JP5114711B6 - プラズマから極端紫外光を発生する光源 - Google Patents
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Description
[技術分野]
[0001]
本発明は、プラズマからの極端紫外光の発生に関するものである。
[背景技術]
[0002]
波長10nm乃至13nm程度の極端紫外光(EUV)は、次世代超微細半導体集積回路のリソグラフィー光源など、産業的に利用価値の高い光源として期待されている。EUVを発生させる方式の一つとして、放電生成プラズマ方式(ディスチャージ・プロデュースド・プラズマ、以下「DPP方式」という。)を利用したものが知られている。
[0003]
図1(a)は、従来のDPP方式によるプラズマ発生装置の等価回路を表している(但し、電源部は省略している。)。すなわち、等価回路は、コイルL(回路インダクタンス)とコンデンサCの直列回路にスイッチSとプラズマ放電部Zが接続されたものである。プラズマ放電部Zは、例えばキャピラリ(細管)とよばれる直径数ミリメートル程度の細長い放電管が用いられる。コンデンサCを充電して、スイッチSをONにして、放電を開始すると、放電部ZにはLCの平方根(ルートLC)に比例する角周波数ωの三角関数で表される単純な電流波形ip(t)が現れる。
[0004]
図1(b)は、放電中の電流波形ip(t)と放電電圧Vp(t)を同一時間スケールで表したものである。なお、横軸の時間tは1div当たり2μsであり、縦軸の放電電流ipは1div当たり1.6kAであり、縦軸の放電電圧Vpは1div当たり5.0kVである。実際には、放電電流ipは抵抗成分のために完全な三角関数ではなく滅衰する。
[0005]
図1(c)は、プラズマ放電の様子を示す図である。図1(c)に示すように、放電が開始すると、プラズマPは、波長λの光を放出しながら放電管の中心軸Aに対し円筒状に成長する。プラズマ半径rp及びプラズマの長さは、プラズマの圧力と周囲の磁界の影響を受け、時間とともに変化する。
[0006]
図2(a)は、プラズマの電子温度(eV)(横軸)とイオン密度(cm−3)(縦軸)の関係を示す図である。この図から明らかなように、一般にプラズマ放電によるEUV光源を得るためには、楕円で示す高温・高密度状態(EUV放射条件)のプラズマが必要とされる。ところが、従来のDPP方式により生成した圧縮プラズマは、極めて短時間の間に膨張して冷却してしまうために、高温高密度状態が持続できない。そのためエネルギー変換効率(発光効率)が極めて低かった。
【0007】
図2(b)及び図2(c)は、プラズマの加熱方法である磁気圧縮の原理について説明するための図である。一般に、直流電流ipが存在すると直線の円周方向(右ねじ方向)に磁界Bθが発生する。図2(b)に示すように、放電管中を流れるプラズマ電流ipが作る磁界Bθは、プラズマ電流自身の磁界によりプラズマ半径rpを減少させ収縮させる(なお、放電開始から、プラズマが最も収縮するまでの時間を最大収縮時間τiという。)。これにより、プラズマ密度が高くなり、プラズマ温度が一気に上昇する。これをZ−ピンチ効果或いは単にピンチ効果と呼ぶ。この原理に基づいてプラズマを磁界中で閉じ込めて圧縮し、プラズマの加熱とプラズマ密度の増大を同時に実現することができる。
【0008】
なお、本発明の背景技術として、光源プラズマの変換効率に及ぼす電離非平衡の影響を評価したものとして、本発明者たちによる公知文献(M.Masnavi,M.Nakajima,A.Sasaki,E.Hotta,K.Horioka,Characteristics of
Extreme Ultraviolet Radiation Conversion Efficiency of Xenon
Plasma,Jap.J.App1.Phys.,Vo1.43,No.12,(2004))がある。
【0009】
また、従来の方式は、主としてXe(キセノン)やSn(すず)の多価電離プラズマを媒体としているため、多数の放射スペクトル線が存在し、スペクトル効率、即ち、放射全スペクトルの中で有効なスペクトル領域の占める割合が低かった。
【0010】
そこで、リチウムLiのプラズマは、スペクトル構造が単純なことと、有効なスペクトル領域に強力なスペクトル線(13.5nm)が存在することから、レーザー照射用や放電照射用の光源媒体とする試みがあった。
【0011】
しかしながら、従来、プラズマをマイクロ秒程度以上の時間に渡って持続しようとする概念が欠如していたため、従来の方法は、自由膨張するレーザー加熱プラズマや短パルスピンチ放電プラズマなどを利用する方式であった。そのため、発光プラズマの持続時間が短く、リチウムプラズマの変換効率は、キセノンXeやすずSnを用いた方式と大差はなかった。なお、プラズマをピンチ放電で維持する方法は、特許文献(WO 2005/025280 A2)に示されている。また、ピンチ放電を利用して、プラズマの維持時間を長くする方法は、非特許文献(Applied Physics Letters, Vol.87, No.11, pp.111502-1〜111502-4(2005))に示されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明者たちは、DPP方式によるプラズマ発生装置において、EUVの発光に寄与する高温高密度のプラズマ状態がどの程度の時間、持続しているかを、実験とコンピューターシミュレーションによるプラズマ解析の両面から求めた。
【0013】
図3(a)は、通常のピンチプラズマの挙動を示すストリーク写真を時間スケールと共に示したものである。なお、プラズマ条件は、初期圧力が約66.7Pa(500mTorr)であり、封入気体がアルゴン(Ar)である。キャピラリーの直径は3mmである。時間軸のτsは衝撃波到達時間であり、τiは最大収縮時間である。
【0014】
図3(b)は、1次元MHDシミュレーション(1D−MHD:Magneto Hydro Dynamic)の計算結果を表す流線図である。横軸はプラズマ生成開始後の経過時間tを表し、縦軸はプラズマ半径rpを表している。なお、時間軸は図3(a)と同一スケールで表している。2つの結果を比較すると、衝撃波による加熱と磁気圧縮による閉じ込めが、ほぼ同時に起こっており、EUVの発光時間は、衝撃波到達時間τsと最大収縮時間τiの間もしくはその前後の10n秒程度である。その後、プラズマは膨張していることが分かる。なお、後述するプラズマ電子温度及びイオン温度のシミュレーション結果は、プラズマの膨張により電子温度及びイオン温度が急激に低下していることを示している。
【0015】
これらの計算結果によると、従来の典型的なDPP方式によるプラズマ発生装置(EUV光源)は投入した電力の1%程度が発光に寄与し、残りの約99%は全て熱負荷(Heat Load)となることが明らかとなった。この熱負荷に起因して、電極及び構造部品が消耗したり、デブリ(有害塵)が発生したりする等の深刻な問題が生じていたと考えられる。
【0016】
本発明者たちは、以上の結果を次のように結論づけた。EUVを持続的に出力するためには、プラズマを加熱する過程と、加熱により高温になったプラズマを磁気により閉じ込めて高温高密度状態を維持する過程が必要である。しかし、従来のように三角関数の電流波形をプラズマの駆動電流として用いた場合には、駆動電流がピークに達し、プラズマが十分に加熱されてEUVが出力されても、ピークを過ぎた後は、プラズマの圧力に対して磁気閉じ込め効果が相対的に小さくなるため、折角加熱されたプラズマが急速に膨張し冷却した。そのため、発光が持続しなかった。
【0017】
(1)本発明は、持続的に制御できるプラズマを得ることにある。
(2)また、本発明は、発光を効率的に行えるプラズマを発生することにある。
(3)また、本発明は、極端紫外光(EUV)の変換効率を改善することにある。
(4)また、本発明は、プラズマ発生部分の熱負荷を緩和することにある。
(5)また、本発明は、発光スペクトル効率の改善によって、反射光学系の熱負荷を緩和することにある。
(6)また、本発明は、放電派生物(デブリ)を低減することにある。
(7)また、本発明は、駆動電源の容量を低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の実施の形態に係る技術的思想は、プラズマを加熱する過程と加熱されたプラズマ状態を一定時間維持する過程とを時間的に分離する点にある。特に、最初の加熱過程で加熱されたプラズマが次の過経で長時間にわたり維持されるように、プラズマ電流を能動的に制御すること(一例として、特定時刻におけるプラズマ電流値の意図的な維持又は増大)にある。これにより、プラズマに投入したエネルギーに対するEUVへのエネルギー変換効率を従来よりも飛躍的に向上させることができる。
【0019】
プラズマの加熱過程では、プラズマ電流自身が自発的に形成する磁場Bθを用いてピンチ効果によりプラズマを加熱圧縮し、次いで、圧縮されたプラズマを長時間維持させるために、更に別の電流波形を与え、プラズマ電流を能動的に制御する。
【0020】
本発明の実施の形態に係るプラズマ発生方法は、放電室内にプラズマを生成しプラズマを加熱する第1のステップと、第1のステップにより加熱されたプラズマを磁気により閉じ込めて一定時間プラズマの加熱状態を維持する第2のステップとを備え、放電室内に異なるパターンの電流波形を付与する。
【0021】
第1のステップは、主としてピンチ効果によって高温のプラズマを形成するステップであり、このステップでプラズマを高温かつ高密度の状態にしてEUVを発生できる状態に移行させる。第2のステップは、第1のステップの最終状態すなわち高温かつ高密度の状態を、磁気閉じ込め効果によって一定時間維持するステップである。これらのステップを連続して行うことにより、従来よりも高温高密度状態を長時間維持することができる。その結果、EUVの発光持続時間が延び、エネルギー変換効率を飛躍的に向上することができる。
【0022】
また、本発明の実施の形態に係るプラズマ発生装置は、放電室内にプラズマを発生するプラズマ発生装置において、放電室内に配置された複数の電極と、電極間に放電電流を流し、電極間のプラズマを自己加熱すると共にプラズマに自己磁場を付与する電源装置と、プラズマの状態を制御する制御部と、を備え、プラズマの温度と密度を所定の範囲に制御して、プラズマを空間に閉じ込めるものである。
【0023】
また、本発明の実施の形態に係るプラズマ発生装置は、放電部と放電部を駆動するための電源回路とからなり、この電源回路は、独立したスイッチング素子Sl〜Snで駆動される少なくとも2系統以上の容量型放電回路を備えていることにある。
【0024】
なお、この容量型放電回路は、複数のコンデンサを用いた複数系統の放電回路という意味である。これを本発明の実施の形態に係るプラズマ発生方法に適用するときは、まず、第1の放電回路により放電部に第1の放電電流を与えた後、第2の放電回路により第1の放電電流に第2の放電電流を加える。n段ある場合は、閉じ込め電流を制御してEUV出力を維持するように、より精密に駆動することもできる。
