JP5069548B2 - 溶射皮膜の検査方法及びその装置 - Google Patents

溶射皮膜の検査方法及びその装置 Download PDF

Info

Publication number
JP5069548B2
JP5069548B2 JP2007327118A JP2007327118A JP5069548B2 JP 5069548 B2 JP5069548 B2 JP 5069548B2 JP 2007327118 A JP2007327118 A JP 2007327118A JP 2007327118 A JP2007327118 A JP 2007327118A JP 5069548 B2 JP5069548 B2 JP 5069548B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
probe
thermal spray
spray coating
unit
wave
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2007327118A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2009150692A (ja
Inventor
軍二 植野
修一 植野
幹男 竹本
秀雄 長
Original Assignee
カンメタエンジニアリング株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by カンメタエンジニアリング株式会社 filed Critical カンメタエンジニアリング株式会社
Priority to JP2007327118A priority Critical patent/JP5069548B2/ja
Publication of JP2009150692A publication Critical patent/JP2009150692A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5069548B2 publication Critical patent/JP5069548B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本願発明は、溶射皮膜の検査方法及びその装置に関するものである。
特許第3037627号公報 特開平6−331609号公報 特許第3956486号
溶射皮膜を形成することにより、既設のタンクなどの構造物や産業機械に対してその表面を被覆し、寿命の向上、性能の向上、生産・メンテナンスコストの削減を図ることができる(特許文献1)。
このような溶射皮膜の形成に際しては、溶射に先立ち、ブラスト処理による基材の清浄・粗面化を行うことや、形成した溶射皮膜に存在する孔を、溶射後に封孔処理することは、防食・防錆を目的とした溶射では不可欠な処理である。
しかし、現状において、このような前処理や、溶射後の封孔処理の優劣を現場で非破壊的に調べる方法は、確立していない。
即ち、基材と溶射皮膜との間の、良好な密着力を担保するためには,清浄な粗面化が必要であるが、ブラスト材の汚染、ブラスト処理後の飛散オイルや粉塵などによる汚染を完全に避けることは非常に難しい。その一方で、供用中にプロセス流体が基材界面まで浸透して、損傷を与えることもあるので、溶射施工後や定期保守時に迅速に界面性状を検査することが重要である。
また、封孔剤が全面に一様に浸透していることを保証することは防食性能を担保する上で極めて重要であるが、この点についても、非破壊的に調べる確立された方法はない。
具体的には、上記の界面性状(密着強さ)の検査・測定法として、溶射層の密着強さを測定する方法として引き剥がし法や引っかき法が用いられるが、破壊試験であること、相対的な評価法であること、特殊な装置を用いる小面積の実験室評価法であるなどの問題がある。接着剤を用いて溶射層を引き剥す方法では、接着剤が溶射層中に浸透する恐れがあること、接着剤よりも強い密着力をもつ溶射層には適用できないという問題もある。とりわけ、上記の通り、これらの試験法は、破壊試験であるため、製品に使用することは出来ない。
また、上記の封孔の程度を調べる方法としては,フェロキシル法がある。
しかしこの方法は、非鉄金属やセラミックス溶射膜のみに適用でき、鉄成分を含む合金溶射膜に適用できない。
更に、溶射層を切断して断面を金属顕微鏡や電子顕微鏡で調べる方法があるが、封孔剤が空孔中に浸透して封孔しているか否かを調べるのは容易ではない。この方法は破壊試験であるため、製品には使用できない。
分極曲線や腐食電位を測定するなどの電気化学試験法は、小さな面積に適用できても大面積に適用することは不可能であるし、溶射層に損傷を与えるため製品には応用できない。
パルスレーザで励起した表面波をレーザ干渉計で測定し、その速度分散から膜質を評価する方法(竹本らの過去の研究)があるが、高価なレーザ装置が必要になること、溶射膜のような粗面への適用には制限がある。また,接触式超音波センサを用いる検査法(パルスエコー法や表面弾性波法)では、溶射層表面が粗面であるため効率的に超音波を投入できないこと、粗面の影響を著しく受けること、特殊なカプラント剤を必要とするため製品に使用できない。
このように、溶射皮膜と基材との間、或いは、溶射皮膜を構成する溶射層間について、剥離が生じていないかを検査することが重要であるが、上記の通り、このような検査法として、現状では、非破壊検査により、検査する方法は確立されていないのである。
一方、鉄道の車軸や航空機材料の内部欠陥を検出する、他分野における非破壊検査として、被検材内部に超音波を入射させて欠陥エコーを検出する超音波探傷法が知られている。
本願発明者は、上記の点を鑑みて、非破壊検査法として、このような超音波探傷法を利用することにより、簡便に溶射皮膜の剥離の有無を検査できる方法がないか検討した。
通常の超音波探傷は、被検材の内部に超音波を入射させるのに、探触子と被検材との間に超音波を伝搬する水や油といった超音波の媒介液を必要とする。
このような媒介液は、溶射皮膜を汚染する原因となる。また、溶射が施されたプラント設備について、現地において、媒介液を用いて、超音波探傷法により、溶射皮膜の剥離を調べるのは、検査装置に大掛かりなものが必要となり、現場の作業者において、簡便に検査を行うという訳にはいかない。
そこで、本願発明者は、上記の媒介液を使用しない、空中超音波という技術に着目した(特許文献2)。
この空中超音波という技術は、例えば、特許文献2に見られるように、空気中に超音波を伝搬させて、空気中の対象物にて反射してきた超音波を受信することにより、対象物の位置や対象物までの距離を測定するのに利用されている。
一般に、超音波を伝搬する、異種の媒体同士が接する場合において、媒体間の音響インピーダンス(音波の速度×媒体密度)の差が大きいと、一方の媒体中に伝搬させた超音波は、他方の媒体へ伝搬し難いことが知られている。
鋼材の内部欠陥を調べる従来の超音波探傷法は、上記の通り、探触子と被検材との間の超音波の媒介液に伝搬させて超音波を被検材中に入射させるものであり、固体である圧電素子は音響インピーダンスが大きく、気体である空気は、音響インピーダンスが小さく、その差は大きなものであるため、上記の従来の探触子を、そのまま、空中超音波に用いる送信部(トランスデューサ)や受信部(レシーバ)の探触子として用いることはできず、空中超音波を利用する場合、専用の探触子が用いられる。
このような空中超音波用の探触子として、次の4種類のものが、知られている。
その一つは、ジルコン・チタン酸鉛でできた圧電素子と空気の双方に対して、音響インピーダンスの差が比較的小さい、クレイ(粘土)を圧電素子の表面に設けたものである(米国Ultran社製)。
また、他の一つは、コンポジットと呼ばれるセンサで、複合圧電トランスデューサと呼ばれるものであり、圧電素子の一部を音響インピーダンスの低い樹脂に置き換えたものである。この樹脂は、一般に1−3型複合材と呼ばれている。また、このような樹脂として、米国では、エポキシが主として用いられており、日本では、ポリウレタンを用いた複合素材が、主として用いられている(株式会社検査技術研究所販売)。
更に他の一つは、キャパシター(絶縁性樹脂や空気層)を利用するものであり、キャパシターを挟み込む電極に、バイアス電圧をかける必要がある(英国ワービック大学開発)。
又更に他の一つは、高分子圧電膜(PVDF/ポリフッ化ビニリデン)を使用するものであり、超音波顕微鏡と呼ばれる、水を媒体として高周波数の超音波を材料表面に入れて検査する方法の送受信センサに使用されている。
上記の探触子を用いることにより、空気超音波を利用して、空気中に超音波を伝搬させることが可能となったが、例えば従来のような中実の鋼材中に超音波を入射させて内部欠陥を調べるような使い方は、論外であった。上述の通り、空気中に超音波を伝搬させることはできても、空気の音響インピーダンスと、鋼材の音響インピーダンスの差により、空中を伝搬させた鋼材内に超音波を入射させるのは困難であり、上記の通り、専ら空気中での超音波の伝搬によって実現可能な、位置センサや、距離測定センサとして、使用されていたのである。
本願発明者は、研究の末、粉末の溶射材料を高温で基材表面に吹き付けて、形成した金属やセラミックの溶射皮膜について、空中超音波により、超音波を入射させることができることを見出した。
このように溶射皮膜内への空中超音波の入射が可能である点については、溶射皮膜への入射後、超音波を伝搬するメカニズムが内部の均一な中実の材料と異なるからであると考えられる。
具体的には、溶射皮膜は、一般に、高温にて溶けた溶射材料を、空気中被覆する基材に向けて噴射して形成されたものであり、噴射により空気中を飛散してる間、溶射材料は、冷却されて細かな燐片状になり、基材表面に順次重なって固まることにより、溶射皮膜となる。このため、形成された溶射皮膜は、微視的には、材料が均一な膜を形成しているのではない。即ち、燐片状の複数の粒塊同士は、夫々一部分が溶解により一体となり材料が均一になっているが、他の一部分は、依然燐片状の粒塊としての形態が残存している。このような隣接する粒塊間の境界に沿って、超音波が伝搬すると考えられるのである。
従って、このようなメカニズムにより、上の通り、溶射皮膜に空気超音波を入射させることができるのである。
一方、上記従来の一般的な、媒介液を用いた、鋼材の内部欠陥の超音波探傷において、送信部の探触子(トランスデューサ)に対し、受信部の探触子(レシーバー)を、被検材を挟んで反対側に配置し、被検材内を透過してくる超音波を調べる透過法と、送信部と受信部の双方の探触子を被検材に対して同じ側に置き、超音波を被検材へ入射させ、被検材内から反射してくる反射波(エコー)を検出して内部欠陥を見つける反射法とがある。
