JP5134247B2 - スルホンアミド含有化合物の血管新生阻害物質との併用 - Google Patents
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近年、有用な抗腫瘍剤として、スルホンアミド含有化合物が報告されている(1−4)。特に、N−(3−クロロ−1H−インドール−7−イル)−4−スルファモイルベンゼンスルホンアミド(以下、E7070と称する場合がある)、N−(3−シアノ−4−メチル−1H−インドール−7−イル)−3−シアノベンゼンスルホンアミド(以下、E7820と称する場合がある)、N−[[(4−クロロフェニル)アミノ]カルボニル]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−スルホンアミド(以下、LY186641と称する場合がある)、N−[[(3,4−ジクロロフェニル)アミノ]カルボニル]−2,3−ジヒドロベンゾフラン−5−スルホンアミド(以下、LY295501と称する場合がある)、N−(2,4−ジクロロベンゾイル)−4−クロロフェニルスルホンアミド(以下、LY−ASAPと称する場合がある)、N−(2,4−ジクロロベンゾイル)−5−ブロモチオフェン−2−スルホンアミド(以下、LY573636と称する場合がある)、2−スルファニルアミド−5−クロロキノキサリン(以下、CQSと称する場合がある)などは、種々のタイプの腫瘍に活性を示し非常に有用である。
これまでに、スルホンアミド含有化合物の一つであるE7820と血管新生阻害剤とを併用することにより、すぐれた血管新生阻害活性および抗腫瘍活性を示すことが報告されている(5)。
近年、種々のDNAマイクロアレイを用い、多数の遺伝子の発現量を同時に検出する方法が確立され、DNAマイクロアレイは、幅広い目的に応用されている(6−7)。また、DNAマイクロアレイ(一部メンブランフィルターを用いたマクロアレイ)を用いて、腫瘍細胞に抗癌剤を作用させた際に起こる遺伝子発現変化を検討した報告もいくつか成されている(8−10)。これらの報告は、遺伝子発現の変動解析が、複数の細胞集団の特性比較や、薬剤の処理等により細胞に引き起こされる生物学的な変化を、分子レベルで包括的に研究するために極めて有用であることを示している。
また、米国National Cancer Instituteの60種類の癌細胞株パネルについて遺伝子発現プロファイルを解析することにより、これら細胞株を再分類し、その特性を検討した報告(11)、さらに、この60種類の癌細胞株パネルの遺伝子発現プロファイルと、各細胞株の各種抗癌剤に対する感受性との間の関連について考察した報告(12)等がなされている。
参考文献
(1)特開平7−165708号公報
(2)国際公開第00/50395号パンフレット
(3)欧州特許出願公開第0222475号明細書
(4)国際公開第02/098848号パンフレット
(5)国際公開第03/074045号パンフレット
(6)Schena M,Shalon D,Davis RW,Brown PO.Science,1995,270,467−70.
(7)Lockhart,D.J.,Dong,H.,Byrne,M.C.,Follettie,M.T.,Gallo,M.V.,Chee,M.S.,Mittmann,M.,Wang C.,Kobayashi,M.,Horton,H.Brown,E.L.,Nature Biotechnology,1996,14,1675−1680.
(8)Rhee CH,Ruan S,Chen S,Chenchik A,Levin VA,Yung AW,Fuller GN,Zhang W,Oncol Rep,1999,6,393−401.
(9)Zimmermann J,Erdmann D,Lalande I,Grossenbacher R,Noorani M,Furst P,Oncogene,2000,19,2913−20.
(10)Kudoh K,Ramanna M,Ravatn R,Elkahloun AG,Bittner ML,Meltzer PS,Trent JM,Dalton WS,Chin KV,Cancer Res,2000,4161−6.
(11)Ross DT,Scherf U,Eisen MB,Perou CM,Rees C,Spellman P,Iyer V,Jeffrey SS,Van de Rijn M,Waltham M,Pergamenschikov A,Lee JC,Lashkari D,Shalon D,Myers TG,Weinstein JN,Botstein D,Brown PO,Nat Genet,2000,24,227−35.
(12)Scherf U,Ross DT,Waltham M,Smith LH,Lee JK,Tanabe L,Kohn KW,Reinhold WC,Myers TG,Andrews DT,Scudiero DA,Eisen MB,Sausville EA,Pommier Y,Botstein D,Brown PO,Weinstein JN,Nat Genet,2000,24,236−44.
本発明者らは、上記課題を解決するため、鋭意検討を重ねた結果、DNAマイクロアレイおよび癌細胞株パネルの実験において、E7820、E7070、LY186641、LY295501、LY573636もしくはCQSまたはこれらの組み合わせによる遺伝子変動パターンおよび細胞増殖抑制活性が、高い相関を示すことを見出した。また、細胞増殖抑制活性を測定するアッセイにおいて、E7070に耐性を示す癌細胞株が、E7820、LY186641、LY295501、LY−ASAP、LY573636およびCQSに交叉耐性を示すことを見出した。本発明者は、これらの結果から、E7070、E7820、LY186641、LY295501、LY−ASAP、LY573636もしくはCQSまたはこれらの組み合わせは、同一または類似の作用機序を有し、同一または類似の遺伝子変化および効果をもたらすという知見を得た。
一方、E7820は、血管新生阻害物質と併用することにより、すぐれた血管新生阻害活性および抗腫瘍活性を示すことが報告されている(WO03/074045)。よって、上記の知見に基づくと、E7070、LY186641、LY295501、LY−ASAP、LY573636もしくはCQSまたはこれらの組み合わせも、血管新生阻害物質と併用することにより、すぐれた血管新生阻害活性および抗腫瘍活性を示すと考えられ、スルホンアミド含有化合物、好ましくはE7070、LY186641、LY295501、LY−ASAP、LY573636もしくはCQSまたはこれらの組み合わせと血管新生阻害物質との組み合わせは、有用な医薬組成物およびキットであることを見出した。
すなわち、本発明は以下に関する。
(1)スルホンアミド含有化合物と血管新生阻害物質とを組み合わせてなる医薬組成物。
(2)(a)スルホンアミド含有化合物と血管新生阻害物質とを併用することを記載した、包装容器、取扱説明書および添付文書からなる群から選択される少なくとも1つと、
(b)スルホンアミド含有化合物を含む医薬組成物と、
を含有するキット。
(3)スルホンアミド含有化合物を含んでなる製剤と、血管新生阻害物質を含んでなる製剤とをセットにしたことを特徴とするキット。
(4)スルホンアミド含有化合物と血管新生阻害物質とを患者に投与することを特徴とする癌の予防もしくは治療方法および/または血管新生阻害方法。
(5)血管新生阻害物質と組み合わせてなる医薬組成物の製造のためのスルホンアミド含有化合物の使用。
(6)血管新生阻害物質とともに患者に投与されることを特徴とするスルホンアミド含有化合物を含む医薬組成物。
前記スルホンアミド含有化合物は、
一般式(I)
[式中、Eは、−O−、−N(CH3)−、−CH2−、−CH2CH2−または−CH2O−を、Dは、−CH2−または−O−を、R1aは、水素原子またはハロゲン原子を、R2aは、ハロゲン原子またはトリフルオロメチル基をそれぞれ意味する。]
で表わされる化合物、
一般式(II)
[式中、Jは、−O−または−NH−を、R1bは、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいC1−6アルキル基、置換基を有していてもよいC1−4アルコキシ基、置換基を有していてもよいC1−4アルキルチオ基、置換基を有していてもよいC2−5アルコキシカルボニル基、ニトロ基、アジド基、−O(SO2)CH3、−N(CH3)2、水酸基、フェニル基、置換基を有するフェニル基、ピリジニル基、チエニル基、フリル基、キノリニル基またはトリアゾール基を、R2bは、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、置換基を有していてもよいC1−6アルキル基、置換基を有していてもよいC2−5アルコキシカルボニル基、置換基を有していてもよいC1−4アルコキシ基、置換基を有していてもよいフェニル基または置換基を有していてもよいキノリニル基を、R3bは、水素原子または置換基を有していてもよいC1−4アルコキシ基を、R4bは、水素原子または置換基を有していてもよいC1−6アルキル基(但し、R3bおよびR4bの少なくとも一つは、水素原子である)を、R5bは、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいC1−6アルキル基またはニトロ基を、R6bは、水素原子、ハロゲン原子または置換基を有していてもよいC1−6アルキル基(但し、R6bが置換基を有していてもよいC1−6アルキル基のとき、R5bは水素原子であり、R7bはハロゲン原子である)を、R7bは、ハロゲン原子または置換基を有していてもよいC1−6アルキル基(但し、R5bまたはR7bのいずれか一方が、置換基を有していてもよいC1−6アルキル基であるか、あるいはR7bが、ハロゲン原子または置換基を有していてもよいC1−6アルキル基である場合には、R5bまたはR6bのいずれか一方が、水素原子である)をそれぞれ意味する。]
で表わされる化合物、
式(III)
で表わされる化合物および
式(IV)
で表わされる化合物からなる群から選択される少なくとも1つの化合物、もしくはその薬理学的に許容される塩、またはそれらの溶媒和物があげられる。
また、前記スルホンアミド含有化合物は、
式(IX)
で表わされる化合物、もしくはその薬理学的に許容される塩、またはそれらの溶媒和物でもよい。
また、本発明は以下に関する。
(7)スルホンアミド含有化合物とVEGF receptor kinase阻害物質とを組み合わせてなる医薬組成物。
(8)(a)スルホンアミド含有化合物とVEGF receptor kinase阻害物質とを併用することを記載した、包装容器、取扱説明書および添付文書からなる群から選択される少なくとも1つと、
(b)スルホンアミド含有化合物を含む医薬組成物と、
を含有するキット
(9)スルホンアミド含有化合物を含んでなる製剤と、VEGF receptor kinase阻害物質を含んでなる製剤とをセットにしたことを特徴とするキット。
(10)スルホンアミド含有化合物とVEGF receptor kinase阻害物質とを患者に投与することを特徴とする癌の予防もしくは治療方法および/または血管新生阻害方法。
(11)VEGF receptor kinase阻害物質と組み合わせてなる医薬組成物の製造のためのスルホンアミド含有化合物の使用。
(12)VEGF receptor kinase阻害物質とともに患者に投与されることを特徴とするスルホンアミド含有化合物を含む医薬組成物。
前記スルホンアミド含有化合物は、
一般式(XIV)
[式中、
A環は、置換基を有していてもよい、単環式または二環式芳香環を、
B環は、置換基を有していてもよい、6員環式不飽和炭化水素またはヘテロ原子として窒素原子を1個含む不飽和6員ヘテロ環を、
C環は、置換基を有していてもよい、窒素原子を1または2個含む5員ヘテロ環を、
Wは、単結合または−CH=CH−を、
Xは−N(R1)−または酸素原子を、
Yは
を、
Zは−N(R2)−を意味し、
ここで、R1、R2およびR3は、それぞれ独立して同一または異なって水素原子または低級アルキル基を、
意味する。]
で表わされる化合物、もしくはその薬理学的に許容される塩、またはそれらの溶媒和物をあげることができる。
前記VEGF receptor kinase阻害物質は、
(10)N−{2−クロロ−4−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリル)オキシ]フェニル}−N’−(5−メチル−3−イソキサゾリル)ウレア、
(11)4−[(4−フルオロ−2−メチルインドール−5−イル)オキシ]−6−メトキシ−7−[3−(ピロリジン−1−イル)プロポキシ]キナゾリン、
(12)6−[2−(メチルカルバモイル)フェニルスルファニル]−3−E−[2−(ピリジン−2−イル)エテニル]インダゾール、
(13)5−((Z)−(5−フルオロ−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−3H−インドール−3−イリデン)メチル)−N−((2S)−2−ヒドロキシ−3−モルホリン−4−イルプロピル)−2,4−ジメチル−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
(14)3−((キノリン−4−イルメチル)アミノ)−N−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)チオフェン−2−カルボキサミド、
(15)6−(2,6−ジクロロフェニル)−8−メチル−2−フェニルアミノ−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン、
(16)2−((1,6−ジヒドロ−6−オキソ−ピリジン−3−イルメチル)アミノ)−N−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−ピリジン−カルボキサミド、
(17)4−(4−(4−クロロ−フェニルアミノ)−フロ[2,3−d]ピリダジン−7−イルオキシメチル)−ピリジン−2−カルボキシリック アシッド メチルアミド、
(18)N−(3−トリフルオロメチル−4−クロロフェニル)−N’−(4−(2−メチルカルバモイルピリジン−4−イル)オキシフェニル)ウレア、
(19)4−アミノ−5−フルオロ−3−(6−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)−1H−キノリン−2−オン、
(20)4−(4−(1−アミノ−1−メチル−エチル)−フェニル)−2−(4−(2−モルホリン−4−イル−エチル)−フェニルアミノ)−ピリミジン−5−カルボニトリル、
(21)[6−[4−[(4−エチルピペラジン−1−イル)メチル]フェニル]−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル]−((R)−1−フェニルエチル)アミン、
(22)9−(1−メチルエトキシ)メチル−12−(3−ヒドロキシプロピル)−6H,7H,13H−インデノ[2,1−a]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−5−オン、
(23)N−(2,4−ジフルオロフェニル)−N’−{4−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリル)−オキシ]−2−フルオロフェニル}ウレア、
(24)5−[N−メチル−N−(4−オクタデシルオキシフェニル)アセチル]アミノ−2−メチルチオベンゾイック アシッド、
(25)N−[4−(3−アミノ−1H−インダゾール−4−イル)フェニル]−N’−(2−フルオロ−5−メチルフェニル)ウレア、
(26)2−メチル−6−[2−(1−メチル−1H−イミダゾール−2−イル)−チエノ[3,2−b]ピリジン−7−イルオキシ]−ベンゾ[b]チオフェン−3−カルボキシリック アシッド メチルアミド、
(27)(R)−1−(4−(4−フルオロ−2−メチル−1H−インドール−5−イルオキシ)−5−メチルピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−6−イルオキシ)プロパン−2−オール
および
(28)(S)−((R)−1−(4−(4−フルオロ−2−メチル−1H−インドール−5−イルオキシ)−5−メチルピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−6−イルオキシ)プロパン−2−オール)2−アミノプロパノエート
からなる群から選択される少なくとも1つの化合物、もしくはその薬理学的に許容される塩、またはそれらの溶媒和物をあげることができる。
また、前記VEGF receptor kinase阻害物質は、
4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド、もしくはその薬理学的に許容される塩、またはそれらの溶媒和物であってもよい。
本発明により、すぐれた血管新生阻害活性および/または抗腫瘍活性を示す医薬組成物およびキットが提供される。
より具体的には、スルホンアミド含有化合物、好ましくはE7070、LY186641、LY295501、LY−ASAP、LY573636もしくはCQSまたはこれらの組み合わせと血管新生阻害物質とを組み合わせることにより、すぐれた血管新生阻害活性および/または抗腫瘍活性を示す医薬組成物およびキットが提供され、癌の治療または血管新生の阻害に用いることが可能となった。また、スルホンアミド含有化合物、好ましくはE7820とVEGF receptor kinase阻害物質とを組み合わせることにより、すぐれた血管新生阻害活性および/または抗腫瘍活性を示す医薬組成物およびキットが提供され、癌の治療または血管新生の阻害に用いることが可能となった。
図2は、実施例2におけるDNAマイクロアレイにおける相関係数を示す。
図3は、実施例2におけるDNAマイクロアレイにおける階層的クラスターリング解析の結果を示す。
図4は、実施例2におけるDNAマイクロアレイにおける相関係数を示す。
図5は、実施例2におけるDNAマイクロアレイにおける階層的クラスターリング解析の結果を示す。
図6は、細胞増殖抑制活性を測定するアッセイにおける、HCT116−C9、HCT116−C9−C1およびHCT116−C9−C4に対するE7070、E7820、CQS、LY186641、LY295501およびLY−ASAPの増殖抑制作用を示したものである。
図7は、細胞増殖抑制活性を測定するアッセイにおける、HCT116−C9、HCT116−C9−C1およびHCT116−C9−C4に対するE7070およびLY573636の増殖抑制作用を示したものである。
図8は、ヒト腎癌細胞株(786−O)皮下移植モデル(in vivo)における腫瘍増殖に対するE7820と4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミドとの併用効果を示す。図8中、化合物Aは、4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミドを示す。
なお、本明細書において引用した文献、および公開公報、特許公報その他の特許文献は、参照として本明細書に組み込むものとする。
本明細書において、「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を意味する。