【0025】
また、本発明の実施の形態に係るプラズマ発生装置は、放電部と放電部を駆動するための電源装置とからなり、電源装置は、独立したスイッチング素子S1〜Snで駆動される少なくとも2系統以上の誘導型放電回路を備えていることにある。
【0026】
なお、この誘導型放電回路は、例えば磁性体ユニットを放電部の周囲に配置して誘導電圧を重ね合わせる。これを本発明の実施の形態に係るプラズマ発生方法に適用するときは、まず、第1の放電回路により放電部に第1の誘導電圧を加えることにより放電電流を与えた後、第2の放電回路により第2の誘導電圧を加えることにより第1の放電電流に第2の放電電流を加える。n段ある場合は、閉じ込め電流を制御してEUV出力を維持するようにして、より精密に駆動することもできる。
【0027】
電流制御とするか或いは電圧制御とするかは一長一短があるが、いずれにせよ、加熱されたプラズマがそのまま維持されるような電流を駆動することが重要である。
【0028】
また、本発明の実施の形態に係るプラズマから極端紫外光を発生する光源は、放電室内にプラズマを発生し、プラズマから極端紫外光を発生する光源において、放電室内に配置された複数の電極と、電極間に放電電流を流し、電極間のプラズマを自己加熱すると共にプラズマに自己磁場を付与する電源装置と、電源装置を制御する制御部と、を備え、制御部は、第1過程としてプラズマを加熱するための加熱電流を流し、第2過程として、第1過程により極端紫外光の出力が上昇した後、プラズマを閉じ込めるために更に電流値を増大させ、第3過程として第2過程で増大させた電流値を一定に維持する、ように電源装置を制御して電極間に流す電流量を変化させ、プラズマの温度と密度を制御し、マイクロ秒以上の時間にわたってプラズマの温度と密度を維持することで前記極端紫外光の出力を維持することにある。
【0029】
また、本発明の実施の形態に係るプラズマ発生方法は、放電室内にプラズマを発生するプラズマ発生方法において、プラズマに放電電流を流し、プラズマを自己加熱すると共にプラズマに自己磁場を付与するステップと、プラズマに外部磁場を付与するステップと、を備え、放電電流と外部磁場を制御して、プラズマ維持時間を制御して、プラズマの発光スペクトル効率を高めることにある。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】図1(a)は、従来のDPP方式によるプラズマ発生装置の等価回路を表している。図1(b)は、放電中の電流波形ipと放電電圧Vpを同一時間スケールで表わしたものである。図1(c)は、プラズマ放電の様子を表わしたものである。
【図2】図2(a)は、プラズマの電子温度とイオン密度の関係を示すものである。図2(b)及び図2(c)は、プラズマの加熱方法である磁気圧縮の原理について説明するためのものである。
【図3】図3(a)は、通常のピンチプラズマの挙動を示すストリーク写真を時間スケールと共に示したものである。図3(b)は、1次元MHDシミュレーション(1D−MHD:Magneto Hydro Dynamic)の計算結果を表すものである。横軸はプラズマ生成開始後の経過時間を表し、縦軸はプラズマ半径rpを表している。
【図4】図4(a)は、プラズマ発生後の経過時間tと電子温度Teとの関係をCREモデル(Collisional Radiative Equilibriumモデル:衝突輻射平衡モデル)及びSESAMEモデルに基づいてMHDシミュレーションした結果に、イオン価数Ziと流線図を重ね合わせたものである。図4(b)は、プラズマ発生後の経過時間tとイオン温度Tiとの関係をCREモデル及びSESAMEモデルに基づいてMHDシミュレーションした結果に、イオン価数Ziと流線図を重ね合わせたものである。
【図5】図5(a)及び図5(b)は、いずれも横軸に経過時間、縦軸にプラズマ電流とEUVの発光出力を表したものである。
【図6】図6(a)は、コンデンサを備え、独立したスイッチング素子で駆動される多重放電回路を示している。図6(b)は、図6(a)をn段に拡張した回路である。
【図7】図7は、磁性体10を備えたn段の誘導型多重放電回路を示している。
【図8】図8(a)は、本発明で用いるDPP方式によるプラズマ発生装置の本体部の構造断面図を示し、図8(b)は、本体部の観測窓側から撮影した参考写真を示している。
【図9】図9は、外部磁場発生装置、外部加熱装置、プラズマ媒体供給用加熱装置を備えたプラズマ発生装置を示している。
【図10】図10は、電極にオーブンとディフューザを有するプラズマ発生装置を示している。
【図11】図11は、電極内部に電子ビームなどのエネルギービームを通す貫通孔を有するプラズマ発生装置を示している。
【図12】図12(a)は、キセノン(Xe)の電子密度が1018/ccのプラズマのスペクトル放射強度分布を示している。図12(b)は、キセノン(Xe)の電子密度が1019/ccのプラズマのスペクトル放射強度分布を示している。
【図13】図13(a)は、リチウム(Li)の電子密度が1018/ccのプラズマのスペクトル放射強度分布を示している。図13(b)は、リチウム(Li)の電子密度が1019/ccのプラズマのスペクトル放射強度分布を示している。図13(c)は、リチウム(Li)の電子密度が3×1019/ccのプラズマのスペクトル放射強度分布を示している。
【図14】図14は、キセノン(Xe)、スズ(Sn)、リチウム(Li)の各プラズマ温度に対する加熱に必要なエネルギーの関係を示している。
【図15】図15(a)は、従来の短パルスによるプラズマにおいて、電子温度と密度に対するリチウムプラズマの有効帯域への放射変換効率を示している。図15(b)は、本発明の閉じ込めによるプラズマにおいて、電子温度と密度に対するリチウムプラズマの有効帯域への放射変換効率を示している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
(プラズマ発生装置の原理)
図5(a)及び(b)は、いずれも横軸に経過時間、縦軸にプラズマ電流とEUVの発光出力を表したものであり、本発明の解決原理を説明するための図である。図5(a)は、従来の電流波形を破線で表し、それによるEUV出力を実線で表している。図5(a)に示すように、従来の電流波形は三角関数を基本とする電流波形であるため、放電が開始すると時間と共にプラズマ電流Ipが増大し、ピークを過ぎると今度は減少に転ずる波形であった。このため、電流値Ipの増大とともに加熱及び圧縮(及びこれに伴う磁気閉じ込め)が起こり、電流値のピーク近傍でプラズマ温度が閾値を超えるとEUVが現れるが、最大収縮後はプラズマ圧力に対して磁気閉じ込めの効果が相対的に小さくなるため、プラズマが膨張してプラズマ温度が低下する。その結果、EUVの出力も急速に低下していた。
【0032】
プラズマ密度と電子温度・イオン温度と電離度の関係は、確立しておらず、これらについて、いくつかのモデルが提唱されている。図4(a)は、プラズマ発生後の経過時間t(ns)と電子温度Te(eV)との関係をCRE衝突輻射モデル及びSESAMEモデル(米国のデータベースに基づいたモデル)に基づいてMHDシミュレーションした結果に、イオン価数Ziと流線図を重ね合わせたものである。図4(b)は、プラズマ発生後の経過時間t(ns)とイオン温度Ti(eV)との関係をCRE衝突輻射モデル及びSESAMEモデルに基づいてMHDシミュレーションした結果に、イオン価数Ziと流線図を重ね合わせたものである。EUV出力を維持する時間をこれらの信頼あるシミュレーション結果により計算したところ、光源に有効な高温プラズマの維持時間は、わずか10ns程度であり、効率にして約1%であった。
【0033】
図5(b)は、EUV出力が低下しないように、プラズマ電流Ipを能動的に制御した場合を示している。最初のプラズマ電流Ipは、プラズマを加熱するための電流(加熱電流)であり(第1過程)、次に、EUV出力が上昇した後、プラズマを閉じ込めるために更に電流値を増大させ(第2過程)、この状態を維持するように電流値を一定にする(第3過程)。この例では、駆動電流は2つの電流波形(図中に示した加熱電流Mと閉じ込め電流N)により、EUV出力の持続時間を少なくとも30ns維持することができた。
【0034】
このように、電流波形を能動的に制御する(すなわち、ある時刻において意図的に増大し、又は維持する)ことで、磁気閉じ込め効果を持続させ、プラズマの膨張(すなわちプラズマ温度の低下)を抑制して、EUV出力を長時間維持する。なお、電流波形は、これらを構成する回路などの構成により種々のパターンが考えられるが、例えば、加熱のための電流の波形と磁気閉じ込め電流の波形を加えて作成することができる。
【0035】
従来のプラズマ発生方法は、放電室内にプラズマを生成し、プラズマを加熱すると共に加熱されたプラズマを磁気により閉じ込めて一定時間プラズマの加熱状態を維持している。この方法は、単一のパターンの電流波形(三角関数波形)により、同時的かつ受動的に行われている。それに対し、本発明の実施の形態に係るプラズマ発生方法は、放電室内にプラズマを生成してプラズマを加熱する第1のステップと、第1のステップにより加熱されたプラズマを磁気により閉じ込めて一定時間プラズマの加熱状態を維持する第2のステップとを、明確に分離して、両者を「異なる2以上のバターン電流波形」で能動的に駆動して行っている。なお、電流波形が単一パターンであるか、2以上の異なるパターンであるかの判断は、最大収縮付近の電流波形のパターンに折れ曲がり点×が存在するか否かを調べることにより、容易に知ることができる。
【0036】
(プラズマ発生装置)
プラズマ発生装置は、プラズマを発生し、プラズマ状態を保持するものである。特に、本件のプラズマ発生装置は、プラズマから発するスペクトルの放射効率を高めるものであり、特に、なるべくプラズマ状態を最適な状態に維持して、特定波長領域の放射効率を高めるものである。プラズマからのスペクトルの放射特性は、プラズマの密度と温度の関数である。そこで、プラズマの温度と密度と磁場を制御して、プラズマ維持時間を調整し、プラズマを準定常状態に維持して、放射効率を高めるものである。プラズマ発生装置は、プラズマから発するスペクトルの放射効率を高める発光装置に適用でき、特に、極端紫外光(EUV)を高効率で発光する光源に適用できる。
【0037】
図8(a)は、本発明の実施の形態で用いるDPP方式によるプラズマ発生装置の本体部の構造断面図を示し、図8(b)は観測窓側から撮影した写真を示している。放電部は直径3mm長さが約10cmのキャピラリー(細管)14であり、上部に設けられたガス導入孔16よりキセノンガス(Xe)を導入する構造となっている。キャピラリー(細管)14の上下に電極が配置され、電極間に絶縁材15が配置されている。キセノンガス(Xe)は上方からキャピラリー14を通り、下方に移送される。内部の様子は観察窓18から観察することができる。この本体部の電極は、下記の放電回路に接続される。
【0038】
(電源装置の容量型多重放電回路)
