図1は、本発明の第1の実施例によるポインティングデバイスの構造図である。図1(a)は本実施例によるポインティングデバイスの平面図であり、図1(b)は本実施例によるポインティングデバイスの断面図である。本実施例は、従来のマウスの構造を上下逆にしたような構造であり、被検出体であるパネル2を同一水平面上の所望の方向に指で操作することで、その移動方向及び移動量をコンピュータに対するポインタ操作指令とするものである。
図1に示すように、本実施例によるポインティングデバイス1においては、被検出体としてのパネル2と、パネル2を水平移動させる水平移動機構及び水平戻り機構として、第1の支持台3、第1及び第2のX方向レール4及び4’、第1及び第2のX方向バネ支持棒9及び9’、第1及び第2のX方向レール把持機構10及び10’、第2の支持台5、第1及び第2のY方向レール6及び6’、第1及び第2のY方向バネ支持棒12及び12’、第1及び第2のY方向レール把持機構11及び11’、並びに、第1及び第2のY方向バネ支持棒12及び12’と、パネル2の移動量を検出する移動量検出手段として、光源21、レンズ22及び受光手段23とを備える。第1の支持台3及び第2の支持台5には、それぞれ中央付近に第1の開口部13及び第2の開口部14が設けられる。
まず、本発明の第1の実施例による水平移動機構について説明する。
図2は、本発明の第1の実施例による水平移動機構を説明する図である。図2(a)は水平移動機構の断面図を示し、図2 (b)は水平移動機構の斜視図を示す。
図2に示すように、パネル2の下面には第1及び第2のX方向レール把持機構10及び10’が設けられており、第1の支持台3上に配設させられた第1及び第2のX方向レール4及び4’をそれぞれ移動可能に把持する構造である。
また、第1の支持台3の下面についても、第1及び第2のX方向レール把持機構10及び10’と同様の構造を有する第1及び第2のY方向レール把持機構11及び11’(図示せず)が設けられており、第2の支持台5上に配設させられた第1及び第2のY方向レール6及び6’をそれぞれ移動可能に把持する。
図1に示すように、第1及び第2のX方向レール4及び4’は、第1及び第2のX方向バネ支持棒9及び9’によって第1の支持台3にそれぞれ固定される。また、第1及び第2のY方向レール6及び6’はそれぞれ、第1及び第2のY方向バネ支持棒12及び12’によって第2の支持台5に固定される。
なお、本実施例では、水平移動機構としてXY2方向に対してそれぞれ2本のレールを設けたが、レールの本数はこれに限らない。また、各レール把持機構の形状も図2に限定されるものではない。すなわち、各レール上を移動可能に把持できる形状であれば良く、例えば第1の支持台の下面の1辺全体に渡ってレール把持機構を設けても良い。
また、上述のようなレール把持機構ではなく、各レールを把持する形で車輪を設けても良い。図3は水平移動機構の他の実施例の断面図である。パネル2又は第1の下面には少なくとも2つの車輪12及び12’が設けられ、各車輪12及び12’が第1及び第2のX方向レール4及び4’上を滑走する。第1の支持台3についても同様な構造を用いても良い。
図4は水平移動機構の更に他の実施例の断面図である。本実施例は、第1及び第2の支持台3及び5の上面に、互いに直交するような少なくとも2本のガイド溝を設け、パネル2及び第1の支持台3の下面には各ガイド溝に嵌合するような嵌合手段を設けることにより水平移動させる構造である。このような水平移動機構の形状としては、例えば図4(a)〜(c)のような形状が考えられるが、パネル2及び第1の支持台3が、それぞれ第1の支持台3及び第2の支持台5に対して外れることなく、嵌合して移動可能であるような形状であれば良い。
以上説明したような水平移動機構によれば、パネル2をX方向に指で操作するとパネル2が第1の支持台3に対してX方向に水平移動し、パネル2をY方向に指で操作すると第1の支持台3が第2の支持台5に対してY方向に水平移動する。第2の支持台5は、ポインティングデバイスのケース枠(図示せず)に固定されるので、第2の支持台5から見れば水平面上全ての方向に対してパネル2を操作可能であるといえる。
なお、この水平面上におけるパネル2の操作可能範囲は、X方向に関しては、第1及び第2のX方向バネ支持棒9及び9’によってパネル2の移動が制限されるまでであり、Y方向に関しては、第1及び第2のY方向バネ支持棒12及び12’によって第1の支持台3の移動が制限されるまでである。
