以下、図面と共に本発明に係るショートメッセージ制御装置及びショートメッセージ制御方法の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。なお、本実施形態におけるデータ名、信号名、及びそれらの具体的内容については、3GPP(3rd Generation Partnership Project)に準拠する。
図1に本実施形態に係るショートメッセージ制御装置であるSM−SC(Short Message Service Center)10を示す。SM−SC10は、移動体通信網Nの構成要素である。移動体通信網Nは、移動通信端末の接続対象であり、移動通信端末に対して移動体通信の機能を提供する。移動体通信網Nは、上記のSM−SC10と、SGSN/MSC(SGSN Serving GPRS Support Node/Mobile Switching Center)20と、SMS−IWMSC(SMS−InterWorking Mobile Switching Center)30と、SMS−GSMC(SMS−Gateway Mobile Switching Center)40とを含んで構成されている。なお、移動体通信網Nは、上記の構成要素以外にも、基地局、無線制御装置、HLR(Home Location Register)等の通常の移動体通信網を構成する構成要素を有している。
移動体通信網Nは、移動通信端末に対してSMSの機能を提供しており、移動体通信網Nでは、文字情報等が含まれるSMSによるショートメッセージが移動通信端末間で送受信される。ショートメッセージの種類には、ユーザ間での文字情報(文字メッセージ)のやりとり等に用いられる一般SMSと、移動通信端末の機能を制御する制御SMS(制御用のショートメッセージ)とがある。連結SMSの機能によって送受信される複数のショートメッセージは、受信側の移動通信端末においてショートメッセージを連結する機能を制御するため、制御SMSに該当する。また、ショートメッセージの中には、移動通信端末から発信されるものではなく、移動体通信網Nのノード等から発信されるものもある。
ここで、図2及び図3に、ショートメッセージのデータ構成を示す。図2は、ショートメッセージの全体構成を示し、図3は、ショートメッセージのユーザデータ部分(図2におけるTP−UDに相当する部分)の構成を示す。図2及び図3において、右端の列はデータサイズを示し(オクテット単位)、上端の行はデータの格納位置を示している。なお、図3においては、各情報要素(IE:Information-Element)にa,b,c…のように添え字を振っている。
また、図4にショートメッセージのユーザデータ部分の個々の情報要素(IEI(Information-Element-Identifier、図3におけるIEIa,IEIb等)、IEDL(Length of Information-Element、図3におけるIEDLa,IEDLb等)、IED(Information-Element Data、図3におけるIEDa,IEDb等))のデータ構成を示す。図4において、右端の列はデータサイズを示し(オクテット単位)、上端の行はデータの格納位置を示し、左端の列はフィールド名を示している。ショートメッセージが連結SMSを構成するものであった場合、図4に示すように、IED(の何れか)には連結ショートメッセージ整理番号、最大ショートメッセージ番号、及びシーケンス番号を示す情報が収められている。
連結ショートメッセージ整理番号は、連結SMSの機能によって複数のショートメッセージに分割されるメッセージを特定する情報(整理番号)である。この整理番号は、あるメッセージを構成する全てのショートメッセージにおいて同一の値となる。最大ショートメッセージ番号は、連結SMSの機能によってメッセージが分割されたショートメッセージの総数を示す値であり、0から255までの値が設定される。最大ショートメッセージ番号は1以上の値をとり、あるメッセージを構成する全てのショートメッセージにおいて同一の値となる。シーケンス番号は、連結SMSの機能によりメッセージを構成するショートメッセージのシーケンス番号であり、0から255までの値が設定される。シーケンス番号は、1から始まり、当該メッセージを構成する一連のショートメッセージが送信されるごとに1ずつ増加する。
