JP5102325B2 - 核磁気共鳴法を用いた、標的タンパク質のアゴニストおよびアンタゴニストの同定方法 - Google Patents
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Description
1.タンパク質と化合物とを接触させた場合の、該タンパク質の構造変化を測定する方法であって、以下:
(a)該タンパク質内のドメインを選択する工程;
(b)該タンパク質が該化合物と接触しない条件下における、該ドメインの配向情報を得る工程;
(c)該タンパク質と該化合物を接触させる条件下における、該ドメインの配向情報を以下
(i)該ドメインの既知の原子座標を得て、
(ii)液晶物質存在下において該タンパク質と該化合物を接触させ、二次元TROSY NMRスペクトルを用いて得られる、分子の磁場中での配向角度に依存したNMRシグナルの軸方向の変化量を得て、
(iii)該ドメインの原子座標、および該NMRシグナルの軸方向の変化量から、該ドメインのSaupeオーダーマトリクスエレメントを決定し、そして
(iv)該決定されたマトリクスを対角化して、該ドメインの配向情報とする、
ことにより得る工程;および、
(d)工程(b)において得られた配向情報と、工程(c)において得られた配向情報との差異から、該タンパク質の構造変化を測定する工程、
を包含する、方法。
2.前記(b)工程が、
(b)該タンパク質が該化合物と接触しない条件下における、該ドメインの配向情報を以下
(v)該ドメインの既知の原子座標を得て、
(vi)液晶物質存在下において、該タンパク質を該化合物と接触させずに、二次元TROSY NMRスペクトルを用いて得られる、分子の磁場中での配向角度に依存したNMRシグナルの軸方向の変化量を得て、
(vii)該ドメインの原子座標、および該NMRシグナルの軸方向の変化量から、該ドメインのSaupeオーダーマトリクスエレメントを決定し、そして
(viii)該決定されたマトリクスを対角化して、該ドメインの配向情報とする、ことにより得る工程である、項目1に記載の測定方法。
3.前記(b)工程が、
(b)前記タンパク質が前記化合物と接触しない条件下において既に得られている原子座標から、前記ドメインの配向情報を得る工程;
である、項目1に記載の測定方法。
4.項目1に記載の測定方法であって、前記工程(c)において二次元TROSY NMRスペクトルを用いて得られる分子の磁場中での配向角度に依存したNMRシグナルの軸方向の変化量が、15N軸方向の変化量である、方法。
5.項目4に記載の測定方法であって、ここで、前記(iii)Saupeオーダーマトリクスエレメントの決定が、以下:
前記ドメイン内のk番目の15N核スピン対について、
i番目の分子軸に対する、該ドメイン内のk番目のスピン対のN−H結合のベクトル角としてφk iを得て、
j番目の分子軸に対する、該ドメイン内のk番目のスピン対のN−H結合のベクトル角としてφk jを得て、
N−H結合の距離が1.02Åの場合、静的双極カップリングD0 nhを23.0kHzとするか、またはN−H結合の距離が1.04Åの場合、静的双極カップリングD0 nhを21.7kHzとして、
該タンパク質内の任意の残基の15N核の化学シフト異方性のテンソル値をδijとして決定し、そして
液晶物質存在下において該タンパク質と該化合物を接触させ、二次元TROSY NMRスペクトルを用いて、k番目の15N核スピン対について得られたΔδtrosy(k)とともに、以下の式(1):
Δδtrosy(k)=ΣSij{0.5 D0 nh cosφk i cosφk j+(2/3)δij} (1)
i,j=x,y,z
を用いて、磁場に対する分子配向を規定するSaupeオーダーマトリクスエレメントであるSijを決定すること
によって行われる、方法。
6.項目2に記載の測定方法であって、前記工程(b)において二次元TROSY NMRスペクトルを用いて得られる分子の磁場中での配向角度に依存したNMRシグナルの軸方向の変化量が、15N軸方向の変化量である、方法。
7.項目6に記載の測定方法であって、ここで、前記(vii)Saupeオーダーマトリクスエレメントの決定が、以下:
前記ドメイン内のk番目の15N核スピン対について、
i番目の分子軸に対する、該ドメイン内のk番目のスピン対のN−H結合のベクトル角としてφk iを得て、
j番目の分子軸に対する、該ドメイン内のk番目のスピン対のN−H結合のベクトル角としてφk jを得て、
N−H結合の距離が1.02Åの場合、静的双極カップリングD0 nhを23.0kHzとするか、またはN−H結合の距離が1.04Åの場合、静的双極カップリングD0 nhを21.7kHzとして、
該タンパク質内の任意の残基の15N核の化学シフト異方性のテンソル値をδijとして決定し、そして
液晶物質存在下において該タンパク質と該化合物を接触させることなく、二次元TROSY NMRスペクトルを用いて、k番目の15N核スピン対について得られたΔδtrosy(k)とともに、以下の式(1):
Δδtrosy(k)=ΣSij{0.5 D0 nh cosφk i cosφk j+(2/3)δij} (1)
i,j=x,y,z
を用いて、磁場に対する分子配向を規定するSaupeオーダーマトリクスエレメントであるSijを決定すること
によって行われる、方法。
8.項目5または7に記載の方法であって、ここで、前記タンパク質と前記化合物とが接触した場合の、該タンパク質の構造変化が、以下:
(ix)該化合物と接触させる前の該タンパク質のドメインの配向情報から、配向テンソル軸の方向を3つのお互いに直交する第1の単位ベクトル
を用いて示し、
(x)該化合物と接触させた後の該タンパク質のドメインの配向情報から、配向テンソル軸の方向を3つのお互いに直交する第2の単位ベクトル
を用いて示し、
(xi)第1の単位ベクトルの各々と第2の単位ベクトルの各々との間の角度を、a、b、およびcとして表し、そして
(xii)以下の式によって分子配向変化度を求める
分子配向変化度=a2+b2+c2、
ことによって分子配向変化度として数値化される、方法。
9.項目2に記載の方法であって、さらに、前記化合物が前記タンパク質に結合した位置を特定する工程を包含する、方法。
10.項目9に記載の方法であって、前記化合物が前記タンパク質に結合した位置を特定する工程が、前記工程(b)において得られた二次元TROSY NMRスペクトルと、前記工程(c)において得られた二次元TROSY NMRスペクトルとを比較して、スペクトルの変化を検出し、そして、該スペクトルの変化を生じた、該タンパク質中のアミノ酸残基を同定すること、によって行われる、方法。
11.項目1に記載の方法であって、前記液晶物質が、以下からなる群から選択される混合物を含む、方法:
ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)とジヘキサノイルホスファチジルコリン(DHPC)との混合物、
ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)とジヘキサノイルホスファチジルコリン(DHPC)とドデシル硫酸ナトリウム(SDS)との混合物、
ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)とジヘキサノイルホスファチジルコリン(DHPC)とセチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)との混合物、
1,2−ジ−O−ドデシル−sn−グリセロ−3−ホスフォコリン(DIODPC)と3−(コラミドプロピル)−ジメチルアンモニオ−2−ヒドロキシ−1−プロパンサルフェート(CHAPS)との混合物、
n−アルキル−ポリ(エチレングリコール)/n−アルキルアルコール混合物、
繊維状ファージ、
セチルピリジニウムクロライド(CPCl)−ヘキサノール−NaCl混合物、
セチルピリジニウムブロミド(CPBr)−ヘキサノール−NaCl混合物、
Halobacterium属の紫膜断片
微結晶セルロース、および
ポリアクリルアミドゲル。
12.前記液晶物質が、7.5%(w/v)のジミリストイルホスファチジルコリン(D
MPC)とジヘキサノイルホスファチジルコリン(DHPC)とセチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)との混合物である、項目11に記載の方法。
13.接触の際に、タンパク質内のドメインの構造変化を生じる化合物を選択する方法であって、以下:
(a)該タンパク質内のドメインを選択する工程;
(b)該タンパク質が該化合物と接触しない条件下における、該ドメインの配向情報を得る工程;
(c)該タンパク質と該化合物を接触させる条件下における、該ドメインの配向情報を以下
(i)該ドメインの既知の原子座標を得て、
(ii)液晶物質存在下において該タンパク質と該化合物を接触させ、二次元TROSY NMRスペクトルを用いて得られる、分子の磁場中での配向角度に依存したNMRシグナルの軸方向の変化量を得て、
(iii)該ドメインの原子座標、および該NMRシグナルの軸方向の変化量から、該ドメインのSaupeオーダーマトリクスエレメントを決定し、そして
(iv)該決定されたマトリクスを対角化して、該ドメインの配向情報とする、
ことにより得る工程;
(d)工程(b)において得られた配向情報と、工程(c)において得られた配向情報との比較から、該化合物が該タンパク質と接触した際に該ドメインの構造変化を生じる化合物であるか否かを決定する工程、
を包含する、方法。
14.前記(b)工程が、
(b)該タンパク質が該化合物と接触しない条件下における、該ドメインの配向情報を以下
(v)該ドメインの既知の原子座標を得て、
(vi)液晶物質存在下において、該タンパク質を該化合物と接触させずに、二次元TROSY NMRスペクトルを用いて得られる、分子の磁場中での配向角度に依存したNMRシグナルの軸方向の変化量を得て、
(vii)該ドメインの原子座標、および該NMRシグナルの軸方向の変化量から、該ドメインのSaupeオーダーマトリクスエレメントを決定し、そして
(viii)該決定されたマトリクスを対角化して、該ドメインの配向情報とする、ことにより得る工程である、項目13に記載の測定方法。
15.前記(b)工程が、
(b)前記タンパク質が前記化合物と接触しない条件下において既に得られている原子座標から、前記ドメインの配向情報を得る工程;
である、項目13に記載の測定方法。
16.項目13に記載の測定方法であって、前記工程(c)において二次元TROSY NMRスペクトルを用いて得られる分子の磁場中での配向角度に依存したNMRシグナルの軸方向の変化量が、15N軸方向の変化量である、方法。
17.項目16に記載の測定方法であって、ここで、前記(iii)Saupeオーダーマトリクスエレメントの決定が、以下:
前記ドメイン内のk番目の15N核スピン対について、
i番目の分子軸に対する、該ドメイン内のk番目のスピン対のN−H結合のベクトル角としてφk iを得て、
