JP5212712B2 - 接触角測定方法 - Google Patents

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Description

本発明は、固体表面の液体による濡れ性を評価する尺度として用いられる接触角の測定方法に関し、特にミクロンメータからサブミクロンメータ領域の微細な箇所の走査型プローブ顕微鏡を用いた接触角測定方法に関する。
一般に、試料の親水性や撥水性は、試料表面上の液滴の接触角により評価されている。この接触角とは、固体、液体および気体の3相の接触点において液体に引いた接線と固体面のなす角度のうち、液体を含む側の角度をいう。このような接触角の測定は、従来、角度を読み取れるゴニオメータ付きの光学顕微鏡を用い、液滴を側面から観察して接触角を直接測定する方法や、液滴の輪郭を撮影し、画像解析により角度を測定する方法などにより行っていた。
例えば、図7には静滴法として知られる従来の接触角測定方法による接触角測定装置が示されている(特許文献1参照)。接触角測定装置はサンプル台71、液滴をサンプル73上に滴下するシリンジ74、注射針75、光源76、測定用カメラ77、測定結果演算・表示装置(パソコン)78からなり、光源76と滴下された液滴72・サンプル73と測定用カメラ77は同じ高さで、一列に並んでいる。滴下した液滴72と、水平に置かれたサンプル73が成す角度を接触角として測定用カメラ77で得られた画像から計測する。
近年では、内径5μm程度の極細の注射針を用いることで、液滴量が10から1000ピコリットルで最小径数十μmの微小な液滴を作り、100μm以内の微細な面での接触角が測定できるようになり、半導体ウェハやガラス基板などに設けられた微細パターンに係る濡れ性の評価に用いられている。
特開2007−108007号公報
しかしながら、半導体、半導体用フォトマスク、ナノインプリント、マイクロマシンなどに用いられるパターンの微細化はますます進展しており、より微細な領域における物質表面の評価手法として、ミクロンメータ・オーダあるいはそれ以下の微小領域における接触角の測定値が求められるようになっている。しかし、蒸気圧の関係で液滴を小さくすることができず、例えば水はミクロンメータ・オーダ以下の水滴を作ることができず、結果としてミクロンメータ・オーダ以下の微小な局所領域における接触角の測定ができないという問題があった。このように、試料上に液滴を形成し、その液滴の接触角を光学的に測定する従来の接触角測定方法には測定できる領域に限界があった。
そこで、本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明の目的は、接触角を測定する領域がミクロンメータ・オーダ以下であり、液滴を形成して接触角を光学的に測定することが不可能な領域においても、簡便にかつ精度良くその領域の接触角を得ることができる接触角測定方法を提供することである。
上記の課題を解決するために、本発明者は種々検討の結果、走査型プローブ顕微鏡を用い、そのカンチレバーの探針と試料との間に働く付着力を計測して接触角との関係を求め、本発明の接触角測定方法を完成したものである。
請求項1の発明に係る接触角測定方法は、試料上の液滴の接触角測定方法であって、前記試料上の液滴の接触角を光学的に計測することが可能な領域を参照とする領域とし、 走査型プローブ顕微鏡のカンチレバーを用いて、前記試料上の参照とする領域において該カンチレバーの探針先端と試料との間に働くフォースカーブから付着力を計測し、光学顕微鏡を用いて、前記参照とする領域に滴下した液滴を側面から観察して参照とする領域の接触角を計測し、前記参照とする領域の付着力と、前記参照とする領域の接触角と、ヤングの式を基にして、予め付着力と接触角との関係式を求めておき、次に、前記試料上の接触角を測定すべき領域において該カンチレバーの探針先端と試料との間に働くフォースカーブから付着力を計測し、前記測定すべき領域の付着力の値を前記関係式に挿入して前記測定すべき領域の接触角を求めることを特徴とするものである。
請求項2の発明に係る接触角測定方法は、請求項1に記載の接触角測定方法において、前記カンチレバーの探針と試料との間に働く付着力が、ファンデルワールス力とメニスカス力との和で示されることを特徴とするものである。
請求項3の発明に係る接触角測定方法は、請求項1または請求項2に記載の接触角測定方法において、前記付着力をFとし、前記カンチレバーの探針先端の曲率半径をR、前記探針の表面エネルギーの分散力成分をγd C、前記カンチレバーの探針と試料との間にメニスカスを形成した液体の表面エネルギーをγL、液体の表面エネルギーの分散力成分をγd L、キャリブレーション係数をA、液滴の接触角をθとすると、前記測定すべき領域の接触角θは次式で与えられることを特徴とするものである。