SM−SC10は、SMS−IWMSC30と接続されており、SMS−IWMSC30を介して、ショートメッセージの送信元(ショートメッセージを送信する移動通信端末等)から当該ショートメッセージを受け付け、蓄積する装置である。即ち、SM−SC10とショートメッセージの送信元との間でSMS発信処理が行われる。また、SM−SC10は、SMS−GMSC40と接続されており、蓄積したショートメッセージを、送信先へのショートメッセージ転送要求としてSMS−GMSC40に送信する。即ち、SM−SC10とショートメッセージの送信先との間でSMS着信(配信)処理が行われる。なお、SM−SC10は本実施形態では1つの装置として説明するが、複数の装置(コンピュータによるシステム)として実現されていてもよい(その他の移動体通信網Nを構成するノードも同様である)。
SGSN/MSC20は、通常、移動体通信網Nに複数設けられており、移動体通信網Nにおけるパケット/回線交換通信の交換機の役割を果たす。SGSN/MSC20は、通信エリアに応じて移動通信端末を管理する(移動通信端末が在圏する)。SGSN/MSC20は、SMS−IWMSC30に接続されており、自身が管理する移動通信端末から送信されるショートメッセージを受信して、SMS−IWMSC30に出力する。また、SGSN/MSC20は、SMS−GMSC40に接続されており、自身が管理する移動通信端末宛に送信されるショートメッセージをSMS−GMSC40から入力して、移動通信端末に送信(配信)する。
SMS−IWMSC30は、送信元の移動通信端末からショートメッセージの送信を受け付ける処理を行う装置である。SMS−IWMSC30は、各SGSN/MSC20と接続されている。SMS−IWMSC30は、送信元の移動通信端末から送信されたショートメッセージをSGSN/MSC20を介して受信して、ショートメッセージ転送要求としてSM−SC10に入力する。
SMS−GMSC40は、ショートメッセージの配信処理を行う装置である。SMS−GMSC40は、各SGSN/MSC20と接続されている。SMS−GMSC40は、SM−SC10からショートメッセージの配信要求が入力されると、HLRに管理される移動通信端末の在圏情報を参照して、ショートメッセージを受信する移動通信端末を管理するSGSN/MSC20を特定して、特定したSGSN/MSC20に当該ショートメッセージを送信する。在圏情報には、移動通信端末がいずれのSGSN/MSC20に管理されているかを示す情報が含まれる。なお、SMS−IWMSC30とSMS−GMSC40とは、同一の装置によって実現されることもある。また、上述した各装置20〜40の機能は、従来の機能と同様の機能である。
移動体通信末は、ユーザに所持され、移動体通信により移動体通信網Nに接続する機能を有する装置である。移動通信端末は、SMSによってショートメッセージを送受信する機能を有している。即ち、移動通信端末は、移動体通信網Nにショートメッセージを送信し、あるいは、移動体通信網Nから(自端末宛に送信された)ショートメッセージを受信することができる。移動通信端末の中には、連結SMSの機能を有しているものがある。連結SMSの機能を有している移動通信端末は、ショートメッセージの送信時には、メッセージが複数のショートメッセージに分割すべきサイズである場合には、複数のショートメッセージに分割して送信する。また、連結SMSの機能を有している移動通信端末は、分割されたショートメッセージを受信した場合には、当該ショートメッセージが連結SMSに係る分割されたショートメッセージであることを(当該ショートメッセージのヘッダ等を参照して)認識して、複数のそれらのショートメッセージを連結して表示等の処理を行う。
移動通信端末は、ショートメッセージを受信すると、当該受信に対する応答である当該受信に対するackを移動体通信網N(のSGSN/MSC20)に送信する。SGSN/MSC20は、当該ackを受信すると、それに応じた応答をSMS−GMSC40を介してSM−SC10に送信する。一方で、SGSN/MSC20は、ショートメッセージを送信したにもかかわらず(例えば、所定時間以内に)移動通信端末からackが受信されないと、タイムアウトを検出して、ackが受信されなかった旨をSMS−GMSC40を介してSM−SC10に送信する。ショートメッセージの受信に対するackは、連結SMSの機能によって分割されたショートメッセージであっても、ショートメッセージ毎に行われる。