図6(a)は、電源装置の容量型多重放電回路の概略図を示している。図6(a)は、独立したスイッチング素子S1、S2で駆動される。スイッチング素子Sとしては、例えば磁気スイッチや半導体スイッチ(サイリスタ等)或いは放電式スイッチ(サイラトロン等)などが用いられる。放電部(プラズマ光源部)Zには第1電極30と第2電極32が配置されている。第1のスイッチをオンにして第1のコンデンサC1から放電を開始すると、第1の放電電流I1は、コイルLと第1電極30と第2電極32を介して、放電部(プラズマ光源部)Zに流れる。放電部(プラズマ光源部)Zに流れる電流I1はプラズマの加熱に用いられる。次いで第2のスイッチS1をオンにすると、放電部Zに流れる電流は、電流I1に第2のコンデンサC2からの放電電流I2が加算され、これが高温高密度状態のプラズマを磁気閉じ込めにより維持するための閉じ込め電流として用いられる。もちろん、図6(b)に示すように、2段に限らず、n段としてより精密に電流制御を行っても良い。スイッチング素子S1、S2、・・Snは、制御部52によりスイッチング制御される。この制御により、任意の波形を形成することができる。
【0039】
(電源装置の誘導型多重放電回路)
図7は、電源装置のn段の誘導型多重放電回路の概略図を示している。図7の場合、磁性体10に対して、一次側コイルの電極12と二次側コイルの電極30、32が配置されている。一次側コイルの電極12にスイッチング素子Sを介して電圧が印加される。スイッチング素子Sをオンにして、一次側コイルの電極12に電圧を印加すると、二次側コイルの第1電極30と第2電極32間の放電部Zに電圧が誘導される。図7の場合、二次側の第1電極30の周囲にn個の磁性体10、10、・・・が配置されている。スイッチング素子S1、S2、・・Snを制御部52によりオンオフ制御すると、オンとなったスイッチング素子Sに対応する磁性体に二次電圧が発生し、それらの二次電圧が重ね合わされ、二次側コイルの第1電極30と第2電極32間の放電部Zに合成された電圧が誘導される。即ち、第1の一次側コイルに電流I1を流して誘導電圧を第1電極30と第2電極32間に印加してプラズマ38に電流を流す。この電流はプラズマ38を加熱する。次いで第2の一次側コイルに電流I2を流して誘導電圧を第1電極30と第2電極32間に印加してプラズマ38に電流を流す。これにより、第1の誘導電圧による電流I1に第2の誘導電圧による電流I2が加算される。この合成された電流は、高温高密度状態のプラズマを閉じ込めるための閉じ込め電流として用いられる。2段に限らず、必要に応じて、n段の誘導電圧を第1電極30と第2電極32間に印加することができる。放電部Zの位置は、放電部Zに二次電圧が誘導され、プラズマ38に電流が流れれば、任意の場所で良い。スイッチング素子S1、S2、・・Snは、制御部52によりスイッチング制御され、任意の波形を作成することができる。
【0040】
原子過程を考慮した電磁流体力学モデルを用いて数値計算を行った結果、いずれも従来の単純な三角関数のような電流波形と比較すると、少なくとも3倍以上のエネルギー変換効率が得られることが明らかとなった。
【0041】
(外部装置によりプラズマの環境条件を変えるプラズマ発生装置)
プラズマ発生装置は、プラズマを挟んだ電極に放電電流を流し、放電電流によって磁場を形成し、プラズマに磁場を作用すると共に、放電電流によってプラズマを加熱する。このプラズマの放電電流によって発生する磁場を自己磁場と呼ぶ。また、放電電流によって発生するプラズマの加熱を自己加熱と呼ぶ。プラズマ発生装置は、プラズマに外部から磁場を付与する外部磁場発生装置を備えている。プラズマ発生装置は、プラズマを自己磁場で拘束し、更に、外部磁場でも拘束する。これにより、プラズマの密度と温度と磁場を制御する。プラズマ発生装置は、放電電流によって自己加熱し、加熱が不足する場合、外部加熱でプラズマの温度を制御する。そのために、プラズマ発生装置は、必要に応じて、プラズマを外部から加熱する外部加熱装置を備えている。このように、プラズマ発生装置は、プラズマの磁場と温度を制御して、プラズマを閉じ込め、プラズマを所定の温度と密度に維持して、プラズマから発光するスペクトルの放射効率を高める。プラズマ媒体は、キセノンXe、すずSn、リチウムLiなどプラズマとなるものであれば、どのような物質でもよい。一例として、以下に主にリチウム媒体について説明する。プラズマ媒体としてリチウムを使用した場合、プラズマ発生装置は、13.5nmのリチウムスペクトルを含む有効帯域(波長帯域)に強力なスペクトル線を発生する。この状態のプラズマの電子温度は、5eV〜30eVが好ましく、プラズマの電子密度は、1017cm−3〜1020cm−3を維持することが好ましい。なお、13.5nmのリチウムスペクトルを含む波長帯域は、反射に対しても吸収の少ない波長範囲であり、この波長帯域の光源は、露光装置や検査装置などに有効に利用できるものである。この波長帯域は、13.5nmを基準に、特に±1%の範囲が好ましい。
【0042】
図9は、プラズマ発生装置の構成図の一例を示している。プラズマ発生装置20は、内部を外界から遮蔽する放電室22を備えている。プラズマ発生装置20は、放電室22内に第1電極30と第2電極32を配置し、第1電極30と第2電極32間にプラズマ38を発生する。プラズマ発生装置20は、第1電極30と第2電極32間に電圧を付与する電源装置34を備え、第1電極30と第2電極32間に制御された放電電流を流す。放電電流は、自己磁場を発生し、プラズマ38に閉じ込め磁界を作用すると共に、プラズマ38を加熱する。プラズマ発生装置20は、外部磁場発生装置28を備え、プラズマ38に外部磁場を付与する。外部磁場発生装置28であるコイルは、例えば、円柱形状の第1電極30の周囲、及び円柱形状の第2電極32の周囲を包囲するような円筒の形状とし、その円筒の軸に沿ってプラズマ38が形成される。プラズマ発生装置20は、必要に応じて、外部加熱装置24を備え、プラズマ38を加熱する。プラズマ発生装置20は、プラズマ媒体供給用加熱装置26を備え、電極からプラズマ38に動作ガスを供給する。プラズマ発生装置20は、露光装置、パターン検査装置など特定の用途に応じて、プラズマ38から発生する光を受光する集光部36を備えている。集光部36以降の光路には、例えば、パターンが形成されたフォトマスクとその下方にフォトレジストが配置される。プラズマ38から発生する光は、フォトレジストにフォトマスクのパターンを形成する。なお、集光部36は、例えば光の反射板などが使用される。また、電源装置34、外部磁場発生装置28、及び外部加熱装置24は、制御部52により種々の制御が行われる。
【0043】
放電室22は、第1電極30と第2電極32間が放電するように内部を真空にでき、また、プラズマ38から発生するEUV40などの光が吸収されないで、集光部36に達するように、内部を真空にできる容器である。第1電極30と第2電極32は、放電電流を流すことができる電極であればよい。電極は、プラズマ媒体と同一の元素からなっている場合、電極からプラズマ媒体を供給することができる。例えば、電極がリチウム金属であり、プラズマ媒体がリチウムの場合、リチウム金属電極にレーザーや電子ビームなどを照射することにより、電極からパルス的にリチウムガスを発生することができる。この場合、プラズマ媒体供給用加熱装置26は、電極にレーザーや電子線などのエネルギーを照射できる装置であればよい。外部磁場発生装置28は、プラズマ38に磁場を付与できるものであればよく、例えば、電極の周囲に配置されたコイルがある。その場合、コイルで発生する外部磁場は、自己磁場と重ね合わされ、重ね合わされた磁場が、プラズマに作用することになる。図9の場合、外部磁場と自己磁場は直交し、その重ね合わされた強い磁場が、プラズマに作用することになる。外部加熱装置24は、プラズマを外部から加熱できるものであれば良く、例えば、プラズマ38にレーザーなどのエネルギービームを照射して、プラズマ38を加熱できる装置を使用できる。集光部36は、プラズマ38で発生するEUV40が集光できる箇所に配置される。プラズマ発生装置20を露光装置として使用する場合、露光対象となる物質が集光部36以降の光路に配置される。
【0044】
図10は、プラズマ発生装置20の他の構成例を示している。図10のプラズマ発生装置20は、図9のプラズマ発生装置20に対して、主にプラズマ38を供給する構成が相違している。図10のプラズマ媒体供給用加熱装置26は、オーブン42、ディフューザ44、パイプ46、循環装置48などで構成されている。オーブン42は、第1電極30の内部に形成できる。オーブン42から排出されたプラズマ媒体用のガスは、プラズマ38中に供給される。ディフューザ44は、第2電極32の内部に形成され、プラズマ38からのプラズマガスを回収する。回収されたプラズマガスは、パイプ46を通して循環装置48に集められる。また、プラズマガスは、循環装置48によりパイプ46を通して、オーブン42に供給される。オーブン42は、供給されたプラズマ媒体を加熱および加圧することができる。
【0045】
図11は、プラズマ発生装置20の他の構成例を示している。図11のプラズマ発生装置20は、図9と図10のプラズマ発生装置20に対して、主に第2電極32の構成とプラズマ媒体を供給する構成が相違している。図11のプラズマ発生装置20の第2電極32は、内部に貫通孔50を有している。外部加熱装置24は、貫通孔50を通して電子ビームあるいはレーザービームを電極30およびプラズマ38に照射し、プラズマ媒体を供給するとともにプラズマ38を加熱する。第2電極32と外部磁場発生装置28のコイルは、円筒状に形成し、その円筒軸に沿ってプラズマが作成される。
【0046】
(プラズマ発生方法)
プラズマを発生する方法は、図6又は図7の電源装置を用いたプラズマを例にとって説明する。先ず、放電部Zのプラズマに第1の放電電流I1を流し、プラズマを加熱すると共に、プラズマを磁気により閉じ込める第1のステップと、第1の放電電流I1とは異なるパターンの第2の放電電流I2を重ね合わせる第2のステップを取ることにより、プラズマの維持時間を制御することができる。2段に限らずn段にすることにより、より複雑な電流波形をプラズマに付与し、高精度にプラズマ制御を行うことができる。
【0047】
また、プラズマを発生する他の方法は、図9のプラズマ発生装置20を用いたリチウムプラズマを例にとって説明する。制御部52の制御により、電源装置34により第1電極30と第2電極32間に電圧を印加し、電流制御して、第1電極30と第2電極32間で放電させる。電極にリチウム金属を使用していると、放電により、電極からリチウム蒸気が発生し、リチウムプラズマが形成される。第1電極30と第2電極32間のリチウムプラズマは、放電電流によって加熱されると同時に、その放電電流による自己磁場によって拘束される。外部磁場発生装置28は、コイルに電流を流して外部磁場を発生し、プラズマに外部から磁場を加えて、自己磁場と共に、プラズマを閉じ込め、プラズマ38の密度を所定の範囲に安定に維持する。プラズマ温度が不足する場合は、外部加熱装置24によりプラズマ38を追加熱する。この条件は、プラズマ38の電子温度では5eV〜30eVが好ましく、プラズマ38の電子密度では1017cm−3〜1020cm−3が好ましい。特に、電子温度は、10eV〜20eVが好ましく、電子密度は、1017cm−3〜1019cm−3を維持することが好ましい。この条件を維持すると、プラズマ38は、有効帯域のEUV光源となり、プラズマ38からはEUVが発射される。このEUVは、集光部36に照射して、種々の用途に利用される。第1電極30と第2電極32間に駆動する電流は、直流電流が望ましいが、パルス電流でもよい。この電源装置34の制御方法は、主として電流制御を用いる。リチウム蒸気の追加方法や発生方法として、プラズマ媒体供給用加熱装置26を使用する場合は、プラズマ媒体供給用加熱装置26により、陰極であるリチウム第1電極30に電子ビームやレーザーなどの放射線を照射して、リチウム第1電極30からリチウム蒸気を発生させる。
