以下図面を参照して本発明に係る移動体の通信装置の実施の形態について説明する。なお本実施形態では移動作業機械(油圧ショベル、ブルドーザ、ホイールローダなどの建設機械を含む作業のために走行する機械)、移動作業機械運搬車(移動作業機械を運搬するトレーラなど)、サービスカー(保守、点検等のサービスを行うために走行する車両)、給油や給脂専用車、部品供給車など移動作業機械周辺の車両を管理するシステムを想定している。
図1は実施形態の全体構成を示している。
同図1に示すように、本実施形態のシステムでは、複数の移動体31、32、33、34、35と、複数の端末11、12、21、22とが相互に送受信可能に通信手段1(インターネット2、ネットワーク管制局7、専用線3、衛星地球局8、フィーダ回線4、通信衛星9、無線通信5)により接続されている。
すなわち建設機械などはレンタルされることが多く正確な稼働場所が不明であることが多い。また海外へ持ち出しされることもある。本実施形態では、このような問題に対処するために地球上のいずれの場所でも通信可能な通信ネットワークを利用している。なお複数の移動体31〜35は群を形成していることが多いので、複数の移動体31〜35相互間を通信自在に所定の通信手段によって接続してもよい。
複数の移動体31〜35は、移動作業機械つまりブルドーザ、油圧ショベル、クレーンなどの建設機械31、32、33と、これら移動作業機械31〜33を保守、点検するなどのサービスを行うサービスカー34と、これら移動作業機械31〜33を運搬する移動作業機械運搬車つまりトレーラ35とからなる。
端末11、12…は、インターネット2に接続された端末装置(ワークステーション)である。具体的にはパーソナルコンピュータなどのコンピュータが電話回線を介してインターネットに通信自在に接続されている。なおインターネットとは、複数のLAN(ローカル・エリア・ネットワーク)をゲートウエイ、ブリッジによって相互に通信自在に接続した世界的通信網のことである。インターネット2はWWW(ワールド・ワイド・ウエブ:インターネット上の情報検索システム)、E−mail(電子メール:インターネットを介して送受信する「手紙」)などのサービスを提供している。
端末11、12…は、複数の移動体31〜35を管理、監視する管理者の事務所、サービスカー34の車内、移動作業機械運搬車35の車内、移動作業機械31〜33のユーザの事務所、移動作業機械31〜33の販売店または営業所などに設けられている。
端末21は端末11、12…に対応して設けられたサーバ端末であり、インターネット2に接続されている。サーバ端末21はデータベースつまり記憶手段を備えている。よってサーバ端末21は端末11、12からの要求に応じてデータベースに記憶された内容をこれら端末11、12に提供する。
端末22は端末11、12…とは異なる端末に対応して設けられたサーバ端末である。
サーバ端末21、22は、電子メールのサービスを提供すべくメールサーバとして機能するとともに、WWWのサービスを提供すべくHTTP(ハイパー・テキスト・トランスファー・プロトコル)サーバとして機能する。すなわちメールサーバは、要求元から送信されたデータをメールアドレスで指定された宛先に送信する処理を行う。またHTTPサーバはHTML(ハイパー・テキスト・マークアップ・ランゲージ)で記述されたファイルとしてのホームページを要求元からの要求に応じて要求元の端末の表示装置に表示する。ホームページ(インターネットの情報画面)はデータ表示ソフトウエアとしてのWWWブラウザを用いて表示される。これら電子メールのデータおよびホームページのデータはサーバ端末21、22のデータベースに記憶される。
ネットワーク管制局7はインターネット2に通信自在に接続されている。
ネットワーク管制局7と衛星地球局8との間は、有線の専用線3によって通信自在に接続されている。この専用線3では64kbpsの通信速度でデータが伝送される。
衛星地球局8と通信衛星9との間は無線のフィーダ回線4によって通信自在に接続されている。このフィーダ回線4では56kbpsの通信速度でデータが伝送される。
通信衛星9と複数の移動体31〜35との間は無線の通信回線5によって通信自在に接続されている。ここで無線通信として衛星通信を使用しているのは、建設機械などの移動体は山間部、森林地帯、僻地などで稼働することが多く、地上波通信ではカバーできないこれら山間部などにおいても移動体との通信を確保するためである。また衛星通信を利用すれば、建設機械が海外へ持ち出しされた場合でも管理し、追跡することが可能となる。
インターネット2においては電子メールはTCP/IP(トランスファー・コントロール・プロトコル/インターネット・プロトコル)という通信プロトコルに従い送受信される。専用線3、フィーダ回線4、無線通信回線5ではこれとは異なる所定の通信プロトコルに従い電子メールが送受信される。プロトコル変換はネットワーク管制局7で行われる。
移動体31〜35の位置は、GPS(グローバル・ポジショニング・システム)によって計測される。41、42はGPSを構成するGPS衛星である。すなわちGPS衛星41、42から送られる電波を移動体31〜35に搭載された受信機で受信しGPS衛星41、42での送信時と受信機での受信時の時間差に基づきGPS衛星41、42から受信機までの疑似距離を求めこれに対して補正を加えることにより真の距離を演算し、この真の距離から地球上における受信機(移動体31〜35)の2次元位置が計測される。
端末11、12、サーバ端末21、22にはコンピュータの入力装置(マウス、トラックボール、キーボードなど)が設けられているとともに、液晶、CRTなどで構成された表示装置が設けられている。この表示装置の表示画面については後述する。
図2は移動体31〜35の構成を示すブロック図である。図2では移動作業機械31を代表させて示している。
同図2に示すように移動作業機械31の車体50内には、通信衛星9との間で電子メールに関するデータを送受信する衛星通信アンテナ58と、通信衛星9との間で電子メールの送受信処理を行う通信端末56と、GPS衛星41、42から送信された電波を受信するGPSアンテナ59と、受信したGPS衛星41、42からの電波に基づいて移動作業機械31の現在位置を検出するGPSセンサ57と、車体50のキャビン上部に取り付けられ車体50の外部を撮像するカメラ60と、カメラ60を駆動して撮像方向、ズームなどを調整するカメラ駆動機構61と、カーナビゲーション装置55と、通信端末56、GPSセンサ57、カメラ60、カーナビゲーション装置55との間で信号の授受が行われるように接続された通信コントローラ54と、車体50内の各部に設けられた電子制御コントローラ53などの各種コントローラとが備えられている。なおカーナビゲーション装置とは、GPSセンサで検出された自己の車両の現在位置を表示画面の地図上に表示する装置のことである。カーナビゲーション装置55は、サービスカー34、移動作業機械運搬車35に設けられている。この場合カーナビゲーション装置55は端末11、端末12と同等の端末13、14として機能する。このため後述するようにカーナビゲーション装置55の表示画面には自己の車両の位置が表示されるとともに作業対象となる移動作業機械の位置が表示されて、作業対象までの効率的な移動経路が設定される。
通信コントローラ54と、電子制御コントローラ53などの各種コントローラとはシリアル通信が可能となるように信号線52によってデジーチェーン状に接続されており、車体内ネットワーク51を構成している。
すなわち信号線52上には所定のプロトコルのフレーム信号が伝送される。フレーム信号が各コントローラ53、54…に伝送されるとフレーム信号に記述されたデータに従い各コントローラ53、54…に接続されたアクチュエータ(油圧ポンプ、ガバナ、制御弁など)に駆動信号が出力されこれらアクチュエータが駆動制御されるとともに、各コントローラ53、54…に接続されたセンサで検出された検出データあるいは機器内部の情報を示すデータが取得されフレーム信号に記述される。
電子制御コントローラ53には、エンジン回転数、バッテリ電圧、燃料量、冷却水温、異常発生(エラーコード)などの移動体31に関する情報(これを移動体情報という)を検出するセンサ群62が接続されている。したがってフレーム信号にはこれらセンサ群62で検出された移動体情報に関するデータが記述され信号線52を介して通信コントローラ54に対して送出される。
通信コントローラ54にはGPSセンサ57で検出された位置のデータが取り込まれるとともにカメラ60で撮像された画像のデータが取り込まれる。また通信コントローラ54ではカメラ駆動機構61に対する駆動指令が生成されカメラ駆動機構61に対してこの駆動指令が出力されることによってカメラ駆動機構61が作動されカメラ60の撮像方向、ズームが調整される。これらGPSセンサ57で検出された移動体31の位置データおよびカメラ60で取得された車体50の外部の画像データは、上記「移動体情報」に含まれる。
通信端末56は、端末11、12から衛星通信アンテナ58で受信された電子メールの内容を解釈した上でその要求内容に対応した応答内容の電子メールを作成して、この電子メールを返信する処理を行う。
すなわち電子制御コントローラ53のセンサ群62で検出された移動体情報およびGPSセンサ57で検出されカメラ60で撮像された移動体情報は、送信されてきた電子メールの要求内容に応じて、通信コントローラ54から通信端末56に送出され、返信用の電子メールに取り込まれる。
また送信されてきた電子メールの作業指示内容に応じた表示データが、通信コントローラ54からカーナビゲーション装置55に対して送出され、表示画面に表示される。
さて端末11、12にはこれら端末11、12を特定するメールアドレスがそれぞれ付与されている。また移動体31〜35にはこれら移動体31〜35を特定するメールアドレスがそれぞれ付与されている。
サーバ端末21には、移動体31〜35の各メールアドレスに対応づけて端末11、12から当該移動体31〜35に向けて送信された電子メールの内容が各メールボックスに記憶される。サーバ端末(メールサーバ)21では移動体31〜35毎の各メールボックスを検索し、対応する移動体31〜35に対してメールボックス内の電子メールを取りにくるように要求する旨のデータを送信する。これを受けた移動体31〜35では、対応するメールボックス内の電子メールを受け取る旨のデータをサーバ端末21に対して送信する。この結果サーバ端末21から各移動体31〜35に向けて電子メールが送信される。
同様に端末11、12の各メールアドレスに対応づけて移動体31〜35から当該端末11、12に向けて返信された電子メールの内容がメールボックスに記憶される。サーバ端末(メールサーバ)21では端末11、12毎の各メールボックスを検索し、対応する端末11、12に対してメールボックス内の電子メールを受け取りにくるように要求する旨のデータを送信する。これを受けた端末11、12では、対応するメールボックス内の電子メールを受け取る旨のデータをサーバ端末21に対して送信する。この結果サーバ端末21から各端末11、12に向けて電子メールが送信される。
サーバ端末21には、各端末11、12から各移動体31〜35へ向けて送信された電子メールの送信状態および各移動体31〜35から各端末11、12へ向けて返信された電子メールの返信状態の情報を取得する通信状態情報抽出プログラムが記憶、格納されている。この通信状態情報抽出プログラムが実行されることによって現在の通信状態情報を示す通信状態情報データが生成される。
またサーバ端末21には、各端末11、12毎の各メールボックスを探索し、各端末11、12に向けて返信される電子メールの内容から移動体情報を抽出する移動体情報抽出プログラムが記憶、格納されている。この移動体情報抽出プログラムが実行されることによって最新の全移動体の情報を示す全移動体情報データMDが生成される。この全移動体情報データMDとは、各移動体31〜35毎に最新の移動体情報が対応づけられている内容のデータである。
ここでサーバ端末21では、移動体31〜35を管理、監視するためのホームページが作成されており所定のリンク構造のデータとしてデータベースに記憶、格納されている。ホームページの各表示画面は図27〜図32に示される。なお本明細書では先頭ページに続くリンクされた一連のページを総称したものをホームページと定義する。
サーバ端末21には、上記通信状態情報データおよび全移動体情報データMDに従ってホームページの該当する表示画面のデータを更新するホームページ更新処理プログラムが記憶、格納されている。このホームページ更新処理プログラムが実行されることによってホームページの該当する表示画面の移動体情報が、サーバ端末21に記憶されている最新の全移動体情報MDにしたがって更新されるとともに、ホームページの該当する表示画面の通信状態情報が、サーバ端末21に記憶されている現在の通信状態情報にしたがって更新される。なお時系列データ(図29に示す燃料量の時系列データなど)については最新のデータが付加されるとともに最古のデータが消去される。つぎに本実施形態の動作について説明する。
端末11は移動体31〜35のたとえば管理者側に設けられた端末であるとする。
この管理者側の端末11でWWWブラウザが起動されると、WWWブラウザを介してサーバ端末21からホームページのデータが読み出され端末11の表示装置の表示画面に表示される。
図27は端末11の表示装置に表示されるホームページのうち地図表示の画面を示している。この地図のデータは、端末11のコンピュータに記憶されている。同図27に示すように地図上に各移動体31〜35を特定するアイコン(絵文字)がそれぞれ重ね書きされて表示される。アイコンで表示するようにしたので移動体31〜35の種類(ブルドーザ、油圧ショベル、ホイールローダ、トレーラ、サービスカー)を画面上で容易に判別することができる。アイコンの地図上の位置は、各移動体31〜35内のGPSセンサ57で検出され、サーバ端末21のデータベースに記憶された最新の移動体位置に対応している。
端末11の入力装置によってホームページの表示画面をつぎのページに順次移行させる入力操作(キー操作、クリック操作など)がなされると、現在の画面から次の表示画面へと順次移行される。この場合表示画面に表示された各移動体31〜35のアイコンのうち表示させたい移動体(たとえば移動作業機械31)のアイコンをクリック入力操作することによって、その表示させたい移動作業機械31のみの詳細情報を示す表示画面に移行させることができる。
たとえば図31は全移動体31〜35の情報を一覧表示する表示画面である。
この図31に示す表示画面上で詳細情報を表示させたい移動体(たとえば移動作業機械31)のアイコンがクリック入力操作されると、図28に示す表示画面に移行され、特定の移動作業機械31に関する最新の移動体情報が表示画面上に表示される。図27に示す全移動体31〜35の地図表示画面から同様にして図28に示す特定の移動体の詳細な移動体情報を示す表示画面に移行させることもできる。
図28は個別機種の最新のデータを表示する画面を示している。
同図28に示すように、特定の移動体(たとえば移動作業機械31)の現在位置、サービスメータ値、燃料量、エンジン回転数、エンジン冷却水温、バッテリ電圧、油圧ポンプの吐出圧、オイル量、異常(エラーコード)、カメラによる画像などの移動体情報が表示される。たとえば図6に示すように移動作業機械31が盛土116を掘削作業している場合にはカメラ60によって盛土116の掘削状態が撮像される。この結果図28に示すように端末11の表示画面上には、その盛土116の画像が表示される。このため遠隔地の移動作業機械31の作業進行状況を端末11上で視覚的に把握することができる。
この図28に示す表示画面上で、時系列データを表示させたい特定の移動体情報たとえば燃料量の「グラフ」のボタンがクリック入力操作されると、図29に示す表示画面に移行され、燃料量の時系列的な変化を示すグラフが表示画面上に表示される。
また図28に示す表示画面上で、稼働マップのボタンがクリック入力操作されると、図30に示す表示画面に移行され、日付毎に移動作業機械31の稼働時間(エンジン稼働時間)が帯グラフで表示される。このため管理者はこの図30に示す稼働マップから特定の移動作業機械31の稼働率(生産性)を容易に把握することができる。
また同様にして移動作業機械31の異常発生(エラーコード)の時系列的なデータつまり異常発生の履歴を表示画面上に表示させることができる。このため異常発生の過去の履歴から判断して新たに生じた異常発生に対して適切な措置をとることができる。また端末11側で異常発生内容を的確かつ迅速に認識することができるので、専門の技術者を現地に派遣することなく少人数で対処することができる。
つぎに端末11のホームページの表示画面から特定の移動体に対して最新の移動体情報を要求する場合の処理内容について説明する。
この場合は図31または図27に示す表示画面上で全移動体31〜35のうちで最新の移動体情報を要求すべき移動体(たとえば移動作業機械31)のアイコンをクリック操作する。これによって「移動体31」という内容の要求先識別データD2が生成される。
つぎに表示画面を移行させる入力操作を行うことによって表示画面を、図32に示す要求実行の表示画面に移行させる。
そして図32に示す移動体情報の各項目「車両位置」、「サービスメータ」、「燃料量」、「作業モード」、「車体警報1」(エラーコード1)、「車体警報2」(エラーコード2)、「バッテリ電圧」、「エンジン水温」、「エンジン回転数」、「ポンプ圧」…「オイル量」…「カメラ画像」を示すチェックボックスのうちで要求すべき項目をクリック操作する。これにより移動作業機械31の全移動体情報の中のうちで要求すべき移動体情報(たとえば「車両位置」、「燃料量」)が選択され、「車両位置」、「燃料量」という内容の要求情報識別データD3が生成される。このように端末11の入力装置を介して車両位置やサービスメータといった稼働率などを管理する上で基本となる移動体情報はもちろんのこと燃料量やバッテリ電圧といった保守、点検上必要な移動体情報を任意に選択して要求することができる。なおカメラ60の撮像方向、ズームについても端末11での入力操作によってカメラ駆動機構61を作動させ調整することができる。
ただし要求しようとする移動体情報の情報量が大きくなるに伴いデータ通信量が大きくなり、通信料金が増加してしまう。そこで端末11の要求者に通信料金を把握させ経済性を認識させるために、移動体情報の項目を選択した段階で送受信データ量が表示される。具体的には「現在のバイト数」とともに「送信バイト数」、「受信バイト数」、「今月の課金バイト数」の数値が表示される。なお通信データ量の代わりに通信料金そのものを表示させてもよい。
また図32に示す返信先端末の各端末「管理者A(端末11)」、「管理者B」、「サービスカー」、「トレーラ(端末12)」…の各チェックボックスの中から、移動体情報を表示すべき表示先の端末をクリック操作する。これにより各端末11、12…のうちで表示先の端末(たとえば端末12)が選択され、「端末12」という内容の表示先識別データD4が生成される。端末12は移動作業機械運搬車(トレーラ)35のオペレータ側に設けられた端末であるとする。
図33は通信制御の処理手順をシーケンス図にて示している。以下この図を併せ参照して説明する。
要求元の端末11で上記データの入力操作があると、端末11からサーバ端末21に対して、要求元の端末(端末11)を示す要求元識別データD1と、要求先の移動体(移動作業機械31)を示す要求先識別データD2と、要求情報の内容(車両位置、燃料量)を示す要求情報識別データD3と、表示先の端末(端末12)を示す表示先識別データD4とが、インターネット2内における通信プロトコルに従ったデータ構造で電子メールとして、サーバ端末21に対して送信される。ここで要求元識別データD1(「端末11」)は、要求元端末11のメールアドレスに対応している。また表示先識別データD4(「端末12」)は、表示先端末12のメールアドレスに対応している。また要求先識別データD2(「移動作業機械31」)は、移動作業機械31のメールアドレスに対応している。
サーバ端末21は、送信された電子メールを受信して、要求先識別データD2を読み込み、この要求先識別データD2(「移動作業機械31」)に対応する移動作業機械31のメールボックスに、電子メールの内容を記憶、格納する。
サーバ端末(メールサーバ)21は、移動作業機械31に対してメールボックス内の電子メールを受け取りにくるように要求する旨のデータを送信する。すなわち通信衛星9から移動作業機械31に対して応答要求の信号が無線通信回線5を介して送信される。この通信衛星9側から移動作業機械31への応答要求信号の送信は、移動作業機械31が通信状態の良好でない環境にあるなど通信が可能か否か不明であることが多いため、連続的に行われる。これに対して移動作業機械31側から通信衛星9への応答要求信号の有無の確認は、間欠的に行われる。応答要求信号の有無の確認は通信衛星9から送信されてくる応答要求信号を示す電波をセンシングすることによって行われる。したがって通信衛星9側から移動作業機械31に対して確実に要求を伝えることができる。この応答要求信号の有無の確認(応答要求信号を示す電波のセンシング)は特定事象が発生した時刻にまたは特定事象が発生してから所定時間経過後に行われる。
たとえば移動作業機械31のエンジンが始動されたことを検出しこの検出信号をトリガとして応答要求信号の有無の確認を行うことができる。この場合1日のうちで最初にエンジンが始動された時刻のみに応答要求信号の有無の確認を行うようにしてもよい。
また移動作業機械31で異常が発生したことを検出しこの検出信号をトリガとして応答要求信号の有無の確認を行うことができる。
また移動作業機械31で最後に送信が行われてから所定時間経過した時点で応答要求信号の有無の確認を行ない、つぎの送信を行うことができる。
また上記特定事象または所定時間は任意に変更することができる。端末11の入力装置への入力操作によって変更させるようにしてもよい。
