JP5186209B2 - テロメラーゼ高親和性t細胞受容体 - Google Patents

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Description

本発明は、ILAKFLHWL-HLA-A*0201への結合特性を有し、かつ少なくとも1つのTCRα鎖可変ドメイン及び/又は少なくとも1つのTCRβ鎖可変ドメインを含むT細胞受容体(TCR)に関し、該TCRは、該ILAKFLHWL-HLA-A*0201複合体についてのKDが1μM以下であり、及び/又はILAKFLHWL-HLA-A*0201複合体についての解離速度(off-rate) (koff)が1×10-3 S-1若しくはそれより遅いことを特徴とする。
発明の背景
ILAKFLHWLペプチドは、テロメラーゼタンパク質の触媒サブユニットに由来する(Meyersonら, (1997) Cell 90: 785〜795及びNakamuraら, (1997) Science 277: 955〜9を参照)。これらの研究は、データベース配列からのテロメラーゼ触媒サブユニットのDNA及びそこから導かれるアミノ酸配列のほぼ同時の発見を記載している。これらの研究は共に、テロメラーゼ触媒サブユニット活性がヒトの癌と関連することに注目している。これらの癌性細胞のクラスI HLA分子は、このタンパク質からのILAKFLHWLを含むペプチドを提示する。よって、ILAKFLHWL-HLA-A2複合体は、例えば癌細胞に細胞毒性剤を送達する目的のために、本発明のTCRが標的できる癌マーカーを提供する。しかし、この目的のためには、TCRが、該複合体に特異的な天然型(native) TCRよりも、より高い親和性及び/又はより遅い解離速度をペプチド-HLA複合体について有することが望ましい。
発明の簡単な説明
本発明は、ILAKFLHWL-HLA-A*0201複合体について1μM以下の高い相互作用の親和性(KD)及び/又は1×10-3 S-1又はそれより遅い、より遅い解離速度(koff)を有するTCRをはじめて利用可能とする。このようなTCRは、該複合体を提示する癌細胞の標的のために、単独で又は治療剤と併用して、有用である。
発明の詳細な説明
本発明は、ILAKFLHWL-HLA-A*0201複合体についてのKDが1μMに等しいか又はそれより低く、及び/又はILAKFLHWL-HLA-A*0201複合体についての解離速度(koff)が1×10-3 S-1又はそれより遅いことを特徴とする、ILAKFLHWL-HLA-A*0201への結合特性を有しかつ少なくとも1つのTCRα鎖可変ドメイン及び/又は少なくとも1つのTCRβ鎖可変ドメインを含むT細胞受容体(TCR)を提供する。KD及び/又は(koff)の測定は、いずれの適切な方法により行うことができる。好ましい実施形態において、これらの測定は、実施例5の表面プラズモン共鳴法(Biacore)を用いて行われる。
比較のために、天然型ILA TCR (TCRα鎖について配列番号9、及びTCRβ鎖について配列番号10を参照されたい)のジスルフィド連結された可溶性変異形とILAKFLHWL-HLA-A*0201複合体との天然型の相互作用は、実施例5のBiacoreに基づく方法で測定して、約25μMのKD、1.1×10-1 S-1の解離速度(koff)、及び0.18分の半減期を有する。
天然型ILA TCRは、次のVα鎖及びVβ鎖遺伝子使用(usage)を有する。
α鎖- TRAV22
β鎖: - TRBV 6.5
ILA TCRは、本発明のTCRとILAKFLHWL-HLA-A*0201複合体との間の相互作用についての高い親和性及び/又は遅い解離速度を発生させる種々の変異を導入できる鋳型として用いることができる。本発明のさらなる実施形態は、天然型ILA TCRα鎖可変ドメイン(図1a及び配列番号1を参照)及び/又はβ鎖可変ドメイン(図1b及び配列番号2参照)に比べて、少なくとも1つのその相補性決定領域(CDR)及び/又は可変ドメイン枠組み構造領域において変異されたTCRを含む。本発明のTCRの可変ドメインのその他の超可変領域、例えば超可変領域4 (HV4)を、高親和性変異体を産生するために変異させることも想定される。
天然型TCRは、ヘテロダイマーαβ又はγδの形で存在する。しかし、単一のTCRα又はTCRβ鎖からなる組換えTCRは、ペプチドMHC分子に結合することが以前に示されている。用語TCRのより通常の用法はα鎖とβ鎖とのヘテロダイマー、又はα部分とβ部分、特にα可変領域とβ可変領域とを含む単鎖構築物に関係するにもかかわらず、本発明の生成物がTCRα鎖又はTCRβ鎖のみを含む場合、該生成物は本発明の目的のためのTCRとして取り扱われる。
ある実施形態において、本発明のTCRは、α鎖可変ドメインとTCRβ鎖可変ドメインとの両方を含む。
当業者には明らかなように、TCRα鎖配列及び/又はTCRβ鎖配列における変異は、1又は複数の置換、欠失又は挿入である。これらの変異は、限定されないが、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、制限酵素に基づくクローニング、又はライゲーション非依存性クローニング(LIC)の手順に基づく方法を含む、いずれの適切な方法を用いて行うことができる。これらの方法は、多くの標準的な分子生物学の参考書に詳述されている。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)突然変異誘発及び制限酵素に基づくクローニングのさらなる詳細については、(Sambrook & Russell, (2001) Molecular Cloning - A Laboratory Manual (第3版) CSHL Press)を参照されたい。LICの手順についてのさらなる情報は、(Rashtchian, (1995) Curr Opin Biotechnol 6 (1): 30〜6)において見出される。
ILA TCRのものに類似のVα及びVβ遺伝子使用及びアミノ酸配列を含むいずれのαβTCRは、簡便な鋳型TCRを作製できることに注目すべきである。よって、鋳型αβTCRの可変ドメインの1つ又は両方をコードするDNAに、本発明の高親和性変異TCRを得るために必要な変更を導入することができる。当業者には明らかなように、必要な変異は、いくつかの方法、例えば部位特異的突然変異誘発により導入できる。
本発明のTCRは、以下に列挙するものに相当するTCRα鎖可変ドメインアミノ酸の1又は複数が、図1a及び配列番号1における天然型ILA TCRα鎖可変ドメインについての配列でのこれらの位置にあるアミノ酸に比べて変異されているものを含む。
逆の記載がない限りは、本明細書におけるTCRアミノ酸配列は、通常、N-末端メチオニン(Met又はM)残基を含まずに与えられる。当業者に理解されるように、この残基は、組換えタンパク質の作製の間にしばしば付加される。当業者には明らかなように、そのC-末端及び/又はN-末端の配列の1、2、3、4、5又はそれより多い残基を、TCRのpMHC結合特性に実質的に影響を与えることなく切断することができ、このような自明な変異形の全てが、本発明に包含される。
本明細書において用いられるように、用語「可変ドメイン」は、TCRα鎖についてはTRAC遺伝子、及びTCRβ鎖についてはTRBC1又はTRBC2のいずれかによりコードされる、定常ドメインに含まれない、所定の(given) TCRの全てのアミノ酸を包含すると理解される(T cell receptor Factsbook, (2001) LeFranc and LeFranc, Academic Press, ISBN 0-12-441352-8)。
本発明の実施形態は、94S、95G、96T、97Y及び98Kに相当するα鎖可変ドメインアミノ酸の1又は複数の変異、例えばアミノ酸:
94A/Q/T/G/R/M/H/K//E/N又はL
95L/P/I/V又はM
96P又はM
97F
98G又はA
を含む変異TCRを含む。
上記の番号は、図1a及び配列番号1に示すものと同じである。
本発明の実施形態は、図1b及び配列番号2における天然型ILA TCRβ鎖の天然型ILA TCRα鎖可変ドメインについての配列におけるこれらの位置で発生するアミノ酸に比較して、以下に列挙するものに相当するTCRβ鎖可変ドメインアミノ酸の1又は複数の変異を含むTCRも含む。変異されてもよいアミノ酸は19M、50V、51G、52A、53G、54I、92A、93S、94S及び95Yであり、例えば:
19V
50I/L又はR
51H/C又はW
52P/W/E又はV
53E/S又はF
54Y/V/C/E又はD
92G
93I/L/又はV
94Q
95P
である。上記の番号は、図1b及び配列番号2に示すものと同じである。
本発明の好ましい実施形態は、図6又は13に示す変異α鎖可変ドメインアミノ酸配列(配列番号11〜22又は50〜60)の1つを含むTCRにより与えられる。このようなTCRの表現型サイレント変異形(phenotypically silent variants)も本発明の一部分をなす。
本発明のさらなる好ましい実施形態は、図7又は14に示す変異β鎖可変ドメインアミノ酸配列(配列番号23〜31又は61〜70)の1つを含むTCRにより与えられる。このようなTCRの表現型サイレント変異形も本発明の一部分をなす。
天然型TCRは、ヘテロダイマーαβ又はγδの形で存在する。しかし、αα又はββホモダイマーからなる組換えTCRがペプチドMHC分子に結合することが、以前に示されている。よって、本発明のある実施形態は、TCRαα又はTCRββホモダイマーにより与えられる。
さらに好ましい実施形態は、以下に列挙する、α鎖可変ドメインアミノ酸配列とβ鎖可変ドメインアミノ酸配列との組み合わせを含む本発明のTCRにより与えられ、そのようなTCRの表現型サイレント変異形も本発明の一部分をなす。
好ましい実施形態は:
配列番号11に示すα鎖可変ドメイン及び配列番号23に示すβ鎖可変ドメイン、又はそれらの表現型サイレント変異形
