以下に、本発明の実施例を説明する。実施例と請求項の相互の関係は以下のとおりである。実施例1は主に請求項1、請求項2などに関し、実施例2は主に請求項3などに関し、実施例3は主に請求項4などに関する。なお、本発明はこの実施例に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施しうる。
<概要>
本実施例のLED照明装置は、直管蛍光ランプ形状を有し、複数のLED素子を配置したLEDランプ部と、前記LEDランプ部の両端にそれぞれ備えられ、直管型蛍光灯灯具のソケットに取り付け可能な支持ピンを備えた一対のエンドキャップ部と、電源からの電力線に接続された電源コネクターを接続可能な本体コネクター部とを有するLED照明装置である。また、本体コネクター部が前記一対のエンドキャップ部のうちの一方の近傍に備えられているものも本実施例のLED照明装置に含まれる。
<構成>
(照明装置全般)
図1は、本実施例に係るLED照明装置の形状の一例を示す斜視図である。本図に示すように、本実施例に係るLED照明装置0100は、LEDランプ部0110と、エンドキャップ部0120と、本体コネクター部0130とからなる。
(LEDランプ部)
LEDランプ部は、直管蛍光ランプ形状を有し、複数のLED素子を配置したものである。本発明において「直管蛍光ランプ」とは、従来型の直管蛍光ランプをいい、より詳細には、JISC7617−2「直管蛍光ランプ−第2部:性能規定」の2.3.1「データシートのリスト」に規定された直管蛍光ランプをいう。このように本発明におけるLEDランプ部の形状を従来型の直管蛍光ランプ形状としているのは、かかる従来型の直管蛍光ランプをとりつけるための直管型蛍光灯灯具にそのまま取り付けることができるようにするためである。即ち、本発明において「直管型蛍光灯灯具」とは、上述のような従来型の直管蛍光ランプを取り付けて使用することが可能な形状、寸法、機能を有する蛍光灯灯具をいう。
このようにLEDランプ部を直管蛍光ランプ形状を有するものとすることにより、比較的簡単な工事でLED照明装置を設置することができ、設置費用も安価ですみ、資源の無駄遣いを防ぐこともできる。また、それまでの蛍光灯のときの部屋の雰囲気を維持することもできるといった蛍光灯代替型LED照明装置の長所を発揮することが可能となる。
なお、次に述べるように、LEDランプ部の両端には一対のエンドキャップ部が備えられ、その支持ピン(直管蛍光ランプの端子に相当)によって従来型の蛍光灯灯具に取り付けられるように構成されるので、本発明のLEDランプ部の管長はこの一対のエンドキャップ部を含めて従来型の蛍光灯灯具に取り付け可能な寸法に規制される。
LEDランプ部の具体的構成は、公知の直管蛍光ランプ形状のLEDランプと同様であり、例えば、透明ないし半透明のプラスチック製の円筒形状の管体0111の内部に電源から回路基板を介して給電されて発光する複数のLED素子を、回路基板上にアレイ状に配置する。円筒形状の管体は上述のように単一素材のものであってもよいが、例えば、上側半体をアルミニウムなどの金属製、下側半体をポリカーボネイトなどのプラスチック製にするといったように異なる素材を組み合わせたものであってもよい。図1に示したものはこの例であり、管体0111は金属製の上側半体0112とプラスチック製の下側半体0113を組み合わせたものである。この例の場合には、上側半体に金属製素材を用いることで、管体の強度を増すことや、金属製部分を回路基板に接触させることで、発光に伴い発生する熱を回路基板から金属製部分に伝導させて放熱効果を高めることができる。
また、従来のLED照明装置と同様、本発明のLED照明装置にも、AC/DCコンバーター、コンデンサーなどが備えられ、電源から入力された電力は、AC/DCコンバーターによって直流に変換され、コンデンサーによって平滑化されて各LED素子に供給される。AC/DCコンバーターなどの配置場所は適宜設計されればよいが、例えば、LEDランプ部を構成する管体の内部(例えば図1に示される上側半体内)に配置される。
なお、図1に示したLEDランプ部の形状はあくまで一例であり、本発明に係るLEDランプ部の形状が本図に示すものに限られないことはいうまでもない。エンドキャップ部、本体コネクター部の形状についても同様である。これらは他図においても同様である。
