JP5197983B2 - 紙製容器の原材料シート及び紙製容器 - Google Patents
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Description
従来、このような用途に使用される容器としては、発泡ポリスチレン(EPS)製の断熱性を有するものが知られている。これはポリスチレンに発泡剤を加える工程を経た後、この材料をモールド内に注型し、その後、熱と圧力を加えて原料を発泡させ、成型容器を型から取り出すことによって製造される。このようにして得られた断熱性容器は断熱性の点では非常に優れている。しかし、この容器は全体のプラスチックを発泡させていることから嵩があり、ゴミ量が多くなる。そして、使用後にゴミとして焼却処分する際、高熱を発して燃焼するため焼却炉を損傷しやすく、石油資源の節約の観点からも見直しが求められている。また、環境ホルモンとしての人体への悪影響も懸念される、さらに、発泡ポリスチレンの外表面は微小な凹凸が多数存在するので、外表面に模様、文字、記号などを印刷しても鮮明に表現されない、紙カップに比べ肉厚強度が弱く即席麺などの比較的大きな容器の場合輸送中に割れたりすることがある、など欠点もあった。
同じく、紙に含有されている水分の加熱蒸発により発泡させる技術として、特許文献2(特許第3596681号公報)には、胴部材の一方の壁面に、紙の表面側から低融点の熱可塑性樹脂の発泡内層とこれよりも高い融点を有する熱可塑性樹脂の非発泡外層とからなる2層構造断熱膜が被着されており、発泡内層と紙との層間強度、紙の坪量、発泡層および非発泡外層の膜厚を規定した紙製容器が記載されている。特許文献2にはまた、紙の他面に、加熱時に蒸気圧を保持する層として高融点の熱可塑性樹脂をラミネートすることが記載されている。
しかし、紙基材中に含まれていた水分を加熱蒸発させ、この蒸発水分により熱可塑性樹脂層を発泡させて断熱性を付与する機構であることから制御が難しく、発泡不良が起こりピンホールが発生する、過発泡が起こる、また部分的に破裂したり紙基材から熱可塑性樹脂層が剥がれてしまうなどの問題が生じやすく、発泡状態が不均一になると十分な断熱性が得られない。
(2)胴部材と底板部材とからなる紙製容器であって、胴部材は、紙基材に発泡した熱可塑性樹脂層が形成されており、該発泡熱可塑性樹脂層は、紙基材の少なくとも片面に押出しラミネートした熱可塑性樹脂層を設け、紙基材中の水分を加熱蒸発させることによって前記熱可塑性樹脂層が発泡したものであって、該熱可塑性樹脂がJISK 7210:1999に従って測定したメルトマスフローレート(MFR)が16.0〜22.0g/10分の低密度ポリエチレンからなることを特徴とする紙製容器。
(3)胴部材の両方の壁面に熱可塑性樹脂層を有し、一方の壁面の熱可塑性樹脂層が、他方の壁面の熱可塑性樹脂層よりも融点の高い熱可塑性樹脂からなることを特徴とする(2)に記載の紙製容器。
(4) 胴部材の両方の壁面に設けられた熱可塑性樹脂層の内、融点の高い熱可塑性樹脂の融点が125℃以上であって、胴部材の内壁面側の熱可塑性樹脂層であることを特徴とする(2)又は(3)に記載の紙製容器。
2.均一な発泡層が形成されるので、きれいな印刷ができる。
3.発泡ポリスチレンを使用しない紙を主成分とする容器であり、環境に配慮した容器、人体への悪影響が少ない容器であって、紙系のゴミとして処理することができる。
本発明の紙製容器は、大きく分けて、A.胴部材原材料シートの作製、B.紙製容器の成型、C.加熱処理による発泡、の3つの工程から製造される。以下、本発明について図面に基づき説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(紙製容器の構成)
