JP5227418B2 - マーカー組み合わせカルプロテクチンおよびヘモグロビン/ハプトグロビン複合体の使用による便試料からの結腸直腸癌の評価方法 - Google Patents

マーカー組み合わせカルプロテクチンおよびヘモグロビン/ハプトグロビン複合体の使用による便試料からの結腸直腸癌の評価方法 Download PDF

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Description

本発明は、結腸直腸癌の評価を補助する方法に関する。該方法は、特にインビトロでの結腸直腸癌の非存在または存在の評価に使用される。該方法は、例えば、生化学マーカーの分析によって行われ、ヘモグロビン/ハプトグロビン複合体およびカルプロテクチンの濃度を便試料中で測定する工程、ならびに測定された濃度を結腸直腸癌の非存在または存在に相関させる工程を含む。本発明の方法に基づいて結腸直腸癌の評価をさらに改善するために、1つ以上のさらなるマーカーのレベルが、便試料中のヘモグロビン/ハプトグロビン複合体およびカルプロテクチンと共に測定され得、結腸直腸癌の非存在または存在に相関させ得る。また、本発明は、結腸直腸癌の早期診断におけるヘモグロビン/ハプトグロビン複合体およびカルプロテクチンを含むマーカーパネルの使用に関し、本発明の方法を行うためのキットを教示する。
(発明の背景)
検出および治療の進歩にも関わらず、癌は主要な公衆衛生課題のままである。様々な種類の癌の中で、結腸直腸癌(=CRC)は、西洋で最も頻度の高い癌の1つである。
癌の病期は、程度、進行および重症度の点での疾患の分類である。これは、一般化が予後および治療の選択について行われ得るように、癌患者を分類するものである。
今日、TNMシステムは、癌の解剖学的程度について最も広く使用される分類である。これは、国際的に受け入れられた統一病期システムを表す。3つの基本変数: T (原発腫瘍の程度)、N(局所リンパ節の状態)およびM(遠位転移の存在または非存在)がある。TNM基準は、UICC(国際対癌連合), Sobin, L.H., Wittekind, Ch. (編), TNM Classification of Malignant Tumours, 第5版,1997によって公表されている。
特に重要なことは、CRCの早期診断が非常に良好な予後に解釈されることである。結腸直腸の悪性腫瘍は、良性腫瘍、即ち腺腫から生じる。従って、最良の予後は、腺腫病期で診断される患者にある。病期Tis、N0、M0またはT1〜3; N0; M0ほどの早期に診断される患者は、適切に治療される場合、遠位転移が既に存在する場合に診断される患者のわずか10%の5年生存率に比べて、診断後の90%よりも高い5年の生存機会を有する。
CRCの存在または非存在を評価する方法は、前悪性状態(腺腫)または転移が全く(近位または遠位にも)存在しない腫瘍病期、即ちUICC分類I、II、またはIIIでCRCの感度の高い検出に特に適切であるものが望まれる。
早期に癌が検出/診断され得るほど、全体の生存率が良好になる。これは、CRCについて特に当てはまる。腫瘍の進行した病期の予後は不良である。3分の1より多い患者が診断後5年以内に進行性疾患で死亡するが、これは約40%の5年生存率に相当する。現在の治療は、一部の患者を治療するだけであるが、疾患の初期病期で診断される患者に対して最良の効果を明らかに有する。
公衆衛生課題としてのCRCに関して、結腸直腸癌のための有効なスクリーニングおよび予防措置が開発され得ることが不可欠である。
現在、結腸直腸癌に利用可能な最も早い検出法は、糞便血または内視鏡法の試験の使用を伴う。しかし、有意な腫瘍サイズが、糞便血を検出する前に、典型的に存在する必要がある。便試料からのCRCの検出に関して、当該技術分野の状態は、長い間グアヤク系糞便潜血試験であった。
グアヤク試験は、現在、便からのCRCのスクリーニングアッセイとして最も広く使用される。しかし、グアヤク試験は、不良な感度および不良な特異性の両方を有する。グアヤク系糞便潜血試験の感度は約26%であり、悪性病変を有する患者の74%が検出されずにいることを意味する(Ahlquist, D.A., Gastroenterol. Clin. North Am. 26 (1997) 41-55)。
前癌および癌病変の可視化は、早期検出への最良のアプローチを表すが、結腸内視鏡検査は侵襲性であり、有意に費用がかかり、リスクが高く、複雑である(Silvis, S.E., ら、JAMA 235 (1976) 928-930; Geenen, J.E., ら、Am. J. Dig. Dis. 20 (1975) 231-235; Anderson, W.F., ら、J. Natl. Cancer Institute 94 (2002) 1126-1133)。
便試料または糞便試料は、日常的に、様々な疾患の診断において、寄生虫、脂肪、潜血、ウイルス、細菌ならびに他の生物および化学物質の存在について検査される。
便回収は、非侵襲性であり、従って理論上、青年または老年患者の試験、臨床現場から離れた試験、頻度の高い反復試験、および消化管で見られる可能性がある被検体の存在の測定について理想的である。
本発明の診断方法は、個体に由来する便試料に基づくものである。便試料が抽出され、ヘモグロビン/ハプトグロビン複合体およびカルプロテクチンそれぞれが特異的結合剤の使用によって処理された便試料から特異的に測定される。
しかし、糞便試料の分析に免疫アッセイ技術を適用することは、いくつかの理由で困難であると証明されている。
被検体は、便試料全体に分布しておらず、以前に腸またはさらに癌細胞と接触した便試料の外部表面により集中する傾向がある。この理由で、EP 0 817 968は、さらなる分析のために横断面便試料の使用を提案している。EP 0 817 968の焦点は、便試料に含まれるDNAの診断である。
便の取り扱いは、不愉快であり、バイオハザードである。便を処理するための方法は、扱いにくく、しばしば複雑であると証明されており、いくつかの取り扱い工程、例えば濾過または遠心分離を要する。試料の計量、抽出、遠心分離、および保存は、適切な装置を備えた臨床実験室および熟練技術者を除くと困難である。
便試料中の被検体は、しばしば不安定である; これはポリペプチドまたはタンパク質について特に当てはまると考えられる。便の成分は、固相免疫アッセイを阻害することが知られている。固相に固定された免疫反応物は便成分によって吸収され得る。非特異的反応が生じる場合がある。
便試料中のタンパク質の被検体を測定するための免疫アッセイ技術の商業用使用を増やすために、多くの問題が解決される必要がある。例えば、被検体は、できるだけ効率よく可溶化される必要があり、便中の被検体の不安定性を取り扱う必要があり、便成分の阻害はできるだけ減らすべきであり、便の広範な取り扱いのために必要なもの、装置汚染、および器具に必要なものを最小にする必要がある。高価な装置および器具の使用を回避する単純な調製工程は、免疫アッセイ試験法の使用または少なくとも病院および臨床実験室環境外の場所にかかる免疫アッセイのサンプリング法を拡張する必要がある。ヘモグロビン/ハプトグロビン複合体およびカルプロテクチンなどのタンパク質の検出において有利な便試料希釈剤の例を、以下にさらに示す。
