JP5076970B2 - 課電式電路事故探査装置及び事故探査方法 - Google Patents

課電式電路事故探査装置及び事故探査方法 Download PDF

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本発明は、課電式電路事故探査装置及びこの探査装置を用いた事故探査方法に関し、特に詳細には、事故区間の電路にパルス電圧を課電して、当該電路に生ずる磁界の時間微分値を地上で受信して事故点の探査を行う課電式電路事故探査装置及びこの探査装置を用いた事故探査方法に関する。
課電式電路事故探査方法は、架空配電線の事故区間の高圧線(以下、単に「電線」と称する)と大地間に直流高圧パルス(課電パルス電圧)を印加し、この課電パルス電圧により電線に流れる課電パルス電流を検出して追跡することにより事故点を探査する方法である。従来は「コードレスアンテナ」と呼ばれる接触式の電流センサ(プローブ、CT)を電線に直接接触させて(吊架して)課電パルス電流を検出し、その波形の様子から事故点を判別していた(例えば、特許文献1参照)。この方式は課電パルス電流の検出という点では確実であるが、「コードレスアンテナ」を使用する度に昇柱作業が必要になるため、事故点を検出するまでに時間がかかってしまう。そこで、課電パルス電流により発生する電磁界を地上においてアンテナを備えた受信機で受信して事故点の探査を可能とした方法も開発されている(例えば、特許文献2参照)。
特開昭57−3056号公報 特開昭63−243771号公報
しかしながら、完全地絡事故と抵抗性地絡事故とでは回路の抵抗成分の大小や放電の有無等に違いがあり、この違いにより、課電パルス電流により生じる磁界の大きさが変化してしまう。このような地絡事故の探査においては、どのような状態で地絡しているのかは分からないため、検出レベルの大幅な変化に対する課電式電路事故探査装置の感度の調整が難しいという課題があった。また、検出レベルの大幅な変化に対応するために感度の範囲を広くすると、環境雑音やラジオ電波を受信してしまって、課電パルス電流との区別がつきにくくなってしまうという課題があった。
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、課電パルス電流により空間に発生する磁界の時間微分値を検出することで、事故点における抵抗成分に影響されることなく課電パルス電流を検出することができ、またこの磁界の時間微分値の立ち上がり時の極性を捉えることでこの課電パルス電流の進行方向を判定して、事故点までの経路を探査することができる課電式電路事故探査装置、及び、この課電式電路事故探査装置を用いた探査方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明に係る課電式電路事故探査装置は、事故区間の電路に課電装置によりパルス電圧を課電し、電線にパルス電流を流して事故点の探査を行うものであり、パルス電流により電線の周りに発生する磁界の時間微分値を検出する磁界センサと、この磁界センサにより検出された磁界の時間微分値の立ち上がり時の極性を表示する表示部と、を有して構成される。
このような本発明に係る課電式電路事故探査装置において、表示部は、磁界の時間微分値の立ち上がり時の極性により、パルス電流の流れる方向を表示するように構成されることが好ましい。
また、このような本発明に係る課電式電路事故探査装置において、表示部は、磁界の時間微分値の立ち上がり時の極性とともに、当該磁界の時間微分値の大きさを表示するように構成されることが好ましい。
さらに、このような本発明に係る課電式電路事故探査装置は、磁界センサにより検出された磁界の時間微分値を積分する積分器と、この磁界センサと積分器とを接続・切断する選択スイッチと、を有することが好ましい。
また、本発明に係る事故探査方法は、事故区間の電路に課電装置によりパルス電圧を課電して電線にパルス電流を流した状態で、このパルス電流により電線の周りに発生する磁界の時間微分値を検出する磁界センサと、この磁界センサにより検出された磁界の時間微分値の大きさ、及び、当該磁界の時間微分値の立ち上がり時の極性を表示する表示部と、を有する課電式電路事故探査装置を用いて、事故点の探査を行う。
