JP5125792B2 - 熱輸送装置 - Google Patents

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Description

本発明は、熱を伝達、輸送する熱輸送流体を用いて冷却や加熱を行う熱輸送装置に関する。
従来、例えば車載されるエンジンや電子機器等の熱源の放熱を行う熱輸送装置には、熱源からの熱を外部に伝達、輸送する熱輸送流体が用いられている。熱輸送流体は、熱源から熱を持ち去り、熱交換器から放熱する。また、熱輸送流体は、加熱対象物へ熱を伝達する用途にも用いられる。こうした熱輸送装置には、熱交換器等の設備としてのエネルギー効率を高めるため、より高い冷却性能、すなわちより高い熱輸送能力が求められている。
また、高い熱輸送能力が要求される熱輸送装置の熱輸送流体については、例えば特許文献1および特許文献2に記載のように、媒体中に熱伝導率の高い微小粒子を分散させることによりその熱伝導率および熱拡散率の向上を図ることが報告されている。
そして、この熱輸送流体は、複数の微小粒子が集合する状態(以下、構造化状態という)と、分散する状態(以下、非構造化状態という)とに変化する。熱輸送流体は、この構造変化を通じて発熱し、吸熱するようになる。
特表2004−501269号公報 特開2004−339461号公報
このように、熱輸送装置が高い熱輸送能力を発揮するためには、熱輸送装置は、熱輸送流体を適切に構造化状態から非構造化状態に、またはその逆の状態変化に移行させるシステムを備えることが必要である。このシステムがうまく働かない場合には、熱輸送流体がスムーズに構造変化しないため、微小粒子に潜熱輸送効果を持たすことができない。したがって、熱輸送流体の熱輸送量を増大させることができない。
そこで、本発明は、熱輸送流体を構造変化させる手段を備え、高い熱輸送量が得られる熱輸送装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために以下の技術的手段を採用する。すなわち、第1の発明は、水または有機物からなる溶媒と、溶媒中に分散される複数の微小粒子と、微小粒子の表面に付着するコーティング剤と、から少なくとも構成され、複数の微小粒子が集合する構造化状態と分散する非構造化状態とにわたって状態変化する熱輸送流体を熱伝達媒体とする熱輸送装置に係る発明であって、
熱輸送流体が流通するときに外部から受熱する第1の流路と、第1の流路と連通し、熱輸送流体が流通するときに外部に放熱する第2の流路と、第1の流路および第2の流路を経由する循環流路に熱輸送流体を循環させる循環手段と、熱輸送流体を構造化状態と非構造化状態との間で変移するように促す状態変化促進手段と、を備え、
状態変化促進手段は、第2の流路の上流側で熱輸送流体中の微小粒子と溶媒とを分離し、第2の流路に分離された微小粒子を流通させる分離手段(14,17)と、第2の流路の下流側で分離された溶媒と第2の流路を流れてきた微小粒子とを混合させる混合手段(14,18)と、を含むことを特徴とする。
この発明によれば、状態変化促進手段により、第1の流路で非構造化状態に変化させることによって外部の熱を吸熱し、第2の流路で構造化状態に変化させることによって外部へ発熱し、この状態変化が熱輸送装置内で可逆的に行われる。これにより、構造化状態と非構造化状態とに亘る熱輸送流体の構造変化が円滑に起こり、この状態変化に伴う発熱および吸熱を利用して熱輸送を促進するため、高い熱輸送量を有する熱輸送装置が得られる。
また、第1の発明によれば、熱輸送流体中の微小粒子と溶媒とを分離することにより、第2の流路で流体中の微小粒子の濃度を高めて構造化状態の促進を図り、第2の流路の下流側で構造化している微小粒子と溶媒とを混合させることにより、第1の流路で流体中の微小粒子の濃度を低下させて微小粒子の解体を促し、非構造化状態の促進を図ることができる。これにより、粒子の濃度変化を利用することによって状態変化が円滑に行われ、発熱および吸熱を所望の部位で適切に発生させることができる。
さらに、分離手段および混合手段は、前記第2の流路の上流側の流路に設けられ、熱輸送流体中の微小粒子を通さないで溶媒を通す第1のフィルタ(17)と、第2の流路を迂回するように第2の流路の上流側と下流側とを連絡し、分離された溶媒が流通するバイパス流路(14)とから構成されており、バイパス流路の出口で、分離された溶媒と第2の流路を流れてきた微小粒子とを混合させることが好ましい。
また、第1の発明の前段の発明特定事項に加え、状態変化促進手段は、第2の流路を迂回するように第2の流路の上流側と下流側とを連絡するバイパス流路(14)と、電圧を印加することによって、バイパス流路に溶媒が流れ、第2の流路に微小粒子が流れるように溶媒と微小粒子を分離する電圧印加手段(15,16)と、を含むことを特徴とする。
この発明によれば、粒子の極性を利用し、電圧印加によって極性を帯びた熱輸送流体中の微小粒子と溶媒とを分離することにより、第2の流路で流体中の微小粒子の濃度を高めて構造化状態の促進を図ることができる。さらに第2の流路の下流側で構造化している微小粒子と溶媒とを混合させることにより、第1の流路で流体中の微小粒子の濃度を低下させて微小粒子の解体を促し、非構造化状態の促進を図ることができる。これにより、粒子の濃度変化を利用した状態変化が円滑に行われ、発熱および吸熱を所望の部位で適切に発生させることができる。