図2Aは、図1の分解斜視図である。説明の便宜上、図1で右側に現れるエンドキャップ部0120bの図示は省略した。本図においてLEDランプ部0210を構成する管体0211は、金属製の上側半体0212と、プラスチック製の下側半体0213とに分割されている。両半体は、例えば接着剤で接合される。また、本図に示す例では、管体の金属製部分が内側への張り出し部分0212aを備えており、この部分で回路基板(図示を省略)に接触することで、放熱効果を高めることを可能にしている。
LEDランプ部とエンドキャップ部との接合も例えば接着剤を用いればよい。あるいは、LEDランプ部とエンドキャップ部が独立して回動可能になるようにしてもよい。
さらに、本図に示すように、LEDランプ部0210とエンドキャップ部0220aとの間に、例えばポリ塩化ビフェニールなどのプラスチックを素材とする円形状基板0270を介在させて両者を接合するようにしてもよい。かかる基板を介在させることで、上述のようにLEDランプ部とエンドキャップ部が独立して回動可能になるようにした場合に、電力線の回路基板との接触部分が断線しにくくなるという効果がある。
(エンドキャップ部)
図1に戻り、エンドキャップ部0120a、0120bは、前記LEDランプ部の両端にそれぞれ備えられ直管型蛍光灯灯具のソケットに取り付け可能な支持ピンを備えたものである。エンドキャップ部の第一の目的は、LEDランプを従来型の蛍光灯灯具にそのまま取り付けることができるようにすることにある。従って、エンドキャップ部は、LEDランプとほぼ同一の管径を有する円筒形状の部材であり、その長さは、当該エンドキャップを両端に備えたLEDランプ部を従来型の蛍光灯灯具にそのまま取り付けることができる長さに規制される。エンドキャップ部の材質に特に限定はないが、例えば金属製のものが用いられる。
一対のエンドキャップ部のそれぞれの外側(従来型の蛍光灯灯具のソケット側)の端部には支持ピン0122が備えられる。この支持ピンは直管型蛍光灯灯具のソケットにLEDランプ部およびエンドキャップ部をそのまま取り付けることを可能にするためのものである。即ち、この支持ピンは、公知の蛍光灯型LED照明装置における従来型の蛍光灯灯具のソケットに電気的に接続するために備えられる端子に相当するものである。従って、支持ピンの寸法・形状は、従来型の蛍光灯灯具のソケットに取り付け可能な寸法・形状を有するものであり、具体的にはJISC7601「蛍光ランプ(一般照明用)」に規定されたG13に係る口金が該当する。ただし、公知の蛍光灯型LED照明装置の端子との違いは、支持ピンは従来型の蛍光灯灯具のソケットに電気的に接続されるのではなく、単に従来型の蛍光灯灯具をLEDランプ部を保持するための支持具として利用するために接続されるのにすぎない点にある。
エンドキャップ部の第二の目的は、特に、本体コネクター部から回路基板に至る電力線の一部をその内部に収納してこれを保護することにある。この目的は、特に本体コネクター部が一対のエンドキャップ部のうちの一方の近傍に備えられている場合に典型的に現れるものである。かかる目的のため、エンドキャップ部は内部に電力線の一部を収納するためのスペースを有していることが望ましい。この場合、別図を用いて後述するように、本体コネクター部を構成するピンが、例えばエンドキャップ部の壁面に埋め込まれる形で立設され、エンドキャップ部の内壁面側に現れる当該ピンの頭頂部(ピン頭)に接続された電力線が、エンドキャップ部内部のスペース内に展張され、さらにエンドキャップ部とLEDランプ部との接続部分の開口部分を介してLEDランプ部の回路基板に至ることになる。
また、エンドキャップ部が互いに独立して回動可能に取り付けられている二つの部材から構成されていてもよい。かかる場合の具体的な構成及びその目的については、別の実施例にて後述する。
また、本体コネクター部を一対のエンドキャップ部のうちの一方の近傍に備える場合、図1、図2Aの例に示したように、当該一方のエンドキャップ部(便宜上エンドキャップ部(本体コネクター部側)といい、図1では、左側に現れるエンドキャップ部0120aがこれに相当する)には、同図に示すように上端付近に切欠き部0123が設けられていてもよい。この切欠き部は、本体コネクター部0130を構成する一対のピンを立設するためのスペースを提供するとともに、本体コネクター部を電源コネクターに接続する際に電源コネクターをぴったりと嵌め込むことができるためのスペースを提供するためのものである。かかる構成の詳細およびその効果については、後述の本体コネクター部の説明の中で改めて述べる。
