン環とシクロヘプタン環の接合をシス配位とする水素原子を表し、点線の箇所は1重結合である;または(c)Rはメチル基を表し、Rおよび波線で結ばれたHは存在せず、点線の箇所は2重結合である。]
で表される化合物を、上記誘導体を産生する能力を有するアスペルギルス属に属する微生物または当該微生物の生体内酵素と接触させることを特徴とする方法を提供する。
また、別の態様において本発明は、式:
Figure 0005246685
で表されるエポキシカジネン誘導体を製造するにあたり、
基質としての式(I):
Figure 0005246685
で表される化合物を、上記誘導体を産生する能力を有するアスペルギルス属に属する微生物または当該微生物の生体内酵素と接触させることを特徴とする方法を提供する。
他の態様において本発明は、式:
Figure 0005246685
で表されるアロマデンドラン骨格を有する化合物の誘導体の製造方法であって、式:
Figure 0005246685
で表される当該化合物を基質として、当該誘導体を生産する能力を有するアスペルギルス属に属する微生物と接触、処理することを特徴とする方法を提供する。
また、他の態様において本発明は、式:
Figure 0005246685
または、式:
Figure 0005246685
で表されるアロマデンドラン骨格またはエポキシカジネン骨格を有する化合物の誘導体の製造方法であって、式:
Figure 0005246685
で表される当該化合物を基質として、当該誘導体を生産する能力を有するアスペルギルス属に属する微生物と接触、処理することを特徴とする方法を提供する。
さらに、他の態様において本発明は、式:
Figure 0005246685
、式:
Figure 0005246685
または、式:
Figure 0005246685
で表されるアロマデンドラン骨格またはエポキシカジネン骨格を有する化合物の誘導体の製造方法であって、式:
Figure 0005246685
で表される当該化合物を基質として、当該誘導体を生産する能力を有するアスペルギルス属に属する微生物と接触、処理することを特徴とする方法を提供する。
別の態様において本発明は、式:
Figure 0005246685
〔一般名:
化合物4:(−)−(10S,11S)−10,13,14−トリヒドロキシアロマデンドラン〕
により表される(+)−アロマデンドレン誘導体を提供する。
また、別の態様において本発明は、式:
Figure 0005246685
〔一般名:
化合物5:(+)−(1S,11S)−1,13−ジヒドロキシアロマデンドレン〕
または、式:
Figure 0005246685
〔一般名:
化合物6:(−)−5,11−エポキシカジン−1(10)−エン−14−オール〕
により表される(−)−エポキシカジネン誘導体を提供する。
さらに、別の態様において本発明は、式:
Figure 0005246685
〔一般名:
化合物6:(−)−5,11−エポキシカジン−1(10)−エン−14−オール〕、
式:
Figure 0005246685
〔一般名:
化合物7:(+)−(10R,11S)−10,13−ジヒドロキシアロマデンドル−1−エン〕
または、式:
Figure 0005246685
〔一般名:
化合物8:(+)−(10S,11S)−10,13−ジヒドロキシアロマデンドル−1−エン〕
により表される(+)−レデン誘導体を提供する。
さらなる態様において本発明は、アロマデンドラン骨格またはエポキシカジネン骨格を有する化合物の誘導体、好ましくは、化合物4〜8のいずれかの誘導体を含有する、新規香辛料を提供する。
また別の態様において本発明は、アロマデンドラン骨格またはエポキシカジネン骨格を有する化合物の誘導体、好ましくは、化合物4〜8のいずれかの誘導体を含有する、精神安定剤を提供する。
おどろくべきことに、本発明で得られるアロマデンドラン骨格またはエポキシカジネン骨格を有する化合物の誘導体は、基質として用いた当該化合物(化合物1、2および3)とは異なる味を有する。したがって、本発明のアロマデンドラン骨格またはエポキシカジネン骨格を有する化合物の誘導体は新規香辛料として有用である。
用語の定義
本明細書中において使用される用語は、指示がない限り、当業者によって通常理解される通りの意味で用いられている。
アロマデンドラン骨格またはエポキシカジネン骨格を有する化合物の誘導体の製造方法
