JP5155283B2 - 光ファイバモード結合器 - Google Patents

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Description

本発明は光ファイバのモード制御装置に関する。
光ファイバ、および光導波路モード変換器はよく知られていて、いろいろな形で利用される。それらは一般に入力モード、通常は基底モードを高次モードに、あるいはその逆に変換することによって動作する。特に魅力的なモード変換装置は光ファイバ内に形成される長周期グレーティング(LPG)からなる。例えば、米国特許第6,768,835号、およびT.Erdoganの「Fiber grating spectra」(J.Lightwave Technology、 vol.15、第1277頁(1997))を参照のこと。
これらのモード変換器はシングルモード入力、および一般にシングルモード出力で動作する。一度に一つ以上のモードで光を伝播し、一度に一つ以上のモードを制御可能に変化させることが魅力的な目標であるが、今日までのところ広範には達成されていない。
効果的で制御されたモード変換の機能は高次モード(HOM)で光信号を処理する装置で有用である。例えば、2004年7月24日にSiddharth Ramachandranに交付され、参照のためここに引用される米国特許第6,768,835号を参照のこと。この種のいくつかの装置の問題はHOM光ファイバのHOMの電場の半径依存性が複雑で、特定の電場分布を必要とする用途にはあまり有効ではないということである。例えば、それは近ガウスモードとして空心フォトニックバンドギャップ光ファイバ(ACPBG)、あるいは大モード断面積光ファイバ(LMA)を通して極めて大きなパワーのレーザエネルギーを伝えるために望ましいかもしれない。しかし、そのようなモードはHOM光ファイバ内の電場プロファイルよりも極めて異なる電場プロファイルを有するかもしれない。他の例では、HOM光ファイバの出力の厳密な合焦が求められるかもしれない。合焦のための望ましいビーム形状は一般にガウス自由空間モードである。HOM光ファイバを出るビームの形状は一般にガウス型からはほど遠い。
米国特許6,768,835号 米国特許5,773,486号 米国特許出願第12/157,214号 米国特許出願第11/903,759号
T.Erdogan、「Fiber grating spectra」(J.Lightwave Technology、vol.15、第1277頁(1997)
光ファイバ、および光導波路モード変換器は、一般にシングルモード入力、およびシングルモード出力で動作する。一度に一つ以上のモードで光を伝播し、かつ一度に一つ以上のモードを制御可能に変化させることが可能なモード変換器により、高次モード(HOM)で制御されたモード変換を行なうことは、大パワーのレーザエネルギーの伝播など光信号を処理する装置で有用であるが、今日までのところ広範には実現されていない。
本発明人は光装置、およびHOM光ファイバを出る電場とは本質的に異なる電場を持つ光媒体の中に基底モード出力を生成するために高次モード(HOM)光ファイバの多モード入力が複合モード変換器によって変換される関連の方法を設計した。媒体は好ましくは大モード断面積(LMA)光ファイバ、あるいは自由空間である。モード変換器は光誘起されたグレーティング、あるいは光ファイバの物理的な変形によって形成されるグレーティングのいずれかによって生成される一連の屈折率微小変動であってもよい。
大モード断面積(LMA)光ファイバに結合された組合せHOM、およびモード変換器の図解である。 自由空間に結合された組合せHOM、およびモード変換器の、図1に類似する図解である。 合焦要素を有する図2の組合せを示す。 直列に配された多重LPGモード変換器を用いるモード変換器の説明図である。 重畳された多重LPG変換器を有するモード変換器を示す、図4に類似する図解である。 光ファイバを変形することによって生成されるモード変換器の図解、および屈折率の微小変動に基づくモード変換器の説明図を示す。 光ファイバを変形することによって生成される屈折率の微小変動に基づく多重モード変換器の説明図である。 図7の多重モード変換器の修正版であるモード変換器の図解、およびモード変換器の説明図を示す。 単一の入力モードから生成される多重出力モードの遠視野分布プロファイルを示す。
図1は大モード断面積(LMA)光ファイバに結合された組合せHOM光ファイバ、およびモード変換器の図解である。時には、HOM光ファイバは多モード光ファイバとして参照される。HOM光ファイバは、光ファイバのコア12中を伝播する光を図示するHOM波形図14とともに11で示される。基底モード(LP01)が比較のために影像で示される。
