JP5186892B2 - グリッパ - Google Patents

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Description

本発明は、樹脂製ボトルのネック部を両側から挟んで保持するグリッパに係り、例えば、搬送装置によって搬送している容器に電子線を照射して殺菌を行う電子線殺菌装置等に用いられるグリッパに関するものである。
搬送装置によって搬送している容器に、電子線照射装置から電子線を照射して殺菌を行う装置は従来から知られている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)。特許文献1に記載された容器搬送手段は、PETボトル等の容器の口部外周にあるフランジ部の直下のネック部が摺動自在に懸吊支持される平行2条のレールを有している。前記平行なレールを構成するレール部材は、EB(電子線)照射室の横幅に相当する範囲がEB照射を妨げないように切り欠かれており、この切り欠き部の部分は、薄い帯状のチタン膜が張られてEB照射に支障なくレールの途切れをなくしている。
また、特許文献2に記載された発明の搬送手段は、二本のワイヤを有するものであり、照射室内に設けられている。そして、二本のワイヤを移動させることにより、容器は立てた状態のまま搬送される。
特許文献3に記載された搬送コンベヤは、その内周側にリング状の搬送ギヤが取り付けられており、このリング状の搬送ギヤに所定間隔毎に支柱を立設し、これら支柱の上端にリング状のガイドリングが取り付けてある。このガイドリングに、容器のピッチ間隔と対応する位置にネックガイドが取り付けてあり、このネックガイドにより各容器の首部を保持して搬送する。
また、電子線殺菌装置に関するものではないが、樹脂製ボトルのネック部を両側から挟持して搬送するグリッパとして、特許文献4に示すように、2つのアームの端部にそれぞれ把持爪を設け、ボトルの頸部を両側から締め付けて保持する構成のものが従来から知られている。
特開平11−1212号公報(第4−5頁、図2) 特開平1−19190号公報(第3−4頁、図1) 特開2000−214300号公報(第4頁、図3) 特許第3787328号公報(第4頁、図4)
前記特許文献1および特許文献2の容器搬送手段の構成では、搬送される容器の前後の間隔や送り速度が不安定になり、電子線の照射条件がばらつくおそれがあるという問題があった。また、特許文献3の構成では、容器を保持しているネックガイドが陰となり電子線が容器全面に充分に行き渡らないおそれがあるという問題があった。
一方、特許文献4に記載された形状のグリッパでは、把持爪の容器への接触面が広いほど安定して容器を保持することができる。従って、把持爪の厚さ、つまり容器への接触面の上下の高さが高いほど確実に容器を保持して安定した搬送をすることが可能である。ところが、このようなグリッパを電子線殺菌装置の搬送装置に使用すると、容器に接触する部分が電子線の照射を遮断するため、グリッパの容器に接触する面積が大きい場合には、容器を完全に殺菌することがができないという問題が発生する。
本発明は、樹脂製ボトルに対する接触面積をできるだけ小さくして、例えば、電子線の照射を行う際に、死角となる部分をできるだけ少なくして完全に殺菌することを可能にするとともに、接触部分が少なくとも確実に樹脂製ボトルをグリップして安定したハンドリングを行うことを可能にしたグリッパを提供することを目的とするものである。
本発明は、フランジを有する樹脂製ボトルのネック部を両側から挟んで保持し、放射媒体照射手段の照射部へ搬送するグリッパにおいて、前記ネック部の両側に配置される一対の開閉部材と、各開閉部材にそれぞれ設けられ、前記ネック部外周のフランジよりも下方側を保持するグリップ部材とを備え、前記両グリップ部材の上面に、前記フランジの下面に当接する突起を形成し、前記グリップ部材の上面と前記フランジの下面との間に放射媒体が通過可能な隙間を設けるとともに、前記グリップ部材に、照射された放射媒体がボトルのネック部側に通過可能な開口部を形成したことを特徴とするものである。
