以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るカメラの全体ブロック図、
図2は、図1に示す振動ユニットの平面図、
図3は、図2に示すIII−III線に沿う概略断面図、
図4Aは、図2および図3に示す撮像装置の平面図、
図4Bは、図4Aに示すIVB−IVB線に沿う断面図、
図4Cは、図4Aに示すIVC−IVC線に沿う断面図、
図5は、図4Bの断面図の一部(点線でVで囲んだ部分)を拡大した要部拡大断面図、
図6は、図1に示すカメラでの除塵動作における一連の処理を表したフローチャート、
図7Aは、振動部材によって9次曲げ振動が加えられた状態の防塵フィルタを表す模式図、
図7Bは、振動部材によって8次曲げ振動が加えられた状態の防塵フィルタを表す模式図、
図7Cは、振動部材によって7次曲げ振動が加えられた状態の防塵フィルタを表す模式図、
図7Dは、振動部材によって6次曲げ振動が加えられた状態の防塵フィルタを表す模式図、
図8は、防塵フィルタに加えられる振動の振動周波数と防塵フィルタの振動加速度の関係を表すグラフ、
図9Aは、9次曲げ振動を加える際に、駆動部が各電極に出力する駆動信号の一例を表した図、
図9Bは、8次曲げ振動を加える際に、駆動部が各電極に出力する駆動信号の一例を表した図、
図9Cは、7次曲げ振動を加える際に、駆動部が各電極に出力する駆動信号の一例を表した図、
図9Dは、6次曲げ振動を加える際に、駆動部が各電極に出力する駆動信号の一例を表した図、
図10は、図1に示すカメラでの検査動作における一連の処理を表したフローチャート、
図11は、振動部材の検査を行った際に、駆動部が各電極に出力する駆動信号および検出回路で検出される出力の一例を表した図、
図12Aは、本発明の第2実施形態に係る撮像装置の平面図、
図12Bは、図12AにおけるXIIB−XIIB線に沿う断面図、
図13は、本発明の第3実施形態に係るカメラおよび検査装置のブロック図である。
第1実施形態
まず、図1に基づき、本実施形態のカメラ2の全体構成について説明する。撮像素子ユニット4は、カメラボディ40の内部に、光学レンズ群48の光軸αに対して撮像素子ユニット4の防塵部11が略垂直に交差するように配置される。防塵部11については、後述する。なお、当該カメラ2では、撮像素子ユニット4から光学レンズ群48に向かう方向を光軸α方向の前方とし、光学レンズ群48から撮像素子ユニット4に向かう方向を、光軸α方向の後方として説明を行う。
図1に示すように、カメラボディ40には、レンズ鏡筒42が着脱自在に装着される。なお、コンパクトカメラなどでは、レンズ鏡筒42とカメラボディ40とが一体であるカメラもあり、カメラの種類は特に限定されない。
カメラボディ40の内部において、撮像素子ユニット4の光軸α方向の前方には、シャッタ部材44が配置してある。シャッタ部材44の光軸α方向の前方には、ミラー46が配置してあり、その光軸α方向の前方には、レンズ鏡筒42に内蔵してある絞り部47および光学レンズ群48が配置してある。
カメラボディ40には、ボディCPU50が内蔵してあり、レンズ接点54を介してレンズCPU58に接続してある。レンズ接点54は、カメラボディ40に対してレンズ鏡筒42を連結することで、ボディCPU50と、レンズCPU58とを電気的に接続する。ボディCPU50には、電源52が接続してある。電源52は、カメラボディ40に内蔵されている。
ボディCPU50には、レリーズスイッチ51、ストロボ53、表示部55、EEPROM(メモリ)60、防塵フィルタ駆動回路56、画像処理コントローラ59、AFセンサ72、検出回路74、振動モード選択回路80などが設けられている。画像処理コントローラ59には、インターフェース回路57を介して、撮像素子ユニット4の撮像素子12(図2参照)が接続してあり、撮像素子12にて撮像された画像の画像処理を制御可能になっている。撮像素子12としては、たとえばCCDやCMOS等の固体撮像素子が用いられる。
ボディCPU50は、レンズ鏡筒42との通信機能と、カメラボディ40の制御機能を有している。例えば、ボディCPU50は、レンズ鏡筒42との装着が完全であるか否かの通信を行い、レンズCPU58から入力された焦点距離、距離情報等から目標位置を演算する。ボディCPU50は、レリーズスイッチ51が半押しであることを示す半押し信号が入力すると、AE、AFなどの撮影準備動作を行わせるための信号を、レンズCPU58に出力する。また、ボディCPU50は、レリーズスイッチ51が全押しであることを示す全押し信号が入力すると、ミラー駆動、シャッタ駆動、絞り駆動等を行わせるための信号を出力する。
表示部55は、主としてカメラボディ40の外側から視認可能な液晶表示装置などで構成され、出力結果やメニューなどを表示する。また、防塵部11の振動状態に関する検査結果等、ボディCPU50による演算結果を表示することができる。
レリーズスイッチ51は、シャッタ駆動のタイミングを操作するスイッチであり、ボディCPU50に半押し、全押し等のスイッチの状態に関する信号を出力する。カメラ2は、レリーズスイッチ51が半押しである時にはAF、AE等を行い、全押しである時には、ミラーアップ、シャッタ駆動等の撮影動作を行う。
ミラー46は、構図決定の際にファインダーに像を映し出すためのもので、露光中は光路から退避する。ボディCPU50からレリーズスイッチ51の情報が入力され、全押し時にミラーアップ、露光終了後にミラーダウンを行う。ミラー46は、不図示のミラー駆動部(例えばDCモータ)により駆動される。ミラー46には、サブミラー46aが連結してある。
サブミラー46aは、AFセンサに光を送るためのミラーであり、ミラー46を通過した光束を反射してAFセンサに導く。このサブミラー46aは、露光中は光路から退避する。
シャッタ部材44は、露光時間を制御する機構である。ボディCPU50からレリーズスイッチ51の情報が入力され、全押し時にシャッタ駆動を行う。不図示のシャッタ駆動部(例えばDCモータ)により駆動される。AFセンサ72は、オートフォーカス(AF)を行うためのセンサである。このAFセンサとしては、通常CCDが用いられる。
防塵フィルタ駆動回路56は、後述する図3、図4A等に示すように、切替回路70を介して、防塵部11の振動部材20に電気的に接続している。防塵フィルタ駆動回路56は、所定条件を満足する場合に、ボディCPU50からの制御を受けて振動部材20を駆動する。防塵フィルタ駆動回路56は、図7A〜図7Dに示すように、防塵フィルタ18に曲げ振動を発生させ、防塵フィルタ18の表面に付着している塵埃などを飛ばして除去する除塵動作を行う。