WO 02/18931は、診断アッセイのための便試料の調製方法を開示している。本質的にバッファ物質、界面活性剤、好ましくは両イオン界面活性剤およびブロッキング剤を含む抽出バッファに基づく改善された抽出法が記載されている。
便試料の取り扱いは、最近開発されたサンプリングデバイスの使用によって容易になる。適切な便サンプリングデバイスは、例えば、EP 1 366 715およびEP 1 214 447に記載されている。
便試料に含まれるタンパク質の免疫学的アッセイが1990年代初期以来記載されている事実にも関わらず、かかるアッセイは、臨床ルーチンではまだ広く使用されていない。例えば、US 5,198,365は、ヘモグロビンの特異的な免疫学的測定を介して便試料中の血液の存在を検出できることを記載している。
便中のCRCの検出のためのグアヤク試験に代わるさらなる方法が、最近公表されており、便に出される結腸細胞における免疫組織化学による結腸直腸癌特異的抗原「ミニ染色体維持タンパク質2」(MCM2)の検出で構成される。小さい試験サイズのために、結腸直腸癌の検出のための診断値に関する結論は予備的である。しかし、該試験は、正しい結腸癌を検出する感度が制限されているだけであるように思われる(Davies, R.J., ら、Lancet 359 (2002) 1917-1919)。
US 5,455,160および相応してRoseth, A.G., ら(Scand. J. Gastroentero.l 27 (1992) 793-798; Scand. J. Gastroenterol. 28 (1993) 1073-1076)による科学文献において、カルプロテクチンは、便試料からのCRCの検出のための代替的生物マーカーとして記載されている。カルプロテクチンは炎症性疾患のマーカーであるが、便からのCRCの検出のためのマーカーとしての可能性は、いくつかの刊行物(Johne, B., ら、Scand. J. Gastroenterol. 36 (2001) 291-296; Limburg, P.J., ら、Am. J. Gastroenterol. 98 (2003) 2299-2305; Hoff, G., ら、Gut 53 (2004) 1329-1333)によって詳細に説明されている。カルプロテクチンの感度および特異性は、免疫学的ヘモグロビン-ハプトグロビン複合体と比べて低いが、カルプロテクチンは、ヘモグロビンまたはヘモグロビン-ハプトグロビン複合体と比べて、診断用生物マーカーに好ましいいくつかの特徴を有するように思われる。カルプロテクチンは、便において均一に分布し、室温で安定であり、実験室に試料を郵送することが実行可能であり、これは、食物成分または医薬化合物に干渉しないことを示す(Ton, H., ら、Clin. Chim. Acta 292 (2000) 41-54)。しかし、高い濃度のカルプロテクチン、S100A8およびS100A9のヘテロダイマーが、クローン病または炎症性腸疾患に罹患している患者の便試料中でも検出された。これらの結果は、炎症におけるカルプロテクチンのより一般的な役割と一致する(Ryckman, C., ら、 J. Immunol. 170 (2003) 3233-3242)。従って、胃腸病学におけるカルプロテクチンの使用は、CRCの検出に限定されず、他の疾患、特にPoullis, A., ら(J. Gastroenterol. Hepatol. 18 (2003) 756-762)が概説した炎症性腸疾患まで拡張される。従って、カルプロテクチンはCRCの特異的マーカーではないように思われる。
グアヤク試験に代わる診断の感度および特異性が、最近Sieg, A., ら、Int. J. Colorectal Dis. 14 (1999) 267-271によって調査された。特に、便試料からのヘモグロビンおよびヘモグロビン-ハプトグロビン複合体の測定値が比較された。ヘモグロビンアッセイは、結腸直腸新生物の検出について不十分な感度を有することに注目された。進行した癌の病期における癌は約87%の感度で検出されるが、早期の腫瘍病期は十分な感度で検出されない。ヘモグロビン-ハプトグロビン複合体アッセイは、CRCの初期病期の検出において感度が高かった。しかし、この感度の高い検出は不良な特異性を伴った。スクリーニングアッセイにおける不良な特異性は、不運にも結腸内視鏡検査などの多数の不必要な二次検査に解釈され、また、不良な精度を有するアッセイは、一般的に受け入れられたスクリーニングアッセイの要件を満たさない。
結腸直腸癌の早期検出および評価を改善する必要性が明らかに存在する。
例えば、便試料中の被検体の検出のための免疫学的方法の使用によってCRCの評価が改善され得るかどうかを見出すことが本発明の課題であった。
少なくともヘモグロビン/ハプトグロビン複合体およびカルプロテクチンの組み合わせの濃度を便試料中で測定する工程を含む、生化学マーカーによるインビトロでの結腸直腸癌の非存在または存在の評価方法が、上記の欠点の少なくともいくつかを克服することに役立ち得ることが、見出されかつ確立された。個々のマーカーの両方が特異性における問題に悩まされているように思われるため、また、通常CRCに特異的なマーカーであるヘモグロビンと、カルプロテクチンとのマーカー組み合わせが、次に同定されたマーカー組み合わせと比べて、95%特異性および98%特異性の両方で低い感度を示したために、これらの発見は、驚くべきことである。
(発明の概要)
本発明は、少なくともヘモグロビン/ハプトグロビン複合体およびカルプロテクチンそれぞれのポリペプチド濃度を便試料中で測定する工程、ならびにヘモグロビン/ハプトグロビン複合体およびカルプロテクチンについて測定された濃度を結腸直腸癌の非存在または存在に相関させる工程を含む、生化学マーカーによるインビトロでの結腸直腸癌の非存在または存在の評価方法に関する。
さらに、結腸直腸癌の診断における、少なくともマーカーカルプロテクチンおよびヘモグロビン/ハプトグロビン複合体を含むマーカーパネルの使用を開示する。
ヘモグロビン/ハプトグロビン複合体およびカルプロテクチンそれぞれを特異的に測定するために必要な試薬ならびに任意にそれぞれの測定を行うための補助試薬を含む、本発明の方法を行うためのキットも開示される。
(発明の詳細な説明)
第一の態様において、本発明は、少なくとも(a)ヘモグロビン/ハプトグロビンおよび(b)カルプロテクチンの濃度を便試料中で測定する工程、ならびに(c)工程(a)および(b)で測定された濃度を結腸直腸癌の非存在または存在に相関させる工程を含む、生化学マーカーによるインビトロでの結腸直腸癌の非存在または存在の評価方法に関する。
用語「評価」は、本発明の方法により、単独ではなく他の変数、例えば結腸内視鏡検査による確認と共に、医師が結腸直腸癌(CRC)の診断を確立することまたは治療に関連する結論を引き出すことが補助されることを示すために使用される。好ましい態様において、この評価はCRCの存在または非存在に関連する。当業者が理解するように、所定の疾患について100%特異性および同時に100%感度で診断する単一の生化学マーカーおよびマーカー組み合わせはなく、むしろ複数の生化学マーカーが、疾患の存在または非存在を特定の可能性または予測値で評価するために使用される。好ましくは、本発明の方法は、CRCの存在または非存在の評価を補助する。
