JP5166652B2 - 厚み滑りモード多重測定量センサの圧縮波成分制御 - Google Patents
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Description
本出願は、2009年9月18日に出願された米国仮出願第61/243685号の優先権を主張する。この出願は、あらゆる目的のために全体を本明細書に組み込まれる。2008年2月22日出願され「Sensor, System, and Method for Measuring Fluid Properties Using Multi-Mode Quasi-Shear Horizontal Resonator(多重モード準せん断水平共振器を使用して流体特性を測定するためのセンサ、システム、及び方法)」と題された米国出願第12/036125号、2009年8月12日に出願され「Instrumentation of Acoustic Wave Devices(音響波装置のインスツルメンテーション)」と題された米国出願第12/540,339号、2010年5月15日に出願され「Improved Measurement of Fluid Parameters(流体パラメータの改良測定)」と題された米国出願第12/780,869号、2010年5月1日に出願され「Improved Calibration of High Frequency Fluid Phase Acoustic Sensors(高周波流体相音響センサの改良校正)」と題された米国出願第12/780,868号、2006年4月20日に出願され「Electro Acoustic Sensor for High Pressure Environments(高圧環境のための電気音響センサ)」と題されたAndleによる米国出願第11/814074号、2008年9月2日に出願され「Asymmetric Composite Acoustic Wave Sensor(非対称複合音響波センサ)」と題されたAndle及びHaskellによる米国出願第12/202,431号、並びに2009年3月14日に出願され「Improved Lateral Excitation of Pure Shear Modes(純せん断モードの改良横方向励起)」と題されたAndle、Haskell、及びStevensによる米国出願第12/404,288号は、参照によって全体を本明細書に組み込まれる。
本発明は、流体サンプルの物理的特性の測定に関する。特に、本発明は、潤滑油又は燃料などの材料の密度、ずり粘弾性、及び圧縮弾性の測定・相関特性を同時決定するための装置、システム、並びに方法に関する。
工業環境では、流体特性の多重測定量測定への需要が高まっている。注目に値する例として、燃料、潤滑剤、油圧液、及び冷却材の監視が挙げられ、ここでは、予防保全スケジュールを最適化するために、流体の老化及び汚染を監視して動向分析を施す必要がある。通常、これらの応用は、破局的突発故障の即時検出のために粘度測定を必要とし、予測測定のために導電率及び/又は誘電率測定を用いる。多くの場合、その場(in-situ)測定に最も対応可能な測定原理は、実験室設備を使用して得られる値から測定結果を歪める幾つかの二次的効果を有する。更に、粘度変化の原因を特定するためには、多くの場合、その他の流体物理的特性が必要とされる。
低コストで且つハイパフォーマンスな多重測定量流体状態センサを開発しようとする20年以上に及ぶ努力にもかかわらず、流体の希釈、すすの蓄積、水及びグリコールの汚染、添加物の枯渇、摩耗粒子の検出など、潤滑剤、燃料、油圧液、及び冷却材について着目される全ての流体特性を同時検出するのに適した単独の測定手法は未だ存在しない。
これらの特性を監視するために多くの手法が提案されてきたなかで、振動センサの、特に、音響エネルギを流体に付与する圧電素子に基づく固体状態の実装形態が最も有望であった。一般に、可測パラメータは、センサの調和周波数ω及び駆動信号振幅の非線形関数である。関数の形式が既知であるゆえに、そして先行技術が周波数依存性及び振幅依存性のインスツルメンテーションの方法を提供するゆえに、これらの効果に取り組むことが可能である。先行技術を本発明と併せて使用することによって、一部の応用では依存性を特性化することが可能であり、一部の応用では値を補正して実験室状態に戻すことが可能である。特に着目されるのは、流体のレオロジであり、具体的には、せん断歪みの速度及び調和周波数の関数としての、せん断応力とせん断歪み速度との間の関係である。文献では、多くの擬似塑性モデルが良く知られている。
明瞭さを期するために、本出願は、振動圧電素子をベースとしたこのようなセンサを、音響波装置、すなわちAWDと呼ぶ。共振AWDは、ここでは、複数の電極を有する結晶材料を含む装置と見なされ、これらの電極の少なくとも1対の入力間に供給された電力に応答して結晶面の移動が提供され、反対に、結晶面に印加された電力に応答して電力の出力対において電気信号が生成される。1つ又は2つ以上の電極は、入力対及び出力対の両方に共通であってよく、入力対は、出力対としても機能してよい。上記の用語は、厚み滑りモード(TSM)、表面音響波(SAW)、表面横波(STW)、バルク音響波(BAW)、水晶振動子マイクロバランス(QCM)などにも拡大解釈される。AWDは、平板モード、厚みモード、滑りモード及び滑り厚みモード、バルク波、ラブ波などを使用して動作してよく、使い勝手の良い任意のカット又は材料を用いることができる。AWDを使用したセンサ応用用のものとして、石英、ランガサイト、ランガテイト、リン酸ガリウム、ニオブ酸リチウム、及びタンタル酸リチウムが広く報告されており、この新興分野では、AWDの定義に明確に含まれるものとして、より新しい多くの材料が期待されている。なお、単一のAWDは、2つ以上の共振周波数を有するのが普通であり、各周波数は、「モード」又は「共振モード」として等価に関連付けられる。更に、たとえ「単一モード」装置として設計された装置でも、望ましくないスプリアス(不要波)モードを有する。
AWDが動作する環境に関する情報の取得は、AWDをセンサに仕立てることができる。しかしながら、センサは、有用な情報を提供するためには、機器、すなわち回路や計算装置などにつなぐ必要がある。接続方法、サポート回路、及び情報の復号方式は、口語的には装置の「インスツルメンテーション」として知られており、該インスツルメンテーションの提供は、装置を「インスツルメントする(計測に使用できるように装備する)」こととして知られている。
上記のニーズを少なくとも部分的に満足させる可能性があるものとして、圧電音響波装置(AWD)技術をベースとした数々の技術が知られている。例えば、水晶音叉が、McFarlandらによって米国特許第6,401,519号に開示され、波形厚み滑りモード(TSM)センサが、Martinらによって米国特許第5,741,961号に開示され、波形表面横波(STW、ラブモード)が、Hermannらによって米国特許第6,543,274号に開示された。米国特許第6,033,852号に教示されたAndleによるモノリシック圧電センサ(MPS)、米国特許第7,552,619号に記載されたAndleによる波形MPS、米国公開特許公報第2009−0309453号及び米国公開特許公報第2010−0052470−A1に記載されたAndleによる高圧複合共振器、米国公開特許公報第2009/0216467号及び第WO2009/105354号に開示されたAndleによる多重モード準せん断水平共振器(MMQSHR)、米国特許第7,075,216号に開示されたVetelinoによる横方向場励起TSM、並びに米国特許出願第12/404,288号に開示されたAndleによる共平面円偏向トランスデューサ(CCPT)は、より新しい例を構成している。CCPTは、1つ又は2つ以上の電極が機能的に閉じられた形状を形成するように共通表面(平面状又は曲面状)上に形成された複数の電極を含み、これらの複数の電極は、複数の形状を形成し、これらの各形状は、機能的に、別の形状によって完全に取り囲まれ又は別の形状を完全に取り囲み、両者の間に隙間を形成している。ここでの電極は、共平面円偏向電極(CCPE)として定義され、CCPTは、少なくとも1つのギャップによって間を隔てられた複数の共平面円偏向電極を含む。「機能的に閉じられた形状」とは、閉じられた形状を幾何学的に壊すとはいえCCPTによって誘発される円偏向に対する効果は最小であるように、1つ又は2つ以上の小さな隙間が形状に導入されえること意味する。このトランスデューサは、様々なAWDに適用可能であるが、厚み滑りモード(TSM)装置において横方向場励起を発生させるために使用される際に最も有効である。
上記に示された特許、公開特許公報、及び特許出願は、全て、それらの全体を参照によって本明細書に組み込まれる。
Sandia National Laboratories and others, S. J. Martin, V. E. Granstaff and G. C. Frye, “Characterization of a Quartz Crystal Microbalance with Simultaneous Mass and Liquid Loading(同時的な質量負荷及び液体負荷を伴う水晶振動子マイクロバランスの特性化)”, Anal Chem 1991, 63, 2272-2281による初期研究は、水晶厚み滑りモード(TSM)センサの適用性及び制限事項の両方を明らかにした。初期TSMセンサの5つの重大な制限事項は、(a)運動抵抗と並列の静的キャパシタンスの時定数が、測定範囲及び分解能を制限すること、(b)所定のインスツルメンテーションシステムにおいて、水晶の低圧電結合(k2)が、運動抵抗の測定範囲を制限すること、(c)代表的な炭化水素の場合に、実在流体のマクスウェル特性が、ニュートンモデルから〜1MHz上方へ大幅に逸脱すること、(d)TSMエネルギ捕捉に伴う付随的な圧縮波成分が、粘性損失の誤った読み取りを引き起こすことが知られていること、並びに(e)対向表面からのこれらの圧縮波の反射が、結晶面と隣接反射面との間の流体内に共振を確立することである。
水晶をベースとしたモノリシック結晶フィルタ(MCF)が、Schweyer et al. in 1997、M. Schweyer, J. Hilton, J. Munson, J. Andle, J. Hammond, R. Lec & Q. Lin, “A Novel Monolithic Piezoelectric Sensor(新規のモノリシック圧電センサ)”、1997 IEEE International Ultrasonics Symposium, pp. 371-374、及びM. Schweyer, J. Hilton, J. Munson, J. Andle, J. Hammond and R. Lec, “A novel monolithic piezoelectric sensor(新規のモノリシック圧電センサ)”, 1997 IEEE International Frequency Control Symposium, pp. 32-40,によって、単一ポートTSM装置の静的キャパシタンスの並列搭載に対する解決策として導入された。MCFのトポロジは、静的キャパシタンスを、運動回路を通る伝送に並列ではなくソース抵抗及び負荷抵抗に並列な2つの分路素子として配し、上記の制限(a)を拡張する。
共振AWDを用いた流体パラメータの測定を容易にするためには、簡易化された1つ又は2つ以上の可測電気的パラメータを流体の1つ又は2つ以上の物理的特性に近似的に関係付ける等価な電気回路又は伝送路を手本として装置をモデル化することが良く知られている。単一共振周波数におけるAWDの挙動は、直列につながれた抵抗Rm、インダクタンスLm、及びキャパシタンスCmを含む単純で等価な電気直列共振回路によってモデル化するのが普通である。下付き文字mは、圧電効果による音響−電気「変圧比」を通して見られる運動特性を意味する。このような縮小された等価回路モデルは、計算の簡単さ及び概念の明瞭さのために用いられる。
図1aは、先行技術の単一ポートTSMの等価回路を示しており、図1bは、より最近は多重モード準せん断水平共振器(MMQSHR)として具現化されている先行技術のモノリシック圧電センサの等価回路を示している。原初のTSMでは、電極の物理的な静的キャパシタンス101は、直列の運動抵抗103、運動キャパシタンス104、及び運動インダクタンス105によって表される共振伝送経路102に並列である。MMQSHRでは、静的キャパシタンスは、入力111と出力112とに分けられ、いずれも、伝送経路113及び114から分路されていない。伝送経路113は、その直列共振において0°の位相シフトを有し、運動インダクタンス115、運動キャパシタンス116、及び運動抵抗117によってモデル化される。伝送経路114は、その直列共振において180°の位相シフトを有し、180°位相シフタ121を伴って運動インダクタンス118、運動キャパシタンス119、及び運動抵抗121によってモデル化される。
物理的なキャパシタンスのこの再配置は、複雑な補償方式の必要性を排除し、また、隔離された電気的接続を伴うTSMセンサの動作を流体による電気的変動に影響されにくくする。更に、低ソースインピーダンス励起回路及び低負荷インピーダンス電流測定検出器の使用は、素子の伝達アドミタンスY21の測定を可能にし、これらの物理的なトランスデューサ静的キャパシタンス素子の残留効果を排除する。
サンプリングされた伝達関数データから運動抵抗を抽出するために、並びに圧力、温度、及び粘度に起因する変動にわたって共振周波数を追跡するために、掃引周波数伝送回路を用いることができる。数々の方法が、伝達関数の実数部の測定を可能にする。伝達関数は、ベクトルネットワーク解析器によって測定されたS21、検出されたRMS電圧によって測定されたH(F)、又は短絡出力回路電流対入力電圧の比としてのY21であると考えられる。負荷が50Ωで、静的キャパシタンスが十分に小さく、且つ運動抵抗が十分に大きい場合は、S21、H(F)、及び50×Y21の実数部は、校正曲線において穏やかな変化を伴うだけで、適度に置き換え可能である。
図2は、MMQSHRのためのインスツルメンテーション回路構成の好ましい実施形態としての1つの実施形態を示している。低インピーダンス電圧源210は、MMQSHR220を励起させ、該MMQSHR220の短絡回路出力電流は、トランスインピーダンス増幅器230によって増幅される。電圧源の低インピーダンス及び電流対電圧増幅器は、物理的なキャパシタンス111及び112を取るに足らないものにする。その結果、増幅器230の出力電圧対ソース電圧210の比は、MMQSHRの伝達アドミタンスY21に増幅器のフィードバック抵抗RF231を乗じたものになる。インスツルメンテーションの一実施形態では、同相駆動信号210は、直交信号を得るために位相シフト215され、混合器240、245を駆動するために随意としてバッファリング235、240され、結果として、ダウンコンバートされた同相大きさ信号250及び直交大きさ信号255となる。電圧源210の周波数は変化するので、250及び255における電圧は、Y21の実数部及び虚数部を、すなわち伝達コンダクタンス及び伝達アドミタンスをそれぞれ表す。伝達アドミタンスは、圧縮波反射が取るに足らないほど小さいという制限下では、容易に曲線適合されて、図1aの等価回路の要素を得ることができる。
水晶をベースとしたMCF構造のパフォーマンスは、依然、圧電結合によって制限されていた。しかしながら、その制限は、測定される運動抵抗から分路されているその以前の場所から静的キャパシタンスを取り除くことによって、より高粘度にスケール調整された。ケイ酸ランタンガリウム(LGS)及びより高結合のその他の水晶様圧電結晶の開発は、成功した装置の実証を可能にした。これらの材料は、より高い音響インピーダンスと、より高い結合とを有する。より高い音響インピーダンスは、流体ダンピングに対する感度を低くし、より高い圧電性は、電気等価回路運動抵抗対物理的ダンピングの比を小さくする。2007, J. Andle, R. Haskell, R. Sbardella, G. Morehead, M. Chap, J. Columbus and D. Stevens, “Design, packaging and characterization of a two-port bulk wave langasite viscometer(2ポートバルク波ランガサイト粘度計の設計、パッケージ化、及び特性化)”, IEEE Sensors 2007, pp. 868-871では、上記の制限(b)が克服されている。