上記応答要求信号の有無の確認の結果、応答要求信号有りとされた場合には移動作業機械31は、自己のメールボックス内の電子メールを受け取る旨のデータを、通信衛星9を介してサーバ端末21に対して送信する。この結果サーバ端末21から移動作業機械31に向けて電子メールが送信される。
すなわちインターネット2を介して電子メールがネットワーク管制局7に送信され、電子メールのデータがプロトコル変換される。そしてプロトコル変換された電子メールが専用線3に送出される。そして衛星地球局8、フィーダ回線4、通信衛星9、無線通信回線5を介して電子メールが移動作業機械31に送信され移動作業機械31の衛星通信アンテナ58で受信される。
移動作業機械31の通信端末56は、衛星通信アンテナ58で受信された電子メールから要求情報識別データD3(「車両位置」、「燃料量」)を読み込み、この要求情報識別データD3に対応する移動体情報つまり車両位置データ、燃料量データを当該移動作業機械31内で取得するように通信コントローラ54に指示する。
これを受けた通信コントローラ54では、GPSセンサ57で現在検出されている車両位置のデータを、通信端末56に送出する。また「燃料量」を電子制御コントローラ53で取得すべき旨のデータがフレーム信号に記述されて信号線52に送出される。電子制御コントローラ53ではフレーム信号の記述内容が読み込まれ当該電子制御コントローラ53のセンサ群62から現在の燃料量の検出データが収集され、フレーム信号に記述される。そしてこのフレーム信号が信号線52を介して通信コントローラ54に対して送出される。通信コントローラ54では、フレーム信号に記述されている燃料量のデータが読み出され、通信端末56に送出される。この結果通信端末56では、車両位置データおよび燃料量データが移動体情報データD3′として返信用の電子メールに取り込まれる。
通信端末56から衛星通信アンテナ58を介して、返信元の移動体を示す返信元識別データD2(移動作業機械31)と、返信先の端末を示す返信先識別データD4(端末12)と、移動体情報を示す移動体情報データD3′(車両位置データおよび燃料量データ)とが、所定の通信プロトコルに従ったデータ構造で返信用の電子メールとして通信衛星9に対して送信される。なおD1、D3も同時に送信される。D1は通信料金の課金先毎振り分けキーとして使用することができる。またD3はD3′の内容識別に用いられる。ここで返信元識別データD2(「移動作業機械31」)は、移動作業機械31のメールアドレスに対応している。また返信先識別データD4(「端末12」)は、表示先端末12のメールアドレスに対応している。
返信用の電子メールは通信衛星9で受信され、さらにフィーダ回線4、衛星地球局8、専用線3を介してネットワーク管制局7に送信される。このネットワーク管制局7で返信用の電子メールのデータがプロトコル変換され、プロトコル変換された返信用の電子メールがインターネット2に送出される。
サーバ端末21は、送信された電子メールを受信して、返信先識別データD4を読み込み、この返信先識別データD4(「端末12」)に対応する端末12のメールボックスに、電子メールの内容を記憶、格納する。
さらに上記移動体情報抽出プログラムが実行され端末12のメールボックスに格納された電子メールの内容から移動体情報データD3′(「車両位置データ」、「燃料量データ」)が抽出されるとともに返信元識別データD2(「移動作業機械31」)が抽出され、移動作業機械31のアドレスに対応づけられて最新の車両位置データおよび燃料量データが記憶される。このようにして全移動体情報データMDの内容が更新される。
サーバ端末(メールサーバ)21は、端末12に対してメールボックス内の電子メールを取りにくるように要求する旨のデータを送信する。これを受けた端末12は、メールボックス内の電子メールを受け取る旨のデータをサーバ端末21に対して送信する。この結果サーバ端末21から端末12に向けて電子メールが送信される。D4のセキュリティ層によって、送信するデータを制限することができる。
移動作業機械運搬車35のオペレータ側の端末12で電子メールが受信されると、電子メールのデータから返信元識別データD2(移動作業機械31)および移動体情報データD3′(車両位置データおよび燃料量データ)が読み出される。すると端末12の表示画面上に、電子メールの内容つまり移動作業機械31の現在の位置および現在の燃料量が表示される。
このため運搬車両35のオペレータは、端末12の表示画面から、管理者側から運搬を指示された特定の移動作業機械の機種31を認識することができるとともに、その移動作業機械31を運搬するに必要な現在位置および現在の燃料量を認識することができる。しかも端末12の側のオペレータとしては、情報要求入力操作を行わずとも作業に必要な情報のみを端末12の表示画面から得ることができる。つまり情報を入手したいオペレータが端末12側で入力操作を行うことができない状況下であっても作業に必要な情報が得られる。このため移動作業機械31を運搬する作業をきわめて効率よく行うことができる。
なお上述した実施形態では、管理者側の端末11で要求入力操作を行うことによって運搬車両35のオペレータ側の端末12に運搬に必要な情報を表示させるようにしているが、管理者側の端末11で要求入力操作を行うことによってサービスカー34を運転するサービスマン側の端末12に保守、点検等のサービスに必要な情報を表示させるような実施も可能である。
この場合は同様にして管理者側の端末11から移動作業機械31を経由してサービスマン側の端末12に、移動作業機械31の現在位置データおよびサービスメータ、異常データを移動体情報とする電子メールが送信される。
サービスマン側の端末12で電子メールが受信されると、電子メールのデータから返信元識別データD2(移動作業機械31)および移動体情報データD3′(車両位置データおよび異常データ(エラーコード))が読み出される。すると端末12の表示画面上に、電子メールの内容つまり移動作業機械31の現在の位置および現在の異常発生項目(エラーコード)が表示される。
このためサービスカー34を運転するサービスマンは、端末12の表示画面から、管理者側からサービスを指示された特定の移動作業機械の機種31を認識することができるとともに、その移動作業機械31のサービスに必要な車両現在位置および現状の異常発生項目(エラーコード)を認識することができる。しかも端末12の側のサービスマンとしては、情報要求入力操作を行わずとも作業に必要な情報のみを端末12の表示画面から得ることができる。つまり情報を入手したいサービスマンが端末12側で入力操作を行うことができない状況下であっても作業に必要な情報が得られる。このため移動作業機械31を保守、点検等する作業をきわめて効率よく行うことができる。
つぎに管理者側の端末がサーバ端末21である場合を想定する。
この場合サービスカー34を運転するサービスマン側の端末12で要求操作入力を行うことによって管理者側のサーバ端末21に複数の移動体を一元管理するに必要な情報を表示させることができる。例えばサービスマンが移動作業機械31にオイルを補給した場合にはサービスマン自身はオイルが十分に補給されたことは現場で認識しているので端末12の表示画面であらためて確認する必要はない。一方管理者側にはオイル補給作業が終了したことおよびつぎのオイル補給時期を管理するための情報を提示する必要がある。
この場合も同様にしてサービスマン側の端末12から移動作業機械31を経由してサーバ端末21に、移動作業機械31の現在のオイル量データを移動体情報とする電子メールが送信される。
サーバ端末21で電子メールが受信されると、電子メールのデータから返信元識別データD2(移動作業機械31)および移動体情報データD3′(オイル量データ)が読み出される。するとサーバ端末21の表示画面上に、電子メールの内容つまり移動作業機械31の現在のオイル量が表示される。
このため管理者は、サーバ端末21の表示画面から、オイル補給のサービスが終了した特定の移動作業機械の機種31を認識することができるとともに、その移動作業機械31の管理に必要な現在のオイル量を認識することができる。しかもサーバ端末21の側の管理者としては、情報要求入力操作を行わずとも管理に必要な情報のみをサーバ端末21の表示画面から得ることができる。つまり情報を入手したい管理者がサーバ端末21側で入力操作を行うことができない状況下であっても移動体の管理に必要な情報が得られる。このため移動体31〜35の一元管理作業をきわめて効率よく行うことができる。
上述した実施形態では、要求元の端末と表示先の端末とを異ならせているが、要求元の端末と表示先の端末を同じとしてもよい。
たとえば移動作業機械31のオペレータ側の端末11で要求入力操作を行うことによって同じ端末11に始業点検に必要な情報を表示させることができる。作業作業機械31のオペレータは乗車する前に事務所内の端末11で上記要求入力操作を行う。
この場合も同様にして端末11から移動作業機械31を経由して端末11に、移動作業機械31の現在の燃料量データおよびオイル量データを移動体情報とする電子メールが送信される。
端末11で電子メールが受信されると、電子メールのデータから返信元識別データD2(移動作業機械31)および移動体情報データD3′(燃料量データおよびオイル量データ)が読み出される。すると端末11の表示画面上に、電子メールの内容つまり移動作業機械31の現在の燃料量およびオイル量が表示される。
このため移動作業機械のオペレータは、端末11の表示画面から、乗車しようとする特定の移動作業機械の機種31の始業点検に必要な現在の燃料量およびオイル量を認識することができる。この場合端末11の側のオペレータとしては、移動作業機械31まで実際に移動せずとも仕業点検に必要な情報のみを端末11の表示画面から事前に得ることができる。このため移動作業機械31の始業点検作業が容易かつ効率的に行われ始業点検で発見された不備に事前に対処することができる。
同様にして移動作業機械運搬車35のオペレータ側の端末11で要求入力操作を行うことによって同じ端末11に運搬作業に必要な情報を表示させることができる。このため移動作業機械運搬車35のオペレータは、端末11の表示画面から、運搬しようとする特定の移動作業機械の機種31の運搬に必要な移動体情報(現在位置、現在の燃料量等)を認識することができる。この場合端末11の側のオペレータとしては、移動作業機械31まで実際に移動せずとも運搬作業に必要な情報のみを端末11の表示画面から事前に得ることができる。このため移動作業機械31の運搬作業が容易かつ効率的に行われ不備に事前に対処することができる。
同様にしてサービスカー34のサービスマン側の端末11で要求入力操作を行うことによって同じ端末11に保守、点検等のサービスに必要な情報を表示させることができる。このためサービスカー34のサービスマンは、端末11の表示画面から、サービスを行おうとする特定の移動作業機械の機種31のサービスに必要な移動体情報(現在位置、異常発生、サービスメータ)を認識することができる。この場合端末11の側のサービスマンとしては、移動作業機械31まで実際に移動せずともサービスに必要な情報のみを端末11の表示画面から事前に得ることができる。このため移動作業機械31のサービスが容易かつ効率的に行われ不備に事前に対処することができる。つまり実際に移動作業機械31に移動する前に異常状態を認識することができ部品の手配、応援者の要請、修理方法の調査を効率的に行うことができる。
また本実施形態によれば、複数の端末11、12…からの要求入力操作によって更新された複数の移動体31〜35に関する最新の全移動体情報MDを、任意の端末(たとえば端末11)に表示させることができるという効果が得られる。これを再び図33を併せ参照して説明する。
すなわち上述したようにサーバ端末21に移動作業機械31から返信用の電子メールが送信されると、サーバ端末21で移動体情報抽出プログラムが実行され表示先端末12のメールボックスに格納された電子メールの内容から移動体情報データD3′(「車両位置データ」、「燃料量データ」)が抽出されるとともに返信元識別データD2(「移動作業機械31」)が抽出され、移動作業機械31のアドレスに対応づけられて最新の車両位置データおよび燃料量データが記憶される。これにより全移動体情報データMDの内容が更新される。更にサーバ端末21では上記ホームページ更新処理プログラムが実行されホームページの該当する表示画面の移動体情報が、サーバ端末21に記憶されている最新の全移動体情報MDにしたがって更新される。時系列データ(図29に示す燃料量の時系列データなど)については最新のデータが付加されるとともに最古のデータが消去される。
そこで端末11でWWWブラウザが起動されると、WWWブラウザを介してサーバ端末21から、更新されたホームページのデータが読み出される。この結果端末11の表示装置の表示画面に、最新の全移動体情報MDによって更新された移動体情報が表示される。つまり端末11からサーバ端末21に最新の全移動体情報MDを要求する入力操作があると、端末11の表示画面に最新の全移動体情報MDが表示される。
いま端末11で図27に示す表示がなされているものとする。
すると図27に示す地図上で移動作業機械31のアイコンは最新(現在)の車両位置データに応じた地図上の位置に切り換えられて表示される。
また図28に示す表示画面に移行されると、画面上の「位置データ」の数値および「燃料量」の数値が、最新(現在)の車両位置データの数値および燃料量データの数値にそれぞれ切り換えられて表示される。また図29または図30に示す表示画面に移行されると、燃料量の時間変化のグラフまたは稼働マップが最新のものに切り換えられて表示される。
以上のように本実施形態によれば複数の端末11、12…からの要求入力操作に応じて更新された複数の移動体31〜35に関する最新の全移動体情報MDを、任意の端末11の表示画面に表示させることができる。このため任意の端末で複数の移動体31〜35の最新の移動体情報を取得することができ全移動体を管理、監視することができるという効果が得られる。すなわち複数の要求者が要求した複数の移動体31〜35に関する最新の移動体情報を任意の端末で一元管理することが可能となる。
本実施形態ではサーバ端末21、22毎にデータベースが備えられ個別に全移動体情報MDが記憶される。そこで一方のサーバ端末のデータベースの記憶データ(全移動体情報MD)を他のサーバ端末のデータベースに転送することで全移動体情報を他のサーバ端末のデータベースでも共用することができ各サーバ端末のデータベースの記憶内容(全移動体情報MD)を同内容とすることができる。これは具体的には一方のサーバ端末に返信されてきた電子メール(移動体情報が記述されている)を他のサーバ端末に自動転送するという方法によって達成される。
さてサービスカー34には前述したように端末11、端末12と同等の端末13が搭載されており、この端末13にカーナビゲーション装置55の機能が組み込まれて動作する。
以下管理者側の端末11からサービスカー34に設けられた端末13に、作業指示データを送信してサービスマンに作業指示を与える実施形態について説明する。特にサービスマンは野外にて修理、部品交換、点検作業等を行うことが多く、管理者と直接連絡する機会が少ない。本実施形態のシステムを利用すれば作業指示を受ける場所と時間が限定されないため効率的に作業指示を受けることができる。
管理者側の端末11からは図33に説明したのと同様にしてサービスカー34搭載の端末13を表示先端末(表示先識別データD4)とし、移動作業機械31を要求先移動体(要求先識別データD2)として、「故障E発生、急行せよ」というメッセージの各データが付加された電子メールが送信される。ここで「故障E発生、急行せよ」というメッセージデータは端末11の入力装置を入力操作することによって電子メールに付加される。
このため図3に示すように表示先端末であるサービスカー34の端末13の表示画面13aには、サービス対象である移動作業機械31のアイコンが地図上の最新(現在)位置に表示されるとともに自己のサービスカー34のアイコンが地図上の現在位置に表示される。なお自己の車両34の現在位置は自己の車両34に搭載されたGPSセンサ57によって検出され、画面13a上に表示される。さらに端末13の表示画面のメッセージ部103には、電子メールにて送信されたメッセージ(「指示メッセージ:故障E発生、急行せよ」)が表示される。
これによりサービスカー34に乗車しているサービスマンは、つぎのサービス対象(目的地)が移動作業機械31であることと、その現在位置と、作業内容に関するメッセージとを表示画面13a上から認識することができる。また端末13には、自動ルート生成プログラムが記憶、格納されている。この自動ルート生成プログラムでは、自己の車両34の現在位置と目的地(移動作業機械31の現在位置)とが与えられると、地図上で最短の移動経路を自動的に生成する処理が行われる。よってこの自動ルート生成プログラムが実行されると端末13の表示画面13aには、自己の車両34の現在位置から目的地である移動作業機械31の現在位置までの最短の移動経路102が表示される。
したがってサービスマンとしては端末13の表示画面13aに従ってサービスカー34を走行させ目的地において作業を行うことができる。
作業指示内容通りの作業が可能であれば表示画面13a上の「了解」を示すボタン110がクリック操作される。またサービスカー34が目的地に到着して作業に取りかかる際には、表示画面13a上の「到着」を示すボタン113がクリック操作される。また移動作業機械31のサービス作業が終了した際には、表示画面13a上の「終了」を示すボタン112がクリック操作される。また何らかの事情により作業指示内容通りの作業を受けることができないときには、表示画面13a上の「休止」を示すボタン111がクリック操作される。これら端末13でのクリック操作による入力操作内容は電子メールによって端末13から管理者側の端末11に送信される。端末11では、この電子メールを受信することによりサービスカー34の作業進行状態を把握することができる。なお入力操作は、クリック操作、キー操作、パネルタッチ操作などのタッチ操作以外に音声による入力操作を採用してもよい。
このようにして保守、点検等のサービスがきわめて効率的に行われる。特に本実施形態によれば最新の移動作業機械31の位置が画面13a上に表示されるのでサービス対象31が作業現場内で移動している場合でも、目標を見失うことなく自己の車両34を確実に走行させることができる。
上述した実施形態では、管理者側の端末11から表示先端末をサービスカー34の端末13とする電子メールを送信して端末13に図3に示す内容を表示させるようにしているが、つぎのような手順で端末13に図3の内容を表示させることが可能である。すなわち、1)管理者側の端末11から自己の端末11を表示先端末(表示先識別データD4)とし、移動作業機械31を要求先移動体(要求先識別データD2)とする電子メールを送信する。これにより移動作業機械31の最新の位置が端末11で取得される。
2)端末11から端末13に、上記得られた移動作業機械31の現在位置と、「故障E発生、急行せよ」というメッセージとを作業指示データとする電子メールを送信する。
またつぎのような手順で端末13に図3の内容を表示させることも可能である。すなわち、1)端末11から端末13に、「故障E発生、急行せよ」というメッセージデータを電子メールとして送信する。
2)端末13でWWWブラウザを起動し、WWWブラウザを介してサーバ端末21から、更新されたホームページのデータを読み出す。このため端末13の表示画面に、最新の全移動体情報MDとして移動作業機械31の最新位置が表示される。
さて管理者側の端末11から送られる移動体位置および作業内容を示す作業指示データの内容は任意である。たとえば作業内容として一日分の作業内容を指示してもよい。ここで管理者側の端末11からサーバ端末21に対してサービスカー34の稼働マップ(図30)を要求することで、サービスカー34の1日の稼働率を把握することができる。よってこの1日の稼働率と管理者側からサービスカー34側に指示した一日分の作業内容とを突き合わせることにより作業日報を自動的にしかも正確に作成することが可能となる。
また管理者側の端末11から単にサービス対象の位置(移動作業機械31の位置)をサービスカー34の端末13に送信するだけではなく、他のサービスカー34′の位置を併せて送信するようにしてもよい。これによりサービスカー34側の端末13の表示画面13aには他のサービスカー34′の位置が表示されるので、そのサービスカー34′までの移動、連絡が容易となりサービス作業を更に効率的に行うことができる。すなわち他のサービスマンから工具、交換部品等を借用することが可能となりまた応援依頼も可能となる。また熟練したサービスマンであれば相談等もすることができる。
また上述した実施形態では管理者側の端末11から一の移動作業機械31の位置のデータをサービスカー34の端末13に送信しているが、複数の移動作業機械31A、31B、31C、31Dの位置を送信するようにして複数の移動作業機械31A〜31Dのサービス巡回を効率的に行わせる実施も可能である。
この場合サービスカー34の端末13には、複数の移動作業機械31A〜31Dの現在位置と、前回巡回されてから現在までの各移動作業機械31A〜31D毎のサービスメータ増加値(「3H」、「678H」、「10H」、「500H」)という内容の作業指示データが送信される。
これに応じてサービスカー34の端末13の表示画面13aには、図5に示すように各移動作業機械31A〜31Dのアイコンが地図上の現在位置に表示されるとともに各移動作業機械31A〜31D毎にサービスメータ増加値が表示される。ここで例えば移動作業機械31Dが前回位置(破線で示す)に対して移動していたとしても画面13aの地図上には現在位置(実線で示す)が表示されることになる。
