JP5122478B2 - レタスの生理障害抵抗性 - Google Patents

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Description

本発明は、植物の集団を、そのエチレン応答様式に関して変化した個体のその集団内での存在についてスクリーニングする方法に関する。本発明はさらに、このように特定される植物および植物部分、特に葉菜類に関する。より詳細には、本発明は、さび状斑点および黄化などの生理障害に対するその作物種の感受性の低下をもたらすエチレン応答性の変化を示す、レタス(ラクチュカ・サティバL.)に関する。本発明は、これらの植物および植物部分の種子および後代にも関する。
レタスのような葉菜類の育種の目的は、市場品の生産に最適に適応した経済品種の作出である。選抜の過程で、投入および生産の両形質に関する多くの特性を考慮する必要がある。この点に関して最も重要な形質の1つは、収穫後の品質、特に保存期間に関するものである。生理障害、より詳細にはさび状斑点および黄化の回避は、レタス作物またはその部分の保存期間を延長することができる重要な要素である。
エチレンは、老化に関係のある生理過程を刺激することが一般に知られている植物ホルモンである。レタスにおいて、この刺激は、さび状斑点および黄化などの症状の形成を通して明らかになる。
さび状斑点障害は、葉の中央脈に沿った褐色斑点の出現を特徴とするが、黄化は、葉緑素分解の結果として老化の過程で起こる葉の一般的な退色である。
レタスの成熟結球はエチレンを微量しか生成しないことが知られているが、この植物はこの植物ホルモンに対して感受性が極めて高い。したがって、レタスの収穫後品質を低下させるエチレン感受性と関連する生理障害は、主に外部のエチレン源に起因する。そのような外部源への曝露は、産物の収穫、加工および貯蔵の間に起こる可能性がある。
例えば、レタスが、リンゴ、ナシまたはモモなどのエチレン産生果実の近くで輸送または保存される場合、激しい劣化が起こることがある。さらに、レタスが加工され、フレッシュカット混合物包装の形で用いられる場合、1つまたは複数の材料によるエチレン放出のために、用いることができる材料について制限される可能性がある。
さび状斑点は、葉の中央脈に沿う多数の褐色斑点の出現が明らかな生理障害である。褐変症状は、障害の進行段階の間に、葉全体に広がることがある。さび状斑点は、特に成熟レタス結球が低濃度(ppmレベル)エチレンの存在下、より低い温度(5℃)で保存される場合に起こることが知られている。
症状の形成は、植物ホルモンオーキシンまたはカルシウムの使用によって拮抗することができる。さらに、低レベルの酸素を含有する改変雰囲気は、症状の発生速度を低下させる。
生化学レベルでは、さび状斑点は、視覚症状が現れる葉の領域の周辺で木化および細胞壁肥厚を引き起こすリグニン生合成の局所刺激の結果として発生するようである。
褐変は、フェノール代謝の刺激に起因する。エチレンによって誘導されることが示された酵素フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)は、フェニルプロパノイド経路の第1の専任段階を触媒する。生成するフェノール化合物には、主にカフェー酸誘導体並びに(+)カテキンおよび(−)エピカテキンなどのいくつかのフラボノイドが含まれる。ポリフェノールオキシダーゼ(PPO)によるこれらの化合物の以降の酸化は、一般にさび状斑点で観察される褐変に至る。最後に、組織の崩壊および細胞死のために、症状がより激しくなることがある。
老化は、植物または植物器官の生活環の終わりの自然の発達過程であり、この過程では、種子のような生殖構造物に資源を再動員するために代謝が再プログラムされる。老化は、生理的年齢のような内因性の因子に起因する発達過程であるが、老化を調節することができる多くの外因性因子がある。
老化の最も可視的な症状である葉の黄化は、老化の比較的後期の葉緑素分解の結果であり、葉が受け入れ状態になるとエチレンによる促進が可能になる。老化の周知の他の刺激因子は、傷、暗さおよび栄養不足である。エチレンは老化を刺激することが知られている最も重要な植物ホルモンであるが、ジャスモン酸のような他のホルモンもこの過程に寄与することができる。
レタス作物の収穫直後から消費直前まで、産物は老化に寄与する異なる外因性因子に曝露させられる可能性がある。これらは、収穫および加工中の傷、貯蔵中の暗さおよび栄養不足、並びに、加工および貯蔵中のエチレンである可能性がある。これらの因子は、さび状斑点および黄化として明らかになる可能性がある、収穫後障害を強く刺激する。これらの影響はほとんど審美的であるが、産物は見栄えが非常に悪くなり、よって市場価値がなくなる。
劣化作用に対抗するために、これらの作用を減少させる多くの収穫後措置をとることができる。例えば、老化を遅らせるために、収穫されたレタスを低温で保存することができる。これは黄化の速度を低下させることができるが、さび状斑点は促進される可能性がある。さらに、畑から消費者までの輸送に必要とされる時間を減少させるか、または、レタスがエチレン源の近くで保存されることを阻止するロジスティック措置を実施することができる。さらに、食品安全性および消費者受容が明らかに問題になるけれども、収穫後劣化を阻止する化学的処理を適用することができる。