また、第1の発明の前段の発明特定事項に加え、状態変化促進手段は、第1の流路と前記第2の流路との間で熱輸送流体の水素イオン指数を調整するpH調整部(24,25)を含むことを特徴とする。さらに、pH調整部は、水素イオン指数を調整するpH調整剤を添加する第1のpH調整部(24)と、pH調整剤を除去する第2のpH調整部(25)と、を含むことが好ましい。
これらの各発明によれば、水素イオン指数(pH)を調整することによって、第2の流路で微小粒子の構造化状態を作り、第1の流路で微小粒子の非構造化状態を作るようにすることができる。これにより、熱輸送流体の水素イオン指数(pH)を利用した状態変化が円滑に行われ、発熱および吸熱を所望の部位で適切に発生させることができる。
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態の具体的手段との対応関係を示す一例である。
以下に、図面を参照しながら本発明を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。各実施形態で具体的に組み合わせが可能であることを明示している部分同士の組み合わせばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、明示してなくとも実施形態同士を部分的に組み合せることも可能である。
熱輸送媒体は、溶媒と、複数の微小粒子とを含んでいる。さらに、微小粒子の表面には、微小粒子を保護するコーティング剤が吸着して配列され、保護膜が形成される。複数の微小粒子は複数の粒子の集合体であり、溶媒中に分散して存在している。複数の微小粒子は、溶媒中において、集合して構造化している構造化状態と、この構造化状態が解体されて分散している非構造化状態の二つの状態に亘って存在している。熱輸送流体は構造化状態の場合は固体状であり、非構造化状態の場合は液状を呈している。この構造化状態に移行したときは発熱反応が起こり、逆に構造化状態が解体されて非構造化状態に移行したときは吸熱反応が起こる。このように構造化状態と非構造化状態との間の構造変化は、可逆的であり、流体の流れの変化(流速変化)や振動、温度変化、濃度変化、水素イオン指数(pH)の変化などのトリガによって起因し、この構造変化により発生する熱によって熱輸送媒体の比熱が向上することになる。
(第1実施形態)
以下、本発明に係る熱輸送流体の第1実施形態について、図1および図2を参照して説明する。本実施形態にかかる熱輸送流体は、例えば車載用のエンジンやミッション等の冷却に用いられるものである。熱輸送流体は、熱源からの熱を外部に伝達、輸送する。この熱輸送流体に用いられる溶媒は、例えば水等の単一の成分からなるとともに、同溶媒よりも高い熱伝導率を有する微小粒子1を含有している。
溶媒は、溶媒分子2の集合体であり、微小粒子1の周囲において、溶媒分子2が規則的に構造化された構造化状態と、この構造化状態が解体された非構造化状態との二つの状態をとりうる成分を少なくとも含んでいる。さらに、これら構造化状態と非構造化状態との間の変化は可逆的であって、上記微小粒子の構造変化と同様に、温度等の物理的な外部トリガによって変化する。構造化状態から非構造化状態への変化においては、熱輸送媒体には熱が吸収される。非構造化状態から構造化状態への変化においては、熱輸送媒体から熱が放出される。熱輸送流体としての用途に応じて、溶媒の成分と、微小粒子1の成分と、外部トリガとが選定される。
溶媒は、例えば水または有機物(例えば、エチレングリコール、トルエン等)である。溶媒は、微小粒子1を分散させ、微小粒子1を運搬する流体とすることができる。この流体は、液体、あるいは気体によって提供されうる。流体は、単一もしくは複数の成分から構成されうる。例えば、流体として水、液状の高分子を用いることができる。さらに、流体として、混合物を用いることができる。例えば、混合物には、水と、エチレングリコールと、他の機能成分との混合物を用いることができる。
複数の微小粒子1のそれぞれは、ナノメートルおよびマイクロメートルサイズの粒子であり、熱輸送流体中に溶媒分子2に取り囲まれる形態で分散している。微小粒子1は好ましくは平均直径が1nm〜10μmの範囲である。この微小粒子1としては、例えば金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)等の金属、シリコン(Si)、フッ素(F)等の無機物からなる粒子、アルミナ(Al)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化銅(CuO)、三酸化二鉄(Fe)、酸化チタン(TiO)等の酸化物からなる粒子、あるいは樹脂等からなるポリマー粒子を用いることができる。また、微小粒子1は、2種類以上の物質から構成されてもよい。
そして、例えば微小粒子1として金を用いる場合には、この微小粒子1に吸着するコーティング剤に含まれる官能基としては、例えばチオール基(SH基)等を用いることができる。溶媒が水である場合に、溶媒分子2との親和性の高い官能基としては、例えばカルボキシル基(COOH基)、アミノ基(NH基)、水酸基(OH基)およびスルホ基(SOH基)等の親水基を用いることができる。