図1は、本発明による紙製容器の一例の断面図である。本発明の紙製容器1は、基本的に胴部材2と底板部材3とから構成されている。
図2は、図1においてYで示された胴部の部分拡大断面図である。本例では、胴部材の外壁面側(容器外側)に、紙基材4の表面に発泡した熱可塑性樹脂層5(以下、発泡熱可塑性樹脂層5という)が存在しており、発泡熱可塑性樹脂層5は、発泡セル6が並んだ構造となっている。胴部の内壁面側(容器内側)には、発泡熱可塑性樹脂層5の熱可塑性樹脂よりも融点の高い熱可塑性樹脂からなる熱可塑性樹脂層7(以下、非発泡熱可塑性樹脂層7という)が存在している。この非発泡熱可塑性樹脂層7は、後述するように、容器製造における加熱処理の際に発泡せず、紙基材からの蒸発水分の逃散を防止して発泡熱可塑性樹脂層5を確実かつ十分に発泡させるものである。
また、図示しないが、底板部材3は、底板部材原材料シートとして、紙基材の少なくとも片面に1以上の熱可塑性樹脂層やアルミ箔等を設けたものが好ましく使用される。これは紙中への液体等の浸透防止のためである。底板部材に用いられる熱可塑性樹脂は、胴部材と同じであっても異なっていてもよく、積層方法も押出しラミネート法の他、ウェットラミネート法、ドライラミネート法等の予めフィルム状にしたものと貼合する方法が適宜使用できる。
図3は、胴部材2の原材料となるシートの製造工程を示す。巻取8から繰り出された紙基材4の一表面に、Tダイ9から熱可塑性樹脂層5’を溶融樹脂膜の状態で押出し、クーリングロール10とこれに対向するニップロール11との間で冷却しつつ圧着し、胴部材原材料シート12を得る。ここで、Tダイから押出された溶融膜状態の熱可塑性樹脂が紙基材に接するまでの距離はエアギャップと呼ばれる。押出しラミネートにおいて、樹脂の溶融温度、積層速度などの操業条件は、用いる樹脂の種類や装置によって適宜設定すればよく特に制限されないが、一般に、例えば溶融温度は200〜350℃程度、積層速度は50〜200m/分程度である。なお、必要に応じて、紙基材や熱可塑性樹脂の接着性を向上させるために、コロナ処理、オゾン処理等を行ってもよい。また、ニップロールとしては硬度70度以上(JIS K−6253)のものを用い、線圧は15kgf/cm以上で押圧・圧着を行うことが好ましい。
また、図示しないが、胴部材原材料シート12の熱可塑性樹脂層5’を設けた反対面には、非発泡熱可塑性樹脂層7が積層されている、非発泡熱可塑性樹脂層7は、熱可塑性樹脂層5’のラミネート前、同時あるいは後に、押出しラミネートの他、ウェットラミネート法、ドライラミネート法等の予めフィルム状にしたものと貼合する方法で積層される。
本発明で使用される紙とは、植物繊維または植物繊維とその他の繊維とを絡み合わせ膠着させて製造したものであり、植物繊維の原料としては針葉樹または広葉樹などの木材繊維、ミツマタ、コウゾなどの靭皮繊維、バガス、ケナフ、麻などの非木材繊維、木綿繊維、古紙等が挙げられ、また、紙の種類として上質紙、コート紙、再生紙等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。紙の坪量は、100g/m2以上で400g/m2以下程度のものが好適であり、坪量が低すぎると、発泡に必要な含水率が少ないためか十分に発泡せず、また容器を手で把持したときに熱さを感じ易い。好ましくは200g/m2以上、さらに好ましくは250g/m2以上である。一方、坪量が高すぎると、胴部材として所望の剛度を超えて不経済であり、また必要以上に発泡して成型加工性も低下する。また、紙基材中の含水率としては、多すぎると剛度が低下して容器の成型加工性に劣り、また過発泡や発泡セルの破裂などを招くため、5〜15重量%が好ましいが、6〜10重量%であるとさらに好ましい。
