JP5195762B2 - パケット通信装置及びパケット通信方法 - Google Patents
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Description
このRoHCに関する既存の技術として、例えば、下記特許文献1には、パケット受信側において、受信パケットのヘッダに誤りがあることを検出した場合に、参照情報の更新要求をパケット送信側に対して送信し、パケット送信側において、所定の時間内に複数の更新要求が受信された場合に、パケット受信側で参照情報が参照されずに復元された後、前記参照情報の更新に使用されるヘッダを有するパケットをパケット受信側に対して送信する方法が記載されている。
さらに、下記特許文献4には、例えば、単位時間Xあたりに受信したACKパケットまたはNACKパケットの個数を求め、パケットのヘッダ圧縮に関する動作モードが圧縮効率優先モードであるときに、求めたNACKパケットの個数が所定の値Yを超えた場合には、前記動作モードを信頼性優先モードに切り替え、前記動作モードが信頼性優先モードであるときに、単位時間Xあたりに受信したACKパケットの個数が所定の値Zを超えた場合には、前記動作モードを圧縮効率優先モードに切り替える方法が記載されている。
3GPP TS36.300 V8.1.0 (2007-06)、4.3.1, Figure 6-1, Figure6-2, 6.3.1、[online]、3rd Generation Partnership Project、[平成19年12月3日検索]、インターネット〈http://www.3gpp.org/ftp/Specs/html-info/36300.htm〉
本発明の目的の一つは、ヘッダ伸張処理の失敗によるパケットデータの損失を低減することにある。
なお、前記目的に限らず、後述する発明を実施するための最良の形態に示す各構成により導かれる作用効果であって、従来の技術によっては得られない作用効果を奏することも本発明の他の目的の一つとして位置付けることができる。
(1)即ち、本発明のパケット通信装置は、論理的なコネクションを介して他のパケット通信装置とパケットヘッダを圧縮又は伸長するヘッダ処理を行なってパケット通信するパケット通信装置であって、前記コネクションにおける第1のパケットフローに関する第1のヘッダ処理状態の状態マシンと、前記コネクションにおける第2のパケットフローに関する第2のヘッダ処理状態の状態マシンとを管理する状態マシン管理手段と、前記の各状態マシンのいずれか一方における状態遷移が実施された場合において、所定の状態遷移条件が成立したときに他方における状態遷移を実施し、一方、該状態遷移条件が成立しないときに該他方における状態遷移を実施しない制御手段と、をそなえる。
(3)また、前記の各パケットフローはそれぞれ受信パケットフローであり、前記の各ヘッダ処理状態はそれぞれヘッダ伸長処理状態であってもよい。
(5)そして、前記制御手段は、前記一方の状態マシンが2以上存在する場合に、特定の状態遷移の生じた前記一方の状態マシンの数が所定数を超えると、前記制御の可否を判定し、可能であれば、前記他方の状態マシンにおける状態遷移を実施するようにしてもよい。
(7)さらに、前記他方の状態マシンにおけるヘッダ処理状態の状態遷移条件に、前記一方の状態マシンにおけるヘッダ処理状態の状態遷移種別と、前記他方の状態マシンにおけるヘッダ処理状態の状態種別とを含むようにしてもよい。
(9)さらに、前記ヘッダ処理は、RoHC(Robust Header Compression)処理であることとしてもよい。
(10)また、本発明のパケット通信方法は、論理的なコネクションを介して他のパケット通信装置とパケットヘッダを圧縮又は伸長するヘッダ処理を行なってパケット通信するパケット通信方法であって、前記コネクションにおける第1のパケットフローに関する第1のヘッダ処理状態の状態マシンと、前記コネクションにおける第2のパケットフローに関する第2のヘッダ処理状態の状態マシンとを管理し、前記の各状態マシンのいずれか一方における状態遷移が実施された場合において、所定の状態遷移条件が成立したときに他方における状態遷移を実施し、一方、該状態遷移条件が成立しないときに該他方における状態遷移を実施しない。
