JP5073357B6 - 金属板の切断方法および切断装置 - Google Patents
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Description
本発明は、圧延または鍛造により製造された金属板を、その搬送ラインにおいて、切断面の品質不良を発生することなく切断できる金属板の切断方法、およびそれに用いる切断装置に関する。
素材から熱間圧延、冷間圧延または鍛造を経て製造された金属板は、その先端部分、後端部分、および側面部分が切断され、最終製品としての金属板となる。これらの切断作業としては、シャーに代表される機械切断、またはガス切断もしくはプラズマ切断といった熱もしくは電気エネルギーを用いる方法が一般に採用されている。中でも、機械切断を用いる方法は最も切断能率が良い。
シャーの使用に代表される機械切断では、上刃と下刃の間に被切断材である金属板を置き、いずれか一方の刃のみ、あるいは上刃および下刃の両方を被切断材の方向に駆動させることによって被切断材に剪断力を加えて切断する方式が最も一般的である。このとき、金属板の搬送ライン方向における上刃と下刃との間の間隔(クリアランス)(以下、「刃間クリアランス」とも記す)が適正に設定されていないと、切断時に、被切断材である金属板表面の切断線の近傍には刃によって引き込まれた「だれ」が、また、金属板の反対側の表面の切断線の近傍には「バリ」(以下、「かえり」とも記す)が、さらに、金属板の切断面には「切断面の直角度不良」といった品質不良が発生する。
したがって、上記の刃間クリアランスは、被切断材である金属板の板厚、強度、刃の磨耗度を考慮して、適正な値に決定される必要がある。
例えば、特許文献1には刃間クリアランスの調整機構が、また、特許文献2には刃間クリアランスの調整方法が、それぞれ開示されている。
前記特許文献1に開示された技術は、上刃および下刃のうちのいずれか一方の刃を上下方向に拘束し、他方の刃を昇降可能とするシャーにおいて、その上下方向に拘束された刃の背面に通板方向と斜めに交差する勾配を有するコッターを設け、この勾配に沿って刃を通板方向に直交する方向に摺動させることによって、刃間クリアランスを調整する機構に関するものである。
また、特許文献2には、金属ストリップの材質に応じて予め刃間クリアランスを決めておき、各材質に応じて決められた刃間クリアランスの信号を切断装置に与え、刃間クリアランスを設定する方法が開示されている。
しかしながら、上記の特許文献に開示された技術においては、刃間クリアランスは刃のいずれの位置においても変わることがなく一定である。
金属板の切断工程では、最終製品の大きさに応じて、様々な大きさの被切断材が切断される。すなわち、被切断材の切断長さは、刃の全長とほぼ同程度のものから、非常に短いものまで多様である。
一般に、切断工程では、被切断材を搬送ラインの一方の基準となる側面(以下、「基準側面」とも記す)に寄せ、切断装置により切断する。このため、切断装置の刃のうちの上記基準側面の位置に相当する部位は、常に切断に使用されるのに対して、上記搬送ラインの基準側面と反対側の他方の側面(以下、「反基準側面」とも記す)の位置に相当する部位は、被切断材の切断線長さが長い場合(すなわち、広幅の被切断材の場合)にのみ切断に使用されることとなる。
したがって、基準側面の位置に相当する刃の部位は常に使用され、刃の摩耗が速く進行するのに対して、反基準側面の位置に相当する刃の部位はそれほど摩耗が進行しない。このような理由により、切断装置のメンテナンスにより刃を交換後、長時間にわたって被切断材の切断を続けると、切断線の長さが長い被切断材の切断時には、反基準側面の位置に近い部分の切断面は良好な品質を有するのに対して、基準側面の位置に近い部分の切断面には、だれ、かえり、または切断面の直角度不良といった切断面の品質不良が発生しやすくなる。
本発明は、上記のような問題の発生に鑑みてなされたものであり、その課題は、長時間にわたって切断しても、被切断材である金属板の基準側面近傍の部分および反基準側面近傍の部分における切断面の品質不良の発生を抑制できる切断方法、およびそのための切断装置を提供することにある。
本発明者らは、上記の課題を解決するために、被切断材である金属板の切断面の品質を向上させる切断方法および切断装置について研究開発を重ね、下記の(a)〜(d)の知見を得て本発明を完成させた。