このような本発明に係る事故探査方法は、磁界の時間微分値の立ち上がり時の極性により、パルス電流の流れる方向を判定して事故点の探査を行うことが好ましい。
また、このような本発明に係る事故探査方法は、事故区間に設置されている電柱の表面から所定の距離だけ離して課電式電路事故探査装置を位置させて磁界の時間微分値を計測することにより、事故点の探査を行うことが好ましい。
あるいは、このような本発明に係る事故探査方法は、事故区間に設置されている電柱の表面の近傍に課電式電路事故探査装置を位置させて磁界の時間微分値を計測することにより、事故点の探査を行うことが好ましい。
また、このような本発明に係る事故探査方法は、事故区間に共同接地線が配設されているときに、当該事故区間に設置されている電柱を含むように電線に沿って課電式電路事故探査装置を移動させて磁界の時間微分値を計測し、この電柱を境に磁界の時間微分値の大きさが1/2以下になったときに、当該電柱に事故点があると判定することが好ましい。
本発明に係る課電式電路事故探査装置及びこの探査装置を用いた事故探査方法を以上のように構成すると、パルス電流により発生する磁界の時間微分値を計測するため、事故の様相に無関係に事故点の探査を行うことができる。またこの磁界の時間微分値の立ち上がり時の極性によりパルス電流の流れる方向を判別することができるため、課電式電路事故探査装置の構成を簡単にすることができるとともに、事故点の探査を容易に行うことができる。さらに、磁界の時間微分値を積分する積分器を設けることにより、放電性の地絡事故においても、事故点の探査を行うことができる。
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照して説明する。まず、図1を用いて本発明に係る課電式電路事故探査装置(以下、単に「探査装置」と呼ぶ)を用いた事故点の探査方法について説明する。この探査方法は、事故区間の電路(例えば、図1の場合、電柱Poにおいて、電線と大地との間)に課電装置50を接続して直流の高電圧パルス(課電パルス電圧)を課電し、当該事故区間における電線に流れる課電パルス電流(磁界)の時間微分値を探査装置1で検出して事故点の探査を行うものである。このとき、電線に流れる課電パルス電流は、事故点に向かって流れ込むため、図1に示すように、電柱Paで分岐があったとしても、事故点のない電柱Pc側には流れずに事故点のある電柱Pb側に流れるため、この課電パルス電流(地絡電流)を探査装置1で検出して追っていくことにより、事故点を特定することができる。
ここで、課電装置50は、図2に示すように、電源装置50、波形整形回路52、及び、スイッチ制御回路53と、コンデンサC1、抵抗R1、第1及び第2スイッチVS1,VS2等から構成されており、出力端が電線と大地に接続される。この課電装置50において、商用電源から供給される電力は、電源装置50により15kVの直流電圧に変換され、コンデンサC1を充電する。この状態でスイッチ制御回路53により第2スイッチVS2を閉じた状態で、第1スイッチVS1を閉じると、コンデンサC1に蓄積されたエネルギーが、波形整形回路52を通って第2スイッチVS2から電線に放電される。そして、10m秒後に第1スイッチVS1により抵抗R1を介して強制接地をすると、電線に充電されていた電荷は抵抗R1を通じて放電される。この一連の動作を4秒おきに繰り返すことで、パルス幅10m秒、繰り返し周期4秒、波高値15kVの矩形パルス(無負荷時)が発生される。無事故時(無負荷時)の課電パルスの電圧波形(計算値)を図3に示す。
探査装置1は、上面に表示部が設けられた本体2と、この本体2に取り付けられた磁界センサ3とから構成されており、磁界センサ3により、電線に流れる課電パルス電流により発生する磁界の時間微分値の立ち上がり極性を検出して、課電パルス電流の流れる方向を検出するように構成されている。なお、磁界の時間微分値を捉えるようにするためには、磁界センサ3として、受信周波数特性が周波数に比例して感度が高くなるようにする必要があり、ソレノイドやピックアップコイルなど、磁界の時間微分を検出するサーチコイル方式のもので、共振周波数が使用周波数に比べて高いものを選択する。