大規模な応用の多くは、インサービス流体の動向(老化)解析のためであるので、ニュートン性からの逸脱は、5MHzにおいて許容可能であると見なされた。K. Durdag and J. Andle, “Portable/Handheld Oil Assessment Device Project: NCMS Collaborative Agreement No: 200640-140414(持ち運び可能な/携帯用の油評価装置プロジェクト:NCMS共同契約第200650−140414号)”, Final Report, Nov. 12, 2007 (unpublished)、K. Durdag and J. Andle, “Real-Time Viscosity Measurement for Condition-Based Monitoring Using Solid-State Viscosity Sensor(固体状態の粘度センサを使用した状態ベースのモニタリングのためのリアルタイムな粘度測定)”, Tribology Transactions, 51:296-302, 2008、及びAndle J., Durdag K., Chap M., Haskell R., Threaded Fluid Condition Sensor for Real-Time, On-Line and In-Line Oil Conditioning Monitoring(リアルタイムで、オンラインで、且つインラインな油状態モニタリングのためのねじ込み式の流体状態センサ), in Proceedings of SENSOR+TEST 2009 Conference, Nuremberg, Germany, 26-28 May 2009, Vol. II, pp.229-234を含む先行研究は、広範囲に及ぶ潤滑剤について、発振器をベースとしたLGS MCFセンサシステムにおいて測定される音響粘度」(「AV」=ρη)と、固有粘度(η)又は動粘性(η/ρ)のいずれかの実験室測定結果との間に、上記の(c)に関連した線形相関項を伴う優れた相関を示した。それでも尚、材料の密度及びひいては圧縮率を測定することはもちろん、相関付けの必要性を排除することも、依然として望まれている。
これを目的として、2010年5月15日に出願され「Improved Measurement of Fluid Parameters(流体パラメータの改良測定)」と題された米国出願第12/780,869号は、6つの等価回路パラメータを4つの線形化された「入力パラメータ」に変換する方法を提供する。2つの入力パラメータは、2つの共振伝送経路のエネルギ損失(線形化された運動抵抗)に関係し、2つの入力パラメータは、2つのモードの周波数シフト(線形化された運動インダクタンス)に関係している。
‘869出願の、選択された態様の重要な特徴は、負荷に対する運動抵抗の計算感度パラメータとして、先行技術のように理想的な運動キャパシタンスを使用するのではなく、基準及び/又は測定状態においてセンサを等価回路に適合することから抽出された実測の運動キャパシタンス値を用いることである。更に別の重要な特徴は、少なくとも1つの演算関数への「損失」入力パラメータとして、等価回路への適合において個々に抽出された各選択された共振における運動抵抗と運動キャパシタンスとの非線形積(「RC積」)を用いることである。損失パラメータにおける非線形積の使用は、センサ応答を線形化する。同様に、センサ応答を最適に線形化するために、少なくとも1つの演算関数への「周波数」又は「位相」入力パラメータとして、等価回路の適合において個々に抽出された選択された共振の共振周波数と運動インダクタンスと運動キャパシタンスとの非線形積(「ωLC積」)が用いられてよい。測定状態と基準状態との間のRF積及びωLC積の差をとることが、有利であると判明した。更に、これらの差を無負荷時/基準共振周波数ω0で乗じると、問題が最適に正常化されることが判明した。適切に正常化されたシステムは、非調和番号mを有する各選択されたm次共振について、複素入力パラメータImが定義されることを可能にする。複素入力パラメータは、実数部が損失入力パラメータLmであり、虚数部が周波数入力パラメータPmである。回路構成理論の類推及び双対原理によれば、R/L比を損失パラメータとして用いること、及び好ましくはR/ωL比を正規化のために用いることは、等しく許容可能である。これは、実証によって、RC積及びωRC積とそれぞれ同一であるとされ、本開示全体を通して同一であると見なされる。同様に、ωLCは、1/ωであると認識される。したがって、1/ωは、ωLC積と同一であると見なされる。
したがって、‘869出願では、共振音響波装置(AWD)を用いて流体の機械的特性を測定する方法が提供される。この方法は、AWDの、少なくとも1つの選択された共振周波数を中心とした複数の周波数において、AWDの基準状態伝達関数を測定することによって開始される。等価回路モデルにしたがって、伝達関数を記述する等価回路パラメータが抽出される。これらのパラメータは、好ましいモデルにおける等価回路パラメータである運動抵抗、運動インダクタンス、及び運動キャパシタンスを反映している。基準状態においてAWDが測定された後、AWDセンサは、測定される流体の粘弾性負荷をAWDに付与することによって、負荷時/測定状態において用いられる。再び、少なくとも1つの共振周波数を中心とした複数の周波数において、負荷時AWDの伝達関数が測定される。再び、伝達関数を記述する負荷時等価回路パラメータが抽出される。測定状態及び基準状態における等価回路の抽出後は、等価回路パラメータの非線形結合を含む、共振周波数に関連付けられた少なくとも1つの入力パラメータを定めることによって、そして、少なくとも1つの出力パラメータを基準状態から負荷時状態への入力パラメータの差に関係付ける少なくとも1つの線形化された演算関数を用いて出力パラメータを計算することによって、流体特性に関連付けられた少なくとも1つの出力パラメータを定めることによって、流体の機械的特性が計算される。流体の機械的特性は、次いで、流体特性を使用して出力パラメータを定義した既知の関係を用いて演算関数の出力パラメータから算出される。演算関数と、算出される出力パラメータとの間には、1対1の対応関係が存在する。
演算関数は、通常は、「校正係数」と呼ばれる1つ又は2つ以上の可調整項を含む。これらの係数は、実験的に想定、推定、又は測定することができる。
損失パラメータと周波数パラメータとの間の均衡は、流体のずり粘弾性緩和時間を表す。Barlow及びLambは、最初、この原理を、自分らの論文“The Visco-Elastic Behaviour of Lubricating Oils under Cyclic Shearing Stress(循環せん断応力下における潤滑油の粘弾性挙動)”, Proc. R. Soc. Lond. A 1959 253, 52-69のなかで、圧縮モードに関するいかなる考察もなく水晶センサに適用した。この手法は、‘869出願において、また、2010年5月15日に出願され「Improved Calibration of High Frequency Fluid Phase Acoustic Sensors(高周波流体相音響センサの改良校正)」と題された米国出願第12/780,868号において拡張された。これらの出願は、より良く知られている動粘性η(ω)と密度ρとの積に加えて、圧縮波放射に関連付けられた放射抵抗、すなわち密度ρと圧縮弾性率κとの積と、粘弾性緩和時間τとを得るために、センサを同時にインスツルメントする方法を開示している。参照によって全体を本明細書に組み込まれた‘868出願は、このようなAWDの複数の既知の静的負荷状態から粘弾性負荷を付与し、これらの既知の負荷条件下において、少なくとも1つの共振周波数を中心としてAWDの伝達関数を測定することによって、校正係数を決定する。校正係数の初期値が選択され、次いで、AWDによって測定された又はこのような測定をもとに算出された選択されたパラメータと、既知の校正流体から導き出された対応する理想パラメータとの間の誤差関数が決定される反復プロセスが実行される。誤差関数が決定されたら、校正係数が調整され、計算は、誤差関数が許容可能な許容差内に収まるまで反復される。重要なのは、計算が、想定された校正係数を使用してAWDによって測定された、非ニュートン校正流体の推定粘弾性緩和時間を用いることである。理想パラメータの計算は、共振周波数における流体のずり粘弾性緩和時間を利用して、測定パラメータをもとに流体の静的流体パラメータを推定し、この緩和時間を、校正係数の調整によって命じられたように調整する。この方法の結果は、1つには、AWDの動作周波数において非ニュートン流体であって尚且つニュートン動作条件下で得られた静粘性情報のみをそのために利用可能である流体を使用した粘弾性特性の測定用に、高周波AWDセンサを校正することを可能にする。本出願のやり方と同様に、実測の運動キャパシタンスを用いることによって、粘弾性緩和時間を得る好ましい方法が提供され、これは、校正パラメータの計算を簡略にする。
図3は、Yカットケイ酸ランタンガリウム(LGS)上に作成された全長3.5mm、全幅2mm、結晶厚さ0.26mmの分割楕円電極を用いたMMQSHR装置の応答を示している。接地板表面上に、テスト流体が搭載され、上記に示された先行技術の計算にしたがって、幾つかの温度において、一次及び二次共振モードの測定運動抵抗の、基準状態からの変化が測定された。図3は、周波数を正規化されたせん断音響インピーダンスを使用して演算関数をグラフ表示する試みを表している。ソルベイ・ソレクシス(Solvay-Solexis)によるパーフルオロポリエーテルHT270は、5.25MHzにおいて適度にニュートン的であり、粘性標準として使用されてきた。HT270は、一次(00)モード301及び二次(10)モード302において極めて直線的な関係を示している。これらの曲線の傾斜は、大きく異なり、その効果を補正するためのメカニズムは、運動抵抗又は周波数を使用した‘869出願よりも前の先行技術の理論のなかには存在しない。
キャノン(Cannon)鉱油標準であるN250は、応答に上向きの湾曲を見せることがわかり、これは、粘度の増加(温度の低下)とともに緩和時間が増加することを表している。やはり、2つのモード303、304は、著しい感度の違いを有する。したがって、圧縮効果305、306に起因する示差抵抗を得るために、又は信頼性が高く、繰り返し可能で、且つ正確な粘弾性効果の測定結果を得るために、この測定を高い信頼度で使用することは、システムの非線形性ゆえに不可能である。
圧縮波放射の測定値は、せん断(粘性)項の一次元推定を補正するために使用することができる。運動抵抗(1/gmax)の直接的な測定又は2つのモードにおける曲線適合を使用した推定は、せん断音響インピーダンス及び圧縮音響インピーダンスを名目空気値からの運動抵抗の変化に関係付ける方程式の体系を解くために行列法が用いられることを可能にする。
先行技術において、2つの可観測量は、それぞれニュートン極限における流体の接線「音響インピーダンス」値及び圧縮「音響インピーダンス」値(2ωρη)1/2及び(ρκ)1/2である2つの測定量ZS及びZCに依存する。線形方程式の体系は、せん断音響インピーダンス及び圧縮音響インピーダンスを使用して記述することができる。正規化されたせん断インピーダンスの二乗は、「音響粘度」と呼ばれ、Pa・s・kg/m3を単位として「AV」で表される。‘125出願にしたがうと、
として、単純な関係を提供することができる。ここで、RS0及びRA0は、それぞれ空気中における対称的な抵抗及び非対称的な抵抗である。‘869出願と合わせると、対称モードはモード0であり、非対称モードはモード1である。定数KST、KSC、KAT、及びKACは、ΔRS及びΔRAをZT及びZCに関係付ける。この関係を逆転すれば、2つの測定運動抵抗からせん断波及び圧縮波の音響インピーダンスを提供するだろういわゆる演算関数が得られる。この計算は、音響伝送線路の線形負荷を前提としており、これは、下付き文字Sが基板密度を表すとして、ρκ<<ρSC22且つ2ωηρ<<ρSC66であることを必要とする。
‘125出願にしたがうと、空気中における及び流体内における2つの抵抗値を知ること、並びにパラメータの行列を知ることによって、線形方程式の体系が与えられる。方程式の体系は、ZS 2として密度・粘性積を得るのみならず、もし、係数行列の行列式が非ゼロであれば、非反射圧縮波動放射に起因する残余測定誤差も補償する。最終的に、圧縮インピーダンスの二乗の値についての追加情報によって、弾性・密度積ρκが与えられる。いずれのモードも、同程度のエネルギ捕捉プロフィールとせん断波成分とを有するので、多くの場合、KST≒KATである。
したがって、密度・弾性(圧縮インピーダンス)を測定するための要件は、KAC≠KSCである。これは、厚さ場励起を伴う厚みねじれ(Z伝播)結合共振器と対立するものとして、厚み滑り(X伝播)結合共振器を使用すること、及び優れたエネルギ捕捉を有することによって、適度に保証される。特定の横方向場結合共振器では、厚みねじれ非調波が望まれる。対称モードでは共振器の直径に及ぶ半波長のエネルギ捕捉を、非対称モードでは1波長のエネルギ捕捉を有する理想的な共振器では、これらの項の比は、4:1である。エネルギ捕捉領域を越えてからのエバネセント減衰は、この比を減少させる。
UX(x)を変化させると、図3及び図4に見られるように、圧縮放射に対する感度は異なるが粘性負荷に対する感度は同様である異なる非調波が生じる。この感度は、エネルギ捕捉の考察から知られる圧縮変位対せん断変位の比から生じる。この比の二乗は、本明細書では、m次非調波についてのθmとして表される。
流体負荷に起因する運動抵抗117、120の変化の解は、全て、‘869出願及び‘869出願においてそのモード用に測定された実運動キャパシタンスによって線形化される。一次元モデルと一致しないモード形状は、感度の傾斜自体を非常に著しく変化させる。これは、これらの出願では、圧縮リップルの不在下において補償される。
図4は、図3に示されたのと同じMMQSHR装置の、同じ条件下で測定された応答を示している。ただし、‘869出願で開示された技術を用いることによって、改良された応答が得られた。一次及び二次の共振モードの測定運動キャパシタンスと測定運動抵抗との積の、基準状態からの変化(ΔRC)が、2つの共振についての入力パラメータとして用いられた。図4は、周波数を正規化されたせん断音響インピーダンス(ρη)1/2を出力パラメータとして得るための演算関数を、例えばアントン・パール(Anton-Parr)のSVM−3000を使用してニュートン条件下で測定された抵抗・キャパシタンス積に相対的にグラフ表示したものである。HT270は、ニュートン粘性標準であり、いずれの伝送経路についても極めて線形の関係を示している。
これらの曲線の傾斜は、実質的に同じであり、測定運動抵抗を測定運動キャパシタンスで乗じることを通じて入力パラメータを線形化することの効果を明らかにしている。この例の出力パラメータは、ニュートン流体にのみ適しており、その他の流体に対しては、非線形の演算関数を示す。圧縮放射の相加効果405、406が、明瞭に見てとれる。鉱油標準であるN250は、応答に上向きの湾曲を見せることがわかり、これは、粘度の増加(温度の低下)とともに非ニュートン緩和時間が増加することを表している。やはり、2つのモード403、404は、実質的に同じ曲率及び軌道を有しており、マクスウェル粘弾性及び圧縮波放射などのその他のプロセスが明瞭に観察されることを可能にする。
流体がニュートン流体であるときは、追加された運動抵抗117、120は、共振角周波数と、追加された運動インダクタンス115、118との積に等しい。TSMセンサがこの範囲を超えた流体を測定できないこと、及び低周波音叉共振器が望ましいことが、よく言われている。しかしながら、TSM共振器を使用したマクスウェル及びケルビン・フォークト擬似塑性流体解析の基礎、並びに本明細書では静粘性と呼ばれる低周波限界における粘性の抽出は、前述されたBarlow及びLambの1959研究によって証明されているように、良く知られたものである。
本発明によって導入される線形性ゆえに、同時に圧縮モード放射を測定しつつ、マクスウェル粘弾性効果について適度な推定値を得ることが可能になる。マクスウェルモデルにおけるせん断波について、機械的インピーダンスZS(応力対歪みの時間微分の比)は、
として与えられる。ここで、ρは、流体密度であり、ηは、流体の静粘性であり、μは、流体の固定せん断剛性率であり、τは、流体の分子緩和時間であって、静粘性対固定弾性剛性率の比γ/μに等しく、ニュートン流体の場合は、τ=0である。
発明の態様を非ニュートン流体で実践するためには、複素せん断音響インピーダンスZSは、二乗され、非ニュートン緩和時間定数τは、せん断音響インピーダンスの二乗の実数部を周波数とせん断音響インピーダンスの二乗の虚数部との積で割ることによって得られる。せん断音響インピーダンスの二乗の虚数部、周波数、及び時定数は、次いで、静粘性・密度積を得るために用いられ、次いで、静粘性・密度積を緩和時間で割ったものとして、固定弾性剛性率・密度積が得られる。
非ニュートン緩和時間の役割を評価するために、圧縮効果を無視した近似が与えられる。図4を生成するために使用された装置についての結果が図5に示されており、ここでは、せん断インピーダンスの目盛り校正及び圧縮効果は無視された。この結果は、粘性が圧縮効果を安全に無視するのに十分な大きさだったときにのみ得られた。5.25MHzのセンサ周波数において、測定の特性時間1/ωは、30ns程度である。HT270は、0℃において、2.9nsを示し、依然として極めてニュートン的である。ω2τ2を無視することに伴う誤差は、この場合は1%である。5.25MHzにおいて、−25℃付近のN250の鉱油には、ω2τ2≒1で且つ見掛け粘度の50%の減少を伴って有意なマクスウェル影響が見られた。緩和時間効果と圧縮放射効果とを分離する努力は、圧縮波反射によって阻まれている。