具体的には、微小粒子1に吸着する官能基としてチオール基を用い、溶媒分子2が吸着する官能基として水酸基からなるメルカプトコハク酸(CS)を用いることができる。そして、微小粒子1の表面にこうした官能基を有するコーティング剤3が配列されることにより、コーティング剤3の間や表面に溶媒分子2が取り込まれて微小粒子1の周囲に溶媒分子2が集合するようになり、各微小粒子1が熱輸送流体中に安定的に分散する。
コーティング剤3は、例えば、硫黄原子を少なくとも1つ以上含む有機物、環状有機物、4級アンモニウムを含む有機物、1級アミンを含む有機物を含んでいてもよい。より具体的には、例えば、n−オクタデカンチオール、メルカトプコハク酸等を含んでもよい。
本熱輸送流体においては、構造化状態と非構造化状態との二つの状態によって熱輸送が行われる。図1は、熱輸送流体の構造変化を示す説明図であって、(a)は微小粒子が集合した構造化状態を表し、(b)は微小粒子が分散した非構造化状態を表している。
図1に示すように、微小粒子1の表面にはコーティング剤3が付着している。コーティング剤3は溶媒中で微小粒子1を安定に分散させている。コーティング剤3が付着している複数の微小粒子1は、熱輸送流体の使用温度域の中で、高温度域(所定の温度よりも高温の温度域)では分散した非構造化状態で存在し、低温度域(所定の温度よりも低温の温度域)では集まって1以上の固まりを形成する構造化状態で存在する。構造化状態では、微小粒子1の1以上の固まりの周囲に溶媒分子2が配列するようになり、非構造化状態では、溶媒分子2の配列が解体され分散するようになる。当該所定の温度は、この温度よりも低い温度では非構造化状態から構造化状態への変化が起こりやすく、この温度よりも高い温度では構造化状態から非構造化状態への変化が起こりやすくなる温度である。
すなわち、高温度域になると、複数の微小粒子1は分散して吸熱反応を伴い、図1の(b)の状態のように、溶媒分子2は微小粒子1の表面上で配列せず、ランダムに動きまわる状態になる(非構造化状態)。そして、低温度域になると、複数の微小粒子1は集合して1以上の固まりを形成して発熱反応を伴い、図1の(a)の状態のように、溶媒分子2は微小粒子1の表面上で配列し、溶媒分子2が微小粒子1に対して吸着する状態(構造化状態)となる。
このように、本熱輸送流体は、所定の温度以下の温度域においては複数個の微小粒子1が集合する状態に変化して外部へ熱を放出するとともに、所定の温度以上の温度域では複数個の微小粒子1が分散する状態に変化して外部から吸熱する。これにより、本熱輸送流体は、使用温度域の中で、温度をきっかけとして発熱する状態と、吸熱する状態との間で変化する。
ここで、図1に示される2つの状態は、外部からの熱の吸収、あるいは外部への熱の放出に伴って可逆的に変化する。そして、「高温時から低温時への変化(非構造化状態から構造化状態への変化)」は発熱反応であるのに対して、「低温時から高温時への状態変化(構造化状態から非構造化状態への変化)」は吸熱反応であり、これら2つの状態の変化においては潜熱が生じることとなる。この潜熱とは、ある一定温度における2つの状態間のエネルギー差を表すものであり、例えば、水を例に説明すると、固体状態の水(氷)から液体状態の水への構造変化に伴う潜熱は約6000J/mol(ジュール/モル)である。この値は、水のモル比熱(顕熱)である75J/molと比較すると非常に大きい値である。そして、本実施形態にかかる高温度域状態と低温度域状態との間の潜熱(エネルギー差)も大きいことを確認しており、これら状態の変化を通じて飛躍的に大きな熱量を輸送させることができる。
本熱輸送流体は、例えば、周知の二相還元法を用いて製造することができる。つまり、本熱輸送流体は、例えば、HAuCl水溶液にコーティング剤を添加した後、還元剤を混合することにより製造される。本熱輸送流体では、化学反応による構造変化させる温度をその使用温度域に応じて調整することができる。構造変化する温度を左右する因子としては、コーティング剤の種類、その配合量、微小粒子の種類、その配合量、溶媒の種類、その配合量等が挙げられる。
次に、本熱輸送流体を熱輸送装置10に適用した例について図2にしたがって説明する。図2は、熱輸送装置10の構成を示す模式図である。熱輸送装置10は、第1の部材11の熱を第2の部材に移動させる装置であり、例えば第1の部材11の熱は車両用エンジンの熱であり、第2の部材はラジエータまたは空気等の冷却性流体であるである。
熱輸送装置10は、第1の流路12と、第1の流路12と連通するように設けられた第2の流路13と、第1の流路12および第2の流路13を経由する循環流路に熱輸送流体を循環させるポンプ19と、熱輸送流体を構造化状態と非構造化状態との間で変移するように促す状態変化促進手段と、を備える。第1の流路12は、熱輸送流体が流通するときに外部から受熱する流路であり、第1の部材11に熱的に接続されている。第2の流路13は、熱輸送流体が流通するときに外部に放熱する流路であり、第2の部材に熱的に接続されている。
