JP5142490B2 - 水処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、水処理方法に関する。詳しくは、未利用資源であるソバ殻を用いて、被処理水中の重金属を吸着させる方法に関するものである。
重金属は産業上さまざまな分野で使用されているが、重金属は人体や環境に有害な影響を及ぼすものが多く存在することから、これを含有する廃水を下水道や公共用水域に排出する際には、国の排水基準、すなわち下水道法あるいは水質汚濁防止法に定める排水基準の適用を受けることになり、何らかの処理が必要となる。さらに近年、地域によっては環境汚染に対する懸念からさらに規制を強化し、上記国の排水基準を上回る厳しい基準で上乗せ規制を課すところがでている。また、規制の対象に明確には指定されていないものの、要監視項目として排水基準が設定されている重金属もあり、これらは将来的に規制が行われるものと推定される。このように、重金属含有廃水の排出に関して、より一層厳しく規制されるような状況にある。
重金属を含有する廃水から重金属を除去する方法として、例えば、重金属を含有する廃水に消石灰(水酸化カルシウム)や苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)などのアルカリ剤を添加して、重金属の水酸化物として沈殿させる方法(水酸化物沈殿法)や、重金属を含有する廃水に硫化水素などの硫化剤を添加して、重金属の硫化物として沈殿させる方法(硫化物沈殿法)などが知られている。しかしながら、水酸化物沈殿法では、基準値をクリアすることができないばかりか、大量のスラッジ(汚泥)が発生し、環境保全の立場から新たな問題が生じている。また、硫化物沈殿法においても、大量のスラッジが発生するのに加え、硫化水素の毒性、腐食性、臭気などの問題があり、環境上好ましくない。また、硫化水素が高価であるという点で経済的でない。さらに、これら凝集沈殿法は、重金属濃度が希薄であると沈殿が起こりにくく、適用が限定されるという問題もある。加えて、凝集沈殿法は、重金属を回収し再利用するには効率が悪く不適切である。廃水中の重金属を回収し再利用することは、環境保全のみならず、鉱物資源の有効利用の観点からも望ましいことである。
重金属濃度が希薄な被処理水に好ましく適用可能で、かつ、重金属の回収が容易な水処理方法として、例えば、重金属を含有する廃水を活性炭やイオン交換樹脂などの吸着材と接触させ、重金属を吸着させる方法があり、なかでもイオン交換樹脂として、キレート化剤の残基を官能基として有するキレート樹脂は、重金属の回収効率に優れていることがよく知られている。吸着法は凝集沈殿法のような汚染物質の発生がなく、生物の生息する湖や河川などの水域系の処理に適した方法であるといえる。しかしながら、これら吸着材、とくにイオン交換樹脂は、吸着材自体が極めて高価である上、再生して使用する場合でも、その再生の薬剤費に費用がかかることになる。
一方、安価で多量に入手可能な未利用資源(バイオマスなど)を用いて、廃水中の重金属を吸着、除去する方法の開発が進んでいる。未利用資源の有効利用法の開発は、資源の乏しい我が国にとって有効であるばかりか、環境負荷の少ない循環型社会への寄与という点でも非常に有意義である。
具体的には例えば、吸着材として、前処理した卵殻膜(特許文献1)や羽毛(特許文献2)、卵殻膜、羽毛または羊毛のアルカリ溶解液(特許文献3)を用いる方法や、蟹や海老の甲殻などから作られるキトサン誘導体(特許文献4)を用いる方法が報告されている。また、籾殻を炭化後、さらに化学処理して表面活性を増大させた活性籾殻を用いて、重金属など水中に溶解する各種有害汚染物質を除去する方法が報告されている(特許文献5)。
これらはいずれも未利用資源を原料とし、資源の有効利用を図っているが、一方で、吸着材製造段階で煩雑な工程と多量のエネルギーを必要とし、吸着材が高価になるという問題がある。