(a)刃間クリアランス(後出の図1および図3における番号3)が大きい場合や刃が摩耗した場合には、下刃近傍に生じる亀裂の発生位置が上刃側に寄り、切断完了時に金属板表面に発生する「かえり」が大きくなるので、かえりを除去するための手入れ工数が発生する。また、刃の摩耗が進行した場合は、刃間クリアランスを小さくすることにより、かえりをある程度抑制することができる。
(b)刃間クリアランスが小さい場合には、かえりは小さくなるが、金属板の下側表面の切断面付近に割れが発生しやすくなる。また、上刃および下刃の摩耗の進行が速くなり、刃の交換頻度が高くなる。
(c)搬送ラインの基準側面の位置(後出の図2などにおける番号11)に相当する刃の部分と反基準側面の位置(同図などにおける番号12)に相当する刃の部分とで、刃間クリアランスが同一である切断装置では、刃間クリアランスを最適値に調整して被切断材の切断を続けると、刃の摩耗の速い基準側面位置に近い被切断材の部位において、かえりが発生しやすくなる。
(d)基準側面の位置に相当する刃の部位における刃間クリアランスを調整することにより、刃が摩耗しても、基準側面位置に近い被切断材の部位におけるかえりの発生を抑制できるので、刃のメンテナンス行うことなく、被切断材の切断を継続することができる。したがって、基準側面の位置における刃間クリアランスを反基準側面の位置における刃間クリアランスよりも小さくすることにより、基準側面の位置に近い被切断材の部位におけるかえりの発生を抑制することができる。
本発明は、上記の知見に基づいて完成されたものであり、その要旨は、下記の(1)に示す金属板の切断方法、ならびに(2)および(3)に示す金属板の切断装置にある。
(1)金属板を搬送ラインの一方の側面に寄せ、該側面を基準側面として、金属板を、搬送ラインの上方に位置する上刃および搬送ラインの下方に位置する下刃により、その切断線が搬送ラインの方向とほぼ直交する方向に切断する金属板の切断方法であって、
上刃および/または下刃のメンテナンスを行った後、次回にメンテナンスを行うまでの間に、基準側面の位置における上刃と下刃との間のクリアランスを順次狭くして金属板を切断することを特徴とする金属板の切断方法。
上刃および/または下刃のメンテナンスを行った後、次回にメンテナンスを行うまでの間に、基準側面の位置における上刃と下刃との間のクリアランスを順次狭くして金属板を切断することを特徴とする金属板の切断方法。
(2)金属板を搬送ラインの一方の側面に寄せた状態で、該側面を基準側面として、金属板を搬送ラインの方向とほぼ直交する切断線に沿って切断するための切断装置であって、
搬送ラインの上方に位置する上刃および搬送ラインの下方に位置する下刃と、
上刃を下降および/または下刃を上昇させることにより金属板に剪断力を付与して切断するための刃昇降機構とを有し、
基準側面の位置における上刃と下刃との間のクリアランスが、基準側面と反対側の他方の側面の位置における上刃と下刃との間のクリアランスよりも小さいことを特徴とする金属板の切断装置。
搬送ラインの上方に位置する上刃および搬送ラインの下方に位置する下刃と、
上刃を下降および/または下刃を上昇させることにより金属板に剪断力を付与して切断するための刃昇降機構とを有し、
基準側面の位置における上刃と下刃との間のクリアランスが、基準側面と反対側の他方の側面の位置における上刃と下刃との間のクリアランスよりも小さいことを特徴とする金属板の切断装置。
(3)金属板を搬送ラインの一方の側面に寄せた状態で、該側面を基準側面として、金属板を搬送ラインの方向とほぼ直交する切断線に沿って切断するための切断装置であって、
搬送ラインの上方に位置する上刃および搬送ラインの下方に位置する下刃と、
上刃を下降および/または下刃を上昇させることにより金属板に剪断力を付与して切断するための刃昇降機構と、
基準側面の位置における上刃と下刃との間のクリアランスを、基準側面と反対側の他方の側面の位置における上刃と下刃との間のクリアランスよりも小さくすることができるクリアランス調整機構とを有することを特徴とする金属板の切断装置。
搬送ラインの上方に位置する上刃および搬送ラインの下方に位置する下刃と、
上刃を下降および/または下刃を上昇させることにより金属板に剪断力を付与して切断するための刃昇降機構と、
