JP5094694B2 - プロトン伝導性有機金属錯体 - Google Patents
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Description
項1.細孔性有機金属錯体の細孔内にプロトン伝導性含窒素複素環物質を保持した複合体。
項2.細孔性有機金属錯体の細孔の大きさが、4.3Å×3.7Åよりも大きい、項1に記載の複合体。
項3.細孔性有機金属錯体が、(1)2A族、3A族又は遷移金属に属する金属原子と、(2)前記金属原子と配位可能な基を2個以上有する芳香族化合物から成る1つ以上の第一配位子とを含む繰り返し単位を有する、項1又は2に記載の複合体。
項4.前記芳香族化合物が、以下の式1〜14:
項5.前記金属と配位可能な基が、−COOH、−SH、−CHS2H又は−SO3Hである、項3又は4に記載の複合体。
項6.細孔性有機金属錯体が、さらに(3)O、S、トリエチレンジアミン又はピラジンを第二配位子として繰り返し単位に含む、項3〜5のいずれかに記載の複合体。
項7.細孔性有機金属錯体が、一般式I:[MRL]n又は一般式II[M2R2L]n(ここで、Mは金属であり、Rは第一配位子であり、Lは第二配位子であり、nは整数である)で表される、項6に記載の複合体。
項8.プロトン伝導性含窒素化合物がオキサジアゾール、イソオキサジアゾール、ベンゾオキサゾール、プリン、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、ベンズイミダゾール、ベンズトリアゾール及びこれらの誘導体、並びにこれらのオリゴマー及びポリマーから選択される、項1〜7のいずれかに記載の複合体。
項9.100℃以上の温度条件における電気伝導度が、10−5S/cm以上である、項1〜8のいずれかに記載の複合体。
項10.項1〜9のいずれかに記載の複合体を含む、プロトン伝導性高分子膜。
項11.項10に記載のプロトン伝導性高分子膜を含む、燃料電池。
本発明は、細孔性有機金属錯体の細孔内にプロトン伝導性含窒素複素環物質を保持した複合体を提供する。
本発明に使用される細孔性有機金属錯体は、プロトン伝導性含窒素複素環物質(以下、プロトン伝導性物質とも称する)を収容可能な細孔を有する有機金属錯体である。よって、プロトン伝導性物質を収容可能なサイズの細孔を有する有機金属錯体であれば、任意の錯体を本発明の細孔性有機金属錯体として使用することができる。よって、本発明に使用される有機金属錯体は、プロトン伝導性物質を収容可能である限り、当該技術分野において公知のものだけでなく、今後新たに開発される有機金属錯体をも含む。本発明において使用可能な公知の細孔性有機金属錯体としては、例えば、特開2007−63448号公報、特開2005−75870号公報、及び特開2004−161675号公報、及び特開2005−93181号広報等に開示されるものを挙げることができる。また、前記の文献に記載の有機金属錯体を以下の説明に基づいて改良したものも好適に使用することが出来る。本発明において、有機金属錯体とは、金属原子と第一配位子及び必要に応じて第二配位子との結合によって形成される立体的な格子構造を繰り返し単位として有する集積型の高分子錯体結晶を意味する。第一配位子とは、金属原子と配位結合可能な基が有機骨格に結合した第一配位子である。第二配位子とは、有機配位子であってもよく、無機配位子であってもよい。本発明の細孔性有機金属錯体は、金属原子及び第一配位子のみを繰り返し単位として有してもよく、更に第二配位子を繰り返し単位に含んでいてもよい。細孔性有機金属錯体が金属原子と第一配位子と第二配位子とを繰り返し単位に含む場合、第一配位子は金属原子と結合することで平面的な格子構造を形成し、第二配位子は、前記平面的な格子構造を立体的に(アキシャル方向に)積層するように金属原子と配位結合する。
細孔性有機金属錯体が有する細孔とは、金属原子と第一配位子とによって形成される平面的な格子構造が立体的に積み重なることによって形成される空間を意味し、チャンネルとも呼ばれる(図1参照)。当該細孔は、その中でプロトン伝導性物質がホッピング運動によりプロトンを伝導するためのフレームとして機能する。よって、当該細孔は、少なくともプロトン伝導性物質を収容可能な細孔径を有し、プロトン伝導性物質によるプロトン伝導が起こり得る状態でプロトン伝導性物質を保持することが出来る限り、その化学的構造や物理的形状は特に制限されない。