動作周波数の例としての5.25MHzは、特性時間をおおよそ30nsにする。大体の下限1MHzと大体の上限25MHzとの間での動作は、鉱油に対するセンサの定性的応答を大きく変化させることはなく、単に、観察可能な効果のある具体的な緩和時間をシフトさせる。マクスウェル流体は、水の場合の約1nsから鉱油の場合の数十ナノ秒、そしてシリコーンの場合の数マイクロ秒までの幅がある緩和時間を有する。相関付けが許容される一方で、好ましいのは直接的な対応付けである。
Barlow及びLambによる先行技術において、並びに‘125出願において提供された方法は、対向表面からセンサに返される圧縮モードエネルギの反射がない場合に限定される。したがって、1つの目的は、反射を排除することであり、もう1つの目的は、この前提に基づいて測定の質を保証することである。
‘869出願から取られた先行技術の図6は、基準状態605について伝達関数を測定するステップ(離散周波数サンプルごとに反復すること(610)、離散伝達関数値を測定すること(615)、反復が完了したかどうかをテストすること(620)、伝達関数を得ること(615)、及び使用可能な多くの曲線適合方法の1つを通じて等価回路を抽出すること(630))、並びにこれらのステップを負荷時状態650について繰り返すこと(655)を示している。先行技術の図6は、また、入力損失パラメータを決定すること(660)及び/又は入力周波数パラメータを決定すること(665)、並びに装置の校正後負荷時状態に対応する出力パラメータを計算すること(670)も開示している。最後に、先行技術の図6は、緩和時間の計算(675)、動粘性・密度積の計算(678)、静粘性・密度積の計算(680)、動剛性・密度積の計算(682)、固定剛性・密度積の計算(685)、及び圧縮粘性・密度積の計算(690)を開示している。注目すべきは、実際の流体特性を抽出するステップが、それとは切り離して、それ自体が着目されるパラメータである密度を知っている必要があることである。また、やはり注意すべきは、図1bの等価回路の選択及び4つの入力パラメータのみの選択が、装置に返される放射圧縮エネルギの反射に関して‘869出願を特定の動作条件に制限することである。‘869出願は、有限セル内の流体圧縮インピーダンスを推定するための及び圧縮粘性・密度積を決定するための手段を提供するが、その一方では、更なる入力パラメータを用いる演算関数を実現するための又は最初の段階での反射を克服するためのより良い方法が必要とされている。
‘869出願は、反射の経路長が集中素子モデルの使用を可能にするのに十分に短いという条件下であれば、反射圧縮波を有するAWD共振センサの解析及びインスツルメンテーションを提供する。
センサパッケージングの慎重な設置及び設計は、反射圧縮波の問題を克服し、動向分析・資産管理ツールにとって十分である適度な精度限界内に収めることができる。しかしながら、動作圧力の益々の増加及び更なる検出構造の統合に伴う小型化は、圧縮波効果を更に複雑にする。多重測定量センサにおける反射を軽減する努力が、J. Andle, R. Haskell and M. Chap, “Electrically Isolated Thickness Shear Mode Liquid Phase Sensor for High Pressure Environments(高圧環境のための、電気的に絶縁された厚み滑りモード液相センサ)”, 2008 IEEE Ultrasonics Symposium, pp. 1128-1133によって報告されている。該文献は、その全体を、本出願のもととなった2009年9月18日出願の米国仮特許出願第61/243,685号に含められている。
この軽減は、複数のモードにおいておおよそ等しかった粘度由来の比較的一定の運動抵抗項と、上記の制限(d)に応えるものとしての、モード番号の増加とともに増加した別の運動抵抗項とをもたらした。上記で回想された方法も、このケースを扱っており、反射圧縮モードエネルギの不在下においてMMQSHRが粘性・密度積、圧縮率・密度積、及び粘弾性緩和時間を同時に測定することを可能にしている。センサの注意深い設置及び動作は、これらの条件が満たされることを可能にするが、付随する制約は、最終使用者にとって負担である。したがって、先行技術が上記の制限(e)にもある程度まで対処している一方で、より良い解決策が望まれている。
図7は、米国出願第12/780,869号にしたがった粘性・密度積の測定を、本発明で説明されるような、大幅な圧縮反射を伴う測定セット(「反射性固定具−REF」)701と、大幅な圧縮反射を伴わない測定セット(「反射防止性固定具−AR」)702とについて示している。反射性固定具は、センサに対向して平坦な平行表面を用い、反射性防止固定具は、反射を散乱させることを意図した円錐状に先細る表面で構成された。反射信号の位相は、流体内の温度に伴って位相速度が変動するゆえに、温度の関数である。
反射信号は、更なる粘性として誤って解釈される相殺的干渉点において、更なる損失項を生じさせる。建設的干渉点では、放射エネルギは、全て返され、結果は、放射圧縮エネルギのない最初の段階と等価である。先行技術の方法は、著しい圧縮反射には耐えられないことが明らかである。図7の反射防止性固定具測定702は、反射性固定具測定の場合よりも、示しているリップルがかなり少ないが、依然として、反射防止性固定具の完璧な例ではない。更に、校正固定具にも幾らかの反射が存在しており、ゆえに、センサ応答に永久的に組み込まれる。
粘度対温度の全体曲線は、反射による望ましくない影響を示している。しかしながら、いかなる温度におけるいかなる単独の流体測定においても、データが破損されているかどうかを測定自体の値によって或る程度の確実性をもって言うことは不可能である。明らかなのは、データを全体として見たときに、圧縮反射が著しいことだけである。
本発明は、圧電検出素子に返される放射圧縮エネルギの反射を制御する多重測定量装置構造を開示する。本発明は、また、圧縮エネルギの反射を検出、補償、又は利用するインスツルメンテーションの方法も開示する。なお、実施形態において、流体は導電性であって、接地電極として機能することに留意せよ。
少なくとも2つの共振モードを有する音響波装置(AWD)センサを用いて流体の物理的特性を同時決定するための方法が開示される。上記モードは、主に水平方向に偏向されたせん断波を含む。上記方法は、上記少なくとも2つの共振モードに対応する少なくとも2つの共振周波数を中心とした着目される周波数範囲にわたって上記AWDセンサの伝達関数を測定するステップと、上記伝達関数を、上記AWDセンサの特定の共振を各自記述する基底関数に分解するステップと、上記AWDセンサの上記伝達関数を記述する上記基底関数の係数から上記流体の上記物理的特性を導き出すステップとを含み、上記基底関数の少なくとも1つは、更に、有限幾何形状流体共振を記述しており、上記基底関数の上記少なくとも1つは、集中素子等価回路から逸脱する上記伝達関数の周波数依存性を組み入れている。
方法は、上記測定伝達関数を、反射の不在下における理想共振を記述する基底関数に分解することと、測定データと、上記基底関数の和との間の逸脱である、一次共振に関する誤差関数を得て、上記誤差関数を一次振動関数としてモデル化することと、測定データから上記一次振動関数を減算した後に、上記測定伝達関数を一次共振の一次基底関数に再適合することと、上記測定データと、上記基底関数の和との間の差である、更なる共振に関する誤差関数を得て、上記誤差関数を更なる振動関数としてモデル化することと、上記更なる共振を中心とした各周波数区間において、上記測定データから上記更なる振動関数を減算した後に、上記測定伝達関数を上記更なる共振の更なる基底関数に再適合することと、残余誤差の評価を行うことと、一次共振に関する誤差関数を得る上記ステップ、誤差補償された一次共振を基底関数に再適合する上記ステップ、各更なる共振に関する誤差関数を得る上記ステップ、再び、上記誤差補償された各更なる共振を更なる基底関数に再適合する上記ステップ、及び上記誤差が最小化されるまで評価を行う上記ステップを繰り返すことと、反射からの誤差を補償された、上記伝達関数の各選択された共振モードを記述する基底関数を得ることとを含む。
方法は、上記基底関数の少なくとも1つを直列共振基底関数と伝送線路基底関数との和として表すことと、第1の反復に対する伝送線路効果を無視し、上記少なくとも2つのモードの共振周波数を中心とした周波数範囲に対応する伝達関数の区間から基底関数を推定することと、一次のモード共振の基底関数を、一次の理想R−L−C共振及び一次の直列伝送線路に関連付けられた項に区切ることと、更なるモードの共振の基底関数を、更なる理想R−L−C共振及び更なる直列伝送線路に関連付けられた項に区切ることと、推定する上記ステップ、上記一次モードの共振の上記基底関数を区切る上記ステップ、及び上記更なるモードの共振の上記基底関数を区切る上記ステップを、残余誤差が最小化されるまで繰り返すことと、上記少なくとも2つのモードの理想共振から、及び少なくとも1つのモードの伝送線路から、上記流体の上記物理的特性を反映するパラメータを決定することとを含む。
方法は、分離距離(H)がわかっている上記振動関数の周期性から上記流体の圧縮波速度を決定することを含む。
方法は、上記振動関数を無視することと、その出力が上記流体の上記物理的特性を表す演算関数への入力パラメータを得るために、上記基底関数の係数を用いることとを含み、上記入力パラメータは、リップルの歪みを補償されている。
方法において、更に、上記用いられる基底関数は、流体共振の影響を組み入れるのに十分に正確である。上記方法は、更に、上記基底関数の和を含む補償された伝達関数を、上記AWDの特定の共振を各自記述する新しい基底関数の和に分解することと、上記AWDセンサの上記新しい基底関数の係数から上記流体の上記物理的特性を導き出すこととを含み、少なくとも1つの新しい基底関数は、更に、上記有限幾何形状流体共振を記述しており、上記少なくとも1つの基底関数は、上記集中素子等価回路から逸脱する上記伝達関数の周波数依存性を組み入れている。上記方法は、更に、上記新しい基底関数の少なくとも1つを直列共振基底関数と伝送線路基底関数との和として表すことと、第1の反復に対する伝送線路効果を無視し、上記少なくとも2つのモードの共振周波数を中心とした周波数範囲に対応する上記補償された伝達関数の区間から上記新しい基底関数を推定することと、上記一次モードの共振の上記新しい基底関数を、一次の理想R−L−C共振及び一次の直列伝送線路に関連付けられた項に区切ることと、上記更なるモードの共振の上記新しい基底関数を、更なる理想R−L−C共振及び更なる直列伝送線路に関連付けられた項に区切ることと、推定する上記ステップ、上記一次モードの共振の上記基底関数を区切る上記ステップ、及び上記更なるモードの共振の上記基底関数を区切る上記ステップを、残余誤差が最小化されるまで繰り返すことと、上記少なくとも2つのモードの理想共振から、及び少なくとも1つのモードの伝送線路から、上記流体特性を反映するパラメータを決定することとを含む。
方法は、更に、上記伝達関数を、少なくとも1つの基底関数からなる群に分解することを含み、上記群は、上記AWDの特定の共振を各自記述しており、上記群内の上記伝達関数は、上記共振についての流体−装置相互作用を各自記述している。
方法において、少なくとも2つの連続する反復に対して異なる基底関数が用いられて最終的な分解を生じる。
方法において、少なくとも2つの連続する反復に対して異なる新しい基底関数が用いられて最終的な分解を生じる。
方法において、その出力が上記流体の上記物理的特性を表す演算関数への入力パラメータを取得するために、上記基底関数の上記係数が用いられ、上記入力パラメータの少なくとも2つは、損失パラメータであり、上記入力パラメータの少なくとも2つは、周波数パラメータであり、上記入力パラメータの少なくとも1つは、一次共振の運動キャパシタンスの関数であり、該関数は、その他の入力パラメータから線形的に独立しており、上記入力パラメータの少なくとも1つは、二次共振の運動キャパシタンスの関数であり、該関数は、上記その他の入力パラメータから線形的に独立している。
流体特性を同時決定するための音響波装置(AWD)センサであって、上記装置は、測定される流体の有限の広がりを画定する少なくとも1つの固体構造を、上記AWDの表面に対向して含み、上記構造は、上記AWDの上記表面から伝播して離れる圧縮波に対して反射防止性であり、上記AWDと相互作用して上記AWDの応答を変化させるだろう圧縮波の反射を阻止し、上記流体特性の測定及び相関付けのために二重モード粘度センサ応答が用いられることを可能にする。
装置において、上記AWDは、両表面上に流体を搭載され、上記少なくとも1つの固体構造は、上記AWDの両表面に対向する固体構造を含む。
装置において、上記AWDの表面に対向する上記固体構造は、上記AWDの上記表面から圧縮波が妨げられることなく伝播して離れることを可能にする開口を含み、上記AWDと相互作用して上記AWDの応答を変化させるだろう圧縮波の反射を阻止し、上記開口は、上記固体構造を圧縮波が通り抜けることを可能にし、有効に反射防止性であり、上記流体特性の測定及び相関付けのために二重モード粘度センサ応答が用いられることを可能にする。
装置において、上記AWDの表面に対向する上記固体構造は、テクスチャを含み、該テクスチャは、上記圧縮波をランダムに反射し、上記AWDと相互作用して上記AWDの応答を変化させるだろう上記圧縮波のコヒーレント反射を阻止し、上記テクスチャは、有効に反射防止性であり、上記流体特性の測定及び相関付けのために二重モード粘度センサ応答が用いられることを可能にする。
装置は、上記固体表面上に配された反射防止性の層を含む。
装置において、上記固体構造は、流体の電気的特性を測定するための統合されたサブシステムの少なくとも1つの電極を含む。
装置において、上記固体表面上の上記反射防止性の層は、流体の電気的特性を測定するための統合されたサブシステムの1つの電極を含む。
装置は、反射防止性の支えを含む。
装置において、上記流体特性の測定は、流体密度、流体粘度、流体緩和時間、流体音速、流体音響減衰、及び流体弾性のうちの少なくとも1つを含む。
多重測定量流体センサシステムは、多重モード準せん断水平共振器(MMQSHR)AWDセンサと、少なくとも1つの有効に平行で且つ音響的に反射性の隣接する表面と、上記センサの表面と上記少なくとも1つの表面との間の領域内の流体とを含み、上記少なくとも1つの音響的に反射性の表面は、音響波を反射させ、上記システムは、上記AWDと上記音響的に反射性の表面との間に圧縮波共振を提供し、上記圧縮流体共振は、上記センサ準せん断水平共振に結合され、上記圧縮流体共振は、上記センサの名目伝達関数を変化させ、上記変化は、上記流体の密度及び上記流体の圧縮弾性率から独立して反射性である。
センサシステムにおいて、上記共振器の表面は、起伏を付けられており、音響的に反射性の表面に機能的に平行である。
センサシステムにおいて、上記少なくとも1つの音響的に反射性の表面は、上記流体の電気的特性を決定するための測定セルの電極を含む。
センサシステムにおいて、上記センサの上記表面は、上記流体の電気的特性を決定するための測定セルの電極を含む。
センサシステムにおいて、上記AWDの上記表面と上記音響的に反射性の表面との間には、少なくとも1つの穿孔された固体構造が位置付けられる。
センサシステムにおいて、上記少なくとも1つの穿孔された固体構造は、上記流体の電気的特性を決定するための測定セルの電極を含む。
センサシステムにおいて、上記センサは、相互に反射性の2つの表面の間に位置付けられ、それらの間に圧縮共振を形成する。
センサシステムは、名目の動作温度及び流体組成において、上記流体の共振の入力インピーダンスが純粋に実数であるように選択された分離値(H)を含む。
センサシステムにおいて、上記入力インピーダンスは、最小圧縮運動抵抗に対応する。
センサシステムにおいて、上記入力インピーダンスは、最大圧縮運動抵抗に対応する。
本発明は、以下のような形態でも実現可能である。
[形態1]
少なくとも2つの共振モードを有する音響波装置(AWD)センサを用いて流体の物理的特性を同時決定するための方法であって、前記モードは、主に水平方向に偏向されたせん断波を含み、前記方法は、
前記少なくとも2つの共振モードに対応する少なくとも2つの共振周波数を中心とした着目される周波数範囲にわたって前記AWDセンサの伝達関数を測定するステップと、
前記伝達関数を、前記AWDセンサの特定の共振を各自記述する基底関数に分解するステップと、
前記AWDセンサの前記伝達関数を記述する前記基底関数の係数から前記流体の前記物理的特性を導き出すステップと、
を備え、
前記基底関数の少なくとも1つは、更に、有限幾何形状流体共振を記述しており、
前記基底関数の前記少なくとも1つは、集中素子等価回路から逸脱する前記伝達関数の周波数依存性を組み入れている、方法。
[形態2]
形態1に記載の方法であって、
前記測定伝達関数を、反射の不在下における理想共振を記述する基底関数に分解することと、
測定データと、前記基底関数の和との間の逸脱である、一次共振に関する誤差関数を得て、次いで、前記誤差関数を一次振動関数としてモデル化することと、
測定データから前記一次振動関数を減算した後に、前記測定伝達関数を一次共振の一次基底関数に再適合することと、
前記測定データと、前記基底関数の和との間の差である、更なる共振に関する誤差関数を得て、次いで、前記誤差関数を更なる振動関数としてモデル化することと、