本発明の目的物質であるアロマデンドラン骨格またはエポキシカジネン骨格を有する化合物の誘導体を製造するには、基質としてのアロマデンドラン骨格を有する化合物(以下、基質1〜3と記す)を真菌の一種であるアスペルギルス属に属する当該誘導体産生菌またはその生体内酵素で処理し、産生された当該誘導体を採取すればよい。ここで言う「処理」とは、基質1〜3と菌体との接触、基質1〜3を菌体の培養培地に含有させて行う培養、発酵等の常套の微生物変換手段を含む意味で用いられており、「採取」とは、常套の分離、抽出および精製手段を含む工程を意味している。
アロマデンドラン骨格またはエポキシカジネン骨格を有する化合物の誘導体の製造に使用されるアスペルギルス属微生物の一例としては、アスペルギルス ウェンティー(Aspergillus wentii)があり、これは独立行政法人製品評価技術基盤機構にNBRC8864として寄託されている。その他のアスペルギルス属微生物の例としては、アスペルギルス ルーバー、アスペルギルス ニガーなどを挙げることができる。
生体内酵素とは、菌が当該反応工程に利用している酵素として同定されるあらゆる酵素を意味し、適当な条件下、例えば菌体内の条件下におくことにより、菌そのものを利用している場合と同様に反応を進行させることが可能である。
アロマデンドラン骨格またはエポキシカジネン骨格を有する化合物の誘導体産生菌の培養に用いられる培地としては、使用する菌の育成あるいは所望の微生物変換に適した常套の培地を適宜選択することができ、当該菌が利用し得る栄養源を含むものであれば液状でも固状でもよいが、大量の当該誘導体を得るためには液体培地を用いるのが好ましい。
この培地には、当該菌を培養するために必要な物質、例えば当該菌が同化し得る炭素源、消化し得る窒素源および無機物等が適宜配合される。炭素源としては、ブドウ糖、ショ糖、麦芽糖、乳糖、デンプンなどが、窒素源としては、酵母エキス、肉エキス、ペプトン、ポリペプトン、マルトエキストラクト、硝酸ナトリウムなどが用いられる。また培地にはナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどの塩類が含まれ得る。
培地のpHおよび温度条件は使用する菌の育成に好適な範囲であればどのような条件でも使用することができ、このような条件は公知であるか、当業者であれば常套の手段により適宜設定することができる。例えば菌がアスペルギルス ウェンティーである場合、初発pHは約6〜約8、好ましくは7.2の条件が、また、培養温度は約15℃〜約35℃、好ましくは25℃〜30℃の範囲が適当である。
アロマデンドラン骨格またはエポキシカジネン骨格を有する化合物の誘導体生産菌は静止した物体に付着して増殖する性質があるので静置培養が望ましく、また、当該菌が付着するような物体、例えばアルミ箔を液体培地中に入れておくと増殖が促進される。培養期間は一定しないが、生産されるべき当該誘導体の濃度が最大となるまで培養するのが望ましい。これに要する日数は、液体培地を用いる静置培養の場合、通常10日間前後が適当である。
得られた培養液は遠心分離または濾過などの手段により、菌体と培養液とに分離する。この両者は共に基質とは異なる味を示すが、当該誘導体は培養液により多く含まれている。集められた培養液から当該誘導体を抽出するには、塩化ナトリウム等の飽和溶液とした後、水と混和する有機溶媒、例えばメタノール、エタノールなどの低級アルコール類、アセトン、メチルエチルケトンなどを使用すればよい。また、水と混和しない有機溶媒、例えばクロロホルム、塩化メチレン、酢酸エチルなどを使用してもよい。
このようにして得られた抽出液から減圧下に溶媒を留去すれば、当該誘導体を含む粗抽出物を得ることができる。
この粗抽出物から当該誘導体を単離、精製するには、通常の脂溶性低分子物質の単離、精製手段を適用することができる。すなわち、セファデックスLH−20(ファルマシア製、登録商標)などを用いるゲル濾過型クロマトグラフィー、シリカゲルなどの吸着剤を用いる吸着クロマトグラフィー、シリカゲルなどの順相系担体を用いる高速液体クロマトグラフィーなどを単独または組み合わせて実施すればよい。
セファデックスLH−20を用いる場合は、一般に極性有機溶媒と非極性有機溶媒との組み合わせ、例えばメタノールとクロロホルムまたは塩化メチレンなどの混合溶媒により溶出される。
シリカゲルを用いる吸着クロマトグラフィーを使用する場合は、ヘキサンとクロロホルム、酢酸エチルまたは塩化メチレンなどの混合溶媒を溶出溶媒とするのが適している。
シリカゲルを担体とする高速液体クロマトグラフィーの場合には、塩化メチレンとベンゼンまたはメタノールの混合溶媒あるいは塩化メチレン単独を溶出溶媒として用いる。このような精製手段を適用することにより、前記に示される当該誘導体が単離される。
