JP5072361B2 - 新規な配列を持つhcvrna - Google Patents

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Description

本発明は、C型慢性肝炎ウイルス(以下「HCV」と略記する)のゲノムに関する。
HCVはC型慢性肝炎の原因因子であり、WHOの統計によれば、世界中で1.7億人の感染者がいると推定されている。HCVは、他のウイルス性肝炎と異なり、感染初期には比較的軽微な症状を引き起こすのみであるが、感染者は高頻度に慢性化し、一定期間の無症候性期を経た後、慢性肝炎を発症する。そして感染が長期化するにつれ、肝硬変へと病状が増悪化し、高い頻度で肝がんに至る。肝がんの95%は肝炎ウイルスが関与しており、そのほとんど(80%)がHCVの感染によるとされている。
HCVは血液、血液成分や、低頻度ではあるが体液成分を介して感染する。HCVの検査法が、献血時のスクリーニングに導入されたことにより、先進国では新規の輸血性C型肝炎の発症はほとんど無くなった。さらに医療技術の進歩により、医療過誤による伝播も抑えられており、本邦では新規の患者の発生はほぼ抑えられている。しかし疫学調査から、本邦におけるHCVキャリアは170万人以上と推定されており、そのほとんどは40歳代以上でかつ感染が長期化していることが示されている。故に今後肝がんの症例数の増加が大きく懸念される。
肝がんのリスクは、肝繊維化の状態と強く関連しており、繊維化が進むほど肝がんの発生率が高くなる。肝繊維化の状態は、TypeIVコラーゲン、ヒアルロン酸の血中濃度の測定、血中血小板数、画像診断(腹部エコー検査)などを組み合わせることにより一般的に行われているが、確定診断のためには肝生検が行われる。しかし肝生検は患者に多大な負担を強いることが大きな問題であり、より患者本位の診断方法が求められている。
HCVは約9.600塩基のプラス鎖RNAをゲノムとする、フラビウイルス科、フラビウイルス属に分類されるウイルスであり、血液や血液成分を介して感染し、肝臓で増殖すると考えられている。遺伝子配列の解析から、少なくとも6種類の遺伝子型が存在していると推定されている。約9600塩基のゲノムは、感染後、宿主細胞内でmRNAとして機能し、約3000アミノ酸長の一つながりのポリプロテインが合成され、宿主のシグナルペプチダーゼ、シグナルペプチジルペプチダーセ、およびHCVゲノムがコードするプロテアーゼによる切断される。その結果core(コア)、E1、E2、p7、NS2、NS3、NS4A、NS4B、NS5A、NS5Bの10種類のタンパク質が産生される。この翻訳枠(オープンリーディングフレーム)以外に、5’末端、3’末端に非翻訳領域(UTR)が存在し、翻訳調節、ゲノムの複製調節機能を担っている。
このうちコア、E1及びE2はウイルスを構成する構造タンパク質であり、ウイルスゲノムはコアタンパク質によりパッケージされ、キャプシドを形成し、脂質二重膜にアンカーしたE1、E2タンパク質によって取り囲まれ、ウイルス粒子(ビリオン)を形成すると考えられている。p7についてはその機能は明らかではないが、ウイルスの増殖に必須であることが報告されている。NS2はメタルプロテアーゼであり、それ自身の切断に必要であるが、それ以外の機能については分かっていない。NS3からNS5Bは複合体を形成し、宿主タンパク質とともに、RNA複製装置を形成し、ゲノムRNAの複製を行うと考えられている。
HCVの感染の診断には、患者生体成分(血液、血清、血漿など)に含まれる、HCVの作り出すタンパク質に対する抗体を検出する方法が広く用いられているが、抗体の有無のみではHCVが活動しているか否かの判別が出来ないため、血中ウイルス量を測定することが診断には重要である。血中ウイルスの検出または測定には、HCVのウイルスゲノムを検出、または測定する方法、もしくはHCVの産生するコアタンパク質を測定または検出する方法が用いられる。
C型慢性肝炎の治療には、広くインターフェロンが用いられている。近年薬剤の改良や、リバビリンとの併用療法など投与方法の改善等により、HCVが体内から駆除され、完治する割合も徐々に増して来た。しかし未だに完治率は5割程度である。またインターフェロン投与は、重篤な副作用を起こす場合があり、高齢者など用いることが出来ない症例が多くあり、さらに効果的な治療法、薬剤の開発が求められている。
インターフェロン治療とHCVとの関連であるが、血中ウイルス量が高いほど、インターフェロン治療に対する抵抗性が高い傾向が認められている。また遺伝子型によってインターフェロンへの感受性が異なる場合があり、特に遺伝子型2は、比較的治療に高い感受性を示す。しかし、血中ウイルス量と、肝炎の増悪度との間、また遺伝子型と肝炎の重篤度の間に明確な関連は無い。すなわち肝疾患の重篤度を表すウイルスマーカーはない。
HCVはヒトには、血液または血液成分を介して感染する。ヒト以外の生物では、類人猿(チンパンジー)に感染し、感染により肝炎を発症し、慢性肝炎に至る場合もある。他のより飼育が容易な実験動物で、HCVに高率に感染するものは知られていない。
一方、HCVは試験管内(in vitro)でヒトやサル由来の細胞に感染させ、増殖させることが出来たことが報告されている。しかし感染効率、増殖効率ともに低い。そのため試験管内でHCVを感染、増殖させることは非常に困難である。
近年、in vitroで合成したHCVゲノムの一部(サブゲノミックRNA)と薬剤耐性マーカーを持つRNAを、ヒト肝がん由来の樹立細胞に導入し、薬剤耐性を指標に細胞を選択することにより、非常に低頻度ではあるが、細胞内で自律的にRNAが複製している細胞を単離できることが分かった。多くの研究室で再現し、比較的容易に維持することが出来るため、広く研究に用いられるようになった。よく用いられるレプリコンは、HCVの構造タンパク質部分を人工的に欠失させたものであり、非構造領域が作り出すタンパク質からなる複製装置がHCV本来のプラス鎖RNAの細胞内での複製に必要十分な情報を持つことを示唆している。
HCVが肝臓で増殖していることは、肝臓に含まれるHCVの産生するタンパク質を検出することや、肝臓に含まれるRNAを検出することにより示されている。またインターフェロン治療によりHCVを一時的、または恒久的に駆除すると、その後の肝炎の症状が緩和されることからも、肝臓での病態の発現にHCVが関与していることは明らかである。しかしHCVが肝臓中でどのような様態を取っているかについては解明されていない点が多い。
そのためHCVの感染によって肝炎を発症し、長期慢性化により病状が増悪化し、最終的に肝がんに至るHCVの病態発現および進展のメカニズムについて未解明である。HCVの各タンパク質を、遺伝子組換えにより培養細胞中で発現させ、発現細胞の状態を解析することにより、病態発現・増悪化のメカニズムについて仮説を提唱する研究は盛んに行われているが、それを証明するための適切なHCV感染・増殖モデルが存在しないため、仮説を検証できていない。
特開2001−17187 Science 第277巻、p570−、1997 Journal of Virology、第76巻、p4008−4021、2002 Science 第285巻、p110−、1999 Science 第290巻、p1972−、2000 Hepatology、第29巻、p223−229、1999 Journal of Virology、第77巻、p2134−2146、2003 Res.Virol.、第144巻、p275−279、1993 Journal of Virology、第75巻、p4614−4624、2001 PNAS、第29巻、14416−14421、2002 Current Opinion in Infectious Disease、第14巻、743−747 Jounal of Viral Hepatitis,第6巻,p35−47,1999 Clinical Chemistry,第43巻,p1507−1522,1997 Journal of General Virology,第81巻,p1631−1648,2000
HCVは肝臓中で複製し、増殖すると考えられているにも関わらず、肝臓中での様態についての解析が行われていない。そのため肝臓中でどのようにHCVが複製しているかについての情報はほとんど無く、HCVに対する治療薬の標的として、どの分子が適切なものか否かの情報も無い。故にHCVの治療法はトライアンドエラーにならざるを得ない。治療薬を効率的に開発するためには、患者肝臓で活発に複製しているHCVゲノムRNAを特定する必要がある。そこで本発明は肝臓で複製、増殖しているHCVゲノムRNA関するものであり、治療薬の適切な標的となるHCVゲノムRNAを提供することを目的とする。
HCVの増殖によって肝炎が重症化しているにも関わらず、肝炎の状態を示すウイルスマーカーが存在しない。肝炎の状態を表す適切なウイルスマーカーが求められている。本発明は肝炎の症状、状態を表すウイルスマーカーを提供することを目的とする。
HCVは取り扱いの容易な感染動物、および高率に感染し、効率良く複製するin vitro培養系が存在しないため、効率的な薬剤のスクリーニングを行うことが困難である。これらは、HCV特異的な治療薬の開発を困難にしている原因の一つである。例えば、広く用いられているインターフェロン治療は、患者を被検体として直接治療法が開発、改良されてきており、患者に多大な負担を強いてきた。そのため、患者の立場に立った医薬品の開発方法が必要である。この問題を解決するためには、有効な治療薬と治療法の開発に、広く用いることが出来るHCV感染、増殖モデルが必要である。本発明の目的の一つは、治療薬、治療法の開発、スクリーニング等に用いるHCV感染、増殖モデルを提供することである。
このような増殖モデルとして、サブゲノミックレプリコンを用いた系が供された。すなわちHCVのサブゲノムと適当な薬剤耐性マーカーをコードする適切な構造を持つRNAをヒト肝がん由来細胞に導入し、薬剤耐性で選択することにより、細胞内で自律的に増殖するHCVサブゲノミックRNAレプリコンを得ることが出来る。このレプリコンと、レプリコンを保持している細胞を用いることにより、HCVに対する薬剤のスクリーニングが始められている。しかしこの方法には大きな問題がある。
一つは用いているHCVのゲノムは、本来のHCVゲノムRNAとは異なる構造からなっている点である。すなわち、サブゲノムはHCVゲノムの非構造蛋白質からなる情報を持つのみである。この点を改良するため、HCV蛋白質のすべての翻訳領域と、薬剤耐性マーカーからなるレプリコンが樹立された。このレプリコンを保持している細胞では、HCVゲノムにコードされているすべてのタンパク質が産生されるはずであり、HCV粒子が細胞外に放出されることが期待された。しかし細胞外にHCV粒子は放出されなかった。すなわちこのような改良がなされたとしてもHCVの増殖系としては不完全なものであった。