2 eNB
1−A,2−A 圧縮器
1−B,2−B 伸張器
3 メモリ
4 バス
5 プロセッサ
6 パケット処理エンジン
7 ネットワークインタフェース
〔1〕適用システム例
以下に説明する実施形態では、通信システムの一例として、3GPP(3rd Generation Partnership Project)の移動体通信システムを想定する。
この図13において、UE(User Equipment)1は、無線網管理ノード(evolved Node-B、略してeNB)2と無線通信を行なう機能を具備しており、eNB2を介して他のUE1や外部パケット網(インターネット、企業網など)4などと通信するものである。
eNB2は、LTE/SAE(Long Term Evolution/System Architecture Evolution)よりも前の世代の無線基地局(Node-B)の機能と無線基地局制御装置(RNC:Radio Network Controller)の機能とを兼ね備えている。
上記システムでのパケット通信に用いられるパケットヘッダは、特に音声データを転送する場合、パケットデータに対してオーバヘッドが大きいため、そのままヘッダを付与して通信した場合には効率が悪い場合がある。また、無線区間の通信は有線区間の通信に比べて品質が劣りやすい傾向にあり、かつ、帯域幅等の通信リソースに限りがあるため、有線区間以上に通信効率の向上が求められる。
ここで、前記非特許文献1によれば、パケット送信側の圧縮器におけるRoHCのヘッダ圧縮処理状態には、圧縮せずに全てのヘッダ情報を送信するIR(Initialization and Refresh)状態,ヘッダ情報のうち動的に変化する部分(シーケンス番号など)を送信するFO(First Order)状態,ヘッダ情報のうち動的に変化する部分をエンコードし最小フィールドのみを送信するSO(Second Order)状態がある。さらに、RoHCには3つの転送モードとして、U(Unidirectional)モード,O(Optimistic)モード,R(Reliable)モードが定義されており、通信中にそれぞれのモードへの遷移が可能である。
図14に示すように、Oモードにおいては、圧縮器は、IR状態から動作を開始し、対向局宛に、パケットヘッダ伸張処理のための完全な参照情報(コンテクスト情報)を含むパケットヘッダを送出する。
ヘッダ圧縮処理状態がFO状態へ遷移すると、対向局側の伸張器がより上位のヘッダ圧縮処理状態(SO状態)に従って正常にパケットデータを伸張できると推測した場合(Optimistic)や、対向局側の伸張器からフィードバック情報として正常応答(ACK)を受信した場合に、ヘッダ圧縮処理状態は、より上位のSO状態へ遷移する。
そして、ヘッダ圧縮処理状態がSO状態へ遷移した場合は、対向局側の伸張器からフィードバック情報として正常応答(ACK)を受信すると、ヘッダ圧縮処理状態は、現状のSO状態に留まる。
一方、図16に示すように、対向局側の伸張器は、NC状態から動作を開始し、対向局側の圧縮器から受信したパケット(IRパケット)データに対して、上記完全なコンテクスト情報を基にヘッダ伸張処理を行なう。このヘッダ伸張処理が成功すると、伸張器のヘッダ伸張処理状態は、FC状態へ遷移する。
図16に示す例では、SC状態において、所定のエラーレートを超える場合、例えば、対向局から受信したn2個のパケットデータのうちk2個のパケットデータがヘッダ伸張処理に失敗した場合、ヘッダ伸張処理状態は、より下位のNC状態へ遷移する。また、SC状態において、動的なコンテクスト情報が必要である場合(No#Dynamic)は、SC状態に留まる。
上述の状態遷移(制御)を行なうシステムの動作について図17を用いて説明する。
つまり、前記デコード処理が成功した場合は、フィードバック情報としてACKが圧縮器1−Aに返されるが、失敗した場合は、コンテクスト情報の欠落などにより伸張されなかったパケットデータに関する情報が圧縮器1−Aにフィードバック情報(例えば、NACKなど、SO状態からFO状態への状態遷移を誘起する情報)として送信される。