収穫後措置の多くはある程度成功しているが、改善の余地が確かにある。さらに、関係する費用が相当かかる可能性があり、そのことは、収穫後処理を適用する必要性を減少させる代替形態を探究する他の理由である。好ましくは、収穫後品質を高レベルに維持するために現在用いられる高価な、防止的な措置の必要性を減少または消失させる遺伝的解決法が見い出される。
本発明の目的は、エチレン非感受性植物の特定を可能にするスクリーニング法を提供することである。本発明の他の目的は、その方法によって入手できる植物を提供することである。
この目的は、本発明に従い、植物の集団を、対照植物と比較してエチレンおよび生理障害、特にさび状斑点および黄化に対する感受性の低下を示す個体のその集団内での存在についてスクリーニングする方法によって達成され、その方法は、
a)種子の集団を用意すること、
b)種子を暗所、エチレンの存在下で発芽させて実生を得ること、
c)エチレン感受性対照の胚軸よりも長い胚軸を示す実生を選抜すること、
d)選抜した実生を自殖して種子を作出すること、
e)選抜した各実生から作出した種子の一部を暗所、エチレンの存在下で発芽させ、選抜した各実生からの種子の他の一部を暗所、空気下で発芽させること、および
f)エチレン下および空気下の両方で元のエチレン感受性対照と比較してより長い胚軸を有する植物と、エチレン下だけで元のエチレン感受性対照と比較してより長い胚軸を有する植物とを区別するための、空気下で発芽した実生の胚軸の生長に対する、エチレン下で発芽した実生の胚軸の相対生長を測定することを含み、
エチレン下だけで元のエチレン感受性対照と比較してより長い胚軸を有する植物が、エチレンおよび生理障害、特にさび状斑点または黄化に対する感受性の低下を示す植物として特定される。
本発明は、エチレン非感受性の植物、特にレタスが、さび状斑点および黄化などの収穫後生理障害に抵抗性になるであろうとの仮説に基づく。
好ましい一実施形態では、本発明の方法は、前の工程でエチレンに対する感受性の低下を示すと特定された植物をさび状斑点および/または黄化に対するその抵抗性について試験するさらなる工程を含む。
胚軸長および根長は、標準との比較により、エチレン下のエチレン感受性標準品種と同等であることを意味するスコア1から、空気下のエチレン感受性標準品種と同等であることを意味するスコア3まで評価することによって観察することができる。所望により、ミリメートル単位の測定をすることができる。これらの測定の1つを用いて、当分野の技術者に周知のt検定などの単純な統計分析を実施して、植物または植物群が、エチレン感受性標準、例えば品種「Troubadour」(Rijk Zwaan、De Lier、NL)よりもエチレンに対する感受性が有意に低いかどうか立証することができる。適用される片側検定の有意水準は、0.001である。
突然変異体については、好ましくは、突然変異誘発処理で用いた入手可能な最良の標準である元の品種の胚軸長および所望により根長と、個々の突然変異体および/またはそれらの子孫の胚軸および根の長さとの間で統計的比較を行う。
既存植物材料中でエチレン非感受性植物を見い出すために、品種、育種系統および/または遺伝子バンク受託植物の1つまたは複数の代表的な試料を選抜する。次に、調査対象の個々の受託植物および集団の残りの胚軸および根の長さの間で、統計的比較を適切に行う。個体を有意により長い胚軸および/または根について統計学的に検定する場合、適切な全体の有意水準を保つために、例えば1標準によるダネットの多重比較検定(Dunnett,CW、J.Amer.Statist.Assoc.50:1096−1121(1955))のような多重比較検定が必要となることがある。
スクリーニングする植物は、通常、葉菜植物、特に、ラクチュカ属、特にラクチュカ・サティバに属する植物である。
植物集団は、突然変異体植物の集団であることが好ましく、それは、そのような変異体集団では本発明の植物を見い出す可能性がより高いからである。しかし、遺伝的構成が異なる他の任意の植物集団を、本発明によってスクリーニングすることができる。
突然変異体植物の集団は、好ましくは、化学物質および/または照射を用いる突然変異誘発処理によって得られる。突然変異誘発処理は周知であり、以下にさらに記載される。
工程b)のエチレン濃度は、少なくとも10μg/リットル、好ましくは11〜25μg/リットルである。工程d)のエチレン濃度は、約4〜5μg/リットルである。
本発明のスクリーニング法の選抜工程は、胚軸の伸長に基づく。暗所で生長させた発芽実生のエチレンへの曝露は、胚軸の放射状膨張並びに根および胚軸の生長の抑制を引き起こす。この現象は、一般に三重反応(例えばGuzman,Pおよび Ecker,J.Plant Cell 2:513−523(1990)を参照)と称される。この反応の再現性は、エチレンの存在下または非存在下で変更された三重反応を示す突然変異体についてスクリーニングすることを可能にする。胚軸の伸長の測定に加えてまたはそれに代えて、本発明による選抜は、三重反応試験の他の要素の1つまたは複数に基づくことができる。
そのさらなる態様に従い、本発明は、対照植物と比較してエチレンおよび生理障害、特にさび状斑点および黄化に対する感受性の低下を示す植物を提供し、その植物は、植物種子集団を本発明のスクリーニング法にかけ、その集団から、エチレン感受性の対照と比較してより長い胚軸を示す植物を、エチレンおよび生理障害、特にさび状斑点および黄化に対する感受性の低下を示す植物として選抜することによって入手できる。
本発明の植物は、好ましくは、葉菜植物、特に、ラクチュカ属、特にラクチュカ・サティバに属する植物である。
