JP5214839B2 - 摘果方法 - Google Patents

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Description

本発明は、メタミトロン含有摘果製剤を用いた摘果方法に関する。
経済的見地から言えば、摘果は、仁果栽培および他の多くの果実作物の商業栽培において、最も重要な処置であると広く考えられている。摘果(摘花)は、機械的手段(機械または手によって)あるいは化学薬剤によって、受粉した花数または果実数を減らすことを意味すると理解されている。摘果によって得られる利点は、改善された果実サイズ、色および/または品質ならびに大幅に改善された採算性、開花の多い年の翌年の開花の改善、あるいは絶滅寸前の品種および若い栽培物における隔年結果の解消および防止、過荷重のかかった枝の破断、樹体の顕著な消耗およびそれに付随する樹体の耐寒性低下の防止である。
手による摘果はコストを伴うので、ほとんどの栽培地域で選択されていない。機械による摘果は、とりわけ、可能な場合には有効性と樹体への被害防止とを兼ね備えることが難しく、品種/樹体の感受性ならびに樹体を特定の形状に整枝する必要性(栽培法)があるために、限られた範囲でしか実施できない。
これが、化学的摘果が非常に重要な理由である。しかし、尿素およびチオ硫酸アンモニウム(ドイツではこの目的には認可されていない)など現在使用されている化学的摘果剤は、その信頼性に関してあまり満足できるものではなく、高い必要がある使用濃度で植物による許容がしばしば不十分にである。これまでドイツで認可されていない、あるいはドイツでもはや認可されていない他の摘果剤でも、果実(花)の発育段階ならびに散布中および散布後の気候条件によって影響される、信頼性を欠く非常に顕著な品種依存性が常に観察されてきたので、それらの有効性および植物の耐性に関して、実際条件に完全に適しているわけではない。これらの知られているあらゆる摘果剤は、植物のホルモンバランスを介して作用する(例えばリンゴにおける植物ホルモンのオーキシンおよびエチレンによる作用)。結果として、例えば、低濃度での作用の低下、散布時における悪条件下での過度に多量の摘果、あるいは場合によっては実際の作付の促進など、製剤に関して望ましくない効果がしばしば観察されることになる。さらに、多くの諸国で使用されているカルバメート基由来の薬剤は、殺虫剤としての限られた使用しかない。
摘果のための光合成阻害作用物質の使用が、J.Amer.Soc.Hort.Sci.115(1):14〜19(1990)に記載されている。しかし、その中に記載されている光合成阻害作用物質は、その植物耐性が不十分なので、摘果剤として商業的に使用されていない(例えばメトリブジンの場合)。W.Guzewskiは、光合成阻害作用物質メタミトロンの使用について研究している(Warsaw Agricultural University− SGGW、Faculty of Horticulture、Annual Report 1995、Warsaw 1996に記載)。この論文によれば、「ゴールデンデリシャス」リンゴ品種に、開花から7日後にメタミトロンを散布速度500mg/lおよび700mg/lで噴霧した結果、標準(98g)と比べて果実重量がそれぞれ150および180gに増加した。しかし、今のところ、この方法の商業的重要度は増していない。記載の散布速度で植物被害(葉のネクローシス)が観察され、環境が好ましくない場合に減収量を伴う過度に多量の摘果が生じ得ることが原因であると思われる。さらに、散布時期が早い(開花から7日後)ために、この方法は摘花方法である。
Guzewskiの公開から数年後、驚くべきことに、50〜400mg/lのメタミトロンを含む即使用可能な(anwendungsfertiges)摘果製剤(例えば散布混合物)を植物器官、特に果実に塗布した場合、植物被害のない効率的な摘果(摘花ではなく)が生じ得ることが今回判明している。散布速度700mg/lとは対照的に、減収量を伴う過度に多量の摘果も、葉のネクローシスも観察されていない。作物への被害は観察されず、またはほとんど識別されていない。したがって、この製剤は植物によって十分に許容される。さらに、本発明による方法は栽培物の隔年結果を防止する。
後期結果期とは、この文脈では、特により後期の結果期、好ましくは8〜30mm、特に好ましくは8〜17mm、特に好ましくは10〜12mmの結果期またはそれより後期における散布を意味すると理解されている。この手順により、実際の作付レベルを観察した後、ジューンドロップが含まれるほど後期まで選択的な摘果が可能になる。後期における植物被害を起こさないこのような効率的な摘果方法は、これまで知られていない。
