JP5087714B2 - ペントラキシン3(ptx3)を使用する薬物安全性試験 - Google Patents

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Description

これまで、治療抗体の投与は、臨床試験期間中該抗体の初回注入により重い副作用を引き起こした。体内循環における過剰量の特定の前炎症性サイトカインの急激な放出が記載されておりそしてサイトカイン放出症候群(CRS)と呼ばれる合併症を引き起こすのに重要であると考えられる。通常、CRSは、注入の20〜90分後に始まりそして抗体によりターゲティングされた細胞から及びFcレセプターへの抗体の結合を介してもたらされた免疫エフェクター細胞からのサイトカインの放出の結果である。サイトカインが体内循環に放出されると、熱、悪心、悪寒、低血圧、頻脈、無力症、頭痛、発疹、擦過性咽喉(scratchy throat)及び呼吸困難などの全身性症状が起こりうる。大抵の患者において、この症状は重症度においては軽度〜中程度でありそして容易に処置されうる。しかしながら、ある患者は、多量のサイトカインの放出から生じうる重い生命にかかわる反応を経験することがある。
CRSは薬物試験の通常の動物モデルで観察されえない種特異的事象であるので、ヒト血液由来の細胞に基づくin vitroモデルが、新規な医薬製品のサイトカイン放出の危険を評価するために必要とされる。血清又は血漿におけるサイトカインレベルを測定するアッセイが知られている。しかしながら、TNF−α、IFN−γ又はインターロイキンなどの標準的なサイトカインの増加は、必ずしもCRSが起こるのを予想しない。更に、利用可能なアッセイでは、血液サンプル中のサイトカイン放出は、潜在的な有害事象の後相当な長さの時間の後にのみ検出可能である。したがって、化合物がCRSを誘発するリスクの信頼性の高いより迅速な測定方法を提供する必要がある。この問題は、本発明により、特に急性サイトカイン放出関連注入反応の誘導に関して化合物の免疫原性を測定するためのペントラキシン3の使用により解決される。
ゆえに、本発明は、対象化合物がヒトにおけるサイトカイン放出症候群を誘導するリスクを測定するためのPTX3の使用を提供する。
更に、本発明は、対象化合物の免疫原性の新規な測定方法を提供する。特にこの方法は、対象化合物が個体におけるCRSを誘導するリスクを評価することを可能とする。
前記方法は、
a)全血サンプルを準備し、該血液サンプルは前記化合物に曝露されており、
b)該サンプル中のペントラキシン3(PTX3)のレベルを測定し、
c)ペントラキシン3の測定されたレベルをコントロールと比較する、
工程を含む。
好ましくは、PTX3レベルは、全血サンプルから血液細胞を除去することにより得られる血漿において測定される。あるいは、PTX3レベルは、全血サンプルから得られた血清において測定することもできる。
用語「免疫原性」は、物質が免疫応答を引き起こす能力を指す。免疫応答は、B細胞、T細胞及び先天性免疫系の細胞、例えは単球、マクロファージ又は好中球により媒介される物質に対する免疫系の反応である。B細胞反応は、抗原特異的抗体の産生及び放出に関与している。T細胞、単球又は顆粒球の応答は、前炎症性及び/又は抗炎症性サイトカインの放出に関与し得る。身体の体内循環における過剰量の特定の前炎症性サイトカインの急激な放出は、「サイトカイン放出症候群」(CRS)と呼ばれる。
サイトカインは、免疫系の種々の細胞の活性を刺激又は抑制する細胞間のメッセンジャーとして作用する可溶性タンパク質である。サイトカインは、リンホカイン、モノカイン、インターロイキン及びインターフェロンを含む。
本明細書で使用される用語「対象化合物」は、生物学的又は化学的分子を指す。生物学的分子は、特にポリペプチド又はポリヌクレオチドであることができる。該ポリペプチド及びポリヌクレオチドは、例えばメチル化、ペグ化、リン酸化及びグリコシル化などの修飾を有することができる。
本明細書で使用される用語「ポリペプチド」は、ペプチド結合により連結されたアミノ酸の鎖を指す。用語「ポリペプチド」は、タンパク質及びペプチドも含む。好ましくは、ポリペプチドは、抗体、より好ましくは治療抗体である。治療抗体は、ヒト抗体又はヒト化抗体であることができる。
本明細書で使用される用語「ポリヌクレオチド」は、ヌクレオチドA、C、G及びT(又はU)を含むヌクレオチドのポリマーに関する。ポリヌクレオチドは、例えばオリゴヌクレオチド、miRNA、siRNA、アンチセンスRNA、mRNA又はcDNAである。
好ましくは、対象化合物は、治療化合物である。治療化合物は、ヒト又は動物身体の症状を軽減、除去又は少なくすること又は、ヒト又は動物身体の任意の障害又は機能不全に罹る可能性を予防又は減少させることを含む、治療方法に使用するための化合物である。治療化合物は、生物学的分子又は化学的分子であることができる。生物学的治療化合物は、好ましくは抗体又はsiRNAである。
ペンタキシン3としても知られているペントラキシン3(PTX3)は、カルボキシ末端ペントラキシンドメイン(Basile et al, J Biol Chem. 1997,272(13):8172-8)により特徴付けられる「長ペントラキシン」として知られているタンパク質のファミリーに属する。381アミノ酸のこのタンパク質をコードするcDNA(配列番号1)は、Breviario等(J Biol Chem, 1992, 267(31): 22190-22197)によりクローニングされそして発現がIL−1βによりヒト臍帯静脈内皮細胞において誘導される遺伝子として同定された。
ペントラキシン3は、種々の細胞タイプにより産生及び分泌される。ヒト末梢血単核細胞は、バクテリアリポ多糖、IL−1β及びTNF−αに応答してタンパク質を産生するが、IL−6、MCP−1、M−CSF、GM−CSF又はIFN−γには応答しない(Alles et al, Blood. 1994, 84(10): 3483-93)。ペントラキシンは、刺激された単球、内皮細胞及び繊維芽細胞(Alles et al, 1994)、樹状細胞(Doni et al, Eur J Immunol. 2003,33(10): 2886-93)、未分化筋芽細胞及び分化筋芽細胞(Introna et al, Blood. 1996, 87(5): 1862-72)、関節リウマチ滑膜細胞(Luchetti et al, Clin Exp Immunol. 2000, 119(1):196-202)、グリア細胞(Polentarutti et al,J Neuroimmunol. 2000 Jul 1: 106(1-2): 87-94)、カポジ肉腫細胞(ウイルスIL−6により誘導可能)(Klouche et al, AIDS. 2002 May 24; 16(8):F19-18)、マクロファージ及び内皮細胞において及びたまに進行したアテローム性動脈硬化症プラークにおける平滑筋細胞により(Rolph et al, Arterioscler Thromb Vasc Biol. 2002; 22(5):e10-4)、糸球体間質細胞及び内皮細胞(Bussolati et al, J Immunol. 2003 Feb 1; 170(3):1466-72)、前駆脂肪細胞(Abderrahim-Ferkoune et al, J Lipid Res. 2003; 44(5): 994-1000)、ヒト及びマウス卵丘細胞(Salustri et al,Development. 2004; 131(7): 1577-86)、及び好中球(Jaillon et al, JEM. 2007,204(4):793-804; Imamura et al, Cell Immunol 2007, 248(2): 86-94)において発現される。
本明細で使用される用語「全血」は、血漿と呼ばれる流体中に懸濁された赤血球、白血球及び血小板を含む流体を指す。全血サンプルは、任意の動物から採集されうる。好ましくは、全血サンプルは、ヒト患者から採集される(ヒト全血サンプル)。
対象化合物に全血を曝露するためのいくつかの方法がある:
方法1)1つの可能性は、全血サンプルに化合物を加えることである。化合物は、サンプルが採集された後できるかぎり早く、好ましくは採集後4時間以内に、より好ましくは採集後0.5〜3時間に加えられる。最も好ましくは、化合物は、採集後30〜60分に加えられる。
全血サンプルに化合物を加えることとサンプルを処理することとの間にインキュベーション期間がある。インキュベーションは、好ましくは血液サンプルの採集後4時間以内に開始する。全血サンプルを好ましくは少なくとも30分間対象化合物とインキュベーションする。より好ましくは、インキュベーション期間は、少なくとも1時間であり、さらにより好ましくは、全血サンプルと対象化合物とのインキュベーションは少なくとも2時間である。好ましくは、全血サンプルを対象化合物と48時間以下、より好ましくは24時間以下インキュベーションする。好ましいインキュベーション期間は30分〜24時間である。更なる好ましいインキュベーション期間は2〜24時間である。より好ましくは、インキュベーション期間は30分〜4時間である。
インキュベーションは、室温(20℃)以上の温度で行う。好ましくは、サンプルを生理学的条件下で(温度:35〜39℃、好ましくは約37℃、CO濃度3〜7%、好ましくは約5%)インキュベーションする。
方法2)第2の可能性は、対象化合物をドナーに投与し(例えば、注入により)、その後全血サンプルを採集することである。
対象化合物を投与することと全血サンプルを採集することとの間に待機時間がある。該待機時間は30分〜24時間である。
さらに2つの方法の組み合わせが可能であり、即ち、ドナーに対象化合物を投与し、ドナーの全血サンプルを採集し、そして全血サンプルに対象化合物を加えることである。
曝露の後、サンプルを更に処理する。更なる処理は、全血サンプルから血液細胞を除去することを含むが、それに限定されない。場合により、フィブリノーゲン及び凝固因子をサンプルから更に除去する。好ましくは、全血サンプルを、ドナーからの採集後4時間以内に、より好ましくはドナーからの血液サンプルの採集後3時間以内に更に処理される。最も好ましくは、全血サンプルの処理は、ドナーからの血液サンプルの採集後30〜60分以内になされる。対象化合物と全血サンプルのインキュベーションの場合(方法1に従う曝露又は方法1及び2の組み合わせ)、血液サンプルの更なる処理は、インキュベーションの期間の後、好ましくはインキュベーション時間の終わりの後5〜60分以内になされる。