なお、図2Aに示したようにLEDランプ部とエンドキャップ部との間に上述の円形状基板0270を介在させる場合には、電力線は、この基板に設けられた小孔0270aを介して回路基板に導かれることになる(図2Aでは小孔の形状をわかりやすく示すため、一方の孔にのみ貫通する電力線0240を図示した)。
図3は本実施例のLED照明装置のエンドキャップ部の形状の一例を示す図であって、図2Aに現れるエンドキャップ部(本体コネクター部側)0220aを同図の概ね右側やや下方向からみた斜視図である。本図に現れているように、エンドキャップ部0320の内部には電力線を収納するためのスペース0321が設けられ、ここにエンドキャップ部の切欠き部0323(本図ではエンドキャップ部を内側から見ているので、エンドキャップ部のスペース内に張り出した蒲鉾型の張出し部分として現れる)に立設された本体コネクター部の一対のピン0330(本図にはエンドキャップ部の内壁面に埋め込まれたピン頭の頂面が現れる)にそれぞれ接続された電力線の一部0340が収納されている。図示は省略したが、この電力線はエンドキャップ部の開口部(本図では上端面に現れている略円形の開口部分)からLEDランプ部へと導かれる(なお、実際には本図に現れるべき図1に示した支持ピン0122のピン頭部分の図示は、煩雑を避けるために省略した)。
(本体コネクター部)
再び図1に戻り、本体コネクター部0130は、電源から電力を入力するためのものである。電源からの電力の入力は、典型的には一次電源からの電力の入力であり、天井や壁などの電灯線(電力線)から直に電力を取り入れるという意味である。このため、本図の例でも、本体コネクター部は、一次電源から天井や壁などを介して引き出された電力線0150に接続された電源コネクター0160を接続可能に構成されている。ただし、本体コネクター部は、例えば停電などの際にバッテリーから電力を入力するためのものでもあってよい。
本体コネクター部は、電源コネクターとともに一対のコネクターのそれぞれの一方を構成するものである。本体コネクター部と電源コネクターの接続のしかたは、両者が電気的に接続されるものであれば特に限定はないが、例えば、一方が一対のピンを備えた雌コネクターであり、もう一方がこれに対応するピン受け孔を備えた雄コネクターであるものが考えられる。この場合には、本体コネクター部が雌コネクターであり、電源コネクターが雄コネクターであることが望ましい。なぜなら、このようにすることで、取り付け作業時などにおける感電のおそれ等を防いで安全性を高めることができるとともに、わざわざLED照明装置の本体側にコネクター用のスペースを設ける必要がないからである。
前述のように、従来の蛍光灯型LED照明装置とは異なり、本発明では蛍光灯灯具のソケットからは電力が入力されないが、これに代えてこの本体コネクター部を介して電源から直接電力が入力される。このように電源から直接電力を入力するため、蛍光灯灯具に備えられた安定器を介さずに給電が行われることになる。従って、LEDランプ自体に備えられているAC/DCコンバーターと蛍光灯灯具の安定器が重畳的に作用することにより火災事故などを引き起こすおそれを回避することができる。また、それゆえにわざわざ蛍光灯灯具の安定器を取り外す必要もなくなる。
電源からの入力は、典型的には、ホット側、コールド側の双方からの電力線に接続された単一の電源コネクターに対して単一のソケットを接続することで行われる。このようにすることで、本体コネクター部の配置位置を一対のエンドキャップ部のうちの一方の近傍に備えるように構成することができる。これにより、例えば本体コネクター部をエンドキャップ部から引き出された電力線の先に取り付ける場合においては、エンドキャップ部から露出する電力線の長さを短くすることができるので、LED照明装置への換装作業が容易になり、また、見た目もすっきりさせることが可能となる。