当業者が理解するように、マーカーレベルをCRCの存在または非存在に相関させる工程が種々の方法で行われ、達成され得る。一般に、参照集団が選択され、正常範囲が確立される。適切な参照集団を使用して、便試料中のヘモグロビン/ハプトグロビン複合体およびカルプロテクチンの両方の正常範囲を確立することは日常の実験以下である。特定であるが限定された程度の正常範囲が、確立された参照集団に依存することが一般に受け入れられている。理想的かつ好ましい参照集団は、多数であり、例えば、数百から数千であり、年齢、性別および任意に目的の他の変数に適合する。所定の濃度などの絶対値の正常範囲も、使用されるアッセイおよびアッセイの作製に使用される標準に依存する。
実施例の項で、ヘモグロビン/ハプトグロビン複合体およびカルプロテクチンに示されるレベルが、同じ便試料に由来する等量物から測定され、示されたアッセイ法で確立された。
本発明の「マーカー」は、常に、かかるマーカーをコードするDNAまたはmRNAではなく、上記生物分子のポリペプチド形態に関連する。
本発明の方法において、便試料中に存在する、少なくとも生物マーカーヘモグロビン/ハプトグロビン複合体およびカルプロテクチンそれぞれの各濃度が測定され、測定値が数学的に組み合わされ、マーカー組み合わせの組み合わせ値がCRCの非存在または存在に相関させられる。
当業者が理解するように、調査中の診断問題を改善するために、2つ以上のマーカーの測定値を使用する多くの方法がある。かなり単純ではあるがしばしば効果的なアプローチにおいて、調査されたマーカーの少なくとも1つについて試料が陽性である場合に陽性結果が仮定される。これは、例えばAIDSなどの感染性疾患を診断する場合に当てはまることがある。しかし、頻度高く、マーカーの組み合わせが評価される。本発明の方法において、例えばマーカーパネルのマーカーヘモグロビン/ハプトグロビン複合体およびカルプロテクチンについて測定された値は数学的に組み合わされて、組み合わせた値が基礎にある診断問題と相関させられる。
マーカー値は、数学的方法の任意の適切な技術水準によって組み合わされ得る。マーカー組み合わせを疾患に相関させる周知の数学的方法は、例えば判別分析(DA)(即ち、一次、二次、正規DA)、カーネル法(即ち、SVM)、ノンパラメトリック法(即ち、k-最近接分類法)、PLS(部分最小二乗)、ツリーベース法(即ち、ロジック回帰、CART、ランダムフォレスト法、ブースト/バギング法)、一般化線形モデル(即ち、ロジスティック回帰)、主要成分ベース法(即ち、SIMCA)、一般化付加モデル、ファジーロジックベース法、ニューラルネットワークおよび遺伝子アルゴリズムベース法を使用する。当業者は、本発明のマーカー組み合わせを評価するための適切な方法を選択することに問題はない。好ましくは、本発明のマーカー組み合わせを例えばCRCの非存在または存在に相関させることに使用される方法は、 DA(即ち、一次、二次、正規判別分析)、カーネル法(即ち、SVM)、ノンパラメトリック法(即ち、k-最近接分類法)、PLS(部分最小二乗)、ツリーベース法(即ち、ロジック回帰、CART、ランダムフォレスト法、ブースト法)、または一般化線形モデル(即ち、ロジスティック回帰)から選択される。これらの統計学的方法に関する詳細は、以下の文献: Ruczinski, I., ら、J. of Computational and Graphical Statistics 12 (2003) 475-511; Friedman, J.H., J. of the American Statistical Association 84 (1989) 165-175; Hastie, T.,ら、The Elements of Statistical Learning, Springer Verlag (2001); Breiman, L.,ら、Classification and regression trees, California, Wadsworth (1984); Breiman, L., Machine Learning 45 (2001) 5-32; Pepe, M.S., The Statistical Evaluation of Medical Tests for Classification and Prediction, Oxford Statistical Science Series, 28 (2003); およびDuda, R.O., ら、Pattern Classification, Wiley Interscience,第2版(2001)に見られる。
本発明の好ましい態様は、基礎となる生物学的マーカーの組み合わせのための最適化多変量カットオフを使用し、状態Aと状態B、例えばCRCの存在とCRCの非存在を区別することである。この種類の分析において、マーカーはもはや独立せずにマーカーパネルを形成する。ヘモグロビン/ハプトグロビン複合体およびカルプロテクチンの測定値を組み合わせることによって、健常対照と比べてCRCの診断精度が改善されることを確立できた。これは、初期病期のCRC(UICC病期I〜II)を有する患者から得られた試料だけが分析に含まれる場合に、特に明白である。特に、後の発見は、早期CRCを有する患者が悪性の正確かつ早期の検出から最も恩恵を受ける可能性があるために、非常に重要である。
診断方法の精度は、受信者動作特性(ROC)によって最もよく説明される(特に、Zweig, M. H., and Campbell, G., Clin. Chem. 39 (1993) 561-577参照)。ROCグラフは、観察されるデータの全範囲に対して判定閾値を連続して変化させることで得られる感度/特異性対の全てのプロットである。
実験室試験の臨床性能は、診断精度または臨床的に関連する亜群に被験体を正確に分類する能力に依存する。診断精度は、調査される被験体の2つの異なる状態を正しく区別する試験能力を評価する。かかる状態は、例えば健常および疾患または良性疾患対悪性疾患である。
それぞれの場合において、ROCプロットは、判定閾値の全範囲について感度対1−特異性をプロットすることにより2つの分布間の重複を示す。y軸は感度であり、すなわち真陽性部分[(真陽性試験結果の数)/(真陽性の数+偽陰性試験結果の数)として定義される]である。また、これは疾患または状態の存在における陽性度と呼ばれる。これは罹患した亜群のみから計算される。x軸は偽陽性部分であり、すなわち1-特異性[(偽陽性結果の数)/(真陰性の数+偽陽性結果の数)として定義される]である。これは特異性の指標であり、罹患していない亜群全体から計算される。真陽性部分および偽陽性部分は、2つの異なる亜群からの試験結果を使用して全体的に別々に計算されるために、ROCプロットは、試料中の疾患の罹患率とは独立している。ROCプロット上の各点は、特定の判定閾値に相当する感度/1−特異性対を表わす。完全識別を有する試験(2つの分布の結果に重複はない)は、左上隅を通過するROCプロットを有し、この場合真陽性部分は1.0であり、すなわち100%(完全感度)であり、偽陽性部分は0(完全特異性)である。識別のない試験の理論プロット(2つの群の結果について同じ分布)は、左下隅から右上隅への45°の対角線である。ほとんどのプロットは、これらの2つの両端に入る。(ROCプロットは45°の対角線より下に完全に入る場合、これは「より大きい」から「より小さい」またはその逆へと「陽性度」の基準を逆転することによって容易に改善される。)定性的に、プロットが左上隅に近いほど、試験の全体精度は高くなる。