本発明のグリッパは、両側のグリップ部材の上面に、樹脂製ボトルのフランジの下面に当接する突起を設けてあるので、このグリッパと樹脂製ボトルのフランジとの接触面積を小さくすることができ、必要な線量の電子線を照射することが可能となり、殺菌効果を向上させることができる。
フランジを有する樹脂製ボトルのネック部の両側に配置された一対の開閉部材と、各開閉部材にそれぞれ設けられたグリップ部材とを備えており、樹脂製ボトルのネック部の外周に設けられたフランジよりも下方側を両側から挟んで保持するもので、前記両グリップ部材の上面に、前記フランジの下面に当接する突起を設けたという構成により、樹脂製ボトルをを確実に把持して安定した搬送をするとともに、電子線の照射を妨げないようにグリッパと容器の接触面積を小さくするという目的を達成する。
以下、図面に示す実施例により本発明を説明する。図1は本発明の一実施例に係るグリッパの正面図、図2はその側面図、図3は樹脂製ボトルをグリップする一対のグリップ部材を示す平面図である。また、図4および図5は、それぞれ図1および図2の要部の拡大図である。この実施例のグリッパ2は、例えば、電子線の照射により殺菌を行う電子線殺菌装置等に用いられるもので、このグリッパ2に保持されて搬送されるボトル4が、電子線照射手段の前面を通過する際に電子線の照射を受けて殺菌される。なお、この実施例に係るグリッパ2に保持されるボトル4は、ペットボトル等の樹脂製ボトルであり、ネック部4a(傾斜した肩部4bよりも上方のほぼ同一の径を有する小径の部分)の外周にフランジ4cが形成されている。
このグリッパ2は、回転ホイールあるいは循環走行する無端状の搬送帯等に等間隔で設けられており、それぞれ垂直なロッド6の下端に固定された水平な取付体8の下方側に、樹脂製ボトル4を保持する一対のグリップ部材10A、10Bが設けられている。取付体8の両端面には、鉛直方向を向いた一対の板ばね(開閉部材)12A、12Bの上端が固着されている。前記垂直なロッド6の真下の位置でボトル4が保持されるようになっており、これら両側の板ばね12A、12Bは、図2に示すように、下部側がボトル4のネック部4aを避けるように傾斜して切り取られた形状をしている。また、前記水平な取付体8の両側(両板ばね12A、12Bの外側)に水平な連結部材14A、14Bが固定され、これら各水平連結部材14A、14Bの端部下面に、下方に向けた垂直な支持部材16A、16Bが取り付けられている。これら垂直な支持部材16A、16Bは、ボトル4のネック部4aから横方向へ外れた位置にある板ばね12A、12Bの下部とオーバーラップするように配置されている(図2参照)。
両側の垂直な支持部材16A、16Bは、各板ばね12A、12Bの長さよりもやや短くなっており、これら支持部材16A、16Bの下端には、内側に向けて水平ピン18A、18Bが取り付けられている。これら水平ピン18A、18Bは板ばね12A、12Bの下端よりもやや上方の位置に挿通されている。水平ピン18A、18Bの、支持部材16A、16Bと板ばね12A、12Bとの間に位置する部分の外周にコイルスプリング20A、20Bが介装されて、各板ばね12A、12Bを互いに接近する方向へ付勢している。この板ばね12A、12Bの内面側に位置しているピン18A、18Bの先端に設けた拡径部18Aa、18Baによりスプリング20A、20Bに付勢された板ばね12A、12Bの位置を規制しており、通常は板ばね12A、12Bが支持部材16A、16Bと平行な鉛直状態を維持している。また、板ばね12A、12Bの下端部が内面側から押されると、スプリング20A、20Bの付勢力に抗して互いに拡開する方向に移動できるようになっている。
