JP5180422B2 - Hiv浸入のペプチドインヒビター - Google Patents
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Description
関連出願
本願は、2000年9月22日に出願された米国出願第09/668,072号の継続出願及び1999年7月30日に出願された米国出願第09/364,497号の一部継続出願であり、1999年5月3日に出願された米国出願第60/132,295号、1998年9月18日に出願された米国仮出願第60/101,058号、1998年9月14日に出願された米国出願第60/100,265号、並びに1998年7月30日に出願された米国出願第60/094,676号の利益を特に主張するものである。全ての上記引用出願の全教示は参照により本明細書に取り込まれる。
【0002】
政府支援
本明細書に記載の研究は、その全部又は一部に対し、国立健康研究所から助成番号P01 GM56552 号により出資されたものである。米国政府は本発明の権利を有する。
【0003】
発明の背景
HIVは、世界中のAIDS伝染を担うウイルスである。HIV感染の初期段階には、ウイルス膜の標的細胞膜との融合、ウイルス内容物の細胞の細胞質への注入過程が関係する。ウイルス側では、融合活性を担う分子複合体は、表面タンパク質gp120及び貫膜タンパク質gp41を含む。gp120が標的細胞上のタンパク質CD4及びコレセプター(coreceptor)と相互作用し、その結果、gp41に、そのアミノ末端(融合ペプチド領域)が標的細胞膜へ挿入されるような立体構造的変化が生ずると、現在仮定されている。この構造的再配列が、余り分かっていないメカニズムを通してウイルス膜と細胞膜との融合を促進する。
【0004】
発明の要約
本明細書は、可溶性三量体コイルドコイル及びHIV gp41のN−ペプチド領域の全部又は一部を含有してなるキメラペプチドを開示する。これらの分子は、ヒト細胞等の細胞へのHIV浸入を阻害する安定な三量体コイルドコイルである。かかるペプチドは、さらに評価され、強力な抗HIV治療用分子、従って、治療用分子又は薬物として働くそれらの能力が示されうる。
【0005】
本件特許出願は、カラーで作製された少なくとも1つの図面を含む。1若しくは複数のカラーの図面を有する本件特許のコピーは、請求および必要な料金の納付に基づいて特許商標庁(Patent and Trademark Office) により提供されるであろう。
【0006】
発明の詳細な説明
本発明は、可溶性IQ(又はIN)ペプチドと呼ぶ可溶性ペプチドに関する。かかるペプチドは、本明細書に記載の条件下、安定な三量体コイルドコイル(らせん)構造にホールディングされ、ヒト細胞等の哺乳動物細胞のHIV感染を阻害する。特定の態様では、可溶性IQペプチドは、本明細書に記載の条件下、ヒト細胞のHIV感染のD−ペプチドインヒビターにも結合する。1つの態様では、可溶性IQペプチドは、三量体コイルドコイルペプチド及びHIV gp41のN−ヘリックスコイルドコイル(HIV gp41 N−ペプチド)の一部を含有してなる;該成分は、以下の「順番」で存在する:N−末端−三量体コイルドコイルペプチド−HIV gp41のN−ヘリックスコイルドコイル−C−末端。三量体コイルドコイルペプチドは、酵母転写活性化因子であるGCN4;モロニーマウス白血病ウイルス(MoMLV);GCN4−pII、GCN4−pIQ I、及びABCヘテロ三量体等の様々な供給源に由来しうる(該供給源中のアミノ酸残基に相当するアミノ酸残基を含みうる)。また、Tanakaらが記載するイソロイシンジッパー(IZ)、又はこの「IZ」配列の誘導体等の他の設計された三量体コイルドコイルに由来しうる。三量体コイルドコイルペプチドがイソロイシンジッパーに由来するこれらの態様では、それらはIZペプチドと呼ばれる。他方、HIV由来の三量体コイルドコイルペプチドを含みうる。目的のコイルドコイルの3つの例は以下の通り:
変異を有する、Tanakaら由来の「IZ」分子:
【0007】
本発明のIQペプチドを含むアミノ酸残基は、得られるIQペプチド(それらが存在するIQペプチド)が安定で、可溶性で、らせんであり、三量体であり、かつヒト細胞のHIV感染を阻害するという条件下、それが由来する三量体コイルドコイルペプチド中、連続又は非連続であるアミノ酸残基、及び/又はHIV gp41のN−ペプチド中、連続又は非連続であるアミノ酸残基でありうる。IQペプチドのいずれか又は両方の成分の非連続アミノ酸残基が存在するIQペプチドの態様において、IQペプチドに含まれる残基は、連続でありうるか、又はリンカーにより分離若しくは連結されうる。該リンカーは、例えば、該成分が由来するペプチド中の2つのアミノ酸残基間に存在しない1若しくは複数のアミノ酸残基でありうる。他方、「リンカー」は、化学的リンカー又は合成リンカーでありうる。成分自体(又はアミノ酸配列をコードする1若しくは複数の核酸分子)が、それが存在する供給源から(例えば、それが除去されうるタンパク質の一部として等、ペプチドが存在する細胞から)得られ、又は単離され/分離されるならば、或いはペプチドの配列と同じ若しくは実質的に同じであるアミノ酸配列又は核酸配列を含むように、組換えDNA法、化学合成又は任意の他の方法により生産されるならば、本発明のIQペプチドの成分は、他のペプチド(例えば、三量体コイルドコイル又はHIV gp41のN−ペプチド)に「由来する」と考えられる。すなわち、該用語は広く解釈されることを意図しており、成分が物理的に、言及するペプチド由来であることは必要でない。
【0008】
可溶性IQペプチドがGCN4三量体コイルドコイルペプチドであるIQ領域を含む態様では、それらをIQNペプチドと呼ぶ。IQNペプチドは、GCN4−pIQ I(米国仮出願第60/101,058号明細書;Eckert D.M. et al., J. Mol. Biol., 284:859-865(1998)では以前GCN4−pIQと呼ばれる)の全部又は一部、又は可溶性の増加した変異を含む修飾タンパク質等のGCN4−pIQ Iの全部または一部の修飾バージョン、並びにHIV gp41のN−ペプチドの全部又は一部を含有してなる。典型的には、HIV gp41 N−ペプチドの全残基と同等及びそれを含む、5以上(例えば、7、8、9又は10)のHIV gp41 N−ペプチド由来のアミノ酸残基は、IQペプチドのHIV gp41成分を含有してなるであろう。
【0009】
本発明の可溶性IQNペプチドは、特定の態様では、HIV gp41のC−ペプチド(領域)に結合するのに充分なHIV gp41 N−ペプチドの一部、及びGCN4三量体コイルドコイルペプチドの充分な一部又は得られるIQNペプチドが可溶性三量体(らせん)コイルドコイルである、GCN4ペプチドの修飾バージョンを含有してなる。さらなる態様では、IQNペプチドは、HIV gp41のポケット又はキャビティーを形成するアミノ酸残基(N−ペプチドのポケット含有残基)を含むHIV gp41 N−ペプチドの一部を含有する。さらなる態様では、IQNペプチドは、HIV gp41のポケット又はキャビティーを形成するアミノ酸残基を含有しない。しかしながら、それらは、HIV gp41由来のアミノ酸残基を含有する。(例えば、IQN23、IQN36及びIQN26参照)。
