JP5224395B2 - Memsベースの露光モジュール及び関連技術 - Google Patents

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Description

本発明は、ファイバー状の基体にマイクロ構造を形成するための技術に関し、特に、フォトリソグラフィ用のマスクに関する。
半導体製造プロセスやMEMS製造プロセスにおいては、伝統的に、基体として平面状の基板が用いられてきた。これに対して、例えば円筒状や球状の基体を用いると、単位体積当りの表面積が増えるため、機能を高密度に実装することができ、同じ機能を有するデバイスを従来よりも小さく作ることができ、また、同じ大きさで従来よりも高度な機能を実装することが可能になる。さらに、例えば光ファイバーのような極細の基材にマイクロ機能構造を形成することができれば、これを織り上げて、様々な機能を有する大面積且つ柔軟なシートに仕立て上げることも可能であろう。このため、繊維状のマイクロデバイスの実現には大きな期待が寄せられており、医療や無線通信、ロボット、スマート環境など多くの技術分野に著しい発展をもたらすものと考えられている。そこで、これまでにも、細長い基体にマイクロ機能構造を形成するための取り組みがなされてきた。
このような技術の一種にソフトリソグラフィと呼ばれる技術がある(非特許文献1参照)。図1にソフトリソグラフィのプロセスの概要を示した。まず、柔軟性を有する材質で形成されたフォトマスク(101)を準備し、これをフォトレジスト(102)が塗布された湾曲基体(103)に密着させ、マスクの上から露光(104)する。マスクを剥離すると、露光された部分と露光されていない部分からなるパターン(105)を得ることができる。この技術は、柔軟性を有するマスクを用いることから、湾曲した面にフォトリソグラフィ技術を用いてパターンを転写することができる。なお、図1は非特許文献1の図7の一部を抜粋して利用したものである。
しかしながら、ソフトリソグラフィにおいては、フォトマスクを基材に密着させ、剥離するという工程が必要となるため、径の細い基材へのパターン転写には向いていない。特に、直径が4mm以下となると、特に剥離工程においてフォトレジストを一緒に剥がしてしまう問題が深刻となる。また、柔軟性を有するとはいっても、転写工程のたびに曲げられることは、マスクの寿命をかなり短くする。特に、基材の径が細くなればなるほど、フォトマスクも大きく曲げられなければならないため、曲げ負荷がより強くかかり、劣化も早まってしまう。このため、ソフトリソグラフィは、径の細い基体へのリソグラフィには適していない。さらに問題であることには、この技術は、フォトマスクの装着・剥離工程が存在するために、連続プロセスには全く適していないことである。従って、ソフトリソグラフィ技術を、細く且つ長尺のファイバーに対するリソグラフィ手段として応用することは、非常に困難である。
非特許文献2には、光造型法を用いてマイクロコイルを製造する技術が記載されている。光造型法は、3次元CADデータに従って、液状の光硬化性樹脂を紫外線レーザーにより硬化させて所望の3次元構造を得る技術である(図2参照)。光造型法は、マイクロコイルなどの3次元構造を製造することは可能であるが、基体上に回路パターンを形成することは不可能である。また、光造型法では、長尺の構造体を形成することは製造設備上の制約から非常に困難であり、樹脂の硬化にも時間がかかることから、連続プロセスにも適した方法とはいえない。さらにコストも非常に高い。
非特許文献3には、強力なシンクロトロン光によって基体からマイクロコイルを直接削り出す技術が記載されている。この技術の概要を図3に示す。図示されるように、(a)回転軸302の周りにPTFE樹脂層304を形成し、(b)PTFE樹脂層304を回転させつつ、マスク306を介してシンクロトロン光を照射し、削り出しを行う。削り出しが終わると(c)のようなマイクロコイルが軸302の周りに出来上がる。
円筒状の基体を回転させつつ、マスクを介して強力なシンクロトロン光を照射し、基体からマイクロコイルを直接削り出す技術が記載されている(図3参照)。しかし、現実的な速度で基体を削ることができるほど強力なシンクロトロン光を得ることは、ごく限られた施設でしか可能ではなく、この方法が商業ベースで実用化されることはまず考えられない。
このほか、特許文献1〜3には、球状の基体の表面を一様に露光してパターンの転写を行いうる技術が記載されている。しかし、この技術は球状基体に対する露光方法であり、長尺の基体にマイクロ機能構造を形成することには向いていない。
J. G. Kim, N. Takama, B. J. Kim, H. Fujita, Optical-softlithographic technology for patterning on curved surfaces, Journal of Micromechanics and Microengineering, 19 (2009) 055017 C. Sun, N. Fang, D. M. Wu, X. Zhang, Projection micro-stereolithography using digital microy-mirror dynamic mask, Sensors and Actuators A 121 (2005) 113-120 T. Katoh, N. Nishi, M. Fukagawa, H. Ueno, S. Sugiyama, Direct writing for three-dimensional microfabrication using synthcrotron radiation etching, MEMS 2000
特開平11−195580号公報 特開平11−121368号公報 特開平11−111609号公報
本発明は、これらの背景に鑑みてなされたものであって、ファイバー状の細長い基体にマイクロ構造を形成するための技術を提供することを目的とする。
本発明の範囲には、ファイバー状の細長い部材にフォトリソグラフィ技術によってパターンを転写するための新規な露光モジュールが含まれる。この露光モジュールは、入口及び出口を有する筒状の空洞が設けられる透光性の基体と、前記筒状の空洞の壁面に設けられた遮光パターンとを有することを特徴とする。