本発明による方法は、新規で同様に本出願の主題である、150〜400mg/lメタミトロンを含む即使用可能な摘果製剤を使用する。
本発明による即使用可能な摘果製剤は、好ましくは150〜375mg/l、非常に特に好ましくは200〜350mg/lメタミトロンを含み、350mg/lのメタミトロン含有量がほとんどの目的で理想的と見なされる。
本発明による摘果製剤は、水性製剤として調製すると有利である。
本発明による摘果製剤は、適切な場合、メタミトロンの他に、添加剤、他の摘果剤、成長調節剤、葉肥料および農薬作用物質も含む。
本発明による摘果製剤中に存在し得る適当な添加剤は、他の農薬作用物質およびさらに結晶化抑制剤、湿潤剤、乳化剤あるいは水である。
本発明による摘果製剤中に存在し得る適当な結晶化抑制剤は、すべてそのような目的で農薬組成物に通常どおり使用できる物質である。以下のものを優先して言及することができる。すなわち、N−オクチルピロリドンおよびN−ドデシルピロリドンなどのN−アルキルピロリドン、さらに例えば、ルビスコールVA 64(登録商標)(BASF)の名称で知られているポリビニルピロリドン/ポリビニルアルコール共重合体などポリビニルピロリドンとポリビニルアルコールの共重合体、さらにジメチルデカナミドなどのアルキルカルボン酸のジメチルアミド、またはHallcomid(登録商標)(Hall Comp.)の名称で知られているC6〜12−アルカンカルボン酸ジメチルアミド混合物、ならびにさらに例えば、Synperonic(登録商標)T304(Uniqema)の名称で知られている製品など酸化エチレンおよび酸化プロピレンとのエチレンジアミンの共重合体である。
適当な湿潤剤は、すべてそのような目的で摘果製剤に使用できる物質である。以下のものを優先的に言及することができる。すなわち、アルキルフェノールエトキシレート、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウムなどのジアルキルスルホコハク酸塩、ラウリルエーテル硫酸塩およびポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルである。シリコーン界面活性剤の湿潤剤としての使用を特に言及することができる。
適当な乳化剤は、すべて農薬組成物に常用されている、表面活性特性をもつ従来の非イオン性、陰イオン性、陽イオン性および両性イオン性物質である。これらの物質には、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪アルコール、脂肪アミン、アルキルフェノールまたはアルキルアリールフェノールと酸化エチレンおよび/または酸化プロピレンとの反応生成物、ならびにそれらの硫酸エステル、リン酸モノエステルおよびリン酸ジエステル、さらに酸化エチレンおよび酸化プロピレンの反応生成物、さらにスルホン酸アルキル、硫酸アルキル、硫酸アリール、ハロゲン化テトラアルキルアンモニウム、ハロゲン化トリアルキルアリールアンモニウムおよびアルキルアミンスルホン酸塩がある。乳化剤は、単独であるいは混合物として使用することができる。優先的に言及することができる乳化剤は、モル比が1:20〜1:60のヒマシ油と酸化エチレンの反応生成物、モル比が1:5〜1:50のC〜C20−アルコールと酸化エチレンの反応生成物、モル比が1:2〜1:20の脂肪アミンと酸化エチレンの反応生成物、フェノール1モルとスチレン2〜3モルおよび酸化エチレン10〜50モルとの反応生成物、モル比が1:5〜1:30のC〜C12−アルキルフェノールと酸化エチレンの反応生成物、アルキルグリコシド、ならびに例えばカルシウム塩、モノエタノールアンモニウム塩、ジエタノールアンモニウム塩およびトリエタノールアンモニウム塩などのC〜C16−アルキルベンゼンスルホン酸塩である。
言及することができる非イオン性乳化剤の例は、プルロニック(登録商標)PE 10 100(BASF)およびアトロックス(登録商標)4913(Uniqema)の名称で知られている製品である。他の適当な非イオン性乳化剤は、トリスチリルフェノールエトキシレートである。言及することができる陰イオン性乳化剤の例は、Baykanol(登録商標)SL(=スルホン化ジトリルエーテルとホルムアルデヒドの縮合体)の名称で市販されているBayer AGの製品およびリン酸化または硫酸化トリスチリルフェノールエトキシレートであり、Soprophor SLK(登録商標)およびSoprophor(登録商標)4D 384(Rhodia)は個別に言及することができる。
