JP5184738B2 - 修飾第vii因子の安定化された固体組成物 - Google Patents

修飾第vii因子の安定化された固体組成物 Download PDF

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Description

発明の分野
本発明は、室温で保存、取り扱い、使用することができる、修飾第VII因子を含んだ化学的かつ物理的に安定な組成物に関する。
発明の背景
修飾第VII因子分子は、血液凝固第VII因子の誘導体であり、組織因子への結合能を保ちつつ、活性型第VIIa因子の触媒活性が減少するように、その触媒部位が修飾を受けている。第VII因子(ヒト野生型)は、米国特許第4,784,950号に記載されている。修飾第VII因子分子の例は、WO 92/15686号、WO 94/27631号、WO 96/12800号、WO 97/47651号に記載されている。このように、ネイティブの第VIIa因子分子と同様に、修飾第VIIa因子は組織因子に結合するが、ネイティブの第VIIa因子とは異なり、修飾第VII因子は凝固の外因性経路におけるその後の工程を活性化することはない。これにより、修飾第VII因子はフィブリン血餅形成の阻害剤として作用する。従って、修飾された第VIIa因子分子は、トロンビンの産生とこれに引き続くフィブリンの沈着を遮断することによって、血管の傷害を治療できる可能性が示唆されている(WO 97/47651)。
修飾第VII因子分子は、タンパク質であるため、変性やダイマー、オリゴマー、ポリマーの形態にある可溶性若しくは不溶性凝集物の形成などの凝集を含む物理的な分解、又は、例えば、加水分解、脱アミド化、及び酸化を含む化学的分解を受ける。その結果、修飾第VII因子分子の活性の喪失、有毒で免疫原性のある分解産物の形成、分解された修飾第VII因子分子を注射した際に血栓を導入する深刻なリスク、注射に用いた針の目詰まり、不均一性のリスクが生じる。このため、修飾第VII因子を含む医薬の安全性と効力は、第VII因子の安定性と直接関連している。
現在、修飾第VII因子は、液体調合物として調製することができるが、これは、−80℃で凍結保存する必要がある。
このように、修飾第VII因子分子を含む組成物は安定化することが必要である。特に、凍結装置の必要なしに、外界条件下で、修飾第VII因子を含む医薬を保存し、取り扱うことが必要とされており、この場合、前記組成物は、使用前に、長期間(例えば、少なくとも6ヶ月間)保存することができる。
タンパク質を安定化させるためのアプローチの1つは、例えば、タンパク質を凍結乾燥ケーキ(フリーズドライプロセスで得られる最後の物体)の形態にするなど、タンパク質から水を除去することである。しかし、フリーズドライプロセス自体もタンパク質に対して有害である。フリーズドライの最中には、タンパク質溶液中の十分に凍結した大部分の水がこの段階で氷を形成するまで、タンパク質溶液をまず冷却する。これにより、タンパク質は凍結によって生じたストレスを受けやすくなるため、変形と沈殿が生じる。一般に第一乾燥工程と称される次の工程では、氷が昇華し、第二乾燥工程では、吸着又は結合された水が上昇した温度下で除去される。このように水分が除去される間に、タンパク質は、主に水素結合を通じて与えられる適切なコンフォメーションを緩くさせることがある。
従って、フリーズドライの間にタンパク質のコンフォメーション、活性、及び安定性を保つために、タンパク質溶液には、凍結保護及び/又は凍結乾燥保護特性を有する適切な賦形剤を十分量補充して、それぞれ、凍結によって生じるストレス及び/又は水分除去時のストレスからタンパク質を保護する必要がある。
凍結乾燥された生成物を得る場合、重要な特徴は凍結乾燥ケーキの特性に関連する。凍結乾燥ケーキは、形態と構造に関して優れた特性を有する必要がある。すなわち、凍結乾燥ケーキは崩壊してはならない。崩壊したケーキは、使用前に溶解(再構成)するのが困難であるか、時には不可能だからである。逆に凍結乾燥ケーキの物理的構造は、緩すぎず且つ柔らすぎてはいけない。従って、フリーズドライの前に、いわゆる充填剤が1以上、タンパク質溶液に添加されている。充填剤(bulking agent)とは、優れた凍結乾燥ケーキ特性を与え、凍結乾燥工程に伴う様々なストレス(例えば、剪断/凍結)をタンパク質が乗り越えるのを助ける物質である。さらに、充填剤は、薬学的に洗練され且つ見た目にも優れた生成物を形成する際にも役立ち、凍結乾燥中とその後の保存中にタンパク質に保護を与え得る。
非経口投与に適切で且つ外界条件で保存するのに適切な修飾第VII因子を含む安定な医薬を開発する場合、適切な賦形剤を加えなければならず、血漿と概ね等張であり、注射又は注入に適した生理的範囲のpHを有する生成物を与えるために、それらのレベルを慎重に調整しなければならない。張度を変更することができる物質の選択は、塩の形態を採る多くの張度調整物質が凍結乾燥プロセスを困難にする点で、重要である。
このため、外界条件(ambient condition)で長期にわたって保存した後でも、実質的に分解生成物が存在せず且つ修飾第VII因子の活性が減少しない、修飾第VII因子の安定な組成物を提供することが本発明の目的である。さらに、安定な組成物が非経口投与に適しているため、患者に何らの不都合も生じさせない生理的に適切な張度とpH域を有することが、必須の目的である。
発明の概要
本研究者らは、25℃で少なくとも約12ないし18ヶ月間保存できる十分安定な組成物中に修飾第VII因子を加え得ることを発見した。
従って、本発明は、第一の側面において、
i)修飾第VII因子と、
ii)当該組成物を水に溶かしたときに、当該組成物のpHを4ないし7の範囲に維持するのに適した物質と、
iii)最大3%の水分含量と、
を含む安定化された組成物に関する。
さらなる側面において、本発明は、安定な修飾第VII因子を調製する方法であって、
i)pHが4ないし7の範囲にある溶液中に前記修飾第VII因子を与える工程と、
ii)前記溶液を加工して、水分含量が最大3% w/wである固形組成物を得る工程と、
を備えた方法に関する。
先述したように、有害な現象が生じるリスクを最小化し、治療目的のために修飾第VII因子を投与したときに安全性と効力を向上させることが、安定化された修飾第VII因子に求められる。従って、本発明のさらなる側面は、血液凝固及び/又は組織因子媒介反応を抑制するための医薬を調製するための修飾第VII因子の使用に関し、前記医薬は、
i)修飾第VII因子と、
ii)当該組成物を水に溶かしたときに、4ないし7の範囲に当該組成物のpHを維持するのに適した物質と、
iii)最大3%の水分含量と、
を備えた組成物を含む。
最後に、本発明は、血液凝固を防止し及び/又は組織因子媒介反応を抑制するために前記安定化された修飾第VII因子を患者に投与することに関し、この方法では、これを必要としている患者に有効量の組成物を投与することを備え、該組成物は、
i)修飾第VII因子と、
ii)前記組成物を水に溶かしたときに、前記組成物のpHを4ないし7の範囲に維持するのに適した物質と、
iii)最高3%の水分含量と、
を備える。
発明の詳細な説明
本発明は、修飾第VII因子を含む安定に保存できる組成物に関する。本組成物は、修飾第VII因子の実質的な分解を引き起こさずに、長期にわたって、外界温度を含む様々な温度で保存することができる。
本発明は、25℃の暗所に保存した際に、少なくとも約12ないし18ヶ月間安定である、修飾第VII因子の安定に保存できる組成物を発見したことに基づいて為されたものである。本発明は、32ヶ月などさらに長い保存期間を経ても安定な修飾第VII因子を含む組成物も包含する。このように、本発明によれば、このような組成物を投与した際に、患者に有害な現象が生じるリスクを増加させることなく、室温でこのような組成物を保存することが可能となる。有利には、保存時の安定性が向上しているために、保存時に特別な冷却条件が不要となるためにコストも低減し、使用者による前記組成物の取り扱いがさらに便利となるであろう。
修飾第VII因子という用語は、組織因子への結合能を保ちつつ、第VIIa因子の触媒活性が減少するように修飾された任意の第VII因子タンパク質を意味する。その結果、修飾第VII因子分子は、組織因子への結合につきネイティブの第VII因子又はVIIa因子と競合することにより、一連の凝固反応において後続する第X因子と第IX因子の活性化を阻害する。前記修飾は、例えば、触媒部位内に位置してもよい。
「修飾第VII因子」という用語には、第VIIa因子の生物活性が(米国特許第4,784,950号に開示されているような)野生型ヒト第VIIa因子の活性に比べて実質的に減少したポリペプチドが包含されるが、これに限定されるものではない。これらのポリペプチドには、化学的に修飾された第VII因子又は第VIIa因子、及びポリペプチドの生物活性を修飾し又は崩壊させる1以上の特定のアミノ酸配列の改変が導入された第VII因子バリアントが含まれるが、これらに限定されるものではない。さらに、「修飾第VII因子」という用語には、ヒト第VII因子と比較してアミノ酸配列が末端切断されたポリペプチド(すなわち、第VII因子断片)、及び/又はN末端のアミノ酸の欠失又は付加及び/又は翻訳後修飾を含む修飾されたN末端を有するポリペプチドが含まれるが、これらに限定されるものではない。前記修飾第VII因子は、高い親和性と特異性で組織因子に結合するが、血液凝固は開始させない。
本明細書において使用する修飾第VII因子は、チモーゲンの形態であってもよく(すなわち、一本鎖分子)又はその活性化部位が切断されていてもよい。このように「修飾第VII因子」という用語は、修飾第VIIa因子及び組織因子を結合できる修飾第VIIa因子分子へと活性化された際に、真正の第VII因子及び/又は第VIIa因子と凝固カスケード中で組織因子への結合を競合することが可能で、それにより、第IX因子の第IXaへの活性化及び第X因子の第Xa因子への活性を阻害することができる修飾第VII因子を意味するものとする。このような競合は、例えば本明細書に記載されているように、ヒト膀胱カルシノーマ細胞株J82(Sakai et al. J. Biol. Chem. 264: 9980-9988 (1989))(本明細書に参照により援用される)などの細胞表面組織因子を有する細胞株を用いた競合凝固アッセイ、競合FIXa又はFXa生成アッセイ、又は競合結合アッセイによって容易に測定することができる(下記の「アッセイ」の部を参照)。
本発明の1つの実施形態では、修飾第VII因子は、本明細書に記載されているような1以上のTF結合アッセイにおいて調べたときに、野生型第VIIa因子の特異的なTF結合親和性の少なくとも約25%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、少なくとも約110%、又は少なくとも約120%の親和性を示すポリペプチドが包含される。好ましい実施形態では、前記TFアンタゴニストは、野生型第VIIa因子の結合親和性の少なくとも約75%を示す。本明細書で使用される「TF結合活性」という用語は、FVIIaポリペプチド又はTFアンタゴニストが組換えヒト125I−FVIIaの細胞表面ヒトTFへの結合を阻害できることを意味する。TF結合活性は、例えば、(本明細書の)アッセイ3に記載されているように測定することができる。別の実施形態では、修飾第VII因子には、本明細書のアッセイ1−2及び4−7に記載されているような凝固アッセイ、FIXa若しくはFXa生成アッセイ、アミド分解若しくはタンパク質分解アッセイのうち1つ以上のアッセイで調べたときに、野生型第VIIa因子の約25%未満、より好ましくは約10%、又は5%、又は3%、又は2%未満、最も好ましくは約1%の比活性を示すポリペプチドが包含される。