また端末13には、自動巡回ルート生成プログラムが記憶、格納されている。この自動巡回ルート生成プログラムでは、自己の車両34の現在位置と複数の巡回候補地(移動作業機械31A〜31D)とが与えられると、サービスメータ増加値が設定値よりも大きい巡回候補地のみを選択してこれら選択した巡回候補地を通る最も効率的な巡回移動経路を自動的に生成する処理が行われる。よってこの自動ルート生成プログラムが実行されると端末13の表示画面13aには、自己の車両34の現在位置からサービスメータ増加値の大きい(「678H」、「500H」)移動作業機械31B、31Dを通って再び自己の車両34に戻る実線で示す巡回移動経路108が表示される。
よってサービスマンとしては端末13の表示画面13aに従い、実線で示す巡回移動経路108に沿ってサービスカー34を走行させ各巡回地で作業を行うことで、サービス巡回をきわめて効率的に行うことができる。すなわち従来は図5に破線で示すように前回のサービス巡回時から一定の時間が経過すれば、移動作業機械31A〜31Dのすべてを通る巡回経路109を一律に設定してすべての車両に対して作業を行うようにしていた。これに対して本実施形態によれば、前回のサービス巡回時から稼働時間が進んでいない(サービスメータ増加値「3H」、「10H」)移動作業機械31A、31Cを回避した巡回移動経路108をもって作業がなされるので無駄な作業を回避することができる。
なお図5に実線で示す巡回移動経路108は自動的に生成するのではなくサービスマンの判断によって設定してもよい。
また上述した実施形態では管理者側の端末11からサービスカー34搭載の端末13に作業指示データを送信しているが、管理者側の端末11から移動作業機械運搬車35に搭載された端末14に作業指示データを送信して運搬積込み作業を効率的に行わせる実施も可能である。
この場合移動作業機械運搬車35の端末14には、積載地である移動作業機械31の現在位置と、積載した車両を降車させる降車地106の位置と、「終わり次第戻れ」というメッセージの各データからなる電子メールが送信される。
これに応じて運搬車35の端末14の表示画面14aには、図4に示すように移動作業機械31のアイコンが地図上の現在位置に表示されるとともに降車地106のアイコンが地図上の対応する位置に表示される。なお自己の車両35の現在位置は自己の車両35に搭載されたGPSセンサ57によって検出され、画面14a上に表示される。さらに端末14の表示画面のメッセージ部107には、電子メールにて送信されたメッセージ(「指示メッセージ:終わり次第戻れ」)が表示される。これにより運搬車35に乗車しているオペレータは、つぎの運搬対象が移動作業機械31であることと、その現在位置と、その車両を降車させる地点と、具体的な作業内容とを表示画面14a上から認識することができる。
また端末14には、自動運搬ルート生成プログラムが記憶、格納されている。この自動運搬ルート生成プログラムでは、自己の車両35の現在位置から積載地31を通り降車地106に至るまでのルートとして自己の車両35が通過できる幅の道路のみを選択した最短の運搬移動経路を自動的に生成する処理が行われる。よってこの自動運搬ルート生成プログラムが実行されると端末14の表示画面14aには、自己の車両35が通過できない道幅の狭い道路105が回避された、自己の車両35から移動作業機械31を通って降車地106に至るまでの最短の運搬移動経路104が表示される。
ここで作業指示内容通りの作業が可能であれば表示画面14a上の「了解」を示すボタン110がクリック操作される。また運搬車35が積載地31に到着して積込み作業に取りかかる際には、表示画面14a上の「積載」を示すボタン114がクリック操作される。また運搬車35が降車地106に到着して降車作業に取りかかる際には、表示画面14a上の「降車」を示すボタン115がクリック操作される。また運搬車35の積込み運搬(降車)作業が終了した際には、表示画面14a上の「終了」を示すボタン112がクリック操作される。また何らかの事情により作業指示内容通りの作業を受けることができないときには、表示画面14a上の「休止」を示すボタン111がクリック操作される。これら端末14でのクリック操作による入力操作内容は電子メールによって端末14から管理者側の端末11に送信される。端末11では、この電子メールを受信することにより運搬車35の作業進行状態を把握することができる。なお入力操作は、クリック操作、キー操作、パネルタッチ操作などのタッチ操作以外に音声による入力操作を採用してもよい。
よってオペレータとしては端末14の表示画面14aに従い、運搬移動経路104に沿って運搬車35を走行させ作業を行うことで、積込み運搬(降車)作業をきわめて効率的に行うことができる。さらに降車後の運搬車35(空車状態)の帰路を別の移動作業機械31〜33の運搬に当て込むなど一層の効率化を図ることができる。
さらに管理者側の端末11から油圧ショベルなどの移動作業機械31搭載の端末に作業指示データを送信して掘削作業等を効率的に行わせる実施も可能である。
たとえば移動作業機械31の端末に、その日の掘削量の目標、作業の終了時刻、積込み先のダンプトラックの現在位置を示すデータを送信することで、端末の表示画面上にこれらを表示させ、オペレータに表示画面に従い作業機の操作を行わせ、土砂を掘削しダンプトラックに積み込む一連の作業を効率よく行わせることができる。
ところで本実施形態ではインターネット2上の電子メールのサービスを利用してデータを送受信している。この場合メールサーバとしてのサーバ端末21はメールボックス内の電子メールの有無の確認を一定周期で行う。このため電子メールが端末(たとえば端末11)で送信されてからメールアドレス先の移動体(たとえば移動作業機械31)で実際に受信されるまでには一定の遅れが生じる。
本実施形態では通信衛星9による衛星無線通信によってデータの送受信が行われる。衛星無線通信では、衛星の最大仰角が小さく移動体との見通しが得られないなど送受信器間での通信環境が良好でない場合には、通信回線5を確保することができないため、何度か通信を試みる処理が行われる。このため通信衛星9からデータを送信してから移動体(たとえば移動作業機械31)で実際に受信されるまでには通信環境に起因した遅れが生じる。
このように本実施形態の通信システムでは、要求元の端末で電子メールを送信してから要求先の移動体で受信するまでには、たとえば数分の時間差が生じる。このようなリアルタイム性の低い通信システムにおいては、要求元の端末のオペレータに通信状態不明からくる不安感を与え作業効率に影響を及ぼすおそれがある。また通信状態が不明であるが故に重複した内容の電子メールを再送信してしまい通信コストに影響を及ぼすおそれがある。
よって端末の表示画面に、各移動体との通信状態を表示させて、通信状態不明に起因する作業効率の低下、通信コストの上昇を回避することが望まれている。
さらに本実施形態では一の移動体に対して複数の端末から移動体情報の要求が出される。したがって現在得られている移動体情報がどの程度新しいものであるか(いつ移動体情報の要求があったのか)は、一の端末だけでは判断することはできない。
よって端末の表示画面に、移動体に最後に要求があってからの時間経過を表示させて、現在得られている移動体情報がどの程度新しいものであるかという移動体の管理上の情報をオペレータに知らしめることが望まれている。
以下に述べる実施形態はこれら要求に応えるものである。
すなわち図31に示すように、端末11には、複数の移動体31〜35それぞれに対応づけて、移動体識別子としてのアイコン(油圧ショベルの絵、サービスカーの絵、トレーラの絵等)が表示されている。そして要求元の端末11から要求先の移動作業機械31に対して移動体情報を要求する電子メールが送信されると、通信状態に応じて当該移動作業機械31のアイコンが図16(a)に示す態様で表示内容が変化する。
すなわち図16(a)に示すように端末11と移動作業機械31との間での通信状態つまり通信手順が「要求なし」、「要求中」、「返信あり」、「返信なし」と変化するに応じて当該移動作業機械31のアイコンの色が「青」、「黄」、「緑」、「赤」と変化する。
これを図15に示すフローチャートを併せ参照して説明する。
図15は通信手順に応じて表示を遷移させていく処理の手順を示している。この処理はサーバ端末21で実行され、その処理結果は端末11の表示画面に表示される。
まず初期状態では、移動作業機械31のアイコンは、「要求なし」に対応する「青」色に表示されている(ステップ201)。
ここで要求元の端末11から要求先の移動作業機械31に対して移動体情報を要求する電子メールが送信され、移動作業機械31宛のメールボックスに当該電子メールが格納されると(ステップ202の判断YES)、移動作業機械31のアイコンは、「要求中」に対応する「黄」色の表示に遷移する(ステップ203)。
ここで要求先の移動作業機械31から返信されてきた電子メールがメールボックスに格納されると(ステップ204の判断YES)、移動作業機械31のアイコンは、「返信あり」に対応する「緑」色の表示に遷移する(ステップ207)。「返信あり」の状態に遷移してから1日経過すると(ステップ208の判断YES)、移動作業機械31のアイコンは、「要求なし」に対応する「青」色の表示に戻る(ステップ201)。この場合返信されてきた移動体情報が表示先端末(たとえば端末12)に送信され表示された時点で、ステップ207からステップ201に移行させて「要求なし」に対応する「青」色の表示に戻すようにしてもよい。
これに対して要求先の移動作業機械31から返信されるべき電子メールがメールボックスに格納されない場合には(ステップ204の判断NO、ステップ205の判断YES)、無線通信回線5の確保が難しいものと判断して、移動作業機械31のアイコンは、「返信なし」に対応する「赤」色の表示に遷移する(ステップ206)。
なお上述した説明では端末11から移動作業機械31に移動体情報を要求する場合を想定したが、各端末11、12…から各移動体31、32、33、34、35に対して移動体情報を要求する場合についても、同様にして、要求先の移動体のアイコンが、要求元の端末において通信状態に応じて変化する。
以上のように本実施形態によれば、リアルタイム性の低い通信手段を用いた場合であっても、通信状態に応じて表示内容が変化し、「通信の遅れの度合い」を端末11の表示画面で認識することができる。また他の端末と重複して要求することがなくなる。このため通信状態不明に起因する作業効率の低下、通信コストの上昇を回避することができる。
つぎに端末11の表示画面に、移動体に最後に要求があってからの時間経過を表示させて、現在得られている移動体情報がどの程度新しいものであるかという移動体の管理上の情報をオペレータに知らしめることができる実施形態について説明する。
すなわち図18に示すように各端末11、12…と移動作業機械31との通信状態つまり各端末11、12…から移動作業機械31に最後に要求があってからの経過時間が「1日以内要求していない」、「1日から3日要求していない」、「3日から1週間要求していない」、「1週間以上要求していない」と変化するに応じて当該移動作業機械31のアイコンの色が「青」(「要求なし#0」)、「黄」(「要求なし#1」)、「ピンク」(「要求なし#2」)、「赤」(「要求なし#3」)と変化する。
図18に示すように端末11、12…から要求先の移動作業機械31に対して移動体情報を要求する電子メールが送信され、移動作業機械31宛のメールボックスに当該電子メールが格納されると(ステップ301の判断YES)、タイマがリセットされ(ステップ305)、移動作業機械31のアイコンは「要求なし#0」に対応する「青」色の表示に遷移する(ステップ306)。
そしてタイマがリセットされてからの経過時間が1日以内である場合には(ステップ302の判断NO)、移動作業機械31のアイコンは「要求なし#0」に対応する「青」色の表示に維持される(ステップ306)。
またタイマがリセットされてからの経過時間が1日を超えて3日以内である場合には(ステップ302の判断YES、ステップ303の判断NO)、移動作業機械31のアイコンは「要求なし#1」に対応する「黄」色の表示に遷移する(ステップ307)。
またタイマがリセットされてからの経過時間が3日を超えて1週間以内である場合には(ステップ303の判断YES、ステップ304の判断NO)、移動作業機械31のアイコンは「要求なし#2」に対応する「ピンク」色の表示に遷移する(ステップ308)。
またタイマがリセットされてからの経過時間が1週間を超えた場合には(ステップ304の判断YES)、移動作業機械31のアイコンは「要求なし#3」に対応する「赤」色の表示に遷移する(ステップ309)。
タイマの計時中に端末11、12…から要求先の移動作業機械31に対して移動体情報を要求する電子メールが送信され、移動作業機械31宛のメールボックスに当該電子メールが格納されると(ステップ301の判断YES)、タイマがリセットされ(ステップ305)、移動作業機械31のアイコンは「要求なし#0」に対応する「青」色の表示に遷移する(ステップ306)。
なお上述した説明では端末11上で移動作業機械31に対して最後に要求があってからの時間経過を表示する場合を想定したが、他の移動体32〜35についても同様に表示される。また他の端末12…においても各移動体31、32、33、34、35に対して最後に要求があってからの時間経過が表示される。
以上のように本実施形態によれば、各移動体31〜35に最後の要求があってからの経過状況を端末の表示画面で認識することができ、移動体31〜35について現在得られている移動体情報がどの程度新しいものであるかという管理上の情報を知ることができる。
上記実施形態については種々の変形が可能である。以下図16(b)〜(d)、図17、図19、図20について説明する。
つぎに端末11の表示画面に、移動体から移動体情報を示す電子メールの着信が最後にあってからの時間経過を表示させて、現在得られている移動体情報がどの程度新しいものであるかという移動体の管理上の情報をオペレータに知らしめることができる実施形態について説明する。ここで「着信」とは移動体から移動体情報を示す電子メールが返信される場合と、後述するように端末側から要求せずとも移動体から移動体情報を示す電子メールが自動発信される場合の両方を含む。
すなわち図19に示すように移動作業機械31との通信状態つまり移動作業機械31からサーバ端末21に最後の着信(返信、自動発信)があってからの経過時間が「1日以内着信なし」、「1日から3日着信なし」、「3日から1週間着信なし」、「1週間以上着信なし」と変化するに応じて当該移動作業機械31のアイコンの色が「青」(「着信なし#0」)、「黄」(「着信なし#1」)、「ピンク」(「着信なし#2」)、「赤」(「着信なし#3」)と変化する。
図19に示すように、移動作業機械31から返信ないしは移動作業機械31で自動発信された電子メールがサーバ端末21のメールボックスに格納されると(ステップ401の判断YES)、タイマがリセットされ(ステップ405)、移動作業機械31のアイコンは「着信なし#0」に対応する「青」色の表示に遷移する(ステップ406)。
そしてタイマがリセットされてからの経過時間が1日以内である場合には(ステップ402の判断NO)、移動作業機械31のアイコンは「着信なし#0」に対応する「青」色の表示に維持される(ステップ406)。
またタイマがリセットされてからの経過時間が1日を超えて3日以内である場合には(ステップ402の判断YES、ステップ403の判断NO)、移動作業機械31のアイコンは「着信なし#1」に対応する「黄」色の表示に遷移する(ステップ407)。
またタイマがリセットされてからの経過時間が3日を超えて1週間以内である場合には(ステップ403の判断YES、ステップ404の判断NO)、移動作業機械31のアイコンは「着信なし#2」に対応する「ピンク」色の表示に遷移する(ステップ408)。
またタイマがリセットされてからの経過時間が1週間を超えた場合には(ステップ404の判断YES)、移動作業機械31のアイコンは「着信なし#3」に対応する「赤」色の表示に遷移する(ステップ409)。
タイマの計時中に移動作業機械31から返信ないしは移動作業機械31で自動発信された電子メールがサーバ端末21のメールボックスに格納されると(ステップ401の判断YES)、タイマがリセットされ(ステップ405)、移動作業機械31のアイコンは「着信なし#0」に対応する「青」色の表示に遷移する(ステップ406)。
なお上述した説明では移動作業機械31から最後の着信があってからの時間経過を表示する場合を想定したが、他の移動体32〜35についても同様に表示される。また他の端末12…においても各移動体31、32、33、34、35から最後の着信があってからの時間経過が表示される。
以上のように本実施形態によれば、各移動体31〜35から最後の着信があってからの経過状況を端末の表示画面で認識することができ、移動体31〜35について現在得られている移動体情報がどの程度新しいものであるかという管理上の情報を知ることができる。また移動体(たとえば移動体31)が定期的な周期で自動発信されている場合には、移動体31から最後の着信があってからの時間経過の表示内容から、移動体31が自動発信する際に通信上の何らかの障害が生じたか否かを端末側で判別することができる。
つぎに移動体に対して要求を出してから応答がされるまでの経過時間を表示させ、通信が正常に行われているか否かを端末11の表示画面で判別することができる実施形態について図20を参照して説明する。
すなわち図20に示すように端末11から移動作業機械31に最後に要求があってから応答がない状態が継続している時間が変化するに応じて、つまり「1分以下応答なし」、「1分から3分以下応答なし」、「3分から10分応答なし」、「10分以上応答なし」と変化するに応じて、当該移動作業機械31のアイコンの色が「緑」(「応答なし#0」)、「黄」(「応答なし#1」)、「ピンク」(「応答なし#2」)、「赤」(「応答なし#3」)と変化する。また各端末11、12…から移動作業機械31に要求がない状態(応答があった状態)では、「青」(「要求なし」)に表示される。
図20に示すように、要求元の端末11から要求先の移動作業機械31に対して移動体情報を要求する電子メールが送信され、これに応答して要求先の移動作業機械31から返信されてきた電子メールがメールボックスに格納されると(ステップ501の判断YES)、移動作業機械31のアイコンは、「要求なし」に対応する「青」色に遷移する(ステップ506)。
そして要求先の移動作業機械31からの返信電子メールがメールボックスに格納されていない(ステップ501の判断NO)状態では、つぎのステップ502に移行される。
ステップ502では、要求元の端末11から要求先の移動作業機械31に対して移動体情報を要求する電子メールが送信され、移動作業機械31宛のメールボックスに格納されたか否か、つまり要求があったか否かが判断される(ステップ502)。
要求があった場合には(ステップ502の判断YES)、タイマがリセットされ、タイマがリセットされてからの経過時間が1分以内である場合には(ステップ503の判断NO)、移動作業機械31のアイコンは「応答なし#0」に対応する「緑」色の表示に遷移する(ステップ507)。
またタイマがリセットされてからの経過時間が1分を超えて3分以内である場合には(ステップ503の判断YES、ステップ504の判断NO)、移動作業機械31のアイコンは「応答なし#1」に対応する「黄」色の表示に遷移する(ステップ508)。
またタイマがリセットされてからの経過時間が3分を超えて10分以内である場合には(ステップ504の判断YES、ステップ505の判断NO)、移動作業機械31のアイコンは「応答なし#2」に対応する「ピンク」色の表示に遷移する(ステップ509)。
またタイマがリセットされてからの経過時間が10分間を超えた場合には(ステップ505の判断YES)、移動作業機械31のアイコンは「応答なし#3」に対応する「赤」色の表示に遷移する(ステップ510)。
タイマの計時中に、要求先の移動作業機械31から返信されてきた電子メールがメールボックスに格納されると(ステップ501の判断YES)、移動作業機械31のアイコンは、「要求なし」に対応する「青」色に遷移する(ステップ506)。
なお上述した説明では端末11上で移動作業機械31に対して要求があってから応答がされるまでの時間経過を表示する場合を想定したが、他の移動体32〜35についても同様に表示される。また、他の端末12…においても、各移動体31、32、33、34、35に対して要求があってからの時間経過が表示される。
以上のように本実施形態によれば、移動体に対して要求を出してから応答がされるまでの経過時間を表示するようにしたので、通信が正常に行われているか否かを端末上の表示画面で容易に判別することができる。
なお以上の説明では図16(a)に示すように端末11と移動作業機械31との間での通信状態に応じて当該移動作業機械31のアイコン全体の色を変化させて表示しているが、アイコンの色の組み合わせ、配色、塗りつぶしの模様などを変化させてもよい。また色以外の構成要素を変化させてもよい。
たとえば図16(b)に示すように端末11と移動作業機械31との間での通信状態に応じて当該移動作業機械31のアイコンの形状を変化させて表示してもよい。たとえば油圧ショベルのアイコンであれば、作業機の位置や丸みなどの部分を変えることができる。
また図16(c)に示すように端末11と移動作業機械31との間での通信状態に応じて当該移動作業機械31のアイコンの大きさを変化させて表示してもよい。たとえば図16(c)に示す「要求中」の場合には、油圧ショベルのアイコンが大から中へ中から大へと大きさが周的的に変化する。
また図16(d)に示すように端末11と移動作業機械31との間での通信状態に応じて当該移動作業機械31のアイコンの動きを変化させて表示してもよい。たとえば図16(c)に示す「要求なし」の場合には油圧ショベルのアイコンが停止し、「要求中」の場合には、油圧ショベルのアイコンが回転し、「返信あり」の場合には、油圧ショベルのアイコンが直線的に移動し、「返信なし」の場合には、油圧ショベルのアイコンがジャンプする。
また端末11と移動作業機械31との間での通信状態に応じて当該移動作業機械31のアイコンの点滅パターンを変化させて表示してもよい。たとえば点滅周期を変化させることが考えられる。