また、上記の非構造領域から成るサブゲノムのレプリコンはHCVの5’非翻訳領域のIRES(intenal ribosome entry site)とコアの一部の遺伝子の下流にネオマイシン耐性遺伝子を持ち、その下流にencephalomyecarditis virus(EMCV)のIRES(intenal ribosome entry site)とHCVの非構造蛋白をコードする領域と3’非翻訳領域を持つ構造である。また改良された、HCVのすべての翻訳領域を持つレプリコンもサブゲノムのレプリコンの非構造蛋白をコードする遺伝子領域をHCVのすべての翻訳領域をコードする領域と入れ換えたものであり、基本的な構造は同じである。
これらのレプリコンは本来のHCVの構造と異なり、HCVのIRESとEMCVのIRESの2つのIRESを有しており、生体内におけるHCVのゲノムの構造とは異なるものである。この構造の違いが、細胞外へのHCVの粒子の放出がない原因の1つである可能性も考えられる。さらにこのような構造のレプリコンは、生体内では複製されているウイルスゲノムと異なる機構で複製されていることも考えられる。
これらのことより、HCVのレプリコンシステムは本来の生体内のHCVゲノム構造を持つRNAを用いたレプリコンシステムであることが望ましい。本発明は肝臓で実際に複製している配列および構造からなるレプリコンを提供することを目的とする。
さらに大きな問題は適応変異と呼ばれる、サブゲノミックレプリコンの実験系に特有の変異の存在である。in vitroで機能するHCVレプリコンを回収し解析すると、NS3、NS5Aなどに本来存在しなかった複数の変異が生じていた。この変異は効率良い複製に重要であり、複製の効率を左右する。しかし複製に適した変異はHCVの増殖にとってはあってはならない変異であることが分かっている。in vitroで合成したHCVゲノムを、直接チンパンジーの肝臓に接種することにより、HCVが感染する。
このin vitroで合成したHCV RNAに、サブゲノミックレプリコンで重要である変異を導入すると、元々の配列が持っていたチンパンジーへの感染性が消失した。さらに、チンパンジーに感染性を示す配列を持つ、試験管内の細胞で複製、増幅する配列も無い。故にin vitroで複製するようになった配列は、生体内で複製、増殖する機能を失っており、本来のHCVの持つRNA複製、増殖能を保持していない。生体でもin vitroでも複製、増殖する配列である必要がある。すなわち本発明の提供するHCVゲノムRNA配列を持つレプリコンは、生体中でもin vitroでも複製するものである。
本発明者らは患者肝臓中のHCVゲノムRNAに対するcDNAを単離し、その全構造を決定した。決定した配列を解析したところ、単離したcDNAは今までに報告されているHCVゲノムRNAの構造とは全く異なる配列を持つことが判明した。
この新しい構造のゲノムRNAは、既に報告されているHCVゲノムRNAの構造タンパク質領域を一部、または全部欠失していることが特徴であり、さらに欠失した部分の前後の配列は、元のHCVゲノムの翻訳枠(reading frame)を維持したまま結合しており、このHCVゲノムは新規の一つながりのポリペプチドをコードしていることが判明した。一つながりのポリペプチドはHCV本来の構造タンパク質の一部と、非構造蛋白質の全部を発現することができる。
このゲノムにコードされているHCVポリプロテインは、細胞内シグナルペプチダーセによる切断部位、自身のプロテアーゼによる切断配列を保持していることから、プロセッシングを受けることが推定される。事実、配列番号1に示す新規なHCVゲノムcDNAをほ乳類細胞で発現させ、産物を解析したところ、コア蛋白質は正常にプロセスされ、E1とNS2蛋白質は融合タンパク質として発現し、NS3とはプロセスされ、NS3は本来の大きさの分子にプロセスされた。
このHCVゲノムRNAをトランケートフォーム(TF)と呼ぶ。それに対し、既に報告されている構造遺伝子をすべて含むHCV RNAをフルレングスフォーム(FLF)と呼ぶ。複数の慢性C型肝炎患者の肝生検、血清を解析した。複数の患者から、共通する特徴を持つTF HCVゲノムが検出された。その特徴は、構造タンパク質の一部、または全部の配列を欠失しているが、NS2の後半以降の配列を保持していること、残されている配列は、FLFで推定される翻訳枠を保持する形で発現できるような形で欠失していることである。
すなわち本願発明は、
(1)C型肝炎ウイルス遺伝子において、構造蛋白コード領域の一部分を保持し、1つの翻訳枠を維持しながら、コア蛋白からNS2蛋白をコードする領域の一部分が欠失しているトランケートフォームC型肝炎ウイルス遺伝子、
(2)C型肝炎ウイルス遺伝子において、構造蛋白コード領域の一部分を保持し、1つの翻訳枠を維持しながら、少なくともE1蛋白とE2蛋白のつなぎ目のアミノ酸配列をコードする領域を欠失している、(1)のトランケートフォームC型肝炎ウイルス遺伝子、
(3)C型肝炎ウイルス遺伝子においてE1蛋白コード領域の一部分、E2蛋白コード領域、P7蛋白コード領域およびNS2蛋白コード領域の一部分が翻訳枠を維持しながら欠失しているトランケートフォームC型肝炎ウイルス遺伝子、
(4)5’UTR、および3’UTRを有する、上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の遺伝子、
(5)5’UTR、NS3から下流の蛋白質コード領域及び3’UTRを有する上記(1)〜(3)いずれか1項に記載の遺伝子を提供する。
C型肝炎ウイルスゲノムはRNAであるが、本願発明のC型肝炎ウイルス遺伝子はRNAでもDNAであっても利用可能である。
言い換えると、本発明は、(a)C型肝炎ウイルス遺伝子において、E1蛋白コード領域の一部分、E2蛋白コード領域、P7蛋白コード領域およびNS2蛋白コード領域の一部分が翻訳枠を維持しながら欠失しているトランケートフォームC型肝炎ウイルス遺伝子を提供する。
また、5’非翻訳領域から構造蛋白であるコア蛋白をコードする領域の全部又は一部、及び非構造蛋白であるNS2の後半2箇所の膜貫通領域をコードする領域から3’非翻訳領域の全部又は一部を有する上記(a)に記載のトランケートフォームC型肝炎ウイルス遺伝子を提供する。
さらに、C型肝炎ウイルス遺伝子の核酸配列の1番から914番の全部又は一部の配列及び3001番以降の全部又は一部の配列を有する上記(a)に記載のトランケートフォームC型肝炎ウイルス遺伝子を提供する。
一方、サブゲノミックレプリコンの解析からRNA複製に必要な情報はNS3以降の非構造蛋白質の領域にコードされていることが示されている。故にTFゲノムはRNA複製に必要な非構造蛋白質の情報をすべて保持している。さらに一部の肝生検サンプルでは、TFゲノムが優先に検出されることから、TFゲノムは肝臓で自律的に複製していることが分かる。加えて、in vitroでTFを含むRNAを細胞に導入すると、細胞内で複製する。すなわちTF HCVゲノムRNAはレプリコンとして機能する。これらの結果から、本発明によって提供されるHCVゲノムRNAは、肝臓で複製し、またin vitroでも複製することが分かった。
従って、本願発明はまた、
(6)細胞中で自律的に複製するC型肝炎ウイルスのコア蛋白からNS2蛋白をコードする遺伝子の一部の領域を翻訳枠を保持したまま、欠失したトランケートフォームC型肝炎ウイルス遺伝子または欠失した領域が少なくともE1蛋白およびE2蛋白をコードする領域に存在するトランケートフォームC型肝炎ウイルス遺伝子のレプリコン遺伝子を提供する。
本発明はさらに、
(7)上記(3)のレプリコン遺伝子に選択マーカー遺伝子の結合したレプリコン遺伝子を提供する。
あるいは
(8)上記のレプリコン遺伝子が複製する細胞を提供する。
TFは肝臓でFLFよりも有利に増殖し、当該患者が重篤な肝炎症状を発現している。TFの出現は肝炎症状に強く関係しており、TFの増殖を抑制、または阻害し、駆除することは有効な治療方法となる。すなわち、効果的にC型慢性肝炎の症状を抑制、緩和する薬剤は、TFを標的として開発することが好ましい。故にTFを利用したレプリコンを用いた医薬品のスクリーニングは、肝炎の重症化を抑制、緩和または駆除するための医薬品開発に適していることは明らかである。
従って、本願発明は更に、
(9)トランケートフォーム遺伝子の複製する細胞を用いた薬剤のスクリーニング方法、薬効評価方法および薬効を評価することにより薬剤を製造する方法を提供する。
(10)トランケートフォーム遺伝子を組み込んだベクターを保持し、その蛋白質を発現している細胞を提供する。
(11)トランケートフォーム遺伝子を含むレプリコンが複製している細胞、もしくは細胞が産生するタンパク質を用いたHCVの診断方法も提供する。
このTFゲノムは血中にも検出できる。すなわちこのHCVゲノムRNAは肝臓中で複製され、血中にVLPとして存在する。それゆえ、TFゲノムの検出には血液、または血液成分をサンプルとして用いることが出来る。
TFが検出される患者において、TFが肝臓RNAの中で優先型である例が観察される。このことはTFがFLFよりも肝臓内でのRNA複製に適した配列であることを示している。さらに多数の患者の肝生検、血清を分析し、TFが肝臓で優先型である患者は、重篤な肝炎を発症している例が多く、多くはインターフェロン治療の予後も不良であることが判明した。このことからTF型が肝臓で優先である場合は、肝炎が重症化しており、またインターフェロン治療効果も限定的である。すなわちTFを検出、または定量することは、肝炎の状態を示す指標となる。このことからTFを検出、定量する方法は、肝炎の状態を診断する方法として適用でき、新規のウイルスマーカーとして利用が可能となる。
従って、本願発明はまた、
(12)検体中のトランケートフォーム遺伝子を検出する方法を提供する。また、この方法は、すべての遺伝子の欠失を検出する方法を用いて、C型肝炎ウイルスのトランケートフォーム遺伝子を検出する方法を含む。
また一例として、C型肝炎ウイルス遺伝子の核酸配列の1番から914番及び3001番以降の配列から設計したプライマーを用いてPCRを行い、トランケートフォーム遺伝子を増幅することによりトランケートフォーム遺伝子を検出または定量する方法を提供する。
(13)トランケートフォームC型肝炎ウイルス遺伝子およびフルレングスフォームC型肝炎ウイルス遺伝子の混合した検体において、その存在比を定量する方法も提供する。
