JP5089231B2 - 信号分析装置 - Google Patents
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この発明に係る実施の形態1による信号分析装置の説明に先立ち、この発明の原理について説明する。
1つの電波源だけから放射信号を受信している場合を考える。そして、この1つの電波源からの放射信号は、信号の到来時刻が周期的な周期信号で、周期信号の到来時刻の間隔がrであるとする。受信した信号の総数をN(Nは1以上の整数)とし、受信した信号に受信した順番に1からNまでの連番を付与する。
周期信号nが消えた時刻である消滅時刻(以下、「立ち下がり時刻」と称す)をt(DOWN) nとすると、立ち下がり時刻t(DOWN) nは、式(2)で表すことができる。
周期信号nの立ち下がり時刻と立ち上がり時刻の差を継続時間と称し、t(DOC) nとすると、継続時間t(DOC) nは、式(3)で表すことができる。
t(DOWN) n=t(DOWN) 1+(n−1)・r (2)
t(DOC) n=t(DOWN) n−t(UP) n (3)
p(UP) n,m=exp(2πjt(up) n/Δt(UP) n,m) (5)
p(UP) n,n+1=exp(2πjt(up) n/Δt(UP) n,n+1)
=exp(2πj(t(UP) 1+(n−1)・r)/r)
=exp(2πjt(UP) 1/r) (7)
そこで、2つの信号の立ち上がり時刻差を求め、立ち上がり評価値p(UP) n,mを計算し、更に2つの信号の立ち上がり時刻差Δt(UP) n,m毎に立ち上がり評価値p(UP) n,mを加算すれば、Δt(UP) n,mが周期rと等しくなる場合に、p(UP) n,mの累積値(以下、「立ち上がりスペクトラム値」と称す)の絶対値は時刻差Δt(UP) n,mで大きな値を示す。
一方、信号の立ち上がり時刻が周期的ではない信号は、式(7)で求められる立ち上がり評価値が互いに等しくなるようなことはないため、立ち上がりスペクトラム値の絶対値が特定の立ち上がり時刻差で大きな値を示すことはない。
ゆえに、立ち上がりスペクトラム値の絶対値が大きい場合は、受信信号中に周期信号が存在すると認識でき、時刻差毎に立ち上がりスペクトラムを加算するため、その時刻差から周期信号の間隔を知ることができる。
2つの信号nと信号mの立ち下がり時刻の差Δt(DOWN) n,mは、式(8)で表すことができる。また、立ち下がり評価値p(DOWN) n,mは、式(9)で表すことができる。
p(DOWN) n,m=exp(2πjt(DOWN) n/Δt(DOWN) n,m) (9)
=r (10)
p(DOWN) n、n+1=exp(2πjt(DOWN) n/Δt(DOWN) n,n+1)
=exp(2πj(t(DOWN) 1+(n−1)・r)/r)
=exp(2πjt(DOWN) 1/r) (11)
一方、信号の立ち下がり時刻が周期的ではない信号は、式(11)で求められる立ち下がり評価値p(DOWN) n,mは互いに等しくなるようなことはないため、立ち下がりスペクトラム値の絶対値は特定の立ち下がり時刻差Δt(DOWN) n,mで大きな値を示すことはない。
ゆえに、立ち下がりスペクトラム値の絶対値が大きい場合は、受信信号中に周期信号が存在すると認識でき、時刻差毎に立ち下がりペクトラム値を加算するため、その時刻差から周期信号の間隔を知ることができる。
=exp(2πjt(UP) 1/r)×exp(2πjt(DOC) 1/r)
=p(UP) n,n+1×exp(2πjt(DOC) 1/r) (12)
この発明に係る実施の形態1においては、立ち上がり時刻間隔の分析範囲および立ち下がり時刻間隔の分析範囲をそれぞれK個に分割してK個の立ち上がり細分区間およびK個の立ち下がり細分区間を用いて立ち上がり評価値および立ち下がり評価値を累積している。