熱輸送流体は、第1の部材11および第1の部材11よりも低温である第2の部材を経由するように循環する。熱輸送流体は、具体的には、高温側である第1の流路12と低温側である第2の流路13を連絡する循環流路を循環手段であるポンプ19によって強制的に循環することになる。
熱輸送装置10における第1の状態変化促進手段は、第2の流路13の上流側の流路に設けられる第1のフィルタ17と、第2の流路13を迂回するように第2の流路13の上流側と下流側とを連絡するバイパス流路14と、バイパス流路14の出口に設けられる第2のフィルタ18と、から構成されている。
第1のフィルタ17は、熱輸送流体中の微小粒子1を通さないで溶媒を通すようなろ過性能を備えた濾材である。バイパス流路14には、第1のフィルタ17を通過して分離された溶媒が流通する。第2のフィルタ18は、第1のフィルタ17と同等のろ過性能を備えたフィルタであり、バイパス流路14を流れてきた溶媒を通し、この溶媒は第2の流路13を流れてきた微小粒子1と混合される。バイパス流路14および第1のフィルタ17は、第2の流路13の上流側で、熱輸送流体中の微小粒子1と溶媒とを分離し、第2の流路13に分離された微小粒子1を流通させる分離手段でもある。バイパス流路14および第2のフィルタ18は、第2の流路13の下流側で、分離された溶媒と第2の流路13を流れてきた微小粒子1とを混合させる混合手段でもある。
ポンプ19の強制的循環流により、熱輸送流体が第1の流路12から第2の流路13の上流側に流れると、熱輸送流体中の溶媒分子2を含む溶媒が第1のフィルタ17を通過してバイパス流路14に流入する。一方、複数の微小粒子1は、第1のフィルタ17を通過できないため、第2の流路13に流入する。第2の流路13を流通する流体は、その微小粒子1の濃度が第1の流路12を流通するときの流体よりも高くなっている。このため、第2の流路13では、複数の微小粒子1が集まりやすくなり、構造化状態の形成が促進されて発熱反応が進み、外部に向けて放熱するようになる。
そして、バイパス流路14を流れてきた流体は、第2の流路13の下流側で第2のフィルタ18を通過して第2の流路13を流れてきた流体と混合される。この混合により、第1の流路12に向かう流体は、その微小粒子1の濃度が第2の流路13を流通するときの流体よりも低くなるため、第1の流路12では複数の微小粒子1が分散しやすくなり、非構造化状態の形成が促進されて吸熱反応が進み、外部から吸熱するようになる。このように、第1の流路12は微小粒子1の解体が行われる非構造化エリアであり、第2の流路13は微小粒子1が集合する構造化エリアを構成する。
例えば、この装置では、熱輸送流体は、第1の流路12を通るときにエンジンの熱により高温となる第1の部材11から熱を吸収し、第2の流路13を通るときに外気に触れて低温となっている第2の部材へ熱を放出する。ここで、第1の部材11は、熱輸送流体が構造変化する温度より高く、第2の部材(例えば、ラジエータや周囲の空気)の温度は熱輸送流体が構造変化する温度より低い。このため、熱輸送流体は、第1の流路12を通るときは、通常の熱伝導による吸熱とともに、非構造化状態への構造変化に伴う熱量の熱を吸収して、エネルギーレベルの高い高温度域状態となり、次に、第2の流路13を通るときは、通常の熱伝導による放熱とともに、構造化状態への構造変化に伴う熱量を放出し、低温度域状態となる。すなわち、熱輸送流体は、構造変化に相当する熱量を第1の部材11から吸収し、第2の部材に放出するという、いわゆる疑似潜熱輸送効果を奏し、熱輸送量を飛躍的に増大させる。
さらに、熱輸送装置10には、第2の状態変化促進手段を設けてもよい。この第2の状態変化促進手段は、第1の状態変化促進手段に含まれているバイパス流路14と、電圧を印加することによって、バイパス流路14に溶媒が流れ、第2の流路13に微小粒子1が流れるように溶媒と微小粒子1を分離する電圧印加手段と、から構成される。この電圧印加手段は、第2の流路13の入口に設けられる第1の電極部15と、第2の流路13の途中に設けられる第2の電極部16と、から構成される。第1の電極部15と第2の電極部16は、微小粒子1が帯びる電荷の状態に応じた電位差を生じるように制御される。この電位差によって、電荷を帯びた微小粒子1を第2の電極部16側に引き寄せることにより、前述と同様に、微小粒子1が第2の流路13を流通し、溶媒がバイパス流路14を流通するように制御する。
例えば、微小粒子1がマイナスの電荷を帯びている物質である場合には、第1の電極部15を負極とし、第2の電極部16を正極とするように電極部を制御する。また、正極を構成するにはアルミニウム系材質の電極部を用い、負極を構成するには銅系材質の電極部を用いるようにして、電圧を与える。また、熱輸送装置10にこの第2の状態変化促進手段を単独で用いても、第1の状態変化促進手段と同様の作用効果が得られる。さらに、第2の状態変化促進手段と第1の状態変化促進手段を併せ持つ熱輸送装置を構成した場合には、構造化状態と非構造化状態とに亘る状態変化をより促進する装置を提供することができる。
本実施形態に係る熱輸送装置がもたらす作用効果を以下に述べる。前述の状態変化促進手段を有する熱輸送装置10によれば、第1の流路12で非構造化状態に変化させることによって外部の熱を吸熱し、第2の流路13で構造化状態に変化させることによって外部へ発熱し、熱輸送流体の状態変化が熱輸送装置10内で可逆的に行われる。これにより、構造化状態と非構造化状態とに亘る熱輸送流体の構造変化が円滑に起こさせることにより、発熱反応および吸熱反応を利用して熱輸送を促進することができる。