本明細書において、「C1−6アルキル基」とは、炭素数が1〜6個の直鎖状または分枝鎖状のアルキル基を意味し、具体例としては、メチル基、エチル基、1−プロピル基(n−プロピル基)、2−プロピル基(i(iso)−プロピル基、イソプロピル基)、2−メチル−1−プロピル基(i−ブチル基、イソブチル基)、2−メチル−2−プロピル基(t(tert)−ブチル基)、1−ブチル基(n−ブチル基)、2−ブチル基(s(sec)−ブチル基)、1−ペンチル基(n−ペンチル基(アミル基))、2−ペンチル基(1−メチルブチル基)、3−ペンチル基(1−エチルプロピル基)、2−メチル−1−ブチル基(2−メチルブチル基)、3−メチル−1−ブチル基(イソペンチル基)、2−メチル−2−ブチル基(t(tert)−ペンチル基)、3−メチル−2−ブチル基(1,2−ジメチルプロピル基)、2,2−ジメチル−1−プロピル基(ネオペンチル基)、1−ヘキシル基(n−ヘキシル基)、2−ヘキシル基(1−メチルペンチル基)、3−ヘキシル基(1−エチルブチル基)、2−メチル−1−ペンチル基(2−メチルペンチル基)、3−メチル−1−ペンチル基(3−メチルペンチル基)、4−メチル−1−ペンチル基(イソヘキシル基)、2−メチル−2−ペンチル基(1,1−ジメチルブチル基)、3−メチル−2−ペンチル基(1,2−ジメチルブチル基)、4−メチル−2−ペンチル基(1,3−ジメチルブチル基)、2−メチル−3−ペンチル基(1−エチル−2−メチルプロピル基)、3−メチル−3−ペンチル基(1−エチル−1−メチルプロピル基)、2,3−ジメチル−1−ブチル基(2,3−ジメチルブチル基)、3,3−ジメチル−1−ブチル基(3,3−ジメチルブチル基)、2,2−ジメチル−1−ブチル基(2,2−ジメチルブチル基)、2−エチル−1−ブチル基(2−エチルブチル基)、3,3−ジメチル−2−ブチル基(1,2,2−トリメチルプロピル基)、2,3−ジメチル−2−ブチル基(1,1,2−トリメチルプロピル基)などがあげられる。
「C1−6アルキル基」の好適な例としては、メチル基、エチル基、1−プロピル基、2−プロピル基、2−メチル−1−プロピル基、2−メチル−2−プロピル基、1−ブチル基、2−ブチル基をあげることができる。
本明細書において、「C1−6アルキレン基」とは、上記定義「C1−6アルキル基」からさらに任意の水素原子を1個除いて誘導される二価の基を意味し、具体例としては、メチレン基、1,2−エチレン基、1,1−エチレン基、1,3−プロピレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基などがあげられる。
本明細書において、「C2−6アルケニル基」とは、二重結合を1個有する、炭素数が2〜6個の直鎖状または分枝鎖状のアルケニル基を意味し、具体例としては、エテニル基(ビニル基)、1−プロペニル基、2−プロペニル基(アリル基)、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基などがあげられる。
本明細書において、「C2−6アルキニル基」とは、三重結合を1個有する、炭素数が2〜6個の直鎖状または分枝鎖状のアルキニル基を意味し、具体例としては、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基などがあげられる。
本明細書において、「C3−8シクロアルキル基」とは、炭素数が3〜8個の単環または二環の飽和脂肪族炭化水素基を意味し、具体例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、ビシクロ[2.1.0]ペンチル基、ビシクロ[3.1.0]ヘキシル基、ビシクロ[2.1.1]ヘキシル基、ビシクロ[4.1.0]ヘプチル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル基(ノルボルニル基)、ビシクロ[3.3.0]オクチル基、ビシクロ[3.2.1]オクチル基、ビシクロ[2.2.2]オクチル基などがあげられる。
「C3−8シクロアルキル基」の好適な例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基をあげることができる。
本明細書において、「C6−10アリール基」とは、炭素数が6〜10個の芳香族性の炭化水素環式基を意味し、具体例としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、インデニル基、アズレニル基などがあげられる。
「C6−10アリール基」の好適な例としては、フェニル基をあげることができる。
本明細書において、「ヘテロ原子」とは、窒素原子、酸素原子または硫黄原子を意味する。
本明細書において、「5〜10員ヘテロアリール基」とは、環を構成する原子の数が5〜10個であり、環を構成する原子中に1〜5個のヘテロ原子を含有する芳香族性の環式基を意味し、具体例としては、フリル基、チエニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、チアゾリル基、ピラゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、イソチアゾリル基、フラザニル基、チアジアゾリル基、オキサジアゾリル基、ピリジル基、ピラジニル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、プリニル基、プテリジニル基、キノリル基、イソキノリル基、ナフチリジニル基、キノキサリニル基、シンノリニル基、キナゾリニル基、フタラジニル基、イミダゾピリジル基、イミダゾチアゾリル基、イミダゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、インドリル基、イソインドリル基、インダゾリル基、ピロロピリジル基、チエノピリジル基、フロピリジル基、ベンゾチアジアゾリル基、ベンゾオキサジアゾリル基、ピリドピリミジニル基、ベンゾフリル基、ベンゾチエニル基、チエノフリル基などがあげられる。
「5〜10員ヘテロアリール基」の好適な例としては、フリル基、チエニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、チアゾリル基、ピラゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、イソチアゾリル基、ピリジル基、ピリミジニル基をあげることができる。
本明細書において、「3〜10員非芳香族ヘテロ環式基」とは、
(1)環を構成する原子の数が3〜10個であり、
(2)環を構成する原子中に1〜2個のヘテロ原子を含有し、
(3)環中に二重結合を1〜2個含んでいてもよく、
(4)環中にカルボニル基、スルフィニル基またはスルホニル基を1〜3個含んでいてもよい、
(5)単環式または二環式である非芳香族性の環式基を意味し、環を構成する原子中に窒素原子を含有する場合、窒素原子から結合手が出ていてもよい。具体例としては、アジリジニル基、アゼチジニル基、ピロリジニル基、ピペリジニル基、アゼパニル基、アゾカニル基、ピペラジニル基、ジアゼパニル基、ジアゾカニル基、ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプチル基、モルホリニル基、チオモルホリニル基、1,1−ジオキソチオモルホリニル基、オキシラニル基、オキセタニル基、テトラヒドロフリル基、ジオキソラニル基、テトラヒドロピラニル基、ジオキサニル基、テトラヒドロチエニル基、テトラヒドロチオピラニル基、オキサゾリジニル基、チアゾリジニル基などがあげられる。
「3〜10員非芳香族ヘテロ環式基」の好適な例としては、アジリジニル基、アゼチジニル基、ピロリジニル基、ピペリジニル基、アゼパニル基、ピペラジニル基、ジアゼパニル基、モルホリニル基、チオモルホリニル基、1,1−ジオキソチオモルホリニル基、テトラヒドロフリル基、テトラヒドロピラニル基をあげることができる。
本明細書において、「C1−6アルコキシ基」とは、上記定義「C1−6アルキル基」の末端に酸素原子が結合した基であることを意味し、具体的としては、メトキシ基、エトキシ基、1−プロポキシ基(n−プロポキシ基)、2−プロポキシ基(i−プロポキシ基)、2−メチル−1−プロポキシ基(i−ブトキシ基)、2−メチル−2−プロポキシ基(t−ブトキシ基)、1−ブトキシ基(n−ブトキシ基)、2−ブトキシ基(s−ブトキシ基)、1−ペンチルオキシ基、2−ペンチルオキシ基、3−ペンチルオキシ基、2−メチル−1−ブトキシ基、3−メチル−1−ブトキシ基、2−メチル−2−ブトキシ基、3−メチル−2−ブトキシ基、2,2−ジメチル−1−プロポキシ基、1−ヘキシルオキシ基、2−ヘキシルオキシ基、3−ヘキシルオキシ基、2−メチル−1−ペンチルオキシ基、3−メチル−1−ペンチルオキシ基、4−メチル−1−ペンチルオキシ基、2−メチル−2−ペンチルオキシ基、3−メチル−2−ペンチルオキシ基、4−メチル−2−ペンチルオキシ基、2−メチル−3−ペンチルオキシ基、3−メチル−3−ペンチルオキシ基、2,3−ジメチル−1−ブトキシ基、3,3−ジメチル−1−ブトキシ基、2,2−ジメチル−1−ブトキシ基、2−エチル−1−ブトキシ基、3,3−ジメチル−2−ブトキシ基、2,3−ジメチル−2−ブトキシ基などがあげられる。
「C1−6アルコキシ基」の好適な例としては、「C1−4アルコキシ基」を挙げることができ、例えば、メトキシ基、エトキシ基、1−プロポキシ基、2−プロポキシ基、2−メチル−1−プロポキシ基、2−メチル−2−プロポキシ基、1−ブトキシ基、2−ブトキシ基をあげることができる。
本明細書において、「C1−6アルキルチオ基」とは、上記定義「C1−6アルキル基」の末端に硫黄原子が結合した基であることを意味し、具体例としては、メチルチオ基、エチルチオ基、1−プロピルチオ基(n−プロピルチオ基)、2−プロピルチオ基(i−プロピルチオ基(イソプロピルチオ基))、2−メチル−1−プロピルチオ基(i−ブチルチオ基(イソブチルチオ基))、2−メチル−2−プロピルチオ基(t(tert)−ブチルチオ基)、1−ブチルチオ基(n−ブチルチオ基)、2−ブチルチオ基(s(sec)−ブチルチオ基)、1−ペンチルチオ基、2−ペンチルチオ基、3−ペンチルチオ基、2−メチル−1−ブチルチオ基、3−メチル−1−ブチルチオ基、2−メチル−2−ブチルチオ基、3−メチル−2−ブチルチオ基、2,2−ジメチル−1−プロピルチオ基、1−ヘキシルチオ基、2−ヘキシルチオ基、3−ヘキシルチオ基、2−メチル−1−ペンチルチオ基、3−メチル−1−ペンチルチオ基、4−メチル−1−ペンチルチオ基、2−メチル−2−ペンチルチオ基、3−メチル−2−ペンチルチオ基、4−メチル−2−ペンチルチオ基、2−メチル−3−ペンチルチオ基、3−メチル−3−ペンチルチオ基、2,3−ジメチル−1−ブチルチオ基、3,3−ジメチル−1−ブチルチオ基、2,2−ジメチル−1−ブチルチオ基、2−エチル−1−ブチルチオ基、3,3−ジメチル−2−ブチルチオ基、2,3−ジメチル−2−ブチルチオ基などがあげられる。
「C1−6アルキルチオ基」の好適な例としては、「C1−4アルキルチオ基」を挙げることができ、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、1−プロピルチオ基、2−プロピルチオ基、2−メチル−1−プロピルチオ基、2−メチル−2−プロピルチオ基、1−ブチルチオ基、2−ブチルチオ基をあげることができる。
本明細書において、「C3−8シクロアルコキシ基」とは、上記定義「C3−8シクロアルキル基」の末端に酸素原子が結合した基であることを意味し、具体的としては、シクロプロポキシ基、シクロブトキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロヘプチルオキシ基、シクロオクチルオキシ基、ビシクロ[2.1.0]ペンチルオキシ基、ビシクロ[3.1.0]ヘキシルオキシ基、ビシクロ[2.1.1]ヘキシルオキシ基、ビシクロ[4.1.0]ヘプチルオキシ基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチルオキシ基(ノルボルニルオキシ基)、ビシクロ[3.3.0]オクチルオキシ基、ビシクロ[3.2.1]オクチルオキシ基、ビシクロ[2.2.2]オクチルオキシ基などがあげられる。
「C3−8シクロアルコキシ基」の好適な例としては、シクロプロポキシ基、シクロブトキシ基、シクロペンチルオキシ基をあげることができる。
本明細書において、「モノ−C1−6アルキルアミノ基」とは、アミノ基中の1個の水素原子を、上記定義「C1−6アルキル基」で置換した基を意味し、具体例としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、1−プロピルアミノ基(n−プロピルアミノ基)、2−プロピルアミノ基(i−プロピルアミノ基)、2−メチル−1−プロピルアミノ基(i−ブチルアミノ基)、2−メチル−2−プロピルアミノ基(t−ブチルアミノ基)、1−ブチルアミノ基(n−ブチルアミノ基)、2−ブチルアミノ基(s−ブチルアミノ基)、1−ペンチルアミノ基、2−ペンチルアミノ基、3−ペンチルアミノ基、2−メチル−1−ブチルアミノ基、3−メチル−1−ブチルアミノ基、2−メチル−2−ブチルアミノ基、3−メチル−2−ブチルアミノ基、2,2−ジメチル−1−プロピルアミノ基、1−ヘキシルアミノ基、2−ヘキシルアミノ基、3−ヘキシルアミノ基、2−メチル−1−ペンチルアミノ基、3−メチル−1−ペンチルアミノ基、4−メチル−1−ペンチルアミノ基、2−メチル−2−ペンチルアミノ基、3−メチル−2−ペンチルアミノ基、4−メチル−2−ペンチルアミノ基、2−メチル−3−ペンチルアミノ基、3−メチル−3−ペンチルアミノ基、2,3−ジメチル−1−ブチルアミノ基、3,3−ジメチル−1−ブチルアミノ基、2,2−ジメチル−1−ブチルアミノ基、2−エチル−1−ブチルアミノ基、3,3−ジメチル−2−ブチルアミノ基、2,3−ジメチル−2−ブチルアミノ基などがあげられる。
本明細書において、「ジ−C1−6アルキルアミノ基」とは、アミノ基中の2個の水素原子を、それぞれ同一のまたは異なる、上記定義「C1−6アルキル基」で置換した基を意味し、具体例としては、N,N−ジメチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基、N,N−ジ−n−プロピルアミノ基、N,N−ジ−i−プロピルアミノ基、N,N−ジ−n−ブチルアミノ基、N,N−ジ−i−ブチルアミノ基、N,N−ジ−s−ブチルアミノ基、N,N−ジ−t−ブチルアミノ基、N−エチル−N−メチルアミノ基、N−n−プロピル−N−メチルアミノ基、N−i−プロピル−N−メチルアミノ基、N−n−ブチル−N−メチルアミノ基、N−i−ブチル−N−メチルアミノ基、N−s−ブチル−N−メチルアミノ基、N−t−ブチル−N−メチルアミノ基などがあげられる。
本明細書において、「C2−7アシル基」とは、上記定義の「C1−6アルキル基」が結合したカルボニル基であることを意味し、具体例としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、イソプロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、ピバロイル基などがあげられる。
本明細書において、「C2−7アルコキシカルボニル基」とは、上記定義の「C1−6アルコキシ基」が結合したカルボニル基であることを意味し、具体例としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、1−プロピルオキシカルボニル基、2−プロピルオキシカルボニル基、2−メチル−2−プロポキシ基(t−ブトキシカルボニル基)などがあげられる。
本明細書において、「C2−5アルコキシカルボニル基」とは、上記定義の「C1−4アルコキシ基」が結合したカルボニル基であることを意味し、具体例としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、1−プロピルオキシカルボニル基、2−プロピルオキシカルボニル基、2−メチル−2−プロポキシ基などがあげられる。
本明細書において、「置換基を有していてもよい(有する)」とは、「置換可能な部位に、任意に組み合わせて1または複数個の置換基を有してもよい(有する)」ことを意味する。本明細書において、置換基の具体例としては、例えば、ハロゲン原子、水酸基、チオール基、ニトロ基、シアノ基、ホルミル基、カルボキシル基、アミノ基、シリル基、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基、C3−8シクロアルキル基、C6−10アリール基、5〜10員ヘテロアリール基、3〜10員非芳香族ヘテロ環式基、C1−6アルコキシ基、C1−6アルキルチオ基、C3−8シクロアルコキシ基、モノ−C1−6アルキルアミノ基、ジ−C1−6アルキルアミノ基、C2−7アシル基またはC2−7アルコキシカルボニル基などをあげることができる(ただし、アミノ基、C1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基、C3−8シクロアルキル基、C6−10アリール基、5〜10員ヘテロアリール基、3〜10員非芳香族ヘテロ環式基、C1−6アルコキシ基、C1−6アルキルチオ基、C3−8シクロアルコキシ基、モノ−C1−6アルキルアミノ基、ジ−C1−6アルキルアミノ基、C2−7アシル基およびC2−7アルコキシカルボニル基はそれぞれ独立して下記置換基群からなる群から選ばれる1〜3個の基を有していてもよい)。本明細書において、上記例示の他に置換基の例を挙げる場合もある。
<置換基群>
ハロゲン原子、水酸基、チオール基、ニトロ基、シアノ基、シリル基、C1−6アルキル基、C3−8シクロアルキル基、C2−6アルケニル基、C2−6アルキニル基、C6−10アリール基、5〜10員ヘテロアリール基、3〜10員非芳香族ヘテロ環式基、C1−6アルコキシ基およびC1−6アルキルチオ基。
1.スルホンアミド含有化合物
本発明において、スルホンアミド含有化合物は、下記の一般式(I)で表される化合物を含む。
上記一般式(I)において、式中、Eは、−O−、−N(CH3)−、−CH2−、−CH2CH2−または−CH2O−を、Dは、−CH2−または−O−を、R1aは、水素原子またはハロゲン原子を、R2aは、ハロゲン原子またはトリフルオロメチル基をそれぞれ意味する。
本発明の一般式(I)で表される化合物は、公知の方法により製造でき、例えば、欧州特許出願公開第0222475A1号に記載の方法によって製造することができる。
一般式(I)において、好ましい化合物は、LY186641またはLY295501である。
LY186641とは、N−[[(4−クロロフェニル)アミノ]カルボニル]−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−スルホンアミドをいい、その構造式を以下の式(VII)に示す。
LY186641は、公知の方法で製造でき、例えば、欧州特許出願公開第0222475A1号に記載の方法で製造することができる。
本発明において、LY295501とは、N−[[(3,4−ジクロロフェニル)アミノ]カルボニル]−2,3−ジヒドロベンゾフラン−5−スルホンアミドをいい、その構造式を以下の式(VIII)に示す。
LY295501は、公知の方法で製造でき、例えば、欧州特許出願公開第0222475A1号および/または欧州特許出願公開第0555036A2号に記載の方法で製造することができる。
また、本発明において、スルホンアミド含有化合物は、下記の一般式(II)で表される化合物を含む。