PTX3は、前記全血サンプルに由来する血清又は血漿において測定されうる。PTX3レベルの測定は、対象化合物とのインキュベーションの後全血サンプルから得られた新鮮な血漿又は血清において行われうる。あるいは、血漿又は血清は、凍結させることができ、そして後日、解凍してPTX3レベルを測定することができる。
用語「血漿」は、血液の液体部分を指す。血漿は、遠心により血液細胞(赤血球、白血球、血小板)を除去することにより得られる。上清(=血漿)は、血清、フィブリノーゲン及び他の凝固因子を含む。したがつて、血清は凝固因子なしの血漿である。
用語「血液細胞」は、血液中に普通に見出される任意のタイプの任意の細胞を指す。血液細胞は、赤血球、白血球及び血小板を含むが、それらに限定されない。
全血サンプル又は血漿の凝固を防止又は遅延させるために、凝固防止剤をサンプルに加える。好ましくは、凝固防止剤は、ヘパリン(例えはヘパリンNa、例えば30USP〜143USP単位のヘパリンナトリウム(凍結乾燥された)又は60〜90USP単位のヘパリンナトリウム(噴霧コーティングされた))、クエン酸塩(例えば約0.4%の最終濃度)又はシュウ酸塩である。通常、凝固防止剤は、サンプルを入れる容器(例えばチューブ)の内表面にコーティングされる。このようなコーティングされたチューブは当業者に周知である(例えば、BD Diagnostic SystemsのVacutainer又はGreiner-Bio-oneのvacuette)。他の可能性は、血液の採集後5〜15分以内に(好ましくは採集後5分未満に、より好ましくは採集後1分未満に)、サンプルに凝固防止剤を加えることもできる。ヘパリン処理した血漿は、凝固を防止するためのヘパリンを含む血漿である。
PTX3の測定方法は、当業者に周知である。それは、例えば、酵素結合免疫吸着法(ELISA)を使用することにより測定されうる。ELISA試験は、当業者に周知である。PTX3を測定するために、典型的にはサンドイッチELISAが使用される。キットは市販されている(例えば、ALEXIS BiochemicalsのCat.No.ALX−850−299)。好ましくは、PTX−3レベルは、増感化学発光(ECL)ELISAにより測定される。
サンドイッチELISAは、例えば、(1)固体支持体(例えばプレート)を捕捉抗体でコーティングする、(2)サンプル(血漿)を加えそして存在する任意の抗原を捕捉抗体に結合させ;(3)抗原に結合する検出抗体を加え(4)検出抗体に結合する酵素結合二次抗体を加え;(5)酵素により検出可能な形態に変換される基質を加えることにより行われる。
ECL ELISAにおいて、二次抗体に結合された酵素は、直接又は間接的に、ECL基質を、化学発光を放出する形態に変換する。適当な酵素は、例えばセイヨウワサビペルオキシダーゼ酵素(HRP)である。適当なECL基質は、例えばルミナールである。酵素は、対象分子のすぐ近くでECL基質の増感された試薬への変換を触媒し、これは、過酸化水素により更に酸化されると三重項(励起された)カルボニルを産生し、これは一重項カルボニルに崩壊するとき光を放出する。増感化学発光は、微量のバイオ分子の検出を可能とする。タンパク質は、フェムトモル量まで検出されうる。
別のPTX3測定方法は、比色ELISAアッセイである。比色ELISAにおいて、二次抗体に結合した酵素は、基質を分光光度法により検出可能な形態に直接又は間接に変換する。適当な酵素は、例えば、TMB(テトラメチルベンジジン)、DAB(3,3’−ジアミノベンジジン、AEC(3−アミノ−9−エチルカルバゾール)又はCN(4−クロロ−1−ナフトール)と組み合わせたセイヨウワサビペルオキシダーゼ酵素である。他の適当な酵素は、例えばナフトールAS−MXホスフェート又はニトロブルーテトラゾリウム/5−ブロム−4−クロロ−3−インドキシルホスフェートp−トルイジン(NBT/BCIP)と組み合わせたアルカリホスファターゼ(AP)である。
対象化合物は、該化合物への曝露後測定されたPTX3レベルがコントロールのPTX3レベルに比較して有意に増加している場合、in vivoでCRSを誘発するリスクを有する。
コントロールは、非曝露全血サンプルのPTX3レベルである。非曝露とは、該血液が対象化合物にも生理学的条件下でサイトカイン放出を引き起こすことが知られている他の化合物にも曝露されていないことを意味する。好ましくは、血液は処理の前に物質に全く曝露されなかった。
有意に増加したとは、PTX3レベルが対照に比較してより高く、そして対照レベルに対する差が統計的に有意である(relevant)(p≦0.05、好ましくはp≦0.01)ことを意味する。
今、本発明を一般的に説明してきたが、本発明は、下記の図面と関連して、説明の目的でのみ本明細書に含まれそして特記しない限り限定的であることを意図しない特定の実施例により更に良く理解されるであろう。
図1は、MabCampath(登録商標)、Synagis(登録商標)、Orthoclone OKT(登録商標)3又はLPSに曝露した後の全血中のCD11b+好中球の活性化(I)及び測定されたPTX3の放出(II及びIII)のグラフ表示を示す。全血サンプルを2つの異なる個体ドナー1(図1A)及びドナー2(図1B)から採集しそして各々(0.001〜100ng/ml)LPS(△)により又は治療タンパク質のヒトにおいて初めての(first-in-man)注入期間中in vivoで典型的に達成された薬物曝露レベルに対応する0.01〜200μg/mlの濃度範囲の陽性対照mAb MabCampath(登録商標)(◆)、陰性対照Ab Synagis(登録商標)(□)及び比較物mAb Orthoclone OKT3(登録商標)(▲)により2時間処理した。CD11b発現を、血漿(全血サンプルから血液細胞を除去することにより得られた)においてFACS(I)により測定しそしてPTX3放出を、比色(II)又は電気化学発光(III)カスタムサンドイッチELISAにより測定した。 図1は、MabCampath(登録商標)、Synagis(登録商標)、Orthoclone OKT(登録商標)3又はLPSに曝露した後の全血中のCD11b+好中球の活性化(I)及び測定されたPTX3の放出(II及びIII)のグラフ表示を示す。全血サンプルを2つの異なる個体ドナー1(図1A)及びドナー2(図1B)から採集しそして各々(0.001〜100ng/ml)LPS(△)により又は治療タンパク質のヒトにおいて初めての(first-in-man)注入期間中in vivoで典型的に達成された薬物曝露レベルに対応する0.01〜200μg/mlの濃度範囲の陽性対照mAb MabCampath(登録商標)(◆)、陰性対照Ab Synagis(登録商標)(□)及び比較物mAb Orthoclone OKT3(登録商標)(▲)により2時間処理した。CD11b発現を、血漿(全血サンプルから血液細胞を除去することにより得られた)においてFACS(I)により測定しそしてPTX3放出を、比色(II)又は電気化学発光(III)カスタムサンドイッチELISAにより測定した。 図2は、MabCampath(登録商標)、Synagis(登録商標)、Orthoclone OKT(登録商標)3又はLPSに曝露した後の全血中のTNF−α放出のグラフ表示を示す。全血サンプルを2つの異なる個体ドナー1(図2A)及びドナー2(図2B)から採集しそして各々陽性対照mAb MabCampath(登録商標)(◆)、陰性対照Ab Synagis(登録商標)(□)及び比較物mAb Orthoclone OKT(登録商標)3(▲)により又は(0.001〜100ng/ml)LPS(△)により2時間処理した。CD11b及びPTX3濃度を血漿(全血サンプルから血液細胞を除去することにより得られた)において測定した。典型的には、mAb MabCampath(登録商標)は、両ドナーにおいて、強いTNF−α放出を引き起こし、1μg/mlのピークレベルに達したが、これに対して、mAb Synagis(登録商標)は、両ドナーにおいていかなる濃度でも陰性であった。MAb Orthoclone OKT(登録商標)3は、一方のドナーの血液においてのみTNF−αの用量依存的に増加したが(図2A)、他方のドナーにおいては示さなかった(図2B)。 図2は、MabCampath(登録商標)、Synagis(登録商標)、Orthoclone OKT(登録商標)3又はLPSに曝露した後の全血中のTNF−α放出のグラフ表示を示す。全血サンプルを2つの異なる個体ドナー1(図2A)及びドナー2(図2B)から採集しそして各々陽性対照mAb MabCampath(登録商標)(◆)、陰性対照Ab Synagis(登録商標)(□)及び比較物mAb Orthoclone OKT(登録商標)3(▲)により又は(0.001〜100ng/ml)LPS(△)により2時間処理した。CD11b及びPTX3濃度を血漿(全血サンプルから血液細胞を除去することにより得られた)において測定した。典型的には、mAb MabCampath(登録商標)は、両ドナーにおいて、強いTNF−α放出を引き起こし、1μg/mlのピークレベルに達したが、これに対して、mAb Synagis(登録商標)は、両ドナーにおいていかなる濃度でも陰性であった。MAb Orthoclone OKT(登録商標)3は、一方のドナーの血液においてのみTNF−αの用量依存的に増加したが(図2A)、他方のドナーにおいては示さなかった(図2B)。 図3は、異なる濃度(200μg/ml、100μg/ml、10μg/ml、1μg/ml、0.1μg/ml、0.01μg/ml)のmAb MabCampath(登録商標)(◆)、Orthoclone OKT(登録商標)3(▲)、Synagis(登録商標)(□)、又はLPS(△)の存在下で2時間後分析された5〜10人の健康な個体からの全血サンプルにおいて測定したCD11b+好中球の活性化(I)ならびにPTX3(II)及びTNF−α(III)の放出のグラフ表示である。PTX3及びTNF−αを、血漿(全血サンプルから血液細胞を除去することにより得られた)において測定した。