Figure 0005212712
請求項4の発明に係る接触角測定方法は、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の接触角測定方法において、前記試料上の測定すべき領域が、試料表面の水平方向の幅が少なくとも一方向でミクロンメータからサブミクロンメータの領域であることを特徴とするものである。
請求項5の発明に係る接触角測定方法は、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の接触角測定方法において、前記カンチレバーの探針と試料との間に働く付着力の計測を恒湿環境下で行うことを特徴とするものである。
本発明の接触角測定方法によれば、従来の接触角測定方法が適用できる試料上の広い領域における接触角測定に加えて、さらに、従来は測定ができなかった試料上のミクロンオーダからサブミクロンオーダの微小な局所領域についても接触角測定をすることが可能となり、微小領域の濡れ性の評価が非破壊で可能となる。さらに、AFMのカンチレバーの探針で付着力を測定できる数十ナノメータの超微小領域での接触角を予測することも可能となる。
以下、図面に基づいて、本発明の最良の実施形態に係る接触角測定方法について詳細に説明する。
本発明では、走査型プローブ顕微鏡のカンチレバーを用いて、前記試料上の参照とする領域において該カンチレバーと試料との間に働く付着力を計測する。本発明において、参照とする領域とは、試料上の液滴を光学顕微鏡で直接観察して接触角を求めることが可能な従来の接触角測定方法が適用できる広い領域、例えば、数10μm角以上の領域を示すものである。参照とする領域で計測して得られた接触角が、参照とする領域の接触角である。測定にあたり、試料上の参照とする領域は、測定すべき微小領域と同じ表面状態であることが望ましい。
本発明において、試料上の参照とする領域における付着力の計測と接触角の計測との計測の順番は、特に限定されることはなく、どちらが先であっても良い。
本発明において、付着力の測定に用いる走査型プローブ顕微鏡としては、片持ち梁の一端に探針を設けたカンチレバーと称するプローブで試料表面を走査し、試料表面のパターンの寸法や形状を計測する顕微鏡が用いられ、原子間力顕微鏡(Atomic Force Microsccope;以後、AFMと記す)が最も好ましいが、例えば、走査型トンネル顕微鏡(Scanning Tunneling Microscope;STM)などのカンチレバータイプの走査型プローブ顕微鏡(Scanning Probe Microscope;SPM)と総称されている他の顕微鏡でも用いることが可能である。以下の説明では、本発明の接触角測定方法をAFMに用いた場合を例に述べる。
図1に、本発明の付着力の測定に用いるAFMの一例として測定原理図を示す。図1に示すように、試料11表面にカンチレバー構造を有する微小な探針12を徐々に近づけていくと、ある距離で両者の間に引力あるいは斥力が働き、探針12を備えたカンチレバー13に歪みが生じる。歪みはカンチレバー13の背面に当てられたレーザ光14の反射角の変化により光センサー15で検出され、試料11表面で探針12を走査したときにカンチレバー13の歪み量が一定となるように、試料11と探針12間の距離が制御される。試料11表面の走査(X方向、Y方向)と、試料11と探針12間の距離の制御(Z方向)はピエゾスキャナー16により行われ、各スキャナーに印加された電圧を解析処理することで試料11表面の像が得られる。探針を測定すべき領域の所定の位置に移動したら、フォースカーブを求め付着力の測定を行う。
フォースカーブ(フォースディスタンスカーブとも呼ばれる)とは、AFMの探針と試料間の距離の上限・下限を設定して定点を上下動させ、探針と試料間の距離とカンチレバーに働く力(カンチレバーのたわみ量)との関係をプロットした曲線である。そのフォースカーブから読み取った振れの量とカンチレバーのバネ定数から、フックの法則により付着力が求まる。
上記のように、AFMは、所定のバネ定数を有する弾性体からなる100μm〜2000μm長のカンチレバーの自由端部に鋭く尖った探針を設けており、この探針を試料に近づけて、探針先端と試料表面の原子間にファンデルワールス力などの引力を作用させ、これにより生じるカンチレバーの変位から試料の局所的な形状や物性を測定する装置である。