【0048】
図10のプラズマ発生装置20を用いてプラズマを発生する方法を説明する。第1電極30のリチウム陰極内部に設置したオーブン42からリチウム蒸気を第1電極30と第2電極32の間に供給する。第1電極30と第2電極32の陽極間で電流制御能力を持つ電源装置34を用いて放電させる。電極間のプラズマは放電電流によって加熱されると同時に電流による自己磁場によって拘束される。自己磁場に加えて、外部磁場をもちいてプラズマを閉じ込め、一定のプラズマ条件と安定性を維持する。一定のプラズマ条件を維持するために、電流を制御する。電子温度10eV〜20eV、電子密度1017cm−3〜1019cm−3に維持された光源プラズマから主として側面方向に光利用が可能である。リチウムは陽極のディフューザ44で回収し、循環装置48を用いて循環させる。
【0049】
図11のプラズマ発生装置20を用いてプラズマを発生する方法を説明する。リチウム金属陰極30から主として自己加熱にてリチウム蒸気を供給する。リチウムガスが不足する場合には、加熱装置24を補助加熱として用い、リチウムガスが過剰な場合には、電極を冷却して供給を抑制する。電源装置34を制御して陰極30と陽極32との間で放電させる。電極間のプラズマは放電電流によって加熱されると同時に電流による自己磁場によって拘束される。自己磁場に加えて、外部磁場発生装置28により外部磁場を発生して、プラズマ38を閉じ込め、さらには、必要に応じて加熱装置24を用いて一定のプラズマ条件を維持する。
【0050】
(リチウムプラズマのプラズマ効率)
図12は、プラズマ半径を400μmとした時のキセノンXeプラズマのスペクトルの典型的な放射強度分布を示しており、横軸が波長λ(nm)であり、縦軸が出力強度(W/cm2)である。図12(A)は、プラズマ状態のキセノンの電子密度が1018/ccの場合のEUVのスペクトルを示している。図12(B)は、プラズマ状態のキセノンの電子密度が1019/ccの場合のEUVのスペクトルを示している。このように、プラズマ状態のキセノンは、波長13.5nm付近の有効帯域のスペクトル強度の割合が極めて小さく、その有効帯域より短い波長の領域に強いスペクトル強度を放射していることを示している。
【0051】
図13は、プラズマ半径を400μmとした時のリチウムLiのスペクトルの典型的な放射強度分布を示しており、横軸が波長λ(nm)であり、縦軸が出力強度(W/cm2)である。図13(A)、図13(B)、及び図13(C)は、縦軸の単位が、各々104、105、及び106であり、また、プラズマ状態のリチウムの電子密度が、各々1018/cc、1019/cc、及び3×1019/ccである。また、図13(A)、図13(B)、及び図13(C)は、プラズマ電子温度Teとイオン温度Tiが等しく、各々12eV、12eV、18.5eVの状態を示している。このように、プラズマ状態のリチウムLiの放射強度分布には、いずれの状態でも、有効帯域の波長13.5nmが強く表れている。
【0052】
図14は、プラズマ媒体が、キセノンXe、すずSn、及びリチウムLiについて、プラズマ温度とプラズマエネルギーの関係を示しており、横軸がプラズマ温度(eV)を示し、縦軸がプラズマエネルギー(ジュールJ)を示している。プラズマのイオン密度は、いずれのガスでも、1018/ccである。プラズマの半径Rは、300μm(0.03cm)であり、長さは、0.4cmであり、電子温度Tiとイオン温度Teが等しい状態を示している。ここで、プラズマエネルギーは、熱エネルギー(電子とイオン)とイオン化ポテンシャルの和である。このグラフは、キセノンXeとすずSnは、プラズマ温度の上昇と共に、加熱に必要なプラズマエネルギーが、急勾配で上昇するのに対して、リチウムLiは、殆ど上昇しないことを示している。このため、リチウムLiの場合、プラズマの形成において、キセノンXeとすずSnに比べて、大きな電力が消費されないことを示している。このことは、高効率の光源プラズマとして、リチウムプラズマの潜在能力が高いことを示している。
【0053】
図15は、リチウムプラズマの変換効率が閉じ込め時間に強く依存することを示している。横軸がプラズマ電子温度(eV)であり、縦軸がプラズマ電子密度(対数目盛lg(Ne/cc))であり、リチウムのスペクトル13.5nmを含む有効帯域のプラズマ効率CEp(%/2πsr)の等高線グラフを示している。図15(A)は、プラズマの持続時間が短時間の場合のプラズマ効率のグラフを示している。図15(A)のグラフの等高線を横切る線、−7.5、−8、−9の数字は、対数で表したプラズマ維持時間であり、具体的には、各々、パルス幅10−7.5秒、10−8秒、10−9秒を示している。図15(A)のグラフは、そのパルス幅によって決まる効率の限界線を示している。従来の方式では短パルスでしか維持されないプラズマを用いており、限界線の右上領域の効率しか期待できない。プラズマ効率CEpは、最大でも、温度が20eV付近、電子密度が1019/cc付近において、ほぼ1.2(%/2πsr)である。
【0054】
それに対して、図15(B)は、プラズマ維持時間が十分に確保された場合のプラズマ効率CEpを示している。なお、この場合、プラズマ効率はスペクトル効率と等しい。図15(B)は、スペクトル効率CEpの等高線が描かれており、プラズマ電子温度が10eV〜25eV付近で、プラズマ電子密度が1018/cc以下で、プラズマ効率が45(%/2πsr)と高くなっている。プラズマ発生装置を露光装置として使用する場合には、多量の光線を発生させる必要がある。光量を大きくするには上記のパラメータ領域においてプラズマ密度が高い方が好ましいが、プラズマ効率は低密度の方が高くなる。維持するプラズマの密度と温度とは、出力を重視するか効率を重視するかによって選択すればよい。プラズマ温度が5eV〜30eV付近で、プラズマ密度が1017/cc〜1020/cc付近が好ましい。その条件では、比較的プラズマ密度が大きく、比較的プラズマ効率が高いために、多くの光量を得ることができる。装置としては、プラズマ効率と共に密度・温度が低い方が望ましく、プラズマ電子温度は10eV〜20eV付近が更に好ましい。
【0055】
(リチウムプラズマのプラズマ効率の算出根拠)
図15(B)は、次のようにして求められる。プラズマから発する光の中、有効な波長(13.5nm±1%をλ2%と表示している)の変換効率CEは、以下の数1の式(1)のように求められる。分母はプラズマへの入力エネルギーを示し、分子は有効な波長領域の放射エネルギーを示している。式(1)において、Mλは積分スペクトル放射強度、Spは放射プラズマの表面積、τは放射時間、Eはプラズマの加熱とイオン化に消費されるエネルギーを示している。
【0056】
【数1】
【0057】
式(1)において、放射時間τを十分に長くできると、分母のEは無視でき、放射時間τおよび放射プラズマの表面積Spはキャンセルされる。したがって、この時の変換効率CEは、下記の数2の式(2)のスペクトル効率ηSになる。
【0058】
【数2】
【0059】
この式2は、図15(B)に示すような直流の場合の特性であり、従来の図15(A)に示すようなトランジェント(Transient)の特性と全く異なる。従来は、プラズマを短パルスでしか維持できないトランジェント(Transient)な条件でのみ効率が検討されてきたので、スペクトル効率そのものが深く検討されていなかった。トランジェント(Transient)な場合、プラズマ効率のグラフの等高線を横切る線(−9や−7.9の数字)は、対数で表したパルス幅によって決まる効率の限界を示している。短パルス的にしか維持されないプラズマでは、限界線の右上領域の効率しか期待できない。
【0060】
本発明は、直流を含む長パルスでプラズマ状態を維持することにより、図15(B)の高効率の発光スペクトル効率の光源を得ることができる。放射プラズマの維持時間の関数として変換効率を詳細に検討した結果、プラズマ温度とプラズマ密度、半径などのプラズマ・パラメータを電流の大きさや磁場の強度によって制御することにより、飛躍的に有効帯域の放射効率を改善できること、また閉じ込め効果が放射効率の向上に有効に働く時間の目安は、リチウムプラズマの場合、10−6秒程度であることが分かった。そのためには、電極間の放電による自己磁場と自己加熱に加えて、プラズマに外部磁界を付与し、必要に応じて外部加熱を付与する。これらにより、閉じ込め力とエネルギー収支のバランスをとることが出来、プラズマ・パラメータを必要な維持時間を超えて安定に制御することができる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明の実施の形態に係るプラズマ発生装置及び方法は、従来のプラズマ発生装置の電源駆動回路部分を変更するだけで実施できる点で実施化が容易であると共に、従来よりも飛躍的にエネルギー変換効率を増大させ、これにより電極或いは構造部品の消耗或いはデブリの発生を抑えることができる。
[0001]
本発明は、プラズマからの極端紫外光の発生に関するものである。
[背景技術]
[0002]
波長10nm乃至13nm程度の極端紫外光(EUV)は、次世代超微細半導体集積回路のリソグラフィー光源など、産業的に利用価値の高い光源として期待されている。EUVを発生させる方式の一つとして、放電生成プラズマ方式(ディスチャージ・プロデュースド・プラズマ、以下「DPP方式」という。)を利用したものが知られている。
[0003]
図1(a)は、従来のDPP方式によるプラズマ発生装置の等価回路を表している(但し、電源部は省略している。)。すなわち、等価回路は、コイルL(回路インダクタンス)とコンデンサCの直列回路にスイッチSとプラズマ放電部Zが接続されたものである。プラズマ放電部Zは、例えばキャピラリ(細管)とよばれる直径数ミリメートル程度の細長い放電管が用いられる。コンデンサCを充電して、スイッチSをONにして、放電を開始すると、放電部ZにはLCの平方根(ルートLC)に比例する角周波数ωの三角関数で表される単純な電流波形ip(t)が現れる。
[0004]
図1(b)は、放電中の電流波形ip(t)と放電電圧Vp(t)を同一時間スケールで表したものである。なお、横軸の時間tは1div当たり2μsであり、縦軸の放電電流ipは1div当たり1.6kAであり、縦軸の放電電圧Vpは1div当たり5.0kVである。実際には、放電電流ipは抵抗成分のために完全な三角関数ではなく滅衰する。