A):ドナー1、B):ドナー2、C):ドナー3、D):ドナー4、E):ドナー5、F):ドナー6、G):ドナー7、H):ドナー8、I):ドナー9、K):ドナー10 図3は、異なる濃度(200μg/ml、100μg/ml、10μg/ml、1μg/ml、0.1μg/ml、0.01μg/ml)のmAb MabCampath(登録商標)(◆)、Orthoclone OKT(登録商標)3(▲)、Synagis(登録商標)(□)、又はLPS(△)の存在下で2時間後分析された5〜10人の健康な個体からの全血サンプルにおいて測定したCD11b+好中球の活性化(I)ならびにPTX3(II)及びTNF−α(III)の放出のグラフ表示である。PTX3及びTNF−αを、血漿(全血サンプルから血液細胞を除去することにより得られた)において測定した。A):ドナー1、B):ドナー2、C):ドナー3、D):ドナー4、E):ドナー5、F):ドナー6、G):ドナー7、H):ドナー8、I):ドナー9、K):ドナー10 図3は、異なる濃度(200μg/ml、100μg/ml、10μg/ml、1μg/ml、0.1μg/ml、0.01μg/ml)のmAb MabCampath(登録商標)(◆)、Orthoclone OKT(登録商標)3(▲)、Synagis(登録商標)(□)、又はLPS(△)の存在下で2時間後分析された5〜10人の健康な個体からの全血サンプルにおいて測定したCD11b+好中球の活性化(I)ならびにPTX3(II)及びTNF−α(III)の放出のグラフ表示である。PTX3及びTNF−αを、血漿(全血サンプルから血液細胞を除去することにより得られた)において測定した。A):ドナー1、B):ドナー2、C):ドナー3、D):ドナー4、E):ドナー5、F):ドナー6、G):ドナー7、H):ドナー8、I):ドナー9、K):ドナー10 図3は、異なる濃度(200μg/ml、100μg/ml、10μg/ml、1μg/ml、0.1μg/ml、0.01μg/ml)のmAb MabCampath(登録商標)(◆)、Orthoclone OKT(登録商標)3(▲)、Synagis(登録商標)(□)、又はLPS(△)の存在下で2時間後分析された5〜10人の健康な個体からの全血サンプルにおいて測定したCD11b+好中球の活性化(I)ならびにPTX3(II)及びTNF−α(III)の放出のグラフ表示である。PTX3及びTNF−αを、血漿(全血サンプルから血液細胞を除去することにより得られた)において測定した。A):ドナー1、B):ドナー2、C):ドナー3、D):ドナー4、E):ドナー5、F):ドナー6、G):ドナー7、H):ドナー8、I):ドナー9、K):ドナー10 図3は、異なる濃度(200μg/ml、100μg/ml、10μg/ml、1μg/ml、0.1μg/ml、0.01μg/ml)のmAb MabCampath(登録商標)(◆)、Orthoclone OKT(登録商標)3(▲)、Synagis(登録商標)(□)、又はLPS(△)の存在下で2時間後分析された5〜10人の健康な個体からの全血サンプルにおいて測定したCD11b+好中球の活性化(I)ならびにPTX3(II)及びTNF−α(III)の放出のグラフ表示である。PTX3及びTNF−αを、血漿(全血サンプルから血液細胞を除去することにより得られた)において測定した。A):ドナー1、B):ドナー2、C):ドナー3、D):ドナー4、E):ドナー5、F):ドナー6、G):ドナー7、H):ドナー8、I):ドナー9、K):ドナー10 図3は、異なる濃度(200μg/ml、100μg/ml、10μg/ml、1μg/ml、0.1μg/ml、0.01μg/ml)のmAb MabCampath(登録商標)(◆)、Orthoclone OKT(登録商標)3(▲)、Synagis(登録商標)(□)、又はLPS(△)の存在下で2時間後分析された5〜10人の健康な個体からの全血サンプルにおいて測定したCD11b+好中球の活性化(I)ならびにPTX3(II)及びTNF−α(III)の放出のグラフ表示である。PTX3及びTNF−αを、血漿(全血サンプルから血液細胞を除去することにより得られた)において測定した。A):ドナー1、B):ドナー2、C):ドナー3、D):ドナー4、E):ドナー5、F):ドナー6、G):ドナー7、H):ドナー8、I):ドナー9、K):ドナー10 図3は、異なる濃度(200μg/ml、100μg/ml、10μg/ml、1μg/ml、0.1μg/ml、0.01μg/ml)のmAb MabCampath(登録商標)(◆)、Orthoclone OKT(登録商標)3(▲)、Synagis(登録商標)(□)、又はLPS(△)の存在下で2時間後分析された5〜10人の健康な個体からの全血サンプルにおいて測定したCD11b+好中球の活性化(I)ならびにPTX3(II)及びTNF−α(III)の放出のグラフ表示である。PTX3及びTNF−αを、血漿(全血サンプルから血液細胞を除去することにより得られた)において測定した。A):ドナー1、B):ドナー2、C):ドナー3、D):ドナー4、E):ドナー5、F):ドナー6、G):ドナー7、H):ドナー8、I):ドナー9、K):ドナー10 図3は、異なる濃度(200μg/ml、100μg/ml、10μg/ml、1μg/ml、0.1μg/ml、0.01μg/ml)のmAb MabCampath(登録商標)(◆)、Orthoclone OKT(登録商標)3(▲)、Synagis(登録商標)(□)、又はLPS(△)の存在下で2時間後分析された5〜10人の健康な個体からの全血サンプルにおいて測定したCD11b+好中球の活性化(I)ならびにPTX3(II)及びTNF−α(III)の放出のグラフ表示である。PTX3及びTNF−αを、血漿(全血サンプルから血液細胞を除去することにより得られた)において測定した。A):ドナー1、B):ドナー2、C):ドナー3、D):ドナー4、E):ドナー5、F):ドナー6、G):ドナー7、H):ドナー8、I):ドナー9、K):ドナー10 図3は、異なる濃度(200μg/ml、100μg/ml、10μg/ml、1μg/ml、0.1μg/ml、0.01μg/ml)のmAb MabCampath(登録商標)(◆)、Orthoclone OKT(登録商標)3(▲)、Synagis(登録商標)(□)、又はLPS(△)の存在下で2時間後分析された5〜10人の健康な個体からの全血サンプルにおいて測定したCD11b+好中球の活性化(I)ならびにPTX3(II)及びTNF−α(III)の放出のグラフ表示である。PTX3及びTNF−αを、血漿(全血サンプルから血液細胞を除去することにより得られた)において測定した。A):ドナー1、B):ドナー2、C):ドナー3、D):ドナー4、E):ドナー5、F):ドナー6、G):ドナー7、H):ドナー8、I):ドナー9、K):ドナー10 図3は、異なる濃度(200μg/ml、100μg/ml、10μg/ml、1μg/ml、0.1μg/ml、0.01μg/ml)のmAb MabCampath(登録商標)(◆)、Orthoclone OKT(登録商標)3(▲)、Synagis(登録商標)(□)、又はLPS(△)の存在下で2時間後分析された5〜10人の健康な個体からの全血サンプルにおいて測定したCD11b+好中球の活性化(I)ならびにPTX3(II)及びTNF−α(III)の放出のグラフ表示である。PTX3及びTNF−αを、血漿(全血サンプルから血液細胞を除去することにより得られた)において測定した。A):ドナー1、B):ドナー2、C):ドナー3、D):ドナー4、E):ドナー5、F):ドナー6、G):ドナー7、H):ドナー8、I):ドナー9、K):ドナー10 図4は、MabCampath(登録商標)への曝露後のPTX3(I)、TNF−α(II)及びIFN−γ(III)の放出動態のグラフ表示を示す。Y軸:血漿におけるPTX3、TNF−α及びIFN−γの測定濃度;X軸:全血サンプルに加えられたMabCampath(登録商標)の濃度(200μg/ml、100μg/ml、10μg/ml、1μg/ml、0.1μg/ml、0.01μg/ml)。ヒト全血サンプルをMabCampath(登録商標)と30分(◆)、1時間(▲)、2時間(□)及び4時間(○)インキュベーションした。5人の健康なドナーについての結果を示す:A):ドナー6、B):ドナー7、C):ドナー8、D):ドナー9、E):ドナー10 図4は、MabCampath(登録商標)への曝露後のPTX3(I)、TNF−α(II)及びIFN−γ(III)の放出動態のグラフ表示を示す。Y軸:血漿におけるPTX3、TNF−α及びIFN−γの測定濃度;X軸:全血サンプルに加えられたMabCampath(登録商標)の濃度(200μg/ml、100μg/ml、10μg/ml、1μg/ml、0.1μg/ml、0.01μg/ml)。ヒト全血サンプルをMabCampath(登録商標)と30分(◆)、1時間(▲)、2時間(□)及び4時間(○)インキュベーションした。5人の健康なドナーについての結果を示す:A):ドナー6、B):ドナー7、C):ドナー8、D):ドナー9、E):ドナー10 図4は、MabCampath(登録商標)への曝露後のPTX3(I)、TNF−α(II)及びIFN−γ(III)の放出動態のグラフ表示を示す。Y軸:血漿におけるPTX3、TNF−α及びIFN−γの測定濃度;X軸:全血サンプルに加えられたMabCampath(登録商標)の濃度(200μg/ml、100μg/ml、10μg/ml、1μg/ml、0.1μg/ml、0.01μg/ml)。ヒト全血サンプルをMabCampath(登録商標)と30分(◆)、1時間(▲)、2時間(□)及び4時間(○)インキュベーションした。5人の健康なドナーについての結果を示す:A):ドナー6、B):ドナー7、C):ドナー8、D):ドナー9、E):ドナー10 図4は、MabCampath(登録商標)への曝露後のPTX3(I)、TNF−α(II)及びIFN−γ(III)の放出動態のグラフ表示を示す。Y軸:血漿におけるPTX3、TNF−α及びIFN−γの測定濃度;X軸:全血サンプルに加えられたMabCampath(登録商標)の濃度(200μg/ml、100μg/ml、10μg/ml、1μg/ml、0.1μg/ml、0.01μg/ml)。ヒト全血サンプルをMabCampath(登録商標)と30分(◆)、1時間(▲)、2時間(□)及び4時間(○)インキュベーションした。5人の健康なドナーについての結果を示す:A):ドナー6、B):ドナー7、C):ドナー8、D):ドナー9、E):ドナー10 図4は、MabCampath(登録商標)への曝露後のPTX3(I)、TNF−α(II)及びIFN−γ(III)の放出動態のグラフ表示を示す。