このような従来の探傷技術を、空気超音波による剥離検査に応用しようとする場合、溶射皮膜が施されたタンクなどの大型のプラント設備では、トランスデューサとレシーバーとを、被検材を挟んで反対側に配置させるということは困難であり、設置現場において、上記の透過法による探傷は現実的ではない。
このため、本願発明者は、送受信兼用の探触子を用いる場合を含め、トランスデューサとレシーバーとを溶射皮膜の表面側に配し、溶射皮膜に入射させた超音波の反射波を、入射側で受信する、上記の反射法による検査を検討した。
しかし、1mm以下の肉厚の溶射皮膜において、調べる範囲は狭く、検査部分、即ち、基材と溶射皮膜との間の界面や溶射皮膜内の層間の界面から、直接反射してくる超音波(エコー)を受信し、当該反射波から界面の状態を調べようとすると、溶射皮膜表面の入射位置において生ずる反射波といったノイズ(反射ノイズ)に隠れて、上記界面からの反射波を、弁別するのは極めて困難であった。特に、上記の通り、粒塊にて構成された溶射皮膜では、溶射皮膜表面の入射位置での反射波のみならず、当該当該反射波による表面の入射位置付近における粒塊間の多重反射が顕著であり、そのため、ノイズの減衰時間は、比較的長く、上記の界面からの反射波をより検出し難くしている。
尚、引用文献3に示す通り、構造物の表面に形成されている溶射被膜の健全部上にAE装置の受信用探触子を置き、上記溶射被膜の検査個所の上に超音波発振器の送信用探触子を順次当接させて超音波発振器の作動で検査位置の溶射被膜を加振し、そのとき構造物を伝搬する振動を、上記溶射被膜の健全部上に配置した受信用探触子を介してAE装置で受信させてから表示器にその振動波形を表示させて、その波形の周波数をFFT演算し、FFT演算した後の波形のピーク周波数領域の位置から溶射被膜の剥離部と健全部とを区別して、剥離部を検出する構造物表面の溶射被膜剥離検出方法が提案されているが、これは、空中超音波を溶射皮膜へ入射し皮膜内を伝播する表面波を生じさせることにより方向性を持つ当該表面波を利用して剥離の検出を行おうとするものではなく、AE装置により圧電素子を当接させて直接皮膜と基体の双方を振動させ、振動波形の周波数を、FFT演算検査を行うことにより、剥離の有無を検出するというものであり、現実には、精度の高い、剥離の検出は困難である。
また、特許文献3に示すものは、振動による皮膜への影響は考慮されておらず、高温で焼き付けられた皮膜には用いることができるかも知れないが、そうでない皮膜については、非破壊検査として実施することは困難である。
本願発明は、空中超音波を利用して、溶射皮膜の剥離の有無を検査することを可能とする。また、本願発明は、上記のノイズの問題を解決して、空中超音波を利用し、プラント設備などの現場に設置された溶射皮膜の剥離の有無を精度よく検出することを可能とする。また、更に、本願発明は、空中超音波を利用して、封孔の適否の検査を可能とする。
本願発明者は、粒塊間を進行した超音波は、溶射層間の界面や、溶射層と基材との界面に到達すると、巨視的には当該界面に沿って伝搬する表面波を生じさせることに着目し、このような界面に沿って伝搬した後、溶射皮膜の表面から空中に漏れ出てくる表面波の強さを調べることにより、剥離の有無を検出できると考えた。また、上記のノイズから遅れて漏れ出てくる表面波を受信することにより、上記のノイズに阻害されず、確実に検出することができると考えた。
そして、当該漏れて出てきた表面波を調べたところ、上記の界面が密着していると、入射させた超音波は、基体や下層に侵入するので、空中に漏れ出てくる超音波の強さは小さく、界面において剥離があると、基体や下層への伝達が弱まり、そのエネルギが表面波の発生に転化されるので、空中に漏れ出てくる表面波の強さは大きなものであり、このような超音波の強さの違いにより、剥離を検出することができるという、画期的な事実を確認した。
そこで、本願発明者は、超音波の媒介液を用いた従来の反射法のように、界面から直接反射して被検材から出てきた超音波を調べるのではなく、溶射皮膜内において皮膜表面と界面との間を反射しつつ伝搬した後、空中に漏れ出てきた超音波(表面波)を検出することにより、当該界面の剥離を検出する、本願発明を創作したものである。
また、本願の発明者は、一般に用いられる、封孔剤については、適切な封孔がなされていれば、送信した空中超音波の強い反射波を受信することができ、封孔が適切になされていないと、反射波は弱いものであることを見出した。この現象について、現状では十分に解明されている訳ではないが、適切な封孔がなされていれば、封孔剤表面にて、空中超音波が強く反射し、封孔が適切でないと、孔内にて超音波が多重反射して、封孔剤表面から帰ってくる超音波が微弱となっていると考えられる。従って、本願発明者は、封孔処理の適否については、空中超音波の反射波を利用することにより、正確な判定ができることを見出した。
具体的には、本願第1の発明は、次の構成を採る溶射皮膜の検査方法を提供する。
即ち、この方法は、基材上を被覆する少なくとも一層以上の溶射層を備えた溶射皮膜について、当該溶射皮膜と基材との間の界面における剥離、又は溶射層間の界面における剥離を、調べるものであり、溶射皮膜に向けて超音波を発する送信部と、溶射皮膜からの超音波を受信する受信部と、走査部とを用いるものであり、送信部には、超音波を空中に伝搬させて溶射皮膜内へ入射させる、空中超音波の探触子1を備えたものを、受信部には、溶射皮膜から空中を伝搬してくる超音波を受信する、空中超音波の探触子2を備えたものを、夫々採用し、上記走査部には、上記送信部と受信部の上記両探触子を一体に保持し、上記送信部と受信部とを、溶射皮膜の上にて前後に走査させ、送信部と受信部の両探触子1,2を、溶射皮膜よりも上方に配置し、送信部の探触子1を、溶射皮膜の膜面に対して、斜めに向け、溶射皮膜の膜面を平面視した状態において、受信部の探触子2を、送信部の探触子1の向きの延長線上に配置するものを採用する。そして、送信部の上記探触子1から溶射皮膜内に超音波を入射させて、溶射皮膜中に表面波を伝播させ、受信部の上記探触子2にて受信した表面波の強さを、剥離がない場合の表面波の強さと比べることにより、剥離の有無を調べる。更に上記走査部にて、上記走査方向について、送信部の上記探触子の前方又は後方に受信部の上記探触子を配置し、平面視において送信部の上記探触子と受信部の上記探触子とを結ぶ線を上記走査の方向と一致させて、走査方向に沿ってのみ空中超音波の送受信を行う。
尚、基材の上に溶射皮膜が位置するものとし、更に溶射皮膜の上方に両探触子1,2が配置されるものとしたが、このような上下の位置は、単に各部の相対的な位置関係を説明するために便宜上用いたものであり、重力のかかる方向を下方に限定して、上下の位置を規定するものではない。
本願第2の発明は、本願第1の発明にあって、次の構成を採る溶射皮膜の検査方法を提供する。
即ち、上記の表面波は、剥離を調べる界面と溶射皮膜表面との間を多重反射しながら、当該界面に沿った方向に進行するものであり、この方法は、入射時に溶射皮膜表面にて発生する反射ノイズ減衰後の表面波を調べることを特徴とする。
本願第3の発明では、上記本願第1又は第2の発明にあって、次の構成を採る溶射皮膜の検査装置を提供する。
即ち、受信部の探触子2は、溶射皮膜表面から漏れ出てくる表面波を受信するものであり、送信部の探触子1と受信部の探触子2との間の上記間隔は、溶射皮膜の厚みの3倍以上である。
本願第4の発明では、上記本願第1乃至3の何れかの発明にあって、次の構成を採る溶射皮膜の検査方法を提供する。
即ち、空気超音波の両探触子1,2は、電圧の印加により振動して超音波を発する振動部と、音響整合部材とを備え、音響整合部材が振動部に設けられることにより、振動部と空気との音響インピーダンスの差を抑制して、超音波を空中に伝搬させることができ、送信部の探触子1と受信部の探触子2との当該間隔、及び、送信部と受信部の各探触子と溶射皮膜表面との間の間隔は、伝搬中の超音波の減衰により剥離の判別が、不能とならない範囲内であり、側面視した状態において、送信部の探触子1は、検査する界面に対して、30度以上89.5度以下の角度をなすものであり、受信部の探触子2の向きは、側面視した状態において、両探触子1,2間の中間点における溶射皮膜の膜面と垂直な線について、上記の送信部の探触子1の向きと、略線対称となるものである。
尚、ここでは、0度〜90度の範囲で全ての角度を定め、鈍角、負数は用いない。例えば、80度には、80度±90度×nを含む(nは整数)。従って、80度というとき、100度、−80度を含む。
本願第5の発明は、次の構成を採る溶射皮膜の検査装置を提供する。
即ち、この装置は、基材上を被覆する少なくとも一層以上の溶射層を備えた溶射皮膜について、当該溶射皮膜と基材との間の界面における剥離、又は溶射層間の界面における剥離を、調べるものであり、溶射皮膜に向けて超音波を発する送信部と、溶射皮膜からの超音波を受信する受信部と、走査部とを備え、送信部は、超音波を空中に伝搬させて溶射皮膜内へ入射させる、空中超音波の探触子1を備え、受信部は、溶射皮膜から空中を伝搬してくる超音波を受信する、空中超音波の探触子2を備え、上記走査部は、上記送信部と受信部の上記両探触子を一体に保持し、上記送信部と受信部とを、溶射皮膜の上にて前後に走査させることができるものであり、上記走査部は、上記走査方向について、送信部の上記探触子の前方又は後方に受信部の上記探触子を配置するものであり、上記走査部は、送信部の探触子1を、溶射皮膜の膜面に対して、斜めに向け、上記走査部は、平面視において、受信部の探触子2を、送信部の探触子1の向く先に、送信部の探触子1に対して間隔を開けて配置する。送信部の探触子と受信部の探触子との間の上記間隔は、溶射皮膜の厚みの3倍以上とする。そして、この装置は、送信部の上記探触子から溶射皮膜内に超音波を入射させて、溶射皮膜中に表面波を発生させ、受信部の上記探触子にて受信した表面波の強さを、剥離がない場合の表面波の強さと比べることにより、剥離の有無を調べるものであり、平面視において送信部の上記探触子と受信部の上記探触子とを結ぶ線を、上記走査の方向と一致させることにより、走査方向に沿ってのみ空中超音波の送受信を行うことが可能なことを特徴とする。
本願第6の発明は、上記本願第5の発明にあって、次の構成を採る溶射皮膜の検査装置を提供する。
即ち、上記の基材は、金属又はセラミックであり、溶射皮膜は、金属、高分子、セラミック又はサーメットの溶射により形成されたものである。各探触子の振動周波数は、200〜800kHzである。送信部と受信部の両探触子1,2を保持し、且つ、両探触子1,2を溶射皮膜表面に沿って走査し得る走査部10を備える。走査部10は、送信部と受信部の両探触子1,2同士を、溶射皮膜の厚みの5倍以上であり、且つ、200mm以下の間隔を採るように保持するものである。更に、走査部10は、各探触子1,2を溶射皮膜表面から5mm以80mm以下の間隔を開けて保持するものである。そして、この装置は、走査中、受信した表面波の強さの変化により、界面における剥離を検出する。