[0005]
図1(c)は、プラズマ放電の様子を示す図である。図1(c)に示すように、放電が開始すると、プラズマPは、波長λの光を放出しながら放電管の中心軸Aに対し円筒状に成長する。プラズマ半径rp及びプラズマの長さは、プラズマの圧力と周囲の磁界の影響を受け、時間とともに変化する。
[0006]
図2(a)は、プラズマの電子温度(eV)(横軸)とイオン密度(cm−3)(縦軸)の関係を示す図である。この図から明らかなように、一般にプラズマ放電によるEUV光源を得るためには、楕円で示す高温・高密度状態(EUV放射条件)のプラズマが必要とされる。ところが、従来のDPP方式により生成した圧縮プラズマは、極めて短時間の間に膨張して冷却してしまうために、高温高密度状態が持続できない。そのためエネルギー変換効率(発光効率)が極めて低かった。
【0007】
図2(b)及び図2(c)は、プラズマの加熱方法である磁気圧縮の原理について説明するための図である。一般に、直流電流ipが存在すると直線の円周方向(右ねじ方向)に磁界Bθが発生する。図2(b)に示すように、放電管中を流れるプラズマ電流ipが作る磁界Bθは、プラズマ電流自身の磁界によりプラズマ半径rpを減少させ収縮させる(なお、放電開始から、プラズマが最も収縮するまでの時間を最大収縮時間τiという。)。これにより、プラズマ密度が高くなり、プラズマ温度が一気に上昇する。これをZ−ピンチ効果或いは単にピンチ効果と呼ぶ。この原理に基づいてプラズマを磁界中で閉じ込めて圧縮し、プラズマの加熱とプラズマ密度の増大を同時に実現することができる。
【0008】
なお、本発明の背景技術として、光源プラズマの変換効率に及ぼす電離非平衡の影響を評価したものとして、本発明者たちによる公知文献(M.Masnavi,M.Nakajima,A.Sasaki,E.Hotta,K.Horioka,Characteristics of
Extreme Ultraviolet Radiation Conversion Efficiency of Xenon
Plasma,Jap.J.App1.Phys.,Vo1.43,No.12,(2004))がある。
【0009】
また、従来の方式は、主としてXe(キセノン)やSn(すず)の多価電離プラズマを媒体としているため、多数の放射スペクトル線が存在し、スペクトル効率、即ち、放射全スペクトルの中で有効なスペクトル領域の占める割合が低かった。
【0010】
そこで、リチウムLiのプラズマは、スペクトル構造が単純なことと、有効なスペクトル領域に強力なスペクトル線(13.5nm)が存在することから、レーザー照射用や放電照射用の光源媒体とする試みがあった。
【0011】
しかしながら、従来、プラズマをマイクロ秒程度以上の時間に渡って持続しようとする概念が欠如していたため、従来の方法は、自由膨張するレーザー加熱プラズマや短パルスピンチ放電プラズマなどを利用する方式であった。そのため、発光プラズマの持続時間が短く、リチウムプラズマの変換効率は、キセノンXeやすずSnを用いた方式と大差はなかった。なお、プラズマをピンチ放電で維持する方法は、特許文献(WO 2005/025280 A2)に示されている。また、ピンチ放電を利用して、プラズマの維持時間を長くする方法は、非特許文献(Applied Physics Letters, Vol.87, No.11, pp.111502-1〜111502-4(2005))に示されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明者たちは、DPP方式によるプラズマ発生装置において、EUVの発光に寄与する高温高密度のプラズマ状態がどの程度の時間、持続しているかを、実験とコンピューターシミュレーションによるプラズマ解析の両面から求めた。
【0013】
図3(a)は、通常のピンチプラズマの挙動を示すストリーク写真を時間スケールと共に示したものである。なお、プラズマ条件は、初期圧力が約66.7Pa(500mTorr)であり、封入気体がアルゴン(Ar)である。キャピラリーの直径は3mmである。時間軸のτsは衝撃波到達時間であり、τiは最大収縮時間である。
【0014】
図3(b)は、1次元MHDシミュレーション(1D−MHD:Magneto Hydro Dynamic)の計算結果を表す流線図である。横軸はプラズマ生成開始後の経過時間tを表し、縦軸はプラズマ半径rpを表している。なお、時間軸は図3(a)と同一スケールで表している。2つの結果を比較すると、衝撃波による加熱と磁気圧縮による閉じ込めが、ほぼ同時に起こっており、EUVの発光時間は、衝撃波到達時間τsと最大収縮時間τiの間もしくはその前後の10n秒程度である。その後、プラズマは膨張していることが分かる。なお、後述するプラズマ電子温度及びイオン温度のシミュレーション結果は、プラズマの膨張により電子温度及びイオン温度が急激に低下していることを示している。
【0015】
これらの計算結果によると、従来の典型的なDPP方式によるプラズマ発生装置(EUV光源)は投入した電力の1%程度が発光に寄与し、残りの約99%は全て熱負荷(Heat Load)となることが明らかとなった。この熱負荷に起因して、電極及び構造部品が消耗したり、デブリ(有害塵)が発生したりする等の深刻な問題が生じていたと考えられる。
【0016】
本発明者たちは、以上の結果を次のように結論づけた。EUVを持続的に出力するためには、プラズマを加熱する過程と、加熱により高温になったプラズマを磁気により閉じ込めて高温高密度状態を維持する過程が必要である。しかし、従来のように三角関数の電流波形をプラズマの駆動電流として用いた場合には、駆動電流がピークに達し、プラズマが十分に加熱されてEUVが出力されても、ピークを過ぎた後は、プラズマの圧力に対して磁気閉じ込め効果が相対的に小さくなるため、折角加熱されたプラズマが急速に膨張し冷却した。そのため、発光が持続しなかった。
【0017】
(1)本発明は、持続的に制御できるプラズマを得ることにある。
(2)また、本発明は、発光を効率的に行えるプラズマを発生することにある。
(3)また、本発明は、極端紫外光(EUV)の変換効率を改善することにある。
(4)また、本発明は、プラズマ発生部分の熱負荷を緩和することにある。
(5)また、本発明は、発光スペクトル効率の改善によって、反射光学系の熱負荷を緩和することにある。
(6)また、本発明は、放電派生物(デブリ)を低減することにある。
(7)また、本発明は、駆動電源の容量を低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の実施の形態に係る技術的思想は、プラズマを加熱する過程と加熱されたプラズマ状態を一定時間維持する過程とを時間的に分離する点にある。特に、最初の加熱過程で加熱されたプラズマが次の過経で長時間にわたり維持されるように、プラズマ電流を能動的に制御すること(一例として、特定時刻におけるプラズマ電流値の意図的な維持又は増大)にある。これにより、プラズマに投入したエネルギーに対するEUVへのエネルギー変換効率を従来よりも飛躍的に向上させることができる。
【0019】
プラズマの加熱過程では、プラズマ電流自身が自発的に形成する磁場Bθを用いてピンチ効果によりプラズマを加熱圧縮し、次いで、圧縮されたプラズマを長時間維持させるために、更に別の電流波形を与え、プラズマ電流を能動的に制御する。
【0020】
本発明の実施の形態に係るプラズマ発生方法は、放電室内にプラズマを生成しプラズマを加熱する第1のステップと、第1のステップにより加熱されたプラズマを磁気により閉じ込めて一定時間プラズマの加熱状態を維持する第2のステップとを備え、放電室内に異なるパターンの電流波形を付与する。
【0021】
第1のステップは、主としてピンチ効果によって高温のプラズマを形成するステップであり、このステップでプラズマを高温かつ高密度の状態にしてEUVを発生できる状態に移行させる。第2のステップは、第1のステップの最終状態すなわち高温かつ高密度の状態を、磁気閉じ込め効果によって一定時間維持するステップである。これらのステップを連続して行うことにより、従来よりも高温高密度状態を長時間維持することができる。その結果、EUVの発光持続時間が延び、エネルギー変換効率を飛躍的に向上することができる。
【0022】
また、本発明の実施の形態に係るプラズマ発生装置は、放電室内にプラズマを発生するプラズマ発生装置において、放電室内に配置された複数の電極と、電極間に放電電流を流し、電極間のプラズマを自己加熱すると共にプラズマに自己磁場を付与する電源装置と、プラズマの状態を制御する制御部と、を備え、プラズマの温度と密度を所定の範囲に制御して、プラズマを空間に閉じ込めるものである。
【0023】
また、本発明の実施の形態に係るプラズマ発生装置は、放電部と放電部を駆動するための電源回路とからなり、この電源回路は、独立したスイッチング素子Sl〜Snで駆動される少なくとも2系統以上の容量型放電回路を備えていることにある。
【0024】
なお、この容量型放電回路は、複数のコンデンサを用いた複数系統の放電回路という意味である。これを本発明の実施の形態に係るプラズマ発生方法に適用するときは、まず、第1の放電回路により放電部に第1の放電電流を与えた後、第2の放電回路により第1の放電電流に第2の放電電流を加える。n段ある場合は、閉じ込め電流を制御してEUV出力を維持するように、より精密に駆動することもできる。
【0025】
また、本発明の実施の形態に係るプラズマ発生装置は、放電部と放電部を駆動するための電源装置とからなり、電源装置は、独立したスイッチング素子S1〜Snで駆動される少なくとも2系統以上の誘導型放電回路を備えていることにある。
【0026】
なお、この誘導型放電回路は、例えば磁性体ユニットを放電部の周囲に配置して誘導電圧を重ね合わせる。これを本発明の実施の形態に係るプラズマ発生方法に適用するときは、まず、第1の放電回路により放電部に第1の誘導電圧を加えることにより放電電流を与えた後、第2の放電回路により第2の誘導電圧を加えることにより第1の放電電流に第2の放電電流を加える。n段ある場合は、閉じ込め電流を制御してEUV出力を維持するようにして、より精密に駆動することもできる。
【0027】
電流制御とするか或いは電圧制御とするかは一長一短があるが、いずれにせよ、加熱されたプラズマがそのまま維持されるような電流を駆動することが重要である。
【0028】
また、本発明の実施の形態に係るプラズマから極端紫外光を発生する光源は、放電室内にプラズマを発生し、プラズマから極端紫外光を発生する光源において、放電室内に配置された複数の電極と、電極間に放電電流を流し、電極間のプラズマを自己加熱すると共にプラズマに自己磁場を付与する電源装置と、電源装置を制御する制御部と、を備え、制御部は、第1過程としてプラズマを加熱するための加熱電流を流し、第2過程として、第1過程により極端紫外光の出力が上昇した後、プラズマを閉じ込めるために更に電流値を増大させ、第3過程として第2過程で増大させた電流値を一定に維持する、ように電源装置を制御して電極間に流す電流量を変化させ、プラズマの温度と密度を制御し、マイクロ秒以上の時間にわたってプラズマの温度と密度を維持することで前記極端紫外光の出力を維持することにある。