j番目の分子軸に対する、該ドメイン内のk番目のスピン対のN−H結合のベクトル角としてφk jを得て、
N−H結合の距離が1.02Åの場合、静的双極カップリングD0 nhを23.0kHzとするか、またはN−H結合の距離が1.04Åの場合、静的双極カップリングD0 nhを21.7kHzとして、
該タンパク質内の任意の残基の15N核の化学シフト異方性のテンソル値をδijとして決定し、そして
液晶物質存在下において該タンパク質と該化合物を接触させ、二次元TROSY NMRスペクトルを用いて、k番目の15N核スピン対について得られたΔδtrosy(k)とともに、以下の式(1):
Δδtrosy(k)=ΣSij{0.5 D0 nh cosφk i cosφk j+(2/3)δij} (1)
i,j=x,y,z
を用いて、磁場に対する分子配向を規定するSaupeオーダーマトリクスエレメントであるSijを決定すること
によって行われる、方法。
18.項目14に記載の測定方法であって、前記工程(b)において二次元TROSY NMRスペクトルを用いて得られる、分子の磁場中での配向角度に依存したNMRシグナルの軸方向の変化量が、15N軸方向の変化量である、方法。
19.項目18に記載の測定方法であって、ここで、前記(vii)のSaupeオーダーマトリクスエレメントの決定が、以下:
前記ドメイン内のk番目の15N核スピン対について、
i番目の分子軸に対する、該ドメイン内のk番目のスピン対のN−H結合のベクトル角としてφk iを得て、
j番目の分子軸に対する、該ドメイン内のk番目のスピン対のN−H結合のベクトル角としてφk jを得て、
N−H結合の距離が1.02Åの場合、静的双極カップリングD0 nhを23.0kHzとするか、またはN−H結合の距離が1.04Åの場合、静的双極カップリングD0 nhを21.7kHzとして、
該タンパク質内の任意の残基の15N核の化学シフト異方性のテンソル値をδijとして決定し、そして
液晶物質存在下において該タンパク質と該化合物を接触させることなく、二次元TROSY NMRスペクトルを用いて、k番目の15N核スピン対について得られたΔδtrosy(k)とともに、以下の式(1):
Δδtrosy(k)=ΣSij{0.5 D0 nh cosφk i cosφk j+(2/3)δij} (1)
i,j=x,y,z
を用いて、磁場に対する分子配向を規定するSaupeオーダーマトリクスエレメントであるSijを決定すること
によって行われる、方法。
20.項目17または19に記載の方法であって、ここで、前記工程(c)における配向情報の比較が、以下:
(ix)該化合物と接触する前の該タンパク質のドメインの配向情報から、配向テンソル軸の方向を3つのお互いに直交する第1の単位ベクトル
を用いて示し、
(x)該化合物と接触した後の該タンパク質のドメインの配向情報から、配向テンソル軸の方向を3つのお互いに直交する第2の単位ベクトル
を用いて示し、
(xi)第1の単位ベクトルの各々と第2の単位ベクトルの各々との間の角度を、a、b、およびcとして表し、そして
(xii)以下の式によって分子配向変化度を求め、
分子配向変化度=a2+b2+c2、
該分子配向変化度を比較することによって行われる、方法。
21.項目14に記載の方法であって、さらに、前記化合物が前記タンパク質に結合した位置を特定する工程を包含する、方法。
22.項目21に記載の方法であって、前記化合物が前記タンパク質に結合した位置を特定する工程が、前記工程(b)において得られた二次元TROSY NMRスペクトルと、前記工程(c)において得られた二次元TROSY NMRスペクトルとを比較して、スペクトルの変化を検出し、そして、該スペクトルの変化を生じた、該タンパク質中のアミノ酸残基を同定すること、によって行われる、方法。
23.項目13に記載の方法であって、前記液晶物質が、以下からなる群から選択される混合物を含む、方法:
ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)とジヘキサノイルホスファチジルコリン(DHPC)との混合物、
ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)とジヘキサノイルホスファチジルコリン(DHPC)とドデシル硫酸ナトリウム(SDS)との混合物、
ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)とジヘキサノイルホスファチジルコリン(DHPC)とセチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)との混合物、
1,2−ジ−O−ドデシル−sn−グリセロ−3−ホスフォコリン(DIODPC)と3−(コラミドプロピル)−ジメチルアンモニオ−2−ヒドロキシ−1−プロパンサルフェート(CHAPS)との混合物、
n−アルキル−ポリ(エチレングリコール)/n−アルキルアルコール混合物、
繊維状ファージ、
セチルピリジニウムクロライド(CPCl)−ヘキサノール−NaCl混合物、
セチルピリジニウムブロミド(CPBr)−ヘキサノール−NaCl混合物、
Halobacterium属の紫膜断片
微結晶セルロース、および
ポリアクリルアミドゲル。
24.前記液晶物質が、7.5%(w/v)のジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)とジヘキサノイルホスファチジルコリン(DHPC)とセチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)との混合物である、項目23に記載の方法。
25.タンパク質と接触することによって、第1の化合物と該タンパク質とが接触した場合の該タンパク質の構造変化と類似する該タンパク質の構造変化を生じる、第2の化合物を選択する方法であって、以下:
(a)該タンパク質内のドメインを選択する工程;
(b)該タンパク質と該第1の化合物を接触させる条件下における、該ドメインの配向情報を得る工程;
(c)該タンパク質と該第2の化合物を接触させる条件下における、該ドメインの配向情報を以下
(i)該ドメインの既知の原子座標を得て、
(ii)液晶物質存在下において該タンパク質と該第2の化合物を接触させ、二次元TROSY NMRスペクトルを用いて得られる、分子の磁場中での配向角度に依存したNMRシグナルの軸方向の変化量を得て、
(iii)該ドメインの原子座標、および該NMRシグナルの軸方向の変化量から、該ドメインのSaupeオーダーマトリクスエレメントを決定し、そして
(iv)該決定されたマトリクスを対角化して、該ドメインの配向情報とする、
ことにより得る工程;
(d)工程(b)において得られた配向情報と、工程(c)において得られた配向情報とを比較する工程;および
(e)工程(d)における比較の結果から、該第2の化合物が該タンパク質と接触することによる該タンパク質の構造変化が、該第1の化合物が該タンパク質と接触することによる該タンパク質の構造変化と類似するか否かを決定する工程、
を包含する、方法。
26.前記(b)工程が、
(b)該タンパク質が該第1の化合物と接触する条件下における、該ドメインの配向情報を以下
(v)該ドメインの既知の原子座標を得て、
(vi)液晶物質存在下において、該タンパク質を該第1の化合物と接触させた場合に二次元TROSY NMRスペクトルを用いて得られる、分子の磁場中での配向角度に依存したNMRシグナルの軸方向の変化量を得て、
(vii)該ドメインの原子座標、および該NMRシグナルの軸方向の変化量から、該ドメインのSaupeオーダーマトリクスエレメントを決定し、そして
(viii)該決定されたマトリクスを対角化して、該ドメインの配向情報とする、ことにより得る工程である、項目25に記載の測定方法。
27.前記(b)工程が、
(b)前記タンパク質が前記第1の化合物を接触させる条件下において既に得られている原子座標から、前記ドメインの配向情報を得る工程;
である、項目25に記載の測定方法。
28.項目25に記載の測定方法であって、前記工程(c)において二次元TROSY NMRスペクトルを用いて得られる、分子の磁場中での配向角度に依存したNMRシグナルの軸方向の変化量が、15N軸方向の変化量である、方法。
29.項目28に記載の測定方法であって、ここで、前記(iii)Saupeオーダーマトリクスエレメントの決定が、以下:
前記ドメイン内のk番目の15N核スピン対について、
i番目の分子軸に対する、該ドメイン内のk番目のスピン対のN−H結合のベクトル角としてφk iを得て、
j番目の分子軸に対する、該ドメイン内のk番目のスピン対のN−H結合のベクトル角としてφk jを得て、
N−H結合の距離が1.02Åの場合、静的双極カップリングD0 nhを23.0kHzとするか、またはN−H結合の距離が1.04Åの場合、静的双極カップリングD0 nhを21.7kHzとして、
該タンパク質内の任意の残基の15N核の化学シフト異方性のテンソル値をδijとして決定し、そして
液晶物質存在下において該タンパク質と該化合物を接触させ、二次元TROSY NMRスペクトルを用いて、k番目の15N核スピン対について得られたΔδtrosy(k)とともに、以下の式(1):
Δδtrosy(k)=ΣSij{0.5 D0 nh cosφk i cosφk j+(2/3)δij} (1)
i,j=x,y,z
を用いて、磁場に対する分子配向を規定するSaupeオーダーマトリクスエレメントであるSijを決定すること
によって行われる、方法。
30.項目26に記載の測定方法であって、前記工程(b)において二次元TROSY NMRスペクトルを用いて得られる、分子の磁場中での配向角度に依存したNMRシグナルの軸方向の変化量が、15N軸方向の変化量である、方法。
31.項目30に記載の測定方法であって、ここで、前記(vii)Saupeオーダーマトリクスエレメントの決定が、以下:
前記ドメイン内のk番目の15N核スピン対について、
i番目の分子軸に対する、該ドメイン内のk番目のスピン対のN−H結合のベクトル角としてφk iを得て、
j番目の分子軸に対する、該ドメイン内のk番目のスピン対のN−H結合のベクトル角としてφk jを得て、
N−H結合の距離が1.02Åの場合、静的双極カップリングD0 nhを23.0kHzとするか、またはN−H結合の距離が1.04Åの場合、静的双極カップリングD0 nhを21.7kHzとして、
該タンパク質内の任意の残基の15N核の化学シフト異方性のテンソル値をδijとして決定し、そして
液晶物質存在下において該タンパク質と該第2の化合物を接触させ、二次元TROSY NMRスペクトルを用いて、k番目の15N核スピン対について得られたΔδtrosy(k)とともに、以下の式(1):
Δδtrosy(k)=ΣSij{0.5 D0 nh cosφk i cosφk j+(2/3)δij} (1)
i,j=x,y,z
を用いて、磁場に対する分子配向を規定するSaupeオーダーマトリクスエレメントであるSijを決定すること