官能評価
官能評価は官能検査、官能試験とも呼ばれ、ヒトの感覚(視覚、聴覚、味覚、臭覚、触覚)を使って対象物を評価することである。特に香料の分野においては匂いや味・香りを評価する事が最も重要な課題である。官能評価はその目的により分析型官能評価と嗜好型官能評価に大別される。分析型官能評価は品質の差の検出、特性の分析など品質評価に、嗜好型官能評価は香料や食品などの嗜好調査に用いられる。官能評価に関する規格としては、官能評価分析―用語(規格番号JIS Z 8144:2004)、官能評価分析―方法(規格番号JIS Z 9080:2004)があり、海外では国際規格ISO やASTM(American Society for Testing and Materials)がある(特許庁平成18年度標準技術集「香料」)。
実験手法
(+)−アロマデンドレン(1)、(−)−アロアロマデンドレン(2)および(+)−レデン(3)は、Flukaから購入した。簿層クロマトグラフィー(TLC)は、シリカゲル60GF254を塗布したTLCプレート(メルク製:層厚0.25mm)を用いた。シリカゲルカラムクロマトの展開溶媒は、ヘキサン−酢酸エチル(1:4)を用いた。
ガスクロマトグラフィー(GC)は水素炎イオン化型検出器、キャピラリーカラム(DB−5、島津製作所製:長さ30m×内径0.25mm)、および20:1のスプリット注入ユニットを備えたHP 5890Aガスクロマトグラフ(ヒューレット・パッカード製)を使用した。移動相はヘリウムガスを0.6cm/分の流量で用いた。オーブン温度は4℃/分の昇温速度で90℃〜230℃にプログラムされた。注入口温度は270℃、検出器温度は280℃に設定した。ピーク面積はHP 3396 SeriesII検出器(ヒューレット・パッカード製)により計算した。
ガスクロマトグラフィー質量分析(GC/MS)は、スプリット注入ユニット、キャピラリーカラム(HP−5MS、ヒューレット・パッカード製:長さ30m×内径0.25mm)を備えたガスクロマトグラフ(HP 5890A、ヒューレット・パッカード製)を質量分析計(HP 5972A、ヒューレット・パッカード製)に直結した。昇温プログラムはGCと同一である。移動相はヘリウムガスを0.6cm/分の流量で用いた。イオン源部温度は280℃、電子エネルギーは70電子ボルト(eV)であった。イオン化法は電子衝撃法(EI)を使用した。
高分解能質量分析(HR−MS)は、二重収束タンデム質量分析計(JEOL−HX100、日本電子製)を用い、データ処理には日本電子製JAM−DA5000を使用した。
赤外吸収スペクトル(IR)はパーキン・エルマー製1760X型分光器により得た。
核磁気共鳴スペクトル(NMR)は、日本電子製FX−500(500MHz(H)、125.65MHz(13C)を用い、TMS(H)またはクロロホルム(13C)を内部標準とし、CDClで測定した。
アスペルギルス ウェンティーの前培養
4℃で保存されたアスペルギルス ウェンティー(NBRC8864)の胞子を、滅菌した培養培地(ショ糖1.5%、グルコース0.5%、ポリペプトン0.05%、硫酸マグネシウム(七水和物)0.05%、塩化カリウム0.05%、リン酸二カリウム0.1%、硫酸第一鉄(七水和物)0.001%、および蒸留水、pH7.2)を入れた振盪フラスコ中に植え付け、27℃で3日間培養した。
経時変化
前培養したアスペルギルス ウェンティーの菌糸体を培養培地(50mLのペトリ皿中15mL)に移植し、2日間(菌糸体が培養培地の表面積の60〜80%を占めるまで)同じ条件下で培養した。アスペルギルス ウェンティーが成長した後、基質300mgを培地に加えて10日間培養を続けた。また、アスペルギルス ウェンティーが存在しない培地を、空試験のために調製した。代謝産物は、空試験で検出されなかった。
培養液は、種々の間隔で数回酢酸エチルにより抽出した。粗抽出物をTLCおよびGCで分析した。
結果
結果を、図1〜図3に示す。
(+)−アロマデンドレン(1)は、10日間の培養で一部が代謝され、(−)−(10S,11S)−10,13,14−トリヒドロキシアロマデンドラン(化合物4)を生じた(図1を参照のこと)。また、(−)−アロアロマデンドレンは、10日間の培養で一部が代謝され、(+)−(1S,11S)−1,13−ジヒドロキシアロマデンドレン(化合物5)および(−)−5,11−エポキシカジン−1(10)−エン−14−オール(化合物6)を生じた(図2を参照のこと)。(−)−アロアロマデンドレンは、10日間の培養で一部が代謝され、(−)−5,11−エポキシカジン−1(10)−エン−14−オール(化合物6)、(+)−(10R,11S)−10,13−ジヒドロキシアロマデンドル−1−エン(化合物7)および(+)−(10S,11S)−10,13−ジヒドロキシアロマデンドル−1−エン(化合物8)を生じた(図3を参照のこと)。いずれの場合においても、他の代謝産物は、TLCおよびGCで検出されなかった。