本願第7の発明は、上記本願の第6の発明にあって、次の構成を採る溶射皮膜の検査装置を提供する。
即ち、走査部10は、主として透明な素材にて形成され、送信部の探触子1を保持する送信側保持部4と、受信部の探触子2を保持する受信側保持部5と、前輪及び後輪となる少なくとも2つのキャスター7,7とを備え、手で持って溶射皮膜の膜面に当てキャスター7,7を溶射皮膜に倣わせることにより、両探触子1,2を、溶射皮膜の膜面に沿って走査することができるものである。両キャスター7,7は、少なくとも表面がテフロン(登録商標)樹脂にて形成されている。送信側保持部4は、両キャスター7,7の下端同士を結ぶ下端線(仮想線)に対して、送信部の探触子1を30度以上89.5度以下の角度をなすように保持し、受信側保持部5は、側面視において、当該下端線と直交する垂線(仮想線)について、送信部の探触子1の向きと線対称となる向きを向くように受信部の探触子2を保持する。更に、送信側保持部4と受信側保持部5は、上下方向について、上記の下端線から上方へ、5mm以上50mm以下の間隔を開けて探触子1,2の夫々を保持するものである。
本願第8の発明は、上記本願の第5乃至第7の何れかの発明にあって、次の構成を採る溶射皮膜の検査装置を提供する。
即ち、この装置は、溶射皮膜に向けて超音波を発する副送信部と、溶射皮膜からの超音波を受信する副受信部とを備え、副送信部は、超音波を空中に伝搬させて溶射皮膜内へ入射させる、空中超音波の探触子を備え、副受信部は、溶射皮膜から空中を伝搬してくる超音波を受信する、空中超音波の探触子を備える。副送信部と副受信部の両探触子は、溶射皮膜より上方に配置される。副送信部の探触子の向きは、溶射皮膜の膜面に対して、略垂直であり、副送信部の探触子にて、溶射皮膜に向けて空中に超音波を発し、副受信部の探触子にて、溶射皮膜から帰ってくる超音波を受信することにより、溶射皮膜の封孔処理の状態を検出することを特徴とする。
そこで本願第1〜7の発明は、空中超音波を利用して、溶射皮膜と基材との界面或いは、溶射皮膜中の溶射層間の界面剥離の有無を、超音波の媒介となる液体を用いることなく、非破壊検査にて調べることを可能とした。
このため、媒介液にて、溶射皮膜を汚すことがない。また、媒介液の供給手段を設ける必要がないので、装置を小型化でき、現場において検査を行うことができ、また、迅速に検査が行える。
特に、溶射皮膜内において皮膜表面と界面との間をジグザグに伝播する表面波を利用して、溶射皮膜内から漏れ出てくる表面波の強弱を調べることにより、剥離の有無を検出できる。
また、送受信の両探触子を溶射皮膜の上方に配して検査を行うことができるので、空気超音波を透過させて検査する方法では探触子の配置が困難な、プラント設備に施された溶射皮膜について、このような設備の現地での検査を可能とした。
本願発明は、上記の通り、斜めに超音波を入射させることにより積極的に表面波を生じさせ、平面視において、当該波の進行先に、受信側の探触子を配置することにより、表面波として伝搬中に漏れて来る超音波を確実に検出するものとした。
上記の通り、本願発明は、超音波の媒介液の排除により、当該液による皮膜の汚染を防止するものであるが、若し、従来の超音波検査法のように、超音波の媒介液を、受信側の探触子と溶射皮膜との間に介した場合、空中では検出できた、溶射皮膜の表面に漏れ出てくる上記の表面波は、減衰が著しく、検出することができない。従って、空中超音波を用いることにより、皮膜の汚染を排除することは勿論、表面波をより確実に検出することを可能としたのである。
上記の表面波は、正確には、溶射皮膜内において、溶射皮膜と基体との間の界面と、溶射皮膜表面との間を、界面と皮膜表面の夫々に反射しながら進行する超音波である。
本願第2の発明では、溶射皮膜への超音波の入射によって生じるノイズに阻害されることなく表面波を検出して、精度良く、界面の剥離を調べることができる。
本願第3の発明では、上記ノイズに阻害されずに、表面波を確実に検出する、より具体的な方法を提供した。
具体的には、入射後、剥離を検査する界面から直接反射してきた反射波を調べるのではなく、本願第3発明は、本願発明者が鋭意研究し更に試行錯誤の上知見した、送受信部の両探触子の間隔の設定により、表面波として当該溶射層と界面に沿って伝搬した超音波で、伝搬中、溶射皮膜を通じて空中(溶射皮膜の上方)に漏れ出てきた超音波のうち、入射時に溶射皮膜表面にて生じた反射波の影響が少ないものを確実に検出できるものとした。
即ち、表面波は、進行方向の各位置において、溶射皮膜の粒塊間を経て溶射皮膜表面側から空中に漏れ出てくるものであるが、上記の探触子間の間隔を設定することにより、漏れ出てくる超音波のうち、上記入射位置付近のノイズと重ならないものを検出することで、剥離の有無を調べることを可能としたものである。
本願第4の発明により、溶射皮膜の膜面に対して、より好ましい角度に送信部の探触子を設定するものである。
尚、溶射皮膜の表面を微視的に見ると起伏があるが、溶射皮膜の膜面として巨視的に見ると溶射皮膜の膜圧は各位置においてほぼ均一に形成されるものであり、当該膜面は、基体表面、即ち溶射皮膜と基体との界面に対して、ほぼ平行となっている。従って、界面を外部から見ることはできないが、膜面に対して探触子が採る角度は、界面に対する角度と考えることができる。
複数の溶射層にて形成された溶射皮膜についても、溶射層の夫々について、各位置の厚みは、ほぼ均一であるので、上記の各層の界面は、巨視的には膜面平に対してほぼ平行であり、上記の探触子の膜面に対する角度は、層間の界面に対する角度と考えることができる。
また、通常の均一な素材では、界面に対して一方の側の素材中の音速と、界面に対して他の一方の側の素材中の音速との差により、入射時に超音波の屈折が生じるが、粒塊間を伝搬する溶射皮膜中での超音波については、このような屈折角は考慮する必要はない。
本願第5の発明は、本願発明に係る検査方法の実施に好適な検査装置を提供し得た。
特に、本願第6の発明では、走査部により、両探触子を溶射皮膜表面に沿って走査し、受信部の探触子が受信した溶射皮膜表面から漏れ出てくる超音波の強さの変化にて、界面における剥離を検出するものであり、溶射皮膜の各部について、隈なく、界面における剥離の有無をチェックすることができる。
また、本願第7の発明では、界面の剥離を検査するより具体的な手段を提供し得たものである。特に、この発明にあっては、手で持って走査することができる走査部に、送受信の探触子の夫々を保持させることにより、プラント設備などの現地における剥離検査をより、円滑に行うことができる。また、走査部を透明とすることにより、溶射皮膜の表面を見ながら、走査を行うことができ、確実に溶射皮膜表面をトレースすることができる。
本願第8の発明では、溶射皮膜の封孔の状況を、チェックすることができる。即ち、溶射皮膜の空孔が、適切に封孔されていると、内部が均一な封孔剤から強い反射波を受けることができるが、適切に封孔されておらず空孔が基体に達していると、封孔剤から反射してくる超音波は弱いものとなる。このような反射波の強弱により、封孔の適否を調べることができる。
上述の通り、本願発明は、斜めに設置したトランスミッター(送信用探触子)を用いて溶射層に入射した空中超音波を溶射層中にまで浸透させ、発生させた表面波について、溶射層や、溶射層と基材の界面を伝播させ、空中にもれる超音波をレシーバー(ここでは受信用探触子を指す。)で検出してその強度から界面性状を調べることを可能とした。
従って、溶射時に清浄なブラスト処理面に溶射がされたかの確認、皮膜の膨れや剥離の検出など、目視観察の出来ない皮膜下損傷の早期検出を可能にし、溶射膜の品質管理法として溶射工業会の広い分野での利用を期待することができる。
またこのような利点に加えて(本願第8の発明では)、封孔が不十分な箇所が迅速に検出できるので、封孔処理のやり直しが可能になるほか、最も適した封孔剤の選定にも威力を発揮する。また経年化した溶射層が十分な絶縁機能を有しているか否かも現場で簡単に調べることができる。
以下、図面を参照しつつ、本願発明の好ましい実施の形態について、代表的なものを挙げて、説明する。図1は、本願発明の一実施の形態に係る検査装置の略側面図であり、走査部を断面視したものである。図2(A)は図1の要部を側面視した説明図であり、図2(B)は、表面波の説明図である。図3は図1の検査装置の使用状態を示す略側面図である。図4は走査部の他の実施の形態を示す略側面図である。図5は、この装置を用いて行った、剥離を有するサンプルに対する剥離検査の、走査位置を示す説明図である。図6は、上記サンプルの試験結果を示す説明図である。図7は上記試験において受信した超音波の振幅と走査位置との関係を示す説明図である。図8は、図7と異なるサンプルについて行った剥離検査において受信した超音波の振幅と走査位置との関係を示す説明図である。図9(A)は上記剥離を有するサンプルの顕微鏡の像を示す説明図であり、図9(B)は剥離のない健全なサンプルの顕微鏡の像を示す説明図である。図10は、上記装置を用いて行った封孔検査の検査位置を示す説明図である。図11(A)はフェロキシル試験についてアルミ溶射皮膜について封孔がなされていない空孔についての超音波の振幅と時間の関係を示す説明図であり、図11(B)はアルミ溶射皮膜について封孔が適切になされているものについての超音波の振幅と時間の関係を示す説明図である。図12(A)はセラミック溶射皮膜について封孔がなされていない空孔についての超音波の振幅と時間の関係を示す説明図であり、図12(B)はセラミック溶射皮膜について封孔が適切になされているものについての超音波の振幅と時間の関係を示す説明図である。図13は、図11に示すアルミ溶射皮膜について、受信した超音波の振幅と走査位置との関係を示す説明図である。図14は、図12に示すセラミック溶射皮膜について、受信した超音波の振幅と走査位置との関係を示す説明図である。図15(A)はセラミック溶射皮膜について封孔が適切になされていないものについてフェロキシル試験の結果を示す説明図であり、図15(B)はセラミック溶射皮膜について封孔が適切になれているものについてフェロキシル試験の結果を示す説明図である。図16は、上記セラミック溶射皮膜における反射超音波強度とフェロキシル試験による青斑点との関係を示すグラフの説明図である。
図中、Uは上方を、Sは下方を、Fは前方を、Bは後方を示す。
この装置は、空中超音波の送信部と、空中超音波の受信部とを備える。
詳しくは、図1へ示す通り、この装置は、空中超音波の送信用探触子1と、空中超音波の受信用探触子2と、空中超音波の送受信用の副探触子3と、これらの探触子1〜3とエンコーダとを保持する走査部10と、走査部10と別体に形成され且つ各探触子1〜3と接続された信号処理部11と、信号処理部11に接続された波形表示部12と、波形表示部12に接続されたデータ処理部13とを備える。
空中超音波の、上記送信用探触子1は、空中に超音波を伝搬させることが可能なトランスミッターであり、信号処理部11から励振信号を受けて振動する振動子を備える。