この発明に係る実施の形態1による信号分析装置は、間隔設定部10、立ち上がり間隔算出部1、立ち下がり間隔算出部4、立ち上がり細分区間選出部2、立ち下がり細分区間選出部5、K個の立ち上がり位相累積算出部3、K個の立ち下がり位相累積算出部6、K個の位相合計算出部7を備える。
立ち下がり間隔算出部4は、複数の受信信号のうち、任意の2つの信号の立ち下がり時刻を用いて立ち下がり時刻差を算出する。
立ち下がり細分区間選出部5は、立ち下がり間隔算出部4から出力された立ち下がり時刻差に対応した立ち下がり位相累積算出部6を選ぶ。
K個の立ち下がり位相累積算出部6は、立ち下がり細分区間選出部5から出力された立ち下がり時刻および立ち下がり時刻差に基づいて、所定の方法で立ち下がり評価値を算出し、算出した立ち下がり評価値を累積して立ち下がりスペクトラム値を算出する。
分析に用いる立ち上がり時刻間隔および立ち下がり時刻間隔の分析範囲は、分析対象とする周期信号を想定して設定する。
立ち上がり細分区間および立ち下がり細分区間の幅は、信号の立ち上がり時刻および立ち下がり時刻などの時刻情報の分解能と等しい値、または、分解能を所定の値で乗算または除算した値である。
ここで、具体的な例を用いて立ち上がり細分区間の設定の仕方を説明する。図2は、立ち上がり時刻間隔の分析範囲に立ち上がり細分区間を5個設定した例を示す。
立ち上がり時刻間隔の分析範囲はτa〜τbと設定し、立ち上がり細分区間の幅を(τb−τa)/3と設定する。そして、隣接する立ち上がり細分区間は互いに幅(τb−τa)/3の1/2だけ重なるように配置される。すなわち、隣接する立ち上がり細分区間は(τb−τa)/6だけそれぞれ重なっている。
なお、立ち下がり細分区間も立ち上がり細分区間と同様に幅の1/2だけ隣接するもの同士が重なるように配置されても良い。
なお、立ち上がり間隔算出部1では、間隔設定部10で設定された立ち上がり時刻間隔の分析範囲内のみの立ち上がり時刻差Δt(UP) n,mを計算しても良い。
なお、立ち下がり間隔算出部4では、間隔設定部10で設定された立ち下がり時刻間隔の分析範囲内のみの立ち下がり時刻差Δt(DOWN) n,mを計算するものであってよい。
また、第kの立ち上がり位相累積算出部3では、複数の受信信号のうちの既に選択した信号のうち第kの立ち上がり位相累積算出部3で求めた立ち上がり評価値を累積した立ち上がりスペクトラム値に、今回選択した2つの信号の立ち上がり評価値を加算し、立ち上がりスペクトラム値を更新すると共に、その立ち上がりスペクトラム値を第kの位相合計算出部7に出力する。
また、第kの立ち下がり位相累積算出部6では、複数の受信信号のうちの既に選択した信号のうち第kの立ち下がり位相累積算出部6で求めた立ち下がり評価値を累積した立ち下がりスペクトラム値に、今回選択した2つの信号の立ち下がり評価値を加算し、立ち下がりスペクトラム値を更新すると共に、その立ち下がりスペクトラム値を第kの位相合計算出部7に出力する。
また、立ち下がり細分区間を隣接するもの同士幅の1/2だけ重なるようにすることにより、時刻の観測誤差が生じてもいずれかの細分区間には立ち下がり時刻差が集中し、正しく処理することができる。
この発明の実施の形態1では、細分区間を信号の到来時刻間隔のみで分割して処理していた。しかし、信号の到来時刻間隔に加えて、更に信号の継続時間でも分割して処理することも可能である。発明の実施の形態2では、信号の継続時間でも細分区間を設けて処理する方法を説明する。
この発明に係る実施の形態2による信号分析装置は、継続時間間隔設定部11、立ち上がり間隔算出部1、立ち下がり間隔算出部4、立ち上がり継続時間細分区間選出部8、立ち下がり継続時間細分区間選出部9、K×L個の立ち上がり位相累積算出部3、K×L個の立ち下がり位相累積算出部6、K×L個の位相合計算出部7を備える。