また移動作業機械31の絵を変化させる代わりに、移動作業機械31を識別する文字などの識別符号を変化させるようにしてもよい。たとえば移動作業機械31の車体番号、愛称などを示す文字の色を変化させたり、点滅させることが考えられる。
以上のようにして、たとえば図15に示す処理の結果として、図17(a)示すように、端末11上の表示画面に、複数の移動作業機械31、32、33、36、37、38のアイコンが、移動体情報(「車番」、「位置」、「サービスメータ」)に対応づけられて表示されることになる。この場合同図17(a)に示すように、各移動作業機械31、32、33、36、37、38のアイコンを、予め設定された順序で画面上に表示することができる。
また同図17(b)に示すように、各移動作業機械31、32、33、36、37、38のアイコンを通信状態に応じて並び換えて、「要求中」に対応する移動作業機械31、32のアイコンを上位に表示させ、「要求なし」に対応する作業作業機械33、36、37のアイコンを下位に表示させることもできる。
また同図17(c)に示すように、各移動作業機械31、32、33、36、37、38のアイコンのうち、「要求中」に対応する移動作業機械31、32のアイコンのみを抽出して表示させてもよい。
以上のように本実施形態によれば通信状態の変化に応じて端末の表示内容を変化させるようにしているので、通信状態不明からくる作業効率の低下を防止でき通信コストの上昇を防止することができる。また各移動体の移動体情報がどの程度新しいものであるかという管理上の情報(保守、点検は最近なされたのか等)を表示画面から得ることができる。
この通信状態の変化に応じて端末の表示内容を変化させる実施形態は、図1に示す通信システムに限定されることなく任意の通信システムに適用することができる。最低2つの通信局を備え、2つの通信局間で通信を行う通信システムであれば適用可能である。
つぎに移動体31〜35側で自ら電源を間欠的にオフすることによって通信上の無駄な電力消費を抑えることができる実施形態について説明する。
建設機械のような移動作業機械はエンジンが稼働していない時間帯(つまり電源がオフ操作されている時間帯)が長い。
図21において仮に、エンジンがオフされている間でも電源であるバッテリ63(定格電圧24V)と通信端末56を常時電気的に接続しておくと、エンジンが稼働されていないためバッテリ63が発電機(オルタネータ)によって充電されない。このためバッテリ63で放電が急速に進行する。一方、仮に、エンジンがオフされている間にバッテリ63と通信端末56との電気的な接続を常時オフしておくと、複数の端末11、12…との間で通信が不可能となる。このためエンジンオフ時に端末11、12…側から移動体情報の要求があった場合にこれに応答することができない。
そこで以下に述べる実施形態は、建設機械など、エンジンが稼働していない時間が長い移動体31〜35であってもエンジンのオフ中に複数の端末11、12…との間の通信を可能とし端末11、12…からの要求に応答することができるようにするとともに、無駄な電力消費を抑えることができるようにするものである。図21はこの実施形態の構成を示す。
図2で説明したように移動作業機械31の車体内には通信端末56が設けられている。そしてこの通信端末56のパワー端子はバッテリ63に電気的に接続されている。通信端末56内には主要電源回路が設けられており、この主要電源回路にバッテリ63の電力が供給されることによって電力が消費される。通信端末56内には内部プログラム(ソフトウエアタイマ)が格納されるか内部電源回路(ハードタイマ)が組み込まれており、これらにより主要電源回路の駆動が間欠的にオン、オフされ、周期的に主要電源回路で省電力がなされるよう動作する。
通信端末56のスリープ制御端子に入力されるエンジンキースイッチ信号S1のレベルはソフトウエアによって監視されており、オン信号でかつ通信端末56の主要電源回路がオフである場合に主要電源回路を強制的に駆動する処理が行われる。またハード的に主要電源回路を駆動させるように構成してもよい。
すなわち通信端末56のスリープ制御端子にエンジンキースイッチ信号S1のオフ信号(論理「0」レベルの信号)が入力されている場合には、通信端末56内の主要電源回路とバッテリ63との電気的な接続が所定のデューティ比でオン、オフされ、主要電源回路の駆動がオン、オフされ通信端末56の起動はオン、オフし、通信処理が一定周期で行われる(通信端末56のスリープ機能がオン)。
通信端末56のスリープ制御端子にエンジンキースイッチ信号S1のオン信号(論理「1」レベルの信号)が入力されるに応じて通信端末56内の主要電源回路とバッテリ63とが電気的に接続され、主要電源回路が駆動され通信端末56は起動し通信処理が行われる(通信端末56のスリープ機能がオフ(強制的解除))。よってエンジンがオンの間は常時通信端末56は起動している状態となる。
一方通信コントローラ54のパワー端子はエンジンキースイッチ64を介してバッテリ63に電気的に接続されている。エンジンキースイッチ64がオフ操作されるに応じて通信コントローラ54とバッテリ63との電気的な接続が遮断されるとともに移動作業機械31のエンジンの稼働が停止される。
エンジンキースイッチ64がオン操作されるに応じて通信コントローラ54から通信端末56のスリープ制御端子に対してエンジンキースイッチ信号S1のオン信号(論理「1」レベルの信号)が出力される。
つぎに通信端末56で行われる処理について図7に示すタイミングチャートを用いて説明する。
図7(a)はエンジンキースイッチ64の操作信号S1を示し、図7(b)は通信端末56と通信衛星9との通信状態を示している。通信中を論理「1」レベルで示している。図7(c)は通信端末56の起動状態を示している。論理「1」レベルが起動状態(省電力動作がオフ)に対応し、論理「0」レベルが起動オフ(スリープ)状態(省電力動作がオン)に対応している。通信端末56の起動はデューティ比D(=(τ/T)×100%)で間欠的にオン、オフされる。省電力動作がオフされ通信端末56が起動されるタイミングで、必要に応じて通信端末56から通信衛星9に対して現在位置、サービスメータ値、燃料残量、バッテリ電圧、車体エラーコードなどの移動体情報を示す信号が送信される。
同図7に示すように、エンジンキースイッチ信号S1がオンの状態を維持している場合には常に通信端末56が起動されている。
エンジンキースイッチ信号S1がオンからオフに切り換えられると、矢印aに示すように通信端末56の起動はデューティ比D(=(τ/T)×100%)で間欠的にオン、オフされる(スリープ機能がオン)。
すなわち図8(b)は図7(c)に対応する省電力動作のオン、オフを示すタイミングチャートであり、図8(c)は通信衛星9から通信端末56に対する呼びかけの信号の送信状態を示している。論理「1」レベルが送信中を示している。
これら図に示すように一定時間(起動周期)T内には必ず起動している時間τつまり通信衛星9との間で送受信できる時間が存在している(図8(c)の斜線参照)。通信応答時間の期待値としてはT/2である(平均がT/2)。また消費電力はτ/Tに抑えることができる。起動周期Tで省電力動作している通信端末56と通信衛星9とが送受信できるようにするためには、通信衛星9から通信端末56に対してT以上の時間継続して信号を送出している必要がある(図8(b)、(c)参照)。起動周期Tは通信の緊急度、通信衛星9からの送信されている信号の継続時間に対する安全率に応じて定められる。
また起動時間τは、送受信手続きに要する時間以上を確保する必要がある。ただし起動時間τが小さいほど省電力の効果は大きい。
以上のようにしてTなる周期で定期的に通信端末56を起動することによって通信応答時間の期待値を確保することができるとともに、消費電力を抑制することができる。
ただし図7に示すようにエンジンキースイッチ信号S1がオンからオフに切り換えられられても、矢印cに示すように通信端末56と通信衛星9との間で通信中であれば、矢印dに示すように通信が終了した時点からスリープ機能がオンされる。
エンジンキースイッチ信号S1がオフからオンに切り換えられると、矢印bに示すようにスリープ機能は強制的に解除される。
以上のように本実施形態によれば、エンジンが稼働すればスリープ機能を強制的に解除しエンジン稼働中に常に通信端末56を起動させるようにしているので、エンジン稼働時に発生した突発的な車両の異常といった移動体情報を送信することができ安全性を確保することができる。またエンジンが稼働を停止しても通信中であれば通信終了まで通信端末56を起動させたままとしているので、通信を確実に行うことができる。
上記デューティ比Dはバッテリ63の端子電圧に応じて変化させることができる。
バッテリ63の電圧はバッテリ電圧入力回路に入力され図8(a)に示す特性に従いデューティ比Dが変化する。
すなわちバッテリ63の電圧が低くなるに伴いデューティ比Dが小さくなり起動周期Tが長くなり、バッテリ63の電圧の更なる低下が抑えられる。
また図8(a)に示す特性と同様な特性をもって、エンジンの稼働時間が短くなるに伴いデューティ比Dを小さくし起動周期Tを長くすることで、バッテリ63の電圧の更なる低下を抑えるようにしてもよい。エンジンの稼働時間はサービスメータの増加値から求められる。スリープ機能がオンされる前(間欠的な省電力動作が開始される前)までのエンジンの連続稼働時間がサービスメータの増加値から求められ、この連続稼働時間に応じてデューティ比Dが変化する。この場合はバッテリ電圧入力回路の配設が不要となる。
上述した図21に示す構成によれば、通信端末56内の処理によって省電力動作がなされるので、他の機器や配線異常などの影響を受けないという利点がある。図21の構成の代わりに図22に示す構成を採用してもよい。すなわち通信端末56とは別の機器たとえば通信コントローラ54にエンジンキースイッチ64オフ時の省電力動作制御機能を持たせ、この通信コントローラ54によって通信端末56とバッテリ63との間の電気的な接続を間欠的にオン、オフ制御してもよい。
すなわち図22に示すように通信端末56のパワー端子は電源スイッチ65を介してバッテリ63に電気的に接続されている。電源スイッチ65がオフされるに応じて通信端末56とバッテリ63との電気的な接続が遮断される。
一方通信コントローラ54のパワー端子はバッテリ63に電気的に接続されている。またエンジンキースイッチ64の操作信号S1が通信コントローラ54に入力される。また通信端末56から通信コントローラ54に、通信状態を示す信号S3が入力される。通信端末56が通信衛星9と通信中であれば通信状態信号S3は論理「1」レベルとなる。
通信コントローラ54内にはソフトウエアタイマが格納されるかハードタイマが組み込まれており、電源スイッチ65に対して電源スイッチ駆動信号S2が出力される。
通信コントローラ54では図7で説明したのと同様の処理が実行される。
図7(a)は通信コントローラ54に入力されるエンジンキースイッチ64の操作信号S1を示し、図7(b)は通信端末56から通信コントローラ54に入力される通信状態信号S3を示し、図7(c)は通信コントローラ54から電源スイッチ65に出力される電源スイッチ駆動信号S2を示している。
よって図21に示す構成と同様に、エンジンの稼働が停止すれば(信号S1がオフ)、所定のデューティ比Dで通信端末56の起動がオン、オフ制御される(信号S2がオン、オフ)。またエンジンが稼働すれば(信号S1がオン)、上記スリープ機能が強制的に解除されエンジン稼働中は常に通信端末56が起動した状態となる(信号S2がオン)。またエンジンが稼働を停止しても通信中(S3がオン)であれば通信終了まで通信端末56を起動させたままの状態となる(S2がオン)。
なお同様にしてデューティ比Dはバッテリ63の端子電圧やエンジンの稼働時間に応じて変化させることができる。
上記実施形態については種々の変形が可能である。以下図13、図23、図24、図25について説明する。
上記デューティ比Dは、移動作業機械31の位置情報に応じて変化させてもよい。
図23は移動作業機械31の設定範囲に対する相対的な移動距離に応じてデューティ比Dを変化させる実施形態を示している。
同図23(a)は移動作業機械31が地図上の設定範囲117から逸脱していくに応じて、起動周期Tを短くし、ティーティ比Dを大きくする様子を示している。
すなわち一般の自動車などは自走により移動することが殆どである。これに対して建設機械などの移動作業機械31にあっては、自走により長距離を移動する状況は少なく、ほとんどの場合自車のエンジンの稼働を停止しトレーラなどに積載された状態で移動する。そしてこの場合端末11側で管理しているトレーラ35に移動作業機械31が積み込まれ運搬されているとは限らず、管理外のトレーラに移動作業機械31が積み込まれ、海外等へ不法に持ち出されてしまうこともある。またトレーラ35によって不用意に運搬され行政上許可されていない作業現場に許可なく移動作業機械31が持ち込まれる可能性もある。
よって移動作業機械31のエンジンの稼働が停止している場合に、通信に伴う電力消費を抑えつつ、端末11からの要求に応じて当該移動作業機械31の移動位置を端末11上に表示させて、移動作業機械31の移動軌跡を管理、監視する必要がある。
そこで、端末11の表示画面の地図上で、正常であれば移動作業機械31が存在しているであろう所定の範囲117が設定される。この設定範囲117は、たとえば端末11側の管理者の担当管理地域、行政上認可されている作業現場などである。
移動作業機械31の通信端末56の起動は、前述した図7に示すように所定のデューティ比D(=(τ/T)×100%)で間欠的にオン、オフされる。そして図7(c)に示すように省電力動作がオフされ(電源スイッチ駆動信号S2がオンされ)通信端末56が起動されるタイミングで、端末11からの要求に応じて通信端末56から通信衛星9に対して現在位置(他に、サービスメータ値、燃料残量、バッテリ電圧、車体エラーコードなどの移動体情報を含ませてもよい)を示す信号が送信される。これにより表示先端末である端末11に、移動作業機械31の逐次の移動位置が表示される。
移動作業機械31の位置は図2に示すようにGPSセンサ57で検出される。この場合GPS計測装置(GPSアンテナ59、GPSセンサ57、通信コントローラ54)の消費電力が少ないのであれば、これらGPS計測装置を直接バッテリ63に電気的に接続して常時動作させることができる。またこれらGPS計測装置の消費電力が大きい場合には、通信端末56と同様にして上記スリープ機能をオンさせて省電力動作のオン、オフを行わせ、省電力動作オン時(通信端末56の起動時)のみにGPS計測装置を動作させて位置を計測するようにしてもよい。
移動作業機械31では、GPSセンサ57で検出された位置と、設定範囲117の境界位置とを比較して、その比較結果に応じて起動周期Tを変化させる処理が実行される。
図23(d)は移動作業機械31の設定範囲117に対する相対位置(時間経過)に応じて起動周期Tが変化する様子を示している。
図23(a)に示すように、正常な設定範囲117内の位置A、Bに移動作業機械31が存在している場合には、起動周期Tは最大の周期T1となる。
しかし移動作業機械31が正常な設定範囲117の境界位置Cに達した時点で、正常範囲から逸脱し異常事態が発生した(許可地域外移動)ものと判断し、移動軌跡の詳細情報を得るべく、起動周期Tは、最大周期T1よりも短い周期T2となる(図23(d)参照)。
移動作業機械31が、正常な設定範囲117の境界位置から更に所定距離L0だけ離間した位置Dに達した時点で、移動軌跡の更に詳細な情報を得るべく、起動周期Tは、周期T2よりも更に短い周期T3となる(図23(d)参照)。以後正常な設定範囲117からの離間距離が大きくなるに応じて起動周期TをT4(<T3)…と順次短くして最終的に周期0(ディーティ比D=1)にすることができる。
なお図23(c)のグラフに示すように、正常な設定範囲117の境界位置に対する離間距離Lが大きくなるに応じて、起動周期Tを連続的に短くしてもよい。
通信端末56の起動周期Tが短くなるに伴い端末11からの要求に対する応答が速くなる。なお後述するように移動作業機械31が自動発信をしている場合には、位置情報という移動体情報の発信間隔が短くなる。
よって移動作業機械31が正常な設定範囲117から離間していくに応じて、表示先端末である端末11の表示画面には、より詳細な移動軌跡(表示される各移動位置間の時間間隔が短い移動軌跡)が表示されることになる。このため許可地域外移動といった異常事態に対して迅速かつ的確に対処することができる。しかも移動作業機械31が正常な設定範囲117から離間していくに応じて通信端末56の起動のオン、オフのディーティ比Dを大きくしているので、通信に伴う電力消費を抑えると同時に異常事態に対する的確な監視をも行うことができる。
図23(b)は移動作業機械31が地図上の設定範囲118に侵入していくに応じて、起動周期Tを短くし、ティーティ比Dを大きくする様子を示している。
図23(a)と同様に、端末11の表示画面の地図上で、正常であれば移動作業機械31が持ち込まれないであろう所定の範囲118が設定される。この設定範囲118は、異常な地域、例えば海外の港湾、作業上危険な地域、自然保護区域などの違法な作業地域などである。
移動作業機械31では、図23(a)で説明したのと同様にしてGPSセンサ57で検出された位置と、設定範囲118の境界位置とを比較して、その比較結果に応じて起動周期Tを変化させる処理が実行される。
図23(d)は移動作業機械31の設定範囲118に対する相対位置(時間経過)に応じて起動周期Tが変化する様子を示している。
図23(b)に示すように、異常な設定範囲118外の位置A、Bに移動作業機械31が存在している場合には、起動周期Tは最大の周期T1となる。
しかし移動作業機械31が異常な設定範囲118の境界位置Cに達した時点で、異常事態が発生した(危険地域侵入)ものと判断し、移動軌跡の詳細情報を得るべく、起動周期Tは、最大周期T1よりも短い周期T2となる(図23(d)参照)。
移動作業機械31が、異常な設定範囲118の境界位置から更に所定距離L0だけ侵入した位置Dに達した時点で、移動軌跡の更に詳細な情報を得るべく、起動周期Tは、周期T2よりも更に短い周期T3となる(図23(d)参照)。以後異常な設定範囲118への侵入距離が大きくなるに応じて起動周期TをT4(<T3)…と順次短くして最終的に周期0(ディーティ比D=1)にすることができる。
なお図23(c)のグラフに示すように、異常な設定範囲118の境界位置に対する距離Lが大きくなるに応じて、起動周期Tを連続的に短くしてもよい。
こうして移動作業機械31が異常な設定範囲118へ侵入していくに応じて、表示先端末である端末11の表示画面には、より詳細な移動軌跡(表示される各移動位置間の時間間隔が短い移動軌跡)が表示されることになる。このため危険地域侵入といった異常事態に対して迅速かつ的確に対処することができる。しかも移動作業機械31が異常な設定範囲118へ侵入していくに応じて通信端末56の起動のオン、オフのディーティ比Dを大きくしているので、通信に伴う電力消費を抑えると同時に異常に対する的確な監視をも行うことができる。
なお図23(a)、(b)で想定した異常事態の監視に限ることなく、移動作業機械31が廃棄されて処分されるまでのルートを監視する場合にも適用することができる。
また図23(a)、(b)に示す実施形態では、設定範囲117、118の境界線に対する距離Lだけから一義的に起動周期Tを定めるようにしているが、距離L以外に、方位、周囲の地理的情報、移動体の種類、移動体の使用期間などを更に考慮して起動周期Tを定めるようにしてもよい。
また図24に示すように移動作業機械31の位置変化量に応じてデューティ比Dを変化させるようにしてもよい。
移動作業機械31の通信端末56の起動は、前述した図7に示すように所定のデューティ比D(=(τ/T)×100%)で間欠的にオン、オフされる。そして図7(c)に示すように省電力動作がオフされ(電源スイッチ駆動信号S2がオンされ)通信端末56が起動されるタイミングで、端末11からの要求に応じて通信端末56から通信衛星9に対して現在位置(他に、サービスメータ値、燃料残量、バッテリ電圧、車体エラーコードなどの移動体情報を含ませてもよい)を示す信号が送信される。これにより表示先端末である端末11に、移動作業機械31の逐次の移動位置が表示される。
移動作業機械31の位置は図2に示すようにGPSセンサ57で検出される。この場合GPS計測装置(GPSアンテナ59、GPSセンサ57、通信コントローラ54)の消費電力が少ないのであれば、これらGPS計測装置を直接バッテリ63に電気的に接続して常時動作させることができる。またこれらGPS計測装置の消費電力が大きい場合には、通信端末56と同様にして上記スリープ機能をオンさせて省電力動作のオン、オフを行わせ、省電力動作オン時(通信端末56の起動時)のみにGPS計測装置を動作させて位置を計測するようにしてもよい。
移動作業機械31では、GPSセンサ57で今回の起動時に検出された現在位置と、前回の起動時に検出された位置を中心とする半径Sの円119、120…の境界位置とを比較して、その比較結果に応じて起動周期Tを変化させる処理が実行される。
図24(b)は円119、120…の外に移動作業機械31が脱出したか否かに応じて起動周期Tが変化する様子を示している。
図24(a)に示すように、まず移動作業機械31の位置AがGPSセンサ57で検出され、位置Aを中心とする半径S(km)の円119が、地図上に設定される。初期の起動周期Tは最大周期T1に設定される。このため周期T1後に通信端末56が起動される。そのときのGPSセンサ57による検出位置が、円119の内部の位置Bであったとする。この場合には起動周期Tは最大周期T1のままにされる。さらに周期T1後に通信端末56が起動され、そのときのGPSセンサ57による検出位置が、円119の外部の位置Cであったとする。この場合には位置Cを中心とする半径S(km)の円120が、地図上に設定されるとともに、起動周期Tは最大周期T1よりも短い周期T2に変化される。