「触媒性部位」又は「活性部位」という用語をFVIIaに関して本明細書中で使用する場合、チモーゲン基質を結合する触媒性部位を意味するものとし、Schecter, I. and Berger, A., (1967) Biochem. Biophys. Commun. 7: 157-162による本用語の定義のとおり、FVIIaの「S」部位を含む。
ヒト及びウシの第VII因子タンパク質の触媒部位には、いわゆる触媒性「三連構造」を形成しているアミノ酸Ser344、Asp242、His193(数字は配列中の位置を表す)が含まれている。他の哺乳類種から得られる第VII因子中の触媒部位は、とりわけ、タンパク質の単離とアミノ酸配列分析などの現時点で利用可能な技術を用いて決定することができる。他のセリンプロテアーゼ、特に、活性部位が既に決定されているキモトリプシン(Sigler et al., J. Mol. Biol., 35: 143-164 (1968)、参照により本明細書に援用)の配列とともに当該配列を並列させ、そのアラインメントから類似の活性部位の残基を決定することにより、触媒部位を決定してもよい。このように、本明細書で使用する場合、修飾第VII因子には、任意の哺乳類種から得られた第VII因子ポリペプチドが包含される。
第VIIa因子の触媒活性の修飾は、化学的な誘導化、酵素的な反応、又はアミノ酸の置換、挿入、若しくは欠失を含む(これらに限定されるものではない)数多くの方法によって、実施することができる。
1つの実施形態において、第VIIa因子の触媒活性は、触媒部位すなわち三連構造の化学的な誘導化によって阻害される。誘導化は、非限定的な例を挙げれば、有機リン化合物、スルホニルフルオリド、ペプチドハロメチルケトン又はアザペプチドのような不可逆的な阻害剤と第VII因子を反応させることによって、又はアシル化によって行うことができる。阻害剤としては、ペプチドクロロメチルケトン若しくはペプチジルクロロメタン;アザペプチド;様々なグアニジノベンゾエート誘導体や3−アルコキシ−4−クロロイソクマリンなどのアシル化剤;フェニルメチルスルホニルフルオリド(PMSF)などのスルホニルフルオリド;ジイソプロピルフルオロホスフェート(DFP);トシルプロピルクロロメチルケトン(TPCK);トシルリシルクロロメチルケトン(TLCK);ニトロフェニルスルフォネート;イソクマリンやクマリンなどの複素環式プロテアーゼ阻害剤が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
好ましいペプチドハロメチルケトンには、Phe−Phe−Argクロロメチルケトン(FFR−cmk)、D−Phe−Phe−Argクロロメチルケトン(D−FFR−cmk)、Phe−Pro−Argクロロメチルケトン(FPR−cmk)、D−Phe−Pro−Argクロロメチルケトン(D−FPR−cmk)(米国特許第4,318,904号を参照、本明細書に参照により援用)、L−Glu−Gly−Argクロロメチルケトン(EGR−cmk)、及びD−Glu−Gly−Argクロロメチルケトン(D−EGR−cmk)、ダンシル−Phe−Phe−Argクロロメチルケトン、ダンシル−D−Phe−Phe−Argクロロメチルケトン、ダンシル−Phe−Pro−Argクロロメチルケトン、ダンシル−D−Phe−Pro−Argクロロメチルケトン、ダンシル−L−Glu−Gly−Argクロロメチルケトン、及びダンシル−D−Glu−Gly−Argクロロメチルケトンが含まれる。
前記修飾第VII因子分子が活性化型である実施形態では、セリンプロテアーゼ阻害剤を用いた反応によって、FVIIaを修飾することが可能である。ある実施形態では、前記プロテアーゼ阻害剤は、有機リン化合物、スルファニルフルオリド、ペプチドハロメチルケトン、又はアザペプチドである。ある実施形態では、前記プロテアーゼ阻害剤は、Phe−Phe−Argクロロメチルケトン(FFR−cmk)、D−Phe−Phe−Argクロロメチルケトン(D−FFR−cmk)、Phe−Pro−Argクロロメチルケトン(FPR−cmk)、D−Phe−Pro−Argクロロメチルケトン(D−FPR−cmk)、L−Glu−Gly−Argクロロメチルケトン(EGR−cmk)、及びD−Glu−Gly−Argクロロメチルケトン(D−EGR−cmk)、ダンシル−Phe−Phe−Argクロロメチルケトン、ダンシル−D−Phe−Phe−Argクロロメチルケトン、ダンシル−Phe−Pro−Argクロロメチルケトン、ダンシル−D−Phe−Pro−Argクロロメチルケトン、ダンシル−L−Glu−Gly−Argクロロメチルケトン、及びダンシル−D−Glu−Gly−Argクロロメチルケトンから選択されるペプチドハロメチルケトンである。ある実施形態では、前記プロテアーゼ阻害剤は、ダンシル−L−Phe−Pro−Argクロロメチルケトン、ダンシル−L−Glu−Gly−Argクロロメチルケトン、ダンシル−L−Phe−Phe−Argクロロメチルケトン及びL−Phe−Argクロロメチルケトン、ダンシル−D−Phe−Pro−Argクロロメチルケトン、ダンシル−D−Glu−Gly−Argクロロメチルケトン、ダンシル−D−Phe−Phe−Argクロロメチルケトン及びD−Phe−Phe−Argクロロメチルケトンから選択されるペプチドハロメチルケトンである。ある実施形態において、前記プロテアーゼ阻害剤は、D−Phe−Phe−Argクロロメチルケトン(FFR−FVIIa)である。
上記のように、アミノ酸を表す略号の直前に「D」という表記が先行している場合、そのアミノ酸は、天然に存在しないd−鏡像異性体であることを理解しなければならない。
さらなる実施形態では、第VIIa因子の触媒活性は、アミノ酸を置換、挿入、又は欠失させることによって阻害される。一連の実施形態では、第VII因子の触媒性三連構造(本明細書においては、第VIIa触媒部位に寄与するアミノ酸を含有する領域と定義される)のアミノ酸配列中に、1つ以上のアミノ酸置換が行われる。触媒性三連構造中の置換、挿入、又は欠失は、触媒部位を形成するアミノ酸又はその隣接部位に行われるのが一般的である。ヒト及びウシの第VII因子タンパク質では、触媒性「三連構造」を形成するアミノ酸はSer344、Asp242、及びHis193(数字は、ヒト野生型第VII因子中での位置を表している)である。他の哺乳類種から得られる第VII因子中の触媒部位は、とりわけ、タンパク質の単離及びアミノ酸配列分析などの現時点で利用可能な技術を用いて決定することができる。他のセリンプロテアーゼ、特に、活性部位が既に決定されているキモトリプシン(Sigler et al., J. Mol. Biol., 35: 143-164 (1968)、参照により本明細書に援用される)の配列とともに当該配列を並列させ、そのアラインメントから類似の活性部位の残基を決定することにより、触媒部位を決定してもよい。
アミノ酸の置換、挿入、又は欠失は、第VIIa因子による第X因子及び/又は第IX因子の活性化を抑制あるいは阻害するように行われる。但し、このような修飾が施された第VII因子も、凝固カスケード中の組織因子への結合に関して、真正な第VII因子及び/又は第VIIa因子と競合する能力は保持していなければならない。このような競合は、例えば本明細書に記載されているように、ヒト膀胱カルシノーマ細胞株J82(Sakai et al. J. Biol. Chem. 264: 9980-9988 (1989))などの細胞表面組織因子を有する細胞株を用いた凝固アッセイ又は競合結合アッセイによって容易に測定することができる。
本発明では、単一のアミノ酸のみを変化させることにより、分子の抗原性が増加する可能性又は組織因子を結合する能力を阻害する可能性を最小限に抑えることが好ましい。しかしながら、2以上のアミノ酸を変化(置換、付加、又は欠失)させてもよいし、置換、付加、及び欠失の組み合わせを用いてもよい。ヒト及びウシの第VII因子中のSer344、Asp242、His193など、第VII因子の触媒部位を形成しているアミノ酸は、置換してもよいし、欠失させてもよい。ヒト及びウシの第VII因子に関して好ましい実施形態では、Ser344はAlaによって置換するのが好ましいが、Gly、Met、Thr、又はその他のアミノ酸を置換することも可能である。AspはGluに置換し、HisはLys又はArgに置換することが好ましい。一般的には、タンパク質の三次構造の崩壊ができる限り最小限になるような置換を選択する。他のアミノ酸置換を選択する際には、Dayhoffらのモデル(Atlas of Protein Structure 1978, Nat. Biomed. Res. Found., Washington, D. C., 本明細書に参照により援用)をガイドとして使用することができるであろう。ヒト、ウシ、その他の種の適切な第VII因子配列の触媒部位中に上述した残基の改変を導入し、本明細書中に上記したように、得られたタンパク質が所望のレベルの触媒活性の阻害とそれによる抗凝固活性の阻害を示すか調べてもよい。
ヒト及びウシ第VII因子の好ましい実施形態では、活性部位の残基Ser344が修飾され、Gly、Met、Thrによって置換され、さらに好ましくはAlaによって置換される。このような置換は、別個に行うこともできるし、His193とAsp242を含む触媒性三連構造中の他の部位の置換と組み合わせて行うこともできる。
野生型第VII因子に比べて実質的に減少した生物活性を有する修飾第VII因子の例としては、R152E−FVIIa(Wildgoose et al., Biochem 29: 3413-3420, 1990)、S344A−FVIIa(Kazama et al., J. Biol. Chem. 270: 66-72, 1995)、FFR−FVIIa(Holst et al., Eur. J. Vasc. Endovasc. Surg. 15: 515-520, 1998)、Glaドメインを欠く第VIIa因子(Nicolaisen et al., FEBS Letts. 317: 245-249, 1993)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。非限定的な例としては、341位のリシン残基が別のアミノ酸残基で置換されたヒトFVIIa、344位のセリン残基が別のアミノ酸残基で置換されたヒトFVIIa、242位のアスパラギン酸残基が別のアミノ酸残基で置換されたヒトFVIIa、193位のヒスチジン残基が別のアミノ酸残基で置換されたヒトFVIIa、FVII−(K341A)、FVII−(S344A)、FVII−(D242A)、FVII−(H193A)、Phe−Phe−Arg−FVII(FFR−FVII)、D−Phe−Phe−Arg−FVII(D−FFR−FVII)、Phe−Pro−Arg−FVII(FPR−FVII)、D−Phe−Pro−Arg−FVII(D−FPR−FVII)、L−Glu−Gly−Arg−FVII(EGR−FVII)、及びD−Glu−Gly−Arg−FVII(D−EGR−FVII)、ダンシル−Phe−Phe−Arg−FVII、ダンシル−D−Phe−Phe−Arg−FVII、ダンシル−Phe−Pro−Arg−FVII、ダンシル−D−Phe−Pro−Arg−FVII、ダンシル−L−Glu−Gly−Arg−FVII、及びダンシル−D−Glu−Gly−Arg−FVIIも挙げられる。化学的に修飾された第VII因子ポリペプチド及び配列バリアントの非限定的な例は、例えば、米国特許第5,997,864号中に記載されている。