光信号14、あるいは波形14を生成するために処理された他の(図示しない)波形、はHOM光ファイバ11のコア中で処理されてもよい。処理は、増幅、フィルタリング、工学的に作られた色分散などであってよい。多モードでHOMを処理する例が上記で参照された米国特許第6,768,835号に説明されている。
再び図1を参照して、次いで光信号14がモード変換器15によって変換される。モード変換器の出力19はLMA光ファイバ17に結合される。LMAファイバのコアが18に示され、明らかなようにHOM光ファイバのコア12よりもはるかに大きい。モード変換器15は好ましくは波形14をLMA光ファイバの電場により電場に適合する波形19に変換する。
類似の考察が受け側の光ファイバがLMA光ファイバのかわりにACPBGである場合に当てはまる。LMAによる具体化が好ましいが、ACPBGに置き換えることはは有用な代替である。
図2は自由空間で近ガウス波形19、19aを伝播するための類似の構成を示す。このビーム形状は光エネルギーを離れた場所に伝える、例えば高いパワーのレーザ出力を光ファイバピッグテールを通して特定の場所、あるいは点に伝えるために望ましい。それはビーム19を自由空間に合焦させるためにも望ましい。
図3はHOM光ファイバ11と、図1のように合焦要素31、この図解ではGRINレンズ、に取り付けられたモード変換器15の組合せを示す。合焦要素はモード変換器15の出力を望ましい形状39に成形するために有用な付属物である。
図1−3に15で示されるモード変換器の設計は以下のように記述される。
共に伝播するいくつかのモード間の結合のもっとも単純な場合は二つのモード間の結合である。二つのモード間の変換は長周期グレーティング(LPG)によって行なわれ、それは以下の式(1)にしたがってファイバの有効屈折率を周期的に変化させる。
Figure 0005155283
ここでΛはLPGの周期である。LPGはz=0で始まり、z=L(図1を参照)で終わると仮定する。それぞれ伝播定数βおよびβを有するモード1、および2を考える。限定的に、β>βと仮定する。z<0においてLPGがないとき、モード1および2は次式(2)の形を有する。
Figure 0005155283
ここでzはファイバに沿う座標であり、x、yは横座標であり、e(x,y)は実数値のモード横モード分布であり、Cj0およびФはそれぞれモードの振幅、および位相を決定する定数である。これらのモードがLPGを含むファイバ部分に入るとき、座標依存性は次の形式で記述できる。
Figure 0005155283
ここで
Figure 0005155283
σjjは「dc」結合係数であり(例えば、T.Erdoganの「Fiber grating spectra」(J.Lightwave Technology、vol.15、第1277頁(1997)を参照のこと)、A(z)は式(5)の結合波動方程式によって決定される関数である。
Figure 0005155283
ここでσは一般的な「dc」自己結合係数であり、κは「ac」交差結合係数である。式(2)および式(3)を比較すると、A(z)の初期条件は式(6)である。
Figure 0005155283
式(5)の解は式(7)である。
Figure 0005155283
ここでμ=√(σ+κ)である。モードjのパワーは式(8)のように決められる。
Figure 0005155283
ここでモードの横方向成分は正規化されると仮定する。
Figure 0005155283
したがって、任意のCj0およびФについてLPGのパラメータΘ、σ、κおよびLを見出すことが可能であり、z=Lにおいて要求されるA(L)が得られ、それはエネルギー保存則を満足する。
Figure 0005155283
ここで
Figure 0005155283
σ、κ、およびLに対応する式は式(7)から得られる。
Figure 0005155283
Figure 0005155283
ここで
Figure 0005155283
Figure 0005155283
式(13)は右辺が実数の場合のみ成り立つ。式(15)から、後者の条件は式(16)が成り立てば満足される。
Figure 0005155283
式(16)はLPGの位相のズレ、Θを適切に選択することにより満足される。したがって、任意の振幅、および位相の入力モード1、および2は、エネルギー保存の条件、式(10)、が満たされれば、任意の振幅、および位相を有する他のモードに変換可能である。