【0029】
また、本発明の実施の形態に係るプラズマ発生方法は、放電室内にプラズマを発生するプラズマ発生方法において、プラズマに放電電流を流し、プラズマを自己加熱すると共にプラズマに自己磁場を付与するステップと、プラズマに外部磁場を付与するステップと、を備え、放電電流と外部磁場を制御して、プラズマ維持時間を制御して、プラズマの発光スペクトル効率を高めることにある。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】図1(a)は、従来のDPP方式によるプラズマ発生装置の等価回路を表している。図1(b)は、放電中の電流波形ipと放電電圧Vpを同一時間スケールで表わしたものである。図1(c)は、プラズマ放電の様子を表わしたものである。
【図2】図2(a)は、プラズマの電子温度とイオン密度の関係を示すものである。図2(b)及び図2(c)は、プラズマの加熱方法である磁気圧縮の原理について説明するためのものである。
【図3】図3(a)は、通常のピンチプラズマの挙動を示すストリーク写真を時間スケールと共に示したものである。図3(b)は、1次元MHDシミュレーション(1D−MHD:Magneto Hydro Dynamic)の計算結果を表すものである。横軸はプラズマ生成開始後の経過時間を表し、縦軸はプラズマ半径rpを表している。
【図4】図4(a)は、プラズマ発生後の経過時間tと電子温度Teとの関係をCREモデル(Collisional Radiative Equilibriumモデル:衝突輻射平衡モデル)及びSESAMEモデルに基づいてMHDシミュレーションした結果に、イオン価数Ziと流線図を重ね合わせたものである。図4(b)は、プラズマ発生後の経過時間tとイオン温度Tiとの関係をCREモデル及びSESAMEモデルに基づいてMHDシミュレーションした結果に、イオン価数Ziと流線図を重ね合わせたものである。
【図5】図5(a)及び図5(b)は、いずれも横軸に経過時間、縦軸にプラズマ電流とEUVの発光出力を表したものである。
【図6】図6(a)は、コンデンサを備え、独立したスイッチング素子で駆動される多重放電回路を示している。図6(b)は、図6(a)をn段に拡張した回路である。
【図7】図7は、磁性体10を備えたn段の誘導型多重放電回路を示している。
【図8】図8(a)は、本発明で用いるDPP方式によるプラズマ発生装置の本体部の構造断面図を示し、図8(b)は、本体部の観測窓側から撮影した参考写真を示している。
【図9】図9は、外部磁場発生装置、外部加熱装置、プラズマ媒体供給用加熱装置を備えたプラズマ発生装置を示している。
【図10】図10は、電極にオーブンとディフューザを有するプラズマ発生装置を示している。
【図11】図11は、電極内部に電子ビームなどのエネルギービームを通す貫通孔を有するプラズマ発生装置を示している。
【図12】図12(a)は、キセノン(Xe)の電子密度が1018/ccのプラズマのスペクトル放射強度分布を示している。図12(b)は、キセノン(Xe)の電子密度が1019/ccのプラズマのスペクトル放射強度分布を示している。
【図13】図13(a)は、リチウム(Li)の電子密度が1018/ccのプラズマのスペクトル放射強度分布を示している。図13(b)は、リチウム(Li)の電子密度が1019/ccのプラズマのスペクトル放射強度分布を示している。図13(c)は、リチウム(Li)の電子密度が3×1019/ccのプラズマのスペクトル放射強度分布を示している。
【図14】図14は、キセノン(Xe)、スズ(Sn)、リチウム(Li)の各プラズマ温度に対する加熱に必要なエネルギーの関係を示している。
【図15】図15(a)は、従来の短パルスによるプラズマにおいて、電子温度と密度に対するリチウムプラズマの有効帯域への放射変換効率を示している。図15(b)は、本発明の閉じ込めによるプラズマにおいて、電子温度と密度に対するリチウムプラズマの有効帯域への放射変換効率を示している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
(プラズマ発生装置の原理)
図5(a)及び(b)は、いずれも横軸に経過時間、縦軸にプラズマ電流とEUVの発光出力を表したものであり、本発明の解決原理を説明するための図である。図5(a)は、従来の電流波形を破線で表し、それによるEUV出力を実線で表している。図5(a)に示すように、従来の電流波形は三角関数を基本とする電流波形であるため、放電が開始すると時間と共にプラズマ電流Ipが増大し、ピークを過ぎると今度は減少に転ずる波形であった。このため、電流値Ipの増大とともに加熱及び圧縮(及びこれに伴う磁気閉じ込め)が起こり、電流値のピーク近傍でプラズマ温度が閾値を超えるとEUVが現れるが、最大収縮後はプラズマ圧力に対して磁気閉じ込めの効果が相対的に小さくなるため、プラズマが膨張してプラズマ温度が低下する。その結果、EUVの出力も急速に低下していた。
【0032】
プラズマ密度と電子温度・イオン温度と電離度の関係は、確立しておらず、これらについて、いくつかのモデルが提唱されている。図4(a)は、プラズマ発生後の経過時間t(ns)と電子温度Te(eV)との関係をCRE衝突輻射モデル及びSESAMEモデル(米国のデータベースに基づいたモデル)に基づいてMHDシミュレーションした結果に、イオン価数Ziと流線図を重ね合わせたものである。図4(b)は、プラズマ発生後の経過時間t(ns)とイオン温度Ti(eV)との関係をCRE衝突輻射モデル及びSESAMEモデルに基づいてMHDシミュレーションした結果に、イオン価数Ziと流線図を重ね合わせたものである。EUV出力を維持する時間をこれらの信頼あるシミュレーション結果により計算したところ、光源に有効な高温プラズマの維持時間は、わずか10ns程度であり、効率にして約1%であった。
【0033】
図5(b)は、EUV出力が低下しないように、プラズマ電流Ipを能動的に制御した場合を示している。最初のプラズマ電流Ipは、プラズマを加熱するための電流(加熱電流)であり(第1過程)、次に、EUV出力が上昇した後、プラズマを閉じ込めるために更に電流値を増大させ(第2過程)、この状態を維持するように電流値を一定にする(第3過程)。この例では、駆動電流は2つの電流波形(図中に示した加熱電流Mと閉じ込め電流N)により、EUV出力の持続時間を少なくとも30ns維持することができた。
【0034】
このように、電流波形を能動的に制御する(すなわち、ある時刻において意図的に増大し、又は維持する)ことで、磁気閉じ込め効果を持続させ、プラズマの膨張(すなわちプラズマ温度の低下)を抑制して、EUV出力を長時間維持する。なお、電流波形は、これらを構成する回路などの構成により種々のパターンが考えられるが、例えば、加熱のための電流の波形と磁気閉じ込め電流の波形を加えて作成することができる。
【0035】
従来のプラズマ発生方法は、放電室内にプラズマを生成し、プラズマを加熱すると共に加熱されたプラズマを磁気により閉じ込めて一定時間プラズマの加熱状態を維持している。この方法は、単一のパターンの電流波形(三角関数波形)により、同時的かつ受動的に行われている。それに対し、本発明の実施の形態に係るプラズマ発生方法は、放電室内にプラズマを生成してプラズマを加熱する第1のステップと、第1のステップにより加熱されたプラズマを磁気により閉じ込めて一定時間プラズマの加熱状態を維持する第2のステップとを、明確に分離して、両者を「異なる2以上のバターン電流波形」で能動的に駆動して行っている。なお、電流波形が単一パターンであるか、2以上の異なるパターンであるかの判断は、最大収縮付近の電流波形のパターンに折れ曲がり点×が存在するか否かを調べることにより、容易に知ることができる。
【0036】
(プラズマ発生装置)
プラズマ発生装置は、プラズマを発生し、プラズマ状態を保持するものである。特に、本件のプラズマ発生装置は、プラズマから発するスペクトルの放射効率を高めるものであり、特に、なるべくプラズマ状態を最適な状態に維持して、特定波長領域の放射効率を高めるものである。プラズマからのスペクトルの放射特性は、プラズマの密度と温度の関数である。そこで、プラズマの温度と密度と磁場を制御して、プラズマ維持時間を調整し、プラズマを準定常状態に維持して、放射効率を高めるものである。プラズマ発生装置は、プラズマから発するスペクトルの放射効率を高める発光装置に適用でき、特に、極端紫外光(EUV)を高効率で発光する光源に適用できる。
【0037】
図8(a)は、本発明の実施の形態で用いるDPP方式によるプラズマ発生装置の本体部の構造断面図を示し、図8(b)は観測窓側から撮影した写真を示している。放電部は直径3mm長さが約10cmのキャピラリー(細管)14であり、上部に設けられたガス導入孔16よりキセノンガス(Xe)を導入する構造となっている。キャピラリー(細管)14の上下に電極が配置され、電極間に絶縁材15が配置されている。キセノンガス(Xe)は上方からキャピラリー14を通り、下方に移送される。内部の様子は観察窓18から観察することができる。この本体部の電極は、下記の放電回路に接続される。
【0038】
(電源装置の容量型多重放電回路)
図6(a)は、電源装置の容量型多重放電回路の概略図を示している。図6(a)は、独立したスイッチング素子S1、S2で駆動される。スイッチング素子Sとしては、例えば磁気スイッチや半導体スイッチ(サイリスタ等)或いは放電式スイッチ(サイラトロン等)などが用いられる。放電部(プラズマ光源部)Zには第1電極30と第2電極32が配置されている。第1のスイッチをオンにして第1のコンデンサC1から放電を開始すると、第1の放電電流I1は、コイルLと第1電極30と第2電極32を介して、放電部(プラズマ光源部)Zに流れる。放電部(プラズマ光源部)Zに流れる電流I1はプラズマの加熱に用いられる。次いで第2のスイッチS1をオンにすると、放電部Zに流れる電流は、電流I1に第2のコンデンサC2からの放電電流I2が加算され、これが高温高密度状態のプラズマを磁気閉じ込めにより維持するための閉じ込め電流として用いられる。もちろん、図6(b)に示すように、2段に限らず、n段としてより精密に電流制御を行っても良い。スイッチング素子S1、S2、・・Snは、制御部52によりスイッチング制御される。この制御により、任意の波形を形成することができる。
【0039】
(電源装置の誘導型多重放電回路)