基準側面の位置における上刃と下刃との間のクリアランスを、基準側面と反対側の他方の側面の位置における上刃と下刃との間のクリアランスよりも小さくすることができるクリアランス調整機構とを有することを特徴とする金属板の切断装置。
本発明において、「上刃と下刃との間のクリアランス」とは、金属板の搬送ラインの方向における上刃と下刃との間の間隔(後出の図1および図3における番号3)を意味し、以下の説明では、「刃間クリアランス」とも記す。
「金属板」とは、板厚が50mm以下の範囲の金属の板を意味する。板厚が50mmを超えて厚くなると、良好な切断面品質が確保できなくなり、本発明の適用が難しくなるからである。
また、「切断線が搬送ラインの方向とほぼ直交する」とは、切断線と搬送ラインの方向とのなす角度が85〜95度の範囲であることを意味する。切断線と搬送ラインの方向とのなす角度が上記角度の範囲外では、製品として出荷することができないため、本発明を使用する意義が薄れるからである。
また、「切断線が搬送ラインの方向とほぼ直交する」とは、切断線と搬送ラインの方向とのなす角度が85〜95度の範囲であることを意味する。切断線と搬送ラインの方向とのなす角度が上記角度の範囲外では、製品として出荷することができないため、本発明を使用する意義が薄れるからである。
そして、「順次狭くする」とは、刃の使用時間の経過に応じて狭くすることを意味する。
本発明の金属板の切断方法によれば、刃のメンテナンスを行った後、次回のメンテナンスまでの間に、基準側面の位置における刃間クリアランスを順次狭くすることにより、刃のメンテナンス頻度を高めることなく、基準側面位置に近い金属板の部分および反基準側面位置に近い金属板の部分における切断面の品質不良の発生を抑制し、切断線の全域に沿って良好な切断面品質を有する金属板を得ることができる。本発明の金属板の切断装置は、基準側面の位置における刃間クリアランスを、基準側面と対向する他方の側面の位置における刃間クリアランスよりも小さくすることができるクリアランス調整機構を有するので、本発明法の実施に最も適した切断装置である。
本発明の方法は、前記のとおり、金属板を搬送ラインの一方の側面に寄せ、側面を基準側面として、金属板を、搬送ラインの上方および下方に位置する上刃および下刃により、その切断線が搬送ラインの方向とほぼ直交する方向に切断する金属板の切断方法であって、上刃および/または下刃のメンテナンスを行った後、次回にメンテナンスを行うまでの間に、基準側面の位置における刃間クリアランスを順次狭くして金属板を切断する金属板の切断方法である。また、本発明の装置は、金属板の搬送ラインの上方に位置する上刃および同下方に位置する下刃と、上刃および/または下刃を上下方向に昇降させることにより金属板に剪断力を付与して切断するための刃昇降機構と、基準側面の位置における刃間クリアランスを、基準側面と対向する他方の側面の位置における刃間クリアランスよりも小さくすることができるクリアランス調整機構とを有する金属板の切断装置である。以下に、本発明の実施形態について、図を参照しながら詳細に説明する。
図1は、シャー切断装置における上刃および下刃の側面図(横断面図)である。また、図2は、シャー切断装置における上刃および下刃の平面図(上面図)であり、図1中のA1A2A3A4に沿った切断面の平面図を示す。
同図に示されたように、一般的な切断装置では、ライナー4を介して上刃ホルダー5により保持された上刃1、およびライナー4を介して下刃ホルダー6により保持された下刃2が、上刃1と下刃2との間の刃間クリアランス3を隔てて切断装置に取り付けられている。上記の刃は金属板などの被切断材を切断することにより磨耗するので、適宜交換される。刃の交換時には、上刃1および/または下刃2を、上刃ホルダー5や下刃ホルダー6と一緒に切断装置本体から取り外し、研磨された刃または新品の刃を上刃ホルダー5および/または下刃ホルダー6に取り付け、その後、切断装置本体に取り付ける方法が一般的である。また、図2に示されたとおり、一般には、基準側面の位置11における刃間クリアランス31と、反基準側面の位置12における刃間クリアランス32とは同一である。
図3は、金属板のシャー切断の概要を模式的に示す図であり、同図(a)は切断開始前の状態を、同図(b)は切断開始直後の状態を、同図(c)は切断完了後の状態を、それぞれ表す。