次に、本発明の第1の実施例による水平戻り機構について、図1を参照して説明する。
指によるパネル2の水平移動操作終了後は、パネル2を所定の待機位置に戻す必要がある。本実施例では、パネル2の水平移動操作終了後に、パネル2を所定の位置に戻す水平戻り機構として、第1及び第2のX方向バネ7及び7’並びに第1及び第2のY方向バネ8及び8’を備える。
第1のX方向バネ7は、パネル2と第1のX方向バネ支持棒9との間に設けられ、第2のX方向バネ7’は、パネル2と第2のX方向バネ支持棒9’との間に設けられ、パネル2のX方向の水平移動操作終了後、パネル2を所定の位置に戻す。
第1のY方向バネ8は、第1の支持台3と第1のY方向バネ支持棒10との間に設けられ、第2のY方向バネ8’は、第1の支持台3と第2のY方向バネ支持棒10’との間に設けられ、パネル2のY方向の水平移動操作終了後、パネル2を所定の位置に戻す。
なお、本実施例では水平戻り機構にバネを用いたが、ゴムのような弾性部材を用いても良い。
続いて、本発明の第1の実施例による移動量検出手段について説明する。
図5は、本発明の第1の実施例による移動量検出手段の説明図である。
図1及び5に示すように、本実施例によれば、被検出体であるパネル2の移動量を検出する移動量検出手段20は、光源21と、レンズ22と、受光手段23とを備え、従来の光学式マウスの構造を上下逆にしたような構造である。この移動検出手段20は、第2の支持台(すなわちポインティングデバイスのケース枠)に固定される。光源21は例えば発光ダイオードであり、受光手段23は例えばCCDセンサである。
また、パネル2をどの方向に操作しても、光源21からパネル2に対して照射される光が受光手段23において確実に受光できるようするため、第1の支持台3及び第2の支持台5には、それぞれ中央部分に第1の開口部13及び第2の開口部14が設けられている。
光源21から発せられる光は、レンズ22内の反射部24を介してパネル2に照射される。パネル2からの反射光は、レンズ22内の集光部25で集光され、受光手段23において受光される。すなわち、図5に示されるように、光源21で発せられた光は、レンズ22を介して受光手段23まで、1点鎖線で示されるように像を結ぶ。受光手段23で受光された光を基づき、画像認識用IC(図示せず)の画像認識によってパネル2の移動量及び移動方向を検出することになる。画像認識用ICは、従来の光学式マウス同様、単位時間毎の画像変化を検出し、その変化量及び方向を、コンピュータに対する操作指令として送信する。
本実施例では、被検出体であるパネル2の移動量を検出する移動量検出手段として光学式マウスの原理を利用しているが、パネル2の移動量及び方向を検出できるものであればその他の形式であっても良い。
図6は、移動検出手段の他の実施例の概略図である。ここでは説明を容易にするために、パネル2のX方向への移動の検出についてのみ説明するが、第1の支持台3のY方向への移動についても適用できる。図6(a)は平面図であり、図6(b)はb−b断面図であり、図6(c)はc−c断面図であり、図6(d)は側面図である。
本実施例では、第1及び第2のX方向レール4及び4’を導電材料で構成し、パネル2は絶縁材料で構成する。パネル2の下面には、導電材料から成る部材31が固定される。また、水平移動機構として、それぞれが少なくとも2つの車輪を備える、第1及び第2の前輪ユニット32及び32’並びに第1及び第2の後輪ユニット33及び33’が、それぞれ第1及び第2のX方向レール4及び4’を把持する形で設けられる。第1及び第2の前輪ユニット32及び32’は導電材料から成り、部材31に設けられるが、第1及び第2の後輪ユニット33及び33’は絶縁材料から成り、パネル2の下面に設けられる。第1及び第2のX方向レール4及び4’には抵抗値検出回路34が接続されており、従って、第1のX方向レール4、第1の前輪ユニット32、部材31、第2の前輪ユニット32’及び第2のX方向レール4’と共に閉回路を構成することになる。
パネル2がX方向に移動すると、上述の閉回路の抵抗値が変化するので、抵抗値検出回路34でその抵抗値を検出し、X方向の移動量として制御ICへ送出する。ここでは詳しく説明しないが、第1の支持台3のY方向の移動についても同様の方法抵抗値を検出し、Y方向の移動量として制御ICへ送出する。抵抗値検出回路34としては、周知の抵抗値検出技術が利用可能である。