本発明のスクリーニング法により、エチレン非感受性突然変異体が特定および選抜された。これらの突然変異体の種子は、2007年1月3日にNCIMB Ltd、Ferguson Building、Craibstone Estate、Bucksburn、Aberdeen、AB21 9YA UKに寄託し、表1に掲載するアクセッション番号が付与された。寄託植物の種子子孫の詳細は、実施例3および実施例4で示す。これら寄託植物は、エチレンに対する感受性の有意な低下という単一の特定の特性を有するので作製されている。それらは品種登録のDUS基準、すなわち識別可能性、均一性、全ての登録特性の安定性について試験されておらず、いかなる形であれこれらの基準を満たすことは予想されていない。
Figure 0005122478
本発明はさらに、エチレンおよび生理障害、特にさび状斑点または黄化に対する感受性の低下を示し、本発明の植物を同種の他の植物と交雑することによって入手できる植物に関する。したがって、特徴「エチレンおよび生理障害、特にさび状斑点または黄化に対する感受性の低下」は、当初その特徴を所有しない他の植物に導入することができる。そのような交雑から生じる植物が実際本発明の植物であるかどうかは、これらの植物を本発明のスクリーニング法にかけることによって試験することができる。
本発明はさらに、エチレンおよび生理障害、特にさび状斑点または黄化に対する感受性の低下を示す、本発明の親植物の後代に関する。そのような後代は、親から何世代も離れたものであってよい。特徴「エチレンおよび生理障害、特にさび状斑点または黄化に対する感受性の低下」が存在する場合、後代植物は本発明の植物である。
本発明はさらに、本発明の植物の部分に関する。植物の部分は、例えば、幼葉、加工された結球または切断された葉などのレタスの結球または葉である。
本発明の植物部分を組織培養で用いて、組織培養のための組織が由来する植物で見られるエチレンおよび生理障害、特にさび状斑点または黄化に対する感受性の低下を有する植物を再生させることができる。そのような再生植物も、本発明の一部である。
本発明はさらに、本発明の植物の種子に関する。種子から、特徴「エチレンおよび生理障害、特にさび状斑点または黄化に対する感受性の低下」を同じく有する植物を生長させることができる。種子および、したがってそこから生長した植物がその特徴を保持しているかどうかは、本発明のスクリーニング法で試験することができる。本発明は、元の種子で見られるエチレンおよび生理障害、特にさび状斑点または黄化に対する感受性の低下を保持する、さらなる世代の種子にも関する。
そのさらなる態様に従い、本発明は、本発明の植物またはその一部を含む野菜産物に関する。好ましくは、その野菜は葉菜類であり、より詳細には、その野菜はレタスである。
本発明の方法でスクリーニングする場合、野菜産物はエチレンおよび生理障害、特にさび状斑点または黄化に対する感受性の低下を示す。
本発明のスクリーニング法は、比較的単純な方法である点に留意する必要がある。エチレンおよび生理障害、特にさび状斑点または黄化に対する感受性の低下を有する本発明の植物は、十分大きな任意の変異体集団で特定することができる。本発明を再現するために過度の実験を必要とせず、したがって、本発明の植物は、寄託されているものに限定されると解釈されてはならない。
それらのエチレン非感受性の結果、本発明のレタス植物材料およびそれに由来する種子は、さび状斑点および黄化などの老化関連現象に特に関係のあるそれらの収穫後品質に関して、大きな向上を示す。
エチレンが老化の刺激で最も重要な植物ホルモンであり、さび状斑点および黄化が老化と関連するので、遺伝的変異体を作出し、エチレン非感受性について選抜する遺伝的手法をとった。これが間接的に、それらの収穫後老化応答が影響される突然変異体の特定に導くことが見い出された。
アラビドプシス・タリアーナなどの植物モデル種並びに作物種を用いた詳細な研究は、エチレンの生合成および認識に関係する生化学経路に関する情報を提供した。遺伝子の多くの対立遺伝子形態が、この点に関してのそれらの役割について特徴づけられ、植物におけるエチレン機能の複雑な像を提供した。エチレンは、他の植物ホルモンと同様に、複雑なインタラクティブ調節ネットワークに埋め込まれた多くの生理過程で、重要な役割を果たす。
ホルモンの空間的および時間的活性は、とりわけ、エチレン生合成、ホルモン認識、シグナル伝達および下流側エフェクタータンパク質の活性化の基礎をなす遺伝子発現のレベルで決定される。
異なるレベルで関係する遺伝子の対立遺伝子変異体は、応答の強度並びに他のシグナル伝達経路へのクロストークのレベルを決定することができる。エチレンの生合成および認識はレタスでは十分に特徴づけられていないので、また、異なる応答強度およびそれらの根底にある対立遺伝子変異体の特定を可能にするために、標的遺伝子改変手法と比較して偏りのない手法がこの点でより成功に導く可能性があると判断された。
そのような偏りのない手法は、好ましくは、エチレンに対する黄化実生の応答に基づく効率的な表現型スクリーニングおよび選抜手法と組み合わせた、化学的または物理的なランダム突然変異誘発手法を包含する。そのような実生ベースの選抜系は、成熟レタス結球の使用と比較して、1人1時間の仕事量につき評価することができる植物個体数の点で、はるかにより効率的である。さらに、スクリーニングのための植物材料を作出する時間は、成熟した結球と比較して実生の場合明らかにずっと少ない。