さらに、「修飾第VII因子」という用語は、ヒトなどの動物から得られ、又は組換え及び/又は合成手段によって作製された修飾第VII因子分子を意味する。
ある実施形態において、前記修飾第VII因子分子は、第VIIa因子、好ましくは、プロテアーゼ阻害剤D−Phe−Phe−Argクロロメチルケトンによって修飾されたウシ又はヒトの第VII因子である。
ある実施形態において、前記修飾第VII因子分子は、プロテアーゼ阻害剤D−Phe−Phe−Argクロロメチルケトンによって修飾されたヒト野生型第VIIa因子である。本実施形態では、この修飾第VII因子分子はFFR−FVIIaと略記される。
本明細書において使用する場合、FFR−FVIIa濃度は、適宜mg/ml又はU/mlとして表記され、1mg/mgは約20U/mlに相当する。
前記修飾第VII因子ポリペプチドは、約0.5ないし約8.0mg/ml、約0.5ないし約5.0mg/ml、又は約1.0mg/mlないし約5.0mg/mlなど、約0.1mg/mlないし約10.0mg/mlの濃度で存在することができる。
本明細書で使用する「安定化させる」という用語には、凝集物(不溶性及び/又は可溶性)及び/又は化学的な分解物の形成を最小化させること、並びに、生物活性やタンパク質の安定性が実質的に維持されるように、組成物の保存又は製造中にタンパク質のpHと適切なコンフォメーションを維持させることが包含される。さらに、安定化させるという用語には、フリーズドライ条件で組成物を製造中に前記タンパク質の凍結乾燥保護や凍結保護を行うことも包含される。
「構造的な安定化」又は「構造的な安定性」という用語には、優れた特性と見かけ(例えば、崩壊せず且つ使用前にすぐ溶ける)を有する凍結乾燥栓子(plug)又はケーキ(cake)を形成する能力も包含される。
安定に保存できる生成物とは、5℃ないし50℃の温度で保存した際に安定化され、所定の期間(多くの場合、数ヶ月)にわたって、予め選択した生成物の仕様の範囲に保たれる生成物をいう。
物理的な安定性は、ダイマー、オリゴマー、ポリマー型の修飾第VII因子の形態で不溶性及び/又は可溶性凝集物が形成される(又はそれが欠如する)こと、並びに当該分子の構造的な変形や変性に関連する。
化学的な安定性は、加速された条件において、溶解された状態又は固体の状態で保存した際に、修飾第VII因子に任意の化学的変化が生じること(又は生じないこと)に関連する。非限定的な例としては、加水分解、脱アミド化、及び酸化が挙げられる。特に、含硫アミノ酸は酸化を受けて、対応するスルホキシドを形成しやすい。
本明細書で使用する「凍結保護物質(cryoprotectant)」という用語には、一般に、凍結によって生じたストレスからタンパク質に対して安定性を与える物質が含まれる。凍結保護物質の例には、例えば、マンニトールなどのポリオール、例えばスクロースなどのサッカリド、例えば、ポリソルベート、ポロキサマー、又はポリエチレングリコールなどの界面活性剤が含まれるが、これらに限定されるものではない。凍結保護物質は、調合物の張度にも寄与する。
本明細書で使用する「凍結乾燥保護物質(lyoprotectant)」という用語には、例えば、タンパク質の適切なコンフォメーションを維持することなどによって、凍結乾燥プロセスの乾燥プロセス中の水分除去時にタンパク質に対して安定性を与える物質が含まれる。凍結乾燥保護物質の例としては、サッカリド、特に二糖又は三糖が挙げられるが、これらに限定されるものではない。凍結保護物質が、同時に凍結乾燥保護効果を有していることもある。
「pHを4ないし7の範囲に維持するのに適した物質」という用語には、4.0ないし7.0の許容される範囲内に溶液のpHを維持する物質が包含される。pHを4ないし7の範囲内に維持することができる物質の典型的な例は、クエン酸塩(ナトリウム又はカリウム)、酢酸塩(アンモニウム、ナトリウム又はカルシウム)、ヒスチジン(L−ヒスチジン)、リンゴ酸塩、リン酸塩(ナトリウム又はカリウム)、酒石酸、コハク酸、MES、HEPES、イミダゾール、TRIS、乳酸塩、グルタミン酸塩及びグリシルグリシンであるが、これらに限定されるものではない。
本明細書中で用いる「凍結乾燥ケーキ」という用語には、溶解/一部溶解した組成物を冷却して氷らせる少なくとも1つの工程を行った後に少なくとも1つの真空乾燥工程を行う条件下で、溶解又は少なくとも一部溶解した組成物を加工したときに得られる固形組成物が包含される。
「凍結乾燥」及び「フリーズドライする」という用語には、溶解又は一部溶解した溶液を冷却して氷らせる少なくとも1つの工程を行った後に真空乾燥工程を行う条件下で、溶解又は少なくとも一部溶解した組成物から液体を除去するプロセスが包含される。凍結乾燥又はフリーズドライは、固体のタンパク質医薬品を製造するための最も一般的なプロセスである。このプロセスは、タンパク質溶液の凍結と、真空下での凍結した固体の乾燥という2つの主要な工程からなる。乾燥工程は、さらに、一次乾燥と二次乾燥という2つの相に分けられる。一次乾燥では、凍結した水分を除去し(氷の昇華)、二次乾燥では、凍結していない「結合した」水分を除去する(水分の脱離)。各凍結乾燥工程のさらに詳細な分析は、例えば、Wang et al, International Journal of Pharmaceutics 203 (2000): 1-60に記載されている(第4節、16ページを参照)。
典型的には、バイアル中に充填し、凍結乾燥機の棚上で凍結させた後、真空状態を確立し、棚を加熱して一次乾燥(すなわち氷の昇華)することにより、組成物のフリーズドライを行う。次いで、プロセスが完了するまで(すなわち、組成物の水分(水)含量が十分に少なくなるまで)、さらに高い温度で二次乾燥(又は吸着された水の脱離)を行う。フリーズドライする方法は本分野において公知であり、例えば、Wang et al, International Journal of Pharmaceutics 203 (2000): 1-60を参照されたい。ある組成物について、プロセス時に使用すべき温度、各温度における時間、圧力に関してフリーズドライ条件を最適化することは、当業者の通常の知識の範囲内に属することである。
「水分含量(moisture content)」という用語には、前記生成物に会合した水が包含され、凍結した溶質相中に捕捉又は吸着された未凍結水及び/又は非晶質相に会合し若しくは結晶固体に吸着された未凍結水などの吸着された形態の水が含まれるが、これらに限定されるものではない。「水含量(water content)」という用語は、「水分含量」という用語と互換的に用いられる。所望の残存水分レベル(水分含量)は、二次乾燥工程の持続時間と温度の関数として表される。凍結乾燥中の残存水分含量を測定する方法が、本分野で幾つか知られており、例えば、電子湿度計又は残存気体分析器を使用することができる。フリーズドライされた調合物の水分含量は、例えば、乾燥減量、Karl Fischer滴定、熱的重量分析(TGA)、ガスクロマトグラフィー(GC)、又は近赤外線など、本分野で公知の幾つかの方法によって測定することができる(例えば、Wang et al, International Journal of Pharmaceutics 203 (2000): 1-60を参照)。水含量(水分含量)を測定する方法は、欧州薬局方と米国薬局方にも記載されている。例えば、水含量の測定は、米国薬局方(USP<921,Ic>)又は欧州薬局方(EP<2.5.32>)に記載されているように、Karl Fischer電量滴定によって行うことができる。簡単に述べると、この方法は、以下のとおりである。電荷滴定による水含量の測定:無水溶媒中の二酸化硫黄およびヨウ素と水との定量的反応に基づいた水の電量測定において、Karl Fisher反応を用いる。ヨウ化物の酸化により、反応セル中にヨウ素が電気化学的に生じる。陰極に産生されたヨウ素は、反応セル中に含有された水及び二酸化硫黄と直ちに反応する。物質中に存在する水の量は、滴定の終末点に到達するまで、電気の量と正比例する。セル中の水が全て消費されると、終末点に達し、過剰なヨウ素が発生して、これが電気測定によって検出され、終末点を示す。次いで、前記物質中に存在する水のパーセント含量が計算される。
水分含量は、分析時にバイアル中に存在するサンプルの重量(すなわち、固体プラス水−湿重量ベースと称される)に対して表してもよいし、あるいはサンプル中の測定された水に対して補正を行って表してもよい(すなわち、乾燥重量ベース)。水分含量が低いフリーズドライ製品の場合、2つの測定値(湿重量ベースと乾燥重量ベース)は極めて似通った結果を示す。本明細書で使用する場合、水分含量は、固体プラス水に対して表す(すなわち、湿重量ベース)。
「充填剤」という用語には、一般に、優れた凍結乾燥ケーキ特性を与え、薬学的に洗練された生成物を形成し、凍結乾燥工程に伴う様々なストレス(例えば、剪断/凍結)をタンパク質が乗り越えるのを助け、フリーズドライ工程中とその後の保存中にタンパク質の活性レベルが維持されるように助ける物質が含まれる。充填剤の例には、マンニトール、グリシン、スクロース、ラクトースが含まれるが、これらに限定されるものではない。これらの物質は、調合物の張度(tonicity)に寄与することもある。
「張度調節物質」という用語には、溶液の浸透圧に寄与することが可能な物質であって、これにより、使用時に組成物を溶かしたときに、組成物が血液、腹腔液、又は他の適切な体液の生理的範囲内にある張度を有するように、組成物の張度を調節する任意の物質が含まれる。当然のことながら、張度は、再構成溶液が張度調整物質を含有しているか否かにも依存する。
「界面活性剤」という用語には、一般に、空気/溶液界面によって生じるストレス及び/又は溶液/表面によって生じるストレスからタンパク質を保護する物質が含まれる。例えば、界面活性剤は、タンパク質を凝集から保護することができる。適切な界面活性剤としては、Tween 20、Tween 80などのポリソルベート、又はポロキサマー188若しくは407などのポロキサマー、他のエチレン/ポリプロピレンブロックポリマー又はPEG8000などのポリエチレングリコール(PEG)を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。好ましい界面活性剤は、ポロキサマー(例えば、ポロキサマー188、ポロキサマー407)、アルキルエーテル(例えば、Cremophor A25、Sympatens ALM/230)、ポリソルベート/Tween(例えば、Polysorbate 20、Polysorbate 80)である。さらに好ましいのは、ポロキサマー(例えば、Poloxamer 188)およびTween(例えば、Tween 20、Tween 80)である。
「理論的含量」という用語は、調製時に組成物に添加される修飾第VII因子の量を意味する。本明細書に記される濃度(mg/ml)は、フリーズドライを行う前の修飾第VII因子の溶液中における濃度か、又は%w/w(重量/重量)として表され、次いで、これは凍結乾燥ケーキ中の濃度に関わる。
本明細書で使用する場合、明記された量は±約10%と理解される。このため、約50mMという表記は50mM±5mMを含み、4%は4%±0.4%を含む。
上述したように、本発明は、修飾第VII因子タンパク質を安定化させることにより、使用者に対するリスクや不便を増加させずに、長期保存を可能にする方法及び組成物を提供する。