また、広葉樹や針葉樹などの樹木から、廃物として産出されるチップや木粉、樹皮などを用いて、廃水中の重金属を吸着、除去する方法も報告されている(特許文献6)。しかしながら、樹木は重金属吸着能が極めて低く、廃水中の重金属を十分に吸着、除去するには多量の樹木を必要とする。このため、効率が悪く、発生する廃棄物の量も多大で、実用化には至っていない。
このように、重金属含有廃水などの処理に適用し、被処理水中の重金属を吸着させる方法において、コスト、効率、環境調和性のすべてを満足する水処理方法は知られておらず、吸着材として、容易に入手可能で重金属吸着能に優れた未利用資源が望まれていた。
特開平7−24207号公報 特開平9−99237号公報 特開平9−141003号公報 特開平10−204104号公報 特開平6−39277号公報 特開平5−277467号公報
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、被処理水中の重金属を吸着させる方法において、優れた重金属吸着能を有する未利用資源を用いることにより、安価で、効率よく、しかも資源有効利用の観点から循環型社会の構築にも貢献することが可能な、環境調和型水処理方法を提供することである。
本発明者は上記課題を解決すべく、農林業副産物に着目し鋭意研究を重ねた結果、未利用資源として廃棄されていたソバ殻が、優れた重金属吸着能を有することを見出し、この知見に基づいて本発明を完成させたものである。
すなわち、本発明は第1に、ニッケル、銅、亜鉛、カドミウム、アンチモンおよび鉛からなる群から選ばれる少なくとも1種の重金属を含有する被処理水をソバ殻と接触させて、該被処理水中の重金属をソバ殻に吸着させることを特徴とする水処理方法である。
本発明は第2に、被処理水中の重金属の濃度が1000mg/L以下であることを特徴とする、上記水処理方法である。
本発明は第3に、ソバ殻の使用量は被処理水に対して、0.01〜50重量%であることを特徴とする、上記水処理方法である。
本発明は第4に、被処理水が、ニッケル、銅およびアンチモンからなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する廃水であることを特徴とする、上記水処理方法である。

なお、ソバ殻を有効利用する技術としては、ソバ殻を消臭剤の担持体として用いるものや(特許文献7)、ソバ殻自体を消臭剤として用いるもの(特許文献8)、あるいはソバ殻を燻炭処理して活性炭とするもの(特許文献9)などが報告されているが、ソバ殻を被処理水中の重金属を吸着するための吸着材として用いることは、これまで報告されていない。
特開平11−42278号公報 特開2003−305112号公報 特開平8−12311号公報
本発明によれば、被処理水中の重金属を吸着させる方法において、吸着材として、安価で多量に入手可能であり、重金属吸着能に優れたソバ殻を用いることにより、被処理水中の重金属を、安価に、効率よく吸着させることができる。しかも、未利用資源として廃棄されていたソバ殻の有効利用を図ることができ、循環型社会の構築に貢献することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
ソバは日本で古くから食されている最もポピュラーな食品の一つであり、その生産量は年間約28000トンにおよぶ。玄ソバ(ソバの実)からは約7割のソバ粉が生産される一方、約3割のソバ殻が排出される。ソバ殻はその一部が枕の充填材料などに用いられているものの、アレルギーなどの問題もあり、大部分は何ら有効利用されることなく焼却など廃棄処分となっているのが現状である。本発明はこの廃棄処分されるソバ殻の有効利用を図るもので、本発明において用いることのできるソバ殻は、品種や産地など特に限定されるものでなく、いずれのものであってもかまわない。例えば、地方に適応した在来種などを用いることができ、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明においてソバ殻は、何ら前処理を施すことなく吸着材として用いることができるが、水洗や乾燥などの前処理を施してもよい。