空中超音波の、上記受信用探触子2は、空中を伝搬してくる超音波を受けて振動する振動子を備え、振動を信号に変換して信号処理部11に送る。
空中超音波の、上記送受信用の副探触子3は、空中に超音波を伝搬させると共に空中を伝搬してきた超音波を受信する振動子を備える。
上記の通り、副探触子3は、空中超音波の送信と受信とを兼ねるものを示したが、副探触子についても、他の探触子1,2と同様、送信と受信とが夫々別個独立したものであっても実施できる。但し、送信と受信とを1つの探触子にて兼用するほうが、溶射皮膜の膜面に対して、垂直に超音波を入射させる配置を採るのが容易であり、また、走査部10の省スペースの面で好ましい。
空中超音波は、空気中での減衰が少ない、縦波を利用する。
上記の各空中超音波探触子1〜3は、振動部と、当該振動部の振動面に設けられた音響整合部材とを備える。
振動部は、圧電素子であり、送信部の探触子1において、信号電圧の印加により振動し、受信部の探触子2において振動を信号電圧に変換する。音響整合部材は、空気よりも大きく上記圧電素子よりも小さな音響インピーダンスを備えた部材である。このような振動部には、ジルコン・チタン酸鉛(PZT)や、コンポジット振動子を採用することができる。音響整合部材は、粘土、樹脂、ポリウレタンを用いた素材にて、振動部の振動面の表面に層として形成したものや、或いは、振動部の一部として、振動部に設けられるものを作用することができる。
具体的に説明すると、上記の各探触子1〜3には、前述の、ジルコン・チタン酸鉛(PZT)でできた圧電素子の発信面に音響整合層としてクレイ(粘土)を設けた米国Ultran社製を採用することができる。この他、上記の探触子1〜3には、前述の、コンポジットと言われるセンサを備えた、複合電圧トランスジュスサーを採用することができる。この複合電圧トランスジュスサーは、PZT素子の一部を音響インピーダンスの低い複合材に置き換えたものであり、上記の樹脂としてエポキシを用いたものや、ポリウレタンを用いた複合材料にて形成されたものを採用することができる。
尚、前述のキャパシターを利用するものを採用することも可能であるが、このタイプのものは、前述の通り、キャパシターを挟み込む電極にバイアス電圧を掛ける必要があり、実用性の面で、上記の2種を採用するのが好ましい。
また、高分子圧電膜(PVDF)を採用するタイプは、金属やセラミック用の顕微鏡では、周波数が通常数メガになり、空中超音波用としては、減衰が大きく利用しにくい。
信号処理部11は、空中超音波の上記送信用探触子1を励振するパルサー11aと、空中超音波の受信用探触子2からの信号を増幅するレシーバー11bと、A−D変換器(図示しない。)と、制御部(図示しない。)とを備える。
制御部の指令を受けたパルサー11が、送信用探触子1へ励振信号を送って、送信用探触子1の振動子を振動させ、空中超音波を発信させる。
レシーバー11bが、受信用探触子2から信号を受け、当該信号を増幅し、A−D変換器へ送る。
A−D変換器は、アナログ信号をデジタル信号に変換して、波形表示部12へ送る。
波形表部12は、信号処理部11のA−D変換器12を経て得た信号を受けて、Aスコープ(Aモード)にて波形の表示を行う。波形表示部12には、デジタルオシロスコープを採用するのが好ましい。
また、データ処理部13は、波形表示部12から、波形データを取得し、保存し、また、プリントアウトすることができる。データ処理部13には、市販のコンピュータを採用することができる。特に、データ処理部13に、ノートパソコンを採用するのが、可搬性の面で好ましい。
検査を行う者即ち、オペレータは、波形表示部12を見て、或いはプリントアウトされた波形データを見て、検査対象の剥離の有無、封孔処理の適否の判定を行うことができる。剥離の有無の判断において、受信波の強さ、即ち、Aスコープにおける波形の振幅の大きさの変化を調べることによって、確認することができる。
上記の通り、送信部は、主として、上記の空中超音波の送信用探触子1と、信号処理部11のパルサー11aと、制御部とにて構成される。また、上記の通り、受信部は、主として、上記の空中超音波の受信用探触子2と、信号処理部11のレシーバー11bと、A−D変換器と、制御部と、波形表示部とにて構成される。
上記の送信用探触子1と受信用探触子2は、溶射皮膜の剥離検査に用いるものである。また、上記の送受信用の副探触子3は、封孔処理の検査に用いるものである。このように、実施の形態において、検査装置は、溶射皮膜の剥離検査と、封孔検査の双方の装置を兼ねている。
この実施の形態において、副処理探触子3は、信号処理部11の上記パルサー11aと、上記のレシーバー11bとに接続されており、剥離検査と封孔検査の何れにするかのオペレータの選択を受けた制御部により、パルサー11aは送信用探触子1と副探触子3の何れかに、その探触子に対応する励振の信号を送り、レシーバー11bは、受信用探触子2と副探触子3の何れかから送られてくる信号を処理する。
剥離検査と封孔検査の選択は、制御部にて指令する探触子を切り替えることにより行う。
上記検査の選択を入力する手段の図示は省略するが、ここでは、信号処理部11がこのような入力手段を備える。但し、例えばデータ処理部13を構成するコンピュータを上記の制御部に接続して、このコンピュータから入力を受け付けるものとしても実施できる。
尚、図示はしないが、送信用探触子1及び受信用探触子2と、副探触子3とは、夫々別々のパルサーとレシーバーに接続して使用されるものとしても実施できる。また、この装置を、剥離検査専用の装置として、副探触子3を設けずに実施することもできる。
走査部10は、上記の送信用探触子1を保持する送信側保持部4と、上記の受信用探触子2を保持する受信側保持部5と、上記の副探触子3を保持する副保持部6と、キャスター7…7と、エンコーダ(図示しない。)とを備える。
走査部10は、片手で掴める寸法と重さを有するものである。走査部10の本体は、把持部として形成される。このような走査部10の本体(キャスター7…7とエンコーダを除いた部分)は、プラスチックにて形成することができ、透明な高分子材料にて形成するのが好ましい。透明な材料を採用することにより、溶射皮膜の表面を観察しながら走査できるからである。特に、このような走査部10本体には、アクリル製のものを採用するのが好ましい。
この実施の形態において、走査部10は、図1へ示す通り、上面10a、下面10b、左右側面、前面10c、後面10dを備えた直方体であり、前後の幅(長さw1)は約100mm、上下の幅(下面10bから上面の高さw2)は約40mm、左右の幅は約60mmである。このような数値は、種々に変更できる。但し、剥離検査に必要な、送受信の探触子1,2間の間隔w3の確保と、把持し易さとを考慮すると、前後の幅を50〜300mm、上下の幅を10〜100mmとするのが好ましく、左右(側面間)の幅を40〜70mm特に60〜70mmとするのが好ましい。
走査部10の複数のキャスター7…7は、樹脂製、特にテフロン(登録商標)樹脂にて形成されたものを作用するのが好ましい。テフロン(登録商標)製のキャスターを用いることにより、金属による溶射面の汚染を防止することができるからである。各キャスター7…7は、走査部10の本体に軸止されており、この実施の形態では、キャスター7…7の一部を走査部10の前輪とし、キャスター7…7の他の一部を走査部10の後輪とする。
走査部10には、左右の前輪と左右の後輪とを構成する、4つのキャスター7…7を設けておくのが好ましい。この実施の形態では、図1に示す通り、前後方向について、後輪となるキャスター7,7の前方に送信側保持部4が設けられ、送信側保持部4の前方に副保持部6が設けられ、副保持部6の前方に受信側保持部5が設けられ、受信側保持部5の前方に前輪となるキャスター7,7が設けられている。この前後方向は、走査方向であり、送信部側保持部4と受信側保持部5の前後の位置関係は、上記と逆であってもよい。
また、上記の通り、走査方向に対して、探触子1,2は、前後の位置関係を採るものに限定するものではない。例えば、走査方向を前後方向として、走査方向と交差する左右方向に、探触子1,2を配列するものであっても実施できる。
エンコーダは、被検材表面上(溶射皮膜表面上)の走査部10の位置を示すものであり、制御部に接続される。
エンコーダには、キャスター7の回転にて走査部10の進行位置を示すロータリエンコーダを採用することができる。
送信側保持部4と受信側保持部5と副保持部6の夫々は、図1へ示す通り、走査部10の上面10aから下面10cへ貫通する貫通孔である。各保持部4〜6は、探触子の外形・寸法と対応する内形・寸法を備え、夫々探触子1〜3が嵌装される。
具体的には、円柱状の探触子1〜3について、各保持部4〜6は、当該探触子の外径とほぼ等しい内径を有する、円柱状の中空部分として走査部10本体に形成される。
各探触子1〜3は、振動面1a,2a,3aを下方に向けた状態にして、各保持部4〜6へ嵌合される。
各探触子1〜3の走査部10への固定は、ボルトを用いて行う。但し、各探触子の固定には、ボルト・ナットや螺子以外の周知の固定手段、たとえば接着剤を採用することができる。
走査部10の側面視において、送信側保持部4は、図1へ示す通り、その向き即ち軸方向(図1の送信側保持部4に描いた一点鎖線の方向)を、前輪キャスター7の下端と後輪キャスター7の下端とを結ぶ下端線xに直交する線分(以下必要に応じて鉛直線と呼ぶ。)に対して、後方へ0.5度〜30度傾けた状態に形成されている。即ち、送信側保持部4の向きは、上記下端線xに対して、30度〜89.5度の角度を以って、下端開口部を、下方から斜め前方に向けるものである。
この送信側保持部4へ、上記の通り送信用探触子1を嵌合することによって、送信用探触子1の振動面1aを、上記下端線xに対して、30度〜89.5度の角度θを以って、下方から斜め前方に向けるものである。即ち、送信用探触子1は、下端線xに対して30度〜89.5度の角度θの方向に空中超音波のビームを発信することができる。尚、空中超音波の送信用探触子1は、指向性を有するものであるが、ある程度の超音波の広がりがあるので、ここでの下端線xに対する30度〜89.5度という、超音波の発信方向は、振動面1aが発する超音波の中心ビームの向きとする。
下端線xに対し、上記の角度θが、30度未満であると傾きが大きすぎて、空中超音波が溶射皮膜内に適切に入射させることができず、89.5度より大きいと界面に対してほぼ垂直となり、表面波を生じさせることができない。
特に、上記の下端線xに対する角度θは、剥離検査において、検査する溶射皮膜が、アルミニウム溶射により形成されたものである場合、70度〜89度(下端線xの垂線に対する角度を1度〜20度)とするのが好ましく、セラミック溶射により形成されたものである場合、77度〜84度(下端線xの垂線に対する角度を6度〜13度)とするのが好ましい。
走査部10の平面視において、受信側保持部5は、送信側保持部5の軸線の延長上に位置する。