本研究者らは、修飾第VII因子を安定化させる際には、数多くの重大なパラメータを調整する必要があることを見出した。第一のパラメータとしては、水分含量(例えば、水)が少なくとも部分的に関係する。水分含量は制限すべきである。さらに不可欠なパラメータとしては、組成物には、pH4ないし7の範囲内にpHを維持するのに適した物質を含めるべきである。
このように、第一の側面において、本発明は、
i)修飾第VII因子と
ii)当該組成物を水に溶かしたときに、当該組成物のpHを4ないし7の範囲に維持するのに適した物質と、
iii)最高3%の水分含量と
を備えた組成物に関する。
本発明に従って調合することができる修飾第VII因子は、上述のとおりである。本発明の適切な実施形態では、前記修飾第VII因子は、ダンシル−EGR−FVIIa、ダンシル−EGR−FVII、FFR−FVIIa、FFR−FVII、PPA−FVIIa、PPA−FVII、Ser344−FVIIaおよびSer344−FVIIからなる群から選択される。好ましくは、前記修飾第VII因子は、FFR−FVIIa又はFFR−FVIIである。
上述したように、pHは、水に溶かしたときに4ないし7のpH範囲内に維持しなければならない。同時に、このpH範囲は所望の生理的範囲に属するようにして、それにより、非経口手段により組成物を投与したときにユーザに害を与えないようにすることが有利である。好ましくは、前記溶液のpHは、5.0ないし7.0、5.5ないし7.0又は5.8ないし6.8(6.0及び6.5のpHに近くなるように)である。
pHを所望の範囲内に維持するのに適した物質の中には、所望のpHを達成するために限られた量を添加しなければならないものがある。例えば、本物質がグリシルグリシンである場合には、その含量を調整する必要がある。
このため、さらに別の興味深い実施形態においては、前記組成物のpHを4ないし7の範囲に維持するのに適した前記物質はグリシルグリシンであり、グリシルグリシンは最大7mg/mlの量で存在する。従って、その適切な実施形態において、pHを4ないし7の範囲に維持するのに適した前記物質は、クエン酸塩、ヒスチジン、リンゴ酸塩、リン酸塩、酒石酸、コハク酸、MES、HEPES、イミダゾール、TRIS、乳酸塩、グルタミン酸塩、及びグリシルグリシンからなる群から選択されるが、前記物質がグリシルグリシンである場合には、最大7mg/mlの量で存在する。
これに関連するさらに別の実施形態では、グリシルグリシンの量が最大約4mg/ml、好ましくは最大約3mg/ml、最も好ましくは最大約2mg/mlなどとなるように、グリシルグリシンの量はさらに制限される。
さらに、pHを4ないし7の範囲に維持するのに適した前記物質は、列記されている物質のうち少なくとも2つの混合物であってもよく、ここで、前記混合物が特定範囲内のpH値を与えることができる。
前記適切な物質の濃度は、約1mMないし100mM、1mMないし約50mM、約1mMないし約25mM、約2mMないし約20mMの範囲内にあるか、又は約10mMである。
上述したように、水分含量は制限しなければならない。このため、本発明の好適な実施形態では、前記水分含量は最大2%w/w、最も好ましくは最大約1%w/wである。
典型的には、修飾第VII因子タンパク質は、大量に与える場合、液体の形態をとる。このため、組成物を製造するために、タンパク質原末をさらに加工するには、適切な賦形剤を添加し、前記原末(bulk)から液体を除去する工程が必要であり、前記賦形剤の添加は、液体を除去する前に行ってもよいし、液体を除去した後に行ってもよい。タンパク質から液体を除去するための1つの手段としては、フリーズドライがある。従って、本発明の好ましい実施形態において、前記組成物は凍結乾燥ケーキの形態をとる。
このように、本発明の好適な実施形態において、前記組成物は、凍結保護物質、凍結乾燥保護物質、及び/又は充填剤をさらに含む。この実施形態の1つでは、前記組成物は、マンニトール、ソルビトール、キシリトールからなる群から選択される糖アルコールをさらに含む。別の実施形態では、前記組成物は、スクロース、デキストロース、ラクトース、マルトース、トレハロース、シクロデキストリン、マルトデキストリン、デキストランからなる群から選択されるサッカリドをさらに含む。
典型的には、凍結保護物質、凍結乾燥保護物質、及び充填剤の含量は、凍結乾燥中及び凍結乾燥終了後及び様々な条件での保存時における修飾第VII因子タンパク質の安定性に貢献するように、適切に調整する必要がある。
本研究者らは、前記糖アルコールが約30%w/wないし95%w/wの範囲の量とすべきことを見出した。好ましくは、前記糖アルコールの量は、約35%w/wないし95%w/w、より好ましくは約40%w/wないし90%w/w、最も好ましくは約45%w/wないし90%w/wの範囲内とすべきである。
実施例3を見れば明らかなように、本発明者らは、40mg/ml(フリーズドライ前の濃度)に相当する適切な含量のマンニトールを加えることにより、フリーズドライプロセスを終了した時点で(フリーズドライプロセス終了後24時間未満)、分解産物の含量が少ない組成物を提供した。このように、本発明の組成物は、保存を行う前に、酸化型及び凝集物の初期含量が少ないことを特徴とする。
典型的には、前記組成物は、凍結乾燥が終了すると、4%w/w未満の修飾第VII因子が酸化型に転換され、1%未満がダイマー又はそれ以上のポリマー型として回収され、慣用的な分析法(例えば、本明細書の実施例2に記載されている方法など)を用いて検出されないように安定化される。
さらに、有利には、本発明の組成物は安定に保存でき、例えば、25℃で暗所に12時間保存した際に、5%w/w未満(4%、3%、又は2.5%など)の修飾第VII因子が酸化型に転換され、5%w/w未満(4%、3%、又は2.5%など)がダイマー型に転換される。
本研究者らは、外界条件下で保存した際に、修飾第VII因子のさらなる分解が最小限となることを示すデータを本明細書に記載している。実施例4から明らかなように、フリーズドライを終了した際の酸化型の初期含量に加え、2% w/w未満の修飾第VII因子(約1%w/wなど)が酸化型の修飾第VII因子として回収されるように増加する。さらに、2%w/w未満(約1%w/wなど)の修飾第VII因子が、25℃で12ヶ月保存した際に、ダイマー型として回収される。極めて重要なことは、25℃で12ヶ月保存する間に、ポリマー型の含量の増加が全くモニターされなかったことである。
先述したように、修飾第VII因子の分解は、酸化と凝集をもたらすことがある。しかし、酸化型の修飾第VII因子が安定性の指標パラメータとして有用であることから、酸化経路の方が保存に対して感受性が高いことが明らかとなった。
このため、幾つかの実施形態において、本発明は、25℃で12ヶ月保存した際に安定な組成物であって、酸化型の前記修飾第VII因子が、前記修飾第VII因子の初期理論含量に比して最大約4%w/wの量であるような組成物に関する。前記修飾第VII因子の初期理論含量とは、フリーズドライ工程に先立って、前記組成物を調製する際に、前記組成物に加える量をいう。凍結保護物質、凍結乾燥保護物質、及び/又は充填剤の含量を適切に最適化することにより、酸化型の前記修飾第VII因子は、最大約3.5%w/w、さらに好ましくは最大約3.0%w/wの量である。さらに適切な実施形態では、酸化型の前記修飾第VII因子の量は、前記修飾第VII因子の初期理論含量に対して最大約2.5%の量である。
先述したように、本発明は、修飾第VII因子の固形組成物を製造する時点から(例えば、フリーズドライを終了してから使用するときまで、例えば、組成物が患者によって投与されるべきときまで)修飾第VII因子の分解を抑えることにも関する。従って、本発明によれば、適切な組成物は、外界条件で長期間保存した際の酸化型の含量の増加が限定されている。さらなる実施形態において、組成物を25℃で12ヶ月保存した際に、初期含量との比較において酸化型の前記修飾第VII因子が、前記修飾第VII因子の初期理論含量に比べて最大約2.0%増加するにすぎないように、前記組成物は安定である。さらに好適な実施形態において、酸化型の含量の増加は、最大約1.5% w/w、最大約1.0% w/w、又は好ましくは最大約0.5% w/wである。酸化型の含量の増加とは、保存時に酸化型として回収された修飾第VII因子の量を表している。
本発明の組成物は25℃での長期保存にも適しており、さらに高温(例えば、45℃)にした場合のような分解を加速させる条件で適切な安定性を有する場合もある。
さらなる実施形態において、組成物を25℃で18ヶ月保存した際に、酸化型の前記修飾第VII因子が、前記修飾第VII因子の初期理論含量に比べて最大約4.5% w/wの量となるように、前記組成物は安定である。好ましくは、前記酸化型の量は、最大約4.0% w/w、より好ましくは最大約3.5% w/w、さらに好ましくは最大約3.0% w/w、最も好ましくは最大約3.5% w/wである。
さらに言えば、組成物を25℃で18ヶ月保存した後に、初期含量との比較において酸化型の前記修飾第VII因子が、前記修飾第VII因子の初期理論含量に比べて最大約2.8%増加するにすぎないように、前記組成物は安定である。さらなる実施形態において、前記増加は、最大約2.5% w/wの量の酸化型含量の増加に相当し、さらに好ましい実施形態では、最大約2.0% w/wである。さらなる実施形態において、酸化型含量の増加は最大約1.5% w/w、最も好ましくは最大約1.0% w/w(最大約0.5% w/wなど)である。
本発明のさらなる実施形態は、組成物を25℃で32ヶ月保存した際に、酸化型の前記修飾第VII因子が、前記修飾第VII因子の初期理論含量に比べて最大約9.0% w/wの量、好ましくは最大約8.0% w/wの量、より好ましくは最大約7.0% w/wの量、さらに好ましくは最大約6% w/wの量(約5% w/w、好ましくは最大約4% w/w、最も好ましくは最大約3% w/wの量など)であるような安定な組成物に関する。
さらなる実施形態では、組成物を25℃で32ヶ月保存した際に、初期含量との比較において前記修飾第VII因子の酸化型の含量が、前記修飾第VII因子の初期理論含量に比べて最大約7.0% w/w、好ましくは最大約6.0% w/wの量、より好ましくは最大約5.0%の量(最大約4% w/wおよび3% w/w、さらに好ましくは最大約2.0% w/w、最も好ましくは最大約1.0% w/wなど)で増加するように、前記組成物は安定である。
加速された条件でも、前記組成物は、なお優れた安定性を有する。このため、他の実施形態において、本発明は、組成物を45℃で8週間保存した際に、酸化型の前記修飾第VII因子が、前記修飾第VII因子の初期理論含量に比べて最大約4% w/wの量、好ましくは最大約3.5% w/wの量、より好ましくは最大約3.0% w/wの量、最も好ましくは最大約2.5% w/wの量などであるように、安定な組成物に関する。
さらに、フリーズドライプロセスを終結した後の酸化型の増加も限られている。このため、さらに別の実施形態において、組成物を45℃で8週間保存した際に、初期含量との比較において前記修飾第VII因子の酸化型の含量が、前記修飾第VII因子の初期理論含量に比べて最大約2.0% w/w、好ましくは最大約1.5% w/w、より好ましくは最大約1.0% w/w、さらの好ましくは最大約0.8% w/w、最も好ましくは酸化型の最大約0.5%増加するにすぎないように、前記組成物は安定である。