ところで、本発明の第1の実施例によるポインティングデバイスにおいては、パネル2を指で操作して所望の方向及び大きさだけ移動させたときのみコンピュータに対して操作指令を送出し、所望の操作が終了してパネル2から指を離した後、水平戻り機構によりパネル2が所定の位置に戻るときは、コンピュータに対する操作指令をロックする必要がある。
このような操作指令ロック機構を、本実施例では被検出体であるパネル2上の操作面への指の接触を検知する接触検知手段を備えることで実現する。すなわち、パネル2への指の接触が検知されたときにのみ、パネル2及び第1の支持台3の移動量をコンピュータに対する操作指令として送出する。
図1には図示しないが、指のパネル2への接触を検出する方法としては、メカニカルスイッチを用いる方法、抵抗膜を用いる方法、静電容量の変化を用いる方法等、周知の技術が利用可能であり、それぞれパネル2上の操作面に設ければよい。指のパネル2への接触の有無の判定及び操作指令の生成は、ポインティングデバイス内の制御ICで制御される。
図7は、本発明の第2の実施例によるポインティングデバイスの操作指令ロック機構を説明する図である。図7(a)は本実施例におけるポインティングデバイス1の平面図であり、図7(b)は本実施例におけるポインティングデバイス1のb−b断面図であり、図7(c)は本実施例におけるポインティングデバイス1のc−c断面図である。なお、説明を簡単にするため、図7(a)〜(c)では、第1及び第2のX方向バネ7及び7’並びに第1及び第2のY方向バネ8及び8’については省略する。また、図7(b)及び(c)では、移動量検出手段20についても省略する。
本実施例によるポインティングデバイス1は、図1の第1の実施例において、同一水平面上の、直交する2方向のそれぞれに対して、被検出体を挟むように対向して備えられる複数のスイッチを更に有するものである。本実施例では、図7に示すように、パネル2の第1の支持台3に対する移動方向であるX方向に対しては第1及び第2のX方向スイッチ41及び41’が、第1の支持台3の第2の支持台5に対する移動方向であるY方向に対しては第1及び第2のY方向スイッチ42及び42’が備えられるが、更に複数個スイッチを設けても良い。
図7に示すように、第1のX方向スイッチ41は第1のX方向バネ支持棒9に、第2のX方向スイッチ41’は第2のX方向バネ支持棒9’にそれぞれ固定されており、パネル2をX方向に操作することで、パネル2の側面が第1のX方向スイッチ41又は第2のX方向スイッチ41’を押圧できる構造である。
同様に、第1のY方向スイッチ42は第1のY方向バネ支持棒12に、第2のY方向スイッチ42’は第2のY方向バネ支持棒12’にそれぞれ固定されており、パネル2をY方向に操作して第1の支持台3を第2の支持台5に対して移動させることで、パネル2の側面が第1のY方向スイッチ42又は第2のY方向スイッチ42’を押圧できる構造である。なお、パネル2の側面ではなく、第1の支持台3の側面が押圧できるように第1のY方向スイッチ42及び第2のY方向スイッチ42’をそれぞれ第1のY方向バネ支持棒12及び第2のY方向バネ支持棒12’に設置してもよい。
上記スイッチのそれぞれの大きさは、光源21、パネル2、レンズ22及び受光手段23を結ぶ光経路の形成に支障のないようなものとする。すなわち、ポインティングデバイス1を上面から見た場合、第1及び第2のX方向スイッチ41及び41’は第1の開口部13に対して、第1及び第2のY方向スイッチ42及び42’は第2の開口部14に対して、それぞれ覆い被らないような大きさであればよい。
本実施例によれば、上記スイッチのいずれか1つがパネル2によって押圧されたときに、押圧されるまでのパネル2の移動量をコンピュータに対する操作指令として送信し、パネル2の操作終了後、水平戻り機構によりパネル2が所定の位置に戻るときは、コンピュータに対する操作指令はロックする。上記スイッチの押圧の有無の判定及び操作指令の生成は、ポインティングデバイス内の制御ICで制御される。
図8は、本発明の第3の実施例によるポインティングデバイスの構造図である。図8(a)は本実施例によるポインティングデバイスの平面図であり、図8(b)は本実施例によるポインティングデバイスの断面図である。