また、状態変化促進手段は分離手段と混合手段とを含む。分離手段は、第1のフィルタ17とバイパス流路14とから構成され、混合手段はバイパス流路14と第2のフィルタ18で構成される。この構成によれば、第2の流路13で流体中の微小粒子の濃度を高めて構造化状態を促進し、第2の流路13の下流側で構造化している微小粒子1と溶媒とを混合させることにより、第1の流路12で流体中の微小粒子1の濃度を低下させて微小粒子1の解体を促し、非構造化状態を促進する。これにより、簡易な構成によって、熱輸送流体の構造変化を実現できるとともに、発熱および吸熱を所望の部位で発生させる冷却システム系または加熱システム系の装置を構成することができる。
また、状態変化促進手段は、バイパス流路14と、電圧を印加することによって、バイパス流路14に溶媒が流れ、第2の流路13に微小粒子1が流れるように溶媒と微小粒子1とを分離する電圧印加手段(第1の電極部15、第2の電極部16)と、を含む。
この構成の熱輸送装置によれば、電圧印加によって極性を帯びた微小粒子1と溶媒とを分離することにより、第2の流路13で流体中の微小粒子1の濃度を高めて構造化状態を起こりやすくできる。さらに第2の流路13の下流側で構造化している微小粒子1と溶媒とを混合させることにより、第1の流路で流体中の微小粒子の濃度を低下させて微小粒子の解体を促し、非構造化状態を起こりやすくできる。これにより、粒子の濃度変化を利用することによって、熱輸送流体の状態変化が円滑に行われ、発熱および吸熱を所望の部位で発生させるシステムを提供できる。
また、本熱輸送流体は、発熱体と熱的に接続される第1の流路12と、第1の流路12よりも低温状態にある第2の流路13とを経由するように、熱輸送流体を循環させ、第1の流路12で構造化状態を形成し、第2の流路13で非構造化状態を形成するように構造変化を促す熱輸送方法に用いられる。この熱輸送方法によれば、熱輸送流体の吸熱反応と発熱反応を利用して高温側で熱を吸収し、低温側で熱を放出することにより、いわゆる擬似潜熱輸送効果を奏し、熱輸送量を飛躍的に大きくすることができる。
微小粒子1には平均直径が1nm〜10μmの範囲のものを用いる。これによれば、溶媒に分散される微小粒子としての表面積が飛躍的に増大することとなり、より多くのコーティング剤を発熱反応および吸熱反応に関与させることができるようになる。このため、熱輸送流体としての熱輸送能力のさらなる向上が期待できる。
また、溶媒としてエチレングリコールを用いた場合には、凝固点降下作用を有し、溶媒の凝固点を例えば−20℃程度まで降下させることが可能である。すなわち、例えば車載用の冷却水やオイル等のように寒冷地等における実用性においてより優れたものとなる。
(第2実施形態)
第2実施形態では、状態変化促進手段の他の形態について図3および図4にしたがって説明する。図3は本実施形態に係る熱輸送装置20の構成を示す模式図である。
熱輸送装置20は、第1の流路22と、第1の流路22と連通するように設けられた第2の流路23と、第1の流路22および第2の流路23を経由する循環流路に熱輸送流体を循環させるポンプ26と、熱輸送流体を構造化状態と非構造化状態との間で変移するように促す状態変化促進手段と、を備える。第1の流路22は、熱輸送流体が流通するときに外部から受熱する流路であり、第1の部材21に熱的に接続されている。第2の流路23は、熱輸送流体が流通するときに外部に放熱する流路であり、第2の部材に熱的に接続されている。
熱輸送流体は、第1の部材21および第1の部材21よりも低温である第2の部材を経由するように循環する。熱輸送流体は、具体的には、高温側である第1の流路22と低温側である第2の流路23を連絡する循環流路を循環手段であるポンプ26によって強制的に循環することになる。
熱輸送装置20における状態変化促進手段は、熱輸送流体の水素イオン指数(ペーハー)の差を設定することによって構造化状態と非構造化状態とに亘って遷移させる手段である。本状態変化促進手段は、第1の流路22と第2の流路23との間で熱輸送流体の水素イオン指数を調整するpH(ペーハー)調整部である。pH調整部は、熱輸送流体を所定の範囲の水素イオン指数に調整することができ、pH調整部によって、循環流路内で水素イオン指数が適宜調整されることにより、熱輸送流体が構造化状態と非構造化状態との間を変移するようになる。このpH調整部は、熱輸送流体の水素イオン指数を調整するpH調整剤を添加する第1のpH調整部24と、pH調整剤を除去して熱輸送流体の水素イオン指数を調整する第2のpH調整部25と、から構成されている。第1のpH調整部24は第1の流路22の出口と第2の流路23の入口の間に配置されており、第2のpH調整部25は、第2の流路23の出口と第1の流路22の入口の間に配置されている。
pH調整剤は、添加することで熱輸送流体の酸性を高め、またはアルカリ性を高める物質であり、例えば、クエン酸、リンゴ酸等有機酸類とその塩類、炭酸ナトリウム等の炭酸塩類、リン酸等である。