より冷たい条件(5℃など)で保存すれば、さらに安定性が向上する。この温度では、修飾第VII因子の分解が不適切になる前に、さらに長い期間にわたって前記組成物を保存することができる。実施例4から明らかなように、32ヶ月の保存時に分解する修飾第VII因子は、約1.5% w/w未満である。
このように、本発明の別の実施形態は、組成物を5℃で32ヶ月保存した際に、酸化型の前記修飾第VII因子が、前記修飾第VII因子の初期理論含量に比べて最大約5.0% w/wの量、好ましくは最大約4.5% w/wの量、より好ましくは最大4.0% w/wの量、さらに好ましくは最大約3.5% w/wの量、最も好ましくは最大約3.0% w/wの量(約2.5% w/wの量など)であるような安定な組成物に関する。
さらに、別の実施形態では、組成物を5℃で32ヶ月保存した際に、初期含量との比較において前記修飾第VII因子の酸化型の含量が、前記修飾第VII因子の初期理論含量に比べて最大約2.5% w/w、好ましくは最大約2.0% w/wの量、より好ましくは最大約1.5% w/wの量、さらに好ましくは最大約1.0% w/wの量、最も好ましくは最大約0.5% w/wの量であるように、前記組成物は安定である。
上述したように、安定性の向上は、一部には、適切な凍結保護物質、凍結乾燥保護物質、充填剤の選択とそれらの含量の調節に関連する。先述したように、このような賦形剤の群のうち少なくとも1つは、適切な安定性を達成するために、本発明の組成物中に存在させるべきである。但し、本研究者らによって明らかにされたところによれば、上記特性を有する賦形剤を混合すると、安定性がさらに好ましくなる。従って、本発明の好適な実施形態は、サッカリドをさらに含む組成物に関する。このサッカリドは二糖や三糖、さらには幾つかの多糖であり、スクロース、デキストロース、ラクトース、マルトース、トレハロース、シクロデキストリン、マルトデキストリン、デキストランからなる群から選択することができる。
本研究者らは、好ましい安定性を達成するために、糖アルコール及びサッカリドの適切な組み合わせ、さらには、少なくとも部分的には、それらの含量を明らかにした。
このように、本発明の幾つかの実施形態では、前記サッカリドは、約1% w/wないし45% w/wの範囲の量で前記組成物中に存在する。さらに興味深い実施形態では、前記量は、約5% w/wないし40% w/w、より興味深くは約5% w/wないし35% w/w、最も好適には約10%ないし30% w/wの範囲にある。
重要なことに、糖アルコールとサッカリドとの比は、適切に調節する必要がある。本発明の幾つかの実施形態では、前記糖アルコールは、前記サッカリドに対する重量比が約100:1ないし1:20の範囲にある。別の実施形態では、前記重量比は、約50:1ないし1:10、より好ましくは約20:1ないし1:5である。別の実施形態では、前記重量比は、約10:1ないし1:2、及び約4:1ないし1:2の範囲である。しかし、本研究者らが見出したところによれば(実施例5参照)、さらに大量のサッカリドを含ませると、凍結乾燥ケーキは崩壊した。このため、幾つかの実施形態は、前記糖アルコールの前記サッカリドに対する重量比が約3:1ないし1:1の範囲、例えば、約3:1ないし3:2の範囲である。
さらに、好ましい安定性は、少なくとも部分的には、前記修飾第VII因子の含量に対する前記糖アルコールと前記サッカリドの含量に関連する。従って、本発明のさらなる実施形態において、修飾第VII因子を含む前記組成物は、前記糖アルコールと前記サッカリドの合計に対する修飾第VIIの重量比は、約1:200ないし1:5の範囲にある。好ましくは、重量比は約1:100ないし1:8、より好ましくは約1:75ないし1:10の範囲にある。別の実施形態では、前記重量比は、約1:60ないし1:15、例えば約1:50ないし1:20の範囲にある。
本発明の幾つかの実施形態では、前記糖アルコールはマンニトールであり、さらに別の実施形態では、前記サッカリドはスクロースである。
このように、これらの実施形態では、マンニトールとスクロースの比は、スクロースに対するマンニトールの重量比が約10:1ないし1:10の範囲である。さらに興味深くは、前記比は約10:1ないし1:5、さらに興味深くは約5:1ないし1:2の範囲である。しかし、前記組成物が凍結乾燥ケーキとして得られる場合、極めて適切な実施形態では、前記サッカリドに対する前記マンニトールの重量比が約5:1ないし1:1、最も好ましくは約4:1ないし5:4、例えば約3:1ないし3:2の範囲にある。
本発明のさらなる実施形態では、マンニトールとスクロースの合計に対する前記修飾第VII因子の重量比は、約1:100ないし1:5、好ましくは約1:75ないし1:10、より好ましくは約1:60ないし1:15、最も好ましくは約1:50ないし1:20の範囲にある。
理解可能であるかもしれないが、本発明の前記安定化された組成物は固体の形態である。すなわち、前記組成物にはフリーズドライが行われる。しかし、このことは、前記組成物は、元来、フリーズドライが行われるべき液体として得られることを示唆している。少なくとも部分的には、水分を除去する前に液体組成物を安定化させる目的で、及び保存時に固体組成物を安定化させる目的で、前記組成物は、分解を防ぐために、pHを最適なレベルに維持することができる物質を含む。極めて重要なことであるが、4−7というこのpH範囲は、前記組成物を非経口投与するときの生理的な範囲内にもある。
必要に応じて、前記組成物には抗酸化剤を含めてもよい。抗酸化剤という用語には、修飾第VII因子の化学的酸化を抑える任意の物質が包含される。このため、本発明の幾つかの好ましい実施形態において、前記組成物は抗酸化剤をさらに含む。適切な抗酸化剤の例には、アスコルビン酸、システイン、ホモシステイン、シスチン、シスタチオニン、メチオニン、グルタチオン、並びにシステイン、ホモシステイン、シスチン、シスタチオニン、メチオニン、及びグルタチオンのうち何れか1つを含有するペプチド、とりわけ、2ないし5個のアミノ酸残基を含有するペプチドであって、少なくとも1つの残基がシステイン、ホモシステイン、シスチン、シスタチオニン、メチオニン又はグルタチオン残基であるペプチドが含まれるが、これらに限定されるものではない。このうち幾つかの実施形態では、前記抗酸化剤はメチオニン、特にL−メチオニンである。前記抗酸化剤は、約0.01ないし約5.0mg/ml、例えば、約0.1ないし約5.0mg/ml、約0.1ないし約4.0mg/ml、約0.1ないし約3.0mg/ml、約0.1ないし約2.0mg/mlなど、又は約0.5ないし約3.0mg/ml、約1.0ないし約2.7mg/ml、例えば、約2/5mg/mlなどの濃度で含まれる。
前記抗酸化剤は、少なくとも部分的には、最大3%の水分含量を有する組成物を準備する時から保存中に、例えば、フリーズドライプロセスの終了時から使用まで、組成物を安定化するのに寄与する。実施例4から明らかなように、25℃で32ヶ月間、メチオニンを含む組成物を保存した際に、酸化型の増加が0.9% w/wである。
さらに、非経口投与、特に静脈内投与が可能な組成物を得るために、前記組成物は、他の薬学的に許容される賦形剤を取り込ませることによって調合することもできる。非経口投与用の組成物を調製する方法は、当業者に公知又は自明であり、例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 19th ed., Mack Publishing Company, Easton, PA (1995)にさらに詳述されている。「賦形剤(excipient)」という用語には、生物活性とタンパク質の安定性が実質的に保持されるように、優れた凍結乾燥ケーキ特性を与える薬学的に許容される試薬(充填剤)の他、タンパク質の凍結乾燥保護や凍結保護を与える試薬、pHを維持する試薬、許容される張度を維持する試薬、保存時にタンパク質の適切なコンフォメーションを維持する試薬が含まれる。
このように、本発明によれば、前記組成物には、さらに張度調節物質が含まれる。張度調節物質としては、アミノ酸、小ペプチド(例えば、2ないし5個のアミノ酸残基を有する)、中性塩、単糖又は二糖、多糖、糖アルコール、又はこれらの調節物質のうち少なくとも2つの混合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。張度調節物質の例には、塩化ナトリウム、塩化カリウム、クエン酸ナトリウム、スクロース、グルコース、グリシルグリシン、マンニトールが含まれるが、これらに限定されるものではない。通常、前記調節物質は、他の含有成分に応じて、約1ないし約500mM、約1ないし約300mM、約10ないし約200mM、又は約20ないし約150mMの濃度で存在する。例えば、塩化ナトリウム又は塩化カリウムのような中性塩を使用してもよい。「中性塩」という用語は、水溶液中に溶かしたときに、酸にも塩基にもならない塩を意味する。
1つの実施形態において、前記張度調節物質は、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウムからなる群から選択される。使用前に組成物を等張にするのであれば(例えば、原末組成物は生理的範囲の等張とする必要はない)、ずっと高濃度の張度調節物質を組成物に含めてもよいことに留意しなければならない。注射又は注入により投与すべき組成物は、使用前に血清に対して等張(すなわち、約300±50 milliosmol/kg)とすることが好ましい。
界面活性剤を添加することにより、フリーズドライされたタンパク質をさらに安定化することができる。このため、本発明の幾つかの実施形態では、前記組成物はさらに界面活性剤を含み、該界面活性剤は、ポリソルベート、例えばポリソルベート20又は80のようなTween(登録商標);ポロキサマー188(例えば、Pluronic(登録商標))又はポロキサマー407(例えば、Lutrol(登録商標))のようなポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポロキサマー、及びPEG8000のようなその他のエチレン/ポリプロピレンブロックポリマー又はポリエチレングリコール(PEG)からなる群から選択される。前記界面活性剤は、約0.005ないし約5mg/ml、例えば、約0.01ないし約5.0mg/ml、約0.005ないし約3.0mg/ml、約0.01ないし約3.0mg/ml、約0.01ないし約2.0mg/ml、約0.01ないし約1.0mg/ml、約0.01ないし約0.5mg/ml、約0.05ないし約0.5mg/ml、又は約0.05ないし約0.25mg/mlのような量を加えるのが通例である。好ましい量は、0.01ないし3mg/ml、例えば約0.01ないし約2.0mg/ml、約0.01ないし約1.0mg/ml、約0.01ないし約0.5mg/ml、約0.05ないし約0.5mg/ml又は約0.05ないし約0.25mg/mlであり、Tween 20及び/又はTween 80については約0.1mg/mlなど、Poloxamer 188については、約0.05ないし3.0mg/ml、例えば約0.05ないし約2.0mg/ml、約0.05ないし約1.0mg/ml、約0.05ないし約0.5mg/ml、又は約0.05ないし約0.25mg/mlなどである。
本発明の幾つかの実施形態では、前記組成物は、例えば充填剤として作用する他の薬学的な賦形剤をさらに含む。すなわち、マンニトール以外の充填剤を前記組成物中に含めてもよい。特に、フリーズドライによって調製された組成物中には、充填剤が含められる。