両板ばね12A、12Bの下端部に、樹脂製ボトル4の外面に当接する突出部22を内面側(互いに向かい合う面側)に向けて、水平なグリップ部材10A、10Bがそれぞれ固定されている。各グリップ部材10A、10Bは、板ばね12A、12Bに固定されたほぼ直線状の固定部10Aa、10Baと、各固定部10Aa、10Baの前方側に設けられ、複数の突出部22(22Aa、22Ab、22Ac、22Ad、22Ba、22Bb、22Bc、22Bd)が形成された保持部10Ab、10Bbとを有している。これら突出部22は、保持部10Ab、10Bbの両端部(前方側(図3の下方側)と後方側の端部)に、それぞれ設けられている。この実施例では、各保持部10Ab、10Bbの前方側と後方側の2箇所に、上下同一形状をした突出部22が形成されている。各グリップ部材10A、10Bが保持部10Ab、10Bbの前方側と後方側の2箇所に有している4個の突出部22のうち、前方側の突出部22Aa、22Ab、22Ba、22Bbが短く、後方側の突出部22Ac、22Ad、22Bc、22Bdが長くなっている。両グリップ部材10A、10Bに設けられた4箇所(上下で8個)の突出部22Aa、22Ab、22Ac、22Ad、22Ba、22Bb、22Bc、22Bdが、図3に示すように同一円周上に位置している。
両側のグリップ部材10A、10Bによって樹脂製ボトル4のネック部4aを保持するときには、各突出部(4箇所の上下に設けられた8個の突出部22Aa、22Ab、22Ac、22Ad、22Ba、22Bb、22Bc、22Bd)の先端部だけが樹脂製ボトル4のネック部4aの外周面に当接する(図3参照)。従って、各グリップ部材10A、10Bの他の部分は樹脂製ボトル4に接触することがなく、グリップ部材10A、10Bと樹脂製ボトル4の外面との間に間隙が形成されている。また、上下の突出部22Aa、22Ab、22Ac、22Ad、22Ba、22Bb、22Bc、22Bdは、厚さが薄く、上方の突出部22Aa、22Ac、22Ba、22Bcと下方の突出部22Ab、22Ad、22Bb、22Bdとの中間に、それぞれ間隙24Aa、24Ab、24Ba、24Bbが形成されている(図4および図5参照)。図5に示すように、各突出部22Aa、22Ab、22Ac、22Ad、22Ba、22Bb、22Bc、22Bdの厚さの数倍の大きさの間隙24Aa、24Ab、24Ba、24Bbが形成されており、両側のグリップ部材10A、10Bの8個の突出部22Aa、22Ab、22Ac、22Ad、22Ba、22Bb、22Bc、22Bdが点接触をして樹脂製ボトル4を保持するようになっている。従って、樹脂製ボトル4とグリップ部材10A、10Bとの接触面積が極めて小さくなっている。
各グリップ部材10A、10Bの前方側に形成された突出部22Aa、22Ab、22Ba、22Bbは、前記板ばね12A、12Bおよびこの板ばね12A、12Bに固定されている固定部10Aa、10Baに対して直角方向に向けて伸びている。この前方側の突出部22Aa、22Ab、22Ba、22Bbの先端部の前面側(図3中に符号22AX、22BXで示す面)が斜めに切り欠かれており、両グリップ部材10A、10B間の傾斜した前面22AX、22BXに前方側(図3の下方側)から樹脂製ボトル4を押し込む際には、ネック部4aの外周面がこの傾斜した前面2AX、22BXに当接して、これら両グリップ部材10A、10Bおよび両板ばね12A、12Bを押し広げて、両グリップ部材10A、10B間に入り込むようになっている。
各グリップ部材10A、10Bの保持部10Ab、10Bbの前方側と後方側に、水平方向に間隔をあけて形成されている2箇所の突出部(図3の左側のグリップ部材10Aでは22Aa、22Abと22Ac、22Ad、右側のグリップ部材10Bでは22Ba、22Bbと22Bc、22Bd)の中間に、前記樹脂製ボトル4のフランジ4cを案内するガイド部24A、24Bが形成されている。これらグリップ部材10A、10Bによって樹脂製ボトル4を保持する際に、樹脂製ボトル4が両グリップ部材10A、10Bに対して相対的に傾いていた場合には、樹脂製ボトル4のフランジ4cがグリップ部材10A、10Bの後方側の上下突出部間(22Acと22Adの間、また、22Bcと22Bdの間)に嵌り込んでしまうおそれがあるが、このガイド部24A、24Bがフランジ4cの下面をガイドすることにより、前記のようにフランジ4cの位置がずれて嵌り込むことを防止することができる。このガイド部24A、24Bは、フランジ4cに当接して案内するものであり、前記上部側の突出部22Aa、22Ac、22Ba、22Bcとほぼ同じ高さに一箇所だけ設けられ、下方側には設けられていない(図5参照)。
