JP5168228B2 - 転がりねじ装置用の収容部材着脱治具 - Google Patents

転がりねじ装置用の収容部材着脱治具

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本発明は、含有した潤滑剤をねじ軸の外周面へ供給する潤滑剤供給体を内部に収容した収容部材を、ナットの端部側へ着脱する際に用いる転がりねじ装置用の収容部材着脱治具に関する。
従来から、搬送装置等を構成する直動装置には、ボールねじやリニアガイド等の直動案内装置が備えられている。
図18は、直動装置82の一般的な構成例を示す図であり、図18(a)は直動装置82の上面図、図18(b)は図18(a)をねじ軸2の軸方向から見た図である。
図18中に示されているように、この直動装置82は、ボールねじ1と、ボールねじ1の両側に配置された二つのリニアガイド84a,84bと、ブラケット86を備えている。なお、ボールねじ1の詳細な構成は、後述する。また、図18中では、リニアガイド84a,84bが備える案内レール88を、それぞれ、案内レール88a,88bと示している。また、図18(b)中では、案内レール88a,88bを設置する基台を、符号Bを付して示している。
ブラケット86は、ボールねじ1が備えるナット4と、リニアガイド84a,84bがそれぞれ備えるスライダ90a,90bに組み付けられており、ねじ軸2が回転すると、ナット4及びスライダ90a,90bとともに、ねじ軸2の軸方向に沿って移動する。
図19は、図18のA−A線断面図であり、ボールねじ1の構成を示す図である。
図19中に示されているように、ボールねじ1は、螺旋状のねじ軸側転動溝6を外周面に有するねじ軸2と、ねじ軸2の外周側に配置されるとともに、ねじ軸側転動溝6に対向するナット側転動溝8を内周面に有するナット4と、潤滑剤を含有した潤滑剤供給体20を備えている。
ねじ軸側転動溝6とナット側転動溝8との間に形成される負荷転動路10内には、セラミック製のボール等、複数の転動体12が転動自在に装填されており、これらの転動体12は、ねじ軸2またはナット4の回転運動に伴って、負荷転動路10内を転動する構成となっている。したがって、ボールねじ1は、転動体12の転動に伴ってねじ軸2とナット4が相対移動する転がりねじ装置を形成している。
潤滑剤供給体20は、円環状に形成されており、ナット4の端面に取り付けられた収容部材24の内部へ配置され、その内周面がねじ軸2の外周面と摺接することで、含有している潤滑剤を、ねじ軸2の外周面へ供給する構成となっている。そして、ねじ軸2の外周面を介して、負荷転動路10と転動体12との間に潤滑剤を供給することにより、負荷転動路10と転動体12の磨耗や、負荷転動路10と転動体12との摩擦による加熱等を防止している。
収容部材24は、円筒形に形成され、外周面を径方向に貫通する複数の貫通孔92を有している。潤滑剤供給体20は、収容部材24が有する複数の貫通孔92に、収容部材24の外周側から取付けねじ94を挿通することにより、収容部材24の内周側に取り付けて、ナット4の端部側に配置されている。なお、図19中では、説明のために、複数の貫通孔92に挿通する取付けねじ94のうち、収容部材24をナット4の端面に取り付ける取付けねじ94の図示を省略している。
また、潤滑剤供給体20は、収容部材24の内部において、収容部材24の内周側に取り付けた防塵部材22と、ナット4の端面との間に配置されている。防塵部材22は、潤滑剤供給体20と同様、貫通孔92に挿通する取付けねじ94により、収容部材24の内周側に取り付けられている。
ここで、図18(a)中に示すように、ブラケット86は、上面視で、ナット4及びナット側キャップ18と重なっている。これにより、収容部材24のうち、取付けねじ94を挿通する位置は、ブラケット86及び基台Bと上下方向で重なっている。同様に、収容部材24のうち、取付けねじ94を挿通する位置の大部分が、リニアガイド84a及びリニアガイド84bと左右方向で重なっている。
また、図19に示したものとは異なる、ナットの端面に潤滑剤供給体を配置する構成としては、例えば、特許文献1に記載されているように、ねじ軸の軸方向に延在する取付けねじを用いて、潤滑剤供給体をナットの端部側に配置する構成のものがある。
したがって、図19に示す構成や、特許文献1に記載されているような構成のボールねじであれば、潤滑剤供給体が含有している潤滑剤をねじ軸の外周面へ供給することが可能となるため、ボールねじの作動性及び耐久性を向上させることが可能となる。これにより、ボールねじを備える直動装置の作動性及び耐久性を向上させることが可能となる。
特許第3796972号公報
一般に、ボールねじの寿命は10年程度となっている。これに対し、潤滑剤供給体の寿命は5年程度となっている。このため、潤滑剤供給体は、一定期間毎に交換する必要がある。
しかしながら、特許文献1に記載されている構成を含め、従来のボールねじにおける、ナットの端面へ潤滑剤供給体を配置する構成では、直動装置が構成されている状態で取付けねじを外すことが困難であるため、ナットから潤滑剤供給体を取り外すことが困難である。
具体的には、例えば、図18に示す直動装置82が備えるボールねじ1では、図中において楕円Cで囲んだ範囲及びその周辺において、ドライバー等の工具を使用することが困難であるため、取付けねじ94を外すことが困難である。これは、収容部材24のうち、取付けねじ94を挿通する部分が、ブラケット86、基台B、リニアガイド84a及びリニアガイド84bと、ねじ軸2の径方向で重なっており、潤滑剤供給体20を収容する収容部材24の周囲が狭い空間であるため、ドライバー等の工具を使用するためのスペースを確保することが困難であることに起因する。
したがって、潤滑剤供給体の交換作業においては、潤滑剤供給体を収容する収容部材をナットの端部側へ着脱するために、直動装置を分解する必要があることから、直動装置の停止時間が長期化してしまうおそれがある。このため、直動装置の稼動効率が低下してしまうという問題が生じるおそれがある。
本発明は、上記のような問題点に着目してなされたもので、潤滑剤供給体の交換における作業効率を向上させることが可能な、転がりねじ装置用の収容部材着脱治具を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明のうち、請求項1に記載した発明は、外周面に螺旋状のねじ軸側転動溝を有するねじ軸と、当該ねじ軸の外周側に配置されるとともに前記ねじ軸側転動溝に対向する螺旋状のナット側転動溝を内周面に有するナットと、潤滑剤を含有し、その含有した潤滑剤を前記ねじ軸の外周面へ供給する潤滑剤供給体と、当該潤滑剤供給体を内部に収容し、且つ前記ナットの端部側へ着脱可能に取り付けられる収容部材と、を備える転がりねじ装置における、前記収容部材を前記ナットの端部側へ着脱する転がりねじ装置用の収容部材着脱治具であって、
前記転がりねじ装置において、
前記ナットの端部側に、前記ねじ軸の軸方向に沿った方向へ突出するとともにねじ軸の周方向に沿って円弧状に延在する複数の掛止部が形成され、
前記収容部材に、前記複数の掛止部内に掛止される複数の被掛止部が形成され、
前記被掛止部は、前記掛止部に対して前記ねじ軸の周方向に沿って所定の掛止方向へ相対回転することにより掛止部内に掛止され、且つ前記掛止部に対して前記ねじ軸の周方向に沿って前記掛止方向と反対方向へ相対回転することにより掛止部内から取り外され、
