JP5074124B2 - 地盤改良工法における放射状改良体の設計方法 - Google Patents
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Description
これら噴射管を回転させながら引き抜くか挿入すれば、改良体は円柱形状に造成され、複数の噴射口を備えた噴射管を回転させずに引き抜くか挿入すれば、改良体は板状の羽部が一体になった放射形状に造成される。
例えば、日本建築学会の建築基礎構造設計指針では、単杭の極限支持力Ru(kN)が杭の種類や施工法に応じた極限先端支持力Rp(kN)と極限周面摩擦力Rf(kN)の和として下記の式1により表され、極限先端支持力Rpが極限先端支持力度qp(kN/m2)と杭先端の閉塞断面積Ap(m2)との積として下記の式2により表されている。
(式1)Ru=Rp+Rf
(式2)Rp=qp・Ap
さらに、極限先端支持力度qp(kN/m2)は、例えば、砂質土に打込み杭を設ける場合に下記の式3により表されている。
(式3)qp=300N
N:杭先端から下に1d、上に4d間のN値(d:杭径)
前記(1)に記載の発明は、放射状改良体の鉛直支持力特性に関する実験を実施することにより得られた知見に基づくものであり、以下に実験方法と結果等について説明する。
放射状改良体を模擬した小型の模型に対して鉛直載荷試験を行い、一本の改良体が放射状である事と鉛直支持力との関連性について調べた。
表1に示すように、改良体の模型は、円形断面、4枚羽の放射状断面、6枚羽の放射状断面の3種類であり、これら改良体模型に対して鉛直載荷試験を実施した。改良体模型はアクリル樹脂(圧縮弾性係数3000MN/m2)を加工して作製し、表面に砂を接着させて周辺地盤との摩擦やせん断変形を模擬した。模型の寸法は、直径50mm、羽厚5mm、長さ300mmとした。地盤は乾燥豊浦標準砂を突き固めて相対密度30%、70%、90%に作製した。土槽は改良体底面までの根入れのない条件と、根入れ長Df=220mmとする2種類の地盤条件とした。(図1参照)載荷は地盤工学会基準「杭の押込み試験方法」に準じて4サイクル載荷とした。放射状模型の場合、地盤拘束効果を確認するため、模型近傍の土圧計(受圧面径10mm)は羽と羽の間に設置した。
(1)鉛直支持力に対する放射状断面の形状割増効果
鉛直支持力に関して、建築、鉄道、道路等では杭頭変位量が杭径の10%(D10)の時の荷重を極限支持力として検討する場合が多いことから、本試験でもD10=5mmを鉛直極限支持力として比較検討した。図2に各相対密度のもとで発揮された鉛直極限支持力を円形に対する比で整理したグラフを示した。
根入れがない場合、支持力比と面積比がほぼ1:1の関係にあり、発揮される支持力がほぼ面積に依存している。一方、根入れがある場合、いずれの放射形状でも面積比以上の支持力を発揮している。このような放射形状による支持力の割増効果(形状割増効果)は緩い地盤であるほど高く、Dr=30%で4枚羽(面積比12%)は円形の約5割、6枚羽(面積比17%)は約7割の支持力を発揮した。これにより、適切に放射状改良体を組み合わせることで、円柱状改良体に比べて経済的な配置や設計が可能になる。
なお支持力は先端抵抗力と周面摩擦力の和で算定される。各形状の先端抵抗力を比較した場合、図2と同様の傾向を示したが、周面摩擦力は形状により抵抗力は異なるものの地盤の硬軟による影響は見られなかった。
杭基礎等の極限支持力(先端抵抗力、周面摩擦力)算定式の多くは建築、道路、鉄道関係ともにN値をもとに提案されており、本試験でもそれに準じた。放射状改良体を用いた場合の支持力は、(a)放射形状では底面積比を上回る支持力を発揮する(形状割増効果)があることと、(b)地盤の硬軟により形状の影響が異なるという2つの特徴が挙げられる。また先端抵抗力には(a)(b)の傾向が顕著に見られ、周面摩擦抵抗力に(a)の傾向が見られた。そこで、それらの影響因子を各抵抗力に反映させて以下の算定式を構築した。なお、底面積、周長ともに円形断面として簡易に算定できるように各影響因子の係数を設定し、N値は相対密度から推定した。図3に算定値と実測値を比較するグラフを示し、図4に地盤の硬軟に伴い発揮される極限支持力の検証結果を示す。図3より、算定値は地盤が硬い(抵抗力が大きい)ほど過小評価の傾向にある。但し、円形の推定値は一般式に準じた算定結果であることから、一般式と同程度の精度で放射形状の推定も可能であると考えられる。図4より、地盤の硬軟に伴う発揮支持力の傾向も概ね表現できている。
(A1)先端抵抗力(kN):Rp=300・αp・Na・Ap
(A2)周面摩擦力(kN):Rf=U・Σli・2・αf・N
αp:先端抵抗力の形状割増係数、αf:周面摩擦力の形状割増係数、a:地盤の硬軟に対する効率、Ap:底面積(m2)U:周長(m)、li:摩擦を考慮する層厚(m)、N:N値
(i)放射形状では断面積比以上の支持力を発揮する形状割増効果が得られ、それは地盤が羽に拘束され、改良体と地盤が一体に近い挙動を示すことで発揮されると考えられる。
(ii)先端抵抗力には形状割増効果に加えて、地盤の硬軟により形状の影響が異なることが確認できた。