によって行われる、方法。
32.項目29または31に記載の方法であって、ここで、前記工程(d)における配向情報の比較が、以下:
(ix)該第1の化合物と接触した場合の該タンパク質のドメインの配向情報から、配向テンソル軸の方向を3つのお互いに直交する第1の単位ベクトル
を用いて示し、
(x)該第2の化合物と接触させた場合の、該タンパク質のドメインの配向情報から、配向テンソル軸の方向を3つのお互いに直交する第2の単位ベクトル
を用いて示し、そして
(xi)第1の単位ベクトルの各々と第2の単位ベクトルの各々との間の角度を、a、b、およびcとして表し、該a、b、およびcを配向情報の比較のための指標とする、
ことによって行われる、方法。
33.項目29または31に記載の方法であって、ここで、前記工程(d)における配向情報の比較が、以下:
(ix)該第1の化合物と接触した場合の該タンパク質のドメインの配向情報から、配向テンソル軸の方向を3つのお互いに直交する第1の単位ベクトル
を用いて示し、
(x)該第2の化合物と接触させた場合の、該タンパク質のドメインの配向情報から、配向テンソル軸の方向を3つのお互いに直交する第2の単位ベクトル
を用いて示し、そして
(xi)第1の単位ベクトルの各々と第2の単位ベクトルの各々との間の角度を、a、b、およびcとして表し、そして
(xii)以下の式によって活性構造一致度を求め
活性構造一致度=a2+b2+c2、
該活性構造一致度を配向情報の比較のための指標とする、
ことによって行われる、方法。
34.項目25に記載の方法であって、さらに、前記第1および第2の化合物の少なくとも1つが前記タンパク質に結合した位置を特定する工程を包含する、方法。
35.項目34に記載の方法であって、前記第1および第2の化合物の少なくとも1つが前記タンパク質に結合した位置を特定する工程が、該化合物の非存在下における該タンパク質の二次元TROSY NMRスペクトルと、該化合物の存在下における該タンパク質の二次元TROSY NMRスペクトルを比較して、スペクトルの変化を検出し、そして、該スペクトルの変化を生じた、該タンパク質中のアミノ酸残基を同定すること、
によって行われる、方法。
36.項目25に記載の方法であって、前記液晶物質が、以下からなる群から選択される混合物を含む、方法:
ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)とジヘキサノイルホスファチジルコリン(DHPC)との混合物、
ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)とジヘキサノイルホスファチジルコリン(DHPC)とドデシル硫酸ナトリウム(SDS)との混合物、
ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)とジヘキサノイルホスファチジルコリン(DHPC)とセチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)との混合物、
1,2−ジ−O−ドデシル−sn−グリセロ−3−ホスフォコリン(DIODPC)と3−(コラミドプロピル)−ジメチルアンモニオ−2−ヒドロキシ−1−プロパンサルフェート(CHAPS)との混合物、
n−アルキル−ポリ(エチレングリコール)/n−アルキルアルコール混合物、
繊維状ファージ、
セチルピリジニウムクロライド(CPCl)−ヘキサノール−NaCl混合物、
セチルピリジニウムブロミド(CPBr)−ヘキサノール−NaCl混合物、
Halobacterium属の紫膜断片
微結晶セルロース、および
ポリアクリルアミドゲル。
37.前記液晶物質が、7.5%(w/v)のジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)とジヘキサノイルホスファチジルコリン(DHPC)とセチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)との混合物である、項目36に記載の方法。
38.タンパク質と化合物とを接触させた場合の、該タンパク質内の選択されたドメインの構造変化を数値化するプログラムであって、以下:
(a)該ドメインについて、該タンパク質が該化合物と接触しない条件下における、該ドメインの配向情報を得る手段;
(b)該タンパク質と該化合物を接触させる条件下における、該ドメインの配向情報を以下
(i)該ドメインの既知の原子座標のデータを得て、
(ii)液晶物質存在下において該タンパク質と該化合物を接触させ、二次元TROSY NMRスペクトルを用いて得られる、分子の磁場中での配向角度に依存したNMRシグナルの軸方向の変化量のデータを得て、
(iii)該ドメインの原子座標、および該NMRシグナルの軸方向の変化量から、該ドメインのSaupeオーダーマトリクスエレメントを決定し、そして
(iv)該決定されたマトリクスを対角化して、該ドメインの配向情報とする、
ことにより得る手段;および、
(c)手段(a)において得られた配向情報と、手段(b)において測定された配向情報との差異から、該タンパク質の構造変化を計算する手段、
とをコンピュータに実現させるための、プログラム。
39.前記(a)手段が、
(a)該タンパク質が該化合物と接触しない条件下における、該ドメインの配向情報を以下
(v)該ドメインの既知の原子座標を得て、
(vi)液晶物質存在下において、該タンパク質を該化合物と接触させずに、二次元TROSY NMRスペクトルを用いて得られる、分子の磁場中での配向角度に依存したNMRシグナルの軸方向の変化量を得て、
(vii)該ドメインの原子座標、および該NMRシグナルの軸方向の変化量から、該ドメインのSaupeオーダーマトリクスエレメントを決定し、そして
(viii)該決定されたマトリクスを対角化して、該ドメインの配向情報とする、ことにより得る手段である、項目38に記載のプログラム。
40.前記(a)手段が、
(a)前記タンパク質が前記化合物と接触しない条件下において既に得られている原子座標から、前記ドメインの配向情報を得る手段;
である、項目38に記載のプログラム。
41.項目38に記載のプログラムであって、前記工程(b)において二次元TROSY NMRスペクトルを用いて得られる分子の磁場中での配向角度に依存したNMRシグナルの軸方向の変化量が、15N軸方向の変化量である、プログラム。
42.項目41に記載のプログラムであって、ここで、前記(iii)Saupeオーダーマトリクスエレメントの決定が、以下:
前記ドメイン内のk番目の15N核スピン対について、
i番目の分子軸に対する、該ドメイン内のk番目のスピン対のN−H結合のベクトル角としてφk iを得て、
j番目の分子軸に対する、該ドメイン内のk番目のスピン対のN−H結合のベクトル角としてφk jを得て、
N−H結合の距離が1.02Åの場合、静的双極カップリングD0 nhを23.0kHzとするか、またはN−H結合の距離が1.04Åの場合、静的双極カップリングD0 nhを21.7kHzとして、
該タンパク質内の任意の残基の15N核の化学シフト異方性のテンソル値をδijとして決定し、そして
液晶物質存在下において該タンパク質と該化合物を接触させ、二次元TROSY NMRスペクトルを用いて、k番目の15N核スピン対について得られたΔδtrosy(k)とともに、以下の式(1):
Δδtrosy(k)=ΣSij{0.5 D0 nh cosφk i cosφk j+(2/3)δij} (1)
i,j=x,y,z
を用いて、磁場に対する分子配向を規定するSaupeオーダーマトリクスエレメントであるSijを決定すること
によって行われる、プログラム。
43.項目39に記載のプログラムであって、前記工程(a)において二次元TROSY NMRスペクトルを用いて得られる分子の磁場中での配向角度に依存したNMRシグナルの軸方向の変化量が、15N軸方向の変化量である、プログラム。
44.項目43に記載のプログラムであって、ここで、前記(vii)Saupeオーダーマトリクスエレメントの決定が、以下:
前記ドメイン内のk番目の15N核スピン対について、
i番目の分子軸に対する、該ドメイン内のk番目のスピン対のN−H結合のベクトル角としてφk iを得て、
j番目の分子軸に対する、該ドメイン内のk番目のスピン対のN−H結合のベクトル角としてφk jを得て、
N−H結合の距離が1.02Åの場合、静的双極カップリングD0 nhを23.0kHzとするか、またはN−H結合の距離が1.04Åの場合、静的双極カップリングD0 nhを21.7kHzとして、
該タンパク質内の任意の残基の15N核の化学シフト異方性のテンソル値をδijとして決定し、そして
液晶物質存在下において該タンパク質と該化合物を接触させることなく、二次元TROSY NMRスペクトルを用いて、k番目の15N核スピン対について得られたΔδtrosy(k)とともに、以下の式(1):
Δδtrosy(k)=ΣSij{0.5 D0 nh cosφk i cosφk j+(2/3)δij} (1)
i,j=x,y,z
を用いて、磁場に対する分子配向を規定するSaupeオーダーマトリクスエレメントであるSijを決定すること
によって行われる、プログラム。
45.項目42または44に記載のプログラムであって、ここで、前記タンパク質と前記化合物とが接触した場合の、該タンパク質の構造変化が、以下:
(ix)該化合物と接触させる前の該タンパク質のドメインの配向情報から、配向テンソル軸の方向を3つのお互いに直交する第1の単位ベクトル
を用いて示し、
(x)該化合物と接触させた後の該タンパク質のドメインの配向情報から、配向テンソル軸の方向を3つのお互いに直交する第2の単位ベクトル
を用いて示し、
(xi)第1の単位ベクトルの各々と第2の単位ベクトルの各々との間の角度を、a、b、およびcとして表し、そして
(xii)以下の式によって分子配向変化度を求める
分子配向変化度=a2+b2+c2、
ことによって分子配向変化度として数値化される、プログラム。
46.項目39に記載のプログラムであって、さらに、前記化合物が前記タンパク質に結合した位置を特定する手段を包含する、プログラム。
47.項目46に記載のプログラムであって、前記化合物が前記タンパク質に結合した位置を特定する手段が、前記工程(a)において得られた二次元TROSY NMRスペクトルと、前記工程(b)において得られた二次元TROSY NMRスペクトルとを比較して、スペクトルの変化を検出し、そして、該スペクトルの変化を生じた、該タンパク質中のアミノ酸残基を同定すること、によって行われる、プログラム。
48.接触の際に、タンパク質内のドメインの構造変化を生じる化合物を選択するプログラムであって、以下:
(a)該タンパク質が該化合物と接触しない条件下における、該ドメインの配向情報を得る手段;
(b)該タンパク質と該化合物を接触させる条件下における、該ドメインの配向情報を以下
(i)該ドメインの既知の原子座標を得て、