同図(a)に示されるように、上刃1と下刃2との刃間クリアランス3は、被切断材の金属板7の厚さ、強度、刃の磨耗状況などを考慮し、切断前に予め設定されている。その後、同図(b)に示されるように、上刃1を下降させ、金属板7に剪断力を加えると、上刃1の角部近傍の金属板7上面、および下刃2の角部近傍の金属板7下面に、それぞれ亀裂8が生じる。さらに上刃1を下降させると、同図(c)に見られるように、金属板7の上表面および下表面に生じた亀裂8が会合し、金属板の切断が完了する。
(1)切断時の刃間クリアランスと切断面の品質との関係
図4は、金属板の切断面の品質不良を模式的に示す図であり、同図(a)は、だれおよびかえりの発生状況を、同図(b)は金属板下面での割れの発生状況を表す。
図4は、金属板の切断面の品質不良を模式的に示す図であり、同図(a)は、だれおよびかえりの発生状況を、同図(b)は金属板下面での割れの発生状況を表す。
1)刃間クリアランスが大きい場合
刃間クリアランス3が大きい場合には、下刃2の近傍に生じる亀裂8の発生位置が、下刃2よりも上刃1側に寄り、金属板7の切断完了時には図4(a)に示されるように、「かえり10」が大きくなり、かえり10を除去するための手入れ工程が必要となる。また、刃の磨耗が進行した場合にも、下刃2の近傍に生じる亀裂8の発生位置が、下刃2よりも上刃1側に寄り、かえり10が大きくなる。刃の磨耗が進行した場合は、刃間クリアランス3を小さくすることにより、かえり10の発生をある程度抑制することができる。なお、同図中の番号9は、金属板の上表面付近の材料が上刃1によって引き込まれて生じる「だれ」を示す。
刃間クリアランス3が大きい場合には、下刃2の近傍に生じる亀裂8の発生位置が、下刃2よりも上刃1側に寄り、金属板7の切断完了時には図4(a)に示されるように、「かえり10」が大きくなり、かえり10を除去するための手入れ工程が必要となる。また、刃の磨耗が進行した場合にも、下刃2の近傍に生じる亀裂8の発生位置が、下刃2よりも上刃1側に寄り、かえり10が大きくなる。刃の磨耗が進行した場合は、刃間クリアランス3を小さくすることにより、かえり10の発生をある程度抑制することができる。なお、同図中の番号9は、金属板の上表面付近の材料が上刃1によって引き込まれて生じる「だれ」を示す。
2)刃間クリアランスが小さい場合
刃間クリアランス3が小さい場合には、かえり10は小さくなるが、図4(b)に示されるように、被切断材である金属板7下面の切断面付近に「割れ13」が生じやすい。また、刃間クリアランス3が小さい場合には、上刃および下刃の磨耗の進行が速くなるので、頻繁に刃の交換を行う必要が生じる。
刃間クリアランス3が小さい場合には、かえり10は小さくなるが、図4(b)に示されるように、被切断材である金属板7下面の切断面付近に「割れ13」が生じやすい。また、刃間クリアランス3が小さい場合には、上刃および下刃の磨耗の進行が速くなるので、頻繁に刃の交換を行う必要が生じる。
上記のように刃間クリアランスが被切断材の切断面の品質および刃の磨耗の進行、さらには刃のメンテナンス頻度などに及ぼす影響を考慮すると、刃間クリアランスは金属板7の板厚14の5〜15%の範囲に設定することが好ましい。
(2)刃間クリアランスの設定
一般に、素材から圧延または鍛造により延伸された金属板をその先端部分、後端部分あるいは途中の部分において、長手方向にほぼ直交する方向に切断するシャー切断の工程においては、搬送ラインの一方の側面(基準側面)に寄せて切断する場合が多い。この場合、切断線の長さ、すなわち被切断材である金属板の幅の長さにより、切断に使用する頻度の高い刃の部分と、使用頻度の低い刃の部分とが生じる。
一般に、素材から圧延または鍛造により延伸された金属板をその先端部分、後端部分あるいは途中の部分において、長手方向にほぼ直交する方向に切断するシャー切断の工程においては、搬送ラインの一方の側面(基準側面)に寄せて切断する場合が多い。この場合、切断線の長さ、すなわち被切断材である金属板の幅の長さにより、切断に使用する頻度の高い刃の部分と、使用頻度の低い刃の部分とが生じる。
図5は、切断線の短い金属板を切断する場合の、シャー切断装置における上刃および下刃ならびに金属板の平面図である。金属板7の幅が狭く、したがって番号71〜72で示される切断線が短いので、基準側面の位置11近傍における上刃1および下刃2は、金属板7の切断に使用されるが、反基準側面の位置12近傍の上刃1および下刃2は、切断には使用されない。