(iii)放射形状の鉛直支持力算定式は円柱状改良体の一般式と同程度の精度で推定が可能である。
したがって、本出願では、一本の放射状改良体の単位面積あたり支持力を、円柱状改良体の単位面積あたり支持力で除算した数値を形状割増係数と規定し、羽部の枚数が異なる各放射状改良体ごとに、羽部の厚さと羽部の長さとを変数とするマトリックス表を作成し、マトリックス表の各セル毎に形状割増係数を記入して形状マトリックス表を予め形成するか、又は、羽部の枚数が異なる各放射状改良体ごとに、例えば、羽部の厚さ、羽部の長さ、形状割増係数をそれぞれ(x,y,z)座標データとして、3次元曲面図を予め形成する。形状割増係数は、羽部の厚さと羽部の長さとを変数として規定される各放射状改良体ごとに、例えば、上記(A1)式と(A2)式等の推定式、実験、FEM解析等の数値解析の少なくとも一つの手法により求める。
地盤内に改良体を造成して行う改良工法の設計者は、以上のような形状マトリックス表又は3次元曲面図の少なくとも一方を参照することにより、どのような断面形状(羽部の枚数、羽部の厚さ、羽部の長さ)の放射状改良体を選択すれば、どの程度の形状割増係数が得られるかを比較的容易に把握することが可能になり、この形状割増係数を考慮しながら、要求性能を満たす範囲内で放射状改良体の断面形状を決定し、効率的な地盤改良を可能にする。
形状割増係数を考慮しながら、放射状改良体の断面形状を決定する際には、上部構造物に関する条件(基礎形式と諸元、荷重、地震動レベル等)、地盤条件(土層構成、地盤種別、水位条件、単位体積、含水比、N値、粘着力、ヤング率、体積圧縮係数、e-logp等)、周辺条件(敷地境界、周辺建物や地形等)等の諸条件をも鑑みながら、形状割増係数が所望値以上になるように、放射状改良体の羽部の枚数、羽部の厚さ及び羽部の長さを選択する。
なお、放射状改良体の単位面積あたり支持力は、形状割増係数に比例して大きくなるものであるが、必ずしも形状割増係数の最大値を選択する必要はなく、上記の諸条件のなかで重要度の高い項目又は施工性、施工コスト等に対応するべく形状割増係数、放射状改良体の羽部の枚数、羽部の厚さ及び羽部の長さが選択される。
前記(2)に記載の発明は、複数の放射状改良体を所定間隔で配置してなる群杭の鉛直支持力特性に関する実験を実施することにより得られた知見に基づくものであり、以下に実験方法と結果等について説明する。
放射状改良体を模擬した小型の模型を複数配置してなる群杭模型に対して鉛直載荷試験を行い、群杭が放射状改良体から成る事と鉛直支持力との関連性について調べた。
鉛直載荷試験の試験条件を表2に示した。地盤は乾燥豊浦砂を相対密度30%に突き固めて作製した。群杭は改良体の模型を3×3の接円正方配置とし、各模型の表面に砂を接着させた改良体模型を根入れ長Df=220mmとする条件で設置した。各改良体の模型は、円形断面、4枚羽の放射状断面、6枚羽の放射状断面の3種類であり、これら改良体模型に対して鉛直載荷試験を実施した。改良体模型はアクリル樹脂(圧縮弾性係数3000MN/m2)を加工して作製した。各改良体模型の寸法は直径50mm、羽厚5mm、長さ300mmとした。載荷は図5に示すように地盤への荷重分担が生じない条件でJGS基準「杭の押込み試験方法」に準じて行った。
(1)放射状模型の形状効果と群杭割増効果
鉛直支持力については、杭頭変位量が杭径の10%(D10)時の荷重を極限支持力として検討した。図6に群杭の極限支持力と群杭割増係数のグラフを示した。ここで、群杭割増係数とは、複数の杭(改良体)からなる群杭の鉛直極限支持力を、一本の杭(改良体)が発揮する鉛直極限支持力の群杭本数倍した値で、除算して得られた係数である。単杭の結果も併記した。杭間が密に設置された群杭では、ブロック破壊(以下、BL破壊)することが知られており、以下の式で支持力を推定した。ブロック先端支持力は単杭試験から得られた形状割増係数を反映して算出した。
(B1)RgB=2(n+m−2)D・Df+π・τ・d・Df+α・Ag・qd
(B2)qd=c・Nc+γ1・B・Nγ/2+γ2・Df・Nq
RgB:BL破壊による極限支持力、n,m:行列数、D:杭間隔、Df:根入れ長、d:杭直径、τ:杭周面摩擦力度、α:形状割増係数、Ag:ブロック先端面積、qd:ブロック先端極限支持力、c:粘着力、B:基礎幅、γ1:基礎底面の下・周辺の地盤単位重量、γ2:基礎底面の下・周辺の地盤単位重量、Nc、Nγ、Nq:支持力係数
円形に対する比とした極限支持力と底面積の関係を図7に示した。群杭の鉛直支持力比は単杭模型の結果に比べて、4枚羽は最大約35%、6枚羽は約20%上昇した。つまり、円形断面に対する放射形状の支持力効率は群杭異方向配置にすることでさらに高くなり、円形造成体の15〜20%程度の面積(≒改良率)で約80%の支持力が得られた。