第1のpH調整部24は、熱輸送流体に対してpH調整剤を添加してその酸性またはアルカリ性を高めることにより、分散した状態の複数の微小粒子1が結合しやすい状態にする。第2のpH調整部25は、熱輸送流体に対してpH調整剤を除去してその酸性またはアルカリ性を高めることにより、構造化している状態の複数の微小粒子1を解体されやすい状態にする。pH調整剤を除去する方法としては、第1のpH調整部24で添加されたpH調整剤と反対の性質を有するpH調整剤を添加する方法や、フィルタなどの濾過材によって酸成分またはアルカリ成分を吸着する方法がある。なお、第2のpH調整部25でpH調整剤を添加し、第1のpH調整部24でpH調整剤を除去するように構成してもよい。
ポンプ26の強制的循環流により、熱輸送流体が第1の流路22から第2の流路23の上流側に流れると、第1のpH調整部24によって熱輸送流体にpH調整剤が添加され、熱輸送流体は酸性またはアルカリ性が高められ、構造化されやすい状態になる。このため、第2の流路23では、複数の微小粒子1が集まりやすくなり、構造化状態の形成が促進されて発熱反応が進み、外部に向けて放熱するようになる。
そして、第2の流路23から第1の流路22の上流側では、第2のpH調整部25によって熱輸送流体からpH調整剤が除去され、熱輸送流体は第2の流路23にあったときとは逆の性質を有するようになり、解体されやすい状態になる。このため、第1の流路22では複数の微小粒子1が分散しやすくなり、非構造化状態の形成が促進されて吸熱反応が進み、外部から吸熱するようになる。
このようにして、熱輸送流体は、第1の流路22を通るときは、通常の熱伝導による吸熱とともに、非構造化状態への構造変化に伴う熱量の熱を吸収して、エネルギーレベルの高い高温度域状態となり、次に、第2の流路23を通るときは、通常の熱伝導による放熱とともに、構造化状態への構造変化に伴う熱量を放出し、低温度域状態となる。すなわち、熱輸送流体は、構造変化に相当する熱量を第1の部材11から吸収し、第2の部材に放出するという、いわゆる疑似潜熱輸送効果を奏し、熱輸送量を飛躍的に増大させる。
図4は、pHの違いによる微小粒子の集合状況を表す実験データの一例を示したグラフである。図4は、横軸に熱輸送流体において測定された粒子のサイズ(nm)を示し、縦軸に測定された粒子の存在割合(%)を示している。図4に示すように、例えばpH14の場合には10nm以下の大きさの粒子の集合体の分布が測定され、pH13の場合には10nm〜1000nmの範囲の大きさの粒子の集合体の分布が測定される。熱輸送装置20においても、調整されたpHの値に応じて、特定のサイズ範囲の粒子が存在し、例えば図4のような存在分布が測定されうる。
本実施形態に係る熱輸送装置がもたらす作用効果を以下に述べる。熱輸送装置20の状態変化促進手段によれば、熱輸送流体に水素イオン指数(pH)の変化を与えることにより、熱輸送流体の構造変化を促し、循環流路の所望の場所で微小粒子1の構造化状態と非構造化状態を起こすことができる。これにより、pH調整部を備えるという簡易な構成によって、熱輸送流体の構造変化を実現できるとともに、発熱および吸熱を所望の部位で発生させる冷却システム系または加熱システム系の装置を構成することができる。
(第3実施形態)
第3実施形態では、状態変化促進手段の他の形態について図5および図6にしたがって説明する。図5は本実施形態に係る熱輸送装置30の構成を示す模式図である。図6は熱輸送装置30の変形例である熱輸送装置40の構成を示す模式図である。
熱輸送装置30は、第1の流路32と、第1の流路32と連通するように設けられた第2の流路33と、第1の流路32および第2の流路33を経由する循環流路に熱輸送流体を循環させるポンプ34と、を備える。第1の流路32は、熱輸送流体が流通するときに外部から受熱する流路であり、第1の部材31に熱的に接続されている。第2の流路33は、熱輸送流体が流通するときに外部に放熱する流路であり、第2の部材に熱的に接続されている。第2の流路33は、熱輸送流体を構造化状態と非構造化状態との間で変移するように促す状態変化促進手段である。
第2の流路33は、第1の流路32よりも大きい断面積を有していることにより、第2の流路33を通るときの熱輸送流体の流速を、第1の流路32を通るときの流速よりも遅くする流速調整手段を構成する。
ポンプ34の強制的循環流により、熱輸送流体が第1の流路32から第2の流路33に流れると、第2の流路33ではその流路が幅や高さが大きく流路断面積が大きくなっているため、第1の流路32を流れるときよりも流速が遅くなる。このため、第2の流路33では、微小粒子1の動きも遅くなり複数の微小粒子1が集まりやすい状態になるので、構造化状態の形成が促進されて発熱反応が進み、外部に向けて放熱するようになる。
そして、熱輸送流体は、第2の流路33から流出すると、流路断面積が小さくなるので、流速が速くなり、微小粒子1の動きが活発化し、構造化していた粒子は解体されやすい状態になる。このため、第1の流路32では複数の微小粒子1が分散しやすくなり、非構造化状態の形成が促進されて吸熱反応が進み、外部から吸熱するようになる。
このようにして、熱輸送流体は、前述の各実施形態と同様に、第1の流路32を通るときは、通常の熱伝導による吸熱とともに、非構造化状態への構造変化に伴う熱量の熱を吸収して、エネルギーレベルの高い高温度域状態となり、次に、第2の流路33を通るときは、通常の熱伝導による放熱とともに、構造化状態への構造変化に伴う熱量を放出し、低温度域状態となる。