本実施例は、図1の第1の実施例において、被検出体であるパネル2を垂直移動させる垂直移動機構と、パネル2の垂直移動操作終了後にパネル2を所定の位置に戻す垂直戻り機構とを更に備えるものである。本実施例では、パネル2を垂直方向に押下しながら水平移動操作しているときのみ、パネル2及び第1の支持台3の移動量をコンピュータに対する操作指令として送出する。
図9は本発明の第3の実施例によるポインティングデバイスの垂直移動機構及び垂直戻り機構の斜視図である。
図1の第1の実施例によるポインティングデバイスの第2の支持台5は、ケース枠に固定されていたが、本実施例では、第2の支持台5は、ケース枠に対して垂直な方向に移動可能である。
図8に示すように、ケース枠50には第1〜第4の垂直方向ガイド棒41〜44が固定され、各ガイド棒は第2の支持台5に設けられた開口部をそれぞれ貫通している。また、第2の支持台5とケース枠50との間には第1〜第4の垂直方向バネ45〜48が設けられる。
図9は、第1の垂直方向ガイド棒41及び第1の垂直方向バネ45について示しており、本実施例では、第1〜第4の垂直方向バネ45〜48は、それぞれ2つのコイルバネを備えているが、その数はこれに限らない。また、コイルバネの代わりにゴムのような弾性部材を用いてもよい。
第1〜第4の垂直方向バネ45〜48は、第2の支持台5がケース枠50から離脱してしまうのを防止するための機能についても更に有しているということができるが、更に、第2の支持台5の離脱防止用のための留め具を、第1〜第4の垂直方向ガイド棒41〜44の少なくとも1つに、第2の支持台5に対して第1〜第4の垂直方向バネ45〜48がある面とは反対側にそれぞれ設けてもよい。図10は、離脱防止用の留め具の例を示す図である。留め具49の形状は、第2の支持台5がケース枠から離脱不可能であればどのような形状であってもよく、例えば図9(a)及あるいは(b)に示すような形状の留め具49が、第1〜第4の垂直方向ガイド棒41〜44の少なくとも1つ(図10では第1の垂直方向ガイド棒41)に設けられる。
本実施例によれば、パネル2を指で垂直方向に押下すると、第2の支持台5は第1〜第4の垂直方向ガイド棒41〜44に沿って下方向に移動する。押下を止めると第1〜第4の垂直方向バネ45〜48の弾性力により第2の支持台5は所定の位置に戻る。なお、パネル2を垂直方向に押下しながら水平方向に操作しても、第2の支持台は、ケース枠50に対して、第1〜第4の垂直方向ガイド棒41〜44に沿って垂直方向に移動するのみであり水平方向に移動することはない。
前述の第1及び第2の実施例同様、本実施例によるポインティングデバイスにおいては、パネル2の操作時のみそのときの操作指令をコンピュータに出力し、所望の操作が終了してパネル2から指を離した後、水平戻り機構によりパネル2が所定の位置に戻るときは、コンピュータに対する操作指令をロックする必要がある。
パネル2の移動量を検出する移動量検出手段20は、図8(b)に示すような光学式マウスの原理を利用しているが、本実施例では、特に、パネル2の押下時のみ、所定の解像度を有する受光手段23が反射光を受光するように反射光を集光させる集光部25を備えるレンズ22が設置される。
レンズ22を含む移動検出手段20はケース枠50に固定設置されているが、垂直方向に移動可能なパネル2が押下されると、集光部25の反射光に対する焦点距離がずれることになる。つまり、予め決められた解像度を有する受光手段23は、パネル2を押下していないときは、集光部25が反射光を受光手段23に集光できないので反射光を受光することができず、パネル2の押下時のみ反射光を受光できる。
従って、受光手段23が反射光を受光できないときは、画像認識用IC(図示せず)はパネル2の移動量及び移動方向を検出することができないので、制御ICはコンピュータに対して操作指令を送信しない。これに対し、受光手段が反射光を受光したときは、制御ICはコンピュータに対して操作指令を送信する。
このように、本実施例によれば、パネル2を指で押下して所望の方向及び大きさだけ移動させたときのみコンピュータに対して操作指令を送出し、パネル2の操作が終了して指がパネル2から離れると、水平戻り機構によりパネル2が所定の位置に戻ろうとするが、この間、第1〜第4の垂直方向バネ45〜48の弾性力により第2の支持台5は垂直方向に対しても上向きに移動し、パネル2と集光部25との垂直方向の距離が変化することになり、受光手段23は反射光を受光できないので、コンピュータに対する操作指令をロックすることができる。