本発明で用いるカンチレバーの探針の材質、形状としては、従来用いられている材質、形状の探針が適用できる。すなわち、探針の材質としては、シリコン、窒化シリコン、酸化シリコン、炭化シリコンなどが用いられ、さらに上記の材料表面に導電性を付与するために金、チタンなどの金属、あるいはカーボンなどを被覆したものが用いられる。探針の形状としては、ピラミッド型の四角錐、円錐などの先端を尖鋭化させた形状が用いられ、例えば四角錐の場合、先端部の頂角は70度前後、曲率半径は約数10nm程度である。探針はカンチレバーと一体で作製されていてもよいし、あるいはカンチレバーとは別に作製した探針をカンチレバーに取り付けてあってもよい。
次に、カンチレバーの探針と試料との間に働く付着力についてさらに説明する。
図2は、カンチレバーの探針と試料との間に働く付着力を説明する模式図である。図2に示すように、試料21表面にカンチレバーの探針22を近づけると、試料21と探針22との間には表面力が働いて付着力を生じる。この付着力をFとすると、付着力(F)は、図2および数式(1)に示すように、試料21と探針22との固体間原子同士が吸引するファンデルワールス力(f1)と、大気中の水分が凝縮して試料21と探針22との間に形成されたメニスカス力(f2)との和で表される。大気中の水分凝縮があるので、付着力の測定においては、試料21上にあらかじめ液滴(水滴)を形成する必要はない。
F=f1+f2=4πR(γd Cγd Sample 1/2+4πRγLcosθ …(1)
ここで、R:カンチレバー探針先端の曲率半径、γd C:カンチレバー探針の表面エネルギーの分散力成分、γd Sample:試料の表面エネルギーの分散力成分、γL:メニスカスを形成した液体(水)の表面エネルギー、θ:液体(水)の接触角である。
一方、液体と固体表面との間の現象は、簡単には液体の固体表面への濡れの程度で表される。図3は、試料表面の液体に働く力を説明する模式図である。図3に示すように、試料31の表面に液滴33が形成されたとき、濡れ性つまり親水性、撥水性の程度を表す接触角に関して、試料の表面エネルギーをγSample、試料と液体間の界面エネルギーをγSL、液体の表面エネルギーをγL、接触角をθとすると、3つの矢印で示す力関係が釣り合い、次のヤングの式(2)が成り立つ。
γSample =γLcosθ+γSL …(2)
また、接触している固体と液体の2つの媒質の界面において、試料を液体でぬらす時の付着仕事WSLは、次の数式(3)で表される。
WSL=γSample L−γSL …(3)
ここで、主に分散力のみが2つの媒質の相互作用に寄与する場合には、メニスカスを形成した水の表面エネルギーの分散力成分をγd Lとして、
WSL=2(γd Sampleγd L )1/2
となり、数式(3)から、試料と液体間の界面エネルギーγSLは数式(4)で表される。
γSL=γSampleL−2(γd Sampleγd L )1/2 …(4)
上記の数式(2)と数式(4)より、
(γd Sample1/2 =γL (1+cosθ)/2(γd L )1/2 …(5)
を得る。
上記の数式(1)と数式(5)より、付着力Fと接触角θとの関係は数式(6)で表される。ここでは、試料が主に分散力による相互作用があるものとしている。
F=4πR(γd C1/2γL (1+cosθ)/2(γd L )1/2+4πRγLcosθ …(6)
実際の付着力の測定においては、探針先端の曲率半径Rやカンチレバーのバネ定数など測定器起因のキャリブレーションが必要となる。また、試料やカンチレバーの表面ラフネスなど、付着力が低下する要因も含まれる。そこで、付着力の測定値をFexpとし、キャリブレーション係数をAとすると、
Fexp=AF=A[4πR(γd C1/2γL(1+cosθ)/2(γd L1/2+4πRγd Lcosθ]
となり、次式に示す接触角θが求められる。
Figure 0005212712
ここで、上記の接触角θの数式に用いている各符号の意味を改めて以下に記す。
θ:液体(水)の接触角、F:試料とカンチレバー探針との間に働く付着力、R:カンチレバー探針先端の曲率半径、γd C:カンチレバー探針の表面エネルギーの分散力成分、γL:液体(水)の表面エネルギー、γd L:液体(水)の表面エネルギーの分散力成分、A:キャリブレーション係数
本発明の接触角測定方法では、試料とカンチレバー探針との間に形成されるメニスカスの曲率半径rkは、下記の数式(7)に示されるようにケルビン(Kelvin)の式として、相対湿度に関係付けられる。
rk= γV/RTlog(p/ps) …(7)
ここで、 p/ps :相対湿度、γ:表面エネルギー、V:モル体積、R:気体定数、T:温度、rk:曲率半径(Kelvin半径)