いくつかの用途においては、既知の入力パワー、P(0)及びP(0)を要求されるパワー比P(L)/P(L)で、位相A(L)およびA(L)に制限のない二つのモードに変換する必要があるかもしれない。この変換は簡単化したLPGによって実行可能であり、それは位相の整合条件、σ=0を満足する。例えば、長さLの結合領域を通過後、光が完全にモード1に変換され、モード2がなくなるという条件を仮定する。
Figure 0005155283
この条件は、初期パワーのひとつがゼロでありさえすれば、初期の位相A(0)およびA(0)に無関係に満足される。例えば、もしP(0)=0であれば、式(4)は式(18)が成り立てば満足される。
Figure 0005155283
この結果は長周期グレーティングに基づくモード変換に使われる。しかし、初期のパワーP(0)およびP(0)がゼロでなければ、式(17)は、モード1および2の間の初期位相差が式(19)であるときに満足される。
Figure 0005155283
それで、モード1および2がモード1にすべて変換される条件は式(20)である。
Figure 0005155283
この式の右辺は式(19)により実数である。したがって、二つのモードの間に任意に分布している光の本質的に完全な変換を行なうために、これらの初期位相が調整され、結合係数κおよび結合長さLが式(20)から選択されるべきである。さらに、式(19)の位相条件が満足されるならば、モードのパワーは結合パラメータの適切な選択によって任意に再分布されるということが示される。実際、入力モードのパワーの比はR=P(0)/P(0)であると仮定する。そうすると、出力モードのR=P(L)/P(L)に到達するために、結合係数κは式(21)で定義される。
Figure 0005155283
ここで式(21)の符号「−+」は式(19)の±に対応する。式(20)はσ=0について式(7)から導かれる。完全なモード変換の条件、R=∞に対して、式(21)は式(18)と一致する。実際に、式(21)は適切なLPG強度、および長さを選択することにより満足される。式(19)は加熱、歪み、あるいは他の形式の屈折率の微小変動、あるいは変形によりLPGの前のファイバ長を変えることによって満足される。そのような微小変動、および変形が米国特許第6,768,835号に説明され、参照のためここに引用される。この条件はファイバ長に沿う適当な場所にLPGを刻むことによっても満足される。
この基本的な教示は、振幅A ,・・・,A でMモードに沿って伝播する光が同じ、あるいは振幅A ,・・・,A である他のNモードに変換されるより一般的な場合に拡張される。このことは上に記述され、図4に図解される一連の二つ、あるいはそれ以上のモード結合器によってなされる。エネルギー保存則により、式(22)となる。
Figure 0005155283
M=Nであると仮定し、空のモードを加えることにより常に一般性を失うことがなくなる。P が初期構成要素のパワーの中で最大のパワーであり、P が最終構成要素のパワーの中で最小のパワーであるなら、式(22)によりP ≧P を得る。最初の二つのモード変換は所望のパワーP +P →P +P でモード1を満たし、ここでP =P +P −P である。この変換の結果で、変換の問題はN−1モードの場合へと低減され、同様に解決される。したがって、図4を参照して、二組のNモードの間のパワーの再配分は、図に示されるように一連のN−1個の2モード変換49によって行なわれる。図4の装置において、モード変換器は光ファイバ47のコア48の中に形成され、ファイバの長さ方向に沿って直列に配列される複合LPGである。
あるいは、図4の個々のグレーティング49が互いに重畳されているLPGを用いて本質的に同一の結果が得られる。この複合LPGが、グレーティング52がグレーティング51に重畳されている図5に示される。わかりやすくするために二つのグレーティングだけが示されている。同じくわかりやすくするために、グレーティング52はグレーティング51よりもわずかに大きく示されている。複合LPGはいくつかのモードの間で結合と変換を同時に行なう。LPGはモード1とその他すべてのモードとの間で結合を行なうように選択され、それに対してモード間のモード1より大きいモード内結合はゼロである。考慮中のシステムを記述している結合の波動方程式は式(23)である。
Figure 0005155283
これらの式は結合モードの式(5)を一般化したものである。初期パワー分布は式(24)である。
Figure 0005155283
これらの境界条件による式(23)の解はすべてのモードを単一のモード1に変換する以下の条件につながる。
Figure 0005155283