本体コネクター部の形状には特に限定はなく、例えば、単にエンドキャップ部に設けた小孔から引き出された二本の電力線の先端にホット側、コールド側それぞれの端子を取り付けただけのものであってもよい。ただし、好適な一例としては、図1、2に示した例のように、エンドキャップ部の上端付近に切欠き部を設け、ここに本体コネクター部を構成する一対のピンを立設するようにしたものが考えられる。この場合には、本体コネクター部を電源コネクターに接続する際には、電源コネクターがエンドキャップ部の当該切欠き部にぴったりと嵌め込まれる。このため、切欠き部の形状、寸法と電源コネクターの形状、寸法は、互いにぴったりと嵌まり合う形状、寸法に設計される。さらに言えば、この形状は、電源コネクターをエンドキャップ部の切欠き部に嵌め込んだときに、LEDランプ部、エンドキャップ部、電源コネクターを合わせた全体の形状が直管蛍光ランプ形状になるようなもの(平たく言えば、電源コネクターは円筒形状のエンドキャップ部から一部を切り取った形状であるもの)が望ましい。
図2Aの例に即して言えば、電源コネクター0260の形状、寸法は、これをエンドキャップ部(本体コネクター部側)0220aの上端付近に設けられた切欠き部0223に嵌め込んだときに、これらを合わせた形状がちょうど一個の円筒の形状になるような形状、寸法である。また、切欠き部に立設された本体コネクター部を構成するピン0230と、電源コネクターのピン受け孔0260aは、電源コネクターと切欠き部をぴったりと嵌め込むことができる位置に設けられる。図2Aにおいて、切欠き部0223の上方に描かれた二点鎖線0224は、電源コネクターを切欠き部に嵌め込んだときの電源コネクターの仮想位置を示しており、電源コネクターとエンドキャップ部(本体コネクター部側)を合わせた形状がちょうど一個の円筒の形状になることが示されている。
なお、図示は省略したが、このピン受け孔には、電源からの電力線(天井等から電源コネクターに至る部分)0250に接続されたピン受け端子が配置され、本体コネクター部のピンをピン受け孔に挿入したときに、ピンがピン受け端子に接触することで、電源コネクターから本体コネクター部に電力供給がなされるようになっている。
エンドキャップ部、本体コネクター部(ピン)、電源コネクターの配置、形状、寸法をこのようなものにすれば、エンドキャップ部から露出する電力線を全くなくすことができるため、LED照明装置への換装作業がより一層容易になり、また、見た目もさらにすっきりさせることが可能となる。
図2B、図2Cは、本実施例に係るLED照明装置の形状の図1とは別の一例を示す斜視図である(図示の便宜上、図2Cは、図1とは逆にエンドキャップ部(本態コネクター側)が右側に現れる向きに示した)。図1、図2Aに示したのとは異なる形状の本体コネクター部の好適な一例としては、図2Bに示すように、エンドキャップ部0220aの切欠き部0223に設けた本体コネクター部0230に対して、電源コネクター0260を略左右方向(概ね図に矢印A方向又はA´方向で示す方向)から接続するようにしたものであってもよい。本図の例では、雄コネクターである電源コネクターを雌コネクターである本体コネクター部に対して太矢印aに示すように挿入して接続する。あるいは、図2Cに示すように、エンドキャップ部0220aの切欠き部0223に設けた本体コネクター部0230に対して、電源コネクター0260を略後方向(概ね図に矢印B方向で示す方向)から接続するようにしたものであってもよい。本図の例では、雄コネクターである電源コネクターを雌コネクターである本体コネクター部に対して太矢印bに示すように挿入して接続する。特に、図2Bの例のように電源コネクターを略左右方向から本体コネクター部に接続するようにした場合は、LED照明装置を蛍光灯灯具に取り付けた後に電源コネクターを本体コネクター部に接続させることができるため、LED照明装置の取付け作業を一層容易に行うことが可能となる。なお、図1(図2A)、図2B、図2Cに示した本体コネクター部や電源コネクターの形状、寸法や具体的な配置はあくまで一例であり、雄コネクターと雌コネクター(好適には本体コネクター部が雌コネクター)を電気的に接続させることが可能なものであればどのようなものであってもよい。
(電力の供給経路)
以上に説明したように、本発明のLED照明装置では、電源から本体コネクター部を介して入力された電力は、蛍光灯灯具の安定器を介することなく、直接回路基板に供給され、さらに回路基板上に配置された複数のLED素子に供給されてこれらLED素子を発光させるように構成されている。ここで、改めて、本発明における電力の供給経路を従来の蛍光灯型LED照明装置における電力の供給経路と比較して説明する。