Y軸:血漿におけるPTX3、TNF−α及びIFN−γの測定濃度;X軸:全血サンプルに加えられたMabCampath(登録商標)の濃度(200μg/ml、100μg/ml、10μg/ml、1μg/ml、0.1μg/ml、0.01μg/ml)。ヒト全血サンプルをMabCampath(登録商標)と30分(◆)、1時間(▲)、2時間(□)及び4時間(○)インキュベーションした。5人の健康なドナーについての結果を示す:A):ドナー6、B):ドナー7、C):ドナー8、D):ドナー9、E):ドナー10 図5は、Synagis(登録商標)への曝露後のPTX3(I)、TNF−α(II)及びIFN−γ(III)の放出動態のグラフ表示を示す。Y軸:血漿におけるPTX3、TNF−α及びIFN−γの測定濃度;X軸:全血サンプルに加えられたSynagis(登録商標)の濃度(200μg/ml、100μg/ml、10μg/ml、1μg/ml、0.1μg/ml、0.01μg/ml)。ヒト全血サンプルをSynagis(登録商標)と30分(◆)、1時間(▲)、2時間(□)及び4時間(○)インキュベーションした。5人の健康なドナーについての結果を示す:A):ドナー6、B)ドナー7、C)ドナー8、D)ドナー9、E)ドナー10 図5は、Synagis(登録商標)への曝露後のPTX3(I)、TNF−α(II)及びIFN−γ(III)の放出動態のグラフ表示を示す。Y軸:血漿におけるPTX3、TNF−α及びIFN−γの測定濃度;X軸:全血サンプルに加えられたSynagis(登録商標)の濃度(200μg/ml、100μg/ml、10μg/ml、1μg/ml、0.1μg/ml、0.01μg/ml)。ヒト全血サンプルをSynagis(登録商標)と30分(◆)、1時間(▲)、2時間(□)及び4時間(○)インキュベーションした。5人の健康なドナーについての結果を示す:A):ドナー6、B)ドナー7、C)ドナー8、D)ドナー9、E)ドナー10 図5は、Synagis(登録商標)への曝露後のPTX3(I)、TNF−α(II)及びIFN−γ(III)の放出動態のグラフ表示を示す。Y軸:血漿におけるPTX3、TNF−α及びIFN−γの測定濃度;X軸:全血サンプルに加えられたSynagis(登録商標)の濃度(200μg/ml、100μg/ml、10μg/ml、1μg/ml、0.1μg/ml、0.01μg/ml)。ヒト全血サンプルをSynagis(登録商標)と30分(◆)、1時間(▲)、2時間(□)及び4時間(○)インキュベーションした。5人の健康なドナーについての結果を示す:A):ドナー6、B)ドナー7、C)ドナー8、D)ドナー9、E)ドナー10 図5は、Synagis(登録商標)への曝露後のPTX3(I)、TNF−α(II)及びIFN−γ(III)の放出動態のグラフ表示を示す。Y軸:血漿におけるPTX3、TNF−α及びIFN−γの測定濃度;X軸:全血サンプルに加えられたSynagis(登録商標)の濃度(200μg/ml、100μg/ml、10μg/ml、1μg/ml、0.1μg/ml、0.01μg/ml)。ヒト全血サンプルをSynagis(登録商標)と30分(◆)、1時間(▲)、2時間(□)及び4時間(○)インキュベーションした。5人の健康なドナーについての結果を示す:A):ドナー6、B)ドナー7、C)ドナー8、D)ドナー9、E)ドナー10 図5は、Synagis(登録商標)への曝露後のPTX3(I)、TNF−α(II)及びIFN−γ(III)の放出動態のグラフ表示を示す。Y軸:血漿におけるPTX3、TNF−α及びIFN−γの測定濃度;X軸:全血サンプルに加えられたSynagis(登録商標)の濃度(200μg/ml、100μg/ml、10μg/ml、1μg/ml、0.1μg/ml、0.01μg/ml)。ヒト全血サンプルをSynagis(登録商標)と30分(◆)、1時間(▲)、2時間(□)及び4時間(○)インキュベーションした。5人の健康なドナーについての結果を示す:A):ドナー6、B)ドナー7、C)ドナー8、D)ドナー9、E)ドナー10 図6は、TNF−α(図6A)、IFN−γ(図6B)及びPTX3放出(図6C)のダイナミックレンジのグラフ表示を示す。ダイナミックレンジの測定のために、10人の健康なドナーからの血液サンプルを指示された濃度のMabCampath(登録商標)の存在下で2時間インキュベーションした。各曲線は、ドナー1〜10人の1人から収集されたデータを表す。 図6は、TNF−α(図6A)、IFN−γ(図6B)及びPTX3放出(図6C)のダイナミックレンジのグラフ表示を示す。ダイナミックレンジの測定のために、10人の健康なドナーからの血液サンプルを指示された濃度のMabCampath(登録商標)の存在下で2時間インキュベーションした。各曲線は、ドナー1〜10人の1人から収集されたデータを表す。 図6は、TNF−α(図6A)、IFN−γ(図6B)及びPTX3放出(図6C)のダイナミックレンジのグラフ表示を示す。ダイナミックレンジの測定のために、10人の健康なドナーからの血液サンプルを指示された濃度のMabCampath(登録商標)の存在下で2時間インキュベーションした。各曲線は、ドナー1〜10人の1人から収集されたデータを表す。 図7は、ECL ELISAによるPTXグラフの検出範囲の表示を示す。測定をドナー1〜10人から採集された全血サンプルから血液細胞を除去することにより得られた血漿において行った。標準プロットは、濃度フレーム及び検出範囲に対する測定された標準の線形性を示す。Aは、検出範囲より上のシグナルを示し、Bは検出範囲内のシグナルを示し、Cは検出範囲より低いシグナルを示す。X軸は濃度(pg/mgl)を、Y軸はシグナル強度を示す。 図8は、TGN11412様抗体、MabCampath(登録商標)(陽性対照)及びEribitux(陰性対照)への曝露後のPTX3の放出のグラフ表示を示す。2つの異なる個体からの血液を、濃度0.1、1.0、10及び100μg/mlにおいて陽性対照mAb MabCampath(登録商標)(○)又は陰性対照Ab Eribitus(登録商標)(◇)及び比較物TGN1412様mAb(■)で24時間処理した。PTX3(I)及びTNF−α放出(II)を、電気化学発光カスタムサンドイッチELISAにより測定した。図8A:ドナーA;図8B:ドナーB 図8は、TGN11412様抗体、MabCampath(登録商標)(陽性対照)及びEribitux(陰性対照)への曝露後のPTX3の放出のグラフ表示を示す。2つの異なる個体からの血液を、濃度0.1、1.0、10及び100μg/mlにおいて陽性対照mAb MabCampath(登録商標)(○)又は陰性対照Ab Eribitus(登録商標)(◇)及び比較物TGN1412様mAb(■)で24時間処理した。PTX3(I)及びTNF−α放出(II)を、電気化学発光カスタムサンドイッチELISAにより測定した。図8A:ドナーA;図8B:ドナーB
実施例:
実施例で言及された市販の試薬は、特記しない限り製造者の使用説明書にしたがって使用された。
実施例1:
A)物質及び方法
試験物質
最も重症なCRSを生じる抗CD28 mAb TGN1412(Suntharalingam G, et al., Cytokine storm in a phase 1 trial of the anti-CD28 monoclonal antibody TGN1412. N Engl J Med. 355(2006): 1018-28)は公に入手可能ではないので、本発明者等は、再製した(remanufactured)抗CD28ヒトIgG、TGN1412様抗体、抗CD3mAb Muromonab-CD3(Orthoclone OKT(登録商標)3)を利用した(Chatenoud L, Ferran C, Legendre C. In vivo cell activation following OKT3 administration. Systemic cytokine release and modulation by steroids. Transplantation. 49(1990): 697-702) and , in particular, the anti-CD52 mAb Alemtuzumab(MabCampath(登録商標))as reference standards(Wing MG, et al. Mechanism of first-dose cytokine-release syndrome by CAMPATH(登録商標)1−H: involvement of CD16(FcgammaRIII) and CD11a/CD18(LEA-1)on NK cells. J Clin. Invest. 98(1996): 2819-26), in accordance to the Expert Scientific Group on Phase One Clinical Trials(ESG Final Report: EXPERT SCIENTIFIC GROUP ON PHASE ONE CLINICAL TRIALS, Final Report, Department of Health(UK), 30. November 2006)。
比較物:Muromonab-CD3(Orthoclone OKT(登録商標)3)、抗CD3マウスIgG2a、Jansen Cilag AG, Switzerland, Lot. No.BN 6GSTV00, 有効期限(Expiry date): 2007年4月, ストック10mg/ml(Centicon Ultracel YM-100. Cat. No. 4211, Miconにより1mg/ml注入溶液から濃縮した)、濃度及び純度を、Bradford分析及びSDS-PAGEによりチェックした。4℃で一定分量保存し、そして更にPBS(pH7.4)で希釈した(「全血アッセイ」参照)。
腎移植患者においてCRSを発症するマウスIgG2a抗CD3 mAb Orthoclone OKT(登録商標)3を追加の参照薬物として使用する。それは、試験された事例の40%においてTNF−α放出について陽性であった(図2、3及び6)。
再製した抗CD28ヒトIgG、TGN1412様抗体(US2006/0286104A1にTeGenero TGN1412公表された配列に基づいて)ストック11.2mg/ml、濃度及び純度をBradford分析及びSDS-PAGEによりチェックした。−80℃に貯蔵し、PBSで更に希釈した。