本発明による摘果製剤に添加でき、言及することができる他の摘果剤は、カルバリル、2−(1−ナフチル)酢酸(NAA)、ベンジルアデニン、ナフチルオキシ酢酸(NEA)、ジベレリン酸、パクロブトラゾール、チオ硫酸アンモニウムおよび尿素、ならびにエルスターまたはレッドデリシャスなど摘果が困難または隔年結果の傾向があるリンゴ品種におけるエテホンなどのエチレン発生剤である。本発明による摘果製剤を摘果が困難な作物に使用するためには、メタミトロンの他にエテホンを含む本発明による摘果製剤を重要視する必要がある。このような場合には、摘果製剤が100〜1000mg/lエテホンを含むと有利である。
場合によっては添加でき、例として言及することができる成長調節剤は、プロヘキサジオンカルシウムである。
さらに本発明による摘果製剤には、葉肥料のうち植物保護剤または植物補強剤が特に有利である。言及することができるものは、塩化カルシウム、硝酸カルシウムなどのカルシウム塩およびそれらの製剤(例えばDungal(登録商標)、Wuxal(登録商標)、Basfoliar(登録商標)、Bayfolan(登録商標))、チオ硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、尿素、鉄キレート化合物、硫酸マグネシウムならびにホウ素、亜鉛、マンガンなどの微量元素であり、特に有利な添加剤として尿素を強調することができる。
本発明による摘果製剤においてギ酸カルシウムを葉肥料として使用することは、特に強調すべきである。ギ酸カルシウムは、購入するのに特に費用がかからず、農薬製剤に従来使用されているカルシウム塩に関連する問題を防止する。したがって、例えば、ギ酸カルシウムは、市販のCaClと同様に、吸湿性でもアルカリ不純物(Ca(OH))によって汚染されてもいなく、実際に、若い植物に直接噴霧したとき、不耐性症状が観察された。また、CaCOよりも水により少なめに溶解する。さらに、新しいギ酸カルシウム含有製剤は、従来使用されているカルシウム塩(硝酸塩、炭酸塩および塩化物)よりも雨で流されない。
他のカルシウム塩と同様に、本発明による摘果製剤と一緒に、若い植物器官(葉および果実)に塗布、好ましくは噴霧するギ酸カルシウムは、植物、特に果実におけるカルシウム欠乏症状(例えばリンゴの苦痘病)を防止するのに極めて適している(例えば、日本特許明細書J04−202080号を参照のこと)。驚くべきことに、ギ酸カルシウムはまた、調製するのが特に容易であり、植物不耐性症状が観察されなかった。
したがって、本発明による摘果製剤は、好ましくは0.1〜50g/l(0.01〜5重量%)ギ酸カルシウムを含み、カルシウム含有量1〜20g/lが特に好ましい。
本発明による摘果製剤にさらに添加できる農薬作用物質は、例えば、当該の用途に応じて殺真菌剤および殺虫剤である。
言及することができる殺菌剤の例には、硫黄(水和硫黄剤)、銅製剤、ベンゾイミダゾール、ビテルタノール、ジクロフルアニド、フェナリモル、フェンヘキサミド、フルジオキソニル、ホセチルアルミニウム、イプロジオン、ミクロブタニル、ペンコナゾール、トリアジメノール、ビンクロゾリン、トリルフルアニド(ユーパレンM(登録商標))、キャプタン、プロピネブ、トリフロキシストロビン、クレソキシムメチル、ジチアノン、シプロジニル、ピリメタニル、マンコゼブ(ダイセンウルトラ(登録商標))およびメチラムがあり、トリルフルアニドを特に強調することができる。
言及することができる殺虫剤の例には、ジメトエート、オキシデメトンメチル、マラチオン、パラチオンメチル、ホスファミドン、ペルメトリン、アミトラズ、クロフェンテジン、シハロトリン、β−シフルトリン、フェンプロキシメート、ジフルベンズロン、テブフェノジド、イミダクロプリド、チアクロプリド、チアメトキサム、クロフェンテジン、フェノキシカルブ、パラチオン−メチル、XenTari(登録商標)、テブフェノジド、ジフルベンズロン、ピリミカーブ、テブフェンピラド、フェンピロキシメート、菜種油、鉱油およびレシチンがあり、イミダクロプリドおよびチアクロプリドを特に強調することができる。
本発明による摘果製剤は、それぞれの場合に所望の割合で成分を互いに混合するように調製する。
本発明による摘果製剤を調製する際、温度をある範囲内で変えることができる。一般に、これらは10℃〜50℃の温度、好ましくは室温で調製する。
それらを散布する目的上、本発明による摘果製剤は、作用物質および添加剤のWP、WG、SLおよびSC製剤から、これらの製剤を溶媒、好ましくは水に溶解することによって調製すると有利である。散布は、従来の方法、例えば調製した乳剤、懸濁剤、液剤またはエアロゾール剤の噴霧、注入、吹付、噴射、塗布によって行う。