【0010】
IQペプチドの名称では、IQペプチド中に存在するHIV gp41 N−ペプチド又はHIV gp41 N−ペプチドの修飾バージョン由来のアミノ酸残基の数をいう。例えば、HIV gp41の17アミノ酸残基が、本明細書に記載のIQN17ペプチドに含まれる。先に説明するように、IQペプチドの三量体コイルドコイルペプチド成分はアミノ酸組成(同一性及び数/長さ)においてHIV gp41 N−ペプチド部分との結合の際、可溶性三量体らせん(コイルドコイル)IQペプチドの形成に至るのに充分でなければならない。本発明のIQNペプチドの特定の態様では、「GCN4部分」と呼ぶ三量体コイルドコイルペプチドは、GCN4の少なくとも15、16、17、18、19又は20アミノ酸残基を含む。IQNペプチドの成分に存在するアミノ酸残基は、得られるIQNペプチドが、本明細書に記載のような、ヒト細胞のHIV感染のインヒビターであるという条件下、GCN4転写活性化因子(又はGCN4−pIQ I)及びHIV gp41 N−ペプチド、又は該活性化因子若しくは該N−ペプチドの修飾バージョンそれぞれにおいて、連続又は非連続であるアミノ酸残基に相当しうる。本発明のIQ及びIZペプチドは、連続ペプチドとして、又はそれらが形成された後に結合若しくは連結される成分として生産されうる。本明細書で使用する、用語「結合(joined)」又は「そのような様式で結合」又は「組み込み(incorporated)」には、いずれかのアプローチによりアミノ酸残基を取り込むことを含む。
【0011】
例えば、IQNペプチドのGCN成分は、GCN4−pIQ I、所望により(例えば、IQN17(配列番号:1)の場合のように、可溶性を増大させるため)修飾物由来の連続したアミノ酸残基を含みうる。他方、得られるIQNペプチドのGCN4成分中、それらが非連続又は連続である様式で結合された、GCN4活性化因子中(又はGCN4−pIQ I中)、連続でないアミノ酸残基がIQNペプチド中に取り込まれうる。同様に、本発明のIQNペプチドのHIV gp41 N−ペプチド成分のアミノ酸残基は、HIV gp41 N−ペプチド中、連続的に又は非連続的に存在するアミノ酸残基でありえ、得られるペプチド中、それらは連続又は非連続の様式でIQNペプチド中に取り込まれうる。非連続のアミノ酸残基が使用される態様では、それらは、成分及びIQNペプチドのそれぞれの機能/特性を保持する必要があるならば、1以上の「リンカー」分子により分離されうる。例えば、GCN4又はHIV gp41 N−ペプチドの2つのアミノ酸残基間に通常存在する1若しくは複数の残基以外の1若しくは複数のアミノ酸残基を、IQNペプチド中、2つのアミノ酸残基を連結又は結合するのに使用しうる。他方、例えば、リンカーは化学的リンカー又は合成リンカーでありうる。本明細書に記載される条件下、IQNペプチドは安定構造にホールディングされ、HIV−1感染のペプチドインヒビターに結合し、及びヒト細胞のHIV感染を阻害することが示された。例えば、IQN17及びIQN23は、安定構造にホールディングされ、HIV−1感染のインヒビターであることが以前示されているD−ペプチドに結合し、及びヒト細胞のHIV感染を阻害することが示された。IQN36並びに「IQ」領域が短縮されているIQN17のバージョンも記載されている。これらの短縮バージョンは、治療的に有効である可能性がある。というのは、例えば、それらは、より大きなペプチドより、より簡単により低コストに生産されるからである。
【0012】
IQNペプチドの特定の態様はIQN17である。IQN17は、可溶性増大のための3つの変異を含むGCN4−pIQ Iの29残基、及びHIVの17残基を含む;全長45残基の融合タンパク質を形成する、2つのタンパク質間で1残基の重複が存在する。GCN4−pIqIの配列は、
である。この態様では、HIV配列は:
である。IQN17の配列は:
である。提示した配列では、acはN−末端アセチル基を表し、amはC−末端アミド基を表わす。IQN17は、本明細書に記載のように、ヒト細胞のHIVを阻害することが示された。
【0013】
HIV gp41 N−ヘリックス(配列番号:2)の17アミノ酸残基をそれぞれ含むが、IQN17に存在するより短いGCN成分を含むIQN17の短縮バージョンも本発明の主題である。これらの短縮IQN17ペプチドの特定の例は以下の通り:
a)短縮IQN17#1、(配列番号:5)、中にGCN4−pIQ Iの以下の8アミノ酸残基が存在:EIARIKKL(配列番号:19);
b)短縮IQN17#2(配列番号:6)、中にGCN4−pIQ Iの以下の15アミノ酸残基が存在:KQKKIENEIAAIKKL (配列番号:20)及び
c)短縮IQN17#3(配列番号:7)、中に以下の非HIVの15アミノ酸残基が存在 KIKKIENEIARIKKL (配列番号:21)。これはIがQに変異したGCN4−pIQ I’であり、GCN4−pII’と呼ぶ。
d)短縮IQN17#4(配列番号:8)、中にGCN4−pIQ pの以下の21アミノ酸残基が存在:KIEEIESKQKKIENEIARIKKL(配列番号:22)及び
e)短縮IQN17#5(配列番号:9)、中に以下の非HIVの21アミノ酸残基が存在:KIEEIESKIKKIENEIARIKK (配列番号:23)。
【0014】
本発明の他の特定の態様はIQN23である。IQN23バージョン1と呼ぶ1つの態様は以下の配列を有する:
IQN23バージョン1において、GCN4成分中に29アミノ酸残基、およびHIV gp41成分中に23アミノ酸残基が存在する(合計52アミノ酸残基)。IQN23バージョン2と呼ぶIQN23の第2の態様は、gp41のN−ペプチドの23アミノ酸残基及びそのGCN成分中に29アミノ酸残基も含むが、IQN23バージョン1とはアミノ酸残基17と18(及び15位のLがEに変更されている)で異なる。バージョン1では、これらの2つの残基はそれぞれYとHであり、バージョン2では、それらはそれぞれ共にKである。3つの修飾が行われている−L、Y及びH。これらは、IQN17をより可溶性にした同じ3つの修飾である。2つの「バージョン」はGCN4−pIQ I及びGCN4−pIQ I’と呼ぶ。IQN23バージョン2の配列は以下の通り:
本明細書に記載のように、IQN23(両バージョン)はIQN17より、より効果的にHIV感染を阻害する。
【0015】
本発明のIQNペプチドの他の特定の態様はIQN36である。IQN36には、GCN4−pIQ Iの30アミノ酸残基及びHIVの36アミノ酸残基が存在する。IQN36(配列番号:4)の配列を図2に示す。GCN4−pIQ I成分の配列は:
であり、HIVアミノ酸残基は:
である。IQN36の配列は:
である。
【0016】