防塵フィルタ駆動回路56は、振動部材20に周期的な矩形波もしくはサイン波等の駆動信号を出力する(図9A〜図9D)。図4Cに示す振動部材20の圧電体36には、第1〜第4駆動電極32a〜32dを介して、駆動信号に応じた電圧が印加される。
電圧が印加された圧電体36は、防塵フィルタ18の長辺方向Lに伸縮することによって、防塵フィルタ18に曲げ振動を発生させる。防塵フィルタ18の表面に付着している塵埃は、曲げ振動によって受ける力が塵埃の付着力を上回ることによって、防塵フィルタ18の表面から離れる。なお、防塵フィルタ18の周辺には、曲げ振動によって防塵フィルタ18の表面から離れた塵埃を捕獲するために、粘着テープ等で構成される捕獲手段が配置されていても良い。
振動部材20に出力される駆動信号の駆動周波数は、なるべく大きな振幅を防塵フィルタ18に与えるために、防塵フィルタ18の表面を共振させる共振周波数とすることが好ましい。共振周波数は、防塵フィルタ18の形状、材質、支持の方法によって決まる。
本実施形態では、図1に示すように、防塵フィルタ駆動回路56には、振動モード選択回路80が接続されている。振動モード選択回路80は、ボディCPU50からの指示を受けて、防塵フィルタ駆動回路56が出力する駆動信号および駆動信号の周波数を決定する。また、防塵フィルタ駆動回路56は、振動モード選択回路80の決定に基づき、防塵部11に対して駆動信号を出力する。
すなわち、本実施形態では、振動モード選択回路80を介して防塵フィルタ駆動回路56が出力する駆動信号および駆動信号の周波数を変化させることによって、防塵部11の防塵フィルタ18に発生する曲げ振動の次数を変化させることができる。防塵フィルタ駆動回路56が出力する駆動信号と、防塵フィルタ18に発生する曲げ振動の関係については後述する。
図1に示すレンズ鏡筒42には、焦点距離エンコーダ66、距離エンコーダ64、絞り部47、絞り部47を制御するステッピングモータ(STM)68、レンズCPU58、ボディ部とのレンズ接点54、及び、複数のレンズ群48が具備してある。レンズ接点54には、カメラボディ40からレンズ駆動系電源を供給するための接点と、レンズCPU58を駆動するためのCPU電源の接点とデジタル通信用の接点がある。駆動系電源およびCPU電源はカメラボディ40の電源52から供給され、レンズCPU58や駆動系の電源を供給している。
レンズ鏡筒42の焦点距離エンコーダ66は、レンズ群48の一構成要素であるズームレンズ群の位置情報をレンズCPU58に出力する。距離エンコーダ64は、光学レンズ群48の一構成要素であるフォーカシングレンズ群の位置情報をレンズCPU58に出力する。
レンズCPU58は、カメラボディ40との通信機能、レンズ群48の制御機能を有している。レンズCPU58は、焦点距離および被写体距離等を、レンズ接点54を介してボディCPU50に出力する。ボディCPU50からレンズ接点54を介して、レリーズ情報、AF情報が入力される。
図2および図3に示すように、本実施形態に係る撮像素子ユニット4は、基板10を有し、基板10の中央部上面には、撮像素子12が固定してある。撮像素子12の周囲には、ケース17が配置してあり、基板10の表面に、着脱自在に、あるいは着脱不可に固定してある。
ケース17は、たとえば合成樹脂あるいはセラミックなどの絶縁体などで構成され、その上面には、内周側取付部17aと、外周側取付部17bとが段差状に形成してある。ケース17の内周側取付部17aには、光透過性を有する光学部材要素30の外周が取り付けられる。その結果、撮像素子12の周囲は、基板10、ケース17および光学部材要素30により密封される。
ケース17の外周側取付部17bには、気密シール部材16を介して防塵フィルタ18が配置され、加圧部材19によって気密シール部材16へと押圧されている。本実施形態では、加圧部材19として金属板を用い、加圧部材19の変形に起因する弾性力により、防塵フィルタ18を気密シール部材16の方向へと付勢している。防塵フィルタ18の撮像素子12が備えられた側の表面である封止面18bは、気密シール部材16を、当該封止面18bとケース17の外周側取付部17bとの間に挟んで保持することによって、光学部材要素30等が配置された空間を封止している。
その結果、撮像素子12および光学部材要素30が設けられた収納空間が気密状態となり、塵埃がケース外部から収納空間に入るのを防止することができる。また、振動部材20は脆性材料を含む場合があるため、振動部材20を駆動すると、当該振動部材20自体が発塵することがある。しかし、本実施形態では振動部材20が収納空間の外部に配置されているため、振動部材20自体から発塵した塵埃が、収納空間に侵入することがほとんどなく、光学部材要素30の表面への塵埃付着がさらに効果的に防止されている。
さらに、本実施形態では、防塵フィルタ18に曲げ振動を発生させる振動部材20が、防塵フィルタ18の撮像素子12が備えられた側とは反対側の面である外部面18aに、接着剤等により固定されている。すなわち、防塵部11は、防塵フィルタ18と振動部材20とを有している。
図2および図3に示す加圧部材19は、ケース17の外周側取付部17bに、たとえば着脱自在にビス止めされている。また、長方形状の防塵フィルタ18は、ケース17の上面に形成してある位置決めピン17cにより、防塵フィルタ18の長辺方向Lの位置決めが成されている。なお、図3に示す気密シール部材16は、たとえば発泡樹脂、ゴムなどの剛性の低い材料で構成してあり、気密を確保しながら、後述する防塵フィルタ18の曲げ振動の動きを吸収して防塵フィルタ18の曲げ振動がケース17に伝わるのを抑制する。
図3に示す光学部材要素30は、この実施形態では、複数の光学板の積層構造であり、水晶板13と、赤外線吸収ガラス板14と、水晶波長板(λ/4波長板)15との積層板で構成してある。これらの積層板で構成される光学部材要素30は、防塵フィルタ18よりも小さな面積の長方形であり、しかも、撮像素子12の平面側面積よりも大きく、撮像素子12を全て覆う面積を有する。
水晶波長板15は、直線偏光を円偏光に変えることができる光学板であり、赤外線吸収ガラス板14は、赤外線を吸収する機能を有する。また、水晶板13は、防塵フィルタ18を構成する水晶板に対して、相互に複屈折の方向が90度異なる水晶板であり、一方が90°方向(短辺方向S)の複屈折を有する水晶板であれば、他方の水晶板は、0度方向(長辺方向L)の複屈折を有する水晶板である。本実施形態では、防塵フィルタ18が0°方向(長辺方向L)の複屈折を有する水晶板であり、水晶板13が90°方向(短辺方向S)の複屈折を有する水晶板である。