基質の微生物変換および代謝産物の単離
上記のように、基質300mgを培地に加えて10日間培養を続けた後、濾過により培養液と菌糸体を分離した。培養液を塩化ナトリウムで飽和し、酢酸エチルで抽出した。さらに菌糸体を酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル抽出物を混ぜ、硫酸ナトリウムで脱水後、減圧下に溶媒を留去し、粗抽出物を得た。抽出物をヘキサン−酢酸エチル混液とシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーに供した。未反応の基質が回収され、各々、代謝産物が単離された。
化合物4
化合物4、(+)−(10S,11S)−10,13−ジヒドロキシアロマデンドル−1−エンの構造は以下のMS、IR、およびNMRデータから決定した。
化合物4([α]D 26.0 −11.1°(c 0.42 CHCl3))は、無色油状物として得られた。化合物4のHR−FABMSでは、m/z値253.1815、分子式C15H26O3であった。
化合物4のIRスペクトルでは、水酸基(3398 cm-1)の存在が示された。
H−NMRおよび13C−NMRでは、2個の1級アルコール[δH 3.58 (1H, d, J=10.6 Hz), 3.38 (1H, d, J=10.6 Hz); δC 70.6 (CH2), δH 3.36 (1H, d, J=10.8 Hz), 3.28 (1H, d, J=10.8 Hz); δC 73.5 (CH2)]および3級アルコール[δC 74.2 (C)]の存在が示された。
化合物4は、二次元NMR(HMBC:heteronuclear multiple bond correlation)スペクトルの帰属において、(i) H-13/C-6と C-7、(ii) H-14/C-1とC-9の間に相関シグナルが観察された。化合物4は、NOEsスペクトルの解析より(i) H-12/H-5、(ii) H-13/H-6とH-7の間で相関が見られた。(S体)としての化合物4のC-10の配置を、H-14/H-1間のNOEsから推定した。これらのデータから、化合物4を、新規化合物(−)−(10S,11S)−10,13,14−トリヒドロキシアロマデンドランとして決定した。
化合物4: 無色油状物、[α]D 26.0−11.1°(c 0.42 CHCl3); HR−FABMS(NEG.) m/z 253.1815 ([M-H]+, 分子式 C15H25O3 253.1804); EIMS m/z 254 [M]+ (1), 236 (19), 223 (67), 205 (44), 187 (58), 147 (81), 105 (74), 95 (base), 81 (95); IR νmax (film) cm-1 3398, 2928, 2869, 1455, 1017; 1H-NMR (CDCl3), δ 3.58 (1H, d, J=10.6 Hz, H-14), 3.38 (1H, d, J=10.6 Hz, H-14), 3.36 (1H, d, J=10.8 Hz, H-13), 3.28 (1H, d, J=10.8 Hz, H-13), 2.03 (1H, dddq, J=7.0, 7.0, 7.4, 9.6 Hz, H-4), 1.97 (1H, ddd, J=9.6, 9.8, 10.9 Hz, H-5), 1.94 (1H, ddd, J=6.5, 6.7, 13.0 Hz, H-9), 1.81 (1H, ddd, J=7.8, 9.8, 9.8 Hz, H-1), 1.77 (1H, m, H-3), 1.74 (1H, m, H-8), 1.62 (1H, m, H-2), 1.47 (1H, m, H-8), 1.45 (1H, m, H-9), 1.43 (1H, m, H-2), 1.19 (1H, m, H-3), 1.17 (3H, m, H-12), 0.93 (1H, d, J=7.0 Hz, H-15), 0.76 (1H, ddd, J=6.1, 9.8, 10.7 Hz, H-7), 0.65 (1H, dd, J=9.8, 10.9 Hz, H-6);13C−NMRを表1に示す。