実験室試験の診断精度を定量する1つの便利な目標は、単一の数でその性能を表わすことである。最も一般的な世界基準は、ROCプロット下の面積である(曲線下面積=AUC)。取り決めとして、この面積は常に≧0.5である(そうでない場合、そうなるように判定規則を逆転することができる)。値は1.0(2つの群の試験値の完全な分離)〜0.5(2つの群の試験値間に明らかな分布差はない)の範囲である。面積は、対角線に最も近い点または90%特異性での感度などのプロットの特定の部分だけでなくプロット全体にも依存する。これは、ROCプロットが完全なもの(面積=1.0)にいかに近いかについての定性的で記述的な表現である。
好ましい態様において、本発明は、少なくともヘモグロビン/ハプトグロビン複合体およびカルプロテクチンの濃度を試料中で測定すること、ならびに測定された濃度をCRCの存在または非存在に相関させることによって、結腸直腸癌、即ちCRCに罹患する患者対対照即ちCRCのない患者の診断精度を改善する方法に関する。これによって改善がもたらされ、いずれかのマーカー単独に基づく分類と比べて、多くの患者がCRC罹患対健常対照として正しく分類される。また、ヘモグロビン/ハプトグロビン複合体およびカルプロテクチンを含むCRCマーカーパネルは、もちろん、CRCに罹患する患者のための疾患の重症度の評価に使用され得る。
当業者が理解するように、1つ以上のさらなる生物マーカーがCRCの評価をさらに改善するために使用され得る。CRCの評価のためのマーカーパネルの重要なマーカーとしてヘモグロビン/ハプトグロビン複合体およびカルプロテクチンを使用するこのさらなる可能性を示すために、用語「少なくとも」が添付の特許請求の範囲に使用されている。言い換えれば、1つ以上のさらなるマーカーについて測定されたレベルが、CRCの評価においてヘモグロビン/ハプトグロビン複合体およびカルプロテクチンの測定値と組み合わされ得る。
ヘモグロビン/ハプトグロビン複合体およびカルプロテクチンと共に使用される1つ以上のさらなるマーカーは、CRCマーカーパネルの一部、即ちCRCの評価をさらに正確にするのに適切な一連のマーカーとみなされ得る。CRCマーカーパネルにおけるマーカーの総数は、好ましくは20個未満のマーカー、より好ましくは15個未満のマーカーであり、10個未満のマーカーがまた好ましく、8個以下のマーカーがさらにより好ましい。全部で3個、4個、5個または6個のマーカーを含むCRCマーカーパネルが好ましい。
従って、好ましい態様において、本発明は、ヘモグロビン/ハプトグロビン複合体およびカルプロテクチンの濃度ならびに1つ以上の他のマーカーの濃度を試料中で測定する工程、ならびにヘモグロビン/ハプトグロビン複合体、カルプロテクチンの濃度および1つ以上のさらなるマーカーの濃度を結腸直腸癌の非存在または存在に相関させる工程を含む、生化学マーカーによるインビトロでの結腸直腸癌の非存在または存在の評価方法に関する。
好ましくは、1つ以上の他のマーカーは、CEA、CYFRA 21-1、CA19-9、CA72-4、NNMT、PROC、およびSAHHからなる群より選択される。
「CYFRA 21-1」のアッセイは、循環中に存在するサイトケラチン19の可溶性断片を特異的に測定する。CYFRA 21-1の測定は、典型的に2つのモノクローナル抗体に基づくものである(Bodenmueller, H., ら、Int. J. Biol. Markers 9 (1994) 75-81)。Roche Diagnostics, GermanyのCYFRA 21-1アッセイでは、2つの特異的モノクローナル抗体(KS 19.1およびBM 19.21)が使用され、およそ30,000ダルトンの分子量を有するサイトケラチン19の可溶性断片が測定される。
糖質抗原19-9(CA 19-9)の測定値は、モノクローナル抗体1116-NS-19-9の使用によって規定される。およそ10,000ダルトンの分子量を有する糖脂質上の1116-NS-19-9-反応性決定基が測定される。このムチンは、ルイス血液型決定基のハプテンに相当し、多くの粘性膜細胞の成分である。(Koprowski, H., ら、Somatic Cell Genet. 5 (1979) 957-972)。CA19-9は、例えば製造業者の説明書に従ってRoche製品番号11776193を用いたElecsys(登録商標)分析器で測定され得る。
CA72-4アッセイは、2つのモノクローナル抗体を用いて血清中のムチン様腫瘍関連糖タンパク質TAG72を測定する。モノクローナルB72.3は、哺乳動物の癌転移の膜を多く含んだ抽出物に対して惹起された(Colcher, D., ら、Proc. Natl. Acad. Sci. 78 (1981) 3199-3203)。モノクローナルCC49は、高度に精製されたTAG72に特異的である。CA72-4は、製造業者の説明書に従ってRoche製品番号 11776258を用いたElecsys(登録商標)分析器で測定され得る。
癌胎児性抗原(CEA)は、およそ45〜60%の様々な糖質成分を有する単量体糖タンパク質(分子量およそ180.000ダルトン)である(Gold, P. and Freedman S. O., J. Exp. Med. 121 (1965) 439-462)。高濃度のCEAが結腸直腸腺腫の症例で頻度高く見られる(Fateh-Moghadam, A., and Stieber, P., Sensible use of tumor markers, Boehringer Mannheim, カタログ番号. 1536869 (英国),1320947 (ドイツ), ISBN 3-926725-07-9 ドイツ/英国, Juergen Hartmann Verlag GmbH, Marloffstein-Rathsberg (1993)。少し〜中程度のCEAの上昇(まれに> 10 ng/mL)が腸、膵臓、肝臓および肺の良性疾患(例えば、肝硬変、慢性肝炎、膵臓炎、潰瘍性大腸炎、クローン病、肺気腫)の20〜50%で生じる(Fateh-Moghadam, A., and Stieber, P., 上掲)。喫煙者も、上昇したCEA値を有する。CEA測定の主な指示は、結腸直腸癌の追跡および治療管理である。
タンパク質ニコチンアミドN-メチルトランスフェラーゼ(NNMT; Swiss-PROT: P40261)は、見かけ分子量29.6 kDaおよび等電点5.56を有する。NNMTはCRCの評価において重要であることが最近分かった(WO 2004/057336)。WO 2004/057336に記載される免疫アッセイが、この研究の試料(CRC、健常対照および非悪性結腸疾患)を測定するために使用された。
タンパク質ピロリン-5-カルボキシレートレダクターゼ(PROC; Swiss-PROT: P32322)はまた、文献でPYCR1としても公知である。PROCは、ピロリン-5-カルボキシレートからプロリンへのNAD(P)H-依存性変換を触媒する。Merrill, M. J., ら、J. Biol. Chem. 264 (1989) 9352-9358では、ヒト赤血球ピロリン-5-カルボキシレートレダクターゼの性質が研究された。ピロリン生合成における必須および最終の一方向工程を触媒する従来の役割の他に、該酵素はヒト赤血球などのいくつかの細胞型でのNADP(+)の生成において生理学的な役割を果たし得ると著者らは結論付けた。PROCは、CRCのマーカーとして最近同定された(WO 2005/095978)。