すなわち、本実施形態では、相互に離れて配置された水晶板13および防塵フィルタ18と、これらの間に配置された赤外線吸収ガラス14および水晶波長板15とによって、光学ローパスフィルタ(OLPF)を構成している。ただし、本願の発明に係る透光部材としては、光学ローパスフィルタの一部である防塵フィルタ18に限られない。たとえば、光学部材要素30のみで光学ローパスフィルタを構成し、封止用ガラス等によって構成された防塵フィルタによって光学部材要素30を密封していてもよい。
図4Aは、振動部材20が取り付けられた防塵フィルタ18の平面図である。振動部材20は、互いに電気的に絶縁されている4枚の第1〜第4駆動電極32a〜32dを有する。また、図4Bの断面図に示すように、振動部材20は、防塵フィルタ18の外部面18aに取り付けられた共通電極34と、第1〜第4駆動電極32a〜32dと共通電極34に挟まれた圧電体36とをさらに有する。
図5の拡大図に示すように、共通電極34は、第1の部分34aと、第1の部分34aに対して折り返された第2の部分34bとを有する。第1の部分34aは、圧電体36における防塵フィルタ18側の表面に配置されている。第2の部分34bは、圧電体36における防塵フィルタ18側の表面と反対側の表面に配置されている。
共通電極34の第1の部分34aは、図4Cに示すように、第1〜第4駆動電極32a〜32dとの間に、圧電体36を光軸α方向に挟んで配置されている。圧電体36は、共通電極34の第1の部分34aと、各駆動電極32a〜32dとの間に形成された電位差によって変形させられる。本実施形態では、圧電体36の長辺方向Lの変形を利用して、防塵フィルタ18に曲げ振動を発生させる。
共通電極34の第2の部分34bは、図4Bに示すように、圧電体36における防塵フィルタ18側の表面に配置された第1の部分34aから折り曲げられて形成されている。よって、第1の部分34aと第2の部分34bとは電気的に接続している。そのため、振動部材20の表側に配置される第2の部分34bに、本実施形態では切替回路70が電気的に接続されている。つまり、本実施形態の共通電極34は第2の部分34bを介して第1の部分34aに電圧を印加している。
このように、第2の部分34bと切替回路70とを電気的に接続すればよいので、共通電極34から切替回路70への配線が容易である。なお、共通電極34は、図4Aに示すように、切替回路70を介して防塵フィルタ駆動回路56に接続されており、後述する除塵動作の間は、所定の電位に保持される。ただし、共通電極34は、振動部材20を省電力で駆動する観点から、除塵動作の間、接地電位に保持されることが好ましい。
第1〜第4駆動電極32a〜32dも、共通電極34a,34bと同様に、切替回路70を介して、防塵フィルタ駆動回路56に配線されている。防塵フィルタ駆動回路56は、図1に示す振動モード選択回路80によって選択された駆動信号を、それぞれの第1〜第4駆動電極32a〜32dに対して独立に出力する。なお、後述する検出動作を行わない場合、切替回路70を設ける必要はなく、各電極32a〜32d,34に直接防塵フィルタ駆動回路56を配線しても良い。
また、防塵フィルタ駆動回路56は、ボディCPU50からの制御によって、各駆動電極32a〜32dに対して、互いに位相の異なる駆動信号を出力することができる。したがって、圧電体36は、図4Cに示すように、各駆動電極32a〜32dに対応して、長手方向Lに沿って配列する第1〜第4セクション36a〜36dに分割して制御される。
ただし、圧電体36は一体に形成されており、圧電体36の第1〜第4セクション36a〜36dは同一の分極方向を有している。したがって、各駆動電極32a〜32dに印加される電圧の極性が同一であれば、圧電体36の各セクション36a〜36dの変形方向も同一となる。反対に、各駆動電極32a〜32dに印加される電圧の極性がそれぞれ異なれば、圧電体36の各セクション36a〜36dは、互いに異なる方向に変形する。
例えば、第1および第2駆動電極32a,32bの極性が正となり、第3および第4駆動電極32c,32dの極性が負となるように、各駆動電極32a〜32dに電圧を印加した場合、圧電体36は図7Aに示すように変形する。すなわち、セクション36a,36bは、防塵フィルタ18の長辺方向Lに収縮する変形を発生する。
それに対して、セクション36c,36dは、防塵フィルタ18の長辺方向Lに伸張する変形を発生する。なお、図7Aにおいて図示省略している共通電極34は、接地電位に保持されている。
このように、圧電体36は一体に成形されており、略一様な分極方向を有しているにもかかわらず、各駆動電極32a〜32dに対応して、第1〜第4セクション36a〜36dごとに変形が制御される。ただし、本実施形態の変形例には、圧電体36の各セクション36a〜36dまたは共通電極34を、駆動電極32のように分割して形成したものも含まれる。
図4Aに示す切替回路70は、ボディCPU50からの制御によって、第1〜第4駆動電極32a〜32dのうち、所定の一つの電極の接続を、防塵フィルタ駆動回路56と検出回路74との間で切り換えることができる。この際、検出回路74に接続された駆動電極は、防塵フィルタ18に発生する振動を検出するためのモニタ電極として作用する。
図6に示すフローチャートを用いて、図1に示すカメラ2での除塵動作における一連の処理を説明する。ステップ001では、ボディCPU50が除塵動作開始信号を出力し、除塵動作を開始する。除塵動作は、カメラの電源ON動作等の所定の動作に合わせて自動的に開始されてもよく、また、カメラの使用者が、カメラ本体部に備えられた不図示のメニューボタン等から選択することによって開始されてもよい。
除塵動作を開始した後、図1に示す防塵フィルタ18に発生させる曲げ振動の次数を決定する(ステップ002等)。なお、一回の除塵動作で行われる曲げ振動の次数や、次数の組合せは予め設定されてEEPROM60等に記録しておくこととしても良い。ここで、本実施形態に係る防塵フィルタ駆動回路56は、6次曲げ振動(図7D)、7次曲げ振動(図7C)、8次曲げ振動(図7B)および9次曲げ振動(図7A)を、防塵フィルタ18に発生させることができる。また、防塵フィルタ駆動回路56は、1回の除塵動作で9次、8次、7次、6次の順に曲げ振動を1次ずつ変化させるようになっている。このように1次ずつ振動を変化させることによって、後述するように振動の節が重ならないようになっている。