1つの実施形態において、前記組成物は、修飾第VII因子、CaCl2、NaCl、グリシルグリシン、マンニトール、Tween 80を含有し、最大3%の水分含量を有し、組成物を水に溶かしたときに4.0ないし7.0の範囲のpHを有する。
別の実施形態では、前記組成物は、修飾第VII因子、CaCl2、NaCl、グリシルグリシン、マンニトール、スクロース、メチオニン、及びTween 80を含有し、最大3%の水分含量を有し、組成物を水に溶かしたときに4.0ないし7.0の範囲のpHを有する。
さらなる実施形態において、前記組成物は、
Figure 0005184738
を含有する。
別の実施形態において、前記組成物は、
Figure 0005184738
を含有する。
上述したように、本研究者らは、薬学的に許容される特定の賦形剤を含む固形組成物中に修飾第VII因子タンパク質を与えることによって修飾第VII因子タンパク質を安定化する方法を提供した。この場合、pHを4ないし7の範囲に保つことができる物質を含ませることが重要である。
従って、本発明のさらなる側面は、安定な修飾第VII因子を調製する方法に関する。該方法は、
i)pHが4ないし7の範囲にある溶液中に前記修飾第VII因子を与える工程と、
ii)前記溶液を加工して、水分含量が最大3% w/wである固形組成物を得る工程と、
を備える。
前記方法のさらなる実施形態において、前記溶液はマンニトール、ソルビトール、キシリトールからなる群から選択される糖アルコールをさらに含む。さらに別の興味深い実施形態において、前記溶液は、スクロース、デキストロース、ラクトース、マルトース、トレハロース、シクロデキストリン、マルトデキストリン、及びデキストランからなる群から選択されるサッカリドをさらに含む。好ましい実施形態では、前記糖アルコールはマンニトールであり、前記サッカリドはスクロースである。
好ましくは、前記溶液中に存在する前記糖アルコールの含量及び必要に応じて加えられる前記サッカリドの含量は、i)特に安定化された修飾第VII因子タンパク質が得られるように調節すべきである。本発明によれば、前記糖アルコールは、約1mg/mlないし60mg/ml、好ましくは約10mg/mlないし50mg/ml、より好ましくは約15mg/mlないし45mg/ml、最も好ましくは約20mg/mlないし40mg/mlの範囲の量とすべきである。前記サッカリドが存在する場合、前記サッカリドは、約1mg/mlないし50mg/ml、好ましくは約2mg/mlないし35mg/ml、より好ましくは約5mg/mlないし25mg/ml、最も好ましくは約10mg/mlないし20mg/mlの範囲の量とすべきである。
さらに、前記糖アルコールと前記サッカリドの比を調節すべきである。適切な実施形態では、前記サッカリドに対する前記糖アルコールの重量比は、約100:1ないし1:10、好ましくは約50:1ないし1:5、より好ましくは約20:1ないし1:3、さらに好ましくは約10:1ないし1:2、さらに好ましくは約4:1ないし1:2、さらに好ましくは、約3:1ないし1:1、最も好ましくは約3:1ないし3:2の範囲である。
好ましい実施形態において、安定な修飾第VII因子を調製する方法では、フリーズドライを行う。フリーズドライとは、前記修飾第VII因子を含む溶液を凍結乾燥バイアル中などに充填するプロセスである。フリーズドライを開始する前に、前記修飾第VII因子には、必要に応じて、滅菌ろ過を行ってもよい。凍結乾燥機の棚を冷却して、バイアルと溶液を臨界生成物温度以下に凍結させる。真空を導入して水を除去し、凍結乾燥機のアイスコンデンサ上で水蒸気を凝結させる。生成物が乾燥した時点(通常は、(例えば、上述したKarl Fischer電量滴定によって測定された)残余水分含量が1%未満となった時点)で、バイアルを閉めて、封をする。製造が終了し、この時点で、前記組成物は凍結乾燥ケーキの形態となる。
このような組成物は、注射可能な手段で患者に投与するときには、使用前に、適切な液体中に再構成させる必要がある。他の目的、例えば、他の薬学的組成物に再調合する目的で組成物を再構成することもある。しかしながら、本発明は、前記組成物を固形状のまま患者に投与することを除外するものではない。
前記組成物は、許容可能な(好ましくは無菌の)希釈剤又は担体、好ましくは水性担体を用いて再構成される。様々な水性担体、例えば、水(例えば、Water For Injection/WFI)、緩衝化された水、生理的食塩水(例えば、0.4%生理的食塩水)、グリシン(例えば、0.3%グリシン)などを使用することができる。再構成希釈液は、カルシウム塩(例えば、CaCl2)又はナトリウム塩とカルシウム塩の組み合わせ(例えば、NaClとCaCl2)のように1以上の塩を含有することもできる。
このように、無菌リンゲル溶液中に本発明の組成物を再構成させることにより、静脈内注入用の典型的な薬学的組成物ができる。
前記再構成された組成物は、予防及び/又は治療的処置のために非経口投与することが意図されている。前記薬学的組成物は、非経口投与、すなわち、静脈内、皮下、又は筋肉内投与するのが好ましく、あるいは連続的又は間歇的な注入によって投与される。
従って、本発明のさらなる側面は、血液凝固の抑制又は組織因子媒介反応の抑制のような治療的処置を行うための医薬を調製するための前記安定化された固形組成物の使用に関する。
すなわち、本発明の1つの側面は、血液凝固及び/又は組織因子媒介反応を抑制するための医薬を調製するための修飾第VII因子の使用に関し、前記医薬は、
i)修飾第VII因子と、
ii)当該組成物を水に溶かしたときに、4ないし7の範囲に当該組成物のpHを維持するのに適した物質と、
iii)最大3%の水分含量と、
を備えた組成物を含む。
さらに、別の側面において、本発明は、血液凝固を防止し及び/又は組織因子媒介反応を抑制するために、前記安定化された修飾第VII因子を患者に投与することに関する。このように、本発明は、血液凝固を防止し及び/又は組織因子媒介反応を防止する方法であって、これを必要としている患者に有効量の組成物を投与することを備え、該組成物が、
i)修飾第VII因子と、
ii)前記組成物を水に溶かしたときに、前記組成物のpHを4ないし7の範囲に維持するのに適した物質と、
iii)最高3%の水分含量と、
を備える、方法に関する。
別の実施形態において、血液凝固には、血管形成、深部静脈血栓、肺塞栓、発作、汎発性血管内凝固症候群(DIC)、グラム陰性内毒血症を伴う肺および腎臓内へのフィブリン沈着、並びに心筋梗塞からなる群から選択される症状が伴う。
さらに別の実施形態では、前記組織因子媒介反応には、SIRS、ARDS、MOF、HUS、及びTTPからなる群から選択される症状が伴う。
先述したように、前記組成物は固形状である。従って、適切な実施形態において、医薬を非経口投与できるようにするため、前記医薬は溶解するのに適していなければならない。このため、前記組成物を患者に投与する場合には、投与工程の前に、前記組成物を適切な液体中に溶解させる工程を備える。
略語
FVII
一本鎖形態の凝固第VII因子
FVIIa
切断され活性化された二本鎖形態の凝固第VII因子
rFVII(rFVIIa)
組換え第VII因子(組換え第VIIa因子)
FVIIai
修飾第VII因子−触媒中心に少なくとも1つの修飾を有する凝固第VII因子であって、その修飾によって、修飾第VII因子が血漿第X因子又は第IX因子を活性化する能力が実質的に阻害されている
RFViiai
組換え修飾第VIIa因子(組換えFVIIai)
ダンシル−EGR−FVIIa(ダンシル−EGR−FVII)
FVIIa(FVII)をダンシル−Glu−Gly−Argクロロメチルケトン(ダンシル−EGR−cmk)と化学的に反応させることによって触媒中心が不活化されている、凝固因子FVIIa(FVII)
FFR−FVIIa(FFR−FVII)
FVIIa(FVII)をPhe−Phe−Argクロロメチルケトン(FFR−cmk)と化学的に反応させることによって触媒中心が不活化されている凝固因子FVIIa(FVII)
PPA−FVIIa(PPA−FVII)
D−Phe−Pro−Argクロロメチルケトン(PPA−cmk)と反応させたFVIIa(FVII)
ダンシル−EGR−cmk
ダンシル−Glu−Gly−Argクロロメチルケトン
FFR−cmk
D−Phe−Phe−Arg又はPhe−Phe−Argクロロメチルケトン
PPACK
D−Phe−Pro−Argクロロメチルケトン(PPA−cmk)
DFFR−cmk
ダンシル−D−Phe−Phe−Arg又はダンシル−Phe−Phe−Argクロロメチルケトン
Ser344−FVIIa(Ser344−FVII)
344位に位置する本来のアミノ酸をセリンと置換することによって触媒中心が不活化された凝固因子FVIIa(FVII)
アッセイ:
第VII因子の生物活性
血液凝固における第VIIa因子の生物活性は、(i)組織因子(TF)への結合能と(ii)第IX因子又は第X因子をタンパク分解によって切断して、活性化された第IX因子又は第X因子(それぞれ、第IXa因子又は第Xa因子)を生成する触媒能とに由来する。
第VII因子ポリペプチドの生物活性(「第VII因子生物活性」)は、第VII因子を欠損した血漿及びトロンボプラスチンを用いて、ある調製物が血液凝固を促進する能力を測定することによって定量することができる(例えば、米国特許第5,997,864号に記載されている)。あるいは、(i)脂質膜中に埋め込まれたTFと第X因子とを含む系内で第VIIa因子又は第VIIa関連ポリペプチドが活性化された第X因子(第Xa因子)を生成する能力を測定すること(Persson et al., J. Biol. Chem. 272: 19919-19924, 1997)、(ii)水系中で第X因子の加水分解を測定すること、(iii)第VIIa因子又は第VIIa因子関連ポリペプチドのTFへの物理的結合を、表面プラズモン共鳴を使用した装置を用いて測定すること(Persson, FEBS Letts. 413: 359-363, 1997)、(iv)第VIIa因子及び/又は第VIIa因子関連ポリペプチドによる合成基質の加水分解を測定すること、(v)TF非依存性のトロンビン生成をインビトロ系で測定すること、によって定量してもよい。
修飾第VII因子の生物活性:
修飾第VII因子の生物活性は、例えば、WO 92/15686号に記載されているものと同様の競合凝固アッセイ(実施例3)(アッセイ1)によって、又は以下のアッセイ2ないし7のうち1以上で測定することができる。
FVIIa/リン脂質中に埋没されたTFによって触媒されるFXの活性化の修飾第VII因子による阻害−FXa生成アッセイ(アッセイ2):
以下の実施例において、全ての濃度は最終濃度である。HBS/BSA(50mM hepes、pH7.4、150mM NaCl、5mM CaCl2、1mg/ml BSA)中の脂質化TF(10pM)、FVIIa(100pM)、修飾第VII因子(0−50nM)を、FX(50nM)を添加する前に、室温で60分インキュベートする。さらに10分経過した後、1/2容量の停止緩衝液(50mM Hepes、pH7.4、100mM NaCl、20mM EDTA)を添加して反応を停止させる。基質S2765(0.6mM、Chromogenix)を添加し、405nmの吸光度を10分間継続的に測定することによって、生成されたFXaの量を測定する。FVIIa/脂質化TFが媒介するFXの活性化のTFアンタゴニストによる阻害についてIC50値を算出してもよい。FFR−rFVIIaに対するIC50値は、本アッセイにおいて51+/−26pMである。
細胞表面TFへの125I−FVIIaの結合の修飾第VII因子による阻害−TF結合アッセイ(アッセイ3):