メニスカスが球形凹面の水メニスカスで、測定温度20℃、γV/RTが0.54nmとした場合、曲率半径は相対湿度に対して変化する。図4は、試料とカンチレバー探針との間に形成されるメニスカスの曲率半径と計測環境の相対湿度との関係を示す図である。
図4に示されるように、湿度の増加により曲率半径は増加し、結果として、メニスカス力が働く面積が増大することになり、湿度の変化に対する曲率半径の変化率は、湿度が高いほど大きくなり、湿度60%以上では急速に曲率半径が大きくなる。付着力を計測する環境の湿度の変化はメニスカスの曲率半径の変化を生じ、付着力の値を変動させる。したがって、本発明における付着力の計測は、相対湿度50%以下、より好ましくは相対湿度40%以下の低湿度で、湿度が一定(恒湿)となるような環境で行うのが好ましい。
上記のように、接触角θの数式〔数1〕を用いて、AFMにより計測したフォースカーブから求めた付着力Fから試料表面上の接触角θの値を求めることができる。AFMのカンチレバー探針先端は極めて小さいので、試料のミクロンメータからサブミクロンメータの領域のみならず、数十ナノメータの超微小領域での接触角を予測することも可能となる。
以下、実施例により、本発明を詳細に説明する。
試料として、微細なライン/スペースの凹凸パターンが一主面上に形成された石英ガラス製のナノインプリント用テンプレートを用いた。このテンプレートのパターン側全面に気相法で離型剤(オプツールDSX:ダイキン工業社製)を成膜し、テンプレート表面を離型剤で表面処理をした場合の表面の水の濡れ性の評価方法に本発明の接触角測定方法を適用した。以下の付着力の計測を含む接触角測定方法の実施は、温度20℃、湿度40%の恒温、恒湿環境下で行った。
先ず、走査型プローブ顕微鏡としてAFM(L-trace:エスアイアイ・ナノテクノロジー社製)を用い、カンチレバーには材質がシリコン(Si)の探針を使用して、試料上の参照とする領域においてカンチレバーの探針と試料との間に働く付着力を計測した。参照とする領域は、パターン幅が数十μm以上ある広い領域であり、数箇所を測定してそれぞれの付着力の計測値を得た。
次に、接触角計(DM500:協和界面科学社製)を用いて、接触角計の注射針の先端から上記の参照とする領域に蒸留水を水滴として滴下し、試料表面上に形成された水滴を、光学顕微鏡を用いて側面から観察して参照とする領域の接触角を計測した。測定は参照とする領域の数箇所で行った。
次に、上記で得られた参照とする領域の付着力Fと、参照とする領域の接触角と、ヤングの式を基にして、付着力と接触角との関係式を求めた。ここで、探針にSiを用いているが、表面に自然酸化膜が形成されているものとし、探針の表面エネルギーγC=γSiO2として表す。
F=4πR(γSiO2γSample1/2+4πRγLcosθ
Rはカンチレバー探針先端の曲率半径、γは表面エネルギーであり、γSample:試料の表面エネルギー、γL:メニスカスを形成した水の表面エネルギー、θは水の接触角である。
上記の実施例では、探針の材質としてよく用いられるSiを例にし、その表面に自然酸化膜が形成されているものとし、表面エネルギーγSiO2を用いているが、探針に他の材質を用いた場合には、その材質に対応した表面エネルギー値が用いられる。
また、試料表面に形成された水滴には、次のヤングの式が成り立つ。γSLは試料と水滴間の界面エネルギーである。
γSample =γLcosθ+γSL
一方、接触している固体と液体の2つの媒質の界面において、試料を水でぬらしている時には、上記のように付着仕事に関する数式から、下記の関係が成り立つ。
γSL=γSampleL−2(γd Sampleγd L )1/2
したがって、次式が得られる。
(γd Sample1/2 =γL (1+cosθ)/2(γd L )1/2
以上の数式から、測定器起因のキャリブレーション係数をAとし接触角θを求めると、接触角θは次式で表される。
Figure 0005212712
図5は、この接触角θの式の計算値と、上記の参照とする領域のカンチレバー探針と試料の間に働く付着力と、上記試料表面の参照とする領域での水滴の接触角との実際の計測値とを図示したものである。
図5において、縦軸は付着力(nN)、横軸は接触角(度)、黒丸が計測値、実線が接触角θの式の計算値である。2本の点線は、それぞれファンデルワールス力とメニスカス力の個別の計算値である。図5が示すように、実際の計測値と計算値とはほぼ一致しており、接触角θの式の計算値による値の信頼性の高さを示している。