前記筒状の空洞は、例えば円筒状の空洞であることができる。この空洞に、フォトレジストを塗布したファイバー状の部材を挿入し、モジュールの外側から光を照射することにより、露光を行うことができる。露光が終わったファイバー部分はモジュールから引き出して、次に露光するべきファイバーの部分をモジュール内に位置させて露光を行うというステップを繰り返すことにより、長尺のファイバー材の各部分を順々に露光していくことが可能となる。すなわち長尺のファイバー材に対する事実上連続的なリソグラフィ手段が提供される。
そして、この露光モジュールは、ソフトリソグラフィで用いられるフレキシブルマスクのように使用時に折り曲げられることがないので、劣化が極めて遅く、長く使い続けることができる。
前記露光モジュールは、好ましくは露光する部材を支持・案内する構造を備えていることが好ましい。一例では、モジュールの前記筒状空洞の入口及び出口付近に形成され、露光される部材を潤滑液を介して又は介さないで摺動可能に支持する部材支持部が設けられる。前記遮光パターンは、前記部材支持部より奥の部分の壁面に設けられる。むろん、前記潤滑液は、露光プロセスに悪影響を与えないものであることが好ましい。
前記部材支持部は、露光中にモジュールを支持するだけでなく、遮光パターンに対して露光する部材を所定の場所に位置させるという位置決めの機能を果たす。従って、露光する部材がぐらつくことなくしっかり支えられるように、前記部材支持部の形状は、露光する部材の外形にほぼ等しいことが好ましい。しかしながら、横方向の位置合わせを行うべく部材を摺動させる際に部材やモジュールが摩擦により損傷することを防ぐべく、前記部材支持部は、潤滑液を介して露出する部材を支持しうるように構成されてもよい。
この構成によれば、露光モジュールに部材を通すだけで、遮光パターンとの間隔が自動的に定まってしまうため、縦方向の位置決めを精度良く簡単に行うことができる。
横方向の位置決めのためには、例えば環状のマークなど、位置決めに使用しうる何らかのマークを露出モジュールに設けておくことが好ましい。
前記露光モジュールにおいて、遮光パターンが形成される部分の内径は、前記部材支持部の内径よりも若干大きくされることが好ましい。このようにしておくと、部材が遮光パターンに接触しないため、部材をスライドさせたときに摩擦で遮光パターンが壊れることを防止することができる。ただし、露光時に光の散乱を防ぐために、モジュール空洞の内壁面と露光する部材との間の空間は、モジュールの基材と屈折率が同じか少なくとも極めて近い液体で満たされることが望ましい。または、光の屈折を積極的に利用し、高屈折率の液体を満たしてステッパーの開口率を向上させる、いわゆる液浸リソグラフィが知られており、この技術に用いられる液体を使用することができる。これらの液体は、前述の潤滑液としての機能も果たすことができる。
本発明は、前述の露光モジュールを製造するいくつかの方法をもその範囲に含む。該露光モジュールは、筒状空洞の中心軸を通る平面によって分割される複数の部分に分けて製造することができるが、当該部分を製造する方法の一例は、
・ 溝面が円筒面の一部を為す溝を透光性の基体上に形成する工程と、
・ 前記溝面に、抗接着性物質の皮膜を形成すると共に、該抗接着性物質の皮膜上に金属皮膜を形成し、さらに該金属皮膜上に接着性物質の皮膜を形成する工程と、
・ 前記接着性物質の皮膜上に透光性の樹脂を積層する工程と、
・ 前記樹脂を硬化させると共に、該樹脂を前記金属皮膜ごと前記透光性基体から剥離する工程と、
・ 前記剥離した樹脂に対し、前記透光性基体の溝に対応して形成された隆条が覆われるように、前記金属皮膜上からフォトレジストを塗布すると共に、フォトエッチングによって前記金属皮膜をパターンに形成する工程と、
・ 前記樹脂が剥離された前記透光性基体に対し、前記抗接着性物質を除去すると共に、前記溝面を覆うように第2の金属皮膜を形成し、さらに該第2の金属皮膜上にフォトレジストの層を形成する工程と、
・ 前記パターンが形成された前記樹脂を、前記隆条が前記溝に再び収まるように、前記透光性基体に重ねる工程と、
・ 前記樹脂上の前記パターンをマスクとしてフォトエッチングを行うことにより、前記樹脂上の前記パターンを前記第2の金属皮膜に転写する工程と、
を含む。
前述の部分を製造する方法の別の一例は、
・ 溝面が円筒面の一部を為す溝を透光性の基体上に形成する工程と、
・ 前記溝上に透光性の樹脂を積層し、硬化後に剥離する工程と、
・ 前記剥離した樹脂に対し、前記透光性基体の溝に対応して形成された隆条を覆うように金属皮膜を形成すると共に、前記金属皮膜をパターンに形成する工程と、
・ 前記樹脂が剥離された前記透光性基体に対し、前記溝面を覆うように第2の金属皮膜を形成し、さらに該第2の金属皮膜上にフォトレジストの層を形成する工程と、
・ 前記パターンが形成された前記樹脂を、前記隆条が前記溝に再び収まるように、前記透光性基体に重ねる工程と、
・ 前記樹脂上の前記パターンをマスクとしてフォトエッチングを行うことにより、前記樹脂上の前記パターンを前記第2の金属皮膜に転写する工程と、
を含む。
これらの製造方法の利点を含め、本発明に関するその他の目的や構成、作用効果は、例示的な実施形態を用いて後に詳述される。
従来技術である、ソフトリソグラフィプロセスの概要を説明するための図 従来技術である、光造形法を用いたマイクロコイルの製造を説明するための図 従来技術である、シンクロトロン光を用いたマイクロコイルの製造を説明するための図 実施例として紹介するMEMS露光モジュールの概要を説明するための図である。 実施例として紹介するMEMS露光モジュールの概要を説明するための図である。 実施例として紹介するMEMS露光モジュールの概要を説明するための図である。 MEMS露光モジュール400を、その長手方向の中心軸で切断した断面図である。 MEMS露光モジュール400の部分402や404を製造する方法の第1の例の工程を説明するための図である。 半円溝602を形成した基体601の光学顕微鏡写真である。 部品600を図6(e)の符号618の方向から撮影した光学顕微鏡写真である。 部品600を図6(e)の符号620の方向から撮影した光学顕微鏡写真である。 MEMS露光モジュール400の部分402や404を製造する方法の第2の例の工程を説明するための図である。 MEMS露光モジュール400の部分402や404を製造する方法の第2の例の工程を説明するための図である。 MEMS露光モジュール400の部分402や404を製造する方法の第3の例の工程を説明するための図である。 ファイバー状基体に形成しうる微小温度計の回路パターン例1100を示す図である。 MEMS露出モジュール400を利用して、ファイバー状基体に微小温度計回路パターン1100を形成するプロセスを説明するための図である。 MEMS露出モジュール400を利用して製造しうるマイクロインダクタを説明するための図である。 図13Bのマイクロインダクタ1320を、MEMS露出モジュール400を利用して製造するプロセスの例を説明するための図である。