配列番号11に示すα鎖可変ドメイン及び配列番号64に示すβ鎖可変ドメイン、又はそれらの表現型サイレント変異形
配列番号11に示すα鎖可変ドメイン及び配列番号65に示すβ鎖可変ドメイン、又はそれらの表現型サイレント変異形
を含む本発明のTCRを提供する。
別の好ましい実施形態において、上記に詳述した可変ドメインの組み合わせを含む本発明のTCRは、図8a (配列番号32)に示すα鎖定常領域アミノ酸配列と、図8b及び8c (配列番号33及び34)に示すβ鎖アミノ酸定常領域配列の1つ、又はそれらの表現型サイレント変異形を含む。
本明細書において用いられるように、用語「表現型サイレント変異形」は、上記のILAKFLHWL(配列番号37)-HLA-A*0201複合体についてのKDが1μM以下であり、及び/又は解離速度(koff)が1×10-3 S-1又はそれより遅いTCRのことをいうと理解される。例えば、当業者により理解されるように、ILAKFLHWL-HLA-A*0201複合体との相互作用についての親和性及び/又は解離速度を変更することなく、上記で詳述したものに比較して定常及び/又は可変ドメインにおいて変更を組み込んだTCRを作製することができる。このような自明な変異体は、本発明の範囲内である。1又は複数の保存的置換が行われたこれらのTCRも、本発明の一部分をなす。
適切なscTCR形は、TCRα鎖可変ドメインに相当するアミノ酸配列により構成される第一セグメントと、TCRβ鎖定常ドメイン細胞外配列に相当するアミノ酸配列のN-末端に融合したTCRβ鎖可変ドメイン配列に相当するアミノ酸配列により構成される第二セグメントと、第一セグメントのC-末端を第二セグメントのN-末端に連結するリンカー配列とを含む。
あるいは、第一セグメントは、TCRβ鎖可変ドメインに相当するアミノ酸配列により構成されることができ、第二セグメントは、TCRα鎖定常ドメイン細胞外配列に相当するアミノ酸配列のN-末端に融合したTCRα鎖可変ドメイン配列に相当するアミノ酸により構成されることができる。
上記のscTCRは、第一鎖と第二鎖との間にジスルフィド結合をさらに含むことができ、該ジスルフィド結合は、天然型αβT細胞受容体において等価物を有さず、リンカー配列の長さとジスルフィド結合の位置は、第一セグメント及び第二セグメントの可変ドメイン配列が、天然型αβT細胞受容体中と実質的に同様に互いに配向するようなものである。
より具体的には、第一セグメントは、TCRα鎖定常ドメイン細胞外配列に相当するアミノ酸配列のN-末端に融合したTCRα鎖可変ドメイン配列に相当するアミノ酸配列により構成されることができ、第二セグメントは、TCRβ鎖定常ドメイン細胞外配列に相当するアミノ酸配列のN-末端に融合したTCRβ鎖可変ドメインに相当するアミノ酸配列により構成されることができ、天然型αβT細胞受容体中に等価物を有さないジスルフィド結合は、第一鎖と第二鎖との間に存在することができる。
上記のscTCR形において、リンカー配列は、第一セグメントのC-末端を第二セグメントのN-末端に連結でき、式-PGGG-(SGGGG)n-P- (式中、nは5又は6であり、Pはプロリンであり、Gはグリシンであり、Sはセリンである)を有し得る。
-PGGG-SGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGG-P (配列番号35)
-PGGG-SGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGG-P (配列番号36)
本発明のTCRの適切なdTCR形は、TCRα鎖可変ドメイン配列に相当する配列がTCRα鎖定常ドメイン細胞外配列に相当する配列のN-末端に融合した第一ポリペプチドと、TCRβ鎖可変ドメイン配列がTCRβ鎖定常ドメイン細胞外配列に相当する配列のN-末端に融合した第二ポリペプチドとを含み、第一ポリペプチド及び第二ポリペプチドが、天然型αβT細胞受容体中に等価物を有さないジスルフィド結合により連結されている。
第一ポリペプチドは、TCRα鎖定常ドメイン細胞外配列に相当する配列のN-末端に融合したTCRα鎖可変ドメイン配列、及びTCRβ鎖可変ドメイン配列に相当する配列がTCRβ鎖定常ドメイン細胞外配列に相当する配列のN-末端に融合した第二ポリペプチドを含むことができ、第一ポリペプチドと第二ポリペプチドは、TRAC*01のエキソン1のThr 48から置換されたシステイン残基と、TRBC1*01若しくはTRBC2*01のエキソン1又はその非ヒト等価物のSer 57から置換されたシステイン残基との間のジスルフィド結合により連結されている(本明細書における「TRAC」などの命名は、T cell receptor Factsbook, (2001) LeFranc and LeFranc, Academic Press, ISBN 0-12-441352〜8による)。
本発明のTCRのdTCR又はscTCRの形は、ヒトαβTCR細胞外定常及び可変ドメイン配列に相当するアミノ酸配列を含むことができ、天然型TCR中に等価物を有さないジスルフィド結合は、該定常ドメイン配列のアミノ酸残基を連結してよい。ジスルフィド結合は、β炭素原子が天然型TCR中で0.6 nm未満離れているアミノ酸残基同士に相当するシステイン残基の間、例えばTRAC*01のエキソン1のThr 48から置換されたシステイン残基と、TRBC1*01若しくはTRBC2*01のエキソン1又はその非ヒト等価物のSer 57から置換されたシステイン残基との間にある。ジスルフィド結合を形成するためのシステイン残基を導入できるその他の部位は、TCRα鎖についてはTRAC*01、TCRβ鎖についてはTRBC1*01又はTRBC2*01のエキソン1の中の次の残基である。
上記の非天然型ジスルフィド結合の他に、本発明のTCRのdTCR又はscTCRの形は、天然型TCR中でジスルフィド結合により連結されるものに相当する残基間のジスルフィド結合を含み得る。
本発明のTCRのdTCR又はscTCRの形は、天然型TCRの膜貫通配列又は細胞質配列に相当する配列を含まないのが好ましい。
本発明の好ましい実施形態は、
配列番号71のα鎖アミノ酸配列と配列番号73のβ鎖アミノ酸配列;
配列番号71のα鎖アミノ酸配列と配列番号76のβ鎖アミノ酸配列;
配列番号71のα鎖アミノ酸配列と配列番号74のβ鎖アミノ酸配列;
配列番号71のα鎖アミノ酸配列と配列番号77のβ鎖アミノ酸配列;
配列番号71のα鎖アミノ酸配列と配列番号75のβ鎖アミノ酸配列;
配列番号71のα鎖アミノ酸配列と配列番号78のβ鎖アミノ酸配列;
からなる可溶性TCRを提供する。
配列番号71及び73〜78は、N-末端メチオニン(M)を含む形で提供される。
PEG化TCRモノマー
ある特定の実施形態において、本発明のTCRは、少なくとも1つのポリアルキレングリコール鎖と結合する。この結合は、当業者に知られるいくつかの方法で行うことができる。好ましい実施形態において、ポリアルキレン鎖は、TCRに共有的に連結する。さらなる実施例において、本発明のこの態様のポリエチレングリコール鎖は、少なくとも2つのポリエチレン反復単位を含む。
多価TCR複合体
本発明のある態様は、少なくとも2つの本発明のTCRを含む多価TCR複合体を提供する。この態様のある実施形態において、少なくとも2つのTCR分子は、リンカー部分を介して連結され、多価複合体を形成する。好ましくは、該複合体は水溶性であり、そうであればそれに応じてリンカー部分を選択すべきである。さらに、リンカー部分がTCR分子の規定される位置に付着できることが好ましく、それにより、形成される複合体の構造多様性が最小限にされる。本発明の態様のある実施形態は、ポリマー鎖又はペプチドリンカーの配列が、TCRの可変領域の配列内に位置しないそれぞれのTCRのアミノ酸残基間に伸びている本発明のTCR複合体により提供される。
本発明の複合体は薬剤用であり得るので、リンカー部分は、それらの医薬的適合性、例えばそれらの免疫原性に応じて選択されるべきである。
上記の所望の要件を満たすリンカー部分の例は、当該技術、例えば抗体フラグメントの連結技術において知られている。
本発明の多価TCR分子の作製に好ましく用いられるリンカーの2つのクラスが存在する。TCR同士がポリアルキレングリコール鎖により連結されている本発明のTCR複合体は、本発明の態様のある実施形態を提供する。
第一は、親水性ポリマー、例えばポリアルキレングリコールである。このクラスの最も一般的に用いられるものは、ポリエチレングリコール又はPEGをベースとし、その構造は次に示すとおりである。
HOCH2CH2O (CH2CH2O)n-CH2CH2OH
ここで、nは2より大きい。しかし、その他のものは、ポリプロピレングリコール及びエチレングリコールとプロピレングリコールとのコポリマーを含む、その他の適切な任意に置換されていてもよいポリアルキレングリコールに基づく。
このようなポリマーは、治療剤、特にポリペプチド又はタンパク質治療剤を処理又は接合(conjugate)して、治療剤のPKプロフィールに有利な変化、例えば腎クリアランスの低減、血漿半減期の改善、免疫原性の低減、及び溶解性の改善を達成するために用いることができる。PEG-治療剤コンジュゲートのPKプロフィールにおけるこのような改善は、PEG分子が治療剤の周囲に「殻」を形成して、これが免疫系との反応を立体的に妨げてタンパク質分解を低減することに起因すると考えられる(Caseyら, (2000) Tumor Targetting 4 235〜244)。用いられる親水性ポリマーのサイズは、特に、TCR複合体の意図する療法に基づいて選択することができる。よって、例えば腫瘍の治療において用いるために、例えば、物質が血流を離れて組織に浸透することを意図する場合、5 KDa程度の低分子量のポリマーを用いることが有利であると考えられる。医薬製剤におけるPEG及び類似の分子の使用について詳述する多くの参考文献及び書籍が存在する。例えば、Harris (1992) Polyethylene Glycol Chemistry - Biotechnical and Biomedical Applications, Plenum, New York, NY. 又はHarris & Zalipsky (1997) Chemistry and Biological Applications of Polyethylene Glycol ACS Books, Washington, D.C.を参照されたい。