(ii)液晶物質存在下において該タンパク質と該化合物を接触させ、二次元TROSY NMRスペクトルを用いて得られる、分子の磁場中での配向角度に依存したNMRシグナルの軸方向の変化量を得て、
(iii)該ドメインの原子座標、および該NMRシグナルの軸方向の変化量から、該ドメインのSaupeオーダーマトリクスエレメントを決定し、そして
(iv)該決定されたマトリクスを対角化して、該ドメインの配向情報とする、
ことにより得る手段;
(c)手段(a)において得られた配向情報と、手段(b)において得られた配向情報との比較から、該化合物が該タンパク質と接触した際に該ドメインの構造変化を生じる化合物であるか否かを決定する手段、
を包含する、プログラム。
49.前記(a)手段が、
(a)該タンパク質が該化合物と接触しない条件下における、該ドメインの配向情報を以下
(v)該ドメインの既知の原子座標を得て、
(vi)液晶物質存在下において、該タンパク質を該化合物と接触させずに、二次元TROSY NMRスペクトルを用いて得られる、分子の磁場中での配向角度に依存したNMRシグナルの軸方向の変化量を得て、
(vii)該ドメインの原子座標、および該NMRシグナルの軸方向の変化量から、該ドメインのSaupeオーダーマトリクスエレメントを決定し、そして
(viii)該決定されたマトリクスを対角化して、該ドメインの配向情報とする、ことにより得る手段である、項目48に記載のプログラム。
50.前記(a)手段が、
(a)前記タンパク質が前記化合物と接触しない条件下において既に得られている原子座標から、前記ドメインの配向情報を得る手段;
である、項目48に記載のプログラム。
51.項目48に記載のプログラムであって、前記工程(b)において二次元TROSY NMRスペクトルを用いて得られる分子の磁場中での配向角度に依存したNMRシグナルの軸方向の変化量が、15N軸方向の変化量である、プログラム。
52.項目51に記載のプログラムであって、ここで、前記(iii)Saupeオーダーマトリクスエレメントの決定が、以下:
前記ドメイン内のk番目の15N核スピン対について、
i番目の分子軸に対する、該ドメイン内のk番目のスピン対のN−H結合のベクトル角としてφk iを得て、
j番目の分子軸に対する、該ドメイン内のk番目のスピン対のN−H結合のベクトル角としてφk jを得て、
N−H結合の距離が1.02Åの場合、静的双極カップリングD0 nhを23.0kHzとするか、またはN−H結合の距離が1.04Åの場合、静的双極カップリングD0 nhを21.7kHzとして、
該タンパク質内の任意の残基の15N核の化学シフト異方性のテンソル値をδijとして決定し、そして
液晶物質存在下において該タンパク質と該化合物を接触させ、二次元TROSY NMRスペクトルを用いて、k番目の15N核スピン対について得られたΔδtrosy(k)とともに、以下の式(1):
Δδtrosy(k)=ΣSij{0.5 D0 nh cosφk i cosφk j+(2/3)δij} (1)
i,j=x,y,z
を用いて、磁場に対する分子配向を規定するSaupeオーダーマトリクスエレメントであるSijを決定すること
によって行われる、プログラム。
53.項目52に記載のプログラムであって、前記工程(a)において二次元TROSY NMRスペクトルを用いて得られる、分子の磁場中での配向角度に依存したNMRシグナルの軸方向の変化量が、15N軸方向の変化量である、プログラム。
54.項目53に記載のプログラムであって、ここで、前記(vii)のSaupeオーダーマトリクスエレメントの決定が、以下:
前記ドメイン内のk番目の15N核スピン対について、
i番目の分子軸に対する、該ドメイン内のk番目のスピン対のN−H結合のベクトル角としてφk iを得て、
j番目の分子軸に対する、該ドメイン内のk番目のスピン対のN−H結合のベクトル角としてφk jを得て、
N−H結合の距離が1.02Åの場合、静的双極カップリングD0 nhを23.0kHzとするか、またはN−H結合の距離が1.04Åの場合、静的双極カップリングD0 nhを21.7kHzとして、
該タンパク質内の任意の残基の15N核の化学シフト異方性のテンソル値をδijとして決定し、そして
液晶物質存在下において該タンパク質と該化合物を接触させることなく、二次元TROSY NMRスペクトルを用いて、k番目の15N核スピン対について得られたΔδtrosy(k)とともに、以下の式(1):
Δδtrosy(k)=ΣSij{0.5 D0 nh cosφk i cosφk j+(2/3)δij} (1)
i,j=x,y,z
を用いて、磁場に対する分子配向を規定するSaupeオーダーマトリクスエレメントであるSijを決定すること
によって行われる、プログラム。
55.項目52または54に記載のプログラムであって、ここで、前記工程(c)における配向情報の比較が、以下:
(ix)該化合物と接触する前の該タンパク質のドメインの配向情報から、配向テンソル軸の方向を3つのお互いに直交する第1の単位ベクトル
を用いて示し、
(x)該化合物と接触した後の該タンパク質のドメインの配向情報から、配向テンソル軸の方向を3つのお互いに直交する第2の単位ベクトル
を用いて示し、
(xi)第1の単位ベクトルの各々と第2の単位ベクトルの各々との間の角度を、a、b、およびcとして表し、そして
(xii)以下の式によって分子配向変化度を求め、
分子配向変化度=a2+b2+c2、
該分子配向変化度を比較することによって行われる、プログラム。
56.項目48に記載のプログラムであって、さらに、前記化合物が前記タンパク質に結合した位置を特定する手段を包含する、プログラム。
57.項目56に記載のプログラムであって、前記化合物が前記タンパク質に結合した位置を特定する手段が、前記工程(a)において得られた二次元TROSY NMRスペクトルと、前記工程(b)において得られた二次元TROSY NMRスペクトルとを比較して、スペクトルの変化を検出し、そして、該スペクトルの変化を生じた、該タンパク質中のアミノ酸残基を同定すること、によって行われる、プログラム。
58.タンパク質と接触することによって、第1の化合物と該タンパク質とが接触した場合の該タンパク質内のドメインの構造変化と類似する該タンパク質内のドメインの構造変化を生じる、第2の化合物を選択するプログラムであって、以下:
(a)該タンパク質と該第1の化合物を接触させる条件下における、該ドメインの配向情報を得る手段;
(b)該タンパク質と該第2の化合物を接触させる条件下における、該ドメインの配向情報を以下
(i)該ドメインの既知の原子座標を得て、
(ii)液晶物質存在下において該タンパク質と該第2の化合物を接触させ、二次元TROSY NMRスペクトルを用いて得られる、分子の磁場中での配向角度に依存したNMRシグナルの軸方向の変化量を得て、
(iii)該ドメインの原子座標、および該NMRシグナルの軸方向の変化量から、該ドメインのSaupeオーダーマトリクスエレメントを決定し、そして
(iv)該決定されたマトリクスを対角化して、該ドメインの配向情報とする、
ことにより得る手段;
(c)手段(a)において得られた配向情報と、手段(b)において得られた配向情報とを比較する手段;および
(d)手段(c)における比較の結果から、該第2の化合物が該タンパク質と接触することによる該タンパク質の構造変化が、該第1の化合物が該タンパク質と接触することによる該タンパク質の構造変化と類似するか否かを決定する手段、
を包含する、プログラム。
59.前記(a)手段が、
(a)該タンパク質が該第1の化合物と接触する条件下における、該ドメインの配向情報を以下
(v)該ドメインの既知の原子座標を得て、
(vi)液晶物質存在下において、該タンパク質を該第1の化合物と接触させた場合に二次元TROSY NMRスペクトルを用いて得られる、分子の磁場中での配向角度に依存したNMRシグナルの軸方向の変化量を得て、
(vii)該ドメインの原子座標、および該NMRシグナルの軸方向の変化量から、該ドメインのSaupeオーダーマトリクスエレメントを決定し、そして
(viii)該決定されたマトリクスを対角化して、該ドメインの配向情報とする、ことにより得る手段である、項目25に記載のプログラム。
60.前記(a)手段が、
(a)前記タンパク質が前記第1の化合物を接触させる条件下において既に得られている原子座標から、前記ドメインの配向情報を得る手段;
である、項目58に記載のプログラム。
61.項目58に記載のプログラムであって、前記工程(b)において二次元TROSY NMRスペクトルを用いて得られる、分子の磁場中での配向角度に依存したNMRシグナルの軸方向の変化量が、15N軸方向の変化量である、プログラム。
62.項目61に記載のプログラムであって、ここで、前記(iii)Saupeオーダーマトリクスエレメントの決定が、以下:
前記ドメイン内のk番目の15N核スピン対について、
i番目の分子軸に対する、該ドメイン内のk番目のスピン対のN−H結合のベクトル角としてφk iを得て、
j番目の分子軸に対する、該ドメイン内のk番目のスピン対のN−H結合のベクトル角としてφk jを得て、
N−H結合の距離が1.02Åの場合、静的双極カップリングD0 nhを23.0kHzとするか、またはN−H結合の距離が1.04Åの場合、静的双極カップリングD0 nhを21.7kHzとして、
該タンパク質内の任意の残基の15N核の化学シフト異方性のテンソル値をδijとして決定し、そして
液晶物質存在下において該タンパク質と該化合物を接触させ、二次元TROSY NMRスペクトルを用いて、k番目の15N核スピン対について得られたΔδtrosy(k)とともに、以下の式(1):
Δδtrosy(k)=ΣSij{0.5 D0 nh cosφk i cosφk j+(2/3)δij} (1)
i,j=x,y,z
を用いて、磁場に対する分子配向を規定するSaupeオーダーマトリクスエレメントであるSijを決定すること
によって行われる、プログラム。
63.項目59に記載のプログラムであって、前記工程(a)において二次元TROSY NMRスペクトルを用いて得られる、分子の磁場中での配向角度に依存したNMRシグナルの軸方向の変化量が、15N軸方向の変化量である、プログラム。
64.項目63に記載のプログラムであって、ここで、前記(vii)Saupeオーダーマトリクスエレメントの決定が、以下:
前記ドメイン内のk番目の15N核スピン対について、
i番目の分子軸に対する、該ドメイン内のk番目のスピン対のN−H結合のベクトル角としてφk iを得て、
j番目の分子軸に対する、該ドメイン内のk番目のスピン対のN−H結合のベクトル角としてφk jを得て、
N−H結合の距離が1.02Åの場合、静的双極カップリングD0 nhを23.0kHzとするか、またはN−H結合の距離が1.04Åの場合、静的双極カップリングD0 nhを21.7kHzとして、
該タンパク質内の任意の残基の15N核の化学シフト異方性のテンソル値をδijとして決定し、そして