一方、eNB2からUE1への下り通信方向(以下、DLという)でも、ULと同様の状態遷移制御が行なわれる。
〔2〕概要
図1に示す例を用いて本例の概要を説明する。
ところが、UE1とeNB2との間の通信環境の変化などにより、対向局側の伸張器2−B(1−B)において、複数回のパケットエラーが検出されると((2)複数回のパケットエラー)、上述のように、ヘッダ伸張処理状態はFC状態から下位のSC状態へ遷移する。なお、以下、上述した既存の状態遷移を本例での状態遷移と区別する意味で通常遷移ということがある。
しかしながら、対向局側の伸張器2−B(1−B)は静的なヘッダ情報しかもたないSC状態にあり、前記パケットデータを正常にデコードすることができないので、当該パケットデータは破棄される((3)伸張NG)。
その結果、上記圧縮器1−A(2−A)のヘッダ圧縮処理状態はSO状態からFO状態へ通常遷移し、コンテクスト情報が更新されて、対向局側の伸張器2−B(1−B)は正常なデコード処理を行なうことが可能となる((5)伸張OK/参照情報の更新)。
その結果、対向局側の伸張器2−B(1−B)のヘッダ伸張処理状態が遷移しても、圧縮器のヘッダ圧縮処理状態は遷移されず、状態遷移後の対向局側の伸張器2−B(1−B)では正常なデコード処理を行なうことができないようなヘッダ圧縮処理済みのパケットデータが送信されることになる。この場合、そのようなパケットデータは、対向局側の伸張器2−B(1−B)で破棄されることになる。
これにより、対向局側の伸張器2−B(1−B)からのフィードバック情報によらず、自局の圧縮器1−A(2−A)のヘッダ圧縮処理状態を遷移させることができる。つまり、上述のように、フィードバック情報の未達や遅延が発生した場合においても、自局の伸張器1−B(2−B)のヘッダ伸張処理状態の遷移に応じて、自局の圧縮器1−A(2−A)のヘッダ圧縮処理状態を連動遷移させることが可能となる。その結果、自局の圧縮器1−A(2−A)のヘッダ圧縮処理状態を、対向局側でデコードが成功する可能性の高いヘッダ圧縮処理状態へ確実且つ迅速に遷移させることができる。
〔3〕一実施形態
(3.1)システム構成
図2は一実施形態に係る通信システムの構成を示すブロック図である。この図2に示すシステムは、例えば、aGWや外部パケット網などに相当する上位ネットワーク(図示省略)と、UE1と、eNB2とをそなえる。
ここで、圧縮器1−A(2−A)は、対向局宛に送信すべきパケットデータ(のパケットヘッダ)について、現状のヘッダ圧縮処理状態(IR,FO,SOのいずれかの状態)に従って、RoHC処理(圧縮処理)を施し、ヘッダ圧縮処理済みのパケットデータを送信する機能を具備する。
本実施形態における伸張器1−B(2−B)は、上述した機能に加えて、自身のヘッダ伸張処理状態の遷移に関する情報を同一局内の圧縮器1−A(2−A)へ通知する機能を具備する。そして、伸張器1−B(2−B)からのヘッダ伸張処理状態の遷移に関する情報を受けた圧縮器1−A(2−A)では、当該情報に応じてヘッダ圧縮処理状態が連動遷移される。
その結果、ヘッダ圧縮処理済みのパケットデータを正常に復元できない期間を削減できるので、パケットデータの損失を抑制して、通信システムのスループットを向上させることが可能となる。
(3.2)UE1(eNB2)について
図3は一実施形態に係るUE1及びeNB2の構成を示すブロック図である。
この図3に示すように、UE1(eNB2)は、例えば、メモリ3と、バス4と、プロセッサ5と、パケット処理エンジン6と、ネットワークインタフェース7とをそなえ、パケット処理エンジン6は、圧縮器1−A(2−A)と、伸張器1−B(2−B)とをそなえる。
通信ベアラ管理データは、UE1とeNBとの間の通信路(ベアラ)を管理するための情報である。また、伸張器制御データは、伸張器1−B(2−B)のヘッダ伸張処理状態を管理(制御)するための情報で、例えば、伸張器1−B(2−B)の状態マシンや、ヘッダ伸張処理状態及びその遷移状況に関する情報を含む。