用いられるポリマーは、直鎖状又は分枝鎖状のコンホメーションを有し得る。分枝状PEG分子又はその誘導体は、グリセロール及びグリセロールオリゴマー、ペンタエリスリトール、ソルビトール並びにリジンを含む分枝部分を付加することにより誘導できる。
通常、ポリマーは、その構造中に化学的反応性基を例えば一方若しくは両方の末端、及び/又は主鎖からの分枝鎖上に有することにより、ポリマーがTCR内の標的部位に連結することを可能にする。この化学的反応性基は、親水性ポリマーに直接結合できるか、又は次に示すように、親水性ポリマーと反応性化学物質(chemistry)との間にスペーサー基/部分が存在できる。
反応性化学物質−親水性ポリマー−反応性化学物質
反応性化学物質−スペーサー−親水性ポリマー−スペーサー−反応性化学物質
上記のような種類の構築物の形成に用いられるスペーサーは、非反応性で化学的に安定な鎖であるいずれの有機部分であり得る。このようなスペーサーは、限定されないが、次のものを含む。
-(CH2)n- (式中、n = 2〜5)
-(CH2)3NHCO(CH2)2
二価のアルキレンスペーサー基がポリアルキレングリコール鎖と複合体のTCRへのその結合点との間に位置する本発明のTCR複合体は、この態様のさらなる実施形態を提供する。
ポリアルキレングリコール鎖が少なくとも2つのポリエチレングリコール反復単位を含む本発明のTCR複合体は、この態様のさらなる実施形態を提供する。
本発明において用いることができる反応性化学物質に直接又はスペーサーを介して連結する親水性ポリマーの販売業者がいくつか存在する。これらの供給業者は、Nektar Therapeutics (CA, USA)、NOF Corporation (日本)、Sunbio (韓国)及びEnzon Pharmaceuticals (NJ, USA)を含む。
本発明において用いることができる反応性化学物質に直接又はスペーサーを介して連結する市販で入手可能な親水性ポリマーは、限定されないが、次のものを含む。
広い範囲のカップリング化学物質を用いて、ポリマー分子をタンパク質及びペプチド治療剤に結合させることができる。最も適切なカップリング化学物質の選択は、所望のカップリング部位に大きく依存する。例えば、次のカップリング化学物質を用いて、PEG分子の1又は複数の末端に結合させる(出典:Nektar Molecular Engineering Catalogue 2003)。
N-マレイミド
ビニルスルホン
ベンゾトリアゾールカーボネート
スクシンイミジルプロピオネート
スクシンイミジルブタノエート
チオエステル
アセトアルデヒド
アクリレート
ビオチン
第一級アミン
上記のように、非PEGベースのポリマーも、本発明のTCRを多量体化するための適切なリンカーを提供する。例えば、脂肪族鎖により連結したマレイミド末端を含有する部分、例えばBMH及びBMOE (Pierce, 製品番号22330及び22323)を用いることができる。
ペプチドリンカーは、TCRリンカーの別のクラスである。これらのリンカーは、アミノ酸の鎖からなり、単純なリンカー又はTCR分子が結合できる多量体化ドメイン(multimerisation domain)を作製するように機能する。ビオチン/ストレプトアビジン系は、インビトロ結合の研究のためのTCRテトラマーを作製するために、以前に用いられている(WO/99/60119を参照されたい)。しかし、ストレプトアビジンは微生物由来のポリペプチドであり、そのようなものは治療剤における使用には理想的には適さない。
TCR同士がヒト多量体化ドメイン由来のペプチドリンカーにより連結した本発明のTCR複合体は、この態様のさらなる実施形態を提供する。
多価TCR複合体の作製において用い得る多量体化ドメインを含むいくつかのヒトタンパク質が存在する。例えば、モノマーscFVフラグメントに比較して血清残存率が増大し、解離速度が大幅に低減されたscFv抗体フラグメントのテトラマーを作製するのに用いられるp53の四量体化ドメイン(Willudaら (2001) J. Biol. Chem. 276 (17) 14385〜14392)。ヘモグロビンも、この種の適用に用い得る可能性がある四量体化ドメインを有する。
少なくとも2つのTCRを含む本発明の多価TCR複合体は、この態様の最後の実施形態を提供し、ここで、該TCRの少なくとも1つは治療剤と結合している。
ある態様において、本発明のTCR (又はその多価複合体)は、そのα又はβ鎖のC-末端若しくはN-末端に反応性システインを代わりに又はさらに含む。
診断及び治療のための使用
ある態様において、本発明のTCRは、治療剤又は検出可能な部分(detectable moiety)と結合できる。例えば、上記の治療剤又は検出可能な部分は、TCRと共有的に連結できる。
本発明のある実施形態において、上記の治療剤又は検出可能な部分は、一方又は両方のTCR鎖のC-末端に共有的に連結する。
ある態様において、本発明のTCRのscTCR又は一方若しくは両方のdTCR鎖を検出可能な部分、例えば診断目的に適する標識で標識することができる。このような標識されたTCRは、TCRリガンドに特異的なTCR (又はマルチマー高親和性TCR複合体)とTCRリガンドを接触させ、TCRリガンドへの結合を検出することを含む、ILAKFLHWL-HLA-A*0201複合体を検出する方法において有用である。例えばビオチン化ヘテロダイマーを用いて形成されたテトラマーTCR複合体において、蛍光ストレプトアビジンを用いて、検出可能な標識を提供することができる。このような蛍光標識TCRテトラマーは、FACS分析において、例えばこれらの高親和性TCRが特異的であるILAKFLHWL-HLA-A*0201複合体を有する抗原提示細胞を検出するために用いるのに適する。
本発明の可溶性TCRを検出できる別の方法は、TCR特異的抗体、特にモノクローナル抗体を用いることによる。市販で入手可能な抗TCR抗体が多く存在し、例えばそれぞれα鎖及びβ鎖の定常ドメインを認識するαFl及びβFlである。
さらなる態様において、本発明のTCR (又はその多価複合体)は、例えば細胞の死滅に用いられる毒性物質であり得る治療剤、或いは免疫エフェクター分子、例えばインターロイキン又はサイトカインと、一方で(alternatively)又はさらに結合できる(例えば共有的に、又は連結できる)。本発明の多価TCR複合体は、非マルチマーの野生型又は本発明のT細胞受容体ヘテロダイマーに比べて、TCRリガンドへの結合能力が増強され得る。つまり、本発明による多価TCR複合体は、インビボ又はインビトロで特定の抗原を提示する細胞を追跡又は標的するのに特に有用であり、このように用いられるさらなる多価TCR複合体の製造のための中間体としても有用である。よって、これらのTCR又は多価TCR複合体は、インビボでの使用のための医薬的に許容される製剤として提供され得る。
本発明は、標的細胞に治療剤を送達する方法も提供し、該方法は、潜在性の標的細胞を本発明によるTCR又は多価TCR複合体と、TCR又は多価TCR複合体の該標的細胞への接着を可能にする条件下で接触させることを含み、該TCR又は多価TCR複合体は、ILAKFLHWL-HLA-A*0201複合体に特異的でありかつそれに結合した治療剤を有する。
具体的には、本発明の可溶性TCR又は多価TCR複合体は、特定の抗原を提示する細胞の位置に治療剤を送達するのに用いることができる。このことは、多くの状況、特に腫瘍に対して有用であろう。治療剤は、それが結合する細胞だけでなく、局所的にその効果を発揮するように送達され得る。つまり、ある具体的なストラテジは、腫瘍抗原に特異的な本発明のTCR又は多価TCR複合体に連結した抗腫瘍分子を構想する。
多くの治療剤をこの使用に用いることができ、例えば放射活性化合物、酵素(例えばパーフォリン)又は化学療法剤(例えばシスプラチン)である。所望の位置で毒性効果が発揮されることを確実にするために、ストレプトアビジンに連結したリポソームの内部にトキシンを存在させ、化合物をゆっくりと放出させることができる。このことは、体内での輸送の間の損傷効果を防止し、適切な抗原提示細胞にTCRが結合した後にトキシンが最大限の効果を有することを確実にする。
その他の適切な治療剤は:
・ 小分子細胞毒性作用剤、すなわち700ダルトン未満の分子量を有する哺乳動物細胞を死滅させる能力を有する化合物。このような化合物は、細胞毒性効果を有する毒性金属も含有できる。さらに、これらの小分子細胞毒性作用剤がプロドラッグ、すなわち生理条件下で崩壊(decay)又は変換されて細胞毒性作用剤を放出する化合物も含むことが理解されるべきである。このような作用剤の例は、シスプラチン、マイタンシン誘導体、ラチェルマイシン、カリチェアミシン、ドセタキセル、エトポシド、ゲムシタビン、イホスファミド、イリノテカン、メルファラン、ミトキサントロン、ソルフィマーソディウムフォトフリンII (sorfimer sodiumphotofrin II)、テモゾルミド、トポテカン、トリメトレートグルクロネート(trimetreate glucuronate)、オーリスタチンEビンクリスチン(auristatin E vincristine)及びドキソルビシンを含む;
・ ペプチドサイトトキシン、すなわち哺乳動物細胞を死滅させる能力を有するタンパク質又はそのフラグメント。限定されないが、リシン、ジフテリアトキシン、シュードモナス菌体外毒素A、DNAアーゼ及びRNAアーゼを含む;
・ 放射性核種、すなわちα若しくはβ素粒子又はγ線の1又は複数を同時に放出して崩壊する元素の不安定同位体。限定されないが、ヨウ素131、レニウム186、インジウム111、イットリウム90、ビスマス210及び213、アクチニウム225並びにアスタチン213を含む。これらの放射性核種の高親和性TCR又はそのマルチマーへの結合を促進するために、キレート化剤を用いることができる;