また、熱輸送装置30の他の形態として、図6に示すような熱輸送装置40によって熱輸送流体の構造変化を実現することもできる。熱輸送装置40は、流速調整手段として、第2の流路を第1の流路よりも多くの個数有する装置である(本実施形態では一例として、1本の第1の流路と2本の第2の流路を有している)。この構成により、第2の流路の流路断面積の合計は、第1の流路の流路断面積よりも大きくなっている。
熱輸送装置40は、第1の流路42と、第1の流路42と連通するように並列に設けられた第2の流路43および第2の流路44と、第1の流路42と第2の流路43,44とを経由する循環流路に熱輸送流体を循環させるポンプ45と、を備える。第1の流路42は、熱輸送流体が流通するときに外部から受熱する流路であり、第1の部材41に熱的に接続されている。第2の流路43および第2の流路44のそれぞれは、同一の流路断面積を有し、熱輸送流体が流通するときに外部に放熱する流路であり、第2の部材に熱的に接続されている。第2の流路43,44は、熱輸送流体を構造化状態と非構造化状態との間で変移するように促す状態変化促進手段である。第2の流路43,44は、2個の流路の総断面積が第1の流路42よりも大きい断面積を有していることにより、第2の流路43,44を通るときの熱輸送流体の流速を、第1の流路42を通るときの流速よりも遅くする流速調整手段を構成する。
ポンプ45の強制的循環流により、熱輸送流体が第1の流路42から2本の第2の流路43,44に流れると、第2の流路43,44のそれぞれを流れる時の流速は第1の流路42を流れるときよりも遅くなる。このため、各第2の流路43,44では、微小粒子1の動きも遅くなり複数の微小粒子1が集まりやすい状態になるので、構造化状態の形成が促進されて発熱反応が進み、外部に向けて放熱するようになる。
そして、熱輸送流体は、各第2の流路43,44から流出して合流し、1本の流れになると、流路断面積が小さくなるので、流速が速くなり、微小粒子1の動きが活発化し、構造化していた粒子は解体されやすい状態になる。このため、第1の流路42では複数の微小粒子1が分散しやすくなり、非構造化状態の形成が促進されて吸熱反応が進み、外部から吸熱するようになる。
このようにして、熱輸送流体は、前述の各実施形態と同様に、第1の流路42を通るときは、通常の熱伝導による吸熱とともに、非構造化状態への構造変化に伴う熱量の熱を吸収して、エネルギーレベルの高い高温度域状態となり、次に、各第2の流路43,44を通るときは、通常の熱伝導による放熱とともに、構造化状態への構造変化に伴う熱量を放出し、低温度域状態となる。
本実施形態に係る熱輸送装置がもたらす作用効果を以下に述べる。各熱輸送装置30,40によれば、循環流路内における熱輸送流体の流速の変化を与えることにより、熱輸送流体の構造変化を促し、循環流路の所望の場所で微小粒子1の構造化状態と非構造化状態を起こすことができる。これにより、流路断面積を第2の流路の方を第1の流路よりも大きく構成するという簡易な構成によって、熱輸送流体の構造変化を実現できるとともに、発熱および吸熱を所望の部位で発生させる冷却システム系または加熱システム系の装置を構成することができる。
(その他の実施形態)
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々変形して実施することが可能である。
熱輸送流体に含まれる溶媒は、上記各実施形態で例示した他、以下の有機溶媒を用いることができる。有機溶媒としては、トルエン、ヘキサン、ジエチルエーテル、クロロホルム、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、塩化メチレン、アセトン、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、酢酸ブタノール、2プロパノール、1−プロパノール、エタノール、メタノール、ギ酸等である。
また、熱輸送流体に含まれる溶媒として、2種類の成分からなるものを用いてもよい。このうち1種類の溶媒としては凝固点降下作用を有するある液体を用いてもよい。例えば溶媒として水を用い、凝固点降下剤として酢酸カリウム、酢酸ナトリウム等を用いることができる。こうした構造によれば、熱輸送流体の凝固点を降下させることで、寒冷地等における実用性をさらに高めることができる。さらに必要に応じて、凝固点降下剤に加えて防錆剤や酸化防止剤を、添加剤として熱輸送流体に含有させるようにしてもよい。なお、熱輸送流体の凝固点降下の必要性がなければ、凝固点降下剤を含有しない2種類以上の溶媒を用いるようにしてもよい。
また、上記各実施形態の熱輸送装置は、エンジンや電子機器等の熱源の放熱を行う装置の他、CPU、LSI、CCD等の半導体部品の冷却装置、モータの冷却装置に適用することができる。