化合物5
化合物5、(+)−(1S,11S)−1,13−ジヒドロキシアロマデンドレンの構造は以下のMS、IR、およびNMRデータから決定した。
化合物5([α]D 25.4 +26.2°(c 0.42 CHCl3))は、無色油状物として得られた。化合物8のHR−EIMS(高分解能電子衝撃型四重極質量分析法)では、m/z値236.1763、分子式C15H24O2であった。
化合物5のIRスペクトルでは、水酸基(3336 cm-1)の存在が示された。
H−NMRおよび13C−NMRでは、1級アルコールの存在が示された[δH 3.45 (1H, d, J=10.9 Hz), 3.34 (1H, d, J=10.9 Hz); δC 73.4 (CH2)]および3級アルコール[δC 85.4 (C)]。
化合物5は、二次元NMR(HMBC:heteronuclear multiple bond correlation)スペクトルの帰属において、(i) H-2/C-1、(ii) H-13/C-6とC-7、(iii) H-14/C-1とC-9の間に相関シグナルが観察された。化合物5は、NOEsスペクトルの解析より(i) H-12/H-5、(ii) H-13/H-6とH-7の間で相関が見られた。シクロプロパン水素(H-6およびH-7)の1H-化学シフトは、アロマデンドレンのそれらに類似しており(H-6; 0.60 ppm, H-7; 0.67 ppm)、アロアロマデンドレンのそれに類似していなかった(H-6; 0.24 ppm, H-7; 0.55 ppm)。スピン脱カップリングは、1α−ヒドロキシ基を有するアロマデンドレン骨格の存在を指示した。これらのデータから、化合物5を、新規化合物(+)−(1S,11S)−1,13−ジヒドロキシアロマデンドレンとして決定した。
化合物5: 無色油状物、[α]D 25.4 +26.2°(c 0.42 CHCl3); HR-EIMS m/z 236.1763 ([M]+, 分子式 C15H24O2 236.1776); EIMS m/z 236 [M]+ (2), 218 (18), 203 (19), 189 (38), 161 (43), 121 (72), 107 (91), 91 (base), 79 (90), 55 (79); IR νmax (film) cm-1 3336, 2945, 1024; 1H-NMR (CDCl3), δ 4.83 (1H, d, J=1.5 Hz, H-14), 4.69 (1H, t, J=1.5 Hz, H-14), 3.45 (1H, d, J=10.9 Hz, H-13), 3.34 (1H, d, J=10.9 Hz, H-13), 2.52 (1H, brdd, J=6.3, 13.5 Hz, H-9), 2.28 (1H, brdd, J=13.0, 13.5 Hz, H-9), 2.24 (1H, m, H-4), 2.04 (1H, dddd, J=1.7, 5.9, 6.3, 14.2 Hz, H-8), 1.98 (1H, ddd, J=5.5, 5.5, 12.6 Hz, H-2), 1.95 (1H, m, H-3), 1.75 (1H, m, H-2), 1.64 (1H, d, J=11.2, 11.5 Hz, H-5), 1.59 (1H, m, H-3), 1.11 (3H, s, H-12), 1.07 (1H, m, H-8), 1.03 (3H, s, H-15), 0.94 (1H, m, H-7), 0.81 (1H, dd, J=10.0, 11.2 Hz, H-6);13C−NMRを表1に示す。
化合物6
化合物6、(−)−5,11−エポキシカジン−1(10)−エン−14−オールの構造は以下のMS、IR、およびNMRデータから決定した。
化合物6([α]D 26.7 −9.2°(c 0.42 CHCl3))は、無色油状物として得られた。化合物6のHR−EIMSでは、m/z値236.1802、分子式C15H24O2であった。
化合物6のIRスペクトルでは、水酸基(3396 cm-1)の存在が示された。
H−NMRおよび13C−NMRでは、1級アルコールの存在が示された[δH 4.13 (1H, d, J=11.4 Hz), δH 4.08 (1H, d, J=11.4 Hz); δC 61.8 (CH2)]。