細孔性有機金属錯体の細孔は少なくともプロトン伝導性物質を収容することができる大きさを有する。本明細書において細孔の大きさは、細孔の断面積を正方形又は長方形と仮定した場合の一辺×一辺の大きさ、又は細孔径で規定される。細孔径とは、細孔の直径を意味する。細孔の大きさは、収容するプロトン伝導性物質の分子サイズに応じて適宜設計することができる。即ち、プロトン伝導性物質の分子サイズが比較的大きい場合は、それを収容するために十分なサイズの細孔が必要である。比較的分子サイズが小さいイミダゾールの分子サイズは、4.3Å×3.7Åである。よって、好適な一実施形態において、有機金属錯体は、断面積が4.3Å×3.7Åよりも大きい細孔を有することが好ましく、より好ましくは、4.3Å×4.3Åよりも大きい細孔を有することが好ましい。他の好適な一実施形態において、有機金属錯体は、細孔径が4.3Åよりも大きい細孔を有することが好ましく、より好ましくは、細孔径が4.7Åよりも大きい細孔を有し、更に好ましくは、細孔径が5.0Åよりも大きい細孔を有する。
より好ましい条件:(短径+0.4Å)≦ 細孔径 ≦(短径+4.5Å)
更に好ましく条件:(短径+0.6Å)≦ 細孔径 ≦(短径+4Å)
より更に好ましい条件:(短径+0.8Å)≦ 細孔径 ≦(短径+3.5Å)
特に好ましい条件:(短径+1Å)≦ 細孔径 ≦(短径+3Å)
他の好適な実施形態においては、有機金属錯体は、以下の条件を満たす細孔を有することが好ましい。
より好ましい条件:(短径+0.4Å)≦ 細孔径 ≦(長径+3Å)
更に好ましく条件:(短径+0.6Å)≦ 細孔径 ≦(長径+2.5Å)
より更に好ましい条件:(短径+0.8Å)≦ 細孔径 ≦(長径+2.0Å)
特に好ましい条件:(短径+1Å)≦ 細孔径 ≦(長径+1.5Å)
また別の好適な実施形態においては、有機金属錯体は、以下の条件を満たす細孔を有することが好ましい。
より好ましい条件:(長径+0.4Å)≦ 細孔径 ≦(長径+3Å)
更に好ましく条件:(長径+0.6Å)≦ 細孔径 ≦(長径+2.5Å)
より更に好ましい条件:(長径+0.8Å)≦ 細孔径 ≦(長径+2.0Å)
特に好ましい条件:(長径+1Å)≦ 細孔径 ≦(長径+1.5Å)
ここで、短径とは、プロトン伝導性物質を平面的に観た場合のより短い方の分子径であり、長径とはより長い方の分子径である。
上記のような細孔を有する有機金属錯体は、金属原子と第一配位子及び必要に応じて第二配位子とが配位結合することによって形成される。このような有機金属錯体を構成する金属原子としては、第一配位子及び必要に応じて第二配位子と結合することによって上述するような細孔を有する集積型の錯体を形成することができる限り、任意の金属原子を使用することが出来る。好ましい金属原子は、周期表の2A族、3B族、又は遷移金属に属する金属原子である。好適な一実施形態においては、2価又は3価の金属イオンになり得る金属原子を使用することが好ましい。好ましい具体的な金属原子としては、アルミニウム、カルシウム、マンガン、銅、ニッケル、クロム、鉄、バナジウム、チタン、コバルト、ジルコニウム、プラチナ、タングステン、モリブデン、亜鉛、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、銀、カドミウム、オスミウム、レニウム、イリジウム、テルビウム、及び金を挙げることが出来る。
上記のような金属原子と配位結合する第一配位子は、金属原子との結合によってプロトン伝導性物質を収容する格子構造を形成することができるものであれば特に限定されず、任意の有機配位子を使用することができる。金属原子と第一配位子とが配位結合によって、プロトン導電性物質を収容できる立体的な格子構造を形成するためには、第一配位子は金属原子と配位結合可能な基(以下、配位結合基と称する場合もある)を2個以上有していることが好ましく、より好ましくは、配位結合基を2個以上有する芳香族化合物である。配位結合基が単座配位基である場合、第一配位子は、好ましくは、配位結合基を2〜4個有し、より好ましくは3〜4個有し、特に好ましくは4個有する。配位結合基が二座配位基である場合、第一配位子は、好ましくは、配位結合基を2〜4個有し、より好ましくは2〜3個有し、特に好ましくは2個有する。配位結合基が三座配位基である場合、第一配位子は、好ましくは2個以上の配位結合基を有する。