この手法のさらなる利点は、成功事象が特定された場合の、連続する世代における収穫後形質の予測的表現型マーカーとしての幼苗期の選抜条件の使用である。幼苗期の選抜が成熟した収穫後レベルで選抜形質を発現する遺伝的変異体につながらない可能性がある事実に、明白なリスクが存在する。さらに、エチレンのような植物ホルモンは、多面的効果につながることができる多くの生理過程に関与すると認識されている。これらは、作物およびその栽培条件に従い、正または負であることができる。したがって、とられる手法は、好ましくは以下の工程を含む。
1.エタンメチルスルホン酸塩(ems)またはγ線照射などの突然変異原による種子または植物組織の処理による突然変異体集団の作製。
2.選抜が、植物、特にレタスの黄化芽生えのエチレンに対する、胚軸伸長の大きな低下、短く、肥厚した根および誇張された先端フックの湾曲を特徴とする、応答に基づく効率的な表現型スクリーニングのセットアップ。この応答は、黄化芽生えに一般的であり、エチレンを含有する雰囲気に曝露させた場合に多くの植物種で様々な程度で起こることが見い出されている、三重反応と呼ばれる(例えばEcker J、Science 268(5211):667−675(1995)を参照)。
3.さび状斑点および黄化を含む収穫後劣化に関する、それらの三重反応の少なくとも1つの試験で改変された突然変異体の特徴づけ。所望により、植物の価値に影響を及ぼすであろう負の多面的効果を排除するためのその改変の多面的効果の決定。
したがって、本発明のスクリーニング法では、試験する植物種子の集団は、好ましくは、
a)改変する植物種のM0種子を突然変異原で処理してM1種子を得ること、
b)このように得たM1種子から植物を生長させてM1植物を得ること、
c)M1植物の自家受精によってM2種子を作出すること、および
d)所望により、工程b)およびc)をn回繰り返して、M1+n種子を得ること
を含む方法によって得ることができる突然変異体種子の集団である。
次に、このように得たM1+n種子を暗所、高濃度エチレンの存在下で発芽させ、実生を得る。その後、エチレンに応答を示さない実生を選抜する。測定する応答は、エチレン感受性実生の胚軸と比較して長い胚軸の発達である。
次に、各選抜された植物の後代を分け、暗所で生長させる。後代の半分はエチレン下で、後代の半分は空気下で生長させる。エチレン対空気下での胚軸の相対生長を、両条件下で各後代について測定する。これらの観察を用いて、元のエチレン感受性対照よりもエチレン下だけでなく空気下でも長い胚軸を有する後代であって、したがってエチレン感受性であり所望のものではないと結論することができる後代を、真にエチレンに対する感受性が低下した後代から識別する。
周知の突然変異原の例は、emsである。emsは、主にDNA鎖のG残基をアルキル化し、それは、DNA複製の間、Cの代わりにTとの対形成を引き起こす。したがって、GC塩基対は、emsの有効量および植物のミスマッチ修復系の活性によって決定される頻度で、AT塩基対に変化する。emsの有効量は、用いる濃度、種子サイズおよび他の物性、およびems溶液中での種子のインキュベーション時間によって決まる。emsで処理された種子は、一般的にM1種子と呼ばれる。処理の結果として、M1種子の組織は、それらの細胞のゲノムの中にランダム点突然変異を有し、生殖細胞系組織(生殖細胞)を形成する細胞の亜集団に存在するものは、M2と呼ばれる次世代へ移動する。ハプロ不全であることによって不稔性を引き起こすかまたは胚致死を誘発する突然変異またはその組合せは、M2世代へ移動しない。
emsの使用のために上記したのと類似した手法が、他の突然変異原にも適用される。黄化芽生えの三重反応の低下を目的としたスクリーニング法で、M2集団を用いることができる。
他の突然変異原、特にアルキル化突然変異原は、硫酸ジエチル(des)、エチレンイミン(ei)、プロパンスルトン、N−メチル−N−ニトロソウレタン(mnu)、N−ニトロソ−N−メチル尿素(NMU)、N−エチル−N−ニトロソウレア(enu)、アジ化ナトリウムである。
あるいは、突然変異は照射によって誘発され、それは、例えばX線、高速中性子、紫外照射から選択される。
本発明の他の実施形態では、突然変異は遺伝子工学により、例えばキメラオリゴヌクレオチドの使用、相同組換え、内因性の産物と競合する改変された標的遺伝子の導入、RNA干渉を通してのダウンレギュレーション、その他により誘発される。
植物のゲノムに存在する遺伝子標的の特定の方法による改変を可能にする技術は、当分野の技術者に公知である。例えば、キメラオリゴヌクレオチドは、特定の作用様式を有する有効な突然変異原であることが証明された。他の手法は、相同組換えまたは遺伝子ターゲッティングを通して遺伝子標的を改変することである。そのような手法を用いて、遺伝子の断片を、所望の改変を有する導入DNA断片と交換する。内因性産物と競合する改変された標的遺伝子が導入される、トランスジェニック手法も可能である。これは、優性の負の効果をもたらすことができる。さらに、RNA干渉を通して、遺伝子発現の特異的ダウンレギュレーションが可能である。
エチレン機能に関係する遺伝因子を改変するために、突然変異誘発性のオリゴヌクレオチド、遺伝子ターゲッティングまたはトランスジェニックの手法が用いられる場合、明らかに、関連遺伝子の一次構造を知らなければならない。しかし、現在、レタスについては、そのような遺伝子に関する知識は限定される。
好ましくは、本発明は、エチレンに対する感受性の低下したピラミッド状の対立遺伝子をさらに含む。