また、移動通信端末は、電話番号を特定するための固有のID番号等を記憶したSIM(Subscriber Identity Module)が端末装置に差し込まれることにより実現される。SIMは抜き差しが可能であり、SIMを別の端末装置に差し込むことによって、当該別の端末装置で(同一の電話番号(ショートメッセージの宛先)の)移動通信端末を実現することができる。なお、通常、SIMカードを抜き差しするためには、端末装置の電源がオフになっている(即ち、非通信状態である)必要がある。
本実施形態では、以下、ショートメッセージの送信(発信)側の移動通信端末を送信側移動通信端末50とし、ショートメッセージの受信(着信)側の移動通信端末を受信側移動通信端末60として説明を行う。なお、送信側移動通信端末50及び受信側移動通信端末60は、従来の移動通信端末と同様のものである。また、送信側移動通信端末50がSGSN/MSC20aに管理されているものとし、受信側移動通信端末60がSGSN/MSC20bに管理されているものとする。上記の送信側移動通信端末50及び受信側移動通信端末60には、連結SMSの機能を有しているものと、有していないものが含まれうる。
引き続いて、本実施形態に係るSM−SC10の機能について説明する。図1に示すように、SM−SC10は、受信部11と、連結SMS判定部12と、SMS蓄積部13と、送信部14と、受信確認部15と、再送制御部16と、削除部17とを備えて構成されている。なお、SM−SC10は上記の構成要素以外にも、通常のSM−SCが有している機能も備えている。
受信部11は、送信側移動通信端末50等から、受信側移動通信端末60に宛てて送信されるショートメッセージを受信する受信手段である。具体的には、受信部11は、SMS−IWMWC30からSM−SC10に送信された上記のショートメッセージ(受信側移動通信端末60への送信の要求)を受信する。受信部11は、受信したショートメッセージを連結SMS判定部12に出力する。
連結SMS判定部12は、受信部11から入力されたショートメッセージが、連結SMSの機能によって分割されたショートメッセージの形式であるか否かを判定する連結ショートメッセージ判定手段である。ここで、連結SMSの機能によって分割されたショートメッセージ(連結ショートメッセージ)とは、上述したように複数のショートメッセージが連結されて一つのメッセージとなるショートメッセージである。
連結SMS判定部12は、具体的には、まず、受信部11から入力されたショートメッセージが、制御SMSか否かを判定する。具体的には、受信部11から入力されたショートメッセージのSMSヘッダに含まれるショートメッセージの種別を示す情報を参照して判定を行う。連結SMS判定部12は、SMSヘッダのTP−UDHI(TP-User-Data-Header-Indicator)(図2参照)を参照して、上記の判定を行う。TP−UDHIは、ショートメッセージのユーザデータを格納するフィールドであるTP−UD(TP-User-Data)にショートメッセージ(のデータ本体、図3における下端の行に相当)のみを収めている場合“0”を収めており、TP−UDの先頭にショートメッセージ(のデータ本体)の他にヘッダを収めている場合“1”を収めている。
連結SMS判定部12は、TP−UDHI=1であればショートメッセージが制御SMSと判定し、TP−UDHI=0であればショートメッセージが一般SMSであると判定する。連結SMS判定部12によって、ショートメッセージが一般SMSであると判定された場合、当該ショートメッセージは連結SMS係る形式でないと判定する。連結SMS判定部12は、ショートメッセージが制御SMSであると判定した場合、続いて、当該ショートメッセージが連結SMSに係る形式であるか否かを判定する。
具体的には、受信部11から入力されたショートメッセージのTP−UDヘッダ(図3におけるUDHL(Length of User Data Header)からIEDz(Information-Element“z”Data)までのデータ)内に含まれるショートメッセージの種別を示す情報を参照して判定を行う。TP−UDヘッダのIEI(Information-Element-Identifier、図3における、IEIa,IEIb等)は、ショートメッセージの連結を行う場合、“00000000”(8ビット整理番号)又は“00001000”(16ビット整理番号)が設定される。連結SMS判定部12は、参照したTP−UDヘッダのIEIのいずれかに“00000000”又は“00001000”が含まれれば連結SMSと判定し、TP−UDヘッダのIEIのいずれにも“00000000”又は“00001000”が含まれなければ連結SMSでないと判定する。連結SMS判定部12は、SMS蓄積部13にショートメッセージを出力すると共に、その判定結果(当該ショートメッセージが連結SMSに係るものであるか否か)を通知する。