13C-NMRは、1個の四置換二重結合[δC 135.3 (C), δC 127.6 (C)]およびエーテル架橋[δC 82.7 (CH), δC 82.6 (C)]を示した。1H-NMRは、3個のメチル基[1個の二重項 (δH 1.03 (3H, d, J=7.0 Hz))、2個の一重項(δH 1.28 (3H, s), δH 1.23 (3H, s))]に対するシグナルを示した。1個の二重項−二重項シグナルに加えて、CH-O-C-プロトンに対する[δH 3.52 (1H, dd, J=4.6, 11.4 Hz)]が、割り当てられた。
化合物6は、二次元NMR(HMBC:heteronuclear multiple bond correlation)スペクトルの帰属において、(i) H-4/C-5、(ii) H-5/C-11、(iii) H-14/C-1とC-10の間に相関シグナルが観察された。スピン脱カップリングは、以前、Vassoura oilおよびLabdanum oilで発見された、5,11-エポキシカジネンに関して報告されたものと類似した(化学シフトおよび結合定数において)配列を与えた。これらのデータから、化合物6を、新規化合物(−)−5,11−エポキシカジン−1(10)−エン−14−オールとして決定した。
化合物6: 無色油状物、[α]D 26.7 −9.2°(c 0.42 CHCl3); HR-EIMS m/z 236.1802 ([M]+, 分子式 C15H24O2 236.1776); EIMS m/z 236 [M]+ (76), 221 (10), 205 (12), 147 (78), 91 (base), 43 (41); IR νmax (film) cm-1 3396, 2928, 1260, 1073; 1H-NMR (CDCl3), δ 4.13 (1H, d, J=11.4 Hz, H-14), 4.08 (1H, d, J=11.4 Hz, H-14), 3.59 (1H, dd, J=4.6, 11.4 Hz, H-5), 2.42 (1H, ddd, J=2.2, 4.8, 14.1 Hz, H-2), 2.36 (1H, dd, J=7.8, 11.4 Hz, H-6), 2.32 (1H, dddq, J=2.2, 4.6, 4.7, 7.0 Hz, H-4), 2.20 (1H, ddd, J=2.8, 4.0, 16.0 Hz, H-9), 2.09 (1H, ddd, J=3.8, 12.8, 16.0 Hz, H-9), 1.96 (1H, ddd, J=4.8, 7.8, 13.0 Hz, H-7), 1.91 (1H, m, H-2), 1.68 (1H, dddd, J=2.2, 2.4, 4.7, 13.7 Hz, H-3), 1.64 (1H, m, H-8), 1.49 (1H, m, H-3), 1.48 (1H, m, H-8), 1.28 (3H, s, H-12), 1.23 (3H, s, H-13), 1.03 (3H, d, J=7.0 Hz, H-15);13C−NMRを表1に示す。
化合物7
化合物7、(+)−(10R,11S)−10,13−ジヒドロキシアロマデンドル−1−エンの構造は以下のMS、IR、およびNMRデータから決定した。
化合物7([α]D 28.9+29.5°(c 1.0 CHCl3))は、無色油状物として得られた。化合物7のHR−EIMSでは、m/z値236.1798、分子式C15H24O2であった。
化合物7のIRスペクトルでは、水酸基(3374 cm-1)の存在が示された。
H−NMRおよび13C−NMRでは、1級アルコールの存在が示された[δH 3.41 (1H, d, J=10.9 Hz), 3.28 (1H, d, J=10.9 Hz); δC 73.3 (CH2)] および3級アルコール[δC 74.1 (C)]。
化合物7は、二次元NMR(HMBC:heteronuclear multiple bond correlation)スペクトルの帰属において、(i) H-2/C-4とC-10、(ii) H-13/C-6とC-7、(iii) H-14/C-1とC-9の間に相関シグナルが観察された。化合物8は、NOEsスペクトルの解析より(i) H-5/H-12とH-14、(ii) H-13/H-6と7の間で相関が見られた。(R)としての化合物7のC-10の配置を、H-14/H-5間のNOEsから推定した。これらのデータから、化合物7を、新規化合物(+)−(10R,11S)−10,13−ジヒドロキシアロマデンドル−1−エンとして決定した。