立ち下がり間隔算出部4は、複数の受信信号のうち、任意の2つの信号の立ち下がり時刻を用いて立ち下がり時刻差を算出する。
立ち下がり継続時間細分区間選出部9は、立ち下がり間隔算出部4から出力された立ち下がり時刻差と2つの信号の継続時間に対応した立ち下がり細分区間と継続時間細分区間を選び、立ち下がり細分区間と継続時間細分区間とに対応した立ち下がり位相累積算出部6を選ぶ。
K×L個の立ち下がり位相累積算出部6は、立ち下がり継続時間細分区間選出部9から出力された立ち下がり時刻および立ち下がり時刻差に基づいて、所定の方法で立ち下がり評価値を求め、更に求めた立ち下がり評価値の累積した立ち下がりスペクトラム値を算出する。
立ち上がり細分区間および立ち下がり細分区間の幅は、信号の立ち上がり時刻および立ち下がり時刻などの時刻情報の分解能と等しい値、または、分解能を所定の値で乗算または除算した値である。
継続時間の分析範囲は、分析対象とする周期信号を想定して設定する。
継続時間の分析範囲を複数個の継続時間細分区間に分割する幅は、信号の継続時間や立ち上がり時刻などの時刻情報の分解能と等しい値、または分解能を所定の値で乗算または除算した値である。
そして第kの立ち上がり細分区間(1≦k≦K)の時刻間隔の範囲をτk−1以上、τk未満に、第kの立ち下がり細分区間の時刻間隔の範囲をτk−1以上、τk未満に設定している。
ここで、具体的な例を用いて立ち上がり細分区間の設定の仕方を説明する。図4は、継続時間の分析範囲に継続時間細分区間を5個設定した例を示す。
継続時間の分析範囲はβa〜βbと設定し、継続時間細分区間の幅を(βb−βa)/3と設定する。そして、隣接する継続時間細分区間は互いに幅(βb−βa)/3の1/2だけ重なるように配置される。すなわち、隣接する継続時間細分区間は(βb−βa)/6だけそれぞれ重なっている。
なお、立ち上がり間隔算出部1では、継続時間間隔設定部11で設定された立ち上がり時刻間隔の分析範囲内のみの立ち上がり時刻差Δt(UP) n,mを計算しても良い。
なお、立ち下がり間隔算出部4では、継続時間間隔設定部11で設定された立ち下がり時刻間隔の分析範囲内のみの立ち下がり時刻差Δt(DOWN) n,mを計算するものであってよい。
第kの立ち下がり細分区間の範囲は継続時間間隔設定部11によりτk−1以上、τk未満に設定されているので、式(18)を満たす第kの立ち下がり細分区間を選出する。
また、第(k・l)の立ち下がり位相累積算出部6では、複数の受信信号のうちの既に選択した信号のうちの第(k・l)の立ち下がり位相累積算出部6で計算した立ち下がり評価値を累積した立ち下がりスペクトラム値に、今回選択した2つの信号の立ち下がり評価値を加算し、立ち下がりスペクトラム値を更新すると共に、その立ち下がりスペクトラム値を第(k・l)の位相合計算出部7に出力する。
また、上述では電波の場合について説明したが、電波に限らず、音波を受信した信号、光波を受信した信号などに本方式を適応することも可能である。
Claims (7)
- 受信信号に混在する複数の放射信号からそれぞれ抽出した立ち上がり時刻および立ち下り時刻に基づいて上記立ち上がり時刻が周期的な信号の系列数および到来時刻間隔を推定する信号分析装置において、
立ち上がり時刻間隔の分析範囲、立ち下がり時刻間隔の分析範囲、上記立ち上がり時刻間隔の分析範囲を複数個の立ち上がり細分区間に分割する幅、上記立ち下がり時刻間隔の分析範囲を複数個の立ち下がり細分区間に分割する幅を設定する間隔設定部と、
2つの放射信号の立ち上がり時刻の差を計算する立ち上がり間隔算出部と、
2つの放射信号の立ち下がり時刻の差を計算する立ち下がり間隔算出部と、
上記立ち上がり時刻差に基づき対応する上記立ち上がり細分区間を選出する立ち上がり細分区間選出部と、
上記立ち下がり時刻差に基づき対応する上記立ち下がり細分区間を選出する立ち下がり細分区間選出部と、