陽性対照:アレムツズマブ((MabCampath(登録商標))、抗CD52ヒト化IgG1、Schering, Switzerland, Lot.no. 42018R, 有効期限2007年5月及び42019T、有効期限:2007年12月、ストック10mg/ml、無菌液、4℃で一定分量保存;PBSで更に希釈した(「全血液細胞アッセイ」参照)。
白血病、リンパ腫及び多発性硬化症患者において初回投与でCRSを引き起こすことが知られているヒト化IgG1抗CD52 mAb MabCampath(登録商標)(Wing MG, et al., Mechanism of first-dose cytokine-released syndrome by CAMPATH(登録商標)1-H: involvement of CD16(FcgammaRIII) and CD11a/CD18(LFA-1) on NK cells. J Clin. Invest. 98(1996):2819-26)をサイトカイン放出及び付随する好中球の活性化のための陽性対照として使用する。MabCampath(登録商標)は、試験された1つを除くすべてのサンプルにおいて60±10pg/mlの閾値(「閾値」参照)を超えてTNF−α放出を誘導した(図2、3及び6、表5)。動態学研究の最初のドナーは、MabCampath(登録商標)とのインキュベーションの4時間後にのみTNF−α分泌のこの閾値に達した。
陰性対照抗体:パリビズマブ(Synagis(登録商標))、抗RSVヒト化IgG1、Abbott Laboratories, Lot.no.20282 TF,有効期限2008年6月、ストック100mg/ml、医薬製品をエンドトキシンフリー水で再構成、−80℃で一定分量保存し、PBSで更に希釈した(「全血液細胞アッセイ」参照)。
いずれのタイプのCRSとも関連していない子供の先天性心疾患のため適用されるヒト化IgG1抗呼吸器合胞体ウイルス(RSV)mAb Synagis(登録商標)を陰性対照として使用する。MAb Synagis(登録商標)は、試験されたすべての事例においてサイトカイン放出について陰性であった(図2、3及び6)。
患者の約3%において重い注入反応が起こったヒト上皮増殖因子レセプター(EGFR)の細胞外ドメインに特異的に結合するErubitux(Cetuximab(登録商標))、組換えヒト/マウスキメラモノクローナル抗体、ストック2mg/ml、4℃で一定分量保存し、そしてPBSで更に希釈した。
薬物濃度範囲
分析されるべき医薬製品を、0.01〜200μg/ml(0.01μg/ml、0.1μg/ml、1μg/ml、10μg/ml、100μg/ml及び200μg/ml又は0.1μg/ml、1μg/ml、10μg/ml及び100μg/ml)の濃度範囲で試験した。この範囲は、最も多くの例において、それぞれ薬物動態学(PK)プロフィルから誘導された、ヒトにおいて始めての(first-in-man)投与について予測されたそれぞれの製品のピーク曝露レベルを包含する。すべての参照薬物を同じ濃度で平行して分析し、それにより処置された患者におけるそれぞれの薬物の典型的な血漿曝露も包含する。PBSコントロールはベースラインレベルを決定するために含まれた。
薬物濃度>200μg/mlは、血液由来の細胞の死をもたらす、参照薬物、mAb MabCampath(登録商標)の細胞毒性により及び許容できない希釈を回避することにより全血に加えられうる容量制限によりWBAに殆どなじまない。
全血液細胞アッセイ(WBA)
特記しない限り、健康な血液ドナーからの全血は凝固防止剤としてのヘパリンリチウ
ムを含有するバキュテイナーチューブ内に採集された(Blood Donation Center, Swiss Red Cross, Basel, Switzerland, or Roche Pool)。血液を、採集後に1〜3時間内に処理し、そして関連医薬製品の濃度の増加とともに30分〜4時間及び24時間37℃でコインキュベーションした。予備評価実験は、4時間以内に開始された血液処理で最適の性能条件を示した。もし4時間以内でなければ赤血球の溶解がアッセイを妨害するであろう。参照抗体 MabCampath(登録商標)、Orthoclone OKT(登録商標)3及びSynagis(登録商標)を含む医薬製品を下記の濃度で分析した:0.01μg/ml、0.1μg/ml、1μg/ml、10μg/ml、100μg/ml及び200μg/ml。TGN1412様抗体を下記の濃度で分析した:0.1μg/ml、1μg/ml、10μg/ml及び100μg/ml。試験されるべき品目5μlを含有する96ウエルプレートのU底ウエルに血液195μlをトリプリケートで加えた。これらの条件は、少なくとも70μlの血漿を得るため及びそれぞれ血漿におけるPTX3、多重サイトカイン測定及び最後にCD11bフローサイトメトリー細胞分析を行うのに十分な細胞を得るための実行可能性及び効率が最適となる。血液細胞の内因性活性化はPBS(リン酸緩衝生理食塩水、pH7.4)を含有するコントロールを含むことにより評価された。
5%COでのインキュベータにおける37℃で30分〜4時間/24時間のインキュベーション後に、プレートを1800gで5分間遠心した。上清(約70μlの血漿を含有する)を注意深く除去しそして−70℃で一定分量で凍結させた。70μlのPBS(pH7.4)を細胞ペレットに加えそして穏やかに混合した。
TNF−α及びIFN−γ多重アッセイ(MSD)
血漿におけるサイトカインの測定のために、血漿を解凍した。予備試験は、サイトカインのレベルが新しい血漿サンプルと解凍した血漿サンプルとの間で差がないことを示した。サイトカイン濃度は、製造者のプロトコール(MesoScale Discovery, Gaithersburg MA, USA)(Human Cytokine Assay, MS2400 custom plate human TNF-α and IFN-γ2erPlex from MSD)に従う超高感度ヒトサイトカインアッセイにより決定された。プレートを、MSD Discovery workbench software2.0(MesoScale Discovery, Gaithersburg MA,USA)を使用してSector Imager 2400で分析した。
データは、トリプリケートウエル(triplicate wells)からの血漿上清に関する測定値の平均として示される。結果を、pg/mlで表示する。
蛍光活性化細胞ソーター(FACS)
FACS分析のために、全血液細胞50μl(全血液細胞アッセイ参照)を、抗体CD45PerCP,(Cat. No.345809,BD Pharmingen)、CD11bPE(Cat No. 555388, BD Pharmingen)及びCD16FITC(Cat. No.554406, BD Pharmingen)と室温で30分間インキュベーションした。インキュベーション時間後に、FACSLysis Solution(Cat,No. 349202, BD Pharmingen)450μlを細胞懸濁液に加えた。染色されそして固定された細胞を室温で暗所に貯蔵しそしてCD16+/CD45+好中球上のCD11bのアップレギュレーション(Nicholson et al. A novel flow cytometric assay of human whole blood neutrophil and monocyte CD11b levels: upregulation by chemokines is related to receptor expression, comparison with neutrophil shape change, and effects of a chemokine receptor(CXCR2) antagonist. Pulm Pharmacol Ther. 20(2007):52-9.)のために次の日フローサイトメトリー(BD FACS Calibur; CellQuestPro4.0.2.Software, manufacturer ? BD Bioscience San Jose CA, USA)により分析した。
ヒト血漿におけるPTX3の比色ELISA
PTX3ヒト検出セット(Cat.No.ALX-850-299,Alexis Biochemicals(ALEXIS Corporation, Lausen, Scweiz)を使用してサンドイッチELISAを開発した。捕捉抗体(700ng/ml)を4℃で一晩コーティングした後、96ウエルプレート(Cat. No. 446612, Nunc Maxisorpy(商標), Nunc A/S)をPBS-0.05%tweenで洗浄しそして37℃で1〜2時間PBS−0.2%ゼラチン緩衝液でブロッキングした。PBS−tween−2%BSA(tween0.05%、PBSpH7.4)で組換えヒトPTX3タンパク質を希釈することにより較正液(calibrators)を調製した。サンプルと較正液を37℃で2時間インキュベーションし、続いて37℃で1時間ビオチン化検出抗体(50ng/ml)とインキュベーションした。サンプルをストレプトアビジン−ペルオキシダーゼ(Cat. No. 7100-05, Southern Biotech Birmingham,USA)と45分間インキュベーションして比色反応を開始し、次いでTMB(テトラメチルベンジジン,Cat, No. T4444, Sigma Saint Louis,USA)と15分間インキュベーションし、次いで濃硫酸で停止させた。プレートをSoftMax Pro sotware(Molecular Devices, USA)を使用してELISAリーダーで450nmで読み取った。
ヒト血漿におけるPTX3のECL ELISA
MSD QuickPlexカスタムプレート(MesoScale Discovery, Gaithersburg MA, USA)及びイムノアッセイを、PTX3ヒト検出セット(Cat. No. ALX-850-299, Alexis)を使用する電気化学発光によるPTX3測定用にデザインした。捕捉抗体(1μg/ml)をQuickPlexリンカー(Cat. No. K15A06-2, MesoScaleDiscovery)に結合させそしてMSDの使用説明書(MesoScale Discovery, Gaithersburg MA, USA)にしたがってイムノアッセイを行った。プレートをSector Imager 2400 Reader(MesoScale Discovery, Gaithersburg MA, USA)で分析した。