極限支持力時の周辺地盤の鉛直変位を計測した結果、放射状の杭(改良体)の模型では形状や配置で大きな違いは見られない。一本の放射状改良体の模型と同様に模型と地盤の連続性が保たれ、羽の外縁部でも7〜9割程度の変位が見られたが、羽による地盤の拘束効果は単杭に比べて顕著である。また試験終了後に群杭内部の閉塞領域を観察したところ、ほぼ一様に地盤の変形が進行していることが確認できた。単杭の鉛直載荷試験によって、放射状模型の形状割増効果は先端付近で顕著に生じており、羽が地盤を拘束することに起因していることが分かっている。群杭の場合には形状効果は更に高くなり、模型が地盤とより一体的な挙動を示している可能性が高い。異方向配置の形状効果が高いのは、異方向に配置することで同方向に比べて模型羽間の距離(拘束地盤領域)が短くなり、効果的に地盤を拘束しているためである。
(i)放射状造成体の鉛直支持力における形状割増効果は、群杭にすることで更に向上する。このような群杭割増係数は6枚羽より4枚羽の方が高く、最大4.0程度であった。
(ii)群杭の群杭割増効果は配置条件に大きく依存し、同方向より異方向配置の方が顕著である。これは異方向に配置することによって羽間の距離が短くなり、効果的に地盤を拘束できるためであると考えられる。
(iii)羽が地盤を拘束することで、群杭間の地盤は杭の貫入に伴って、ほぼ一様に変形している可能性が高い。
したがって、本出願では、上記[0009]段落に記載したように、あらかじめ群杭割増係数を記入した配置マトリックス表又はグラフを形成し、群杭割増係数を考慮した設計方法を提供する。地盤に改良体を造成する地盤改良工法の設計者は、配置マトリックス表又はグラフの少なくとも一方を参照することにより、複数の放射状改良体を、どのような配置パターンや間隔で設ければ、どの程度の群杭割増係数が得られるかを容易に把握することが可能になり、この群杭割増係数を考慮しながら、要求性能を満たす範囲内で放射状改良体の配置パターンや間隔を決定し、効率的な地盤改良を可能にする。
群杭割増係数を考慮しながら、放射状改良体の配置パターンや間隔を決定する際には、上部構造物に関する条件(基礎形式と諸元、荷重、地震動レベル等)、地盤条件(土層構成、地盤種別、水位条件、単位体積、含水比、N値、粘着力、ヤング率、体積圧縮係数、e-logp等)、周辺条件(敷地境界、周辺建物や地形等)等の諸条件をも鑑みながら、群杭割増係数が所望値以上になるように、放射状改良体の羽部の枚数、羽部の厚さ及び羽部の長さを選択する。
なお、複数の放射状改良体からなる群杭の支持力は、群杭割増係数に比例して大きくなるものであるが、必ずしも群杭割増係数の最大値を選択する必要はなく、上記の諸条件のなかで重要度の高い項目又は施工性、施工コスト等に対応するべく形状割増係数、放射状改良体の羽部の枚数、羽部の厚さ及び羽部の長さが選択される。
前記(3)に記載の発明は、上記[A−1.放射状改良体の鉛直支持力特性に関する実験]及び[B−1.複数の放射状改良体からなる群杭の鉛直支持力特性に関する実験]の両実験により得られた知見に基づくものであり、前記(1)及び前記(2)に記載の両方法を組み合わせて、効率的な地盤改良工法を設計可能にするものである。
すなわち、地盤内に改良体を造成して行う改良工法の設計者は、形状マトリックス表又は3次元曲面図の少なくとも一方を参照し、どのような断面形状(羽部の枚数、羽部の厚さ、羽部の長さ)の放射状改良体を選択すれば、どの程度の形状割増係数が得られるかを把握しながら、要求性能を満たす範囲内で放射状改良体の断面形状を決定する。
次に、設計者は、配置マトリックス表又はグラフの少なくとも一方を参照し、複数の放射状改良体を、どのような配置パターンや間隔で設ければ、どの程度の群杭割増係数が得られるかを把握しながら、要求性能を満たす範囲内で放射状改良体の配置パターンや間隔を決定する。
形状割増係数及び群杭割増係数を考慮しながら、放射状改良体の断面形状、配置パターン及び間隔を決定する際には、上部構造物に関する条件(基礎形式と諸元、荷重、地震動レベル等)、地盤条件(土層構成、地盤種別、水位条件、単位体積、含水比、N値、粘着力、ヤング率、体積圧縮係数、e-logp等)、周辺条件(敷地境界、周辺建物や地形等)等の諸条件を鑑みながら、形状割増係数及び群杭割増係数が所望値以上になるように、放射状改良体の羽部の枚数、羽部の厚さ及び羽部の長さを選択するものである。
また本発明では、複数の放射状改良体が集合体として実際に発揮する鉛直支持力は、放射状改良体の単体が発揮する鉛直支持力を単純に本数倍したものよりも大きくなるという効果から導き出した群杭割増係数により、配置マトリックス表又はグラフの少なくとも一方をあらかじめ作成し、これを用いて放射状改良体の間隔、配置(羽部相互の相対角度などの配置パターン)を設計するので、過剰な仕様にならないように、要求性能に応じた効率的な仕様の群杭(放射状改良体から成る群杭)の設計が可能になる。
図8(a)は放射状改良体の羽部の長さと羽部の厚さと変数とするマトリックス表の一例であり、図8(b)は放射状改良体の羽部の長さ、羽部の厚さ、形状割増係数αiをそれぞれXYZ軸にプロットして形成した3次元曲面図の一例である。マトリックス表は、全てのセルに形状割増係数αiが記入されるものであるが、図8(a)では形状割増係数αiを省略したものを示した。