走査部10の側面視において、受信側保持部5は、図1へ示す通り、上記の下端線xの垂直二等分線yについて、送信側保持部4の軸方向と、線対称となるように、その軸方向(図1の受信側保持部5において示す一点鎖線の方向)を向ける。
従って、送信側保持部4が後方に82度(図1において反時計回りにθ=82度となるよう)傾いている場合、受信側保持部5は前方に82度(図1において時計回りにφ=82となるように)傾けた状態に形成するのが好ましい。
尚、表面波を発生させるために送信側の探触子を上記の通り傾ける必要があるが、その一方で、表面波の受信を行うことができれば、受信側の探触子の向きは、上記の通り、送信側探触子と対称の位置関係を採るものでなくても実施でき、例えば、両探触子1,2間の間隔が小さければ、傾けずに実施することもできる。
この受信側保持部5に、上記の通り受信用探触子2を嵌装することにより、当該受信用探触子2の向きを、上記の垂直二等分線yについて、送信用探触子1の向きと線対称となるように配置することができる。
円柱状の各探触子1,2の先端面が、振動面1a,2aである。送受信の探触子1,2間において、各探触子の振動面の輪郭が呈する円の中心点間の間隔を、両探触子1,2間の間隔とする。尚探触子が多角柱の場合、振動面が呈する多角形の重心間の間隔を、上記探触子1,2間の間隔w3とする。
図2(A)へ示す通り、この間隔w3は、受信用の探触子2が受信する音波
のうち、皮膜表面の入射位置での反射ノイズ(以下表面反射波tと呼ぶ。)が減衰した後の上記表面波KWを受信できるものとする。
表面反射波tは、送信用の探触子1から発信された超音波が入射時溶射皮膜表面MSにて反射することにより生ずるものであり、送信用の探触子1が受信用の探触子2に近すぎると、当該表面反射波tの影に、上記の表面波KWといった界面位置から反射してくる超音波が隠れて、剥離の検出が困難となる。従って、上記の間隔W3は、表面反射波tがノイズとなって邪魔とならないように、表面反射波tが減衰した後の表面波KWを受信することができる十分な大きさとする。
前記の通り、送信用の探触子1を送信側保持部4へ装着し、受信用の探触子2を受信側保持部5へ装着することにより、上記の間隔w3を確保することができるように送信側保持部4と受信側保持部5の間隔を設定しておく。
この実施の形態において、送信部の探触子1の上記下端線xに対する距離w4は、受信部の探触子2の上記下端線xに対する距離w5と同じである(図1)。
上述の表面反射波の減衰時間を稼ぐ観点から、アルミ溶射皮膜、セラミック溶射皮膜の何れにおいても、上記の間隔w3が、溶射皮膜の厚みの3倍以上、好ましくは4倍以上、特に好ましくは当該厚みの5倍以上となるように、上記間隔w3を設定する。但し、表面波も減衰するので、上記各間隔w3,w4,w5を、表面波の減衰によって受信用探触子2にて適切な表面波の受信が不能とならない範囲とする。
具体的には、探触子1,2の振動周波数は、200〜800kHzとすることができ、パルサの出力電圧(スパイク電圧)を、150〜300Vとすることができ、この場合、上記の傾斜角θ,φを持った送受信の両探触子1,2の間隔、即ち、送受信の両探触子1,2の振動面1a,2aの中心間の間隔w3は、10〜100mmとする。
また、この場合、下端線xに対する送信用探触子1の振動面1aの中心の(最短)距離w4、下端線xに対する受信用探触子2の振動面2aの中心の(最短)距離w5は、夫々5〜30mmであり、特に、w4,w5を10〜25mmとするのが好ましく、10mmとするのが最も好ましい。
尚、市販の探触子を用いる場合、パルサーの出力電圧が200Vのものを採用することができる。
また、副探触子3についても、振動周波数200〜800kHz、好ましくは振動周波数200〜500kHzとするものを採用することができる。
尚、上記範囲内であれば、距離w4と距離w5とは異なる値を採るものであっても実施できる。
走査部10の送信側保持部4は、受信側保持部5に対して、探触子1,2が上記の位置関係を採るように、設けられているのである。
走査部10の側面視において、副保持部6の軸方向は、上記の下端線xに対して垂直である。この副保持部6に、副探触子3を嵌めることによって、副探触子6は、軸方向(中心ビーム)を上記下端線xに対して垂直とする。
一方、図示はしないが、各保持部4〜6は、走査部10の正面視において、即ち、走査部の前方或いは後方から走査部10を眺めた状態において、前輪及び後輪の左右のキャスターの下端を結ぶ線分(平面視において、上記の下端線xと直行する線分)に対して、軸方向(図1の一点鎖線の方向)を垂直とする。即ち、走査部10を正面視した状態において、角探触子1〜3は、上記の左右キャスタ下端を結ぶ線分に対して、軸方向を垂直とする。
図3へ示す通り、上記の構成を採る検査装置を、溶射皮膜Mが施された設備(基体N)がある、現地に運び、作業者が、走査部10を手で持ち、溶射皮膜の表面MSを、倣わせる。
このとき、各キャスター7…7を溶射皮膜Mの表面と当接させることにより、各探触子1〜3において、溶射皮膜の膜面に対し、上記の各角度θ,φ、距離w4,w5,w6を採ることができる。そして、走査部10を手動で、溶射皮膜上を摺動させることにより、溶射皮膜の各部において、剥離の有無を検査することができるのである。
図2(B)へ示す通り、送信用探触子1から発信された空中超音波は、溶射皮膜内へ斜めに入射し、入射後の超音波は、表面波KWとして、溶射皮膜M及び基体Nの界面Kと、溶射皮膜表面MSとの間を、反射しながら、当該界面Kに沿って伝播する。このとき、溶射皮膜表面MSから、表面波KWの一部が空中に漏れ、受信用探触子2にて当該漏れ出てきた表面波KWを検出することができる。
上記の表面波は、レイリー波である。また、この表面波と共に界面波が発生する(図示しない)。界面波は、基体と溶射皮膜との界面に沿って直線的に伝播する音波である。上記の界面波と共に、溶射皮膜から漏れ出てくる、界面波(ストンリー波)の強さを、溶射皮膜中界面に沿って伝播する音波の強さとして検出することにより、剥離の有無を調べることができる。
上記のストンリー波とは、一般に異種接合境界面にエネルギーを集中し、両物質の内部へのレイリー波に類似した形で減衰しながら境界に沿って伝播する波である。
上記の通り、界面波(ストンリー波)と表面波(レイリー波)とは、巨視的には、何れも、溶射皮膜中を界面に沿って伝播する音波という点で、同様であり、当該界面波について上記の表面波と共に剥離の検出に利用することができる。
封孔検査を行う場合も、同様に手動にて、走査部10に、溶射皮膜の表面を倣わせることにより、副探触子3を溶射皮膜に沿って走査することができる。
剥離検査と封孔検査とは、夫々、前述の通り、切り替えて行う。剥離検査と封孔検査の双方を行う場合、何れの検査を先に行ってもよい。何れかの一方の検査が完了した際、制御部を通じて、使用する探触子を切り替えて、何れか他方の検査を行えばよい。
本願発明の剥離検査を行うのに必要な、図1に示す幅w3の確保を前提として、走査部10の前後の幅w1を極力小さくするほうが、可搬性に優れ、手持ちの走査も行い易い。そこで、図1に示す実施の形態において、送信側保持4と受信側保持部5の間に設置した副保持部6の配置を、図4へ示す通り、前後方向F,Bについて、送信側保持部4とほぼ同じ位置であって、送信側保持部4の左右の何れかに配置することにより、よりコンパクトに走査部10を形成することができる。この他、前後方向にF,Bについて、受信側保持部5とほぼ同じ位置に、副保持部6を設けることによって、実施することもできる。
尚、上記の各探触子1〜3の振動子を励起するために、パルス状の電圧をかける他、チヤープ波と呼ばれる時間とともに周波数が変化する波を印加することもできる。共振周波数のセンサとして、周知のものから選択し、目的にあったものを使用すればよい。センサで検出された空中超音波は、ディジタルオシロスコープを用いて波形をその場で観察することができる。このため、振幅の変化として良否がその場で判断できるとともに、ノートパソコンに記録できる。上記のエンコーダにより、検査位置の記録も行える。
本願発明による、剥離検査、封孔検査を行うことができる溶射皮膜について、金属や高分子溶射皮膜、セラミック溶射皮膜、サーメットの溶射皮膜など、各種溶射材料にて形成された、溶射皮膜の全般を対象とする。
特に、鋼材を基材とする場合、金属溶射として代表的なアルミの溶射皮膜や、セラミックの溶射皮膜について、良好な検査を行うことができる。
例えば、金属溶射による皮膜としては、アルミニウム、アルミナ、アルミニウム合金、ニッケル−コバルト合金やニッケル−クロム合金に代表されるニッケル合金、チタニアや、この他の金属や合金による溶射皮膜を検査対象とすることができる。また、セラミック溶射による皮膜としては、酸化セラミック、炭化セラミック、窒化物や、この他のセラミックによる皮膜の検査を行うとができる。
また、この封孔検査において、一般に用いられている封孔剤の全般を、検査の対象とすることができる。
具体的には、シリコン−エポキシ、シリコン−ウレタン、シリコン−フェノールなどの有機系シリコン、無機系シリコン、エポキシ、タール−エポキシ、ビニール系樹脂を、成分とする封孔剤を、検査の対象とすることができる。
以下、図1に示す装置を用いて行う、界面状態の(剥離状態の)検査、及び、封孔検査について、夫々の試験結果を、順に説明する。
界面状態の検査において、本願発明の有効性を調べるために、次の2種類のサンプル(試験片)を用いた。
(サンプルNo,1)
ブラスト後に平面視において正方形の試験片の表面中央にオイル斑点(油膜)を付けた後アルミニウムを溶射したもの
(サンプルNo,2)
ブラスト後に平面視において正方形の試験片の表面中央にオイル斑点(油膜)を付けた後アルミニウムを溶射し、メタラクトとシール剤処理したもの
図5へ示すように、サンプルNo,1,2は何れも縦横200mmの正方形の炭素鋼板に溶射したものであり、平面視した際正方形の中央に、直径約15mmのオイル斑点Hがある。オイル斑点Hは、ブラスト面の汚れを模擬したもので、この部分はオイルが基材と溶射皮膜との間に介在し密着不良である。
この試験で用いた走査部10(図示は省略する。)は、送信側探触子1と受信側探触子2とを走査方向(図4の左から右)について、60mm離して保持するものである。送受信の両探触子1,2と皮膜表面との間隔は、何れも10mmである。走査部10の各部の寸法設定についても、前述の通りであり、送信用探触子1の角度θを82度(鉛直線yに対して8度)とした。また、受信用探触子2の角度φは、送信用探触子1の向きと前期線対称となるものとした。
この走査部10を、図5へ示す通り、夫々平行なI,II,III,VI,V,VI,VIIの7 本の走査ラインに沿って、順次左から右に走査して検査を行った。
この検査において、走査ラインIV上にオイル斑点があるので、この走査線上で密着不良箇所としてオイル斑点が検出されれば、適切な剥離の検出が行えるものと言える。走査ラインIV以外の走査線上には欠陥はない。