データは、トリプリケートウエルから血漿上清に関する測定値の平均として示される。結果をng/mlで表示する。
閾値の定義(陽性対照)
サンプルは、以下の2つの基準:
(i)60±10pg/mlのカットポイントより高かったTNF−αレベルを測定した。この閾値は、MabCampath(登録商標)の初回注入後にCRSを発症した多発性硬化症患者の血漿から採集されたin vivoデータに由来する(Moreau T, et al. Transient increase in symtoms associated with cytokine release in patients with multiple screlosis. Brain. 119(1996):225-37)。60±10pg/mlは、それぞれの患者群において重症なCRSに関連していることが報告された最も低いTNF−αレベルであった。同様な範囲にあるTNF−α値が、リツキシマブの初回注入後のCRSを示す癌患者に関して見出された(Winkler U, et al., Cytokine-release syndrome in patients with B-cell chronic lymphocytic leukemia and high lymphocyte counts after treatment with an anti-CD20 monoclonal antibody(Rituximab, IDEC-C2B8), Blood. 94(1999): 2217-24)。
(ii)CD11b+好中球の百分率は30%を超えた。
この閾値は、サイトカイン放出がない場合ですら、好中球の活性化は、ある程度観察され、時にはドナーに依存して25〜30%までの値に達することにより説明される。
統計的評価
平均値及び標準偏差をトリプリケートから計算した。動力学的範囲の評価及び分散係数の計算を、Graphpad prism 4により行った(GraphPad Software Inc, La Jolla. USA)。LLOD及びLLOQを、LOD Fit 1.0で計算した(Roche Pharma Informatics)。
in vivoサイトカイン放出とin vitro評価の関係
WBAプロトコールは、関連医薬製品の濃度を増加させながら、採集後1〜3時間以内に、健康な個体又は患者からのヘパリン処理血液の4時間までの37℃でのOKT(登録商標)コインキュベーションについて予測する。その後これらのサンプルに由来する血漿を、PTX3ならびに前炎症性サイトカインTNF−α及びIFN−γの放出について分析する。
このプロトコールは、in vivoでの状況をできる限り模倣する:CRSを引き起こすことが報告された抗体は初回注入の開始後0.5〜4時間以内に、TNF−α及び/又はIFN−γ及び潜在的に他のサイトカイン及びケモカイン、例えばIL−6、IL−8の全身系放出を誘導する(Moreau T, et al., Transient increase in symptom associated with cytokine release in Patients with multiple sclerosis. Brain. 119(1996): 225-37; Suntharalingam G, et al., Cytokine storm in a phase 1 trial of the anti-CD28 monoclonal antibody TGN1412. N Engl J Med. 355(2006): 1018-28)。更に全身性炎症性応答症候群を有する又は敗血症性ショックを起こす患者において、PTX3血漿レベルは、最初の24時間の間に劇的に増加しそして臨床的スコア及び疾患の重症さと相関する(Muller B, et al., Circulating levels of the long pentraxinPTX3 correlate with severity of infection in critically ill patients, Crit Care Med. (2001)29:1404-1407)。総じてこれらの可溶性因子は、放出され、そして血流を介して体内循環されるサイトカインの量、位置、タイミング及びタイプに明らかに依存して変化する重症度の相当な数の症状を引き起こし、そして影響すると考えられる。
終点
重要な前炎症性サイトカイン、例えばTNF−α及びIFN−γの薬物誘導サイトカイン放出、分泌のリスク及び好中球上の接着分子CD11bのアップレギュレーションのリスクに取り組むために、2つのタイプの終点が確立された。
a.前炎症性サイトカインTNF−α及びIFN−γ
サイトカインの中でも、サイトカインTNF−α、IL−6及びIFN−γは、初回注入に関連するCRSに関して繰り返し述べられている。主としてTNF−αは、それぞれの薬物により放出されるべき動態学的に最初のかつペースメーキングサイトカインであると思われ、TNF−α放出の振幅はCRSの重症度とある程度相関している(Suntharalingam G, et al. Cytokine storm in a phase 1 trial of the anti-CD28 monoclonal antibody TGN1412. N Engl J Med 355(2006): 1018-28; Winkler U, et al., Cytokine-release syndrome in patients with B-cell chronic lymphocytic leukemia and high lymphocyte counts after treatment with an anti-CD20 monoclonal antibody(Rituximab, IDEC-C2B8). Blood. 94(1999): 2217-24)。
表示されたサイトカインは、小容量のサンプルにおける多重アナライトの検出を可能とするMSD 超高感度サイトカインアッセイ(MesoScale Discovery, Gaithersburg Maryland,USA) の使用により測定される。慣用のELISAに比較して、MSDシステムは、(i)広いダイナミックレンジ及び高感度スルホ−TAG電気発光検出(ii)多重スポットプレート上のパターン化されたアレイに固定された特異的抗体を介するアナライトの効率的な捕捉及び(iii)独特なバーコードシステムによるプレート製造レコード及び抗体スポットパターンへの完全なトレーサビリティーという利点を有する。
b.好中球上の接着分子CD11b
サイトカイン放出は、血圧低下及びときには多重器不全をもたらす血液細胞の末梢組織への毛細管漏洩及び血管外遊出としばしば連動している(Suntharalingam G, et al. Cytokine storm in a phase 1 trial of the anti-CD28 monoclonal antibody TGN1412. N Engl J Med. 355(2006): 1018-28)。高レベルで接着分子CD11bを発現する活性化された好中球(Nicoholson GC, et al., A novel flow cytometric assay of human whole blood neutrophil and monocyte CD11b levels: upregulation by chemokines is related to receptor expression, comparison with neutrophil shape change, and effects of a chemokinereceptor(CXCR2) antagonist. Pulm Pharmacol Ther. 20(2007):52-9)は、毛細管漏洩及びその結果に関与している免疫細胞のサブセットに属すると思われる。したがって、CD11b+好中球の画分の測定は、潜在的な下流事象、例えば好中球の活性化、毛細管壁への好中球の接着及び毛細管漏洩症候群をもたらす上皮内膜の付随する開始に前炎症性サイトカインの放出に関連している。
活性化された好中球の画分は、CD45+/CD16+血液細胞のサブセットに関してゲーティングするマルチカラーフローサイトメトリーにより測定されうる。それぞれの薬物の添加によるCD11b+細胞の百分率のベースラインに対する変化は、再評価されなかった。
閾値
サイトカイン
血漿中の分泌されたTNF−αの量は、初回投与時のCRSに関連した症状の数及び重症度と明らかに相関する。結果として、MSD試験で決定されたTNF−αの量は、リスク評価に最も関連していると考えられる。MabCampath(登録商標)で処置された多発性硬化症患者(Moreau T, et al., Transient increase in symptoms associated with cytokine release in patients with multiple sclerosis. Brain. 119(1966): 225-37)ならびにリツキシマブで処置されたリンパ腫又は白血病患者(Winkler U, et al., Cytokine-release syndrome in patients with B-cell chronic lymphocytic leukemia and high lymphocyte counts after treatment with an anti-CD20 monoclonal antibody(Rituximab, IDEC-C2B8).Blood. 94(1999):2217-24)からex vivoで得られたデータにしたがえば、60±10pg/mlのTNF−αレベルは、陽性を陰性サンプルから識別するのに合理的なカットポイントと考えられた。この閾値は、CRSの軽度な型の誘導のために十分なTNF−αの最小レベルに相当する。
CD11b
TNF−α又は他のサイトカインの1つの不存在下に、CD11b+好中球のサブセットは、本明細書に述べたWBAの条件下で約30%までのベースライレベルに達することを示した。結果として、30%の百分率がカットポイントとして使用された。したがって、CD11b+好中球の>30%の値のみを陽性シグナルと考えた。
要約すると、TNF−αレベル>60pg/ml及び>30%CD11b+好中球を達成するサンプルは、臨床的に有意義なサイトカイン放出のリスクについて「陽性」と考えられた。