・ 限定されないが、抗体が指向する(antibody directed)酵素プロドラッグを含むプロドラッグ;
・ 免疫増強剤、すなわち免疫応答を促進する部分。限定されないが、サイトカイン、例えばIL-2及びIFN、超抗原及びその変異体、TCR-HLA融合体及びケモカイン、例えばIL-8、血小板因子4、黒色腫増殖促進タンパク質など、抗体又はそのフラグメント、補体アクチベーター、異種性タンパク質ドメイン、同種性タンパク質ドメイン、ウイルス/細菌のタンパク質ドメイン、ウイルス/細菌のペプチド、並びに抗T細胞決定因子抗体(例えば抗CD3抗体又は抗CD28抗体)。
本発明の可溶性TCR又は多価TCR複合体は、プロドラッグを薬剤に変換できる酵素と結合することができる。このことにより、所望される(すなわち、sTCRにより標的される)部位でのみプロドラッグをドラッグに変換することが可能になる。
本明細書において開示される高親和性ILAKFLHWL (配列番号37)-HLA-A*0201特異的TCRは、癌の診断及び治療方法において用いることができる。
癌の治療のために、腫瘍又は転移の近傍での局在化は、トキシン又は免疫増強剤の効果を増強する。ワクチンの送達のために、ワクチン抗原を抗原提示細胞の近傍に局在化させることができ、よって、抗原の有効性を増大させることができる。上記の方法は、撮像目的にも適用できる。
本発明のTCRを提示する単離された細胞は、ある実施形態を提供する。例えば、上記の細胞はT細胞であり得る。
本発明のさらなる実施形態は、本発明のTCR若しくは多価TCR複合体(治療剤と任意に結合した)、又は少なくとも1つの本発明のTCRを提示する複数の細胞を、医薬的に許容される担体と共に含む医薬組成物である。
本発明は、癌疾患に罹患している対象に、本発明のTCR若しくは多価TCR複合体(治療剤と任意に結合した)、又は少なくとも1つの本発明のTCRを提示する複数の細胞の有効量を投与することを含む、癌の治療方法も提供する。関連する実施形態において、本発明は、本発明のTCR若しくは多価TCR複合体(治療剤と任意に結合した)、又は少なくとも1つの本発明のTCRを提示する複数の細胞の、癌の治療用の組成物の製造における使用を提供する。
本発明による治療用又は撮像用TCRは、医薬的に許容される担体を通常は含有する滅菌された医薬組成物の一部分として、通常供給される。この医薬組成物は、いずれの適切な形(それを患者に投与する所望の方法による)であり得る。これは単位剤形で提供でき、一般に、密閉された容器で提供され、キットの一部分として提供できる。このようなキットは、通常(必要ではないが)、使用説明を含む。これは、上記の単位剤形を複数含み得る。
医薬組成物は、いずれの適切な経路、例えば非経口、経皮又は吸入、好ましくは非経口(皮下、筋肉内又は最も好ましくは静脈内を含む)の経路による投与用に適合させ得る。このような組成物は、製薬技術において公知のいずれの方法、例えば有効成分を滅菌条件下に担体又は賦形剤と混合することにより製造できる。
本発明の物質の投与量は、治療される疾患又は障害、治療される個体の年齢及び状態などに応じて、広い限界の間で変動することができ、用いるべき適切な投与量を医師が最終的に決定する。
さらなる態様
本発明のscTCR又はdTCR (ヒト配列に対応する定常配列及び可変配列で構成されるのが好ましい)は、実質的に純粋な形で、又は精製若しくは単離された調製物として提供できる。例えば、これは、その他のタンパク質を実質的に含まない形で提供できる。
本発明は、(i) 少なくとも1つのTCRα鎖可変ドメイン及び/又は少なくとも1つのTCRβ鎖可変ドメインを含み、かつ(ii) ILAKFLHWL-HLA-A*0201複合体についてのKDが1μM以下であり、及び/又はILAKFLHWL-HLA-A*0201複合体についての解離速度(koff)が1×10-3 S-1又はそれより遅いことを特徴とする、ILAKFLHWL-HLA-A*0201への結合特性を有する高親和性TCRを作製する方法も提供し、該方法は:
(a) ILA TCRのα及びβ鎖可変ドメインを含むTCRを作製し、ここでα及びβ鎖可変ドメインの一方又は両方は、請求項7及び8で同定される1又は複数のアミノ酸に変異を含み;
(b) 上記の変異TCRを、ILAKFLHWL-HLA-A*0201と、TCRのILAKFLHWL-HLA-A*0201への結合を可能にする適切な条件下で接触させ、
相互作用のKD及び/又はkoffを測定する
ことを含む。
本発明の各態様の好ましい特徴は、その他の態様のそれぞれについてと同様に、必要な変更が加えられる。本明細書に記載される従来技術文献は、法が許容する限りの最も広い範囲で組み込まれる。
実施例
本発明は、本発明の範囲をいかようにも限定しない以下の実施例においてさらに説明される。
添付の図面について以下に述べる。
図1a及び1bは、それぞれ、天然型ILA TCRのα鎖可変ドメインアミノ酸及びβ鎖可変ドメインアミノ酸の配列を示す。
図2a及び2bは、それぞれ、天然型ILA TCRのα鎖及びβ鎖の可溶性の種類のDNA配列を示す。
図3a及び3bは、それぞれ、図2a及び2bのDNA配列から産生されるILA TCRα鎖及びβ鎖細胞外アミノ酸配列を示す。
図4a及び4bは、それぞれ、非天然型ジスルフィド結合を形成するさらなるシステイン残基を含むように変異したILA TCRのα鎖及びβ鎖の可溶性の種類のDNA配列を示す。変異したコドンは、影をつけて示す。
図5a及び5bは、それぞれ、図4a及び4bのDNA配列から産生されるILA TCRα鎖及びβ鎖細胞外アミノ酸配列を示す。導入されたシステインは、影をつけて示す。
図6は、高親和性ILA TCR変異形のα鎖可変ドメインアミノ酸配列を示す。
図7は、高親和性ILA TCR変異形のβ鎖可変ドメインアミノ酸配列を示す。
図8aは、TRACの可溶性の形のアミノ酸配列を示す。
図8bは、TRBC1の可溶性の形のアミノ酸配列を示す。TRBC2におけるものと異なるアミノ酸を強調している。
図8cは、TRBC2の可溶性の形のアミノ酸配列を示す。TRBC1におけるものと異なるアミノ酸を強調している。
図9は、pEX954プラスミドのDNA配列を示す。
図10は、pEX821プラスミドのDNA配列を示す。
図11は、pEX202プラスミドのDNA配列を示す。
図12は、pEX205プラスミドのDNA配列を示す。
図13は、さらなる高親和性ILA TCR変異形のα鎖可変ドメインアミノ酸配列を示す。
図14は、さらなる高親和性ILA TCR変異形のβ鎖可変ドメインアミノ酸配列を示す。
図15aは、c13c1 ILA TCRのα鎖のアミノ酸配列を示す。
図15bは、ペプチドリンカーを介して野生型ヒトIL-2に融合したc13c1 ILA TCRのβ鎖のアミノ酸配列を示す。TCRに高いpMHC親和性を付与する変異に下線を付す。TCR定常ドメインに導入されたシステイン残基を強調し、リンカー及びIL-2配列をイタリックで示す。
図16は、ILAKFLHWLペプチドの一連の濃度を適用した(pulsed with) T2細胞のFAC染色を示す。
図17は、ILAKFLHWL-産生ユビキチンミニ遺伝子(±プロテオソーム阻害剤)でトランスフェクションしたJ82細胞のFAC染色を示す。
図18は、可溶性高親和性c13c1 ILA TCR-IL-2融合タンパク質による、ILA-1 T細胞クローンが媒介する、ILAKFLHWL-産生ユビキチンミニ遺伝子でトランスフェクションしたJ82細胞の死滅(killing)の阻害を示す。
図19は、可溶性高親和性c13c1 ILA TCR-IL-2融合タンパク質による、ペプチド適用LNCaP及びMCF-7標的細胞に対するT細胞活性化の阻害を示すELISPOTデータを示す。
図20aは、高親和性ILA TCR c13c1のβ鎖のTRBC2形を示す。(配列番号73) TRBC1のものと異なるアミノ酸を強調する。
図20bは、高親和性ILA TCR c13c1のβ鎖のTRBC2形を示す。(配列番号74) TRBC1のものと異なるアミノ酸を強調する。
図20cは、高親和性ILA TCR c13c1のβ鎖のTRBC2形を示す。(配列番号75) TRBC1のものと異なるアミノ酸を強調する。
図21aは、高親和性ILA TCR c13c1のβ鎖のTRBC1形を示す。(配列番号76) TRBC2のものと異なるアミノ酸を強調する。
図21bは、高親和性ILA TCR c13c1のβ鎖のTRBC1形を示す。(配列番号77) TRBC2のものと異なるアミノ酸を強調する。
図21cは、高親和性ILA TCR c13c1のβ鎖のTRBC1形を示す。(配列番号78) TRBC2のものと異なるアミノ酸を強調する。
実施例1−天然型ILA TCR可変ドメインを含む可溶性ジスルフィド連結TCRの作製
RNA単離
全RNAを、10000のクローン性T細胞から、100μlのTRI Reagent (Sigma)に再懸濁し、溶解物を製造業者の使用説明に従って処理することにより単離した。最後の沈殿の後に、RNAを12.5μlのRNアーゼフリーの水に再溶解した。
cDNA作製
上記のRNAのサンプルに、2.5μlの10 mM オリゴ-dT15 (Promega)を加え、サンプルを60℃で2分間インキュベートし、次いで氷上に置いた。OmniscriptRTキット(Qiagen)を用いて、2μlのRTバッファー(10×)、2μlの5 mM dNTP、1μlのOmniscript逆転写酵素を加えることにより逆転写を行った。サンプルを混合し、37℃で1時間インキュベートした。次いで、cDNAを-80℃で貯蔵した。
