JP5088553B2 - 画像形成装置 - Google Patents
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1.第1の実施形態
第1の実施形態では、像保持体に対向配置されたコロナ放電電極を囲むケーシング部材と、このケーシング部材の前記像保持体と直面しない部位において長手方向に延在する通気口と、そのケーシング部材の通気口周囲を加熱する加熱手段とを備えた画像形成装置の一例について説明する。
図1は画像形成部の一例を示す断面図であり、図2は帯電装置の一例を示す断面図である。画像形成部は、図1に示すように、像保持体1、像保持体1を帯電する帯電装置2、帯電した像保持体1に像光を露光する露光装置3、露光装置3により像保持体1に形成された静電潜像を現像剤により現像する現像装置4、像保持体1に現像されたトナー像を転写材Pに転写する転写装置5、像保持体1の帯電電荷を除電する除電装置6、および像保持体1に残存するトナーをクリーニングブレードで清掃する清掃装置7から構成される。像保持体1、帯電装置2および除電装置6以外の装置は、公知の装置である。
画像形成装置が画像形成を行うとき、帯電装置2は、像保持体1に対してコロナ放電により帯電させる。この際、帯電装置2の放電電極10には高圧電源回路により高電圧が印可される。そして、放電電極10の表面から電子が飛び出すと、空気中の酸素分子や窒素分子に衝突して分子内の電子を電離させ、電子と正イオンが生成される。すると電子の数は2倍になり、さらに電子が酸素分子等に衝突して電子と正イオンの数が加速度的に増え、なだれ現象がおきる。衝突によって多くの電子が励起され、電子が高いエネルギー準位に上がった後、電子が低いエネルギー準位に落ちると、エネルギー差に相当する波長の放射光が放出され、斑点状やブラシ状のコロナが発生する。この際、酸素イオンや窒素イオンは、他の分子と結合してオゾン(O3)や窒素酸化物(NOx)等の放電生成物となり、放電電極10、グリッド電極11、および放電シールド12に付着して蓄積する。
以下、第1の実施形態の優位性について述べる。加熱手段14は、放電シールド12の像保持体1と直面しない部位に設けられた通気口13周囲を加熱するため、放電シールド12背部において上昇気流Aが発生し、放電シールド12の外部の気圧が内部より低下することによって、通気口13から放電シールド12の外部へ流出する気流Bがむらなく生成される。一方、放電電極10、グリッド電極11、および放電シールド12に蓄積した放電生成物は、加熱手段14によって加熱されて昇華が促進される。昇華した放電生成物は、通気口13から放電シールド12外部へ流出する気流Bに運ばれて放電シールド12の外部へ排出される。よって、放電シールド12内部の排気むらがなくなるとともに、放電生成物の昇華が促進されるため、昇華した放電生成物は、像保持体1周囲に滞留することなく、相対的に短時間で画像形成装置外に排出される。
第2の実施形態では、第1の実施形態において、特にケーシング部材の外部または内部に設けられた加熱手段の一例について説明する。なお、第1の実施形態と同様の構成については、その内容を援用する。
図2に示すように、加熱手段14が放電シールド12の外部に設けられる場合、加熱手段14の放射熱が放電シールド12背部の空気を加熱するため、放電シールド12背部において相対的に速い風速の上昇気流Aが発生する。一方、図3は放電シールド内部に設けられた加熱手段の一例を示す断面図である。図3に示すように、加熱手段14が放電シールド12の内部に設けられる場合、加熱手段14の放射熱は、放電シールド12の内部に蓄積した放電生成物を照射するため、昇華が相対的に促進される。
以下、第2の実施形態の優位性について述べる。第2の実施形態によれば、加熱手段14が放電シールド12の外部に設けられる場合には、放電シールド12背部で相対的に速い風速の上昇気流Aが発生する。一方、加熱手段14が放電シールド12の内部に設けられる場合には、加熱手段14から発生する放射熱が放電シールド12内部に蓄積した放電生成物に照射されるため、放電生成物の昇華が促進される。
第3の実施形態では、第1および第2の実施形態において、特に像保持体の最表面に硬質材料で形成された保護層を備える一例について説明する。なお、第1および第2の実施形態と同様の構成については、その内容を援用する。
第3の実施形態に係る画像形成装置は、図1に示すように、像保持体1の最表面に硬質材料で形成された保護層L(オーバーコート層)を備える。保護層Lは、熱硬化性樹脂、フッ素樹脂、ポリウレタン、アモルファス半導体等の硬質材料で形成される。保護層Lは、膜厚が0.5〜8μmであり、鉛筆硬度試験(JIS K5400)において硬度がH以上、より好ましくは6H以上である。昇華した放電生成物は、通気口13から放電シールド12の外部へ流出する気流に運ばれて排出されるため、像保持体1の周辺に滞留しない。よって、像保持体1の最表面に摩耗を防止する保護層Lを設ける態様によれば、像保持体1は、ブレードと現像材による摩耗が少ないため、相対的に長寿命化する。