前記収容部材着脱治具は、
前記ねじ軸の外径側に配置する本体部と、当該本体部から前記ナットの端部側へ突出し、且つ前記収容部材に形成された前記被掛止部と前記ねじ軸の周方向で対向する治具側突出部と、を備え、
前記本体部は、前記ねじ軸を通過可能な開口部を有することを特徴とするものである。
本発明によると、本体部が有する開口部にねじ軸を通過させて、本体部をねじ軸の外径側に配置し、さらに、治具側突出部を被掛止部とねじ軸の周方向で対向させた状態で、本体部をねじ軸の周方向へ回転させる。これにより、被掛止部を治具側突出部で押圧し、この押圧した被掛止部を、掛止部に対し、ナットの端面に沿って所定の掛止方向へ相対変位させて、掛止部内に掛止させる、または掛止部内から被掛止部を取り外すことが可能となる。
このため、潤滑剤供給体を収容する収容部材の周囲が狭い空間であっても、収容部材のナットの端部側への着脱作業が容易となる。
次に、本発明のうち、請求項2に記載した発明は、請求項1に記載した発明であって、前記転がりねじ装置において、
前記収容部材に、前記ねじ軸の軸方向から見て、前記本体部及び前記治具側突出部のうち少なくとも一方を間に挟んで前記被掛止部と前記ねじ軸の周方向で対向する収容部材側第一突出部が形成され、
前記収容部材着脱治具において、
前記本体部及び前記治具側突出部のうち少なくとも一方は、前記ねじ軸の軸方向から見て、前記治具側突出部を前記被掛止部と前記ねじ軸の周方向で対向させた状態で、前記収容部材側第一突出部と前記ねじ軸の周方向で対向することを特徴とするものである。
本発明によると、本体部をねじ軸の外径側に配置するとともに、治具側突出部を被掛止部とねじ軸の周方向で対向させ、さらに、本体部及び治具側突出部のうち少なくとも一方を、ねじ軸の軸方向から見て、収容部材側第一突出部とねじ軸の周方向で対向させた状態で、本体部をねじ軸の周方向へ回転させる。これにより、収容部材側第一突出部を、本体部及び治具側突出部のうち少なくとも一方で押圧して、被掛止部を、掛止部に対し、ナットの端面に沿って所定の掛止方向と反対の方向へ相対変位させて、掛止部内に掛止させる、または掛止部内から被掛止部を取り外すことが可能となる。
このため、本体部をねじ軸の周方向へ回転させて、被掛止部を治具側突出部で押圧することが可能となるとともに、収容部材側第一突出部を本体部及び治具側突出部のうち少なくとも一方で押圧することが可能となる。これにより、被掛止部を、掛止部内に掛止させる、または掛止部内から被掛止部を取り外す際に、本体部をねじ軸の周方向へ回転させる回転角を減少させることが可能となる。
次に、本発明のうち、請求項3に記載した発明は、請求項1または2に記載した発明であって、前記転がりねじ装置において、
前記ナットの端部側に、前記収容部材と対向し、且つ弾性力により前記収容部材側へ突出して前記掛止部内に掛止された前記被掛止部の掛止部内からの逸脱を抑制する逸脱抑制部が形成され、
前記逸脱抑制部は、前記収容部材側からの前記ナットの端面側への押圧力により弾性変形して、前記掛止部内に掛止された前記被掛止部の掛止部内からの逸脱を許容し、
前記収容部材着脱治具において、
前記治具側突出部は、前記被掛止部と前記ねじ軸の周方向で対向した状態で前記逸脱抑制部を前記ナットの端面側へ押圧して弾性変形させ、前記掛止部内に掛止された前記被掛止部の掛止部内からの逸脱を許容させることを特徴とするものである。
本発明によると、被掛止部とねじ軸の周方向で対向させた治具側突出部により、逸脱抑制部をナットの端面側へ押圧して弾性変形させ、掛止部内に掛止された被掛止部の、掛止部内からの逸脱を許容させる。
このため、治具側突出部により逸脱抑制部を弾性変形させた状態で、本体部を回転させることにより、掛止部内から被掛止部を取り外すことが可能となるため、収容部材をナットの端部側から取り外す作業が容易となる。
次に、本発明のうち、請求項4に記載した発明は、請求項3に記載した発明であって、前記転がりねじ装置において、
前記収容部材に、前記本体部と前記ねじ軸の軸方向で対向する収容部材側第二突出部が形成され、
前記収容部材着脱治具において、
前記本体部は、前記治具側突出部が前記逸脱抑制部を前記ナットの端面側へ押圧して弾性変形させ、前記掛止部内に掛止された前記被掛止部の掛止部内からの逸脱を許容させた状態で、前記収容部材側第二突出部と接触することを特徴とするものである。
本発明によると、治具側突出部が逸脱抑制部をナットの端面側へ押圧して弾性変形させ、掛止部内に掛止された被掛止部の、掛止部内からの逸脱を許容させた状態で、本体部が、本体部とねじ軸の軸方向で対向する収容部材側第二突出部と接触する。
このため、治具側突出部が逸脱抑制部をナットの端面側へ押圧して弾性変形させ、掛止部内に掛止された被掛止部の、掛止部内からの逸脱を許容させる際に、逸脱抑制部に過大な荷重が加わることを抑制することが可能となる。
本発明によれば、潤滑剤供給体を収容する収容部材の周囲が狭い空間であっても、収容部材のナットの端部側への着脱作業が容易となるため、潤滑剤供給体の交換における作業効率を向上させることが可能となる。
転がりねじ装置の一例であるボールねじの一部を破断して示す図である。 ナットの端部の構成を示す図であり、図2(a)は、ナットをねじ軸の軸方向から見た図、図2(b)は、図2(a)のB−B線断面図である。 弾性変位部材の構成を示す図であり、図3(a)は、弾性変位部材をねじ軸の軸方向から見た図、図3(b)は、図3(a)のB−B線断面図である。 第一実施形態のナット側キャップの構成を示す図であり、ナット側キャップを、ねじ軸の軸方向から見た斜視図である。 潤滑剤供給体の構成を示す図であり、潤滑剤供給体を、ねじ軸の軸方向から見た斜視図である。 防塵部材の構成を示す図であり、図6(a)は、防塵部材をねじ軸の軸方向から見た図、図6(b)は、図6(a)のB−B線断面図である。 第一実施形態の収容部材の構成を示す図であり、収容部材をねじ軸の軸方向から見た斜視図である。 収容部材着脱治具の構成を示す図であり、収容部材着脱治具をねじ軸の軸方向から見た斜視図である。 収容部材をナットの端部側から取り外す作業の手順を示す図である。 収容部材をナットの端部側から取り外す作業の手順を示す図である。 収容部材をナットの端部側から取り外す作業の手順を示す図である。 収容部材をナットの端部側から取り外す作業の手順を示す図である。 収容部材をナットの端部側から取り外す作業の手順を示す図である。 第一実施形態の収容部材着脱治具を用いずに潤滑剤供給体を交換した場合の、シールリップとねじ軸側転動溝との間に形成される隙間の状態を示す図である。 第一実施形態の収容部材着脱治具を用いて潤滑剤供給体を交換した場合の、シールリップとねじ軸側転動溝との間に形成される隙間の状態を示す図である。 第二実施形態のナット側キャップの構成を示す図であり、ナット側キャップを、ねじ軸の軸方向から見た斜視図である。 第二実施形態の収容部材の構成を示す図であり、収容部材をねじ軸の軸方向から見た斜視図である。 直動装置の一般的な構成例を示す図であり、(a)は直動装置の上面図、(b)は(a)をねじ軸の軸方向から見た図である。 図18のA−A線断面図である。
(第一実施形態)
以下、本発明の第一実施形態(以下、「本実施形態」と記載する)について、図面を参照しつつ説明する。
(構成)
まず、図1から図7を用いて、本実施形態の転がりねじ装置用の収容部材着脱治具(以下、「収容部材着脱治具」と記載する)を使用する対象となる、転がりねじ装置の構成を説明する。