これは式(26)で表される位相のズレの条件のもとでのみ満足される。
Figure 0005155283
式(26)はモード1を除くすべてのモードの位相の間の差がゼロ、あるいはπであり、一方モード1の位相と他のモードの位相との間の差が±π/2であるべきということを意味する。N=2の特別の場合に式(25)および(26)はそれぞれ式(20)および(19)と一致する。結果は、モードの位相が適切に整調されればLPGモード変換器を用いて任意の分布をしているモードを単一のモードに変換することが可能であるということをしめしている。LPGの位相は、例えば以前に記された機構を用いて個々のLPGの位置をそれぞれ互いにずらすことによって整調可能である。
再び図4および5を参照して、LPGは図示されるようにクラッドの内部にまで拡大する。このことはグレーティングがコアの外側を伝播する高次モードを効果的に変換するのであれば有用である。モード変換器部分の出力は示されていないが、図1−3に明らかである。
図は寸法どおりではないことが理解されるべきである。例えば、利得部47は一般的にはより大きい。
図5のLPGモード変換器は完全に、あるいは部分的に重畳されてよい。重畳したグレーティングを有する装置を製造するとき、重畳したグレーティングのパターンは一つのグレーティングを形成し、それから第二、第三などのグレーティングを第一、第二、などのグレーティングに重畳することにより、別々の工程で形成されてもよい。あるいは、重畳されたグレーティング要素が連続的に一点づつ点を打つ方法で形成されてもよく、あるいは重畳されたグレーティングからなるマスクパターンを用いる単一の工程で形成されてもよい。先に述べられたように、多数のLPGが使われ、連続的に配列、あるいは重畳されているこれらの場合のいずれに対しても、LPGは複合LPGとして参照されてよい。複合LPGは一つより多くの単純なLPGを有し、かつグレーティング要素の間に一つより多くの間隔を有するグレーティングとして定義される。連続したLPGの場合、第一のグレーティングに対して間隔は一定であり、次のグレーティングに対しては変化する。重畳されたグレーティングの場合には、要素の間の間隔は多少連続的に変化する。
図4および5でLPGを分ける間隔、および光ファイバに沿うLPGの配置は装置の運用において関連するパラメータである。これらは上に述べられた方法で整調することが出来る。整調装置が42で図示される。この場合、整調装置は光ファイバの屈折率を変化させるための加熱要素として示される。他の整調装置が使われてもよい。
LPGの構成、および設計は技術的に公知である。LPGを用いて作られるモード変換器は2004年7月27日に交付され、参照のためここに引用される米国特許第6,768、835号により詳細に記述されている。グレーティングは異なる屈折率を有する連続した領域のパターンを形成するために、光ファイバのコアの屈折率を局部的に変化させることによって形成されてもよい。これらの変化を生成するためにいろいろな方法がある。一般的な方法はゲルマニウムのような感光性の作用物質で光ファイバのコアをドープし、空間フィルタを通して光ファイバに向けられるUV光を用いて屈折率のパターンを「書く」ことである。例えば、1998年6月30日に交付された米国特許第5,7773,486号を参照のこと。
他の効果的な方法が2007年9月25日に出願され、参照のためここに引用される米国特許出願第11/903,759号に記述されている。この形態のLPGは光ファイバを物理的に変形させることによって生成される。この形式のLPGが図6−8によって表される。図6は関連する図解に表示されるように二つのモードの間の結合を伴う単一のLPGを示す。図解は先に式2で考察されたようにモード1と2のエネルギー交換を述べている。図7はファイバの長さに沿って形成された多数のグレーティング1、2からN−1を有する複合LPGの例を示す。
図5の場合のように、連続的に配されるそれぞれのグレーティングは図8に示されるように単一の複合グレーティングに結合されてもよい。
上に述べられた例で、通常HOM部分は多数のモードを含み、一般的には出力は単一モードである。本発明にしたがい、いくつの入力モードであっても一つ以上の出力モードを有するように処理されるということが上の記述から明らかである。モード変換器の効果はモードを他のモードに変換することであり、あるいはモード間のパワーの比を増加、あるいは減ずることである。
図1−3に図解されるモード変換は本質的に多数のモードを単一のモードへの変換であるが、所望の出力もまた多数のモードである用途がある。以下の設計情報は関心のあるすべての場合に共通するものである。モード変換装置は相互性のある装置であるので、1からnモード変換器の設計はnから1変換器、あるいはmからn、あるいはnからm変換器と同じである。