図4は、LED照明装置における電力供給経路の一例を示す概念図である。このうち図4(a)は本発明のLED照明装置における電力供給経路を示し、図4(b)は従来の蛍光灯型LED照明装置における電力供給経路を示す。図4(b)に示すように、従来の装置では、LEDランプ0410が蛍光灯灯具のソケット0470に電気的に接続される。このため、一次電源0400から導入された電力は、蛍光灯灯具に備えられた安定器(図中に蛍光灯灯具安定器0480として表示)を介するとともに、LED照明装置自身が備えるAC/DCコンバーターなど(図中にAC/DCコンバーター0490として表示)も介してLEDランプのLED回路基板0491に供給される(なお、本図では典型例である一次電源から電力を供給する例で示したが、バッテリー等から供給する場合も同様である)。このため、既述のようにLEDランプ自体に備えられているAC/DCコンバーターと蛍光灯灯具の安定器が重畳的に作用することにより火災事故などを引き起こすおそれがあったわけである。
これに対し、図4(a)に示す本発明の装置では、LEDランプ0410は蛍光灯灯具のソケット0470に電気的に接続されることはない。なお、本図では電気的な接続だけを線で結んでいるため図には現れないが、本発明の装置でもLEDランプは蛍光灯灯具に取り付けられる。ただし、これは単にLEDランプが落下しないようにするための支持具として蛍光灯灯具のソケットを利用するにすぎない。このため、一次電源0400からコネクター0430(本図では、電源コネクターと本体側コネクターを合わせた概念として表示した)を介して導入された電力は、蛍光灯灯具に備えられた安定器0480を介することなく、直接LED照明装置自身が備えるAC/DCコンバーター0490を経由してLEDランプのLED回路基板0491に供給される。このため、LEDランプ自体に備えられているAC/DCコンバーターと蛍光灯灯具の安定器が重畳的に作用することにより火災事故などを引き起こすおそれが回避できることになる。
(電源から直接電力をとりつつ蛍光灯灯具に取り付けない方法との比較)
ところで、安全上の問題に対応するために蛍光灯灯具の安定器を介さずに給電するためだけであれば、電源から直接電力を導入するだけでよく、単なる支持具としてであっても必ずしも既設の蛍光灯灯具に取り付ける必要はないといえる。例えば、LEDランプのための専用灯具に取り付けたり、天井や壁などにLEDランプを直接取り付けたりする方法でもよいわけである。しかし、このような方法では、LEDランプのための専用灯具を用意しなければならない場合には資源の無駄であるし、しかも、それまでの蛍光灯のときの部屋の雰囲気を維持することができず、違和感が生じてしまう。これではせっかく直管蛍光灯型のLEDランプを使用する意義が半減してしまい妥当でない。この点、本発明のように、電源から直接電力をとりつつ既設の直管型蛍光灯灯具のソケットに取り付けることのできるLED照明装置であれば、資源の無駄遣いを防ぎ、それまでの蛍光灯のときの部屋の雰囲気を維持することができるといった長所を維持した上で、安全上の問題にも対応できるという優れた効果を発揮することができる。
<効果>
本実施例の発明により、蛍光灯からLED照明装置への換装に際し、比較的簡単な工事で設置することができ、設置費用も安価ですみ、資源の無駄遣いを防ぐこともできることに加え、それまでの蛍光灯のときの部屋の雰囲気を維持することができるといった長所を維持した上で、さらに安全上の問題や消費電力の無駄の問題を回避することができるLED照明装置を提供することが可能となる。
<概要>
本実施例のLED照明装置は、実施例1のLED照明装置と基本的に共通するが、LEDランプ部の前記複数のLED素子のそれぞれが直管軸方向に並べられるとともに、直管軸に垂直な方向で隣接するLED素子どうしが重なるように斜めに配置されることを特徴とするものである。
<構成>
(LEDランプ部:LED素子)
図5は、本実施例のLEDランプ部のLED素子の配置の一例を示す斜視図である。本図を用いて、本実施例のLEDランプ部のLED素子のそれぞれが直管軸方向に並べられるとともに、直管軸に垂直な方向で隣接するLED素子どうしが重なるように斜めに配置されることの意味およびその具体例について説明する。LEDランプ部のその余の部分の構成およびLEDランプ部以外の各部の構成は実施例1で説明したところと同様であるから、ここでは説明を省略する。