各グリップ部材10A、10Bに、水平方向に間隔をあけて設けられている前方側の上下突出部22Aa、22Ab,22Ba、22Bbと後方側の上下突出部22Ac、22Ad、22Bc、22Bdのうちの上部側の突出部22Aa、22Ba、22Ac、22Bc、およびこれら上部側突出部22Aa、22Ac、22Ba、22Bcの中間に設けられているガイド部24A、24Bの上面に、それぞれ小突起26Aa、26Ab、26Ac、26Ba、26Bb、26Bcが設けられている(これら小突起が請求項1に記載した突起に相当する)。各グリップ部材10A、10Bは、これら小突起26Aa、26Ab、26Ac、26Ba、26Bb、26Bcによって樹脂製ボトル4のフランジ4cの下面に当接するようになっている。前述のように樹脂製ボトル4の外周面に対しては、8個の突出部22Aa、22Ab、22Ac、22Ad、22Ba、22Bb、22Bc、22Bdの先端部が当接し、また、これら小突起26Aa、26Ab、26Ac、26Ba、26Bb、26Bcによってフランジ4cの下面に点接触するので、グリップ部材10A、10Bによる樹脂製ボトル4に対する接触面積を極めて小さくすることができる。この実施例に係るグリッパ2は、電子線殺菌装置に適用されるものであり、グリップ部材10A、10Bが樹脂製ボトル4に当接している部分は、照射される電子線の死角になってしまうが、この実施例に係るグリッパ2では、死角となる接触面積を極めて小さくすることができる。なお、小突起26Aa、26Ab、26Ac、26Ba、26Bb、26Bcは常に全てがフランジ4cの下面に当接するということもなく、保持する樹脂製ボトル4の傾きによっては4点や5点の小突起が当接することもある。要は小突起によってフランジ4c下面の高さを規制してフランジ4c下面の全域がグリッパ2に接触するのを防止できればよい。
両側のグリップ部材10A、10Bの外面側(前記突出部22が形成されている面の背面側)は、板ばね12A、12Bと平行な平面になっているが、両グリップ部材10A、10Bの先端部寄りの一部が、先端方向に向かって次第に接近するように傾斜させた傾斜面10Ac、10Bcになっている。そして、この傾斜面10Ac、10Bcからグリップ部材10A、10Bの内面側(突出部22が形成されている面)に向けて、前記傾斜面10Ac、10Bcとほぼ直交する方向の貫通孔(開口部)10Ad、10Bdが形成されている。両グリップ部材10A、10Bの前方側と後方側の突出部の中間(前方側の突出部22Aa、22Abと後方側の突出部22Ac、22Adの中間、また、前方側の突出部22Ba、22Bbと後方側の突出部22Bc、22Bdの中間)は、樹脂製ボトル4のネック部4aの外面と離隔して直接接触しないようになっているが、電子線を照射する際には、ネック部4aの外面にグリップ部材10A、10Bの陰になる部分が生じる。そこで、グリップ部材10A、10Bにこのような開口部10Ad、10Bdを形成することによって、図3中に矢印Eによって示すように、電子線を貫通させてグリップ部材10A、10Bの陰になっているネック部4aの外面に直接電子線を照射することが可能になる。