ここでLPGを用いるモード変換が詳細に説明される。この説明において、使用されるLPGの例は図5の例、つまり重畳されたLPG(SLPG)である。先に述べられたように、SLPGに代わるものが使われてもよいことが理解されるべきである。
シングルモード光ファイバの端部に配されるSLPG変換器、特に、六つのLP0jモードを結合する五つの軸対称なLPGからなるSLPGから出射されるコヒーレントなビームを考える。これらのモードの線形組合せにによって生成される出力ビームはハンケル変換の形でフレネル回折積分を用いて決定される。
Figure 0005155283
ここでRはファイバの半径、E(ρ,L)はファイバの端部壁、Z=Lにおける場の分布であって、この場合は六つの正規化された横方向LP0jモード、e0j LP(ρ)である。
Figure 0005155283
モードe0j LP(ρ)はファイバの屈折率プロファイルによって一意的に決定される。われわれのモデルにおいては、SMF−28(R=62.5μm、ρcore=4.1μm、屈折率差0.36%)を考慮に入れ、それに対してこれらのモードが数値的に計算された。式(27)の係数Aは近視野領域にビームを合焦させる、あるいは遠視野領域に均一なビームプロファイルを近づけるように最適化されてよい。
近視野の場合、ピーク強度を増加させ、かつサイドローブを抑制するために、式(27)および(28)によって決定されるビームプロファイルが複素係数Aを変化させることによって最適化される。われわれのモデルにおいて、目的関数は式(29)の形で選ばれる。
Figure 0005155283
ここでEout(ρ、Z)に対し、式(28)でA=1を設定する。F(A、A、・・・、A)の最小化が五つの複素パラメータA、A、・・・、Aを変えることにより、固定値z−L=0.5mm、およびz−L=1mmで行なわれた。パラメータρはサイドローブが抑制されている出射ビームの中心部のピークの外側の領域を規定する。われわれのモデルではρ=15μmを選択する。得られたAの最適値が表1で与えられる。
Figure 0005155283
−L=0.5mm、およびz−L=1mm(近視野)において対応する場の振幅プロファイルがそれぞれ実線、および点線の曲線で図6に示される。プロットの下側の行は個々のLP0jモードにより発生させられたビームのプロファイルと比較した最適化されたプロファイルの顕著な改善を示す。より見やすくするために、図6は場の強度分布よりも場の振幅を示すことに注目のこと。最適化された場の強度の相対的な改善はより明らかである。
表2は全ビームパワーのうち、ファイバ端から0.5mmの位置で半径15μmの円の内部、およびファイバ端から1mmの位置で半径25μmの円の内部の部分を表にしたものであり、個々のモードのビーム、および最適化されたビームに対する値を示している。
Figure 0005155283
表2の行2のいずれかのLP0jに対して、パワーの部分は32%を越えない。しかし、それは最適化したビームについては99%に近づく。同様に、行3のLP0jモードに対するパワー部分は16%から48%の間で変化するが、最適化されたビームについては98.3%に等しい。図5および表2によって与えられる比較は、示唆されたSLPGモード変換器は効果的なビーム合焦器として機能していることを明らかに示している。
不等式z−L>>R/λで定義される遠視野の場合、式(27)の積分は式(30)のように簡単化される。
Figure 0005155283
ここで散乱の振幅f(θ)および散乱角θが導入される。多くの用途(例えば、材料処理、レーザ印刷、電子産業におけるマイクロマシニング、光処理)において、空間の特定の容積をレーザビームで均一に照射することが望ましい。先に記述された基本的な教示にしたがい、SLPG変換器は簡単で、耐久性が高く、効率のよい全ファイバビームホモジナイザとして使用できる。SLPGによって発生させられたLP0jモードの総計である式(28)は非常に均一な中心部領域を有するビームを形成する。遠視野領域におけるビームの均一化を目指すために、目的関数は式(31)の形で選ばれる。
Figure 0005155283