図5(a)には、本実施例のLEDランプ部のLED素子の配置の一例が示されている。ここに示されているように、本実施例のLEDランプ部のLED素子0514(煩雑を避けるため1個のLED素子にのみ符号を付した)は、回路基板0515上に複数のものが直管軸方向にアレイ状に並べられており、この点は従来のLEDランプにおけるLED素子の並べ方と同様である。ここで、「直管軸方向」とは、図中矢印A−A´で示す方向、即ち直管型ランプの長手方向をいう。図5(b)は参考までに従来のLEDランプにおけるLED素子の並べ方の典型例を示したものであり、やはりLED素子のそれぞれが直管軸方向にアレイ状に並べられている状態が示されている。
ただし、本実施例のLEDランプ部では、従来のLEDランプと異なり、直管軸に垂直な方向で隣接するLED素子どうしが重なるように斜めに配置される。図5(a)に即して言えば、「直管軸に垂直な方向」は、図中矢印B−B´で示す方向であり、この方向で「隣接するLED素子どうしが重なるように斜めに配置される」とは、この方向を示すライン上(本図で言えば垂直ライン上)において、ある一つのLED素子(本図ではLED素子0514a)が左右に占める幅(本図ではL1で示される幅)と、その右隣のLED素子(本図ではLED素子0514b)が左右に占める幅(本図ではL2で示される幅)が一部重複(本図ではL3で示される幅が重複)しており、このため個々のLED素子の向きが、直管軸に対して斜め方向に配置されることをいう。この点で、図5(b)に示すように従来のLED素子の配置が垂直ライン上で重なることがなく、LED素子が直管軸に対して平行な向きに配置されているのとは異なる。
このような配置とすることの目的は、蛍光灯のときの部屋の雰囲気をより一層それまでと変わらないように維持することにある。この点、図5(b)に示したような従来のLED素子の配置のしかたでは、管体の少なくとも下側部分が透明プラスチック製の場合に、各LED素子の間隔が空いているため、LED素子が点々と並んでいる状態に見え、それまでの蛍光灯のときと比べて違和感が生じてしまう。管体の下側部分を半透明のプラスチック製とすればこのような違和感をなくすことができるが、照明効率を高めるためには管体の下側部分は透明の方が望ましい。
そこで、本実施例のLED照明装置であれば、隣接するLED素子どうしが重なるように配置されるため、管体の下側部分を透明のプラスチック製にした場合であっても、肉眼ではすべてのLED素子がつながって光っているように見えるので、それまでの蛍光灯のときと比べて違和感がなくなり、蛍光灯のときの部屋の雰囲気をより一層それまでと変わらないように維持することができる。
なお、図5(a)では、各LED素子の平面の形状が略長方形のものである例で示したが、LED素子の形状はこのようなものに限られず、例えば、略楕円形や長方形以外の略多角形などであってもよい。これらの場合における「直管軸に垂直な方向で隣接するLED素子どうしが重なるように斜めに配置される」ことの具体的な意味は、上の略長方形の場合と同様に考えればよく、例えば、LED素子の平面の形状が略楕円形の場合であれば、隣接するLED素子どうしの左右に占める幅が一部重複するとともに、長径および短径の向きが斜めに傾いていることを意味する。
<効果>
本実施例の発明により、管体の下側部分を透明のプラスチック製にした場合であっても、それまでの蛍光灯のときと比べて違和感がなくなり、蛍光灯のときの部屋の雰囲気をより一層それまでと変わらないように維持することが可能となる。
<概要>
本実施例のLED照明装置は、実施例1または実施例2のLED照明装置と基本的に共通するが、エンドキャップ部が互いに独立して回動可能に取り付けられている二つの部材から構成されていることを特徴とするものである。
<構成>
(エンドキャップ部)
図6は、本実施例のLEDランプ照明装置のエンドキャップ部の形状の一例を示す図であって、当該エンドキャップ部が、互いに独立して回動可能に取り付けられている二つの部材から構成されていることを示したものである。このうち、図6(a)は、かかるエンドキャップ部の斜視図であって、一対のエンドキャップ部のうちの一方のエンドキャップ部0620aを示したものである(他方のエンドキャップ部はこれと左右対称に現れるため図示を省略した)。この図の例では、当該エンドキャップ部0620aは、LEDランプ0610とほぼ同一の管径を有する円筒形状の部材(便宜上「円筒形状部材」と呼ぶ)0624と、当該円筒形状部材の外側(蛍光灯灯具のソケット側)に配置されるエンドキャップ部とほぼ同径の円盤形状の部材(便宜上「円盤形状部材」と呼ぶ)0625とからなる。円盤状部材の外側の面(蛍光灯灯具のソケット側の面)には本発明のLED照明装置を直管型蛍光灯灯具に取り付けるための支持ピン0622が備えられる。円筒形状部材と円盤形状部材は互いに独立して回動可能に取り付けられる。本図の例では、両部材が、それぞれの中央部分に穿たれた小孔(本図には現れない)を貫通するリベット0691(本図ではリベットの頭頂部が現れている)によって互いに独立して回動可能なように半固定されている。