また、状態マシン対応データ・連動遷移条件データは、同一ベアラに属する状態マシン(ヘッダ圧縮処理状態及びヘッダ伸張処理状態)の対応関係に関する情報で、例えば、後述するように、図4に示すようなデータ構成をとる。この状態マシン対応データ・連動遷移条件データは、プロセッサ5によりベアラが確立され、また、パケット処理エンジン6によりRoHCによる送受信パケットフローが開始され、さらに、前記圧縮器制御データ及び伸張器制御データ上に各状態マシンが生成された場合に、プロセッサ5及びパケット処理エンジン6が、通信ベアラ管理データを用いて、各状態マシンの対応付けを行なうことにより作成される。
また、パケット処理エンジン6は、圧縮器1−A(2−A)及び伸張器1−B(2−B)の各種制御を行なうもので、例えば、メモリ3に格納される伸張器制御データ,圧縮器制御データ及び状態マシン対応データ・連動遷移条件データを用いて、圧縮器1−A(2−A)のヘッダ圧縮処理状態の遷移制御、及び、伸張器1−B(2−B)のヘッダ伸張処理状態の遷移制御などを行なう機能を具備する。なお、圧縮器1−A(2−A)及び伸張器1−B(2−B)は、(3.1)にて上述したものと同様の機能を具備する。
ネットワークインタフェース7は、UE1(eNB2)と外部ネットワーク(eNB2の場合は、無線ネットワーク)とのインタフェース機能を具備するもので、例えば、圧縮器1−A(2−A)からのヘッダ圧縮処理済みのパケットデータについて所定の送信処理を施し、外部ネットワークへ送出する一方、外部ネットワークからのパケットデータについて所定の受信処理を施し、バス4を介して伸張器1−B(2−B)へ送出する機能を具備する。なお、UE1側のネットワークインタフェース7は、上位プロトコル層(アプリケーション)とのデータ送受を行なう機能も具備する。また、eNB2におけるネットワークインターフェース7は、UE1とのデータ送受の他、外部ネットワークとのデータ送受を行なう機能も具備する。
図4に示すように、状態マシン対応データ・連動遷移条件データは、例えば、UE1とeNB2との間に設定される複数のベアラにおいて、複数のRoHCフロー(送受信パケットフロー)毎に、発生した状態遷移イベントを表す状態遷移内容と、その状態遷移内容に連動して実施される状態遷移対象を示す連動遷移対象とが対応付けられて設定される。
図5(A)に示すように、送信パケットフロー「#i」に関するヘッダ圧縮処理状態がSO状態(SO_i)である場合においては、対向局側の伸張器2−B(1−B)からフィードバック情報として否定応答(NACK)を受信した場合やコンテクスト情報の更新要求(update)を受信した場合に通常遷移されるのに加えて、受信パケットフロー「#k」に関するヘッダ伸張処理状態がFC状態(FC_k)からSC状態(SC_k)へ通常遷移した場合や受信パケットフロー「#k」に関するヘッダ伸張処理状態がSC状態(SC_k)からNC状態(NC_k)へ通常遷移した場合に、ヘッダ圧縮処理状態は、より下位のFO状態(FO_i)へ連動遷移される。
なお、上記状態マシン対応データ・連動遷移条件データの設定は、あくまでもその一例に過ぎず、適宜変更することもできる。
次に、本例の通信システムの動作例について図6を用いて説明する。
この図6に示すように、まず、パケット処理エンジン6が、圧縮器1−A(2−A)あるいは伸張器1−B(2−B)における或る状態Aの下位状態遷移イベントの発生を検知する(ステップS1参照)。ここで、或る状態Aの下位状態遷移イベントとは、例えば、図5(B)に示すような、ヘッダ伸張処理状態のFC状態からSC状態への通常遷移などを指す。
パケット処理エンジン6は、上記連動遷移対象に該当する状態マシンにおいて、現状態が最下位状態(IR状態あるいはNC状態)でないかどうかを判定し、最下位状態でないと判定した場合に、当該連動遷移対象に設定されている遷移対象について下位状態への遷移を実施する(ステップS3参照)。最下位状態である場合は、遷移の必要がないので連動遷移は実施しない。
次いで、パケット処理エンジン6は、状態Aの下位状態遷移イベントを実行する(ステップS4参照)。ここで、例えば、上記状態Aの下位状態遷移イベントが、伸張器1−B(1−A)のヘッダ伸張処理状態の下位状態遷移である場合は、当該下位状態遷移イベントの実行とともに、対向局側の圧縮器2−A(1−A)宛に上述のフィードバック情報が送信され、圧縮器2−A(1−A)においても下位状態への遷移イベントが誘発される。