一般式(II)において、式中、Jは、−O−または−NH−を、R1bは、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいC1−6アルキル基、置換基を有していてもよいC1−4アルコキシ基、置換基を有していてもよいC1−4アルキルチオ基、置換基を有していてもよいC2−5アルコキシカルボニル基、ニトロ基、アジド基、−O(SO2)CH3、−N(CH3)2、水酸基、フェニル基、置換基を有するフェニル基、ピリジニル基、チエニル基、フリル基、キノリニル基またはトリアゾール基を、R2bは、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、置換基を有していてもよいC1−6アルキル基、置換基を有していてもよいC2−5アルコキシカルボニル基、置換基を有していてもよいC1−4アルコキシ基、置換基を有していてもよいフェニル基または置換基を有していてもよいキノリニル基を、R3bは、水素原子または置換基を有していてもよいC1−4アルコキシ基を、R4bは、水素原子または置換基を有していてもよいC1−6アルキル基(但し、R3bおよびR4bの少なくとも一つは、水素原子である)を、R5bは、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいC1−6アルキル基またはニトロ基を、R6bは、水素原子、ハロゲン原子または置換基を有していてもよいC1−6アルキル基(但し、R6bが置換基を有していてもよいC1−6アルキル基のとき、R5bは水素原子であり、R7bはハロゲン原子である)を、R7bは、ハロゲン原子または置換基を有していてもよいC1−6アルキル基(但し、R5bまたはR7bのいずれか一方が、置換基を有していてもよいC1−6アルキル基であるか、あるいはR7bが、ハロゲン原子または置換基を有していてもよいC1−6アルキル基である場合には、R5bまたはR6bのいずれか一方が、水素原子である)をそれぞれ意味する。
一般式(II)において、「C1−6アルキル基」は、好ましくはメチル基、エチル基、1−プロピル基、2−プロピル基、2−メチル−1−プロピル基、2−メチル−2−プロピル基、1−ブチル基、2−ブチル基などを挙げることができ、これらのうち、最も好ましい基としてはメチル基、エチル基、1−プロピル基、2−プロピル基を挙げることができる。
また、一般式(II)において、置換基を有していてもよいC1−6アルキル基は、例えば、トリフルオロメチル基を挙げることができる。
一般式(II)において、「C1−4アルコキシ基」は、好ましくはメトキシ基、エトキシ基、1−プロポキシ基、2−プロポキシ基、1−ブトキシ基を挙げることができる。
また、一般式(II)において、置換基を有していてもよいC1−4アルコキシ基は、例えば、−OCF3を挙げることができる。
一般式(II)において、「C1−4アルキルチオ基」は、好ましくはメチルチオ基、エチルチオ基、1−プロピルチオ基、2−プロピルチオ基、2−メチル−1−プロピルチオ基、2−メチル−2−プロピル基、1−ブチルチオ基、2−ブチルチオ基等を挙げることができる。
また、一般式(II)において、置換基を有していてもよいC1−4アルキルチオ基は、例えば、−SCF3を挙げることができる。
一般式(II)において、「C2−5アルコキシカルボニル基」は、好ましくはメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、1−プロピルオキシカルボニル基、2−プロピルオキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基等を挙げることができる。
一般式(II)において、導入される置換基としては、例えば、C1−6アルキル基、C1−4アルコキシ基、アミノ基、水酸基、ハロゲン原子またはシリル基などの置換基を挙げることができる。
本発明の一般式(II)で表される化合物は、公知の方法により製造でき、例えば、国際公開第02/098848号パンフレット(WO02/098848)に記載の方法によって製造することができる。
一般式(II)において、好ましい化合物はLY−ASAPである。
LY−ASAPとは、N−(2,4−ジクロロベンゾイル)−4−クロロフェニルスルホンアミドをいい、その構造式を以下の式(XI)に示す。
LY−ASAPは、公知の方法で製造でき、例えば、国際公開第02/098848号パンフレット(WO02/098848)に記載の方法で製造することができる。
本発明において、スルホンアミド含有化合物には、LY573636を挙げることができる。本発明において、LY573636とは、N−(2,4−ジクロロベンゾイル)−5−ブロモチオフェン−2−スルホンアミドをいい、その構造式を以下の式(III)に示す。
LY573636は、ナトリウム塩であることが好ましい。
LY573636は、公知の方法で製造でき、例えば、国際公開第02/098848号パンフレット(WO02/098848)に記載の方法と同様にして、市販の5−ブロモチオフェン−2−スルホニルクロライドと2,4−ジクロロ安息香酸より製造することができる。
本発明において、スルホンアミド含有化合物には、CQSを挙げることができる。本発明において、CQSとは、2−スルファニルアミド−5−クロロキノキサリンをいい、その構造式を以下の式(IV)に示す。
CQSは、公知の方法で製造でき、例えば、(J.Am.Chem.Soc.,1947,71,6−10)の方法で製造することができる。
さらに、本発明において、スルホンアミド含有化合物には、E7070を挙げることができる。E7070とは、N−(3−クロロ−1H−インドール−7−イル)−4−スルファモイルベンゼンスルホンアミドをいい、その構造式を以下の式(IX)に示す。
E7070は、公知の方法で製造でき、例えば、国際公開第95/07276号パンフレット(WO95/07276)または特開平7−165708号公報における実施例19に記載された方法によって製造することができる。
本発明において、スルホンアミド含有化合物は、下記の一般式(XIV)で表される化合物を含む。
上記一般式(XIV)において、
A環は、置換基を有していてもよい、単環式または二環式芳香環を、
B環は、置換基を有していてもよい、6員環式不飽和炭化水素またはヘテロ原子として窒素原子を1個含む不飽和6員ヘテロ環を、
C環は、置換基を有していてもよい、窒素原子を1または2個含む5員ヘテロ環を、
Wは、単結合または−CH=CH−を、
Xは−N(R1)−または酸素原子を、
Yは
を、
Zは−N(R2)−をそれぞれ意味する。
ここで、R1、R2およびR3はそれぞれ独立して同一または異なって水素原子または低級アルキル基をそれぞれ意味する。
A環の意味する「置換基を有していてもよい、単環式または二環式芳香環」とは、芳香族炭化水素、または窒素原子、酸素原子および硫黄原子のうち少なくとも1個を含む芳香族ヘテロ環であり、当該環上には置換基1〜3個があってもよいものを示す。A環に含まれる主な芳香環を例示すると、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、チオフェン、フラン、チアゾール、オキサゾール、ベンゼン、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、ナフタレン、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、インドール、イソインドール、インドリジン、インダゾール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンズオキサゾール、ベンズイミダゾール、ベンゾピラゾール、ベンゾチアゾールなどを挙げることができる。上記芳香環は置換基1〜3個を有していてもよく、置換基が複数個ある場合には、同一または異なっていてもよい。置換基としては、例えば、低級アルキル基または低級シクロアルキル基で置換されていてもよいアミノ基、低級アルキル基、低級アルコキシ基、水酸基、ニトロ基、メルカプト基、シアノ基、低級アルキルチオ基、ハロゲン原子、式−a−b[式中、aは単結合、−(CH2)k−、−O−(CH2)k−、−S−(CH2)k−または−N(R3)−(CH2)k−を、kは1〜5の整数を、R3は水素原子または低級アルキル基を、bは−CH2−d(式中、dは低級アルキル基で置換されていてもよいアミノ基、ハロゲン原子、水酸基、低級アルキルチオ基、シアノ基または低級アルコキシ基を意味する)を意味する]で示される基、式−a−e−f[式中、aは前記と同じ意味であり、eは−S(O)−または−S(O)2−を、fは低級アルキル基または低級アルコキシ基で置換されていてもよいアミノ基、低級アルキル基、トリフルオロメチル基、−(CH2)m−bまたは−N(R4)−(CH2)m−b(式中、bは前記と同じ意味であり、R4は水素原子または低級アルキル基を、mは1〜5の整数を意味する)を意味する]で示される基、式−a−g−h[式中、aは前記と同じ意味であり、gは−C(O)−または−C(S)−を、hは低級アルキル基で置換されていてもよいアミノ基、水酸基、低級アルキル基、低級アルコキシ基、−(CH2)n−bまたは−N(R5)−(CH2)n−b(式中、bは前記と同じ意味であり、R5は水素原子または低級アルキル基を、nは1〜5の整数を意味する)を意味する]で示される基、式−a−N(R6)−g−i[式中、aおよびgは前記と同じ意味であり、R6は水素原子または低級アルキル基を、iは水素原子、低級アルコキシ基またはf(fは前記と同じ意味である)を意味する]で示される基、式−a−N(R7)−e−f(式中、a、eおよびfは前記と同じ意味であり、R7は水素原子または低級アルキル基を意味する)で示される基、または式−(CH2)p−j−(CH2)q−b(式中、jは酸素原子または硫黄原子を意味し、bは前記と同じ意味であり、pおよびqは同一または異なって1〜5の整数を意味する)で示される基などを挙げることができる。
上記置換基例において、アミノ基が2個のアルキル基で置換されている場合には、これらのアルキル基が結合して5または6員環を形成していてもよい。また、A環が水酸基またはメルカプト基を有する含窒素ヘテロ環である場合には、これらの基が共鳴構造をとることにより、オキソ基またはチオキソ基の形になっていてもよい。
一般式(XIV)において、B環の意味する「置換基を有していてもよい、6員環式不飽和炭化水素またはヘテロ原子として窒素原子を1個含む不飽和6員ヘテロ環」は、例えば、不飽和結合の一部が水素化されていてもよい、ベンゼンまたはピリジンであり、当該環上に置換基を1または2個以上有していてもよく、置換基が2個以上ある場合には同一または異なっていてもよいものを示す。
C環の意味する「置換基を有していてもよい、窒素原子を1または2個含む5員ヘテロ環」とは、不飽和結合の一部が水素化されていてもよい、ピロール、ピラゾール、イミダゾールであり、当該環上に置換基1または2個を有していてもよく、置換基が2個ある場合には同一または異なっていてもよいものを示す。
一般式(XIV)において、式中、Zは、−N(R2)−を意味する。R2は、後述のR1と同一または異なって水素原子または低級アルキル基を意味する。
B環およびC環が有していてもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子、シアノ基、低級アルキル基、低級アルコキシ基、水酸基、オキソ基、式−C(O)−r(式中、rは水素原子、低級アルキル基で置換されていてもよいアミノ基、低級アルキル基、低級アルコキシ基または水酸基を意味する)、低級アルキル基で置換されていてもよいアミノ基、トリフルオロメチル基などを挙げることができる。
一般式(XIV)において、式中、Yは、
を意味する。上記式において、R3は、水素原子または低級アルキル基を意味する。
一般式(XIV)において、式中、Wは単結合または−CH=CH−を、Xは−N(R1)−または酸素原子をそれぞれ意味する。R1は、R2と同一または異なって水素原子または低級アルキル基を意味する。
上記一般式(XIV)において、R1、R2およびR3並びにA環、B環およびC環が有していてもよい置換基の定義中の「低級アルキル基」は、炭素数が1〜6の直鎖もしくは分枝状のアルキル基を意味し、前述の「C1−6アルキル基」と同じ意味である。
A環が有していてもよい置換基の定義中の「低級シクロアルキル基」は、炭素数が3〜8のシクロアルキル基を意味し、前述の「C3−8シクロアルキル基」と同じ意味である。例えば、低級シクロアルキル基は、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などを挙げることができる。また、「低級アルキルチオ基」は、上記の低級アルキル基から誘導されるアルキルチオ基を意味し、前述の「C1−6アルキルチオ基」と同じ意味である。
A環、B環およびC環が有していてもよい置換基の定義中の「低級アルコキシ基」とは、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基など上記の低級アルキル基から誘導される低級アルコキシ基を意味するが、これらのうち最も好ましい基としては、メトキシ基、エトキシ基を挙げることができる。また、「ハロゲン原子」としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。
本発明の一般式(XIV)で表される化合物は、公知の方法で製造でき、例えば、国際公開第95/07276号パンフレット(WO95/07276)および/または特開平7−165708号公報(JP7−165708)に記載された方法によって製造することができる。
一般式(I)において、好ましい化合物は、前述のE7070またはE7820である。
E7820とは、N−(3−シアノ−4−メチル−1H−インドール−7−イル)−3−シアノベンゼンスルホンアミドをいい、その構造式を以下の式(X)に示す。
E7820は、公知の方法で製造でき、例えば、国際公開第00/50395号パンフレット(WO00/50395)に記載された方法によって製造することができる。
スルホンアミド含有化合物は、酸または塩基と薬理学的に許容される塩を形成する場合もある。本発明における化合物は、これらの薬理学的に許容される塩をも包含する。酸との塩としては、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、燐酸塩等の無機酸塩や蟻酸、酢酸、乳酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、クエン酸、酒石酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸などの有機酸との塩を挙げることができる。また、塩基との塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩のようなアルカリ土類金属塩、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、ジシクロヘキシルアミン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、アルギニン、リジン等の有機塩基との塩(有機アミン塩)、アンモニウム塩を挙げることができる。
また、スルホンアミド含有化合物は、無水物であってもよく、水和物などの溶媒和物を形成していてもよい。溶媒和物は水和物または非水和物のいずれであってもよいが、水和物が好ましい。溶媒は水、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール)、ジメチルホルムアミドなどを使用することができる。
また、これら化合物の溶媒和物および/または光学異性体が存在する場合には、本発明における化合物は、それらの溶媒和物および/または光学異性体が含まれる。また、本発明における化合物は、生体内で酸化、還元、加水分解、抱合などの代謝を受けるスルホンアミド含有化合物をも包含する。またさらに、本発明における化合物は、生体内で酸化、還元、加水分解などの代謝を受けてスルホンアミド含有化合物を生成する化合物をも包含する。
2.血管新生阻害物質
本発明により、スルホンアミド含有化合物と血管新生阻害物質とを組み合わせることにより、すぐれた血管新生阻害活性および/または抗腫瘍活性を示す医薬組成物およびキットが提供される。
以下、説明の便宜上、血管新生阻害物質を血管新生阻害剤と記載することもある。
本発明において、血管新生阻害物質は、血管新生を阻害する活性を有するものであれば、特には限定されない。血管新生阻害物質は、例えば、VEGF(血管内皮細胞増殖因子:vascular endothelial growth factor)阻害物質(例えば、VEGF receptor kinase阻害物質、抗VEGF抗体(Cancer Research.,55,5296−5301,1995))、FGF(繊維芽細胞増殖因子:fibroblast growth factor)阻害物質(例えば、FGF receptor kinase阻害物質、抗FGF抗体(Cancer Research.,51,6180−4,1991))、PDGF(血小板由来増殖因子:platelet−derived growth factor)阻害物質(例えば、PDGFレセプターキナーゼ阻害物質(J.Clinical Investigation.,111,1287−95))、インテグリン阻害物質(例えば、αvβ3インテグリン阻害物質、αvβ5インテグリン阻害物質(Clinical Cancer Research.,6,3056−61,2000))、内因性阻害物質(例えば、IL−12、Trombospondin−1,Endostatin,Angiostatin(International J.Cancer.,78,361−5,1998)、COX−2阻害物質(Annuals of N.Y.Acad.Science.,84−6,1999))、マトリックスメタロプロテイン阻害物質(International J.Pancreatol.,21,1−12,1997)、その他阻害物質(例えば、farnesyltransferase阻害物質、一酸化窒素阻害物質、アンジオテンシン変換酵素阻害物質、HMG−CoA reductase阻害物質、Vascular Target阻害物質、メチオニンアミノペプチダーゼ阻害剤(Science.,282,1324−1327,1998))などがあげられ、好ましくはVEGF receptor kinase阻害物質、抗VEGF抗体、FGF receptor kinase阻害物質、抗FGF抗体があげられ、より好ましくはVEGF receptor kinase阻害物質、抗VEGF抗体があげられる。
(1)VEGF receptor kinase阻害物質
本発明において、VEGF recptor kinase阻害物質は、例えば、
一般式(XXIV)
で表される化合物を挙げることができる。
(i)Ad
Adは、式
(式中、R1d’は、式−V1−V2−V3(式中、V1は置換基を有していてもよいC1−6アルキレン基を意味する;V2は、単結合、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルフィニル基、スルホニル基、式−CONR6d−で表される基、式−SO2NR6d−で表される基、式−NR6dSO2−で表される基、式−NR6dCO−で表される基または式−NR6d−で表される基を意味する(式中、R6dは、水素原子、置換基を有していてもよいC1−6アルキル基または置換基を有していてもよいC3−8シクロアルキル基を意味する。);V3は、水素原子、置換基を有していてもよいC1−6アルキル基、置換基を有していてもよいC2−6アルケニル基、置換基を有していてもよいC2−6アルキニル基、置換基を有していてもよいC3−8シクロアルキル基、置換基を有していてもよいC6−10アリール基、置換基を有していてもよい5〜10員ヘテロアリール基または置換基を有していてもよい3〜10員非芳香族ヘテロ環式基を意味する。)で表される基を意味する;