これに対して、図6は、切断線の長い金属板を切断する場合の、シャー切断装置における上刃および下刃ならびに金属板の平面図である。金属板7の幅が広く、したがって切断線(71〜72)が長いため、基準側面の位置11近傍における上刃1および下刃2のみならず、反基準側面の位置12近傍の上刃1および下刃2もまた、金属板7の切断に使用される。
このように、基準側面位置11の近傍に存在する刃は、使用頻度が高くなるのに対して、反基準側面位置12の近傍に存在する刃は、切断線(71〜72)の長い金属板7を切断する時にのみ使用されることから、使用頻度が低くなる。したがって、基準側面位置11の近傍に存在する刃と、反基準側面位置12の近傍に存在する刃とでは、磨耗量が相違し、その結果、切断線(71〜72)の長い金属板7を切断する場合には、切断面に沿って切断面の品質に差異が生じることとなる。
基準側面位置11の近傍に位置する刃と反基準側面位置12の近傍に位置する刃とで、刃間クリアランス31および32が同一である切断装置の場合に、刃間クリアランスを最適値に調整して金属板の切断を続けると、刃の摩耗の速い基準側面位置11の近傍の金属板において、かえり10が発生しやすくなる。
この対策として、基準側面位置11の近傍に位置する刃の刃間クリアランス31を調整すれば、刃が摩耗しても、基準側面位置11の近傍におけるかえり10の発生を抑制できるので、刃のメンテナンスを行うことなく、金属板7切断を継続することができる。したがって、基準側面位置11の近傍に位置する刃の刃間クリアランス31を反基準側面位置12の近傍に位置する刃の刃間クリアランス32よりも小さくすることにより、基準側面位置11の近傍におけるかえり10の発生を抑制することができる。
(3)基準側面位置および反基準側面位置における刃間クリアランスの調整変更方法
基準側面位置における刃間クリアランスおよび反基準側面位置における刃間クリアランスの調整変更方法には、下記の方法がある。
基準側面位置における刃間クリアランスおよび反基準側面位置における刃間クリアランスの調整変更方法には、下記の方法がある。
1)刃の厚さを基準側面位置と反基準側面位置とで異なる厚さとし、その間の刃の厚さをテーパー状に加工しておく方法
図7は、シャー切断装置の上刃により刃間クリアランスを調整変更する例を示す図である。同図は、上刃1の厚さを基準側面位置11と反基準側面位置12との間でテーパー状に変化させて加工しておくことにより、刃間クリアランス3を調整変更する例を示している。
図7は、シャー切断装置の上刃により刃間クリアランスを調整変更する例を示す図である。同図は、上刃1の厚さを基準側面位置11と反基準側面位置12との間でテーパー状に変化させて加工しておくことにより、刃間クリアランス3を調整変更する例を示している。
2)ライナーの厚さを基準側面位置と反基準側面位置とで異なる厚さとし、その間のライラーの厚さをテーパー状に加工しておく方法
図8は、切断装置の上刃のライナーにより刃間クリアランスを調整変更する例を示す図である。同図は、上刃1と上刃ホルダー5との間に設けられたライナー4の厚さを基準側面位置11と反基準側面位置12との間でテーパー状に変化させて加工しておくことにより、刃間クリアランス3を調整変更する例を示している。
図8は、切断装置の上刃のライナーにより刃間クリアランスを調整変更する例を示す図である。同図は、上刃1と上刃ホルダー5との間に設けられたライナー4の厚さを基準側面位置11と反基準側面位置12との間でテーパー状に変化させて加工しておくことにより、刃間クリアランス3を調整変更する例を示している。
3)刃ホルダーの厚さを基準側面位置と反基準側面位置とで異なる厚さとし、その間の刃ホルダーの厚さをテーパー状に加工しておく方法
図9は、切断装置の上刃ホルダーにより刃間クリアランスを調整変更する例を示す図である。同図は、上刃ホルダー5の厚さを基準側面位置11と反基準側面位置12との間でテーパー状に変化させて加工しておくことにより、刃間クリアランス3を調整変更する例を示している。
図9は、切断装置の上刃ホルダーにより刃間クリアランスを調整変更する例を示す図である。同図は、上刃ホルダー5の厚さを基準側面位置11と反基準側面位置12との間でテーパー状に変化させて加工しておくことにより、刃間クリアランス3を調整変更する例を示している。
4)刃、ライナーおよび刃ホルダーをテーパー状に加工しておく方法