図11は、本発明の第4の実施例によるポインティングデバイスの構造図である。図11(a)は本実施例によるポインティングデバイスの平面図であり、図11(b)は本実施例によるポインティングデバイスの断面図である。
本実施例は、図8〜10の第3の実施例において、パネル2の押下を検知する押下検知手段を更に備え、パネル2の押下を押下検知手段が検知したときのみ、移動量をコンピュータに対する操作指令として送信するものである。
図11に示すように、本実施例では、押下検出手段として押下検出スイッチ51が、パネル2が押下されたときに第2の支持台5が押下検出スイッチ51を押下するよう、ケース枠50に設置される移動量検出手段20を支持する土台上に更に設置される。押下検出スイッチ51は本実施例ではメカニカルスイッチであるが、その他に、周知のセンサ技術が利用可能である。またその数も少なくとも1つ設置されればよい。押下検出スイッチによるパネル2の押下の有無の判定及び操作指令の生成は、ポインティングデバイス内の制御ICで制御される。
図12は、本発明の第5の実施例によるパネルの断面図である。
上記の各実施例におけるパネル2の操作面は平面であるが、本実施例によるパネル2では、その操作面を、図12(a)に示すような凹型の形状、あるいは図12(b)に示すような凸型の形状にして、指への引っかかりを持たせて操作性を向上させる。また更に、パネル2上の操作面は、凹型及び凸型を組合わせた形状(図示せず)であってもよい。
第1の実施例で説明したように、指のパネル2への接触を検出する手段をパネル2上の操作面に設ける場合、抵抗膜を用いる方法、あるいは静電容量の変化を用いる方法等では操作面の形状に合わせてそれぞれ実現すればよいが、メカニカルスイッチを用いる場合は、図12(C)に示すように、パネル2上の操作面の一部分にスイッチ52が設置される。
本発明の第1から第5の実施例によれば、占有面積を低減すると共に、従来のマウス操作に必要であった操作スペースの必要の無い、操作性の良い光学式のポインティングデバイスを提供することができる。また、ボール回転式マウスのようにボールを用いる必要が無いので、薄型のポインティングデバイスを実現可能である。
上述のように、光学式のポインティングデバイスの光源には例えば発光ダイオードが用いられるが、この場合、パネル2の操作状態を検知するためには発光ダイオードは常時点灯させておく必要がある。
図8〜10を参照して説明したように本発明による第3の実施例では、受光手段23は、パネル2を押下していないときは集光部25が反射光を受光手段23に集光できないので反射光を受光することができず、パネル2の押下時のみ反射光を受光できる。従って、パネル2の押下時のみ光源を通常の駆動電力で点灯させ、パネル2を押下しないときは光源の駆動電力を低減させれば、ポインティングデバイスの消費電力の低減を図ることができ、また、光源の寿命を伸ばすことも可能である。
本発明の第6及び第7の実施例によるポインティングデバイスは、第3の実施例を発展させたものであり、第3の実施例におけるポインティングデバイスにおいて、パネル2が押下されていないときは、光源21の駆動電力を、通常の使用における駆動電力よりも低電力にする。
光源21を通常又は低電力のいずれの駆動電力で駆動するかの判定は、受光手段23が反射光を受光しない未受光時間と所定の時間との長短を比較することでなされる。未受光時間が所定の時間よりも長いと判定された場合は、パネル2が押下されていない状態、すなわちポインティングデバイス1を操作していない状態にあるということになるので、低電力の駆動電力で光源21を駆動し、消費電力を低減させる。
本発明の第6及び第7の実施例は、第3の実施例において、受光手段23が反射光を受光しない未受光時間と所定の時間とを比較する受光時間比較手段と、光源21を駆動するために、第1の駆動電力又は第2の駆動電力を出力する駆動手段とを更に備えたものである。駆動手段はポインティングデバイス内に容易に構成可能である。
図13は、本発明の第6及び第7の実施例による光学式ポインティングデバイスの動作を示すフローチャートである。
ステップ101では、受光手段23が反射光を受光しない未受光時間と所定の時間とを比較し、未受光時間が所定の時間よりも短いときはステップ102へ進み、未受光時間が所定の時間よりも長いときはステップ103へ進む。このステップ101の未受光時間の長短の判定は、制御ICによって実現可能である。