M1およびM1+n種子の作出は、適切には自家受粉によってもたらされる。
本発明はさらに、それらのゲノムに、表1で記載するように、さび状斑点および黄化などの生理障害に対する感受性の低下を担い、レタス植物のゲノムで見い出されるそのゲノム遺伝情報を有する植物または植物部分に関する。
請求する植物の後代も、本発明の一部である。本明細書で用いる「後代」は、エチレンおよび生理障害、特にさび状斑点または黄化に対して、本明細書で記載の元の植物と同じかまたは類似する低下した感受性を有し、任意の方法、例えば自家受精もしくは同じ属の別の植物による他家受精のような有性生殖、または、栄養生殖、例えば挿し木、組織培養、一倍体培養、プロトプラスト培養、プロトプラスト融合もしくは他の技術によりそれらから導かれる全ての植物を包含するものとする。そのような後代は、したがって、本発明によって特定される第一世代の植物であり、並びに、これらの技術の1つまたは複数によって導かれる第一世代の植物であるだけでなく、これらの技術の1つまたは複数によって導かれるあらゆるさらなる世代の植物でもあるが、導かれた植物は低下した感受性を有するものとする。
エチレンに対する黄化レタス実生の応答を測定するために、エチレンレベルの変更が可能な雰囲気下でろ紙の上でレタス実生を生長させる、特別設計のプラスチック容器を利用した。レタス実生が胚軸の伸長の低下によってエチレンの存在に応答することが実際見い出されたが、そのことは、そのような突然変異体が入手可能な集団内に存在する場合、および、非感受性が、適用された実験条件下で実生レベルで表現型として発現する場合、原則として、エチレン非感受性突然変異体についての選抜を可能にする。
エチレン含有雰囲気下でランダムに誘導した突然変異を含む集団からの多数の黄化レタス実生を生長させることにより、出発集団のエチレン感受性と比較して低いエチレン感受性を示す実生を得、選抜することができることが見い出された。雰囲気がエチレンを含まない空気から構成された状況と同等の程度に胚軸伸長を示す実生を選抜した。このように特定された実生は、エチレンに非感受性であるとみなされた。
エチレン非感受性突然変異体がさび状斑点および黄化に抵抗性であることを確認するために、スクリーニングで特定した突然変異体を、さび状斑点および/または黄化に対するそれらの抵抗性について試験する。
さび状斑点試験は、適切には、収穫した成熟結球を8℃の温度の暗い密閉容器内で保存し、6〜7vpm(容積ppm)濃度のエチレンガスへそれらを曝露させ、7日後、好ましくは9日後にさび状斑点症状の存在を評価することを含む。適切には、エチレン感受性対照結球を試験植物と一緒にインキュベートし、試験植物のさび状斑点をそれと比較する。
黄化試験は、試験するレタス植物の成熟結球を8℃の無エチレン貯蔵室で保存し、10日後、好ましくは14日後に基部葉の黄化を評価することを含む。黄化抵抗性の植物は、14日後に基部葉の黄化を示さない植物である。適切には、エチレン感受性対照結球を試験植物と一緒にインキュベートし、試験植物の黄化反応をそれと比較する。
実施例で例示されるように、エチレン非感受性は、さび状斑点への抵抗性および、エチレンによって誘導されない黄変への抵抗性に導くことを初めて証明した。
驚くべきことに、対照条件と比較して小さいものの、感受性対照と比較して長い伸長応答を示した実生も発見され、それらも部分的とはいえエチレンに非感受性であると考えられた。
観察された様々なレベルのエチレン非感受性は、異なる突然変異体遺伝子座または、元の集団のこの形質に影響を及ぼす同一の遺伝子座の異なる対立遺伝子形態の存在を反映している可能性がある。
劣性突然変異の場合には、これらの2つの可能性は、2つの突然変異事象の交雑およびハイブリッドの表現型の決定を含む対立性アッセイの実施によって、容易に区別することができる。突然変異の対立性の場合には、エチレン非感受性はF1で明白になり、突然変異体の表現型が異なる劣性遺伝子座で決定される場合は、このことはあてはまらない。
出発集団を作製する好ましい手段としてランダムな突然変異誘発を使用したので、遺伝的背景の突然変異も実験条件下での実生表現型の変動に寄与する可能性がある。遺伝的背景で異なる強度の単一突然変異および突然変異の複合効果を区別するために、戻し交雑を実施して異なるエチレン非感受性事象のために均一な遺伝的背景を形成しなければならない。そのような手法は、エチレン感受性に関係する特定の遺伝子座の突然変異が多面的効果を示すかどうか判断するために、さらに妥当である。
エチレンに対する応答の低下に基づいてこのように選抜されたM2植物を用いて、M3種子を生長させた。場合により、M3種子から生長したM3植物を三重反応試験でエチレン感受性の低下について選抜し、自殖してM4種子を作出した。2、3の例では、M5までこれを繰り返すことさえした。
1つの例では、M3種子から生長させたM3植物を三重反応試験でエチレン感受性低下について選抜し、エチレン感受性およびさび状斑点感受性の親と交雑してF1種子を得た。F1種子から生長させたF1植物を自殖して、F2種子を作出した。これらのF2種子から生長させたF2植物を三重反応試験でエチレン感受性の低下について選抜し、自殖してF3種子を作出した。このF3系統を、M3およびM4近交系のセットに加えた。その後、エチレン非感受性事象に由来する近交系を、エチレンに対するそれらの応答について再評価した。各近交系の非感受性レベルを、空気下に対してのエチレン含有雰囲気下における実生の相対生長に基づいてスコアリングした。この基準に基づいて、前にエチレン非感受性とスコアリングされた12/54系統は、ここでは感受性と分類された。M2レベルでの初期スクリーニングの間のこれらの偽陽性結果は、次世代でのこれらの事象の再評価の過程で容易に除去することができる。