また、その形状も特に限定されるものでなく、そのまま、あるいは粉砕して粉状、粒状、その他任意の形状としたものや、押圧して塊状としたものを用いることができ、使用態様に応じて適宜決定すればよい。例えば、そのままの形状のソバ殻は、嵩高性に優れ、通気性を有するため、吸着処理後、含水したソバ殻の乾燥が容易となる利点がある。ソバ殻は、重金属を回収後、再利用することも可能であるが、最終的には廃棄物として処分される。このような場合に、あるいは重金属を回収することなくソバ殻を廃棄する場合にあっても、ソバ殻が乾燥されていると、費用を抑えることができ好ましい。一方、粉砕することでソバ殻の嵩が激減するため、取り扱い性に優れ、反応槽(吸着槽)の省スペース化が可能となる利点がある。
ソバ殻は難分解性の植物繊維物質を多く含み、物理的および化学的に安定で、広範囲のpHや温度に適応することができる。
ソバ殻が有する重金属吸着能の作用機構の詳細は不明であるが、ソバ殻の表面に特徴的に分布する粗雑な波状構造に起因する物理的要因と、ソバ殻に含有されるポリフェノールのイオン交換能に起因する化学的要因によって、重金属吸着能が発現されるものと考えられる。
本発明において対象となる被処理水は、少なくとも重金属を含有する限り特に限定されるものでなく、例えば、めっき工場や精錬所、染色工場など重金属を扱う事業所から排出される工場廃水や鉱山廃水、焼却場の浸出水、河川水、湖沼水、下水などを挙げることができる。また、含有されている重金属は、一般的な意味での重金属であって、密度が4g/cm以上の金属を指すものである。特には、下水道法や水質汚濁防止法に定める規制の対象に指定されている重金属、または要監視項目に指定されている重金属を指し、具体的には(6価)クロム、マンガン、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、モリブデン、カドミウム、アンチモン、水銀、鉛、ウランである。なかでも、本発明の水処理方法の適用が好ましい重金属は、ニッケル、銅、亜鉛、カドミウム、アンチモンおよび鉛からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、より好ましくは、ニッケル、銅およびアンチモンからなる群から選ばれる少なくとも1種である。上記重金属に対するソバ殻の吸着能は、一般的な吸着材である活性炭のそれよりも優れていることを確認している。これら重金属の形態は特に限定されるものでなく、被処理水中に溶解もしくは懸濁のいずれの状態で存在していてもよい。具体的には、重金属単体もしくはこのイオン、重金属化合物もしくはこのイオン、または有機重金属化合物もしくはこのイオンなどである。一般に、重金属がクエン酸、グルコン酸などの有機酸、あるいはEDTA、シアン、アミン、アンモニアおよびポリリン酸など錯生成能力をもつ化合物と錯体を形成している場合、これらは安定な構造であるため水酸化物沈殿法や硫化物沈殿法で重金属を処理することは難しい。しかしながら、本発明において用いるソバ殻は、重金属が錯体を形成している場合であっても重金属を十分に吸着することができる。
被処理水中の重金属の濃度は特に限定されるものでないが、好ましくは1000mg/L以下であり、より好ましくは100mg/L以下である。重金属の濃度が1000mg/Lを越えると、被処理水中の重金属を十分に吸着することができず、重金属が処理水中に多量に残存する虞がある。また、多量のソバ殻を必要とし効率的でない。重金属の濃度が1000mg/Lを越える場合には、凝集沈殿法など他の一般的な水処理方法や希釈法などで前処理後、本発明の水処理方法を適用することが好ましい。また、本発明の水処理方法を繰り返し適用することも効果的である。
被処理水のpHは特に限定されるものでないが、好ましくは1〜11であり、より好ましくは2〜10である。前述のように、ソバ殻は物理的および化学的に安定で、広範囲のpHに適応可能であるが、pHが1未満の強酸性、あるいはpHが11を越える強アルカリ性の条件下では、ソバ殻の表面が改質し、重金属吸着能が低下する虞がある。