タンパク質SAHH(S-アデノシルホモシステインヒドロラーゼ; SWISS-PROT: P23526)は、結腸直腸癌のマーカーとして最近同定された(WO 2005/015221)。対応するクローニングされたヒトcDNAは、48kDaタンパク質をコードする。SAHHは、以下の可逆反応: S-アデノシル-L-ホモシステイン+H2O⇔アデノシン+L-ホモシステインを触媒する(Cantoni, G. L., Annu. Rev. Biochem. 44 (1975) 435-451)。HershfieldおよびFrancke(Hershfield, M.S. and Francke, U., Science 216 (1982) 739-742)が、対応する遺伝子の場所を第20染色体に突き止め、後にCoulter-KarisおよびHershfield(Coulter-Karis, D.E. and Hershfield, M.S., Ann. Hum. Genet. 53 (1989) 169-175)が、完全長cDNAを配列決定した。最近、SAHHの構造が解明された(Turner, M.A.,ら、Cell. Biochem. Biophys. 33 (2000) 101-125)。
当業者が理解するように、1つ以上のさらなるマーカーが、診断精度をさらに改善するためにまたは必要な場合に特異性を犠牲にして診断感度を増大するためもしくはその逆のために使用され得る。いくつかの診断領域において、例えば、HIV感染の検出において、感度は最も重要である。必要とされる高い感度は特異性を犠牲にして達成され得、偽陽性症例の数の増大がもたらされる。例えば単純な例としての他の症例で、血液型抗原を評価する場合、特異性は最も重要である。
本発明の方法は、CRCの存在または非存在について無症状の個体のスクリーニングに適切であるように思われる。これを行う場合、特異性および感度の両方が最も重要である。CRCなどの低い罹病率を有する疾患のスクリーニングに使用される方法で、特異性は、少なくとも90%、好ましくはさらに95%、また好ましくはさらに98%または99%である必要があることが一般的に受け入れられている。言い換えれば、後者の場合で、偽陽性部分が2%以下、または1%以下のそれぞれである。これは、非常に高くない費用での追跡検査がかかる高いレベルの特異性で(偽陽性結果により)有害なく生じることを意味する。好ましくは、本発明の、生化学マーカーによるインビトロでの結腸直腸癌の非存在または存在の評価方法は、少なくとも90%、さらにより好ましくは少なくとも95%の特異性を有する。また、好ましくは、特異性は、少なくとも98%または少なくとも99%のそれぞれである。
本発明の、少なくともヘモグロビン/ハプトグロビン複合体およびカルプロテクチンを便試料中で測定することによるインビトロでの結腸直腸癌の非存在または存在の評価方法は、固定されたレベルの95%および98%それぞれの特異性の両方で、CRCの検出のための感度を改善した。
さらなる好ましい態様は、CRCの診断における、ヘモグロビン/ハプトグロビン複合体およびカルプロテクチンを含むマーカーパネルの使用に関する。ヘモグロビン/ハプトグロビン複合体、カルプロテクチン、ならびにCEA、CYFRA 21-1、CA19-9、CA72-4、NNMT、PROCおよびSAHHからなる群より選択される少なくとも1つのさらなるポリペプチドマーカーを含むマーカーパネルの使用がさらに好ましい。
好ましい態様において、少なくともヘモグロビン/ハプトグロビン複合体およびカルプロテクチンの濃度を便試料中で測定する工程を含む、生化学マーカーによりインビトロで結腸直腸癌の有無を評価する本発明の方法は、以下にいくらか詳細に記載される、便試料用の特別で新規の希釈剤を使用する。
好ましい便試料希釈剤は、バッファ、プロテアーゼインヒビター、および被検体(analyte)放出試薬、限定されないが、例えば界面活性剤またはカオトロピック試薬を少なくとも含む。特定の好ましい態様において、バッファはさらにブロッキング剤および/または保存剤を含む。
当業者は適切なバッファ系に精通している。好ましくは、バッファまたはバッファシステムは、リン酸緩衝化食塩水(PBS)、Tris-ヒドロキシメチルアミノエタン(トリス)緩衝化食塩水(TBS)、N-(2-ヒドロキシエチル)-ピペラジン-N'-2-エタンスルホン酸(HEPES)、および3-(N-モルホリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)からなる群より選択される。好ましくは、バッファは20〜200mMのモル濃度を有する。
便試料希釈剤のpHは、好ましくはpH6.5〜pH8.5のpH値、より好ましくはpH7.0〜pH8.0のpH値、さらに好ましくはpH7.2〜pH7.7のpH値に調整される。当業者は、便試料を便試料希釈剤で希釈および混合した後に所望のpHが達成されることを確実にするために、バッファ構成物の適切な濃度を選択することに困難はない。
便試料希釈剤はプロテアーゼインヒビターを含む。常に増大する数のプロテアーゼおよびそれに対応するプロテアーゼインヒビターがある。
1つの重要なクラスのプロテアーゼは、活性部位にアミノ酸セリンを有する、いわゆるセリンプロテアーゼである。セリンプロテアーゼの周知の例は、トリプシン、キモトリプシン、カリクレインおよびウロキナーゼである。当業者は、セリンプロテアーゼに対して特定のプロテアーゼインヒビターが活性であることに精通している。かかるプロテアーゼの阻害能力およびそれらの活性スペクトルは、例えば、Serva、Heidelberg、またはRoche Diagnostics GmbH、Mannheimなどの市販供給業者のデータシートに記載されている。好ましくは、セリンプロテアーゼインヒビターは、AEBSF-HCl(例えばServaカタログ番号12745)、APMSF-HCl(例えばServaカタログ番号12320)、アプロチニン(例えばRoche Diagnosticsカタログ番号10 981 532 001)、キモスタチン(例えばRoche Diagnosticsカタログ番号11 004 638 001)、Pefabloc(登録商標)SC(例えばRoche Diagnosticsカタログ番号11 585 916 001)およびPMSF(例えばRoche Diagnosticsカタログ番号10 837 091 001)からなる群より選択される。
さらに重要なクラスのプロテアーゼは、活性部位にアミノ酸システインを有する、いわゆるシステインプロテアーゼである。システインプロテアーゼの周知の例は、パパインおよびカルパインである。当業者は、特定のプロテアーゼインヒビターがシステインプロテアーゼに対して活性であることに精通している。これらのインヒビターのいくつかは、セリンプロテアーゼに対しても活性であり、例えばPMSFは、システインプロテアーゼのインヒビターおよびセリンプロテアーゼのインヒビターとして使用され得る。かかるプロテアーゼの阻害能力およびその活性スペクトルは、例えばServa、HeidelbergまたはRoche Diagnostics GmbH、Mannheimなどの市販供給業者のデータシートに記載されている。好ましくは、システインプロテアーゼインヒビターは、ロイペプチン(例えばRoche Diagnosticsカタログ番号11 034 626 001)、PMSF(上述参照)およびE-64(例えばRoche Diagnosticsカタログ番号10 874 523 001)からなる群より選択される。
