JP5097191B2 - 樹脂用無機充填剤及び複合樹脂組成物の製造方法 - Google Patents
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CaCO3+2HCl→CaCl2+H2O+CO2 (1)
しかし、細かく破砕された貝殻粉体は、破面間の親和力が強く働き、凝集し易い性質を有するため、樹脂マトリックス中に貝殻粉体を均一に分散させるのは一般に困難である。
このために、従来技術では、貝殻粉体を充填した複合樹脂ペレットから複合樹脂フィルムを作成するのは困難で、ましてや特許文献1で示されるバルク材の場合のような機械的特性の向上を複合樹脂フィルムに望むことはできない。
また複合樹脂組成物の製造方法において、前記樹脂用無機充填剤及び合成樹脂を加熱混練するステップと、前記液媒を気化させて除去するステップと、前記粉体及び前記合成樹脂の複合体を冷却して固化させるステップと、を含むことを特徴とする。
本実施形態に適用される貝殻としては、ホタテ、カキ、ハマグリ、アワビ、サザエ、その他の養殖物及び天然物の水産業において大量に廃棄される貝殻を採用することができる。
貝殻は、タンカルの無機結晶及びコンキオリンと呼ばれるタンパク質の複合体である殻本体と、キチン質の殻皮とから構成されている。
これら貝殻は、粉砕性向上の観点から、前処理として1カ月以上屋外に放置しておくことが好ましい、なお経済性の観点から特に焼成処理を施す必要はない。
また、粉砕された粉体は、乾式または湿式での篩い分けまたは気流分級等の分級操作を経て、粒子分布が調整される。
粉体の最大粒径が30umよりも大きいと、粉体の分散相と樹脂のマトリックス相との界面が少なくなる分、界面応力が増大して界面剥離が生じ易く、複合樹脂の機械特性が低下する。また、この粉体が充填剤として含まれる複合樹脂フィルムにあっては、所望される風合い、強度、その他のフィルム特性を実現するうえで、粉体の最大粒径がそのフィルム厚よりも小さいことが望ましい。
また平均粒径が1umよりも小さいと、ナノオーダの粒径の微粒子が占める割合が高くなり、これら微粒子が凝集して二次粒子が形成され易くなり粉体分散相の均一性が損なわれる。
この液媒は、水、その他有機溶媒が挙げられる。有機溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等の水に可溶な性質を示すアルコール類が好適である。
また、貝殻粉体と液媒とを混合させるタイミングは、粉砕装置で処理された直後であっても、後記する混練装置に投入する直前であってもよい。また、直前に投入する場合は、貝殻粉体と液媒とをそれぞれ別個に混練装置に投入させてもよく、またいずれか一方を先に合成樹脂に混合した後に他方を混合させる場合であってもよい。
また液媒は、この液媒と貝殻粉体とが混合された状態の樹脂用無機充填剤を長期保存する場合、貝殻粉体が塊状になるのを防止して保存安定性に貢献する。
また液媒は1000重量部を超えると、気化除去する際の気化熱を大量に消費して混練温度を低下させてしまう。
これら熱硬化性樹脂は、公知の硬化剤を主剤に添加して、所定の形状を保持して、硬化温度に設定して重合反応させることにより成形品にすることができるものである。なお、これら熱硬化性樹脂の主剤は、重合反応前の単量体が低分子量化合物であるために、液体、固体、半固体の性状を取り得るが、少なくとも加熱の過程において流動性を示すものである。
よって、硬化温度よりも低い設定温度において、熱硬化性樹脂と貝殻粉体とを混練して熱硬化性樹脂のマトリックス相に貝殻粉体の分散相を形成することができる。
貝殻粉体が5重量部よりも少ないと、貝殻粉体の分散相の均一性が低下して、溶融混練体を延伸してフィルム状にする際に、厚みムラが生じてしまう。また、化石燃料の使用を低減して環境保全に貢献するという目的の達成が不十分なものとなってしまう。
貝殻粉体が80重量部よりも多いと、貝殻粉体の連続相が形成されて複合樹脂組成物を延伸したフィルムにすることが困難になる。
そして、投入された貝殻粉体と合成樹脂の混合体は、シリンダの内部で軸回転するスクリューにより加熱混練され合成樹脂が溶融し、貝殻粉体は、密閉系における高温高圧状態の液媒の作用により再凝集が抑制され、溶融体のマトリックス中に均一分散していくことになる。