図5に示す通り、各走査ラインの左右(走査方向について)の位置を5mm間隔で設定した目盛a〜wにて示す。
図6は、サンプルNo,1の表面を走査したときの検出した空中超音波のAスコープの波形を示している。図6のa〜wは、上記図5の目盛a〜wの位置と対応する。
図6を見れば分かる通り、不良箇所(オイル斑点H)が送信用探触子1の真下にあるときや、受信用探触子2の下にあるとき検出波の振幅は極端に大きくなっている。即ち、サンプル表面上において、走査部10を走査しながら波形を観察してみると、大きな振幅の波形が検出される部分の界面性状は、良くないこと(剥離が生じていること)が分かる。
検出波の振幅分布を調べた結果を、サンプルNo,1について図7へ、サンプルNo,2について図8へ、夫々示した。
図7及び図8において、黒丸が健全域の走査ラインII,白抜きの三角がオイル斑点のある走査ラインIVでの振幅分布を示している。図7及び図8において、走査ライン上オイル斑点の両端部で大きな振幅の表面波が検出されているので、密着不良箇所は振幅の小さな谷部に存在することが分かる。
図9(A)は、サンプルNo,1のオイル斑点部の縦断面の顕微鏡写真の影像を示している。図9(B)は、サンプルNo,1の健全部の縦断面の顕微鏡写真の影像を示している。図9(A)を見れば分かる通り、オイル斑点部では皮膜と基材との間に剥離が見られるが、図9(B)を見れば分かる通り、健全部では良好な密着組織が観察できる。
表面波は、剥離があると、エネルギーが散逸しないので、強い反射エコーとなって、皮膜中を伝搬する。このため、上記の通り、層間剥離又は基材と皮膜間剥離を検出することができると考えられる。
尚、均一な固体内部に超音波を入射させる通常の斜角探傷では、屈折角度を考慮して被検材に対する入射角度を決定する必要があるが、溶射皮膜では、超音波が、粒塊内に入射して伝播するのではなく、溶射皮膜を構成する粒塊同士の間を伝播するものであり、屈折角度を考慮する必要はない。
次に封孔検査について説明する。ここでは、図1に示す装置を利用し、その副探触子3を使用して、検査を行った。副探触子3の振動面は、溶射皮膜表面から、10mm離した。副探触子3の向きは、図1へ示す通り、溶射皮膜の膜面に垂直である。
この封孔良否の検査において、封孔の良否は、空中超音波の反射強度から判定する。
次のA,Bの2 種類のサンプルを用いて実証した。
即ち、
サンプルA−1は、アルミ溶射を行い、封孔処理しない。
サンプルA−2は、アルミ溶射を行い、封孔処理を行った。
サンプルB−1は、セラミック(102)溶射を行い、封孔処理しない。
サンプルB−2は、セラミック(102)溶射を行い、封孔処理を行った。
各サンプルは炭素鋼基材(SS400/厚み8mm )に酸素−アセチレン火炎溶射したもので、膜厚は150 μm である。サンプルには、上記の通り、封孔してないもの(例えばA−1 )と封孔処理をしたもの(A−2) の2種類を準備した。試験に用いた封孔剤は、アルミ溶射・セラミック溶射の何れも信越化学工業株式会社のシリコン樹脂KR251である。
図10 に,測定点(a〜t )を示す(測定点の記号は、この封孔の検査においての観測点を示し、図5〜図8に示すアルファベットの記号と区別して用いる)。
具体的には、図10へ示す通り、平面視において、サンプル表面の、縦15mm横15mmの矩形の範囲に、縦横夫々5mmの間隔を以って設定した、a 点からs 点までの点を測定点とした。
図11は,アルミ溶射サンプル(A−1 、A−2)で検出したAスコープ波形を示している。なお、この波は、測定誤差を少なくするため512回の平均化処理をしているが、このアベレージに要する時間は約0 .1 秒であるので、現場では図1に示す装置の走査部10をゆっくり移動させながら測定できる。但し、実際には、このような多くのアベレージは必ずしも必要ではない。図11(A)
は封孔してないサンプルA−1の波形を示しており、図11(B)は封孔したサンプルA−2の波形を示している。この図11に示す通り、封孔処理溶射層の最大振幅は封孔のないサンプルよりも大きい。
図12 セラミック溶射サンプル(B−1 、B−2)で検出したAスコープ波形を示している。図12(A)は封孔していないサンプルB−1の波形を示しおり、図12(B)は封孔したサンプルB−2の波形を示している。この図12へ示す通り、封孔していないサンプルと封孔したサンプルとでは、波の振幅はかなり異なるので、波の目視観察によって封孔の良否が判断できる。尚、図11及び図12において、最初の50μs までに見られる波は、電圧発信時のノイズで、約120μs に見られる波が反射波(検査する波)である。両者に時間差は、センサと溶射面までの距離w6(リフトオフ距離)
に依存するので、リフトオフは10mm以上必要である。
図13 は,アルミ溶射サンプルA−1,A−2の反射波振幅値(Vpp,+ピークから−ピークまでの値)を比較したものであり、図14 はセラミック溶射サンプルB−1,B−2のVpp を、比較したものである。図13及び図14のグラフの横軸は、図10に示す観測点a〜tに対応している。
また、図13及び図14において、黒四角点が封孔したサンプルの反射振幅、白抜四角点が封孔してないサンプルの反射振幅を示している。
図13及び図14へ示す通り、アルミ溶射、セラミック溶射の何れのサンプルでも封孔したものを示す黒四角点のほうが、封孔していないものを示す白抜四角点よりも大きくなっている。この振幅の大きさの差は、とりわけ、セラミック溶射サンプルBにおいて、顕著である。
提案方法の有効性を実証するため、フェロキシル試験との対応を調べた。
図15 は、サンプルBのフェロキシル試験結果である。図15(A)は、セラミック溶射の無封孔サンプルB−1のフェロキシル試験結果を示し、図15(B)は、セラミック溶射の封孔サンプルB−2のフェロキシル試験結果を示す。
図15(A)に示す無封孔サンプルB−1では、大きな斑点が見られるが、その数は少ない。図15(B)に示す封孔処理サンプルB−2では、斑点数は極めて少なく、よく封孔されていることを示している。このことから、図14に示す結果とよく一致していることが確認できる。
次に、サンプルB−2(セラミック溶射に封孔処理)を用いて、フェロキシル試験による斑点数と反射率の関係を調べた。フェロキシル試験での青い斑点は封孔されていない空孔が存在することを意味するので、斑点数と反射率の関係を調べた。
図16に上記のサンプルB−2の反射超音波の強度と、フェロキシル試験による青斑点(貫通性孔)の数との関係を示す。
この図16において、サンプルB−2の反射超音波の強度を黒菱形点で示し、フェロキシル試験による青斑点の1平方cm当りの数を黒丸点で示す。図16の横軸は、図10の観測点a〜tと対応している。
図16を見れば、斑点数の多いところでは、反射強度は低下していることが分かる。即ち、この方法では、反射超音波の強度(黒菱形点)と、単位あたりの青斑点の数(黒丸点)とが相反する傾向を示せば、封孔検査が適切に行えることになるが、図16に示す通り、極めてよい相反関係を示しており、極めて高感度で封孔不良場所が検出できることが分かる。
封孔剤によっては、必ずしも溶射されたセラミックには向いていないこともある。
上記の検査方法は、斑点の数で評価するという半定量的な評価法に変わる、新しい定量的評価法になることを意味しており、現場での品質管理だけでなく、研究機関における強力な研究手段になる。
上記の各検査においては、図1に示す装置を用いたものを示した。一方、剥離用検査の探触子1,2と共に走査部10へ副探触子3を設ける場合、副探触子3の剥離検査用の探触子1,3に対する位置関係は、図1に示すものに限定するものではない。例えば、送信部の探触子1の後方に設けてもよく、或いは受信部の探触子1の前方に設けてもよい。
また、上記の実施の形態において、走査方向について、受信部の探触子2は、送信部の探触子1の前方に配置されたが、両探触子1,2の前後を逆としても実施できる。
また、上記の実施の形態において、探触子1〜3は、走査部10の走査方向(キャスター7…7によって転がる方向)に沿って、配列されたものであったが、走査方向と交差する方向に配列されるものであっても実施できる。
上記の各実施において、溶射皮膜Mは、単一の層であり、当該溶射皮膜Mと基体Nとの間の界面の剥離を検査するものとした。この他、溶射皮膜Mは、複数の溶射層にて構成されたものとし、当該層間剥離を調べるものとしても実施できる。
本願発明は、上述してきた通り、溶射皮膜の剥離や封孔状態を、空中超音波を利用して、非破壊検査するという、新規なものであり、特に剥離検査において、入射された超音波のうち表面波を調べることにより、剥離の検査を確実に行うことを可能とした画期的なものである。
本願発明の一実施の形態に係る検査装置の略側面図であり、走査部を断面視したものである。 (A)は図1の要部を側面視した説明図であり、(B)は表面波の説明図である。 図1の検査装置の使用状態を示す略側面図である。 走査部の他の実施の形態を示す略側面図である。 この装置を用いて行った、剥離を有するサンプルに対する剥離検査の、走査位置を示す説明図である。 上記サンプルの試験結果を示す説明図である。 上記試験において受信した超音波の振幅と走査位置との関係を示す説明図である。 図6と異なるサンプルについて行った剥離検査において受信した超音波の振幅と走査位置との関係を示す説明図である。 (A)は上記剥離を有するサンプルの顕微鏡の像を示す説明図であり、(B)は剥離のない健全なサンプルの顕微鏡の像を示す説明図である。 上記装置を用いて行った封孔検査の検査位置を示す説明図である。 (A)はフェロキシル試験についてアルミ溶射皮膜について封孔がなされていない空孔についての超音波の振幅と時間の関係を示す説明図であり、(B)はアルミ溶射皮膜について封孔が適切になされているものについての超音波の振幅と時間の関係を示す説明図である。 (A)はセラミック溶射皮膜について封孔がなされていない空孔についての超音波の振幅と時間の関係を示す説明図であり、(B)はセラミック溶射皮膜について封孔が適切になされているものについての超音波の振幅と時間の関係を示す説明図である。 図11に示すアルミ溶射皮膜について、受信した超音波の振幅と走査位置との関係を示す説明図である。 図12に示すセラミック溶射皮膜について、受信した超音波の振幅と走査位置との関係を示す説明図である。 (A)はセラミック溶射皮膜について封孔が適切になされていないものについてフェロキシル試験の結果を示す説明図であり、(B)はセラミック溶射皮膜について封孔が適切になれているものについてフェロキシル試験の結果を示す説明図である。 上記セラミッ溶射皮膜における反射超音波強度とフェロキシル試験による青斑点との関係を示すグラフの説明図である。
1 (送信部の)探触子
2 (受信部の)探触子
3 副探触子
4 送信側保持部
5 受信側保持部
6 副保持部
7 キャスター