このため周期T2後に通信端末56が起動される。そのときのGPSセンサ57による検出位置が、円120の内部の位置Dであったとする。この場合には起動周期Tは周期T2のままにされる。さらに周期T2後に通信端末56が起動され、そのときのGPSセンサ57による検出位置が、円120の外部の位置Eであったとする。この場合には位置Eを中心とする半径S(km)の円121が、地図上に設定されるとともに、起動周期Tは周期T2よりも短い周期T3に変化される。さらに周期T3後に通信端末56が起動され、そのときのGPSセンサ57による検出位置が、円121の外部の位置Fであったとする。この場合には位置Fを中心とする半径S(km)の円122が、地図上に設定されるとともに、起動周期Tは周期T3よりも短い周期T4に変化される。このため周期T4後に通信端末56が起動される。そのときのGPSセンサ57による検出位置が、円122の内部の位置Gであったとする。この場合には起動周期Tは周期T4から、より長い周期T3に戻される(図24(b)参照)。
なお図24(a)に示す実施形態では、半径Sの円119、120…のエリアを設定しているが、この代わりに一辺がSの正方形のエリアを設定するようにしてもよい。
正方形のエリアの場合には、GPSセンサ57で今回の起動時に検出された現在位置と、前回の起動時に検出された位置を中心とするエリアの境界位置とを比較する際に、複雑な演算処理を行わずとも、地図上の緯度、経度の引き算によって簡便にエリア外であるか否かを判断することができるという利点がある。
また図23(a)に示すエリア119、120…は、円、正方形以外の形状とする実施も可能である。たとえば緯度、経度の両方向のうちいずれかに長い楕円、長方形のエリアとしてもよい。また移動作業機械31が進行する方向に長い楕円、長方形としてもよい。この場合には移動作業機械31がエリアから脱出したか否かを、より正確により早く判断することができる。
またエリア119、120…の大きさ、具体的には円形のエリアであれば半径S(km)の値を移動量に応じて変化させてもよい。
こうして図24の場合には等価的には移動作業機械31の移動速度が大きくなるに応じて起動周期Tが短くなり、表示先端末である端末11の表示画面には、より詳細な移動軌跡(表示される各移動位置間の時間間隔が短い移動軌跡)が表示されることになる。このため、或る作業現場で作業が完了し、移動作業機械31が次の作業現場に移動している状況を、端末11側で的確に把握することができる。このため工程管理、運搬管理の作業効率が飛躍的に向上する。しかも移動作業機械31の移動速度が大きくなるに応じて通信端末56の起動のオン、オフのディーティ比Dを大きくしているので、移動中の的確な監視と通信に伴う電力消費の抑制を同時に実現することができる。
図24に示す実施形態では、順次設定されるエリア119、120…を超えたか否かに応じて起動周期Tを変化させるようにしているが、図25のグラフに示すように、移動作業機械31の移動速度Vを起動周期T毎に演算し、その演算速度Vの大きさに応じて起動周期Tを変化させるようにしてもよい。この図25に示す実施形態では、図24の実施形態と同様に、通信端末56が起動される毎にGPSセンサ57によって移動作業機械31の位置が検出される。
そして、下記式、V=(今回起動時の検出位置−前回起動時の検出位置)/現在の起動周期Tによって移動速度Vが演算される。
移動速度Vと起動周期Tの関係は図25のグラフに示される。移動速度Vが十分低速、つまり速度V1(=3km/h)以下の場合には起動周期Tは最大周期T1(=10分)に設定されている。移動速度VがV1からトレーラによる運搬時の巡航速度V2(=50km/h)まで大きくなるに従って起動周期Tは短くなる。そして移動速度Vが巡航速度V2に達すると、起動周期Tは0(デューティ比Dは1)、つまり通信端末56は連続起動状態となる。
上記演算式に従って求められた移動速度Vに対応する起動周期Tを、図25に示すグラフから求めることによって起動周期Tが定められる。
このため移動作業機械31の移動速度Vが大きくなるに応じて起動周期Tが短くなり、表示先端末である端末11の表示画面には、より詳細な移動軌跡(表示される各移動位置間の時間間隔が短い移動軌跡)が表示されることになる。このため、或る作業現場で作業が完了し、移動作業機械31が次の作業現場に移動している状況を、端末11側で的確に把握することができる。また運搬車(トレーラ)35の巡航速度V2では通信端末56が連続起動状態となり移動作業機械31の移動位置が常時表示されるので、例えば規則上高速道路の走行が禁止されるトレーラ35が移動作業機械31を積載して走行している状況を、端末11の表示画面上で常時監視することが可能となる。このため工程管理、運搬管理の作業効率が飛躍的に向上する。しかも移動作業機械31の移動速度が大きくなるに応じて通信端末56の起動のオン、オフのディーティ比Dを大きくしているので、移動中の的確な監視と通信に伴う電力消費の抑制を同時に実現することができる。
上述した実施形態では、通信端末56の起動を所定周期Tで間欠的に行うようにしているが、通信端末56の起動を特定の時刻になる度に間欠的に行うようにしてもよい。
例えば通信衛星9と移動作業機械31との通信が良好に行われる特定時刻になると通信端末56を起動させるような実施が可能である。この特定時刻は通信衛星9の位置(高度)に対応している。
図13(a)は通信衛星9と移動作業機械31の位置関係を示している。通信衛星9と移動作業機械31との間の通信経路(無線通信回線5)には、山岳、建造物等の通信上の障害物123が介在している。
通信衛星9の高度が大きいとき(最大仰角が大きいとき)には、障害物123による通信障害が少なくなり通信状態が良好となる。そこで通信衛星9の高度が大きい時刻になったときに、通信端末56が起動され、通信衛星9との間で通信が行われる。
ただし通信端末56を起動させるためには、移動作業機械31側で通信衛星9の飛来位置の情報を記憶、格納しておく必要がある。
通信衛星9の飛来位置情報は日毎に異なる。このため全ての日付けについての飛来位置情報を移動作業機械31のメモリに記憶、格納しようとすると、メモリ容量不足、メモリの占有の問題が招来する。
そこで本実施形態では、図13(a)に示すように、所定の情報量の飛来位置情報124が、通信衛星9から移動作業機械31に無線通信回線5を介して送信される。
移動作業機械31の通信端末56の内部には時計が備えられている。そこで受信された飛来位置情報124と、時計によって計時された時刻とを突き合わせることによって、通信端末56を起動させるか否かが判断される。
図13(b)は、或る日付における通信衛星9の飛来位置情報を示している。
同図13(b)において「AOS」は通信衛星9が地平線に現れる時刻、方位角を示し、「MEL」は通信衛星が最大仰角のときの時刻、方位角を示し、「LOS」は通信衛星9が地平線に消える時刻、方位角を示している。囲み部分に対応する通信衛星9の道のりを図13(c)に示す。
移動作業機械31の通信端末56では、図13(b)に示す飛来位置情報124から、所定のしきい値(たとえば45度)以上の最大仰角が得られる時刻つまり最大仰角66゜、54゜が得られる時刻4:33、16:28に、通信端末56を起動させる処理が実行される。すなわち特定時刻4:33、16:28になると通信端末56の主要電源回路が駆動され、移動体情報を示す信号が無線通信回線5を介して通信衛星9に送信される。
また飛来位置情報124は、たとえば毎日、上記特定時刻に、新たなデータが通信衛星9から移動作業機械31に無線通信回線5を介して送信される。これにより移動作業機械31のメモリに記憶された飛来位置情報124の内容が更新される。
以上のように図13に示す実施形態によれば、通信衛星9と移動作業機械31との間での通信が良好に行われる特定時刻になる度に通信端末56を起動させるようにしているので、省電力が図れるとともに、通信衛星9と移動作業機械31との間での通信が確実に行われる。また飛来位置情報124を通信によって外部から受信するようにしているので、移動作業機械31側でメモリ容量不足、メモリの占有の問題が招来することがない。
また上述した実施形態では、通信端末56の起動を所定周期Tで間欠的に行うようにしているが、この起動周期Tをたとえば管理者側の端末11から任意に変更する実施も可能である。この場合には前述したように端末11から起動周期Tを変更する旨の変更データが記述された電子メールが、移動作業機械31をメールアドレスとして当該移動作業機械31に送信される。そして送信先の移動作業機械31の通信端末56において電子メールに記述された変更データが読み出され、この変更データの内容に従い起動周期Tが変更される。
たとえば移動作業機械31のサービスメータが所定の値を超えた場合(老朽化した場合)短い間隔でこまめに状態監視するために起動周期Tを短くし、或る特定のユーザに貸与された場合(監視の必要性がない場合)や長期休車している場合(稼働停止していることが明らかな場合)には、監視間隔を長くし無駄な電力消費と通信課金を少なくするために、起動周期Tが長くされる。なお群を形成して作業、走行している複数の移動体については、一斉に同一の起動周期Tに変更することもできる。
このように本実施形態によれば、端末11側で、移動体の状況および周囲の状況を監視しながら遠隔操作にて起動周期Tを変更することができる。このため移動体31、32…それぞれの場所まで作業者が出向き起動周期Tを変更する作業を行う必要はなくなり、作業負荷が大幅に低減する。
以上のように本実施形態によれば、建設機械など、エンジンが稼働していない時間が長い移動体31〜35であってもエンジンのオフ中に複数の端末11、12…との間の通信を可能とし端末11、12…からの要求に応答することが可能になるとともに、無駄な電力消費が抑えられる。
この通信用の電源を間欠的にオンする実施形態は、図1に示す通信システムに限定されることなく任意の通信システムに適用することができる。最低2つの通信局を備え、2つの通信局間で通信を行う通信システムであれば適用可能である。
ところで、上述した実施形態では、要求元の端末(例えば端末11)から要求先の移動体(例えば移動作業機械31)に移動体情報の要求があった場合のみに、表示先の端末(たとえば端末12)に移動体情報を表示させる場合を想定している。
以下に述べる実施形態では端末側から要求がない状況下でも、移動体の内部でパラメータが特定の値になれば、特定の移動体情報を自発的に発信して端末側にその特定の移動体情報を表示させるようにするものである。
この実施形態によれば、端末側で常時管理、監視できない移動体に生じた異常事態(たとえば故障等)を認識することができたり、移動体の稼働状態、休車状態を的確に把握することが可能となる。
いま図2に示すように移動作業機械31の内部のパラメータたとえばエンジンの始動状態がセンサ群62のうちの所定のセンサ(たとえばオルタネータの電圧値を検出するセンサ)で検出されているものとする。このセンサの検出信号は前述したように電子制御コントローラ53でフレーム信号に記述され信号線52に送出されることで通信コントローラ54を介して通信端末56に入力される。なお通信端末56でエンジンのオン、オフ状態をモニタすることができるのあれば、この方法以外の周知の技術を用いてもよい。
図26(a)は、移動作業機械31の通信端末56に入力されたエンジンの始動状態を示す信号を示している。図26(a)は移動作業機械31の1日(時刻6:00からつぎの6:00まで)の各時刻tのエンジン始動状態を示しており、論理「1」レベルがエンジンが稼働(始動)されている状態に対応し、論理「0」レベルがエンジンの稼働が停止している状態に対応している。
移動作業機械31からの自動発信は、たとえば図26(b)に示すようにエンジン始動毎のタイミングで行うことができる。
すなわち図26(a)に示すように時刻t1でエンジンが始動され、通信端末56にエンジンが始動されたことを示す信号が入力されると、この信号をトリガとして矢印eに示すように、特定の移動体情報つまりたとえば移動作業機械31の現在位置が電子メールに取り込まれて、電子メールとして通信衛星9に送信される。この電子メールの宛先メールアドレスは、サーバ端末21とされる。前述した省電力動作により通信端末56がスリープ中の場合には、エンジンが始動されて強制起動がかかった後に送信される。
したがってサーバ端末21が管理者側の端末であるとすると、管理者側の端末21の表示画面には、移動作業機械31でエンジンが始動される毎の逐次の位置が表示されることになる。よって管理者としては、自ら要求入力操作を行わずとも表示画面上で、移動作業機械31でエンジンが始動される毎の位置の履歴を把握することができ、常時管理、監視できない移動作業機械31に生じた異常事態を認識することができたり、移動作業機械31の稼働状態、休車状態を的確に把握することが可能となる。
また移動作業機械31から他の端末11、端末12…等を宛先メールアドレスとして電子メールを送信するようにしてもよい。
また移動作業機械31からの自動発信は、図26(c)に示すように1日のうちの最初のエンジン始動のタイミングで行うようにしてもよい。
すなわち図26(a)に示すように時刻t1でエンジンが始動されると、通信端末56にエンジンが始動されたことを示す始動信号が入力される。ここで通信端末56の内部には時計が備えられており、この始動信号が1日(時刻6:00からつぎの時刻6:00まで)のうちで最初に入力された信号であるか否かが判断される。入力された始動信号が1日のうちで最初に入力された始動信号であるとされた場合のみに、この始動信号をトリガとして矢印fに示すように、移動作業機械31の現在位置が電子メールに取り込まれて、電子メールとして通信衛星9に送信される。よって同様にして管理者側の端末に、移動作業機械31の位置の履歴が表示されることになる。本実施形態によれば図26(b)の場合に比較して自動発信の間隔が少なくとも1日毎になるので通信費用を抑えることができる。
なお1日のうちで最初にエンジンが始動されたときのみに自動発信を行うようにしているが、期間は任意に設定可能であり、たとえば1週間のうちで最初にエンジンが始動されたときのみに自動発信を行うようにしてもよい。
また移動作業機械31からの自動発信は、図26(d)に示すように1日のうちの特定の時間帯(たとえば時刻18:00〜6:00)におけるエンジン始動のタイミングで行うようにしてもよい。
すなわち図26(a)に示すように時刻18:00〜6:00という時間帯のうちの時刻t4でエンジンが始動され、通信端末56にエンジンが始動されたことを示す信号が入力されると、この信号をトリガとして矢印iに示すように、移動作業機械31の現在位置が電子メールに取り込まれて、電子メールとして通信衛星9に送信される。よって同様にして管理者側の端末に、移動作業機械31の特定時間帯での位置の履歴が表示されることになる。ここで時刻18:00〜6:00という特定の時間帯(夜間)は通常建設機械などの移動作業機械が稼働していない時間帯である。ましてや長期の移動もしない時間帯である。この特定の時間帯でエンジンがかかり移動作業機械31が移動したということは何らかの異変が発生したおそれがある。管理者側の端末には、移動作業機械31の特定時間帯での位置の履歴が表示されるので、この表示画面を監視することで、移動作業機械31に何らかの異変が生じたことを判断することができる。
また移動作業機械31からの自動発信は、図26(e)に示すように異常によるエンジン停止のタイミングで行うようにしてもよい。
ここで図2に示すように移動作業機械31で発生した異常、たとえば「エンジン回転数が高い」、「エンジンの排気温度が高い」、「冷却水の温度が高い」、「バッテリの電圧が低い」、「燃料量が少ない」といった異常はセンサ群62のうちの所定のセンサで検出される。このセンサの検出信号は前述したように電子制御コントローラ53でフレーム信号にエラーコード(たとえば「異常項目:燃料量が少ない」)として記述され信号線52に送出されることで通信コントローラ54を介して通信端末56に入力される。なお通信端末56で車体の異常をモニタすることができるのあれば、この方法以外の周知の技術を用いてもよい。
図26(a)に示すように時刻t2でエンジンの稼働が停止されると、通信端末56にエンジンが停止されたことを示す停止信号が入力される。ここで通信端末56には、上記エラーコードが入力されている。そして停止信号とエラーコードが同時に入力されているか否かが判断される。停止信号とエラーコードが同時に入力されている場合には、異常(故障)によってエンジンが停止したものと判断して、この停止信号をトリガとして矢印gに示すように、移動作業機械31の現在位置が電子メールに取り込まれて、電子メールとして通信衛星9に送信される。よって同様にして管理者側の端末に、移動作業機械31の位置が表示されることになる。本実施形態によれば、異常が検出されてエンジンが停止された場合のみに端末側に移動作業機械31の位置が表示されるので、異常が発生した時点の位置を正確に把握することができる。よって異常に対して早急に対処でき、移動作業機械31の被害を最小限にとどめることができる。
また単に異常が発生した時点で自動発信するのではなく、異常項目(エラーコード)のうちで特定の異常項目(重度の異常項目)を予め設定しておき、この重度の異常が発生した場合のみに自動発信を行うようにしてもよい。
また移動作業機械31からの自動発信は、図26(f)に示すように異常解消によるエンジン始動のタイミングで行うようにしてもよい。
すなわち図26(a)に示すように時刻t3でエンジンが始動されると、通信端末56にエンジンが始動されたことを示す始動信号が入力される。ここで通信端末56には、上記エラーコードが入力されている。サービスマン等が異常に対して所定の処置を行い異常(故障)が解消されると、エラーコードは通信端末56に入力されなくなる。通信端末56では、エラーコードが入力されなくなった時点でエンジンが始動されたか否かが判断される。エラーコードが入力されなくなった時点でエンジンが始動された場合には、異常(故障)が解消されてエンジンが始動されたものと判断して、この始動信号をトリガとして矢印hに示すように、移動作業機械31の現在位置が電子メールに取り込まれて、電子メールとして通信衛星9に送信される。よって同様にして管理者側の端末に、移動作業機械31の位置が表示されることになる。本実施形態によれば、異常が解消されてエンジンが始動された場合のみに端末側に移動作業機械31の位置が表示されるので、異常が適切に処置された時点の位置を正確に把握することができる。
また移動作業機械31から特定の時刻(たとえば時刻23:00)に、特定の移動体情報たとえば当該日の時刻23:00までの稼働マップ(何時何分から何時何分までエンジンが稼働していたかを示す記憶)を自動発信するようにしてもよい。これにより図30に示すように端末側の表示画面には、日毎の稼働マップが表示される。
また移動作業機械31から数日毎の特定の時刻(たとえば3日毎の時刻23:00)に、特定の移動体情報を自動発信するようにしてもよい。
また移動作業機械31から特定の曜日毎の特定の時刻(たとえば土曜日毎の時刻23:00)に、特定の移動体情報を自動発信するようにしてもよい。
以上のように特定の時刻に特定の移動体情報が送信されるので、端末側の表示画面から、移動作業機械31の特定の移動体情報を定期的に取得することができる。
また移動作業機械31の稼働時間の累積値が、特定の稼働時間累積値になったとき、たとえばサービスメータの絶対値が100時間、300時間、500時間に達した時点で、特定の移動体情報(たとえば「サービスメータ」、「車体警報1」(エラーコード1)、「車体警報2」(エラーコード2)、「バッテリ電圧」、「エンジン水温」、「エンジン回転数」、「ポンプ圧」、「オイル量」)を自動発信してもよい。
このように特定の稼働時間累算値になると特定の移動体情報が送信されるので、端末側の表示画面で、法定定期点検を行うにあたっての予備的な情報を取得することができる。また稼働時間推移(負荷)に応じて自動発信がなされるので、休車期間中に無駄な通信がなされることが避けられ通信コストを抑えることができる。
また移動作業機械31の稼働時間の累積値が、特定の量だけ増加する毎に、たとえばサービスメータの増加値が前回の自動発信時から100時間経過する毎に(あるいは500時間経過する毎に)、特定の移動体情報(たとえば「サービスメータ」、「車体警報1」(エラーコード1)、「車体警報2」(エラーコード2)、「バッテリ電圧」、「エンジン水温」、「エンジン回転数」、「ポンプ圧」、「オイル量」)を自動発信してもよい。なおサービスメータの増加値の設定は、サービスカー34による巡回時間に合わせて設定することができる。
このように稼働時間累積値が特定量だけ増加する毎に特定の移動体情報が送信されるので、端末側の表示画面で、法定定期点検を行うにあたっての予備的な情報を取得することができる。また管理者側の端末に表示される場合には、サービスカー34に対する巡回の指示を容易に行うことができる。またサービスマン側の端末に表示される場合には、サービスを必要とする移動作業機械を容易に特定でき迅速にサービスカー34によるサービスを行うことができる。また稼働時間推移(負荷)に応じて自動発信がなされるので、休車期間中に無駄な通信がなされることが避けられ通信コストを抑えることができる。
上記実施形態については種々の変形が可能である。以下図9、図10、図11、図12、図14について説明する。
上記自動発信は、移動作業機械31の位置が変化した時点で行うようにしてもよい。
移動作業機械31の位置は図2に示すようにGPSセンサ57で検出される。GPSセンサ57の検出結果は通信コントローラ54に入力される。通信コントローラ54で、移動作業機械31の位置が変化したと判断されると、変化後の位置情報が発信データとして通信端末56に送出される。そして通信端末56から衛星通信アンテナ58を介して位置情報が記述された電子メールが自動発信される。
このように移動作業機械31の位置が変化する毎に位置情報が送信されるので、端末側の表示画面で、移動作業機械31の移動履歴を取得することができる。