例えば、羽部の枚数のバリエーションが、3枚、4枚、6枚、8枚、10枚である場合には、マトリックス表は5種類、3次元曲面図は5種類になる。各マトリックス表では、例えば、羽部の長さは1000mm程度から3000mm程度まで、500mm間隔で設定し、羽部の厚さは100mm程度から1000mm程度まで、100mm間隔で設定することが可能である。そして、マトリックス表の各セルによって規定される一本の放射状改良体ごとに、その単位断面積あたりの鉛直支持力を推定式、実験及びFEM解析等の数値解析の少なくとも一つの手法により求め、次に、一本の円柱状が発揮する単位断面積あたりの支持力を推定式により算出し、この算出値に対する放射状改良体の支持力の倍率を形状割増係数αiとして算出する。このようにして求めた形状割増係数αiにより、マトリックス表と3次元曲面図が作成可能になる。
ここで、前記推定式は、放射状改良体直下の地盤が貫入に伴い、閉塞地盤に押出されるように弾性変形すると仮定し、先端支持力は直下地盤の沈下に寄与する荷重と押出し弾性変形に起因する閉塞地盤からの摩擦力の和とした下記に示す推定式が使用可能である。
(1)鉛直支持力(kN)Ru=Rp+Rf
(2)先端支持力(kN)Rp=Rp1+Rp2
(3)沈下に寄与する正味荷重
Rp1=2rE/{(1+ν)(1−ν)}δ(Ai/Ap)
(4)閉塞地盤からの摩擦力
Rp2=(1−ν)/{α(1+ν)(1−2ν)}μsEbδΣ(t/2ζi)
(5)周面支持力Rf=UΣli2N
r:羽径(m),E:ヤング率(kN/m2),ν:ポアソン比,μs:表面の摩擦力,b:要素分割幅(m),δ:改良体貫入量,t:改良体の羽厚(m)
ζi:分割要素円弧長(m),N:N値,Ap:円形の断面積(m2),Ai:放射形状
の断面積(m2),U:周長(m),li:摩擦を考慮する層厚(m)
前記実験としては、所定の密度に作成した模型地盤中に、相似則を考慮した種々の放射状改良体の模型を設置し、放射状改良体の頭部に鉛直載荷を行うか、又は、原位置で実大鉛直載荷試験等を行う。
前記FEM解析等の数値解析は、地盤と放射状改良体の強度・変形特性を適切に表現できる三次元形状を考慮した解析を実施する。
図9(a)は予め設定した放射状改良体の複数の配置パターンの一例であり、図9(b)は図9(a)で設定した配置パターンと放射状改良体の間隔とからなるマトリックス表の一例であり、図9(c)は放射状改良体の間隔と群杭割増係数βiをそれぞれXY軸に取り、配置パターンごとに作成した曲線グラフである。マトリックス表は、全てのセルに群杭割増係数βiが記入されるものであるが、図9(b)では群杭割増係数βiを省略したものを示した。
ここで、図9(a)には、羽部の厚さ、羽部の長さ、羽部の枚数が同じ放射状改良体を複数配列してなる配置パターンA〜Fを例示した。施工装置の簡略化や施工性という観点から、放射状改良体は羽部が同じ枚数のものを複数配列することが好ましいが、図10に例示したような異形状の放射状改良体を組み合わせた配置パターンを付加することも可能である。図10の配置パターンは、同じ羽数の放射状改良体の組合せ配置と、異なる羽数の放射状改良体の組合せ配置とに大きく分類し、さらに、小分類として改良体相互の羽の向きを同方向、異方向の二通りに分けて示したものである。図10において、羽部の枚数を任意に増減させれば、配置パターンはさらに多様なものにできる。
なお、図10において、符号Dで示した長さは、放射状改良体の設計フローにおいて用いる放射状改良体間の距離Dを示したものである。
図9(b)のマトリックス表では、放射状改良体相互の間隔を、例えば、羽部の長さ程度から3000mm程度まで、500mm間隔で設定することが可能であり、配置パターンの欄には、図9(a)のように予め任意に設定した配置パターンの一覧表から、それぞれの配置パターンの名称を記載する。以上のマトリックス表の各セルによって規定される複数の放射状改良体(群杭)が、一体として発揮する鉛直支持力を予め実験及びFEM解析等の数値解析の少なくとも一つの手法により求めると共に、配置パターンを構成する一本の放射状改良体が単独で発揮する支持力を推定式、実験及びFEM解析等の数値解析の少なくとも一つの手法により算出し、この算出値を各配置パターンにおける放射状改良体の本数倍し、これに対する放射状改良体が一体として発揮する支持力の倍率を群杭割増係数βiとして求める。
以上のようにして求めた群杭割増係数βiをマトリックス表の各セルに記入すれば、マトリックス表が作成できる。また放射状改良体の間隔と群杭割増係数βiをそれぞれXY軸に取り、それぞれの数値をプロットすれば配置パターンごとに曲線グラフが形成できる。
ここで、前記実験は、所定の密度に作成した模型地盤中に、相似則を考慮した種々の放射状改良体の模型を設置し、放射状改良体の頭部に鉛直載荷を行うか、又は、原位置で実大鉛直載荷試験等を行う。
前記FEM解析等の数値解析は、地盤と放射状改良体の強度・変形特性を適切に表現できる三次元形状を考慮した解析等を実施する。
〔1〕検討条件の調査
最初に、STEP1において、図15に示したような、放射状改良体を設計する際に検討すべき各条件、すなわち、上部構造物に関する条件、地盤条件、周辺条件などを調査する。上部構造物に関する条件としては、上部構造物の基礎形式と諸元、基礎底面に作用する荷重、地震動レベル等が挙げられる。地盤条件としては、土層構成、地盤種別、水位条件、地盤の単位体積、含水比、N値、粘着力、ヤング率、体積圧縮係数、e-logp等が挙げられる。また周辺条件としては、敷地境界、周辺建物や地形等が挙げられる。