前記更なる共振を中心とした各周波数区間において、前記測定データから前記更なる振動関数を減算した後に、前記測定伝達関数を前記更なる共振の更なる基底関数に再適合することと、
残余誤差の評価を行うことと、
一次共振に関する誤差関数を得る前記ステップ、誤差補償された一次共振を基底関数に再適合する前記ステップ、各更なる共振に関する誤差関数を得る前記ステップ、再び、前記誤差補償された各更なる共振を更なる基底関数に再適合する前記ステップ、及び前記誤差が最小化されるまで評価を行う前記ステップを繰り返すことと、
反射からの誤差を補償された、前記伝達関数の各選択された共振モードを記述する基底関数を得ることと、
を備える、方法。
[形態3]
形態1に記載の方法であって、
前記基底関数の少なくとも1つを直列共振基底関数と伝送線路基底関数との和として表すことと、
第1の反復に対する伝送線路効果を無視し、前記少なくとも2つのモードの共振周波数を中心とした周波数範囲に対応する伝達関数の区間から基底関数を推定することと、
一次モードの共振の基底関数を、一次の理想R−L−C共振及び一次の直列伝送線路に関連付けられた項に区切ることと、
更なるモードの共振の基底関数を、更なる理想R−L−C共振及び更なる直列伝送線路に関連付けられた項に区切ることと、
推定する前記ステップ、前記一次モードの共振の前記基底関数を区切る前記ステップ、及び前記更なるモードの共振の前記基底関数を区切る前記ステップを、残余誤差が最小化されるまで繰り返すことと、
前記少なくとも2つのモードの理想共振から、及び少なくとも1つのモードの伝送線路から、前記流体の前記物理的特性を反映するパラメータを決定することと、
を備える、方法。
[形態4]
形態2に記載の方法であって、
分離距離(H)がわかっている前記振動関数の周期性から前記流体の圧縮波速度を決定することを備える、方法。
[形態5]
形態2に記載の方法であって、
前記振動関数を無視することと、
その出力が前記流体の前記物理的特性を表す演算関数への入力パラメータを得るために、前記基底関数の係数を用いることと、
を備え、
前記入力パラメータは、リップルの歪みを補償されている、方法。
[形態6]
形態5に記載の方法であって、更に、
前記用いられる基底関数は、流体共振の影響を組み入れるのに十分に正確であり、
前記方法は、更に、
前記基底関数の和を含む補償された伝達関数を、前記AWDの特定の共振を各自記述する新しい基底関数の和に分解することと、
前記AWDセンサの前記新しい基底関数の係数から前記流体の前記物理的特性を導き出すことと、
を備え、
少なくとも1つの新しい基底関数は、更に、前記有限幾何形状流体共振を記述しており、
前記少なくとも1つの基底関数は、前記集中素子等価回路から逸脱する前記伝達関数の周波数依存性を組み入れており、
前記方法は、更に、
前記新しい基底関数の少なくとも1つを直列共振基底関数と伝送線路基底関数との和として表すことと、
第1の反復に対する伝送線路効果を無視し、前記少なくとも2つのモードの共振周波数を中心とした周波数範囲に対応する前記補償された伝達関数の区間から前記新しい基底関数を推定することと、
前記一次モードの共振の前記新しい基底関数を、一次の理想R−L−C共振及び一次の直列伝送線路に関連付けられた項に区切ることと、
前記更なるモードの共振の前記新しい基底関数を、更なる理想R−L−C共振及び更なる直列伝送線路に関連付けられた項に区切ることと、
推定する前記ステップ、前記一次モードの共振の前記基底関数を区切る前記ステップ、及び前記更なるモードの共振の前記基底関数を区切る前記ステップを、残余誤差が最小化されるまで繰り返すことと、
前記少なくとも2つのモードの理想共振から、及び少なくとも1つのモードの伝送線路から、前記流体特性を反映するパラメータを決定することと、
を備える、方法。
[形態7]
形態3に記載の方法であって、更に、
前記伝達関数を、少なくとも1つの基底関数からなる群に分解することを備え、
前記群は、前記AWDの特定の共振を各自記述しており、前記群内の前記伝達関数は、前記共振についての流体−装置相互作用を各自記述している、方法。
[形態8]
形態3に記載の方法であって、
少なくとも2つの連続する反復に対して異なる基底関数が用いられて最終的な分解を生じる、方法。
[形態9]
形態6に記載の方法であって、
少なくとも2つの連続する反復に対して異なる新しい基底関数が用いられて最終的な分解を生じる、方法。
[形態10]
形態1に記載の方法であって、
その出力が前記流体の前記物理的特性を表す演算関数への入力パラメータを取得するために、前記基底関数の前記係数が用いられ、
前記入力パラメータの少なくとも2つは、損失パラメータであり、
前記入力パラメータの少なくとも2つは、周波数パラメータであり、
前記入力パラメータの少なくとも1つは、一次共振の運動キャパシタンスの関数であり、前記関数は、その他の入力パラメータから線形的に独立しており、
前記入力パラメータの少なくとも1つは、二次共振の運動キャパシタンスの関数であり、前記関数は、前記その他の入力パラメータから線形的に独立している、方法。
[形態11]
流体特性を同時決定するための音響波装置(AWD)センサであって、
測定される流体の有限の広がりを画定する少なくとも1つの固体構造を、前記AWDの表面に対向して備え、前記構造は、前記AWDの前記表面から伝播して離れる圧縮波に対して反射防止性であり、前記AWDと相互作用して前記AWDの応答を変化させるだろう圧縮波の反射を阻止し、
前記流体特性の測定及び相関付けのために二重モード粘度センサ応答が用いられることを可能にする、装置。
[形態12]
形態11に記載の装置であって、
前記AWDは、両表面上に流体を搭載され、前記少なくとも1つの固体構造は、前記AWDの両表面に対向する固体構造を含む、装置。
[形態13]
形態11に記載の装置であって、
前記AWDの表面に対向する前記固体構造は、前記AWDの前記上記表面から圧縮波が妨げられることなく伝播して離れることを可能にする開口を含み、前記AWDと相互作用して前記AWDの応答を変化させるだろう圧縮波の反射を阻止し、
前記開口は、前記固体構造を圧縮波が通り抜けることを可能にし、有効に反射防止性であり、前記流体特性の測定及び相関付けのために二重モード粘度センサ応答が用いられることを可能にする、装置。
[形態14]
形態11に記載の装置であって、
前記AWDの表面に対向する前記固体構造は、テクスチャを含み、前記テクスチャは、前記圧縮波をランダムに反射し、前記AWDと相互作用して前記AWDの応答を変化させるだろう前記圧縮波のコヒーレント反射を阻止し、
前記テクスチャは、有効に反射防止性であり、前記流体特性の測定及び相関付けのために二重モード粘度センサ応答が用いられることを可能にする、装置。
[形態15]
形態11に記載の装置であって、
前記固体表面上に配された反射防止性の層を備える、装置。
[形態16]
形態11に記載の装置であって、
前記固体構造は、流体の電気的特性を測定するための統合されたサブシステムの少なくとも1つの電極を含む、装置。
[形態17]
形態15に記載の装置であって、
前記固体表面上の前記反射防止性の層は、流体の電気的特性を測定するための統合されたサブシステムの1つの電極を含む、装置。
[形態18]
形態11に記載の装置であって、
反射防止性の支えを備える、装置。
[形態19]
形態11に記載の装置であって、
前記流体特性の測定は、流体密度、流体粘度、流体緩和時間、流体音速、流体音響減衰、及び流体弾性のうちの少なくとも1つを含む、装置。
[形態20]
多重測定量流体センサシステムであって、
多重モード準せん断水平共振器(MMQSHR)AWDセンサと、
少なくとも1つの有効に平行で且つ音響的に反射性の近接する表面と、
前記センサの表面と前記少なくとも1つの表面との間の領域内の流体と、
を備え、
前記少なくとも1つの音響的に反射性の表面は、音響波を反射させ、前記システムは、前記AWDと前記音響的に反射性の表面との間に圧縮波共振を提供し、前記圧縮流体共振は、前記センサ準せん断水平共振に結合され、
前記圧縮流体共振は、前記センサの名目伝達関数を変化させ、前記変化は、前記流体の密度及び前記流体の圧縮弾性率から独立して反射性である、センサシステム。
[形態21]
形態20に記載のセンサシステムであって、
前記共振器の表面は、起伏を付けられており、音響的に反射性の表面に機能的に平行である、センサシステム。
[形態22]
形態20に記載のセンサシステムであって、
前記少なくとも1つの音響的に反射性の表面は、前記流体の電気的特性を決定するための測定セルの電極を含む、センサシステム。
[形態23]
形態22に記載のセンサシステムであって、
前記センサの前記表面は、前記流体の電気的特性を決定するための測定セルの電極を含む、センサシステム。
[形態24]
形態20に記載のセンサシステムであって、
前記AWDの前記表面と前記音響的に反射性の表面との間には、少なくとも1つの穿孔された固体構造が位置付けられる、センサシステム。
[形態25]
形態24に記載のセンサシステムであって、
前記少なくとも1つの穿孔された固体構造は、前記流体の電気的特性を決定するための測定セルの電極を含む、センサシステム。
[形態26]
形態20に記載のセンサシステムであって、
前記センサは、相互に反射性の2つの表面の間に位置付けられ、それらの間に圧縮共振を形成する、センサシステム。
[形態27]
形態20に記載のセンサシステムであって、
名目の動作温度及び流体組成において、前記流体の共振の入力インピーダンスが純粋に実数であるように選択された分離値(H)を備えるセンサシステム。
[形態28]
形態27に記載のセンサシステムであって、
前記入力インピーダンスは、最小圧縮運動抵抗に対応する、センサシステム。
[形態29]
形態27に記載のセンサシステムであって、
前記入力インピーダンスは、最大圧縮運動抵抗に対応する、センサシステム。
本発明は、以下のような形態でも実現可能である。
[形態1]
少なくとも2つの共振モードを有する音響波装置(AWD)センサを用いて流体の物理的特性を同時決定するための方法であって、前記モードは、主に水平方向に偏向されたせん断波を含み、前記方法は、
前記少なくとも2つの共振モードに対応する少なくとも2つの共振周波数を中心とした着目される周波数範囲にわたって前記AWDセンサの伝達関数を測定するステップと、
前記伝達関数を、前記AWDセンサの特定の共振を各自記述する基底関数に分解するステップと、
前記AWDセンサの前記伝達関数を記述する前記基底関数の係数から前記流体の前記物理的特性を導き出すステップと、
を備え、
前記基底関数の少なくとも1つは、更に、有限幾何形状流体共振を記述しており、
前記基底関数の前記少なくとも1つは、集中素子等価回路から逸脱する前記伝達関数の周波数依存性を組み入れている、方法。
[形態2]
形態1に記載の方法であって、
前記測定伝達関数を、反射の不在下における理想共振を記述する基底関数に分解することと、
測定データと、前記基底関数の和との間の逸脱である、一次共振に関する誤差関数を得て、次いで、前記誤差関数を一次振動関数としてモデル化することと、
測定データから前記一次振動関数を減算した後に、前記測定伝達関数を一次共振の一次基底関数に再適合することと、
前記測定データと、前記基底関数の和との間の差である、更なる共振に関する誤差関数を得て、次いで、前記誤差関数を更なる振動関数としてモデル化することと、
前記更なる共振を中心とした各周波数区間において、前記測定データから前記更なる振動関数を減算した後に、前記測定伝達関数を前記更なる共振の更なる基底関数に再適合することと、
残余誤差の評価を行うことと、
一次共振に関する誤差関数を得る前記ステップ、誤差補償された一次共振を基底関数に再適合する前記ステップ、各更なる共振に関する誤差関数を得る前記ステップ、再び、前記誤差補償された各更なる共振を更なる基底関数に再適合する前記ステップ、及び前記誤差が最小化されるまで評価を行う前記ステップを繰り返すことと、
反射からの誤差を補償された、前記伝達関数の各選択された共振モードを記述する基底関数を得ることと、
を備える、方法。
[形態3]
形態1に記載の方法であって、
前記基底関数の少なくとも1つを直列共振基底関数と伝送線路基底関数との和として表すことと、
第1の反復に対する伝送線路効果を無視し、前記少なくとも2つのモードの共振周波数を中心とした周波数範囲に対応する伝達関数の区間から基底関数を推定することと、
一次モードの共振の基底関数を、一次の理想R−L−C共振及び一次の直列伝送線路に関連付けられた項に区切ることと、
更なるモードの共振の基底関数を、更なる理想R−L−C共振及び更なる直列伝送線路に関連付けられた項に区切ることと、
推定する前記ステップ、前記一次モードの共振の前記基底関数を区切る前記ステップ、及び前記更なるモードの共振の前記基底関数を区切る前記ステップを、残余誤差が最小化されるまで繰り返すことと、
前記少なくとも2つのモードの理想共振から、及び少なくとも1つのモードの伝送線路から、前記流体の前記物理的特性を反映するパラメータを決定することと、
を備える、方法。
[形態4]
形態2に記載の方法であって、
分離距離(H)がわかっている前記振動関数の周期性から前記流体の圧縮波速度を決定することを備える、方法。
[形態5]
形態2に記載の方法であって、
前記振動関数を無視することと、
その出力が前記流体の前記物理的特性を表す演算関数への入力パラメータを得るために、前記基底関数の係数を用いることと、
を備え、
前記入力パラメータは、リップルの歪みを補償されている、方法。
[形態6]
形態5に記載の方法であって、更に、
前記用いられる基底関数は、流体共振の影響を組み入れるのに十分に正確であり、
前記方法は、更に、
前記基底関数の和を含む補償された伝達関数を、前記AWDの特定の共振を各自記述する新しい基底関数の和に分解することと、
前記AWDセンサの前記新しい基底関数の係数から前記流体の前記物理的特性を導き出すことと、
を備え、
少なくとも1つの新しい基底関数は、更に、前記有限幾何形状流体共振を記述しており、
前記少なくとも1つの基底関数は、前記集中素子等価回路から逸脱する前記伝達関数の周波数依存性を組み入れており、
前記方法は、更に、
前記新しい基底関数の少なくとも1つを直列共振基底関数と伝送線路基底関数との和として表すことと、
第1の反復に対する伝送線路効果を無視し、前記少なくとも2つのモードの共振周波数を中心とした周波数範囲に対応する前記補償された伝達関数の区間から前記新しい基底関数を推定することと、
前記一次モードの共振の前記新しい基底関数を、一次の理想R−L−C共振及び一次の直列伝送線路に関連付けられた項に区切ることと、
前記更なるモードの共振の前記新しい基底関数を、更なる理想R−L−C共振及び更なる直列伝送線路に関連付けられた項に区切ることと、
推定する前記ステップ、前記一次モードの共振の前記基底関数を区切る前記ステップ、及び前記更なるモードの共振の前記基底関数を区切る前記ステップを、残余誤差が最小化されるまで繰り返すことと、
前記少なくとも2つのモードの理想共振から、及び少なくとも1つのモードの伝送線路から、前記流体特性を反映するパラメータを決定することと、
を備える、方法。
[形態7]
形態3に記載の方法であって、更に、
前記伝達関数を、少なくとも1つの基底関数からなる群に分解することを備え、
前記群は、前記AWDの特定の共振を各自記述しており、前記群内の前記伝達関数は、前記共振についての流体−装置相互作用を各自記述している、方法。
[形態8]
形態3に記載の方法であって、
少なくとも2つの連続する反復に対して異なる基底関数が用いられて最終的な分解を生じる、方法。
[形態9]
形態6に記載の方法であって、
少なくとも2つの連続する反復に対して異なる新しい基底関数が用いられて最終的な分解を生じる、方法。
[形態10]
形態1に記載の方法であって、
その出力が前記流体の前記物理的特性を表す演算関数への入力パラメータを取得するために、前記基底関数の前記係数が用いられ、
前記入力パラメータの少なくとも2つは、損失パラメータであり、
前記入力パラメータの少なくとも2つは、周波数パラメータであり、
前記入力パラメータの少なくとも1つは、一次共振の運動キャパシタンスの関数であり、前記関数は、その他の入力パラメータから線形的に独立しており、
前記入力パラメータの少なくとも1つは、二次共振の運動キャパシタンスの関数であり、前記関数は、前記その他の入力パラメータから線形的に独立している、方法。
[形態11]
流体特性を同時決定するための音響波装置(AWD)センサであって、
測定される流体の有限の広がりを画定する少なくとも1つの固体構造を、前記AWDの表面に対向して備え、前記構造は、前記AWDの前記表面から伝播して離れる圧縮波に対して反射防止性であり、前記AWDと相互作用して前記AWDの応答を変化させるだろう圧縮波の反射を阻止し、
前記流体特性の測定及び相関付けのために二重モード粘度センサ応答が用いられることを可能にする、装置。
[形態12]
形態11に記載の装置であって、
前記AWDは、両表面上に流体を搭載され、前記少なくとも1つの固体構造は、前記AWDの両表面に対向する固体構造を含む、装置。
[形態13]
形態11に記載の装置であって、
前記AWDの表面に対向する前記固体構造は、前記AWDの前記上記表面から圧縮波が妨げられることなく伝播して離れることを可能にする開口を含み、前記AWDと相互作用して前記AWDの応答を変化させるだろう圧縮波の反射を阻止し、