Claims (8)

  1. 基材上を被覆する少なくとも一層以上の溶射層を備えた溶射皮膜について、当該溶射皮膜と基材との間の界面における剥離、又は溶射層間の界面における剥離を、調べる溶射皮膜の検査方法であって、
    溶射皮膜に向けて超音波を発する送信部と、溶射皮膜からの超音波を受信する受信部と、走査部とを用いるものであり、
    上記送信部には、超音波を空中に伝搬させて溶射皮膜内へ入射させる、空中超音波の探触子を備えたものを、上記受信部には、溶射皮膜から空中を伝搬してくる超音波を受信する、空中超音波の探触子を備えたものを、夫々採用し、
    上記走査部には、上記送信部と受信部の上記両探触子を一体に保持し、上記送信部と受信部とを、溶射皮膜の上にて前後に走査させ、送信部と受信部の両探触子を溶射皮膜よりも上方に配置し、送信部の探触子を溶射皮膜の膜面に対して斜めに向け、溶射皮膜の膜面を平面視した状態において、受信部の探触子を、送信部の探触子の向きの延長線上に配置するものを採用し、
    送信部の上記探触子から溶射皮膜内に超音波を入射させて、溶射皮膜中に表面波を伝播させ、受信部の上記探触子にて受信した表面波の強さを、剥離がない場合の表面波の強さと比べることにより、剥離の有無を調べるものであり、
    更に上記走査部にて、上記走査方向について、送信部の上記探触子の前方又は後方に受信部の上記探触子を配置し、平面視において送信部の上記探触子と受信部の上記探触子とを結ぶ線を上記走査の方向と一致させて、走査方向に沿ってのみ空中超音波の送受信を行うものであることを特徴とする溶射皮膜の検査方法。
  2. 上記の表面波は、剥離を調べる界面と溶射皮膜表面との間を多重反射しながら、当該界面に沿った方向に進行するものであり、
    入射時に溶射皮膜表面にて発生する反射ノイズ減衰後の表面波を調べることを特徴とする請求項1記載の溶射皮膜の検査方法。
  3. 受信部の探触子は、溶射皮膜表面から漏れ出てくる表面波を受信するものであり、
    送信部の探触子と受信部の探触子との間の上記間隔は、溶射皮膜の厚みの4倍以上であることを特徴とする請求項1又は2記載の溶射皮膜の検査方法。
  4. 空気超音波の両探触子は、電圧の印加により振動して超音波を発する振動部と、音響整合部材とを備え、音響整合部材が振動部に設けられることにより、振動部と空気との音響インピーダンスの差を抑制して、超音波を空中に伝搬させることができ、
    送信部の探触子と受信部の探触子との当該間隔、及び、送信部と受信部の各探触子と溶射皮膜表面との間の間隔は、伝搬中の超音波の減衰により剥離の判別が、不能とならない範囲内であり、
    側面視した状態において、送信部の探触子は、検査する界面に対して、30度以上89.5度以下の角度をなすものであり、受信部の探触子の向きは、側面視した状態において、両探触子間の中間点における溶射皮膜の膜面と垂直な線について、上記の送信部の探触子の向きと、略線対称となるものであることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の溶射皮膜の検査方法。
  5. 基材上を被覆する少なくとも一層以上の溶射層を備えた溶射皮膜について、当該溶射皮膜と基材との間の界面における剥離、又は溶射層間の界面における剥離を、調べる溶射皮膜の検査装置であって、
    溶射皮膜に向けて超音波を発する送信部と、溶射皮膜からの超音波を受信する受信部と、走査部とを備え、
    送信部は、超音波を空中に伝搬させて溶射皮膜内へ入射させる、空中超音波の探触子を備え、
    受信部は、溶射皮膜から空中を伝搬してくる超音波を受信する、空中超音波の探触子を備え、
    上記走査部は、上記送信部と受信部の上記両探触子を一体に保持し、上記送信部と受信部とを、溶射皮膜の上にて前後に走査させることができるものであり、
    上記走査部は、上記走査方向について、送信部の上記探触子の前方又は後方に受信部の上記探触子を配置するものであり、
    上記走査部は、送信部の探触子を、溶射皮膜の膜面に対して、斜めに向け、
    上記走査部は、平面視において、受信部の探触子を、送信部の探触子の向く先に、送信部の探触子に対して間隔を開けて配置し、
    送信部の探触子と受信部の探触子との間の上記間隔は、溶射皮膜の厚みの3倍以上であり、
    送信部の上記探触子から溶射皮膜内に超音波を入射させて、溶射皮膜中に表面波を発生させ、受信部の上記探触子にて受信した表面波の強さを、剥離がない場合の表面波の強さと比べることにより、剥離の有無を調べるものであり、
    平面視において送信部の上記探触子と受信部の上記探触子とを結ぶ線を、上記走査の方向と一致させることにより、走査方向に沿ってのみ空中超音波の送受信を行うことが可能な溶射皮膜の検査装置。
  6. 上記の基材は、金属又はセラミックであり、溶射皮膜は、金属、高分子,セラミック又はサーメットの溶射により形成されたものであり、
    各探触子の振動周波数は、200〜800kHzであり、
    送信部と受信部の両探触子を保持し、且つ、両探触子を溶射皮膜表面に沿って走査し得る走査部を備え、
    走査部は、送信部と受信部の両探触子同士を、溶射皮膜の厚みの3倍以上であり、且つ、200mm以下の間隔を採るように保持するものであり、
    更に、走査部は、各探触子を溶射皮膜表面から5mm以上80mm以下の間隔を開けて保持するものであり、
    走査中、受信した表面波の強さの変化により、界面における剥離を検出するものであることを特徴とする請求項5記載の溶射皮膜の検査装置。
  7. 走査部は、主として透明な素材にて形成され、送信部の探触子を保持する送信側保持部と、受信部の探触子を保持する受信側保持部と、前輪及び後輪となる少なくとも2つのキャスターとを備え、手で持って溶射皮膜の膜面に当てキャスターを溶射皮膜に倣わせることにより、両探触子を、溶射皮膜の膜面に沿って走査することができるものであり、
    両キャスターは、少なくとも表面がテフロン(登録商標)樹脂にて形成され、
    送信側保持部は、両キャスターの下端同士を結ぶ下端線に対して、送信部の探触子を30度以上89.5度以下の角度をなすように保持し、受信側保持部は、側面視において、当該下端線と直交する垂線について、送信部の探触子の向きと線対称となる向きを向くように受信部の探触子を保持し、
    更に、送信側保持部と受信側保持部は、上下方向について、上記の下端線から上方へ、5mm以上50mm以下の間隔を開けて探触子の夫々を保持するものであることを特徴とする請求項6記載の溶射皮膜の検査装置。
  8. 溶射皮膜に向けて超音波を発する副送信部と、溶射皮膜からの超音波を受信する副受信部とを備え、
    副送信部は、超音波を空中に伝搬させて溶射皮膜内へ入射させる、空中超音波の探触子を備え、
    副受信部は、溶射皮膜から空中を伝搬してくる超音波を受信する、空中超音波の探触子を備え、
    副送信部と副受信部の両探触子は、溶射皮膜より上方に配置され、
    副送信部の探触子の向きは、溶射皮膜の膜面に対して、略垂直であり、
    副送信部の探触子にて、溶射皮膜に向けて空中に超音波を発し、副受信部の探触子にて、溶射皮膜から帰ってくる超音波を受信することにより、溶射皮膜の封孔処理の状態を検出することを特徴とする請求項5乃至7の何れかに記載の溶射皮膜の検査装置。
JP2007327118A 2007-12-19 2007-12-19 溶射皮膜の検査方法及びその装置 Active JP5069548B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007327118A JP5069548B2 (ja) 2007-12-19 2007-12-19 溶射皮膜の検査方法及びその装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007327118A JP5069548B2 (ja) 2007-12-19 2007-12-19 溶射皮膜の検査方法及びその装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009150692A JP2009150692A (ja) 2009-07-09
JP5069548B2 true JP5069548B2 (ja) 2012-11-07