(14)トランケートフォーム遺伝子及びフルレングスフォーム遺伝子の共通領域の遺伝子の定量とトランケートフォーム遺伝子の欠失した領域の遺伝子の定量によって存在比を定量する方法も提供する。
また血中のTFゲノムはC型肝炎ウイルス粒子またはC型肝炎ウイルス様粒子として存在していると考えられる。何らかの構造体を形成していなければ、TFゲノムはRNAであるため、速やかに血液中のRNaseによって分解され、検出できないためである。
従って、本願発明は、
(15)トランケートフォーム遺伝子を保持するC型肝炎ウイルス粒子またはウイルス様粒子を提供する。
TFゲノムは構造蛋白をコードする領域を欠失している。そのため、欠失した領域にコードされていたペプチドを欠如した新規なHCVポリプロテインを産生することができる。前述したように配列番号1のHCVゲノムcDNAをほ乳類細胞で発現させた場合、E1とNS2の融合蛋白が産生された。
そのため、本願発明は更に、
(16)トランケートフォーム遺伝子から産生されるC型肝炎ウイルスのポリプロテインおよびポリプロテインからプロセスされた蛋白を提供する。また
(17)このタンパク質を特異的に認識する抗体を提供する。
新規なHCVゲノムRNA(TF)を用いることにより、生体内で複製しているRNAレプリコンをin vitroで複製することが可能となる。このレプリコンを利用することにより、患者肝臓内で優先的に複製し、肝炎を重症化させる感染細胞モデルが構築できる。このモデルを利用することにより、肝炎の重症化を抑制、阻害する医薬品の開発、スクリーニングを行うことが出来る。
TFを検出、または定量することは、肝炎の状態を把握することに効果的であり、肝炎の状態を表すウイルスマーカーとして有効である。またこのマーカーを用いた診断法により、患者の肝炎の状態、薬剤の効果のモニタリング、薬剤に対する抵抗性を診断することが出来る。
図1は、肝臓組織のHCVゲノムRNAからRT−PCRによって検出されたTFゲノムの代表的な電気泳動像を示す。プライマーセット1はcDNA合成プライマーが3481R、1st PCRプライマーがHClongA1と3481R、2nd PCRプライマーが85Fと3297R、プライマーセット2はcDNA合成プライマーが3945R、1st PCRプライマーが831Sと3945R、2nd PCRプライマーが841Sと3759R、プライマーセット3はcDNA合成プライマーが3945R、1st PCRプライマーが813Sと3174AS、2nd PCRプライマーが841Sと3111ASを示す。矢印はTFゲノムのPCR産物を示している。
図2は、TFゲノムのみが検出された検体のTFゲノムとD89815のゲノムとの構造の違いを示す。D89815の各蛋白をコードしている核酸配列はコアが341−914、E1が915−1454、E2が1455−2079、P7が2580−2778、NS2が2779−3419に存在する。各検体から取得したTFゲノムを5’UTRは実線で、蛋白をコードしている部分は灰色のバーで示している。欠失部分はそれぞれのバーを線で結んで示す。各検体の番号はD89815に対応する核酸の位置を示している。
図3は、TFゲノムとFLFゲノムの両方が検出された検体の、TFゲノムとD89815のゲノムとの構造の違いを示す。図2と同様に、各検体から取得したTFゲノムを5‘UTRは実線で、蛋白をコードしている部分は灰色のバーで示している。欠失部分はそれぞれのバーを線で結んで示す。各検体の番号はD89815に対応する核酸配列の位置を示している。
図4は、実施例6における、抗原量の経時的変化を示すグラフである。
図5は、実施例7において得られた欠失を有する遺伝子の欠失前後の配列を示す。
以下に本願発明の最良の形態を述べるが、本願発明はこの形態に限定されるものではない。
本発明はC型肝炎ウイルスの新規な構造の遺伝子に関するものである。正常なFLFのC型肝炎ウイルスの遺伝子は5’UTRとそれに続いて、ウイルスの構造タンパク質であるコア蛋白、E1蛋白、E2蛋白、及びP7蛋白、及び非構造タンパク質NS2蛋白、NS3蛋白、NS4A蛋白、NS4B蛋白、NS5A蛋白、NS5B蛋白をコードする領域および3’UTRからなっている。
本願発明のC型肝炎ウイルス遺伝子は構造タンパク質であるコア蛋白、E1蛋白、E2蛋白又はP7蛋白それぞれの全部又は一部及び/または非構造タンパク質であるNS2の一部をコードしている遺伝子を欠失しているTFゲノムである。このTFゲノムはFLFゲノムの翻訳枠を維持したまま、インフレームで欠失が起こっており、欠失部分以外の領域では正常なHCVのポリプロテインを産生することができる。つまり、本願発明はC型肝炎ウイルスのポリプロテインをコードする遺伝子の一部の領域がインフレームで欠失したC型肝炎ウイルス遺伝子に関するものであり、その、TFゲノムの構造に特徴がある。
このHCVのTFゲノムは5’UTRを保持しており、少なくともHCVのFLFゲノムの3001番目以降の遺伝子を保持しているものが多いと考えられる。3001番目以降の遺伝子にはNS2領域のC末側の2箇所の膜貫通領域が存在しており、NS3以降のHCVのタンパク質をこのTFゲノムより正常に細胞の中で産生することができる。(以下の核酸配列の位置を示す番号は全長型の配列であるGeneBank accession No.D89815のHCVの配列に相当する位置の番号を記載する。)
またこのTFゲノムはコア蛋白、E1蛋白、E2蛋白の一部又は全部をコードする領域を欠失していることに特徴がある。特にすべてのTFゲノムは図2と図3に示したように、E1及びE2領域をコードする遺伝子を完全な形で保持しないことに特徴がある。換言すれば、E1蛋白及びE2蛋白の一部または全部をコードする遺伝子を欠失していることに特徴を持つ遺伝子である。現在取得できているTFゲノムではE1をコードする1200位からE2をコードする1998位を保持しているTFゲノムは確認できていない。各TF遺伝子の連続する欠失は少なくとも63塩基で、最大で2043塩基である。また1つのTF遺伝子の欠失の合計は1449〜2067塩基である。
最も典型的なTFゲノムの構造はE1蛋白からNS2蛋白をコードする約2kbの遺伝子を欠失している構造である(図2)。
また、上記の欠失を有し、且つ5’UTR、NS3から下流の蛋白質をコードする遺伝子および3’UTRを保持している遺伝子が好ましい。
このTF遺伝子はその欠失部分の構造に特徴を持っている。そのため核酸配列はHCVの遺伝子配列であればすべてのものを含む。本願発明では遺伝子型1以外に、遺伝子型2のTF遺伝子も確認しているが、それ以外の遺伝子型3から6の配列のTF遺伝子も含まれる。
このTFゲノムはC型慢性活動性肝炎の患者の肝臓中で自律的に複製をしている。また患者組織中でTFゲノムのみがPCRで増幅される検体がある。このことから、TFゲノムはFLFゲノムより肝組織中で優位に複製しているものと考えられる。
そのため、このTFゲノムを肝臓細胞あるいは肝臓由来細胞で複製可能なレプリコンとして利用することができる。TFゲノムそのものが自律複製能を有するため、そのままの構造でレプリコンとして機能する。また、レプリコンを選択するため、薬剤耐性遺伝子を結合させ、薬剤により選択することも可能である。薬剤耐性遺伝子としてはネオマイシンなどが使用できる。レプリコンとして利用可能なTFゲノムは、上述した構造領域を欠失したTFゲノムのすべてが含まれる。また、それ以外にも、肝臓で複製しているHCV遺伝子のインフレームの欠失体であるTFゲノムならば、どのような構造でも利用可能である。
本願発明の最も好ましいレプリコンはHCVの5’非翻訳領域のIRES、コア領域、E1領域の一部およびNS2の一部より下流の非構造蛋白をコードする領域と3’UTRを有するレプリコンであり、生体内で複製しているTFゲノムと同じ構造のレプリコンである。またさらにレプリコンの一部、例えばコア領域にネオマイシン耐性の遺伝子を組み込んだものもレプリコンとして有用である。
さらに本願発明は、このレプリコンが複製する細胞を提供する。TFゲノムの構造を持つHCV−RNAは実際に肝臓細胞中で複製されており、この構造を利用したTFゲノムレプリコンの複製系は肝臓でのウイルス複製系を反映しているものと考えられる。レプリコンが複製する細胞は肝臓由来の継代細胞でもよいし、初代肝細胞でも構わない。また本願発明のレプリコンが複製する細胞であれば、肝臓由来でない細胞でも利用可能である。レプリコンが複製する細胞は恒常的にレプリコンが複製する細胞も含まれる。また一過性にレプリコンが複製する細胞も含まれる。
TFゲノムのレプリコンの複製系はHCVの感染に対する薬剤のスクリーニングに有用である。これは、このTFゲノムが実際に肝臓組織中で複製されているからである。このレプリコンが複製している細胞のレプリコン複製系を用いて、HCVの増殖を抑制する薬剤のスクリーニングができる。レプリコン複製細胞を用い薬剤の薬効を評価する方法も含まれる。このスクリーニング系などは実際に肝臓で複製されているTFゲノムのレプリコンをターゲットとしているために、より効果的な薬剤をスクリーニングできることが期待される。スクリーニングされた薬剤の効果を評価する方法としても有効である。この場合、薬剤の評価をこの方法で行うことが重要であり、薬剤の管理に必須であれば、薬剤を製造する方法としても利用できる。
さらに本願発明はTFゲノムを検出する方法を提供する。TFゲノムは欠失部分を有している。この欠失部分を有する遺伝子を検出する方法であれば、どのような方法でも使用できる。例えば、欠失領域より3’側の外側にプライマーを設定し、RNAよりcDNAを合成する。そのcDNAより欠失領域をはさむように5’と3’の外側にプライマーを設定し、PCRを行うことにより、欠失を有するFLFゲノムより短い遺伝子を検出できる。PCRを行った後に、ノザンブロットにより短いTFゲノムを検出することも可能である。
このTFゲノムを検出する方法は、上記に記載した方法以外に遺伝子の欠失を検出するすべての方法が含まれる。
また全長のFLFゲノム及びTFゲノムの量を定量し、それからFLFゲノムを定量した値を除くことによって、TFゲノムの量を求めることも可能である。
FLFゲノムおよびTFゲノムの欠失のない共通領域にPCRのプライマーを設定しRT−PCRにより両方の遺伝子の量を測定する。次にTFゲノムの欠失領域にPCRのプライマーを設定し、遺伝子の量を測定することにより、FLFゲノムのみの量を測定することができる。そしてFLFゲノムおよびTFゲノムの量とFLFゲノムの量を比較することにより、TFゲノムの量を測定することができる。