このように、本通信システムによれば、ヘッダ圧縮処理済みのパケットデータを正常に復元できない期間を削減して、パケットデータの損失を抑制することができ、通信システムのスループットを向上させることが可能となる。
上述した例では、圧縮器1−A(2−A)及び伸張器1−B(2−B)のいずれか一方の状態マシンにおいて下位状態への遷移が発生すると、それに連動して、自局(UE1あるいはeNB2)の他方の状態マシンにおいて下位状態への遷移を実施したが、前記他方の状態マシンにおけるヘッダ処理状態の連動遷移の条件として、前記一方の状態マシンにおける前記遷移内容と、前記他方の状態マシンにおける前記遷移前の状態とに基づき、連動遷移を実施するようにしてもよい。つまり、上記状態遷移内容及び連動遷移対象がある特定の条件を満たす場合に、連動遷移を実施するようにしてもよい。
図7(A)に示すように、本変形例の通信システムでは、例えば、圧縮器1−A(2−A)の送信パケットフロー「#i」に関するヘッダ圧縮処理状態がSO状態(SO_i)であって、対向局側の伸張器からフィードバック情報として静的否定応答(STATIC_NACK)を受信した場合に通常遷移するのに加えて、伸張器1−B(2−B)の受信パケットフロー「#k」に関するヘッダ伸張処理状態がFC状態(FC_k)からSC状態(SC_k)へ通常遷移した場合に、ヘッダ圧縮処理状態をより下位のFO状態(FO_i)へ連動遷移する。それ以外の場合は、上記連動遷移は実施されない。
この図8に示すように、まず、パケット処理エンジン6が、圧縮器1−A(2−A)あるいは伸張器1−B(2−B)における或る状態Aの下位状態遷移イベントの発生を検知する(ステップS10参照)。ここで、或る状態Aの下位状態遷移イベントとは、例えば、図7(B)に示すような、ヘッダ伸張処理状態のFC状態からSC状態への通常遷移などを指す。
パケット処理エンジン6は、上記連動遷移対象に該当する状態マシンにおいて、現状態に関係のある連動遷移対象があるかどうかを判定し(ステップS25参照)、ないと判定した場合(ステップS25のNOルート参照)、状態Aの下位状態遷移イベントを実行する(ステップS40参照)一方、あると判定した場合(ステップS25のYESルート参照)、当該連動遷移対象に設定されている遷移対象について下位状態への遷移を実施する(ステップS30参照)。
そして、パケット処理エンジン6は、状態Aの下位状態遷移イベントを実行する(ステップS40参照)。ここで、例えば、上記状態Aの下位状態遷移イベントが、伸張器1−B(1−A)のヘッダ伸張処理状態の下位状態遷移である場合は、当該下位状態遷移イベントの実行とともに、対向局側の圧縮器2−A(1−A)宛に上述のフィードバック情報が送信され、圧縮器2−A(1−A)においても下位状態への遷移イベントが誘発される。
その結果、本変形例では、上述した実施形態と同様の効果が得られるほか、上記連動遷移の実施割合を調整して、圧縮器1−A(2−A)でのヘッダ圧縮効率の必要以上の低下を回避することが可能となる。
上述した例では、圧縮器1−A(2−A)あるいは伸張器1−B(2−B)の状態マシンにおける状態遷移(通常遷移)に応じて、伸張器1−B(2−B)あるいは圧縮器1−A(2−A)の状態マシンにおいて連動遷移を実施したが、UE1とeNB2との間のベアラにおいて複数のパケットフロー(送信パケットフローまたは受信パケットフロー)が多重されている場合、圧縮器1−A(2−A)の一方の送信パケットフローに関するヘッダ圧縮処理状態の通常遷移に応じて、圧縮器1−A(2−A)の他方の送信パケットフローに関するヘッダ圧縮処理状態の連動遷移を行なうようにしてもよい。
具体的には、例えば、上記状態マシン対応データ・連動遷移条件データにおいて、パケットフロー「#i」及びパケットフロー「#k」をそれぞれ送信パケットフローとしたり、または、受信パケットフローとしたりすることで実現される。
〔6〕第3変形例
上述した例では、ある1つの状態マシンでの通常遷移に応じて、別の状態マシンにおいて連動遷移を実施したが、圧縮器1−A(2−A)あるいは伸張器1−B(2−B)の状態マシンが2以上存在する場合、これらの複数の状態マシンにおいて発生した状態遷移の数に応じて、連動遷移を実施するようにしてもよい。