R2d’は、シアノ基、置換基を有していてもよいC1−6アルコキシ基、カルボキシル基、置換基を有していてもよいC2−7アルコキシカルボニル基または式−CONVa11Va12で表される基(式中、Va11は、水素原子、置換基を有していてもよいC1−6アルキル基、置換基を有していてもよいC2−6アルケニル基、置換基を有していてもよいC2−6アルキニル基、置換基を有していてもよいC3−8シクロアルキル基、置換基を有していてもよいC6−10アリール基、置換基を有していてもよい5〜10員ヘテロアリール基または置換基を有していてもよい3〜10員非芳香族ヘテロ環式基を意味する;Va12は、水素原子、置換基を有していてもよいC1−6アルキル基、置換基を有していてもよいC2−6アルケニル基、置換基を有していてもよいC2−6アルキニル基、置換基を有していてもよいC3−8シクロアルキル基、置換基を有していてもよいC6−10アリール基、置換基を有していてもよい5〜10員ヘテロアリール基、置換基を有していてもよい3〜10員非芳香族ヘテロ環式基、水酸基、置換基を有していてもよいC1−6アルコキシ基または置換基を有していてもよいC3−8シクロアルコキシ基を意味する。)で表される基を意味する;
A1は、置換基を有していてもよい炭素原子または窒素原子を意味する;
R11は、水素原子、置換基を有していてもよいC1−6アルキル基、置換基を有していてもよいC2−6アルケニル基、置換基を有していてもよいC2−6アルキニル基、置換基を有していてもよいC3−8シクロアルキル基、置換基を有していてもよいC6−10アリール基、置換基を有していてもよい5〜10員ヘテロアリール基、置換基を有していてもよい3〜10員非芳香族ヘテロ環式基または置換基を有していてもよいモノ−C1−6アルキルアミノ基を意味する;
R12は、水素原子または置換基を有していてもよいC1−6アルキル基を意味する;
Va13は、酸素原子または硫黄原子を意味する;
A11は、置換基を有していてもよい炭素原子または窒素原子を意味する;
R13は、水素原子、置換基を有していてもよいC1−6アルキル基または置換基を有していてもよいC3−8シクロアルキル基を意味する;
R14は、式−Va14−Va15(式中、Va14は、単結合またはカルボニル基を意味する;Va15は、水素原子、水酸基、置換基を有していてもよいC1−6アルキル基、置換基を有していてもよいC2−6アルケニル基、置換基を有していてもよいC2−6アルキニル基、置換基を有していてもよいC3−8シクロアルキル基、置換基を有していてもよいC6−10アリール基、置換基を有していてもよい5〜10員ヘテロアリール基、置換基を有していてもよい3〜10員非芳香族ヘテロ環式基、アミノ基、置換基を有していてもよいモノ−C1−6アルキルアミノ基、置換基を有していてもよいジ−C1−6アルキルアミノ基、ホルミル基、カルボキシル基または置換基を有していてもよいC2−7アルコキシカルボニル基を意味する。)で表される基を意味する。
(ii)Xd
Xdは、酸素原子または硫黄原子を意味する。
(iii)Yd
Ydは、式
(式中、R3d’は、水素原子、置換基を有していてもよいC1−6アルキル基、置換基を有していてもよいC2−6アルケニル基、置換基を有していてもよいC2−6アルキニル基、置換基を有していてもよいC3−8シクロアルキル基、置換基を有していてもよいC2−7アシル基または置換基を有していてもよいC2−7アルコキシカルボニル基を意味する;
R7dおよびR8dは、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、置換基を有していてもよいC1−6アルキル基、置換基を有していてもよいC3−8シクロアルキル基、置換基を有していてもよいC1−6アルコキシ基、置換基を有していてもよいC1−6アルキルチオ基、ホルミル基、置換基を有していてもよいC2−7アシル基、置換基を有していてもよいC2−7アルコキシカルボニル基または式−CONVd1Vd2(式中、Vd1およびVd2は、それぞれ独立して水素原子または置換基を有していてもよいC1−6アルキル基を意味する。)で表される基を意味する;
R9dは、水素原子、ハロゲン原子またはC1−6アルキル基を意味する;
W1およびW2は、それぞれ独立して置換基を有していてもよい炭素原子または窒素原子を意味する。)で表される基を意味する。
(iv)R4d
R4dは、水素原子、置換基を有していてもよいC1−6アルキル基、置換基を有していてもよいC2−6アルケニル基、置換基を有していてもよいC2−6アルキニル基、置換基を有していてもよいC3−8シクロアルキル基、置換基を有していてもよいC2−7アシル基または置換基を有していてもよいC2−7アルコキシカルボニル基を意味する。
(v)R5d
R5dは、水素原子、置換基を有していてもよいC1−6アルキル基、置換基を有していてもよいC2−6アルケニル基、置換基を有していてもよいC2−6アルキニル基、置換基を有していてもよいC3−8シクロアルキル基、置換基を有していてもよいC6−10アリール基、置換基を有していてもよい5〜10員ヘテロアリール基または置換基を有していてもよい3〜10員非芳香族ヘテロ環式基を意味する。
一般式(XXIV)で表される化合物は、公知の方法で製造でき、例えば、国際公開第02/032872号パンフレット(WO02/32872)、国際公開第2004/020434号パンフレット(WO2004/020434)、国際公開第2005/063713号パンフレット(WO2005/063713)に記載された方法によって製造することができる。
本発明において、VEGF receptor kinase阻害物質は、好ましくは、
一般式(XXV)
で表される化合物を挙げることができる。一般式(XXV)は、一般式(XXIV)で表される化合物の好ましい例である。
(i)R1e
R1eは、式−V1e−V2e−V3e(式中、V1eは、置換基を有していてもよいC1−6アルキレン基を意味する;V2eは、単結合、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルフィニル基、スルホニル基、式−CONR6e−で表される基、式−SO2NR6e−で表される基、式−NR6eSO2−で表される基、式−NR6eCO−で表される基または式−NR6e−で表される基を意味する(式中、R6eは、水素原子、置換基を有していてもよいC1−6アルキル基または置換基を有していてもよいC3−8シクロアルキル基を意味する。);V3eは、水素原子、置換基を有していてもよいC1−6アルキル基、置換基を有していてもよいC2−6アルケニル基、置換基を有していてもよいC2−6アルキニル基、置換基を有していてもよいC3−8シクロアルキル基、置換基を有していてもよいC6−10アリール基、置換基を有していてもよい5〜10員ヘテロアリール基または置換基を有していてもよい3〜10員非芳香族ヘテロ環式基を意味する。)で表される基を意味する。
R1eの好適な例としては、C1−6アルキル基があげられる。ただし、この場合、R1eはC1−6アルキル基を有していてもよい3〜10員非芳香族ヘテロ環式基、水酸基、C1−6アルコキシ基、アミノ基、モノ−C1−6アルキルアミノ基およびジ−C1−6アルキルアミノ基から選ばれる1以上の置換基を有していてもよい。
R1eのより好適な例としては、メチル基または式
(式中、Ra3はメチル基を意味する;Ra1は水素原子または水酸基を意味する;Ra2は、メトキシ基、エトキシ基、1−ピロリジニル基、1−ピペリジニル基、4−モルホリニル基、ジメチルアミノ基またはジエチルアミノ基を意味する。)のいずれかで表される基があげられる。
R1eのさらに好適な例としては、メチル基または2−メトキシエチル基があげられる。
(ii)R2e
R2eは、シアノ基、置換基を有していてもよいC1−6アルコキシ基、カルボキシル基、置換基を有していてもよいC2−7アルコキシカルボニル基または式−CONVe11Ve12で表される基(式中、Ve11は、水素原子、置換基を有していてもよいC1−6アルキル基、置換基を有していてもよいC2−6アルケニル基、置換基を有していてもよいC2−6アルキニル基、置換基を有していてもよいC3−8シクロアルキル基、置換基を有していてもよいC6−10アリール基、置換基を有していてもよい5〜10員ヘテロアリール基または置換基を有していてもよい3〜10員非芳香族ヘテロ環式基を意味する;Ve12は、水素原子、置換基を有していてもよいC1−6アルキル基、置換基を有していてもよいC2−6アルケニル基、置換基を有していてもよいC2−6アルキニル基、置換基を有していてもよいC3−8シクロアルキル基、置換基を有していてもよいC6−10アリール基、置換基を有していてもよい5〜10員ヘテロアリール基、置換基を有していてもよい3〜10員非芳香族ヘテロ環式基、水酸基、置換基を有していてもよいC1−6アルコキシ基または置換基を有していてもよいC3−8シクロアルコキシ基を意味する。)で表される基を意味する。
R2eの好適な例としては、シアノ基または式−CONVe11Ve12で表される基(式中、Ve11およびVe12は、前記定義と同意義を意味する。)があげられる。
R2eのより好適な例としては、シアノ基または式−CONHVe16で表される基(式中、Ve16は、水素原子、C1−6アルキル基、C3−8シクロアルキル基、C1−6アルコキシ基またはC3−8シクロアルコキシ基を意味する。ただし、Ve16は、ハロゲン原子、シアノ基、水酸基およびC1−6アルコキシ基から選ばれる1以上の置換基を有していてもよい。)があげられる。
R2eのさらに好適な例としては、式−CONHVe17で表される基(式中、Ve17は、水素原子、C1−6アルキル基またはC1−6アルコキシ基を意味する。)があげられる。
R2eのもっとも好適な例としては、式−CONHVe18で表される基(式中、Ve18は、水素原子、メチル基またはメトキシ基を意味する。)があげられる。
(iii)Y1
Y1は、式
(式中、R7eおよびR8eは、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、置換基を有していてもよいC1−6アルキル基、置換基を有していてもよいC3−8シクロアルキル基、置換基を有していてもよいC1−6アルコキシ基、ホルミル基、置換基を有していてもよいC2−7アシル基、置換基を有していてもよいC2−7アルコキシカルボニル基または式−CONVe1Ve2(式中、Ve1およびVe2は、それぞれ独立して水素原子または置換基を有していてもよいC1−6アルキル基を意味する)で表される基を意味する;
W1eおよびW2eは、それぞれ独立して置換基を有していてもよい炭素原子または窒素原子を意味する。)で表される基を意味する。
Y1の好適な例としては、式
(式中、R71は、水素原子またはハロゲン原子を意味する。)で表される基があげられる。
(iv)R3eおよびR4e
R3eおよびR4eは、それぞれ独立して水素原子、置換基を有していてもよいC1−6アルキル基、置換基を有していてもよいC2−6アルケニル基、置換基を有していてもよいC2−6アルキニル基、置換基を有していてもよいC3−8シクロアルキル基、置換基を有していてもよいC2−7アシル基または置換基を有していてもよいC2−7アルコキシカルボニル基を意味する。
R3eおよびR4eの好適な例としては、水素原子があげられる。
(v)R5e
R5eは、水素原子、置換基を有していてもよいC1−6アルキル基、置換基を有していてもよいC2−6アルケニル基、置換基を有していてもよいC2−6アルキニル基、置換基を有していてもよいC3−8シクロアルキル基、置換基を有していてもよいC6−10アリール基、置換基を有していてもよい5〜10員ヘテロアリール基または置換基を有していてもよい3〜10員非芳香族ヘテロ環式基を意味する。
R5eの好適な例としては、水素原子、C1−6アルキル基、C3−8シクロアルキル基またはC6−10アリール基(ただし、R5eは、ハロゲン原子およびメタンスルホニル基から選ばれる1以上の置換基を有していてもよい)があげられる。
R5eのより好適な例としては、メチル基、エチル基またはシクロプロピル基があげられる。
また、一般式(XXV)で表される化合物の好適な例としては、一般式(V)で表される化合物を挙げることができる。
[式中、R1cは水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基またはシクロプロピル基を意味し、R2cは−NH2または−NHOCH3を意味する。]
また、R1cは、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等のアルコキシ基、アミノ基、水酸基、ハロゲン原子またはシリル基等の置換基を有していてもよい。
また、一般式(XXV)で表される化合物の好適な例としては、
N−(4−(6−シアノ−7−(2−メトキシエトキシ)−4−キノリル)オキシ−2−フルオロフェニル)−N’−(4−フルオロフェニル)ウレア、
N−(2−クロロ−4−((6−シアノ−7−((1−メチル−4−ピペリジル)メトキシ)−4−キノリル)オキシ)フェニル)−N’−シクロプロピルウレア、
N−(4−((6−シアノ−7−(((2R)−3−(ジエチルアミノ)−2−ヒドロキシプロピル)オキシ)−4−キノリル)オキシ)フェニル)−N’−(4−フルオロフェニル)ウレア、
N−(4−((6−シアノ−7−(((2R)−2−ヒドロキシ−3−(1−ピロリジノ)プロピル)オキシ)−4−キノリル)オキシ)フェニル)−N’−(4−フルオロフェニル)ウレア、
4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド、
4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−(2−メトキシエトキシ)−6−キノリンカルボキサミド、
N6−シクロプロピル−4−(3−クロロ−4−(((シクロプロピルアミノ)カルボニル)アミノ)フェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド、
N6−(2−メトキシエチル)−4−(3−クロロ−4−(((シクロプロピルアミノ)カルボニル)アミノ)フェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド、
N6−(2−フルオロエチル)−4−(3−クロロ−4−(((シクロプロピルアミノ)カルボニル)アミノ)フェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド、
N6−メトキシ−4−(3−クロロ−4−(((シクロプロピルアミノ)カルボニル)アミノ)フェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド、
N6−メチル−4−(3−クロロ−4−(((シクロプロピルアミノ)カルボニル)アミノ)フェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド、
N6−エチル−4−(3−クロロ−4−(((シクロプロピルアミノ)カルボニル)アミノ)フェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド、
4−(3−フルオロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−(2−メトキシエトキシ)−6−キノリンカルボキサミド、
4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−(2−ヒドロキシエトキシ)−6−キノリンカルボキサミド、
4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−((2S)−2,3−ジヒドロキシプロピル)オキシ−6−キノリンカルボキサミド、
4−(3−クロロ−4−(メチルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド、
4−(3−クロロ−4−(エチルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド、
N6−メトキシ−4−(3−クロロ−4−(((エチルアミノ)カルボニル)アミノ)フェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド、
4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−(2−エトキシエトキシ)−6−キノリンカルボキサミド、
4−(4−((シクロプロピルアミノ)カルボニル)アミノフェノキシ)−7−(2−メトキシエトキシ)−6−キノリンカルボキサミド、
N−(2−フルオロ−4−((6−カルバモイル−7−メトキシ−4−キノリル)オキシ)フェニル)−N’−シクロプロピルウレア、
N6−(2−ヒドロキシエチル)−4−(3−クロロ−4−(((シクロプロピルアミノ)カルボニル)アミノ)フェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド、
4−(3−クロロ−4−(1−プロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド、
4−(3−クロロ−4−(cis−2−フルオロ−シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド、
N6−メチル−4−(3−クロロ−4−(((シクロプロピルアミノ)カルボニル)アミノ)フェノキシ)−7−(2−メトキシエトキシ)−6−キノリンカルボキサミド、
N6−メチル−4−(3−クロロ−4−(((エチルアミノ)カルボニル)アミノ)フェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド、
4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−(2−(4−モルフォリノ)エトキシ)−6−キノリンカルボキサミド、
4−(3−クロロ−4−(2−フルオロエチルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド、
N6−((2R)テトラヒドロ−2−フラニルメチル)−4−(3−クロロ−4−(((メチルアミノ)カルボニル)アミノ)フェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド、
4−(3−フルオロ−4−(エチルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド、
4−(3−クロロ−4−(((シクロプロピルアミノ)カルボニル)アミノ)フェノキシ)−7−((2R)−2−ヒドロキシ−3−(1−ピロリジノ)プロポキシ)−6−キノリンカルボキサミド、
N6−メチル−4−(3−クロロ−4−(((メチルアミノ)カルボニル)アミノ)フェノキシ)−7−((2R)−3−ジエチルアミノ−2−ヒドロキシプロポキシ)−6−キノリンカルボキサミド、
N6−メチル−4−(3−クロロ−4−(((エチルアミノ)カルボニル)アミノ)フェノキシ)−7−((2R)−3−ジエチルアミノ−2−ヒドロキシプロポキシ)−6−キノリンカルボキサミド、