ステップ102では、第1の駆動電力で光源21を駆動する。第1の駆動電力は、パネル2が押下されてポインティングデバイス1が操作されている状態にあるときの直流の駆動電力である。
ステップ103では、第2の駆動電力で光源21を駆動する。第2の駆動電力は、パネル2が押下されていない状態、すなわちポインティングデバイス1が操作されていない状態にあるときの駆動電力であり、後述するように、第6の実施例によれば、第2の駆動電力の大きさは、第1の駆動電力の大きさよりも低く、第7の実施例によれば、第2の駆動電力は、パルス状電力である。
図14は、本発明の第6の実施例による受光時間比較手段及び駆動手段の概略図である。
図8に示されるようなポインティングデバイス1においては、光源21を駆動電力生成回路61によって点灯させ、パネル2によって反射された反射光を受光手段23が受光する。この図においてはレンズ22は省略してある。
駆動電圧生成回路61は、図14に示すように、電源電圧Vccと、第1及び第2の制限抵抗Rs及びRbと、第1及び第2のスイッチSW1及びSW2と、抵抗R1及びR2とを備える。なお、Rs<Rb、R1=R2である。
制御IC53は、受光手段23がパネル2に対する反射光を受光しない状態にある時間、すなわち、光源21、パネル2及び受光手段23にわたって像が結ばれていない未受光時間を常時計測しており、制御IC53内のメモリに予め記憶された所定の時間とその大小を比較し、駆動電圧発生信号を生成する。また、パネル2が押下されてポインティングデバイス1が操作されている状態にあるときは、更に、画像認識によって単位時間毎の画像変化を検出し、その変化をポインティングデバイス11の操作量及び操作方向としてコンピュータに送信する。
制御IC53が、未受光時間と所定の時間とを比較し、未受光時間が所定の時間よりも短いと判定したときは第1の駆動電圧生成信号201を、未受光時間が所定の時間よりも長いときと判定したときは第2の駆動電圧生成信号202を駆動電圧生成回路61へ出力する。
駆動電圧生成回路61が第1の駆動電圧生成信号201を受信すると、第1のスイッチSW1がオンになり、第1の制限抵抗Rsを介して光源61に直流の第1の駆動電圧が印加される。駆動電圧生成回路61が第2の駆動電圧生成信号202を受信すると、第2のスイッチSW2がオンになり、第2の制限抵抗Rbを介して光源63に直流の第2の駆動電圧が印加される。Rs<Rbであるので、第1の駆動電圧の大きさは第2の駆動電圧も大きい。従って、パネル2が押下されていない状態、すなわちポインティングデバイス1が操作されていない状態にあるときは、光源21を小さい駆動電力で駆動するので消費電力を低減させることができる。パネル2が押下されると、第1の駆動電圧が光源21に印加される。
図15は、本発明の第7の実施例による受光時間比較手段及び駆動手段の概略図である。
光源21を駆動電力生成回路61によって点灯させ、パネル2によって反射された反射光を受光手段23が受光する。駆動電圧生成回路61は、図15に示すように、電源電圧Vccと、スイッチSW3と、抵抗R1とを備える。
本実施例によれば、第6の実施例同様、制御IC53は、光源21、パネル2及び受光手段23にわたって像が結ばれていない未受光時間を常時計測しており、制御IC53内のメモリに予め記憶された所定の時間とその大小を比較し、駆動電圧発生信号203を生成する。また、パネル2が押下されてポインティングデバイス1が操作されている状態にあるときは、更に、画像認識によって単位時間毎の画像変化を検出し、その変化をポインティングデバイス1の操作量及び操作方向としてコンピュータに送信する。
制御IC53が、未受光時間と所定の時間とを比較し、未受光時間が所定の時間よりも短いと判定したときは光源21を通常通り点灯させる所定の一定出力の信号を、未受光時間が所定の時間よりも長いときと判定したときは光源21を間欠駆動させるためのパルス信号を、駆動電圧発生信号203として駆動電圧生成回路61へ出力する。
駆動電圧生成回路61が駆動電圧生成信号203を受信すると、スイッチSW3がオンになり、駆動電圧生成信号203に対応する駆動電圧が光源21に印加される。従って、パネル2が押下されていない状態、すなわちポインティングデバイス1が操作されていない状態にあるときは、光源21を間欠駆動させるパルス電力で駆動するので消費電力を低減させることができる。パネル2が押下されると、通常の駆動電圧が光源21に印加される。