エチレン試験で確認された有意なエチレン非感受性を示した近交系を、通常のレタス生産条件下で温室内に再播種して生長させ、成熟結球を作出し、さび状斑点および黄化について評価した(実施例も参照)。
陰性対照として、エチレン非感受性事象を選抜するために用いた集団に由来するエチレン感受性植物を生長させた。驚くべきことに、鉢土に植えたとき、全てのエチレン非感受性突然変異体の種子は正常に、すなわち近同遺伝子型のエチレン感受性対照植物の種子と同等に発芽した。
これは、鉢土に植えたときに発芽能力の大きな低下を示すアラビドプシス・タリアーナなどの他の植物種の状況と鋭い対照をなす(Harpham,N.J.V.ら(1991)Annals of Botany 68,55−61)。明らかに、レタスでは、多くの場合鉢土ブロックまたは鉢土プラグへの播種を含む通常の栽培慣行に従って、エチレン非感受性突然変異体を生育することが可能である。
栽培後、成熟結球を収穫し、エチレンに曝露させた。収穫後、結球を8℃のエチレン含有雰囲気下で1週間インキュベートした結果、エチレン感受性対照植物の結球にさび状斑点の強い誘導が生じた。しかし、評価した37個のエチレン非感受性事象の29個は、さび状斑点の徴候を全く示さず、このことは、驚くべきことに、実生レベルでそれについて選抜したエチレン抵抗性が、成熟植物体レベルで、収穫後段階でさえ、生理障害を減少させることができることを証明する。
黄化抵抗性は、最適未満の温度の無エチレン貯蔵条件下で、いくつかのエチレン非感受性事象について証明することができた。これまで黄化抵抗性はエチレンの存在下でのみ報告されていたので、これは驚くべきことである(Saltveitら、Postharvest Biology and Technology 27:277−283(2003))。
本発明は、以下の、どんな形であれ本発明を限定するものではない実施例で例示される。より詳細には、実施例中の実験はレタスで実施されているが、本発明は、エチレンと接触するときに類似した収穫後の問題に遭遇する他の植物種に、より広く適用することができる。
実施例で、以下の図が参照される。
(実施例1)
エチルメタンスルホン酸塩(ems)によるレタスの遺伝的改変
レタス品種Troubadour、ApacheおよびYorvik(3品種ともRijk Zwaan、De Lier、the Netherlandsからのもの)の種子を、1品種につき約2000個の種子を0.05%(w/v)または0.07%(w/v)のemsの通気溶液に室温で24時間浸漬することによって、emsで処理した。
emsの各用量について、1品種につき約1500個の処理種子を発芽させ、生じた植物を5月から9月までオランダの温室内で生長させ、種子を生産した。
成熟後、M2種子を収穫し、各処理について1品種につき1つのプールに一括した。生じたM2種子の6つのプールを出発材料として用い、感受性低下対立遺伝子を含有する個々のM2植物を特定した。
遺伝的改変手法の効力は、退色植物の出現を測定することによって評価したが、それは、葉緑素の形成または蓄積に直接的または間接的に関与する遺伝子の改変による葉緑素減少を示すものである。M2種子の全6プールで、退色した個々の植物が観察されたが、そのことは、適用した処理が遺伝的改変をもたらすことを証明する。
(実施例2)
エチレンに対して低感受性の対立遺伝子を獲得したレタス植物の特定
M2レタス種子を、10 20vpm(体積ppm)のエチレン濃度を有する小さなプラスチック容器内の紙の上で、暗所、16℃で発芽させた。1vpmは、0.41μmol/リットルまたは1.14μg/リットルを含有する。エチレン非感受性突然変異体をエチレン感受性対照と比較し、胚軸および/または根の伸長(すなわち三重反応試験)に基づいて選抜した。これらのエチレン非感受性突然変異体を生長させ、自己受精によってM3系統を作出した。これらのM3系統を三重反応試験で再試験して、エチレン非感受性を確認した。
ある系統がエチレン非感受性について分離した場合、植物を選抜し、追加の1、2サイクルの同系交配にかけ、可能な場合は最終的な三重反応試験を実施して、ホモ接合のエチレン非感受性系統を選抜した。
1つの例では、M3種子から生長させたM3植物を三重反応試験でエチレン感受性の低下について選抜し、エチレン感受性およびさび状斑点感受性の親Troubadourと交雑してF1種子を得た。F1種子から生長させたF1植物を自殖して、F2種子を作出した。これらのF2種子から生長させたF2植物を三重反応試験でエチレン感受性の低下について選抜し、自殖してF3種子を作出した。生じたF3系統を、53個のM3、M4およびM5近交系のセットに加えた。この場合、これらの植物からの自殖種子は残っていなかったので、F3系統は元のM2突然変異体植物を代表する唯一のものであった。
実施例1からのこの54個のM3およびM4系統のセットを、4〜4.5vpmのエチレン濃度下の暗い密閉容器内の泥炭ブロック上で発芽させた。エチレン非感受性突然変異体は、感受性対照品種(Troubadour、Apache、Yorvik、Sensai)と比較して長いそれらの胚軸によって特定した。結果を表1に示す。三重反応試験によって特定された54個の系統の42個は、エチレン試験で少なくとも部分的にエチレン非感受性のようであった。2つのM2植物は2回現れたので、これらの系統は40個のM2植物を表す。