関数F(A、A、A、・・・、A)は均一化されたビーム半径、θ、および場の振幅、Eを手動で選択しながら六つの実変数A、A、A、・・・、Aの数値を変えることによって最小化された。図9は第一の六つのLP0jモードに対する遠視野振幅分布、およびそれらの最適化された総数を比較している。図9に示される均一化されたビームプロファイルは表1の列4に与えられるパラメータAについて得られた。最適化された総数の中心部ピークは直径が6.8、および全ビームパワーの91%を有している。相対的な振幅の不均一性が±0.2%を越えないこのピークの均一化された部分は直径4、および全ビームパワーの52%を有する。したがって、考慮された例は妥当な数のグレーティングからなるSLPGは極めて均一な光ビームを生成することが出来るということを示す。
式(28)の係数Aは所望の形状のビームを形成するために、出力ファイバモードの重畳を決定する。上記で考慮された均一化されたビームの例を用いるSLPGの具体的な設計が式(32)によって与えられるSLPG屈折率変化を決定することにより実行される。
Figure 0005155283
パラメータはΛ1k、φ1k、δn1k、およびδnである。この例の係数Aは表1の列に与えられている。SLPGを決定する他のパラメータは表3にまとめられている。
Figure 0005155283
表3の値は以下のように計算される。最初に、波長λ=1.55μmにおけるSMF−28のLP0jモードの伝播定数が列2に与えられる。このモードに対する重なり積分I1jおよびIjjは以下を用いる波動方程式に基づいて計算される。
SLPGは屈折率の微小変動によって光ファイバのコア中に導入されると仮定する。
Figure 0005155283
ここでxおよびyは横方向の座標、zは縦方向の座標、θ(s)はヘヴィサイドの階段関数、ρcoreはコア半径、Λjkは調和級数の周期である。弱導波光ファイバの結合波理論では、場はスカラー形式E(x,y,z)=Σ(z)exp(iβz)e(x,y)で書かれ、ここでe(x,y)は固有モード(eigenmode)の横方向成分、βは伝播定数である。周期Λjkはファイバモードの伝播定数の間の差にほぼ匹敵し、つまり
2π/Λjk≒β−β、したがって調和級数(j、k)はモードjとkを結合すると仮定する。A(z)に対する結合されたモードの式は式(34)の形式で一般的な結合モード理論から導かれる。
Figure 0005155283
ここでκjkは以下の式で定義される結合係数である。
Figure 0005155283
ここで、λは自由空間における光の波長であり、横方向の固有モードはe(x,y)は正規化されて、
Figure 0005155283
である。式(34)で、周期Λjkはj>kに対して正であり、伝播定数はそれらの数とともに単調に減少する、つまりj>kに対してβ<βであると仮定する。さらに、Φjj=0、1/Λjj=0、Λjk=−Λkj、Φjk=−Φkjであり、式(35)から得られるようにκjk=κkjである。
これらの積分の値は行3および4に与えられる。
次に、以下の式が位相のズレ、Φ1j、結合係数の相対値、κ1j/κ12、および対応するSLPGの長さLの値を与える。
Figure 0005155283
定数Cが決定されると、この式から結合係数κ1jはAに比例、つまりκ1j=CAである。理論的には、式(36)はSLPGの長さL、が他のパラメータに無関係に選択されることを可能にする。しかし、より小さなLはより強いグレーティングを必要とし、LPGの周期がより短くなることを含む。適度な値としてL=50mmを仮定する。すると、表1の列4からAについてC=1.4331×10−5μm−1、および表3の行5に与えられる結合係数の値κ1j=CA>1)を得る。既知のκ1jおよびI1jについて、式(35)から、λ=1.55μmにおいてδn1j=λκ1j/(πI1j)を得、それが行6に与えられる。屈折率δnは、導入された屈折率全体としての変化が正である、つまりδn=Σj>1|δn1j|=1.8141×10−4であるという条件から決定される。行4のIjjとともにこのδnの値が行7に与えられる自己結合係数を決定する。
行8のグレーティングの周期、Λ1k、は以下の式(37)から決定される。
Figure 0005155283
ここで自己結合係数、κjj、および伝播定数、β、はそれぞれ行6および1で与えられる。最終的に、行9で与えられるLPGの位相のズレは式(38)から計算される。
Figure 0005155283
HOMファイバ中を伝播する一組のモードからなる第一の電場はファイバの出力部で第二の異なる媒体中の第二の異なる電場と調和するということが当業者には明らかである。相互性の理論により、伝播する光はHOMファイバから出るもの、あるいは入るものと同じである。したがって、例えば、HOMファイバに影響を及ぼす第二の媒体中のガウスビームがファイバの一組のモードへとばらばらになると、HOMファイバのこのモード振幅および位相の組を正確に発生させる一組のLPG、あるいは屈折率の微小変動が、異なる方向に伝播する光を出力部で再結合させ、ファイバ出力部の後の第二の媒体中に同じガウスビームの形で第二の電場を生成する。さらに、このモードの直線的な組合せが大体出来ると、大部分が所望の電場と同じである出力部の後、媒体中に第二の電場パターンをHOMファイバの出力部において発生させることが出来る。