液晶物質存在下において該タンパク質と該第2の化合物を接触させ、二次元TROSY NMRスペクトルを用いて、k番目の15N核スピン対について得られたΔδtrosy(k)とともに、以下の式(1):
Δδtrosy(k)=ΣSij{0.5 D0 nh cosφk i cosφk j+(2/3)δij} (1)
i,j=x,y,z
を用いて、磁場に対する分子配向を規定するSaupeオーダーマトリクスエレメントであるSijを決定すること
によって行われる、プログラム。
65.項目62または64に記載のプログラムであって、ここで、前記工程(c)における配向情報の比較が、以下:
(ix)該第1の化合物と接触した場合の該タンパク質のドメインの配向情報から、配向テンソル軸の方向を3つのお互いに直交する第1の単位ベクトル
を用いて示し、
(x)該第2の化合物と接触させた場合の、該タンパク質のドメインの配向情報から、配向テンソル軸の方向を3つのお互いに直交する第2の単位ベクトル
を用いて示し、そして
(xi)第1の単位ベクトルの各々と第2の単位ベクトルの各々との間の角度を、a、b、およびcとして表し、該a、b、およびcを配向情報の比較のための指標とする、
ことによって行われる、プログラム。
66.項目62または64に記載のプログラムであって、ここで、前記工程(c)における配向情報の比較が、以下:
(ix)該第1の化合物と接触した場合の該タンパク質のドメインの配向情報から、配向テンソル軸の方向を3つのお互いに直交する第1の単位ベクトル
を用いて示し、
(x)該第2の化合物と接触させた場合の、該タンパク質のドメインの配向情報から、配向テンソル軸の方向を3つのお互いに直交する第2の単位ベクトル
を用いて示し、そして
(xi)第1の単位ベクトルの各々と第2の単位ベクトルの各々との間の角度を、a、b、およびcとして表し、そして
(xii)以下の式によって活性構造一致度を求め
活性構造一致度=a2+b2+c2、
該活性構造一致度を配向情報の比較のための指標とする、
ことによって行われる、プログラム。
67.項目58に記載のプログラムであって、さらに、前記第1および第2の化合物の少なくとも1つが前記タンパク質に結合した位置を特定する手段を包含する、プログラム。68.項目67に記載のプログラムであって、前記第1および第2の化合物の少なくとも1つが前記タンパク質に結合した位置を特定する手段が、該化合物の非存在下における該タンパク質の二次元TROSY NMRスペクトルと、該化合物の存在下における該タンパク質の二次元TROSY NMRスペクトルとを比較して、スペクトルの変化を検出し、そして該スペクトルの変化を生じた、該タンパク質中のアミノ酸残基を同定すること、によって行われる、プログラム。
以下に本明細書において特に使用される用語の定義を列挙する。
さらに欠損変異やアミノ酸置換などを導入した変異受容体をコードする遺伝子を動物細胞などに一過性発現させ、その機能に必須の領域を決定することも、当業者は容易になし得る。
ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)とジヘキサノイルホスファチジルコリン(DHPC)とドデシル硫酸ナトリウム(SDS)との混合物、
ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)とジヘキサノイルホスファチジルコリン(DHPC)とセチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)との混合物、
1,2−ジ−O−ドデシル−sn−グリセロ−3−ホスフォコリン(DIODPC)と3−(コラミドプロピル)−ジメチルアンモニオ−2−ヒドロキシ−1−プロパンサルフェート(CHAPS)との混合物、
n−アルキル−ポリ(エチレングリコール)/n−アルキルアルコール混合物、
繊維状ファージ、
セチルピリジニウムクロライド(CPCl)−ヘキサノール−NaCl混合物、
セチルピリジニウムブロミド(CPBr)−ヘキサノール−NaCl混合物、
Halobacterium属の紫膜断片
微結晶セルロース、および
ポリアクリルアミドゲル。
が挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書において用いられるNMRによる高次構造解析に用いられるタンパク質試料は、通常、生合成により安定同位体標識することによって構造解析される。一般には、まず遺伝子操作した大腸菌等によって標的タンパク質の発現系を確立し、安定同位体標識した炭素源や窒素源(すべての炭素を13Cラベルしたグルコース、窒素を15Nラベルした塩化アンモニウムなど)を加えた培地で発現させることにより、すべての炭素および窒素を安定同位体標識したタンパク質を得ることができる。得られた標識タンパク質は、クロマトグラフィーなどで精製した後、限外濾過などで濃縮することによってNMR測定に供することができる。この際、以下のような条件に留意することが望ましい。
作動薬のリード化合物の同定の1形態を以下に説明する。タンパク質は図1に楕円で示すようにドメインと呼ばれる部分構造体がつながって形作られる。多くのタンパク質は、機能発現の際にこのドメイン間の相対的配置が変化して、機能を発現するのに最適な構造をとる。活性構造への誘導は、通常は低分子化合物のタンパク質への結合により行なわれる。阻害剤は、タンパク質へは結合するが活性構造へは誘導せず不活性な構造を維持するように作用する。一方、タンパク質を活性化する化合物の場合は、タンパク質に結合することにより機能発現に最適な立体構造変化を誘導する。化合物結合により誘導されるタンパク質構造が活性構造かどうかは、天然の基質が結合したことにより誘導される立体構造を雛形として判断することができる。本発明は、タンパク質のドメイン間の相対配向を定量的に決定するNMR解析技術を提供することで、TROSYスペクトル変化という簡便に観測可能な実験値からタンパク質が活性構造にあるかどうかを判定することを可能とする。この技術を利用することで、図1にイメージとして描いているようなドメイン間の相対配向変化を基にして選択的に作動薬のリード化合物を同定することができる。
NMRスペクトルを用いて、タンパク質の分子配向の決定に必要な計算を、例えば、以下の様に行うことが可能であるが、これに限定されない。
残余双極子効果Dnhはタンパク質中の主鎖にある各NH結合スペクトルのi番目(i=x、y、z)の分子座標軸に対する角度φiと分子の外部磁場に対する分子の配向を規定するSaupeオーダーマトリクス、S(Sijは、分子配向マトリクスの要素を表す。i,j=x,y,z)により次の関係により表現される。D0 nhは1H−15N間の双極子間相互作用の強度を示す。
i,j=x,y,z
一方15N核周りの電子分布の異方性のために生じる、分子の外部磁場に対する配向依存的な15N核の外部磁場に対する磁気遮蔽度の違いに由来する15N化学シフトの変化Δδ15Nは、各ペプチド結合に固有な化学シフト異方性テンソルを分子座標軸上で表現した要素σiji,j=x,y,zと分子配向を規定するSaupeオーダーマトリクスを用いて次の式で表現できる。
i,j=x,y,z
式(1)−(3)の関係から、分子の磁場中での配向角度に依存したTROSYシグナル15N軸方向での変化量Δδtrosyは、次の式で表現できる。
i,j=x,y,z
スペクトル上で観測される複数のシグナルkについて得られる式(4)の関係を用い、特異値分解法(Singular Value Decomposition)により実験値Δδtrosyと、標的タンパク質のドメイン構造内の原子座標から計算される値{(1/2)D0 nhcosφicosφj+(2/3)δij}から、分子配向を決定するために必要なSaupeオーダーマトリクスの全ての要素Sijを決定することができる。この場合、少なくとも5以上、好ましくは少なくとも6以上、より好ましくは少なくとも7以上、少なくとも8以上、少なくとも9以上、または少なくとも10以上のシグナルkについて得られる式(4)の関係を用いる。また、全てのシグナルkについて式(4)の関係を用いることも可能である。Saupeオーダーマトリクスを対角化することで、標的タンパク質または標的タンパク質内のドメイン構造の静磁場に対する配向情報を得ることができる。ここで、得られる物理量は、分子座標軸で表現される分子配向テンソル量として与えられる。この分子配向テンソル量は分子配向強度(配向テンソルという3次元直行座標系で表現される各軸方向の大きさであり、どの程度その軸に分子が配向しているか(存在確率に相当する)を表現する量である)と、分子の配向状態を記述する新たな座標軸(Z軸を静磁場方向となる)の分子座標に対するオイラー角(a、b、c)で表現する。なお、上記の式は、15Nを用いて例示的に示しているが、必ずしも15Nを用いる必要はなく、その他の安定同位体(例えば、13Cなど)を用いることもできる。
タンパク質構造は、x、y、z軸上の原子の位置によって表現される。タンパク質が磁場に対して配向する場合には、配向状態にあるタンパク質を表現する座標軸(Dxx,Dyy,Dzz)がもとの座上軸からどの程度傾いているかで表現する。そのために、図に示すような3つの角度、α、β、γ、が定義される。これをオイラー角と呼ぶ。磁場の配向方向はDzz軸に一致すると仮定して表現される(図2)。
(i)化合物と結合・接触前のタンパク質ドメインの第1の配向情報から、配向テンソル軸の方向を3つのお互いに直交する第1の単位ベクトル
を用いて示し、
(ii)化合物と結合・接触後のタンパク質の第2のドメインの配向情報から、配向テンソル軸の方向を3つのお互いに直交する第2の単位ベクトル
を用いて示し、
(iii)第1の単位ベクトルの各々と第2の単位ベクトルの各々との間の角度を、a、b、およびcとして表し、この角度をドメイン構造変化を表す指標とするか、または、以下の式
分子配向変化度=a2+b2+c2、
によって分子配向変化度を求め、この分子配向変化度を構造変化の比較のための指標とする。例えば、この角度a、b、およびcが小さい場合、またはDOSが小さい場合、化合物の結合・接触によって誘導されたタンパク質の構造変化が、化合物が存在しない場合と大きく違わないことを示す。また、この角度a、b、およびcが大きい場合、またはDOSが大きい場合、化合物の結合・接触によって誘導されたタンパク質の構造変化が、化合物が存在しない場合と大きく異なることを示す。
として、化合物と結合・接触した後の第2の単位ベクトルとを用いて、これら2つの単位ベクトルの各々の間の角度を、a、b、およびcとして表し、この角度をドメイン構造変化を表す指標とするか、または、活性構造一致度(degree of orientational similarity to the active conformation;DOS)を以下の式
活性構造一致度=a2+b2+c2、
によって求め、この分子配向変化度を構造変化の比較のための指標とする。例えば、この角度a、b、およびcが小さい場合、またはDOSが小さい場合、化合物の結合・接触によって誘導されたタンパク質の構造変化が、リガンドによって誘導されたタンパク質の構造変化に近い、すなわち構造変化が類似することを示す指標となる。