図8は、所定の条件において、振動部材20に加える駆動信号の周波数と、防塵フィルタ18に発生する曲げ振動の振動加速度との関係を表したものである。本実施形態に係る防塵フィルタ18は、振動部材20を標準共振周波数f1〜f4で駆動したときに、当該防塵フィルタ18に発生する曲げ振動の振動加速度が極大値をとる。振動部材20をそれぞれの標準共振周波数f1〜f4近傍の周波数で駆動すると、防塵フィルタ18には、図7D〜図7Aに示すように、対応する6次〜9次曲げ振動が発生する。なお、標準共振周波数f1〜f4に関する情報は、図1に示すEEPROM60等に記録されている。
ステップ002では、ボディCPU50からの除塵動作開始信号を受けて、振動モード選択回路80が9次曲げ振動モードを選択する。振動モード選択回路80は、防塵フィルタ駆動回路56に対して、振動部材20を9次曲げ振動モードで駆動するように指示する。
ステップ003では、防塵フィルタ駆動回路56が、振動部材20を9次曲げ振動モードで駆動する。本実施形態では、防塵フィルタ駆動回路56は、図9Aに示す駆動信号85a〜85dを、図4Aに示す第1〜第4駆動電極32a〜32dに出力する。
このとき、図9Aに示す駆動周期T1の逆数である駆動周波数は、図8に示す標準共振周波数f4より所定の値Δfだけ高い第1の値f4+Δfから、標準共振周波数f4より所定の値Δfだけ低い第2の値f4−Δfまで掃引されて最適な値が決定される。これは、9次曲げ振動モードにおいて防塵フィルタ18の振動加速度が極大値をとなる共振周波数が、防塵フィルタ18が置かれた条件に応じて変動するためである。
このように、本実施形態に係る防塵フィルタ駆動回路56は、第1の値f4+Δfから第2の値f4−Δfまで駆動信号の駆動周波数を変化させながら、振動部材20を駆動する。したがって、防塵フィルタ駆動回路56は、防塵フィルタ18が置かれた条件にかかわらず、防塵フィルタ18の振動加速度が極大値となるように、防塵フィルタ18に曲げ振動を発生させることができる。すなわち、防塵フィルタ駆動回路56は、防塵フィルタ18により大きい振動加速度を与えることができるため、効果的な除塵を行うことができる。
ステップ003の9次振動モードでは、図7Aに示すような9次曲げ振動が発生する。9次曲げ振動では、10の振動の節90を有する定在波が、防塵フィルタ18に発生する。9次曲げ振動では、防塵フィルタ18および振動部材20に発生する振動の節90のうち、一つの振動の節90が、第2駆動電極32bと第3駆動電極32cに挟まれる位置に発生する。
ステップ003の9次振動モードでは、図7Aに示す第1および第2駆動電極32a,32bに出力される駆動信号の位相と、第3および第4駆動電極に印加する駆動信号の位相とが、互いに異なる。図9Aは、9次振動モードにおいて、各駆動電極32a〜32dに出力される駆動信号を表している。第1駆動信号85aは、第1駆動電極32aに出力される駆動信号を、第2駆動信号85bは、第2駆動電極32bに出力される駆動信号を、それぞれ表している。また、図9Aの第3駆動信号85cは、第3駆動電極32cに出力される駆動信号を、第4駆動信号85dは、第4駆動電極32dに出力される駆動信号を、それぞれ表している。
また、図9Aに示す第1〜第4駆動信号85a〜85dは、第1〜第4駆動電極32a〜32dに印加される電圧の極性および大きさに対応している。図9Aに示す駆動信号の時間tにおける出力値X(t)は、例えば、符号関数sgnおよび正弦関数sinを用いて、以下のような式(1)で表すことができる。
X(t)=A1sgn(sin((360°×t/T1)+α))・・・ 式(1)
ここで、A1は第1〜第4駆動信号85a〜85dの振幅、T1は第1〜第4駆動信号85a〜85dの周期、αは第1〜第4駆動信号85a〜85dの初期位相、(360°×t/T1)+αは、第1〜第4駆動信号85a〜85dの時間tにおける位相を表す。なお、符号関数sgn(x)は、x=0のとき0を、x>0およびx<0のとき|x|/xを返す符号関数である。
第1駆動信号85aおよび第2駆動信号85bは、式(1)における初期位相αが0°であるのに対して、第3駆動信号85cおよび第2駆動信号85dは、式(1)における初期位相αが180°である。したがって、第1および第2駆動信号85a,85bと、これらの信号が出力される電極に対して1つの振動の節90を挟む位置に配置される電極に出力される第3および第4駆動信号85c,85dとの位相差は、180°となっている。
このように、9次振動モードでは、図9Aに示すような駆動信号85a〜85dを各駆動電極32a〜32dに出力することによって、図7Aに示すように、圧電体36の各セクション36a〜36dは、曲げ振動の腹部の変形方向に適した変形を生じる。なお、図7Aは、図9Aに示す時間t1における防塵フィルタ18の振動状態を表した図である。
すなわち防塵フィルタ18は、圧電体36の各セクション36a〜36dから、曲げ振動の振幅を増幅させる力を受けることができる。このように、防塵フィルタ駆動回路56は、振動部材20の各駆動電極32a〜32dに対して、防塵フィルタ18に発生する曲げ振動に適した駆動信号を出力することにより、防塵フィルタ18を効率的に振動させることができる。
次に、図6に示すステップS004では、振動モード選択回路80が8次曲げ振動モードを選択する。そして、振動モード選択回路80は、防塵フィルタ駆動回路56に対して、振動部材20を8次曲げ振動モードで駆動するように指示する。
ステップ005では、防塵フィルタ駆動回路56が、振動部材20を8次曲げ振動モードで駆動する。本実施形態では、防塵フィルタ駆動回路56は、図9Bに示す駆動信号を、図4Aに示す各駆動電極32a〜32dに出力する。
図9Bに示す駆動周期T2の逆数である駆動周波数は、図8に示す共振周波数f3より所定の値Δfだけ高い第1の値f3+Δfから、共振周波数f3より所定の値Δfだけ低い第2の値f3−Δfまで掃引される。
8次振動モードでは、図7Bに示すような8次曲げ振動が発生する。8次振動モードでは、9つの振動の節90を有する定在波が、防塵フィルタ18に発生する。8次曲げ振動では、防塵フィルタ18および振動部材20に発生する振動の節90のうち、一つの振動の節90が、第3駆動電極32cが配置されている位置に発生する。8次振動モードでは、図7Bに示す第1および第2駆動電極32a,32bに出力される駆動信号の位相と、第3駆動電極に32cに出力される駆動信号の位相と、第4駆動電極32dに印加する駆動信号の位相とが、互いに異なる。