N6−メチル−4−(3−クロロ−4−(((メチルアミノ)カルボニル)アミノ)フェノキシ)−7−((2R)−2−ヒドロキシ−3−(1−ピロリジノ)プロポキシ)−6−キノリンカルボキサミド、
N6−メチル−4−(3−クロロ−4−(((エチルアミノ)カルボニル)アミノ)フェノキシ)−7−((2R)−2−ヒドロキシ−3−(1−ピロリジノ)プロポキシ)−6−キノリンカルボキサミド、
N6−メチル−4−(3−クロロ−4−(((メチルアミノ)カルボニル)アミノ)フェノキシ)−7−((1−メチル−4−ピペリジル)メトキシ)−6−キノリンカルボキサミド、
N6−メチル−4−(3−クロロ−4−(((エチルアミノ)カルボニル)アミノ)フェノキシ)−7−((1−メチル−4−ピペリジル)メトキシ)−6−キノリンカルボキサミド、
N−(4−(6−シアノ−7−(2−メトキシエトキシ)−4−キノリル)オキシ−2−フルオロフェニル)−N′−シクロプロピルウレア、
N−(4−(6−シアノ−7−(3−(4−モルホリノ)プロポキシ)−4−キノリル)オキシフェニル)−N′−(3−(メチルスルホニル)フェニル)ウレア、
4−(4−((シクロプロピルアミノ)カルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド、
4−(3−フルオロ−4−((2−フルオロエチルアミノ)カルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド、
N6−(2−エトキシエチル)−4−(3−クロロ−4−(((メチルアミノ)カルボニル)アミノ)フェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド、
4−(4−(3−エチルウレイド)−3−フルオロ−フェノキシ)−7−メトキシキノリン−6−カルボキシリック アシッド (2−シアノエチル)アミド
および
N−(4−(6−(2−シアノエチル)カルバモイル−7−メトキシ−4−キノリル)オキシ−2−フルオロフェニル)−N′−シクロプロピルウレア
を挙げることができる。
さらに、一般式(XXV)で表される化合物のより好適な例としては、
4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド、
4−(3−クロロ−4−(エチルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド、
N6−メトキシ−4−(3−クロロ−4−(((シクロプロピルアミノ)カルボニル)アミノ)フェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド、
4−(3−クロロ−4−(メチルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド
および
N6−メトキシ−4−(3−クロロ−4−(((エチルアミノ)カルボニル)アミノ)フェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド
を挙げることができる。
また、一般式(XXV)で表される化合物のさらに好適な例としては、
4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド(式(XV)参照)を挙げることができ、最も好適な例としては、4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミドのメタンスルホン酸塩を挙げることができる。
一般式(XXV)で表される化合物は、公知の方法で製造でき、例えば、国際公開第02/032872号パンフレット(WO02/32872)、国際公開第2005/063713号パンフレット(WO2005/063713)に記載された方法によって製造することができる。
また、本発明において、VEGF receptor kinase阻害物質は、好ましくは、
一般式(XXVI)
で表される化合物を挙げることができる。一般式(XXVI)は、一般式(XXIV)で表される化合物の好ましい例である。
(i)R11f
R11fは、水素原子、置換基を有していてもよいC1−6アルキル基、置換基を有していてもよいC2−6アルケニル基、置換基を有していてもよいC2−6アルキニル基、置換基を有していてもよいC3−8シクロアルキル基、置換基を有していてもよいC6−10アリール基、置換基を有していてもよい5〜10員ヘテロアリール基、置換基を有していてもよい3〜10員非芳香族ヘテロ環式基または置換基を有していてもよいモノ−C1−6アルキルアミノ基を意味する。
R11fの好適な例としては、置換基を有していてもよい3〜10員非芳香族ヘテロ環式基または置換基を有していてもよいモノ−C1−6アルキルアミノ基があげられる。
R11fのより好適な例としては、以下の置換基群から選ばれる1以上の置換基を有していてもよい式
で表される基から選ばれるいずれか1の基があげられる。
[置換基群]
水酸基、C1−6アルキル基、C3−8シクロアルキル基、式
で表される基(式中、RN1およびRN2はそれぞれ独立して水素原子または置換基を有していてもよいC1−6アルキル基を意味する;Meはメチル基を意味する。)
R11fのさらに好適な例としては、式
で表される基から選ばれるいずれか1の基があげられる。
(ii)R12f
R12fは、水素原子または置換基を有していてもよいC1−6アルキル基を意味する。
R12fの好適な例としては、水素原子があげられる。
(iii)Vf13
Vf13は、酸素原子または硫黄原子を意味する。
Vf13の好適な例としては、酸素原子があげられる。
(iv)A11f
A11fは、置換基を有していてもよい炭素原子または窒素原子を意味する。
A11fの好適な例としては、炭素原子があげられる。
(v)R4f
R4fは、水素原子、置換基を有していてもよいC1−6アルキル基、置換基を有していてもよいC2−6アルケニル基、置換基を有していてもよいC2−6アルキニル基、置換基を有していてもよいC3−8シクロアルキル基、置換基を有していてもよいC2−7アシル基または置換基を有していてもよいC2−7アルコキシカルボニル基を意味する。
R4fの好適な例としては、水素原子があげられる。
(vi)R5f
R5fは、水素原子、置換基を有していてもよいC1−6アルキル基、置換基を有していてもよいC2−6アルケニル基、置換基を有していてもよいC2−6アルキニル基、置換基を有していてもよいC3−8シクロアルキル基、置換基を有していてもよいC6−10アリール基、置換基を有していてもよい5〜10員ヘテロアリール基または置換基を有していてもよい3〜10員非芳香族ヘテロ環式基を意味する。
R5fの好適な例としては、C1−6アルキル基またはC3−8シクロアルキル基があげられる。
R5fのより好適な例としては、メチル基があげられる。
(vii)R9f
R9fは、水素原子、ハロゲン原子または置換基を有していてもよいC1−6アルキル基を意味する。
R9fの好適な例としては、水素原子があげられる。
また、一般式(XXVI)で表される化合物の好適な例としては、一般式(VI)で表される化合物を挙げることができる。
一般式(VI)において、式中、R1dは、置換基群αから選ばれる1以上の置換基を有していてもよい次式
で表される基から選ばれるいずれか1の基を、R2dは−NHR3d(式中、R3dはメチル基、エチル基またはシクロプロピル基を意味する。)を意味する。ここで、置換基群αとは、水酸基、C1−6アルキル基、C3−8シクロアルキル基、ならびに次式
で表される基(式中、RN1’およびRN2’はそれぞれ独立して水素原子またはC1−6アルキル基を意味する。)の群を表す。
R3dは、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等のアルコキシ基、アミノ基、水酸基、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)またはシリル基等の置換基を有していてもよい。RN1’またはRN2’に導入される置換基には、上記と同様の置換基を挙げることができる。
また、一般式(XXVI)で表される化合物の好適な例としては、
5−(2−(((4−ヒドロキシ−4−メチルピペリジン−1−イル)カルボニル)アミノ)ピリジン−4−イルオキシ)−1H−インドール−1−カルボン酸 メチルアミド、
N1−メチル−5−(2−((4−ヒドロキシピペリジノ)カルボニル)アミノ−4−ピリジル)オキシ−1H−1−インドールカルボキサミド、
N1−メチル−5−(2−(((4−(ピロリジン−1−イル)ピペリジン−1−イル)カルボニル)アミノ)ピリジン−4−イルオキシ)−1H−1−インドールカルボキサミド、
N1−メチル−5−(2−(((4−(ピペリジン−1−イル)ピペリジン−1−イル)カルボニル)アミノ)ピリジン−4−イルオキシ)−1H−1−インドールカルボキサミド
および
N4−(4−(1−(メチルアミノ)カルボニル−1H−5−インドリル)オキシ−2−ピリジル)−4−モルホリンカルボキサミド
を挙げることができる。
一般式(XXVI)で表される化合物は、公知の方法で製造でき、例えば、国際公開第2004/020434号パンフレット(WO2004/020434)に記載された方法によって製造することができる。
本発明において、VEGF receptor kinase阻害物質は、例えば、
(1)N−(4−ブロモ−2−フルオロフェニル)−6−メトキシ−7−[2−(1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)エトキシ]キナゾリン−4−アミン(以下、「ZD4190」ともいう。Cancer Research.,60,970−975,2000、Journal of Medicinal Chemistry.,42:5369−5389,1999.)、
(2)N−(4−ブロモ−2−フルオロフェニル)−6−メトキシ−7−[(1−メチルピペリジン−4−イル)メトキシ]キナゾリン−4−アミン(以下、「ZD6474」ともいう。Proc.Am.Assoc.Cancer Res.,42,583,2001、Journal of Medicinal Chemistry.,45:1300−1312,2002.)、
(3)3−[(2,4−ジメチルピロール−5−イル)メチレン]−2−インドリノン(以下、「SU5416」ともいう。Cancer Res.,59,99−106,1999、Journal of Medicinal Chemistry.,41:2588−2603,1998.、US5792783)、
(4)(Z)−3−(2,4−ジメチル−5−(2−オキソ−1,2−ジヒドロインドール−3−イリデンメチル)−1H−ピロール−3−イル)−プロピオニック アシッド(以下、「SU6668」ともいう。Cancer Res.,60,4152−4160,2000、Journal of Medicinal Chemistry.,42:5120−5130,1999.)、
(5)5−(5−フルオロ−2−オキソ−1,2−ジヒドロインドール−3−イリデンメチル)−2,4−ジメチル−1H−ピロール−3−カルボキシリック アシッド (2−ジエチルアミノエチル)アミド(以下、「SU11248」ともいう。Clinical Cancer Research,9,327−337,2003、Journal of Medicinal Chemistry.,46:1116−9,2003.)、
(6)N,N−ジメチルグリシン3−{5,6,7,13−テトラヒドロ−9−[(1−メチルエトキシ)メチル]−5−オキソ−12H−インデノ(2,1−a)ピロロ(3,4−c)カルバゾール−12−イル}プロピルエステル(以下、「CEP−7055」ともいう。Pro.Am.Assoc.Cancer Research,43,1080,2002、Journal of Medicinal Chemistry.,46:5375−88,2003.)、
(7)3−(4−ブロモ−2,6−ジフルオロ−ベンジルオキシ)−5−[3−(4−ピロリジン−1−イル−ブチル)−ウレイド]−イソチアゾール−4−カルボキシリック アシッド アミド(以下、「CP−547,632」ともいう。Proc.Am.Soc.Clin.Oncology,21,(Abstract 16),2002、Cancer Research.63:7301−9,2003、WO 99/62890)、
(8)N−{2−クロロ−4−[(6,7−ジメトキシ−4−キナゾリニル)オキシ]フェニル}−N’−プロピルウレア(以下、「KRN633」ともいう。Pro.Am.Assoc.Cancer Research,43,175,2002、Molecular Cancer Therapeutics.,3:1639−49,2004)、
(9)1−(4−クロロアニリノ)−4−(4−ピリジルメチル)フタラジン(以下、「PTK787」ともいう。Cancer Research,60,2179−2189,2000、Journal of Medicinal Chemistry.,43:2310−23,2000.、WO98/35958)(以上、式(XII)参照)、
(10)N−{2−クロロ−4−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリル)オキシ]フェニル}−N’−(5−メチル−3−イソキサゾリル)ウレア(以下、「KRN951」ともいう。Proceedings of the American Association for Cancer Research,45,594,(Abstract 2571),2004.、Proceedings of the American Association for Cancer Research,45,595,(Abstract 2575),2004.)、
(11)4−[(4−フルオロ−2−メチルインドール−5−イル)オキシ]−6−メトキシ−7−[3−(ピロリジン−1−イル)プロポキシ]キナゾリン(以下、「AZD2171」ともいう。Cancer Research.65:4389−400,2005、WO00/47212)
および
(12)6−[2−(メチルカルバモイル)フェニルスルファニル]−3−E−[2−(ピリジン−2−イル)エテニル]インダゾール(以下、「AG013736」ともいう。American Journal of Pathology.165:35−52,2004.)(以上、式(XIII)参照)を挙げることができる。
ZD4190(Cancer Research.,60,970−975,2000、Journal of Medicinal Chemistry.,42:5369−5389,1999.)、ZD6474(Proc.Am.Assoc.Cancer Res.,42,583,2001、Journal of Medicinal Chemistry.,45:1300−1312,2002.)、SU5416(Cancer Res.,59,99−106,1999、Journal of Medicinal Chemistry.,41:2588−2603,1998.)、SU6668(Cancer Res.,60,4152−4160,2000、Journal of Medicinal Chemistry.,42:5120−5130,1999.)、SU11248(Clinical Cancer Research,9,327−337,2003、Journal of Medicinal Chemistry.,46:1116−9,2003.)、CEP−7055(Pro.Am.Assoc.Cancer Research,43,1080,2002、Journal of Medicinal Chemistry.,46:5375−88,2003.)、CP−547,632(Proc.Am.Soc.Clin.Oncology,21,(Abstract 16),2002、Cancer Research.63:7301−9,2003、WO99/62890)、KRN633(Pro.Am.Assoc.Cancer Research,43,175,2002、Molecular Cancer Therapeutics.,3:1639−49,2004)、PTK787(ZK222584)(Cancer Research,60,2179−2189,2000、Journal of Medicinal Chemistry.,43:2310−23,2000.)、KRN951、AZD2171(Cancer Research.65:4389−400,2005、WO00/47212)およびAG013736(American Journal of Pathology.165:35−52,2004.)は、公知の方法で製造することができ、例えば、それぞれの文献に記載された方法で製造することができる。
また、本発明において、VEGF receptor kinase阻害物質としては、
(13)5−((Z)−(5−フルオロ−2−オキソ−1,2−ジヒドロ−3H−インドール−3−イリデン)メチル)−N−((2S)−2−ヒドロキシ−3−モルホリン−4−イルプロピル)−2,4−ジメチル−1H−ピロール−3−カルボキサミド(以下、「SU14813」ともいう。Proceedings of the American Association for Cancer Research,46,(Abstract 2031),2005)(式(XVI)参照)、
(14)3−((キノリン−4−イルメチル)アミノ)−N−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)チオフェン−2−カルボキサミド(以下、「OSI930」ともいう。Molecular Cancer Therapeutics.,4:1186−1197,2005.)(式(XVII)参照)、
(15)6−(2,6−ジクロロフェニル)−8−メチル−2−フェニルアミノ−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン(以下、「TKI−28」ともいう。Cancer Biol Ther.,4,2005.)(式(XVIII)参照)、
(16)2−((1,6−ジヒドロ−6−オキソ−ピリジン−3−イルメチル)アミノ)−N−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)−3−ピリジン−カルボキサミド(以下、「ABP309」ともいう。EORTC−NCI−AACR Symp Mol Targets Cancer Ther.,2,(Abstract 172),2004.)(式(XIX)参照)、
(17)4−(4−(4−クロロ−フェニルアミノ)−フロ[2,3−d]ピリダジン−7−イルオキシメチル)−ピリジン−2−カルボキシリック アシッド メチルアミド(以下、「BAY 57−9352」ともいう。国際公開第WO01/23375号パンフレット)(式(XX)参照)、
(18)N−(3−トリフルオロメチル−4−クロロフェニル)−N’−(4−(2−メチルカルバモイルピリジン−4−イル)オキシフェニル)ウレア(以下、「BAY 43−9006」ともいう。Cancer Research.,64,7099−7109,2004,Organic Process Res Dev.,6,777−81,2002.)(式(XXI)参照)、
(19)4−アミノ−5−フルオロ−3−(6−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)−1H−キノリン−2−オン(以下、「CHIR258」ともいう。Clinical Cancer Research.,11,3633−3641,2005.)(式(XXII)参照)、