また自動発信は、図10に示すように移動作業機械31が特定の設定範囲129から逸脱した時点で行うようにしてもよい。
移動作業機械31の位置は図2に示すようにGPSセンサ57で検出される。GPSセンサ57の検出結果は通信コントローラ54に入力される。通信コントローラ54には、作業現場の位置情報が記憶されている。この作業現場の設定範囲129は、半径S(km)の円である。そこで移動作業機械31の検出位置と、設定範囲129の境界位置とが比較され、移動作業機械31が設定範囲129から逸脱したか否かが判断される。移動作業機械31が設定範囲129の境界位置Jに達した時点で、そのときの移動作業機械31の位置情報が発信データとして通信端末56に送出される。そして通信端末56から衛星通信アンテナ58を介して位置情報が記述された電子メールが自動発信される。
このように移動作業機械31が設定範囲129から逸脱した時点(設定位置を超えた時点)で、位置情報が送信されるので、端末側の表示画面で、移動作業機械31が作業現場内で稼働しているか否かについての監視を容易に行うことができる。また設定範囲129は作業現場という固定的な範囲に限定されることなく、移動作業機械31が過去に存在した位置を中心とする範囲としてもよい。つまり時間の経過とともに設定範囲を更新してもよい。
また設定範囲129の形状は円形に限定されることなく、楕円形、正方形、長方形、移動作業機械31の進行方向を長手方向とする楕円形、長方形など、任意の形状とすることができる。
図10に示す設定範囲129を、図23(a)に示す正常範囲117に相当する範囲としてもよい。
また自動発信は、図10に示すように移動作業機械31の移動位置の変化量が設定値を超えた時点で行うようにしてもよい。
移動作業機械31の位置は図2に示すようにGPSセンサ57で検出される。GPSセンサ57の検出結果は一定のサンプリング周期で通信コントローラ54に入力される。通信コントローラ54では、前回検出された位置と今回検出された位置との差分値と、サンプリング時間とに基づいて移動作業機械31の移動速度Vが演算される。そこで移動作業機械31の移動速度Vと、設定値V2(図25)とが比較され、移動作業機械31の速度Vが設定値V2を超えたか否かが判断される。移動作業機械31の速度Vが設定値V2を超えた時点で、そのときの移動作業機械31の位置情報が発信データとして通信端末56に送出される。そして通信端末56から衛星通信アンテナ58を介して位置情報が記述された電子メールが自動発信される。
このように移動作業機械31の速度Vが設定値V2を超えた時点で、位置情報が送信されるので、端末側の表示画面で、移動作業機械31についての移動状態の監視を容易に行うことができる。すなわち建設機械などの移動作業機械31はきわめて低速で走行する。このため設定値V2を移動作業機械31が通常自走し得ない高速度たとえばトレーラ35が高速道路を巡航するときの速度に設定しておけば、移動作業機械31の速度Vが設定値V2を超えた場合に、トレーラ35によって運搬中であると判断することができる。また通常運搬が行われない時間、状況下でトレーラによって運搬されている場合には、異常事態が発生していることを認識でき、適切な措置を迅速にとることが可能となる。
また自動発信は、図9に示すようにサービスカー34が特定の設定範囲125、126に侵入した時点で行うようにしてもよい。
サービスカー34の位置は図2に示すようにGPSセンサ57で検出される。GPSセンサ57の検出結果は通信コントローラ54に入力される。通信コントローラ54には、サービス対象の移動作業機械31が存在する目的地126および侵入禁止区域125の位置情報が記憶されている。この目的地の設定範囲126は移動作業機械31の位置を中心とする所定半径の円である。侵入禁止区域125とはたとえば大雨のため規制のかかっている道路や、地盤の悪い区域のことである。
そこでサービスカー34の検出位置と、設定範囲125、126の境界位置とが比較され、サービスカー34が設定範囲125または126に侵入したか否かが判断される。サービスカー34が経路127または経路128に沿って走行し設定範囲125または126の境界位置HまたはIに達した時点で、そのときのサービスカー34の位置情報が発信データとして通信端末56に送出される。そして通信端末56から衛星通信アンテナ58を介して位置情報が記述された電子メールが自動発信される。
このようにサービスカー34が設定範囲125または126に侵入した時点(設定位置を超えた時点)で、位置情報が送信されるので、端末側の表示画面で、サービスカー34が目的地に到着したか否か、あるいは侵入禁止区域に侵入したか否かについての監視を容易に行うことができる。すなわち管理者は端末の表示画面からサービスカー34が目的地126に到着しサービスを開始することを認識することができるとともに、サービスカー34が侵入禁止区域125に侵入し危険な状態であることを認識することができる。このため管理者側の端末から前述したようにサービスカー34に対して適切な作業指示のデータ(メッセージ「終わり次第戻れ」、「侵入禁止区域回避せよ」)を送信することができる(図4参照)。
なお目的地の設定範囲126の形状は円形に限定されることなく、楕円形、正方形、長方形など、任意の形状とすることができる。
また図9に示す設定範囲125、126を、図23(b)に示す異常範囲118に相当する範囲としてもよい。
また自動発信は、図11に示すように送信すべきデータ量が設定値に一致するか設定値を超えた時点で行うようにしてもよい。
従量制課金制度を採用する通信システムでは、図11(a)に示すように、1回当たり支払う通信料金は、所定のデータ量Doまでは月額で定額である。データ量Dが設定値D0を超えると、超えたデータ量分だけ追加料金を支払う必要がある。
そこで移動作業機械31から自動発信すべき特定の移動体情報が通信コントローラ54に収集され蓄積される。通信コントローラ54では、蓄積されたデータ量Dと、設定値(D0の80%)とが比較される。そして図11(b)に示すように蓄積されたデータ量Dが、設定値(D0の80%)に一致した時点で、蓄積された移動体情報が発信データとして通信端末56に送出される。そして通信端末56から衛星通信アンテナ58を介して移動体情報が記述された電子メールが自動発信される。
このように自動発信すべきデータ量Dが設定値に一致した(あるいは超えた)時点で、移動体情報が送信されるので、定額内で最大量の移動体情報を端末側の表示画面に表示させることができる。
また自動発信は、図12(a)に示すように燃料量が設定値に一致するか設定値以下になった時点で行うようにしてもよい。
移動作業機械31内のセンサ群62では燃料量が検出され、通信コントローラ54に逐次送信されている。通信コントローラ54では、検出された燃料量と、設定値とが比較される。そして図12(a)に示すように検出された燃料量が、設定値に一致した時点で、移動体情報(「位置」、「燃料量」)が発信データとして通信端末56に送出される。そして通信端末56から衛星通信アンテナ58を介して移動体情報が記述された電子メールが自動発信される。
このように燃料量が設定値に一致した(あるいは設定値以下になった)時点で、移動体情報が送信されるので、端末側の表示画面から、燃料を補給する時期になったことを認識することができる。このため図3、図4と同様にして管理者側の端末から、給油巡回サービスを行うサービスカー34に対して適切な作業指示のデータ(メッセージ「燃料補給せよ」)を送信することができる。
また自動発信は、図12(b)に示すようにバッテリ63の電圧が設定値に一致するか設定値以下になった時点で行うようにしてもよい。
移動作業機械31内のセンサ群62ではバッテリ63の電圧値が検出され、通信コントローラ54に逐次送信されている。通信コントローラ54では、検出されたバッテリ電圧と、設定値とが比較される。そして図12(b)に示すように検出されたバッテリ電圧が、設定値に一致した時点で、移動体情報(「位置」、「バッテリ電圧」)が発信データとして通信端末56に送出される。そして通信端末56から衛星通信アンテナ58を介して移動体情報が記述された電子メールが自動発信される。
このようにバッテリ63の電圧が設定値に一致した(あるいは設定値以下になった)時点で、移動体情報が送信されるので、端末側の表示画面から、バッテリ63を充電、交換する等の保守、点検時期になったことを認識することができる。このため図3、図4と同様にして管理者側の端末から、サービスカー34に対して適切な作業指示のデータ(メッセージ「バッテリ点検せよ」)を送信することができる。またバッテリ63が放電に近い状態にあることを端末側の表示画面上で認識することにより、以後スリープ機能をオンとする要求を送信して、移動作業機械31との通信を間欠的にしか行わないように設定し、これ以上の放電を抑制することができる。
また、前回自動発信した移動体情報と今回自動発信すべき移動体情報とが同内容である場合には、自動発信を行わないような実施も可能である。
図2に示すように移動作業機械31で発生した異常、たとえば「エンジン回転数が高い」、「エンジンの排気温度が高い」、「冷却水の温度が高い」、「バッテリの電圧が低い」、「燃料量が少ない」といった異常はセンサ群62のうちの所定のセンサで検出される。このセンサの検出信号は前述したように電子制御コントローラ53でフレーム信号にエラーコード(たとえば「異常項目:燃料量が少ない」)として記述され信号線52に送出されることで通信コントローラ54に逐次入力される。
通信コントローラ54では、前回自動発信されたエラーコードと、現在入力されたエラーコードとが比較される。そして前回自動発信されたエラーコードと、現在入力されているエラーコードとが異なった内容である場合のみに、現在入力されたエラーコードが発信データとして通信端末56に送出される。そして通信端末56から衛星通信アンテナ58を介して移動体情報が記述された電子メールが自動発信される。
このように前回自動発信されたエラーコードと、今回自動発信すべきエラーコードとが異なった内容である場合のみに自動発信を行い、前回自動発信されたエラーコードと、今回自動発信すべきエラーコードとが同内容である場合には自動発信を行わないようにしているので、同じ情報を複数回発信する無駄を回避することができる。またエラーコード以外の移動体情報を自動発信する場合でも同様である。
また上述した実施形態では、移動体の内部でパラメータが特定の値になれば、特定の移動体情報を自発的に発信しているが、この場合の「パラメータ」(データ量Dなどの記憶データ、バッテリ電圧などのセンサ検出データ)、「特定の値」、「特定の移動体情報」の内容を、たとえば管理者側の端末(サーバ端末21、端末11)から任意に変更する実施も可能である。この場合には前述したように端末から上記パラメータ等を変更する旨の変更データが記述された電子メールが、移動作業機械31をメールアドレスとして当該移動作業機械31に送信される。そして送信先の移動作業機械31の通信端末56において電子メールに記述された変更データが読み出され、この変更データの内容に従いパラメータ等が変更される。
たとえば移動作業機械31のサービスメータが所定の値を超えた場合(老朽化した場合)には監視間隔が短くなり、或る特定のユーザに貸与された場合(監視の必要性がない場合)や、長期休車している場合(稼働停止していることが明らかな場合)には、監視間隔が長くなり無駄な電力消費と通信課金を少なくなるように、「パラメータ」、「特定の値」、「特定の移動体情報」の内容が変更される。なお群を形成して作業、走行している複数の移動体については、一斉に同一の内容に変更することもできる。たとえば「特定の移動体情報」について、重要監視項目だけに減らすことができる。
このように本実施形態によれば、端末側で、移動体の状況および周囲の状況を監視しながら遠隔操作にて自動発信される時期、内容を変更することができる。このため移動体31、32…それぞれの場所まで作業者が出向き変更作業を行う必要はなくなり、作業負荷が大幅に低減する。
なお自動発信によって送信すべき移動体情報が移動体の位置であれば、地図上の緯度、経度を位置情報として送信してもよく、また特定の基準に対する相対位置を位置情報として送信してもよい。
またバッテリ63の電圧値を移動体情報として自動発信する代わりにバッテリ63の電圧の変化量を自動発信してもよい。
また移動体情報として、稼働負荷情報、作業量、燃料消費量を自動発信してもよい。
以上のように本実施形態によれば端末側で自ら要求入力操作を行わずとも端末側の表示画面上で、特定のパラメータが特定の値に達した時点での特定の移動体情報を把握することができる。よって常時管理、監視できない移動体に生じた異常事態(たとえば故障等)を認識することができたり、移動体の稼働状態、休車状態を的確に把握することが可能となる。
この自動発信の実施形態は、図1に示す通信システムに限定されることなく任意の通信システムに適用することができる。最低2つの通信局を備え、2つの通信局間で通信を行う通信システムであれば適用可能である。
ところで端末11、12に表示されるべき情報は膨大である。そこで膨大な情報の中から重要な情報のみを予め設定しておき、この重要な情報のみを特定の表示画面にまとめて表示する実施形態について説明する。これにより管理者側で異常事態に対して迅速な判断、対処が可能となる。
以下の実施形態では移動作業機械31を代表して説明する。また端末11がこの移動作業機械31を管理する管理者側の端末であると想定する。また端末11のサーバはサーバ端末21であるとする。
図2では図示していないが移動作業機械31の車体50内には、始動ロック回路が組み込まれている。この始動ロック回路はリレー等で構成されキースイッチ64(図21)と燃料噴射装置との間に介在されている。
通信コントローラ54から始動ロック設定指令が出力されると、始動ロック回路のリレーが付勢されて始動ロック設定状態になる。すなわちキースイッチ64をオンにしたとしても燃料が噴射されなくなりエンジンを始動することができない。これに対して通信コントローラ54から始動ロック解除指令が出力されると、始動ロック回路のリレーが消勢されて始動ロック解除状態になる。すなわちキースイッチ64をオンにすることによって燃料が噴射されエンジンが始動される。
車両31は自走によって移動する場合とトレーラ等の搬送車に積み込まれて移動する場合とがある。ここではトレーラに積み込まれて移動場合を想定する。なお車両31が自走で移動する場合も以下の処理を同様に適用することができる。
サーバ端末21では図34に示す「お知らせ画面」というホームページの表示画面が作成される。この「お知らせ画面」はホームページの先頭ページに設定されている。この「お知らせ画面」にはつぎのような重要な情報のみがまとめて表示される。
a)車両31が設定範囲外にあるという情報
b)定時間外に車両31のエンジンが始動されたという情報
c)車両31のバッテリの電圧が低下したという情報
d)始動ロックの設定あるいは解除がなされたという情報
e)車両31とサーバ端末21との間の通信が途絶えているという情報
f)車両31に対する要求が未達成であるという情報(たとえば始動ロック設定指令を出したにもかかわらず車両31で始動ロック設定がされていないという情報)
すなわち車両31側から自動発信がなされサーバ端末21でその自動発信される移動体情報を受信すると、サーバ端末21ではその移動体情報をホームページの「お知らせ画面」に表示すべきか否かを判断している。
いま車両31側で定時間外(時刻17:00〜8:00)にエンジンが始動されると、サーバ端末21へ「車両31のエンジンが始動された」という情報が電子メールによって自動発信される。この移動体情報は上記b)の特定情報であるので「お知らせ画面」に表示すべきと判断され「お知らせ画面」の表示内容が更新される。
このため車両31を管理する端末11でWWWブラウザが起動されると、WWWブラウザを介してサーバ端末21からホームページのデータが読み出され端末11の表示装置の表示画面に表示される。
図34は端末11の表示装置に表示されるホームページの先頭ページつまり起動時の画面を示している。
同図34に示すように「車両に定時間外エンジン始動がありました」という内容が「発生時刻」、車両31の「メーカ」、「機種」、「型番」、「機番」、「ID」を特定する内容とともに表示される。この表示画面から管理者は車両31が「定時間外エンジン始動があった」ということを知ることができ、いたずら等の異常事態に対して迅速かつ的確な対処をとることができる。
管理者は遠隔操作で車両31を始動ロック設定状態にすることができる。これは端末11の表示画面を「エンジン再起動禁止設定画面」にして「エンジン再起動禁止」のボタンをクリックすることにより実行される。これにより車両31を始動ロック設定状態にする旨の電子メールが端末11から車両31側に送信される。
車両31側では、始動ロック設定状態にする旨のデータが衛星通信アンテナ58を介して通信端末56で受信されると、このデータは通信コントローラ54内に取り込まれる。これにより通信コントローラ54から始動ロック設定指令が始動ロック回路に出力される。このため始動ロック回路のリレーが付勢されて始動ロック設定状態になる。すなわちキースイッチ64をオンにしたとしても燃料が噴射されなくなり車両31のエンジンは再始動されなくなる。
車両31側では始動ロックの設定がなされたか否かを判断している。車両31側で始動ロックの設定がされたことが判断されると、サーバ端末21へ「車両31がリモートで始動ロックが設定された」という情報が電子メールによって自動発信される。この移動体情報は上記d)の特定情報であるのでサーバ端末21で「お知らせ画面」に表示すべきと判断し「お知らせ画面」の表示内容が更新される。
このため端末11の表示画面には、図34に示すように「リモートでロック設定されました」という内容が「発生時刻」、車両31の「メーカ」、「機種」、「型番」、「機番」、「ID」を特定する内容とともに表示される。この表示画面から管理者は車両31が「リモートで始動ロックされた」ということを確認することができる。
サーバ端末21では、車両31に対して始動ロック設定状態にする旨の電子メールが送信されたことを記憶している。そこでこの電子メールが車両31側に送信されてから所定時間経過しても車両31側より「リモートで始動ロックが設定された」という情報が電子メールで返信されてこないと、サーバ端末21では、「始動ロック設定指令を出したにもかかわらず車両31で始動ロック設定がされていない」と判断される。つまり「車両31に対する要求が未達成である」と判断される。この原因は車両31の始動ロック回路の作動不良等の車両31側の原因あるいは車両31とサーバ端末21との間の通信状態が不良である原因の両方が考えられる。この移動体情報あるいは通信状態情報は上記f)の特定情報であるのでサーバ端末21で「お知らせ画面」に表示すべきと判断し「お知らせ画面」の表示内容が更新される。
このため端末11の表示画面には、図34に示すように「車両からロックの確認が届いていません」という内容が「発生時刻」、車両31の「メーカ」、「機種」、「型番」、「機番」、「ID」を特定する内容とともに表示される。この表示画面から管理者は車両31で「ロックの確認がとれていない」ということを知ることができる。そしてこの異常事態に対して迅速かつ的確な対処をとることができる。
管理者は遠隔操作で車両31を始動ロック解除状態にすることができる。これは端末11の表示画面を「エンジン再起動解除画面」にして「エンジン再起動解除」のボタンをクリックすることにより実行される。これにより車両31を始動ロック解除状態にする旨の電子メールが端末11から車両31側に送信される。
車両31側では、始動ロック解除状態にする旨のデータが衛星通信アンテナ58を介して通信端末56で受信されると、このデータは通信コントローラ54内に取り込まれる。これにより通信コントローラ54から始動ロック解除指令が始動ロック回路に出力される。このため始動ロック回路のリレーが消勢されて始動ロック解除状態になる。すなわちキースイッチ64をオンにすることによって燃料が噴射され車両31のエンジンが再始動可能となる。
車両31側では始動ロックの解除がなされたか否かを判断している。車両31側で始動ロックの解除がされたことが判断されると、サーバ端末21へ「車両31がリモートで始動ロックが解除された」という情報が電子メールによって自動発信される。この移動体情報は上記d)の特定情報であるのでサーバ端末21で「お知らせ画面」に表示すべきと判断し「お知らせ画面」の表示内容が更新される。
このため端末11の表示画面には「リモートでロック解除されました」という内容が「発生時刻」、車両31の「メーカ」、「機種」、「型番」、「機番」、「ID」を特定する内容とともに表示される。この表示画面から管理者は車両31が「リモートで始動ロックが解除された」ということを確認することができる。
サーバ端末21では、車両31に対して始動ロック解除状態にする旨の電子メールが送信されたことを記憶している。そこでこの電子メールが車両31側に送信されてから所定時間経過しても車両31側より「リモートで始動ロックが解除された」という情報が電子メールで返信されてこないと、サーバ端末21では、「始動ロック解除指令を出したにもかかわらず車両31で始動ロックが解除されていない」と判断される。つまり「車両31に対する要求が未達成である」と判断される。この原因は車両31の始動ロック回路の作動不良等の車両31側の原因あるいは車両31とサーバ端末21との間の通信状態が不良である原因の両方が考えられる。この移動体情報あるいは通信状態情報は上記f)の特定情報であるのでサーバ端末21で「お知らせ画面」に表示すべきと判断し「お知らせ画面」の表示内容が更新される。
このため端末11の表示画面には「車両からロック解除の確認が届いていません」という内容が「発生時刻」、車両31の「メーカ」、「機種」、「型番」、「機番」、「ID」を特定する内容とともに表示される。この表示画面から管理者は車両31で「ロック解除の確認がとれていない」ということを知ることができる。そしてこの異常事態に対して迅速かつ的確な対処をとることができる。