以下の例において、全ての濃度は最終濃度である。何れもTFを構成的に発現しているヒト膀胱カルシノーマ細胞株J82(ATTC No.HTB−1)又はヒトケラチン産生細胞株(CCD1102KerTr ATCC No CRL−2310)又はNHEK P166(Clonetics No.CC−2507)を用いた結合試験を利用する。5mM EDTAを補充した緩衝液A(10mM Hepes、pH7.45、150mM NaCl、4mM KCl、及び11mM グルコース)で一度、次いで、緩衝液Aと緩衝液B(緩衝液Aに1mg/ml BSAと5mM Ca2+を補充したもの)で一度ずつ、24ウェルの組織培養プレート中の稠密単層を洗浄する。100μlの冷えた緩衝液Bとともに、前記単層を2分間プレインキュベートする。様々な濃度の修飾第VII因子と放射性標識したFVIIa(0.5nM 125I−FVIIa)とを前記細胞に同時に添加する(最終容量200μl)。このプレートを4℃で2時間インキュベートする。インキュベートが終了した時点で、未結合の物質を除去し、氷冷した緩衝液Bで前記細胞を4回洗浄し、300μlの溶解緩衝液(200mM NaOH、1%SDS及び10mM EDTA)により溶解させる。ガンマカウンター(Cobra, Packard Instruments)中で放射能を測定する。結合データを分析し、GraFit4(Erithacus Software,Ltd., (U.K.))を用いてカーブフィッティングを行う。FFR−rFVIIaに対するIC50は、本アッセイでは4nMである。
FVIIa/sTFアミド分解活性の阻害(アッセイ 4):
可溶性ヒトTF(10nM)、組換えヒトFVIIa(10nM)、漸増濃度の修飾第VII因子を用いて、修飾第VII因子によるFVIIa−TF触媒性アミド分解活性の阻害を試験する。基質S2288(1.2mM、Chromogenix)を添加する前に、BSA緩衝液(50mM Hepes、pH7.4、100mM NaCl、5mM CaCl2、1mg/ml BSA)中の10nM sTF及び10nM FVIIaとともに、様々な濃度の修飾第VII因子を室温で60分間プレインキュベートする。405nmで発色を30分間継続的に測定する。アミド分解活性は、mOD/分として表される。修飾第VII因子によるFVIIa/TFアミド分解活性の阻害に対するIC50値を算出してもよい。
FXa生成の阻害(アッセイ5):
FX(50nM)を添加する前に、BSA緩衝液(アッセイ4参照)中の脂質化TF(10pM)、FVIIa(100pM)、及び修飾第VII因子(0−50nM)を室温で60分インキュベートする。さらに10分経過した後、1/2容量の停止緩衝液(50mM Hepes、pH7.4、100mM NaCl、20mM EDTA)を添加して反応を停止させる。基質S2765(0.6mM、Chromogenix)を添加し、405nmの吸光度を10分間継続的に測定することによって、生成されたFXaの量を測定する。FVIIa/脂質化TFが媒介するFXの活性化の修飾第VII因子による阻害についてIC50値を算出してもよい。FFR−rFVIIaに対するIC50値を算出してもよい。
TF依存性凝固アッセイ(アッセイ6):
本アッセイは、ACL300 Research凝固装置(ILS Laboratories)で行う。50mM イミダゾール、pH7.4、100mM NaCl、0.1% BSA中に修飾第VII因子を希釈したものを、2ないし5の比率で、25mM CaCl2と混合し、前記凝固装置中のサンプルカップ中に添加する。修飾第VII因子を加えていない試料中での凝固時間が概ね30秒となるように、前記イミダゾール緩衝液で希釈したヒト、ラット、ウサギ、ヒヒ、又はブタのトロンボプラスチンを試薬リザーバ2の中に入れ、ヒト、ラット、ウサギ、ヒヒ、又はブタの血漿を試薬リザーバ3の中に入れる。分析の間、70μlの修飾第VII因子とCaCl2混合物を25μlのトロンボプラスチン試薬に移し、60μlの血漿を添加し、凝固時間を測定する前に900秒プレインキュベートする。最大の凝固時間を400秒に設定する。修飾FVIIを添加しない対照と比較したTF活性に凝固時間を変換するための標準曲線として、トロンボプラスチンの希釈液を使用する。
FVIIa/細胞表面TFによって触媒されるFXの活性化の修飾第VII因子による阻害(アッセイ7):
ヒトTFを発現している細胞(例えば、ヒト肺繊維芽細胞WI−38(ATCC No.CCL−75)、ヒト膀胱カルシノーマ細胞株J82(ATCC No.HTB−1)、ヒトケラチン産生細胞株CCD 1102KerTr(ATCC no.CRL−2310)、ヒト膠芽細胞腫細胞株U87、又はヒト乳がん細胞株MDA−MB231)の単層を、FVIIa/TFによって触媒されるFXの活性化におけるTF源として使用する。緩衝液A(10mM Hepes,pH7.45、150mM NaCl、4mM KCl、及び11mM グルコース)中で一度、緩衝液B(緩衝液Aに、1mg/ml BSAと5mM Ca2+を補充したもの)中で、24−、48−、又は96ウェルプレート中の稠密な細胞単層を一度洗浄する。緩衝液B中のFVIIa(1nM)、FX(135nM)、及び様々な濃度の修飾第VII因子を前記細胞に同時に添加する。あるいは、rFVIIaとFXを添加する前に、前記細胞を修飾第VII因子とともに15分プレインキュベートする。37℃で15分間、FXaを形成させる。各ウェルから50μlの分取試料を採取し、50μlの停止緩衝液(緩衝液Aに10mM EDTAと1mg/ml BSA)を添加したもの。50μlの上記混合物をマイクロタイタープレートのウェルに移し、25μlのChromozym X(最終濃度0.6mM)を前記ウェルに添加することによって、生成されたFXaの量を測定する。405nmの吸光度を継続的に測定し、FXa標準曲線を用いて、発色の初速をFXa濃度に変換する。
以下の実施例は例示の目的でのみ記載されており、限定を意図するものではない。
[実施例1]
典型的な組成物が示されている。表1には、組成物が液状形態の時点(すなわち、フリーズドライを行う前の組成物又はフリーズドライを行った後に溶液中に再構成した組成物)での活性成分と賦形剤の濃度が示されている。表2には、組成物が固形(すなわち、フリーズドライされた形態)の時点での活性成分と賦形剤の濃度が示されている。
表1 組成物、溶液中の賦形剤の含量
Figure 0005184738
表2 組成物、固形中の賦形剤の含量
Figure 0005184738
[実施例2]
安定性を表すパラメータの測定で使用する分析法:
A.逆相HPLC(RP−HPLC)による酸化型の測定:
HPLCカラム:5μmの粒径と300Åの孔径を有するブチル結合されたシリカを充填した4.5×250mmカラム。カラム温度:70℃。溶出液A:水99.9% v/v及びトリフルオロ酢酸0.1% v/v。溶出液B:アセトニトリル80% v/v、トリフルオロ酢酸0.09% v/v、及び水19.91% v/v。30分でX% Bが(X+13)% Bまで増加する線形グラジエントで、カラムを溶出した。流速:1.0ml/分。検出:214nm。
酸化型は、FFR−FVIIaのメチオニンスルホキシドである。2つの主な誘導体は、Met(O)298−FFR−FVIIaとMet(O)306−FFR−FVIIaである。
酸化型の含量は、酸化型のFFR−FVIIaとして回収された組成物中のFFR−FVIIaの初期量に対するパーセントとして表される。FFR−FVIIaの初期量は、フリーズドライ前に組成物を調製する時点でのFFR−FVIIaの量に関する。
B.高性能ゲル浸透クロマトグラフィー(GP−HPLC)によるFFR−FVIIのポリマー、オリゴマー、又はダイマーの測定
移動相として0.2M 硫酸アンモニウム pH7.0を用いて、Waters Protein Pak 300 SWカラム、7.5×300mm上でGP−HPLCを行った。流速:0.5ml/分、検出:215nm。凝集物の含量は、ダイマー及びポリマー型のFFR−FVIIaとして回収された組成物中のFFR−FVIIaの初期量に対するパーセントとして表されている。FFR−FVIIaの初期量とは、フリーズドライ前に組成物を調製する時点でのFFR−FVIIaの量である。
[実施例3]
実施例1の組成物について、フリーズドライを終結した後のダイマー、ポリマー及び酸化型のFFR−VIIaの含量を報告する。含量は、ダイマー、ポリマー、又は酸化型として回収された修飾第VII因子(ここでは、FFR−VIIa)の量を表している。
表3 ダイマー、ポリマー、及び酸化型のFFR−VIIaの含量
Figure 0005184738
[実施例4]
実施例1の組成物について、5℃で18ヶ月、25℃で6、12、18、及び32ヶ月、又は45℃で8週間保存した際のダイマー、ポリマー、酸化型のFFR−VIIa含量の増加が報告されている。保存時間は、フリーズドライを終結した時点から計算されている。前記組成物は、組成物の製造を終了した時点で、当初から一定量の分解生成物を有していることが通例であるため、含量の増加は、前記保存時にダイマー、ポリマー、又は酸化型として回収されたFFR−VIIaの増加量を表している。
表4 5℃で18ヶ月保存
Figure 0005184738
表5 25℃で6ヶ月保存
Figure 0005184738
表6 25℃で12ヶ月保存
Figure 0005184738
表7 25℃で18ヶ月保存
Figure 0005184738
表8 25℃で32ヶ月保存
Figure 0005184738
表9 45℃で8週間保存
Figure 0005184738
[実施例5]
フリーズドライケーキの構造的な安定性が、様々な組成物1−6について示されている。マンニトールとスクロースの含量が、各組成物について報告されている(表10)。組成物は、1mg/mlの濃度でFFR−FVII又はFRR−IIaを含み、塩化ナトリウム、塩化カルシウム・2HO、グリシルグリシン、及びtweenなど他の賦形剤が5.7mg/mlの量で追加されている。フリーズドライされたケーキの構造的な安定性が表11に報告されている。
表10 様々な量のマンニトールとスクロースを含む組成物
Figure 0005184738
表11 マンニトールとスクロースの比によるフリーズドライケーキの安定性
Figure 0005184738

Claims (43)

  1. i)修飾第VII因子と、
    ii)当該組成物を水に溶かしたときに、当該組成物のpHを4ないし7の範囲に維持するのに適した物質と、
    iii)最大3%の水分含量と、
    iv)マンニトールと、
    v)スクロースと、
    vi)アスコルビン酸、システイン、ホモシステイン、シスチン、シスタチオニン、メチオニン、グルタチオン、並びにシステイン、ホモシステイン、シスチン、シスタチオニン、メチオニン、及びグルタチオンのうち何れか1つを含有するペプチドからなる群から選択される抗酸化剤
    を含み、
    スクロースに対するマンニトールの重量比(マンニトール:スクロース)が、5:1ないし1:1の範囲にある、組成物。
  2. 前記組成物のpHを4ないし7の範囲に維持するのに適した前記物質がグリシルグリシンであり、グリシルグリシンが最大7mg/mlの量で存在する、請求項1に記載の組成物。
  3. 前記組成物を水に溶かしたときに、前記組成物のpHが5.5ないし7.0の範囲にある、請求項1または2に記載の組成物。
  4. 前記スクロースに対する前記マンニトールの重量比が、4:1ないし5:4の範囲にある、請求項1ないし3の何れか1項に記載の組成物。