前述したJIS K 7210:1999に従って測定したメルトマスフローレート(MFR)が15.0〜23.0g/10分である低密度ポリエチレンを使用する。
本発明ではラミネートした後積層したシートを加熱、水蒸気の発生により発泡させる。
本発明で使用している低密度ポリエチレンのメルトマスフローレート(MFR)が15.0〜23.0g/10分であることから溶融時の流動性がよく、水蒸気に対し良好の発泡を得ることができる。また押出し加工温度は315℃以上好ましくは320℃以上で下降することが好ましい。この理由としては高温度でかつ本発明である高流動性の低密度ポリエチレンを使用しており、押出し時の樹脂ダメージを防ぐことが理由である。
本発明では、発泡効率を高めるために、胴部材の発泡熱可塑性樹脂層を有する壁面の反対壁面側を、発泡熱可塑性樹脂層よりも融点の高い熱可塑性樹脂からなるとともに加熱処理した際に発泡しない熱可塑性樹脂層(非発泡熱可塑性樹脂層)、あるいはアルミ箔等で被覆することが好ましい。紙基材の片面が被覆されていないと、加熱処理の際にこの未被覆面から紙中の水分が大気中に蒸散してしまい、十分確実に発泡させることが難しくなる。従って、このような被覆層を設けることにより、紙中の水分を効率良く発泡に寄与させることができる。なお、これらの非発泡熱可塑性樹脂層やアルミ箔などは、胴部材の内壁面側に存在すると、充填液体等が紙中へ浸透することを防止でき好ましい。
同様に、発泡効率を高める目的で、発泡熱可塑性樹脂層の上に、非発泡熱可塑性樹脂層を設けることもできる。発泡熱可塑性樹脂層が胴部材の外壁面側に存在するときは、その表面は凹凸があり平滑ではないため、非発泡熱可塑性樹脂層の存在により、滑らかな手触りと光沢のある外観を得ることができ、容器の防水性もより向上する。
これらの非発泡熱可塑性樹脂層の熱可塑性樹脂は、発泡熱可塑性樹脂層と同一であっても異なっていてもよい。同一の場合は、密度に差を持たせることにより融点に差を生じさせることができる。例えば、両者の熱可塑性樹脂としてポリエチレンを選択する場合、発泡熱可塑性樹脂層は低密度ポリエチレンとし、非発泡熱可塑性樹脂層は中密度または高密度ポリエチレンとする。発泡熱可塑性樹脂層と非発泡熱可塑性樹脂層の熱可塑性樹脂における融点の差は5℃以上あることが好ましく、非発泡熱可塑性樹脂層の熱可塑性樹脂の融点としては、加熱の際に融解せず蒸発水分の拡散を抑止できればよく特に制限されないが、125℃以上が好ましい。
また、胴部材の外壁面側および内壁面側は、同じ積層構成であってもよいし異なっていてもよい。使用される樹脂の種類やその他の素材も、同一であってもよいし異なっていてもよい。
また、発泡熱可塑性樹脂層および非発泡熱可塑性樹脂層の各熱可塑性樹脂層には、所望の効果を阻害しない範囲で一般的に使用される種々の添加剤を添加することができる。これらの添加剤としては、例えば、帯電防止剤、白色顔料(酸化チタン、炭酸カルシウム、クレー、タルク、シリカ等の無機顔料等)、耐ブロッキング剤(アクリルビーズ、ガラスビーズ、シリカ等)、紫外線吸収剤などがある。
本発明では、上記の胴部材原材料シート12と底板部材原料シートとを常用のカップ製造装置やカップ成型機により成型する。まず、巻き取りロールから胴部材原材料シート12を繰り出し、所定箇所に必要な印刷を施す。この段階でバーコードなどを印刷することもできる。印刷部分の位置決めなどは常用の手段または手順により行うことができる。