以下、本発明のより深い理解に資するために、好適な実施例の説明を通して、本発明の様々な側面について図面を用いて詳細に説明する。
本発明の好適な実施形態は、直径が1mm以下ともなりうる非常に細いファイバー状基材のための、低コストで高解像度のリソグラフィ技術を提供しうる。このリソグラフィ技術は、本明細書で「MEMS露光モジュール」と呼ばれるものを利用する。「MEMS」露光モジュールと呼ぶ理由は、この露光モジュールがMEMS技術を用いて製造されうるからである。図4Aに、実施例として紹介するMEMS露光モジュール400の径方向の断面図を示す。MEMS露光モジュール400は、上半分の部分402と下半分の部分404とに分けて製造され、これらを接合して製造される。モジュール400の中央部分には円筒形の孔(空洞)406が形成される。この空洞に、露光されるファイバー部材420が挿入せしめられる。図4Bに、空洞406にファイバー部材420を挿入した様子を描いた。空洞406の内面には露光により転写されるべきマスクパターン408が設けられる。MEMS露光モジュール400は、全体としては直方体状の外観を呈し、空洞406の中心線の方向はモジュール400の長手方向の軸に一致する。(なお、これが単に例示的な形状であり、本発明の実施形態の形状を限定するものではないことには注意されたい。)
部分402,404の接合面は、空洞406の中心線を通る面上に位置する。従って、これらの部分に形成される半円筒状の溝は、それぞれ空洞406のちょうど半分を形成する。本実施例では2つの部分に分割されているが、製造上必要であれば、もっと多くの部分に分けて製造してもよい。が、空洞406の形状が円筒状である場合は、2つの部分に分ければ、製造の容易さを確保するという目的に十分に叶うだろう。これらの部分はMEMS又は他の既存のパッケージング技術を用いて接合される。各部分の基体には、リソグラフィを行おうとするファイバーの寸法に応じて、マイクロ加工プロセスや精密加工プロセスを利用して溝が形成される。図4Cは、図4Aに描かれたモジュール400の下半分404を描いた断面図であるが、断面が半円となる半円筒状の溝414が形成されていることが分かる。この溝が部分402の対応する溝に組み合わされることにより、図4Aに描かれる円筒空洞406が形成される。溝414は、既存のドライエッチングやウェットエッチングの技法を用いて容易に形成することができる。
モジュール400は、露光用の光を通過させなければならないので、透光性の高い物質で形成される必要がある。また、加工性の高い物質であることも望ましい。このような要求に叶う材料の一例は石英やガラスである。無論、これらの物質に限られるものではない。パターン408は、露光時にマスクとして利用されるため、金属その他の遮光性の物質で形成される必要がある。好適なマスク材料の一例として、MEMS製造プロセスによく適合するという利点から、Cr/Cr2O3を挙げることができる。
図5は、MEMS露光モジュール400を、その長手方向の中心軸で切断した断面図を表したものである。図4Aに描かれた、モジュール400の上半分402は、マスクパターン408が設けられる部分402aと、その他の部分402bとに分けられる。同様に、モジュール400の下半分404(図4A参照)も、マスクパターン408が設けられる部分404aと、その他の部分404bとに分けられる。
部分402b,404bは、モジュール400の入口及び出口付近、すなわち図4Aで符号406で示された空洞の406の入口及び出口付近に形成され、空洞406を貫通するファイバー420を支持する役目を果たす。このため、部分402b及び404bで画定される孔の内径は、ファイバー420の外径にほぼ一致するように形成されることが望ましい。これに対してマスクパターン408が設けられる領域、すなわち部分402a及び404aで画定される孔の内径は、ファイバー420の外径よりも若干大きくなっている。これは、ファイバー420の給送中に、ファイバー420とマスクパターン408が接触し、マスクパターン408が損傷することを防ぐためである。
露光モジュール400を用いた長尺ファイバー部材420へのリソグラフィプロセスは、露光を行う部分を位置決めしてモジュール400内にセットして、露光を行い、ファイバー420を給送して露光を終えた部分を引き出し、次に露光を行う部分をモジュール400内にセットして、再び露光を行うという、段階的プロセスによって行われる。図5では、露光を終えてパターンが転写された箇所が符号42で示されている。従って、このリソグラフィプロセスは、「連続的」又は「逐次的」と表現できる。
ファイバー420の各位置に露光されるパターンがそれぞれ同じような解像度で形成されるためには、ファイバー420の心材422の周りに形成されたフォトレジスト層424と、マスクパターン408との距離が、各露光段階において同一である必要がある。この点で、部分402b及び404bで画定される孔の内径を、ファイバー420の外径にほぼ一致するように形成しておけば、当該孔は、ファイバー420を支持するだけでなく、フォトレジスト層424とマスクパターン408との距離を一定に保つ働きも有することになるので、非常に有利である。すなわち部分402b及び404bで画定される孔は、ファイバー420の支持機能に加えて、ファイバー420の径方向の位置決めの機能をも有する。