図9Bは、8次振動モードにおいて、各駆動電極32a〜32dに出力される駆動信号を表している。第5駆動信号86aは、第1駆動電極32aに出力される駆動信号を、第6駆動信号86bは、第2駆動電極32bに出力される駆動信号を、それぞれ表している。また、図9Bの第7駆動信号86cは、第3駆動電極32cに出力される駆動信号を、第8駆動信号86dは、第4駆動電極32dに出力される駆動信号を、それぞれ表している。
また、図9Bに示す第5〜第8駆動信号86a〜86dは、第1〜第4駆動電極32a〜32dに印加される電圧の極性および大きさに対応している。図9Bに示す駆動信号の時間tにおける出力値X(t)は、以下のような式(2)で表すことができる。
X(t)=A2sgn(sin((360°×t/T2)+α))・・・ 式(2)
ここで、A2は第5〜第8駆動信号86a〜86dの振幅、T2は第5〜第8駆動信号の周期、αは第5〜第8駆動信号86a〜86dの初期位相、(360°×t/T2)+αは、第5〜第8駆動信号86a〜86dの時間tにおける位相を表す。
第5駆動信号86aおよび第6駆動信号86bは、式(2)における初期位相αが0°であるのに対して、第8駆動信号86dは、式(2)における初期位相αが180°である。したがって、第5および第6駆動信号86a,86bと、これらの駆動信号が出力される電極に対して、1つの振動の節90を挟む位置に配置される電極に出力される第8駆動信号86dとの位相差は、180°となっている。
また、図7Bに示すように、振動の節90を含む位置に配置されている第3駆動電極32cには、式(2)における位相が時間tにかかわらず0となる第7駆動信号86cが出力される。これによって、第3駆動電極32cの電位は、第8振動モードにおいて、共通電極34と同様に接地電位に保たれる。
このように8次振動モードでは、振動の節90を含む位置に配置されている第3駆動電極32cに出力される第7駆動信号86cと、振動の節90を含まない位置に配置されている第1、第2および第4駆動電極32a,32b,32dに出力される第5、第6および第8駆動信号86a,86b,86dとは、互いに位相が異なる。
言い換えると8次振動モードでは、各駆動電極32a〜32dに出力する駆動信号の位相を、各駆動電極32a〜32dと振動の節90の位置関係に関連して変化させている。このため、8次振動モードでは、図7Bに示すように、各セクション36a,36b,36dは、曲げ振動における振動の腹の変形方向に適した変形を生じる。さらに、第3セクション36cは、振動の節90近傍の変形量が小さいのに対応して、当該第3セクション36cを変形させるような電圧を印加されず、接地電位に保たれる。なお、図7Bは、図9Bに示す時間t2における防塵フィルタ18の振動状態を表した図である。
すなわち、防塵フィルタ18は、圧電体36の各セクション36a,36b,36dから、曲げ振動の振幅を増幅する力を受けることができる。
また、第3セクション36cは、振動の節90を含む位置に配置されているため、第3駆動電極32cの電位は接地電位に保たれる。すなわち、曲げ振動の振幅の小さい振動の節90を含む位置に配置される第3駆動電極36cの電位を変化させないため、防塵効果を確保しながら、振動部材20を省電力で駆動することができる。
次に、図6に示すステップS006では、振動モード選択回路80が7次曲げ振動モードを選択する。振動モード選択回路80は、防塵フィルタ駆動回路56に対して、振動部材20を7次曲げ振動モードで駆動するように指示する。
ステップS007では、防塵フィルタ駆動回路56が、振動部材20を7次曲げ振動モードで駆動する。本実施形態では、防塵フィルタ駆動回路56は、図9Cに示す駆動信号を、図4Aに示す各駆動電極32a〜32dに出力する。図9Cに示す駆動周期T3の逆数である駆動周波数は、図8に示す7次曲げ振動モードにおける共振周波数f2より所定の値Δfだけ高い第1の値f2+Δfから、共振周波数f2より所定の値Δfだけ低い第2の値f2−Δfまで掃引される。
7次振動モードでは、図7Cに示す7次曲げ振動が発生する。7次曲げ振動では、8の振動の節90を有する定在波が、防塵フィルタ18に発生する。さらに、防塵フィルタ18および振動部材20に発生する振動の節90のうち、一つの振動の節90が、第1駆動電極32aが配置されている位置に発生し、他の一つの振動の節90が、第3駆動電極32cが配置されている位置に発生する。
7次振動モードでは、図7Cに示すように、第1および第3駆動電極32a,32cに出力される駆動信号の位相と、第2駆動電極32bに出力される駆動信号の位相と、第4駆動電極32dに出力される駆動信号の位相とが、互いに異なる。
図9Cは、7次振動モードにおいて、各駆動電極32a〜32dに出力される駆動信号を表している。第9駆動信号87aは、第1駆動電極32aに出力される駆動信号を、第10駆動信号87bは、第2駆動電極32bに出力される駆動信号を、それぞれ表している。また、図9Cの第11駆動信号87cは、第3駆動電極32cに出力される駆動信号を、第12駆動信号87dは、第4駆動電極32dに出力される駆動信号を、それぞれ表している。
また、図9Cに示す第9〜第12駆動信号87a〜87dは、第1〜第4駆動電極32a〜32dに印加される電圧の極性および大きさに対応している。図9Cに示す駆動信号の時間tにおける出力値X(t)は、以下のような式(3)で表すことができる。
X(t)=A3sgn(sin((360°×t/T3)+α))・・・ 式(3)
ここで、A3は第9〜第12駆動信号87a〜87dの振幅、T3は第9〜第12駆動信号の周期、αは第9〜第12駆動信号87a〜87dの初期位相、(360°×t/T3)+αは、第9〜第12駆動信号87a〜87dの時間tにおける位相を表す。
第10駆動信号87bは、式(3)における初期位相αが0°であるのに対して、第12駆動信号87dは、式(3)における初期位相αが180°である。したがって、第10駆動信号87aと、これらの駆動信号が出力される電極に対して、1つの振動の節90を挟む位置に配置される電極に出力される第12駆動信号87dとの位相差は、180°となっている。
また、図7Cに示すように、振動の節90を含む位置に配置されている第1および第3駆動電極32a,32cには、式(3)における位相が時間tにかかわらず0となる駆動信号87a,87cが出力される。これによって、第7振動モードにおける第1および第3駆動電極32a,32cの電位は、共通電極34と同様に接地電位に保たれる。