次に、それぞれの原材料シートから胴部材用ブランクと底板部材用ブランクを打ち抜き、常用のカップ成型機で容器の形に組み立てる。ここで、発泡熱可塑性樹脂層5は、胴部材の外壁面側および内壁面側のどちらか片方あるいは両方に存在すればよく、断熱性、手触り、外観審美性など所望に応じて適宜決定すればよいが、容器内部を発泡面とした場合、飲食の際に発泡樹脂が箸やフォーク等により傷付いて口の中に入り込むおそれがあるため、外壁面側に存在することが望ましい。そこで、例えば、胴部材原料シート12の熱可塑性樹脂層5’が容器外側に向くように、また、底板部材は熱可塑性樹脂層面が容器内側に向くようにして、組み立てる。
成型後の紙製容器は、発泡させるために加熱処理を行う。本発明では、加熱処理により、胴部材2の紙基材4中に含まれる水分が蒸発して、熱可塑性樹脂層5’が発泡し発泡熱可塑性樹脂層5となる。
加熱温度および加熱時間は使用する紙基材および熱可塑性樹脂の種類に応じて変化し、使用する熱可塑性樹脂に対する最適な加熱温度と加熱時間の組み合わせは適宜決定することができるが、加熱温度は発泡する熱可塑性樹脂の融点よりもやや高い温度(融点+5〜10℃の範囲)が適し、一般的に、加熱温度約110℃〜約200℃程度、加熱時間約1分間〜6分間程度である。加熱手段は特に限定されず、熱風、電熱、電子線など任意の手段を使用できる。コンベヤによる搬送手段を備えたトンネル内で、熱風または電熱などによって加熱すれば、安価に大量生産することができる。
本発明では、所望の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、紙製容器の分野で公知の技術を適用することができる。例えば、外壁面となる胴部材の一部に合成樹脂成分を5wt%〜40wt%含有する塗料を塗布し、部分的に発泡を抑制する技術(特許第3014629号公報)、外壁面となる胴部材の表面に発泡と同調して滑らかな印刷面を形成する同調インキを塗布する技術(特許第3408156号公報)、容器胴部材の開口上縁にフランジ部を設ける技術であって、断面角型に強制加工し内側巻き込み端をフランジ部の上部に重合させて二重構造にする技術(特開2001−354226号公報)等が挙げられるが、これらに制限されるものではない。また、印刷適性を高めるために、胴部材の外壁面となる最表層に、顔料とバインダーを主成分とするインキ受理層を設けてもよい。
以上のように、本発明は熱可塑性樹脂層を設けた紙を加熱して、紙に含まれる水分を蒸気化して、溶融している熱可塑性樹脂層中に水蒸気の泡を閉じこめて、発泡層を形成する技術を利用するものである。これは、熱可塑性樹脂層の溶融状態が低粘性であると蒸気が抜けてしまいピンホールが発生したり、小泡が結合して大きくなって破れたりする危険性がある。
これに対し、本発明では高温度でかつ本発明である高流動性の低密度ポリエチレンを使用しており、押出し時の樹脂ダメージを防ぐことが理由である。
更に、紙基材の反対表面には、溶融温度が高い樹脂層を設けて、紙基材に含まれる水分が蒸気化したときの蒸気抜けを防止して、低温の溶融熱可塑性樹脂層に蒸気を留める精度を高めようとするものである。
[実施例1]
坪量300g/m2(含水率8%)の原紙の片面に、紙製容器としたときに胴部材の外壁面となる発泡熱可塑性樹脂層として、融点108℃、MFR22.0g/10分の低密度ポリエチレン(LDPE)を30重量部、融点108℃、MFR13.8g/10分の低密度ポリエチレン(LDPE)を70重量部とした。