本発明による摘果製剤に対する水の散布速度は、実質的な範囲内で異なっていてよい。それは、それぞれの場合に、存在する作用物質およびそれらの製剤中の濃度によって決まる。散布速度500〜1500l/haが好ましいと考えられる。原則として、本発明による摘果製剤の散布速度は1000l/haである。しかし、いくつかの栽培法では、より低い水の散布速度100〜300lを用いることもできる。
これは、本発明による方法では、理想的には、メタミトロン0.05〜0.4kg/ha(好ましくは0.1〜0.375kg/ha、特に好ましくは0.2〜0.35kg/ha)を塗布することを意味する。
農薬製剤を調製するのに使用されている従来の装置は、本発明による摘果製剤の調製に適している。
しかし、本発明による製剤は、本発明による方法において摘果に使用するだけでなく、状況によっては、早ければ開花期(摘花)から使用することができる。
本発明による方法では、植物器官への散布は、本発明による製剤を噴霧することによって実施すると有利である。この場合、植物器官、特に葉または果実に直接噴霧する。
本発明によるギ酸カルシウム含有製剤からのカルシウムの取込みは、摘果に従来適用している早期噴霧日で特に有効である。
本発明による方法は、仁果作物の摘果に特に適している。明確に言及することができる作物および品種は、あらゆるリンゴ品種(例えばボスクープ、ブレイバーン、コックスオレンジ、エルスター、ゲーラ、グロスター、ゴールデンデリシャス、フジ、ジャンバ、James Grieve、ジョナゴールド、ジョナサン、Lobo、マッキントッシュ、レッドデリシャス、スパルタン)、あらゆる西洋ナシ品種(例えばコンファレンス)、マルメロおよびナシである。また、核果作物の桃およびスモモ、ならびにオリーブ、ピスタチオ、キーウィフルーツ、ブドウまたは柑橘類作物(例えばタンジェリン)にも適している。
本発明を以下の実施例によって示す。
摘果製剤
所与量のメタミトロンを所望量の添加剤(例えば尿素、シリコーン界面活性剤)と混合し、水で所望の濃度にする。市販の作用物質を水に溶解させることによって、標準物質を同様に調製する。
したがって、例えば、以下の摘果製剤を調製した。
製剤1(本発明に従う)
350mg/lメタミトロン、9g/l尿素、60mg/lシリコーン界面活性剤を含む水性噴霧混合物
製剤2(本発明に従う)
350mg/lメタミトロン、2g/l尿素を含む水性噴霧混合物
製剤3(本発明に従わない、植物によって中程度にしか許容されない)
700mg/lメタミトロン、2g/l尿素を含む水性噴霧混合物
製剤4(本発明に従わない、標準物質)
350mg/lメタミトロンを含む水性噴霧混合物
製剤5(本発明に従わない、標準物質)
800mg/l Amid−Thin(登録商標)および300mg/lエテホンを含む水性噴霧混合物
製剤6(本発明に従わない、標準物質)
850mg/lカルバリル(セビン(登録商標))を含む水性噴霧混合物
生物学的作用
上記の製剤に関して、リンゴcv.「アルテスラント」(ドイツ)産地のゴールデンデリシャスへの噴霧試験で以下の摘果結果が得られた。
表:
以下の表は、ゴールデンデリシャス(アルテスラント)の摘果(摘花)に対するメタミトロン製剤の効果に関するジューンドロップ後の中間評価の結果である。水の散布速度:1000l/ha。
No.2〜6:摘花
No.7〜11:摘果
Figure 0005214839
このデータより、本発明による製剤が標準物質と比較して優れた摘果(摘花)を示すことがわかる。この有利な摘果効果は、10〜12mmの果実期中のより後期の散布でさらに顕著である。
植物の耐性
目視の記録によれば、350mg/lメタミトロンを含む製剤は、広範囲のリンゴ品種の摘果試験に使用した場合、被害を示さないまたは最小の被害しか示さないが、700mg/lメタミトロンを含む製剤では、同一条件下で最小のないし明らかに識別可能な被害が生じる。

Claims (4)

  1. 50〜400mg/lメタミトロンを含む即使用可能な摘果製剤を、8〜30mmの結果期に、植物器官に塗布することを特徴とする、仁果作物から選択される果実作物の摘果方法。
  2. 前記摘果製剤が、100〜375mg/lメタミトロンを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 0.05〜0.4kg/haメタミトロンを、8〜30mmの結果期に、植物器官に適用することを特徴とする、仁果作物から選択される果実作物の摘果方法。
  4. 前記即使用可能な摘果製剤が、
    葉肥料、植物保護剤、および植物補強剤からなる群から選択される添加剤
    を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
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