図7は、電源装置のn段の誘導型多重放電回路の概略図を示している。図7の場合、磁性体10に対して、一次側コイルの電極12と二次側コイルの電極30、32が配置されている。一次側コイルの電極12にスイッチング素子Sを介して電圧が印加される。スイッチング素子Sをオンにして、一次側コイルの電極12に電圧を印加すると、二次側コイルの第1電極30と第2電極32間の放電部Zに電圧が誘導される。図7の場合、二次側の第1電極30の周囲にn個の磁性体10、10、・・・が配置されている。スイッチング素子S1、S2、・・Snを制御部52によりオンオフ制御すると、オンとなったスイッチング素子Sに対応する磁性体に二次電圧が発生し、それらの二次電圧が重ね合わされ、二次側コイルの第1電極30と第2電極32間の放電部Zに合成された電圧が誘導される。即ち、第1の一次側コイルに電流I1を流して誘導電圧を第1電極30と第2電極32間に印加してプラズマ38に電流を流す。この電流はプラズマ38を加熱する。次いで第2の一次側コイルに電流I2を流して誘導電圧を第1電極30と第2電極32間に印加してプラズマ38に電流を流す。これにより、第1の誘導電圧による電流I1に第2の誘導電圧による電流I2が加算される。この合成された電流は、高温高密度状態のプラズマを閉じ込めるための閉じ込め電流として用いられる。2段に限らず、必要に応じて、n段の誘導電圧を第1電極30と第2電極32間に印加することができる。放電部Zの位置は、放電部Zに二次電圧が誘導され、プラズマ38に電流が流れれば、任意の場所で良い。スイッチング素子S1、S2、・・Snは、制御部52によりスイッチング制御され、任意の波形を作成することができる。
【0040】
原子過程を考慮した電磁流体力学モデルを用いて数値計算を行った結果、いずれも従来の単純な三角関数のような電流波形と比較すると、少なくとも3倍以上のエネルギー変換効率が得られることが明らかとなった。
【0041】
(外部装置によりプラズマの環境条件を変えるプラズマ発生装置)
プラズマ発生装置は、プラズマを挟んだ電極に放電電流を流し、放電電流によって磁場を形成し、プラズマに磁場を作用すると共に、放電電流によってプラズマを加熱する。このプラズマの放電電流によって発生する磁場を自己磁場と呼ぶ。また、放電電流によって発生するプラズマの加熱を自己加熱と呼ぶ。プラズマ発生装置は、プラズマに外部から磁場を付与する外部磁場発生装置を備えている。プラズマ発生装置は、プラズマを自己磁場で拘束し、更に、外部磁場でも拘束する。これにより、プラズマの密度と温度と磁場を制御する。プラズマ発生装置は、放電電流によって自己加熱し、加熱が不足する場合、外部加熱でプラズマの温度を制御する。そのために、プラズマ発生装置は、必要に応じて、プラズマを外部から加熱する外部加熱装置を備えている。このように、プラズマ発生装置は、プラズマの磁場と温度を制御して、プラズマを閉じ込め、プラズマを所定の温度と密度に維持して、プラズマから発光するスペクトルの放射効率を高める。プラズマ媒体は、キセノンXe、すずSn、リチウムLiなどプラズマとなるものであれば、どのような物質でもよい。一例として、以下に主にリチウム媒体について説明する。プラズマ媒体としてリチウムを使用した場合、プラズマ発生装置は、13.5nmのリチウムスペクトルを含む有効帯域(波長帯域)に強力なスペクトル線を発生する。この状態のプラズマの電子温度は、5eV〜30eVが好ましく、プラズマの電子密度は、1017cm−3〜1020cm−3を維持することが好ましい。なお、13.5nmのリチウムスペクトルを含む波長帯域は、反射に対しても吸収の少ない波長範囲であり、この波長帯域の光源は、露光装置や検査装置などに有効に利用できるものである。この波長帯域は、13.5nmを基準に、特に±1%の範囲が好ましい。
【0042】
図9は、プラズマ発生装置の構成図の一例を示している。プラズマ発生装置20は、内部を外界から遮蔽する放電室22を備えている。プラズマ発生装置20は、放電室22内に第1電極30と第2電極32を配置し、第1電極30と第2電極32間にプラズマ38を発生する。プラズマ発生装置20は、第1電極30と第2電極32間に電圧を付与する電源装置34を備え、第1電極30と第2電極32間に制御された放電電流を流す。放電電流は、自己磁場を発生し、プラズマ38に閉じ込め磁界を作用すると共に、プラズマ38を加熱する。プラズマ発生装置20は、外部磁場発生装置28を備え、プラズマ38に外部磁場を付与する。外部磁場発生装置28であるコイルは、例えば、円柱形状の第1電極30の周囲、及び円柱形状の第2電極32の周囲を包囲するような円筒の形状とし、その円筒の軸に沿ってプラズマ38が形成される。プラズマ発生装置20は、必要に応じて、外部加熱装置24を備え、プラズマ38を加熱する。プラズマ発生装置20は、プラズマ媒体供給用加熱装置26を備え、電極からプラズマ38に動作ガスを供給する。プラズマ発生装置20は、露光装置、パターン検査装置など特定の用途に応じて、プラズマ38から発生する光を受光する集光部36を備えている。集光部36以降の光路には、例えば、パターンが形成されたフォトマスクとその下方にフォトレジストが配置される。プラズマ38から発生する光は、フォトレジストにフォトマスクのパターンを形成する。なお、集光部36は、例えば光の反射板などが使用される。また、電源装置34、外部磁場発生装置28、及び外部加熱装置24は、制御部52により種々の制御が行われる。
【0043】
放電室22は、第1電極30と第2電極32間が放電するように内部を真空にでき、また、プラズマ38から発生するEUV40などの光が吸収されないで、集光部36に達するように、内部を真空にできる容器である。第1電極30と第2電極32は、放電電流を流すことができる電極であればよい。電極は、プラズマ媒体と同一の元素からなっている場合、電極からプラズマ媒体を供給することができる。例えば、電極がリチウム金属であり、プラズマ媒体がリチウムの場合、リチウム金属電極にレーザーや電子ビームなどを照射することにより、電極からパルス的にリチウムガスを発生することができる。この場合、プラズマ媒体供給用加熱装置26は、電極にレーザーや電子線などのエネルギーを照射できる装置であればよい。外部磁場発生装置28は、プラズマ38に磁場を付与できるものであればよく、例えば、電極の周囲に配置されたコイルがある。その場合、コイルで発生する外部磁場は、自己磁場と重ね合わされ、重ね合わされた磁場が、プラズマに作用することになる。図9の場合、外部磁場と自己磁場は直交し、その重ね合わされた強い磁場が、プラズマに作用することになる。外部加熱装置24は、プラズマを外部から加熱できるものであれば良く、例えば、プラズマ38にレーザーなどのエネルギービームを照射して、プラズマ38を加熱できる装置を使用できる。集光部36は、プラズマ38で発生するEUV40が集光できる箇所に配置される。プラズマ発生装置20を露光装置として使用する場合、露光対象となる物質が集光部36以降の光路に配置される。
【0044】
図10は、プラズマ発生装置20の他の構成例を示している。図10のプラズマ発生装置20は、図9のプラズマ発生装置20に対して、主にプラズマ38を供給する構成が相違している。図10のプラズマ媒体供給用加熱装置26は、オーブン42、ディフューザ44、パイプ46、循環装置48などで構成されている。オーブン42は、第1電極30の内部に形成できる。オーブン42から排出されたプラズマ媒体用のガスは、プラズマ38中に供給される。ディフューザ44は、第2電極32の内部に形成され、プラズマ38からのプラズマガスを回収する。回収されたプラズマガスは、パイプ46を通して循環装置48に集められる。また、プラズマガスは、循環装置48によりパイプ46を通して、オーブン42に供給される。オーブン42は、供給されたプラズマ媒体を加熱および加圧することができる。
【0045】
図11は、プラズマ発生装置20の他の構成例を示している。図11のプラズマ発生装置20は、図9と図10のプラズマ発生装置20に対して、主に第2電極32の構成とプラズマ媒体を供給する構成が相違している。図11のプラズマ発生装置20の第2電極32は、内部に貫通孔50を有している。外部加熱装置24は、貫通孔50を通して電子ビームあるいはレーザービームを電極30およびプラズマ38に照射し、プラズマ媒体を供給するとともにプラズマ38を加熱する。第2電極32と外部磁場発生装置28のコイルは、円筒状に形成し、その円筒軸に沿ってプラズマが作成される。
【0046】
(プラズマ発生方法)
プラズマを発生する方法は、図6又は図7の電源装置を用いたプラズマを例にとって説明する。先ず、放電部Zのプラズマに第1の放電電流I1を流し、プラズマを加熱すると共に、プラズマを磁気により閉じ込める第1のステップと、第1の放電電流I1とは異なるパターンの第2の放電電流I2を重ね合わせる第2のステップを取ることにより、プラズマの維持時間を制御することができる。2段に限らずn段にすることにより、より複雑な電流波形をプラズマに付与し、高精度にプラズマ制御を行うことができる。
【0047】
また、プラズマを発生する他の方法は、図9のプラズマ発生装置20を用いたリチウムプラズマを例にとって説明する。制御部52の制御により、電源装置34により第1電極30と第2電極32間に電圧を印加し、電流制御して、第1電極30と第2電極32間で放電させる。電極にリチウム金属を使用していると、放電により、電極からリチウム蒸気が発生し、リチウムプラズマが形成される。第1電極30と第2電極32間のリチウムプラズマは、放電電流によって加熱されると同時に、その放電電流による自己磁場によって拘束される。外部磁場発生装置28は、コイルに電流を流して外部磁場を発生し、プラズマに外部から磁場を加えて、自己磁場と共に、プラズマを閉じ込め、プラズマ38の密度を所定の範囲に安定に維持する。プラズマ温度が不足する場合は、外部加熱装置24によりプラズマ38を追加熱する。この条件は、プラズマ38の電子温度では5eV〜30eVが好ましく、プラズマ38の電子密度では1017cm−3〜1020cm−3が好ましい。特に、電子温度は、10eV〜20eVが好ましく、電子密度は、1017cm−3〜1019cm−3を維持することが好ましい。この条件を維持すると、プラズマ38は、有効帯域のEUV光源となり、プラズマ38からはEUVが発射される。このEUVは、集光部36に照射して、種々の用途に利用される。第1電極30と第2電極32間に駆動する電流は、直流電流が望ましいが、パルス電流でもよい。この電源装置34の制御方法は、主として電流制御を用いる。リチウム蒸気の追加方法や発生方法として、プラズマ媒体供給用加熱装置26を使用する場合は、プラズマ媒体供給用加熱装置26により、陰極であるリチウム第1電極30に電子ビームやレーザーなどの放射線を照射して、リチウム第1電極30からリチウム蒸気を発生させる。
【0048】
図10のプラズマ発生装置20を用いてプラズマを発生する方法を説明する。第1電極30のリチウム陰極内部に設置したオーブン42からリチウム蒸気を第1電極30と第2電極32の間に供給する。第1電極30と第2電極32の陽極間で電流制御能力を持つ電源装置34を用いて放電させる。電極間のプラズマは放電電流によって加熱されると同時に電流による自己磁場によって拘束される。自己磁場に加えて、外部磁場をもちいてプラズマを閉じ込め、一定のプラズマ条件と安定性を維持する。一定のプラズマ条件を維持するために、電流を制御する。電子温度10eV〜20eV、電子密度1017cm−3〜1019cm−3に維持された光源プラズマから主として側面方向に光利用が可能である。リチウムは陽極のディフューザ44で回収し、循環装置48を用いて循環させる。
【0049】