さらに重要なクラスのプロテアーゼは、いわゆるメタロプロテアーゼである。メタロプロテアーゼは、活性中心に金属イオン、例えばZn2+、Ca2+またはMn2+を含むことを特徴とする。メタロプロテアーゼの周知の例は、カルボキシペプチダーゼAおよびBならびにサーモリシンなどの消化酵素である。当業者は、特定のプロテアーゼインヒビターがメタロプロテアーゼに対して活性であることに精通している。メタロプロテアーゼは、金属イオンに結合し、金属イオンと金属キレート錯体を形成する物質により最も容易に不活性化される。好ましくは、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、エチレングリコールビス(アミノエチルエーテル)四酢酸(EGTA)および/または1,2-ジアミノシクロヘキサン-N,N,N',N'-四酢酸(CDTA)を使用してメタロプロテアーゼを不活性化する。メタロプロテアーゼの他の適切なインヒビターは、ホスホラミドン(=N-(α-ラムノピラノシルオキシヒドロキシホスフィニル)-L-ロイシル-Lトリプトファン、二ナトリウム塩;例えばRoche Diagnosticsカタログ番号10 874 531 001)およびベスタチン(例えばRoche Diagnosticsカタログ番号10 874 515 001)である。これらのプロテアーゼインヒビターの阻害能力およびその活性スペクトルは、例えばServa、HeidelbergまたはRoche Diagnostics GmbH、Mannheimなどの市販供給業者の対応するデータシートに記載されている。メタロプロテアーゼの好ましいインヒビターは、EDTA、EGTAおよび/またはベスタチンである。
プロテアーゼのさらに重要なクラスは、アスパラギン(酸)プロテアーゼとして知られている。アスパラギンプロテアーゼは活性中心にアスパラギン酸残基を有することを特徴とする。アスパラギンプロテアーゼの周知の例は、ペプシン、カテプシンD、キモシンおよびレニンである。当業者は、特定のプロテアーゼインヒビターがアスパラギンプロテアーゼに対して活性であることに精通している。アスパラギン酸プロテアーゼの好ましいインヒビターは、α2-マクログロブリン(例えばRoche Diagnosticsカタログ番号10 602 442 001)およびペプスタチン(例えばRoche Diagnosticsカタログ番号11 359 053 001)である。
特定の適用について、特定のクラスのプロテアーゼを阻害することにより目的のポリペプチドを保護するプロテアーゼインヒビターを1つだけ含む便試料希釈剤を使用して、本発明の方法を適用することが可能である。
好ましくは、便試料希釈剤は、セリンプロテアーゼ、システインプロテアーゼ、メタロプロテアーゼおよびアスパラギンプロテアーゼからなる群より選択される2つのクラスのプロテアーゼに対して活性を有する少なくとも2つの異なるプロテアーゼインヒビターを含む。また好ましくは、適切なインヒビターカクテルにより、これらの酵素クラスの少なくとも3つが阻害される。好ましくは、便試料希釈剤は、セリンプロテアーゼ、システインプロテアーゼ、メタロプロテアーゼおよびアスパラギンプロテアーゼのそれぞれに対して活性なプロテアーゼインヒビターからなるプロテアーゼインヒビターカクテルを含む。
好ましくは、便試料希釈剤用のプロテアーゼインヒビターカクテルを設定するために、最大20の異なるプロテアーゼインヒビターを使用する。15以下の異なるプロテアーゼインヒビターを使用することも好ましい。好ましくは、便試料中のタンパク質被検体を安定化するために、十分なプロテアーゼ阻害を達成するには便希釈剤に含まれるプロテアーゼインヒビターは10種類以下で十分である。
好ましくは、プロテアーゼインヒビターはアプロチニン、キモスタチン、ロイペプチン、EDTA、EGTA、CDTA、ペプスタチンA、フェニルメチルスルホニルフルオライド(PMSF)およびPefabloc(登録商標)SCからなる群より選択される。好ましくは、プロテアーゼインヒビターカクテルはキモスタチン、ロイペプチン、CDTA、ペプスタチンA、PMSFおよびPefabloc(登録商標)SCを含み、アプロチニン、ロイペプチン、EDTAおよびPefabloc(登録商標)SCを含むプロテアーゼインヒビターカクテルを使用することも好ましい。
好ましい便試料希釈剤はまた、界面活性剤および/またはカオトロピック試薬を含む。通常、界面活性剤は、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両親媒性界面活性剤および非イオン界面活性剤に分類される。本発明の便試料希釈剤における使用に最適な界面活性剤および/またはカオトロピック試薬は、試料から目的の被検体を放出し得る必要があり、同時に、被検体の安定化を可能にすべきである。驚くべきことに、この危険な状況(tightrope walk)は、異なる界面活性剤またはカオトロピック試薬を使用することで達成され得る。好ましくは、本発明の便試料希釈剤に使用される被検体放出試薬は、Brij35(登録商標)、Tween20(登録商標)、Thesit(登録商標)、Triton X100(登録商標)およびNonidet P40などの非イオン界面活性剤の群、および/または尿素、SCN、グアジニウム塩酸塩(guadinium-hydrochlride)などのカオトロピック試薬の群等より選択される。試料として便試料を使用するほとんどの手法は、試験システム、例えばグアヤク試験の試験領域に便試料を直接移すことを必要とする。この手法は患者のコンプライアンス率を低減する。
取り扱い工程が少なく、かつ便試料のサンプリングおよび抽出がしっかりしているほど良い。
いくつかの最近の開発は、便試料のサンプリングおよび取り扱いを容易にするデバイスに焦点が当てられている。EP 1 366 715には、便試料の回収のための特殊な回収チューブが開示されている。この抽出チューブは、実質的に、(a)内部が空洞で、上部が開放され、かつバッファ溶液を受けることができる容器胴部、(b)糞便試料の回収のための連続した小さなロッドが備え付けられた上部フタ、前記連続した小さなロッドは容器胴部の上端に上部フタが付される場合に容器胴部内で軸方向に突き出る、および(c)前記容器胴部の内部の上部チャンバーと底部チャンバーを分離するように前記容器胴部の内部の中間位置に備え付けられた分割しきり、前記分割しきりは過剰な糞便を前記上部チャンバーに保持し、小さなロッドの連続部の前記底部チャンバーへの通過を可能にするように連続した小さなロッドの通過に適した軸穴を有する、を備える。この抽出チューブはさらに、底部が開放され、かつ容器胴部の底部端に移動可能に付され得る底部フタが備え付けられた容器胴部を有し、それにより、前記抽出チューブは、前記底部フタを取り外して容器胴部をひっくり返した後、自動分析装置の試料ホルダープレートに挿入される一次サンプリングチューブとして直接使用できる。より簡単に言うと、EP 1 366 715に開示されるチューブは、規定量の便試料の都合のよい取り扱いを可能にし、適切な抽出後にチューブを自動分析装置の試料ホルダーに直接置き得るという利点を有する。読者は、上述の特許において、この便サンプリングチューブの詳細な開示を見出し、その全開示は参照により本明細書に援用される。