なお車両31が一旦始動ロック状態になったにもかかわらず始動装置が作動した場合に、車両31からその旨を自動発信してもよい。つまり図34の「お知らせ画面」に「リモートで始動ロックが設定されたにもかかわらず、車両が始動した」という情報を表示してもよい。
さて車両31からの自動発信は、毎日23:00毎に行われているものとする。図30に示すように毎日稼働マップの内容が更新され毎日23:00になると更新された稼働マップの車両31から自動発信される。このため車両31からの送信が所定時間たとえば36時間以上継続してないという状態は通信状態に異常が生じたことを意味する。この「36時間」は、1日(24時間)に対して、そのつぎの日の通常の稼働時間(12時間:AM8:00〜PM8:00)を付加した時間のことである。
サーバ端末21では、車両31から前回サーバ端末21に電子メールが送信された時間を記憶している。そこで車両31側から前回電子メールが送信されてから連続して未送信の状態が所定時間(36時間)継続すると、サーバ端末21では、「車両31と36時間以上通信できていない」と判断される。つまり車両31とサーバ端末21との間の通信が途絶えていると判断される。この原因は車両31の通信装置の故障、破損等の車両31側の原因あるいは車両31とサーバ端末21との間の通信状態が不良である原因の両方が考えられる。この移動体情報あるいは通信状態情報は上記e)の特定情報であるのでサーバ端末21で「お知らせ画面」に表示すべきと判断し「お知らせ画面」の表示内容が更新される。
このため端末11の表示画面には、図34に示すように「車両と36時間以上通信できていません」という内容が「発生時刻」、車両31の「メーカ」、「機種」、「型番」、「機番」、「ID」を特定する内容とともに表示される。この表示画面から管理者は車両31との間で「通信が途絶えた」ということを知ることができる。そしてこの異常事態に対して迅速かつ的確な対処をとることができる。
なお本実施形態では車両31との間で通信が途絶えたことを、前回自動発信があってから所定時間経過しても次回の自動発信がないことをもって判断している。しかし前回端末11、12…から車両31側に情報を要求する入力操作があってから所定時間経過しても車両31側から返信がないことをもって、車両31との間で通信が途絶えたと判断してもよい。
さて前述したように車両31のバッテリ63の電圧はセンサ群62で検出され通信コントローラ54に入力される。通信コントローラ54ではバッテリ63の電圧が所定レベル(たとえば23V)以下に継続して(たとえば1分以上)低下しているか否かを判断している。バッテリ63の電圧の低下は、車両31の始動が困難になるのみならず、車載の通信機能がダウンしてしまうことを意味し重大な異常事態である。車両31の始動ロック回路を作動させると始動ロック回路のリレーで電力が消費されるのでバッテリ63の電圧が低下し易くなる。
そこで車両31側でバッテリ63の電圧が所定レベル(たとえば23V)以下に継続して(たとえば1分以上)低下していることが判断されると、サーバ端末21へ「車両31のバッテリ63の電圧が低下した」という情報が電子メールによって自動発信される。この移動体情報は上記c)の特定情報であるのでサーバ端末21で「お知らせ画面」に表示すべきと判断し「お知らせ画面」の表示内容が更新される。
このため端末11の表示画面には「バッテリ電圧が低下しています」という内容が「発生時刻」、車両31の「メーカ」、「機種」、「型番」、「機番」、「ID」を特定する内容とともに表示される。この表示画面から管理者は車両31の「バッテリ63の電圧が低下した」ということを知ることができる。そしてこの異常事態に対して迅速かつ的確な対処をとることができる。
さて、図9、図10で既に説明したように自動発信は、車両31の位置が変化した時点で行われる。
すなわち図10に示すように車両31が特定の設定範囲129から逸脱した時点で自動発信される。この特定の設定範囲129は、たとえば車両31の管理地域(たとえば「東京都」)、車両31が移動可能な範囲(たとえば「日本国内」)に設定される。設定範囲から外れた場合には異常事態が発生したと判断することができる。
そこで車両31側で車両31が特定の設定範囲129から逸脱したことが判断されると、サーバ端末21へ「車両31が範囲外である」という情報が電子メールによって自動発信される。この移動体情報は上記a)の特定情報であるのでサーバ端末21で「お知らせ画面」に表示すべきと判断し「お知らせ画面」の表示内容が更新される。
このため端末11の表示画面には「車両が範囲外です」という内容が「発生時刻」、車両31の「メーカ」、「機種」、「型番」、「機番」、「ID」を特定する内容とともに表示される。この表示画面から管理者は車両31が「範囲外に存在する」ということを知ることができる。そしてこの異常事態に対して迅速かつ的確な対処をとることができる。
なお車両31が特定の設定範囲129から外れた時点で自動発信し、「お知らせ画面」に「車両が範囲外です」という情報を表示しているが、車両31が特定の設定範囲129に入った時点で自動発信し、「お知らせ画面」に「車両が範囲内です」という情報を表示してもよい。この場合の特定の設定範囲129は車両31が通常侵入しないエリアに設定される。
また図34の「お知らせ画面」は端末11のみならず他の端末12等でも同様に表示画面に表示される。これにより端末12においても図34の「お知らせ画面」が表示され、前日までに発生した重要な情報を容易に確認することができる。
また車両31を管理する管理端末11の表示画面のみに図34の「お知らせ画面」の表示を許容して、他の端末12等の表示画面には「お知らせ画面」を表示させない実施も可能である。これは、たとえば図34の「お知らせ画面」の表示を、特定のID番号、特定の暗証番号(端末11に対応する番号)の入力操作を条件とすることで実現できる。
本実施形態では図34の「お知らせ画面」に表示されるべき特定の情報は、a)〜f)に示す情報に限定されるものではない。
たとえば車両31の顧客先へのレンタル期間の終了が近づいたという情報を「お知らせ画面」に表示してもよい。車両31では、サービスメータの値によってレンタル時間終了に近づいたこと、あるいは通信端末56の内部に設けられた時計によってレンタル期間終期に近づいたことを検出することができる。
また車両31が所定距離以上移動したときに車両31から自動発信し「所定距離以上移動した」という情報を「お知らせ画面」に表示してもよい。この所定距離は例えば車両31が通常移動することはないと考えられる距離に設定される。
また車両31の通信端末56にエラーコードが入力された場合に車両31側から自動発信し、エラーが発生したという情報を「お知らせ画面」に表示してもよい。なお「お知らせ画面」に表示すべきエラーコードの内容は特定の異常項目(重度の異常項目)のみに限る実施も可能である。
また図34の「お知らせ画面」の表示項目は、車両31、32…毎に異ならせてよい。たとえば車両31についてはa)の表示項目のみ、車両32についてはb)の表示項目のみを「お知らせ画面」に表示することができる。
また本実施形態では、一箇所に固定した端末11に「お知らせ画面」を表示させているが、携帯可能な端末に「お知らせ画面」の内容を表示させる実施も可能である。
たとえばWWWブラウザを搭載した携帯電話機に「お知らせ画面」の内容を表示させることができる。
この場合は携帯電話機のパケット通信網とインターネット2とがゲーウエイで接続される。そしてゲートウエイでパケット通信網上のプロトコルとインターネット2上のTCP/IPのプロトコルとの変換が行われ、インターネット2上のホームページの内容が携帯電話機の表示画面に表示される。サーバ端末21で新たに「お知らせ画面」が更新される毎に、「新たな情報が届いた旨」の音声が携帯電話機で発生する。これにより新たに更新された「お知らせ画面」の内容が携帯電話機の表示画面に表示される。なお携帯電話機に表示すべき「お知らせ画面」の表示項目は、a)〜f)のうちの特定の表示項目のみとする実施も可能である。たとえば「定時間外に車両31のエンジンが始動された」という情報b)のみを携帯電話機の表示画面に表示することができる。これにより管理者が端末11から離れた場所にいる場合でも、携帯電話機の表示画面から、車両31について緊急を要する情報をリアルタイムで取得することが可能となる。
ところで建設機械は高価であるためレンタルに供されることが多い。建設機械のレンタルはグループレンタルという制度がとられている。これは建設機械には種々の機種があるため(小型の油圧ショベル、中型の油圧ショベル、大型の油圧ショベル等々)、これら多岐に渡る機種の建設機械を複数の営業所で共有するという制度である。このため、ある営業所で顧客から特定機種のレンタルの要請があり該当する機種の建設機械がなかった場合には他の営業所からその特定の機種の建設機械を融通してもらうことができビジネスチャンスを逸してしまうことがない。
顧客のレンタル要請に応えるためには、各営業所毎に、建設機械の入出庫の管理を確実に行う必要がある。つぎに入出庫を管理する実施形態について説明する。
図35は実施形態の構成例を示している。図35はたとえば「東京都」というエリア135に存在する各営業所130、131、132を示している。営業所130は「西東京」にあり、営業所131は「北東京」にあり、営業所132は「南東京」にあるものとする。133、134は顧客の作業現場を示している。営業所130〜132で車両31、32が管理される。なお実際には営業所、作業現場、車両(移動作業機械)は、より多くの数が存在するが説明の便宜のため省略している。
営業所130、131、132のうち131を本部とし130、132を支店とする。本部131は車両31、32を集中して管理している。本部131には端末11が設けられている。なお支店130、132に端末11と同等の端末を設けてもよい。
各営業所130、131、132の位置はそれぞれ、X−Y座標系でP(Px、PY)、Q(Qx、QY)、R(Rx、RY)で表される。また各作業現場133、134の位置はそれぞれ、X−Y座標系でZ(Zx、ZY)、W(Wx、WY)で表される。なおGPS上の地図に適合するように位置を地球上の緯度、経度で表してもよい。
各営業所130、131、132毎に、上記点P、Q、Rを中心に入出庫エリアが設定される。たとえば支店130には点Pを中心とする入庫エリア130aが設定される。さらに点Pを中心とする出庫エリア130bが設定される。出庫エリア130bは入庫エリア130aよりも大きく、出庫エリア130bの境界線と入庫エリア130aの境界線との間にΔXのヒステリシスをもたせている。
同様にして本店131には点Qを中心とする入庫エリア131a、出庫エリア131bが設定され、本店132には点Rを中心とする入庫エリア132a、出庫エリア132bが設定されている。なお入出庫エリアの広さは、GPS計測装置の誤差、営業所の広さ等を考慮して定められる。たとえば入出庫エリアは縦幅、横幅がそれぞれ数百メートルの大きさに定められる。
また作業現場133、134毎に、上記点Z、Wを中心に作業エリア133、134が設定される。
車両31の通信コントローラ54には、各営業所130、131、132の入出庫エリアの位置情報、作業現場133、134の作業エリアの位置情報が記憶されている。同様にして車両32の通信コントローラ54にも同様の位置情報が記憶されている。
なお車両31、32に通信端末56を新たに搭載して通信を開始するには、通信の申請の手続きを行い、通信を管理するサーバ端末21で申請受領の確認をとる必要がある。本実施形態ではこの通信申請の手続きは、端末11の画面上で行うことができる。
すなわち車両31、32に通信端末56を搭載した後、端末11の表示画面から通信申請の入力操作を行う。この結果サーバ端末21と車両31、32の通信端末56との間で、通信接続の確認がなされる。これと同時にサーバ端末21から車両31、32に対して、各営業所130、131、132の位置情報、作業現場133、134の位置情報が送信される。これにより車両31、32の通信コントローラ54に、各営業所130、131、132の入出庫エリアの位置情報、作業現場133、134の作業エリアの位置情報が記憶される。通信接続の確認がなされると、車両31、32の通信申請を受領した旨が端末11の表示画面に表示される。端末11でこの申請受領を確認すると以後車両31、32との間で通信が可能となる。
以下車両31を代表させて車両31が出庫する場合の動作について説明する。
図9、図10で既に説明したように車両31の位置はGPSアンテナ59を介してGPSセンサ57で検出される。GPSセンサ57の検出結果は通信コントローラ54に入力される。通信コントローラ54では車両31の検出位置と、各営業所130、131、132の入出庫エリアの位置とが比較され、車両31が入出庫エリアから入出庫したか否かが判断される。
たとえば車両31が支店130に入庫する場合を想定する。
車両31が支店130の入庫エリア130aの外部から内部に進入し、入庫エリア130aの内部に所定時間(たとえば2,3分)留まっているか否かによって、車両31が支店130に入庫したか否かが判断される。なお入庫エリア130aに所定時間以上留まっているという条件を付けたのは、単に支店130を通過する場合を考慮したものである。この結果入庫エリア130aに入ったと判断されると、その時点で車両31を特定する識別符号(「車両31」)と、支店130を特定する識別符号(「西東京店」)と、「入庫」を示す識別符号とが(これらを「入庫情報」という)、発信データとして通信コントローラ54から通信端末56に送出される。そして通信端末56から衛星通信アンテナ58を介して上記入庫情報が記述された電子メールがサーバ端末21に自動発信される。ここでサーバ端末21は車両31、32を製造したメーカの所在地に設けられているものとする。
サーバ端末21では図36に示す「入出庫画面」というホームページの表示画面が作成される。
すなわち車両31側から自動発信がなされサーバ端末21でその自動発信される入庫情報を受信すると、サーバ端末21ではその入庫情報をホームページの「入出庫画面」に記述し、「入出庫画面」の表示内容が更新される。
このため車両31を管理する端末11でWWWブラウザが起動されると、WWWブラウザを介してサーバ端末21からホームページのデータが読み出され端末11の表示装置の表示画面に表示される。
図36は端末11の表示装置に表示されるホームページの画面を示している。図36は車両31の入出庫の履歴を示す「入出庫画面」である。
同図36に示すように車両31が「西東京店に入庫されました」という内容が「入庫時刻」とともにリアルタイムに表示される。この表示画面から管理者は車両31が「西東京店に入庫された」ということを知ることができ、顧客への手配を確実に行うことができる。
以下同様にして車両31が支店130の出庫エリア130bの内部から外部に逸脱し、出庫エリア130bの外部に所定時間(たとえば2,3分)留まっていることを判断することによって、車両31が支店130から出庫したと判断される。この判断時点で車両31が「西東京」支店130から出庫したという情報(これを「出庫情報」という)が、電子メールによってサーバ端末21に自動発信される。このため図36に示すように端末11の表示装置の「入出庫画面」には、車両31が「西東京店から出庫されました」という内容が「出庫時刻」とともにリアルタイムに表示される。
ここで前述したように出庫エリア130bの境界線と入庫エリア130aの境界線との間にΔXのヒステリシスをもたせている。このため車両31が支店130付近で移動しているときのハンチングを防止することができる。
以下同様にして車両31が支店132の入庫エリア132aに入ったと判断されると、その時点で車両31が「南東京」支店132に入庫したという入庫情報が、電子メールによってサーバ端末21に自動発信される。このため図36に示すように端末11の表示装置の「入出庫画面」には、車両31が「南東京店に入庫されました」という内容が「入庫時刻」とともにリアルタイムに表示される。
さらに車両31が支店132の出庫エリア132bから出たと判断されると、その時点で車両31が「南東京」支店132から出庫したという入庫情報が、電子メールによってサーバ端末21に自動発信される。このため図36に示すように端末11の表示装置の「入出庫画面」には、車両31が「南東京店から出庫されました」という内容が「出庫時刻」とともにリアルタイムに表示される。
なお車両31が「北東京」本店131の入庫エリア131aに入った場合または「北東京」本店131の出庫エリア131bから出た場合も同様にして、端末11の表示装置の「入出庫画面」には、車両31が「北東京店に入庫されました」または「北東京店から出庫されました」という内容が表示される。
このようにして図36に示すように車両31の入出庫の最新の履歴がリアルタイムに表示される。また車両31以外の車両32についても同様な「入出庫画面」が得られ車両31の入出庫の最新の履歴がリアルタイムに表示される。このため車両31、32の入出庫の管理を誤り無く確実に行える。この結果ビジネスチャンスを逃すことがなく、営業収益が飛躍的に向上する。
また車両31が、レンタル先である顧客の作業エリア133に入ったと判断されると、その時点で車両31が作業現場133に搬入されたという搬入情報が、電子メールによってサーバ端末21に自動発信される。このため端末11の表示装置には、車両31が「作業現場133に搬入されました」という内容が「搬入時刻」とともにリアルタイムに表示される。
さらに車両31が、作業エリア133から出たと判断されると、その時点で車両31が作業現場133から搬出されたという搬出情報が、電子メールによってサーバ端末21に自動発信される。このため端末11の表示装置には、車両31が「作業現場133から搬出されました」という内容が「搬出時刻」とともにリアルタイムに表示される。
同様に車両31が作業現場134に入った場合または作業現場134から出た場合も同様にして、端末11の表示装置には、車両31が「作業現場134に搬入されました」または「作業現場134から搬出されました」という内容が表示される。このようにして車両31の搬入出の履歴が更新される。
また各営業所130〜132から出庫後の車両31の移動履歴を端末11に表示してもよい。これは車両31がたとえば10km移動するごとに位置情報を自動発信することで実現される。これにより端末11で車両31の移動履歴と現在位置を確認することができる。
車両31の現在位置と、作業現場133、134の既知の位置Z、Wとを比較することによって、車両31が作業現場133、134に存在しているか否かを端末11の画面上で判断することができる。
また管理下にある車両31が、管理地域(「東京都」)135から逸脱した時点で、「管理地域外から出た」という情報を自動発信させるようにして、前述の図34の「お知らせ画面」に表示させることもできる。これにより管理者は車両31が「管理地域外に存在する」ということを知ることができ、異常事態に対して迅速かつ的確な対処をとることができる。
なお車両31、32を管理する管理端末11の表示画面のみに図36の「入出庫画面」の表示を許容して、端末11以外の他の端末の表示画面には「入出庫画面」を表示させない実施も可能である。これは、たとえば図36の「入出庫画面」の表示を、特定のID番号、特定の暗証番号(端末11に対応する番号)の入力操作を条件とすることで実現される。
ところでレンタル先への建設機械31、32の搬入あるいはレンタル先からの建設機械31、32の回収は、トレーラ35によって建設機械31、32を搭載することによって行われる。トレーラ35による運搬コストは高いため、トレーラ35による運搬の効率を高めて、運搬コストを低く抑える必要がある。またトレーラ35による運搬の効率を高めて、レンタル先への搬入あるいはレンタル先からの回収を迅速に行うことによってレンタルの機会を増やし営業収益を高める必要がある。
つぎに図37を参照して建設機械31、32の運搬効率を高めることができる実施形態について説明する。
さて図36で説明したように、端末11側では、車両31、32が各営業所130〜132へ入出庫しているか否かの情報および車両31、32が各作業現場133、134へ搬入出しているか否かの情報を管理している。
いま端末11側で、図37(a)に示すように「支店130に車両31が入庫し、作業現場134に車両32が搬入されている」という入出庫情報および搬入出情報が取得されているとする。このとき「作業現場133に車両31を搬入し、作業現場134から車両32を搬出する」という要請があったものとする。すると上記入出庫情報および搬入出情報に基づいて、端末11から、トレーラ35に対して「支店130の車両31を作業現場133に搬入し、その帰路に作業現場134の車両32を搬出して支店130まで回収する」という作業指示データを電子メールで送ることができる。この場合図4で既に説明したのと同様にして、トレーラ35搭載の端末14の表示画面に「トレーラ35自身の現在位置、車両31の現在位置(支店130の位置)、作業現場133の位置、車両32の現在位置(作業現場134の位置)および作業指示メッセージ」が表示される。トレーラ35のオペレータは端末14の表示画面にしたがって効率よく作業を行うことができる。
すなわちトレーラ35は支店130まで移動し、車両31を荷積みして支店130から出庫する。このとき車両31が支店130から出庫したという出庫情報が車両31から自動発信され図36の「入出庫画面」の内容が更新される。トレーラ35は車両31を搭載して経路136を通り作業現場133に入る。このとき車両31が作業現場133に入ったという搬入情報が車両31から自動発信され搬入出履歴が更新される。
トレーラ35は空車状態で経路137を通り作業現場134に入る。トレーラ35は車両32を荷積みして作業現場134から搬出する。このとき車両32が作業現場134から搬出したという搬出情報が車両32から自動発信され搬入出履歴が更新される。