(完全地絡、抵抗地絡の場合の磁界の時間微分値の検出による事故点の探査方式)
まず、完全地絡及び抵抗地絡の場合について説明する。ソレノイドやピックアップコイルなどのサーチコイル方式の磁界センサ3は、次の式(1)に示すように、磁界(電流)の時間微分値に比例した電圧ν[V]を出力する。なお、この式(1)において、nは磁界センサ(コイル)3の巻数を示し、φは磁束[Wb]を示し、Sは磁界センサ3の断面積[m2]を示し、Bは磁束密度[T]を示し、μは磁界センサ3の鉄心の透磁率[Wb/A・m]を示し、rは電線と観測点との距離[m]を示し、Iは電流[A]を示す。
Figure 0005076970
電線の並列インピーダンスは直列インピーダンスに比べて非常に大きいため、事故区間の配電系統は、事故点を単純抵抗R、電線をインダクタL、課電装置50をキャパシタCとした単純なRLC回路として表すことができる。このRLC回路において、課電装置50に電圧Vで充電した電荷を時刻t=0で放電した際の電流Iと当該電流の時間微分値及びその時間微分値の時刻t=0(放電直後)における値は次の式(2)〜(7)のように表される。なお、次の式(2)〜(7)は、このRLC回路が過制動の場合と不足制動の場合とを示し、式(2)は過制動のときの電流Iを、式(3)及び(4)はこの電流の時間微分値及び時刻t=0のときの値を示し、式(5)は不足制動のときの電流Iを、式(6)及び(7)はこの電流の時間微分値及び時刻t=0のときの値を示している。
[R2−4・L/C ≧ 0(過制動)の場合]
Figure 0005076970
[R2−4・L/C < 0(不足制動)の場合]
Figure 0005076970
図4(a)に過制動の場合の電流の波形を示し、図4(b)にその時間微分値の波形を示す(いずれもシミュレーション)。上述の式(2)〜(7)で示されるように、電流の時間微分値の最大値、すなわち、時刻t=0における値は、事故点の抵抗成分Rに依存せず、電線のインダクタンスLに反比例する。すなわち、課電パルス電圧Vが定まっていれば、課電パルス電流の時間微分値の最大値は地絡事故の様相に関わらず、課電点(図1の電柱Po)から事故点(図1の電柱Pb)に至る電線の亘長のみに依存する。したがって、課電パルス電流の時間微分値、すなわち、この電流により発生する磁界の時間微分値を検出することにより、地絡抵抗が小さい場合(≒0Ω)でも、大きい場合(20kΩ以上)でも同じレベルで検出することができる。すなわち、亘長が同じであれば、完全地絡であっても抵抗性地絡(〜数10kΩ)であっても、観測レベルの最大値は同じであるので、事故の様相に無関係な探査を可能とすることができる。
(放電性地絡の場合の磁界の時間微分値の検出による事故点の探査方式)
以上のような磁界の時間微分値検出方式にすると、放電性地絡事故の場合、課電パルス電圧を印加したときに、放電現象により変動の激しい不安定な電流が流れてしまう。時間変動の激しい不安定な電流が流れる際には、電流値が完全地絡(地絡抵抗≒0Ω)の際と同程度であっても、時間変動が大きいため高周波成分が大きく、非常に大きな値として検出されてしまう。これを避けるには、周波数特性補償用LPF(積分器)を取り付け、受信周波数特性を平坦にして過大な観測値にならないようにすれば良い。そのため、放電性地絡事故の場合のみ積分器を選択スイッチにより切り替えて接続することにより、微分特性を補償して周波数特性を平坦にすることができる。微分要素(サーチコイル式磁界センサ)と積分要素(積分器)の周波数特性と、それらを合成した周波数特性を図5に示す。なお、地絡事故が放電性であるか否かは、積分器を接続しない状態で観測レベルが異常に大きく、その変化が激しいことで判別することができる。