FLFゲノムおよびTFゲノムの量を測定するプライマーはFLFゲノムとTFゲノムの重複する領域であればどの領域にプライマーを設定してもよい。例えば5’UTRやNS3以降の非構造蛋白をコードする領域あるいは3’UTRにプライマーを設定することができる。またFLFゲノムのみの量を測定するプライマーはTFゲノムが欠失している領域であればどの領域でもよいが、例えば構造蛋白をコードしている領域である、コア、E1、E2の遺伝子領域や、P7あるいはNS2欠失領域に設定することができる。典型的なTFゲノムは核酸の配列番号1189から2922の遺伝子を欠失しているため、この領域にプライマーを設定することにより、FLFゲノムのみを検出できる。さらに好ましくは、本願発明の実施例で得られたすべてのTFゲノムは1200から1998を欠失しているため、この領域にプライマーを設定することにより、FLFゲノムのみを検出することが可能である。
HCV−RNA遺伝子の定量はRT−PCR法により行うことができる。例えば、Competitive−RT−PCRやリアルタイムPCR法などを使用することができる。
本願発明はTFゲノムから産生されるポリプロテインに関する発明を提供する。TFゲノムはインフレームで欠失がおきており、ポリプロテインをコードしている。このポリプロテインはC型肝炎のポリプロテインと比較すると欠失領域にコードされたペプチドを持たないポリプロテインである。また 欠失部分の上流のN末側の蛋白と下流のC末側の蛋白が融合したFLFゲノムから産生される正常なポリプロテインとは異なる新規なタンパク質である。
本願発明はさらに、上記ポリプロテインからプロセスされた蛋白質を提供する。上記ポリプロテインはペプチダーゼで切断されるが、プロセスによりE1とNS2の融合蛋白、E1とE2の融合蛋白、コアとE2の融合蛋白などの新規な蛋白が産生される。上記のポリプロテインあるいはプロセスされた蛋白質は、FLFゲノムからは産生されないため、この蛋白を検出することにより、TFゲノムの検出と同等の効果が得られる。
本発明はTFゲノム、またはTFゲノムから産生されたポリプロテインを検出、または定量することにより、肝炎の症状を診断する診断法を提供する。
本願発明はさらにTFゲノムから産生されたポリプロテインあるいは融合蛋白に対する特異的な抗体を提供する。これらの抗体はポリプロテインあるいは融合蛋白の検出に有用である。
また本願発明はTFゲノムを含むウイルス様の構造を有する粒子を提供する。TFゲノムは肝細胞以外の血液から検出される。血液中でTFゲノムはコアの蛋白質と関連して存在している。このウイルス粒子またはウイルス様粒子は診断、治療などに利用できる。
実施例1. 短縮型配列の単離と解析
患者肝臓切片BP207(0.5mm x 1mm)を100μlのRIPA緩衝液(20mM Tris−HCl[pH7.5],150mM NaCl,1% NP40,0.1% deoxycholate,complete protease inhibitor cacktail[Roche diagnostics corporation]中で破砕し、10krpm,5分間の遠心後上清を回収した。この抽出液からHigh Pure Viral Nucleic Acid Kit(Roche diagnostics corporation)を用い、メーカーの推奨する方法に従い核酸を精製した。精製した核酸にHC9405R−1bプライマーを加え、MMLV reverse transcriptase(Intritrogen)を用い、メーカーの推奨する条件で、42℃、1時間逆転写反応を行わせ、cDNAを得た。
この反応液にRNaseH(Invitrogen)を加え、37℃、30分反応させ、RNAを分解させた。この反応液の一部を用い、HC−LongA1プライマーとT7−HC9313Rプライマーの存在下で、KlenTaq LA DNA polymerase(Clontech,BD bioscience)を用い、94℃、20秒、68℃、9分間からなる30回のサーマルサイクル反応によるポリメラーゼチェインリアクション(PCR)を行うことにより、HCVゲノムRNAのcDNA(HCV cDNA)の増幅を行った。この反応液の一部を用い、さらにHC85FとHC9302Rプライマーの存在下でPCRを行い、HCV cDNAを増幅した。
増幅した断片は、0.7%アガロースゲル電気泳動によって分離し、アガロースゲルからQIAquick gel purification kit(QIAGEN)を用い、メーカーの推奨する方法にてDNA断片を回収した。回収したHCV cDNA断片は、メーカーの推奨する方法に従いpGEM−T easyベクター(Promega)と連結反応させ、DH5α株を形質転換させた。アンピシリン耐性で、IPTGとX−galを加えた寒天培地上での平板培養で白色コロニーを形成する形質転換体を選び、アンピシリンを100μg/mlとなるよう加えた2YT培地にて培養した。培養した菌体からWizard Plus SV Miniprep DNA Purification Systemを用いplasmidを精製した。
精製したプラスミドに組み込まれているHCV cDNAの配列は、ベクターおよびHCV cDNAに適合する適宜準備したプライマーを用い、CEQ DTCS Quick Start Kit(ベックマン・コルター)により、メーカーの推奨する方法に従い反応を行い、CEQ2000 XL DNA analysis system(Software version 4.0.0、ベックマン・コールター)により解析した。得られたデータを基に、Sequencher(Version 4.1.2、Gene Codes Corporation)を用い配列データの統合、解析を行い、HCV cDNAの塩基配列を決定した。クローンLV207−0193−1、LV207−0193−6、LV207−0193−15の3種類のHCV cDNAの配列を決定した。
単離した配列を、公表されているHCV cDNAの配列(D89851)と比較すると、PCRに用いたプライマーの領域である第85位から第9302位までの配列を含むが、いずれのクローンも第1189から第3000位に相当する配列が欠如していた。予想されるアミノ酸配列を求めると、LV207−0193−1の配列は アミノ酸長の一つながりのアミノ酸をコードするが、E1の途中からNS2の途中までが翻訳フレームがずれない(in frame)でつながる形で欠失していた。求めた配列を基に、共通する配列、コンセンサス配列をMacVector(version7)を用いて決定し、得られたHCV cDNAクローンの適切な断片を組み合わせることにより、コンセンサス配列を持つHCV cDNA断片を作成した。
具体的にはまずクローン1の断片に、Cla_s,Cla_asプライマーを利用し、Quick Mutagenesis Kit(Staratagene)を用いメーカーの推奨する方法に従い、配列番号1の第709位に位置するClaIサイトを変異導入した。LV207−0193−1から第709位のClaIサイトから、第1063位のAfeIまでの断片、第4169位のHpaIサイトから第5569位のSacIサイトまで、および第6687位のSfiIサイトから第7123位のBglIIサイトまでを持つ断片を単離し構築に用いた。またLV207−0193−6からは第1063位のAfeIサイトから第1265位のBsiWIサイトまでを持つ断片を単離し用いた。
LV207−0193−15からは第1265位のBsiWIサイトから第4169位のHpaIサイトまでの断片、第5569位のSacIサイトから第6687位のSfiIサイトまでを持つ断片、および第7123位のBglIIサイトから第7386位のHindIIIサイトまでを持つ断片を単離し、構築に用いた。これらの断片を組み合わせ、さらに下記のように患者組織から単離した3’UTRを含む第7383位のHindIIIと第7786位のXbaIの断片を組み合わせ、クローニングベクターpBluescriptSKII(−)(Stratagene)のClaIサイトからXbaIサイトに組み込むことにより、配列番号1の第709位から第7786位までの配列を持つpLVC_ClaXba7.2Kを構築した。なお制限酵素、T4 DNA ligaseはNew England Biolab、宝酒造、東洋紡、日本ジーンから購入したものを用いた。
一方HCV cDNAの末端は以下のように単離した。前述のRNaseHで処理したcDNA反応液の一部を、HCLongH1およびHC705Rと、JumpStart RedTaq DNA polymerase(Sigma)を用い、94℃、20秒、55℃、30秒、72℃、1分からなるサーマルサイクルを35回繰り返すPCRにより、既に報告されているHCV cDNAの第1位から709位に相当する断片を増幅させた。断片のクローニング、解析は常法に従い行った。その結果、配列番号1の第1位から第709位までを含むHCV cDNA、pLV207−0007を得た。これを鋳型にT7−H1V2プライマーと、CoreCla_asプライマーを用いたPCRにより約0.7kbの断片を増幅し、pGEM−T Easyにクローニングすることにより、pT7_LV207_0007を得た。
pcDNA3.1(+)(Invitrogen)のNotIとXbaIサイト間にpT7_LV207_0007をNotIとClaIにより切断することにより得ることが出来る約0.7kbの断片と、pLVC_ClaXba7.2KをClaIとXbaIで切断することにより得られる約7.2kbの断片を、連結挿入することにより、配列番号1の第1位から第7786位までの配列を持つHCV cDNAの挿入されたプラスミドpcD−LV207TFを得た。
患者組織からの3’UTR遺伝子の分離
慢性肝炎患者の組織より上記と同様の方法で、RNAを回収した。RNA2.5μlにプライマー8913Fを5pmole(0.5μl)加え、70℃で3分間保持し、氷中で急冷した。これに5xFirst−Strand Buffer 2μl、0.1M DTT 1μl、20mM dNTP 0.5μl、RNase Inhibitor(TAKARA)20units、MMLVリバーストランスクリプターゼ0.5μlを加え、全量で10μlになるようにジエチルピロカーボネイト処理した滅菌水を加えた。この混合液を42℃、60分反応させた。RNAを破壊するため、RNaseH(TAKARA、60U/μl)を12U加え、37℃で30分保持し、その後72℃、3分で失活させ、cDNAとして用いた。
このcDNA、2ulをプライマー8913FおよびRP2を用いて上記と同様の方法でPCRを行った。このPCRの産物の一部を用い、8939FとR1のプライマーで2回目のPCRを行い、約600baseのPCR産物を得た。このPCR産物をpGEM−T Easyベクターにクローニングし、核酸配列を上記と同様の方法で決定した。
以下にクローニング及び遺伝子の構築に用いたプライマー配列の一部を示す。