前記開口は、前記固体構造を圧縮波が通り抜けることを可能にし、有効に反射防止性であり、前記流体特性の測定及び相関付けのために二重モード粘度センサ応答が用いられることを可能にする、装置。
[形態14]
形態11に記載の装置であって、
前記AWDの表面に対向する前記固体構造は、テクスチャを含み、前記テクスチャは、前記圧縮波をランダムに反射し、前記AWDと相互作用して前記AWDの応答を変化させるだろう前記圧縮波のコヒーレント反射を阻止し、
前記テクスチャは、有効に反射防止性であり、前記流体特性の測定及び相関付けのために二重モード粘度センサ応答が用いられることを可能にする、装置。
[形態15]
形態11に記載の装置であって、
前記固体表面上に配された反射防止性の層を備える、装置。
[形態16]
形態11に記載の装置であって、
前記固体構造は、流体の電気的特性を測定するための統合されたサブシステムの少なくとも1つの電極を含む、装置。
[形態17]
形態15に記載の装置であって、
前記固体表面上の前記反射防止性の層は、流体の電気的特性を測定するための統合されたサブシステムの1つの電極を含む、装置。
[形態18]
形態11に記載の装置であって、
反射防止性の支えを備える、装置。
[形態19]
形態11に記載の装置であって、
前記流体特性の測定は、流体密度、流体粘度、流体緩和時間、流体音速、流体音響減衰、及び流体弾性のうちの少なくとも1つを含む、装置。
[形態20]
多重測定量流体センサシステムであって、
多重モード準せん断水平共振器(MMQSHR)AWDセンサと、
少なくとも1つの有効に平行で且つ音響的に反射性の近接する表面と、
前記センサの表面と前記少なくとも1つの表面との間の領域内の流体と、
を備え、
前記少なくとも1つの音響的に反射性の表面は、音響波を反射させ、前記システムは、前記AWDと前記音響的に反射性の表面との間に圧縮波共振を提供し、前記圧縮流体共振は、前記センサ準せん断水平共振に結合され、
前記圧縮流体共振は、前記センサの名目伝達関数を変化させ、前記変化は、前記流体の密度及び前記流体の圧縮弾性率から独立して反射性である、センサシステム。
[形態21]
形態20に記載のセンサシステムであって、
前記共振器の表面は、起伏を付けられており、音響的に反射性の表面に機能的に平行である、センサシステム。
[形態22]
形態20に記載のセンサシステムであって、
前記少なくとも1つの音響的に反射性の表面は、前記流体の電気的特性を決定するための測定セルの電極を含む、センサシステム。
[形態23]
形態22に記載のセンサシステムであって、
前記センサの前記表面は、前記流体の電気的特性を決定するための測定セルの電極を含む、センサシステム。
[形態24]
形態20に記載のセンサシステムであって、
前記AWDの前記表面と前記音響的に反射性の表面との間には、少なくとも1つの穿孔された固体構造が位置付けられる、センサシステム。
[形態25]
形態24に記載のセンサシステムであって、
前記少なくとも1つの穿孔された固体構造は、前記流体の電気的特性を決定するための測定セルの電極を含む、センサシステム。
[形態26]
形態20に記載のセンサシステムであって、
前記センサは、相互に反射性の2つの表面の間に位置付けられ、それらの間に圧縮共振を形成する、センサシステム。
[形態27]
形態20に記載のセンサシステムであって、
名目の動作温度及び流体組成において、前記流体の共振の入力インピーダンスが純粋に実数であるように選択された分離値(H)を備えるセンサシステム。
[形態28]
形態27に記載のセンサシステムであって、
前記入力インピーダンスは、最小圧縮運動抵抗に対応する、センサシステム。
[形態29]
形態27に記載のセンサシステムであって、
前記入力インピーダンスは、最大圧縮運動抵抗に対応する、センサシステム。
以下の詳細な説明は、添付の図面を参照にして、目下特許請求されている発明の実施形態例を提供する。説明は、例示的であることを意図しており、本発明の範囲を制限することを意図していない。実施形態は、対象とされる発明を当業者が実施することを可能にするのに十分に詳細に説明されている。対象とされる発明の趣旨又は範囲から逸脱することなく何らかのヴァリエーションを伴って、その他の実施形態を実施することが可能である。
本発明は、センサ原理と、有利に統合された各種のサブシステムの設計及び動作との融合を含む。具体的には、本発明は、有限の大きさを有する流体環境への、厚み滑りモード(TSM)の又は類似の共振センサの統合に関し、好ましくは、1つ又は2つ以上の統合検出電極に関連付けられた1つ又は2つ以上の検出構造によって画定される。好ましいTSMセンサは、有効に平行で且つ音響的に反射性の近接する表面を伴って介在領域内に流体を有する多重モードの準せん断水平共振器(MMQSHR)センサである。MMQSHRは、米国出願第12/036,125号の、厚さ場励起された結合厚み滑りモード若しくは結合厚みねじれモードのものであってよい、又は2009年3月14日に出願され「Improved Lateral Excitation of Pure Shear Modes(純せん断モードの改良横方向励起)」と題されたAndle、Haskell、及びStevensによる米国出願第12/404,288号に開示されるような、横方向場励起された直線偏向せん断モード及び円偏向せん断モードのものであってよい。いずれの励起のMMQSHRも、単独の圧電検出素子、すなわち2006年4月20日に出願され「Electro Acoustic Sensor for High Pressure Environments(高圧環境のための電気音響センサ)」と題されたAndleによる米国出願第2009/0309,453号に開示されるような、対称的に接合された圧電基板からなる検出素子、又は2008年9月2日に出願され「Asymmetric Composite Acoustic Wave Sensor(非対称複合音響波センサ)」と題されたAndle及びHaskellによる米国出願第12/202,431号に開示されるような、圧電基板と別の材料との非対称的な複合体であってよい。本出願の目的のために、これらは全て、まとめて、共振音響波装置(AWD)センサと呼ばれるとする。一方又は両方の表面が流体を搭載されてよく、一方又は両方の表面が対応する圧縮エネルギ反射を有してよい。いずれのケースも全て、対称性及び各種の2因子を適切に考慮することを通じて本開示に容易に組み込まれ、簡単のために、片側負荷としてまとめて開示され議論される。
或るグループの実施形態では、付随的に放射された圧縮エネルギの反射係数が十分に最小化されることを可能にする反射防止性構造が提供される。図6に見られるように、たとえ装置自体が反射防止性であっても、依然として、設置に由来する反射を受けるだろう。これらの反射防止性構造は、測定結果を残留反射に照らして検出及び/又は補償する方法と併せて最適に使用される。こうすることで、装置と方法との組み合わせは、設定及び最終使用に対する制約を減らしつつ、流体の粘弾性などの物理的特性を測定するための、より信頼性の高いシステムを提供する。
現発明の目的は、センサの所望の共振に結合する望ましくない圧縮共振を検出すること、及び測定の時点で既に使用可能であるパラメータのみを使用してセンサ測定の相対的質を更に示すことである。
現発明の更なる目的は、望ましくない圧縮共振によって引き起こされる歪みを測定及び補償し、最終使用者に課される設置条件及び動作条件を緩和することである。
別のグループの実施形態では、放射される圧縮エネルギについて一貫した反射係数を生成する構造が提供される。一貫した反射係数の提供は、対向する反射防止性表面を実現することが不可能であるときに測定結果の補償方法の使用を簡単にする。
更に別のグループの実施形態では、一貫した定在波パターンと、AWDに対する関連の圧縮波インピーダンスの関数形式とを得るために、放射される圧縮エネルギの反射係数を最大にするとともに関連の経路長を最適にする構造が提供される。大きな反射係数の提供は、建設的干渉点と相殺的干渉点との間に可能な限り最大の変動を提供し、センサ表面と対向する反射性表面との間の高い伝播損失及び比較的大きい経路長にもかかわらず方法が反射信号をインスツルメントすることを可能にする。このような構成は、インスツルメンテーションが反射の効果から更なる流体特性情報を抽出することを可能にする。
その一方で、適切に設計された流体セルは、対向表面上に有限反射係数のみを有することによって、後述のように、極めて分散性の導波現象に関連する流体の高速振動誤差項を排除している。振動誤差関数は、流体特性に関係しているが、関連の導波条件は、多くの場合、再現可能なインスツルメンテーションにおいて用いるには不安定すぎる。それでも尚、これらのケースでは、このいわゆる「高速リップル」がモデル化され、関数に適合され、残りの解析から排除される。これは、誤差原因が補正されることを可能にする。最後に、流体−空気境界又は流体−結晶−空気境界のみが、この効果を可能にするのに十分に低い反射損失を有することがわかる。したがって、高速リップルは、特定の実施形態では、バブル検出器の形で利用可能である。
現発明の更なる目的は、流体内の圧縮波共振とセンサ素子内のせん断共振との相互作用によって引き起こされる歪みの測定から流体の物理的特性に関する更なる情報を取得することである。このようなシステムは、‘869出願で開示された。しかしながら、そこでの解析は、集中素子モデルの観点から提供されていた。この目的のための反射波の最適化に必要とされるステップは、集中素子モデルには適合しないであろう。更に、‘869出願は、反射波を具体的にどのように最適化するかを教示していない。
この目的を達成するために、圧縮共振による特定の影響がインスツルメント可能な特徴を弾性率、弾性損失係数、及び質量密度に相関付ける結果となるように、反射が最大化されるとともに制御される、装置、システム、並びに方法が提供される。
本発明の好ましい実施形態は、共振AWDセンサに接触して、最も好ましくは多重モード準せん断水平共振器(MMQSHR)検出表面に対向して導電率・誘電率センサ素子対を統合されたMMQSHRセンサに接触して、流体の圧縮波共振のインスツルメンテーションを提供する。結合された共振は、インスツルメントされ、それらの特性は、密度及び圧縮率の情報を抽出するために使用される。
流体セルの対向面又は導電率・誘電率(CD)測定電極の統合からの反射などの場合は、反射性表面は、検出素子の統合及び設置の副産物である。その他の場合は、反射性表面は、制御された明確な反射条件を提供するために及び設置を簡易化するために、故意に導入されるだろう。
現発明の1つの態様は、望ましくない反射圧縮波エネルギ及び関連する歪みの検出に関する。このような方法を実施するためには、圧電表面に対向する表面が存在しないこと、又は対向する表面が反射を抑制するように変更されていることのいずれかが望まれる。
特に着目される1つのケースでは、近接する表面は、導電率又は誘電率(CD)測定セルの平行平板電極である。対向する表面は、動作的に反射防止性にされない限り、MMQSHRにおいて音響波を反射させて返す。このような反射防止性の電極は、生成された圧縮波が電極を通って進むことを可能にし、そうして、先行技術の測定原理に基づいた、反射信号とは切り離された粘度、密度、弾性の測定を簡単にする。図8aは、AWDセンサ801であって、密閉ケース804内にあり、一方の露出側に流体を搭載され、反射性の導電率・誘電率(CD)プローブ802、803を近くに有するセンサを示している。センサと内側電極802との間の流体内には、多重反射された圧縮共振805が確立される。図8bは、同じセンサであって、放射エネルギ813がセンサから伝播して離れることを可能にするためにCD電極802、803から選択的に材料811、812を除去されて形成された動作的に反射防止性のCDプローブを伴うセンサを示している。図8cは、開口811、812を伴う電極802、803の上面を示している。図8aは、また、囲い804内における電気的励起及び測定と、コンデンサ807を通じて囲いをRF接地しつつCD測定用に結合された駆動外側電極804をレジスタ806によってAWDの囲い804につなぐ電気的接続とを示している。なお、少なくとも1つの開口を有する固体構造は、穿孔電極であることに留意せよ。
図9aは、動作的に反射防止性の開口を有する対称的なCD電極を伴う対称的な接合された共振器を示している。動作的に反射防止性のCD電極902、903、904、及び905の間に対称的に、複合AWD901が配される。構造全体が、浸漬されており、放射された圧縮波は、開口906、907、908、及び909を通って伝播する。図9bは、同じ装置であって、制御された伝播経路及び反射条件をAWDに提供する反射性の囲いを伴う装置を示している。複合AWD901及び電極902、903、904、及び905は、流体共振912、913を形成するために、制御され且つ最適に位置付けられた反射器910、911の間に配される。なお、非限定的な例として、固体表面は、流体閉じ込めセル、流体の電気的特性の測定用の電極、又はAWDの位置決め用の機械的な支え及び支柱を含んでもよいことに留意せよ。
圧縮波反射の抑制を目指したアプローチは、1つには、図8b及び図8cに示されるように、装置のアクティブ音響領域に対向するCD電極材料を除去することである。このアプローチは、音響モードによるエネルギ捕捉の形状におおよそ関係付けられた任意の形状であることが可能な開口又は穴を有しており、矢印813によって示されるように、放射されたエネルギが妨げられることなく流体の塊の中へ進むことを可能にする。最も着目される形状は、円形又は楕円形である。YカットLGSの場合、金属電極によるエネルギ捕捉は、基本波及び第5高調波においては楕円形が最適であり、第3高調波においてはおおよその円形が最適である。電極又はその他の近接する平行反射性表面の残りの部分は、残りの文章全体を通してCD平行リング電極と呼ばれるとする。
穿孔が、もし阻止されなければ粘度センサ表面と相互作用して装置の応答を変化させるだろう圧縮波の強い反射を阻止する一方で、伝送波は、その後、反射されて開口を通って返ってくる可能性がある。このように、穿孔されたCD電極は、動作的に反射防止性の電極の特定の一実施形態であり、その有効性は、流体の伝播損失及び設置の詳細によって制限される。この電極設計は、望ましくない反射を検出してデータの質を保証するための、又は設置に付随して生じる反射を補償するための方法と合わさることによって、せん断モードセンサに圧縮モードが及ぼす影響を軽減する必要性に応えている。
反射防止性の電極又は表面を実現する幾つかの手法が、図10に示されている。図10aは、間に流体を伴うセンサ801と標準的に反射性の材料1003とを示している。反射防止性被膜1004は、音響波の波長の4分の1の厚さであり、おおよそ流体インピーダンスと標準的に反射性の材料のインピーダンスとの幾何平均である圧縮音響インピーダンスを有する。例えば、ステンレス鋼は、圧縮インピーダンス30×106を有し、流体インピーダンスの名目値は、1.5×106である。反射防止性の層は、6.8×106程度の圧縮インピーダンスを有することが理想的だろう。アルミニウムなどの軽金属でも17×106のインピーダンスを有するので、ポリマ膜が必要とされるだろうことは明白である。
1つの実施形態では、反射性材料は、反対側の境界が反射源にならないように、十分な厚さであるものと想定される。別の実施形態では、反対側の表面も、反射防止性の被膜1005でコーティングされる。一般的に、大半の金属が持つ多結晶性と、大半のポリマが持つプラスチック損失とが、多くの材料選択に対して領域1003が十分に厚いことを保証する。
図10bは、入射する音響波1002をランダムに回折させる1012ために反射性媒体1011の表面1010にテクスチャを設けられた代替の一実施形態を示している。コヒーレント反射の不在は、反射エネルギの影響を排除するのに十分である。いずれの方法も、ある程度は、流体内の音の波長に依存し、或る特定の動作範囲においてのみ有効である。図7のデータ702の収集には、1つの円錐状突起からなる図10bの極端なケースが用いられた。
図10cは、これを達成する更に別の方法を示しており、電極自体が反射防止性の被膜である。目標は、流体からの入射信号が反射されないような音響インピーダンス及び位相厚さを持つ電極材料の組み合わせを選ぶことである。このような解決策の1つは、流体と反対側の表面にインピーダンスZDの制振材料1022を搭載された厚さλ/4の電極1021を用いている。電極金属は、インピーダンスZMを有し、これは、おおよそ制振材料インピーダンスと流体インピーダンスZFとの幾何平均である。着目されている流体は、−50℃から+150℃までの間に3:1でインピーダンスを変化させると考えられ、したがって、このアプローチは、特定の動作条件に制限される。別のアプローチは、流体から見たときの金属のインピーダンスを空間的に変調させることである。これは、流体内の圧縮波長に匹敵するスケールで様々であるCD電極の穿孔、波形形成、又はパターン化被覆を通じて達成されてよく、図10bの一般論である。
まとめると、電極を反射防止性にする手法は、本発明の共通目標を達成するための同時進行的手段であり、材料の除去、反射防止性媒体の作成、及び回折散乱表面の作成は、このようなアプローチのうちの3つに過ぎない。このような対向電極及び対向表面は、いずれも、該電極及び表面が反射を排除するように又は大幅に減少させるように処理又は被覆されていれば、「反射防止性電極」及び「反射防止性表面」と見なされるとする。