(a)タンパク質内のドメインを選択する工程;
(b)タンパク質と該第1の化合物を接触させる条件下における、ドメインの配向情報を得る工程;
(c)タンパク質と第2の化合物を接触させる条件下における、ドメインの配向情報を以下
(i)ドメインの既知の原子座標を得て、
(ii)液晶物質存在下において該タンパク質と該第2の化合物を接触させ、二次元TROSY NMRスペクトルを用いて得られる、分子の磁場中での配向角度に依存したNMRシグナルの軸方向の変化量を得て、
(iii)ドメインの原子座標、およびNMRシグナルの軸方向の変化量から、該ドメインのSaupeオーダーマトリクスエレメントを決定し、そして
(iv)決定されたマトリクスを対角化して、ドメインの配向情報とする、
ことにより得る工程;および
(d)工程(b)において得られた配向情報と、工程(c)において測定された配向情報について、DOSを比較する工程;
によって行なわれる。
タンパク質のドメイン間構造と機能について、米国Yale大学のM.Gresteinのグループがタンパク質の構造変化の様式をMolMovDBというデータベースにまとめている(MolMovDB、http://MolMovDB.org)。
上記記載の方法によってタンパク質の原子座標を入手した場合、その原子座標から、タンパク質のドメインの配向情報を得ることが可能である。例えば、残余双極子効果Dnhはタンパク質中の主鎖にある各NH結合スペクトルのi番目(i=x、y、z)の分子座標軸に対する角度φiと分子の外部磁場に対する分子の配向を規定するSaupeオーダーマトリクス、S(Sijは、分子配向マトリクスの要素を表す。i,j=x,y,z)により次の関係により表現される。
i,j=x,y,z
そのため、タンパク質のドメインの原子座標より計算されるcosφk icosφk jと、1H−15N核スピン間の残余双極子効果Dnhと、1H−15N間の双極子間相互作用の強度D0 nhとを用いることによって、分子配向を決定するために必要なSaupeオーダーマトリクスの全ての要素Sijを決定することができる。
化合物が、タンパク質に結合した場合に、そのタンパク質上の結合位置を、例えば、以下のようにして決定することが可能である。
・化合物の非存在下におけるタンパク質の二次元TROSY NMRスペクトルを得る、・化合物をタンパク質と接触させて、タンパク質の二次元TROSY NMRスペクトルを得ること、
・上記のにおいて得られた各々の二次元TROSY NMRスペクトルを比較して、スペクトルの変化を検出すること、
・スペクトルの変化を生じた原子がどのアミノ酸残基の原子であるのかを、二次元NMRの帰属から決定することにより、その化合物が結合したタンパク質の部位周辺のアミノ酸残基(好ましくは複数のアミノ酸残基)を特定すること、
・必要であれば、その化合物の立体構造と、上記において特定されたアミノ酸残基周辺のタンパク質の立体構造とを比較し、その化合物がタンパク質上の結合部位に結合した際の立体構造を推定すること、
によって行なわれる。
本発明の1つの局面に従って、例えば、以下の工程を行って、タンパク質内ドメインの構造変化を測定し、および/または構造変化(好ましくは、所望の構造変化)を生じる化合物を選択することが可能である。
(b)該タンパク質が該化合物と接触しない条件下における、該ドメインの配向情報を得る工程;
(c)該タンパク質と該化合物を接触させる条件下における、該ドメインの配向情報を以下
(i)該ドメインの既知の原子座標を得て、
(ii)液晶物質存在下において該タンパク質と該化合物を接触させ、二次元TROSY NMRスペクトルを用いて得られる、分子の磁場中での配向角度に依存したNMRシグナルの軸方向の変化量を得て、
(iii)該ドメインの原子座標、および該NMRシグナルの軸方向の変化量から、該ドメインのSaupeオーダーマトリクスエレメントを決定し、そして
(iv)該決定されたマトリクスを対角化して、該ドメインの配向情報とする、
ことにより得る工程;および、
(d)工程(b)において得られた配向情報と、工程(c)において得られた配向情報との差異から、該タンパク質の構造変化を測定する工程。
(b)該タンパク質が該化合物と接触しない条件下における、該ドメインの配向情報を以下
(v)該ドメインの既知の原子座標を得て、
(vi)液晶物質存在下において、該タンパク質を該化合物と接触させずに、二次元TROSY NMRスペクトルを用いて得られる、分子の磁場中での配向角度に依存したNMRシグナルの軸方向の変化量を得て、
(vii)該ドメインの原子座標、および該NMRシグナルの軸方向の変化量から、該ドメインのSaupeオーダーマトリクスエレメントを決定し、そして
(viii)該決定されたマトリクスを対角化して、該ドメインの配向情報とする、ことにより得る工程であっても、または
(b)前記タンパク質が前記化合物と接触しない条件下において既に得られている原子座標から、前記ドメインの配向情報を得る工程;
であってもよい。上記複数のSaupeオーダーマトリクスエレメントを決定するためのTROSYスペクトルは、同時にまたは別に測定され得る。
前記ドメイン内のk番目の15N核スピン対について、
i番目の分子軸に対する、該ドメイン内のk番目のスピン対のN−H結合のベクトル角としてφk iを得て、
j番目の分子軸に対する、該ドメイン内のk番目のスピン対のN−H結合のベクトル角としてφk jを得て、
N−H結合の距離が1.02Åの場合、静的双極カップリングD0 nhを23.0kHzとするか、またはN−H結合の距離が1.04Åの場合、静的双極カップリングD0 nhを21.7kHzとして、
該タンパク質内の任意の残基の15N核の化学シフト異方性のテンソル値をδijとして決定し、そして
液晶物質存在下において該タンパク質と該化合物を接触させ、二次元TROSY NMRスペクトルを用いて、k番目の15N核スピン対について得られたΔδtrosy(k)とともに、以下の式(1):
Δδtrosy(k)=ΣSij{0.5 D0 nh cosφk i cosφk j +(2/3)δij} (1)
i,j=x,y,z
を用いて、磁場に対する分子配向を規定するSaupeオーダーマトリクスエレメントであるSijを決定することによって行われる。15N以外の安定同位体の核種を用いる場合
は、その核種の核スピン対について上記計算を行ってもよい。その場合、N−H結合の距離に対応する別の異種核間結合の距離および静的双極カップリングが公知であることから、その公知の値を上記計算式において用いることができる。
・ドメインの構造変化をもたらすことが公知のリガンドまたはアゴニストが標的タンパク質に結合する条件下で、標的タンパク質内ドメインの配向情報(A)を得る;
・スクリーニングの候補化合物が標的タンパク質に結合する条件下で、標的タンパク質内ドメインの配向情報(B)を得る;
・これら配向情報(A)および(B)を比較して、これら配向情報が同一であるか、または類似するかを決定する;
・これら配向情報が同一または類似である場合、候補化合物は、標的タンパク質の活性誘導を行う作動薬と同様の構造変化を標的タンパク質にもたらす化合物であることが判明する。従って、このようにして選択された候補化合物は、有用な作動薬リード化合物である。
ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)とジヘキサノイルホスファチジルコリン(DHPC)との混合物、
ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)とジヘキサノイルホスファチジルコリン(DHPC)とドデシル硫酸ナトリウム(SDS)との混合物、
ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)とジヘキサノイルホスファチジルコリン(DHPC)とセチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)との混合物、
1,2−ジ−O−ドデシル−sn−グリセロ−3−ホスフォコリン(DIODPC)と3−(コラミドプロピル)−ジメチルアンモニオ−2−ヒドロキシ−1−プロパンサルフェート(CHAPS)との混合物、
n−アルキル−ポリ(エチレングリコール)/n−アルキルアルコール混合物、
繊維状ファージ、
セチルピリジニウムクロライド(CPCl)−ヘキサノール−NaCl混合物、
セチルピリジニウムブロミド(CPBr)−ヘキサノール−NaCl混合物、
Halobacterium属の紫膜断片
微結晶セルロース、および
ポリアクリルアミドゲル(例えば、アクリルアミド/アクリレートゲル)、
ならびに上記混合物の少なくとも2つを混合した混合物。
液晶物質によるタンパク質の配向は、例えば、以下の方法により行われる。
好ましくは6.8−8.0のpH、より好ましくは、6.5のpHで、DMPCとDHPCとを、好ましくは2.5−3.0の混合比、より好ましくは3.0の混合比で混合する。この混合物を、好ましくは5−20%(w/v)、より好ましくは7.5%(w/v)の濃度で使用し、好ましくは25−40℃、より好ましくは、30℃で分子配向を行う。(M.Ottinger and A.Bax、J.Biomol.NMR 12、361(1998))
(2.ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)とジヘキサノイルホスファチジルコリン(DHPC)とドデシル硫酸ナトリウム(SDS)との混合物を用いる、タンパク質の弱い配向化)
上記1のDMPC/DHPC溶液に対して、例えば、SDSのような界面活性剤を添加して、リン脂質膜表面を負に帯電させ、負の表面電荷を持つタンパク質のリン脂質への不必要な吸着を防ぐ。SDSを添加した場合でも、pHを、好ましくは6.0−8.0、より好ましくは、pHを6.5として、好ましくは5−20%(w/v)の濃度で、より好ましくは、7.5%(w/v)で、タンパク質試料溶液と混合し、好ましくは20−35℃、より好ましくは30℃で分子配向を行う。この場合、DMPCとDHPCとを、好ましくは2.5−3.0の混合比、より好ましくは3.0の混合比で混合する。SDSは、DMPCに対して、好ましくは1−3%添加する。(J.A.Losonczi and J.H.Prestigard、J.Biomol.NMR 12、447(1998))
(3.ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)とジヘキサノイルホスファチジルコリン(DHPC)とセチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)との混合物を用いる、タンパク質の弱い配向化)