一対のグリップ部材10A、10Bの一方(図1および図3の右側のグリップ部材10B)には、このネックグリッパ2によって保持されて搬送される樹脂製ボトル4が搬送中に振れないように、上部の突出部22Ba、22Bcよりもやや上方に、振れ止め部30Bが設けられている。この振れ止め部30Bは、図4に拡大して示すように、前記突出部22で樹脂製ボトル4を保持した際に、前記フランジ4cよりもやや上方に位置するようになっており、保持したボトル4が傾くとこの振れ止め部30Bがフランジ4cの上面に当接することによって、それ以上に傾くことを規制し、高速搬送時の遠心力や反転時に生じるボトル4の振れを抑制することができる。
また、前記水平な取付体8の下面に、このグリッパ2が保持して搬送している樹脂製ボトル4内に塵や埃が侵入することを防止するためのフード28が取り付けられている。
次に、図6によって、前記グリッパ2を電子線殺菌装置に使用した場合の一例について説明する。グリッパ2は、鉛製の壁面から構成される殺菌チャンバー32内に設置された容器搬送手段34に設けられている。容器搬送手段34は、2つのスプロケット34a、34bと、これら2つのスプロケット34a、34b間に掛け回された無端状の搬送帯34cとを備えており、グリッパ2は前記無端状搬送帯34cに等間隔で取り付けられている。グリッパ2は、前記搬送帯34cに上下に2個一組として取り付けられており、これら2個のネックグリッパ2がそれぞれボトル4のネック部4a(ネック部4aのフランジ4cよりも下方側)を把持し、一方を正立状態で、他方を倒立状態で搬送する。一組のグリッパ2は、一方のスプロケット(図4の右側のスプロケット34b)から他方のスプロケット34aに向かう直線経路の途中の反転位置Aで反転し、2本のボトル4の上下を入れ換えるようになっている。
容器搬送手段34のグリッパ2には、殺菌チャンバー32の外部からこのチャンバー32の入口側に配置されている供給ホイール36を介してボトル4が供給され、このボトル4は、電子線照射により殺菌が終了した後、排出ホイール38を介して無菌チャンバー32から排出される。供給ホイール36から容器搬送手段34への供給位置を符号B、容器搬送手段34から排出ホイール38への排出位置を符号Cで示す。
前記殺菌チャンバー32の側部に電子線照射装置40が配置されている。殺菌チャンバー32の壁面に開口部32aが形成され、この開口部32a内に電子線照射装置40の照射面40aが臨んでいる。この照射面40aにはチタン等の薄い箔が取り付けられており、この箔を介して電子線が照射される。本実施例では、チタン箔が取り付けられた照射面40aを備えた部分が電子線照射手段の照射部Dになっており、この照射部Dの前方側を囲んで電子線照射室42が形成されている。ボトル4を保持しているグリッパ2がこの電子線照射室42を通過する際に、前記電子線照射装置40から電子線の照射を受ける。図3および図4中の矢印Eが電子線の照射方向を示す。
前記構成のグリッパ2の作用について、このグリッパ2を電子線殺菌装置に使用した場合を例として説明する。容器搬送手段34に取り付けられたグリッパ2が、図6の矢印方向に走行して容器供給位置Bに到達すると、供給ホイール36から樹脂製ボトル4が供給される。グリッパ2の前進に伴って、樹脂製ボトル4がグリップ部材10A、10Bの前方側の突出部22Aa、22Ab、22Ba、22Bbの先端部に形成されている傾斜した前面22AX、22BXに押しつけられると、板ばね12A、12Bの下端部に固定された両グリップ部材10A、10Bが、板ばね12A、12Bおよびスプリング20A、20Bのばね力に抗して押し広げられ、樹脂製ボトル4は前方側突出部22Aa、22Ab、22Ba、22Bbを通過して、前方側突出部22Aa、22Ab、22Ba、22Bbと後方側突出部22Ac、22Ad、22Bc、22Bdとの間に入り込む。