この配合割合でのMFRは16.0g/10分であった。また押出し前の混合はドライ混合であった。そして厚さ70μmとなるように340℃の溶融温度で押出し、この溶融樹脂と原紙とをクーリングロールと硬度70度のニップロールを用いて、線圧15kgf/cmで押圧・圧着した。また、原紙の反対面には、胴部材の内壁面となる非発泡熱可塑性樹脂層として、融点128℃、MFR6.5g/10分の中密度ポリエチレン(中密度PE)を厚さ40μmとなるように、320℃の溶融温度で押出しラミネートし、胴部材原材料シートを得た。
発泡熱可塑性樹脂層として、融点108℃、MFR22.0g/10分の低密度ポリエチレン(LDPE)を55重量部、融点108℃、MFR13.8g/10分の低密度ポリエチレン(LDPE)を45重量部にドライ混合した以外変更した以外は、実施例1と同様にして胴部材原材料シートを得た。この時のMFRの値が18.0g/10分であった。
発泡熱可塑性樹脂層として、融点108℃、MFR22g/10分の低密度ポリエチレン(LDPE)を80重量部、融点108℃、MFR13.8g/10分の低密度ポリエチレン(LDPE)を20重量部にドライ混合した以外変更した以外は、実施例1と同様にして胴部材原材料シートを得た。この時のMFRの値が20g/10分であった。
発泡熱可塑性樹脂層として、融点108℃、MFR22.0g/10分の低密度ポリエチレン(LDPE)を100重量部以外変更した以外は、実施例1と同様にして胴部材原材料シートを得た。
原紙の坪量を320g/m2(含水率8%)とした以外、実施例1と同様の胴部材原材料シートを得た。
原紙の坪量を320g/m2(含水率8%)とした以外、実施例2と同様の胴部材原材料シートを得た。
原紙の坪量を320g/m2(含水率8%)とした以外、実施例3と同様の胴部材原材料シートを得た。
胴部材の内壁面となる非発泡熱可塑性樹脂層として、融点128℃、MFR6.5g/10分の中密度ポリエチレン(中密度PE)を融点165℃のポリプロピレンに変更した以外実施例2と同様に押出しラミネートし、胴部材原材料シートを得た。
実施例1の配合割合で、厚さ50μmとなるように340℃の溶融温度で押出した以外実施例1と同様に、押出しラミネートし、胴部材原材料シートを得た。
実施例2の配合割合で、厚さ50μmとなるように340℃の溶融温度で押出した以外実施例1と同様に、押出しラミネートし、胴部材原材料シートを得た。
実施例5の配合割合で、厚さ50μmとなるように340℃の溶融温度で押出した以外実施例1と同様に、押出しラミネートし、胴部材原材料シートを得た。
坪量300g/m2(含水率8%)の原紙の片面に、紙製容器としたときに胴部材の外壁面となる発泡熱可塑性樹脂層として、融点108℃、MFR13.8g/10分の低密度ポリエチレン100重量部とした。そして厚さ70μmとなるように340℃の溶融温度で押出し、この溶融樹脂と原紙とをクーリングロールと硬度70度のニップロールを用いて、線圧15kgf/cmで押圧・圧着した。また、原紙の反対面には、胴部材の内壁面となる非発泡熱可塑性樹脂層として、融点128℃、MFR6.5g/10分の中密度ポリエチレン(中密度PE)を厚さ40μmとなるように、320℃の溶融温度で押出しラミネートし、胴部材原材料シートを得た。
融点108℃、MFR24.0g/10分の低密度ポリエチレン100重量部とした以外は、比較例1と同様に、押出しラミネートし、胴部材原材料シートを得た。
上記の実施例および比較例で得られた胴部材原材料シートを用いて、以下の評価試験を行った結果を表1に示す。なお、実施例1で得られた胴部材原材料シートを用い、発泡させない場合を参考例1とした。
JIS K 7210:1999に従って測定した。なお、混合樹脂のMFRは下記計算式にて求めた。