(20)4−(4−(1−アミノ−1−メチル−エチル)−フェニル)−2−(4−(2−モルホリン−4−イル−エチル)−フェニルアミノ)−ピリミジン−5−カルボニトリル(以下、「JNJ17029259」ともいう。Molecular Pharmacology.,66,635−647,2004.)(式(XXIII)参照)、
(21)[6−[4−[(4−エチルピペラジン−1−イル)メチル]フェニル]−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−イル]−((R)−1−フェニルエチル)アミン(以下、「AEE−788」ともいう。Cancer Research.,64,4931−4941,2004.、Cancer Research.,64,7977−7984,2004.)(式(XXVII)参照)、
(22)9−(1−メチルエトキシ)メチル−12−(3−ヒドロキシプロピル)−6H,7H,13H−インデノ[2,1−a]ピロロ[3,4−c]カルバゾール−5−オン(以下、「CEP−5214」ともいう。Journal of Medicinal Chemistry.,46,5375−5388,2003.、Cancer Research.,63,5978−5991,2003.)(式(XXVIII)参照)、
(23)N−(2,4−ジフルオロフェニル)−N’−{4−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリル)−オキシ]−2−フルオロフェニル}ウレア(以下、「KI−8751」ともいう。Journal of Medicinal Chemistry.,48,1359−1366,2005.)(式(XXIX)参照)、
(24)5−[N−メチル−N−(4−オクタデシルオキシフェニル)アセチル]アミノ−2−メチルチオベンゾイック アシッド(以下、「VGA−1155」ともいう。Anticancer Research.,24,3009−3017,2004.)(式(XXX)参照)、
(25)N−[4−(3−アミノ−1H−インダゾール−4−イル)フェニル]−N’−(2−フルオロ−5−メチルフェニル)ウレア(以下、「ABT−869」ともいう。Proceedings of the American Association for Cancer Research.,46,1407,(Abstract 5981),2005.)(式(XXXI)参照)、
(26)2−メチル−6−[2−(1−メチル−1H−イミダゾール−2−イル)−チエノ[3,2−b]ピリジン−7−イルオキシ]−ベンゾ[b]チオフェン−3−カルボキシリック アシッド メチルアミド(以下、「AG−028262」ともいう。WO03/06462、US2004/009965)(式(XXXII)参照)、
(27)(R)−1−(4−(4−フルオロ−2−メチル−1H−インドール−5−イルオキシ)−5−メチルピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−6−イルオキシ)プロパン−2−オール(以下、「BMS−540215」ともいう。Proceedings of the American Association for Cancer Research.,46,(Abstract 3033),2005.)(式(XXXIII)参照)および
(28)(S)−((R)−1−(4−(4−フルオロ−2−メチル−1H−インドール−5−イルオキシ)−5−メチルピロロ[1,2−f][1,2,4]トリアジン−6−イルオキシ)プロパン−2−オール)2−アミノプロパノエート(以下、「BMS−582664」ともいう。Proceedings of the American Association for Cancer Research.,46,(Abstract 3033),2005.)(式(XXXIV)参照)
などを挙げることができる。
SU14813、OSI930、TKI−28、ABP309、BAY 57−9352、BAY 43−9006、CHIR258、JNJ17029259、AEE−788、CEP−5214、KI−8751、VGA−1155、ABT−869、AG−028262、BMS−540215およびBMS−582664は、公知の方法で製造することができ、例えば、それぞれの文献に記載された方法で製造することができる。
また、本発明において、VEGF receptor kinase阻害物質は、例えば、BIBF1120(WO01/27081)、ZK304709(Proceedings of the American Association for Cancer Research,46,(Abstract 5842),2005.)、Exel7647(EORTC−NCI−AACR Symp Mol Targets Cancer Ther.,(Abstract 134),2004.)、AMG706(EORTC−NCI−AACR Symp Mol Targets Cancer Ther.,2,(Abstract 151),2004.)、GW−654652(Blood.,103,3474−3479,2004.、Proceedings of the American Association for Cancer Research,44,9,(Abstract 39),2003.、Proceedings of the American Association for Cancer Research,44,9,(Abstract 40),2003.)、GW−786034(Proc.Am.Soc.Clin.Oncology,(Abstract 3054),2004.)などを挙げることができる。BIBF1120、ZK304709、Exel7647、AMG706、GW−654652およびGW−786034は、公知の方法で製造することができる。
さらに、本発明において、VEGF receptor kinase阻害物質は、例えば、抗VEGFレセプター抗体を挙げることができる。抗VEGFレセプター抗体は、VEGFレセプターまたはその部分断片と親和性を有する抗体である。抗VEGFレセプター抗体は、VEGFレセプターを認識し結合することで、VEGFの血管内皮細胞増殖活性を阻害する中和抗体であることが好ましい。抗VEGFレセプター抗体は、ポリクローナル抗体でも、モノクローナル抗体であってもよい。また、当該抗体のアイソタイプは特に限定されない。また、抗VEGFレセプター抗体は、抗体の断片または一本鎖抗体であってもよい(後述の抗VEGF抗体、抗FGF抗体の記載を参照)。
抗VEGFレセプター抗体は、好ましくは2C3 antibody(US6524583,US6676941)、IMC−1121b(US6811779)、IMC−18F1(Proceedings of the American Association for Cancer Research,45,694,(Abstract 3005),2004.)、IMC−1C11(US5747651)、IMC−2C6(Proceedings of the American Association for Cancer Research,44,1479,(Abstract 6454),2003.)などを挙げることができる。2C3 antibody、IMC−1121b、IMC−18F1、IMC−1C11、IMC−2C6は、公知の方法で製造することができ、例えば、それぞれの文献に記載された方法で製造することができる。
(2)FGF receptor kinase阻害物質
本発明において、FGF receptor kinase阻害物質としては、1−[2−アミノ−6−(3,5−ジメトキシフェニル)−ピリド(2,3−d)ピリミジン−7−イル]−3−tert−ブチルウレア(以下、「PD166866」ともいう。J.M.C.,40,2296−2303,1997)、1−tert−ブチル−3−[2−(3−ジメチルアミノ)プロピルアミノ−6−(3,5−ジメトキシフェニル)−ピリド(2,3−d)ピリミジン−7−イル]ウレア(以下、「PD173074」ともいう。EMBO J.,17,5896−5904,1998)が好ましい。
PD166866(J.M.C.,40,2296−2303,1997)、PD173074(EMBO J.,17,5896−5904,1998)は、公知の方法で製造することができる。
VEGF receptor kinase阻害物質である化合物およびFGF receptor kinase阻害物質である化合物は、酸または塩基と薬理学的に許容される塩を形成する場合もある。本発明における上記receptor kinase阻害物質は、これらの薬理学的に許容される塩をも包含する。酸との塩としては、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、燐酸塩等の無機酸塩や蟻酸、酢酸、乳酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、クエン酸、酒石酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸p−トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸などの有機酸との塩を挙げることができる。また、塩基との塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩のようなアルカリ土類金属塩、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、ジシクロヘキシルアミン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、アルギニン、リジン等の有機塩基との塩(有機アミン塩)、アンモニウム塩を挙げることができる。
また、VEGF receptor kinase阻害物質である化合物およびFGF receptor kinase阻害物質である化合物は、無水物であってもよく、水和物などの溶媒和物を形成していてもよい。溶媒和物は水和物または非水和物のいずれであってもよいが、水和物が好ましい。溶媒は水、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール)、ジメチルホルムアミドなどを使用することができる。
また、これら化合物の溶媒和物および/または光学異性体が存在する場合には、本発明におけるVEGF receptor kinase阻害物質およびFGF receptor kinase阻害物質は、それらの溶媒和物および/または光学異性体が含まれる。また、本発明における上記receptor kinase阻害物質は、生体内で酸化、還元、加水分解、抱合などの代謝を受けるVEGF receptor kinase阻害物質およびFGF receptor kinase阻害物質をも包含する。またさらに、本発明における上記receptor kinase阻害物質は、生体内で酸化、還元、加水分解などの代謝を受けてVEGF receptor kinase阻害物質を生成する化合物およびFGF receptor kinase阻害物質を生成する化合物をも包含する。
(3)抗VEGF抗体、抗FGF抗体
本発明において、抗VEGF抗体としては、VEGFを認識し結合することで、VEGFの血管内皮細胞増殖活性を阻害する中和抗体であることが好ましい。
また、本発明において、抗FGF抗体としては、FGFを認識して結合することで、FGFの繊維芽細胞の増殖活性を阻害する中和抗体であることが好ましい。
本発明において、抗VEGF抗体および抗FGF抗体は、ポリクローナル抗体でも、モノクローナル抗体であってもよい。また、当該抗体のアイソタイプは特に限定されず、例えば、IgG(IgG1、IgG2、IgG3、IgG4)、IgM、IgA(IgA1、IgA2)、IgDまたはIgEの任意のアイソタイプを有することができる。
ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体は、当業者に周知の方法で作製することができる(Antibodies:A Laboratory Manual,E.Harlow and D.Lane,ed.,Cold Spring Harbor Laboratory(Cold Spring Harbor,NY,1988))。
ポリクローナル抗体は、例えば、抗原をマウス、ウサギ、ラットなどの哺乳動物に投与し、該哺乳動物から血液を採取し、採取した血液から抗体を分離、精製することにより得ることができる。免疫感作の方法は当業者に公知であり、例えば抗原を1回以上投与することにより行うことができる。また、抗原(VEGFまたはFGFの一部または全部を含む)は適当な緩衝液、例えば完全フロイントアジュバントまたは水酸化アルミニウム等の通常用いられるアジュバントを含有する適当な緩衝液に溶解して用いることができるが、投与経路や条件等に応じてアジュバントを使用しない場合もある。
最後の免疫感作から1〜2ケ月後に当該哺乳動物から血液を採取して、該血液を、例えば遠心分離、硫酸アンモニウムまたはポリエチレングリコールを用いた沈澱、各種クロマトグラフィー等の常法によって分離、精製することにより、ポリクローナル抗血清として、ポリクローナル抗体を得ることができる。
モノクローナル抗体を産生する方法としては、例えばハイブリドーマ法を挙げることができる。まず、ポリクローナル抗体の産生と同様に哺乳動物を免疫感作する。免疫後、適当な日数を経過した後に部分採血を行い、ELISA法などの公知方法で抗体価を測定することが好ましい。
次いで、感作の終了した免疫動物から脾臓を摘出し、B細胞を得る。次いで、B細胞を常法に従いミエローマ細胞と融合させて抗体産生ハイブリドーマを作製する。用いられるミエローマ細胞は特に限定されず、公知のものを使用できる。細胞の融合方法は、センダイウイルス法、ポリエチレングリコール法、プロトプラスト法等、当該分野で公知の方法を任意に選択して用いることができる。得られたハイブリドーマは、常法に従い、HAT培地(ヒポキサンチン、アミノプテリン、およびチミジン含有培地)中で適当な期間培養し、ハイブリドーマの選択を行う。次いで、目的とする抗体産生ハイブリドーマのスクリーニングを行った後、当該ハイブリドーマのクローニングを行う。
スクリーニング法としては、ELISA法やラジオイムノアッセイ法などの公知の抗体検出方法を用いることができ、また、クローニング法としては、当該分野で公知の方法を用いることができ、例えば、限界希釈法およびFACS法等を用いることができる。得られたハイブリドーマは、適当な培養液中で培養するか、あるいはハイブリドーマと適合性のある、例えばマウス腹腔内に投与する。こうして得られる培養液中または腹水中から、塩析、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過、アフィニティークロマトグラフィー等により、所望のモノクローナル抗体を単離精製することができる。
また、上記した抗体の断片およびV領域の一本鎖抗体も本発明において用いることができる。抗体の断片としては、前述したポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体の一部分の領域を意味し、具体的にはF(ab’)2、Fab’、Fab、Fv(variable fragment of antibody)、sFv、dsFv(disulphide stabilized Fv)あるいはdAb(single domain antibody)等が挙げられる。さらに、本発明で用いる抗体は、ヒト型化抗体やヒト抗体でも良い。ヒト抗体は、免疫系をヒトのものと入れ換えた哺乳動物を用いて、通常のモノクローナル抗体と同様に作製することができる。
3.医薬組成物、キット、癌の予防/治療方法、血管新生阻害方法
本発明は、スルホンアミド含有化合物と、血管新生阻害物質とを組み合わせる点に特徴を有する医薬組成物、キット、癌の治療/予防方法および血管新生阻害方法に関するものである。
本発明において、スルホンアミド含有化合物は、「1.スルホンアミド含有化合物」で記載したとおりであるが、例えば(1)一般式(I)で表される化合物、好ましくはLY186641もしくはLY295501、(2)一般式(II)で表される化合物、好ましくはLY−ASAP、(3)LY573636(式(III))、(4)CQS(式(IV))および(5)一般式(XIV)、好ましくはE7070もしくはE7820から選択される少なくとも1つの化合物であり、より好ましくはLY295501およびLY573636から選択される少なくとも1つの化合物であり、特に好ましくはLY573636のナトリウム塩である。
他方、本発明において、スルホンアミド含有化合物は、好ましくはE7070またはE7820である。
本発明において、血管新生阻害物質は、「2.血管新生阻害物質」で記載したとおりであるが、例えば、(a)VEGF receptor kinase阻害物質、(b)抗VEGF抗体、(c)FGF receptor kinase阻害物質、(d)抗FGF抗体である。
本発明において、(a)VEGF receptor kinase阻害物質は、例えば、一般式(XXIV)、式(XII)、式(XIII)、式(XVI)〜式(XXIII)および式(XXVII)〜式(XXXIV)から選択される少なくとも1つで表される化合物である。本発明において(a)VEGF receptor kinase阻害物質は、好ましくは一般式(XXV)または一般式(XXVI)で表される化合物であり、より好ましくは一般式(V)または一般式(VI)で表される化合物であり、さらに好ましくは一般式(V)に含まれる4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミドであり、特に好ましくは4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミドのメタンスルホン酸塩である。他方、本発明において、(a)VEGF receptor kinase阻害物質は、好ましくは式(XII)、式(XIII)、式(XVI)〜式(XXIII)および式(XXVII)〜式(XXXIV)から選択される少なくとも1つで表される化合物であり、さらに好ましくはKRN951(式(XIII))、AZD2171(式(XIII))、AG013736(式(XIII))、SU14813(式(XVI))、OSI930(式(XVII))、TKI−28(式(XVIII))、ABP309(式(XIX))、BAY 57−9352(式(XX))、BAY 43−9006(式(XXI))、CHIR258(式(XXII))、JNJ17029259(式(XXIII))、AEE−788(式(XXVII))、CEP−5214(式(XXVIII))、KI−8751(式(XXIX))、VGA−1155(式(XXX))、ABT−869(式(XXXI))、AG−028262(式(XXXII))、BMS−540215(式(XXXIII))およびBMS−582664(式(XXXIV))から選択される少なくとも1つの化合物である。また、本発明において、(a)VEGF receptor kinase阻害物質は、例えば、抗VEGFレセプター抗体である。
本発明において、(c)FGF receptor kinase阻害物質は、好ましくはPD166866またはPD173074である。
本発明において、上記化合物および血管新生阻害物質には、その薬理学的に許容される塩、またはそれらの水和物などの溶媒和物も包含される。