IQN17のバリアントである広範な種々の融合タンパク質が生産されえ、HIVの阻害に使用されうる。融合タンパク質としては、単一の連続分子として構成されるタンパク質、又は続いて共に結合若しくは連結されている成分として構成されるタンパク質が挙げられる。任意の広範な種々のバリエーションが、これらがコイルドコイルの三量体状態を変化させない条件下、IQN17のGCN4−pIqI成分において作られえ、該方法において使用されうる。例えば、GCN4成分のアミノ酸組成は、コイルドコイルの三量体状態が維持されるという条件下、1以上のアミノ酸残基の付加、置換、修飾及び/又は欠失により変えられうる。例えば、IQN17のAsp残基(コイルドコイルの「f−位」における)は、天然に存在する任意のアミノ酸により置換されうる。(O'Neil and DeGrado, Science 250:646 (1990))。他方、融合タンパク質のこの成分は、モロニーマウス白血病ウイルス(Fass, D. et al. Nature Struct. Biology, 3:465 (1996))由来のタンパク質、GCN4−pII(Harbury et al., Nature, 317:80, 1994)又はABCヘテロ三量体(Nautiyal and Alber, Protein Science 8:84 (1999) )、又はTanakaらにより開示されるイソロイシンジッパー等の、他のタンパク質のコイルドコイル領域の三量体バージョンでありうる。
【0017】
また、HIV gp41 NペプチドのC−末端部分である融合タンパク質成分のアミノ酸組成において変化させ、細胞のHIV感染を防ぐのに使用される種々の融合タンパク質を生産することができる。C−末端部分は、1以上のアミノ酸残基の付加、置換、修飾及び/又は欠失により変化させうる。融合タンパク質のいずれかの成分又は両方の成分のアミノ酸組成を変化させることができ、コイルドコイルの三量体状態が維持されるという条件下、変化が可能なアミノ酸残基の数若しくは型に制限はない。多くの態様においてポケットが存在するが、gp41のポケット又はキャビティーが含まれることは必ずしも必要でない。
【0018】
全ての態様において、薬物の制御された放出若しくは時間放出(緩慢な放出、投与又は挿入の一定時後における放出)は、例えば、薬物を緩慢に放出する、又は規定時間後に放出する組成物に薬物を取り込むことにより影響されうる。他方、薬物は、薬物をその投与若しくは(例えば、血液、膣、口又は直腸へ)適用後直ちに若しくはすぐに放出する組成物に取り込まれうる。複合放出(例えば、ある薬物は挿入後直ちに若しくは直ぐに放出され、ある薬物は挿入後経時的に若しくは一定時に放出される)はまた効果的でありうる(例えば、挿入後直ちに若しくは直ぐに放出若しくは送達が生ずるもの及び/又は放出若しくは送達が緩慢なもの及び/又は一定時後に放出が生ずるものの、2以上の材料からなる組成物を製造することによる)。例えば、HIVキャビティーに結合する1若しくは複数の薬物を、米国特許第4,707,362 号に教示されるもの等の徐放性組成物に取り込みうる。クリーム、泡、ゲル又は坐剤も産児制限目的に使用されるものでありうる(例えば、殺精子薬又は他の避妊薬剤を含む)。しかしながら、それは必ずしも必要でない(e.a.抗HIV薬物を送達することが、単独で、又は抗細菌薬物若しくは抗真菌薬物又は滑剤等の他の非避妊薬剤と組み合わせて、単独で使用されうる)。本発明の抗HIV薬物はまた、HIV gp41 N−ヘリックス コイルドコイルに結合する1若しくは複数の薬物を、使用条件下に放出されうる様式でコーティングした、又はそれらに取り込んだ避妊装置(例えば、コンドーム、子宮キャップ、ペッサリー)の使用を通して個体に投与されうる。1若しくは複数の薬物の放出は、上記するように、直ちに、緩慢に又は一定時に生じうる。その結果、それらはHIVと接触し、結合し、細胞へのウイルス浸入を低減又は防ぐ。
【0019】
本発明の融合タンパク質は、(非HIV起源またはHIV起源の)タンパク質のコイルドコイル領域の可溶性三量体形態またはバージョンなどのコイルドコイルの可溶性三量体形態またはバージョン、およびC−ペプチド領域に結合するのに十分な、HIV gp41のNペプチドのC−末端の部分を含有する。1つの態様では、N−ペプチドのC−末端の部分は、C−ペプチド領域に結合するのに十分なアミノ酸残基を含有し、HIVコイルドコイルキャビティーまたは疎水性ポケット(N−ペプチドのポケット含有残基)を含む。HIV gp41のN−ペプチドは、HIV−1、HIV−2、他のHIV株、または他の種(例えば、サル免疫不全ウイルス(SIV)、ネコ免疫不全ウイルスまたはビスナウイルス)由来の株のものでありうる。例えば、HIV−2配列 LLRLTVWGTKNLQARVT(配列番号:26)、SIV配列 LLRLTVWGTKNLQTRVT(配列番号:27)またはHIV−1、HIV−2およびSIVにおけるインバリアント残基を含有する配列〔LL XLTVWGXK-'UQXR-XX(配列番号:28)(式中、アミノ酸残基L,T,V,W,G,K,Q およびR は、アミノ酸残基に使用される一文字コードであり、X は、任意のアミノ酸残基でありうる)で表される〕。本発明の主題はまた、HIV gp41疎水性ポケットの可溶性三量体モデルであり、それはD−ペプチドまたはL−ペプチドであり得、可溶性三量体コイルドコイルおよびHIV gp41のN−ヘリックスコイルドコイル領域のポケットを形成するアミノ酸残基を含有するのに十分な、HIV gp41のNペプチド領域の部分を含有する。D−ペプチドまたはL−ペプチドは、可溶性三量体コイルドコイルとして、GCN4−pIQ I;GCN4−pII;モロニーマウス白血病ウイルスまたはABCヘテロ三量体を含有しうる。ポケットのアミノ酸残基を含有するのに十分な、HIV gp41のNペプチドの部分である成分は、例えば、HIV−1の LLQLTVWGIKQLQARIL(配列番号:18);HIV−2の LLRLTVWGTKNLQARVT(配列番号:26);SIVの LRLTVWGTKNTLQTRVT(配列番号:27)、または LLXLTVWGXKXLQXRXX(配列番号:29)であるこれらのインバリアント残基を含有しうる。
【0020】
本発明の1つの態様は、成分が、タンパク質のコイルドコイル領域の三量体バージョン(GCN4−pIQ Iなど)、およびN−ヘリックスキャビティーの全部または一部を含むか、あるいは含まないHIV gp41のN−ヘリックスコイルドコイルである、融合タンパク質である。すなわち、本発明の融合タンパク質は、GCN4−pIQ Iのコイルドコイル領域の三量体形態およびHIV gp41のN−ペプチドの部分を含有し得、ここで、gp41のN−ペプチドの部分は、HIV−I gp41のN−ヘリックスキャビティーの一部または全部を含むか、あるいは含まない。例えば、GCNL4−pIQ I由来の残基およびN36由来の残基を含む融合タンパク質が、作製されうる。IQN24nと表示される融合タンパク質は、可溶性の増加のための3つの変異を含有するGCN4−pIQ Iの29残基、およびN36のN−末端由来の24残基(SGIVQQQNNLLRAIEAQQHLLQLT)(配列番号:30)を含む;大腸菌における組換え発現のために、余分のMet 残基がN−末端に含まれる。例えば、融合タンパク質は、(配列番号:30)のアミノ酸配列を含有するHIV gp41のN−ペプチドの部分を含有しうる。IQN24nの配列は:MRMKQIEDKIEEIESKQKKIENEIARIKKLISGIVQQQNNLLRAIEAQQHLLQLT (配列番号:31)である。この融合タンパク質は、化学合成または組換えDNA 法を含む種々の方法により、またはN−末端およびC−末端がブロックされない場合は大腸菌における組換え発現により、作製されうる。GCN4−pIQIコイルドコイルの超らせんパラメーターは、HIV gp41 N−ヘリックスコイルドコイルとほとんど同一であるので、得られる融合タンパク質分子JQN24nは、三量体(凝集していない)としてgp41 N−ヘリックスコイルドコイルの一部を与える、長い三量体コイルドコイルを形成することが予測される。