SMS蓄積部13は、受信部11によって受信されて連結SMS判定部12から入力されたショートメッセージを蓄積する手段である。ショートメッセージの蓄積は、SM−SC10が備えるメモリ上に格納することにより行われる。また、SMS蓄積部13は、連結SMS判定部12から、入力されたショートメッセージが連結ショートメッセージを構成する形式であると通知された場合、当該ショートメッセージを、当該連結ショートメッセージを構成する一連の当該ショートメッセージとして蓄積する連結ショートメッセージ蓄積手段である。
具体的には、入力されたショートメッセージが連結ショートメッセージを構成する形式であると通知された場合、SMS蓄積部13は、ショートメッセージのTP−UDヘッダ内の連結ショートメッセージ整理番号、最大ショートメッセージ番号及びシーケンス番号を参照して、それらの情報に基づいて連結ショートメッセージを構成する一連の当該ショートメッセージとして蓄積する。例えば、連結ショートメッセージ整理番号に対応付けて、それぞれのショートメッセージを蓄積する。入力されたショートメッセージが連結ショートメッセージを構成する形式であると通知されない場合は、通常と同様に個々のショートメッセージとして蓄積する。
ここで、ショートメッセージのTP−MR、TP−UDL及びTP−UDを除いて、連結ショートメッセージを構成する各ショートメッセージのTP要素は同一である。SMS蓄積部13は、新たにショートメッセージを蓄積した場合には、その旨を送信部14に通知する。
送信部14は、SMS蓄積部13によって蓄積されたショートメッセージを受信側移動通信端末60に送信する送信手段である。具体的には、送信部14は、SMS蓄積部13によって蓄積されたショートメッセージの中から、送信対象のショートメッセージを取得して、SMS−GMSC40に送信する。なお、この送信は、SMS蓄積部13から新たにショートメッセージを蓄積した旨が通知した場合に行われる。送信部14は、送信するショートメッセージが連結SMSに係るものであった場合(一連のショートメッセージとしてSMS蓄積部13によって蓄積されたものである場合)、一連のショートメッセージ各々を受信側移動通信端末60に送信する(送信処理自体は、通常のショートメッセージと同様である)。また、送信部14は、上記の一連のショートメッセージの送信を行った場合は、その旨を再送制御部16に通知する。また、その通知の際、連結SMSに係る情報(連結ショートメッセージ整理番号及び最大ショートメッセージ番号等)も併せて通知する。
また、送信部14は、再送制御部16からショートメッセージの送信(少なくとも一部は再送)の制御を受けた場合にも、上記と同様に、当該制御に係る連結SMSに係るショートメッセージ全てを受信側移動通信端末60に送信する。なお、再送制御部16からショートメッセージの送信の制御を受けた場合、そのタイミングで送信してもよいが、通常、再送を行う場合は、受信側移動通信端末60が圏外にある等、通信を行えない場合が多い。従って、送信部14は、(SM−SC10が)受信側移動通信端末60から新規のショートメッセージを格納しているかの問い合わせを受信した場合に再送を行なうこととしてもよい。あるいは、受信側移動通信端末60が圏内になった場合や受信側移動通信端末60が移動体通信網Nに対して位置登録を行った場合に再送を行うこととしてもよい。受信側移動通信端末60が圏内になったことや、受信側移動通信端末60が移動体通信網Nに対して位置登録を行ったことは、例えば、SGSN/MSC20からの通知を受けることによって検出することができる。