すなわち、7次振動モードでは、各駆動電極32a〜32dに出力する駆動信号の位相を、各駆動電極32a〜32dと振動の節90の位置関係に関連して変化させている。このため、7次振動モードでは、図7Cに示すように、第2および第4セクション36b,36dは、曲げ振動の腹部の変形方向に適した変形を生じる。さらに、第1および第3セクション36a,36cは、振動の節90近傍の変形量が小さいのに対応して、圧電体36を変形させる電圧変化を受けない。なお、図7Cは、図9Cに示す時間t3における防塵フィルタ18の振動状態を表した図である。
すなわち防塵フィルタ18は、圧電体36の第2および第4セクション36b,36dから、曲げ振動の振幅を増幅させる力を受けることができる。
また、第1および第3セクション36a,36cは、振動の節90を含む位置に配置されているため、第1および第3駆動電極32a,32cの電位は接地電位に保たれる。すなわち、曲げ振動の振幅の小さい振動の節90を含む位置に配置される第1および第3駆動電極32a,32cの電位を変化させないことによって、防塵効果を確保しながら、振動部材20を省電力で駆動することができる。
次に、図6に示すステップS008では、振動モード選択回路80が6次曲げ振動モードを選択する。そして、振動モード選択回路80は、防塵フィルタ駆動回路56に対して、振動部材20を6次曲げ振動モードで駆動するように指示する。
ステップS009では、防塵フィルタ駆動回路56が、振動部材20を6次曲げ振動モードで駆動する。本実施形態では、防塵フィルタ駆動回路56は、図9Dに示す駆動信号を、図4Aに示す各駆動電極32a〜32dに出力する。6次曲げ振動モードの駆動信号は、図9Dに示すように、駆動周期T4を有するが、当該駆動周期T4は、6次曲げ振動モードにおいて、所定の範囲内で変化する。
図8に示すように、駆動周期T4の逆数である駆動周波数は、6次曲げ振動モードにおける標準共振周波数f1より所定の値Δfだけ高い第1の値f1+Δfから、標準共振周波数f1より所定の値Δfだけ低い第2の値f1−Δfまで掃引される。駆動周波数を掃引することによって、防塵フィルタ18が置かれた条件により、駆動時における共振周波数が標準共振周波数f1と異なる場合でも、防塵フィルタ18表面に大きい振動加速度を与えることができる。
6次振動モードでは、図7Dに示す6次曲げ振動が発生する。6次曲げ振動では、7つの振動の節90を有する定在波が、防塵フィルタ18に発生する。また、防塵フィルタ18の表面に固定されている振動部材20も、防塵フィルタ18の表面に発生する定在波に従って振動する。さらに、防塵フィルタ18および振動部材20に発生する振動の節90のうち、一つの振動の節90が、第1駆動電極32aが配置されている位置に発生し、他の一つの振動の節90が、第4駆動電極32dが配置されている位置に発生する。
6次振動モードでは、図7Dに示すように、第1および第4駆動電極32a,32dに出力される駆動信号の位相と、第2および第3駆動電極32b,32cに出力される駆動信号の位相とが、互いに異なる。図9Dは、6次振動モードにおいて、各駆動電極32a〜32dに出力される駆動信号を表している。第13駆動信号88aは、第1駆動電極32aに出力される駆動信号を、第14駆動信号88bは、第2駆動電極32bに出力される駆動信号を、それぞれ表している。また、図9Dの第15駆動信号88cは、第3駆動電極32cに出力される駆動信号を、第16駆動信号88dは、第4駆動電極32dに出力される駆動信号を、それぞれ表している。
また、図9Dに示す第13〜第16駆動信号88a〜88dは、第1〜第4駆動電極32a〜32dに印加される電圧の極性および大きさに対応している。図9Dに示す駆動信号の時間tにおける出力値X(t)は、以下のような式(4)で表すことができる。
X(t)=A4sgn(sin((360°×t/T4)+α))・・・ 式(4)
ここで、A4は第13〜第16駆動信号88a〜88dの振幅、T4は第13〜第16駆動信号88a〜88dの周期、αは第13〜第16駆動信号88a〜88dの初期位相、(360°×t/T4)+αは、第13〜第16駆動信号88a〜88dの時間tにおける位相を表す。
第14駆動信号88bおよび第15駆動信号88cは、式(3)における初期位相αが0°である。すなわち、第14駆動信号88bと第15駆動信号88cとの間に位相差がなく、第14駆動信号88bが入力される第2駆動電極32bと、第15駆動信号88cが入力される第3駆動電極32cの極性は、第6次曲げ振動のときは常に一致している。
図7Dに示す6次曲げ振動モードでは、隣り合う2つの振動の節90の間に配置されている第2駆動電極32bと第3駆動電極32cの極性を一致させているため、第2および第3セクションの変形する方向(光軸αに沿った方向)が一致し、防塵フィルタ18表面に大きい振動加速度を与えることができる。
また、図7Dに示すように、振動の節90を含む位置に配置されている第1および第4駆動電極32a,32dには、式(4)における位相が時間tにかかわらず0となる駆動信号86a,86dが出力される(図9D)。これによって、6次曲げ振動モードにおける第1および第4駆動電極32a,32dの電位は、共通電極34と同様に接地電位に保たれる。
すなわち、6次曲げ振動モードでは、各駆動電極32a〜32dに出力する駆動信号の位相を、各駆動電極32a〜32dと振動の節90の位置関係に関連して変化させている。このため、6次曲げ振動モードでは、図7Dに示すように、第2および第3セクション36b,36cは、曲げ振動の腹部の変形方向に適した変形を生じる。さらに、第1および第4セクション36a,36dは、振動の節90近傍の変形量が小さいのに対応して、圧電体36を変形させる電圧変化を受けない。なお、図7Dは、図9Dに示す時間t4における防塵フィルタ18の振動状態を表した図である。
すなわち防塵フィルタ18は、圧電体36の第2および第3セクション36b,36cから、曲げ振動の振幅を増幅させる力を受けることができる。
また、第1および第4セクション36a,36dは、振動の節90を含む位置に配置されているため、第1および第4駆動電極32a,32dの電位は接地電位に保たれる。すなわち、曲げ振動の振幅の小さい振動の節90を含む位置に配置される第1および第4駆動電極32a,32dの電位を変化させないことによって、防塵効果を確保しながら、振動部材20を省電力で駆動することができる。