図1は、転がりねじ装置の一例であるボールねじ1の一部を破断して示す図である。
ボールねじ1は、搬送機械等の直動装置(図示せず)が備える直動案内装置であり、図1中に示すように、ねじ軸2と、ナット4を備えている。
ねじ軸2は、螺旋状のねじ軸側転動溝6を外周面に有しており、その端部は、モータ等の回転動力源(図示せず)に連結されている。
ナット4は、ねじ軸2の外周側に配置され、ねじ軸側転動溝6と対向するナット側転動溝8を内周面に有している。ねじ軸側転動溝6とナット側転動溝8との間に形成される負荷転動路10内には、例えば、セラミック製のボールによって形成された複数の転動体12が、転動自在に装填されている。
ナット4の外周面には、リターンチューブ14が固定されている。
すなわち、本実施形態のボールねじ1は、ねじ軸2(またはナット4)の回転運動に伴い、負荷転動路10内を複数の転動体12が転動し、ナット4(またはねじ軸2)が転動体12の転動を介して、ねじ軸2の軸方向に沿って直線移動する構成となっている。したがって、ボールねじ1は、転動体12の転動に伴ってねじ軸2とナット4が相対移動する転がりねじ装置を形成している。なお、本実施形態では、転がりねじ装置を、転動体12がボールであるボールねじとしたが、これに限定されるものではなく、転がりねじ装置を、転動体12がローラであるローラねじとしてもよい。
ねじ軸2(またはナット4)の回転運動に伴って負荷転動路10内を転動する複数の転動体12は、ナット4に取り付けられたリターンチューブ14の一方の端部から、リターンチューブ14内へすくい上げられる。リターンチューブ14内へすくい上げられた転動体12は、リターンチューブ14内を通過し、リターンチューブ14内を通過した転動体12は、リターンチューブ14の他方の端部から負荷転動路10内へ戻される。すなわち、負荷転動路10及びリターンチューブ14によって、転動体12の無限循環通路が形成されている。
また、ナット4は、その両端面に、それぞれ、弾性変位部材16と、ナット側キャップ18と、潤滑剤供給体20及び防塵部材22を内部に収容した収容部材24が取り付けられている。なお、以下の説明では、ナット4の両端面のうち、一方の面に備えられた、弾性変位部材16、ナット側キャップ18、潤滑剤供給体20、防塵部材22及び収容部材24について説明する。
以下、図1を参照しつつ、図2から図7を用いて、ナット4、弾性変位部材16、ナット側キャップ18、潤滑剤供給体20、防塵部材22及び収容部材24の構成について説明する。
図2は、ナット4の端部の構成を示す図であり、図2(a)は、ナット4をねじ軸2の軸方向から見た図、図2(b)は、図2(a)のB−B線断面図である。なお、図2中では、説明のために、ナット側転動溝8の図示を省略している。
図2中に示すように、ナット4の端部において、ナット4の内周側には、弾性変位部材16が嵌合する弾性変位部材嵌合溝26が形成されている。
弾性変位部材嵌合溝26は、ねじ軸2の周方向に連続する凹状溝であり、ナット4の中心軸線を挟んで対向する、二箇所の弾性変位部材嵌合部28が形成されている。
各弾性変位部材嵌合部28は、後述する弾性変位部材側凸部30が嵌合する凹部であり、その開口は、ナット4の中心軸線を挟んで互いに対向している。
図3は、弾性変位部材16の構成を示す図であり、図3(a)は、弾性変位部材16をねじ軸2の軸方向から見た図、図3(b)は、図3(a)のB−B線断面図である。
図3中に示すように、弾性変位部材16は、弾性変位部材嵌合溝26に嵌合する円環状に形成されており、二箇所の弾性変位部材側凸部30と、二箇所の弾性変位用空隙部32と、二箇所のキャップ取り付けねじ螺合孔34を備えている。
各弾性変位部材側凸部30は、弾性変位部材16の外周面から突出しており、弾性変位部材嵌合部28に嵌合する形状に形成されている。
各弾性変位用空隙部32は、弾性変位部材16の周方向に沿って形成された空隙部であり、弾性変位部材側凸部30と弾性変位部材16の径方向で重なる位置に形成されている。
各キャップ取り付けねじ螺合孔34は、弾性変位部材16をねじ軸2の軸方向に貫通する貫通孔であり、その内周面に、後述するキャップ取り付けねじの雄ねじが螺合する雌ねじが形成されている。
なお、ナット4の端面に弾性変位部材16を取り付ける際には、弾性変位部材側凸部30をナット4の中心軸側へ押圧付勢して、弾性変位用空隙部32のナット4の径方向に沿った長さを減少させ、弾性変位用空隙部32側へ変位させる。そして、弾性変位用空隙部32側へ変位させた弾性変位部材側凸部30を、弾性変位部材嵌合部28に嵌合させて、弾性変位部材嵌合溝26に弾性変位部材16を嵌合させる。弾性変位部材側凸部30を弾性変位部材嵌合部28に嵌合させると、弾性変位用空隙部32のナット4の径方向に沿った長さは、元の長さに復元する。
図4は、ナット側キャップ18の構成を示す図であり、ナット側キャップ18を、ねじ軸2の軸方向から見た斜視図である。
図4中に示すように、ナット側キャップ18は、二箇所の掛止部36と、二箇所の弾性変位抑制ねじ螺合孔38と、二箇所のキャップ取り付けねじ貫通孔40を備えている。
各掛止部36は、ねじ軸2の軸方向に沿った方向へ突出するとともに、ねじ軸2の周方向に沿って円弧状に延在しており、後述する被掛止部42と嵌合する形状に形成されている。
また、各掛止部36は、相対変位規制手段44を有している。
相対変位規制手段44は、被掛止部42の掛止部36内への出入りを許容する出入り許容部46と、掛止部36に嵌合した被掛止部42の、出入り許容部46と反対方向からの逸脱を防止する逸脱防止部48を有している。
出入り許容部46は、ねじ軸2のうちナット4の端面よりも収容部材24側に配置されている部分がナット4の端面へ向けて移動する際に、ねじ軸2の軸方向から見て、ねじ軸2が回転する方向に形成されている。本実施形態では、出入り許容部46が形成されている方向が、掛止部36のうち、ねじ軸2の軸方向から見て時計回りの方向である場合について説明する。
逸脱防止部48は、ねじ軸2のうちナット4の内部に配置されている部分が収容部材24側へ向けて移動する際に、ねじ軸2の軸方向から見て、ねじ軸2が回転する方向に形成されており、掛止部36を、ねじ軸2の周方向から見て閉塞している。本実施形態では、逸脱防止部48が形成されている方向が、掛止部36のうち、ねじ軸2の軸方向から見て反時計回りの方向である場合について説明する。
各弾性変位抑制ねじ螺合孔38は、ナット側キャップ18をねじ軸2の軸方向に貫通する貫通孔であり、その内周面に、後述する弾性変位抑制ねじの雄ねじが螺合する雌ねじが形成されている。
また、各弾性変位抑制ねじ螺合孔38は、ナット4の端面にナット側キャップ18を取り付けた状態で、弾性変位用空隙部32と重なる位置に形成されている。
各キャップ取り付けねじ貫通孔40は、ナット側キャップ18をねじ軸2の軸方向に貫通する貫通孔であり、キャップ取り付けねじを挿通可能な径に形成されている。
また、各キャップ取り付けねじ貫通孔40は、ナット4の端面にナット側キャップ18を取り付けた状態で、キャップ取り付けねじ螺合孔34と重なる位置に形成されている。
なお、ナット4の端面にナット側キャップ18を取り付ける際には、キャップ取り付けねじ貫通孔40を、弾性変位部材16のキャップ取り付けねじ螺合孔34と重ねた状態で、キャップ取り付けねじ貫通孔40に、キャップ取り付けねじ(図示せず)を挿通する。これに加え、キャップ取り付けねじの雄ねじを、キャップ取り付けねじ螺合孔34に形成した雌ねじに螺合させる。