受信確認部15は、送信部14によるショートメッセージの送信に対して、当該ショートメッセージについて受信側移動通信端末60での受信を確認する受信確認手段である。受信確認部15は、SGSN/MSC20からの、受信側移動通信端末60からのackが受信されたか否かの通知を受け取ることによって、ショートメッセージの受信側移動通信端末60での受信を確認する。受信確認部15は、連結SMSに係る一連のショートメッセージの受信側移動通信端末60での受信を確認する。受信確認部15は、受信が確認されたショートメッセージを(どのショートメッセージが受信側移動通信端末60に受信されたかを)記憶しておく。受信確認部15は、連結SMSに係る一連のショートメッセージの何れかが、受信側移動通信端末60において受信されていないことを確認した場合(SGSN/MSC20から受信エラーが通知された場合)は、その旨を、当該連結SMSを特定する情報(連結ショートメッセージ整理番号)と共に再送制御部16に通知する。また、その場合、当該連結SMSに係るショートメッセージが受信側移動通信端末60での受信確認の情報をリセットする。
一方で、受信確認部15は、連結SMSに係る一連のショートメッセージの全てが、受信側移動通信端末60において受信されていないことが確認された場合は、その旨を、当該連結SMSを特定する情報(連結ショートメッセージ整理番号)と共に削除部17に通知する。受信確認部15は、受信確認が、連結SMSに係る一連のショートメッセージの全てについて行われたことを、連結ショートメッセージ整理番号及び最大ショートメッセージ番号等に基づいて判断する。
再送制御部16は、受信確認部15によって連結SMSに係る一連のショートメッセージの何れかについて受信側移動通信端末60において受信されていないことが確認された場合に、連結SMSに係る一連のショートメッセージの全てを受信側移動通信端末60に送信するように送信部14を制御する再送制御手段である。なお、再送制御部16は、送信部14が送信対象となるショートメッセージを特定できるように、当該連結SMSを特定する情報を通知する。また、再度の送信は、例えば、シーケンス番号が小さいものから等の予め決められた順番で行うこととしてもよい。
削除部17は、受信確認部15によって連結SMSに係る一連のショートメッセージの全てについて受信側移動通信端末60での受信が確認された場合に、SMS蓄積部13によって蓄積された当該一連のショートメッセージを削除する削除手段である。再送制御部16は、受信確認部15から通知された連結SMSを特定する情報に基づいて、削除するショートメッセージを特定して削除を行う。この削除は、具体的にはメモリ上に記憶されたショートメッセージを消去することにより行われる。以上が、SM−SC10の機能構成である。
続いて、図5に本実施形態に係るSM−SC10のハードウェア構成を示す。図5に示すように、SM−SC10は、CPU(Central Processing Unit)101、主記憶装置であるRAM(Random Access Memory)102及びROM(Read Only Memory)103、通信モジュール104並びにハードディスク等の補助記憶装置105等のハードウェアを備えるコンピュータを備えて構成される。これらの構成要素が、動作することにより、SM−SC10の上述した機能が発揮される。
引き続いて、図6及び図7のシーケンス図を用いて本実施形態に係るSM−SC10により実行される処理(ショートメッセージ制御方法)について説明する。まず、図6のシーケンス図を用いて、送信側移動通信端末50からショートメッセージが受信される際に実行される処理を説明し、その後、図7のシーケンス図を用いて、受信側移動通信端末60にショートメッセージが送信される際に実行される処理を説明する。なお、ここで送信されるショートメッセージは、連結SMSの機能により複数に分割されたショートメッセージであり、2つのショートメッセージに分割されるものとする。また、送信側移動通信端末50及び受信側移動通信端末60は、連結SMSの機能を有している。
まず、送信側移動通信端末50において、SMS発信処理が行われる。この処理は、送信側移動通信端末50に対するユーザの操作等をトリガとして開始される。まず、送信側移動通信端末50からSGSN/MSC20aに対して、SMS発信処理を行うための要求(Service Request)が行われる(S01)。続いて、当該要求はSGSN/MSC20aによって受信されて、SGSN/MSC20aと送信側移動通信端末50との間で(従来と同様の)認証・秘匿処理が行われる(S02)。続いて、以下のように、連結SMSの機能により分割されたショートメッセージが順次、送信側移動通信端末50からSGSN/MSC20aに発信される。