前述のように、部分402a及び404aで画定される孔の内径は、マスクパターン408の接触破損を防止すべく、ファイバー420の外径よりも若干大きく形成されることが好ましい。MEMSプロセスは非常に高精度の加工が可能であるので、露光ギャップが数μm以下になるように精密に制御することが可能である。しかし、たとえごく僅かなギャップであったとしても、マスクパターン408とフォトレジスト層424とが離間していると、露光時に光の屈折や散乱が生じる可能性があることから、高精度のパターン形成という点からは不利である。そこで、露光中は、マスクパターン408とフォトレジスト層424との間の空隙を、部分402a及び404aの部材にできるだけ近い屈折率を有する液体で満たすことが好ましい。無論、可能であれば、この液体の屈折率は、部分402a及び404aの屈折率と完全に等しいことが好ましい。このようにすることで、マスクパターン408とフォトレジスト層424とが離間していることに起因する光の屈折や散乱の影響を極限まで抑えることが可能となる。
または、光の屈折を積極的に利用し、ギャップに高屈折率の液体を満たすこととしてもよい。高屈折率の液体を満たすことでステッパーの開口率を向上させる、いわゆる液浸リソグラフィが知られており、本発明の実施形態においても同様の原理を応用することができる。
さらに、これらの液体は、部分402b及び404bで画定される孔の部分において、ファイバー給送時の摩擦を減らすための潤滑液として役割も果たすことができる。従って、部分402b及び404bで画定される孔の内径は、ファイバー420の支持のためにはその外径にできるだけ一致することが好ましいが、これらの間に潤滑液が介在できる程度のごく僅かな隙間はあったほうが好ましい。
部分402a及び404aの材質は、図5に概念的に示されているように光500を透過させる透光性の材質で形成される必要があるが、部分402b及び404bについては、必ずしも透光性の材質である必要はなく、余計な光をレジスト層424に照射しないためには、むしろ光を透過させない材質で形成されることが好ましい。部分402b及び404bを部分402a及び404aと同じ材質で形成する場合、部分402b及び404bの筒面は、遮光性の物質でコーティングすることが好ましい。
続いて、MEMS露光モジュール400の製造方法の例についていくつか説明する。前述のように、MEMS露光モジュール400は2つの部分402と404に分けられて製造され、後に接合される。以下に説明するのは、これらの部分402または404を製造する方法である。
〔製造方法例1〕
図6に、MEMS露光モジュール400の部分402や404を製造する方法の第1の例の工程を示す。
図6(a)は、直方形の基体601に、半円筒状の溝602を形成する段階を示す。基体601は、前述のMEMS露光モジュール400の部品402や404の基体であり、従って石英やガラスなどの透光性の材質で作られる。また溝602は、図4Aなどに描かれた空洞406の半分に対応するものである。半円溝602は、トライエッチングやウェットエッチングといった周知の技法を用いて容易に形成することができる。図7に、半円溝602を形成した基体601の光学顕微鏡写真を示す。
続いて図6(b)に示すように、基体601の表面に金属層604を電気めっき等の技法により形成し、その上にスプレーコーティング等の技法によりフォトレジスト層606を形成する。これらの層形成は、半導体製造プロセスにおいて良く知られている技法を用いることができる。金属層604やレジスト層606は、基体601の表面の前面を覆う必要は必ずしもないが、半円溝602の溝面は少なくとも覆うように形成されることが好ましい。金属層604は、後に光を遮るマスクとして形成されるため、光を通さないものである必要がある。例えばCr/Cr2O3の層であることができる。
さらに続いて、図6(c)に示すように、フォトマスク608を介して光610をフォトレジスト層606に照射し、露光を行う。これを現像すると、図6(d)に示すように、金属層604上にフォトレジストのパターン606aが残る。さらに適当なエッチング処理を施すことにより、金属層のうち不要な部分や残ったレジストが除去され、半円溝602の内面に金属層604のうち必要な部分が残り、金属のパターン604aが形成される(図6(e)参照)。これらの工程によって部品600が完成する。部品600は、MEMS露光モジュール400の部分402又は404でありうる。
図8aは、部品600の光学顕微鏡写真である。この写真は、図6(e)の矢印618の方向から撮影したものである。半円溝は矢印602で示されているが、黒く写っている符号602aで示した部分が溝壁の部分であり、符号604aで示した部分が形成された金属マスクパターンである。なお、図6と図8aで同じ構成には同じ符号が用いられていることを念のために記しておく。図6の方法にてきれいなマスクパターンを形成しうることが写真から理解しうるであろう。
符号622で示した矩形パターンや、符号624で示した格子パターンは、2つの部品600を貼り合わせて図4Aに示すような露光モジュールに仕上げる際に、位置合わせに使用するマークである。このようなパターンは、一度の露光プロセスで簡単に形成することが可能である。マーク622や624は、2つの部品600を接合する際だけではなく、ファイバーを給送する際の横方向の位置決めを行うためにも使用されうる。このような位置合わせ用のパターンは、マイクロコイルや似たような構造を製造するにおいて便利なものであるが、このようなパターンや他の位置合わせマークを精度良く形成することは、従来のソフトリソグラフィプロセスなどでは困難である。
図8bは、部品600を図(e)の矢印620の方向から撮影した光学顕微鏡写真である。写真で明らかなように、半円溝602及びその中の金属マスクパターン604aが写っている。また、溝壁部分602aにおいても薄い線状の構造が写っており、この部分にも金属マスクパターンが形成されていることが分かる。これらのマスクパターンは、露光によりファイバー基材420にコイルパターンを形成することが意図されている。矢印620の方向から撮影しても溝構造が写っていることから、基体601が透明であることが分かる。つまり、基体601はフォトリソグラフィプロセスにおける露光用の光を通過させうる材質で形成されている。
図6の製造方法の弱点は、マスク608と半円溝602の底部との間に距離があるため、露光時に光の屈折や散乱の影響でリソグラフィの解像度が落ちてしまうことである。このため図6の製造方法は、溝が比較的浅い場合、例えば直径が100μm以下である場合(すなわち最大深度が50μm以下である場合)に使用することが好ましい。溝がより深い場合は、次に示す製造方法を用いることが好ましい。
〔製造方法例2〕