さらに、弾性変位抑制ねじ(図示せず)の雄ねじを、弾性変位抑制ねじ螺合孔38に形成した雌ねじに螺合させて、弾性変位抑制ねじ螺合孔38に弾性変位抑制ねじを挿通する。これに加え、弾性変位抑制ねじの先端側を、弾性変位用空隙部32内に配置する。これにより、弾性変位抑制ねじによって、弾性変位用空隙部32のナット4の径方向に沿った長さの減少を抑制し、弾性変位部材嵌合溝26に弾性変位部材16を嵌合させた状態を保持する。
なお、本実施形態では、ナット4が、ナット側キャップ18を備えている構成としたが、これに限定するものではない。すなわち、ナット4が、ナット側キャップ18を備えていない構成とし、ナット4が、二箇所の掛止部36と、二箇所の弾性変位抑制ねじ螺合孔38と、二箇所のキャップ取り付けねじ貫通孔40を備えている構成としてもよい。
図5は、潤滑剤供給体20の構成を示す図であり、潤滑剤供給体20を、ねじ軸2の軸方向から見た斜視図である。
図5中に示すように、潤滑剤供給体20は、半円形に形成された二つの供給体構成部材20a,20bを、互いに組み合わせて形成されており、全体として円環状をなしている。
潤滑剤供給体20の内周面は、ねじ軸2の外周面と摺接している。
潤滑剤供給体20の外周面、具体的には、供給体構成部材20a,20bのそれぞれの外周面には、全周に亘って連続する凹状溝50が形成されており、この凹状溝50内には、ガータースプリング52が配置されている。
ガータースプリング52は、円環状に形成されており、互いに組み合わせた供給体構成部材20a,20bを、互いに押圧付勢させて結合している。
また、供給体構成部材20a,20bには、第一回転抑制用凹部54aと、第二回転抑制用凹部54bが形成されている。なお、本実施形態では、供給体構成部材20に、第一回転抑制用凹部54a及び第二回転抑制用凹部54bを形成した場合について説明するが、これに限定するものではなく、供給体構成部材20に、第一回転抑制用凹部54aと第二回転抑制用凹部54bのうち一方のみを形成してもよい。
第一回転抑制用凹部54aは、潤滑剤供給体20の外周面と潤滑剤供給体20のナット4の端面と対向する面とを連続している。
第二回転抑制用凹部54bは、第一回転抑制用凹部54aと凹状溝50を間に挟んで対向配置されており、潤滑剤供給体20の外周面と潤滑剤供給体20のナット4の端面と対向する面と反対側の面とを連続している。
なお、本実施形態では、供給体構成部材20が、回転抑制用凹部54を有している場合について説明するが、これに限定するものではなく、供給体構成部材20が、回転抑制用凹部54を有していない構成であってもよい。
以下、潤滑剤供給体20を形成する材料について説明する。
潤滑剤供給体20を形成する材料としては、潤滑剤を含有した合成樹脂を用いており、潤滑剤を含有した合成樹脂としては、ポリオレフィン系合成樹脂を用いている。ポリオレフィン系合成樹脂としては、具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等を使用することが可能である。
ポリエチレンは、数平均分子量10000〜1000000未満の低〜中分子量のものと、数平均分子量1000000〜6000000の超高分子量のものとを混合して用いる。そのうちの超高分子量ポリエチレンは、溶解時の流動性が悪いため、そのものの含有比率は射出成形材料の全組成中の5〜10重量%程度が適当であり、10重量%を越えると射出成形が困難になる。一方、5重量%未満では機械的強度が低下して実用的でなくなる。
ポリプロピレンとしては、数平均分子量100000〜400000のものを用いることが可能であるが、本発明の組成物のような高い含油量であると、単独では機械的強度が低くなり過ぎるので、その向上を目的として超高分子量ポリエチレンを添加しても良い。
ポリメチルペンテンとしては、数平均分子量600000〜2000000のものを用いると好適である。
潤滑剤供給体20が含有する潤滑剤としては、例えば、鉱油、ポリα−オレフィン油、ジアルキルジフェニルエーテル油、オクタデシルジフェニルエーテル油等のアルキルポリフェニルエーテル油、エイコシルナフタレン等のアルキルナフタレン油等が好適である。また、潤滑性を向上させる目的で、添加剤としてエチルヘキシルセバケート等のエステル油を用いても良いが、極性の低いポリオレフィン系合成樹脂と極性の高いエステル油との相溶性が悪くて製品の保油性を低くするため、その混合量は全体油量中の30重量%以下とするのが好ましい。30重量%を越える量のエステル油を含有させると、保油性が悪くなる結果、多量の潤滑剤を含有させることが難しくなるのと同時に、潤滑剤の滲出速度が早くなり過ぎて早期に枯渇してしまう。
本実施形態では、潤滑剤供給体20を、上述した樹脂材料と潤滑剤とを混合して加熱溶融した後、所定の型に注入して加圧しながら冷却固化させて成形したものとし、予め、酸化防止剤、錆止め剤、摩耗防止剤、あわ消し剤、極圧剤等の各種の添加剤を加えたものとする。また、潤滑剤供給体20の機械的強度を向上させるため、上述のポリα−オレフィン系ポリマーに、以下のような熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂を添加したものとしてもよい。
熱可塑性樹脂としては、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミドイミド、ポリスチレン、ABS樹脂等の各樹脂を使用することが可能である。また、熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂等の各樹脂を使用することが可能である。
なお、本実施形態では、潤滑剤供給体20を形成する材料として、潤滑剤を含有した合成樹脂を用いているが、潤滑剤供給体20を形成する材料は、これに限定されるものではない。すなわち、潤滑剤供給体20を形成する材料として、潤滑剤供給体20に含浸されている潤滑剤を、円滑にねじ軸2の外周面に供給可能な材質、例えば、ウール混合ポリエステル製フェルト等を用いてもよい。
図6は、防塵部材22の構成を示す図であり、図6(a)は、防塵部材22をねじ軸2の軸方向から見た図、図6(b)は、図6(a)のB−B線断面図である。
図6中に示すように、防塵部材22は、円環状に形成されており、ねじ軸2の外周面と対向する面に、シールリップ56を有している。
シールリップ56は、ねじ軸側転動溝6の形状に応じて螺旋状に形成され、ねじ軸側転動溝6を含むねじ軸2の外周面に接触する形状に形成されている。
なお、防塵部材22を収容部材24の内部へ収容する際には、後述する防塵部材取付け孔58に防塵部材取付けねじ(図示せず)を挿通するとともに、この挿通した防塵部材取付けねじの先端で、防塵部材22の外径面を押圧する。
図7は、収容部材24の構成を示す図であり、収容部材24をねじ軸2の軸方向から見た斜視図である。
図7中に示すように、収容部材24は、透明または半透明のプラスチック等、内部に収容した潤滑剤供給体20を外部から視認可能な光透過性を有する材料を用いて、ねじ軸2の軸方向に沿って開口する円筒状に形成されている。
なお、本実施形態では、収容部材24を形成する材料として、光透過性を有する材料を用いたが、これに限定されるものではなく、収容部材24を形成する材料として、内部に収容した潤滑剤供給体20を外部から視認可能な光透過性を有していない材料を用いてもよい。