logX=alogY+blogZ
(a,b:各樹脂の配合比、X:混合樹脂のMFR、Y,Z:各樹脂のMFR)
発泡前の胴部材原材料シートの全体の厚さを測定した。次いで、サンプル片(10cm×10cm)を115℃の乾燥機に入れ、4分間加熱して発泡熱可塑性樹脂層を発泡させ、発泡サンプル片を得た。発泡後の全体の厚さを測定した。
上記の発泡サンプル片について、発泡状態を次の基準で目視評価した。
◎…均一で微細な発泡状態であり良好。
〇…一部過発泡の状態があるものの、断熱性容器として問題なし。
△…過発泡の状態がややあるものの、断熱性容器として使用可能。
×…過発泡もしくは発泡不十分で、断熱性容器として使用できない。
発泡前の胴部材原材料シートのサンプル片(10cm×10cm)について、手で原紙と低密度ポリエチレン層との間で剥離を試み、そのときの剥離しやすさの程度を次の基準で評価した。
◎…強固に密着しており剥離できない。
〇…強く密着しており剥離しにくい。
△…抵抗はあるが剥離できる。
×…密着が弱いまたは密着しておらず容易に剥離できる。
胴部材原材料シートを、底板部材原材料シート(坪量220g/m2の原紙に中密度ポリエチレンを厚さ40μmとなるように押出しラミネートしたもの)と組み合わせて、直径95mm、高さ115mmの容器を成型し、115℃の乾燥機で4分間加熱し、発泡させた。その後、発泡した容器に90℃のお湯を入れ、3分後、容器外壁面を手で触り次の基準で評価した。
◎…あまり熱くなく、手で容器を十分に保持することができ、断熱性に優れる。
〇…やや熱いが、手で容器を保持し続けることができ、断熱性良好。
△…熱く、手で容器を十分には保持することが難しく、断熱性やや良。
×…かなり熱く、手で容器を保持することが難しく、断熱性悪い。
2 胴部材
3 底板部材
4 紙基材
5 発泡熱可塑性樹脂層
5’熱可塑性樹脂層
6 発泡セル
7 非発泡熱可塑性樹脂層
8 巻取
9 Tダイ
10 クーリングロール
11 ニップロール
12 胴部材原材料シート
13 エアギャップ
Claims (4)
- 発泡した熱可塑性樹脂層を断熱層として備える紙製容器用の胴部材原材料シートであって、
前記胴部材原材料シートは、紙基材の少なくとも片面に、加熱により発泡する熱可塑性樹脂層が押出しラミネートによって形成されており、
前記発泡する熱可塑性樹脂層は、該熱可塑性樹脂がJIS K 7210:1999に従って測定したメルトマスフローレート(MFR)が16.0〜22.0g/10分の低密度ポリエチレンであることを特徴とする紙製容器の胴部材原材料シート。 - 胴部材と底板部材とからなる紙製容器であって、胴部材は、紙基材に発泡した熱可塑性樹脂層が形成されており、該発泡熱可塑性樹脂層は、紙基材の少なくとも片面に押出しラミネートした熱可塑性樹脂層を設け、紙基材中の水分を加熱蒸発させることによって前記熱可塑性樹脂層が発泡したものであって、該熱可塑性樹脂がJIS K 7210:1999に従って測定したメルトマスフローレート(MFR)が16.0〜22.0g/10分の低密度ポリエチレンからなることを特徴とする紙製容器。
- 胴部材の両方の壁面に熱可塑性樹脂層を有し、一方の壁面の熱可塑性樹脂層が、他方の壁面の熱可塑性樹脂層よりも融点の高い熱可塑性樹脂からなることを特徴とする請求項2に記載の紙製容器。
- 胴部材の両方の壁面に設けられた熱可塑性樹脂層の内、融点の高い熱可塑性樹脂の融点が125℃以上であって、胴部材の内壁面側の熱可塑性樹脂層であることを特徴とする請求項2又は3に記載の紙製容器。
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