【0021】
gp41疎水性ポケットに対するこの問題を解決するための本明細書に記載の同一の戦略は、gp41 N−ヘリックスコイルドコイル領域の可溶性三量体モデルの開発に一般に適用されうる。かかる三量体モデル(IQN17を含むが、例えばgp41のポケット残基を含まないペプチドも含む)は、インヒビターとして使用されうる。
【0022】
任意の広い範囲のバリエーションが、これらの変化がコイルドコイルの三量体状態を変えない条件で、本明細書に記載の融合タンパク質(例えば、IQN17またはIQN24n)のGCN4−pIQI成分において作製され得、該方法において使用される。変化はまた、バリアント(例えば、IQN17またはIQN24nのバリアント)を製造するためのHIV gp41 N36ペプチド由来の部分である融合タンパク質成分のアミノ酸組成においてなされうる。コイルドコイルの三量体状態およびHIV gp41のN−ペプチドコイルドコイルに対応する融合タンパク質の表面の構造が維持される条件で、可能なアミノ酸残基変化の数またはタイプは限定されない。HIV gp41−ペプチドの部分である融合タンパク質成分は、N−ヘリックスキャビティーの全てまたは一部を含みうるか、あるいは含みえない。例えば、N51、N36、DP−107の他の部分、またはHIV gp41 N−ヘリックス領域の他の領域は、GCN4−pIQ I(またはタンパク質のコイルドコイル領域の他の三量体バージョン)に融合され、三量体(凝集していない)らせんコイルドコイル融合タンパク質を作製し得、該方法において使用されうる。コイルドコイルの三量体状態およびHIV gp41のN−ペプチドコイルドコイルに対応する融合タンパク質の表面の構造が維持される条件で、設計および作製されうる融合タンパク質の数またはタイプは限定されない。かかる融合タンパク質は、コイルドコイルの7個リピート位または超らせんパラメーターを評価するなどの当業者に公知の方法を用いて設計および作製されうる。
【0023】
IQN17は、抗HIV治療剤、予防剤、またはHIV感染を防ぐための薬物、他の抗HIV治療薬または予防薬を同定(スクリーニング)または設計するための試薬、およびHIV感染を防ぐ抗体を惹起するための免疫原として有用である。
【0024】
出願人は、N−ペプチドの部分が、可溶性三量体コイルドコイルであるGCN4−pIQ Iの付加により溶解されうることを示している。得られた分子は、生理学的条件下で安定であり、IQN17がHIV gp41のC−ペプチド領域に構造的に相補的である表面を与えるように、正しくホールディングされる。さらに、IQN17および類似の分子は、gp41のC−ヘリックス領域に結合し、その機能を阻害する能力について評価されうる。gp41のN−ヘリックスコアは、より高度に保存され(アミノ酸組成に関して)、したがってIQN17およびそのバリアントは、種々の臨床HIV株に対して広く中和され、したがって、治療に有用であるようである。
【0025】
IQN17は、gp41エクトドメインの公知の構造に基づき、1つの態様では、可溶性三量体コイルドコイルに結合され(またはそれを有するより大きな分子に存在する)、曝露されたN−ペプチドのペプチド結合部位を有するN−ヘリックスコアの実質的な部分にホールディングされるように配置される、3つのN−ペプチドからなる。
【0026】
IQN17タンパク質は、種々の方法により、作製されうる。例えば、それは、化学的に合成されうる。代替的には、それは、公知の方法および発現システムを用いて、完全なIQN17タンパク質をコードする単一DNAでありうるIQN17タンパク質コードDNAを発現させることにより、作製されうる。代替的には、タンパク質合成方法を使用して、IQN17タンパク質を作製しうる。
【0027】
IQ(IN)ペプチドは、N−ヘリックスおよび融合コイルドコイル成分の両方において広範囲の配列を有し得、L−アミノ酸残基、D−アミノ酸残基および修飾アミノ酸残基からなりうる。IQN17は、らせんおよび融合コイルドコアのアミノ酸残基の他に、アミノ酸残基を含みうる(例えば、分子を安定化させるため)。本明細書に記載のIQN17は、安定性および活性を増強するために変更されうる。融合コイルドコイルおよびN−ヘリックスの正確な境界におけるマイナーチェンジは、IQN17の安定性、収率および活性にかなりの影響を有しうるようである。
【0028】
現在構築されているように、IQN17は、3つのC−ペプチド結合部位の部分を曝露する。IQN17(または関連する分子)におけるC−ペプチド結合部位のより長いセグメントを曝露するための戦略は、IQN17のN−ペプチド領域の伸長を伴う。
【0029】
IQN17は、種々の状況において有用である。本明細書に記載されるように、IQN17は、ウイルス膜融合の強力なインヒビターであり、したがって、ウイルスが細胞に侵入する前に、ウイルスに作用する(HIV感染細胞に作用する現在実施されている治療と異なっている)。IQN17は、非常に可溶性であり、本明細書に記載の条件下で安定であることが示されている。そのサイズが腎臓における迅速な濾過を妨げるであろうことを予期することが、妥当である。さらに、IQN17「単量体」よりも少ない程度で濾過される分子を製造するために、IQN17二量体が、ジスルフィド架橋により作製されうる。したがって、二量体が、C−ペプチドと比較した場合に、増強したバイオアベイラビリティーを有することを予期することが、妥当である。
【0030】
IQN17は、ウイルスが細胞に侵入することを防ぎ、ウイルス侵入後のウイルスタンパク質を標的にする標準療法とは異なっており、したがって、IQN17は、感染を防ぐか、または感染が生じる程度を低減するために予防的に使用されうる。かかる治療用としての1つの使用は、HIVで汚染された針が共有される病院またはセッティング(settings)で起こりうるような注射針を誤ってさした刺傷の事象におけるものである。
【0031】