上記1のDMPC/DHPC溶液に対して、正の表面電荷を有するタンパク質のリン脂質への不要な吸着を避けるためには、例えば、CTABのような界面活性剤を添加する。CTABを添加した場合でも、pHを好ましくは6.0−8.0、より好ましくはpHを6.5として、好ましくは5−20%(w/v)の濃度で、より好ましくは7.5%(w/v)で、タンパク質試料溶液と混合し、好ましくは20−35℃、より好ましくは30℃で分子配向を行う。この場合、DMPCとDHPCとを、2.5−3.0の混合比、好ましくは3.0の混合比で混合する。CTABは、DMPCに対して、1−3%添加する。(J.A.Losonczi and J.H.Prestigard、J.Biomol.NMR 12、447(1998))
(4.1,2−ジ−O−ドデシル−sn−グリセロ−3−ホスフォコリン(DIODPC)と3−(コラミドプロピル)−ジメチルアンモニオ−2−ヒドロキシ−1−プロパンサルフェート(CHAPS)との混合物を用いる、タンパク質の弱い配向化)
DIODPC/CHAPSOの割合は、4.8が最適であるがこれに限定されない。試料中の最適なリン脂質膜濃度は、5%(w/v)であるがこれに限定されない。試料溶液のpHは、好ましくは1.0−6.5の範囲である。分子配向は、好ましくは10−60℃の範囲である(S.Cavagneroら、J.Biomol.NMR13、387(1999))。
上記のアルコール混合物を、限定されることはないが、溶液に5%(w/v)添加することにより、好ましくは0−40℃の範囲で分子配向を誘導できる。アルコールの種類としては、n−ヘキサノールまたはn−オクタノールを用いる。n−アルキル−ポリ(エチレングリコール)/n−アルキルアルコールの割合は、好ましくは0.6−0.9の範囲である。pHは、任意のpHが使用可能である。(M.Ruckert and G.Otting、J.Am.Chem.Soc.122、7793(2000))
(6.繊維状ファージを用いる、タンパク質の弱い配向化)
pf1またはタバコモザイクウイルス(TMV)のような繊維状の形態を有するファージを試料溶液中に共存させることによって、磁場中での分子配向を実現できる。試料溶液中でのファージ濃度は、好ましくは10−50mg/mlの範囲で用いられる。より好ましくは25mg/mlの濃度である。pHは好ましくは6以下である。任意の温度が使用可能であるが、より好ましくは20−40℃の範囲で使用される。(Hansenら、Nat.Struct.Biol.5、1065(1998);Cloreら、J.Am.Chem.Soc.120、10571(1998))
(7.セチルピリジニウムクロライド(CPCl)−ヘキサノール−NaCl混合物、またはセチルピリジニウムブロミド(CPBr)−ヘキサノール−NaCl混合物を用いる、タンパク質の弱い配向化)
CPBr:ヘキサノール=1:1.33(w/w)〜1:1(w/w)を用いる。NaBrの濃度は、好ましくは25−40mMであり、NaClの濃度は、好ましくは200−500mMである。この液晶物質を使用する際の濃度は、好ましくは1−10%(w/v)であり、好ましくは15−50℃の範囲の温度で分子配向する。
Halobacterium属の紫膜断片、好ましくは、Halobacterium salinariumの紫膜断片を、1−10mg/mlの濃度で用いる。任意の溶液温度、および任意のpHが利用可能である。溶液中のNaCl濃度は、好ましくは50mM以下である。(Prosserら、J.Am.Chem.Soc.120、11010(1988))
(9.微結晶セルロースを用いる、タンパク質の弱い配向化)
好ましくは、80mg/mlの溶液を調製し、タンパク質を導入することによって、分子配向が可能である。任意のpH、温度が利用可能である。溶液のイオン濃度が上昇すると、分子配向を実現するために必要となる試料溶液に添加する。(Flemingら、J.Am.Chem.Soc.122、5224(2000))
(10.ポリアクリルアミドゲルを用いる、タンパク質の弱い配向化)
NMR試料管内に、縦方向、または横方向に圧縮したポリアクリルアミドゲル中に、タンパク質溶液を注入して、タンパク質を機械的に分子配向させる。任意のpH、イオン強度、測定温度が使用可能である。(Saasら、J.Biomol.NMR 18、303(2000);Tyckoら、J.Am.Chem.Soc.122、9340(2000))
(11.アクリルアミド/アクリレートゲルを用いる、タンパク質の配向化)
ポリアクリルアミドゲルの一例として、50%アクリルアミド/50%アクリレートゲルを2.5倍に伸長させることによって作製した配向ゲルを用いることができる。アクリルアミド/アクリレートを用いてゲルを生成する際に、標識したタンパク質を添加することによって、ゲル中でタンパク質を配向させることができる。
0.5mM ユビキチン(8.6kDa)を20mM リン酸ナトリウム緩衝液(pH6.4)に溶かして7.5%(w/v)のDMPC/DHPC/CTABを共存させた溶液を30℃で分子配向状態を作り、以下の手順で実験を行なった。
(NMR分光法)
本分析で使用された全てのスペクトルを、セチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)をドープされた、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)とジヘキサノイルホスファチジルコリン(DHPC)とのバイセル(bicelle)混合物が、2H NMRスペクトルにおいて、10Hzの残余四重極分裂を与えるように配列される条件下で、30℃で記録した。データ収集を、1H周波数が499.84MHzで作動するVarian INOVA500分光器上で実施した。マジック角度実験について、本発明者らは、15Nに対して調整されたXを備える1H検出コイルVarian gHX NanoProbeを使用した。サンプル回転速度を、2.6kHzに設定し、磁界に対してバイセルを配列したことに関するトルクを除去した(Courtieu, J.; Bayles, J. P.; Fung, B. M. Prog. NMR spectrosc. 1994,26, 141-169.、Kurita, J.; Shimahara, H.; Utsunomiya-Tate, N.; Tate, S. J. MagnReson. 2003, 163,163-173.)。1H−15N双極子カップリングを、1H−15N IRAP−HSQCスペクトルにおいて測定した(Ottiger,M.; Delaglio, F.; Bax, A. J. Magn Reson. 1998, 131, 373-378.)。1H−15N TROSYスペクトル(Pervushin,K.; Riek, R.; Wider, G.; Wuthrich, K. Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A 1997, 94,12366-12371.、Weigelt, J. J. Am. Chem. Soc. 1998, 120, 10778-10779.)を、7.5%(重量/体積)のDMPC:DHPC:CTABバイセルを含有する、50mMのリン酸ナトリウム(pH6.4)および2mM EDTA中に溶解された0.5mM 15N標識ユビキチンを含む同一の溶液をサンプル溶液を使用して、マジック角度サンプル回転法を用いずに、およびそれを用いて、それぞれ等方的状態および異方的状態において収集した。
配列誘導性TROSYシフト変化およびその誤差評価に由来する整列テンソルの決定を、公開されたサブルーチンを組込んだ、組織内で書かれたC−プログラムによって実施した(Press, W. H.; Teukolsky, S. A.; Vetterling, W. T.; Flannery, B. P.Numerical recipes in C 2nd ed.; Cambridge university press: New York, 1992.)。配列テンソルを、実験データから計算し、そしてプログラムMOLMOL(Koradi,R.; Billeter, M.; Wuthrich, K. J. Mol. Graph. 1996, 14, 51-55.)によって付加された水素原子を有する1.8ÅのX線座標(PDB登録コード、1UBQ)(Vijay-Kumar,S.; Bugg, C. E.; Cook, W. J. J. Mol. Biol. 1987, 194, 531-544.)から生成された参照構造から計算した。TROSYシフトの実験不確定性の効果を、生成されたデータセットに対して、特異値分解(SVD)計算(Losonczi,J. A.; Andrec, M.; Fischer, M. W.; Prestegard, J. H. J. Magn. Reson. 1999, 138,334-342.)を繰り返すことによって評価した。このデータセットは、ガウス雑音を実験データに付加することによって生成された。ガウス雑音を、相対的確率(−exp(x2/2δ2))で分布すると仮定した。ここで、xは、実験値であり、δは、TROSYシフトの連続的な実験の間で対rms偏位から見積もられたrmsノイズである。
上記の結果を得た実験においては、それぞれ、異方性の状態、および整列された状態において収集されたデータを得るために、MASを適用せずに、またはMASを適用して、実験を行なった。MAS(マジック角試料回転)とは、magic angle sample spinningの略である。MASを適用してNMR測定を行うと、液晶物質共存下であっても、物理的に分子配向を消すことが可能である。そのため、液晶物質共存下であっても、液晶物質非共存下の場合と同じデータを得ることができる。
Δδtrosy値=δ15Ntrosy(MAS非適用)−δ15Ntrosy(MAS適用)
として求めた。
i番目の分子軸に対する、ドメイン内のk番目のスピン対のN−H結合のベクトル角としてφk iを得て、
j番目の分子軸に対する、ドメイン内のk番目のスピン対のN−H結合のベクトル角としてφk jを得て、
N−H結合の距離が1.02Åの場合、静的双極カップリングD0 nhを23.0kHzとするか、またはN−H結合の距離が1.04Åの場合、静的双極カップリングD0 nhを21.7kHzとして、
タンパク質内の任意の残基の15N核の化学シフト異方性のテンソル値をδijとして決定し、そして
液晶物質存在下において該タンパク質と該化合物を接触させることなく、二次元NMRスペクトルを用いて、k番目の15N核スピン対について得られたΔδtrosy(k)とともに、以下の式(1):
Δδtrosy(k)=ΣSij{0.5 D0 nhcosφk icosφk j+(2/3)δij} (6)
i,j=x,y,z
を用いて、磁場に対する分子配向を規定するSaupeオーダーマトリクスエレメントであるSijを決定した。
Dnh=1Jnh(aniso)−1Jnh(iso)
として、各1H−15N核スピン間の残余双極子効果Dnhを求めることにより行なった。
この結果から、TROSYシグナル変化に基づいて決定される分子配向角度情報は、従来の分子配向決定技術と整合性のある結果を与えることが確認された。すなわち高分子量タンパク質を対象として、化合物との結合により誘導される標的タンパク質の構造変化を定量的にTROSYシグナル変化だけから観測することが可能であると示された。