第4の実施形態では、第1〜第3の実施形態において、特にケーシング部材外側の加熱手段がない部位に断熱部材を備える一例について説明する。なお、第1〜第3の実施形態と同様の構成については、その内容を援用する。
断熱部材8は、図2および図3に示すように、ケーシング部材の一例である放電シールド12外側の加熱手段14がない部位(側面S1、S2)にエポキシ系などの熱硬化性接着剤により接着される。断熱部材8は、グラスウール、ロックウール、シリカ、石英ガラス、ポリウレタン、ポリウレタンフォーム、フェノールフォーム、ポリスチレン、ポリスチレンフォーム等の断熱材料で厚さ約1〜2mmに形成される。なお、加熱手段14が放電シールド12外側の側面S2に設けられた場合には、断熱部材8は放電シールド12外側の側面S1、S3に設けられ、加熱手段14が放電シールド12外側の側面S3に設けられた場合には、断熱部材8は放電シールド12外側の側面S1、S2に設けられる態様となる。
以下、第4の実施形態の優位性について述べる。第4の実施形態によれば、加熱手段14によって放電シールド12を伝導する熱は、断熱部材8によって外部へ放熱されず、放電シールド12内部に伝導される。放電生成物の昇華が促進されるとともに、放電シールド12外部に余分な気流が発生せず、通気口13周囲の放電シールド12背部においてむらのない上昇気流Aが生成される。
第5の実施形態では、第1〜第4の実施形態において、特に画像形成が行われないときに加熱手段を加熱させる加熱制御手段を備える一例について説明する。なお、第1〜第4の実施形態と同様の構成については、その内容を援用する。
図4は加熱制御部の一例を示すブロック図である。第5の実施形態に係る画像形成装置は、画像形成装置の主電源19、主制御部18、放電用電源17、換気装置16、および加熱制御部15を備えている。画像形成装置は、一般家庭やオフィス等に供給される交流電圧100Vの商用電源20に接続される。画像形成装置の主電源19は、商用電源20を接続するトランス、トランスによって昇圧された交流電圧を平滑して直流電圧にする平滑回路を備えた公知の電源回路である。主電源19は、商用電源20の交流電圧を所定の直流電圧(5V、12V、24V等)に変圧し、加熱制御部15、換気装置16、放電用電源17、および主制御部18に電力を供給する。
以下、第5の実施形態の優位性について述べる。第5の実施形態において、画像形成が行われないときは、像保持体1が停止しているため、放電シールド12に直面する像保持体1表面が昇華した放電生成物によって暴露されやすいが、この態様によれば、画像形成が行われないときのみ、加熱手段14が通気口13周囲を加熱するため、余分な電力を消費せずに、効率良く像保持体1の劣化が抑制される。
第6の実施形態では、第1〜第5の実施形態において、特に蓄電装置と、蓄電装置を商用電源から充電する充電装置と、画像形成が一定時間内に行われないとき、または、省エネモードであるとき若しくは商用電源が断たれているときに、蓄電装置から加熱手段に電力を供給する加熱制御手段とを備える一例について説明する。なお、第1〜第5の実施形態と同様の構成については、その内容を援用する。
図5は蓄電装置、充電装置、および加熱制御部の一例を示すブロック図である。第6の実施形態に係る画像形成装置は、さらに蓄電装置21、充電装置22を備えている。蓄電装置21は、2次電池であり、ニッケルカドミウム蓄電池、より好ましくはニッケル水素蓄電池、またはリチウムイオン蓄電池である。蓄電装置21は、電極(正極板、負極板)、電解液、およびこれらを格納する電槽で構成される。蓄電装置21がニッケルカドミウム蓄電池の場合は、正極板がニッケル(Ni)、負極板がカドミウム(Cd)、電解液が水酸化カリウム水溶液(KOH)で構成される。ニッケルカドミウム蓄電池は安価であり、出力電流が大きいという利点を有する。また、蓄電装置21がニッケル水素蓄電池の場合は、正極板がニッケル(Ni)、負極板が水素吸蔵合金(MH)、電解液が水酸化カリウム水溶液(KOH)で構成される。ニッケル水素蓄電池は、有害なカドミウムを使用せず、ニッケルカドミウム蓄電池の約2.5倍の電気容量があり、小型という利点を有する。また、蓄電装置21がリチウムイオン蓄電池の場合は、正極板がリチウム合金、負極板が炭素酸化物、電解質が炭酸エチレンなどの有機溶媒と六フッ化リン酸リチウムなどのリチウム塩で構成される。リチウムイオン蓄電池は、前者に比べ、小型、高電圧出力、メモリー効果が少ないという利点を有する。