本発明において、スルホンアミド化合物と血管新生阻害物質は、上記した化合物と物質とを任意に組み合わせて用いることができる。組み合わせは、限定されるわけではないが、例えば、
(i)一般式(I)で表される化合物、一般式(II)で表される化合物、LY573636、CQSまたはE7070と血管新生阻害物質との組み合わせ、あるいは
(ii)一般式(XIV)で表される化合物とVEGF receptor kinase阻害物質との組み合わせ
(iii)一般式(XIV)で表される化合物と抗VEGF抗体との組み合わせ
をあげることができる。
本発明の医薬組成物は、スルホンアミド含有化合物と血管新生阻害物質とを組み合わせてなる医薬組成物である。本発明の医薬組成物は、癌治療用医薬組成物および血管新生阻害用医薬組成物として有用である。
また、本発明の医薬組成物は、血管新生阻害物質とともに患者に投与されることを特徴とするスルホンアミド含有化合物を含む医薬組成物の態様でも提供される。スルホンアミド含有化合物および血管新生阻害物質は、同時または別々に投与され得る。「同時」とは、一つの投与スケジュールにおいて同一のタイミングで投与されることを意味し、投与の時分が完全に同一である必要はない。「別々」とは、一つの投与スケジュールにおいて異なるタイミングで投与されることを意味する。
本発明において、「組み合わせてなる」とは、化合物を併用して用いるための組み合わせを意味し、別々の化合物を投与時に併用する形態、および混合物としての形態の両方を含む。
また、本発明のキットは、スルホンアミド含有化合物を含んでなる製剤と、血管新生阻害物質を含んでなる製剤とを含むキットである。本発明のキットに含まれる製剤は、スルホンアミド含有化合物または血管新生阻害物質を含む限り、その剤形は特に限定されない。本発明のキットは、血管新生阻害用キットとしてまたは癌治療用キットとして有用である。
本発明の医薬組成物および/またはキットは、さらに一または複数の他の抗癌剤を組み合わせてもよい。他の抗癌剤は、抗癌作用を有する製剤であれば、特に限定されない。他の抗癌剤としては、例えば、塩酸イリノテカン(CPT−11)、オキサリプラチン(oxaliplatin)、5−フルオロウラシル(5−FU)、ドセタキセル(タキソテール(登録商標))、塩酸ゲムシタビン(ジェムザール(登録商標))、ホリナートカルシウム(ロイコボリン)、ゲフィチニブ(Iressa(登録商標))、エルロチニブ(Tarceva(登録商標))、セツキシマブ(Erbitux(登録商標)などが挙げられる。また、前記他の抗癌剤としては、癌治療剤の対象となる癌種が、大腸癌である場合には、塩酸イリノテカン、オキサリプラチン、5−フルオロウラシル、ホリナートカルシウム、ゲフィチニブ、エルロチニブ、セツキシマブであり、膵癌である場合には、塩酸ゲムシタビン、ゲフィチニブ、エルロチニブ、セツキシマブであり、腎癌である場合には、ゲフィチニブ、エルロチニブ、セツキシマブが特に好ましい。
本発明の医薬組成物および/またはキットは、血管新生阻害剤、または癌治療剤として使用することができる。
本発明において、癌治療剤とは、抗腫瘍剤、癌予後改善剤、癌再発予防剤、癌転移抑制剤などを含むものをいう。
癌治療の効果は、レントゲン写真、CT等の所見や生検の病理組織診断により、あるいは腫瘍マーカーの値により確認することができる。
本発明の医薬組成物および/またはキットは、哺乳動物(例、ヒト、ラット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サルなど)に対して、投与することができる。
癌治療剤の対象となる癌種は、特に限定されず、例えば、脳腫瘍、頚癌、食道癌、舌癌、肺癌、乳癌、膵癌、胃癌、大腸癌、小腸や十二指腸の癌、結腸癌、直腸癌、膀胱癌、腎癌、肝癌、前立腺癌、子宮癌、卵巣癌、甲状腺癌、胆嚢癌、咽頭癌、肉腫(例えば、骨肉種、筋肉種、線維肉腫など)およびメラノーマからなる群から選択される少なくとも1つなどがあげられる。
本発明の医薬組成物および/またはキットを使用する場合には、経口もしくは非経口的に投与することができる。
本発明の医薬組成物および/またはキットを使用する場合、スルホンアミド含有化合物の投与量は、症状の程度、患者の年齢、性別、体重、感受性差、投与方法、投与時期、投与間隔、医薬製剤の性質、調剤、種類、有効成分の種類等によって異なり、特に限定されないが、通常成人(体重60Kg)1日あたり10〜6000mg、好ましくは50〜4000mg、さらに好ましくは100〜3000mgであり、これを通常1日1〜3回に分けて投与することができる。
本発明の医薬組成物および/またはキットを使用する場合、VEGF receptor kinase阻害物質は、特に限定されないが、通常成人1日あたり10〜6000mg、好ましくは50〜4000mg、さらに好ましくは50〜2000mgであり、これを通常1日1〜3回に分けて投与することができる。
また、本発明の医薬組成物および/またはキットを使用する場合、FGF receptor kinase阻害物質は、特に限定されないが、通常成人1日あたり10〜6000mg、好ましくは50〜4000mg、さらに好ましくは50〜2000mgであり、これを通常1日1〜3回に分けて投与することができる。
本発明の医薬組成物および/またはキットを使用する場合、抗VEGF抗体は、特に限定されないが、通常1〜6000mg、好ましくは10〜2000mg、さらに好ましくは10〜1000mgであり、これを通常1日から1週間に1〜3回投与することができる。
本発明の医薬組成物および/またはキットを使用する場合、抗FGF抗体は、特に限定されないが、通常1〜6000mg、好ましくは10〜2000mg、さらに好ましくは10〜1000mgであり、これを通常1日から1週間に1〜3回投与することができる。
使用するスルホンアミド含有化合物の量は、特に限定されず、VEGF receptor kinase阻害物質、抗VEGF抗体、FGF receptor kinase阻害物質または抗FGF抗体との個々の組み合わせによって異なるが、例えば、VEGF receptor kinase阻害物質、抗VEGF抗体、FGF receptor kinase阻害物質または抗FGF抗体の約0.01〜100倍(重量比)である。さらに好ましくは約0.1〜10倍(重量比)である。
本発明の医薬組成物は、種々の剤形、例えば経口用固形製剤、または注射剤、坐剤、軟膏剤、パップ剤などの非経口用製剤などにすることができる。
また、本発明のキットに含まれるスルホンアミド含有化合物と血管新生阻害物質とは、それぞれ種々の剤形、例えば経口用固形製剤、または注射剤、坐剤、軟膏剤、パップ剤などの非経口用製剤などにすることができる。
経口用固形製剤を調製する場合には、主薬に賦形剤さらに必要に応じて結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、矯味矯臭剤などを加えた後、常法により錠剤、被覆錠剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、カプセル剤等とすることができる。また、シロップ剤のような経口用非固形製剤も適宜調製することができる。
賦形剤としては、例えば、乳糖、コーンスターチ、白糖、ぶどう糖、ソルビット、結晶セルロース、二酸化ケイ素などが、結合剤としては、例えばポリビニルアルコール、エチルセルロース、メチルセルロース、アラビアゴム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等が、滑沢剤としては、例えばステアリン酸マグネシウム、タルク、シリカ等が、着色剤としては医薬品に添加することが許可されているものが、矯味矯臭剤としては、ココア末、ハッカ脳、芳香酸、ハッカ油、龍脳、桂皮末等が用いられる。これらの錠剤、顆粒剤には糖衣、ゼラチン衣、その他必要により適宜コーティングすることは勿論差し支えない。
注射剤を調製する場合には、必要により主薬にpH調整剤、緩衝剤、懸濁化剤、溶解補助剤、安定化剤、等張化剤、保存剤などを添加し、常法により静脈、皮下、筋肉内注射剤、点滴静注剤とすることができる。その際必要により、常法により凍結乾燥物とすることもできる。
懸濁化剤としては、例えば、メチルセルロース、ポリソルベート80、ヒドロキシエチルセルロース、アラビアゴム、トラガント末、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートなどを挙げることができる。
溶解補助剤としては、例えばポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリソルベート80、ニコチン酸アミド、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、マクロゴール、ヒマシ油脂肪酸エチルエステルなどを挙げることができる。
また安定化剤としては、例えば亜硫酸ナトリウム、メタ亜硫酸ナトリウム等を、保存剤としては、例えばパラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、ソルビン酸、フェノール、クレゾール、クロロクレゾールなどを挙げることができる。
本発明のキットにおいて、スルホンアミド含有化合物を含んでなる製剤と、血管新生阻害物質を含んでなる製剤とは、混合されていてもよいし、あるいは、別個に収納されて一体に包装されていてもよく、また、同時に投与されてもよいし、いずれか一方を先に投与してもよい。
本発明のキットは、血管新生阻害用キット、または癌治療用キットとして用いることができるが、スルホンアミド含有化合物を含んでなる製剤および血管新生阻害物質を含んでなる製剤の他に、包装容器、取扱説明書、添付文書等を含んでいてもよい。包装容器、取扱説明書、添付文書等には、製剤を併用して用いるための組み合わせを記載することができ、また、別々の製剤を投与時に併用する形態または混合物としての形態について、用法、用量などを記載することができる。用法、用量は、上記を参照して記載することができる。
また、本発明のキットは、(a)スルホンアミド含有化合物と血管新生阻害物質とを併用して用いることを記載した包装容器、取扱説明書、および添付文書からなる群から選択される少なくとも1つと、(b)スルホンアミド含有化合物を含む医薬組成物とを含有する態様であってもよい。当該キットは、癌治療用キットまたは血管新生阻害用キットとして有用である。前記スルホンアミド含有化合物を含有する医薬組成物は、癌治療用医薬組成物および血管新生阻害用医薬組成物として有用である。包装容器、取扱説明書、添付文書等には、スルホンアミド含有化合物と血管新生阻害物質とを併用して用いることを記載することができ、また、別々の物質を投与時に併用する形態または混合物としての形態について、用法、用量などを記載することができる。用法、用量は、上記医薬組成物/キットの記載を参照して設定することができる。
また、本発明には、血管新生阻害物質と組み合わせてなる医薬組成物の製造のためのスルホンアミド含有化合物の使用も含まれる。
本発明の使用において、上記医薬組成物は、癌治療用医薬組成物および血管新生阻害用医薬組成物として有用である。
さらに、本発明は、スルホンアミド含有化合物と血管新生阻害物質とを、同時または別々に患者に投与することを特徴とする癌の予防もしくは治療方法または血管新生阻害方法をも含むものである。本発明の癌の予防または治療方法において、スルホンアミド含有化合物および血管新生阻害物質の投与経路および投与方法は特に限定されないが、上記本発明の医薬組成物の記載を参照することができる。
以下に、具体的な例をもって本発明を示すが、本発明はこれに限られるものではない。
1)細胞培養、化合物処理、およびRNAの抽出
化合物により誘導される遺伝子発現変化をDNAマイクロアレイ解析によって調べる目的で、ヒト大腸癌由来細胞株HCT116(American Type Culture Collection,Manassas,VA,U.S.A.)およびヒト白血病由来細胞株MOLT−4(American Type Culture Collection,Manassas,VA,U.S.A.)を、10%の胎児牛血清、100units/mlのペニシリン、100μg/mlのストレプトマイシンを添加したRPMI−1640培地中で培養した。以下、培養および化合物処理は5%CO2、37℃に調整されたインキュベーター内で行われた。10cm径の細胞培養ディッシュに2.0×106細胞の割合でHCT116細胞およびMOLT−4細胞を蒔き、24時間培養後に以下の化合物処理を行った。
HCT116細胞に関しては、E7820(0.8μM)、E7070(0.8μM)、LY295501(30μM)、CQS(8μM)、adriamycin(0.2μM)、daunomycin(0.2μM)、ICRF154(80μM)、ICRF159(80μM)、kenpaullone(10μM)、alsterpullone(10μM)、trichostatin A(0.1μM)、rapamycin(80μM)の12化合物を評価した。一方、MOLT−4細胞に関しては、E7070(0.8μM)を評価した。ここで、adriamycinおよびdaunomycinは、DNAにインターカレーションする型のDNA topoisomerase II阻害剤、ICRF154およびICRF159は、Catalytic typeのDNA topoisomerase II阻害剤、kenpaulloneおよびalsterpulloneは、cyclin−dependent kinases(CDKs)阻害剤、trichostatin Aは、histone deacetylase 阻害剤、rapamycinは、mTOR/FRAP阻害剤として、それぞれ公知の化合物である。化合物処理濃度は、各々の化合物のHCT116細胞に対する50%増殖阻害濃度(WST−8を用いた3日間の細胞増殖抑制活性に基づく)を基準にその3〜5倍の濃度として設定し、上記化合物名に続く括弧内に示した設定濃度で24時間処理後に細胞を回収した。また、化合物を加えずに24時間培養した細胞も同様に回収した。
回収した細胞からの全RNAの抽出は、TRIZOL試薬(インビトロジェン社製)を用いて添付の操作法に従って行った。
2)DNAマイクロアレイによる遺伝子発現解析
得られたRNAを100μlのdiethylpyrocarbonate(DEPC)処理をした滅菌水に溶解し、さらにRNeasyカラム(QIAGEN)を用いて精製し、SuperScript Choice System(インビトロジェン社製)およびT7−d(T)24プライマーを用いて2本鎖のcDNAを合成した。
まず10μgのRNAに5μMのT7−d(T)24プライマー、1x First strand buffer、10mM DTT、500μMのdNTP mix、および20 units/μlのSuperScript II Reverse Transcriptaseを加え、42℃にて1時間反応させ、1本鎖DNAを合成した。続いて、1xSecond strand buffer、200μMのdNTP mix、67U/ml DNA ligase、270U/ml DNA polymerase I、および13U/ml RNase Hを添加して、16℃にて2時間反応させ2本鎖cDNAを合成した。さらに、67U/ml T4 DNA polymerase Iを添加して、16℃にて5分間反応させた後、10μlの0.5M EDTAを加え反応を停止した。
得られたcDNAをフェノール/クロロホルムにて精製し、RNA Transcript Labeling Kit(Enzo Diagnostics)を用い、添付の操作法に従って、ビオチン化UTPならびにCTPによるラベル化反応を行った。反応生成物をRNeasyカラムにて精製後、200mMトリス酢酸pH8.1、150mM酢酸マグネシウム、50mM酢酸カリウム中で94℃にて35分間加熱してcRNAを断片化した。
断片化したcRNAを、100mM MES、1M sodium salt、20mM EDTA、0.01% Tween20中、45℃にて16時間、GeneChip(Affymetrix)Human Focus arrayにハイブリダイズさせた。ハイブリダイズ後、GeneChipはAffymetrix fluidics stationに添付のプロトコールMidi_euk2に従い洗浄および染色した。染色にはストレプトアビジン・フィコエリトリンとビオチン化抗ストレプトアビジンヤギ抗体を用いた。染色後のGeneChipをHPアルゴンイオンレーザー共焦点顕微鏡(Hewlett Packard)を用いてスキャンし、蛍光強度を測定した。測定は、488nmの波長でexcitationを行い、570nmの波長のemissionで行った。
定量的データ解析は全てGeneChip software(Affymetrix)ならびにGene Spring(Silicongenetics)を用いて行った。Gene Chip softwareを用いて化合物による遺伝子発現変化を評価する際には、化合物処理群と未処理群の2つの条件間でRNAの定量値が2倍以上解離している場合につき、その遺伝子の発現が有意に「増加」あるいは「減少」したと判断した。Gene Springを用いて、各化合物が誘導する遺伝子発現変化の類似性を評価する際には、Human Focus Arrayに載っている全遺伝子の発現変化をもとに階層的クラスターリング解析を行った。
HCT116細胞の階層的クラスターリング解析の結果を図1に示した。
解析の結果、同一の作用機序を有するadriamycinおよびdaunomycin、ICRF154およびICRF159、Kenpaulloneおよびalsterpulloneは、それぞれ類似の遺伝子変化を引き起こした(図1)。よって、同一の作用機序を有する化合物が、互いに類似の遺伝子変化を引き起こすことが確認された。
E7070、E7820、LY295501およびCQSは、類似の遺伝子変化を引き起こした(図1)。よって、本解析により、E7070、E7820、LY295501およびCQSは、同一または類似の作用機序を有すると考えられ、同一または類似の遺伝子変化および効果をもたらすことが強く示唆された。
本実施例ではHCT116細胞を用いて、E7820(0.16μM)、E7070(0.26μM)、LY186641(59μM)、LY295501(24μM)、LY573636(9.6μM)、CQS(4.0μM)、MST16(100μM)、etoposide(3.6μM)、ethoxzolamide(410μM)、capsaicin(280μM)、trichostatin A(0.16μM)、kenpaullone(7.1μM)の12化合物で処理したときの遺伝子発現変化を調べた。
ここで、MST16はcatalytic typeのDNA topoisomerase II阻害剤、etoposideはcleavable complexの形成を誘導するDNA topoisomerase II阻害剤、ethoxzolamideはcarbonic anhydrase阻害剤、capsaicinはtumor−specific plasma membrane NADH oxidase阻害剤、trichostatin Aはhistone deacetylase阻害剤、kenpaulloneはcyclin−dependent kinases(CDKs)阻害剤として、それぞれ公知の化合物である。
化合物処理濃度は、各々の化合物のHCT116細胞に対する50%増殖阻害濃度(MTTを用いた3日間の細胞増殖抑制活性に基づく)を基準に、その2倍の濃度を設定した。上記化合物名に続く括弧内に示した設定濃度で24時間処理後に細胞を回収した。また、化合物を加えずに24時間培養した細胞も同様に回収した。