表2は、結果を示す。
Figure 0005122478
Figure 0005122478
(実施例3)
さび状斑点に対して低感受性の対立遺伝子を獲得したレタス植物の特定
実施例2で見い出された42個の系統からの37個のエチレン非感受性系統を温室に播種し、通常のレタス生産条件下で成熟結球を作出した(場所:Maasdijk、the Netherlands、播種:1月10日、移植:2月17日、収穫:4月18日)。収穫した成熟結球を、8℃の温度の暗い密閉容器内で保存した。それらを、6〜7vpm(容積ppm)の濃度のエチレンガスに曝露させた。1vpmは、0.41μmol/リットルまたは1.14μg/リットルを含有する。9日後に、さび状斑点を示す植物を特定した。Yorvikを除き、全ての対照植物はさび状斑点を示した。試験した37個の系統の29個は、元の品種と比較して、さび状斑点を示さないかまたはより少ないさび状斑点を示した(表3)。
6個の系統を増殖のために選抜し、NCIMB社、Ferguson Building、Craibstone Estate、Bucksburn、Aberdeen AB21 9YA、UKに寄託した。第1の系統には、02D.91445の番号をつける。それは、エチレン非感受性TroubadourM2植物00D.7856に由来するM4系統である。エチレン非感受性M4植物を、実施例2の密閉容器試験の02D.91445から選抜し、自殖しM5種子を作出した。16個のM5植物をこれらの種子から生長させ、自殖によってM6種子ロットを作出した。この種子ロットには07D.826509の番号をつけ、NCIMB番号41449(第1系統)として寄託する。
第2の系統には、02D.90047の番号をつける。それは、エチレン非感受性TroubadourM2植物00D.6876に由来するM4系統である。エチレン非感受性M4植物を、実施例2の密閉容器試験の02D.90047から選抜し、自殖してM5種子を作出した。16個のM5植物をこれらの種子から生長させ、自殖によってM6種子ロットを作出した。この種子ロットには07D.826514の番号をつけ、NCIMB番号41450(第2系統)として寄託する。この起源にさび状斑点が存在しないことは、02D.90047のM4植物に由来するM5系統03D.90323を試験することによって立証された。
第3の系統には、00D.88578の番号をつける。それは、エチレン非感受性TroubadourM2植物00D.7871に由来するM3系統である。16個のM3植物を00D.88578から生長させ、自殖によってM4種子ロットを作出した。この種子ロットには07D.826502の番号をつけ、NCIMB番号41448(第3系統)として寄託する。
第4の系統には、03D.90452の番号をつける。それは、エチレン非感受性ApacheM2植物00D.6883に由来するM5系統である。エチレン非感受性M5植物を、実施例2の密閉容器試験の03D.90542から選抜し、自殖してM6種子を作出した。16個のM6植物をこれらの種子から生長させ、自殖によってM7種子ロットを作出した。この種子ロットには07D.826522の番号をつけ、NCIMB番号41451(第4系統)として寄託する。
第5の系統には、01D.85780の番号をつける。それは、エチレン非感受性ApacheM2植物00D.6896に由来するM3系統である。エチレン非感受性M3植物を、実施例2の密閉容器試験の01D.85780から選抜し、自殖してM4種子を作出した。16個のM4植物をこれらの種子から生長させ、自殖によってM5種子ロットを作出した。この種子ロットには07D.826540の番号をつけ、NCIMB番号41452(第5系統)として寄託する。
第6の系統には、04D.801660の番号をつける。それは、エチレン非感受性YorvikM3植物02D.8484およびエチレン感受性品種Troubadourの植物の間での交雑に由来するF3系統である。M3植物02D.8484は、エチレン非感受性YorvikM2植物00D.7845に由来する。エチレン非感受性F3植物を、実施例2の密閉容器試験の04D.801660から選抜し、自殖してF4種子を作出した。16個のF4植物をこれらの種子から生長させ、自殖によってF5種子ロットを作出した。この種子ロットには07D.826542の番号をつけ、NCIMB番号41453(第6系統)として寄託する。
図1は、抵抗性植物および対照植物を示す。
(実施例4)
収穫後黄化の少ないレタス植物の特定
実施例3で記載の温室条件下で生長させたエチレン非感受性系統を収穫し、刈り取った成熟結球を8℃の無エチレン貯蔵室で保存した。2週間後、緑色対照品種YorvikおよびTroubadourの基部葉が黄化し始めた。その時点で、および1週間後でさえ、3つの系統は、この試験で用いた対照であるそれらの起源品種よりも黄色の程度が低い基部葉を有するようであった。これらの系統には、04D.800900、03D.90323、04D.801660の番号をつけた。
葉の黄化およびエチレンの存在の間の関係が報告されている(Saltveitら(2003)Postharvest Biology and Technology 27:277 283)が、エチレンが存在しない条件でも一部のエチレン非感受性系統がより弱い黄化表現型を発現することは予想外である。