反射を軽減させるためのアプローチ如何にかかわらず、常に、入射する圧縮反射の残留反射が存在する。反射防止環境を提供する手法には、流体特性が大きく変化しても適切に反射防止性のままであるような実用的手法はなく、表面又は電極が反射防止性であるための動作条件は、流体特性の変動に関係した動作上の限界によって制限されるだろうことが理解される。この特質が適切である状況では、電極又は表面は、「動作的に反射防止性である」と見なされる。反射防止性であると見なしうる反射係数の厳密なレベルは、技術的選択の範疇である。要件は、高くは−10dBにおける反射係数から低くは−40dBにおける反射係数まで出力反射に幅があるだろう(反射の大きさとしておおよそ0.3から0.01)。なお、圧縮反射による主な影響は、流体共振の有限位相シフトゆえに集中素子モデルから逸脱した伝達関数が与えられることであることに留意せよ。差又は比として表される、集中素子による伝達関数の理想的表示からの逸脱は、伝送線路の役割又は流体共振の導波特性を表す。それらの周波数傾斜又は分散が、流体の圧縮音速に関する状況を提供する。
先行技術では、運動キャパシタンスは、流体負荷下における運動抵抗の変化を線形化して損失パラメータを得るために用いられる。運動キャパシタンスは、更に、流体負荷下における運動インダクタンスの変化を線形化して周波数又は位相パラメータを得るために使用される。しかしながら、キャパシタンス自体は、先行技術では用いられない。したがって、各音響共振伝送経路から3つの独立した情報が得られるものの、線形方程式の体系で使用されるのは、それらのうちの2つのみである。‘869出願からの、このような方程式体系の1つは、損失パラメータ及び位相パラメータを
として取り込んだ行列演算関数を使用して流体のせん断及び圧縮インピーダンスを提示している。ここで、ZOSは、センサのせん断インピーダンスであり、ZOCは、センサの圧縮インピーダンスであり、Kxnは、4つの校正パラメータであり、MMQSHRの非調和共振モードの損失パラメータLmn及び位相パラメータ及びPmnは、最適に正規化されている。せん断インピーダンスは、周波数ω、密度ρ、粘度η、及び緩和時間τを使用して
として与えられ、厚さHの有限流体層の圧縮音響インピーダンスは、
として与えられる。圧縮波反射の不在下では、インピーダンスは、純粋に実数であり、(ρκ)1/2である。有限伝播損失がαで、高さがHで、位相速度がV=(κ/ρ)1/2で、対向する材料の特性インピーダンスが
である場合は、流体内の圧縮反射によって、インピーダンスは、非常に短い線路の場合はZoppに近づき、中程度の線路長の場合は振動性ではあるが減衰していく挙動を有し、長い線路の場合は漸近的に(ρκ)1/2に近づく。ニュートン流体の場合は、Zsの実数部のみが考慮されればよく、結果は‘125出願の方程式になる。
Zcの虚数部の存在は、圧縮反射を表している。このように、虚数部が非ゼロであることは、電極又はその他の構造が動作的に反射防止性ではないことの表れである。望ましくない圧縮反射を検出及び定量化する手段が提供される。
発明の1つの態様では、伝達アドミタンスの実数部の曲率から推定される運動キャパシタンスが、センサの粘弾性及び非反射性圧縮負荷に伴って微小に且つ規則的に変化する一方で、反射された圧縮エネルギは、伝達関数の実数部を等価回路モデルに適合することから観察された運動キャパシタンスのこの推定値を変調させることに留意せよ。これには、少なくとも2つの原因がある。1つは、流体共振の周期が共振の帯域幅に近いときの、伝達関数の共振ピークの曲率の明らかな変化に関係する数値的な問題である。このケースでは、共振形状の変形が、等価回路に適合する数値的に単純な特定のアプローチを無効にするだろう。第2のケースは、流体共振を集中素子によって適度にモデル化することができないときの、流体共振による共振の変動に関係する。これは、以下で詳しく論じられる。
発明の少なくとも1つの態様では、予期される結果からの運動キャパシタンスの変調が、流体特性測定の質を検出するために用いられる。図11aは、圧縮エネルギの反射の軽減を伴う場合(1103、1105)及び伴わない場合(1104、1106)について、MMQSHRの2つのモードにおける運動キャパシタンスを鉱油内の温度に対して示している。軽減は、不完全であり、反射が不在のときは、運動キャパシタンスは、線1101、1102によって示されるように、温度に対してほぼ線形の模範的な温度依存性にしたがうことが知られている。図6の装置の運動キャパシタンスは、0°モード(四角形)及び180°モード(菱形)について、意図的な反射を伴う場合(塗りつぶされた記号)と伴わない場合(白抜きされた記号)とを示されている。一方の装置では、MMQSHRの向かいに距離を置いて平坦な鋼表面が配され、もう一方の装置では、図9bの一実施形態にしたがって、反射を散乱させるための45°の円錐形状が使用されている。運動キャパシタンスは、基準線の値から著しく逸脱していることがわかる。逸脱は、180°モードの場合よりも0°モードの場合のほうが大幅にひどく、円錐状の反射防止性表面の場合よりも平坦な反射性表面の場合のほうが大幅にひどい。また、図からは、単純に円錐状に先細る表面による反射の抑制が不完全であることもわかる。
図11bは、容量性リアクタンス及び運動抵抗のモード0値とモード180値との間の違いを示している。平坦な対向表面の場合の示差容量性リアクタンス1111及び同じ測定の場合の示差抵抗1112は、無反射の場合のリアクタンス1113及び抵抗1114から、互いに位相の異なるリップルを見せていることがわかる。したがって、キャパシタンス単独では、反射の存在について、図11aにおいて一貫性のない描写を与えることしかできないが、モード間における容量性リアクタンス及び抵抗の差を組み合わせれば、全ての位相条件下における表示を提供することができる。‘869出願の入力パラメータに関し、個々の運動抵抗は、既に損失パラメータとして組み込まれているので、示差抵抗は、暗黙のうちに演算関数に利用可能であり、望ましくない圧縮反射を検出するために、示差容量性リアクタンスと併せて用いることができる。示差キャパシタンス、示差抵抗、又はそれらの両方を明示的に利用する方法が考えられる。より重要なのは、0次(180°)モードに対してそれよりも高次の各モードの示差容量性リアクタンス及び示差抵抗が、Nモードセンサのための追加のN−1入力パラメータとして用いられてよいことである。任意のモードが自由裁量で0次モードと呼ばれてよいことが理解される。本実施例の二重モードセンサでは、今では5つ又は6つの測定入力パラメータがあると考えられる。原則として、これは、少なくとも5つの流体特性が測定されることを可能にする。
圧縮反射の効果は、せん断共振に対して様々な位相でエネルギを返すことである。周波数及び損失に対する反射信号の効果は、‘869出願で開示され、特許請求されている。図11a及び図11bは、周波数シフトとは別に、反射に起因する運動キャパシタンスの変化を記しており、これは、‘869出願では予測されなかったものである。位相が同じ又は異なるときに、これらの反射は、図12に見られるように、測定運動抵抗を上昇又は下降させる。図に見られるように、通常は、運動抵抗の減少(|Re[Y21]|の増加)は小さく、抵抗の増加(|Re[Y21]|の減少)はより著しい。また、反射圧縮波は、それが0°モードの場合に建設的であるときは180°モードの場合に相殺的であり、逆もまた同様であることがかり、ゆえに、示差信号は、反射されてセンサに返される圧縮エネルギに応答している。なお、注目すべきは、Y21の増加(抵抗の減少)が、有限であり、反射防止放射抵抗の値を打ち消した結果を超えられない一方で、抵抗の増加は、共振条件において無限であり、Y21は、ゼロになれることである。
反射信号のその他の位相成分は、少なくとも部分的に反応性であり、位相シフトに応じて運動インダクタンス又は運動キャパシタンスのいずれかを変化させる。やはり、0°モードの場合の周波数の増加は、180°モードの場合の周波数の減少に対応する傾向があり、逆もまた同様である。やはり留意すべきは、図11a及び図11bに見られるように、尚且つ図12におけるモードの曲率の変化に見られるように、2つのモードの運動キャパシタンスが反射に伴って変化することである。これらのモードでは、運動キャパシタンスの大きさの減少と、運動抵抗の(主に)増加とが見られ、反射圧縮波の位相に伴って、MMQSHRのせん断共振に対して相対的に周期的に変化する。
空気中における値からの運動キャパシタンスの逸脱を、その他の測定値と比較することによって、少なくとも一部のケースでは、歪みの程度を定量化することが可能である。特定の粘弾性負荷による運動キャパシタンスの変化は、Arnau、Jiminez、及びSogorbによる流体負荷についての先行技術において、その論文“Thickness shear mode quartz crystals in viscoelastic fluid media(粘弾性流体媒質における厚み滑りモード水晶振動子)”, JAP 88(8), pp. 4498-4506 (2000)で報告されている。しかしながら、Arnau、Jiminez、及びSogorbは、反射エネルギには対処しなかった。また、先行技術では、運動キャパシタンスの計算に再現性誤差をもたらす曲線適合プロセスの乱れがあった。これらの定誤差は、反射防止環境の中で測定データが共振器の基底関数と一致しなくなるのに伴った反射エネルギを更に表している。
圧縮波反射に起因する損失パラメータ及び周波数パラメータの不均衡を検出するために、運動キャパシタンスに保持されている更なる情報が使用されてよいことがわかる。結果は、たとえ反射を伴う場合でも均衡がとれていることがあるので、運動キャパシタンスを単独で使用する方法は、運動キャパシタンス、及びωRC項の示差不均衡の両方を使用する場合と比べてその価値が限られる。
これまでの図面及び議論は、全て、圧縮モードの歪みがゆっくり変化する場合のデータセットに関するものである。以下のデータは、反射圧縮モードによる著しい影響を示すものとする。MCFの周波数応答は、2つの所望のモードによって特徴付けられる。第1のモードは、対称モードであり、180°の電気的位相シフトに対応し、第2のモードは、0°の電気的位相シフトに対応する非対称モードである。
対称モードは、モード形状が単一ポート共振器に非常に似ている。したがって、表面インピーダンス(ZS)の感度は、(ρη)1/2によって支配され、圧縮波放射に起因する(ρκ)1/2に対する感度の小成分のみが、共振器におけるその比較的平坦なcos((0π+δ)x/L)モード形状分布によって決定される。圧縮波対せん断波の比θ0は、厚さtの結晶においておおよそ(δL/t)2であり、ここではδ→1である。
非対称モードの感度もやはり、(ρη)1/2によって支配される。しかしながら、共振器の表面におけるそのモード分布sin((0π+δ’)x/L)がより急であるゆえに、それは、対称モードの場合のおおよそ3倍から4倍の圧縮波放射を有する。圧縮波対せん断波の比θ1は、厚さtの結晶においておおよそ((1+δ’)L/t)2である。通常は、δ’<δであるが、これらの値は、優れた設計では同様である。感度比は、おおよそθ1/θ0≡((1+δ’)/δ)2であり、常に1未満である装置エネルギ捕捉パラメータδ及びδ’によって決定される。ZCに対する感度は、δ及びδ’→1であるときに、対称モードの場合の少なくとも4倍におおよそ増加する。流体の粘性が与えられ、もし、2つのモードがZSに対して同程度の感度と、ZCに対してそれぞれ異なる大きい感度とを有するならば、2つのモードからのデータの使用は、密度及び粘度の抽出を可能にする。反対に、密度が与えられれば、弾性及び粘度を計算することが可能である。
一回転された又は二重回転された共振器対を使用する、単一モード共振器対のためのアプローチ及び方法が、Kimらによって提案された。このモデルは、Δ(Z)を、ZC=(ρκ)1/2によって推定した。本発明は、1つの共振器が2つの非調波を使用して同じ測定を実施することを可能にし、ただし、圧縮波流体速度V=(κ/ρ)1/2の測定値を得ることも可能にする。
上記は、反射圧縮エネルギに起因する測定の不均衡を検出するための手段を提供する。所望されるのは、これらの反射信号が流体の塊を探査して更なる情報を提供することを可能にする方法及び装置である。原則的に、図1のモデルは、6つの独立した情報を有するので、最多で6つの流体特性を抽出することが可能なはずである。しかしながら、流体の音響インピーダンスは、常に、密度と別のパラメータとの積を提示する。したがって、その他のパラメータを知ることなく図1の等価回路から密度を抽出することは不可能である。反射信号の位相シフトは、流体内における音波の速度、すなわち(κ/ρ)1/2に関係しているので、有限経路長における反射圧縮エネルギに起因する歪みは、必要データを提供する。音速及び圧縮インピーダンスを抽出する能力は、変数の分離及び密度の決定を可能にする。
有限幾何形状を有する流体は、導波共振器を表すものと認識される。このような共振器の最も単純なモードは、2つの反射面間の擬似平面波であり、反対端にインピーダンスの不一致を伴う伝送線路として扱うことができる。重要な観察は、圧縮波伝送線路の入力におけるインピーダンスが、任意に広い帯域にわたって集中素子によって近似することができないこと、及び理想の集中素子モデルからの逸脱が、角周波数と流体厚さとの積を流体内における音速で割った位相項、すなわちωH/Vに依存することである。同じことは、圧電センサ共振にも当てはまる。しかしながら、適度な流体負荷では、より厳密な伝送線路モデルからの集中素子モデルの逸脱は、無視することができる。流体は、通常は、基本共振の高調波で動作するので、集中素子モデルが正確である範囲は、相応して、より限定される。慎重な設計条件下では、流体内における共振の品質係数は、集中素子等価モデルからの可測逸脱を導入する。単純な集中素子近似からの伝送線路の逸脱が、明らかになり、流体伝送線路の位相速度及び/又は物理的長さを表すようになる。
図13は、MMQSHRの等価回路の拡張提案を示している。図1のモデルの構成要素は、それらの当初の番号とともに繰り返されている。追加の特徴は、流体のゆっくりした共振を記述する2つの伝送線路1301、1303及び2つの終端インピーダンス1302、1304と、伝送導波モードを記述する追加の2つの伝送線路1305、1306とからなる。伝送線路は、固有のθm及びバウンス数を有するので、固有のインピーダンス及び長さを有する。実際、圧縮反射が意図的に生成されるときは、Zopp>>Zoである。伝送線路は、電気−機械変換によって重みを付けられ、また、圧縮−せん断結合係数によっても重みを付けられる。
流体共振及び導波の効果を組み入れるためのセンサのモデル化は、音響モード共振ごとに3つのサブシステムに全体応答を適合することによって、図13における回路モデルを得る。1つのサブシステムは、結晶中の共振モードの従来の運動共振である直列電気共振、Zm1、Zm2、……(「理想共振」)である。このインピーダンスは、インダクタンスLmと、キャパシタンスCmと、抵抗Rmとで構成される。理想共振のこれらの運動項と直列に、流体内の圧縮波の一次元共振を表す直列経路(「直列伝送線路」)が組み込まれる。このサブシステムは、変圧器(図示されておらず、計算された値中に暗に示される)によってスケール調整され、該変圧器の回転比は、結晶の特性(θm/ωCm(ρsCeffS)1/2)1/2である。ここで、θmは、せん断−圧縮変換であり、Cmは、運動キャパシタンスであり、ρsは、基板密度であり、CeffSは、基板の基板弾性率である。変圧器は、流体を記述する伝送線路によって装荷される。Zopp=(θm/ωCm(ρsCeffS)1/2)(κρ)1/2であるとき又は線路長が無限であるときは、伝送線路は、先行技術と同様に、運動抵抗に対する単純な圧縮放射寄与に単純化される。通常、CeffSは、C22Sである。
回路を完了させるのは、各共振の導波モードの高速リップルに関連付けられた分路(「周期リップル関数」)であり、せん断から圧縮への及びその逆への変換を行う変圧器を通して見たときの分散導波路としてモデル化される。導波路は、多重反射が無視されることを可能にするのに十分な損失性であると想定される。この高速リップルは、異常条件でのみ発生し、極めて不安定である。続く議論では、この高速リップルは、もし、データ及びいわゆる測定データからフィルタリング除去される場合は、実際は、別途明記されないかぎり、これらの効果を排除するためにフィルタリング除去されるものと想定される。
圧縮反射の不在下では、図1bのモデルが適度に正確であること、そして示された集中素子によって記述される2つのインピーダンスZn(ω)の並列組み合わせによって完全に記述されえることがわかる。伝達アドミタンスY21を、センサの少なくとも2つの共振モードを記述する少なくとも2つの並列Yn(ω)=1/Zn(ω)に分解することによって、各Yn(ω)の実数部は、反射の不在下で且つ中程度の周波数範囲内で逆放物線形状を有することが判明した。周波数に依存する位相距離ωH/Vにおける反射の導入は、1/Re[Yn]の放物線形状を歪め、より高次の係数を逆放物線状の適合関数に投入する。