次に、STEP2において、放射状改良体の各羽相互の角度を仮設定することにより、放射状改良体の羽部の枚数の仮設定するか、複数通り仮設定する。例えば、図16に示したように、放射角度θをθ=120°の等角度にすれば、放射状改良体の羽部の枚数は3枚になる。また放射角度θをθ=90°、θ=60°、θ=45°の等角度に設定すれば、放射状改良体の羽部の枚数はそれぞれ4枚、6枚、8枚に設定することができる。
複数の放射状改良体の羽部は全て同じ枚数に設定するか、又は羽部の枚数が異なる放射状改良体を複数組み合わせることも可能である。
次に、STEP3では、STEP2で仮設定した枚数の羽部を有する放射状改良体について、その断面諸元、すなわち、羽部の厚さ、羽部の長さを、上述した検討条件や施工装置を含む施工条件を鑑みながら、それぞれ施工可能な範囲で増減させることを前提に仮設定するか、あるいは複数通り仮設定する。
STEP4〜6では、STEP2,3で仮設定した羽部の枚数、断面諸元を有する放射状改良体の一本が発揮する鉛直支持力を照査する際に、形状割増係数αi及び群杭割増係数βiを考慮するか否かについて検討する。
STEP4において、形状割増係数αiを考慮しない場合にはSTEP4からSTEP5に進む一方で、形状割増係数αiを考慮する場合には、STEP4からSTEP6に進み、さらに、STEP5又は6において、所定本数の放射状改良体が一体となって発揮する鉛直支持力を照査する際に、群杭割増係数βiを考慮するか否かについて検討する。
STEP5において、群杭割増係数βiを考慮しない場合、従来の手法により放射状改良体の設計を実施し、一方、群杭割増係数βiを考慮する場合、設計法1として図12に示したフローチャートにしたがって放射状改良体を設計する。
またSTEP6において、群杭割増係数βiを考慮しない場合、設計法2として図13に示したフローチャートにしたがって放射状改良体の設計を実施し、一方、群杭割増係数βiを考慮する場合、設計法3として図14に示したフローチャートにしたがって放射状改良体を設計する。
〔5−1〕改良仕様の設定
図12に示した設計法1のSTEP7aでは、敷地内における改良対象範囲、改良対象範囲内における改良率、放射状改良体の造成深度、放射状改良体の強度等の改良仕様の設定を行う。
STEP8aでは、STEP2,3で仮設定した羽部の枚数、断面諸元を有する放射状改良体により、STEP7aで設定した改良仕様を満たすために、何本の放射状改良体が必要であるかを求める。そして、この必要本数以上になるように、図9(a)及び図10に示したような配置パターンから所定のものを選択し、放射状改良体の配置と間隔(ピッチ)を仮設定する。
ここで、図10の配置パターンは複数の放射状改良体が一定の規則性をもって並べられたものではあるが、放射状改良体の間隔が部分的に異なるものと、全て等間隔のものがある。放射状改良体の間隔が部分的に異なる配置パターンを図10から一部抜粋して図17に示した。このような不均等間隔の配置パターンでは、群杭割増係数βiを考慮する際のパラメータである間隔(ピッチ)は、図10及び図17において符号Dで図示したように、各配置パターンにおける代表的な放射状改良体の間隔を予めパラメータとして設定するものである。
次に、STEP9aでは、準備工程で作成した群杭割増係数βiのマトリックス表か曲線グラフの少なくとも一方に、放射状改良体の配置パターンと間隔とを当てはめて、群杭割増係数βiを求める。
また群杭割増係数βiをパラメトリックスタディによって推定する場合には、上述したように予め定めた間隔(ピッチ)Dをパラメータとして、配置パターンを相似的に拡大又は縮小して検討するものであり、図18には、ピッチDを2倍に拡大するものを例示した。
次に、STEP10aでは、放射状改良体の間隔についての検討を行う。
STEP9aまでの工程により、暫定的な放射状改良体の配置や隣合う放射状改良体どうしの間隔(ピッチ)を決定したが、この間隔が所定値以下であれば、所定本数の放射状改良体が一体となって発揮する実際の鉛直支持力が、単に一本の放射状改良体が発揮する鉛直支持力の本数倍以上になるという効果、すなわち、群杭割増効果が得られるため、隣合う放射状改良体どうしの間隔を検討する。つまり、隣合う放射状改良体どうしの間隔が、図9(c)に示したD、すなわち、群杭割増係数が1以上になるか否かの閾値以下であれば、STEP11aに進む。逆に、放射状改良体どうしの間隔が、図9(c)のD以上であれば、STEP12aに進む。
STEP11aでは、群杭割増係数βiを考慮することにより、敷地内における改良対象範囲、改良対象範囲内における改良率、放射状改良体の造成深度、放射状改良体の強度等の改良仕様の修正を行う。例えば、(1)断面諸元や配置を変えずに、放射状改良体どうしの間隔を大きくすることにより、改良率の低減を図る修正を行う。または(2)放射状改良体どうしの間隔や配置を変えずに、断面を小さくすることにより、改良率の低減を図る修正を行う。