図6に、この探査装置1の回路構成を示す。磁界センサ3である微分要素、選択スイッチ4、この選択スイッチ4で切り替えられる積分要素(積分器)5、増幅器6、データ蓄積部7及び表示部8で構成される。なお、データ蓄積部7は、増幅器6で増幅された磁界の時間微分値若しくはその積分値を、A/D変換器等によりデジタル信号に変換し、フラッシュメモリ等に記憶するように構成される。また、表示部8はこのデータ蓄積部7に蓄積された測定値(観測値)を取り出して表示するものであり、詳細については、後述する。
(課電パルス電流が流れる方向の判定方法)
ところで、課電パルス電流は図3に示したように振動するため、この課電パルス電流の進行方向、すなわち、課電点から事故点へのルートの中間においてどちらが事故点方向かを捉えることが難しい。しかしながら、磁界は電線を流れる電流の方向に対して右回りに発生するため(アンペールの法則)、電流の立ち上がり方向、すなわち、磁界の時間微分値の最初の(立ち上がり時の)極性を捉えることで、事故点の方向を判定することができる。
例えば、図7に示すように、探査装置1の本体部2の上面に表示部8を設け、互いに逆方向を向く矢印状の表示ランプ8a,8bを設ける。そして、電線が延びる方向にこの矢印状の表示ランプ8a,8bが向くように探査装置1を配置したときに(この場合、電線は、図7の上下方向に延びていることになる)、図7の上方に電流が流れているときは磁界センサ3により正の時間微分波形が検出され、下方に電流が流れているときは磁界センサ3により負の時間微分波形が検出されるようにこの磁界センサ3を本体2に取り付ける。そして、表示部8を、正の時間微分波形が検出されたときは上側の表示ランプ8aを点灯させ、負の時間微分波形が検出されたときは下側の表示ランプ8bを点灯させるように構成する。このように構成することにより、電線の下方において(地上において)この探査装置1を電線の延びる方向と一致するように表示ランプ8a,8bの方向を合わせるだけで、課電パルス電流が図7の上方に向かって流れているときは、この課電パルス電流の繰り返し周期で上側の表示ランプ8aが点滅し、図7の下方に向かって流れているときは、下側の表示ランプ8bが点滅するので、課電パルス電流がどちらに向かって流れているのかを検出することができ、事故点を容易に探査することができる。
なお、検出した磁界の時間微分値の大きさに応じて点灯するランプ8a,8bの点灯強度を変えるか、若しくは、別途磁界の時間微分値の大きさを数値で表示するように構成すると、受信した時間微分値の大きさを認識することができる。そのため、上述したように磁界の時間微分値の強度が異常に大きく、その変化が激しい場合には、放電性地絡事故と判断し、選択スイッチ4を積分器側に切り替えて安定した検出を行うことができる。もちろん、矢印状の表示ランプ8a,8bを設けずに、磁界の時間微分値の大きさとともにその正負(極性)を数値として表示するだけでも、課電パルス電流の流れる方向を判定できることは言うまでもない。
(鉄筋コンクリート柱の誘起磁界検出による探査方式)
事故区間の配電系統に内部に鉄筋(常磁性体)が入った電柱がある場合、課電パルス電流の電磁誘導により、この鉄筋の入ったコンクリート柱に磁界が誘起される。電柱内の鉄筋は離散的に配置されているが、透磁率は電柱内一定として、電柱断面を含み電線と直交する平面(図8に示す点線で囲まれた平面)における磁界分布をシミュレーションにより求めると次のようになる。まず、シミュレーションに使用した数式を以下の式(8)に示す。なお、この式(8)において、B(x,y)は、上述の電柱を含む平面における磁束密度[T]のxy平面分布を示し、xは電柱表面からの距離[m]を示し、yは地表からの高さ[m]を示し、μ(x,y)は透磁率[Wb/A・m]のxy平面分布を示し、r(x,y)は電線からxy平面上の点までの距離[m]を示し、Iは電流[A]を示す。
Figure 0005076970