その後、両グリップ部材10A、10Bは板ばね12A、12Bおよびスプリング20A、20Bの反発力によって復帰し、両グリップ部材10A、10Bの上下8個の突出部22Aa、22Ab、22Ac、22Ad、22Ba、22Bb、22Bc、22Bdによってボトル4のネック部4aを保持する。両グリップ部材10A、10Bは、突出部22Aa、22Ab、22Ac、22Ad、22Ba、22Bb、22Bc、22Bdの先端だけで樹脂製ボトル4のネック部4A外面に当接するようになっており、グリップ部材10A、10Bがネック部4aに接触する面積が小さいので、電子線が照射されない部分を極力小さくすることができ、しかも、ネック部4aのほぼ全周に配置された8個の突出部22によりボトル4を安定して保持することができる。このようにしてグリッパ2の両グリップ部材10A、10Bによって保持された樹脂製ボトル4は、容器搬送装置34によって搬送される間に、容器反転位置Aにおいて反転され、倒立状態になる。
前記グリッパ2は、樹脂製ボトル4のネック部4aを保持して電子線照射装置(電子線照射手段)40の照射面40aの前方まで搬送する。このときグリッパ2の先端部側が前記照射面40a方向を向いて、照射面40aの正面で矢印E方向の電子線の照射を受けて殺菌される。両グリップ部材10A、10Bに設けられている突出部22は厚さが薄く、上方側の突出部22Aa、22Ab、22Ba、22Bbと下方側の突出部22Ac、22Ad、22Bc、22Bdとの間に間隙24Aa、24Ab、24Ba、24Bbが形成されているので、照射された電子線は、ボトル4のネック部4aの背後まで回り込んで殺菌することができる。
前記容器搬送装置34は、無端状搬送体34cに等間隔で2個1組のグリッパ2、2が取り付けられており、容器供給位置Bに到達すると、前記樹脂製ボトル4を保持しているグリッパ2と対称の位置に設けられている他のグリッパ2が、前記グリッパ2と同様に樹脂製ボトル4を供給されて保持する。
各樹脂製ボトル4は、前述のように1回目の電子線の照射を受けた後、再度反転位置Aで反転されて照射面40aの前方に送られ、1回目とは反対の、グリップ部材10A、10Bの後方側(図3の上方側)から2回目の電子線の照射を受け、外周面全体が殺菌される。殺菌が終了した樹脂製ボトル4は、排出位置Cで排出ホイール38に引き渡されて排出される。
従来のグリッパ(例えば、特許文献4に記載されたグリッパ)では、安定した搬送を行うためにはボトルに接触している部分の面積を広くしなければならないので、このグリッパによって電子線が遮断されて充分な殺菌が行われない。しかも、グリッパに接している部分の後方側には電子線が到達しないので、殺菌されない部分が広く残ってしまう。一方、この実施例に係るグリッパ2の構成では、グリップ部材10A、10Bの上下に形成された8個の厚さの薄い突出部22Aa、22Ab、22Ac、22Ad、22Ba、22Bb、22Bc、22Bdによって樹脂製ボトル4を保持するので、上下の突出部22の中間の間隙24Aa、24Ab、24Ba、24Bbを電子線が通過することができ、しかも、各グリップ部材10A、10Bの先端部寄りに内外を貫通する開口部10Ad、10Bdが形成されているので、ネック部4aの、グリップ部材10A、10Bによって陰になっている部分にも電子線を照射することができ樹脂製ボトル4のほぼすべての面を殺菌することができる。
ネックグリッパ2を前記のように構成したことにより、樹脂製ボトル4を確実に把持して安定した搬送を行うことができ、高速化も可能であり、しかも、電子線殺菌装置に適用して電子線の照射を受けた場合でも、充分な電子線量を確保して効果的に殺菌を行うことができる。また、前記構成のグリッパ2では、板ばね12A、12Bとスプリング20A、20Bにより保持機構を構成しており、これらを撓めて前方側の突出部22Aa、22Ab、22Ba、22Bbと後方側の突出部22Ac、22Ad、22Bc、22Bd間に樹脂製ボトル4のネック部4aを挿入できれば、ネック部4aの形状やサイズが変更になった場合でも、型替えの必要がなく、幅広く兼用することができる。さらに、樹脂製ボトル4を反転させて2回の照射を行うので電子線照射装置を1箇所配置するだけで、樹脂製ボトル4の全面の殺菌が可能である。また、この実施例では、上部側の各突出部22Aa、22Ac、22Ba、22Bcおよびその中間のガイド部24A、24B上に小突起26Aa、26Ab、26Ac、26Ba、26Bb、26Bcを設けているので、フランジ4cの下面との接触面積が小さくなり、フランジ4cの下面にも電子線を効果的に照射することができる。