化合物7: 無色油状物、[α]D 28.9 +29.5°(c 1.0 CHCl3); HR-EIMS m/z 236.1798 ([M]+, 分子式 C15H24O2 236.1777); EIMS m/z 236 [M]+ (2), 218 (21), 203 (13), 185(20), 159(27), 119(29), 105(37), 91 (50), 79(34), 43 (base); IR νmax (film) cm-1 3374, 2923, 1026; 1H-NMR (CDCl3), δ 5.55 (1H, dd, J=1.7, 3.1 Hz, H-2), 3.41 (1H, d, J=10.9 Hz, H-13), 3.28 (1H, d, J=10.9 Hz, H-13), 2.44 (1H, dddq, J=7.0, 7.5, 7.5, 10.3 Hz, H-4), 2.25 (1H, ddd, J=3.1, 7.5, 15.2 Hz, H-3), 2.05 (1H, brdd, J=7.5, 9.6 Hz, H-5), 2.01 (1H, m, H-3), 1.89 (1H, m, H-9), 1.88 (1H, m, H-8), 1.57 (1H, brdd, J=11.8, 12.3 Hz, H-9), 1.29 (3H, s, H-14), 1.14 (3H, s, H-12), 1.08 (3H, d, J=7.0 Hz, H-15), 1.05 (1H, m, H-8), 0.71 (1H, ddd, J=5.3, 9.7, 11.2 Hz, H-7), 0.62 (1H, dd, J=9.6, 9.7 Hz, H-6);13C−NMRを表1に示す。
化合物8
化合物8、(+)−(10S,11S)−10,13−ジヒドロキシアロマデンドル−1−エンの構造は以下のMS、IR、およびNMRデータから決定した。
化合物8([α]D 29.0 +42.4°(c 1.0 CHCl3))は、無色油状物として得られた。化合物8のHR−EIMSでは、m/z値236.1780、分子式C15H24O2であった。
化合物8のIRスペクトルでは、水酸基(3366 cm-1)の存在が示された。
H−NMRおよび13C−NMRでは、1級アルコールの存在が示された[δH 3.40 (1H, d, J=10.9 Hz), 3.28 (1H, d, J=10.9 Hz); δC 73.5 (CH2)]および3級アルコール[δC 71.4 (C)]。
化合物8は、二次元NMR(HMBC:heteronuclear multiple bond correlation)スペクトルの帰属において、(i) H-2/C-4とC-10、(ii) H-13/C-6とC-7、(iii) H-14/C-1とC-9の間に相関シグナルが観察された。化合物8は、NOEsスペクトルの解析より(i) H-5/H-12、(ii) H-13/H-6と7の間で相関が見られた。化合物8のHMBCスペクトルは、化合物7のHMBCスペクトルに類似していた。化合物8は、化合物7のジアステレオマーとして同定した。これらのデータから、化合物8を、新規化合物(+)−(10S,11S)−10,13−ジヒドロキシアロマデンドル−1−エンとして決定した。
化合物8:無色油状物、[α]D 29.0 +42.4°(c 1.0 CHCl3); HR-EIMS m/z 236.1780 ([M]+, 分子式 C15H24O2 236.1776); EIMS m/z 236 [M]+ (2), 218 (20), 203 (13), 185(19), 159(27), 119(29), 105(37), 91 (40), 79(34), 43 (base); IR νmax (film) cm-1 3366, 2923, 1028; 1H-NMR (CDCl3) δ5.54 (1H, dd, J=1.7, 3.1 Hz, H-2), 3.40 (1H, d, J=10.9 Hz, H-13), 3.28 (1H, d, J=10.9 Hz, H-13), 2.50 (1H, brdd, J=7.7, 9.6 Hz, H-5), 2.36 (1H, dddq, J=7.0, 7.7, 7.7, 10.3 Hz, H-4), 2.24 (1H, ddd, J=3.1, 7.7, 15.7 Hz, H-3), 2.02 (1H, m, H-3), 1.86 (1H, m, H-9), 1.72 (1H, m, H-8), 1.56 (1H, m, H-9), 1.56 (1H, m, H-8), 1.46 (3H, s, H-14), 1.19 (3H, s, H-12), 1.08 (3H, d, J=7.0 Hz, H-15), 0.67 (1H, ddd, J=5.5, 9.7, 11.2 Hz, H-7), 0.58 (1H, dd, J=9.6, 9.7 Hz, H-6);13C−NMRを表1に示す。