熱輸送流体の構造変化を示す説明図であって、(a)は微小粒子が集合した構造化状態を表し、(b)は微小粒子が分散した非構造化状態を表す。 第1実施形態に係る熱輸送装置10の構成を示す模式図である。 第2実施形態に係る熱輸送装置20の構成を示す模式図である。 pHの違いによる微小粒子の集合状態を示した実験データを示したグラフである。 第3実施形態に係る熱輸送装置30の構成を示す模式図である。 熱輸送装置30の変形例である熱輸送装置40の構成を示す模式図である。
符号の説明
1…微小粒子
2…溶媒分子
10,20,30,40…熱輸送装置
12,22…第1の流路
13,23…第2の流路
14…バイパス流路(状態変化促進手段、混合手段)
15…第1の電極部(電圧印加手段)
16…第2の電極部(電圧印加手段)
17…第1のフィルタ(状態変化促進手段)
18…第2のフィルタ(状態変化促進手段、混合手段)
19…ポンプ(循環手段)
24…第1のpH調整部(状態変化促進手段、pH調整部)
25…第2のpH調整部(状態変化促進手段、pH調整部)
32…第1の流路(状態変化促進手段、流速調整手段)
33…第2の流路(状態変化促進手段、流速調整手段)
42…第1の流路(状態変化促進手段、流速調整手段)
43,44…第2の流路(状態変化促進手段、流速調整手段)

Claims (5)

  1. 水または有機物からなる溶媒と、前記溶媒中に分散される複数の微小粒子と、前記微小粒子の表面に付着するコーティング剤と、から少なくとも構成され、前記複数の微小粒子が集合する構造化状態と分散する非構造化状態とにわたって状態変化する熱輸送流体を熱伝達媒体とする熱輸送装置であって、
    前記熱輸送流体が流通するときに外部から受熱する第1の流路と、
    前記第1の流路と連通し、前記熱輸送流体が流通するときに外部に放熱する第2の流路と、
    前記第1の流路および前記第2の流路を経由する循環流路に前記熱輸送流体を循環させる循環手段と、
    前記熱輸送流体を前記構造化状態と前記非構造化状態との間で変移するように促す状態変化促進手段と、
    を備え、
    前記状態変化促進手段は、
    前記第2の流路の上流側で前記熱輸送流体中の前記微小粒子と前記溶媒とを分離し、前記第2の流路に前記分離された微小粒子を流通させる分離手段(14,17)と、
    前記第2の流路の下流側で前記分離された溶媒と前記第2の流路を流れてきた前記微小粒子とを混合させる混合手段(14,18)と、
    を含むことを特徴とする熱輸送装置。
  2. 前記分離手段および前記混合手段は、前記第2の流路の上流側の流路に設けられ、前記熱輸送流体中の前記微小粒子を通さないで前記溶媒を通す第1のフィルタ(17)と、前記第2の流路を迂回するように前記第2の流路の上流側と前記下流側とを連絡し、前記分離された溶媒が流通するバイパス流路(14)とから構成されており、前記バイパス流路の出口で、前記分離された溶媒と前記第2の流路を流れてきた前記微小粒子とを混合させることを特徴とする請求項1に記載の熱輸送装置。
  3. 水または有機物からなる溶媒と、前記溶媒中に分散される複数の微小粒子と、から少なくとも構成され、前記複数の微小粒子が集合する構造化状態と分散する非構造化状態とにわたって状態変化する熱輸送流体を熱伝達媒体とする熱輸送装置であって、
    前記熱輸送流体が流通するときに外部から受熱する第1の流路と、
    前記第1の流路と連通し、前記熱輸送流体が流通するときに外部に放熱する第2の流路と、
    前記第1の流路および前記第2の流路を経由する循環流路に前記熱輸送流体を循環させる循環手段と、
    前記熱輸送流体を前記構造化状態と前記非構造化状態との間で変移するように促す状態変化促進手段と、
    を備え
    前記状態変化促進手段は、
    前記第2の流路を迂回するように前記第2の流路の上流側と下流側とを連絡するバイパス流路(14)と、
    電圧を印加することによって、前記バイパス流路に前記溶媒が流れ、前記第2の流路に前記微小粒子が流れるように前記溶媒と前記微小粒子を分離する電圧印加手段(15,16)と、
    を含むことを特徴とする熱輸送装置。
  4. 水または有機物からなる溶媒と、前記溶媒中に分散される複数の微小粒子と、前記微小粒子の表面に付着するコーティング剤と、から少なくとも構成され、前記複数の微小粒子が集合する構造化状態と分散する非構造化状態とにわたって状態変化する熱輸送流体を熱伝達媒体とする熱輸送装置であって、
    前記熱輸送流体が流通するときに外部から受熱する第1の流路と、
    前記第1の流路と連通し、前記熱輸送流体が流通するときに外部に放熱する第2の流路と、
    前記第1の流路および前記第2の流路を経由する循環流路に前記熱輸送流体を循環させる循環手段と、
    前記熱輸送流体を前記構造化状態と前記非構造化状態との間で変移するように促す状態変化促進手段と、
    を備え
    前記状態変化促進手段は、
    前記第1の流路と前記第2の流路との間で前記熱輸送流体の水素イオン指数を調整するpH調整部(24,25)を含むことを特徴とする熱輸送装置。
  5. 前記pH調整部は、前記水素イオン指数を調整するpH調整剤を添加する第1のpH調整部(24)と、前記pH調整剤を除去する第2のpH調整部(25)と、を含むことを特徴とする請求項4に記載の熱輸送装置。
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