上記のcDNAを鋳型として用いた。全ての可能なα及びβの可変鎖をカバーするフォワードプライマーの一群を用いてスクリーニングし、α及びβ鎖の遺伝子をPCRにより増幅した。TCR鎖遺伝子増幅用のプライマー配列は、NCBIウェブサイト(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/Entrez/)から、T cell receptor Factsbook, (2001) LeFranc and LeFranc, Academic Press, ISBN 0-12-441352-8から得られたアクセッション番号を用いて設計した。α鎖フォワードプライマーはClaI制限部位を含むように、及びユニバーサルα鎖リバースプライマーはSalI制限部位を含むように設計した。β鎖フォワードプライマーはAseI制限部位を含むように、及びユニバーサルβリバースプライマーは、AgeI制限部位を含むように設計した。
TCR遺伝子フラグメントのための受容ベクターは、pGMT7親プラスミドをベースとしたが、これは大腸菌BL21-DE3(pLysS)株における高レベル発現のためのT7プロモーターを含む(Panら, Biotechniques (2000) 29 (6): 1234〜8)。
α鎖精製PCR産物をClaI及びSalIIで消化し、ClaI 及びXhoIで切断したpEX954 (図9を参照)にライゲーションした。
β鎖精製PCR産物をAseI及びAgeIで消化し、NdeI/AgeIで切断したpEX821 (図10を参照)にライゲーションした。
ライゲーション
切断したPCR産物及び切断したベクターは、製造業者の使用説明に従ってRapid DNA Ligationキット(Roche)を用いてライゲーションした。
ライゲーションしたプラスミドを、コンピテント大腸菌XL1-blue株の細胞に形質転換し、100mg/mlアンピシリン含有LB/アガープレートに播種した。37℃で一晩インキュベーションした後に、単独のコロニーを採取し、100mg/mlアンピシリン含有10 ml LB中で振とうしながら37℃で一晩増殖させた。クローン化されたプラスミドを、Miniprepキット(Qiagen)を用いて精製し、挿入断片を、自動DNAシーケンサー(Lark Technologies)を用いて配列決定した。
図4a及び4bは、それぞれ、非天然ジスルフィド結合を形成するためのさらなるシステインを含むように変異されたILA TCRα及びβ鎖の可溶性の種類のDNA配列を示す。
図5a及び5bは、それぞれ、図4a及び4bのDNA配列から産生されるILA TCRα及びβ鎖細胞外アミノ酸配列を示す。
実施例2−可溶性ジスルフィド連結ILA TCRの高親和性変異形の作製
実施例1で記載されるようにして作製した可溶性ジスルフィド連結天然型ILA TCRは、ILAKFLHWL (配列番号35) -HLA-A*0201複合体に対する親和性が増大した本発明のTCRを産生するための鋳型として用いることができる。
ILAKFLHWL-HLA-A*0201複合体についての高い親和性を示す、変異されたTCRα及びβ鎖可変ドメインのアミノ酸配列は、それぞれ図6及び7に示す(それぞれ配列番号11〜22及び23〜31)。当業者に知られるように、これらの変異鎖の作製に要求される必要なコドンの変更は、これらの鎖をコードするDNAに、部位特異的突然変異誘発により導入できる(StratageneからのQuickChange (商標) Site-Directed Mutagenesis Kit)。
簡単に、このことは、所望のコドン変更を組み込むプライマーと、突然変異誘発の鋳型として適切なTCR鎖を含有するプラスミドとを用いることにより達成される。
突然変異誘発は、次の条件下で行った。全容量50μl中に、50ngのプラスミド鋳型、1μlの10mM dNTP、5μlの製造業者により供給された10×Pfu DNAポリメラーゼバッファー、25 pmolのfwdプライマー、25 pmolのrevプライマー、1μlのpfu DNAポリメラーゼ。95℃で2分間の最初の変性工程の後に、反応を、変性(95℃、10秒)、アニーリング(55℃、10秒)及び伸長(72℃、8分)の25サイクルに供した。得られた生成物をDpnI制限酵素で消化して、鋳型プラスミドを除き、大腸菌XL1-blue株に形質転換した。突然変異誘発は、配列決定により確認した。
実施例3−可溶性の「つなぎとめられた(zippered)」高親和性TCRの作製
α鎖−c-junロイシンジッパー
構築物は、PCRステッチング(stitching)により作製した。
遺伝子の5'端について、高親和性TCRα鎖をコードしかつ導入される鎖間ジスルフィドブリッジのコードを含有するプラスミドを、鋳型として用いた。以下の2つのプライマー対を用いたPCRにより、所望の可変ドメインが得られた。
5'-TRAV21 fwd tctctcattaatgGGAATACAAGTGGAGCAGAGTCCT
(配列番号38)
C-alpha rev CGGCAGGGTCAGGGTTCTGG
(配列番号39)
遺伝子の3'端について、ヒトc-junロイシンジッパードメインに融合した野生型親和性TCRα鎖をコードし、導入される鎖間ジスルフィドブリッジのコードを含有しないプラスミドpEX202 (図11を参照)を、鋳型として用いた。以下のプライマー対を用いたPCRにより、所望の定常ドメインが得られた。
C-alpha fwd CCAGAACCCTGACCCTGCCG
(配列番号40)
3'-alpha rev aagcttcccgggggaactttctgggctggg
(配列番号41)
2つの産物を混合し、1000倍に希釈し、1μlを鋳型として5'-TRAV21 fwd及び3'-alpha revプライマーを用いる50μlのPCRで用いた。
得られたPCR産物を、制限酵素AseI及びXmaIを用いて消化して、NdeI及びXmaIで切断したpEX202にライゲーションした。
PCRを、次の条件下で行った。全容量50μl中に、50 pg プラスミド鋳型、1μlの10 mM dNTP、5μlの製造業者により供給される10×Pfu DNAポリメラーゼバッファー、25 pmolのfwdプライマー、25 pmolのrevプライマー、1μlのPfu DNAポリメラーゼ。95℃で2分間の最初の変性工程の後に、反応を、変性(95℃、10秒)、アニーリング(55℃、10秒)及び伸長(72℃、2分)の30サイクルに供した。
β鎖−c-fosロイシンジッパー
構築物は、PCRステッチングにより作製した。
遺伝子の5'端について、高親和性TCRβ鎖をコードしかつ導入される鎖間ジスルフィドブリッジを含有するプラスミドを鋳型として用いた。次の2つのプライマーを用いるPCRにより、所望の可変ドメイン遺伝子フラグメントを得た。
TRBV6-5 fwd tctctcattaatgaatgctggtgtcactcagacccc
(配列番号42)
C-beta rev CTTCTGATGGCTCAAACACAGC
(配列番号43)
遺伝子の3'端について、ヒトc-fosロイシンジッパードメインに融合した野生型親和性TCRβ鎖をコードし、導入される鎖間ジスルフィドブリッジのコードを含有しないプラスミドpEX205 (図12を参照)を鋳型として用いた。次の2つのプライマーを用いるPCRにより、所望の定常ドメイン遺伝子フラグメントを得た。
C-beta fwd GCTGTGTTTGAGCCATCAGAAG
(配列番号44)
TRBC rev aagcttcccggggtctgctctaccccaggc
(配列番号45)
2つの産物を混合し、1000倍に希釈し、1μlを鋳型として、TRBV6-5 fwd及びTRBC revプライマーを用いる50μlのPCRで用いた。PCRは、上記のようにして行った。
得られたPCR産物を、制限酵素AseI及びXmaIを用いて消化し、NdeI及びXmaIで切断したpEX205 (図12)にライゲーションした。
実施例4−可溶性TCRの発現、リフォールディング及び精製
実施例1、2又は3のようにして作製した変異α鎖及びβ鎖をそれぞれ含む発現プラスミドを、大腸菌BL21pLysS株に別々に形質転換し、単独アンピシリン耐性コロニーを37℃にてTYP (アンピシリン100μg/ml)培地で0.4のOD600まで増殖させ、その後、0.5mM IPTGを用いてタンパク質の発現を誘導した。誘導の3時間後に、Beckman J-6B中で、4000rpmにて30分間の遠心分離により細胞を回収した。細胞ペレットを、50mM Tris-HCl、25% (w/v)スクロース、1mM NaEDTA、0.1% (w/v) アジ化Na、10mM DTT、pH 8.0を含有するバッファーに再懸濁した。一晩の凍結−融解工程の後に、再懸濁した細胞を、標準的な直径12mmのプローブを用いるMilsonix XL2020超音波破砕機で合計約10分間、1分間のバーストにて超音波破砕した。インクルージョンボディのペレットを、Beckman J2-21遠心分離機で13000rpmにて30分間の遠心分離により回収した。3回の洗浄剤での洗浄を行って細胞破片及び膜成分を除去した。各回においてインクルージョンボディのペレットをTritonバッファー(50mM Tris-HCl、0.5% Triton-X100、200mM NaCl、10mM NaEDTA、0.1% (w/v) アジ化Na、2mM DTT、pH 8.0)中でホモジナイズし、その後、Beckman J2-21で13000rpmにて15分間の遠心分離によりペレット化した。洗浄剤及び塩を、次のバッファー中での同様の洗浄により除去した:50mM Tris-HCl、1mM NaEDTA、0.1% (w/v) アジ化Na、2mM DTT、pH 8.0。最後に、インクルージョンボディを30 mgの一定量に分配し、-70℃で凍結した。インクルージョンボディタンパク質収率は、6M グアニジン-HClでの可溶化及びBradford 色素結合アッセイ(PerBio)での測定により定量した。