WO 03/068398には、便試料の都合のよいサンプリングおよび取り扱いにも適した高性能便サンプリングデバイスが記載されている。このWO出願に開示されるデバイスの特徴は明確に言及され、その全体が参照により本明細書に包含される。WO 03/069343において、例えば両性イオン界面活性剤である10mM CHAPS(=3-[(3-クロルアミドプロピル)-ジメチルアンモニオ]-1-プロパンスルホネート)を含む抽出バッファを用いたWO 03/068398のデバイスにより、回収された便試料を抽出することが推奨される。
免疫アッセイ試験用便試料組成物の調製のために、便試料希釈剤中、最大で10wt%、好ましくは0.1wt%〜10wt%、より好ましくは0.5〜5wt%の便試料の分散液が作製される。好ましくは、便試料と希釈剤の混合は、上述のように予め便試料希釈剤を充填した適切なサンプリングチューブ中で直接行われる。
好ましくは、便試料は新たに回収され、便試料希釈剤中に直接提供される。中間の保存、輸送および/または取り扱いは必要ない。
ヘモグロビン/ハプトグロビン複合体およびカルプロテクチンそれぞれのレベルは任意の適切なアッセイ法により検出される。臨床的な日常業務において、ほとんどの場合、かかる方法は、標的抗原に対する抗体を使用する、いわゆる免疫アッセイである。ラテックス凝集、競合およびサンドイッチ免疫アッセイなどの種々の免疫アッセイ法は、便試料が例えば詳細に上述されるように調製される場合、便試料中のタンパク質被検体を検出するために実施され得る。
好ましくは、使用される免疫アッセイは異種免疫アッセイである。タンパク質被検体の検出が競合免疫アッセイの補助またはいわゆるサンドイッチ免疫アッセイの補助により達成されることも好ましい。
当業者は、便試料抽出物中に存在する標的抗原または標的被検体を検出し得る免疫アッセイの設定に問題はない。
例えば、かかる検出はサンドイッチ型免疫アッセイで実施され得る。典型的に、第1の抗被検体抗体は、直接または間接的に固相に結合する。言い換えると、標的抗原に結合する第1の抗体は、捕捉抗体として使用される。例えばヒト便試料の抽出物中の標的被検体を測定するために、抽出物は、適切な条件下で、捕捉抗体が被検体に結合し得るのに十分な時間インキュベートされる。標的抗原の検出のために、捕捉抗体に認識されるエピトープとは異なるエピトープに結合する、標的抗原に対する第2抗体または検出抗体が使用される。この第2抗体とのインキュベーションは、第1抗体とのインキュベーションの前後、または同時に実施され得る。
好ましくは、検出抗体は、直接または間接的な検出が促進されるように標識される。
直接検出のために、標識基は、色素、化学発光基などの発光標識基、例えばアクリジニウムエステルもしくはジオキセタン、または蛍光色素、例えばフルオレセイン、クマリン、ローダミン、オキサジン、レゾルフィン、シアニンおよびそれらの誘導体などの任意の公知の検出可能マーカー基から選択され得る。標識基の他の例は、ルテニウムまたはユーロピウム錯体などの発光金属錯体、例えばELISAまたはCEDIA(クローン化酵素ドナー免疫アッセイ、例えばEP 0 061 888)に使用される酵素、および放射性同位体である。
間接検出システムは、例えば検出試薬、例えばバイオアフィン(bioaffine)結合ペアの第1のパートナーで標識される検出抗体を含む。適切な結合ペアの例は、ハプテンまたは抗原/抗体、ビオチンまたはビオチンアナログ、例えばアミノビオチン、イミノビオチンもしくはデスチオビオチン/アビジンまたはストレプトアビジン、糖/レクチン、核酸または核酸アナログ/相補的核酸、およびレセプター/リガンド、例えばステロイドホルモンレセプター/ステロイドホルモンである。好ましい第1の結合ペアのメンバーは、ハプテン、抗原およびホルモンを含む。ジゴキシンおよびビオチンなどのハプテンならびにそれらのアナログが特に好ましい。かかる結合ペアの第2のパートナー、例えば抗体、ストレプトアビジン等は、通常、例えば上述の標識により、直接検出を可能にするために標識される。
免疫アッセイは当業者に周知である。かかるアッセイを実施するための方法、ならびに実施適用および手順は関連の教本に要約される。関連の教本の例は、Tijssen, P., Preparation of enzyme-antibody or other enzyme-macromolecule conjugates, In: Practice and theory of enzyme immunoassays, Burdon, R.H. and v. Knippenberg, P.H. (編), Elsevier, Amsterdam (1990), pp. 221-278)、ならびに免疫学的検出法を扱ったMethods in Enzymology, Colowick, S.P. and Caplan, N.O. (編), Academic Press) の種々の巻、特に70、73、74、84、92および121巻である。
上述の便試料希釈剤を基に、非常に都合のよい様式で便試料を扱うことが可能である。好ましくは、マーカーヘモグロビン/ハプトグロビン複合体およびカルプロテクチンの少なくとも1つを、上述のように便試料希釈剤中に回収された便試料から検出する。好ましくは、上述のように便試料希釈剤中に回収された便試料から両方の被検体が検出される。カルプロテクチンもしくはヘモグロビン/ハプトグロビン複合体のいずれかの検出において、またはこれらの被検体の両方の検出において、かかる便試料希釈剤の好ましい組成物を使用することも好ましい。
本発明はまた、ヘモグロビン/ハプトグロビン複合体およびカルプロテクチンそれぞれを特異的に測定するために必要な試薬を含む、本発明の方法を実施するためのキットに関する。
さらに好ましい態様において、該キットは、ヘモグロビン/ハプトグロビン複合体およびカルプロテクチンの両方の測定を実施するために必要な試薬およびさらに適切な便試料希釈剤が予め充填された便サンプリングデバイスを含む。
以下の実施例は、本発明の理解を補助するために提供され、その真の範囲が添付の特許請求の範囲に記載される。本発明の精神を逸脱することなく、記載される手順において変更がなされ得ることが理解されよう。
実施例1
便試料の処理
便試料中の目的の異なる被検体の測定を改善するために、「最適化抽出バッファ」が使用される。便試料の処理のために、プロテアーゼインヒビターカクテル(Mini Complete EDTA非含有、Roche, Germany)を以下のバッファに添加して、抽出バッファを新たに調製する:
便試料を解凍し、50〜100mgのそれぞれの試料を糞便試料調製キット(カタログ番号:10745804 Roche, Germany)に移す。便試料の重量にしたがって最適化抽出バッファを添加し、50倍希釈液を得る。試料をオービタルシェイカーで30分間激しく混合し、10mlチューブ(Sarstedt, Germany)に移して1200gで10分間遠心分離する。5μmカットオフフィルター(Ultrafree(登録商標)-CL, Millipore, Germany)を使用して上清を濾過し、等分して、さらなる分析のために-70℃で保存する。これらの便抽出物は、本試験における目的のバイオマーカー全てに適切である。
実施例2
便抽出物中の被検体の安定性