配位結合基は、第一配位子の炭素骨格と金属原子とを配位結合させることによって、プロトン伝導性物質を収容できる格子を形成できるものであれば特に制限はない。例えば、カルボキシル基、チオール基、アミノ基、シアノ基、スルホン酸基、ヒドロキシル基、硝酸基、硫酸基、炭酸基及びリン酸基等を挙げることが出来る。好適な一実施形態において、好ましい配位結合基は、二座配位可能な基であり、具体的にはカルボキシル基及びジチオカルボキシル基である。他の実施形態において、好ましい配位結合基は、カルボキシル基(−COOH)、チオール基(−SH)、ジチオカルボキシル基(−CS2H)又はスルホン酸基(−SO3H)であり、より好ましくはカルボキシル基、ジチオカルボキシル基、又はスルホン酸基であり、更に好ましくは、カルボキシル基及びジチオカルボキシル基である。尚、厳密には、第一配位子が金属原子と配位結合する際に、前記各配位結合基はイオン化しており、水素原子は存在しないが、本明細書においては、慣用的に水素原子が有する状態の基を記載する。
上述するように、本発明の細孔性有機金属錯体は、プロトン伝導性物質を収容し、且つ、高温条件下におけるプロトン伝導性物質の脱落を防止できるような適切に制御された大きさの均一な孔を有することが望ましい。このような観点から、一実施形態において、第一配位子は以下の一般式1〜14:
本発明に使用できる細孔性有機金属錯体は、当該技術分野に公知の方法に従って製造することができる。例えば、予め別個の溶媒に溶解した金属原子と配位子とを混合し、金属原子と配位子との錯体を沈殿物として生成することができる。細孔性有機金属錯体が第一配位子と第二配位子とを有する場合は、金属原子と第一配位子とを溶媒中で混合して金属原子と第一配位子との有機金属錯体を形成した後、さらに第二配位子を当該溶媒に添加し、前記錯体と混合することによって、目的とする有機金属錯体を得ることができる。また、金属原子と第二配位子とを溶媒中で混合し、金属原子と第二配位子との錯体を形成した後、第一配位子を当該溶媒に添加し、混合することによって、目的とする有機金属錯体を得ることもできる。溶媒中に析出した錯体を濾過により回収し、洗浄し、乾燥させることによって、目的の錯体を得ることが出来る。
上述する細孔性有機金属錯体の細孔内にプロトン伝導性物質を保持させることによって、本発明の複合体を得ることができる。プロトン伝導性物質とは、ホッピング運動によって互いにプロトンを伝導することが可能な分子構造を有する含窒素複素環物質である。好ましいプロトン伝導性物質としては、2個以上の窒素原子を有する分子構造を有する複素環物質を挙げることが出来る。具体的な好ましいプロトン伝導性物質としては、オキサジアゾール、イソオキサジアゾール、ベンゾオキサゾール、プリン、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、ベンズイミダゾール、ベンズトリアゾール及びこれらの誘導体、並びにこれらのオリゴマー及びポリマーを挙げることができる。これらのプロトン伝導性物質は、商業的に入手可能であり、また公知の方法に従って合成することができる。前記誘導体としては、例示したプロトン伝導性物質の炭素原子にアルキル基等の置換基を有しているものを挙げることができる。プロトン伝導性物質は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。好適な一実施形態においては、1種のプロトン伝導性物質のみが使用される。
プロトン伝導性物質の細孔内への収容は、当該技術分野において公知の方法を用いて行うことができる。例えば、Angew. Chem. Int. Ed. 1999, vol. 38, p. 140に記載の方法に準じて、プロトン伝導性物質を気体又は液体の状態で細孔性有機金属錯体と接触させることによって細孔内に収容することが可能である。具体的には、気体の状態でプロトン伝導性物質を細孔内に収容する場合は、プロトン伝導性物質を、必要に応じて減圧下で、沸点以上に加熱して気化し、これを細孔性有機金属錯体と接触させることによって、細孔内に導入することができる。液体の状態でプロトン伝導性物質を細孔内に導入する場合は、プロトン伝導性物質を任意の溶媒に溶解し、得られた溶液を細孔性有機金属錯体と接触させることで細孔内に導入することができる。ここで使用する溶媒としては、プロトン伝導性物質を溶解することができるものであれば特に制限なく使用することができる。例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素などを使用することができる。
細孔性有機金属錯体[Al(OH)(1,4-ndc)] n の合成