一方、重金属の吸着は、広範囲のpHにわたって起こるが、重金属が単体イオンとして存在する場合、重金属の種類に応じて吸着に適したpH範囲が存在するため、その範囲に被処理水のpHを調整することにより、より効率的に重金属を吸着させることができる。例えばニッケルイオンの場合にはpHを4〜7に調整するのが好ましく、より好ましくは5〜7;銅イオンの場合にはpHを3〜6に調整するのが好ましく、より好ましくは4〜6;亜鉛イオンの場合にはpHを4〜7に調整するのが好ましく、より好ましくは5〜7;カドミウムイオンの場合にはpHを3〜6に調整するのが好ましく、より好ましくは4〜6;アンチモンイオンの場合にはpHを3〜6に調整するのが好ましく、より好ましくは4〜6;鉛イオンの場合にはpHを3〜6に調整するのが好ましく、より好ましくは4〜6である。上記した各pH範囲の上限は、それぞれ重金属が水酸化物沈殿を生成することなく、そのほとんどがイオンとして存在する場合の限界であり、この付近で吸着量が最大となる傾向がある。なお、ソバ殻の重金属吸着能は、化学的要因のみならず物理的要因にも起因するところが大きく、被処理水のpHが上記数値範囲外であっても、重金属の吸着が起こり得る。
被処理水の温度および圧力は特に限定されるものでないが、好ましくは常温および常圧である。ソバ殻による重金属の吸着は、物理的および化学的に起きていると考えられ、低温になるほど物理吸着は促進されるが化学吸着が阻害され、高温になるほど化学吸着は促進されるが物理吸着が阻害される。
被処理水とソバ殻の接触は、反応槽懸濁方式、充填塔通水方式のいずれで行ってもよい。
反応槽懸濁方式の場合には、適当な容量の反応槽(吸着槽)内の被処理水にソバ殻を添加して一定時間撹拌する。ソバ殻の使用量は特に限定されるものでなく、重金属の種類、濃度、存在形態、被処理水のpH、夾雑物の有無などによって異なるが、好ましくは、被処理水に対して0.01〜50重量%であり、より好ましくは0.02〜10重量%である。使用量が0.01重量%未満であると被処理水中の重金属とソバ殻の接触が十分に行われず、重金属を十分に吸着できない。使用量が50重量%を越えると、反応槽懸濁方式にあっては、攪拌が困難となって、被処理水中の重金属とソバ殻の接触が不均一となる。接触時間も特に限定されるものでないが、好ましくは1時間〜1週間であり、より好ましくは12時間〜3日である。接触時間が1時間未満であると、被処理水中の重金属とソバ殻の接触が十分に行われず、重金属を十分に吸着できない。接触時間が1週間を越えても、吸着量の増大は望めないばかりか、大量の被処理水を処理するには、反応槽が大きくなって実用的でない。
次いで、処理水とソバ殻を固液分離する。固液分離の方法は特に限定されるものでなく、沈殿、遠心分離、膜分離などの任意の方法を採用することができるが、好ましくは沈殿法あるいは遠心分離法である。ソバ殻の比重は水よりも重いため、沈殿や遠心分離により容易に固液分離することができる。分離したソバ殻は、後述する方法により重金属を脱離させることにより再生することができる。
この場合、反応槽、固液分離手段、脱離槽を連結し、ソバ殻を順次ポンプで移送して連続的に処理してもよく、また、1槽で吸着、固液分離、脱離の各処理を順次行う回分処理とすることもできる。
一方、充填塔通水方式の場合には、充填塔(吸着塔)にソバ殻を充填し、この充填塔に被処理水を通水することにより処理水を得る。充填塔は、被処理水が通水されても固定層を形成する固定床式でも、通水によりソバ殻が流動する流動床式でも良い。また、通水は上向流であっても下向流であっても良い。被処理水を通水して吸着処理を行った後のソバ殻は、後述する方法により重金属を脱離させることにより再生することができる。
この場合、1塔の充填塔で吸着と脱離とを交互に行うようにしても良く、複数の充填塔を並設して一部の塔で吸着処理を行い、他の塔で脱離処理を行うようにしても良い。後者の場合には、被処理水を通水する充填塔を切り換えることにより連続通水処理が可能となる。