以下、第6の実施形態の優位性について述べる。第6の実施形態において、画像形成装置は、電源が断たれた後、放電生成物は数時間から数十時間掛けて昇華して像保持体1表面を劣化するが、この態様によれば、商用電源20が断たれたときや省エネモードのときなどでも、加熱手段14に電力が供給されるため、像保持体1を劣化する放電生成物は、短時間のうちに通気口13から放電シールド12の外部へ排出される。
第7の実施形態では、第1〜第6の実施形態において、特に定着装置と、定着装置で発生した熱を蓄える蓄熱装置と、蓄熱装置から加熱手段に熱を伝導する熱伝導部とを備える一例について説明する。なお、第1〜第6の実施形態と同様の構成については、その内容を援用する。
図6は定着装置、蓄熱装置、および熱伝導部の一例を示すブロック図である。第7の実施形態に係る画像形成装置は、さらに定着装置23、蓄熱装置24、熱伝導部25を備えている。定着装置23は、熱源であるハロゲンヒータ、ハロゲンヒータを芯金内に設けた定着ローラ、定着ロータに加圧してニップ領域を形成する加圧ローラ、ハロゲンヒータの測定温度を検知するサーミスタ、および測定温度と目標温度からハロゲンヒータの温度を制御する制御部を備えた公知の定着装置23である。定着装置23は、用紙などの転写材Pに転写されたトナー像を加熱および加圧することによって定着させる。定着装置23の外装には、蓄熱装置24が固定される。
以下、第7の実施形態の優位性について述べる。第7の実施形態において、定着装置23から発生した熱は蓄熱装置24に蓄熱され、加熱手段14に供給される。よって、商用電源20から電力が供給されている場合でも、供給されていない場合でも電力を消費せずに、像保持体1を劣化する放電生成物が通気口13から放電シールド12外部へ排出される。
第8の実施形態では、第1〜第7の実施形態において、特にケーシング部材背部に設けられた構造部材と、構造部材を加熱する構造部材加熱手段とを備える一例について説明する。なお、第1〜第7の実施形態と同様の構成については、その内容を援用する。
図7は構造部材、構造部材加熱手段の一例を示す概略図である。第7の実施形態に係る画像形成装置は、さらに構造部材31、32、および構造部材加熱手段33、34を備えている。構造部材31、32は、図7に示すように、帯電装置2の背部、および除電装置6の背部に設けられる。構造部材31、32は、アルミニウムなどの熱伝導率が良好な金属材料で形成され、構造部材加熱手段33、34を溶接等により固定する。構造部材31、32は、帯電装置2の背部および除電装置6の背部の空気を加熱し、相対的に速い風速の上昇気流を生成する。
以下、第8の実施形態の優位性について述べる。第8の実施形態において、構造部材31、32および構造部材加熱手段33、34によって、放電シールド12の背部において相対的に速い上昇気流が発生するため、放電シールド12外部と内部で気圧差が発生し、通気口13から放電シールド12外部へ流出する気流がむらなく生成される。
Claims (7)
- 像保持体に対向配置されたコロナ放電電極を囲むケーシング部材と、
前記ケーシング部材の前記像保持体と直面しない部位において長手方向に延在する通気口と、
前記ケーシング部材の通気口周囲を加熱する加熱手段と、
定着装置と、
前記定着装置で発生した熱を蓄える蓄熱装置と、
前記蓄熱装置から前記加熱手段に熱を伝導する熱伝導部と
を備えることを特徴とする画像形成装置。 - 前記加熱手段は、前記ケーシング部材外部または内部に設けられることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
- 前記像保持体の最表面に硬質材料で形成された保護層を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
- 前記ケーシング部材外側の前記加熱手段がない部位に断熱部材を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
- 画像形成が行われないときに前記加熱手段を加熱させる加熱制御手段を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
- 蓄電装置と、前記蓄電装置を商用電源から充電する充電装置と、画像形成が一定時間内に行われないとき、または、省エネモードであるとき若しくは商用電源が断たれているときに、前記蓄電装置から前記加熱手段に電力を供給する加熱制御手段とを備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の画像形成装置。
- 前記ケーシング部材背部に設けられた構造部材と、前記構造部材を加熱する構造部材加熱手段とを備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の画像形成装置。
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