上刃1または下刃2、ライナー4、ならびに上刃ホルダー5または下刃ホルダー6の厚さを基準側面位置11と反基準側面位置12との間でテーパー状に変化させて加工しておき、これらを組み合わせて取り付けることにより、刃間クリアランス3を調整変更することができる。
上刃1または下刃2、ライナー4、ならびに上刃ホルダー5または下刃ホルダー6の厚さを基準側面位置11と反基準側面位置12との間でテーパー状に変化させて加工しておき、これらを組み合わせて取り付けることにより、刃間クリアランス3を調整変更することができる。
また、上記のように基準側面位置の刃間クリアランスを反基準側面位置の刃間クリアランスよりも狭くする方法による他に、下記のとおり、切断装置の本体に基準側面位置の刃間クリアランスを反基準側面位置の刃間クリアランスより小さくすることができるクリアランス調整機能を設けてもよい。このような設備を使用する場合には、切断装置の使用時間に応じて、適宜、最適な刃間クリアランスを確保することができる。
(4)好ましいクリアランス調整機構
上記の1)〜4)の刃間クリアランス変更方法は、刃などにその厚さがテーパー状に変化する加工を施し、切断装置に取り付けた後(すなわち、刃のメンテナンスを行った後)は、刃を交換するまで(すなわち、次回の刃のメンテナンスを行うまで)の間、基準側面位置の近傍および反基準側面位置の近傍における刃間クリアランスを変更することはできない。
上記の1)〜4)の刃間クリアランス変更方法は、刃などにその厚さがテーパー状に変化する加工を施し、切断装置に取り付けた後(すなわち、刃のメンテナンスを行った後)は、刃を交換するまで(すなわち、次回の刃のメンテナンスを行うまで)の間、基準側面位置の近傍および反基準側面位置の近傍における刃間クリアランスを変更することはできない。
刃間クリアランスには、本来、最適値が存在し、基準側面位置の刃間クリアランスをその最適値よりも狭くした場合には、刃が速く摩耗しすぎるという欠点もある。したがって、基準側面位置に相当する金属板の部位にかえりが発生する以前に、基準側面位置の刃間クリアランスを一層狭くするように切断装置を操作調整することができれば、上記のような刃の摩耗の早期進行を避けつつ、良好な切断面の状態を確保しながら金属板の切断を継続することが可能となる。
図10は、シャー切断装置の本体の構造により刃間クリアランスを調整変更する例を示す図である。同図は、上刃1、ライナー4および上刃ホルダー5の全体および/または下刃2、ライナー4および下刃ホルダー6の全体を、金属板の搬送ラインに直行する方向から傾斜させることにより、上刃1と下刃2との刃間クリアランス3を調整変更する例を示している。
このような刃間クリアランスの調整変更を可能にする調整機構としては、例えば、下記の機構を挙げることができる。
1)上刃1を保持する上刃ホルダー5および/または下刃2を保持する下刃ホルダー6の基準側面位置11および反基準側面位置12に設けられた支持部材の側面を金属板の搬送ラインと斜めに交叉する傾斜面とし、その支持部材の傾斜面を摺動可能に支持するとともに鉛直方向に昇降可能なくさび形部材を有する調整機構を用いることができる。くさび形部材の高さ位置を調整することにより、上刃1および/または下刃2を金属板の搬送ラインに直行する方向から傾斜させ、基準側面の位置における刃間クリアランス31および反基準側面の位置における刃間クリアランス32を、切断操業中においても任意に調整変更できる。
2)上刃1を保持する上刃ホルダー5および/または下刃2を保持する下刃ホルダー6の基準側面位置11および反基準側面位置12に設けられた支持部材の側面を、搬送ライン方向に可動可能なスクリューおよび/または油圧シリンダーを有する調整機構を用いることができる。スクリューおよび/または油圧シリンダーの搬送ライン方向位置を調整することにより、上刃1および/または下刃2を金属板の搬送ラインに直行する方向から傾斜させ、基準側面の位置における刃間クリアランス31および反基準側面の位置における刃間クリアランス32を、切断操業中においても任意に調整変更できる。
上記の機構を有する切断装置を使用することにより、刃のメンテナンスを行った後、次回のメンテナンスを行うまでの間に、基準側面の位置11における刃間クリアランス31を順次狭くしながら、金属板7の切断を継続することができる。