Family

ID=40919982

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007327118A Active JP5069548B2 (ja) 2007-12-19 2007-12-19 溶射皮膜の検査方法及びその装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5069548B2 (ja)

Families Citing this family (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011171815A (ja) * 2010-02-16 2011-09-01 Panasonic Corp 圧力波発生素子及びそれを搭載したデバイス
JP2012047607A (ja) * 2010-08-27 2012-03-08 Hitachi Ltd 内部欠陥検査方法及びその装置
DE102015101117A1 (de) * 2015-01-27 2016-07-28 Dr. Ing. H.C. F. Porsche Aktiengesellschaft Verfahren zur Überprüfung von Schichteigenschaften einer thermischen Spritzschicht auf einem Substrat
DE102015106872A1 (de) * 2015-05-04 2016-11-10 Inoson GmbH Vorrichtungen und Verfahren für die einseitige zerstörungsfreie Prüfung von Objekten aus verschiedenen Materialien
CN109444264A (zh) * 2018-12-13 2019-03-08 深圳市德航智能技术有限公司 具有自动施加耦合剂的超声波测量装置及其工作方法
CN115290597B (zh) * 2022-10-08 2023-03-17 首都师范大学 基于太赫兹技术的涂层紧贴型无黏结缺陷检测方法及系统
CN116382380B (zh) * 2023-06-05 2023-08-18 四川馨香源环保科技有限公司 一种玄武岩纤维复合板喷涂状态检测控制系统

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08282587A (ja) * 1995-04-12 1996-10-29 Hitachi Ltd 容器内の水中作業装置
JP3777071B2 (ja) * 1999-07-30 2006-05-24 日立建機株式会社 超音波検査装置
JP3749929B2 (ja) * 2003-08-05 2006-03-01 独立行政法人 宇宙航空研究開発機構 超音波検査装置及びこれを用いた検査方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2009150692A (ja) 2009-07-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Adams et al. Nondestructive testing of adhesively-bonded joints
JP5069548B2 (ja) 溶射皮膜の検査方法及びその装置
Castaings SH ultrasonic guided waves for the evaluation of interfacial adhesion
Maeva et al. Acoustical methods for the investigation of adhesively bonded structures: A review
Mallet et al. Structural health monitoring using scanning laser vibrometry: II. Lamb waves for damage detection
Thompson et al. Ultrasonics in nondestructive evaluation
US9310339B2 (en) Hybrid inspection system and method employing both air-coupled and liquid-coupled transducers
US10126273B2 (en) Inspection of structures
Bustamante et al. Hybrid laser and air-coupled ultrasonic defect detection of aluminium and CFRP plates by means of Lamb mode
Jodhani et al. Ultrasonic non-destructive evaluation of composites: A review
US20090249879A1 (en) Inspection systems and methods for detection of material property anomalies
Arone et al. Defect characterization in Al welded joints by non-contact Lamb wave technique
Adams et al. Non–destructive testing of adhesively–bonded joints
Salzburger EMAT's and its Potential for Modern NDE-State of the Art and Latest Applications
Brotherhood et al. An ultrasonic wheel-array sensor and its application to aerospace structures
Vyas et al. A review on nondestructive techniques and characteristics of composite materials for the aerospace system
Gunarathna et al. Challenges in Monitoring Metallic Pipeline Corrosion Using Ultrasonic Waves—A Review Article
Bond Basic inspection methods (Pulse-echo and transmission methods)
Bond Ultrasonic transduction (transducer elements)
Mustafa et al. Imaging of disbond in adhesive joints with lamb waves
Severin et al. Industrial Applications of Scanning Acoustic Microscopy
Gaal et al. Airborne ultrasonic systems for one-sided inspection using thermoacoustic transmitters
Kichou et al. Lamb waves beam deviation due to small inclination of the test structure in air-coupled ultrasonic NDT
Djordjevic Ultrasonic Nondestructive Testing of Large-scale Composites
Lehmann et al. Contribution to the qualification of air-coupled ultrasound as non-destructive, automated test method for spot welds in the car body shop

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20091217

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120110

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120117

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120319

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120724

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120817

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150824

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5069548

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250