送信側移動通信端末50からSGSN/MSC20aに対して、(2つのショートメッセージのうちの一つの)ショートメッセージが発信される(S03)。この発信は、送信側移動通信端末50からSGSN/MSC20aに対してRP−DATAを含むCP−DATAを送信することにより行われ、これを受信したSGSN/MSC20aからは送信側移動通信端末50に対してCP−ACKが送信される。送信側移動通信端末50及び受信側移動通信端末60とSGSN/MSC20との間は、上記のようにCP−DATAでやりとりされる(以下、同様)。
上記のようにショートメッセージは、SGSN/MSC20aによって受信され、続いて、SGSN/MSC20aからSMS−IWMSC30に当該ショートメッセージの送信(MO forward SM)が行われる(S04)。当該ショートメッセージはSMS−IWMSC30によって受信され、続いて、SMS−IWMSC30からSM−SC10に当該ショートメッセージに係るショートメッセージ転送要求が送信される(S05)。
SM−SC10では、受信部11によってショートメッセージ(ショートメッセージ転送要求)が受信される(S05、受信ステップ)。受信されたショートメッセージは、受信部11から連結SMS判定部12に入力される。続いて、連結SMS判定部12によって、ショートメッセージが連結SMSに係る形式であるか否かが判定される(S06、連結ショートメッセージ判定ステップ)。ここで、ショートメッセージが連結SMSに係る形式でないと判定された場合、連結SMS判定部12からSMS蓄積部13にショートメッセージが出力されると共に、その判定結果が通知される。続いて、SMS蓄積部13では、従来の蓄積処理と同様に入力されたショートメッセージの蓄積が行われる(S07)。なお、ショートメッセージが連結SMSに係る形式でないと判定された場合は、上記のように従来と同様の処理であるので、連結SMS判定部12からSMS蓄積部13への判定結果の通知はされなくてもよい。
一方で、入力されたショートメッセージが連結ショートメッセージを構成する形式であると判定された場合、連結SMS判定部12からSMS蓄積部13にショートメッセージが出力されると共に、その判定結果が通知される。続いて、SMS蓄積部13によって、当該ショートメッセージは当該連結ショートメッセージを構成する一連の当該ショートメッセージとして蓄積される(S08、連結ショートメッセージ蓄積ステップ)。上記の蓄積処理が完了すると、SM−SC10からSMS−IWMSC30に対して、SMS−IWMSC30からのショートメッセージ転送要求(S05)に対するショートメッセージ転送応答が送信される(S09)。続いて、ショートメッセージ転送応答が行われたSMS−IWMSC30からSGSN/MSC20aに対して、ショートメッセージの送信(S04)に対する応答(MO FORWARD SM.ack)が送信される(S10)。更に、当該応答が行われたSGSN/MSC20aから送信側移動通信端末50に対して、ショートメッセージ発信(S03)に対するackが送信される(S11)。
以上のS03〜S11が1件のショートメッセージの発信処理である。ここで発信されるショートメッセージは、連結SMSの機能により複数の分割されたものであるので、2通目(S12〜S20)も上記のS03〜S10処理が、繰り返し行われる。更にショートメッセージが3つ以上に分割されたものである場合は、分割されたショートメッセージの数だけ繰り返し行われる。以上が、送信側移動通信端末50からショートメッセージが受信される際に実行される処理である。
続いて、図7のシーケンス図を用いて、SM−SC10から受信側移動通信端末60にショートメッセージが送信される際に実行される処理を説明する。上述した処理のようにSMS蓄積部13によってショートメッセージの蓄積が行われると、その旨が送信部14に通知される。当該通知を受けた送信部14によって、蓄積されたショートメッセージの中から、送信対象のショートメッセージ(2つに分割されたうちの1通目のショートメッセージ)が取得されて、当該ショートメッセージに係るショートメッセージ転送要求として、SMS−GMSC40に送信される(S21、送信ステップ)。