また、収容部材24には、隔壁部60と、二箇所の防塵部材取付け孔58と、二箇所の被掛止部42と、二箇所の収容部材側第一突出部62が形成されている。
隔壁部60は、収容部材24の内部空間を二つの空間に分割する板状部材であり、ねじ軸2が挿通可能な開口部を有する円環状に形成されている。
隔壁部60により分割された二つの空間のうち、ナット4側の空間は、潤滑剤供給体20を収容する第一収容空間64を形成する。一方、隔壁部60により分割された二つの空間のうち、他方の空間は、防塵部材22を収容する第二収容空間66を形成する。
第一収容空間64における収容部材24の内周面には、第一収容空間64に潤滑剤供給体20を収容した状態で、潤滑剤供給体20に形成された回転抑制用凹部54、具体的には、第二回転抑制用凹部54bと嵌合する収容部材側回転抑制用凸部68が形成されている。したがって、回転抑制用凹部54と収容部材側回転抑制用凸部68により、潤滑剤供給体20がねじ軸2に対して、収容部材24から独立して回転することが抑制されている。これに加え、潤滑剤供給体20がナット4から独立して回転することが抑制されている。
なお、本実施形態では、収容部材24に、収容部材側回転抑制用凸部68が形成されている場合について説明するが、これに限定するものではなく、収容部材24に、収容部材側回転抑制用凸部68が形成されていない構成であってもよい。
各防塵部材取付け孔58は、収容部材24をナット4の径方向に貫通して収容部材24の外部と第二収容空間66とを連通する孔であり、防塵部材取付けねじ(図示せず)を挿通可能な径に形成されている。
各被掛止部42は、収容部材24のナット4の端面と対向する面に設けられており、収容部材24の外周面からナット4の外周側へ向けて突出する形状に形成されている。
具体的には、被掛止部42は、収容部材24の外径面において、ねじ軸2の周方向に沿って延在する凸部であり、出入り許容部46を通過して掛止部36内に挿入可能な形状に形成されている。
したがって、掛止部36が有する相対変位規制手段44は、掛止部36内に掛止された被掛止部42の、掛止部36に対するナット4の端面に沿った一方向のみの相対変位を許容する構成となっており、この許容される方向が、被掛止部42が、掛止部36に対して、ナット4の端面に沿って相対変位することにより掛止部36内に掛止される、所定の掛止方向となっている。
また、相対変位規制手段44が有する逸脱防止部48により、掛止部36内に掛止された被掛止部42の、掛止部36に対する掛止方向への相対変位が規制されている。
本実施形態では、相対変位規制手段44が有する出入り許容部46が形成されている方向を、掛止部36のうち、ねじ軸2の軸方向から見て時計回りの方向としている。これに加え、逸脱防止部48が形成されている方向を、掛止部36のうち、ねじ軸2の軸方向から見て反時計回りの方向としている。
したがって、本実施形態では、収容部材24を、ねじ軸2の軸方向から見て反時計回りの方向へ回転させて、被掛止部42を、ねじ軸2の軸方向から見て反時計回りの方向へ回転させることにより、被掛止部42と掛止部36を嵌合させると、被掛止部42が掛止部36内に掛止され、収容部材24がナット4の端部側に配置されて、収容部材24が、ナット4の端面へ配置される。
同様に、本実施形態では、収容部材24を、ねじ軸2の軸方向から見て時計回りの方向へ回転させて、被掛止部42を、ねじ軸2の軸方向から見て時計回りの方向へ回転させることにより、掛止部36内から被掛止部42を取り外すと、収容部材24がナット4の端面から取り外される。
各収容部材側第一突出部62は、収容部材24の外径面に形成された凸部であり、ねじ軸2の軸方向に延在するとともに、ねじ軸2の周方向に延在している。
また、各収容部材側第一突出部62は、各被掛止部42と離間している。したがって、収容部材側第一突出部62と被掛止部42との間には、ねじ軸2の軸方向から見て、ねじ軸2の周方向に沿って隙間が形成されている。この隙間は、ねじ軸2の軸方向から見て、後述する治具側突出部70を挿入可能な隙間とする。
以上により、上述したボールねじ1は、被掛止部42を、ナット4の端面に沿って、出入り許容部46側から逸脱防止部48側へ移動させることにより、被掛止部42と掛止部36を嵌合させることが可能である。このため、ねじ等の部材を用いることなく、収容部材24をナット4の端部側へ着脱することが可能な構成である。
また、上述したボールねじ1は、出入り許容部46が、ねじ軸2のうちナット4の端面よりも収容部材24側に配置されている部分がナット4の端面へ向けて移動する際に、ねじ軸2の軸方向から見て、ねじ軸2が回転する方向に形成されている。これに加え、逸脱防止部48が、ねじ軸2のうちナット4の内部に配置されている部分が収容部材24側へ向けて移動する際に、ねじ軸2の軸方向から見て、ねじ軸2が回転する方向に形成されている。
このため、ねじ軸2が回転して、掛止部36内から被掛止部42が逸脱しても、潤滑剤供給体20がねじ軸2によってナット4の端面へ押圧付勢されるため、収容部材24がナット4の端部側に配置されている状態が保持される。
また、ねじ軸2が回転して、潤滑剤供給体20がねじ軸2によってナット4の端面から離れる方向へ押圧付勢されても、掛止部36に被掛止部42が嵌合している状態が保持されるため、収容部材24がナット4の端部側に配置されている状態が保持される。
これにより、ボールねじ1の動作状態によって、潤滑剤供給体20のナット4の端面に対する配置状態が変化することが防止されるため、ボールねじ1の潤滑状態が安定し、ボールねじ1の作動性を安定させることが可能となる。
次に、図1から図7を参照しつつ、図8を用いて、収容部材着脱治具72の構成を説明する。
図8は、収容部材着脱治具72の構成を示す図であり、収容部材着脱治具72をねじ軸2の軸方向から見た斜視図である。
図8中に示すように、収容部材着脱治具72は、本体部74と、二箇所の治具側突出部70を備えている。
本体部74は、板状部材を断面略C字状に湾曲させて、内部に空間を有する形状に形成されており、ねじ軸2を通過可能な開口部76を有している。なお、本実施形態では、開口部76のねじ軸2の径方向に沿った長さを、ねじ軸2の直径よりも大きくしている。
また、本体部74は、ねじ軸2の軸方向に沿った長さが、収容部材24の、ねじ軸2の軸方向に沿った長さよりも長くなるように形成されている。本実施形態では、一例として、本体部74の、ねじ軸2の軸方向に沿った長さを、収容部材24の、ねじ軸2の軸方向に沿った長さの三倍程度とする。
したがって、ねじ軸2に対し、収容部材着脱治具72をねじ軸2の径方向へ変位させ、開口部76にねじ軸2を通過させて、本体部74が形成する空間内にねじ軸2を配置すると、本体部74をねじ軸2の外径側に配置した状態となる。
各治具側突出部70は、本体部74と一体成形されており、本体部74からナット4の端部側へ突出している。
また、各治具側突出部70は、本体部74をねじ軸2の外径側に配置した状態で、収容部材24に形成された被掛止部42と、ねじ軸2の周方向で対向する。
さらに、各治具側突出部70を、被掛止部42とねじ軸2の周方向で対向させた状態では、本体部74が、ねじ軸2の軸方向から見て、収容部材側第一突出部62とねじ軸2の周方向で対向する。この状態では、収容部材側第一突出部62は、ねじ軸2の軸方向から見て、本体部74及び治具側突出部70を間に挟んで、被掛止部42とねじ軸2の周方向で対向する。