硝酸アルミニウム(Al(NO3)3×9H2O:0.375g, 1.0mmol)及び1,4−ナフタレンジカルボン酸(1,4-ndcと略す;0.108g, 0.5mmol)を10mlの脱イオン水中で混合した。硝酸アルミニウム及び1,4−ナフタレンジカルボン酸は、和光純薬工業(株)から購入した。混合溶液をテフロン(登録商標)オートクレーブ中に配置して、1日間180℃に過熱した。反応開始時の反応溶液のpHは2.5であり、終了時のpHは2.0であった。反応終了後、反応溶液をろ過し、蒸留水で洗浄して、淡黄色の粉末状の錯体結晶[Al(OH)(1,4-ndc)]nを得た(収率80%)。得られた結晶を2時間150℃に加熱し、細孔をゲストフリーの状態にした。得られた粉末結晶についてX線回折パターン解析を行い、立体構造を決定した(図1)。
図1から明らかなように、[Al(OH)(1,4-ndc)]n錯体結晶は、4個のアルミニウム原子と4個の第一配位子(1,4−ナフタレンジカルボン酸)とによって形成される略正方形の格子が連続的に繰り返された二次元構造の複数のシートが互いに酸素原子(第二配位子)を介して積層した三次元構造を有する。図1で示されるように、[Al(OH)(1,4-ndc)]n錯体は、規則性のある多数の孔を有するが、ナフタレンの向きにより2種類の細孔が存在する。一方の細孔はナフタレンが孔の中心に対して外を向いた状態で存在しており、他方の細孔はナフタレンが孔の内部に突出した状態で存在する。よって、前者の孔の大きさは、約7.7Å×7.7Åであり、後者の孔(約3.0Å×3.0Å)よりも大きいことが分かる。
細孔性有機金属錯体[Al(OH)(1,4-bdc)] n の合成
硝酸アルミニウム(1.30g, 3.5mmol)及び1,4−ベンゼンジカルボン酸(1,4-bdcと略す;0.288g, 2.5mmol)を10mlの脱イオン水中で混合した。硝酸アルミニウム及び1,4−ベンゼンジカルボン酸は、和光純薬工業(株)から購入した。混合溶液をテフロン(登録商標)オートクレーブ中に配置し、3日間120℃に過熱した。その後、反応液をろ過し、脱イオン水で洗浄して、白色粉末の錯体結晶[Al(OH)(1,4-bdc)]nを得た。この結晶を3日間、330℃に加熱することによって細孔内の1,4-bdcを除去し、ゲストフリーの状態にした。得られたゲストフリーの結晶粉末についてX線回折パターン解析を行い、立体構造を決定した(図2)。実施例1で得た錯体結晶と同様に、[Al(OH)(1,4-bdc)]n錯体は、4個のアルミニウム原子と第一配位子(1,4−ベンゼンジカルボン酸)とによって形成されるダイアモンド型の格子が連続的に繰り返された二次元構造の複数のシートが互いに酸素原子(第二配位子)を介して積層した三次元構造を有する。実施例1で得た錯体結晶とは異なり、[Al(OH)(1,4-bdc)]n錯体は、均一なサイズ(約8.5Å×8.5Å)の一種類の孔を有する。
細孔内にイミダゾールを収容した複合体の作製
実施例1で得た[Al(OH)(1,4-ndc)]n錯体結晶粉末及び実施例2で得た[Al(OH)(1,4-bdc)]n錯体結晶粉末を減圧下で12時間120℃に過熱して、細孔内のガスを除いてゲストフリーにした。次いで、120℃でイミダゾールを蒸発させ、前記ゲストフリーの各結晶粉末と接触させることにより、イミダゾールを細孔内に導入し、複合体を作成した。それぞれの複合体を[Al(OH)(1,4-ndc)]n複合体及び[Al(OH)(1,4-bdc)]n複合体と称する。イミダゾールを導入後、各複合体粉末についてX線回折パターン分析を行った。その結果を図3に示す。図3Aは、[Al(OH)(1,4-ndc)]n錯体に関し、水を包摂した錯体のX線データに基づいた計算上のパターン(a)とイミダゾールが収容されていない場合のパターン(b)とイミダゾールを収容した複合体のパターン(c)とが互いに類似していることから、この錯体はイミダゾールの収容によってその構造が変化しない強固な性質を有することが分かる。一方、図3Bは、[Al(OH)(1,4-bdc)]n錯体に関し、理論上のパターン(a)とイミダゾールが収容されていない場合のパターン(b)とイミダゾールを収容した複合体のパターン(c)とが大きくずれていることから、Al(OH)(1,4-bdc)]n錯体はイミダゾールの収容によって構造が変化することが分かる。これは、Al(OH)(1,4-bdc)]n錯体が、イミダゾールと格子を形成する酸素原子とが相互作用し易い構造を有していることに起因していると考えられる。
収容イミダゾール量の測定