図9に、MEMS露光モジュール400の部分402や404を製造する方法の第2の例の工程を示す。
図9(a)に示す工程は、直方形の基体601を準備し、それに半円筒状の溝602を形成する工程であり、図6(a)の工程と同一である。なお、図6と同一要素には同一符号を付してある。図9(b)の工程は、図6(b)の工程とは異なり、基体601の表面に形成される皮膜902は、DTSなどの抗接着性物質の皮膜である。抗接着性物質皮膜902の上に、薄膜形成技術を利用して金属薄膜904を形成する。この皮膜は後にフォトマスクとして利用するため、光を通す材質であってはいけない。最も好適な皮膜材料の一つはCr/Cr2O3である。
続いて、金属層904の上に接着性物質を塗布し、その上にPDMSの層を形成する(図9(c))。PDMSは、半円溝602の形状に合わせて硬化せしめられる。すなわち、図9(c)の工程は、基体601を型としてPDMSを成形する、モールディングプロセスである。PDMSを硬化させた後、PDMS成形物906を基体601から剥離すると、基体601と金属層904との間に抗接着性物質皮膜902が存在し、金属層904とPDMS成形物906との間には接着性物質が塗布されていたことから、金属層904はPDMS成形物906へ貼り付いたまま基体601から剥がれることになる(図9(d))。PDMS成形物906には、半円溝602に対応する半円筒形の隆条907が形成される。PDMS成形物906は、続く工程で、基体601のためのフォトマスクとして制作される。
図9(e)の工程では、まずPDMS成型物906の金属層904上にスピンコーティングやスプレーコーティングなどの手法を用いてフォトレジスト層908を形成すると共に、フォトマスク910を準備し、フォトレジスト層908にフォトマスク910を介して光912を照射することにより、露光を行う。これを現像し、エッチング処理によって不要なレジスト及び金属を除去すると、図9(f)に示すように、金属層904が、フォトマスク910のパターンに対応したパターン904aへと加工される。
一方、図9(g)の工程では、PDMS成形物906が剥離された基体601の表面を清掃し、特に抗接着性物質皮膜902をきれいに除去し、改めて金属層914を形成する。金属層914は、少なくとも半円溝602を覆うように形成されることが好ましい。金属層914もCr/Cr2O3などによって形成されることができる。さらに、スピンコーティングやスプレーコーティングなどの手法を用いて、金属層914の上にフォトレジスト層916を形成する。
図9(h)の工程では、金属及びフォトレジストの皮膜が形成された基体601に、マスクパターン904aが形成されたPDMS成形物906を重ね合わせる。PDMS成形物906の隆条907は、もともと基体601の半円溝602を型として形成されたものであるので、PDMS成形物906と基体601とはほとんど隙間なく嵌め合わせることができる。さらに図9(i)の工程では、接触面とは反対側から光918を照射することにより、PDMS成形物906(のパターン904a)をマスクとして、フォトレジスト層916を露光する。PDMSは透明であるため、光を通過させることに留意されたい。この露光により、マスク904aのパターンをレジスト層916へ転写することができる。
露光の完了後、PDMS成形物906を取り外し、現像及びエッチング処理により不要なレジスト及び金属を除去すると、図9(j)に描かれるように、溝602の内面に金属層914を由来とする金属パターン914aを得ることができる。図9(j)には、完成した部品が符号900で表されているが、これは図6の部品600に対応する部品であり、MEMS露光モジュール400の部品402又は404でありうる部品である。
図9の製造方法の利点は、マスクと転写層(フォトレジスト)との距離を著しく短縮できることである。
図6の製造方法では、図6(c)に描かれるように、溝602とマスク608との距離が開いてしまっている。マスク608が平面状であるため、マスク608を溝の底部に位置させることは不可能であり、せいぜいマスクを溝の開口部のすぐ上上に設置することくらいしかできない。このため、溝の奥部とマスクとの間には一定の間隔が開くことにならざるを得ない。すると、マスクのエッジからフォトレジストに届く光に多少の屈折が生じることは避けられないので、転写されるパターンが滲んでしまい、高精度の転写を行うことが困難となる。
しかし、図9の製造方法では、図9(h)(i)に描かれるように、マスク(904a)とフォトレジスト層(916)は接触又は極めて近接しているので、光の屈折や散乱が問題とならず、高精度の描画を行うことが可能になる。
図9(c)の工程において、PDMSははじめ液体状態で溝602に流し込まれるので、溝602の形状が如何なる形状であろうとも、その形状にぴったり合った形に適応し、硬化することができる。従って、マスク(904a)とフォトレジスト層(916)との形状は非常によく一致し、接触性は極めて良好である。この特徴は、高精度の描画を行う上で非常に有利な点である。なお、本発明の実施形態で用いることのできる材料はPDMSに限られる訳ではなく、PDMSと同様に、液体相から硬化し、透光性を有する材料であれば、PDMSの代わりに用いることができる。
図9の製造方法のさらなる利点は、隆条状のマスク904aの頂部付近で、最も高精度のマスクを形成できることである。これは、すなわち溝602の底部付近で最も解像度の高い描画を行うことができるという結果をもたらす。
図9(e)に描かれるように、溝602に対応する部分907が突き出ていることから、レジスト層908のうちマスターマスク910に最も近接する部分は隆条907の頂部ということになる。従って、マスターマスク910を通過した光の屈折や散乱の影響を受けることが最も少ないのが隆条907の頂部ということになる。さらに、隆条907の頂部においては接平面が光912に対して垂直に近くなるため、その点でもさらに解像度の高い描画が可能になる。これらの理由より、マスク904aにおいて最も高精度のパターンが形成さる。
このPDMS成型物906を用いて基体601のレジスト層916の露光を行う図9(h)(i)のステップにおいては、最も精度の高いパターンが隆条部907の頂部付近であることと、光918に対して接平面が垂直に近いとの理由で、溝602の底部において、最も解像度の高い描画が可能になる。