  5. 前記マンニトールと前記スクロースの合計に対する前記修飾第VII因子の重量比が、1:200ないし1:5の範囲にある、請求項1ないし3の何れか1項に記載の組成物。
  6. 前記組成物を45℃で8週間保存した際に、酸化型の前記修飾第VII因子の量が、組成物の調製時に組成物に添加される前記修飾第VII因子の初期含量に比べて最大4% w/wの量であるように前記組成物が安定である、請求項1〜5の何れか1項に記載の組成物。
  7. 前記組成物を25℃で12ヶ月保存した際に、酸化型の前記修飾第VII因子の量が、組成物の調製時に組成物に添加される前記修飾第VII因子の初期含量に比べて最大4% w/wの量であるように前記組成物が安定である、請求項1ないし5の何れか1項に記載の組成物。
  8. 前記組成物を25℃で32ヶ月保存した際に、酸化型の前記修飾第VII因子の量が、組成物の調製時に組成物に添加される前記修飾第VII因子の初期含量に比べて最大9.0% w/wの量であるように前記組成物が安定である、請求項1ないし5の何れか1項に記載の組成物。
  9. 前記組成物を5℃で32ヶ月保存した際に、酸化型の前記修飾第VII因子の量が、組成物の調製時に組成物に添加される前記修飾第VII因子の初期含量に比べて最大5.0% w/wの量であるように前記組成物が安定である、請求項1ないし5の何れか1項に記載の組成物。
  10. 前記組成物を45℃で8週間保存した際に、酸化型の前記修飾第VII因子の含量が、組成物の調製時に組成物に添加される前記修飾第VII因子の初期含量に対して最大2.0% w/wの量で増加するように前記組成物が安定である、請求項1ないし5の何れか1項に記載の組成物。
  11. 前記組成物を25℃で32ヶ月保存した後に、酸化型の前記修飾第VII因子の含量が、組成物の調製時に組成物に添加される前記修飾第VII因子の初期含量に比べて最大7.0% w/wの量で増加するように前記組成物が安定である、請求項1ないし5の何れか1項に記載の組成物。
  12. 前記組成物を5℃で32ヶ月保存した後に、酸化型の前記修飾第VII因子の含量が、組成物の調製時に組成物に添加される前記修飾第VII因子の初期含量に比べて最大2.5% w/wの量で増加するように前記組成物が安定である、請求項1ないし5の何れか1項に記載の組成物。
  13. 前記マンニトールの量が、30% w/wないし95% w/wの範囲にある、請求項1ないし12の何れか1項に記載の組成物。
  14. 前記スクロースの量が、1% w/wないし45% w/wの範囲にある、請求項1ないし12の何れか1項に記載の組成物。
  15. 前記スクロースに対する前記マンニトールの重量比が、3:1ないし3:2の範囲にある、請求項4、13および14の何れか1項に記載の組成物。
  16. 前記マンニトールと前記スクロースの合計に対する前記修飾第VII因子の重量比が、1:100ないし1:5の範囲にある、請求項5、13および14の何れか1項に記載の組成物。
  17. 張度調節物質をさらに含む、請求項1〜16の何れか1項に記載の組成物。
  18. 前記張度調節物質が、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、および塩化カルシウムからなる群から選択される、請求項17に記載の組成物。
  19. 界面活性剤をさらに含む、請求項1〜18の何れか1項に記載の組成物。
  20. 前記界面活性剤が、ポリソルベート(polysorbate)20若しくは80であるポリソルベート;ポリオキシエチレンアルキルエーテル;又はポロキサマー(poloxamer)188若しくは407であるポロキサマーからなる群から選択される、請求項19に記載の組成物。
  21. 前記修飾第VII因子が、
    活性部位の残基Ser344が修飾され、Gly、Met、ThrまたはAlaで置換されたヒト及びウシ第VII因子;
    残基Lys341が置換されたヒト第VII因子;
    残基Asp242が置換されたヒト第VII因子;
    残基His193が置換されたヒト第VII因子;
    FVII−(K341A);
    FVII−(S344A);
    FVII−(D242A);
    FVII−(H193A);
    ペプチドクロロメチルケトン又はペプチジルクロロメタン;アザペプチド;アシル化剤;スルホニルフルオリド;ジイソプロピルフルオロホスフェート(DFP);トシルプロピルクロロメチルケトン(TPCK);トシリシルクロロメチルケトン(TLCK);ニトロフェニルスルホネート;複素環式プロテアーゼ阻害剤から選択される試薬との反応によって活性部位が修飾された第VII因子ポリペプチド
    から選択される、請求項1ないし20の何れか1項に記載の組成物。
  22. 前記修飾第VII因子が、
    FVII−(S344A);
    FVII−(H193A);並びに
    L−Phe−Phe−Argクロロメチルケトン、D−Phe−Phe−Argクロロメチルケトン、L−Phe−Pro−Argクロロメチルケトン、D−Phe−Pro−Argクロロメチルケトン、L−Glu−Gly−Argクロロメチルケトン、D−Glu−Gly−Argクロロメチルケトン、ダンシル−L−Phe−Phe−Argクロロメチルケトン、ダンシル−D−Phe−Phe−Argクロロメチルケトン、ダンシル−L−Phe−Pro−Argクロロメチルケトン、ダンシル−D−Phe−Pro−Argクロロメチルケトン、ダンシル−L−Glu−Gly−Argクロロメチルケトン、及びダンシル−D−Glu−Gly−Argクロロメチルケトン.クロロメチルケトン、ダンシル−D−Phe−Pro−Argクロロメチルケトン、ダンシル−L−Glu−Gly−Argクロロメチルケトン、及びダンシル−D−Glu−Gly−Argクロロメチルケトンから選択される試薬との反応によって活性部位が修飾された第VII因子ポリペプチド
    から選択される、請求項21に記載の組成物。
  23. 前記修飾された第VII因子が、ダンシル−EGR−FVIIa、ダンシル−EGR−FVII、FFR−FVIIa、FFR−FVII、PPA−FVIIa、PPA−FVII、Ser344−FVIIa、及びSer344−FVIIからなる群から選択される、請求項22に記載の組成物。
  24. 充填剤として作用する他の薬学的賦形剤をさらに含む、請求項1〜23の何れか1項に記載の組成物。
  25. pHを4ないし7の範囲に維持するのに適した物質が、クエン酸塩、ヒスチジン、リンゴ酸塩、リン酸塩、酒石酸、コハク酸、MES、HEPES、イミダゾール、TRIS、乳酸塩、グルタミン酸塩、及びグリシルグリシンからなる群から選択され、但し、前記物質がグリシルグリシンである場合には、前記物質は最大7mg/mlの量で存在する、請求項1に記載の組成物。
  26. グリシルグリシンの量が、最大4mg/mlである、請求項2に記載の組成物。
  27. 前記水分の含量が、最大2% w/wの水分である、請求項1〜26の何れか1項に記載の組成物。
  28. 前記組成物が凍結乾燥ケーキである、請求項1〜27の何れか1項に記載の組成物。
  29. 前記組成物が、修飾第VII因子、CaCl2、NaCl、グリシルグリシン、マンニトール、スクロース、メチオニンおよびポリソルベート80を含む、請求項1〜28の何れか1項に記載の組成物。
  30. 前記修飾第VII因子がFFR−FVIIaである、請求項29に記載の組成物。
  31. 前記組成物が、下記の調合物Cである、請求項30に記載の組成物。
    Figure 0005184738
  32. 前記組成物が、下記の調合物Fである、請求項31に記載の組成物。
    Figure 0005184738
  33. 安定な修飾第VII因子を調製する方法であって、
    i)マンニトールと、
    スクロースと、
    アスコルビン酸、システイン、ホモシステイン、シスチン、シスタチオニン、メチオニン、グルタチオン、並びにシステイン、ホモシステイン、シスチン、シスタチオニン、メチオニン、及びグルタチオンのうち何れか1つを含有するペプチドからなる群から選択される抗酸化剤と
    を含有するpHが4ないし7の範囲にある溶液中に、前記修飾第VII因子を供給する工程と、
    ii)前記溶液を処理して、水分含量が最大3% w/wである固形組成物を得る工程と、
    を備え、
    スクロースに対するマンニトールの重量比(マンニトール:スクロース)が、5:1ないし1:1の範囲にある方法。
  34. 前記スクロースに対する前記マンニトールの重量比が、4:1ないし5:4の範囲にある、請求項33に記載の方法。
  35. 前記マンニトールが、1mg/mlないし60mg/mlの範囲の量である、請求項33または34に記載の方法。
  36. 前記スクロースが、1mg/mlないし50mg/mlの範囲の量である、請求項33または34に記載の方法。
  37. 前記処理がフリーズドライを含む、請求項33ないし36の何れか1項に記載の方法。
  38. 血液凝固を抑制するための医薬であって、
    i)修飾第VII因子、
    ii)当該組成物を水に溶かしたときに、4ないし7の範囲に当該組成物のpHを維持するのに適した物質と、
    iii)最大3%の水分含量と、
    iv)マンニトールと、
    v)スクロースと、
    vi)アスコルビン酸、システイン、ホモシステイン、シスチン、シスタチオニン、メチオニン、グルタチオン、並びにシステイン、ホモシステイン、シスチン、シスタチオニン、メチオニン、及びグルタチオンのうち何れか1つを含有するペプチドからなる群から選択される抗酸化剤
    を含み、
    スクロースに対するマンニトールの重量比(マンニトール:スクロース)が、5:1ないし1:1の範囲にある組成物を備えた医薬を調製するための修飾第VII因子の使用。
  39. 前記血液凝固が、血管形成、深部静脈血栓、肺塞栓、発作、汎発性血管内凝固症候群(DIC)、グラム陰性内毒血症を伴う肺及び腎臓内のフィブリン沈着、並びに心筋梗塞からなる群から選択される症状と関連する、請求項38に記載の使用。
  40. 組織因子媒介反応を抑制するための医薬であって、
    i)修飾第VII因子、
    ii)当該組成物を水に溶かしたときに、4ないし7の範囲に当該組成物のpHを維持するのに適した物質と、
    iii)最大3%の水分含量と、
    iv)マンニトールと、
    v)スクロースと、
    vi)アスコルビン酸、システイン、ホモシステイン、シスチン、シスタチオニン、メチオニン、グルタチオン、並びにシステイン、ホモシステイン、シスチン、シスタチオニン、メチオニン、及びグルタチオンのうち何れか1つを含有するペプチドからなる群から選択される抗酸化剤
    を含み、
    スクロースに対するマンニトールの重量比(マンニトール:スクロース)が、5:1ないし1:1の範囲にある組成物を備えた医薬を調製するための修飾第VII因子の使用。
  41. 前記組織因子媒介反応が、SIRS、ARDS、MOF、HUS、及びTTPからなる群から選択される症状と関連する、請求項40に記載の使用。
  42. 前記医薬が溶解に適している、請求項38ないし41の何れか1項に記載の使用。
  43. 前記組成物が請求項1ないし32の何れか1項に記載されている組成物である、請求項38ないし42の何れか1項に記載の使用。
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