(収容部材の着脱作業)
次に、図1から図8を参照しつつ、図9から図13を用いて、上記の構成を備えたボールねじ1に対し、本実施形態の収容部材着脱治具72を用いて、ナット4の端部側へ収容部材24を着脱する着脱作業について説明する。
まず、ボールねじ1の作動時に生じる磨耗等や経年変化により劣化した、古い潤滑剤供給体20を新しい潤滑剤供給体へ交換する作業のうち、古い潤滑剤供給体20を収容した収容部材24をナット4の端部側から取り外す、取り外し作業の手順を説明する。
図9から図13は、収容部材24をナット4の端部側から取り外す作業の手順を示す図であり、図9から図13の順に沿って、取り外し作業が進行する状態を示している。
潤滑剤供給体20をナット4から取り外す作業においては、まず、図9に示すように、本体部74が有する開口部76にねじ軸2を通過させて、本体部74をねじ軸2の外径側に配置する。なお、図9中では、説明のため、収容部材着脱治具72及び収容部材24以外の図示を省略している。
このとき、治具側突出部70を、収容部材24に形成された被掛止部42と、ねじ軸2の周方向で対向させるとともに、本体部74を、ねじ軸2の軸方向から見て、収容部材24に形成された収容部材側第一突出部62と、ねじ軸2の周方向で対向させる。
次に、本体部74をねじ軸2の軸方向から見て時計回りの方向へ回転させ、本体部74により収容部材側第一突出部62をねじ軸2の軸方向から見て時計回りの方向へ押圧して、収容部材24を、ねじ軸2の軸方向から見て時計回りの方向へ回転させる。これにより、掛止部36内に嵌合している被掛止部42を、ねじ軸2の軸方向から見て時計回りの方向へ回転させる。
被掛止部42が、ねじ軸2の軸方向から見て時計回りの方向へ回転すると、掛止部36内から被掛止部42が取り外される。
次に、図10に示すように、潤滑剤供給体20及び防塵部材22を収容した収容部材24を、ナット4の端面から離間させて、収容部材24をナット4の端面から取り外すとともに、潤滑剤供給体20及び防塵部材22をナット4の端面から取り外す。
ここで、潤滑剤供給体20及び防塵部材22を収容した収容部材24を、ナット4の端面から離間させる際には、治具側突出部70を収容部材24から取り外し、作業者の手で収容部材24を把持して、この把持した収容部材24を、ナット4の端面から離間させてもよい。また、本体部74をねじ軸2の外径側から押圧して、本体部74により収容部材24を把持して、この把持した収容部材24を、ナット4の端面から離間させてもよい。
そして、図11に示すように、収容部材24を固定した状態で、潤滑剤供給体20のみをナット4の端面側へ向けて移動させることにより、収容部材24の内部から、潤滑剤供給体20を抜き出す。
収容部材24の内部から潤滑剤供給体20を抜き出した後、図12に示すように、ガータースプリング52を、潤滑剤供給体20の外周面に形成された凹状溝50内から取り出し、供給体構成部材20a,20b同士の結合状態を解除する。このとき、ガータースプリング52は、後述する取付け作業において使用するため、切断することなく、ねじ軸2の外周側に保持しておく。
ガータースプリング52を凹状溝50内から取り出した後、図13に示すように、供給体構成部材20a,20bを分離させてねじ軸2の外周側から取り外し、古い潤滑剤供給体20をナット4から取り外す作業を終了する。
次に、新しい潤滑剤供給体20を収容した収容部材24をナット4の端面に取り付ける、取り付け手順を説明する。なお、取り付け手順は、概ね、図13から図9の順に沿って、取り外し作業と逆順で進行する。
新しい潤滑剤供給体20を収容部材24の内部に収容する際には、まず、供給体構成部材20a,20bを、その内周面がねじ軸2の外周面と接触するように互いに組み合わせ、凹状溝50内にガータースプリング52を配置することにより、供給体構成部材20a,20bを結合して、潤滑剤供給体20を形成する。
次に、潤滑剤供給体20の外周面に形成されている第二回転抑制用凹部54bを、収容部材24の内周面に形成された収容部材側回転抑制用凸部68と嵌合させるとともに、潤滑剤供給体20を収容部材24の内部に収容する。
そして、上述した取り外し作業と同様、本体部74が有する開口部76にねじ軸2を通過させて、本体部74をねじ軸2の外径側に配置する。そして、治具側突出部70を、収容部材24に形成された被掛止部42と、ねじ軸2の周方向で対向させるとともに、本体部74を、ねじ軸2の軸方向から見て、収容部材24に形成された収容部材側第一突出部62と、ねじ軸2の周方向で対向させる。
次に、本体部74をねじ軸2の軸方向から見て時計回りの方向へ回転させ、治具側突出部70により被掛止部42をねじ軸2の軸方向から見て反時計回りの方向へ押圧して、収容部材24を、ねじ軸2の軸方向から見て反時計回りの方向へ回転させる。これにより、被掛止部42を、ねじ軸2の軸方向から見て反時計回りの方向へ回転させる。
被掛止部42が、ねじ軸2の軸方向から見て反時計回りの方向へ回転すると、被掛止部42が掛止部36内へ挿入されて、掛止部36内に掛止される。これにより、新しい潤滑剤供給体20を収容した収容部材24をナット4の端面に取り付けて、潤滑剤供給体20の交換作業を終了する。
(第一実施形態の効果)
以下、本実施形態の効果を列挙する。
(1)本実施形態の収容部材着脱治具72であれば、本体部74が有する開口部76にねじ軸を通過させて、本体部74をねじ軸2の外径側に配置し、さらに、治具側突出部70を被掛止部42とねじ軸2の周方向で対向させた状態で、本体部74をねじ軸の周方向へ回転させる。これにより、被掛止部42を治具側突出部70で押圧し、この押圧した被掛止部42を、掛止部36に対し、ナット4の端面に沿って所定の掛止方向へ相対変位させて、掛止部36内に掛止させる、または掛止部36内から被掛止部42を取り外すことが可能となる。
このため、潤滑剤供給体20を収容する収容部材24の周囲が狭い空間であっても、収容部材24のナット4の端部側への着脱作業が容易となる。
その結果、潤滑剤供給体20の交換における作業効率を向上させることが可能となるため、ボールねじ1を備えた直動装置を停止する時間を短縮することが可能となり、直動装置の稼動効率を向上させることが可能となる。
(2)本実施形態の収容部材着脱治具72であれば、本体部74をねじ軸2の外径側に配置するとともに、治具側突出部70を被掛止部42とねじ軸の周方向で対向させ、さらに、本体部74を、ねじ軸2の軸方向から見て、収容部材側第一突出部62とねじ軸2の周方向で対向させた状態で、本体部74をねじ軸2の周方向へ回転させる。これにより、収容部材側第一突出部62を、本体部74で押圧して、被掛止部42を、掛止部36に対し、ナット4の端面に沿って所定の掛止方向と反対の方向へ相対変位させて、掛止部36内に掛止させる、または掛止部36内から被掛止部42を取り外すことが可能となる。
このため、本体部74をねじ軸2の周方向へ回転させて、被掛止部42を治具側突出部70で押圧することが可能となるとともに、収容部材側第一突出部62を本体部74で押圧することが可能となる。
その結果、被掛止部42を、掛止部36内に掛止させる、または掛止部36内から被掛止部42を取り外す際に、本体部74をねじ軸2の周方向へ回転させる回転角を減少させることが可能となるため、潤滑剤供給体20の交換における作業効率を向上させることが可能となる。