図5に描かれるように、ファイバー420の露光時に、光は部品402と404の接合面に対して垂直に照射される。このため、ファイバー420において接平面が光に対して垂直になり、描画条件の最も良い場所は、図5におけるファイバー420の上部と下部、すなわち部品402と404の接合面から最も遠い部分であり、つまり図6や図9で半円溝602の底部付近ということになる。従って、この付近に最も精度を必要とする機能パターンを描画できることが好ましい。例えば図9に具現化される製造方法の発明は、正に半円溝の底部において最も精度の高いマスクパターンを形成することを可能とするので、ファイバー材への適切なパターン描画を行う上で、非常に利益が大きい。
上記の製造方法によっても、PDMSマスクの隆条の根本付近、すなわち露光モジュールの溝の開口部付近に対応する部分おいては、露光用の光に対してマスクパターンが斜めに形成されてしまうため、隆条の頂部(溝の深部)に比べると、解像度は低下する。そこで、これらの部位には、隆条の頂部(溝の深部)よりは、精度を必要としない機能部分(例えば単なる配線など)のパターンを形成することが好ましい。
図9の製造方法は、溝602の深さに依らず適用しうるが、特に、図6の製造方法ではマスク608と溝602の底部との距離に依存する悪影響が目立ち始める、溝の直径が100μm以上である場合(すなわち最大深度が50μm以上である場合)に特に利益が大きい。
〔製造方法例3〕
図10に、MEMS露光モジュール400の部分402や404を製造する方法の第3の例の工程を示す。図9の製造方法との違いは、PDMS成型物に金属皮膜を直接形成し、柔軟なステンシルマスクを用いたソフトリソグラフィによってマスクパターンを形成する点である。
図10(a)に示す工程は、直方形の基体601を準備し、それに半円筒状の溝602を形成する工程であり、図6(a)や図9(a)の工程と同一である。なお、図6と同一要素には同一符号を付してある。しかし、この後は図9の製法とは異なり、基体601の上に直接PDMS層1002を形成する。PDMS層1002は、硬化させた後、基体601から剥離される。剥離が容易になるように、これらの間に抗接着性の物質を予め塗布しておいても良い。
一方、図10(c)に描かれるような、柔軟性のあるステンシルマスク1004を用意しておく。ステンシルマスク1004には、予めパターン1006を形成しておく。ステンシルマスクの作製は、既存のMEMSテクノロジーや他のパターンニング技術によって行なうことができる。ステンシルマスクは十分な精度を有するように作成されねばならない。
図10(d)の工程では、PDMS成形物1002に、金属層1008及びフォトレジスト層1010を形成する。PDMS成形物1002に金属層1008を形成する手法としては、PVDなどのスパッタリング法や、無電解めっきなどの化学的方法を用いることができる。そして、フォトレジスト層1010の上に、用意したステンシルマスク1004を被せ、光1012を照射して露光する。その後、現像及びエッチング処理を施すことにより、金属層1008に由来する金属パターン1008aを形成することができる。
図10(e)で完成したPDMSマスクは、図9(f)のPDMSマスクと同一であるので、後は図9(g)〜(j)の工程によりファイバー材への描画を行うことが可能である。
図10の製造方法は、PDMS1002にステンシルマスク1004を被せるという工程が必要になるため、ステンシルマスク1004の隆条部1003がある程度大きいことが望ましい。従って、溝602の直径が200μmを超える場合、すなわち溝の深さが100μmより深くなり、対応して隆条部1003の高さが100μmを超えるような場合に、好適に適用しうる。
溝602が大きい場合、ステンシルマスク1004を直接溝内に設置するということも考えられるが、実際にはその作業は困難である。それよりも、溝602を型にしてPDMS1002を作製し、その隆条部1003にステンシルマスク1004を被せる方が、遙かに容易である。従って、溝602が大きい場合であっても、依然としてPDMS成形物を作る有用性は失われない。
〔部品の接合〕
例えば前述の製法により、MEMS露光モジュール400の各部分402,404を作成した後、これらを接合してMEMS露光モジュール400を完成させる。接合には既知のMEMS製造・パッケージング技術を用いることが可能である。部品402及び404の位置合わせには、前述のように、マスクパターンの形成時に一緒に形成しておいた、位置合わせマーク622,624などのようなものを利用することが可能である。これらの位置合わせマークはファイバー給送時の軸方向の位置合わせにも利用することが可能である。
前述の製造方法は、いずれも、既存のMEMS製造プロセスと相性が良く、製造・加工のコストも低廉である。また、ガラスや石英などの固く加工性の良い材料を使用することができることも、製造のし易さやコストの点で有利である。
露光モジュール400を用いた長尺ファイバー部材420へのリソグラフィプロセスは、露光を行う部分を位置決めしてモジュール400内にセットして、露光を行い、ファイバー420を給送して露光を終えた部分をモジュール400から引き出し、次に露光を行うべき部分をモジュール400内にセットして、再び露光を行うという、段階的な連続プロセスによって行われる。ファイバー部材420は、ヘッド部分402b及び404bによって支持されると共に、径方向の位置が定められてしまうので、ファイバー部材420をモジュール420に通すだけで、径方向の位置決めは完了する。依然として軸方向の位置決めは必要ではあるものの、位置決め作業は非常に容易である。発明者の知る限り、単一のモジュールで、ファイバー状の基材に対して、これほどに容易に位置合わせと露光を行うことのできる技術が提供されたのは、本明細書が初めてである。
〔応用例1・・・微小温度計〕
温度計は、最もよく利用されている物理センサーであり、様々な用途に利用されている。ファイバー状の基体に微小温度計を形成することも望まれてきた。例えば、ファイバー上に形成した微小温度計を、やはりファイバーを利用した医療器具へ組み込むことが考えられている。また、ファイバー状に形成した多数の微小温度計を多数織り込んで、温度検出機能を備えたシートを作ることも考えられている。このようなシートは人工皮膚などに応用できると考えられており、医療やロボットの分野で大きな期待がもたれている。本発明によれば、かかるファイバー状微小温度計を低コストで簡単に製造することが可能となる。