本発明の1つの態様では、IQN17は、個体におけるHIV感染を低減するために使用される。この態様では、IQN17は、IQN17それ自身として、または適切な宿主細胞またはベクターにおけるIQN17コードDNAの発現を介してのいずれかで、個体細胞のHIV感染を低減する(全体としてまたは部分的に)のに十分な量で個体に投与される。すなわち、HIV感染を低減するのに十分なIQN17の用量(効果用量)は、細胞へのHIV侵入を阻害する(全体としてまたは部分的に)様式(例えば、注射、局所投与、静脈内経路による)で投与される。1つの態様では、個体にIQN17タンパク質を発現する細胞を導入することにより、効果用量を提供するために、遺伝子療法適用が使用される。IQN17は、さらなる感染を低減するためにHIV感染個体に投与されうるか、または感染を低減するために非感染個体に投与されうる。
【0032】
IQN17の血清安定性は、その治療可能性を確かめるための公知の方法を用いて試験されうる。
【0033】
IQN17の融合コイルドコイルの外側表面は、例えば、バイオアベイラビリティーを増加するため、毒性を減少するため、および免疫クリアランスを避けるために変更されうる。IQN17は強力な阻害活性を示し、GCN4−pIQ Iは示さず、それは阻害の原因である曝露されたN−ペプチド領域である。分子の残りは、N−ペプチドを示すための骨格を提供する。したがって、この骨格は、IQN17の阻害活性に不利な影響を与えることなく修飾されうる。骨格の修飾は、いくつかの利点を提供しうる。第1に、それは、IQN17の多数の投与が必要とされる手順を容易にするであろう。例えば、IQN17が抗HIV治療剤として使用される場合、多数の投薬が必要とされる可能性がある。延長された投与後、個体はIQN17に対する抗体を産生し、それは身体からそのクリアランスを増加するようである。IQN17の多数のバージョンの利用可能性は、先に存在する抗体を避けることによりこの問題を回避するのを助けるであろう。第2に、例えば、骨格があまり免疫原性でない外部表面上にグリコシル化部位を導入することにより、IQN17のバージョンを設計することが可能であろう。
【0034】
らせんヘアピンの三量体(TOH)は、多くのウイルス膜融合タンパク質の共通の特徴である(Singh,M. ら、J. Mol. Biol. 290, 1031-1041(1999)) 。それは、インフルエンザ、エボラSV5(サルパラインフルエンザウイルス5)、およびRSV(ヒト呼吸器シンシチアル(syncitial) ウイルス)において観察されている。さらに、レトロウイルス、パラミクソウイルスおよびフィロウイルスファミリーの多くの他のメンバーが、このモチーフを含むことが予想される。同様の構造が、関連する脊椎動物小胞融合タンパク質において観察されており、精子−卵、受精タンパク質において見出されうる。本明細書に記載の基礎戦略は、融合を阻害するために、任意のこれらのシステムに適用されうる。
【0035】
本発明は、以下の実施例により説明され、それはいかなる限定も意図しない。
【0036】
実施例1 IQN/ペプチド相互作用およびIQN ペプチドによる膜融合の阻害の特異性の評価
アッセイを行ない、gp41のC 領域と相互作用し、かつ融合タンパク質の機能を阻害するIQN17 の能力を評価した。IQN17 およびIQN23 および GCN4-pIQ I による膜融合の阻害を、細胞系アッセイを用いて評価した。タンパク質IQN17 、IQN23 および GCN4-pIQ I を、5 %FCS を有する修飾DMEM培地中に連続希釈し、スライドチャンバーに等分する。Tat プロモーターの制御下で、CD4 およびコレセプターを発現し、かつβガラクトシダーゼ遺伝子を含むヒーラ細胞(4×104 ) を、添加する。gp160 (gp120/gp41 に対する前駆体タンパク質) を発現するCHO 細胞(2×104 ) およびTat もまた添加する。400 μl のミニ培養物を37℃で8 〜24時間インキュベートする; 融合細胞(シンシチウム)は、βガラクトシダーゼを転写および翻訳するであろう。細胞をグルタルアルデヒド中で固定し、X-gal/Fe溶液に1時間曝露する。P-ガラクトシダーゼを含むシンシチウムは、青緑に変色する。このアッセイにおいて、IQN17 は、IC50が20〜80nMを有するシンシチウム形成の有効な阻害を説明する。
【0037】
IQN17 、IQN23 および GCN4-pIQ I の阻害可能性を、ウイルス融合実験において再現した。ルシフェラーゼレポーター遺伝子を含むようにHIV を修飾し、CD4 およびコレセプターを発現する HOS細胞と37℃にて6 時間希釈タンパク質の存在下で混合する(Chan ら、Cell, 93, 681-684(1998))。ウイルス溶液を交換し、HOS 培養物を新鮮な培地中で48時間より多くインキュベートする。ルシフェラーゼ活性をルミノメーター(luminometer) で測定する。このアッセイにおいて、IQN17 は、約250nM のIC50でルシフェラーゼ活性を阻害する;IQN23 は、約80nMのIC50でルシフェラーゼ活性を阻害する。再度、 GCN4-pIQ I は、評価できる阻止が約10μM まで無いことを示す。
【0038】
実施例2 感染の阻害の評価
材料および方法
ペプチド合成および精製。フィードバックモニタリングを用いてグレードアップしたPE Biosystems 431Aペプチドシンセサイザーで全ペプチドを化学的に合成した。標準Fmoc/HBTU 化学(Fields ら、1991) を、それぞれの連結後、DMSO/NMP樹脂膨潤および無水酢酸キャッピングを用いて改変した。Reagent K を用いてPE Biosystems Pal 樹脂からペプチドを切断した。各ペプチドは、アセチル化 N末端および C末端アミドを有する。
【0039】
IQN17 の配列は、以前に記載されたものである(Eckert ら) : Ac-RMKQIEDKIEEIESKQKKIENEIARIKKLLQLTVWGIKQLQARIL -NH2(配列番号:1)。最初の29残基は、非天然の設計された三量体コイルドコイルであり、最後の17残基は、HXB2 gp41 のN ペプチド領域に由来する(下線)。IQN17 の N末端から連続した7 個を除去し、次第に短縮した3つのペプチドを得た:
IQ22N17 およびIQ15N17 ペプチドのより安定なバージョンを、グルタミン残基をイソロイシンへ変更することにより作製した。これらのペプチドを、それぞれII22N17 およびII15N17 と呼ぶ。また、より長いIQN17 誘導体を、コロイドコイルレジスター(register)に手をつけないように注意して、HXB2 gp41 N-ペプチド領域由来の追加の残基を挿入することにより作製した。これらのペプチドは、IQN23(Ac-RMKQIEDKIEEIESKQKKIENEIARIKKLIEAQQHLLQLTVWGIKQLQARIL -NH2) (配列番号:2)、IQN36( Ac-RMKQIEDKIEEIESKQKKIENEIARIKKLISGIVQQQNNLLRAIEAQQHLLQLTVWGIKQLQARIL-NH2) (配列番号:4)およびIQN26(Ac-RMKQIEDKIEEIESKQYKIENEIARIKKLIVQARQLLSGIVQQQNNLLRAIEAQQH-NH2 (配列番号:13)である。最後に、全く異なる設計三量体コイルドコイルがgp41由来残基に N末端で配置されるIQN17 のさらなる誘導体を作製した。コイルドコイルは、Tanakaらに記載された設計に基づいたが、e 位およびg 位における有意な変更およびa 位におけるI からQ への置換を有する。このペプチドの配列は、IZN17 と呼び、 Ac-IKKEIEAIKKEQEAIKKKIEAIEKLLQLTVWGIKQLQARIL-NH2)(配列番号:32)である。阻害活性について研究されているさらなるペプチドは、IZN23(Ac-IKKEIEAIKKEQEAIKKKIEAIEKEIEAQQHLLQLTVWGIKQLQARIL-NH2)(配列番号:33)、IZN36(Ac-IKKEIEAIKKEQEAIKKKIEAIEKEISGIVQQQNNLLRAIEAQQHLLQLTVWGIKQLQARIL-NH2)(配列番号:34)およびIZN26:(Ac-YGGIKKEIEAIKKEQEAIKKKIEAIEKEIVQARQLLSGIVQQQNNLLRAIEAQQH-NH2)(配列番号:14)である。