次に、STEP12aでは、(a)STEP11aを含む工程で決定した改良仕様から得られる改良地盤支持力を算出し、この算出値が上部構造物により基礎底面に作用する荷重以上であるかを照査する。(b)またSTEP11aを含む工程で決定した改良仕様の改良地盤による許容応力度を算出し、この算出値が上部構造物により地盤に発生する応力度以上であるかを照査する。これら(a)(b)の両方を満たしている場合にはSTEP13aに進み、(a)(b)の一方でも満たしていない場合には、再びSTEP9aまで戻り改良仕様の設定をやり直し、(a)(b)の両方を満たすまで、これらのルーチンを繰り返す。
STEP13aでは、上部構造物に対応した適切な準拠基準にしたがって、水平支持力性能(転倒等)の照査、安定性能(すべり検討等)の照査、沈下性能の照査を実施する。これら全ての要求性能を満たしている場合にはSTEP14aに進み、要求性能のいずれかを満たしていない場合には、再びSTEP9aまで戻り改良仕様の設定をやり直し、要求性能を満たすまで、これらのルーチンを繰り返す。
STEP14aでは、STEP13aまでの工程を行うことにより、いくつかの改良仕様を求め、それぞれの改良仕様ごとに施工コストを算出し、これら施工コストの中から最小のものを選択すれば、最適改良仕様の選定が終了する。
〔6−1〕形状割増係数αiの検討
図13に示した設計法2のSTEP7bでは、STEP2,3で仮設定した羽部の枚数、断面諸元を有する放射状改良体の一本が発揮する鉛直支持力を照査するに先立って、形状割増係数αiを求めて検討を加える。すなわち、STEP7bでは、準備工程で作成した形状マトリックス表か3次元曲面図の少なくとも一方を見ながら形状割増係数αiを求める。
なお、STEP2において、羽部の枚数が異なる放射状改良体を組み合わせた場合、STEP7bでは、各放射状改良体毎に形状割増係数αiを求める。
STEP8bでは、敷地内における改良対象範囲、改良対象範囲内における改良率、放射状改良体の造成深度、放射状改良体の強度等の改良仕様の設定を行う。ここで設定した改良仕様により、STEP2,3又はSTEP7bで仮設定した羽部の枚数、断面諸元を有する放射状改良体の必要本数と、この必要本数が均等に配置されたときの間隔を求める。
STEP9bでは、(a)STEP8bで設定された改良仕様から得られる改良地盤の鉛直支持力を算出し、この算出値が上部構造物により基礎底面に作用する荷重以上になるかを照査する。(b)またSTEP8bの改良仕様による改良地盤の許容応力度を算出し、この算出値が上部構造物により地盤に発生する応力度以上になるかを照査する。
ここで、STEP2の仮設定時に、羽部の枚数が異なる放射状改良体を組み合わせた場合、個々の形状割増係数αiを反映した支持力を算出し、それらを各本数倍したものの和を改良地盤の鉛直支持力とする。例えば、図19に示したように、4枚羽の放射状改良体のみを5本造成する場合、鉛直支持力は5×α4×Ru4の式により算出され、6枚羽の放射状改良体のみを5本造成する場合、5×α6×Ru6の式により算出され、4枚羽の放射状改良体を4本と6枚羽の放射状改良体を1本とを組み合わせる場合、4×α4×Ru4+1×α6×Ru6の式により鉛直支持力が算出される。なお、Ruiは対象構造物に応じた従来の準拠基準で算出される放射状改良体1本あたりの鉛直支持力である。
STEP9bにおいて、(a)(b)の両方を満たしている場合には、STEP10bに進み、一方、(a)(b)の両方を満たしていない場合には、再びSTEP8に戻り改良仕様の設定をやり直し、(a)(b)の両方を満たすまで、このルーチンを繰り返す。
STEP10bでは、上部構造物に対応した適切な準拠基準にしたがって、水平支持力性能(転倒等)の照査、安定性能(すべり検討等)の照査、沈下性能の照査を実施する。これら全ての要求性能を満たしている場合にはSTEP11bに進み、要求性能のいずれかを満たしていない場合には、再びSTEP8b又はSTEP9bまで戻り改良仕様の設定をやり直し、要求性能を満たすまで、これらのルーチンを繰り返す。
STEP11bでは、STEP10bまでの工程を行うことにより、いくつかの改良仕様を求め、それぞれの改良仕様ごとに施工コストを算出し、これら施工コストの中から最小のものを選択すれば、最適改良仕様の選定が終了する。
設計法3は、そのSTEP7cで、設計法2のSTEP7bと同じ工程を行い、このSTEP7c以降の工程では、設計法1の全工程とほぼ同じ工程を行うものである。設計法3に関する記載は、設計法1及び設計法2とほとんど重複するものであるが、以下、設計法3のSTEP7c〜15cの全工程について説明する。
設計法3のSTEP7cでは、STEP2,3で仮設定した羽部の枚数、断面諸元を有する放射状改良体について、準備工程で作成した形状マトリックス表か3次元曲面図の少なくとも一方を見ながら、形状割増係数αiを求める。STEP2において、羽部の枚数が異なる放射状改良体を組み合わせた場合、STEP7bでは、各放射状改良体毎に形状割増係数αiを求める。
STEP8cでは、敷地内における改良対象範囲、改良対象範囲内における改良率、放射状改良体の造成深度、放射状改良体の強度等の改良仕様の設定を行う。