そして、図8に示すように、地表面から高さ10m、電柱の横1m離れたところに電線(単線)があり、この図8の右から左へ課電パルス電流が流れているとすると、図9及び図10に示すように、電柱表面に等磁界線が集中し、磁束密度、すなわち、磁界が非常に強くなることが分かる。このとき、これらの図9及び図10から明らかなように、磁界が高い部分は電柱表面のごく近傍に限られる。従って、電柱から所定の距離(数cm以上程度)離れれば、電柱表面磁界からの影響は軽減され、電線を流れる課電パルス電流による磁界のみを観測できる。反対に、事故点までの電線の亘長が長く磁界の時間微分の検出値が小さい場合には、電柱表面磁界から課電パルス電流の有無がわかるため、電柱の表面近傍に、探査装置1の磁界センサ3を近づけて電柱表面磁界を追跡することで事故点までの経路を探査することが可能になる。
(事故電流が共同接地線を流れる際の探査方式)
図11に示すように、事故区間における配電系統に、電線(高圧系統)に加えて共同接地線が配設されている場合、課電装置50により電線と大地(アース)との間に流れる課電パルス電流は、事故点において共同接地線にも流れ込み、この共同接地線を通して各電柱の接地線に分布して流れる。そのため、事故側では電線を流れる課電パルス電流と逆方向の電流が共同接地線を流れることとなり、事故点の直近の区間では課電パルス電流による磁界(の微分値)が小さく観測されてしまう。また、分岐点(電柱Pa)から非事故側(電柱Pc側)では、事故側であるかのように共同接地線を流れる電流が観測される。そこで、共同接地線がある場合に、事故点を明確にする探査方法の一例をこの図11に従って説明する。
まず、事故点(電柱Pb)付近では、電線(高圧系統)を流れてきた課電パルス電流は、この事故点(電柱Pb)において大地(アース)に流れ込むが、このとき、その一部がこの電柱Pbと隣接する電柱(電柱Pa及びPd)との間に張られている共同接地線にも流れる。ここで、大地及び共同接地線に流れる電流の量が等しいとすると、図11においては3方向(アース、電柱Pa及び電柱Pd)に分かれるため、各々の電流値は1/3になる。そのため、事故点である電柱Pbと隣接する電柱であって、課電装置50側の電柱Paとの間では、電線に流れる課電パルス電流により発生する磁界の大きさを1とすると、共同接地線を逆方向に流れる1/3の大きさの電流により発生する磁界に打ち消され、地上で観測される磁界の大きさが2/3になってしまう。
一方、電柱Pbと課電装置50の反対側に位置する電柱Pcとの間では、共同接地線を流れる電流により発生する磁界が観測され、この磁界の大きさは、課電パルス電流により発生する磁界の大きさの1/3である。さらに、電柱Pdにおいては、共同接地線と大地とに分かれて流れ込むため、その大きさは1/6になる。同様に、事故点Pbに対して課電装置50から遠ざかる毎に、各電柱において観測される磁界の大きさは、1/12、1/24と電柱毎に半分の大きさになっていく。
以上より、課電装置50が接続された電柱(Po)から探査装置1を用いて課電パルス電流の流れる方向を探査していくと、事故点直前の区間(電柱Pa−Pb間)では磁界(の時間微分値)の大きさが、課電パルス電流により発生する磁界(の時間微分値)の大きさの2/3として観測されるのに対し、事故点を超えた区間(電柱Pb−Pd間)では、その観測値は、1/3の大きさ(すなわち前の区間のときの1/2)に急激に小さくなる。そのため、この観測値の変化を検出することにより、観測値が1/2に変化する境界にある電柱(Pb)が事故点である(地絡事故が発生している)と判定することができる。なお、事故点を通り過ぎすると、上述のように、電柱毎に観測値の大きさが更に1/2ずつ小さくなっていくため、判別は容易である。
一方、経路上に分岐点がある場合、例えば、電柱Paにおいては、事故点(電柱Pb)との間に張られた共同接地線を流れる1/3の大きさの電流がこの分岐点で3方向(大地、電柱Po及び電柱Pc)に分かれるため、それぞれの大きさは1/9になる。そのため、分岐点(電柱Pa)から非事故側(電柱Pc側)では、分岐が事故点に最も近い場合(電柱Pa)でも、その観測値は、課電パルス電流により発生する磁界の大きさの1/9であり、電柱Pcでは1/18となり、さらに以降の電柱毎に1/2になるため、急激に小さくなるので、非事故側であることが明確に判断できる。