また、前記実施例では、各グリップ部材10A、10Bの保持部10Ab、10Bbに、前方側と後方側の上下に突出部22を形成してあり、各グリップ部材10A、10Bがそれぞれ2箇所(上下4個)の突出部22でボトル4のネック部4aに当接するようにしているが、突出部22を形成する位置は必ずしも2箇所に限るものではなく、3箇所あるいは4箇所等にしても良くその数を適宜設定することもできる。また、前記実施例では、グリッパ2を電子線殺菌装置に適用した場合に付いて説明したが、必ずしも電子線殺菌装置に限定されるものではなく、紫外線や赤外線等の光線やその他の放射媒体を照射する殺菌およびその他の処理装置や、蒸気や気体、液体をボトルに噴射して殺菌、洗浄およびその他の処理を行う装置等にも適用可能であり、これらにおいても樹脂製ボトル4への接触面積が小さいことで電子線殺菌装置の場合と同様に有効である。また、安定的に保持できることで樹脂製ボトル4を搬送するように構成したその他のボトル処理装置にも適用可能である。
前記実施例では、各グリップ部材10A、10Bの保持部10Ab、10Bbの前方側と後方側にそれぞれ上下一対の突出部22Aa、22Ab、22Ac、22Ad、22Ba、22Bb、22Bc、22Bdを形成して、各グリップ部材10A、10Bがそれぞれ樹脂製ボトル4を4点で支持するようにしたが、必ずしも4点で支持するものに限定されるものではなく突出部22の数を変更することもできる。図7および図8は、各グリップ部材10B(他方は図示を省略)の突出部22(22Ba、22Bb、22Bc)の数をそれぞれ3個とした例を示すものである。この実施例では、前方側の突出部を上下2個(22Ba、22Bb)とし、後方側の突出部は上部側の1個(22Bc)のみとしている。このように各グリップ部材10A、10Bが樹脂製ボトル4を3点で支持するようにした場合でも、前記実施例のグリッパ2と同様に確実に樹脂製ボトル4を保持することができるとともに、グリップ部材10A、10Bと樹脂製ボトル4との接触面積を、前記実施例の場合よりも小さくすることができ、さらに効果的に電子線を照射して樹脂製ボトル4を殺菌することができる。なお、この実施例では、突出部22の数が前記第1実施例と異なるだけで、その他の構成は同一なので、同一の部分には同一の符号を付してその説明を省略している。
グリッパの正面図である(実施例1) グリッパの側面図である。 前記グリッパのグリップ部を示す平面図である。 図1の要部の拡大図である。 図2の要部の拡大図である。 前記グリッパを電子線殺菌装置に使用した場合の一例を示す平面図である。 グリッパの側面図である(実施例2) 図7の要部の拡大図である。
符号の説明
2 グリッパ
4 樹脂製ボトル
4a ネック部
4c フランジ
10A グリップ部材
10B グリップ部材
12A 開閉部材(板ばね)
12B 開閉部材(板ばね)
26Aa 小突起(突起)
26Ab 小突起(突起)
26Ac 小突起(突起)
26Ba 小突起(突起)
26Bb 小突起(突起)
26Bc 小突起(突起)

Claims (1)

  1. フランジを有する樹脂製ボトルのネック部を両側から挟んで保持し、放射媒体照射手段の照射部へ搬送するグリッパにおいて、
    前記ネック部の両側に配置される一対の開閉部材と、各開閉部材にそれぞれ設けられ、前記ネック部外周のフランジよりも下方側を保持するグリップ部材とを備え、
    前記両グリップ部材の上面に、前記フランジの下面に当接する突起を形成し、前記グリップ部材の上面と前記フランジの下面との間に放射媒体が通過可能な隙間を設けるとともに、前記グリップ部材に、照射された放射媒体がボトルのネック部側に通過可能な開口部を形成したことを特徴とするグリッパ。
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