方法の1つでは、伝達関数を複数の理想共振に適合することによって、ピークのデコンボリューション(逆折り畳み)が進行する。好ましい一実施形態では、伝達関数は、伝達アドミタンスの実数部であり、理想共振基底関数は、アドミタンスの実数部の逆放物線適合である。逆放物線適合は、共振周波数に近い直列R−L−C理想共振の自然な記述を表すとともに解析適合を可能にするゆえに、魅力的である。適合は、少なくとも2つの共振透過関数を直列分解の形で分離する。方法の変形の1つは、更に、Y21の虚数部が知られていることを更に必要とし、これは、やはり適合される、又は実数部のヒルベルト変換として得られる、又は逆放物線適合に対応する等価回路から得られる。
理想共振は、次いで、その他のモード共振の理想的な重ね合わせのために、1つの周波数区間内の測定伝達関数を補償するためにのみ使用される。各モードについて、次いで、測定されたY21からその他のモードの理想共振を全て及びその他のモードの虚数部適合を全て減算して得られた余りであるY’n(ω)が計算される。Y’nは、Z’n(ω)を得るために逆転され、反射の不在下では、実数部は、運動抵抗である定数である。反射があるときは、共振伝送線路入力インピーダンスの実数部は、測定伝達関数と分解との間の差において見られる。
Re[Z’n]の値は、図14において、180°(n=0)モード及び0°(n=1)モードについての放物線適合の理想的結果Rnに対して正規化されている。いずれのモードも、圧縮モードの内容を有するが、MMQSHRでは、なかでも特に圧縮エネルギをより多く有するゆえに、0°モードが使用されるのが通常である。インピーダンスの実数部は、定抵抗に、損失の多い終端伝送線路から導き出される項を加えたものであると見なされる。定数項Rnは、粘弾性損失に起因する1つの項Rηnと、反射されなかった圧縮波放射に起因するもう1つの項Rκnとを含む。後者の項は
であり、伝送線路の特性インピーダンスを既に捉えている。
インピーダンスの不一致を終端とした流体導波路の入力インピーダンスの実数部は、対向する表面の音響インピーダンスZopp、流体の音響インピーダンス(ρκ)1/2、伝播損失項α、名目位相長ω0H/V、及び位相分散(ω−ω0)H/Vを使用して与えられる。スケール係数は
であり、ここで、θnは、モードの圧縮変換比であり、Cnは、モードの運動キャパシタンスであり、ρSは、基板密度であり、CeffSは、基板の有効せん断弾性定数である。Rκnは、伝送線路の特定インピーダンスを既に含んでいるので、この項は、線路方程式から減算されなければならない。速度を代入すると、方程式は、
である。
αが非ゼロ値であるゆえに、κも複素数であるが、この項の虚数部は、適度な精度で無視することができる。抵抗対周波数の形状は、次いで、密度ρ、弾性率κ、及び伝播損失α、又はそれらを反映する代替の変数を変化させることによって、上記のモデルの周波数依存性に適合される。また、対向インピーダンスを適合変数にすることも可能である。ただし、この場合は、流体セル寸法Hが既知でなければならない。図14に見られるように、定値からの逸脱は、Re{Zin}に適合されるのに十分な曲率を少なくとも有する。したがって、もし、対向する反射器のインピーダンスZL及び流体の厚さHが既知であれば、伝播損失α、流体インピーダンスZo、及び位相速度Vを抽出することが可能である。
代替の一方法では、測定データを少なくとも2つの共振透過関数に分解するために、個々の共振の一般基底関数を伴って、ピークのデコンボリューションが進められる。やはり、好ましい実施形態は、伝達アドミタンスの実数部を用いているが、技術的選択の範疇として、その他の伝達関数が用いられることも可能である。基底関数の形式は、流体共振に起因して発生する逆放物線状からの逸脱を捉えるのに十分でなければならない。
図15は、放物線状の6次多項式及び12次多項式を使用した2モードMMQSHRの逆多項式デコンボリューションを比較している。180°(左)モード及び0°(右)モードについての2モード逆多項式適合の結果(上部)とともに、5mmセル内の水について測定されたデータが示されている。残余誤差(下部)もまた、示されている。反射信号の大きさにおいて極端なケースである水の場合は、幾らかの残余誤差があるが、大半の流体では、6次多項式が適切な適合を提供する。先の方法では、より単純な適合が用いられ、誤差は、残余値を得るために解析される。多項式は、適合を容易にはするが、流体特性に対する物理的洞察は提供せず、最適な基底関数でもない。反対に、等価回路の解析モデルは、曲線適合には冗長ではあるが、物理的特性に対する優れた相関付けを提供する。基底関数の厳密な選択は、技術的選択の範疇であり、本発明を制限するものと見なされない。
この方法の変形の1つでは、各種のパラメータを計算するために、逆多項式適合が直接使用される。少なくとも1つの実施形態では、1つの共振ブランチのアドミタンスについての解析関数の実数部の逆数が、共振周波数を中心としたテイラー級数として展開される。多項式係数についての解析表現は、所望のパラメータについて解かれ、曲線適合の数値は、関連の特性を計算するために用いられる。2つのアプローチの組み合わせが用いられてよく、この場合は、伝達関数を分解するために、逆放物線よりも適した基底関数が、用いられこれらの基底関数は、直列伝送線路の入力インピーダンス及び直列理想共振のR−L−C値を決定するために、誤差関数とともに用いられる。
上記の例は、現在使用されている導電率・誘電率(CD)測定構造の制約ゆえに選択された中程度に短い5mmの流体経路を用いた。図9のアプローチは、より大きな反射器間隔とは独立した、全体の流体共振を定める寸法を持つ、コンパクトで最適なCD測定構造を可能にする。少なくとも1つの実施形態では、意図的な反射器が接地され、CDセルの周囲にシールドを形成する。少なくとも1つのこのような環境では、内側電極が穿孔され、外側電極が中実である。好ましい1つの実施形態では、センサは、フリップチップ技術によってセラミックキャリアに取り付けられた片面センサであり、セラミックキャリアは、内側CD電極及び外側CD電極も支える。
穿孔電極は、圧縮波がCD電極構造を通り抜けることを可能にすることによって、図9bに見られるように、統合されたCD電極の最適セル幾何形状と異なる経路長でMMQSHRセンサ応答が意図的に反射されることを可能にする。例えば、導電率及び誘電率の測定は、電極対の幾何係数を最大にするために、広い重複領域と狭い分離とを必要とする。流体流に資する電極間ギャップを可能にしつつ、電極と内側電極との間の寄生セルを抑制するために及びセル定数を増加させるために、外側電極及び露出センサ表面は、図8aに示されるように、共通して駆動される。内側電極を閉じ込めつつセンサ表面及び外側表面を駆動するサンドイッチセルの形成は、漏洩効果及びノイズを最小限に抑える。セル定数の最適化は、0.5〜2.0mm程度の間隔を必要とする。大幅に小さい間隔は、目詰まりの危険があり、大幅に大きい間隔は、低いセル定数及び高い寄生効果をもたらす。間隔が2mmで、金属の厚さが1mmである場合は、上方(外側)電極までの距離として、5mmの値が考えられる。
他方で、圧縮位相速度がVで且つ対向する反射性表面が距離Hにある場合の流体の圧縮共振は、結晶のせん断波共振との建設的干渉の周波数間に、Δω=πV/Hの隔たりがある。結晶共振と流体共振との間の推定サイクル数は、N=δω/Δω=ω0H/πVQである。ここで、ω0は、結晶共振周波数であり、Qは、共振の品質係数であり、共振帯域幅は、δω=Q/ω0である。水中におけるQが1000で、高さが5mmで、流体速度が1.9mm/μsである5.25MHzセンサの場合、共振器帯域にわたって存在する流体圧縮共振の位相シフトは、僅か0.028周期、すなわち10度である。この帯域におけるMMQSHRの90°シフトとは対照的に、結晶共振帯域幅にわたって圧縮流体共振と結晶せん断共振との間には、80°の位相差が存在する。速度が0.35mm/μsであるパーフルオロポリエーテルの場合、Q=1000を有する共振にわたる位相シフトは、0.164周期、すなわち60度であり、差は僅か30°になる。共振器Qが100未満に減少される鉱油の場合、おおよそ0.28周期、すなわち100度の位相シフトが存在すると考えられ、正味の差は−10°になる。これらの間隔、速度、及びQ係数において、共振圧縮波に関連するインピーダンスは、共振器帯域幅にわたって一定であると見なすことはできない。これらの位相差は、全て、理想RLC共振への基底関数デコンボリューションからの可測逸脱となり、全て、共振の通過帯域では周期リップルにはならない十分に低い位相の逸脱である。後者の点は、逆多項式方法の使用にとって重要であり、本発明では、通過帯域にわたって2周期未満のリップルであることが「遅いリップル」の条件である。図15に見られるように、5mmでは、水中に1〜1.5周期のリップルがある。パーフルオロポリエーテル及び鉱油の測定は、同様の結果を裏付けている。
非常に稀なケースでは、遥かに速いリップルを有するデータが得られる。水を搭載された、5.25MHzで動作するLGS MMQSHRにおいて、流体−空気境界までの経路長が約5mmで且つQが1000のすぐ下である場合の測定データは、図16に示されるように、最大値の半分のコンダクタンスにおける4KHzの帯域幅と、414Hzのリップル周期を示した。これから、圧電素子とそれに対向する空気−流体界面との間を少なくとも400バウンスで伝わる波と、せん断波共振との間には、相互干渉が存在しなければならないことが結論付けられる。実験的に、この導波モードは、対向表面が空気であるときにのみ存在することが判明した。液体から空気への反射係数が、ほぼ完全に−1であるのに対し、液体と鋼との間の反射係数は、僅か0.8から0.9である。波は、約20バウンス以内に−20dBで、そして観測されたケースでは400バウンスにおいて−40dBで、効果的に減衰すると考えられる。
このように、比較的短い流体経路長を有する共振器の帯域幅に相対的な高速リップルの存在は、液体−空気境界の強力な指標であり、低流体レベル又は気泡を検出するために用いることができる。図16は、等価回路を提供するために用いられる逆放物線基底関数曲線適合も示している。
位相干渉係数は、MMQSHRがAWDの入力から出力トランスデューサへエネルギを伝達するゆえに発生する。結晶を通る音響経路は、共振器のQによって決定される位相シフト及び遅延を有する。流体を通る音響伝送経路は、結晶面とそれに対向する流体境界との間に捉えられて入力電極のせん断−圧縮モード変換のピーク領域から出力トランスデューサのせん断−圧縮モード変換のピーク領域へとゆっくり伝播する導波モードを含む。この遅い群速度の導波モードは、共振伝達関数に対して加算及び減算されて干渉及び高速リップルを引き起こす。
いずれのケースでも、短い液体セル内における高速リップルは、多くの係数に対して高感度であり、インスツルメンテーションに良く適していない。これは、通過回数が少ない長い流体セルには当てはまらず、ここでは、このようなシステムが考えられる。リップルを用いる方法が提供されるが、通常は、それをフィルタリング除去すると更に有益である。このような方法の1つは、音響モードごとに3つのサブシステムに全体応答を適合することによって、図13における回路モデルの伝達関数を解析する。
方法は、各共振回路経路におけるこれら3つのサブシステムに周波数の関数として測定を適合することを伴う。少なくとも1つの実施形態では、導波モードに関連する高速リップル項が抽出され、異常動作を検出するために用いられ、次いで、破棄される。残りの解は、上述のように、従来のRLCブランチと、直列伝送線路入力インピーダンスとからなる。直列伝送線路共振に関連する遅いリップル項は、反射を検出するために、又は流体の速度V、伝播損失α、及び音響インピーダンスZoに関する情報を抽出するために用いることができる。速度は、sqrt(κ/ρ)であり、流体圧縮インピーダンスは、θmsqrt(κρ)であるので、もし、各モードのインピーダンス比θmが知られていれば、インピーダンス対速度の比によって密度の推定値が与えられ、積によって流体の弾性率が得られる。流体の一次共振を取り扱うための上述されたいずれかの方法を、フィルタリング後に用いることが可能である。
この反復プロセスのフローチャートが、図17に示されている。第1に、測定伝達関数が、理想共振を記述する基底関数に分解される(1710)。第2に、一次共振に関する誤差関数が得られ、分路伝送線路1306を通る並列経路伝送に対応する振動リップル関数としてモデル化される(1720)。第3に、測定伝達関数は、リップルを減算した後に一次共振の基底関数に再適合される(1730)。第4に、二次共振に関する誤差関数が得られ、分路伝送線路1305を通る並列経路伝送に対応する振動リップル関数としてモデル化される(1740)。第5に、測定伝達関数は、リップルを減算した後に一次共振の基底関数に再適合される(1750)。プロセスは、もしあれば、三次及び更に高次のモードについて、随意として繰り返される。残余誤差の評価が行われ(1760)、誤差が最小化されて反復が終了するまで反復が繰り返される(1720〜1760)。この時点(1770)で、分路伝送線路によって誘発される高速リップルを記述する一連のリップル関数と、各共振モードの一次信号経路に関連付けられた直列R−L−C共振と直列伝送線路スタブとの直列組み合わせを記述するリップル補正された補償伝達関数とが存在する。補正された伝達関数は、各モードの周期リップル関数に加えて、各モード共振の基底関数と、残余誤差関数とに分解される。
これらの伝送線路パラメータの使用は、当初の測定値を、リップルによって引き起こされた変動に照らして補正する。結晶から対向表面までの距離をmmで表したものをHとし、着目される液体について予期される最も遅い圧縮波速度を0.35mm/μsとしたときに、リップルを記述する情報は、2H/0.350μsよりも十分に長い時間でリップルのIFFTが発生するときに、破棄することができる。1つの方法では、誤差関数を伴う場合であれ、又は伴わない場合であれ、等価回路パラメータを決定するために、基底関数が直接用いられる。
以下で詳述される別の方法では、周期リップルを排除するために、上記の初期補正が用いられ、続いて、圧縮反射効果を捉えるために、十分な複雑性を持つ基底関数へのより正確な分解が用いられる。これらの二次基底関数は、次いで、流体特性の計算に直接用いられる。
MMQSHRの各種モードの基本共振及び各モードの誤算関数が図13のモデルに適合される、インスツルメンテーションの方法が存在する。上述された通過帯域リップルは、取るに足らないと想定される、又は既にフィルタリング除去された且つ/若しくは反復適合によってデータから補償されたと想定される。このような1つの実施形態では、共振の伝達コンダクタンスは、従来通り、各モードの直列R−L−C共振について適切な基底関数を使用して近似され、その結果は、測定データから減算されて又は測定データに割られて誤差項を残す。残余誤差関数は、直列スタブ伝送線路インピーダンスに適合される。直列伝送線路インピーダンスを記述する伝達関数項の周期性及び/又は曲率は、線路の時定数を推定するために用いられ、流体チャンバ寸法に関する知識と結合されて、介在する流体の物理的特性に関する追加情報を、すなわち音速を提供する。次いで、反復プロセスが用いられ、ここでは、その他のモードの回路パラメータの推定値が、計算された伝送線路パラメータとともに、リップル補正された測定データから減算され、再評価された残りのモードの回路パラメータが、残余誤差関数に適合される。
図18は、代替のプロセスのフローチャートを提供する。分路伝送線路1205、1206のパラメータは、取るに足らないとして又は既にフィルタリング除去されているとして無視されてよく、適合されるデータは、これらのリップル項について補正された測定伝達関数である。第1に、一次反復に対する伝送線路効果を無視し、少なくとも2つのモードの共振周波数を中心とした周波数範囲に対応する伝達関数の区間から、基底関数が推定される(1810)。第2に、一次モードの共振の基底関数が、一次の理想R−L−C共振及び一次の直列伝送線路に関連付けられた項に区切られる(1820)。第3に、二次モードの共振の基底関数が、二次の理想R−L−C共振及び二次の直列伝送線路に関連付けられた項に区切られる(1830)。随意として、更なるモードが区切られる。この相次ぐ近似の反復(1840)は、残余誤差が最小化されるまで1810〜1830を繰り返すことによってなされる(1850)。結果は、R−L−C共振を記述する基底関数と、直列伝送線路インピーダンスを記述する関数とにそれら自身が区切られる、1対の基底関数集合である。基底関数は、伝送線路スタブの歪みを補正され、反射による全ての効果に対する補償を提供する。方法は、随意として、より高次の基底関数を最後まで分解し、ステップ1810のみを繰り返し、次いで、収束後に基底関数を理想共振と直列伝送線路スタブとに区切ることができる(1820及び1830)。
こうして圧縮波反射を補償された当初のパラメータは、‘868出願及び‘869出願で提案されるように用いることができる。或いは、後述されるように、追加のパラメータを使用して、先行技術の拡張においてフルセットの適合パラメータを用いることができる。