なお、図11には示していないが、分岐点(図11の場合は、電柱Pa:2分岐)に地絡事故がある場合、一方の分岐に接続されている電柱毎に、その観測値の大きさは事故点直前区間(課電側)より順に、3/4、1/4、1/8、1/16、・・・と小さくなるため、事故点から遠ざかっていることが明確に判断でき、この場合、観測値の大きさが3/4から1/4に変化する区間の境界にある電柱に事故点があることが分かる。もう一方の分岐へ向かっても、観測値は同様な変化をする。いずれにしても、事故点のある電柱の前後で、測定値は急に1/2以下に減衰するため、事故点を判別することが可能である。
本発明に係る課電式電路事故探査方法を説明するための説明図である。 課電装置の構成を示す回路図である。 課電パルス電圧を説明するための説明図である。 事故区間の配電系統をRLC回路で表し、このRLC回路が過制動のときのシミュレーション結果であって、(a)は課電パルス電流の波形を示し、(b)はこの課電パルス電流の時間微分値の波形である。 探査装置における微分要素と積分要素の周波数特性を示す説明図である。 探査装置の構成を示すブロック図である。 探査装置の平面図である。 課電パルス電流により発生する磁界分布と電柱との位置関係を示す説明図である。 電線の延びる方向から見た磁界分布を示す説明図である。 上記磁界分布の鳥瞰図である。 共同設置線がある場合の課電式電路事故探査方法を説明するための説明図である。
符号の説明
1 課電式電路事故探査装置(探査装置)
3 磁界センサ
4 選択スイッチ
5 積分器
8 表示部
50 課電装置

Claims (9)

  1. 事故区間の電路に課電装置によりパルス電圧を課電し、電線にパルス電流を流して事故点の探査を行う課電式電路事故探査装置であって、
    前記パルス電流により前記電線の周りに発生する磁界の時間微分値を検出する磁界センサと、
    前記磁界センサにより検出された前記磁界の時間微分値の立ち上がり時の極性を表示する表示部と、を有する課電式電路事故探査装置。
  2. 前記表示部は、前記磁界の時間微分値の立ち上がり時の極性により、前記パルス電流の流れる方向を表示するように構成された請求項1に記載の課電式電路事故探査装置。
  3. 前記表示部は、前記磁界の時間微分値の立ち上がり時の極性とともに、当該磁界の時間微分値の大きさを表示するように構成された請求項1または2に記載の課電式電路事故探査装置。
  4. 前記磁界センサにより検出された前記磁界の時間微分値を積分する積分器と、
    前記磁界センサと前記積分器とを接続・切断する選択スイッチと、を有する請求項1〜3いずれか一項に記載の課電式電路事故探査装置。
  5. 事故区間の電路に課電装置によりパルス電圧を課電して電線にパルス電流を流した状態で、前記パルス電流により前記電線の周りに発生する磁界の時間微分値を検出する磁界センサと、前記磁界センサにより検出された前記磁界の時間微分値の大きさ、及び、当該磁界の時間微分値の立ち上がり時の極性を表示する表示部と、を有する課電式電路事故探査装置を用いて、事故点の探査を行う事故探査方法。
  6. 前記磁界の時間微分値の立ち上がり時の極性により、前記パルス電流の流れる方向を判定して前記事故点の探査を行う請求項5に記載の事故点探査方法。
  7. 前記事故区間に設置されている電柱の表面から所定の距離だけ離して前記課電式電路事故探査装置を位置させて前記磁界の時間微分値を計測することにより、前記事故点の探査を行う請求項5または6に記載の事故探査方法。
  8. 前記事故区間に設置されている電柱の表面の近傍に前記課電式電路事故探査装置を位置させて前記磁界の時間微分値を計測することにより、前記事故点の探査を行う請求項5または6に記載の事故探査方法。
  9. 前記事故区間に共同接地線が配設されているときに、
    当該事故区間に設置されている電柱を含むように前記電線に沿って前記課電式電路事故探査装置を移動させて前記磁界の時間微分値を計測し、前記電柱を境に前記磁界の時間微分値の大きさが1/2以下になったときに、当該電柱に事故点があると判定する請求項5または6に記載の事故探査方法。
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