【0040】
樹脂からの切断後、各ペプチドをSephadex G-25 カラム(Pharmacia) で脱塩し、凍結乾燥した。次に、それを5%酢酸中で再懸濁させ、逆相高速液体クロマトグラフィー装置(Waters, Inc.)でVydac C18 調製用カラムにかけて精製した。0.1 %トリフルオロ酢酸の存在下に水−アセトニトリルグラジエントを用いてカラムからペプチドを溶出させ、次に凍結乾燥した。各ペプチドの分子量を、MALDI-TOF マススペクトロメトリー(PerSeptive Biosystems) を用いて確認した。
【0041】
円偏光二色性。Aviv62 DS 円偏光二色性スペクトロメーターで、全てのCD測定を行なった。 PBS(50mM のリン酸ナトリウム、150mM の塩化ナトリウム[pH7.4])中10μM のペプチド溶液に対し、5 秒の平均時間を用いて1cm 通過長のキュベット中200 〜260nm の標準スキャンを行なった。未処理のシグナルを、ペプチド濃度(M)、通過長(mm)およびアミノ酸の数で割ることにより、平均残基楕円率(θ)を計算した。Chenら(Biochemistry, 13, 1974, p3350) に従って、らせん度率を計算した。PBS 中10μM のペプチド溶液の熱変性スキャンを、222nm で記録した。4 ℃で開始して2 ℃の間隔で1.5 分の平衡時間および60秒の平均時間を用いて、ペプチドを加熱した。
【0042】
沈降平衡。An-60 Tiローターを備えたベックマンXL-A解析超遠心機で全測定を記録した。凍結乾燥したペプチドを水中で再懸濁させ、ペプチド濃度を測定した(Edelhoch, 1967)。溶液を100 〜200 μM に希釈し、次にPBS に対して一晩透析した。透析後、濃度を再度測定し、透析バッファーを用いて適切な希釈を行なった。19,000〜25,000RPM の範囲の速度で、試料を遠心分離した。
【0043】
HIV 感染性アッセイ。IQN17 および誘導体の阻害活性をHIV ルシフェラーゼアッセイにおいて測定した(Chen ら、1994) 。とりわけ、HXB2 gp160遺伝子を有する発現ベクターであるpCMVHXB2に加えて、env におけるフレームシフト変異およびnef 遺伝子(NL43LucR-E-) を置換したルシフェラーゼを含むHIV-1 ゲノムを用いて293T細胞を同時トランスフェクトすることにより、ウイルスを作製した。得られたウイルスは、そのゲノムがエンベロープ遺伝子を欠如するために、1回の感染に対して生存可能であるのみである。細胞残骸を低速遠心分離により除去した。残りのウイルス上清を用いて、潜在的阻害ペプチドの存在下にHOS-CD4 /融合細胞を感染させた(N.Landau, National Institutes of Health AIDS Reagent Program)。感染2日後、細胞を溶解させ、ルシフェラーゼ活性をWallac AutoLumat LB953ルミノメーター(Gaithersburg, MD)でモニターした。データをラングミュア方程式〔[y=k/(1+[ペプチド]/IC50) ]、式中、y=ルシフェラーゼ活性であり、k はスケーリング定数(scaling constant)である〕に適合させることにより、IC50(ウイルス感染の半分が阻害されるペプチド濃度)を計算した。
【0044】
結果
N ペプチドのポケット形成領域は、コイルドコイル三量体として阻害する。融合生成(fusogenic)gp41 のX線結晶構造は、3つのらせんC ペプチドで囲まれた Nペプチドのコイルドコイル三量体を示す。3つの疎水性側鎖が各C ペプチドパックに由来する Nペプチドの塩基の疎水性ポケットは、抗HIV-1 化合物に対する重要な標的であることを示している。IQN17 は、C ペプチドの不在下で、正しい三量体コイルドコイル構造でこの疎水性ポケットを正確に存在させるように設計されたキメラ分子である(Eckert ら) 。設計した三量体コイルドコイルである GCN4-pIQ I'を、N ペプチドの17残基のN 末端に融合した。これらの17残基はN ペプチドのポケット領域に広がる。コイルドコイルは、7 残基の特徴的なリピート(a 〜g で示す)からなり、最初の(a) 位および4番目の(d) 位は、典型的に疎水性側鎖により占められる。GCN4部分およびN ペプチド部分を、正しいコイルドコイルレジスターで注意深く融合した。ここで、本発明者らは、このキメラ分子の阻害活性をアッセイし、この活性がコイルドコイル構造に依存することを決定した。
【0045】
2つの合成ペプチドを比較した:疎水性ポケットを含有するN ペプチドの17残基を含むN17 、およびIQN17 。N17 は、溶液にするのは困難である−それは沈澱する。それゆえ、それは、分離した三量体コイルドコイルではないようである。代替的に、IQN17 は、容易に溶解する。それは20μM で十分にらせんであり、かつ分離した三量体種である。IQN17 は、極めて安定であり、100 ℃を超える融解温度を有する。両方のペプチドをウイルス感染を阻害する能力に対してアッセイした。N17 は、感染を阻害するが、約10μM のIC50を有する。IQN17 は、約2 桁低い濃度で感染性を阻害し、約180nM のIC50を有する。したがって、N ペプチドのN17 領域の阻害活性は、三量体コロイドコイル構造において非常に増加する。
【0046】
IQN17 のポケットは、阻害活性を含む。IQN17 のIQ部分が阻害活性の全てまたはいくらかの原因である可能性を排除するために、2つの対照分子を調査した。これらのペプチドは、 GCN4-pIQ I'およびIQN17(G572D)である。 GCN4-pIQ I'は、IQN17 のIQ部分のみからなる。IQN17(G572D)は、疎水性ポケットの内側における変異を含む。グリシン残基をアスパラギン酸に変更し、別の疎水性環境への変更を導入する。これらの分子は両方とも円偏光二色性により測定されるようにらせんであり、したがって構造的に正しい対照として役に立つ。感染性アッセイにおいて、それは阻害活性を有するとしてもほとんどない。 GCN4-pIQ I'は、試験したいずれの濃度においても阻害せず(これまでに10μM まで)、IQN17(G572D)のIC50は、約20μM である。それゆえ、IQN17 の疎水性ポケットは、IQN17 の阻害活性の原因であり、IQ部分は正しい構造でポケットを存在させるために役に立つ。