1b160Bam: 5’−cgcggatcct tagtcctcca gaacccggac ac−3’ (配列番号:49)
chiba−as: 5’−tgcacggtct acgagacct−3’ (配列番号:50)
chiba−s: 5’−tagtggtctg cggaaccggt−3’ (配列番号:51)
core_cla_as: 5’−gccgcatgta agggtatcga tgacc−3’ (配列番号:52)
core_cla_s: 5’−ggtcatcgat acccttacat gcggc−3’ (配列番号:53)
eco_npt_as: 5’−gcgaattctt atcagaagaa ctcgtcaaga ag−3’ (配列番号:54)
HC1b9405R: 5’−gcctattggc ctggagtgtt tagctc−3’ (配列番号:55)
HC85F: 5’−atggcgttag tatgagtgtc gtgcagcct−3’ (配列番号:56)
HC705R: 5’−agccgcatgt aagggtatcg atgac−3’ (配列番号:57)
HC1986S: 5’−tggttcggct gyacatggat gaa−3’ (配列番号:58)
HC2199AS: 5’−ggrtagtgcc aragcctgta tgggta−3 (配列番号:59)
HC9302R: 5’−tcgggcacga gacaggctgt gatatatgtc t−3’ (配列番号:60)
HClongA1: 5’−atcgtcttca cgcagaaagc gtctagccat−3’ (配列番号:61)
HClongH1: 5’−gccagccccc tgatgggggc gacactccac c−3’ (配列番号:62)
Nde_core9_as: 5’−aatcatatgt ctttgaggtt taggatttgt−3’ (配列番号:63)
Nde_npt_s: 5’−gacatatgat tgaacaagat ggattgcac−3’ (配列番号:64)
SbfH1: 5’−gtcctgcagg ccagccccct gatgggggcg aca−3’ (配列番号:65)
SbfNpt−R: 5’−gacctgcagg ttatcagaag aactcgtcaa gaag−3’ (配列番号:66)
T7_H1V2: 5’−gccttaatta atacgactca ctataggcca gccccctgatgggggcgaca−3’ (配列番号:67)
T7_HclongH1: 5’−tctagtcgac ggccagtgaa ttgtaatacg actcactata gggcggccag ccccctgatgggggcgacac tccacc−3’ (配列番号:68)
T7_HC9313b: 5’−tctagtcgac ggccagtgaa ttgtaatacg actcactcta gggcggcggg gtcgggcwcg ngacabgctg tga−3’ (配列番号:83)
実施例2. 患者からのTF HCVゲノムRNAに対するcDNAの単離と解析
次に慢性活動性肝炎の肝臓の肝生検の23検体および肝癌患者の手術時の組織検体であるBP1、BP2、BP3の3検体よりTFのHCV−RNAの検出を試みた。
RNAの抽出
RNA用抽出試薬ISOGEN(株式会社ニッポンジーン)の「微量試料からのRNAの単離」のプロトコールに準じて、RNAを抽出した。約0.5mm x 1mmの大きさの患者肝臓切片に0.8mlのISOGENを加え、1mlのチップの先で組織片をほぐし、ピペッティングにより粉砕した。5分間室温で放置し、0.2mlのクロロホルムを添加し後、30秒激しく攪拌し、4℃で5分間置いた。冷却微量遠心機12000gで4℃、15分遠心し、水相を回収した。
約5ugの酵母tRNAを添加し、0.8mlのイソプロパノールを加え4℃で30分または一昼夜放置した。12000gで4℃、15分遠心し、上清を捨て、ペレットとなったRNAを回収した。そのペレットに1mlの70%エ夕ノールを加え、激しく攪拌し12000gで4℃、15分遠心した。上清を捨てて、同様の操作を2回繰り返し、ペレットの洗浄を行った。最後の洗浄後にペレットを10分間風乾し、ジエチルピロカーボネイト処理した滅菌水50ulに溶解し、RNAサンプルとした。サンプルは使用するまで−80℃に保存した。
cDNA合成
肝生検組織より抽出したRNAサンプルからcDNAの合成を行ったBP207の組織より取得したTFゲノムの欠失領域がHCVの遺伝子の核酸番号の1189から3000なので3000より3’非翻訳領域側にcDNA合成のプライマーを数本設定し、cDNA合成を行った。リバーストランスクリプターゼはGIBCO−BRL社のMMLVリバーストランスクリプターゼを用い、添付のプロトコールに従って、合成した。
RNA2.5μlにプライマーを5pmole(0.5μl)加え、70℃で3分間保持し、氷中で急冷した。これに5xFirst−Strand Buffer 2μl、0.1M DTT 1μl、20mM dNTP 0.5μl、RNase Inhibitor(TAKARA)20units、MMLVリバーストランスクリプターゼ0.5μlを加え、全量で10μlになるようにジエチルピロカーボネイト処理した滅菌水を加えた。この混合液を42℃60分反応させた。RNAを破壊するため、RNaseH(TAKARA、60U/μl)を12U加え、37℃で30分保持し、その後72℃3分で失活させ、cDNAとして用いた。
尚、cDNA合成用のプライマーは、
5035R:5’−AGGCCTGTGA AGACGCTCTC CCAGAACT−3’ (配列番号:69)
HC3297R:5’−GGTGATGAC CTTGGTCTCC AT−3’ (配列番号:70)
HC3481R:5’−GCTTAGAGGC TAGTGATGAT GCAACCAAGT AC−3’ (配列番号:71)
HC3945R:5’−GGCGACCGCA TAGTAGTTTC CATA−3’ (配列番号:72)
のいずれかを用いた。どのプライマーを使用したかは表1に記載する。
ポリメレースチェインリアクション(PCR)による増幅
cDNAを用いて5’UTRからNS3コードする領域にかけていくつかのプライマーの組み合わせでPCRを行った。PCRはTaKaRa LA Taq(TAKARA)を用い、添付のプロトコールに準じて反応させた。cDNA2μl、10xLA PCR buffer II(Mg2+ free)2.5μl、25mM MgCl 2.5μl、2.5mM dNTP 2.5mM、センスプライマー10pmole、アンチセンスプライマー10pmole、TaKaRa LA Taq 0.25μl(5unit/μl)を加え、これに滅菌水を加えて25μlとしPCRを行った。反応はマスターサイクラーグラジィエント(エッペンドルフ・ヤトロン株式会社)を用いた。反応プロファイルは94℃で2分加熱後、変性94℃20秒、アニーリング62℃30秒、延長68℃3分で10サイクル、その後変性94℃20秒、アニーリング58℃30秒、延長68℃3分で25サイクルで行った。
この一回目のPCR(1st PCR)産物2.5μlを用い、2回目のPCR(2nd PCR)を行った。第1PCR産物2.5μl、10xLA PCR buffer II(Mg2+ free)2.5μl、25mM MgCl 2.5μl、2.5mM dNTP 2.5mM、センスプライマー10pmole、アンチセンスプライマー10pmole、TaKaRa LA Taq 0.25μl(5unit/μl)を加え、これに滅菌水を加えて25μlとし、第1 PCRと同様の反応プロファイルでPCRを行った。
プライマーは、
HC85F:5’−ATGGCGTTAG TATGAGTGTC GTGCAGCCT−3’ (配列番号:56)
HC813S:5’−CTGGAGGACG GCGTGAACTA TGCAACAGGG AA−3’ (配列番号:73)
HC841S:5’−GGAACTTGCC CGGTTGCTCT TTCTCTATCT TC−3’ (配列番号:74)
HC3206R:5’−TGGGGCAAGA TGGTTATAAA C−3’ (配列番号:75)
HC3174AS:5’−GGGGTAAGAT GGTTATAAAC GTACGTACCT G−3’ (配列番号:76)
HC3111AS:5’−ATAATGACCC CCGGCGACTT TCCGCACTAA C−3’ (配列番号:77)
HC3297R:5’−GGTGATGAC CTTGGTCTCC AT−3’ (配列番号:70)
HC3481R:5’−GCTTAGAGGC TAGTGATGAT GCAACCAAGT AC−3’ (配列番号:71)
HC3759R:5’−TGACATCAGC ATGTCTCGTG ACCA−3’ (配列番号:78)
HCLONGA1:5’−ATCGTCTTCA CGCAGAAAGC GTCTAGCCAT−3’ (配列番号:61)
HC3945R:5’−GGCGACCGCA TAGTAGTTTC CATA−3’ (配列番号:72)
のいずれかのプライマーを組み合わせて用いた。用いた1stおよび2nd PCRのプライマーの組み合わせは表1に記載した。
PCR産物の解析
反応終了後のPCR産物を電気泳動で解析した。1%アガロースゲルを用い、1xTAEバッフー(Tris−HCl 40mM、氷酢酸 40mM、EDTA 1mM)でサブマリン型の電気泳動槽で泳動した。PCR産物にゲルローディングバッファーを加え、電気泳動後、エチジウムブロマイドで染色し、紫外線下でPCR産物を観察した。
4検体のRNAより3組のプライマーでHCVの遺伝子を増幅させた電気泳動の結果を図1に示す。2nd PCRのプライマーがHC85FとHC3297Rの組み合わせでは約3.1kb、841Sと3759Rの組み合わせでは約2.9kb、841Sと3111ASの組み合わせでは2.2kbのFLFのHCV−RNAが検出されるはずである。番号1の検体(BP274)はどのプライマーの組み合わせでもFLFの長さのPCR産物のみが検出された。番号2の検体(BP295)はHC85FとHC3297Rの組み合わせでは約3.1kbのFLFと2kbのTF、841Sと3759Rの組み合わせでは約2.9kbのFLF、841Sと3111ASの組み合わせでは2.2kbのFLFが検出された。