図11に、ファイバー状基体に形成しうる微小温度計の回路パターンの一例を示す。微小温度計回路パターン1100は、白金パターン部1102とタングステンパターン部1104とから構成され、タングステンパターン部1104を介して白金パターン部1102の抵抗値を測定することにより、温度を測定することができる。
図12を用いて、MEMS露出モジュール400を利用して、ファイバー状基体に微小温度計回路パターン1100を形成するプロセスを説明する。
図12(a)は、ファイバー状基体1202を準備する工程を表している。ファイバー状基体1202としては、例えば市販の光ファイバーを用いることができる。図12(b)の工程では、ファイバー1202の外周に、スプレーコーティングなど適当な手法にてフォトレジストを塗布する。これを図4Aや図5に挿入し、位置を合わせて露光を行う。露光を終えたファイバー部分をモジュール400から引き出し、現像すると、図12(c)のように、フォトレジストによるパターンがファイバー1202の表面に形成される。これを、図12(d)の工程において、Ptによる金属皮膜1206を約200nmの厚さに形成する。Ptの薄膜は、電気めっきなどのスパッタリング法によって形成することができる。その後、不要な部分を適当なエッチング処理により除去すると、図11のPtパターン部1102が得られる(図12(e))。図12において、完成したPtパターン部は符号1206aで表されている。再び図12(d)の工程に戻り(工程1208)、今度はタングステンの被膜を形成し、不要な部分を適当なエッチング処理により除去する。これによって、図11のWパターン部1104も完成する(図12(e))。
白金パターン1102のジグザグ構造は、熱の不整合に対して高い抵抗性を有し、安定的に温度を測定しうるという利点を有している。
さらに、W(タンクステン)の回路を形成する。図6に、ファイバーに形成される回路パターンを示す。Ptの部分が温度により変形するので、その電気抵抗の変化をWに接続する装置で測定する。この温度計構造は、(1)(2)構造が頂部にあることから、高い位置合わせ精度を有するという特徴がある。
〔応用例2・・・マイクロインダクタ〕
MEMS技術を用いてマイクロインダクタを製造しようとする努力はこれまでにもなされてきたが、製造コストが高い、加工が難しい、壊れやすい、Qファクタが低いなどの理由で、その利用分野は極めて限定されていた。マイクロインダクタの最も望ましい形は、図13Aに描かれるようなソレノイドである。前掲の非特許文献3は、強力なシンクロトロン光を照射し、基体からマイクロコイルを直接削り出す技術であったが、そのような手法は非常にコストが高く極めて限られた施設でしか使用することはできない。また、下記非特許文献4には、既存のMEMSプロセスによってマイクロコイルを製造する方法が記載されているが、深いエッチングを行う必要があることと、何度も位置合わせを行う必要があるために、コストや時間がかかり、また出来上がったコイルも壊れやすいという欠点がある。
J. W. Kim, M. H. Jung, N. K. Park, E. J. Yun, Microfabrication of solenoid-type RF SMD chip inductors with an Al2O3 core, Current Applied Physics, 8 (2008) 631-636.
しかし、上述の製造方法によれば、マイクロコイルも安価に且つ高精度に作製することが可能である。パターンは、わずか1回の露光により焼き付けることが可能である。
図13Aは、強磁性体のコア1302の周囲に螺旋状に金属パターン1304が形成された、マイクロインダクタ1300を示す。図13Aのようなマイクロソレノイドを、適切なマスクパターンが形成されたMEMS露出モジュール400を用いて製造可能であることは、これまでの説明から当業者には直ちに諒解可能であろう。図13Bのマイクロインダクタ1320は、コア1321をガラスで形成し、強磁性体は薄膜1322としてガラスコア1321の周囲に形成した例である。金属のコイルパターン1324は、強磁性体の薄膜1322の上に形成される。図13Cに、図13Bの層構造を拡大して示した。シミュレーションによれば、図13Bのようにコアを100%の磁性材料で作らなくとも、インダクタとしての性能はそれほど変わらない。図13Bのマイクロインダクタ1320は、高価な磁性体の代わりにガラスファイバーをコアに用いているので、材料費を大幅に削減することができる。
図14を用いて、図13Bのマイクロインダクタ1320を、MEMS露出モジュール400を利用して製造するプロセスの例を説明する。
図14(a)は、ガラスファイバー1321を準備する工程を表す。図14(b)の工程では、ガラスファイバー1321の周囲に磁性体の薄膜1322を電気めっきなどの手法を用いて形成する。なお、図14と図13Bで、同一の要素には同一の符号を用いていることに留意されたい。図14(c)の工程では、磁性体薄膜1322の上に、スプレーコーティングなどの手法を用いてフォトレジスト層1330を形成する。
一方、コイルパターンが形成されたMEMS露出モジュール400を別に用意しておく。一度の露光でコイルパターンの全ての転写が可能なように、マスクパターンが形成されていることが望ましい。連続的なコイルパターンを形成するべく、モジュールには位置合わせに用いることのできるマークなどの構造が形成されていることが好ましい。図14(c)の工程でレジストを塗布したファイバー1321を、準備した露光モジュール内に挿入し、露光を行う。露光された部分をモジュールから引き出し、現像すると、レジストのパターンが現出する(図14(d))。このパターンの上に、AuやCuなどの金属の薄膜1324'をスパッタリング法や電気めっきなどの手法により形成する(図14(e))。その後、適当なエッチング処理を行うことにより、金属のコイルパターン1324を得ることができ、マイクロインダクタ1320が完成する。
同様のプロセスにて、他の様々なマイクロデバイスやマイクロ構造を作成することができる。例えば、くし形構造を有する電極なども簡単に製造することができるが、それはセンシングの分野や通信分野において非常によく用いられている電極構造である。