サイトカイン放出及び好中球活性化の長期的安定性
健康な個体からの全血における薬物で誘導されるサイトカイン放出及び付随する好中球活性化は、大きく変動するというよりはむしろ長期的に安定であると思われる。ゆえにサイトカイン放出の長期的安定性の研究はここでは繰り返さなかった。
技術的適格性
TNF−αは、多くの場合にCRSに罹っている患者において放出される動態学的に最初のサイトカインであることが分かったので、TNF−αはCRSのリスク評価のための重要なサイトカインであると思われる。結果として下記に詳述した技術的適格性プログラムは、主としてTNF−αで得られたデータを指す。
しかしながら追加のサイトカインIFN−γは、主に確認の理由で研究された。
接着分子CD11bのアップレギュレーションにより決定される、好中球活性化によりTNF−α放出がどの程度に達成されるかを評価するために、CD11b+好中球のサブセットを平行して分析した。画期的なアプローチとしてPTX3をヒト血漿において測定して、好中球活性化を翻訳するための準備を評価し、そしてPTX3がCRSのリスクの評価のための適切なパラメーターとして役立ちうるかどうかを決定した。
MabCampath(登録商標)は、WBAの技術的定性のための主要な参照薬物として選ばれた。何故ならば、大多数の血液ドナーは、MabCampath(登録商標)の存在下で適度〜強いサイトカイン放出を示したからである。
PTX3測定及び好中球活性化(結果)
OKT3(登録商標)
2つの異なる個体からの血液サンプルを、(0.001〜100ng/ml)リポ多糖(LPS)又は、治療タンパク質のヒトにおいて最初の注入期間中in vivoで典型的に達成される薬物曝露レベルに相当する0.01〜200μg/mlの濃度範囲の陽性対照mAb MabCampath(登録商標)、陰性対照Ab Synagis(登録商標)及び比較物mAb Orthoclone OKT3(登録商標)で2時間処理した。CD11b発現をFACSにより測定した。PTX3放出を、比色又は電気化学発光カスタムサンドイッチELISAにより測定した。
血液との2時間のコインキュベーションの後、Synagis(登録商標)以外のすべての試験した薬物は、両ドナーにおいて好中球の活性化のための30%閾値より大きいCD11bのアップレギュレーションを誘導した。更に、LPS、MabCampath(登録商標)及びOrthoclone OKT3(登録商標)は、両ELISAアッセイプラットホームにおける用量依存性PTX3放出を引き起こした。比色及びECL ELISA PTX3用量応答曲線は、同様な形状を示したが、測定した濃度の並べての比較はそれぞれ0.1〜0.6ng/ml対10〜60ng/mlの範囲の値で2つの方法間で100倍の差を示した(図1)。
臨床試験及びex-vivoでの研究において報告されたPTX3の血液レベルは、典型的には、8時間後の敗血症性患者の800ng/mlに対して、コントロールでは2ng/mlより低い範囲にある(Bottazzi B, Garlanda C, Salvatori G, Jeannin P, Manfredi A, Mantovani A. Pentraxins as a key component of innate immunity. Curr Opin Immunol(2006)18: 10-15)。これらの値は、ECLアッセイで得られたPTX3濃度のスケールに相当し、かくして本研究におけるPTX3測定のために選ばれる方法としてこのアッセイが好まれる。
TGN1412様抗体
2人の異なる個体からの血液を、治療タンパク質のヒトにおいて初めての注入期間中in vivoで典型的に達成される薬物曝露レベルに相当する0.1〜100μg/mlの濃度範囲の陽性対照mAb MabCampath(登録商標)又は陰性対照Ab Erbitux(登録商標)及び比較物TGN1412様mAbで24時間処理した。PTX3放出を電気化学発光カスタムサンドイッチELISAにより測定した。結果を図8に示す。
正確さ
最も正確なPTX3 ELISA法を決定するために、2人のヒト全血ドナーに由来する血漿を、0〜2500pg/mlの範囲で組換えヒトPTX3濃度を増加させながらスパイキングした。次いでPTXについてのシグナルをECL ELISA対比色ELISAにより測定した。
ECL法により測定されると、10〜2500pg/mlのスパイキング濃度におけるPTX3回収範囲は、第1のドナーで12〜1365pg/mlでありそして第2のドナーでは16〜2104pg/mlであった(表1)。
全く同じサンプルをPTX3比色アッセイで測定すると(表1)、値は355〜6464pg/mlの範囲にあった。
結論として、ヘパリン処理ヒト血漿におけるPTX3の測定における回収は、ECL ELISA技術を使用するとより正確であることが見出された。したがってこの方法は、本研究においてPTX3の更なる測定のために選択された。
マトリックス効果
マトリックスがPTX3検出をどの程度妨害するかを決定するために、ヘパリン又はEDTA凝固防止剤で処理された2人のドナーの血液から得られた血漿でPTX3標準を希釈した。回収されたPTX3濃度を較正液希釈剤で得られた標準曲線濃度と比較した。
ECL
ECLアッセイにより、10〜2500ng/mlにおいて、回収されたPTX3の全体の百分率は、ヘパリン処理血漿において85±13%でありそしてEDTA血漿においては4000%以上であった(表2)。
提供者により特定されたとおりヘパリン処理血液における測定のために比色法によるアッセイは適当ではない。
感度
25人の健康な血液ドナーからのサンプルを、PTX3終点について、検出の下限(LLOD)及び定量の下限(LLOQ)を決定するために分析した((IUPAC Technical Report)Harmonized guidelines for single-laboratory validation of methods of analysis, Pure and Applied Chemistry(2002)74:835-855)。
PTX3測定のLLODは、0.065ng/mlであり、LLOQは0.466ng/mlであることが見出された(表3)。これは、ヒトPTX3検出セット抗体の供給者により与えられた値と一致しており、ELISA適用では75pg/mlのLLODである。
2〜1000ng/mlPTX3の範囲にある値のみがex vivoでのPTX3分析により関連していると考えられるので、このアッセイは、ヒト血液におけるPTX3レベルの有意義な変化を測定するのに感度に関して非常によく適する。
CD11bのフローサイトメトリー分析は、全血中の細胞の全セットに対する細胞のサブセットの測定に依存しており、それについて<1.0%の感度がフローサイトメトリー分析の標準セッティングで容易に得られる。30%CD11b+好中球のカットポイントより上の値のみがリスク評価に関連していると考えられるので、フローサイトメトリー分析の検出感度が適当であると考えられている。
PTX3応答の動力学的範囲及び動態学
PTX3の分析に関して、ECL PTX3 ELISA試験の較正曲線の線形範囲は、典型的には0.6〜2500ng/mlの範囲にある。この範囲は、敗血症及び内毒素ショック期間の200〜800ng/mlの範囲にある6〜8時間に報告された患者血液におけるPTX3値のピークと共に、臨床試験において又はいくつかの症状においてex vivoで患者からの血液において観察されたPTX3値の全スペクトルを包含する(Bottazzi B, Garlanda C, Salvatori G, Jeannin P, Manfredi A, Mantovani A. Pentraxins as a key component of innate immunity. Curr Opin Immunol(2006) 18: 10-15; Latini R., Maggioni A. P., Peri G., Gonzini L, Lucci D, Mocarelli P, Vago L, Pasqualini F, Signorini S, Soldateschi D, Tarli L, Schweiger C, Fresco C, Cecere R, Tognoni G, Mantovani A; Lipid Assessment Trial Italian Network(LATIN)Investigators. Prognosic significance of the long pentraxin PTX3 in acute myocardial infarction. Circulation(2004)110: 2349-2354; Muller B, Peri G, Doni A, Torri V, Landmann R, Bottazzi B, Mantovani A. Circulating levels of the long pentraxin PTX3 correlate with severity of infection in critically ill patients, Crit Care Med. (2001)29:1404-1407)。
本発明者等のアッセイにおいてPTX3放出は、プラトーに達することなく薬物濃度及びインキュベーション時間と共に増加した。適用された薬物濃度においてピークに達するサイトカイン及びCD11b値と異なって、TNF−α及びIFN−γ分泌は薬物インキュベーションの期間と共に増大するが、2時間後サイトカインの分泌程度は、試験されたドナーの90%において60pg/ml閾値に達するのに十分である。
全血に0.01〜200μg/ml MabCampath(登録商標)負荷の2時間後、PTX3の最大値22〜88ng/mlが10人の健康なドナーから得られた(図6C)。
LPS0.001〜100ng/mlに応答するPTX3放出のダイナミックレンジは、試験された5人の健康な個体について22〜91pg/mlの範囲にあって、僅かに広い範囲であった。
活性化された好中球の指標となる、CD11b+好中球のサブセットを測定するためのフローサイトメリトーアッセイにおいて、ダイナミックレンジは1〜100%の間隔内にある。好中球活性化評価において実際に得られた値は、典型的には3〜97%CD11b+好中球の範囲にあった(図3、表5)。