トレーラ35は車両32を搭載して経路138を通り支店130に入る。このとき車両32が支店130に入庫したという入庫情報が車両32から自動発信され車両32に関する入出庫履歴が更新される。
以上のようにトレーラ35は1回の出動で車両31の搬入と車両32の搬出、回収を行うことができる。このためトレーラ35が空車状態になっている時間を減らすことができ運搬効率が向上する。
図37(b)は別の運搬作業例を示す。
いま端末11側で、図37(b)に示すように「作業現場133に車両31が搬入されており、作業現場134に車両32が搬入されている(支店130、132からは車両31、32が出庫している)」という入出庫情報および搬入出情報が取得されているとする。このとき「車両31を作業現場134に搬入し、作業現場134から車両32を搬出する」という要請があったものとする。すると上記入出庫情報および搬入出情報に基づいて、端末11から、トレーラ35に対して「作業現場133の車両31を搬出して作業現場134に転送し、作業現場134の車両32を搬出して支店132まで回収する」という作業指示データを電子メールで送ることができる。この場合図4で既に説明したのと同様にして、トレーラ35搭載の端末14の表示画面に「トレーラ35自身の現在位置、車両31の現在位置(作業現場133の位置)、車両32の現在位置(作業現場134の位置)、支店132の位置および作業指示メッセージ」が表示される。トレーラ35のオペレータは端末14の表示画面にしたがって効率よく作業を行うことができる。
すなわちトレーラ35は経路139を通り作業現場133まで移動し、車両31を荷積みして作業現場133から搬出する。このとき車両31が作業現場133から搬出したという搬出情報が車両31から自動発信され搬入出履歴が更新される。トレーラ35は車両31を搭載して経路140を通り作業現場134に入る。このとき車両31が作業現場134に入ったという搬入情報が車両31から自動発信され搬入出履歴が更新される。
トレーラ35は車両32を荷積みして作業現場134から搬出する。このとき車両32が作業現場134から搬出したという搬出情報が車両32から自動発信され搬入出履歴が更新される。
トレーラ35は車両32を搭載して経路141を通り支店132に入る。このとき車両32が支店132に入庫したという入庫情報が車両32から自動発信され車両32に関する入出庫履歴が更新される。
以上のようにトレーラ35は1回の出動で車両31の転送と車両32の搬出、回収を行うことができる。このためトレーラ35が空車状態になっている時間を減らすことができ運搬効率が向上する。
なお図37では車両31、32の位置と、一定の大きさを有する作業エリア133、134とを比較することによって、車両31、32が作業現場133、134に存在しているか否かを判断している。しかし車両31の現在位置と、作業現場133、134の中心位置Z、Wとを比較することによって、車両31、32が作業現場133、134に存在しているか否かを判断してもよい。
さて前述した実施形態では、遠隔操作で車両31を始動ロック設定状態(以下始動ロック)し、遠隔操作で車両31を始動ロック解除状態(以下始動アンロック)にしている。一方建設機械31は特定の時間帯(定時間外17:00〜8:00)は通常稼働しない。仮にこの時間帯に建設機械31のエンジンが始動され稼働しているとすれば、いたずら等の異常が発生したと考えられる。しかし車両31を毎日同じ時間帯に端末11側から遠隔操作で始動ロックしたり始動アンロックする作業は煩わしい。
そこで予め特定の時間帯のデータを端末11側から車両31に送信しておき、車両31自身でその特定の時間帯になると始動ロック状態にしその特定の時間帯が経過すると始動アンロック状態にする実施形態について説明する。
図38は実施形態の処理手順を示すフローチャートである。
まず端末11の表示画面が「エンジン再起動禁止設定画面」にされ「時間帯指定」のボタンをクリックすると、「ロック開始時刻Ts」を指定せよとの表示がされる。これに応答して「ロック開始時刻Ts」の内容がたとえば「PM17:00」と入力される。これにより車両31のロック開始時刻Tsが「PM17:00」と設定される(ステップ701)。
つぎに「ロック終了時刻Te」を指定せよとの表示がされる。これに応答して「ロック終了時刻Te」の内容がたとえば「AM8:00」と入力される。これにより車両31のロック終了時刻Teが「AM8:00」と設定される(ステップ702)。
この結果ロック開始時刻Ts、ロック終了時刻Teの設定データが電子メールによって端末11から車両31側に送信される(ステップ703)。
車両31側では、データTs、Teが衛星通信アンテナ58を介して通信端末56で受信されると、このデータは通信端末56内のメモリに記憶される(ステップ704)。車両31の通信端末56の内部にはカレンダとタイマが備えられている。内部カレンダとタイマから現在時刻Tnが取得される(ステップ705)。つぎに現在時刻Tnとロック開始時刻Ts、ロック終了時刻Teとが比較される(ステップ706、707)。
現在時刻Tnがロック開始時刻Ts(PM17:00)を過ぎロック終了時刻Te(AM8:00)を経過する前の時刻であれば(ステップ706、707の判断YES)、通信端末56から通信コントローラ54を介して始動ロック設定指令が始動ロック回路に出力される。このため始動ロック回路のリレーが付勢されて始動ロック状態になる。すなわちキースイッチ64をオンにしたとしても燃料が噴射されなくなり車両31のエンジンは再始動されなくなる(ステップ708)。
現在時刻Tnがロック開始時刻Ts(PM17:00)以前の時刻であるか、ロック終了時刻Te(AM8:00)以後の時刻であれば(ステップ706の判断NO、707の判断NO)、通信端末56から通信コントローラ54を介して始動ロック解除指令が始動ロック回路に出力される。このため始動ロック回路のリレーが消勢されて始動アンロック状態になる。すなわちキースイッチ64をオンにすると燃料が噴射され車両31のエンジンは再始動可能となる(ステップ709)。
以上のように毎日特定の時間帯(17:00〜8:00)になると車両31は自動的に始動ロック状態になり、その特定の時間帯が経過すると自動的に始動アンロック状態になる。
なお図38では毎日車両31を始動ロックしているが、特定の曜日のみに始動ロックさせてもよい。この場合にはステップ701、702で始動ロックすべき特定の曜日(たとえば土曜日と日曜日)が設定される。
建設機械31は特定の期間(たとえば年末、年始)は稼働しないので、いたずら防止等のためにこの期間は始動ロック状態にしておく必要がある。またレンタルに供される建設機械31にあっては、レンタル期間が終了すると契約違反の使用を禁止するために、この期間終了後は始動ロック状態にしておく必要がある。
図39はレンタル期間経過後に始動ロックにする実施形態の処理手順を示すフローチャートである。
まず顧客(使用者)が車両31を管理する端末11に対して使用期間(たとえば3月3日のAM8:00から3月15日のPM8:00)を申請する(ステップ801)。つぎに車両31が使用者に配送される(ステップ802)。なおステップ801、802の申請、配送の手続きはインターネット2上の通信で行うことができる。
つぎに管理者の端末11の表示画面が「エンジン再起動禁止設定画面」にされ「使用期間指定」のボタンをクリックすると、「使用開始日時Ds」を指定せよとの表示がされる。これに応答して「使用開始日時Ds」の内容がたとえば「3月3日AM8:00」と入力される。これにより車両31の使用開始日時Dsが「3月3日AM8:00」と設定される(ステップ803)。
つぎに「使用終了日時De」を指定せよとの表示がされる。これに応答して「使用終了日時De」の内容がたとえば「3月15日PM8:00」と入力される。これにより車両31の使用終了日時Deが「3月15日PM8:00」と設定される(ステップ804)。
この結果使用開始日時Ds、使用終了日時Deの設定データが電子メールによって端末11から車両31側に送信される(ステップ805)。
車両31側では、データDs、Deが衛星通信アンテナ58を介して通信端末56で受信されると、このデータは通信端末56内のメモリに記憶される(ステップ806)。車両31の通信端末56の内部にはカレンダとタイマが備えられている。内部カレンダとタイマから現在日時Dnが取得される(ステップ807)。つぎに現在日時Dnと使用開始日時Ds、使用終了日時Deとが比較される(ステップ808、809)。
現在日時Dnが使用開始日時Ds(3月3日AM8:00)を過ぎ使用終了日時De(3月15日PM8:00)を経過する前の日時であれば(ステップ808、809の判断YES)、通信端末56から通信コントローラ54を介して始動ロック解除指令が始動ロック回路に出力される。このため始動ロック回路のリレーが消勢されて始動アンロック状態になる。すなわちキースイッチ64をオンにすると燃料が噴射され車両31のエンジンは再始動可能となる(ステップ810)。
現在日時Dnが使用開始日時Ds(3月3日AM8:00)以前の時刻であるか、使用終了日時De(3月15日PM8:00)以後の時刻であれば(ステップ808の判断NO、809の判断NO)、通信端末56から通信コントローラ54を介して始動ロック設定指令が始動ロック回路に出力される。このため始動ロック回路のリレーが付勢されて始動ロック状態になる。すなわちキースイッチ64をオンにしたとしても燃料が噴射されなくなり車両31のエンジンは再始動しない(ステップ811)。これによりレンタル期間(Ds〜De)が終了すると契約違反の使用が禁止される。またエンジンの始動できない車両31をレンタル期間(Ds〜De)終了後の任意の時期に回収することが可能となる(ステップ812)。
なお図39において年末、年始の期間に始動ロックし年末、年始の期間が終了すると始動アンロックにするためには、ステップ803、804で年末、年始の期間(Ds〜De)を設定し、ステップ810の内容を「始動ロック」とし、ステップ811の内容を「始動アンロック」とすればよい。これにより年末、年始の期間(Ds〜De)では始動ロック状態になり(ステップ810)、年末、年始の期間(Ds〜De)以外では始動アンロック状態になる(ステップ811)。
なお図38、図39では、1台の車両31に対して端末11からデータを送信して車両31を自動的に始動ロックさせている。しかし複数の車両(たとえば車両31、32)に対して端末11から同時にデータを送信して複数の車両を自動的に始動ロックさせてもよい。
図39の実施形態と図37の実施形態とを組み合わせることによってレンタル期間終了後の契約違反の使用を防止できるとともにレンタル期間終了後の回収を効率的に行うことができる。すなわち図37(a)の場合を例にとると、顧客は車両32のレンタル期間終了後は作業現場134に当該車両32を放置しておく。作業現場134に車両32を放置しておいてもレンタル期間(Ds〜De)の終了後は始動ロック状態になっているので、顧客は契約違反の使用をすることができない。そして他の作業現場133に車両31を搬入する時期が到来すると、トレーラ35は作業現場133への車両31の搬入と、作業現場134に放置してある車両32の搬出、回収とを同時に行う。これにより車両32のレンタル期間終了後の回収作業が効率的に行われる。
本実施形態では車両31として建設機械を主に想定している。建設機械ではエンジンが再始動できなくなることによって旋回体、作業機の作動が不能になる。よって始動ロック状態にすることによって、作業機、旋回体が不用意に作動することによる危険を回避することができる。つまり本実施形態はレンタル期間経過後の不正使用防止の用途以外にも誤作動防止という安全対策の用途に適用することができる。たとえば建設機械31の作業機用操作レバーが到底操作に熟練していない人間(たとえば小学生)によって誤って操作されてしまうと、作業機が不用意に作動して危険な状態になる。本実施形態によれば始動ロック状態にすることによって作業機が不用意に作動するという誤作動を防止することができる。
ところで土木建設工事を請け負い、建設機械をオペレータに操作させて土木建設作業を行わせる会社の経営者にとって、オペレータの労務管理、作業工程管理は重要である。このため作業日報の作成がオペレータに義務付けられている。しかし従来はサービスメータの値を読み取り入力する作業を強いるため作業日報を作成する作業は煩わしくオペレータに大きな負担を課すことになっていた。また入力作業は手作業であるため入力ミス等により不正確な作業日報が作成されることもある。
また作業日報は、建設機械の使用者である工事会社のみならず、建設機械をレンタルするレンタル会社、中古の建設機械を販売する中古販売業者、建設機械を製造するメーカにとって有用な情報である。すなわちレンタル会社にとっては作業日報の履歴を把握することによって過酷な使用をする顧客とそうでない顧客とを判別することができ、顧客の管理に役立てることができる。また中古の建設機械を販売する中古販売業者にとっては作業日報の履歴を把握することによって建設機械の過去の使用時間、稼働率等を算定することができ、中古車価格の設定に役立てることができる。また建設機械を製造するメーカにとっては作業日報の履歴を把握することによって建設機械の耐久性を算定することができ、次期モデルの設計等に役立てることができる。
このためには作業日報の情報をリアルタイムに各端末から容易に入手できるようにすることが必要である。
そこでつぎにオペレータに負担を課すことなく作業日報を正確に作成することができ、作業日報の情報をリアルタイムに端末から容易に入手できる実施形態について説明する。
サーバ端末21はメーカに設けられた端末であり図40に示す「作業日報画面」というホームページの表示画面が作成される。
車両31では毎日23:00になると、当該日の時刻23:00までの稼働マップ、日付、稼働時間(図40)が自動発信される。ここで稼働マップとは、車両31に備えられているサービスメータの出力(エンジンの稼働の有無)と、車両31が備えているカレンダ、タイマの出力とを各時刻毎に突き合わせて、エンジンが稼働している時間帯を表した表のことである。図40で黒色で塗りつぶされている時間帯が車両31のエンジンの稼働している時間帯に相当する。また稼働時間とは、1日あたりのサービスメータの累算値(1日のエンジンの稼働時間)のことである。
すなわち車両31側から自動発信がなされサーバ端末21でその自動発信された「稼働マップ」、「日付」、「稼働時間」という移動体情報を受信すると、サーバ端末21ではその移動体情報によってホームページの「作業日報画面」を更新する処理を行う。
このため端末11でWWWブラウザが起動されると、WWWブラウザを介してサーバ端末21からホームページのデータが読み出され端末11の表示装置の表示画面に「作業日報画面」が表示される。
このため図40に示すように車両31が稼働した「日付」、「稼働マップ」、「稼働時間」が、最新のデータによって更新されて表示される。なお「作業日報画面」には、車両31を使用している「顧客名」(ABC土木(株))、車両31が稼働している「作業現場名」(いろは砕石現場)、日毎の「作業者名」、メンテナンス等の「特記事項」が併せて表示される。なお「顧客名」、「作業現場名」、「作業者名」、「特記事項」の入力手続きはインターネット2上の通信で行うことができる。顧客側の端末で「顧客名」、「作業現場名」、「作業者名」、「特記事項」が入力されると、入力データはインターネット2を介してサーバ端末21に送信され、入力データに従って「作業日報画面」の内容が更新される。
以上のようにして最新の作業日報が端末11の表示画面にリアルタイムに表示され、端末11の表示画面から容易に入手できるようになる。つまりオペレータに負担を課すことなく作業日報が正確に作成される。これにより工事会社は労務管理、作業日程管理を正確に行うことができる。
また端末11がレンタル会社に設けられている場合には、端末11の表示画面から作業日報の履歴を把握でき、過酷な使用をする顧客とそうでない顧客とを判別することができる。これにより顧客の管理に役立てることができる。たとえば過酷な使用をする顧客に対して警告を与えたりレンタルを許可しない決定を下すことができる。また作業日報の履歴を把握することによって車両31を殆ど稼働させていない顧客を見つけ、その顧客に対しては返却をアドバイスすることもできる。また作業日報の履歴を把握することによって車両31についてメンテナンスを行う時期を予測することができる。
また端末11が中古の建設機械を販売する中古販売業者に設けられている場合には、端末11の表示画面から作業日報の履歴を把握でき、建設機械の過去の使用時間、稼働率等を算定することができる。これにより中古車価格を適正に設定することができる。
また端末11が建設機械を製造するメーカに設けられている場合には、端末11の表示画面から作業日報の履歴を把握でき、建設機械の耐久性を算定することができる。これにより次期モデルの設計等に役立てることができる。
また図41に示すように端末11の表示画面にサービスメータの履歴をグラフ表示させてもよい。図41のグラフの横軸は日時であり、縦軸はサービスメータで計測したエンジン稼働時間の累算値である。図41のグラフから定期点検の時期などメンテナンス時期を予測することができる。
なお車両31を管理する端末11の表示画面のみに図40、図41の表示を許容して、端末11以外の他の端末の表示画面には図40、図41を表示させない実施も可能である。これは、たとえば図40、図41の表示を、特定のID番号、特定の暗証番号(端末11に対応する番号)の入力操作を条件とすることで実現される。
なお本実施形態では「稼働マップ」を車両31で作成した上でサーバ端末21に送信する場合を想定している。しかし車両31からサービスメータの出力と、車両31が備えているカレンダ、タイマの出力のみを送信することにして、「稼働マップ」をサーバ端末21で作成する実施も可能である。
上述した実施形態では、1日が経過する毎に稼働マップを生成して1日毎に作業日報を作成し、1日毎に作業日報画面を更新している。しかし稼働マップの単位は1日に限らず任意の期間でもよい。たとえば月単位で稼働マップを生成して月単位で「作業月報」を作成し、月毎に「作業月報画面」を更新してもよい。また顧客へレンタルする期間毎に作業報告を作成する実施も可能である。つまりレンタル期間の単位で稼働マップを生成して「作業報告」を作成し、「作業報告画面」を更新してもよい。
ところで建設機械31をレンタルする場合には、レンタル期間の長さに応じた料金を設定して貸し出すのが一般的である。しかし同じ長さのレンタル期間であっても、建設機械31を長時間稼働させる顧客と、殆ど稼働させない顧客の両者が存在するのも事実である。この場合に両者に同一のレンタル料金を課金することは不公平であり合理的ではない。
そこでエンジン稼働時間の長さに応じて自動的に課金額を算出してもよい。
すなわちサーバ端末21では、車両31から自動発信された「稼働時間」というデータ(サービスメータの出力)と、「日時」のデータ(車両31に備えられているカレンダとタイマの出力)とを受信して、これらを突き合わせて「レンタル期間」内における現在までの「稼働時間」を累算する演算処理が行われる。一方稼働時間の累算値と課金額との対応関係は予め設定されている。そこで現在までの稼働時間の累算値に対応する課金額が、この対応関係から算出される。サーバ端末21では最新の課金額によってホームページの「作業日報画面」を更新する処理を行う。
このため端末11でWWWブラウザが起動されると、WWWブラウザを介してサーバ端末21からホームページのデータが読み出され端末11の表示装置の表示画面に「作業日報画面」が表示される。いまレンタル期間が1月21日から1月30日までであるとする。図40の「作業日報画面」にはレンタル期間(1月21日から1月30日)の稼働時間の累算値つまりレンタル期間中の毎日の「稼働時間」を合計した値(49時間6分)に対応する課金額XXXXXXX円が表示される。これにより顧客は、レンタル期間中にエンジンが稼働した時間に対応する課金額の情報を画面上でリアルタイムに容易に入手することができる。
なお本実施形態では、車両31からサービスメータの出力と、車両31が備えているカレンダ、タイマの出力のみを送信することにして、「課金額」をサーバ端末21で作成するようにしているが、車両31において「課金額」を演算した上でサーバ端末21に自動発信するという実施も可能である。
上述した実施形態では単に稼働時間の累算値に応じて課金額を算出している。
しかし実際には建設機械は時期に応じて需要が大きく変化する。具体的には工事が集中する時期には建設機械の需要が増大する。また1日のうちでも夜間よりも昼間の時間帯の方が需要が大きい。そこで建設機械の需要の大きさに応じて課金額を設定してもよい。具体的には工事が集中する時期には建設機械の需要が増大するので課金額を高めに設定し、逆にシーズンオフの時期には課金額を低めに設定することができる。また昼間の時間帯に課金額を高めに設定し、夜間の時間帯に課金額を低めに設定することができる。よって課金額は稼働時間の累算値のみならず稼働時期、稼働時間帯、稼働時刻を考慮して定めることができる。
なお以上説明した本実施形態では、インターネット2を含む通信手段1を想定しているが、本発明の通信手段1はこれに限定されるわけではなく、インターネット2を含まない通信手段によっても構築することが可能である。要は実施形態で説明したのと同等の通信がなされるのであれば、別の通信手段に置換することが可能である。また本実施形態では無線通信と有線通信を組み合わせた通信手段1を想定しているが、もちろん無線通信だけとしてもよく、また有線通信だけとしてもよい。
さらに本実施形態では、移動体情報を端末に、画像データとして表示するという提示形式を想定しているが、本発明としては、端末に音声として出力することで移動体情報を提示してもよく、また端末に印字データとして印刷出力させてもよい。要は端末での移動体情報の提示形式は任意である。
また本実施形態では、主に建設機械を含む複数の移動体を管理、監視する場合を想定しているが、本発明としてはこれに限定されるわけではなく、一般の自動車、二輪車などを管理、監視する場合にも適用することができる。