このとき、上記複数の状態マシンにおいて所定の時間あたりに発生する下位状態への遷移イベント数[Nt(Ntは自然数)]が所定の閾値{Nc(Ncは自然数)}を超えた場合に、UE1とeNB2との間の通信環境が悪化したと判断し、他の状態マシンにおいて連動遷移を実行する。
この図9に示すように、第3変形例における状態マシン対応データ・連動遷移条件データには、例えば、図4に示す各種データに加えて、Nt値、閾値Nc、単位時間設定、エラーパケット数閾値m、遷移発生フロー記録データ及び遷移対象(Fa条件設定状態遷移リスト)が設けられる。
つまり、本変形例では、例えば、同一ベアラ内の複数の状態マシンにおいて上記所定の時間内に発生する通常遷移イベントの発生数Ntが閾値Ncを超えた場合に、フラグを「1」とし、このフラグが遷移の条件に設定されている状態マシンの状態に対して連動遷移を実施するのである。
このとき、Nt>Ncとなり、フラグに「1」が設定される。そして、同一ベアラ内の上記送信パケットフロー「#1」,「#3」,「#0」,「#2」以外のパケットフローであり、且つ、上記フラグが連動遷移条件に設定されているパケットフローを検索する。本例では、受信パケットフロー「#k」が選択され、例えば、FC状態からSC状態へ連動遷移される。なお、この具体例では、複数の送信パケットフローにおいて発生した状態遷移数に応じて、受信パケットフローを連動遷移させる例について説明したが、もちろん、複数の送信パケットフローにおいて発生した状態遷移数に応じて、別の送信パケットフローを連動遷移させてもよいし、また、複数の受信パケットフローにおいて発生した状態遷移数に応じて、送信パケットフローあるいは別の受信パケットフローを連動遷移させるようにしてもよい。
この図11に示すように、まず、例えば、パケット処理エンジン6が、圧縮器1−A(2−A)あるいは伸張器1−B(2−B)における或る状態Aの下位状態遷移イベントの発生を検知する(ステップS100参照)。ここでは、例えば、或る状態Aの下位状態遷移イベントが、図10(A)に示す別フローの状態マシンにおける下位状態への通常遷移であるとする。
パケット処理エンジン6は、メモリ3に格納される各種データを参照して、単位時間設定に基づく単位時間あたりの下位状態への通常遷移イベント発生数Ntが閾値Ncを超えるかどうかを判定する(ステップS110参照)。ここで、Nt>Ncでないと判定した場合は(ステップS110のNOルート参照)、フラグFa(i,Nt)に「0」を設定するとともに、状態Aの下位状態遷移イベントを実行する(ステップS150参照)。
そして、パケット処理エンジン6は、ステップS120にて選択した状態マシンにおいて、現在の状態を下位状態へ連動遷移させる(ステップS130参照)。
例えば、図10(A)に示すように、連動遷移条件{Fa(i,Nt)}に基づき、SO状態からFO状態への連動遷移、あるいは、FO状態からIR状態への連動遷移が実施される。
そして、パケット処理エンジン6は、状態Aの下位状態遷移イベントを実行する(ステップS150参照)。
〔7〕第4変形例
また、上述した例の連動遷移条件に加えて、RoHCプロトコルで規定された遷移判定パラメータ値(エラーパケット数)を併用するようにしてもよい。
本変形例におけるシステムの動作例について図12を用いて説明する。
本変形例では、ステップS220において選択された状態マシンについて、パケット処理エンジン6により、エラーパケット数k1(k2)が、状態マシン対応データ・連動遷移条件データに設定されているエラーパケット数閾値m以上であるかどうかが判定される(ステップS230参照)。
例えば、いずれの実施形態及び変形例においても、連動遷移対象として選択されたパケットフローについて、上記エラーパケット数に応じた連動制御可否の判断を行なうことができる。
〔8〕その他
上述した例では、主に、下位状態への遷移について説明したが、もちろん上位状態への遷移についても同様に連動遷移制御を実施することができる。