約30mgのTCRβ鎖及び60mgのTCRα鎖可溶化インクルージョンボディを、凍結ストックから融解し、次いで、サンプルを混合し、混合物を15mlのグアニジン溶液中(6 Mグアニジン塩酸塩、10mM酢酸ナトリウム、10mM EDTA)に希釈して、確実に鎖を変性させた。完全に還元され、変性したTCR鎖を含有するグアニジン溶液を、次のリフォールディングバッファー1L中に注入した:100mM Tris pH 8.5、400mM L-アルギニン、2mM EDTA、5mM還元型グルタチオン、0.5mM酸化型グルタチオン、5M尿素、0.2mM PMSF。酸化還元対(2-メルカプトエチルアミン及びシスタミン(それぞれ最終濃度6.6mM及び3.7mMまで))を加え、約5分後に変性TCR鎖を加えた。溶液を5時間±15分間放置した。リフォールディングしたTCRを、Spectrapor 1メンブレン(Spectrum; 製品番号132670)中に、10 Lの10 mM Tris pH 8.1に対して、5℃±3℃にて18〜20時間透析した。この時間の後に、透析バッファーを新鮮な10 mM Tris pH 8.1 (10 L)に変え、透析を5℃±3℃にてさらに20〜22時間継続した。
sTCRを、分解産物及び不純物から、透析したリフォールディング物質をPOROS 50HQアニオン交換カラムにロードし、結合したタンパク質を、Akta Purifier (Pharmacia)を用いて50カラム容量の0〜500mM NaClのグラジエントで溶出した。ピークフラクションを4℃にて貯蔵し、クーマシー染色SDS-PAGEで分析し、その後、プールして濃縮した。最後に、sTCRを精製して、HBS-EPバッファー(10 mM HEPES pH 7.4、150 mM NaCl、3.5 mM EDTA、0.05% Nonidet p40)で予め平衡化したSuperdex 200HRゲルろ過カラムを用いて特性決定した。約50 kDaの相対分子量で溶出するピークをプールし、濃縮し、その後、BIAcore表面プラズモン共鳴分析法により特性決定した。
実施例5−特定のpMHCへのsTCRの結合のBIAcore表面プラズモン共鳴での特性決定
表面プラズモン共鳴バイオセンサ(BIAcore 3000(商標))を用いて、sTCRのそのペプチド-MHCリガンドへの結合を分析した。このことは、半配向された様式(semi-oriented fashion)でストレプトアビジン被覆結合表面に固定化された単一pMHC複合体(以下に記載)を作製することにより促進され、同時に4つまでの異なるpMHC (異なるフローセルに固定化された)への可溶性T細胞受容体の結合を効率的に試験することを可能にした。HLA複合体を手動で注入することにより、固定化されたクラスI分子のレベルを簡便に精密に処理することが可能となる。
ビオチン化クラスI HLA-A*0201分子は、構成要素のサブユニットタンパク質と合成ペプチドとを含有する細菌で発現されたインクルージョンボディからインビトロでリフォールディングされ、その後、精製されてインビトロで酵素的にビオチン化された(O'Callaghanら (1999) Anal. Biochem. 266: 9〜15)。HLA-A*0201-重鎖は、適切な構築物においてタンパク質の膜貫通ドメイン及び細胞質ドメインを置き換えるC-末端ビオチン化タグとともに発現された。インクルージョンボディの発現レベルは、細菌培養物1L当たり約75 mgであった。MHC軽鎖又はβ2-ミクログロブリンも、大腸菌において適切な構築物から、細菌培養物1L当たり約500 mgのレベルで発現された。
大腸菌の細胞を溶解し、インクルージョンボディを約80%の純度まで精製する。インクルージョンボディからのタンパク質を6 M グアニジン-HCl、50 mM Tris pH 8.1、100 mM NaCl、10 mM DTT、10 mM EDTA中で変性し、0.4 M L-アルギニン-HCl、100 mM Tris pH 8.1、3.7 mMシスタミン、mMシステアミン、HLA-A*0201分子がのせられる必要がある4 mg/mlのILAKFLHWLペプチド中に30 mg/lの重鎖、30 mg/lのβ2mの濃度で、リフォールディングバッファーに変性タンパク質を<5℃にて単一の適用で添加することにより、リフォールディングした。リフォールディングは、4℃にて少なくとも1時間で完了させた。
バッファーを、10容量の10 mM Tris pH 8.1中に透析により交換した。溶液のイオン強度を充分に下げるために、2回のバッファー交換が必要であった。次いで、タンパク質溶液を1.5μmの酢酸セルロースフィルタでろ過し、POROS 50HQアニオン交換カラム(8 mlベッドボリューム)にロードした。タンパク質を0〜500 mM NaClの直線勾配で溶出した。約250 mMのNaClで溶出されたHLA-A*0201-ペプチド複合体及びピークフラクションを回収し、プロテアーゼ阻害剤のカクテル(Calbiochem)を加え、フラクションを氷上で冷却した。
ビオチンタグ付加pMHC分子のバッファーを、同じバッファーで平衡化したPharmacia Fast脱塩カラムを用いて、10 mM Tris pH 8.1、5 mM NaClに交換した。溶出後直ちに、タンパク質含有フラクションを氷上で冷却し、プロテアーゼ阻害剤カクテル(Calbiochem)を添加した。ビオチン化試薬を加えた:1 mMビオチン、5 mM ATP (pH 8に緩衝)、7.5 mM MgCl2、及び5μg/ml BirA酵素(O'Callaghanら (1999) Anal. Biochem. 266: 9〜15に従って精製)。混合物を、室温にて一晩インキュベートした。
ビオチン化pHLA-A*0201分子を、ゲルろ過クロマトグラフィーを用いて精製した。Pharmacia Superdex 75 HR 10/30カラムを、ろ過したPBSで予め平衡化し、1 mlのビオチン化試薬混合物をロードし、カラムを、PBSを用いて0.5 ml/分にて展開した。ビオチン化pHLA-A*0201分子を、約15 mlにてシングルピークとして溶出した。タンパク質含有フラクションをプールし、氷上で冷却し、プロテアーゼ阻害剤カクテルを添加した。タンパク質濃度を、クーマシー結合アッセイ(PerBio)を用いて決定し、ビオチン化pHLA-A*0201分子の一定量を-20℃で凍結保存した。ストレプトアビジンを標準的なアミンカップリング法により固定化した。
このような固定化複合体は、T細胞受容体及び共同受容体CD8ααの両方に結合でき、これらの両方を可溶性の相に注入できる。TCRの特異的な結合は、低い濃度(少なくとも40μg/ml)であっても得られ、TCRが比較的安定であることを意味する。sTCRのpMHC結合特性は、sTCRが可溶性相又は固定化相のいずれかで用いられる場合に、質的及び量的に類似することが観察される。このことは、可溶性種の部分的活性の重要な制御であり、ビオチン化pMHC複合体が、非ビオチン化複合体と同様に生物活性があることも示唆する。
上記で製造について記載した新規な鎖間結合を有するILA sTCRとそのリガンド/MHC複合体又は無関係のHLA-ペプチドの組み合わせとの間の相互作用を、BIAcore 3000 (商標) 表面プラズモン共鳴 (SPR)バイオセンサで分析した。SPRは、小さいフローセル内のセンサ表面付近で応答単位(RU)で表される屈折率における変化を測定し、その原理を受容体−リガンド相互作用の検出、及びそれらの親和性及び動力学的パラメータの分析に用いることができる。プローブフローセルは、個別のHLA-ペプチド複合体を別々のフローセルに、β2m上に架橋したビオチンとフローセルの活性化表面に化学的に架橋したストレプトアビジンとの結合を介して固定化することにより作製した。次いで、異なるフローセルの表面に、一定の流速でsTCRを通過させ、そのようにしている間にSPR応答を測定することによりアッセイを行った。
平衡結合定数の測定
WT ILA sTCRの段階希釈を調製し、2つの異なるフローセルに、5μl min-1の一定の流速で注入した。該フローセルの一方は約1000 RUの特異的ILAKFLHWL-HLA-A*0201複合体で被覆され、第二のものは約1000 RUの非特異的HLA-A2-ペプチド複合体で被覆されていた。コントロールセルからの測定を用いて、各濃度についての応答を標準化した。標準化したデータ応答を、TCRサンプルの濃度に対してプロットし、平衡結合定数KDを測定するために、双曲線に適合させた(Price & Dwek, Principles and Problems in Physical Chemistry for Biochemists (第2版) 1979, Clarendon Press, Oxford)。
動力学的パラメータの測定
高親和性TCRについて、KDを、解離速度定数kd及び会合速度定数kaを実験的に測定することにより決定した。平衡定数KDは、kd/kaとして算出した。
TCRを、一方が約300 RUの特異的ILAKFLHWL-HLA-A*0201複合体で被覆され、第二のものが約300 RUの非特異的HLA-A2-ペプチド複合体で被覆された2つの異なるセルに注入した。流速は、50μl/分に設定した。典型的には、250μlのTCRを約3μMの濃度で注入した。応答がベースラインに戻るまでバッファーを流した。動力学的パラメータは、Biaevaluationソフトウェアを用いて算出した。解離相を、半減期の計算を可能にする指数減少等式(single exponential decay equation)にも調和させた。
結果
可溶性ジスルフィド連結天然型ILA TCRとILAKFLHWL-HLA-A*0201複合体との間の相互作用は、上記の方法を用いて分析し、約25μMのKD、1.1×10-1 S-1のkoff及び0.18分の半減期を示した。
次の表に記載するTCRは、1μM以下のKD及び1×10-3 S-1又はそれより遅いkoffを有する。
実施例6−ファージ粒子上にディスプレイされた天然型及び変異型のジスルフィド連結ILA TCRの結合の競合ELISA分析
ファージ粒子上にディスプレイされた天然型及び変異型のジスルフィド連結ILA TCRを用いた、以下の競合ELISAアッセイを用いて、これらの分子のILAKFLHWL-HLA-A*0201複合体への親和性を評価した。
ELISAにおける、ILA TCRをディスプレイするファージ粒子の、固定化されたILAKFLHWL-HLA-A*0201複合体への結合は、一次ウサギ抗-fd抗血清(Sigma)、次いでアルカリホスファターゼ(AP)結合抗ウサギmAb (Sigma)を、種々の量の可溶性ILAKFLHWL-HLA-A*0201複合体の存在下に用いて検出した。プレート内での非特異的タンパク質結合は、2% MPBS又は3% BSA-PBSを用いてブロックできる。