熱重量分析(TG)により、室温から400℃における各錯体の細孔内に保持されたイミダゾールの量を測定した。その結果を図4に示す。実施例1で作製した[Al(OH)(1,4-ndc)]n錯体の場合(実線)、温度を上げることによって、最大で14%の重量が減少することが分かる。この減少分がイミダゾールに相当し、[Al(OH)(1,4-ndc)]n錯体は、1個のアルミニウム原子に対して0.6個のイミダゾールを収容できることが分かる。また、孔からのイミダゾールの放出が125℃の時点で始まることが分かる。一方で、実施例2で作製した[Al(OH)(1,4-bdc)]n錯体の場合(破線)、1個のアルミニウム原子に対して1.3個のイミダゾールが収容されている。また、100℃を超えた辺りから細孔からのイミダゾールの放出が始まる。このように[Al(OH)(1,4-bdc)]n複合体からのイミダゾールの放出がより低い温度で開始するのは、[Al(OH)(1,4-bdc)]n錯体が有する細孔の大きさがイミダゾールの分子サイズと比較して大きすぎるため、結果としてイミダゾールが抜け易いためである。
プロトン導電率の測定
実施例3で作製した[Al(OH)(1,4-ndc)]n複合体及び[Al(OH)(1,4-bdc)]n複合体の粉末を、各々金でコーティングした電極(半径3mm)で挟み、電極と粉末との十分な接触を維持した状態で、プロトン伝導率を測定した。また、交流インピーダンス分光計(Solartron SI 1260 Impedence/Gain-Phase analyze)を用いて、各複合体の熱に依存した伝導率を測定した。各複合体の120℃(窒素雰囲気下)におけるナイキストプロットを図5に示す。また、25℃〜120℃(無水条件)におけるプロトン伝導率を図6に示す。図6から、イミダゾールを収容していない状態の[Al(OH)(1,4-ndc)]n錯体の伝導率は、10−14S/cmであることが分かる。[Al(OH)(1,4-ndc)]n複合体と[Al(OH)(1,4-bdc)]n複合体のいずれもが、イミダゾールを収容することによってプロトン伝導性を獲得し、それが温度上昇に伴って上昇することが分かる。上述したように、[Al(OH)(1,4-ndc)]n複合体に収容されたイミダゾールの密度は、[Al(OH)(1,4-bdc)]n複合体のものよりも低いが、[Al(OH)(1,4-ndc)]n複合体の方がより高いプロトン伝導率を有し、120℃において2.2×10−5S/cmのプロトン伝導率を有する。これは、[Al(OH)(1,4-bdc)]n複合体の場合は、その構造から、格子を形成する酸素原子とイミダゾールとが相互作用を起こすため、イミダゾールのホッピング運動が妨げられてしまうためと考えられる。このように、細孔性有機金属錯体の細孔内にプロトン伝導性物質を収容することで、その複合体にプロトン伝導性を付与することが可能であり、細孔がイミダゾールと相互作用を有しないような環境である場合により高いプロトン伝導性が得られる。
Claims (11)
- 細孔性有機金属錯体の細孔内にプロトン伝導性含窒素複素環物質を保持した複合体。
- 細孔性有機金属錯体の細孔の大きさが、4.3Å×3.7Åよりも大きい、請求項1に記載の複合体。
- 細孔性有機金属錯体が、(1)2A族、3A族又は遷移金属に属する金属原子と、(2)前記金属原子と配位可能な基を2個以上有する芳香族化合物から成る1つ以上の第一配位子とを含む繰り返し単位を有する、請求項1又は2に記載の複合体。
- 前記金属と配位可能な基が、−COOH、−SH、−CHS2H又は−SO3Hである、請求項3又は4に記載の複合体。
- 細孔性有機金属錯体が、さらに(3)O、S、トリエチレンジアミン又はピラジンを第二配位子として繰り返し単位に含む、請求項3〜5のいずれかに記載の複合体。
- 細孔性有機金属錯体が、一般式I:[MRL]n又は一般式II[M2R2L]n(ここで、Mは金属であり、Rは第一配位子であり、Lは第二配位子であり、nは整数である)で表される、請求項6に記載の複合体。
- プロトン伝導性含窒素化合物がオキサジアゾール、イソオキサジアゾール、ベンゾオキサゾール、プリン、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、ベンズイミダゾール、ベンズトリアゾール及びこれらの誘導体、並びにこれらのオリゴマー及びポリマーから選択される、請求項1〜7のいずれかに記載の複合体。
- 100℃以上の温度条件における電気伝導度が、10−5S/cm以上である、請求項1〜8のいずれかに記載の複合体。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の複合体を含む、プロトン伝導性高分子膜。
- 請求項10に記載のプロトン伝導性高分子膜を含む、燃料電池。
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