STEP9cでは、STEP2,3及び7cで仮設定した羽部の枚数、断面諸元を有する放射状改良体に形状割増係数αiを考慮することにより、STEP8cで設定した改良仕様を満たすために、何本の放射状改良体が必要であるかを求める。そして、この必要本数以上になるように、図9(a)及び図10に示したような配置パターンから所定のものを選択し、放射状改良体の配置と間隔(ピッチ)Dを仮設定する。
次に、STEP10cでは、準備工程で作成した群杭割増係数βiのマトリックス表か曲線グラフの少なくとも一方に、放射状改良体の配置パターンと間隔とを当てはめて、群杭割増係数βiを求める。
次に、STEP11cでは、放射状改良体の間隔についての検討を行う。
STEP10cまでの工程により、暫定的な放射状改良体の配置や隣合う放射状改良体どうしの間隔(ピッチ)を決定したが、この間隔が所定値以下であれば、所定本数の放射状改良体が一体となって発揮する実際の鉛直支持力が、単に一本の放射状改良体が発揮する鉛直支持力の本数倍以上になるという効果、すなわち、群杭割増効果が得られるため、隣合う放射状改良体どうしの間隔を検討する。つまり、隣合う放射状改良体どうしの間隔が、図9(c)に示したD、すなわち、群杭割増係数が1以上になるか否かの閾値以下であれば、STEP12cに進む。逆に、放射状改良体どうしの間隔が、図9(c)のD以上であれば、STEP13cに進む。
STEP12cでは、群杭割増係数βiを考慮することにより、敷地内における改良対象範囲、改良対象範囲内における改良率、放射状改良体の造成深度、放射状改良体の強度等の改良仕様の修正を行う。例えば、(1)断面諸元や配置を変えずに、放射状改良体どうしの間隔を大きくすることにより、改良率の低減を図る修正を行う。または(2)放射状改良体どうしの間隔や配置を変えずに、断面を小さくすることにより、改良率の低減を図る修正を行う。
次に、STEP13cでは、(a)STEP12cを含む工程までに決定した改良仕様から得られる改良地盤支持力を算出し、この算出値が上部構造物により基礎底面に作用する荷重以上であるかを照査する。(b)またSTEP12cを含む工程までに決定した改良仕様の改良地盤による許容応力度を算出し、この算出値が上部構造物により地盤に発生する応力度以上であるかを照査する。これら(a)(b)の両方を満たしている場合にはSTEP14cに進み、(a)(b)の一方でも満たしていない場合には、再びSTEP10cまで戻り改良仕様の設定をやり直し、(a)(b)の両方を満たすまで、これらのルーチンを繰り返す。
STEP14cでは、上部構造物に対応した適切な準拠基準にしたがって、水平支持力性能(転倒等)の照査、安定性能(すべり検討等)の照査、沈下性能の照査を実施する。これら全ての要求性能を満たしている場合にはSTEP15cに進み、要求性能のいずれかを満たしていない場合には、再びSTEP10c又は13cまで戻り改良仕様の設定をやり直し、要求性能を満たすまで、これらのルーチンを繰り返す。
STEP15cでは、STEP14cまでの工程を行うことにより、いくつかの改良仕様を求め、それぞれの改良仕様ごとに施工コストを算出し、これら施工コストの中から最小のものを選択すれば、最適改良仕様の選定が終了する。
STEP2およびSTEP3において、放射状改良体の羽部の枚数及び羽部の断面諸元、すなわち、羽部の枚数、厚さ、長さを複数通り仮設定した場合には、設計法1または設計法2または設計法3において、STEP14aまたはSTEP11bまたはSTEP15cまでの工程を行うことによって選定される複数通りの最適改良仕様の中から、施工条件、施工コスト及び施工期間等を鑑みて最適な改良形式、すなわち、羽部の枚数および厚さ、長さに準じた最適改良仕様を選定する。
Claims (3)
- 複数の板状の羽部が放射状に配置された放射状改良体を地中に造成する工程を繰り返し、所定の改良範囲内に所定本数の放射状改良体を造成する改良工法における設計方法であって、
羽部の枚数が異なる各放射状改良体ごとに、羽部の厚さと羽部の長さとを変数とするマトリックスを規定し、当該マトリックスの各セルにより規定される一本の放射状改良体が発揮する単位断面積あたりの支持力をFEM解析等の数値解析、実験及び推定式の少なくとも一つの手法により求めると共に、
前記放射状改良体と同じ材料から造成される円形断面の一本の改良体が発揮する単位断面積あたりの支持力をFEM解析等の数値解析、実験及び推定式の少なくとも一つの手法により算出し、
当該算出値に対する前記放射状改良体の支持力の倍率を形状割増係数として求め、当該形状割増係数を前記マトリックスの各セル毎に記入した形状マトリックス表を予め形成するか、又は当該形状割増係数と羽部の厚さと羽部の長さとからなる3次元曲面図を予め形成し、
前記形状マトリックス表又は前記3次元曲面図から前記形状割増係数が所望値以上になるように、放射状改良体の羽部の枚数、羽部の厚さ及び羽部の長さを選択し、