図11のプラズマ発生装置20を用いてプラズマを発生する方法を説明する。リチウム金属陰極30から主として自己加熱にてリチウム蒸気を供給する。リチウムガスが不足する場合には、加熱装置24を補助加熱として用い、リチウムガスが過剰な場合には、電極を冷却して供給を抑制する。電源装置34を制御して陰極30と陽極32との間で放電させる。電極間のプラズマは放電電流によって加熱されると同時に電流による自己磁場によって拘束される。自己磁場に加えて、外部磁場発生装置28により外部磁場を発生して、プラズマ38を閉じ込め、さらには、必要に応じて加熱装置24を用いて一定のプラズマ条件を維持する。
【0050】
(リチウムプラズマのプラズマ効率)
図12は、プラズマ半径を400μmとした時のキセノンXeプラズマのスペクトルの典型的な放射強度分布を示しており、横軸が波長λ(nm)であり、縦軸が出力強度(W/cm2)である。図12(A)は、プラズマ状態のキセノンの電子密度が1018/ccの場合のEUVのスペクトルを示している。図12(B)は、プラズマ状態のキセノンの電子密度が1019/ccの場合のEUVのスペクトルを示している。このように、プラズマ状態のキセノンは、波長13.5nm付近の有効帯域のスペクトル強度の割合が極めて小さく、その有効帯域より短い波長の領域に強いスペクトル強度を放射していることを示している。
【0051】
図13は、プラズマ半径を400μmとした時のリチウムLiのスペクトルの典型的な放射強度分布を示しており、横軸が波長λ(nm)であり、縦軸が出力強度(W/cm2)である。図13(A)、図13(B)、及び図13(C)は、縦軸の単位が、各々104、105、及び106であり、また、プラズマ状態のリチウムの電子密度が、各々1018/cc、1019/cc、及び3×1019/ccである。また、図13(A)、図13(B)、及び図13(C)は、プラズマ電子温度Teとイオン温度Tiが等しく、各々12eV、12eV、18.5eVの状態を示している。このように、プラズマ状態のリチウムLiの放射強度分布には、いずれの状態でも、有効帯域の波長13.5nmが強く表れている。
【0052】
図14は、プラズマ媒体が、キセノンXe、すずSn、及びリチウムLiについて、プラズマ温度とプラズマエネルギーの関係を示しており、横軸がプラズマ温度(eV)を示し、縦軸がプラズマエネルギー(ジュールJ)を示している。プラズマのイオン密度は、いずれのガスでも、1018/ccである。プラズマの半径Rは、300μm(0.03cm)であり、長さは、0.4cmであり、電子温度Tiとイオン温度Teが等しい状態を示している。ここで、プラズマエネルギーは、熱エネルギー(電子とイオン)とイオン化ポテンシャルの和である。このグラフは、キセノンXeとすずSnは、プラズマ温度の上昇と共に、加熱に必要なプラズマエネルギーが、急勾配で上昇するのに対して、リチウムLiは、殆ど上昇しないことを示している。このため、リチウムLiの場合、プラズマの形成において、キセノンXeとすずSnに比べて、大きな電力が消費されないことを示している。このことは、高効率の光源プラズマとして、リチウムプラズマの潜在能力が高いことを示している。
【0053】
図15は、リチウムプラズマの変換効率が閉じ込め時間に強く依存することを示している。横軸がプラズマ電子温度(eV)であり、縦軸がプラズマ電子密度(対数目盛lg(Ne/cc))であり、リチウムのスペクトル13.5nmを含む有効帯域のプラズマ効率CEp(%/2πsr)の等高線グラフを示している。図15(A)は、プラズマの持続時間が短時間の場合のプラズマ効率のグラフを示している。図15(A)のグラフの等高線を横切る線、−7.5、−8、−9の数字は、対数で表したプラズマ維持時間であり、具体的には、各々、パルス幅10−7.5秒、10−8秒、10−9秒を示している。図15(A)のグラフは、そのパルス幅によって決まる効率の限界線を示している。従来の方式では短パルスでしか維持されないプラズマを用いており、限界線の右上領域の効率しか期待できない。プラズマ効率CEpは、最大でも、温度が20eV付近、電子密度が1019/cc付近において、ほぼ1.2(%/2πsr)である。
【0054】
それに対して、図15(B)は、プラズマ維持時間が十分に確保された場合のプラズマ効率CEpを示している。なお、この場合、プラズマ効率はスペクトル効率と等しい。図15(B)は、スペクトル効率CEpの等高線が描かれており、プラズマ電子温度が10eV〜25eV付近で、プラズマ電子密度が1018/cc以下で、プラズマ効率が45(%/2πsr)と高くなっている。プラズマ発生装置を露光装置として使用する場合には、多量の光線を発生させる必要がある。光量を大きくするには上記のパラメータ領域においてプラズマ密度が高い方が好ましいが、プラズマ効率は低密度の方が高くなる。維持するプラズマの密度と温度とは、出力を重視するか効率を重視するかによって選択すればよい。プラズマ温度が5eV〜30eV付近で、プラズマ密度が1017/cc〜1020/cc付近が好ましい。その条件では、比較的プラズマ密度が大きく、比較的プラズマ効率が高いために、多くの光量を得ることができる。装置としては、プラズマ効率と共に密度・温度が低い方が望ましく、プラズマ電子温度は10eV〜20eV付近が更に好ましい。
【0055】
(リチウムプラズマのプラズマ効率の算出根拠)
図15(B)は、次のようにして求められる。プラズマから発する光の中、有効な波長(13.5nm±1%をλ2%と表示している)の変換効率CEは、以下の数1の式(1)のように求められる。分母はプラズマへの入力エネルギーを示し、分子は有効な波長領域の放射エネルギーを示している。式(1)において、Mλは積分スペクトル放射強度、Spは放射プラズマの表面積、τは放射時間、Eはプラズマの加熱とイオン化に消費されるエネルギーを示している。
【0056】
【数1】
【0057】
式(1)において、放射時間τを十分に長くできると、分母のEは無視でき、放射時間τおよび放射プラズマの表面積Spはキャンセルされる。したがって、この時の変換効率CEは、下記の数2の式(2)のスペクトル効率ηSになる。
【0058】
【数2】
【0059】
この式2は、図15(B)に示すような直流の場合の特性であり、従来の図15(A)に示すようなトランジェント(Transient)の特性と全く異なる。従来は、プラズマを短パルスでしか維持できないトランジェント(Transient)な条件でのみ効率が検討されてきたので、スペクトル効率そのものが深く検討されていなかった。トランジェント(Transient)な場合、プラズマ効率のグラフの等高線を横切る線(−9や−7.9の数字)は、対数で表したパルス幅によって決まる効率の限界を示している。短パルス的にしか維持されないプラズマでは、限界線の右上領域の効率しか期待できない。
【0060】
本発明は、直流を含む長パルスでプラズマ状態を維持することにより、図15(B)の高効率の発光スペクトル効率の光源を得ることができる。放射プラズマの維持時間の関数として変換効率を詳細に検討した結果、プラズマ温度とプラズマ密度、半径などのプラズマ・パラメータを電流の大きさや磁場の強度によって制御することにより、飛躍的に有効帯域の放射効率を改善できること、また閉じ込め効果が放射効率の向上に有効に働く時間の目安は、リチウムプラズマの場合、10−6秒程度であることが分かった。そのためには、電極間の放電による自己磁場と自己加熱に加えて、プラズマに外部磁界を付与し、必要に応じて外部加熱を付与する。これらにより、閉じ込め力とエネルギー収支のバランスをとることが出来、プラズマ・パラメータを必要な維持時間を超えて安定に制御することができる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明の実施の形態に係るプラズマ発生装置及び方法は、従来のプラズマ発生装置の電源駆動回路部分を変更するだけで実施できる点で実施化が容易であると共に、従来よりも飛躍的にエネルギー変換効率を増大させ、これにより電極或いは構造部品の消耗或いはデブリの発生を抑えることができる。
Claims (9)
- 放電室内にプラズマを発生し、プラズマから極端紫外光を発生する光源において、
放電室内に配置された複数の電極と、
電極間に流す電流量を能動的に制御でき、電極間のプラズマを自己加熱すると共にプラズマに自己磁場を付与する電源装置と、
電源装置を制御する制御部と、を備え、
制御部は、第1過程としてプラズマを加熱するための加熱電流を流し、第2過程として、第1過程により極端紫外光の出力が上昇した後、プラズマを閉じ込めるために更に電流値を増大させ、第3過程として第2過程で増大させた電流値を一定に維持する、ように電源装置を制御して電極間に流す電流量を変化させ、プラズマの温度と密度を制御し、マイクロ秒以上の時間にわたってプラズマの温度と密度を維持することで前記極端紫外光の出力を維持する、プラズマから極端紫外光を発生する光源。 - 請求項1に記載のプラズマから極端紫外光を発生する光源において、
電源装置は、スイッチング素子で駆動される複数系統の放電回路を有し、
制御部は、スイッチング素子を制御して、各放電回路を駆動する、プラズマから極端紫外光を発生する光源。 - 請求項2に記載のプラズマから極端紫外光を発生する光源において、
放電回路は、容量型放電回路又は誘導型放電回路である、プラズマから極端紫外光を発生する光源。 - 請求項1に記載のプラズマから極端紫外光を発生する光源において、
プラズマに外部磁場を付与する外部磁場発生装置を備え、
制御部は、外部磁場発生装置を制御して、プラズマに付与する磁場を変化させる、プラズマから極端紫外光を発生する光源。 - 請求項4に記載のプラズマから極端紫外光を発生する光源において、
プラズマの温度を外部から制御する温度制御装置を備え、
制御部は、外部磁場発生装置と温度制御装置とを制御し、プラズマに付与する磁場とプラズマ温度を変化させる、プラズマから極端紫外光を発生する光源。 - 請求項1に記載のプラズマから極端紫外光を発生する光源において、
プラズマ媒体は、リチウムである、プラズマから極端紫外光を発生する光源。 - 請求項6に記載のプラズマから極端紫外光を発生する光源において、
プラズマに外部磁場を付与する外部磁場発生装置を備え、
制御部は、外部磁場発生装置を制御して、プラズマに付与する磁場を変化させる、プラズマから極端紫外光を発生する光源。 - 請求項6に記載のプラズマから極端紫外光を発生する光源において、
放電電流を流す電極をリチウム金属とし、リチウム金属から放電室内にリチウムのプラズマ媒体を供給する、プラズマから極端紫外光を発生する光源。 - 請求項6に記載のプラズマから極端紫外光を発生する光源において、
リチウムプラズマは、電子温度が5eV〜30eVであり、電子密度が1017cm−3〜1020cm−3である、プラズマから極端紫外光を発生する光源。
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JP2005134796 | 2005-05-06 | ||
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