図19は、本発明にしたがった、等価回路パラメータから流体特性を決定する好ましい方法を示している。無負荷時状態は、いかなる圧縮効果又は粘弾性効果とも無関係であるので、無負荷時状態における測定は、従来通り進められる。ステップ1950は、測定される流体を提供し、ステップ1955は、負荷時状態について、ステップ630において、より簡単な‘869出願の回路パラメータ適合の代わりに図17の、又は図18の、又はそれらを組み合わせた追加のプロセスを用いることを除き、ステップ610〜630を繰り返す。ステップ1960、1965、及び1967は、入力パラメータを形成する。損失入力パラメータは、‘869出願で詳しく定義されており、少なくとも運動抵抗と運動キャパシタンスとの積を含む。周波数入力パラメータもやはり、‘869出願で明確に定義されており、少なくとも運動インダクタンスと運動キャパシタンスとの積を含み、これは、結果として逆周波数挙動を示すことがわかる。新しいキャパシタンスパラメータは、図11a及び図11bの議論において特定されており、2つのモード間の差分キャパシタンスである。速度パラメータは、図18の伝送線路項から得られ、図14に見られるように誤差関数から抽出される、又はより高次の基底関数を区切ることから抽出される(1968)。6つの入力パラメータは、演算関数に供給され(1970)、出力パラメータを決定するために用いられる。弾性対密度の比である音速の二乗をとることによって、密度をその他の測定量から分離することが可能になる(1975〜1995)。
流体圧縮速度の取得は、方程式の体系を、3つの未知数と3つの可観測数とを伴う3つに拡張する。
VF=sqrt(κF/ρF)
ZC=sqrt(κF*ρF)
AV=sqrt(ρFηF)
実施形態
実施形態は、厚み滑りモード結合共振器を使用する粘度計への導電率・誘電率電極の統合を実証する。これらのアプローチは、一般的に、厚さ場励起又は横方向場励起のいずれかを伴う単極共振器や多重モード共振器などを含む任意のTSM共振器センサに適用可能である。アプローチは、J. Andle, R. Haskell, M. Chap, and D. Stevens, “Improved Substrate Selection for Lateral Field TSM Sensors(横方向場TSMセンサのための改良された基板選択)”, 2009 IEEE UFFC(未刊行)にあるように、平面ねじれセンサはもちろん直線偏向共振器にも適用可能である。良く知られている圧縮モード生成の問題は、軽減され、ひいては利益をもたらすために使用される。
実施形態は、厚み滑りモード結合共振器を使用する粘度計への導電率・誘電率電極の統合を実証する。これらのアプローチは、一般的に、厚さ場励起又は横方向場励起のいずれかを伴う単極共振器や多重モード共振器などを含む任意のTSM共振器センサに適用可能である。アプローチは、J. Andle, R. Haskell, M. Chap, and D. Stevens, “Improved Substrate Selection for Lateral Field TSM Sensors(横方向場TSMセンサのための改良された基板選択)”, 2009 IEEE UFFC(未刊行)にあるように、平面ねじれセンサはもちろん直線偏向共振器にも適用可能である。良く知られている圧縮モード生成の問題は、軽減され、ひいては利益をもたらすために使用される。
密度をより良く知るため且つ圧縮波放射に起因する誤差をより良く補正するためには、圧縮弾性率を知ることが更に望ましいと考えられる。油圧システムでは、圧縮性が直接の着目対象である。Martin, S. J. Martin, G. C. Frye, R. W. Cernosek and S. D. Senturia, "Microtextured Resonators for Measuring Liquid Properties(液体特性を測定するための、マイクロテクスチャを設けられた共振器)", Tech. Digest, Solid-State Sensor and Actuator Workshop, (1994)は、一方の共振器上に、テクスチャを設けられた表面を、そしてもう一方の共振器上に、滑らかな表面を使用することによって密度を一意に測定する方法を提示した。Andle, J. Andle, U.S. Patent 7,552,619 B2, “Measurement of Density and Viscoelasticity with a Single Acoustic Wave Sensor(1つの音響波センサによる密度及び粘弾性の測定)”, (2005)は、テクスチャを設けられた1つの結合共振器を使用する方法を明らかにした。密度を監視するために、センサの表面にテクスチャを設け尚且つモード00と10との間にゼロ交差周波数を用いることによって、この密度データ及び方程式(1)を使用して粘度、密度、及び圧縮率を取得して、3つのパラメータを伴う多重測定量音響波素子を可能にすることができる。この場合、反射波は、抑制されることが望ましい、又は誤差低減のための冗長データを得るために用いることも可能だろう。
また、このCDリング電極構成は、密度/粘度/弾性依存性の流体パラメータに相関付けるために少なくともM次共振モードの3つの電気的パラメータ(ΔRM、ΔCM、及びΔLM)の部分セットを用いることができる、という要件を満たすのに十分な伝送圧縮波を有するモードをサポートする圧電結晶を含む任意の単一モードで単一ポートのTSM共振器又はMMQSHR(LGSやQTZなど)に用いることができる。
「Improved Measurement of Fluid Parameters(流体パラメータの改良測定)」と題された米国出願第12/780,869号は、これらのパラメータを非線形結合して「損失パラメータ」ωM,air(RMCM−RM,airCM,air)と「周波数パラメータ」ω2 M,air(LMCM−LM,airCM,air)=(ω2 M,air/ω2 M−1)にすることを開示している。運動キャパシタンスは、このモデルでは変化が微小であり、その小さな変化は、損失パラメータ及び周波数パラメータとの関連において規則的である。これは、MMQSHRなどの結合共振器と併せて最適に実施されるが、単一極で単一ポートの共振器と併せて用いることも可能である。
更に、このCDリング電極構成は、密度/粘度/弾性依存性の流体パラメータに相関付けるために複数の電気的パラメータ(RM、ΔF、及びL1など)を用いることができる、という要件を満たす任意の単一ポートTSM共振器又はMMQSHR(LGSやQTZなど)に用いることができる。
したがって、或るグループの実施形態では、対向表面を反射防止性にすることによって、リップルの大きさを最小限に抑えるとともに、動作的に反射防止性の穿孔電極を該応用において有効にするための設置の制約を用いることができる。或いは、対向表面を最適に反射性にするとともに、CD電極間隔の最適化とは独立して適切に隔てることによって、センサの電気的応答との建設的干渉及び相殺的干渉に十分な大きさ及び周期性を提供することができる。
本発明の別の態様では、意図的な又は付随的な反射信号は、位相の不一致がセンサの伝達関数に周期的な歪みを導入するのに十分に急激な位相シフトを主共振に相対的に周波数に伴って有する。電極が中実であれ、又は平行リング形式であれ、反射信号に関連した歪みは補償されることが望ましい。少なくとも1つの実施形態では、CD電極は、平行リング構成であり、第3のガード電極が測定セルを取り囲むとともに電気的なシールドを提供している。シールド電極を穿孔することは望ましくなく、さもないと、反射防止性にすることが非現実的になるだろう。別の実施形態では、CD平行リング電極の開口に近接する潜在的に反射性の表面を有するエンジンブロックに、センサ一式をねじ入れることができる。いずれのケースでも、反射は不可避であり、歪みを補償する方法が望まれるだろう。
リップルが発生するのは、測定が、せん断波共振を通じた伝送信号の位相と同期の周波数でなされるのに対し、反射圧縮モードは、極めて温度依存性の流体の音速によって決定される位相で戻るからである。温度に伴って、2つの信号間の位相差が変動し、建設的干渉及び相殺的干渉のパターンが生じる。
実施形態は、導電率・誘電率(CD)測定セルのための電極又は電極配列などの実質的に平行で且つ音響的に反射性の近接する表面を含む重測定量センサに、圧縮波効果に起因する犠牲を伴うことなく粘度測定を統合するための、解決策を提供する。また、一部の実施形態では、圧縮波効果は、軽減されるのみならず、その残った効果が、更なる測定量を可能にするために用いられる。
別の実施形態では、リップルを捉えるために、MMQSHRの等価回路モデルに更なる回路素子が追加される。より完全なモデルの適合は、当初のモデルパラメータを、反射によって導入されたリップルに照らして補償する。最も好ましい実施形態では、更なる物理的特性を得るために、追加のモデルパラメータが用いられる。
このCD平行リング電極構成は、反射圧縮波を減らすために、任意の共振器に対して用いることができる。最も好ましい実施形態は、米国出願第12/036125号に記載されるような、密度/粘度/弾性依存性の流体パラメータに相関付けることができる複数の電気的出力応答を生成する複数のモードを伴う多重モード準せん断共振器(MMQSR)を用いる。最も好ましい実施形態では、MMQSRは、2ポートで2極の共振器である。
また、流体特性の圧縮波プローブとして、代わりに反射信号を用いることも望ましいだろう。具体的に言うと、米国出願第12/036,125号及び第12/540,339号は、(ρη)及び(ρCF)を測定するアプローチを詳述しているが、その他の2つの変数を定量化するためには、1つの変数が知られていることが前提でなければならない。本発明では、(CF/ρ)を得る第3の測定量が提供され、3つ全ての物理的特性が完全に知られることを可能にしている。共振器の伝達関数に導入されるリップルの周波数周期性は、流体内の伝播経路の長さに反比例する。高いQ共振をもたらす低損失流体が、長い流体セルを必要とするのに対し、広い共振を有する高粘性流体は、流体内の伝播経路が短くても耐えられ、ひいては短い伝播経路を必要とすることもある。
1つの実施形態では、CD電極は、ともに中実であり、圧縮波は、直ちに反射されて表面に返される。別の実施形態では、より長い流体伝播経路を可能にするために、1枚又は2枚以上の平行平板が穿孔されている。
その他の実施形態は、厚み滑りモード(TSM)共振器センサと、少なくとも1つの有効に平行で且つ音響的に反射性の近接する表面と、上記センサの表面と上記少なくとも1つの表面との間の領域内の流体とを含む多重測定量流体センサシステムであって、少なくとも1つの電極は、音響波を反射させ、上記システムは、圧縮波効果を提供して該圧縮波効果ゆえに多重測定が損なわれることをなくする、システムを提供する。
発明の実施形態に関する以上の説明は、例示及び説明を目的として提供されており、包括的であること、又は開示された厳密な形態に発明を限定することを意図していない。本開示を踏まえて、多くの変更及びヴァリエーションが可能である。発明の範囲は、この詳細な説明によって限定されるのではなく、添付の特許請求の範囲によって限定されることを意図されている。
Claims (10)
- 少なくとも2つの共振モードを有する音響波装置(AWD)センサを用いて流体の複数の物理的特性を同時決定するための方法であって、前記モードは、主に水平方向に偏向されたせん断波を含み、前記方法は、
前記少なくとも2つの共振モードに対応する少なくとも2つの共振周波数を中心とした着目される周波数範囲にわたって前記AWDセンサの伝達関数を測定するステップと、
前記測定された伝達関数を、前記AWDセンサの特定の共振を各自記述する基底関数に分解するステップと、
前記AWDセンサの前記測定された伝達関数を記述する前記基底関数の係数から前記流体の前記物理的特性を導き出すステップと、
を備え、
前記基底関数の少なくとも1つは、更に、有限幾何形状流体共振を記述しており、
前記基底関数の前記少なくとも1つは、集中素子等価回路から逸脱する前記測定された伝達関数の周波数依存性を組み入れている、方法。 - 請求項1に記載の方法であって、
前記測定伝達関数を、反射の不在下における理想共振を記述する基底関数に分解することと、
測定データと、前記基底関数の和との間の逸脱である、一次共振に関する誤差関数を得て、次いで、前記誤差関数を一次振動関数としてモデル化することと、
測定データから前記一次振動関数を減算した後に、前記測定伝達関数を一次共振の一次基底関数に再適合することと、
前記測定データと、前記基底関数の和との間の差である、更なる共振に関する誤差関数を得て、次いで、前記誤差関数を更なる振動関数としてモデル化することと、
前記更なる共振を中心とした各周波数区間において、前記測定データから前記更なる振動関数を減算した後に、前記測定伝達関数を前記更なる共振の更なる基底関数に再適合することと、
残余誤差の評価を行うことと、
一次共振に関する誤差関数を得る前記ステップ、誤差補償された一次共振を基底関数に再適合する前記ステップ、各更なる共振に関する誤差関数を得る前記ステップ、再び、前記誤差補償された各更なる共振を更なる基底関数に再適合する前記ステップ、及び前記誤差が最小化されるまで評価を行う前記ステップを繰り返すことと、
反射からの誤差を補償された、前記伝達関数の各選択された共振モードを記述する基底関数を得ることと、
を備える、方法。 - 請求項1に記載の方法であって、
前記基底関数の少なくとも1つを直列共振基底関数と伝送線路基底関数との和として表すことと、
第1の反復に対する伝送線路効果を無視し、前記少なくとも2つのモードの共振周波数を中心とした周波数範囲に対応する伝達関数の区間から基底関数を推定することと、
一次モードの共振の基底関数を、一次の理想R−L−C共振及び一次の直列伝送線路に関連付けられた項に区切ることと、
更なるモードの共振の基底関数を、更なる理想R−L−C共振及び更なる直列伝送線路に関連付けられた項に区切ることと、
推定する前記ステップ、前記一次モードの共振の前記基底関数を区切る前記ステップ、及び前記更なるモードの共振の前記基底関数を区切る前記ステップを、残余誤差が最小化されるまで繰り返すことと、
前記少なくとも2つのモードの理想共振から、及び少なくとも1つのモードの伝送線路から、前記流体の前記物理的特性を反映するパラメータを決定することと、
を備える、方法。 - 請求項2に記載の方法であって、
分離距離(H)がわかっている前記振動関数の周期性から前記流体の圧縮波速度を決定することを備える、方法。 - 請求項2に記載の方法であって、
前記振動関数を無視することと、
その出力が前記流体の前記物理的特性を表す演算関数への入力パラメータを得るために、前記基底関数の係数を用いることと、
を備え、
前記入力パラメータは、リップルの歪みを補償されている、方法。 - 請求項5に記載の方法であって、更に、
前記用いられる基底関数は、流体共振の影響を組み入れるのに十分に正確であり、
前記方法は、更に、
前記基底関数の和を含む補償された伝達関数を、前記AWDの特定の共振を各自記述する新しい基底関数の和に分解することと、
前記AWDセンサの前記新しい基底関数の係数から前記流体の前記物理的特性を導き出すことと、
を備え、
少なくとも1つの新しい基底関数は、更に、前記有限幾何形状流体共振を記述しており、
前記少なくとも1つの基底関数は、前記集中素子等価回路から逸脱する前記伝達関数の周波数依存性を組み入れており、
前記方法は、更に、
前記新しい基底関数の少なくとも1つを直列共振基底関数と伝送線路基底関数との和として表すことと、
第1の反復に対する伝送線路効果を無視し、前記少なくとも2つのモードの共振周波数を中心とした周波数範囲に対応する前記補償された伝達関数の区間から前記新しい基底関数を推定することと、
前記一次モードの共振の前記新しい基底関数を、一次の理想R−L−C共振及び一次の直列伝送線路に関連付けられた項に区切ることと、
前記更なるモードの共振の前記新しい基底関数を、更なる理想R−L−C共振及び更なる直列伝送線路に関連付けられた項に区切ることと、
推定する前記ステップ、前記一次モードの共振の前記基底関数を区切る前記ステップ、及び前記更なるモードの共振の前記基底関数を区切る前記ステップを、残余誤差が最小化されるまで繰り返すことと、
前記少なくとも2つのモードの理想共振から、及び少なくとも1つのモードの伝送線路から、前記流体特性を反映するパラメータを決定することと、
を備える、方法。 - 請求項3に記載の方法であって、更に、
前記伝達関数を、少なくとも1つの基底関数からなる群に分解することを備え、
前記群は、前記AWDの特定の共振を各自記述しており、前記群内の前記伝達関数は、前記共振についての流体−装置相互作用を各自記述している、方法。 - 請求項3に記載の方法であって、
少なくとも2つの連続する反復に対して異なる基底関数が用いられて最終的な分解を生じる、方法。 - 請求項6に記載の方法であって、
少なくとも2つの連続する反復に対して異なる新しい基底関数が用いられて最終的な分解を生じる、方法。 - 請求項1に記載の方法であって、
その出力が前記流体の前記物理的特性を表す演算関数への入力パラメータを取得するために、前記基底関数の前記係数が用いられ、
前記入力パラメータの少なくとも2つは、損失パラメータであり、
前記入力パラメータの少なくとも2つは、周波数パラメータであり、
前記入力パラメータの少なくとも1つは、一次共振の運動キャパシタンスの関数であり、前記関数は、その他の入力パラメータから線形的に独立しており、
前記入力パラメータの少なくとも1つは、二次共振の運動キャパシタンスの関数であり、前記関数は、前記その他の入力パラメータから線形的に独立している、方法。
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