番号3の検体(BP325)はHC85FとHC3297Rの組み合わせでは約3.1kbのFLF、841Sと3759Rの組み合わせでは約2.9kbのFLF、841Sと3111ASの組み合わせでは2.2kbのFLFと300bpのTFが検出された。番号4の検体(BP373)はHC85FとHC3297Rの組み合わせでは約1.2kbのTF、841Sと3759Rの組み合わせでは約1kbのTF、841Sと3111ASの組み合わせではPCR産物は検出されなかった。検体とプライマーの組み合わせで異なるが、FLFのみが検出される検体、FLFとTFが検出される検体、TFのみが検出される検体があった。26検体について、それぞれのcDNA合成プライマー、1st PCR、2nd PCRのプライマーの組み合わせで得られたPCR産物を表1に示す。
Figure 0005072361
配列の決定
得られたFLFおよびTFと思われるPCR産物をプラスミドに組み込み、配列を決定した。
PCR産物を、電気泳動したアガロースゲルから切り出し、QIAquick PCR Purification Kit(QIAGEN)により精製し40μlの滅菌水に抽出した。DNA 5μlとpGEM−T Easy Vector(Promega社)0.5μl、に10 x T4 ligase buffer 1μl、T4 DNA Ligase 1μl、滅菌水2.5μlを加え、16℃で1時間反応させ、DNAとベクターを結合させた。井上らの方法(Gene、vol 96、1990、p23−28)で作成した大腸菌DH5αのコンピタントセルにDNAを加え、定法に従って形質転換させた。
出現したコロニーを2xYT培地で一昼夜培養し、Wizard Plus SV Minipreps DNA Purification System(Promega社)でミニプレし、プラスミドDNAを回収した。PCR産物が組み込まれたプラスミドDNAをBECKMAN COULTER社のCEQ 2000XL DNA analysis systemで解析して配列を決定した。CEQ2000 Dye Terminator Cycle Sequencing with Quick Start Kitを用い、添付のプロトコールに従い、反応させ、解析した。シークエンスプライマーはpGEM−T Easyのプライマー及びHCVの配列に適したものを適宜選択した。配列の解析はMacVector(Accelrys社)およびSequencher(Gene Codes corporation)で解析した。
検出されたTFゲノムの核酸配列およびそれから推定されるアミノ酸配列を配列表に示す。検体BP203は配列番号9〜12に、BP204は配列番号13と14に、BP208は配列番号15と16に、BP295は配列番号17と18に、BP325は配列番号19と20に、BP368は配列番号21と22に、BP373は配列番号23から28に、BP1は配列番号29から34にBP2は配列番号35から38に、それぞれ記載した。配列の決定により、いずれかのプライマーの組み合わせでFLFが検出されたもの、TFが検出されたものをまとめて表2に示した。
Figure 0005072361
TFのみが検出されて検体が6検体、FLFとTFが検出された検体が5検体、FLFのみが検出された検体が6検体、残りの検体はどちらも検出できなかった。どちらも検出できなった検体はほとんどが、遺伝子型2であり、使用したcDNA合成プライマー、1st PCR、2nd PCRのプライマーは遺伝子型1の配列をもとに合成したため、遺伝子型2のHCV−RNAの配列とは一致しない部分があり、PCR産物が得られない検体が多かったものと考えられる。
TFゲノムの解析
得られたHCV−RNAのTFの配列をNo.D89815のHCVの配列の構造と比較検討した。図2はTFのみが検出されたBP207、BP368、BP373、BP1、BP2、およびBP203の構造を示している。欠失部分は約2kbであるが、BP207と全く同じ領域が欠失しているものはなく、それぞれの患者で欠失の領域が異なっていた。BP203は遺伝子型2の検体で唯一TFが検出された検体であるが、同じような欠失が見られ、欠失部分は核酸番号の988から2988位に存在していた。
これらのHCV−−RNAに共通しているのはBP207と同様にin−frameで欠失が起こっており、欠失部分を除いてはHCVのポリプロテインを合成していると考えられる。特にコア蛋白をコードする遺伝子を正常な形で保持しておりコア蛋白も正常に合成されうること、NS2のC末端側の2箇所の膜貫通領域を欠失したものはなく、NS3以降のタンパク質も正常に発現できることが示唆される。さらにE1とNS2の蛋白をコードする領域がin−frameで結合しているため、E1とNS2の融合蛋白が産生されているものと考えられる。
次にTFとFLFの両方のタイプが検出された検体についてTFの配列の構造を比較した(図3)。BP204、BP325、BP295、BP288の配列を確認した。TFのみが検出された検体と異なり、コア蛋白をコードする領域に該当する遺伝子が取得できているBP204、BP295では、コア領域の一部または全部が欠失していた。また欠失領域の後半部分もNS2を保持し、E2領域の一部を欠失しているものがあった。
但し、これらの検体のHCV−RNAもBP207と同様にin−frameで欠失が起こっており、欠失部分を除いては、HCVのポリプロテインを合成しているものと考えられる。
TFとFLFのHCV−RNAの配列の検討
慢性活動性肝炎の患者でTFとFLFのHCV−RNAが取得された検体について、その重複部分の核酸配列と推定されるアミノ酸配列を比較した。TFの長さのPCR産物を同様の方法でvectorにクローニングし、核酸配列を決定した。BP204、BP325、BP208のFLFの配列はそれぞれ配列番号39と40、41と42、43と44に示す。核酸、アミノ酸の配列を比較するとBP325は核酸で96.7%、アミノ酸で97.5%、BP288は核酸で97.3%、アミノ酸で97.7%%で同じquasispecesに属するウイルスと考えられた。一方、BP204は核酸で82.6%、アミノ酸で83.6%でTFとFLFの配列は乖離していた。
Figure 0005072361
血清中からのTF−HCV−RNAの分離
肝組織からTF−HCV−RNAが検出された検体について、血清からTF−HCV−RNAの分離を試みた。肝生検と同時に採血された血清からHigh Pure Viral RNA Kit(Roche社)を用いて抽出した。血清200μlより添付のプロトコールに従って、elution buffer 50μlに抽出した。ここで肝生検の検体であるBP368に対応する血清は、以下368と記載する。
RNA2.5μlを用いて、肝生検のRNAからcDNAを合成し、PCRを行った方法と同様の方法で、PCR産物を取得した。S368についてcDNA合成を3297Rプライマー、第1 PCRをHCLONGA1と3297R、2ndPCRを85Fと3174ASで行った場合に1.2kbのTFのPCR産物と思われるものが取得できた(表4)。
Figure 0005072361
次に、5’UTR領域でのHCV−RNAの定量で比較的RNA量の多かったS204、S207、S368について、その他のプライマーの組み合わせでcDNA合成からPCRを行った。その結果、S207とS368はTFの長さのPCR産物が、S204からはFLFの長さのPCR産物が取得された(表5)。このPCR産物を同様に、pGEM−T Easy vectorに組み込み、配列を決定した。S207、S368の決定した配列は、それぞれ配列番号45と46、配列番号47と48に示す。BP207とS207およびBP368とS368の重複部分について核酸及びアミノ酸の配列相同性を比較すると、BP207とS207でそれぞれ99.4%と99.3%、P368とS368で98.8%と97.3%であり、同じquasispecesに属するウイルスと思われる(表6)。このことは肝臓中で複製されたTF−HCV−RNAが何らかのシステムで血清中に放出されているものである。
Figure 0005072361
Figure 0005072361
実施例3. HCV RNAレプリコンの作成
pBluescriptIISK(+)のXhoIとXbaIサイト間に、XhoX−Xba−sオリゴマーとXhoX−Xba−asオリゴマーをアニーリングさせて得られるリンカー断片を挿入することにより、pBSIISK(+)ΔXXを構築した。またpLV207−0007をSbf_H1プライマーとCla_asプライマーを用いたPCRに供することにより、約0.7kbの断片を増幅させ、これをpGEM−T Easyにクローニングすることにより、pLVC−0007Sbfを得た。pBSIISK(+)ΔXXのNotIとXbaIのサイト間に、pLVC−0007SbfをNotIとClaIで切断することによって得ることが出来る約0.7kbの断片と、pLVC_ClaXba7.2KをClaIとXbaIで切断することにより得られる約7.2kbの断片を、連結挿入することにより、pSbf−LV207TFを得た。
一方、HCV抗体陽性の血清、G14から精製したRNAに、T7−HC9313bプライマーを加え、SuperscriptII reverse transcriptase(Invitrogen)により、メーカーの推奨する方法にてcDNAを合成した。このcDNA反応液の一部を用い、T7−HClongH1プライマーと1b160Bamプライマーの存在下のEX−Taq DNA polymerase(宝酒造)を用いたPCR(1サイクルが95℃、30秒、55℃、1分、74℃、1分からなる反応を35サイクル)により、HCV cDNAを増幅した。アガロースゲル電気泳動にて増幅した断片を分離し、QIAquick gel kitを用いてアガロースゲルからDNAを精製した。精製した断片はpT7−blue T(Novagen)にクローニングし、Applied Biosystems DNA sequencer 377Aを用い、マーカーの推奨する試薬、条件で配列を決定した。
次に、HCV cDNAをT7−H1V2プライマーとnde_core9_asプライマーを用いPCRにて増幅した。一方pcDNA3.1(+)をテンプレートにnde_npt_SとEcoNpt_asプライマーでPCRを行い、ネオマイシン耐性遺伝子断片を増幅した。これらの断片をNdeIの制限酵素部位で連結させたものをpBluescriptIISK(−)にクローニングすることにより、HCV cDNAの5’UTRとcoreの最初の9アミノ酸とネオマイシン耐性遺伝子(ネオマイシンリン酸転移酵素、NPT−II)との融合断片を構築した。この断片を持つプラスミドをさらにT7−H1V2プライマーとSbf_Npt_Rプライマーとを用いたPCRを行い、5’末端にPacIの3’末端にSbfIのサイトを持つ断片を調製した。これをpGEM−T EasyにクローニングすることによりpG14UTRcNEOを得た。