材料及び試薬
1. コーティングバッファー、PBS
2. PBS:138mM NaCl、2.7mM KCl、10mM Na2HPO4、2mM KH2PO4
3. MPBS、3% マーベル(marvel)-PBS
4. PBS-Tween:PBS、0.1% Tween-20
5. 基質溶液、Sigma FAST pNPP、Cat# N2770
方法
1. NeutrAvidinでコートしたウェルをPBSで2回リンスする。
2. PBS中の10μg/mlの濃度のビオチン-HLA-A2 Tax又はビオチン-HLA-A2 NYESO 25μlを加え、室温にて30〜60分間インキュベートする。
3. ウェルをPBSで2回リンスする。
4. 300μlの3% マーベル-PBSを加え、室温にて1時間インキュベートする。TCR-ファージ懸濁物を1容量の3% マーベル-PBSと混合し、室温にてインキュベートする。
5. ウェルをPBSで2回リンスする。
6. ファージ-A6 TCR/マーベル-PBSと必要量の(20nM又は200nM)可溶性ILAKFLHWL-HLA-A*0201複合体との混合物25μlを加え、氷上で1時間インキュベートする。
7. ウェルを氷冷PBStweenで3回、及び氷冷PBSで3回リンスする。
8. マーベル-PBS中に1:1000で希釈した25μlの氷冷ウサギ抗-fd抗体を加え、氷上にて1時間インキュベートする。
9. ウェルを氷冷PBStweenで3回、及び氷冷PBSで3回リンスする。
10. マーベル-PBS中に1:50000で希釈した25μlの氷冷抗ウサギmAb-Apコンジュゲートを加え、氷上にて1時間インキュベートする。
11. ウェルを氷冷PBStweenで3回、及び氷冷PBSで3回リンスする。
12. 150μlのアルカリホスファターゼイエローを各ウェルに加え、405nmでシグナルを読み取る。
可溶性ILAKFLHWL-HLA-A*0201の所定の添加について発生する結合の阻害の程度は、ILAKFLHWL-HLA-A*0201複合体についてのTCRの親和性に比例する。
結果
実施例7−高親和性クローンc13c1 ILA TCR-IL-2融合タンパク質を用いるインビトロ細胞染色
T2リンパ芽球細胞に、テロメラーゼ由来ILAKFLHWL (540-548)ペプチドを、一連の濃度(10-5〜10-11M)で180分間、37℃にて適用した。適用の後に、細胞を、血清フリーRPMIで洗浄し、5×105細胞を高親和性c13c1 ILA TCR/IL-2融合タンパク質と10分間、室温にてインキュベートし、その後、PE (Serotec)とコンジュゲートした二次抗IL-2 mAbと15分間、室温にてインキュベートした。洗浄後、結合したTCR-IL-2を、FACSVantage SE (Becton Dickinson)を用いるフローサイトメトリにより定量した。ペプチドを適用したT2細胞を用いるコントロールも含めたが、TCR-IL-2は省略した。
図15aは、c13c1 ILA TCRのα鎖のアミノ酸配列を示す(配列番号71)。図15bは、ペプチドリンカーを介して野生型ヒトIL-2に融合したc13c1 ILA TCRのβ鎖のアミノ酸配列を示す(配列番号72)。可溶性c13c1 ILA TCR-IL-2融合タンパク質内に含まれるα鎖及びβ鎖の可変ドメインの変異は、それぞれ、配列番号11及び配列番号23に示すものに相当する。配列番号71及び72は、N-末端メチオニン(M)を含む形で示されていることに注目されたい。
同様の実験において、ユビキチンミニ遺伝子構築物を発現するテロメラーゼ由来ILAKFLHWL (540-548)ペプチドでトランスフェクションしたJ82膀胱癌細胞を用いた。J82細胞を、(Rimoldiら, (2000) J. Immunol. 165 7253〜7261)に実質的に記載される方法を用いてトランスフェクションした。細胞を上記のようにして標識した。
図16は、ILAKFLHWLペプチドの一連の濃度を適用したT2細胞のFAC染色を示す。
図17は、ILAKFLHWL-産生ユビキチンミニ遺伝子(±プロテオソーム阻害剤)でトランスフェクションしたJ82細胞のFAC染色を示す。
実施例8−高親和性c13c1 ILA TCR-IL-2融合タンパク質を用いる、CTL活性化の可溶性TCRが媒介する阻害
次のアッセイは、可溶性高親和性c1c13 ILA-IL-2 TCRが、ILAKFLHWL-HLA-A*0201特異的CTLクローン(ILA-1)により媒介される細胞溶解を阻害できることを示すために行った。
インビトロ細胞溶解アッセイ
ILAKFLHWLをコードするミニ遺伝子構築物でトランスフェクションしたJ82細胞を、プロテオソーム阻害剤(1.5μM エポキソミシン(epoxomicin)及び20μMカルパイン阻害剤I)で、又は阻害剤なしで、CTLアッセイの前に16時間処理した。
これらの標的細胞をトリプシンで37℃にて5分間処理した。次いで、細胞を洗浄し、Europium/DELFIAアッセイキット(Perkin Elmer)と共に供給された使用説明に従って、R10培地中に3μlのBATDA試薬/ 1×106細胞とともに再懸濁した。次いで、これらの細胞を37℃にて30分間インキュベートし、その後、1mMスルフィンピラゾンを補ったR10培地中で3回洗浄した。
ウェル当たり5000の標的細胞を、96ウェルプレート(Nunc)中の50μlのR10培地中に播種した。
以下のものを、上記の標的細胞培養物に加えた。
50μlのR10培地中の1×10-7 Mの高親和性c13c1 ILA TCR-IL-2融合タンパク質。
50μlのR10培地中の一連の細胞数のILAKFLHWL-HLA-A*0201特異的T細胞クローン(ILA-1)(100:1、30:1、10:1及び3:1のエフェクター:標的の比を与えるように)。
これらの培養物を、37℃、5%CO2にて2時間インキュベートした。20μlの上清を各ウェルから回収し、黒色不透明の96ウェルプレート(Nunc)に入れた。Europium/DELFIAアッセイキットからの180μlのユーロピウム溶液を各ウェルに加え、発生した標的細胞溶解のレベルを、Wallac Victor 2 (Perkin Elmer)で、時間分解蛍光によりアッセイした。
計算:
%細胞溶解= 100×(RFUExp − RFUSpont)/(RFUMax - RFUSpont)
(式中:
RFUは、相対蛍光単位であり、
RFUExpは、サンプルウェル中で測定されたRFU−細胞フリーバックグランドRFUであり、
RFUSpontは、いずれのエフェクター細胞も含有しないサンプルウェルで測定されたRFU−細胞フリーバックグランドRFUであり、
RFUMaxは、triton x-100が加えられたサンプルウェルで測定されたRFU−細胞フリーバックグランドRFUである)。
結果
可溶性高親和性c13c1 ILA TCR-IL-2融合タンパク質は、プロテオソーム阻害剤処理がなくても、J82標的細胞のILA-1 T細胞クローン媒介死滅の著しい阻害を引き起こした(図18を参照)。
実施例9−CTL活性化ELISPOTアッセイ
可溶性高親和性c1c13 ILA-IL-2 TCRがILAKFLHWL-HLA-A*0201特異的CTLクローン(ILA-1)の活性化を阻害できることを証明するために、次のアッセイを行った。IFN-γ産生は、CTL活性化の読み取り値として用いた。
試薬
R10アッセイ培地:10% FCS (熱不活化, Gibco, cat# 10108-165)、88% RPMI 1640 (Gibco, cat# 42401-018)、1%グルタミン(Gibco, cat# 25030-024)及び1%ペニシリン/ストレプトマイシン(Gibco, cat# 15070-063)。
ペプチド:(種々の起源から入手) 最初にDMSO (Sigma, cat# D2650)中に4mg/mlで溶解し、凍結し、アッセイ培地中に200μMにし、一定の少量で凍結した。200μMペプチドの1つの一定量を、1回の実験のために融解することにより、ペプチドは2回の凍結−融解サイクルのみを受ける。
洗浄バッファー:0.01M PBS/0.05% Tween 20 (Tween 20含有リン酸緩衝生理食塩水、pH7.4 1袋(Sigma, Cat. # P-3563)を1lの蒸留水に溶解して0.01M PBS、0.138M NaCl、0.0027M KCl、0.05% Tween 20の最終濃度を得る)。
PBS (Gibco, cat#10010-015)。
EliSpotキットは、その他全ての必要な試薬、すなわち捕捉抗体及び検出抗体、スキムミルク粉末、BSA、ストレプトアビジン-アルカリホスファターゼ、BCIP/NBT溶液(ヒトIFN-g PVDF Eli-spot 20×96ウェルプレート(IDS cat# DC-856.051.020, DC-856.000.000−両方のコードを注文時に用いる)を含む。次の方法は、各キットと共に供給される使用説明に基づくが、一部変更している。
方法
ELISPOTプレートを、製造業者の使用説明に従って準備した(Diacloneキット, Immunodiagnostic systems, UK)。
LNCaP又はMCF-7癌細胞系統標的細胞を、トリプシンで37℃にて5分間処理した。次いで、細胞を洗浄し、1uM ILAKFLHWLペプチドを含むか又は含まないR10培地に再懸濁し、37℃、5%CO2にて1時間インキュベートした。
ウェル当たり50000の標的細胞を、96ウェルELISPOTプレートに播種した。
これらのプレートの適切なウェルに、次のものを加えた。
50μlのR10培地中に1×10-7 Mの高親和性c13c1 ILA TCR又は無関係の高親和性TCR。
50μlのR10培地中に500のILA-1エフェクター細胞。