9次曲げ振動モードから6次曲げ振動モードまでが終了すると、一連の除塵動作が終了する(ステップS010)。各曲げ振動の駆動時間は、防塵フィルタに付着する塵埃の量や種類に応じて適切な時間に設定することができる。たとえば、各振動モードの駆動時間を200〜300msecとし、一連の除塵動作のスタート(ステップS001)から終了(ステップS010)までの時間を約1.0秒程度とすることができる。
また、防塵フィルタ18に発生させる曲げ振動の次数としては、6次〜9次に限られず、振動の節90の位置を変化させられる次数であればどのような次数を組合せても良い。曲げ振動における振動の節90の位置を変化させることによって、防塵フィルタ18の表面の全体にわたり、塵などを振り飛ばすことが可能になり、防塵効果が向上するからである。すなわち、ある特定の振動モードでは、防塵フィルタ18の表面において、振動の節90の位置に吹き飛ばされずに残っていた塵埃などが、他の振動モードでは、振動の節90の位置が変化することから振動の加速度で吹き飛ばされることになる。その結果として、防塵フィルタ18の外部面18a全域に渡りゴミ除去が可能になる。
このように、本実施形態における防塵フィルタ駆動回路56は、ボディCPU50からの制御を受けて振動部材20を駆動し、除塵動作を行う。ボディCPU50は、各駆動電極32a〜32dに対して、互いに位相の異なる駆動信号を出力するように、防塵フィルタ駆動回路56を制御することができる。各駆動電極32a〜32dは、互いに位相の異なる駆動信号によって制御されるため、各駆動電極に対応する圧電体36の各セクション36a〜36dは、各駆動信号に応じてそれぞれ変形し、防塵フィルタ18に発生する曲げ振動に適した力を当該防塵フィルタ18与える。
また、図7Cと図7Dの比較から明らかなように、ボディCPU50は、隣り合う2つの振動の節90の間に存在する駆動電極32a〜32dの数が変化するように振動モード選択回路80を制御して、防塵フィルタ18に発生する曲げ振動の次数を調整することができる。この場合において、ボディCPU50は、各駆動電極32a〜32dと防塵フィルタ18に発生する振動の節90との位置関係に関連して、駆動信号の位相を駆動電極32a〜32dごとに変化させることができる。各駆動電極36a〜36dは、振動の節90との位置関係に応じて位相の異なる駆動信号によって制御されるため、圧電体36の各セクション36a〜36dは、曲げ振動による変形の方向に対応した力を、当該防塵フィルタ18に与えるように変形することができる。
さらに、防塵フィルタ18等を含む防塵装置は、図7Dに示す6次曲げ振動モードのように、隣り合う2つの振動の節90の間に存在する駆動電極の数が2以上となる振動モードを有していても良い。このような構成では、振動の節90の間隔に対して、各電極間の幅が小さいため、各駆動電極に出力される駆動信号の位相をより適切に変化させることができる。なお、各振動モードにおいて防塵フィルタ18に発生する振動の節90の位置および間隔は、防塵フィルタ18および振動部材20の材質、寸法および固定位置等によって調整することができる。
図1に示すボディCPU50は、防塵フィルタ駆動回路56と振動部材20の間に設けられた切替回路70に対して指令を送り、図4Aに示す駆動電極32a〜32dへの配線を切り替えることができる。切替回路70は、防塵フィルタ駆動回路56と駆動電極32a〜32dとを電気的に接続している配線の一つ切り換えて、駆動電極32a〜32dの一つと検出回路74とを電気的に接続する。なお、その他の駆動電極は防塵フィルタ駆動回路56に前記的に接続されたままである。
検出回路74は、当該検出回路74に電気的に接続された駆動電極(以下、検出電極とする)と共通電極34との間に配置された圧電体36が変形した際に、当該検出電極と共通電極34の間に発生する電位差を検出することができる。したがって、防塵フィルタ駆動回路56を介して振動部材20を駆動し、その際に検出回路74によって検出される信号をボディCPU50で解析することによって、防塵フィルタ18に設計通りの振動が発生していることを検査できる。なお、図4Aに示すように、防塵フィルタ駆動回路56は、検出電極以外の駆動電極に駆動信号を出力することによって圧電体36を変形させ、振動部材20を駆動する。よって、検出電極の数は1つ又は2つが好ましい。
図10は、検査動作における一連の処理を表したフローチャートである。ステップ101では検査動作を開始する。検査動作は、図1に示すカメラの製造時において行われてもよく、カメラの使用者からの指示等により所定のタイミングで行っても良い。
ステップ102では、ボディCPU50からの指示を受けて、図4Aに示す切替回路70が、第2駆動電極32bを、防塵フィルタ駆動回路56に換えて、検出回路74に電気的に接続する。切替回路70は、いずれの駆動電極を検出回路74に接続してもよいが、除塵動作における全ての振動モードにおいて防塵フィルタ18に発生する振動の節90を含まない位置に配置される駆動電極を接続することが好ましい。振動の腹に配置される駆動電極の方が、振動の節90に配置される駆動電極より大きな検出出力を得ることができるからである。なお、振動モードに応じて検出回路74に接続する駆動電極を変えてもよく、複数の駆動電極を検出回路74に接続してもよい。
ステップS103では、図4Aに示す振動部材20の駆動を開始する。例えば、ボディCPU50は防塵フィルタ駆動回路56を、図6のフローチャートで説明した除塵動作と同様に制御して、防塵フィルタ18に一つの曲げ振動モードを発生させる。ただし、防塵フィルタ駆動回路56は、検出回路74に切り換えて接続されている第2駆動電極32bには駆動信号を出力しない。
次に、防塵フィルタ駆動回路56によって防塵フィルタ18に曲げ振動を発生させている状態において、検出電極と検出回路74によって、防塵フィルタ18の振動信号を検出する(図10のステップ104)。図11は、防塵フィルタ駆動回路56から出力される各駆動電極への駆動信号86a,86c,86dと、検出回路74で検出される信号とを、時間軸を揃えて表示している。
図11において、第1駆動信号86aは第1駆動電極32aへ、第3駆動信号86cは第3駆動電極32cへ、第4駆動信号86dは第4駆動電極32dへそれぞれ出力される駆動信号を表している。各駆動信号は、除塵動作における8次曲げ振動モードで出力した駆動信号(図9B)と同様である。ただし、第2駆動電極32bには駆動信号は出力されない。
図4Aに示す各駆動電極32a,32c,32dには、各駆動信号86a,86c,86dに対応する電圧が印加される。ここで、振動部材20および防塵フィルタ18が正常に動作すれば、図7Bに示す8次の曲げ振動が防塵フィルタ18等に発生する。