従来のNMRでは測定することができなかった30kDaを超える分子量を有するタンパク質の配向情報を、本発明を用いて以下のように得て、構造変化を測定した。
TROSY測定のデータ解析には、主鎖の帰属データが必要であるので、2H/13C/15Nで三重標識したPBCV1−CEを用いて約50%の主鎖の帰属を行った。
(TROSY測定条件)
2H/15N標識した0.5mMのPBCV1−CE(200mM リン酸カリウム,pH7.6中)を6%(w/w)の約2.5倍に伸張させた50%アクリルアミド/50%アクリレートゲル(配向ゲル)(図3)に入れることで、PBCV1−CEを磁場に対して配向させた。サンプル溶液には、活性阻害剤であるピロリン酸を5mM入れた。TROSY測定を20℃で行った(図4)。分子配向依存的なTROSYシフト変化を、配向ゲル中のPBCV1−CEのTROSYシグナルの、通常溶液の状態のTROSYシグナルからの15N軸側のずれとして観測した。十分なシグナルの分離を示す51残基分(N末端ドメイン、23残基、C末端ドメイン、28残基)のTROSYシフト変化に基づいて、各ドメインの配向テンソルを測定した。
得られたドメイン相対方向の結果の精度を確認するために、結晶構造中で見つかっているPBCV1−CEの2つの異なるドメイン配向を持つ構造(オープン型およびクローズ型)をもとにして解析を行った。なお、クローズ型の結晶構造を基にした解析では、部分的なドメイン内構造変化の影響を除くためにN末端ドメインの2残基分のデータを解析からはずした。
(分子配向解析)
本発明の方法に従って、オープン型構造のデータを用いて、ドメイン間分子配向解析を行った。Δδtrosy値を得て、実施例2と同様にSaupeオーダーマトリクスエレメントの決定を行い、ヌクレオチド非存在下でのオイラー角α、β、およびγを決定した。
PBCV1−CEは立体構造中明確なドメイン構造を持つ。アミノ酸残基番号で15−222からなるドメイン(ラージドメイン)と同じく239−311からなるドメイン(スモールドメイン)のそれぞれに由来するTROSYシグナルの配向依存的な変化から、各ドメインの配向テンソルを決定した。その結果、表3に示すように、ラージドメイン(N末端)の分子配向軸の分子座標軸からの傾きを表現するオイラー角は(α=95.9°、β=123.1°、γ=96.2°、Q−因子=0.38)であるのに対し、スモールドメイン(C末端)の方は(α=98.4°、β=114.7°、γ=165.4°、Q−因子=0.45)となった。
それぞれのドメインの分子配向軸は図5および図6に示すような関係になった。相対的なドメインの配向は、2つの配向軸を一致させるようにスモールドメインを回転させることで決定されるが、各ドメインの配向テンソルからスモールドメインは結晶構造に比べて約65°回転していることが明らかとなった。
オープン型の構造を用いて得られたドメイン相対配向の結果の精度を確認するために、結晶構造中で見つかっているPBCV1−CEの別のドメイン配向(クローズ型)を持つ構造を用いた。その結果を、以下の表4、ならびに図7および図8に示す。
本発明の解析方法の結果決定されたドメイン間の相対配向は、オープン型およびクローズ型で同様となり、決定されたドメイン間相対配向の精度が確認された。
タンパク質の新規のアゴニストおよび/またはアンタゴニストの探索は、新規薬物の製造のために重要である。特に新規のアゴニストは、作動薬リード化合物として利用され得るが、従来技術は、作動薬リード化合物の同定には不十分であった。
作動薬リード化合物を選択した場合、その作動薬リード化合物の結合部位を同定することが可能である。本実施例においては、実施例4において最も小さいDOS値を生じた化合物を用いて、以下のように実験を行う。
・実施例4において用いる候補化合物非存在下での二次元TROSY NMRスペクトルのアミノ酸残基への帰属を常法に従って行う。
・化合物存在下でのタンパク質内ドメインの二次元TROSY NMRスペクトルと、化合物非存在下での二次元TROSY NMRスペクトルとを比較する。その比較において、スペクトルの変化を検出する。変化したスペクトルに対応するアミノ酸残基を、上記帰属の結果から、作動薬リード化合物の結合部位として同定する。
本発明において、例えば、以下の方法を用いて標的タンパク質に対する化合物の親和性を決定することが可能である。
・実施例4において用いる候補化合物非存在下での二次元TROSY NMRスペクトルのアミノ酸残基への帰属を常法に従って行う。
・化合物存在下でのタンパク質内ドメインの二次元TROSY NMRスペクトルと、化合物非存在下での二次元TROSY NMRスペクトルとを比較する。その比較から、スペクトルの変化を検出する。変化したスペクトルに対応するアミノ酸残基を、上記帰属の結果から、同定する。
・同定されたアミノ酸に対応するスペクトルは、化合物非存在下の場合と、化合物存在下の場合とで、異なる位置に出現する。しかし、用いる化合物の種類によっては、化合物存在下であっても、化合物非存在下において検出される同定されたアミノ酸に対応するスペクトルが残存する場合がある。このように単一のアミノ酸残基に対応するスペクトルが二重に存在するのは、二次元TROSY NMR測定の溶液中に、化合物と結合したタンパク質と、未結合のタンパク質が混在するためである。この二重に存在する単一のアミノ酸残基に対応するスペクトルの強度の比は、化合物結合タンパク質と化合物未結合タンパク質との存在比と相関する。従って、この二重のスペクトルの強度の比は、試験した化合物とタンパク質との親和性の指標となる。この原理を用いて、以下のように化合物の相対的親和性を測定する。
・実施例5に従って、化合物の結合するアミノ酸残基を同定する。
・化合物A存在下においてNMR測定を行い、化合物の結合するアミノ酸に対応するスペクトルについて、
(化合物A存在下においてのみ検出される位置に出現するスペクトル)/(化合物非存在下において検出される位置に残存するスペクトル)
の比を求める。
・化合物B存在下においてNMR測定を行い、化合物の結合するアミノ酸に対応するスペクトルについて、
(化合物B存在下においてのみ検出される位置に出現するスペクトル)/(化合物非存在下において検出される位置に残存するスペクトル)
の比を求める。
・化合物AおよびBについて、これらの比を比較し、この比の大きい化合物が、標的タンパク質に対して、より親和性が大きい化合物であると判断される。
Claims (3)
- タンパク質と化合物とを接触させた場合の、該タンパク質の構造変化を測定する方法であって、以下:
(a)該タンパク質内のドメインを選択する工程;
(b)該タンパク質が該化合物と接触しない条件下における、該ドメインの配向情報を得る工程;
(c)該タンパク質と該化合物を接触させる条件下における、該ドメインの配向情報を以下
(i)該ドメインの既知の原子座標を得て、
(ii)液晶物質存在下において該タンパク質と該化合物を接触させ、二次元TROSY NMRスペクトルを用いて得られる、分子の磁場中での配向角度に依存したNMRシグナルの軸方向の変化量を得て、
(iii)該ドメインの原子座標、および該NMRシグナルの軸方向の変化量から、該ドメインのSaupeオーダーマトリクスエレメントを決定し、そして
(iv)該決定されたマトリクスを対角化して、該ドメインの配向情報とする、
ことにより得る工程;および、
(d)工程(b)において得られた配向情報と、工程(c)において得られた配向情報との差異から、該タンパク質の構造変化を測定する工程、
を包含し、
前記(b)工程が、
(b)該タンパク質が該化合物と接触しない条件下における、該ドメインの配向情報を以下
(v)該ドメインの既知の原子座標を得て、
(vi)液晶物質存在下において、該タンパク質を該化合物と接触させずに、二次元TROSY NMRスペクトルを用いて得られる、分子の磁場中での配向角度に依存したNMRシグナルの軸方向の変化量を得て、
(vii)該ドメインの原子座標、および該NMRシグナルの軸方向の変化量から、該ドメインのSaupeオーダーマトリクスエレメントを決定し、そして
(viii)該決定されたマトリクスを対角化して、該ドメインの配向情報とする、ことにより得る工程である、測定方法。 - タンパク質と化合物とを接触させた場合の、該タンパク質の構造変化を測定する方法であって、以下:
(a)該タンパク質内のドメインを選択する工程;
(b)該タンパク質が該化合物と接触しない条件下における、該ドメインの配向情報を得る工程;
(c)該タンパク質と該化合物を接触させる条件下における、該ドメインの配向情報を以下
(i)該ドメインの既知の原子座標を得て、
(ii)液晶物質存在下において該タンパク質と該化合物を接触させ、二次元TROSY NMRスペクトルを用いて得られる、分子の磁場中での配向角度に依存したNMRシグナルの軸方向の変化量を得て、
(iii)該ドメインの原子座標、および該NMRシグナルの軸方向の変化量から、該ドメインのSaupeオーダーマトリクスエレメントを決定し、そして
(iv)該決定されたマトリクスを対角化して、該ドメインの配向情報とする、
ことにより得る工程;および、
(d)工程(b)において得られた配向情報と、工程(c)において得られた配向情報との差異から、該タンパク質の構造変化を測定する工程、
を包含し、
前記(b)工程が、
(b)前記タンパク質が前記化合物と接触しない条件下において既に得られている原子座標から、前記ドメインの配向情報を得る工程;
である、測定方法。 - タンパク質と化合物とを接触させた場合の、該タンパク質の構造変化を測定する方法であって、以下:
(a)該タンパク質内のドメインを選択する工程;
(b)該タンパク質が該化合物と接触しない条件下における、該ドメインの配向情報を得る工程;
(c)該タンパク質と該化合物を接触させる条件下における、該ドメインの配向情報を以下
(i)該ドメインの既知の原子座標を得て、
(ii)液晶物質存在下において該タンパク質と該化合物を接触させ、二次元TROSY NMRスペクトルを用いて得られる、分子の磁場中での配向角度に依存したNMRシグナルの軸方向の変化量を得て、
(iii)該ドメインの原子座標、および該NMRシグナルの軸方向の変化量から、該ドメインのSaupeオーダーマトリクスエレメントを決定し、そして
(iv)該決定されたマトリクスを対角化して、該ドメインの配向情報とする、
ことにより得る工程;および、
(d)工程(b)において得られた配向情報と、工程(c)において得られた配向情報との差異から、該タンパク質の構造変化を測定する工程、
を包含し、
前記工程(c)において二次元TROSY NMRスペクトルを用いて得られる分子の磁場中での配向角度に依存したNMRシグナルの軸方向の変化量が、15N軸方向の変化量である、測定方法。
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