カルプロテクチンは、実施例1に記載される抽出方法を使用して調製された便抽出物中のヘモグロビン-ハプトグロビンよりも安定であると思われる。便抽出物を室温で1または3日間保存する場合、カルプロテクチンの平均回収率はヘモグロビン-ハプトグロビンの平均回収率よりも高く、より少ない消散を示すと思われる。安定性の評価に使用した20の試料中、5個はヘモグロビン-ハプトグロビン陰性であった:
実施例3
結腸直腸癌における臨床有用性試験
十分に特徴付けられた患者コホートから得られた便試料を分析して、臨床的な有用性を評価する。それぞれの患者について、同一の排便からの2つの便試料を測定し、濃度を分析する。アッセイの感度を向上させるために、2組の試料の1つで測定された最大濃度をさらなる分析に使用する。また、カルプロテクチンおよびヘモグロビン-ハプトグロビンならびにそれらの組合せの診断値を、Zweigら(上掲)に従ったROC分析により評価する。
試験集団
全ての被検体は大きな試験集団中で測定する(患者の特徴について:表2参照)。臨床的に十分に特徴付けられた多くの便試料を、多施設試験の枠組みで、先を見越して回収する。対照集団の患者(結腸内視術を行った)を胃腸病学ユニットで集め、平均リスクスクリーニング集団とする。炎症性腸疾患を有する患者および任意の種類の腺腫を有する患者を対照集団から除外する。スクリーニング集団中の結腸直腸癌患者の罹患率が低いために、癌患者由来の試料は異なる外科ユニットで回収する。結腸直腸癌の診断は医師が確認し、それぞれの癌患者について病理学的病期も提供する。グアヤクベースのFOBTプレスクリーニングによる患者の一般的な診断精密検査によりもたらされ得る任意の偏りを排除するために、可視的直腸出血または陽性FOBTのために最初に検出された全てのCRC患者をこの集団から除外する。なぜならこれらは、ヘモグロビンの利点に偏りをもたらすためである。
252人の対照個体から便試料を得る。これらのうち132人を結腸内視術でGI健常であると確認し、残りの対照試料はいくつかの関連のあるGI疾患を包含する。CRC集団はUICC病期I〜IVの101のCRC試料を含む(表3)。16人のCRC患者について正確な病期は不明である。
カルプロテクチン、ヘモグロビン-ハプトグロビンおよび他の便マーカーの組合せ
カルプロテクチンと便抽出物由来の他のバイオマーカーの組合せを評価する。マーカーカルプロテクチン、ヘモグロビン、ヘモグロビンとハプトグロビンのヘテロ複合体およびCEAを、市販のELISAを使用して測定する。ヘモグロビン、ヘモグロビン/ハプトグロビンおよびカルプロテクチンの測定のためのアッセイは、R-Biopharm, Germanyから入手する。カルプロテクチンELISAは、Calpro SA, Norway製であり、PhiCalTM試験としてドイツ国外で市販されている。CEAの測定のためのアッセイは、Roche Diagnostics, Germanyから入手する。いくつかのアッセイは便抽出物中の測定を目的とするが、CEAについて便は一般的に使用される試料材料ではない。したがって、抽出された便試料の測定について、アッセイを調整する必要がある。CEA測定について、試料(便抽出物)を前もって20倍希釈するが、そうでない場合、アッセイは製造業者の推奨にしたがって実施する。
マーカー組合せがCRCの診断を向上させるかどうかを試験するために、マーカーをベイズロジスティック回帰(BLR)によって組み合わせる。マーカー組合せの評価のためのBLRアルゴリズムにおいて、ガウス事前確率(prior)を使用してAlexander Genkin, David D. LewisおよびDavid MadiganのBBRソフトウェア(テキスト分類のための大規模ベイズロジスティック回帰、Technometrics)で実行する。以下の設定を使用する:自動特徴選択なし、事前分散を0.05に固定、閾値調整なし、および正規化による入力標準化。多くの方法について、0.0005の収束閾値、1000回の反復および非正確モードを有するデフォルト設定は変えずにそのままにする。基本アルゴリズムの結果を、モンテカルロクロス確認デザインで100回試行して評価する。それぞれの試行において、全症例および対照のそれぞれ2/3を、デフォルトランダム数発生器のための開始値19022007を用いたMatlab(登録商標)R2006a内蔵ファンクションランドサンプル(randsample)を介した訓練集合として選択する。基本アルゴリズムを訓練集合に適用して、診断規則を作成する。推定された後の症例確率についての閾値を、95%または98%の特異性それぞれを達成するように訓練集合の対照について決定する。次に、診断規則を残りの1/3のデータに適用し、所定の閾値での感度および特異性を推定する。
ヘモグロビンまたはヘモグロビン/ハプトグロビンについての任意の偏りを回避するために、事前FOBTプレスクリーニングなしのCRC患者だけを評価に使用する。スクリーニングアッセイにはROCプロットのAUCだけが関連するわけではない。スクリーニング設定における非常に重要な要件は、高い特異性での十分に良好な感度である。低い特異性は、不必要な追跡手順および患者の苦痛を伴う多数の偽陽性結果を生じるために、高い特異性が重要である。表4には、AUC値の評価、ならびに95%および98%それぞれのプリセット特異性での感度をまとめる。測定される個々のマーカーのいくつかをBLRによって組み合わせる場合、カルプロテクチンとヘモグロビン-ハプトグロビンの組合せによって、95%の曲線下面積を有する最高のAUC値が達成される。他方で、CRCの検出における全体的な感度は、ヘモグロビン-ハプトグロビンとカルプロテクチンの組合せにより95%および98%の両方の特異性レベルで向上され得る。両方の場合において、カルプロテクチンとヘモグロビン-ハプトグロビンの組合せの感度は、驚くべきことにカルプロテクチンとヘモグロビンの組合せよりも高い。これらのマーカー組合せは、CRC、特に初期病期のCRCを検出するために非常に重要であると考えられ得る。

Claims (5)

  1. 少なくとも
    a)ヘモグロビン-ハプトグロビン複合体および
    b)カルプロテクチン
    の濃度を便試料中で測定する工程、ならびに
    c)工程a)およびb)で測定された濃度を結腸直腸癌の非存在または存在に相関させる工程
    を含む、生化学マーカーによるインビトロでの結腸直腸癌の非存在または存在の評価方法。
  2. CEA、CYFRA21-1、CA19-9、CA72-4、NNMT、PROCおよびSAHHからなる群より選択される少なくとも1つのさらなるポリペプチドマーカーの測定をさらに含む、請求項1記載の方法。
  3. 結腸直腸癌の検出における、少なくともヘモグロビン/ハプトグロビン複合体およびカルプロテクチンを含むマーカーパネルの使用。
  4. 該マーカーパネルが、ヘモグロビン/ハプトグロビン複合体、カルプロテクチン、ならびにCEA、CYFRA21-1、CA19-9、CA72-4、NNMT、PROCおよびSAHHからなる群より選択される少なくとも1つのさらなるマーカーを含む、請求項3記載の使用。
  5. ヘモグロビン/ハプトグロビン複合体およびカルプロテクチンそれぞれを特異的に測定するために必要な試薬ならびに任意に測定を行うための補助試薬を含む、請求項1記載の方法を行うためのキット。
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