本発明の第6及び第7の実施例によれば、パネル2を垂直方向に押下していないときは、コンピュータに対して操作指令を送信する必要はないので受光手段23を駆動させるための電力を低減し、パネル2を押下してコンピュータに対して操作指令を送信するときは通常の電力で受光手段23を駆動させるので、消費電力を低減させると共に、光源の長寿命化を図ることができる。
本発明による第6及び第7の実施例は、従来の光学式マウスにおいても適用することができる。
光学式のマウスの光源には例えば発光ダイオードが用いられるが、マウスの操作状態を検知するためには発光ダイオードは常時点灯させておく必要があり、発光ダイオードの寿命の低下及び、消費電力の増大が問題となっている。
図16は、本発明による第6及び第7の実施例の他の実施例を説明する図である。
図16(a)に示すように、光学式マウス62は、一般的に、被検出体63に光を照射する光源21と、被検出体63からの反射光を受光するための受光手段23とを備えており、光学式マウス62の操作状態を検知するために、光源21を点灯させ、被検出体63によって反射された反射光を受光手段23が受光する。光源21、被検出体63及び受光手段23にわたって像が結ばれており、受光手段23は被検出体62上の模様あるいは傷を感知し、画像認識用IC(図示せず)が画像認識によって単位時間毎の画像変化を検出し、その変化を光学式マウス62の移動量及び移動方向としてコンピュータに送信する。被検出体63は例えば床面又は専用マウスパッドであり、光源21は例えば発光ダイオードであり、受光手段23は例えばCCDセンサである。
図13(b)に示すように、光学式マウス62を手で持ち上げて別の場所に移動させるようなときは、本発明の第6及び第7の実施例で説明したような手法で、光源21の駆動電力を、通常の使用における駆動電力よりも低電力にすることが可能である。
図17は、本発明の第8の実施例によるポインティングデバイスの断面図である。
本発明の第8の実施例は、上述の第1〜第7の実施例において、製造プロセスの簡素化及び、製造コストの低減を図るべく、さらに構造容易にしたものである。
本実施例によれば、第1〜第7の実施例で説明したようなポインティングデバイスでは光源21、レンズ22、受光手段23及び、移動量検出手段等を保持するロアカバーを、レンズ22とを一体に成形することで得られたレンズ部材66を用いる。本実施例ではレンズ部材66のロアカバー部分はレンズ部分と類似の透明樹脂から成るが、レンズ部分とその他の部分のダブルモールドにしてもよい。
本実施例によれば、ポインティングデバイスにおけるロアカバーとレンズとを一体に成形するので、構造が容易であり、製造プロセスの簡素化及び、製造コストの低減を図ることができる。また、外部からのゴミあるいは埃の侵入を防ぐことができる。
本実施例は、通常の光学式マウスにも適用できる。
図18は、従来例による光学式マウスの内部の素子の構成を示す展開斜視図である。一般に光学式マウスは、光源、レンズ、受光手段及び、移動量検出手段等をマウスのロアカバーで保持する構造を有している。
図18 (a)に示すように、ロアカバー71とホルダー73との間にレンズ72が挟まれ、ホルダー73上には更に画像認識用IC74及び発光ダイオード75が配設され、図18(b)に示すように構成される。一般的に、このような一連の構成については、その製造プロセスは複雑であり、製造コストも高価である。
図19は、本発明の第8の実施例を光学式マウスに適用した場合の説明図である。
本実施例では、図18で示したようなロアカバー71とレンズ72とを、一体に成形することで得られたレンズ部材76を用いる。本実施例ではレンズ部材76のロアカバー部分はレンズ部分と類似の透明樹脂から成るが、レンズ部分とその他の部分のダブルモールドにしてもよい。
本実施例では、図19(a)に示すように、レンズ部材76の上にホルダー73が設置され、ホルダー73上には画像認識用IC74及び発光ダイオード75が配設される。図19 (b)は、本実施例によるレンズ部材76を用いた光学式マウス67の断面図を例示している。本実施例によれば、光学式マウスにおけるロアカバーとレンズとを一体に成形するので、構造が容易であり、製造プロセスの簡素化及び、製造コストの低減を図ることができる。また、外部からのゴミあるいは埃の侵入を防ぐことができる。