図6は、カンチレバー探針と試料の間に働く付着力から試料表面の液体の接触角を算出する図であり、縦軸は接触角(度)、横軸は付着力(nN)、黒丸が計算値、白丸が計測値である。図6が示すように、実測値と計算値とはほぼ一致している。
したがって、試料上の接触角を測定すべき領域において、カンチレバーの探針と試料との間に働く付着力を計測し、その付着力の値を接触角θの式に挿入して測定すべき領域の接触角を求める接触角測定方法が可能となる。
本発明の接触角測定方法によれば、上記に示すカンチレバーの探針と試料との間に働く付着力Fと接触角θとの関係式が求まれば、同一の測定条件においては、従来の光学的な接触角測定方法で測定していた測定箇所においても、光学的な接触角測定方法を用いずに、AFMのフォーカスカーブから付着力を計測し、上記の関係式に挿入して接触角を求めることが可能となる。
さらに、本発明の接触角測定方法によれば、従来の接触角測定方法では測定が不可能であったミクロンオーダからサブミクロンオーダの微小な局所領域の接触角を測定できるだけではなく、AFMのカンチレバーの探針で付着力を測定できる数十ナノメータの超微小領域での接触角を予測することも可能となる。
本発明の付着力の測定に用いるに用いるAFMの一例としての測定原理図である。 カンチレバー探針と試料の間に働く付着力を説明する模式図である。 試料表面の液体に働く力を説明する模式図である。 試料とカンチレバー探針との間に形成されるメニスカスの曲率半径と相対湿度との関係を示す図である。 カンチレバー探針と試料の間に働く付着力と試料表面の液体の接触角との相関関係を示す図である。 カンチレバー探針と試料の間に働く付着力から試料表面の液体の接触角を算出する図である。 従来の接触角測定方法による接触角測定装置の一例を示す図である。
符号の説明
11、21 試料
12、22 カンチレバーの探針
13 カンチレバー
14 レーザ光
15 光センサー
16 ピエゾスキャナー
17a X、Y軸走査システム
17b Z軸サーボシステム
18 コンピュータ
19 プリアンプ
20 モニター
23 水
1 ファンデルワールス力
2 メニスカス力
31 試料
33 液滴
71 サンプル台
72 液滴
73 サンプル
74 シリンジ
75 注射針
76 光源
77 測定用カメラ
78 測定結果演算・表示装置(パソコン)

Claims (5)

  1. 試料上の液滴の接触角測定方法であって、
    前記試料上の液滴の接触角を光学的に計測することが可能な領域を参照とする領域とし、
    走査型プローブ顕微鏡のカンチレバーを用いて、前記試料上の参照とする領域において該カンチレバーの探針先端と試料との間に働くフォースカーブから付着力を計測し、
    光学顕微鏡を用いて、前記参照とする領域に滴下した液滴を側面から観察して参照とする領域の接触角を計測し、
    前記参照とする領域の付着力と、前記参照とする領域の接触角と、ヤングの式を基にして、予め付着力と接触角との関係式を求めておき、
    次に、前記試料上の接触角を測定すべき領域において該カンチレバーの探針先端と試料との間に働くフォースカーブから付着力を計測し、
    前記測定すべき領域の付着力の値を前記関係式に挿入して前記測定すべき領域の接触角を求めることを特徴とする接触角測定方法。
  2. 前記カンチレバーの探針と試料との間に働く付着力が、ファンデルワールス力とメニスカス力との和で示されることを特徴とする請求項1に記載の接触角測定方法。
  3. 前記付着力をFとし、前記カンチレバーの探針先端の曲率半径をR、前記探針の表面エネルギーの分散力成分をγd C、前記カンチレバーの探針と試料との間にメニスカスを形成した液体の表面エネルギーをγL、液体の表面エネルギーの分散力成分をγd L、キャリブレーション係数をA、液滴の接触角をθとすると、前記測定すべき領域の接触角θは次式で与えられることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の接触角測定方法。
    Figure 0005212712
  4. 前記試料上の測定すべき領域が、試料表面の水平方向の幅が少なくとも一方向でミクロンメータからサブミクロンメータの領域であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の接触角測定方法。
  5. 前記カンチレバーの探針と試料との間に働く付着力の計測を恒湿環境下で行うことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の接触角測定方法。
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