吸着処理後のソバ殻から重金属を脱離させる方法は特に限定されるものでなく、pHを調整して重金属を脱離させる方法、溶解度の違いを利用して重金属を脱離させる方法、あるいは熱を利用して重金属を脱離させる方法など、種々の既知の方法を採用することができる。例えば、ソバ殻に重金属イオンあるいはその水酸化物が吸着している場合、pHが低くなるとソバ殻の重金属吸着能が低くなるため、硝酸などの薬剤を注入しpHを下げることで重金属をソバ殻から脱離させることができる。また、塩酸水溶液中の重金属を吸着させた場合には、硫化物や水酸化物など塩酸に対して溶解度の小さい化合物にして、重金属を脱離させることができる。ソバ殻から脱離させた重金属は、回収して再利用に供することができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1および比較例1]
ニッケル(Ni)の硝酸塩水溶液(ナカライテスク株式会社製標準液)を、イオン交換水を用いて最終濃度20mg/Lとなるように希釈後、水酸化ナトリウムを用いてpH4に調整した。このように調製した被処理水をプラスチック容器に100mLとり、吸着材としてソバ殻を表1に示す量投入し、25℃で48時間往復振とう器にかけた。ソバ殻は、通常のソバを常法により脱皮した際に発生する角四面体のもので、水洗い洗浄後、風乾させたものを用いた。その後、遠心分離により固液分離を行い、得られた処理水のニッケル濃度を測定し、この結果からニッケル吸着率、ニッケル吸着量およびニッケル吸着容量(吸着材1gあたりのニッケル吸着量)を求めた。なお、ニッケル濃度の測定には、原子吸光光度計(株式会社日立製作所製、Z−8230)を用いた。
次いで、固液分離により得られたソバ殻を、pH1の硝酸水溶液からなる脱離液15mLに投入し、25℃で48時間往復振とうした後、脱離液中のニッケル濃度を測定することにより、ニッケル脱離量とソバ殻中のニッケル残存量(吸着材1gあたりのニッケル残存量)を求めた。
また、比較のため、吸着材として市販の活性炭(和光純薬工業株式会社製、顆粒状)を用い、ソバ殻の場合と同様に処理した。
以上の結果を表1に示す。
また、処理水中のニッケル濃度とニッケル吸着容量との関係(ニッケル吸着等温線)を図1に示す。
Figure 0005142490
[実施例2および比較例2]
銅(Cu)の硫酸塩水溶液(ナカライテスク株式会社製標準液)を用いて被処理水を調製した以外は、実施例1および比較例1と同様に処理して、ソバ殻および活性炭の銅吸着特性を調べた。
結果を表2および図2に示す。
Figure 0005142490
[実施例3および比較例3]
亜鉛(Zn)の硝酸塩水溶液(ナカライテスク株式会社製標準液)を用いて被処理水を調製した以外は、実施例1および比較例1と同様に処理して、ソバ殻および活性炭の亜鉛吸着特性を調べた。
結果を表3および図3に示す。
Figure 0005142490
[実施例4および比較例4]
カドミウム(Cd)の硝酸塩水溶液(ナカライテスク株式会社製標準液)を用いて被処理水を調製した以外は、実施例1および比較例1と同様に処理して、ソバ殻および活性炭のカドミウム吸着特性を調べた。
結果を表4および図4に示す。
Figure 0005142490
[実施例5および比較例5]
アンチモン(Sb)の塩化物塩水溶液(ナカライテスク株式会社製標準液)を用いて被処理水を調製した以外は、実施例1および比較例1と同様に処理して、ソバ殻および活性炭のアンチモン吸着特性を調べた。
結果を表5および図5に示す。
Figure 0005142490
[実施例6および比較例6]
鉛(Pb)の硝酸塩水溶液(ナカライテスク株式会社製標準液)を用いて被処理水を調製した以外は、実施例1および比較例1と同様に処理して、ソバ殻および活性炭の鉛吸着特性を調べた。
結果を表6および図6に示す。
Figure 0005142490
一定温度における処理水中の重金属平衡濃度と重金属吸着容量との関係を示したものが吸着等温線で、吸着材の重金属吸着能を示す基本的なデータとして、吸着現象を解析する上で重要なデータである。この吸着平衡を表す式としては様々なものが提案されているが、なかでも式1に示すフロイントリヒの式が最も有名である。
〔式1〕
Figure 0005142490
X:吸着容量
C:平衡濃度