次いで、プレートを37℃、5%CO2にて5時間インキュベートした。次いで、ELISPOTを製造業者の使用説明に従って行った。
結果
可溶性高親和性c1c13 ILA TCRは、IFN-γ産生により測定して、MCF-7及びLNCaP癌細胞の両方に対して、ILA-1 T細胞クローンの活性化を強く阻害する。一方、無関係の可溶性高親和性TCRは、このT細胞クローンの活性化に対して影響がなかった(図19を参照)。
天然型ILA TCRのα鎖可変ドメインアミノ酸の配列を示す。 天然型ILA TCRのβ鎖可変ドメインアミノ酸の配列を示す。 図2a及び2bは、それぞれ、天然型ILA TCRのα鎖及びβ鎖の可溶性の種類のDNA配列を示す。 図3a及び3bは、それぞれ、図2a及び2bのDNA配列から産生されるILA TCRα鎖及びβ鎖細胞外アミノ酸配列を示す。 図4a及び4bは、それぞれ、非天然型ジスルフィド結合を形成するさらなるシステイン残基を含むように変異したILA TCRのα鎖及びβ鎖の可溶性の種類のDNA配列を示す。 図5a及び5bは、それぞれ、図4a及び4bのDNA配列から産生されるILA TCRα鎖及びβ鎖細胞外アミノ酸配列を示す。導入されたシステインは、影をつけて示す。
高親和性ILA TCR変異形のα鎖可変ドメインアミノ酸配列を示す。 高親和性ILA TCR変異形のβ鎖可変ドメインアミノ酸配列を示す。 図8aは、TRACの可溶性の形のアミノ酸配列を示す。図8bは、TRBC1の可溶性の形のアミノ酸配列を示す。図8cは、TRBC2の可溶性の形のアミノ酸配列を示す。 pEX954プラスミドのDNA配列を示す。 pEX821プラスミドのDNA配列を示す。
pEX202プラスミドのDNA配列を示す。 pEX205プラスミドのDNA配列を示す。 さらなる高親和性ILA TCR変異形のα鎖可変ドメインアミノ酸配列を示す。 さらなる高親和性ILA TCR変異形のβ鎖可変ドメインアミノ酸配列を示す。
図15aは、c13c1 ILA TCRのα鎖のアミノ酸配列を示す。図15bは、ペプチドリンカーを介して野生型ヒトIL-2に融合したc13c1 ILA TCRのβ鎖のアミノ酸配列を示す。 ILAKFLHWLペプチドの一連の濃度を適用したT2細胞のFAC染色を示す。 ILAKFLHWL-産生ユビキチンミニ遺伝子(±プロテオソーム阻害剤)でトランスフェクションしたJ82細胞のFAC染色を示す。 可溶性高親和性c13c1 ILA TCR-IL-2融合タンパク質による、ILA-1 T細胞クローンが媒介する、ILAKFLHWL-産生ユビキチンミニ遺伝子でトランスフェクションしたJ82細胞の死滅(killing)の阻害を示す。 可溶性高親和性c13c1 ILA TCR-IL-2融合タンパク質による、ペプチド適用LNCaP及びMCF-7標的細胞に対するT細胞活性化の阻害を示すELISPOTデータを示す。
図20aは、高親和性ILA TCR c13c1のβ鎖のTRBC2形を示す。(配列番号73) TRBC1のものと異なるアミノ酸を強調する。図20bは、高親和性ILA TCR c13c1のβ鎖のTRBC2形を示す。(配列番号74) TRBC1のものと異なるアミノ酸を強調する。図20cは、高親和性ILA TCR c13c1のβ鎖のTRBC2形を示す。(配列番号75) TRBC1のものと異なるアミノ酸を強調する。 図21aは、高親和性ILA TCR c13c1のβ鎖のTRBC1形を示す。(配列番号76) TRBC2のものと異なるアミノ酸を強調する。図21bは、高親和性ILA TCR c13c1のβ鎖のTRBC1形を示す。(配列番号77) TRBC2のものと異なるアミノ酸を強調する。図21cは、高親和性ILA TCR c13c1のβ鎖のTRBC1形を示す。(配列番号78) TRBC2のものと異なるアミノ酸を強調する。

Claims (19)

  1. ミノ酸配列ILAKFLHWLを有するペプチドとクラスI HLA分子HLA-A*0201との複合体(ILAKFLHWL-HLA-A*0201複合体)への結合特性を有しかつ少なくとも1つのTCRα鎖可変ドメイン及び/又は少なくとも1つのTCRβ鎖可変ドメインを含むT細胞受容体(TCR)であって、
    ILAKFLHWL-HLA-A * 0201複合体についてのKDが1μM以下であり、及び/又はILAKFLHWL-HLA-A*0201複合体についての解離速度(koff)が1×10-3 S-1又はそれより遅く、
    (i)TCRα鎖可変ドメインにおいて、配列番号1の94S、95G、96T、97Y及び98Kに相当するアミノ酸のうちの1又は複数のアミノ酸が変異されており、及び/又は
    (ii)TCRβ鎖可変ドメインにおいて、配列番号2の19M、50V、51G、52A、53G、54I、92A、93S、94S及び95Yに相当するアミノ酸のうちの1又は複数のアミノ酸が変異されている、TCR
  2. 少なくとも1つの可変ドメイン枠組み構造領域が、天然型ILA TCRα鎖可変ドメイン(配列番号1)及び/又はβ鎖可変ドメイン(配列番号2)に対して変異されている請求項1に記載のTCR。
  3. 配列番号1に示す番号を用いて、1又は複数のα鎖可変ドメインアミノ酸94A、94L、94Q、94T、94G、94R、94M、94H、94K、94E、94N、95L、95P、95I、95V、95M、96P、96M、97F、98G又は98Aを含む請求項1又は2に記載のTCR。
  4. 配列番号2に示す番号を用いて、1又は複数のβ鎖可変ドメインアミノ酸19V、50I、50L、50R、51H、51C、51W、52P、52W、52E、52V、53E、53S、53F、54Y、54V、54C、54E、54D、92G、93I、93L、93V、94Q及び95Pを含む請求項1〜3のいずれか1つに記載のTCR。
  5. 1又は複数の表現型サイレント置換を任意に含む配列番号11〜22又は50〜60に示すα鎖可変ドメインアミノ酸配列の1つを含む、ILAKFLHWL-HLA-A*0201複合体についてのKDが1μM以下であり、及び/又はILAKFLHWL-HLA-A*0201複合体についての解離速度(koff)が1×10-3 S-1又はそれより遅い請求項1〜4のいずれか1つに記載のTCR。
  6. 1又は複数の表現型サイレント置換を任意に含む配列番号23〜31又は61〜70に示すβ鎖可変ドメインアミノ酸配列の1つを含む、ILAKFLHWL-HLA-A*0201複合体についてのKDが1μM以下であり、及び/又はILAKFLHWL-HLA-A*0201複合体についての解離速度(koff)が1×10-3 S-1又はそれより遅い請求項1〜5のいずれか1つに記載のTCR。
  7. 1又は複数の表現型サイレント置換を任意に含む次の表に示すα及びβ鎖可変ドメインの対を含む、ILAKFLHWL-HLA-A*0201複合体についてのKDが1μM以下であり、及び/又はILAKFLHWL-HLA-A*0201複合体についての解離速度(koff)が1×10-3 S-1又はそれより遅い請求項1〜6のいずれか1つに記載のTCR。
  8. 配列番号11に示すα鎖可変ドメインと配列番号23に示すβ鎖可変ドメインとを含み、1又は複数の表現型サイレント置換を任意に含む、ILAKFLHWL-HLA-A*0201複合体についてのKDが1μM以下であり、及び/又はILAKFLHWL-HLA-A*0201複合体についての解離速度(koff)が1×10-3 S-1又はそれより遅い請求項1〜4のいずれか1つに記載のTCR。
  9. 配列番号32に示すα鎖定常領域アミノ酸配列、及び/又は配列番号33及び34に示すβ鎖定常領域アミノ酸配列の1つをさらに含み、1又は複数の表現型サイレント置換を任意に含む、ILAKFLHWL-HLA-A*0201複合体についてのKDが1μM以下であり、及び/又はILAKFLHWL-HLA-A*0201複合体についての解離速度(koff)が1×10-3 S-1又はそれより遅い請求項1〜8のいずれか1つに記載のTCR。
  10. TCRα鎖定常ドメイン細胞外配列のN-末端に融合したTCRα鎖可変ドメイン配列により構成された第一ポリペプチドと、
    TCRβ鎖定常ドメイン細胞外配列のN-末端に融合したTCRβ鎖可変ドメイン配列により構成された第二ポリペプチドと
    を含み、
    前記第一ポリペプチドと前記第二ポリペプチドの前記定常ドメイン配列同士が、TRAC*01のエキソン1のThr 48から置換されたシステイン残基と、TRBC1*01若しくはTRBC2*01又はそれらの非ヒト等価物のエキソン1のSer 57から置換されたシステイン残基との間で、天然型αβT細胞受容体中のものと等価でないジスルフィド結合により連結している二量体TCR(dTCR)である請求項1〜9のいずれか1つに記載のTCR。
  11. 配列番号71のα鎖アミノ酸配列と配列番号73のβ鎖アミノ酸配列とからなる請求項1に記載のTCR。
  12. 少なくとも1種のポリアルキレングリコール鎖と結合している請求項1〜11のいずれか1つに記載のTCR。
  13. 治療剤又は検出可能部分が、一方又は両方のTCR鎖のC-末端に共有結合している請求項1〜12のいずれか1つに記載のTCR。
  14. 前記治療剤が、
    (i)免疫エフェクター分子;
    (ii)細胞毒性作用剤;及び
    (iii)放射性核種
    から選択される請求項13に記載のTCR。
  15. 前記治療剤が、IL-2である請求項13又は14に記載のTCR。
  16. 請求項1〜15のいずれか1つに記載のTCRを少なくとも2つ含む多価TCR複合体。
  17. 請求項1〜10のいずれか1つで規定されるTCRを提示する単離された細胞。
  18. 請求項1〜16のいずれか1つに記載のTCR若しくは多価TCR複合体、又は複数の請求項17に記載の細胞を医薬的に許容される担体と共に含む医薬組成物。
  19. 請求項1〜16のいずれか1つに記載のTCR若しくは多価TCR複合体、又は複数の請求項17に記載の細胞の、癌の治療用組成物の製造における使用。
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