【0047】
IQN17 の阻害能力は、その安定性に相関する。1連のペプチドを調査して、コイルドコイル構造およびIQN17 の阻害活性に分子のIQ部がどれくらい必要であるかを決定した。 IQN17の N末端から 7残基群を逐次除去し、38、31および24アミノ酸長のペプチドを作製した( それぞれIQ22N17 、IQ15N17 およびIQ8N17) 。IQ22N17 は、10μM で特徴的なαヘリックスCDスペクトルを示し、222nm で約−36,000deg cm2 dmol-1の最小値を有する。驚くことではないが、それは野生型IQN17 より非常に低い安定性であり、10μM で80℃以下の融解温度を有した(IQN17は、同じ濃度で100 ℃を超える融解温度を有する) 。IQ15N17 は、IQ22N17 より7 残基短かく、222nm で約−27,000deg cm2 dmol-1の最小値を有するわずかに少ないらせんである。また、208nm での最小値は、222nm での最少値よりわずかに低く、このペプチドの部分的なアンホールディングを意味する。その熱安定性は、IQ22N17 より約10℃低い。最後に、IQ8N17の円偏光二色性研究は、222nm より208nm で非常に低い最小値を示し、このペプチドがほとんどらせんでないことを意味する。それはまた、最初の2つのペプチドより非常に安定性が低い。これらのペプチドのそれぞれの阻害活性は、10μM でIQ22N17 がIQN17 と同程度らせんであるという事実にもかかわらず、野生型IQN17 の阻害活性よりも有意に低い。ウイルス感染性に対するIQ22N17 のIC50は、およそ 1μM であり、2つのより短い分子のIC50は、10μM に近い(N17 の阻害活性に非常に類似)。IQ22N17 は、IQN17 より非常に安定性が低いので、IQN17 が阻害能力を表すようなより低い濃度でアンホールディングされているようである。
【0048】
安定性の低下が、IQ22N17 およびIQ15N17 の阻害活性にネガティブに影響するかどうかを決定するために、上記2つの分子のIQ部分の位置のグルタミンをイソロイシンに変異した 2つのさらなるペプチドを作製した。三量体コイルドコイルのコアにおけるイソロイシンからグルタミンへの変異は、コイルドコイルの安定性を激しく低減することが、以前示された(Eckert, Malashkevich, Kim) 。これらのさらなるペプチドを、II22N17 およびII15N17 と呼ぶ。II22N17 は、10μM で非常にらせんであり、約−41,000deg cm2 dmol-1の222nm 最小値を有する。II15N17 は、わずかに少ないらせんであり、約−33,000deg cm2 dmol-1の最小値を有する。IQ15N17 を用いたのと同様、208nm の最少値は、222nm の最少値よりもわずかに低い。これらのペプチドの安定性およびその阻害活性は、グルタミンバージョンと比較して増加する。10μM では、II22N17 は100 ℃でさえ融解せず、そのIC50は約170nM である。II15N17 はIQ15N17 よりも安定であり、そのIC50は約 3μM である。それゆえ、ペプチドの阻害活性は、コイルドコイル構造の安定性に相関するようにみえる。
【0049】
Nペプチド領域の長さの増加は、阻害能力を必ずしも増加しない。IQN17 はgp41のC ペプチド領域に対する結合部位を有するので、ウイルス膜融合のプロセスの間にこの領域に結合することにより阻害するのであろう。したがって、N ペプチド領域の長さを伸長し、それによりC ペプチド結合域を増加することにより、阻害活性を改良することが可能である。この仮説を試験するために、2つのさらなるペプチド、IQN23 およびIQN36 を構築した。それらは、それぞれ 7個および19個のgp41由来のさらなる残基をN 末端でポケット領域に有する。分析用超遠心分離研究は、これらのペプチドがIQN17 より凝集しやすいことを示す(20μM でIQN23 に対して3.3 およびIQN36 に対して3.5 のMobs/Mcalcを有する)。IQN23 のIC50は約30nMであり、IQN36 は約50nMのIC50を有する。N36 は、ちょうどIQN36 のgp41領域であり、比較としておよそ 1μM のIC50を有する。17〜23のgp41残基の増加により、阻害活性において約6 倍の増加があった。同様に、17〜36の残基の増加により、3 倍の増加がある。しかしながら、IQN23 は、IQN36 より有効である。それゆえ、阻害活性は、N ペプチド残基の追加のみにより増加するのではない。C ペプチド結合エネルギーと凝集状態との間の兼ね合いがあるようである。N ペプチド領域が長くなるほど、分子はより凝集しやすく、したがって、それは分離した三量体C ペプチド結合部位をほとんど表わさない。
【0050】
N ペプチドのポケット領域は、阻害活性に必要でない。ポケット領域が、キメラN ペプチド分子の阻害能力に必要であるかどうかを決定するために、さらなるペプチドIQN26 を作製した。このペプチドは、疎水性ポケットに N末端でN ペプチド領域の26残基を含む。円偏光二色性研究は、それがらせんであることを示し、沈降平衡研究は、それがわずかに凝集することを示す。それは有効な阻害活性を有している。したがって、N ペプチド領域は、コイルドコイル形成において妨げられる場合、疎水性ポケット領域の不在下でさえ阻害活性を有する。
【0051】
代替的なより安定なペプチドであるIZN17 は、より有効なインヒビターである。本発明者らは、分子のIQ部分を他の三量体設計コイルドコイルと置き換えたさらなるIQN17 誘導体を研究した。イソロイシンジッパーに対して「IZ」と名付けたこのコイルドコイルは、Tanakaらにより記載された設計に基づくが、e 位およびg 位における数個の変更ならびに a位でのイソロイシンからグルタミンへの置換を有する。得られたペプチドをIZN17 と名付ける。IZN17 は、それぞれ円偏光二色性および沈降平衡により決定されるように、20μM でらせんであり、かつ分離した三量体である。興味深いことに、IZN17 は、ウイルス感染性アッセイにおいて、およそ5.6nM のIC50を有し、したがって、IQN17 より非常に良好なインヒビターである。この効力の増加に対して 2つの可能性のある理由がある。第1に、IZN17 は、IQN17 より安定であるようであり、したがって、より低い濃度で折りたたまれたままである。両方のペプチドが100 ℃を超えて融解するが、熱非折りたたみ(thermal unfolding) 遷移が、変性剤の存在下で見られうる。2M GuHClにおいて、IZN17 の熱変性温度は、IQN17 よりも10℃高い。第2に、IZN17 は、IZとgp41の間の配列における一致のため、gp41 Nペプチド領域由来の2つのさらなる残基を含む。これは、gp41のC ペプチド領域に対する結合エネルギーの増加を提供しうる。