pG14UTRcNEOからNotIとSbfIで切断することにより得ることが出来る約1.2kbの断片を、pSbf−LV207TFのNotIとSbfIサイト間に挿入することにより、pLV207TFRepG14を得た。このplasmid DNAをXbaIとNotIで切断したものを鋳型に、Megascript T7 kit(Ambion)を用いてRNAを合成した。メーカの推奨する方法にてRNAを精製した。
ヒト肝がん細胞(Huh7、JCRB0403)はDulbecco’s modified Eagle medium(D−MEM,IWAKI)に10%ウシ胎仔血清(FBS)、ペニシリンとストレプトマイシンをそれぞれ50U/ml、50ug/mlとなるように加えたものを培養液として、5%二酸化炭素付加、37℃で培養を行った。コンフルエントになる前の細胞をトリプシン、EDTA処理により培養皿から剥離させ、血清添加培地に再懸濁することによりトリプシンを不活化する。PBSで2回洗浄後、1.25% DMSOを添加したCytomix(120mM Potassium chloride,10mM Potassium phosphate,5mM Magnesium chloride,25mM HEPES,0.15mM Calcium chloride,2mM EGTA,pH7.6)に再懸濁し、ギャップ0.4cmのエレクトロポレーションキュベットに移す。
適当量のRNAを細胞に加えた後、5分間氷上で十分冷却する。エレクトロポレーター(Bio−Rad)で、960uF、270Vにてパルスを加える。直ちに8mlの培地に再懸濁し、一部をプレートに播く。一定時間培養した後、細胞を0.1% EDTA、PBSにて剥離させ、遠心分離により沈殿させ、回収した。回収した細胞から、Isogen(日本ジーン)を用いて、メーカーの推奨する条件に従いRNAを回収した。回収したRNAに含まれるHCV RNA量は定量的RT−PCR法にて解析した。
マイナス鎖の定量方法
HCV RNAの複製が起こっていることは、細胞中にHCV RNAの5’UTR領域のマイナス鎖が検出できるか否かで調べた。マイナス鎖の特異的な定量法は公開番号08−187097の公開特許に記載のマイナス鎖RNAの特異的検出法と同様の方法で行った。
pLV207TFRepG14を鋳型にin vitroで合成したRNAをエレクトロポレーションで導入した細胞から、有意な量のマイナス鎖が検出でき、HCV RNAが複製できたことが確認された。
実施例4. 全RNA中の短縮型RNA量比とHCV関連疾患との相関
患者検体から回収したRNAに含まれるHCV RNAの定量は以下のように行った。5’UTRを標的にしたRNAの定量を行う場合には、Chiba−S、Chiba−ASプライマーを用いた。QauntiTect SYBR Greeen RT−PCR Kit(QIAGEN)を用い、メーカーの推奨する条件で反応液を調製し、LightCycler Capillary(Roche diagnostics)に移し、LightCycler(Roche diagnostics)にセットし、反応を行わせPCR産物を経時的にモニターした。適切に希釈したin vitroで合成したHCV 5’UTRを含む既知濃度のRNAを標準物質として用いた。LightCycler software(V3.5.3)を利用して解析を行なった。
RNAの定量をE2の領域を標的に行う場合は、HC1986SプライマーとHC2199−asプライマーを用いた。OneStep RT−PCR kit(QIAGEN)を用い、メーカーの推奨する反応条件にて逆転写反応を行わせた。この反応液を、等量の同じプライマーを含むLightCycler−FastStart DNA Master SYBR Green I kit(Roche diagnostics)で調製した反応液を加え、LightCycler Capillary(Roche diagnostics)に移し、LightCycler(Roche diagnostics)にセットした。PCR反応を行わせ、産物を経時的にモニターした。適切に希釈したin vitroで合成したHCV 5’UTRを含む既知濃度のRNAを標準物質として用い、Light Cycler softwareを利用して定量値を求めた。
実施例5. 短縮型配列をコードするcDNAのほ乳類細胞での発現とHCV蛋白質の解析
pcDNA3.1のNotI、XbaIにpLV207TFRepG14をNotI、XbaIで切断して得られる約8.5kbの断片を挿入することにより、pcD−LVTRGを得た。このプラスミドDNAをヒト腎臓由来培養細胞、293TRexにLipofectamine 2000(Invitrogen)を用いてトランスフェクトした。DNAトランスフェクト後4時間目に培地を交換し、さらに細胞を18時間培養した。細胞をプレートから回収し、遠心分離により沈殿、回収した。細胞をRIPA緩衝液中でピッペッティングすることにより破砕し、遠心分離法にて上清を回収した。回収した上清に1/3量の3x SDS sample buffer(187.5mM Tris−HCl[pH6.8]、6% SDS、125mM DTT、30% Glycerol)を加え、95℃、5分間熱処理した。
ポリアクリルアミドゲル(第一化学薬品)にアプライし、メーカーの推奨する方法にて電気泳動を行った。泳動終了後、PVDF膜(Millipore)にSemi−Dry blotter(ザルトリウス社)を用いて常法に従い転写した。転写した膜は、TTBS(20mM Tris−HCl[pH7.5]、150mM NaCl、0.1% Tween20)にて洗浄後、10倍希釈したブロッキング剤(Milk Diluent/Blocking Solution、Kirkegaad & Perry Laboratories社)中で室温2時間反応させた。ここに終濃度0.3ug/mlとなるように希釈した一次抗体を加え、室温1.5時間、振盪しながら反応させた。反応液を捨て、TTBSにて3回洗浄後、40,000倍に希釈したHRP標識抗体を加え、室温1時間、振盪しながら反応させた。
反応液を捨て、TTBSにて3回洗浄後、SuperSignal West Pico Chemiluminescent Substrate(Pierce)を用いて室温、5分間反応させた。生じた化学発光は、LAS1000(FujiFilm)を用い検出するか、シグナルが不十分な場合は、BioMax Film(Kodak)を露光させることにより検出した。pLV207TRGのHCV cDNAにより、成熟型のコア抗原一致する位置に、NS3抗原が成熟型NS3抗原の分子量に一致する位置に、それぞれ抗コアモノクローナル抗体、抗NS3ウサギ抗血清により検出された。
さらに抗E1モノクローナル抗体と反応させると、分子量約35kdの正常なものに近い分子量のものが検出されるが、EndoH処理後に分析し反応させた場合は、分子量24kdに変化した。この分子量は、LV207のHCV cDNAの予想されるアミノ酸配列の、E1とNS2との融合タンパク質のアミノ酸配列から算出される分子量にほぼ一致する。このことからE1とNS2は融合タンパク質として存在し、糖鎖修飾を受けることが分かった。これらのことからLV207のHCV cDNAによってコードされるHCVポリプロテインは、FLF型のポリプロテインと同じ切断部位で切断されていることが分かった。
実施例6. HCV RNAレプリコンの作成と細胞での複製
薬剤耐性マーカーであるネオマイシン耐性遺伝子を持たないTFタイプのレプリコンを作成した。実施例3で構築したpSbf−LV207TFのプラスミドをNotIとClaIで切断し約0.7kbの断片を得た。この断片を、実施例3で構築したプラスミドpLV207TFRepG14のNotIとClaIサイト間に挿入することにより、プラスミドpLV207TFを構築した。
このプラスミドDNAをNotIとXbaIで切断したものを鋳型として、Megascript T7 Kit(Ambion)を用いてRNAを合成した。このRNAをメーカーの推奨する方法にて精製し、細胞へのトランスフェクションに用いた。
2日間培養を行なった、ヒト肝がん細胞Huh7に、精製したRNAをエレクトロポレーションによりトランスフェクトした。細胞をトリプシン、EDTA処理し剥離させ、血清添加培地に再懸濁し、トリプシンを不活化する。PBSで2回洗浄後、1.25%DMSOを添加したCytomix(120mM Potassium chloride,10mM Potassium phosphate,5mM Magnesium chloride,25mM HEPES,0.15mM Calcium chloride,2mM EGTA,pH7.6)に再懸濁し、約4×10の細胞をギャップ0.4cmのエレクトロポレーションキュベットに移した。
10μgのRNAをキュベットに加え、5分間氷上で十分冷却する。エレクトロポレーター(Bio−Rad)で960uF,270Vにてパルスを加える。直ちに8mlの培地に再懸濁し、12wellのプレート(直径22.1mm)に播いた。4時間、24時間、48時間、72時間及び96時間に細胞を0.1%EDTA−PBSで剥離し遠心分離にて回収した。細胞ペレットを50μl RIPA緩衝液(20mM Tris−HCl(pH7.5),150mM NaCl,1mM EDTA,1% NP40,0.1% Deoxycholate,0.1% SDS,complete protease inhibitor cocktail(Roche diagnostics corporation))に溶解し、10krpmで5分間遠心により上清を回収した。上清10μlをHCVコア抗原のキット(冨士レビオ、ルミパルス)を使用し測定した。
図4に示すように、コア抗原の測定値は24時間までは検出限界以下であるが、48時間から上昇し、96時間後も増加していた。このことは本願発明のTFタイプのレプリコンが細胞中で複製し、コア蛋白質を複製していることを示している。肝臓で複製している構造と同じTFゲノムが、In−vitroで複製可能であることを示したものである。
実施例7遺伝子型2のHCV検体からのトランケートフォーム遺伝子の取得
実施例2で慢性肝炎患者のバイオプシー検体からRT−PCR法により、トランケートフォーム遺伝子を検出したが、遺伝子型2の検体からは、BP203の検体を除いて、トランケートフォーム遺伝子は検出できなかった。この原因は検出に用いたプライマーの配列が、遺伝子型1の配列に基づいてデザインされたためであると考えられた。
そのため、遺伝子型2の配列に基づき、プライマーをデザインし、そのプライマーにより、遺伝子型2の慢性肝炎患者のバイオプシー検体より、トランケートフォーム遺伝子の検出を試みた。