本実施例は各サンプルについてduplicateで行い(実験の便宜上、それぞれのサンプルは区別できるようにcontrol−1、control−2、E7820−1、E7820−2の要領で枝番号を付した)、以後の操作は、実施例1と全く同様に行った。そして、GeneChip(Affymetrix)system(Human Focus array)を用いて各化合物の誘導する遺伝子発現変化を解析した。
本実施例で得られた26個(control+12化合物の13サンプル×2)のcelファイルに対しRMA法(robust multi−array average法(Biostatistics(2003),4,249−264))を適用し、プローブレベルでの正規分布化を行った後、遺伝子レベルでのシグナル強度のログ値を算出した。続いて、各遺伝子の化合物処理群におけるシグナル強度のログ値から化合物未処理群(control−1)におけるシグナル強度のログ値を引き、control−1に対する化合物処理群のシグナル比のログ値を得た。そして、コサイン相関係数を計算し、実験間の相関係数とした(図2)。この相関係数をもとに、UPGMA法(Unweighted Pair Group Method with Arithmetic mean法)により階層的クラスターリング解析した(図3)。control−2についても、同様の計算を行った(図4および図5)。使用したソフトウェアはR2.0.1(http://www.r−project.org/)、affy package 1.5.8(http://www.bioconductor.org)である。
図2〜図5において、「LY1」はLY186641を、「LY2」LY295501を、「LY5」はLY573636を、「CAI」はethoxzolamideを、「Cap」はcapsaicinを、「MST」はMST16を、「Etop」はetoposideを、「TSA」はtrichostatin Aを、「Kenp」はkenpaulloneを示す。図3および図5において、「de hclust(*,”average”)」は、統計解析を行う時のコマンドであり、dupulicateの実験データの平均値を用いてRによるクラスターリング分析を行ったことを示す。
解析の結果、E7070、E7820、LY186641、LY295501、LY573636およびCQSが、HCT116細胞に対して引き起こす遺伝子変化は非常に高い類似性を示し、他のどの化合物(MST16、etoposide、ethoxzolamide、capsaicin、trichostatin A、kenpaullone)のプロファイルとも異なることが明らかとなった(図2から図5)。よって、本解析により、E7070、E7820、LY186641、LY295501、LY573636およびCQSは、同一または類似の作用機序を有すると考えられ、同一または類似の遺伝子変化および効果をもたらすことが強く示唆された。
36株のヒト癌細胞パネルを用いて、E7820、E7070、CQS、LY186641、LY295501の細胞増殖抑制活性の相関を調べた。用いた癌細胞株は、DLD−1,HCT15,HCT116,HT29,SW480,SW620,WiDr(以上、ヒト大腸癌細胞株)、A427,A549,LX−1,NCI−H460,NCI−H522,PC−9,PC−10(以上、ヒト肺癌細胞株)、GT3TKB,HGC27,MKN1,MKN7,MKN28,MKN74(以上、ヒト胃癌細胞株)、AsPC−1,KP−1,KP−4,MiaPaCaII,PANC−1,SUIT−2(以上、ヒト膵臓癌細胞株)、BSY−1,HBC5,MCF−7,MAD−MB−231,MDA−MB−435,MDA−MB−468(以上、ヒト乳癌細胞株)、CCRF−CEM,HL60,K562,MOLT−4(以上、ヒト白血病細胞株)の36種類であり、全ての細胞は10%の胎児牛血清、100units/mlのペニシリン、100μg/mlのストレプトマイシンを添加したRPMI−1640培地を用いて5% CO2条件下37℃にて培養した(表1)。
表1に記載の細胞数で96ウェルマイクロプレート(平底)に蒔き(50μl/well)、24時間後に3倍希釈系列の化合物を添加した(50μl/well)。さらに72時間後にWST−8(10μl/well)を添加し、450nmの吸光度を測定した。最小二乗法により全36株の癌細胞に対する50%増殖抑制阻害濃度を求め、そのパターンを各化合物間で比較した。相関の指標としては、Pearson’s correlation coefficientsを用いた(Paull,K.D.et al.Display and analysis of patterns of differential activity of drugs against human tumor cell lines:development of mean graph and COMPARE algorithm.J.Natl.Cancer Inst.1989,81,1088−1092;Monks,A.et al.Feasibility of a high−flux anticancer drug screen using a diverse panel of cultured human tumor cell lines.J.Natl.Cancer Inst.1991,83,757−766.)。
その結果、E7070、E7820、LY186641、LY295501およびCQSは、各癌細胞株に対する増殖抑制活性において、高い相関係数を示した(表2)。よって、本解析により、E7070、E7820、LY186641、LY295501およびCQSは、同一または類似の作用機序を有すると考えられ、同一または類似の遺伝子変化および効果をもたらすことが強く示唆された。
E7070耐性株を用いて、E7820、LY186641、LY295501、LY−ASAPならびにCQSの細胞増殖抑制活性を評価した。HCT116−C9は、ヒト大腸癌由来HCT116(American Type Culture Collection,Manassas,VA,U.S.A.)から分離した亜株であり、このHCT116−C9をE7070存在下で培養し、E7070濃度を漸次的に上昇させることにより得たE7070耐性亜株がHCT116−C9−C1およびHCT116−C9−C4である(Molecular Cancer Therapeutics,2002,1,275−286)。
HCT116−C9、HCT116−C9−C1、HCT116−C9−C4の3細胞株を各々3000cells/wellで96ウェルマイクロプレート(平底)に蒔き(50μl/well)、24時間後に3倍希釈系列の化合物を添加した(50μl/well)。さらに、72時間後にMTT法(Mossmann T.,J.Immunol.Methods,1983,65,55−63)により細胞増殖抑制活性を評価した。最小二乗法により各癌細胞に対する50%増殖抑制阻害濃度を求めた。
その結果、E7070の細胞増殖抑制活性は、HCT116−C9(C9)に対してIC50は0.127μMであった。これに対し、HCT116−C9−C1(C9C1)およびHCT116−C9−C4(C9C4)に対する活性はそれぞれIC50=31.9μM、26.9μMであり、E7070のC9C1およびC9C4に対する細胞増殖抑制活性が顕著に低下することが確認された(図6)。また、E7820、CQS、LY186641、LY295501、LY−ASAPの細胞増殖抑制活性については、HCT116−C9に対する活性がそれぞれIC50=0.080μM、1.73μM、33.6μM、10.9μM、1.63μMであったのに対し、HCT116−C9−C1およびHCT116−C9−C4に対する活性は、HCT116−C9−C1について、それぞれIC50=51.2μM、634μM、134μM、111μM、113μMであり、HCT116−C9−C4について、それぞれIC50=52.8μM、517μM、138μM、110μM、90.3μMであった。したがって、E7820、CQS、LY186641、LY295501、LY−ASAPの細胞増殖抑制活性については、C9に対する活性に比べ、C9C1およびC9C4に対する活性が顕著に低下していた(図6)。よって、E7070、E7820、LY186641、LY295501、LY−ASAPおよびCQSは、同一または類似の作用機序を有すると考えられ、同一または類似の遺伝子変化および効果をもたらすことが強く示唆された。
実施例4と全く同様にして、E7070耐性株を用いてLY573636の細胞増殖抑制活性をE7070と同時に評価した。
その結果、E7070の細胞増殖抑制活性は、HCT116−C9に対する活性に比べ(IC50=0.127μM)、HCT116−C9−C1およびHCT116−C9−C4に対する活性(それぞれIC50=32.7μM、28.0μM)が顕著に低下することが再度確認された(図7)。また、LY573636の細胞増殖抑制活性も、HCT116−C9に対する活性に比べ(IC50=5.11μM)、HCT116−C9−C1およびHCT116−C9−C4に対する活性(それぞれIC50=264μM、240μM)が顕著に低下していた(図7)。よって、LY573636は、E7070と同一または類似の作用機序を有すると考えられ、同一または類似の遺伝子変化および効果をもたらすことが強く示唆された。
これらの結果(実施例1〜5)から、E7070、E7820、LY186641、LY295501、LY−ASAP、LY573636もしくはCQSまたはこれらの組み合わせが、同一または類似の遺伝子変化ならびに同一または類似の作用および効果をもたらすことが明らかとなった。
また、E7820は、血管新生阻害剤と併用することにより、すぐれた血管新生阻害活性および抗腫瘍活性を示す(WO03/074045参照)ことが明らかになっている。
よって、スルホンアミド含有化合物、好ましくはE7070、LY186641、LY295501、LY−ASAP、LY573636もしくはCQSまたはこれらの組み合わせが、血管新生阻害物質と併用することにより、すぐれた血管新生阻害活性および抗腫瘍活性を示すことが明らかになった。
ヒト腎癌細胞株786−O(ATCCより入手)を、5%炭酸ガスインキュベーター内においてRPMI1640(10% FBS含)で約80%コンフルレントとなるまで培養し、トリプシン−EDTAにより、細胞を回収した。50%マトリゲル含有リン酸緩衝液で、1×108cells/mL懸濁液を調製し、得られた細胞懸濁液を0.1mLずつヌードマウス体側皮下に移植した。移植7日目より、E7820を100mg/kg、1日2回、2週間、4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミドを100mg/kg、1日1回、2週間で、単剤または併用で経口投与した。腫瘍長径・短径をデジマチックキャリパ(Mitsutoyo)で測定し、以下の式で腫瘍体積、比腫瘍体積を算出した。
腫瘍体積TV=腫瘍長径(mm)×腫瘍短径2(mm2)/2
比腫瘍体積RTV=測定日の腫瘍体積/投与開始日の腫瘍体積
併用群において、two−way ANOVAで統計的有意な相互作用が認められた場合、E7820と4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミドとの間に相乗効果を有するものと判定した。
その結果、E7820は、4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミドと併用することにより、相乗効果が認められ、E7820または4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミド単独の効果に比べ、すぐれた抗腫瘍効果を示した(表3および図8)。
以上の結果から、E7820と4−(3−クロロ−4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)−7−メトキシ−6−キノリンカルボキサミドとを組み合わせることにより、すぐれた抗腫瘍活性を示す医薬組成物およびキットが提供され、本発明の医薬組成物およびキットは癌の治療に用いることが可能となった。
より具体的には、スルホンアミド含有化合物、好ましくはE7070、LY186641、LY295501、LY−ASAP、LY573636もしくはCQSまたはこれらの組み合わせおよび血管新生阻害物質を組み合わせることにより、すぐれた血管新生阻害活性および/または抗腫瘍活性を示す医薬組成物およびキットが提供され、本発明の医薬組成物およびキットは癌の治療または血管新生の阻害のために有用である。また、スルホンアミド含有化合物、好ましくはE7820とVEGF receptor kinase阻害物質とを組み合わせることにより、すぐれた血管新生阻害活性および/または抗腫瘍活性を示す医薬組成物およびキットが提供され、本発明の医薬組成物およびキットは癌の治療または血管新生の阻害のために有用である。
Claims (12)
- スルホンアミド含有化合物とVEGF receptor kinase阻害物質とを組み合わせてなる癌治療用医薬組成物であって、
前記スルホンアミド含有化合物が、N−(3−シアノ−4−メチル−1H−インドール−7−イル)−3−シアノベンゼンスルホンアミド、もしくはその薬理学的に許容される塩、またはそれらの溶媒和物であり、
前記VEGF receptor kinase阻害物質が、4−(3−クロロ―4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)―7−メトキシ―6−キノリンカルボキサミド、もしくはその薬理学的に許容される塩、またはそれらの溶媒和物である、前記癌治療用医薬組成物。 - VEGF receptor kinase阻害物質が、4−(3−クロロ―4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)―7−メトキシ―6−キノリンカルボキサミドのメタンスルホン酸塩である、請求項1に記載の癌治療用医薬組成物。
- (a)スルホンアミド含有化合物とVEGF receptor kinase阻害物質とを併用することを記載した、包装容器、取扱説明書および添付文書からなる群から選択される少なくとも1つと、
(b)スルホンアミド含有化合物を含む医薬組成物と、を含有する癌治療用キットであって、
前記スルホンアミド含有化合物が、N−(3−シアノ−4−メチル−1H−インドール−7−イル)−3−シアノベンゼンスルホンアミド、もしくはその薬理学的に許容される塩、またはそれらの溶媒和物であり、
前記VEGF receptor kinase阻害物質が、4−(3−クロロ―4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)―7−メトキシ―6−キノリンカルボキサミド、もしくはその薬理学的に許容される塩、またはそれらの溶媒和物である、前記癌治療用キット。 - VEGF receptor kinase阻害物質が、4−(3−クロロ―4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)―7−メトキシ―6−キノリンカルボキサミドのメタンスルホン酸塩である、請求項3に記載の癌治療用キット。
- スルホンアミド含有化合物を含んでなる製剤と、VEGF receptor kinase阻害物質を含んでなる製剤とをセットにしたことを特徴とする癌治療用キットであって、
前記スルホンアミド含有化合物が、N−(3−シアノ−4−メチル−1H−インドール−7−イル)−3−シアノベンゼンスルホンアミド、もしくはその薬理学的に許容される塩、またはそれらの溶媒和物であり、
前記VEGF receptor kinase阻害物質が、4−(3−クロロ―4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)―7−メトキシ―6−キノリンカルボキサミド、もしくはその薬理学的に許容される塩、またはそれらの溶媒和物である、前記癌治療用キット。 - VEGF receptor kinase阻害物質が、4−(3−クロロ―4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)―7−メトキシ―6−キノリンカルボキサミドのメタンスルホン酸塩である、請求項7に記載の癌治療用キット。
- VEGF receptor kinase阻害物質とともに患者に投与されることを特徴とするスルホンアミド含有化合物を含む癌治療用医薬組成物であって、
前記スルホンアミド含有化合物が、N−(3−シアノ−4−メチル−1H−インドール−7−イル)−3−シアノベンゼンスルホンアミド、もしくはその薬理学的に許容される塩、またはそれらの溶媒和物であり、
前記VEGF receptor kinase阻害物質が、4−(3−クロロ―4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)―7−メトキシ―6−キノリンカルボキサミド、もしくはその薬理学的に許容される塩、またはそれらの溶媒和物である、前記癌治療用医薬組成物。 - VEGF receptor kinase阻害物質が、4−(3−クロロ―4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)―7−メトキシ―6−キノリンカルボキサミドのメタンスルホン酸塩である、請求項11に記載の癌治療用医薬組成物。
- VEGF receptor kinase阻害物質とを組み合わせてなる癌治療用医薬組成物の製造のためのスルホンアミド含有化合物の使用であって、
前記スルホンアミド含有化合物が、N−(3−シアノ−4−メチル−1H−インドール−7−イル)−3−シアノベンゼンスルホンアミド、もしくはその薬理学的に許容される塩、またはそれらの溶媒和物であり、
前記VEGF receptor kinase阻害物質が、4−(3−クロロ―4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)―7−メトキシ―6−キノリンカルボキサミド、もしくはその薬理学的に許容される塩、またはそれらの溶媒和物である、前記使用。 - VEGF receptor kinase阻害物質が、4−(3−クロロ―4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)―7−メトキシ―6−キノリンカルボキサミドのメタンスルホン酸塩である、請求項9に記載の使用。
- スルホンアミド含有化合物とを組み合わせてなる癌治療用医薬組成物の製造のためのVEGF receptor kinase阻害物質の使用であって、
前記スルホンアミド含有化合物が、N−(3−シアノ−4−メチル−1H−インドール−7−イル)−3−シアノベンゼンスルホンアミド、もしくはその薬理学的に許容される塩、またはそれらの溶媒和物であり、
前記VEGF receptor kinase阻害物質が、4−(3−クロロ―4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)―7−メトキシ―6−キノリンカルボキサミド、もしくはその薬理学的に許容される塩、またはそれらの溶媒和物である、前記使用。 - VEGF receptor kinase阻害物質が、4−(3−クロロ―4−(シクロプロピルアミノカルボニル)アミノフェノキシ)―7−メトキシ―6−キノリンカルボキサミドのメタンスルホン酸塩である、請求項11に記載の使用。
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