(3)本実施形態の収容部材着脱治具72であれば、潤滑剤供給体20の交換作業時において、防塵部材22を収容部材24から外すこと無く、潤滑剤供給体20を交換することが可能となる。
このため、ボールねじ1の組立て時に、防塵部材22の取付け状態を設定した後は、潤滑剤供給体20の交換作業を行っても、防塵部材22とねじ軸2との位置関係が変化することを防止可能となる。
具体的には、例えば、図14中に示すように、従来では、シールリップ56とねじ軸側転動溝6との間に形成される隙間CL及びCRが、ねじ軸側転動溝6の底部を基準として不均一となる場合が多かった。一方、本実施形態の収容部材着脱治具72であれば、図15中に示すように、シールリップ56とねじ軸側転動溝6との間に形成される隙間CL及びCRを、ねじ軸側転動溝6の底部を基準として均一とすることが可能となる。なお、隙間CLとは、シールリップ56とねじ軸側転動溝6との間に形成される隙間のうち、図中において、左側に示す隙間である。同様に、隙間CRとは、シールリップ56とねじ軸側転動溝6との間に形成される隙間のうち、図中において、右側に示す隙間である。
なお、図14は、本実施形態の収容部材着脱治具72を用いずに潤滑剤供給体20を交換した場合の、シールリップ56とねじ軸側転動溝6との間に形成される隙間の状態を示す図である。また、図15は、本実施形態の収容部材着脱治具72を用いて潤滑剤供給体20を交換した場合の、シールリップ56とねじ軸側転動溝6との間に形成される隙間の状態を示す図である。
その結果、客先等、ねじ軸2に対する防塵部材22の位相合わせを行うために必要な道具が無い状況において、潤滑剤供給体20の交換作業を行っても、防塵部材22とねじ軸2との位置関係が変化することを防止可能となる。これにより、ボールねじ1の作動性及び耐久性の低下を抑制することが可能となる。
(応用例)
以下、本実施形態の応用例を記載する。
(1)本実施形態では、ボールねじ1において、収容部材24に、本体部74及び治具側突出部70を間に挟んで、ねじ軸2の軸方向から見て、被掛止部42とねじ軸2の周方向で対向する収容部材側第一突出部62が形成されているが、これに限定するものではない。すなわち、収容部材24に、収容部材側第一突出部62が形成されていなくともよい。
(第二実施形態)
次に、本発明の第二実施形態(以下、「本実施形態」と記載する)について、図面を参照しつつ説明する。
(構成)
まず、図16及び図17を用いて、本実施形態の収容部材着脱治具を使用する対象となる、転がりねじ装置の構成を説明する。なお、本実施形態の収容部材着脱治具を使用する対象となる、転がりねじ装置の構成は、ナット側キャップ18及び収容部材24の構成を除き、上述した第一の実施形態と同様の構成である。このため、以下の説明は、ナット側キャップ18及び収容部材24に関する説明を中心に行う。
図16は、ナット側キャップ18の構成を示す図であり、ナット側キャップ18を、ねじ軸2の軸方向から見た斜視図である。
図16中に示すように、ナット側キャップ18には、二箇所の逸脱抑制部78が形成されている。
各逸脱抑制部78は、ナット側キャップ18の一部を切り欠いて形成されており、ナット4の軸方向から見てねじ軸2の周方向に沿った略長方形に形成されている。
逸脱抑制部78の四つの辺のうち、出入り許容部46に近接している一辺と、その両側に連続する二辺は、ナット側キャップ18から切り離されており、潤滑剤供給体側への弾性力により変位して、ナット側キャップ18の平坦部よりも潤滑剤供給体側へ突出している。また、逸脱抑制部78の四つの辺のうち、出入り許容部46に近接している一辺と反対側の一辺は、ナット側キャップ18と連続している。
したがって、逸脱抑制部78は、無負荷の状態では、潤滑剤供給体側へ突出しているため、掛止部36に嵌合した被掛止部の出入り許容部46側への変位を抑制する。一方、潤滑剤供給体側からのナット4の端面側への押圧力を受けると、この押圧力によって変形し、掛止部36に嵌合した被掛止部の出入り許容部46側への変位を許容する。
逸脱抑制部78が形成される位置は、治具側突出部70が、被掛止部42とねじ軸2の周方向で対向した状態で逸脱抑制部78をナット4の端面側へ押圧して弾性変形させ、掛止部36内に掛止された被掛止部42の掛止部36内からの逸脱を許容させる位置とする。
図17は、収容部材24の構成を示す図であり、収容部材24をねじ軸2の軸方向から見た斜視図である。
図17中に示すように、収容部材24には、収容部材側第二突出部80が形成されている。
収容部材側第二突出部80は、収容部材側第一突出部62と同様、収容部材24の外径面に形成された凸部であり、ねじ軸2の周方向に延在している。
また、収容部材側第二突出部80は、治具側突出部70を被掛止部42とねじ軸2の周方向で対向させた状態で、本体部74とねじ軸2の軸方向で対向する位置に配置されている。
また、収容部材側第二突出部80は、被掛止部42及び収容部材側第一突出部62と離間している。したがって、収容部材側第二突出部80と、被掛止部42及び収容部材側第一突出部62との間には、ねじ軸2の軸方向から見て、ねじ軸2の周方向に沿って隙間が形成されている。
さらに、治具側突出部70が、逸脱抑制部78をナット4の端面側へ押圧して弾性変形させ、掛止部36内に掛止された被掛止部42の掛止部36内からの逸脱を許容させた状態では、本体部74が、収容部材側第二突出部80とねじ軸2の軸方向で接触する。
なお、本実施形態では、一例として、被掛止部42を、掛止部36内に掛止する実被掛止部42aと、掛止部36内には掛止されず、治具側突出部70と接触する接触被掛止部42bから形成した場合を説明する。
ボールねじ1のその他の構成と、収容部材着脱治具72の構成は、上述した第一実施形態と同様である。
(収容部材の着脱作業)
次に、図9から図13、図16及び図17を参照して、上記の構成を備えたボールねじ1に対し、本実施形態の収容部材着脱治具72を用いて、ナット4の端部側へ収容部材24を着脱する着脱作業について説明する。なお、以下の説明では、ナット側キャップ及び収容部材24以外の構成については、上述した第一実施形態と同様であるため、異なる部分を中心に説明する。
まず、古い潤滑剤供給体20を新しい潤滑剤供給体へ交換する作業のうち、古い潤滑剤供給体20を収容した収容部材24をナット4の端部側から取り外す、取り外し作業の手順を説明する。
潤滑剤供給体20をナット4から取り外す作業においては、まず、本体部74が有する開口部76にねじ軸2を通過させて、本体部74をねじ軸2の外径側に配置する(図9参照)。
このとき、治具側突出部70を、収容部材24に形成された被掛止部42と、ねじ軸2の周方向で対向させるとともに、本体部74を、ねじ軸2の軸方向から見て、収容部材24に形成された収容部材側第一突出部62と、ねじ軸2の周方向で対向させる。
これに加え、治具側突出部70により、逸脱抑制部78をナット4の端面側へ押圧して弾性変形させ、掛止部36内に掛止された被掛止部42の掛止部36内からの逸脱を許容させる。
この状態では、本体部74が、収容部材側第二突出部80と接触するため、収容部材着脱治具72が、過度にナット4の端面側へ押圧されることが抑制される。
次に、本体部74をねじ軸2の軸方向から見て時計回りの方向へ回転させて、収容部材24を、ねじ軸2の軸方向から見て時計回りの方向へ回転させ、掛止部36内に嵌合している被掛止部42を、ねじ軸2の軸方向から見て時計回りの方向へ回転させる。これにより、掛止部36内から被掛止部42を取り外す。