表1 化合物1〜8の13C-NMRスペクトルデータ(CDCl3中、125.7MHz)
Figure 0005246685
官能評価
基質および変換物(化合物4〜8)について官能評価を行った。試料1 mgを水およびエタノール0.1 mlに溶解し、評価用試料とした。水、エタノールを標準試料として、13名のパネラーによって、甘味、酸味、塩味、苦味、および旨味について評価した。評価基準は、標準試料を1とし、非常に強い味を5とした場合の5段階評価とした。その結果を表2に示す。
Figure 0005246685
したがって、化合物4〜8は、基質としてのアロマデンドラン骨格を有する化合物と異なる味を有する。
基質(+)−アロマデンドレンをアスペルギルス ウェンティーによって微生物変換したときの、基質(+)−アロマデンドレン(■)および化合物4(●)それぞれの相対的存在量についての経時変化を示す。 基質(−)−アロアロマデンドレンをアスペルギルス ウェンティーによって微生物変換したときの、基質(−)−アロアロマデンドレン(■)、化合物5(●)および化合物6(▲)それぞれの相対的存在量についての経時変化を示す。 基質(+)−レデンをアスペルギルス ウェンティーによって微生物変換したときの、基質(+)−レデン(■)、化合物6(●)、化合物7(▲)および化合物8(□)それぞれの相対的存在量についての経時変化を示す。

Claims (10)

  1. 式(II):
    Figure 0005246685
    [式中、(a’)R’はβ−ヒドロキシ基であり、R’はα−ヒドロキシメチル基であり、波線で結ばれたR’はシクロペンタンタン環とシクロヘプタン環の接合をトランス配位とする水素原子を表し、点線の箇所は1重結合である;(b’)R’とR’は両者合してメチレン基を表し、波線で結ばれたR’はシクロペンタンタン環とシクロヘプタン環の接合をトランス配位とするヒドロキシ基を表し、点線の箇所は1重結合である;(c’)R’はα−ヒドロキシ基であり、R’はβ−メチル基であり、波線で結ばれたR’は存在せず、点線の箇所は2重結合である;または(d’)R’はβ−ヒドロキシ基であり、R’はα−メチル基であり、波線で結ばれたR’は存在せず、点線の箇所は2重結合である。]
    で表されるセスキテルペン炭化水素誘導体を製造する方法であって
    基質としての式(I):
    Figure 0005246685
    [式中、(a)RとRは両者合してメチレン基を表し、波線で結ばれたHはシクロペンタンタン環とシクロヘプタン環の接合をトランス配位とする水素原子を表し、点線の箇所は1重結合である;(b)RとRは両者合してメチレン基を表し、波線で結ばれたHはシクロペンタンタン環とシクロヘプタン環の接合をシス配位とする水素原子を表し、点線の箇所は1重結合である;または(c)Rはメチル基を表し、Rおよび波線で結ばれたHは存在せず、点線の箇所は2重結合である。]
    で表される化合物を、上記誘導体を産生する能力を有するアスペルギルス属に属する微生物または当該微生物の生体内酵素と接触させることを特徴とする方法。
  2. 式(II)で表されるセスキテルペン炭化水素誘導体に加え、式:
    Figure 0005246685
    で表されるエポキシカジネン誘導体を製造することを特徴とする、請求項1記載の方法。
  3. セスキテルペン炭化水素誘導体を産生する能力を有するアスペルギルス属に属する微生物がアスペルギルス ウェンティーである、請求項1または2に記載の方法。
  4. アスペルギルス ウェンティーが寄託番号NBRC8864の株種である、請求項3に記載の方法。
  5. 式:
    Figure 0005246685
    で表される、セスキテルペン炭化水素誘導体。
  6. 式:
    Figure 0005246685
    で表される、セスキテルペン炭化水素誘導体。
  7. 式:
    Figure 0005246685
    で表される、セスキテルペン炭化水素誘導体。
  8. 式:
    Figure 0005246685
    で表される、セスキテルペン炭化水素誘導体。
  9. 式:
    Figure 0005246685
    で表される、セスキテルペン炭化水素誘導体。
  10. 請求項5〜9のいずれかに記載のセスキテルペン炭化水素誘導体を含有する、香辛料。
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