さらに、上述した例では、対向局側からのフィードバック情報に応じた遷移制御を本発明と併用する場合を説明したが、本発明は、前記フィードバック情報に応じた遷移制御を行なわずに実施することもできる。
Claims (11)
- 論理的なコネクションを介して他のパケット通信装置とパケットヘッダを圧縮又は伸長するヘッダ処理を行なってパケット通信するパケット通信装置であって、
前記コネクションにおける第1のパケットフローに関する第1のヘッダ処理状態の状態マシンと、前記コネクションにおける第2のパケットフローに関する第2のヘッダ処理状態の状態マシンとを管理する状態マシン管理手段と、
前記の各状態マシンのいずれか一方における状態遷移が実施された場合において、所定の状態遷移条件が成立したときに他方における状態遷移を実施し、一方、該状態遷移条件が成立しないときに該他方における状態遷移を実施しない制御手段と、
をそなえたことを特徴とする、パケット通信装置。 - 前記第1のパケットフローは送信パケットフローであり、前記第1のヘッダ処理状態はヘッダ圧縮処理状態であるとともに、
前記第2のパケットフローは受信パケットフローであり、前記第2のヘッダ処理状態はヘッダ伸長処理状態である、
ことを特徴とする、請求項1記載のパケット通信装置。 - 前記の各パケットフローはそれぞれ受信パケットフローであり、前記の各ヘッダ処理状態はそれぞれヘッダ伸長処理状態である、
ことを特徴とする、請求項1記載のパケット通信装置。 - 前記の各パケットフローはそれぞれ送信パケットフローであり、前記の各ヘッダ処理状態はそれぞれヘッダ圧縮処理状態である、
ことを特徴とする、請求項1記載のパケット通信装置。 - 前記制御手段は、
前記一方の状態マシンが2以上存在する場合に、特定の状態遷移の生じた前記一方の状態マシンの数が所定数を超えると、前記制御の可否を判定し、可能であれば、前記他方の状態マシンにおける状態遷移を実施する、ことを特徴とする、請求項1記載のパケット通信装置。 - 前記制御手段は、
前記他方の状態マシンが2以上存在する場合に、前記他方の状態マシンのいずれかを選択的に前記判定の対象とする、ことを特徴とする、請求項5記載のパケット通信装置。 - 前記他方の状態マシンにおけるヘッダ処理状態の状態遷移条件に、前記一方の状態マシンにおけるヘッダ処理状態の状態遷移種別と、前記他方の状態マシンにおけるヘッダ処理状態の状態種別とを含む、ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のパケット通信装置。
- 前記他方の状態マシンにおけるヘッダ処理状態の状態遷移条件に、前記ヘッダ処理のプロトコルで規定された遷移判定パラメータ値を含む、ことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載のパケット通信装置。
- 前記ヘッダ処理は、RoHC(Robust Header Compression)処理である、ことを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載のパケット通信装置。
- 論理的なコネクションを介して他のパケット通信装置とパケットヘッダを圧縮又は伸長するヘッダ処理を行なってパケット通信するパケット通信方法であって、
前記コネクションにおける第1のパケットフローに関する第1のヘッダ処理状態の状態マシンと、前記コネクションにおける第2のパケットフローに関する第2のヘッダ処理状態の状態マシンとを管理し、
前記の各状態マシンのいずれか一方における状態遷移が実施された場合において、所定の状態遷移条件が成立したときに他方における状態遷移を実施し、一方、該状態遷移条件が成立しないときに該他方における状態遷移を実施しない、
ことを特徴とする、パケット通信方法。 - 前記第1のパケットフローは送信パケットフローであり、前記第1のヘッダ処理状態はヘッダ圧縮処理状態であるとともに、
前記第2のパケットフローは受信パケットフローであり、前記第2のヘッダ処理状態はヘッダ伸長処理状態である、
ことを特徴とする、請求項10記載のパケット通信方法。
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