以上、本発明の様々な側面を実施例を用いて説明してきたが、これらの実施例や説明は、本発明の範囲を制限する目的でなされたものではなく、本発明の理解に資するために提供されたものであることを付言しておく。本発明の範囲は、明細書に明示的に説明された構成や製法に限定されるものではなく、本明細書に開示される本発明の様々な側面の組み合わせをも、その範囲に含むものである。本発明のうち、特許を受けようとする構成を、添付の特許請求の範囲に特定したが、発明者は、現在の処は特許請求の範囲に特定されていない構成であっても、本明細書に開示される構成を、将来的に特許請求する可能性があることを、念のために申し述べる。
400 MEMS露光モジュール
402 MEMS露光モジュールの上半分の部分
404 MEMS露光モジュールの下半分の部分
406 円筒状空洞
408 マスクパターン
420 ファイバー部材
424 フォトレジスト層
600 部品
601 基体
602 半円溝
604 金属層
606 フォトレジスト層
608 フォトマスク
622,624 マーク
902 抗接着性物質皮膜
904 金属薄膜
906 PDMS成形物
907 隆条部
908 フォトレジスト層
910 フォトマスク
914 金属層
916 フォトレジスト層
1002 PDMS成形物
1003 隆条部
1004 ステンシルマスク
1006 パターン
1008 金属層
1010 フォトレジスト層
1100 微小温度計回路パターン
1102 白金パターン部
1104 タングステンパターン部
1202 ファイバー
1206 金属皮膜
1300 マイクロインダクタ
1302 コア
1304 金属パターン
1320 マイクロインダクタ
1321 ガラスファイバー
1322 磁性体薄膜
1324 コイルパターン
1330 フォトレジスト層

Claims (11)

  1. ファイバー状の細長い部材にフォトリソグラフィ技術によってパターンを転写するための露光モジュールであって、
    入口及び出口を有する筒状の空洞が設けられる透光性の基体と、前記筒状の空洞の壁面に設けられた遮光パターンとを有する、露光モジュール。
  2. 前記筒状空洞の入口及び出口付近に形成され、露光される部材を潤滑液を介して又は介さないで摺動可能に支持する部材支持部と、前記部材支持部より奥の部分に設けられ、前記部材支持部より筒径の大きな露光部とを有し、前記遮光パターンは前記露光部の洞壁面に設けられる、請求項1に記載の露光モジュール。
  3. 前記部材支持部における空洞の洞壁面は遮光材で覆われている、請求項2に記載の露光モジュール。
  4. 前記部材支持部は、前記露光部の材質とは異なる難透光性の材質で形成される、請求項2又は3に記載の露光モジュール。
  5. 前記筒状空洞の中心軸を通る平面によって分割される複数の部品に分けて製造される、請求項1から4のいずれかに記載の露光モジュール。
  6. 請求項5に記載の露光モジュールを構成する前記複数の部品の少なくとも1つを製造する方法であって、
    溝面が円筒面の一部を為す溝を透光性の基体上に形成する工程と、
    前記溝面に金属皮膜を形成し、さらに該金属皮膜上にフォトレジストを塗布する工程と、
    前記フォトレジストにマスクを介して光を照射し現像することにより、該フォトレジストにパターンを転写する工程と、
    エッチングにより、不要なフォトレジスト及び金属皮膜を除去する工程と、
    を備える、方法。
  7. 請求項5に記載の露光モジュールを構成する前記複数の部品の少なくとも1つを製造する方法であって、
    溝面が円筒面の一部を為す溝を透光性の基体上に形成する工程と、
    前記溝面に、抗接着性物質の皮膜を形成すると共に、該抗接着性物質の皮膜上に金属皮膜を形成し、さらに該金属皮膜上に接着性物質の皮膜を形成する工程と、
    前記接着性物質の皮膜上に透光性の樹脂を積層する工程と、
    前記樹脂を硬化させると共に、該樹脂を前記金属皮膜ごと前記透光性基体から剥離する工程と、
    前記剥離した樹脂に対し、前記透光性基体の溝に対応して形成された隆条が覆われるように、前記金属皮膜上からフォトレジストを塗布すると共に、フォトエッチングによって前記金属皮膜をパターンに形成する工程と、
    前記樹脂が剥離された前記透光性基体に対し、前記抗接着性物質を除去すると共に、前記溝面を覆うように第2の金属皮膜を形成し、さらに該第2の金属皮膜上にフォトレジストの層を形成する工程と、
    前記パターンが形成された前記樹脂を、前記隆条が前記溝に再び収まるように、前記透光性基体に重ねる工程と、
    前記樹脂上の前記パターンをマスクとしてフォトエッチングを行うことにより、前記樹脂上の前記パターンを前記第2の金属皮膜に転写する工程と、
    を備える、方法。
  8. 請求項5に記載の露光モジュールを構成する前記複数の部品の少なくとも1つを製造する方法であって、
    溝面が円筒面の一部を為す溝を透光性の基体上に形成する工程と、
    前記溝上に透光性の樹脂を積層し、硬化後に剥離する工程と、
    前記剥離した樹脂に対し、前記透光性基体の溝に対応して形成された隆条を覆うように金属皮膜を形成すると共に、前記金属皮膜をパターンに形成する工程と、
    前記樹脂が剥離された前記透光性基体に対し、前記溝面を覆うように第2の金属皮膜を形成し、さらに該第2の金属皮膜上にフォトレジストの層を形成する工程と、
    前記パターンが形成された前記樹脂を、前記隆条が前記溝に再び収まるように、前記透光性基体に重ねる工程と、
    前記樹脂上の前記パターンをマスクとしてフォトエッチングを行うことにより、前記樹脂上の前記パターンを前記第2の金属皮膜に転写する工程と、
    を備える、方法。
  9. 前記樹脂上の前記金属皮膜に前記パターン形成する工程を、ソフトリソグラフィを利用して行う、請求項8に記載の方法。
  10. 前記樹脂上の前記金属皮膜に前記パターン形成する工程を、ステンシルリソグラフィを利用して行う、請求項8に記載の方法。
  11. 微細構造を有するファイバーを製造する方法であって、請求項1から5のいずれかに記載の露光モジュールをマスクとして用いるフォトリソグラフィ法に基づいて前記微細構造を形成する、方法。
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