次に、潤滑剤供給体20及び防塵部材22を収容した収容部材24をナット4の端面から取り外す(図10参照)。
そして、上述した第一実施形態と同様の手順により、古い潤滑剤供給体20をナット4から取り外す。
次に、新しい潤滑剤供給体20を収容した収容部材24をナット4の端面に取り付ける、取り付け手順を説明する。なお、取り付け手順は、上述した第一実施形態と同様、概ね、取り外し作業と逆順で進行する。
新しい潤滑剤供給体20を収容部材24の内部に収容した後、上述した取り外し作業と同様、本体部74が有する開口部76にねじ軸2を通過させて、本体部74をねじ軸2の外径側に配置する。そして、治具側突出部70を、収容部材24に形成された被掛止部42と、ねじ軸2の周方向で対向させるとともに、本体部74を、ねじ軸2の軸方向から見て、収容部材24に形成された収容部材側第一突出部62と、ねじ軸2の周方向で対向させる。
このとき、本体部74を、収容部材側第二突出部80と接触させるとともに、治具側突出部70により、逸脱抑制部78をナット4の端面側へ押圧して弾性変形させ、掛止部36内に掛止された被掛止部42の掛止部36内からの逸脱を許容させる。
次に、本体部74をねじ軸2の軸方向から見て時計回りの方向へ回転させ、収容部材24を、ねじ軸2の軸方向から見て反時計回りの方向へ回転させる。これにより、被掛止部42を、ねじ軸2の軸方向から見て反時計回りの方向へ回転させ、被掛止部42が掛止部36内へ挿入して、掛止部36内に掛止させる。これにより、新しい潤滑剤供給体20を収容した収容部材24をナット4の端面に取り付けて、潤滑剤供給体20の交換作業を終了する。
(第二実施形態の効果)
以下、本実施形態の効果を列挙する。
(1)本実施形態の収容部材着脱治具72であれば、被掛止部42とねじ軸2の周方向で対向させた治具側突出部70により、逸脱抑制部78をナット4の端面側へ押圧して弾性変形させ、掛止部36内に掛止された被掛止部42の、掛止部36内からの逸脱を許容させる。
このため、治具側突出部70により逸脱抑制部78を弾性変形させた状態で、本体部74を回転させることにより、掛止部36内から被掛止部42を取り外すことが可能となるため、収容部材24をナット4の端部側から取り外す作業が容易となる。
その結果、潤滑剤供給体20の交換における作業効率を向上させることが可能となる。
(2)本実施形態の収容部材着脱治具72であれば、治具側突出部70が逸脱抑制部78をナット4の端面側へ押圧して弾性変形させ、掛止部36内に掛止された被掛止部42の、掛止部36内からの逸脱を許容させた状態で、本体部74が、本体部74とねじ軸2の軸方向で対向する収容部材側第二突出部80と接触する。
このため、治具側突出部70が逸脱抑制部78をナット4の端面側へ押圧して弾性変形させ、掛止部36内に掛止された被掛止部42の、掛止部36内からの逸脱を許容させる際に、逸脱抑制部78に過大な荷重が加わることを抑制することが可能となる。
その結果、逸脱抑制部78の損傷を抑制することが可能となり、ボールねじ1の耐久性が低下することを抑制することが可能となる。
1 ボールねじ
2 ねじ軸
4 ナット
6 ねじ軸側転動溝
8 ナット側転動溝
10 負荷転動路
12 転動体
16 弾性変位部材
18 ナット側キャップ
20 潤滑剤供給体
22 防塵部材
24 収容部材
36 掛止部
42 被掛止部
44 相対変位規制手段
46 出入り許容部
48 逸脱防止部
56 シールリップ
62 収容部材側第一突出部
70 治具側突出部
72 収容部材着脱治具
74 本体部
76 開口部
78 逸脱抑制部
80 収容部材側第二突出部
82 直動装置
84 リニアガイド
86 ブラケット

Claims (4)

  1. 外周面に螺旋状のねじ軸側転動溝を有するねじ軸と、当該ねじ軸の外周側に配置されるとともに前記ねじ軸側転動溝に対向する螺旋状のナット側転動溝を内周面に有するナットと、潤滑剤を含有し、その含有した潤滑剤を前記ねじ軸の外周面へ供給する潤滑剤供給体と、当該潤滑剤供給体を内部に収容し、且つ前記ナットの端部側へ着脱可能に取り付けられる収容部材と、を備える転がりねじ装置における、前記収容部材を前記ナットの端部側へ着脱する転がりねじ装置用の収容部材着脱治具であって、
    前記転がりねじ装置において、
    前記ナットの端部側に、前記ねじ軸の軸方向に沿った方向へ突出するとともにねじ軸の周方向に沿って円弧状に延在する複数の掛止部が形成され、
    前記収容部材に、前記複数の掛止部内に掛止される複数の被掛止部が形成され、
    前記被掛止部は、前記掛止部に対して前記ねじ軸の周方向に沿って所定の掛止方向へ相対回転することにより掛止部内に掛止され、且つ前記掛止部に対して前記ねじ軸の周方向に沿って前記掛止方向と反対方向へ相対回転することにより掛止部内から取り外され、
    前記収容部材着脱治具は、
    前記ねじ軸の外径側に配置する本体部と、当該本体部から前記ナットの端部側へ突出し、且つ前記収容部材に形成された前記被掛止部と前記ねじ軸の周方向で対向する治具側突出部と、を備え、
    前記本体部は、前記ねじ軸を通過可能な開口部を有することを特徴とする転がりねじ装置用の収容部材着脱治具。
  2. 前記転がりねじ装置において、
    前記収容部材に、前記ねじ軸の軸方向から見て、前記本体部及び前記治具側突出部のうち少なくとも一方を間に挟んで前記被掛止部と前記ねじ軸の周方向で対向する収容部材側第一突出部が形成され、
    前記収容部材着脱治具において、
    前記本体部及び前記治具側突出部のうち少なくとも一方は、前記ねじ軸の軸方向から見て、前記治具側突出部を前記被掛止部と前記ねじ軸の周方向で対向させた状態で、前記収容部材側第一突出部と前記ねじ軸の周方向で対向することを特徴とする請求項1に記載した転がりねじ装置用の収容部材着脱治具。
  3. 前記転がりねじ装置において、
    前記ナットの端部側に、前記収容部材と対向し、且つ弾性力により前記収容部材側へ突出して前記掛止部内に掛止された前記被掛止部の掛止部内からの逸脱を抑制する逸脱抑制部が形成され、
    前記逸脱抑制部は、前記収容部材側からの前記ナットの端面側への押圧力により弾性変形して、前記掛止部内に掛止された前記被掛止部の掛止部内からの逸脱を許容し、
    前記収容部材着脱治具において、
    前記治具側突出部は、前記被掛止部と前記ねじ軸の周方向で対向した状態で前記逸脱抑制部を前記ナットの端面側へ押圧して弾性変形させ、前記掛止部内に掛止された前記被掛止部の掛止部内からの逸脱を許容させることを特徴とする請求項1または2に記載した転がりねじ装置用の収容部材着脱治具。
  4. 前記転がりねじ装置において、
    前記収容部材に、前記本体部と前記ねじ軸の軸方向で対向する収容部材側第二突出部が形成され、
    前記収容部材着脱治具において、
    前記本体部は、前記治具側突出部が前記逸脱抑制部を前記ナットの端面側へ押圧して弾性変形させ、前記掛止部内に掛止された前記被掛止部の掛止部内からの逸脱を許容させた状態で、前記収容部材側第二突出部と接触することを特徴とする請求項3に記載した転がりねじ装置用の収容部材着脱治具。
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