これら放射状改良体の羽部の枚数、厚さ、長さ及び割増係数を用いて、改良地盤の支持力が上部構造物の基礎底面の荷重よりも大きくなるように、放射状改良体の造成範囲、造成本数、間隔及び配置、深さ方向の長さを決定することを特徴とする放射状改良体の設計方法。 - 複数の板状の羽部が放射状に配置された放射状改良体を地中に造成する工程を繰り返し、所定の改良範囲内に所定本数の放射状改良体を造成する改良工法における設計方法であって、
放射状改良体の所定本数を所定間隔で配置した配置パターンを複数通り予め設定し、当該配置パターンを構成する各放射状改良体は羽部の枚数、羽部の厚さ及び羽部の長さをそれぞれ同じに設定し、且つ放射状改良体相互の羽部を規則的に配置したものであり、放射状改良体の間隔を変数として各配置パターン毎に、所定本数の放射状改良体が一体として発揮する支持力を予めFEM解析等の数値解析、実験及び推定式の少なくとも一つの手法により求めると共に、
前記配置パターンを構成する一本の改良体が単独で発揮する支持力をFEM解析等の数値解析、実験及び推定式の少なくとも一つの手法により算出し、当該算出値を前記配置パターンにおける放射状改良体の本数倍し、これに対する前記放射状改良体が一体として発揮する支持力の倍率を群杭割増係数として求め、放射状改良体の間隔と配置パターンとから構成されるマトリックスに前記群杭割増係数を記入して配置マトリックス表を予め形成するか、又は放射状改良体の間隔と前記群杭割増係数とを縦横軸として各配置パターン毎にグラフを形成し、
前記配置マトリックス表又は前記グラフから前記群杭割増係数が所望値以上になるように、各放射状改良体の間隔と配置パターンとを選択し、
次に、放射状改良体は羽部の枚数、羽部の厚さ及び羽部の長さを任意に設定し、改良地盤の支持力が上部構造物の基礎底面の荷重よりも大きくなるように、放射状改良体の造成範囲、造成本数、深さ方向の長さを決定することを特徴とする放射状改良体の設計方法。 - 複数の板状の羽部が放射状に配置された放射状改良体を地中に造成する工程を繰り返し、所定の改良範囲内に所定本数の放射状改良体を造成する改良工法における設計方法であって、
形状割増係数に関する形状マトリックス表又は3次元曲面図を求める第一の予備工程と、
群杭割増係数に関する配置マトリックス表又はグラフを求める第二の予備工程と、
放射状改良体の羽部の枚数、羽部の厚さ及び羽部の長さを選択する第一の設計工程と、
隣合う放射状改良体の間隔と配置パターンとを選択する第二の設計工程と、
設計改良地盤の支持力の照査工程とを含み、
前記第一の予備工程は、羽部の枚数が異なる各放射状改良体ごとに、羽部の厚さと羽部の長さとを変数とするマトリックスを規定し、当該マトリックスの各セルにより規定される一本の放射状改良体が発揮する単位断面積あたりの支持力を予めFEM解析等の数値解析、実験及び推定式の少なくとも一つの手法により求めると共に、前記放射状改良体と同じ材料から造成される円形断面の一本の改良体が発揮する単位断面積あたりの支持力をFEM解析等の数値解析、実験及び推定式の少なくとも一つの手法により算出し、当該算出値に対する前記放射状改良体の支持力の倍率を形状割増係数として求め、当該形状割増係数を前記マトリックスの各セル毎に記入した形状マトリックス表を予め形成するか、又は当該形状割増係数と羽部の厚さと羽部の長さとからなる3次元曲面図を予め形成するものであり、
前記第二の予備工程は、放射状改良体の所定本数を等間隔に配置した配置パターンを複数通り予め設定し、当該配置パターンを構成する各放射状改良体は羽部の枚数、羽部の厚さ及び羽部の長さをそれぞれ同じに設定し、且つ放射状改良体相互の羽部を規則的に配置したものであり、放射状改良体の間隔を変数として各配置パターン毎に、所定本数の放射状改良体が一体として発揮する支持力を予めFEM解析等の数値解析、実験及び推定式の少なくとも一つの手法により求めると共に、前記配置パターンを構成する一本の改良体が単独で発揮する支持力をFEM解析等の数値解析、実験及び推定式の少なくとも一つの手法により算出し、当該算出値を前記配置パターンにおける放射状改良体の本数倍し、これに対する前記放射状改良体が一体として発揮する支持力の倍率を群杭割増係数として求め、放射状改良体の間隔と配置パターンとから構成されるマトリックスに前記群杭割増係数を記入して配置マトリックス表を予め形成するか、又は放射状改良体の間隔と前記群杭割増係数とを縦横軸として各配置パターン毎にグラフを形成するものであり、
前記第一の設計工程は、前記第一の予備工程により求められた前記形状マトリックス表又は前記3次元曲面図から前記形状割増係数が所望値以上になるように、放射状改良体の羽部の枚数、羽部の厚さ及び羽部の長さを選択するものであり、
前記第二の設計工程は、前記第二の予備工程により求められた前記配置マトリックス表又は前記グラフから前記群杭割増係数が所望値以上になるように、隣合う放射状改良体の間隔と配置パターンとを選択するものであり、
前記照査工程は、第一及び第二の設計工程における選択値による改良地盤の支持力が、上部構造物の基礎底面の荷重よりも大きくなるか否かを求め、大きくならない場合には第一及び第二の設計工程を繰り返すことを特徴とする放射状改良体の設計方法。
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