k、n:定数
グラフの横軸にlogC、縦軸にlogXをとると、傾きn、切片logkの一次直線になる。この傾きが大きいほど、高濃度ではよく吸着するが、低濃度ではあまり吸着しないことを意味し、傾きが小さいほど、低濃度から高濃度にわたって吸着量の変化が少ないことを意味する。k(切片)が大きく、かつn(傾き)が小さい方が優れた吸着材であるといえる。
図1〜6から明らかなように、ソバ殻は活性炭よりも被処理水中の重金属吸着容量が高く、重金属の吸着に有利であることがわかる。さらに、表1〜6に示した脱離試験とあわせると、本発明の水処理方法は、重金属の吸着および脱離による回収に有利であることがわかる。特に、活性炭では十分に吸着することのできないアンチモンに対しても、ソバ殻は高い吸着能を示し、その吸着能は低濃度でも発揮されることがわかる。
[実施例7および比較例7]
無電解ニッケルめっきによるめっき製品の製造過程で、めっき製品を洗浄する際に発生する洗浄廃水を採取した。この洗浄廃水のニッケル濃度は、原子吸光法により6.09mg/Lであった。他の組成は、水酸化ナトリウム、塩化アンモニウム、次亜リン酸ナトリウム、アンモニア、クエン酸ナトリウムをそれぞれ少量含み、一般的な無電解ニッケルめっきの洗浄廃水であった。またpHは8.5であった。
この洗浄廃水を被処理水とした以外は、実施例1および比較例1と同様に処理して、ソバ殻および活性炭のニッケル吸着特性を調べた。
結果を表7および図7に示す。
Figure 0005142490
図7から明らかなように、ソバ殻は活性炭よりも無電解ニッケルめっき洗浄廃水中のニッケル吸着容量が高く、また低濃度でも高い吸着能を示しており、ニッケルの吸着に有利であることがわかる。さらに、表7に示した脱離試験とあわせると、本発明の水処理方法は、無電解ニッケルめっき洗浄廃水中のニッケルの吸着および脱離による回収に有利であることがわかる。この結果は、本発明の水処理方法が、ニッケルを含有する一般廃水に対して適用可能であることを示すものである。
[実施例8および比較例8]
無電解銅めっきによるめっき製品の製造過程で、めっき製品を洗浄する際に発生する洗浄廃水を採取した。この洗浄廃水の銅濃度は、原子吸光法により2.47mg/Lであった。他の組成は、ホルマリン、水酸化ナトリウム、キレート剤を含み、一般的な無電解銅めっきの洗浄廃水あった。またpHは9.3であった。
この洗浄廃水を被処理水とした以外は、実施例1および比較例1と同様に処理して、ソバ殻および活性炭の銅吸着特性を調べた。
結果を表8および図8に示す。
Figure 0005142490
図8から明らかなように、ソバ殻は活性炭よりも無電解銅めっき洗浄廃水中の銅吸着容量が高く、また低濃度でも高い吸着能を示しており、銅の吸着に有利であることがわかる。さらに、表8に示した脱離試験とあわせると、本発明の水処理方法は、無電解銅めっき洗浄廃水中の銅の吸着および脱離による回収に有利であることがわかる。この結果は、本発明の水処理方法が、銅を含有する一般廃水に対して適用可能であることを示すものである。
めっきが工業上担う役割は大きく、電子工業、機械工業のみならず、様々な分野で利用されている。例えば、電子工業の分野では、テレビやオーディオ、コンピュータにおいて、その基本回路は銅めっきによるプリント配線板で、端子部にはニッケルめっきが施されている。また、これら電子機器から放射される電磁波を遮蔽する目的で用いられる電磁波シールド材にも、銅やニッケルめっきが施されている。さらに、製品の装飾として、美観を与えかつ美観を半永久的に維持するために、クロムをはじめとして、金、銀などの貴金属めっきが最終仕上げ面で用いられる一方、その下地処理として銅やニッケルめっきがふんだんに施されている。
このように、めっき、特に銅およびニッケルめっきの需要は高く、同時にめっき製品の製造過程からは多量の重金属含有廃水が排出される。なかでも、めっき製品を洗浄する際に発生する洗浄廃水は多量に排出され、かつその濃度が低いことから、処理が難しいとさている。本発明の水処理方法は、このような廃水にも適用することが可能であり、産業上の利用価値は極めて大きい。