これは、LPGの後にN個のモードを形成し、これらのN個のモードがガウス型、LMA、あるいはACPGBモードを生じるということを証明している。
図に示される例における具体的な導波路は光ファイバ導波路である。しかし、上に示される式は一般的な導波方程式で、他の形態の導波路にも同じように当てはまる。例えば、本発明は光集積回路の平面型光導波路で実施されてもよい。これらの選択は一般的な表現の光、あるいは電磁場導波路を用いて記述されてもよい。
本発明により作られる装置において、複合LPGモード変換器に結合された伝送媒体、例えばLMA光ファイバ、あるいは自由空間は、HOM光ファイバ内のHOMの電場と本質的に異なる(一般により大きい)電場で光ビームを維持するように適合させられる。この状況における本質的な差は面積で少なくとも25%だけ違うことを意味する。
同様に、HOM光ファイバ、および大モード断面積の光ファイバの特性が光ファイバコアの相対的な寸法に関して表現されるとき、その状況における本質的により大きいということは面積が少なくとも25%だけ大きいということを意味する。
本発明のいろいろ更なる修正が当業者には生じるであろう。技術が進展させられる理論、およびそれらと等価なものに基本的に拠ってたつこの明細書の具体的な教示から外れることのすべては記述され、請求の範囲とされる本発明の範囲内であると適切に考慮される。
11、47 光ファイバ
12、48 コア
14 (波形)光信号
15 モード変換器
17 LMA光ファイバ
18 LMA光ファイバのコア
19、19a ビーム(近ガウス波形)
31 合焦要素
39 モード変換器の出力の所望形状
42 整調装置
47 利得部
49 N−1個の2モード変換
51、52 グレーティング

Claims (6)

  1. a)第一の伝送媒体のコア中の少なくともひとつの高次モード(HOM)によって光ビームを伝送することを含み、前記第一の伝送媒体中の光ビームは第一の電場を有し、さらに、
    b)複合長周期グレーティング(LPG)モード変換器を使用し、出力光ビームを生成するために、前記光ビームの少なくとも一部分を前記第一の伝送媒体中の一つ以上のモードに変換し、
    c)前記出力光ビームを第二の電場および前記第一の伝送媒体のコアの断面積よりも少なくとも25%大きい断面積のコアを有する、光ビームを維持するように適合される大モード断面積(LMA)伝送媒体に結合することを含み、
    前記複合LPGで生成される前記出力光ビームの一つ以上のモードの重畳が前記LMA伝送媒体の基底モードと本質的に調和する、
    ことを特徴とする方法。
  2. 前記第一の伝送媒体と前記LMA伝送媒体とは光ファイバであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 前記複合LPGモード変換器が少なくとも三つのLPGからなることを特徴とする請求項2に記載の方法。
  4. 光装置であって、
    a)光導波路を含み、前記光導波路はコアとクラッドとを有し、前記コアが少なくとも一つの高次モード(HOM)の光ビームを維持するように適合され、そして、前記HOMが第一の電場を有し、さらに、
    b)前記光導波路に結合され、かつ出力光ビームを生成するために前記HOMの少なくとも一部分を前記光導波路中の一つ以上のモードに変換するように適合された複合長周期グレーティング(LPG)モード変換器と、
    c)前記複合LPGモード変換器に結合された大モード断面積(LMA)伝送媒体とを含み、前記LMA伝送媒体が、前記光導波路のコアよりも少なくとも25%大きいコアを有し、かつ第二の電場を有する光ビームを維持するように適合され、前記複合LPGで生成される前記出力光ビームの一つ以上のモードの重畳が前記LMA伝送媒体の基底モードと本質的に調和する、
    ことを特徴とする光装置。
  5. 前記光導波路および前記LMA伝送媒体が光ファイバからなることを特徴とする請求項に記載の光装置。
  6. 前記複合LPGモード変換器が少なくとも三つのLPGからなることを特徴とする請求項に記載の光装置。
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