この脱液手段34は、複数の孔が開口したメッシュ板で混練手段33の内部と大気とを仕切り、加圧されながら連続的に上流から下流に押し出される混練体が混練手段33の外側に飛び出さないように構成されている。一方、高温加圧された液媒は、このメッシュ板の開口孔に至り密閉状態から大気開放されるのに伴って、選択的に気化・除去されることになる。
さらに脱液手段34は、前記したように大気圧に開放するだけでなく、さらに減圧させる減圧器が設けられ液媒の気化を促進させる場合もある。
そして吐出した混練体は、造粒手段35において束状に分岐されて冷却凝固させた後にペレット状の複合樹脂組成物にカットされる。
インフレーション成形とは、環状の口金(ダイ)61をもつ金型を取り付けた押出装置20で原料を混練し、熱流動体を筒状に押し出し、その中に空気Sを吹き込んで延伸させた後、冷却リング66で冷却し、薄膜の円筒状のフィルムを成形し、安定板65で誘導してピンチロール64をくぐらせ内部の空気をぬいて、ガイドロール63を経由して巻取装置62で巻き取る方法である。
貝殻粉体の原料として養殖カキのカキ殻を用い、身を取り外した後、1ヶ月間にわたり天日干しした近年物と、3年間にわたり天日干しした経年物の二種類を準備した。なお焼成処理は行っていない。
合成樹脂としてポリエチレン(日本ポリエチレン(株)製、カーネルKF260T,ASTM D1238 230℃によるメルトフローレート(MFR)=2.0g/10分、比重=0.901)を用いた。
粉砕された貝殻粉体の粒度分布の計測は、日機装(株)製のマイクロトラック FRA(61−04)を用い、レーザ回折・散乱法により、測定レンジ0.1um〜700umとして、実施した。
図3は、経年物のカキ殻を、ISタイプで分級したものの粒度分布測定結果である。この図3によれば、平均粒径D50=3.5um、最大粒径Dmax=26.2umという結果が得られた(図6参照)。
図5は、近年物のカキ殻を、ISタイプで分級したものの粒度分布測定結果である。この図5によれば、平均粒径D50=6.8um、最大粒径Dmax=62.2umという結果が得られた(図6参照)。
実施例1、実施例2、実施例3及び比較例1に係る複合樹脂ペレットは、貝殻粉末と合成樹脂との重量比率で50:50であった。
その結果、実施例1、実施例2、実施例3、比較例1及び比較例3については複合樹脂フィルム作成に成功したが、比較例2については貝殻粉体の分散相が不均一であることが原因で失敗した。
また風合いについて検討すると、実施例2及び実施例3に係る複合樹脂フィルムは同等といえ、これらと比較して実施例1に係る複合樹脂フィルムは優れている。これより、最大粒径Dmaxが小さい方が、複合樹脂フィルムの風合い向上に貢献するといえる。
そして、樹脂用無機充填剤の粒径分布は、複合樹脂組成物のフィルム特性に影響を与えるといった知見が得られた。
Claims (4)
- 貝殻を粉砕させた粉体100重量部に対し、1重量部から1000重量部の範囲に含まれる液媒が混合し、
前記粉体は、最大粒径30um以下かつ平均粒径1um以上10um以下であることを特徴とする樹脂用無機充填剤。 - 前記貝殻は、1ヶ月以上屋外放置された後に前記粉砕が実行されることを特徴とする請求項1に記載の樹脂用無機充填剤。
- 前記液媒は、水又はメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールの群の中から選択される一又は二以上の化合物を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の樹脂用無機充填剤。
- 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の樹脂用無機充填剤及び合成樹脂を加熱混練するステップと、
前記液媒を気化させて除去するステップと、
前記粉体及び前記合成樹脂の複合体を冷却して固化させるステップと、を含むことを特徴とする複合樹脂組成物の製造方法。
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