TNF−αの分析のために、MSD試験の較正曲線の線形部分は、典型的には10〜10000pg/mlの範囲にあり、これは、CRSを引き起こす薬物の注入時の臨床試験又は市販後においてex vivoで患者血液で報告されたTNF−α値の全セットを包含する(Moreau T, et al., Transient increase in symptoms associated with cytokine release in patients with multiple sclerosis. Brain. 119(1996): 225-37; Moreau T, et al., Transient increase in symptoms associated with cytokine release in patients with multiple sclerosis. Brain. 119(1996): 225-37; Winkler U, et al., Cytokine-release syndrome in patients with B-cell chronic lymphocytic leukemia and high lymphocyte counts after treatment with an anti-CD20 monoclonal antibody(Rituximab, IDEC-C2B8). Blood. 94(1999): 2217-24)。
それにしたがえば、4時間のMab Campath(登録商標)負荷において、64〜690pg/mlTNF−α放出のピーク値が9人の健康なドナーからの全血において得られた。一人のドナーでは、2時間目のサイトカインレベルは低くそしてTNF−α放出は60pg/ml閾値に達しなかった(図3、4及び5)。より高い範囲は、12〜1904pg/mlの濃度でIFN−γピーク値で観察された(図4)。
特異性
全血アッセイの特異性は、2つのレベル:(i)ドナー特異的応答及び(ii)薬物特異的応答で確立された。
ドナー特異性は、mAb MabCampath(登録商標)及びOrthoclone OKT3(登録商標)の存在下でサイトカイン及びCD11b分析により検討され:ドナー2は、MabCampath(登録商標)に応答してTNF−α及びIFN−γの分泌に関して陽性であった。対照的に、ドナー1は、TNF−α及びIFN−γの誘導に関してMabCampath(登録商標)に応答しなかった(図3、表5)。ドナー差はPTX3測定においても観察され、動態学研究のドナー1で35ng/mlのベースライン値に対してドナー3、4及び5では3〜5ng/mlであった(図4及び5)。
アッセイは顕著な薬物特異性も確証する:mAb MabCampath(登録商標)はドナー3においてTNF−α及びIFN−γ放出を誘導したが、これに対してmAb Orthoclone OKT3(登録商標)は誘導しなかった(表5)。逆の傾向が、TNF−α及びIFN−γの誘導によりmAb Orthoclone OKT3(登録商標)に強く応答したがmAb MabCampath(登録商標)添加後非常に少量のサイトカインを分泌したドナー1で見られた(表5)。
分散係数:濃度及びドナーにおける精度
分散係数(CV)がそれぞれの抗体の濃度又はドナーの選択にどの程度依存しているかを評価するために、10人の個体からの血液サンプルを5つの異なる濃度のmAb MabCampath(登録商標)で試験し、そしてmAb MabCampath(登録商標)のそれぞれの濃度で1人のドナーからのサンプルで得られたCV値を他の9人のドナーのCV値と比較した。更に濃度におけるすべてのCV値の平均及びSDを計算しそしてグループあたりの最小値(CVmin)及び最大値CV(CVmax)値を算出した(表4)。
PTX3についてのCV値の分析は、1.6〜2.5%のCVmin値及び13.4〜23.5%のCVmax値を示し(表4)、平均CV値は、濃度間で非常に低い分散を示した(5.1〜9.8%)。
CV値のより広い分布が、濃度曲線の下端を除いてCD11bアップレギュレーションアッセイで見出された(CVmin:1.0〜8.6%、CVmax:4.7〜42.0%、平均CV:2.5〜19.9%)(表4)。
結論として、PTX3CV値は、ドナー及び濃度において適度に変化しそして薬物濃度と何ら相関も示さなかった。異なるドナーからのサンプル間でCV値の有意な変化も観察されなかった。
閾値評価
PTX3放出がWBAにおいて有意に陽性であると考えられる閾値を評価するために、本発明者等は、陰性対照mAb Synagis(登録商標)の存在下で2時間後に測定されたPTX3応答について平均+2SDの値を決定した。この研究のすべての濃度及び10人すべてのドナーにおいて、このカットポイント値は25ng/mlに相当する(表6)。
したがって、この結果に基づいて、本発明者等は、2時間目の25±5ng/mlPTX3濃度をWBAにおいて陽性応答と陰性応答を区別するための閾値として使用することを提唱する。
このような条件において、すべてのドナー1〜5は、mAb MabCampath(登録商標)及びmAb Orthoclone OKT3(登録商標)との2時間のインキュベーション後の応答について陽性であると考えられる。mAb MabCampath(登録商標)で興味深いことに、ドナー1は、TNF−α(64±15pg/ml)及びPTX3(22.7±3.5ng/ml)の両方の放出についてちょうど閾値に達する。更にPTX3応答は、mAb MabCampath(登録商標)で陽性としてドナー4を定性するのにサイトカイン分泌と整合するが、CD11bアップレギュレーションは、30%閾値より低くかった(表5)。更に、予想されたとおりサイトカイン分泌の点でSynagis(登録商標)に応答しなかったドナー3は、PTX3放出に関しても陰性と思われる(13.99±0.6ng/ml)。対照的に、動態学研究のドナー1は、その結果単にSynagis(登録商標)(0.5時間)でのその高いPTX3ベースラインレベル(36.45±2.01ng/ml)により、薬物曝露とは独立にPTX3について陽性と考えられる。
要約すると、2時間後に血漿においてPTX3レベル>25ng/mlPTX3に達するサンプルは、臨床的に問題とされるサイトカイン放出のリスクについて「陽性」と考えられる。
好中球活性化の程度を評価するための末梢血単核細胞(PBMC)のサブセットを含むCD11bアッセイと比較して、ECL ELISAカスタム技術に基づくPTX3測定は、下記の利点を有すると思われる:
●ヘパリン処理血漿はin vivoで適切な区分である
●希釈工程及びFicollの添加(PBMC調製のために必要な)は回避される
●全血における好中球及び好酸球を含む、細胞フルセットの存在
●二重(ELISA及びFACS)アッセイフォーマットの代わりに単一(ECL)
●サイトカイン放出症候群の典型的な症状がin vivoで観察されるときは、評価は、2時間の適切な時間枠内で行われる。

表1:正確さ。増感化学発光(ECL)ELISA(表1a)及び比色アッセイ(表1b)を、PTX3の検出方法として比較した。測定は、ヘパリン又はEDTA凝固防止剤を含む2人のドナーからの血漿で行った。2人のヒト全血ドナーに由来する血漿を、0〜2500pg/mlの範囲で、組換えヒトPTX3の濃度の増加とともにスパイキングした。#トリプリケートからの平均、n.e.:評価できなかった。
Figure 0005087714
表2:マトリックス効果。増感化学発光(ECL)ELISA(表2a)及び比色アッセイ(表2b)を、PTX3の検出方法として比較した。測定は、ヘパリン又はEDTA凝固防止剤で処理した2人のドナーの血液から得られた血漿で行った。
Figure 0005087714
表3:サイトカイン測定の感度;検出の下限及び定量の下限
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表4:PTX3(表4a)及びCD11b(表4b)の分析の分散係数(CV):ドナー及び濃度(0.1〜200μg/ml)における精度。(SD=標準偏差)
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表5:TNF−α、IFN−γ及びPTX3の2時間−放出及び好中球活性化
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Claims (9)

  1. 対象化合物のヒトにおけるサイトカイン放出症候群を誘導するリスクを決定するためのin vitro方法であって、
    a)全血サンプルを準備し、該血液は該化合物に少なくとも30分間曝露されており、
    b)該サンプル中のペントラキシン3のレベルを測定し、そして
    c)ペントラキシン3の測定されたレベルをコントロールと比較する、
    工程を含む方法。
  2. ペントラキシン3のレベルの25ng/ml超という閾値に基づいてリスクを決定するための、請求項1に記載の対象化合物のヒトにおけるサイトカイン放出症候群を誘導するリスクを決定するための方法。
  3. PTX3レベルを全血サンプルから得られた血漿又は血清において測定する、請求項1又は2に記載の対象化合物のヒトにおけるサイトカイン放出症候群を誘導するリスクを決定するための方法。
  4. 全血が凝固防止剤を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の対象化合物のヒトにおけるサイトカイン放出症候群を誘導するリスクを決定するための方法。
  5. 血漿が凝固防止剤を含む、請求項に記載の対象化合物のヒトにおけるサイトカイン放出症候群を誘導するリスクを決定するための方法。
  6. 凝固防止剤がヘパリンである、請求項又はに記載の対象化合物のヒトにおけるサイトカイン放出症候群を誘導するリスクを決定するための方法。
  7. 対象化合物と全血サンプルとのインキュベーションを血液サンプルの採集後4時間以内に開始する、請求項1〜のいずれか一項に記載の対象化合物のヒトにおけるサイトカイン放出症候群を誘導するリスクを決定するための方法。
  8. 全血サンプルを30分〜24時間対象化合物とインキュベーションする、請求項1〜のいずれか一項に記載の対象化合物のヒトにおけるサイトカイン放出症候群を誘導するリスクを決定するための方法。
  9. ペントラキシン3のレベルを増感化学発光ELISAで測定する、請求項1〜のいずれか一項に記載の対象化合物のヒトにおけるサイトカイン放出症候群を誘導するリスクを決定するための方法。
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