圧電体36の第2セクション36bは、共通電極34を介して防塵フィルタ18に対して一体的に固定されているため、防塵フィルタ18に発生した曲げ振動から力を受けて変形する。圧電体36の第2セクション36bが変形すると、当該変形に対応した電位差が、検出電極としての第2駆動電極36bと共通電極34との間に発生する。したがって、第2駆動電極32bに電気的に接続されている検出回路74は、図11に示すような振動信号92を検出することができる。
振動信号92の周期T5は、防塵フィルタ18に発生する曲げ振動の周期T2と概ね一致し、振動信号92の振幅A5は、防塵フィルタ18に発生する曲げ振動の振幅A2に概ね比例する。したがって、検出回路74で検出された振動信号92を、ボディCPU50等で解析することによって、防塵フィルタ18の振動を検査することができる。
たとえば、振動部材20と防塵フィルタ18との固定が不十分であるような場合は、振動信号92の振幅A5が設計値に対して小さい値となったり、振動信号92の周期T5が駆動信号86a,86dの駆動周期T2と異なる値となったりする。なお、他の曲げ振動モードについても、8次曲げ振動モードと同様にして、防塵フィルタ18に発生する曲げ振動を検査することができる。
振動信号92を検出した後、図10のステップS105で駆動信号の出力を停止して振動部材20(圧電体36)の駆動を終了する。さらに、ステップS106では、図4Aに示す切替回路70が、第2駆動電極32bの接続を、検出回路74から防塵フィルタ駆動回路56に切り換える。
ステップS105では、一連の検査動作を終了させる。なお、ステップS107において、図1に示すボディCPU50は、検査結果を表示部55に表示したり、EEPROM60に検査結果を記録するなどの処理を行うことができる。
このように、本実施形態では、駆動電極の一つを検出電極として使用することができるため、防塵フィルタ18の駆動に使用しない検出用電極を設ける必要がない。したがって、振動部材20およびこれを含む撮像素子ユニット4を小型化することができる。また、検出電極を別途有するものに比べて、効率的に防塵フィルタ18を振動させ、防塵効果を高めることができる。
第2実施形態
図12Aは本発明の第2実施形態に係る防塵部11の平面図であり、図12Bは図12AにおけるXIIB−XIIB線に沿う断面図である。図12Aおよび図12Bに示すように、第2実施形態に係る防塵部11は、2つの振動部材20,21を有している。なお、図12Aおよび図12Bに示す構成以外の構成は、第1実施形態に係る防塵部11を有するカメラ2と同様である。
すなわち、第2実施形態では、防塵フィルタ18の長辺方向Lの片側に取り付けられている振動部材20に加えて、長辺方向Lの他の片側に、第2振動部材21が取り付けられている。第2振動部材21は、振動部材20と同様に、互いに電気的に絶縁されている4枚の第1〜第4駆動電極33a〜33dを有する。また、図12Bの断面図に示すように、第2振動部材21は、防塵フィルタ18の外部面18aに取り付けられた共通電極35と、第1〜第4駆動電極33a〜33dと共通電極35に挟まれた圧電体37とをさらに有する。
図12Aに示す防塵フィルタ駆動回路56は、振動部材20の駆動電極32a〜32dと、第2振動部材21の駆動電極33a〜33dとの両方に駆動信号を出力する。この場合において、第2振動部材21の各駆動電極33a〜33dに出力される駆動信号は、振動部材20の各駆動電極32a〜32dと同じであってもよい。
例えば、図9Aに示す9次曲げ振動モードであれば、第1および第2駆動信号85a,85bを第1および第2駆動電極32a,33a,32b,33bに出力し、第3および第4駆動信号85c,85dを第3および第4駆動電極32c,33c,32d,33dに出力することができる。また、図9A〜図9Dに示す8次〜6次曲げ振動モードについても、これと同様に出力することができる。すなわち、ボディCPU50は、第2振動部材21の各駆動電極33a〜33dに出力される駆動信号の位相も、振動部材20と同様に、防塵フィルタ18および振動部材20,21に発生する曲げ振動の次数に対応して変化させる。
なお、振動部材20および第2振動部材21の配置としては、防塵フィルタ18の長辺方向Lの両側部に限られず、各駆動電極が曲げ振動を発生させられる構成であればどのような配置であってもよい。たとえば、防塵フィルタ18の短辺方向の両側部に配置されていてもよい。
第2実施形態に係る防塵部11は、第1実施形態に係る防塵部11が奏する効果に加えて、以下の効果を有する。すなわち、第2実施形態に係る防塵部11は、2つの振動部材20,21を使用して防塵フィルタ18を駆動させることができるので、より強い曲げ振動を防塵フィルタ18に発生させ、塵埃の除去効果を高めることができる。また、第2実施形態の防塵部11による検査動作では、例えば8つの駆動電極のうち7つの駆動電極に駆動信号を出力しながら検査動作を行うことができる。したがって、より除塵動作時の曲げ振動に近い振動を防塵フィルタ18に発生させながら、検査動作を行うことができる。
第3実施形態
図13は本発明の第3実施形態に係るカメラを表すブロック図である。第2実施形態に係るカメラ2は、カメラボディ40内に検出回路74を有しない。その他の構成については、図1等に示す第1実施形態に係るカメラ2と同様である。
図13に示すカメラ2は、製造工程等において行われる振動検査の際、検査装置96に接続される。検査用装置96には検出回路74が備えられており、検出回路74は切替回路70を介して、振動部材の駆動電極の一つと電気的に接続される。
したがって、図10のフローチャートによる検査動作では、検出装置96に備えられたモニタなどの検出表示部98等に、図11に示す振動信号92が表示される。このように、第3実施形態に係るカメラは、検出回路74をカメラボディ40内部に設けていないため、図1に示す構成に比べてシステムが単純である。なお、カメラの製造工程等において行われる振動検査では、検査結果に応じて、当該カメラを良品と不良品に選別することができる。また、切替回路70をカメラボディ40の内部に設けず、検査動作では所定の駆動電極に、手作業で検出回路74を電気的に接続することとしても良い。
その他の実施形態
図9A〜図9Dおよび図11のように、上述の実施形態における駆動信号は矩形波であるが、駆動信号としてはこれに限られず、例えばサイン波のように出力が遷移的に変化する駆動信号であってもよい。また、各駆動信号間の位相差も180°に限られず、振動の節90との位置関係に応じて適切に設定された任意の値とすることができる。