この場合、刃のメンテナンスの直後は、基準側面の位置11における刃間クリアランス31および反基準側面の位置12における刃間クリアランス32は同一とすることが好ましい。刃のメンテナンスの直後は、刃のいずれの位置においても刃の状態が均一であり、刃間クリアランスを刃の長手方向に一定とすることにより、最も良好な状態で切断を行うことができるからである。
本発明の金属板の切断方法によれば、刃のメンテナンスを行った後、次回のメンテナンスまでの間に、基準側面の位置における刃間クリアランスを順次狭くすることにより、刃のメンテナンス頻度を高めることなく、基準側面位置に近い金属板の部分および反基準側面位置に近い金属板の部分における切断面の品質不良の発生を抑制し、切断線の全域に沿って良好な切断面品質を有する金属板を得ることができる。本発明の金属板の切断装置は、基準側面の位置における刃間クリアランスを、基準側面と対向する他方の側面の位置における刃間クリアランスよりも小さくすることができるクリアランス調整機構を有するので、本発明法の実施に最も適した切断装置である。これにより、本発明は、厚板材をはじめとする金属板の切断工程において、良好な切断面品質を確保できる切断方法および切断装置として広範に適用できる。
1:上刃、 2:下刃、 3:刃間クリアランス、 31:基準側面の位置における刃間クリアランス、 32:反基準側面の位置における刃間クリアランス、 4:ライナー、5:上刃ホルダー、 6:下刃ホルダー、 7:被切断材(金属板)、 8:亀裂、 9:だれ、 10:かえり、 11:基準側面の位置、 12:反基準側面の位置、 13:割れ、 14:板厚、 71、72:切断線の始点および終点
Claims (3)
- 金属板を搬送ラインの一方の側面に寄せ、該側面を基準側面として、金属板を、搬送ラインの上方に位置する上刃および搬送ラインの下方に位置する下刃により、その切断線が搬送ラインの方向とほぼ直交する方向に切断する金属板の切断方法であって、
上刃および/または下刃のメンテナンスを行った後、次回にメンテナンスを行うまでの間に、基準側面の位置における上刃と下刃との間のクリアランスを順次狭くして金属板を切断することを特徴とする金属板の切断方法。 - 金属板を搬送ラインの一方の側面に寄せた状態で、該側面を基準側面として、金属板を搬送ラインの方向とほぼ直交する切断線に沿って切断するための切断装置であって、
搬送ラインの上方に位置する上刃および搬送ラインの下方に位置する下刃と、
上刃を下降および/または下刃を上昇させることにより金属板に剪断力を付与して切断するための刃昇降機構とを有し、
基準側面の位置における上刃と下刃との間のクリアランスが、基準側面と反対側の他方の側面の位置における上刃と下刃との間のクリアランスよりも小さいことを特徴とする金属板の切断装置。 - 金属板を搬送ラインの一方の側面に寄せた状態で、該側面を基準側面として、金属板を搬送ラインの方向とほぼ直交する切断線に沿って切断するための切断装置であって、
搬送ラインの上方に位置する上刃および搬送ラインの下方に位置する下刃と、
上刃を下降および/または下刃を上昇させることにより金属板に剪断力を付与して切断するための刃昇降機構と、
基準側面の位置における上刃と下刃との間のクリアランスを、基準側面と反対側の他方の側面の位置における上刃と下刃との間のクリアランスよりも小さくすることができるクリアランス調整機構とを有することを特徴とする金属板の切断装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007116768A JP5073357B6 (ja) | 2007-04-26 | 金属板の切断方法および切断装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2007116768A JP5073357B6 (ja) | 2007-04-26 | 金属板の切断方法および切断装置 |
Publications (3)
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JP2008272848A JP2008272848A (ja) | 2008-11-13 |
JP5073357B2 JP5073357B2 (ja) | 2012-11-14 |
JP5073357B6 true JP5073357B6 (ja) | 2013-09-25 |
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