図6(b)は、図6(a)のA−A線断面図であり、円筒形状部材0625と円盤形状部材0626(ともに右上がり斜線で示す)が、それぞれの中央部分に穿たれた小孔0625a、0626aを貫通するリベット0691(左上がり斜線で示す)によって互いに独立して回動可能なように半固定されている状態を示したものである。
なお、リベットはハトメ形状のものであってもよい。また、円筒形状部材と円盤形状部材のそれぞれの対向面のうち一方に雄ねじが形成され、他方に雌ねじが形成されて、これらが人の手で容易に回動させることができる程度に緩やかに嵌合させられているものであってもよい。さらに、円筒形状部材と円盤形状部材の取り付け部分の構造はこれらに限られることなく、要するに、両部材が互いに脱落することなく、互いに容易に回動可能に取り付けられる構造であれば、どのようなものであってもよい。
かかる構成によれば、LED照明装置を既設の蛍光灯灯具に設置する際に、LEDランプ部の向きをLED素子が所望の照明方向に向くように保ったまま、エンドキャップ部の円盤形状部材の向きだけを蛍光灯灯具のソケットに合わせる動作を容易に行うことができるため、LED照明装置の取付け作業を簡単に行うことができる。
さらに、図6(b)の例にも示されているように、円筒形状部材と円盤形状部材のそれぞれの対向する面に、互いにぴったりと噛み合う面を有する二つの略円盤状の部材0627を固定的に取り付けてもよい。当該部材が互いにぴったりと噛み合う面の具体的な形状としては、例えば、放射状に配置された波形形状や、円周上に配置されたディンプル形状のものなどが考えられる(図6(b)に示したものは前者の例である)。また、それぞれの部材を円筒形状部材と円盤形状部材に固定するための接着などがしやすいように、固定面(当該部材の互いに噛み合う面とは反対側の面)は平らにしてもよい。
この場合、二つの略円盤状の部材の面の形状はほぼ同一の形状に形成される。このような部材を円筒形状部材と円盤形状部材のそれぞれに固定的に取り付けることにより、円筒形状部材と円盤形状部材が、単に互いに独立して回動可能となるだけでなく、蛍光灯灯具に取り付けた状態でエンドキャップ部の円筒形状部材およびこれに固定されたLEDランプ部を回動させて任意の位置(角度)に保つことが可能となる。
かかる構成によれば、LEDランプ部に配置されているLED素子を任意の方向にむけることが可能となる。即ち、LED素子は発光の方向にある程度の指向性を有している。このLED素子は、例えば、二列のアレイを形成するように配置され、それぞれのアレイは垂直軸を挟んで斜め外側の方向(例えば45度の方向)に向けて発光するように配置される。そうするとLEDランプの真下部分はLED素子からの光が直接向けられず、相対的に暗い状態となる。そこで、上記構成を利用してLEDランプを回動させて、一方のアレイが真下方向を照らすような位置に保てば、真下を明るく照らすことが可能となる。この例のように、LED素子が任意の方向に向くようにLEDランプを回動させることで、部屋の任意の方向を明るく照らすことが可能となる。
図6(c)は、略円盤状の部材0627の形状の一例であって、図6(b)の例と同様の放射状に配置された点対称の波形形状の一例を示したものである。本図に示す部材も、固定面(本図には現れない)は平らに形成されている例である。本図の例では、24個の波形が形成されているため、円筒形状部材側に固定された当該部材を回動させながら15度ごとの任意の角度で、円盤形状部材側の部材にぴったりと噛み合わせつつ固定することが可能となっている。このため、すべての波形が等角度でかつ同一の形状であることが望ましい。
<効果>
本実施例の発明により、LED照明装置を既設の蛍光灯灯具に設置する際に、LEDランプ部の向きをLED素子が所望の照明方向に向くように保ったまま、エンドキャップ部の円盤形状部材の向きだけを蛍光灯灯具のソケットに合わせる動作を容易に行うことができるため、LED照明装置の取付け作業を簡単に行うことが可能となる。