Figure 0005122478
Figure 0005122478
8℃、暗所で9日間エチレンに曝露した後のレタス成熟結球の表現型を示す図である。左パネルは、品種Troubadourのエチレン抵抗性(エチレン:R)およびエチレン感受性対照(陰性対照)結球の代表試料を示す。右パネルは、品種Apacheに由来する突然変異体の類似した画像を示す。

Claims (25)

  1. 植物の集団を、対照植物と比較してエチレンならびに生理障害であるさび状斑点および黄化に対する感受性の低下を示す個体のその集団内での存在についてスクリーニングする方法であって、
    a)種子の集団を用意すること、
    b)種子を暗所、エチレンの存在下で発芽させて実生を得ること、
    c)エチレン感受性対照の胚軸よりも長い胚軸を示す実生を選抜すること、
    d)選抜した実生を自殖して種子を作出すること、
    e)選抜した各実生から作出した種子の一部を暗所、エチレンの存在下で発芽させ、選抜した各実生からの種子の他の一部を暗所、空気下で発芽させること
    f)エチレン下および空気下の両方で元のエチレン感受性対照と比較してより長い胚軸を有する植物と、エチレン下だけで元のエチレン感受性対照と比較してより長い胚軸を有する植物とを区別するための、空気下で発芽した実生の胚軸の生長に対する、エチレン下で発芽した実生の胚軸の相対生長を測定すること、および
    g)エチレンに対する感受性の低下を示すと特定された植物をさび状斑点および/または黄化に対するそれらの抵抗性について試験する工程を含み
    エチレン下だけで元のエチレン感受性対照と比較してより長い胚軸を有する植物が、エチレンならびに生理障害であるさび状斑点または黄化に対する感受性の低下を示す植物として特定される方法。
  2. 植物が葉菜類植物である、請求項1に記載の方法。
  3. 植物がラクチュカ属に属する、請求項に記載の方法。
  4. 植物がラクチュカ・サティバ種に属する、請求項3に記載の方法。
  5. 植物集団が突然変異体植物の集団、生殖質集合またはトランスジェニック植物の集団である、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 突然変異体植物の集団が化学物質および/または照射を用いる突然変異誘発処理によって得られる、請求項5に記載の方法。
  7. 工程b)のエチレン濃度が少なくとも10μg/リットルである、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 工程b)のエチレン濃度が11〜25μg/リットルである、請求項7に記載の方法。
  9. 工程)のエチレン濃度が約4〜5μg/リットルである、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
  10. 対照植物と比較してエチレンならびに生理障害であるさび状斑点および黄化に対する感受性の低下を示す植物であって、そのゲノムに、生理障害であるさび状斑点および黄化に対する感受性の低下を担い、種子がNCIMBアクセッション番号NCIMB41449、NCIMB41450、NCIMB41448、NCIMB41451、NCIMB41452またはNCIMB41453を有する植物のゲノムで見い出されるそのゲノム遺伝情報を有する植物。
  11. 種子が2007年1月3日にNCIMBに寄託され、NCIMBアクセッション番号NCIMB41449、NCIMB41450、NCIMB41448、NCIMB41451、NCIMB41452またはNCIMB41453を付与されている植物と、同種の他の植物とを交雑することによって入手できる、請求項10に記載の植物
  12. 葉菜類植物である、請求項10または11に記載の植物。
  13. ラクチュカ属に属する、請求項1に記載の植物。
  14. ラクチュカ・サティバ種に属する、請求項13に記載の植物。
  15. その種子が2007年1月3日にNCIMBに寄託され、表1に記載のアクセッション番号を与えられた、請求項10から1のいずれか一項に記載の植物。
  16. エチレンならびに生理障害であるさび状斑点または黄化に対する感受性の低下を有する、請求項10から1のいずれか一項に記載の親植物の後代。
  17. 請求項10から1のいずれか一項に記載の植物の部分。
  18. 葉、結球、カット葉、加工結球、幼葉から選択される、請求項1に記載の部分。
  19. 親で見られるエチレンならびに生理障害であるさび状斑点または黄化に対する感受性の低下を有する、請求項1または1に記載の植物部分から再生した植物。
  20. 請求項10から1および1のいずれか一項に記載の植物の種子。
  21. 親で見られるエチレンならびに生理障害であるさび状斑点または黄化に対する感受性の低下を示す、請求項20に記載の種子からの後代。
  22. 請求項10から21のいずれか一項に記載の植物またはその部分を含む、野菜産物。
  23. 野菜が葉菜類である、請求項2に記載の野菜産物。
  24. 野菜がレタスである、請求項2に記載の野菜産物。
  25. 請求項1からのいずれか一項に記載の方法でスクリーニングした場合、エチレンならびに生理障害であるさび状斑点または黄化に対する感受性の低下を示す、請求項21から2のいずれか一項に記載の野菜産物。
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