[実施例9および比較例9]
アンチモンを含有する廃水として、ポリエステル繊維を染色する際に発生する染色廃水を採取した。この染色廃水を、ポアサイズ0.45μmのフィルターにてろ過し、繊維屑などの夾雑物を除去した。ろ過後の染色廃水のアンチモン濃度は、原子吸光法により1.24mg/Lであった。他の組成は、染料、均染分散剤(イソプロピルアルコール、非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤)、酢酸を含み、一般的なポリエステル繊維の染色廃水であった。また、pHは4.1であった。
この染色廃水を被処理水とした以外は、実施例1および比較例1と同様に処理して、ソバ殻および活性炭のアンチモン吸着特性を調べた。
結果を表9および図9に示す。
Figure 0005142490
図9から明らかなように、ソバ殻は活性炭よりも染色廃水中のアンチモン吸着容量が高く、また低濃度でも高い吸着能を示しており、アンチモンの吸着に有利であることがわかる。さらに、表9に示した脱離試験とあわせると、本発明の水処理方法は、染色廃水中のアンチモンの吸着および脱離による回収に有利であることがわかる。この結果は、本発明の水処理方法が、アンチモンを含有する一般廃水に対して適用可能であることを示すものである。
アンチモンはポリエステル樹脂の重合触媒として用いられており、この触媒を製造する工場の廃水や、この触媒を用いてポリエステル樹脂あるいは繊維を製造する工場の廃水、ポリエステル繊維を染色する工場の廃水などには、アンチモンが含有されている。また、アンチモンは、電子部品原料や難燃剤としても広く利用されており、それらの製造工場の廃水にもアンチモンが含有されている。このようなアンチモン含有廃水を、そのまま河川などに放流すると環境汚染の問題を生じる虞がある。有害物質による環境汚染の問題解決が強く求められる中で、アンチモンの排出濃度は今後厳しく規制される方向にある。
アンチモン含有廃水からアンチモンを除去する方法として、従来から、廃水に鉄塩を添加して不溶性の沈殿物として除去する方法が提案されているが、ランニングコストが高く、また発生するスラッジ量が多いため、二次処理の煩雑さも問題となる。特に、アンチモン濃度が希薄な廃水を多量に処理する有効な方法はこれまで提案されていない。本発明の水処理方法は、このような廃水にも適用することが可能であり、産業上の利用価値は極めて大きい。
実施例1および比較例1で得られたニッケル吸着等温線を示すグラフである。 実施例2および比較例2で得られた銅吸着等温線を示すグラフである。 実施例3および比較例3で得られた亜鉛吸着等温線を示すグラフである。 実施例4および比較例4で得られたカドミウム吸着等温線を示すグラフである。 実施例5および比較例5で得られたアンチモン吸着等温線を示すグラフである。 実施例6および比較例6で得られた鉛吸着等温線を示すグラフである。 実施例7および比較例7で得られたニッケル吸着等温線を示すグラフである。 実施例8および比較例8で得られた銅吸着等温線を示すグラフである。 実施例9および比較例9で得られたアンチモン吸着等温線を示すグラフである。

Claims (4)

  1. ニッケル、銅、亜鉛、カドミウム、アンチモンおよび鉛からなる群から選ばれる少なくとも1種の重金属を含有する被処理水をソバ殻と接触させて、該被処理水中の重金属をソバ殻に吸着させることを特徴とする水処理方法。
  2. 被処理水中の重金属の濃度が1000mg/L以下であることを特徴とする、請求項1に記載の水処理方法。
  3. ソバ殻の使用量は被処理水に対して、0.01〜50重量%であることを特徴とする、請求項1に記載の水処理方法。
  4. 被処理水が、ニッケル、銅およびアンチモンからなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する廃水であることを特徴とする、請求項に記載の水処理方法。
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