【0052】
IZN23 、IZN36 およびIZN26 の阻害活性は、本明細書に記載のものなどの公知の方法を用いて試験されうる。これらのペプチドは、HIV-1 感染の有効なインヒビターであるようである。
【0053】
以下の表は、キメラコイルドコイルN ペプチドに対する生物物理学データおよび阻害活性を要約する。第1列(θ222nm )は、円偏光二色性データであり、各ペプチドのらせん度を示す。数が小さいほど、よりらせんである。第2列は、融解温度であり、ペプチドの半分が折りたたまれていない温度を意味する。次の列(Mobs /Mcalc)は、ペプチドのオリゴマー状態を意味し、3.0 は分離した三量体である。最終列は、各ペプチドがウイルス感染に対する最大阻害能力の半分にある濃度である。
【0054】
【表1】
【0055】
多くのこれらの値は、1つの実験の結果であり、したがって試験的なものである。結果は、実験を繰り返すことにより、確認される必要があろう。n.d.は、測定していないことを意味する。
【0056】
説明:
表1は、本明細書において研究されたすべてのペプチドを列挙する。第1列は、ペプチドの名称を示す。第2列は、PBS 中20μM のペプチド溶液の222nm での楕円率である。第3列は、PBS 中10μM のペプチド溶液の熱変性の中点を列挙する。第4列は、単量体ペプチドについての計算分子量に対する、分析用超遠心分離により観察されたPBS 中20μM ペプチド溶液の分子量の比を示す。最終列は、ウイルス感染性の半分が阻害されるペプチドの濃度(IC50)を示す。
【0057】
本発明をその好ましい態様に関して詳細に示し、説明したが、添付の特許請求の範囲に包含される本発明の範囲から逸脱することなく、当業者は形態および詳細について種々の変更を行なうことができることを理解するであろう。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、HIV gp41の構造配置である。らせん領域(7個リピート(heptad repeats))を灰色で示し、N-(N36) およびC-(C34,DP178) ペプチドの相対位置を示す。らせん領域のリボン図において、N ペプチドは明るい灰色であり、C ペプチドは暗い灰色である。
【図2】 図2は、IQペプチドのアミノ酸配列である(配列番号:1〜9)。
【図3】 図3A〜3Bは、それぞれIQN17 のヘリカルホイール図(図3A);IQN17 のCDスペクトル(図3B);ならびにIQN17 に対する分析用超遠心分離データ(図3C)を示す。「XLA 」は、本明細書において分析用超遠心分離のことを言う。
【図4】 図4A〜4Eは、IQN ペプチドの不在下(図4A)、80nM(図4B)もしくは320nM (図4C)のIQN17 の存在下、または80nM(図4D)もしくは320nM (図4E)のIQN23 の存在下に行なったシンシチウムアッセイの結果の写真である。
【図5】 図5は、ウイルス感染性アッセイにおけるIQN17 およびIQN23 の阻害活性のグラフ図である。
【図6】 図6は、ウイルス感染性アッセイにおけるN36 および GCN4-pIQ I の阻害活性のグラフ図である。与えられた結果は、N36 およびGCN-pIQ I の両者による阻害活性の欠如を明瞭に示す。
【図7】 図7は、HIV 膜融合に対するワーキングモデルである(Chan & Kim 1988) 。HIV-1 env の天然状態( 「天然」) において、融合ペプチドおよびgp41のN ペプチド領域は曝露されていない。細胞レセプター(CD4およびコレセプター) との相互作用の後、構造変化により、一過性のプレヘアピン中間体(「プレヘアピン」)の形成を生じ、融合ペプチド領域(赤線)は細胞膜に挿入され、gp41のN ペプチド領域(「N 」で示す)のコイルドコイルが曝露される。しかしながら、gp41のC-ペプチド領域(「C 」で示す)は、コイルドコイルとの相互作用のために束縛され、利用できない。したがって、外因性のC-ペプチドは、プレヘアピン中間体に結合し、かつ優性ネガティブ様式で融合を阻害しうる(「阻害」)。インヒビターの不在下で、プレヘアピン中間体は、ヘアピン構造に変形し、膜融合(「ヘアピン/融合」)が生じるが、ヘアピン形成が膜融合それ自体より先であるかどうかはわかっていない。挿入図は、HIV-1 gp41コアのペプチドバージョンであるN36/C34 の2.0 ÅX線結晶構造を描く(Chan ら、1997) 。3つの中央のN-ペプチドは、表面図として本明細書に示されるコイルドコイル、およびコイルドコイル三量体の表面の保存溝(conserved grooves) に沿った3つのらせんC-ペプチドパックを形成する。N-ペプチドコイルドコイルの表面に、3つの対称関連疎水性ポケットがある(陰付)。
【図8】 図8は、キメラペプチドが、2つの部分:1)設計された三量体コイルドコイルのうちの1つ( GCN4-pIQ I またはIZ)(配列番号:10および11)ならびに2)gp41の4 つの領域のうちの1つ(配列番号:12)からなることを示すグラフ図である。
【図9】 図9は、IQN17 およびIZN17 の存在下での細胞/細胞融合アッセイの結果を示すシンシチウム数対濃度(nM)のグラフである。
【図10】 図10は、IQN26 のアミノ酸配列(配列番号:13)である。
【図11】 図11は、IZN26 のアミノ酸配列(配列番号:14)である。
Claims (7)
- 下記成分:
(a)N末端;
(b)イソロイシンジッパー(IZ)三量体コイルドコイルペプチド;
(c)HIV gp41のC−ペプチド領域に結合するのに十分なHIV gp41のN−ヘリックスコイルドコイルの一部、ここで、HIV gp41のC−ペプチド領域に結合するのに十分なHIV gp41のN−ヘリックスコイルドコイルの一部は、配列番号:18の配列を含む;及び
(d)C末端;
をこの順に含んでなる可溶性三量体コイルドコイルペプチドであって、前記イソロイシンジッパー(IZ)三量体コイルドコイルペプチドが配列番号:11のコイルドコイルに由来する、可溶性三量体コイルドコイルペプチド。 - (a)IZN17(配列番号:32);(b)IZN23(配列番号:33);及び(c)IZN36(配列番号:34)から選ばれるペプチドからなる、請求項1記載の可溶性三量体コイルドコイルペプチド。
- 請求項1又は2記載の可溶性三量体コイルドコイルペプチドを含有してなる医薬組成物。
- 治療用又は予防用である請求項3記載の医薬組成物。
- HIV感染の治療用又は予防用である請求項3記載の医薬組成物。
- HIVにin vivoで接触し、結合して、細胞内へのHIVウイルス侵入を低減又は阻止するための、請求項3記載の医薬組成物。
- HIV−1感染を抑制するための、請求項1又は2記載の可溶性三量体コイルドコイルペプチド。
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