ショートメッセージ転送要求がSMS−GMSC40に入力されると、SMS−GMSC40からSGSN/MSC20bに対して、当該ショートメッセージの送信(MT forward SM)が行われる(S22)。なお、この送信の際、SMS−GMSC40によって、HLR20の情報が参照されてショートメッセージを送信すべきSGSN/MSC20b(ショートメッセージを送信すべきルート)が特定される。SGSN/MSC20bでは、当該ショートメッセージが受信される。
続いて、SGSN/MSC20bによって、受信されたショートメッセージから送信先の受信側移動通信端末60が特定されて、当該受信側移動通信端末60との間で(従来と同様の)ページング及び認証・秘匿処理が行われる(S23)。続いて、SGSN/MSC20bと受信側移動通信端末60との間でショートメッセージの着信処理が行われる。即ち、SGSN/MSC20bによって、ショートメッセージが受信側移動通信端末60に送信される(S24)。受信側移動通信端末60では、ショートメッセージが受信されると、ショートメッセージの着信に対するackがSGSN/MSC20bに送信される(S25)。続いて、当該ackがSGSN20bによって受信されると、SGSN/MSC20bからSMS−GMSC40に対して、SMS−GMSC40からのショートメッセージの送信(S22)に対する応答(MT forward SM)が行われる(S26)。
続いて、応答が行われたSMS−GMSC40からSM−SC10に対して、ショートメッセージ転送要求(S21)に対するショートメッセージ転送応答が行われる(S27)。SM−SC10では、受信確認部15によって当該ショートメッセージ転送応答が受信される(S27、受信確認ステップ)。即ち、受信確認部15によって、SGSN/MSC20bからの、受信側移動通信端末60からのackが受信された旨の通知が受け取られ、ショートメッセージの受信側移動通信端末60での受信が確認される。受信確認部15では、受信が確認されたショートメッセージが記憶される。以上が、連結SMSの機能により複数の分割されたショートメッセージのうちの1通目の受信処理である。
ここで、受信側移動通信端末60が圏外に移動し、移動体通信を行えない状態になる(ものとする)(S28)。続いて、1通目の受信した処理と同様に、SM−SC10では、送信部14によって、蓄積されたショートメッセージの中から、送信対象のショートメッセージ(2通目のショートメッセージ)が取得されて、当該ショートメッセージに係るショートメッセージ転送要求として、SMS−GMSC40に送信される(S29、送信ステップ)。
ショートメッセージ転送要求がSMS−GMSC40に入力されると、SMS−GMSC40からSGSN/MSC20bに対して、当該ショートメッセージの送信(MT forward SM)が行われる(S30)。SGSN/MSC20bでは、当該ショートメッセージが受信される。続いて、SGSN/MSC20bによって、ショートメッセージが受信側移動通信端末60に送信される(S31)。
しかし、上述したように受信側移動通信端末60は、圏外になっており、ショートメッセージを受信することができない。従って、SGSN/MSC20bでは、受信側移動通信端末60からのショートメッセージの着信に対するackが受信されない。一定時間が経過すると、SGSN/MSC20bでは、タイムアウトが検出されて、受信側移動通信端末60におけるショートメッセージの受信が正常に行われなかったと認識する(S32)。続いて、SGSN/MSC20bからSMS−GMSC40に対して、SMS−GMSC40からのショートメッセージの送信(S30)に対する、受信側移動通信端末60においてショートメッセージの受信が正常に行われなかった旨の応答(MT forward SM,ERROR)が行われる(S33)。
続いて、当該応答が行われたSMS−GMSC40からSM−SC10に対して、ショートメッセージ転送要求(S21)に対する、受信側移動通信端末60においてショートメッセージの受信が正常に行われなかった旨のショートメッセージ転送応答(ERROR)が行われる(S34)。SM−SC10では、受信確認部15によって当該ショートメッセージ転送応答が受信される(S34、受信確認ステップ)。即ち、受信確認部15によって、SGSN/MSC20bからの、受信側移動通信端末60からのackが受信されていない旨の通知が受け取られ、ショートメッセージの受信側移動通信端末60での未受信(受信エラー)が確認される。