使用するプライマー以外は実施例2の方法に従い、表1に示した遺伝子型2について、cDNA合成、PCR、PCRフラグメントのクローニング、塩基配列の決定を行った。cDNA合成及びPCRのプライマーの組み合わせは、次に示す2組の組み合わせで行った。Primer set AはcDNA合成が2a_HC3293R、1st PCRが2a_807S及び2a_3216R、2nd PCRが2a_HC835S及び2a_HC3203Rで、Primer set BはcDNA合成が2a_HC3156R、1st PCRが2a_807S及び2a_3144R、2nd PCRが2a_HC835S及び2a_HC3108Rである。それぞれのプライマーの配列を下記に示す。
2a_HC3293R:TCTCCATTGGGCTGAACACCACAGGCTCCAC(配列番号84)
2a_HC3216R:GGGGAGAGGTGGTCATAGATGTAAGTGCCGG(配列番号85)
2a_HC3203R:CATAGATGTAAGTGCCGGTCCACCTGCCTA(配列番号86)
2a_HC3144R:CTCCTGCGAGGTGTCTCACCAGGGTACACA(配列番号87)
2a_HC3108R:AGCAGAGCGTGAGCTCTGACGAAGTATGG(配列番号88)
2a_HC835S:GGAATCTACCCGGTTGCTCTTTTTCTATCTTC(配列番号89)
2a_HC807S:CTGGAAGACGGGATAAATTATGCAACAGGGAA(配列番号90)
表6に示すように、Primer set Aで9検体中6検体において、Primer set Bで9検体中2検体において、欠失を有する遺伝子が、検出された。これらの遺伝子の配列を決定したところ、BP203は987−2999nt、BP235は1060−2945、BP297は1024−2966に約2kbの欠失を有し、in−frameで結合している典型的なトランケートフォーム遺伝子であった。欠失部分の配列を図5に示す。
Figure 0005072361
実施例8慢性活動性肝炎患者及び肝癌患者の肝臓組織からのトランケートフォーム遺伝子の検出率について
実施例2及び実施例7の結果をまとめると、BP207を含めた24検体の慢性活動性肝炎患者の肝臓組織のうちBP207、BP203、BP325、BP297、BP368、BP373の6検体から、E1からNS2にかけての約2kbの遺伝子がin−frameで欠失している典型的なトランケートフォーム遺伝子が検出された。一方、3検体の肝癌組織からは、BP1とBP2から同様の典型的なトランケートフォーム遺伝子が検出された。それぞれの検出率は慢性肝炎患者で25%(6/24)、肝癌患者で66.6%(2/3)であり、慢性肝炎から肝癌へ進行するにつれて、検出率が高くなった。
さらに、無症候性キャリアの血漿から20検体から、トランケートフォーム遺伝子の検出を試みたが、典型的なトランケートフォーム遺伝子は検出できなかった。この結果は、慢性肝炎、肝硬変、肝癌とC型肝炎ウイルスの感染による病状の進行とトランケートフォーム遺伝子の存在が何らかの関連を持っていることを示している。つまり、トランケートフォーム遺伝子の検出は、病状の進行の予測因子として有用であると考えられる。
実施例9劇症肝炎患者からのトランケートフォーム遺伝子の取得
劇症肝炎患者の血清からトランケートフォーム遺伝子の取得を試みた。患者血清からRNAの抽出試薬であるISOGEN−LS(NIPPON GENE CO.,LTD)を用い、添付の指示書に従って、RNAを抽出した。
このRNAから実施例1でBP207より遺伝子を取得したのと同様の手順で、第85位から9302位までの、HCV遺伝子を取得した。pGEM−T easyベクターにクローニングした11クローンの配列を決定したところ、10クローンは922位から1062位、1096位から1131位および1209位から2997位までが欠失した典型的なトランケートフォーム遺伝子であった。また残りの1クローンは1096位から1131位の欠失はなかったが、922位から1062位および1209位から2997位までが欠失した典型的なトランケートフォーム遺伝子であった。
さらに、この患者のRNAより実施例1に記載の方法で5’非翻訳領域と3’非翻訳領域のcDNAの取得を行った。
次に、5’非翻訳領域の末端の配列を決定するため、5’RACE法により末端配列の取得を試みた。患者RNAより、5’RACE System for Rapid Amplification of cDNA Ends,Version2.0(Invitrogen Corporation)のキットを用い、添付の指示書に従って、HCVの5’非翻訳領域の末端を取得した。cDNA合成のためのアンチセンスプライマーは、Chiba−asを使用した。SuperScript II Reverse TranscriptaseでcDNAを合成し、S.N.A.P.columnで精製後、cDNAにTdT−tailing反応を行い、dCTPを付加した。このcDNAを、キットに添付の5’RACE Abridged Anchorプライマー及びKY78プライマー:5’−CTCGCAAGCACCCTATCAGCCAGT−3’ (配列番号:91)で、LA Taq(TAKARA)を用いて、1st PCRを行った。このPCR産物の一部を鋳型に、キットに添付のUAPプライマーとKM2プライマー:5’−AGGCATTGAGCGGGTTTATC−3’ (配列番号:92)で、LA Taq(TAKARA)を用いて2nd PCRを行い、PCR産物を得た。このPCR産物をpGEM−T easyベクターにクローニングし、配列を決定した。その結果、このトランケートフォーム遺伝子は、通常のフルレングスのHCVの遺伝子と同様に、第1位の配列から5’非翻訳領域を有していた。
さらに、3’非翻訳領域の末端の配列を決定するため、3’RACE法により末端の配列の取得を試みた。まず患者のRNAにPoly(A)Tailing Kit(Ambion,Inc.)を用いて、添付の指示書に従い、Poly(A)を付加した。このPoly(A)の付加されたRNAより、dT−Adpプライマー:5’−CTAGACTCGAGTCGACATCGTTTTTTTTTTTTTTTTTT−3’ (配列番号:93)を用いて実施例1に記載のcDNA合成の手順と同様にcDNAを合成した。このcDNAを鋳型として、3UTR−1Fプライマー:5’−ATCTTAGCCCTAGTCACGGC−3’ (配列番号:94)及びAdpプライマー:5’−CTAGACTCGAGTCGACATCG−3’ (配列番号:95)で1st PCRを、XR58F:5’−CTAGCTGTGAAAGGTCCGTGAGCCGCATGA−3’ (配列番号:96)及びAdpプライマー(配列番号:95)で2nd PCRをLA Taq(TAKARA)を用いて行った。このPCR産物をこのPCR産物をpGEM−T easyベクターにクローニングし、配列を決定した。その結果、このトランケートフォーム遺伝子の3’末端は、通常のフルレングスのHCVの遺伝子と同様の3’末端を有していた。
本発明の活用例として、レプリコン複製系はC型肝炎ウイルスの治療薬の開発のための薬剤スクリーニングに利用できる。この系は治療薬の薬効評価、製造にも利用可能である。またTFゲノムの検出系はC型肝炎の病態マーカーとしても利用可能であり、診断薬として有用である。

Claims (12)

  1. C型肝炎ウイルス遺伝子からのトランケートフォームC型肝炎ウイルス遺伝子であって、5’非翻訳領域の全部、コア蛋白をコードする領域の全部、E1蛋白コード領域の一部、NS2蛋白の後半2箇所の膜貫通領域をコードする領域の全部又は一部、及びNS3蛋白コード領域から3’非翻訳領域の全部を有し、これらの全てが前後の配列同士で連結しており、コア蛋白をコードする領域からNS5B蛋白コード領域までの配列がコア蛋白をコードする領域の翻訳枠を有することで一つながりのポリプロテインをコードしている、ことを特徴とするトランケートフォームC型肝炎ウイルス遺伝子。
  2. 配列番号1に示されるC型肝炎ウイルス遺伝子の核酸配列の1189番目から3000番目の領域、988番目から2988番目の領域、930番目から2972番目の領域、980番目から2999番目の領域、918番目から2921番目の領域、922番目から1067番目および1089番目から2987番目の領域、1200番目から2648番目の領域、1003番目から2994番目の領域、1061番目から2941番目の領域又は1025番目から2965番目の領域が欠失している請求項1に記載のトランケートフォームC型肝炎ウイルス遺伝子。
  3. 細胞中で自律的に複製する、請求項1又は2に記載の遺伝子を含むレプリコン。
  4. 選択マーカー遺伝子が結合している請求項3に記載のレプリコン。
  5. 請求項3又は4に記載のレプリコンが複製する細胞(但し、ヒトの生体内の細胞を除く)
  6. 請求項5に記載の細胞を用いた薬剤のスクリーニング方法または薬効評価方法。
  7. 請求項1又は2に記載の遺伝子を組み込んだベクターを保持し、蛋白質を発現している細胞(但し、ヒトの生体内の細胞を除く)
  8. C型肝炎ウイルスの診断に必要な情報を提供するために、請求項5又は7に記載の細胞、又はその細胞が産生する蛋白質を使用して、C型肝炎ウイルスを検出又は測定する方法(但し、ヒトの生体内での当該検出又は測定方法を除く)
  9. 遺伝子の欠失を検出する方法を用いて、C型肝炎ウイルスの請求項1又は2に記載のトランケートフォームC型肝炎ウイルス遺伝子を検出する方法(但し、ヒトの生体内での当該検出方法を除く)
  10. 配列番号1に示されるC型肝炎ウイルス遺伝子の核酸配列の1番から914番及び3001番以降の配列から設計したプライマーを用いてPCRを行い、請求項1又は2に記載のトランケートフォームC型肝炎ウイルス遺伝子を増幅することによりトランケートフォームC型肝炎ウイルス遺伝子を検出または定量する方法(但し、ヒトの生体内での当該検出又は定量方法を除く)
  11. 請求項1又は2に記載のトランケートフォームC型肝炎ウイルス遺伝子及びフルレングスフォームC型肝炎ウイルス遺伝子の共通領域の遺伝子の測定と請求項1又は2に記載のトランケートフォームC型肝炎ウイルス遺伝子の欠失した領域の遺伝子の測定によって存在比を定量する方法(但し、ヒトの生体内での当該定量方法を除く)
  12. 請求項1又は2に記載の遺伝子から産生されるC型肝炎ウイルスのポリプロテイン、或いは当該ポリプロテインからプロセスされた蛋白質であって、E1とNS2との融合蛋白質を含む蛋白
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