上記立ち上がり時刻差と上記立ち上がり時刻とに基づき立ち上がり評価値を算出するとともに上記立ち上がり評価値を累積して立ち上がりスペクトラム値を算出する立ち上がり位相累積算出部と、
上記立ち下がり時刻差と上記立ち下がり時刻とに基づき立ち下がり評価値を算出するとともに上記立ち下がり評価値を累積して立ち下がりスペクトラム値を算出する立ち下がり位相累積算出部と、
上記立ち上がりスペクトラム値と上記立ち下がりスペクトラム値とを合算して合算スペクトラム値を算出する位相合計算出部と
を備えたことを特徴とする信号分析装置。 - 上記立ち下がり累積算出部は、上記立ち下がり時刻差および上記立ち下がり時刻以外に、2つの放射信号の継続時間の一方または2つの放射信号の継続時間のうちの小さい方に基づいて上記立ち下がり評価値を算出することを特徴とする請求項1に記載の信号分析装置。
- 上記間隔設定部は、隣接する上記立ち上がり細分区間または隣接する上記立ち下がり細分区間の少なくともいずれか一方を互いに上記幅の1/2だけ重なるように設定することを特徴とする請求項1に記載の信号分析装置。
- 受信信号に混在する複数の放射信号からそれぞれ抽出した立ち上がり時刻および立ち下り時刻に基づいて上記立ち上がり時刻が周期的な信号の系列数および到来時刻間隔を推定する信号分析装置において、
立ち上がり時刻間隔の分析範囲、立ち下がり時刻間隔の分析範囲、上記立ち上がり時刻間隔の分析範囲を複数個の立ち上がり細分区間に分割する幅、上記立ち下がり時刻間隔の分析範囲を複数個の立ち下がり細分区間に分割する幅、上記立ち下がり時刻と上記立ち上がり時刻の差からなる継続時間の分析範囲、上記継続時間の分析範囲を複数個の継続時間細分区間に分割する幅を設定する継続時間間隔設定部と、
2つの放射信号の立ち上がり時刻の差を計算する立ち上がり間隔算出部と、
2つの放射信号の立ち下がり時刻の差を計算する立ち下がり間隔算出部と、
上記立ち上がり時刻差と上記継続時間とに基づきそれぞれ対応する上記立ち上がり細分区間と上記継続時間細分区間とを選出する立ち上がり継続時間細分区間選出部と、
上記立ち下がり時刻差と上記継続時間とに基づきそれぞれ対応する上記立ち下がり細分区間と上記継続時間細分区間とを選出する立ち下がり継続時間細分区間選出部と、
上記立ち上がり時刻差と上記立ち上がり時刻とに基づき立ち上がり評価値を算出するとともに上記立ち上がり評価値を累積して立ち上がりスペクトラム値を算出する立ち上がり位相累積算出部と、
上記立ち下がり時刻差、上記立ち下がり時刻および上記継続時間に基づき立ち下がり評価値を算出するとともに上記立ち下がり評価値を累積して立ち下がりスペクトラム値を算出する立ち下がり位相累積算出部と、
上記立ち上がりスペクトラム値と上記立ち下がりスペクトラム値とを合算して合算スペクトラム値を算出する位相合計算出部と
を備えたことを特徴とする信号分析装置。 - 上記立ち上がり継続時間細分区間選出部は、上記立ち上がり時刻差および2つの継続時間のうちの小さい方に基づいて対応する上記立ち上がり細分区間と上記継続時間細分区間とを選出し、
上記立ち下がり継続時間細分区間選出部は、上記立ち下がり時刻差および2つの継続時間のうちの小さい方に基づいて対応する上記立ち下がり細分区間と上記継続時間細分区間とを選出することを特徴とする請求項4に記載の信号分析装置。 - 上記継続時間間隔設定部は、隣接する上記継続時間細分区間を互いに上記幅の1/2だけ重なるように設定することを特徴とする請求項4に記載の信号分析装置。
- 上記継続時間間隔設定部は、隣接する上記立ち上がり細分区間または隣接する上記立ち下がり細分区間の少なくともいずれか一方を互いに上記幅の1/2だけ重なるように設定することを特徴とする請求項4に記載の信号分析装置。
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