受信確認部15によって、上記のように連結SMSに係る一連のショートメッセージの何れかが、受信側移動通信端末60において受信されていないことが確認された場合(S35)、その旨が、当該連結SMSを特定する情報(連結ショートメッセージ整理番号)と共に再送制御部16に通知される。再送制御部16では、その通知を受けると、当該通知に係る連結SMSの一連のショートメッセージの全てを受信側移動通信端末60に送信するように送信部14を制御する(S36、再送制御ステップ)。送信部14では、再送の制御を受けると、上記の送信処理(S21,S29)と同様に(既に受信側移動通信端末60での受信が確認されたショートメッセージも含めて)当該通知に係る一連のショートメッセージの全ての受信側移動通信端末60への送信処理が行われる。
一方で図7に示すシーケンス図のように受信側移動通信端末60が圏外に移動せず、連結SMSに係る一連のショートメッセージの全てが受信され、受信確認部15によって、全てのショートメッセージについて、正常に受信がなされた旨のショートメッセージ転送応答(S27等)が受信された場合、その旨が、受信確認部15から削除部17に通知される。削除部17では、その通知を受けると、当該通知に係る、SMS蓄積部13によって蓄積された連結SMSの一連のショートメッセージの全てを削除する処理が行われる(S37、削除ステップ)。
なお、受信確認部15による、連結SMSに係る一連のショートメッセージの何れかが受信側移動通信端末60において受信されていないこと、及び連結SMSに係る一連のショートメッセージの全てが受信されたことの判断は、全ての連結SMSに係る一連のショートメッセージの受信処理の後に行われることとしてもよい。あるいは、上述した処理のように、連結SMSに係る一連のショートメッセージ全ての受信処理の後に行われることとしてもよい。以上が、本実施形態に係るSM−SC10により実行される処理である。
上述したように本実施形態に係るSM−SC10では、連結SMSに係る一連のショートメッセージの送信に対して、全てのショートメッセージが受信側移動通信端末60において受信されない場合、全てのショートメッセージが受信側移動通信端末60に送信(再送)される。本実施形態のように、受信側移動通信端末60が連結SMSに係る一連のショートメッセージの受信の途中で、圏外に移動し、更にその際にSIMの差し替え等によって受信側の受信側移動通信端末60(の端末装置)が変更された場合等であっても、連結SMSに係る一連のショートメッセージ全てが一つの受信側移動通信端末60(の端末装置)によって受信される。その結果、受信側移動通信端末60において、連結SMSの機能によってショートメッセージが、連結されて表示等が行われる等、適切に処理される。
なお、上述したように従来のSMSの配信方法では、受信確認は連結SMSに係るショートメッセージである場合でも、個々のショートメッセージ毎に行われ、本実施形態のように連結SMSに係る一連のショートメッセージ単位では行われていなかった。従って、連結SMSに係る一連のショートメッセージの受信の途中で、SIMの差し替え等によって受信側の受信側移動通信端末60(の端末装置)が変更された場合は、本実施形態とは異なり、SIM差し替え前の移動通信端末、及びSIM差し替え後の移動通信端末のそれぞれにおいて、連結SMSの機能によって分割されたショートメッセージが部分的にしか受信されておらず、ショートメッセージを連結することができず、表示等の適切な処理をおこなうことができないという状態になっていた。
また、従来のSM−SCでは、本実施形態とは異なり、連結SMSに係るショートメッセージである場合でも、ショートメッセージ単位で受信側移動通信端末60での受信が確認されたら、当該ショートメッセージは削除されていた。即ち、本実施形態のように蓄積、再送の制御及び削除を、連結SMSに係る一連のショートメッセージ単位で行うこととはしていなかった。このような構成であると上述した一連のショートメッセージの再度の送信を行うことができない。
一方で本実施形態では、連結SMSに係る一連のショートメッセージ全てが受信側移動通信端末60において受信された場合に、ショートメッセージを削除している。このような構成におり、適切に一連のショートメッセージの再度の送信を行うことができ、また、適切なタイミングで連結SMSに係るショートメッセージが削除され、(メモリ上に無駄なショートメッセージを記憶しない等の)適切な管理が可能になる。